アパートの所有権と、その賃貸人たる地位を分離して相続

子ども2人の夫婦で、夫が亡くなり将来は子ども2人へ適切に引き継いでもらいたい、配偶者が元気なうちは、生活に必要な分を確保したい、というような事例です。

アパートに関して、アパートの所有権と、賃貸人の地位を分離して相続することを検討しても良い、二次相続を考慮すると節税にもつながると思われます、というような考えがあって、初めて知りました。たしかに不動産の所有権と、賃貸借契約の賃貸人の地位は別に考えることができます。

この場合、固定資産税などの支払いは所有者である子ども(2人か1人)が行い、修繕、賃料の受取り、ローン返済を配偶者が行うことになるのかなと思いました。

配偶者が亡くなったときは、賃貸人の地位とローンが残っている場合は、債務者の地位を子どもが話し合いで決める、ということになるのでしょうか。

家族信託をもし使うのであれば、配偶者が亡くなった場合でも相続税がかからないように(この場合だと約4200万円)遺産分割協議をします。

その後、子の1人を受託者にして、配偶者を委託者&最初の受益者にする信託契約を締結します。信託する財産には自宅も含めることができます。残っているローンは、信託することができません。

子2人がアパートの共有持ち分を持っている場合は、それを信託するかはケースによります。

配偶者の生活費は、アパートの持分に応じた賃料から、金融機関から連帯債務が認められれば、持分に応じた債務返済分と修繕引当金を差し引いた額を充てます。

配偶者が亡くなった場合は、子2人で残った財産と債務を分けます。分けたあと、信託を終了するということができます。

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参考

かふうVol.604

「よくわかる不動産相続Q&A」

医療法人が行う吸収合併の登記が遅れた場合の取扱いについて

登記の日時によって考えないといけないことが出てくるんですね。

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出典:国税庁HP(2017年5月8日閲覧)

別紙1 事前照会の趣旨及び事前照会に係る取引等の事実関係

当法人(3月決算の医療法人)は、他の医療法人(3月決算)を被合併法人とする吸収合併(以下「本件合併」といいます。)を行うため、平成29年4月1日を合併期日とする合併契約書を取り交わすとともに、所轄官庁の認可を受けて合併の登記を行うこととしました。しかしながら、平成29年4月1日は土曜日で登記所が閉庁されているため、次の開庁日である4月3日(月曜日)に登記申請を行い、同日に所定の登記がなされます。なお、本件合併は適格合併に該当することを照会の前提とします。

法人税法第14条第1項第2号は、法人が事業年度の中途において合併により解散した場合には、その事業年度開始の日から合併の日の前日までの期間をみなし事業年度とすると規定し、法人税基本通達1-2-4は、同号の「合併の日」とは、合併の効力を生ずる日(新設合併の場合は、新設合併設立法人の設立登記の日)をいうとしています。

ところで、医療法人が行う合併については、医療法第57条以下に規定されているところ、同法第58条の6(効力の発生)において、「吸収合併は、吸収合併存続医療法人が、その主たる事務所の所在地において政令に定めるところにより合併の登記をすることによって、その効力を生ずる。」と規定されていますので、本件合併の効力を生ずる日、すなわち合併の日は平成29年4月3日となります。

そうすると、当該他の医療法人(被合併法人)は、本件合併により解散するところ、事業年度開始の日である平成29年4月1日と合併の日の前日である平成29年4月2日の2日間についてみなし事業年度が生ずることとなり、当該みなし事業年度の損益に係る決算を組んで確定申告書を提出する必要があります。なお、当該他の医療法人(被合併法人)は、4月1日及び2日において損益(申告所得)が生じることを前提としています。

この場合、平成29年4月1日と2日の2日間に生じる損益について、合併法人である当法人の事業年度(平成29年4月1日から平成30年3月31日までの1年間)の損益に合算して申告することとして差し支えないかご照会いたします。

なお、照会の趣旨として、国税庁HPでは、株式会社が行う新設合併等について、登記所の閉庁により、その登記が遅れた場合には、被合併法人の合併の日の前日を含む事業年度の損益については、新設合併設立法人に帰属させる取扱いが認められているところ(国税庁HP「新設合併等の登記が遅れた場合の取扱いについて(平成19年4月)」)、本照会のように、医療法人が行う吸収合併についても同様の取扱いが認められるか疑義が生じたため、照会を行うものです。

別紙2 事前照会者の求める見解の内容及びその理由

1  会社法においては、株式会社が新設合併を行う場合、その効力の発生日は新設法人の成立の日(登記の日)とされるとともに、新会社はその成立の日において、新設合併消滅会社の権利義務を承継することとされています(会社法754)。このような会社法の規定との整合性を図って、法人税基本通達1-2-4では、新設合併設立法人の設立登記の日を「合併の日」とすることとしています。

  ところで、会社が事業年度開始の日を合併期日として新設合併を行おうとしても、当該事業年度開始の日が休日等である場合には、合併の登記が受け付けられず、新設合併設立法人の設立登記の日が遅れることがあり、このような場合には、事業年度開始の日から新設会社の登記の日の前日までのみなし事業年度が生じることから、当該みなし事業年度に係る申告書を提出する必要があります。

ただし、合併期日がたまたま休日であったため登記申請ができず、やむを得ず翌日に申請したような場合に、1日又は2日間だけの損益を切り出して通常の決算とは別の決算を組むということは、企業の決算実務に多大な事務負担を負わせることとなるため、一定の要件を満たす場合には、当該損益については新設合併設立法人に帰属させる取扱いが認められているところです(国税庁HP「新設合併等の登記が遅れた場合の取扱いについて(平成19年4月)」)。

2  本件合併は、医療法人が行う吸収合併ですが、2株式会社が行う新設合併と同様にその効力発生日は登記日とされていること、2合併期日とした事業年度開始の日がたまたま休日であったため登記申請ができないという事情があること、22の事情があるにもかかわらず、2日間だけの損益を切り出して通常の決算とは別の決算を組むことの事務負担という点において、株式会社が行う新設合併の場合と同様の状況にあると考えられます。

  したがって、株式会社が行う新設合併の場合と同様に、本件合併についても、次の(1)から(3)までの要件を満たす場合には、次の(2)に掲げる損益の帰属による確定申告書の提出が認められるものと考えます。

(1)合併期日が行政機関の休日に関する法律(昭和63年法律第91号)第1条≪行政機関の休日≫に規定する休日に当たるため、その休日後の最初に執務が行われた日に本件合併の登記申請がされたこと

(2)本件合併により解散する他の医療法人(被合併法人)の平成29年4月1日と2日の2日間の損益については、照会法人(合併法人)と当該他の医療法人(被合併法人)との間において照会法人(合併法人)に帰属する旨の合意がなされ、その旨を記載した書類の写しを当該他の医療法人(被合併法人)のみなし事業年度の確定申告書に添付すること

(3)本件合併が非適格合併に該当しないものであること

固定資産税台帳に登録価格のない土地の登録免許税

平成28年4月7日裁決

1、固定資産税台帳に登録価格のない土地について、近くに接道状況などの似た土地がない場合は、課税価格の補正を考えること。

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参考

(国税不服審判所HP 2017年5月11日閲覧)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が、土地の所有権移転登記を受けるに当たり納付した登録免許税額が過大であったとして、登録免許税法第31条《過誤納金の還付等》第2項の規定に基づき、原処分庁に対し、所轄税務署長に対する還付通知をすべき旨の請求をしたところ、原処分庁が、還付通知をすることはできない旨の通知処分をしたことから、当該処分の取消しを求めた事案である。

(2) 関係法令等

別紙1のとおりである。

(3) 審査請求に至る経緯及び基礎事実

次の事実については、請求人と原処分庁との間に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。

イ E社は、平成24年10月5日、a市d町○-○の土地(地目 田、地積 786平方メートル)を取得した。

ロ 平成26年4月21日、上記イの土地からa市d町○-○の土地(地積 434平方メートル、以下「本件土地」という。)が分筆され、同年5月13日、その地目を田から雑種地に変更する旨の登記がされた。

ハ 本件土地は、別紙2のとおり、間口約8m、奥行き約53mの南北に細長い長方形状であり、その南方において里道及び農業用灌漑水路(幅員2m)を介して幅員5mの市道(以下「本件市道」という。)と接し、その東・西・北方は民地に囲まれている。

 また、本件土地については、昭和○年○月○日付の計画決定により、同土地の南側部分を東から北西に横断する形で都市計画道路の建設が予定されており、その道路建設予定面積は128.20平方メートルである。

ニ 請求人及びFは、平成26年8月30日、E社から本件土地を代金○○○○円で買い受け(以下「本件売買」という。)、平成27年2月3日、その引渡しを受けた。

 本件土地は、平成27年1月24日までに、本件市道との段差を解消するための盛土がされるとともに、別紙2のとおり、本件土地と本件市道とを行き来するためのコンクリート製の橋が、里道及び農業用灌漑水路を横断する形で設置され、上下水道の引込工事も完了していたが、同月1日の時点では、これらの工事は完了していなかった。

ホ 請求人及びF並びにE社は、本件売買による所有権移転登記手続をG司法書士に委任した。

 G司法書士は、平成27年2月3日、請求人及びF並びにE社を代理して、B地方法務局d出張所に対し、本件土地について、平成27年2月3日売買を原因とするE社から請求人及びFに対する所有権移転登記(請求人持分100分の15、F持分100分の85)を申請した(以下「本件登記申請」といい、同日を「本件登記申請日」という。)。

 本件登記申請に係る申請書には、課税価格○○○○円、登録免許税額○○○○円との記載があり、G司法書士は、本件登記申請に際し、請求人及びFを代理して、当該登録免許税額を納付した。

 そして、同日付で、本件土地について、本件登記申請どおりの登記(以下「本件登記」という。)がされた。

ヘ ところで、本件土地は、施行令附則第3項第1号所定の基準日である本件登記申請日の前年12月31日現在において固定資産課税台帳に登録された価格(以下「登録価格」という。)がなかった。

 そこで、G司法書士は、本件登記申請に当たり、a市長から、「所在地」欄に「a市d町○-○付近」、「課税地目」欄に「雑種地」、「課税地積」欄に「1.00平方メートル」、「平成26年度評価額」欄に「○○○○円」と記載された固定資産評価証明書の発行を受け、当該評価額(以下「本件近傍地価額」という。)に本件土地の地積を乗じて、同土地の課税価格を○○○○円と算定した(○○○○円×434平方メートル=○○○○円(1,000円未満切捨て))。

 そして、B地方法務局d出張所登記官Hは、施行令附則第3項の規定に基づき、上記○○○○円を本件土地の価額と認定した(以下、当該価額を「本件登記官認定額」という。)。

ト 請求人は、平成27年1月1日を基準日として別表1のとおり算定された本件土地に係る平成27年度の登録価格(以下「平成27年度登録価格」という。)である○○○○円が、本件登記の時における同土地の正当な価額であり(以下「請求人主張額」という。)、これを基礎に計算した登録免許税額○○○○円と、上記ホの登録免許税額○○○○円との差額である○○○○円は過誤納であるとして、同年5月22日、登録免許税法第31条第2項の規定に基づき、原処分庁に対し、所轄税務署長に対する還付通知をすべき旨の請求をした。

チ 原処分庁は、上記トの還付通知をすべき旨の請求に対し、平成27年5月26日付で、還付通知をすることはできない旨の通知処分をした。

リ 請求人は、原処分を不服として、平成27年6月11日に審査請求をした。

2 争点

本件登記官認定額が本件土地の価額として過大であるか否か。

3 主張

請求人

施行令附則第3項の規定により、登録価格のない不動産の価額は、類似する不動産で登録価格のあるものを基礎として登記機関が認定するところ、当該認定に当たっては、登記をする不動産と類似する不動産の登録価格を基礎とし、登記をする不動産の形状、立地条件、利用条件等の特殊事情につき所要の調整を行って認定すべきである。

 本件土地は、施行令附則第3項に規定する登録価格のない不動産であるところ、本件登記官認定額は、本件近傍地価額に本件土地の地積を乗じただけのものであり、本件土地の形状、立地条件、利用条件等を考慮して計算されたものとは認められない。

 他方、本件土地の形状、立地条件、利用条件等の特殊事情を考慮して所要の調整を行い計算した価額は、平成27年度登録価格と同額であり、当該価額が本件登記の時における時価であると認められるから、請求人主張額に基づき計算した登録免許税額と本件登記申請における登録免許税額との差額は、過誤納であり、還付されるべきである。

原処分庁

本件土地は、施行令附則第3項に規定する登録価格のない不動産であるところ、本件登記官認定額は、本件近傍地価額を本件土地に類似する不動産の登録価格の1平方メートル当たりの価格としており、施行令附則第3項の規定に基づき、類似する不動産の登録価格を基礎として計算されたものであるから、これに誤りはなく、本件の登録免許税額は過誤納とはなっていない。

 なお、本件登記申請は平成27年2月3日にされたものであることから、本件土地の価額の算出に当たっては、施行令附則第3項の規定に基づき、平成26年12月31日現在における登録価格に100分の100を乗じて計算した金額を基礎とするべきであり、請求人が主張するように、平成27年1月1日現在における登録価格を基礎とすることはできない。

4 判断

(1) 認定事実

請求人提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。

イ 本件土地は、都市計画法第7条第1項所定の市街化区域内に所在する。

ロ 本件土地は、本件市道の北側に沿接するa市d町地区(以下「d町地区」という。)内に所在するところ、平成26年及び平成27年当時、同地区内の土地は、そのほとんどが農地であり、農地が広がる中に、本件土地並びに宅地造成がされた雑種地1筆及び駐車場1区画が点在していた。なお、平成26年及び平成27年において、d町地区内の状況が大きく変化した事実はない。

ハ 本件市道の南側に沿接するa市e町地区(以下「e町地区」という。)は、戸建住宅が立ち並ぶ住宅地であった。

ニ 平成26年度まで、本件市道に付設された路線価は、本件市道の南側に沿接するe町地区の土地評価に適用する路線価(以下「本件南側路線価」という。)のみであったが、同地区と本件市道の北側に沿接するd町地区とでは価格形成要因が異なることなどから、平成27年度以降、d町地区の土地の評価に適用する路線価(以下「本件北側路線価」という。)が新たに付設され、本件市道は二重路線価の状態となっていた。

 本件南側路線価及び本件北側路線価は、別表2のとおりである。

ホ e町地区及びd町地区の標準宅地に沿接する主要な街路に付設された路線価(固定資産評価基準第1章第3節二の(一)の2、3参照)は、別表3のとおりであるところ、平成27年度の本件北側路線価は、同年度の標準宅地の1平方メートル当たりの価格○○○○円に、固定資産評価基準第1章第12節一所定の0.7の割合を乗じた上、標準宅地の前面道路の幅員(6m)と本件土地の前面道路(本件市道)の幅員(5m)の差を考慮した補正率0.99を乗じて算定された(○○○○円×0.7×0.99=○○○○円(100円未満切捨て))ものである。

ヘ 本件登記申請日(平成27年2月3日)において、本件土地の周辺で、本件土地と形状、間口、奥行き、利用状況及び接道状況等が類似する土地は存在しなかった。

(2) 検討

イ 登録免許税法第10条第1項は、不動産の登記の場合における登録免許税の課税標準たる不動産の価額は、当該登記の時における不動産の価額である旨規定し、同法附則第7条は、上記課税標準たる不動産の価額は、当分の間、当該不動産の登録価格を基礎として政令で定める価額によることができる旨規定している。

 そして、登録免許税法附則第7条の委任を受けた施行令附則第3項は、上記政令で定める価額は、登録価格のある不動産の場合については、登録価格に100分の100を乗じて計算した金額に相当する価額とし、登録価格のない不動産については、当該不動産の登記の申請の日において当該不動産に類似する不動産の登録価格を基礎として当該登記に係る登記機関が認定した価額(以下「登記機関認定価額」ということがある。)とする旨規定している。

ロ 本件土地は、上記1の(3)のヘのとおり、施行令附則第3項第1号所定の基準日である本件登記申請日の前年12月31日現在において登録価格がなかったことから、同項の規定により、本件登記申請日において本件土地に類似する不動産の登録価格を基礎として登記機関が認定した価額によることができるが、上記(1)のヘのとおり、本件登記申請日において、本件土地の周辺で、本件土地と形状、間口、奥行き、利用状況及び接道状況等が類似する土地は存在しなかったものと認められる上、当審判所の調査の結果によれば、本件登記官認定額の基となった本件近傍地価額(○○○○円/平方メートル)は、単に、平成26年度の本件南側路線価(○○○○円/平方メートル)に雑種地等補正率0.90を乗じて算定されただけのものであることがうかがわれるから、これを本件土地に類似する不動産の登録価格を基礎として算定されたものということはできず、本件登記官認定額を、施行令附則第3項所定の登記機関認定価額として適正なものと認めることはできない。

ハ 一方、請求人主張額は、平成27年度登録価格を基礎とするものであるが、施行令附則第3項第1号に規定するとおり、登記機関認定価額の基礎とする当該不動産に類似する不動産の登録価格は、登記の申請の日がその年の1月1日から3月31日までの期間内であるものについては、その年の前年12月31日現在において固定資産課税台帳に登録されたものを用いるべきであるところ、上記1の(3)のホのとおり、本件登記申請日は平成27年2月3日であるから、用いるべき登録価格は平成26年12月31日現在のものであって、これと異なり、平成27年1月1日を基準日とする平成27年度登録価格を用いる請求人主張額は、同号の規定に反しており、これを同項所定の登記機関認定価額と認めることはできない。

 また、上記1の(3)のニのとおり、平成27年度登録価格の基準日である平成27年1月1日と、本件登記の日である同年2月3日とでは、本件土地の造成工事が完了していたか否かという差異があることから、平成27年度登録価格をもって直ちに同土地の本件登記の時における時価であると認めることもできない。

 したがって、請求人主張額は採用することができない。

ニ 上記(1)のヘのとおり、本件登記申請日において、本件土地の周辺で、本件土地と形状、間口、奥行き、利用状況及び接道状況等が類似する土地は存在しなかったものと認められるが、このように、登記の申請の日において当該不動産に類似する不動産そのものが見当たらない場合にあっては、登記の時の当該不動産の現況を踏まえた上で、当該不動産自体の基準日現在における登録価格相当額を、登録価格の決定の基準(地方税法第403条第1項)である固定資産評価基準に則して算定し、これをもって施行令附則第3項所定の登記機関認定価額と解することも、同項が、可能な限り登録価格に依拠して登記の時における不動産の価額を求めることによって課税の公平を図ろうとした趣旨に沿うものとして相当であると認められる。

ホ そこで、上記1の(3)の基礎事実及び上記(1)の認定事実を基に、固定資産評価基準に則して本件土地の登録価格相当額(算定の基準日は、施行令附則第3項第1号の規定により、本件登記申請の日の前年12月31日である平成26年12月31日となる。)を算定すると、別表5のとおり、○○○○円となり、これをもって、施行令附則第3項所定の登記機関認定価額ひいては登録免許税の課税標準たる不動産の価額と認めるのが相当である。

 なお、別表5の(1)の平成26年度の本件北側路線価相当額及び同(6)の雑種地等補正率について、次のとおり補足する。 (イ) 本件北側路線価相当額について

 上記(1)のニのとおり、本件土地が所在するd町地区の土地の評価に適用される本件北側路線価は、平成26年度までは付設されていなかったが、同ロのとおり、平成26年及び平成27年において、同地区内の状況が大きく変化した事実は認められないことからすれば、平成26年度の同地区の標準宅地に沿接する主要な道路に付設された路線価である○○○○円(別表3)に、平成27年度の本件北側路線価の算定に係る補正率と同率の補正率である0.99を乗じて算出される○○○○円(○○○○円×0.99=○○○○円(100円未満切捨て))をもって、平成26年度の本件北側路線価相当額と認めるのが相当である。

(ロ) 雑種地等補正率について

 上記1の(3)のニのとおり、本件土地は、本件登記の時において既に造成工事が完了していたのであるから、雑種地等補正率は、「宅地と同等のもの」として、1.00(別表4の表5参照)とするのが相当である。

(3) 小括

以上によれば、本件登記官認定額のうち、上記(2)のホの審判所認定額を超える部分は過大であると認められる。

5 原処分について

上記4の(2)のホのとおり、本件土地に係る登録免許税の課税標準たる不動産の価額は○○○○円となり、これを基に、登録免許税法第9条《課税標準及び税率》、同法別表第1の一の(二)のハ及び租税特別措置法第72条《土地の売買による所有権の移転登記等の税率の軽減》の規定により登録免許税の額を算定すると、○○○○円(100円未満切捨て)となるから、これと、上記1の(3)のホのとおり請求人が納付した登録免許税○○○○円との差額である○○○○円については、登録免許税の課税標準等又は税額の計算が国税に関する法令の規定に従っていなかったものと認められ、過誤納と認められる。

 したがって、請求人の還付通知をすべき旨の請求は、上記過誤納の限度で理由があり、原処分のうち、上記過誤納に係る部分は違法であるから、当該部分を取り消すべきである。

オーナーの認知症に備えた委任状(管理業務委任状)

自分なら利用するかといえばしませんが、こういう認知症への備えもあるようです。

対象

賃貸物件の所有者とその家族

利用する場面

所有者が認知症になる前に、なった後のことを家族などに委任しておく

特徴

1、後見開始の審判を受けた場合であっても、自動的に代理権は消滅しない。

2、委任できる事項が多い

(1)賃貸借契約(サブリース業者との間のサブリース原賃貸借契約を含む)の締結

(2)転貸の承諾

(3)賃料その他の契約条件の変更

(4)賃貸借契約の解除

(5)賃貸物件の修繕工事

(6)賃貸物件の原状回復工事に関する請負契約の締結

(7)その他これに付随する一切の行為

3、賃貸住宅管理業者との管理業務委託契約は解除することができない。

4、成年後見制度(おそらく任意後見を含みます)を利用することができるまでの間に使用するためのもの

参考:

(公財)日本賃貸住宅管理協会HP(2017年5月11日閲覧)

 サブリース業者との契約解除も可能か?

(公財)日本賃貸住宅管理協会のQ&AのQ4では、サブリース業者との契約解除も可能と記載されています。(2021年6月17日閲覧)

https://www.jpm.jp/proxy_form/Q&A.pdf

 私の依頼者には、確実に可能とは答えられません。委任状は、民法上の委任契約ですが簡単に作ることが出来る一方、作成時期や内容を証明するのに手間がかかる場合があるからです。作成時期や内容を証明しないといけない場合(訴訟等)、委任者は認知症などに罹患していることが想定されています。

 賃貸住宅管理業者との管理業務委託契約は解除することができない、とあるが、サブリース業者の場合は契約解除は可能か?

(公財)日本賃貸住宅管理協会の解説では、「賃貸住宅管理業者との管理業務委託契約は解除することが出来ない」との記載はないので、解除することが可能と読めます。

https://www.jpm.jp/proxy_form/Q&A.pdf

 現在、親が所有している土地について、サブリース業者との賃貸借契約解除に向けて話合い中です。父から交渉を任されているのですが、裁判になった場合に備えて委任状を作成しようと考えています。

 私なら、任意後見契約を薦めると思います。理由は、任意後見契約に関する法律に基づくので東京法務局が発行する登記事項証明書により代理権の証明が容易だからです。サブリース業者との交渉や弁護士への委任も、登記事項証明書に基づき行うことが出来ます。

受益権をいくつに分けるか

自益権・・・信託財産から経済的利益を受けることを目的とする権利。

共益権・・・信託の運営に参加し、信託事務の監督・是正をすることを目的と

する権利。

処分権・・・受益権を他の人に譲渡することができる権利。

参考

信託法2条、

信託法38条、44条、111条など

信託法93条、103条

『法律学小事典』(株)有斐閣

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株式会社の株式の場合は、自益権(剰余金の配当を受ける権利など)、共益権(議決権など)、処分権(譲渡する権利)があります。

似ているようですが、処分権について、株式の場合は譲渡の「制限」ができるのみです。受益権の場合は、譲渡を禁止することができます。

これは、株主は株式の所有者であるのに対して、受益者は受益債権という債権者であることからきていると考えることができます。受託者に対して、確実に受益するための共益権もまとめて受益権というため、一種の地位の譲渡と考えることができるかもしれません。でも、受益者って信託行為の当事者にはならないのに。譲渡が禁止された受益権は要らないっていう場合は、最初に受益権を放棄しないといけないですね。

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参考

民法125条、178条、272条、314条、466条、612条、625条)

信託法93条、99条

会社法105条、107条

金子登志雄『事例で学ぶ会社法実務―設立から再編まで―』東京司法書士協同組合

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