横山亘「照会事例から見る信託の登記実務(9)」

登記情報[1]の記事からです。

第三者の範囲には、観念的な公益の代表としての登記官も含まれており、この問題は、後続の登記と登記官の審査との関係でも決定的な欠陥を露呈します。

 第三者について、大きな範囲でいうと当事者に対する語(当事者以外)。ある法律関係又は事柄について直接関与するものを当事者といい、それ以外の者を第三者といいます[2]。不動産登記法には、第三者という語が25個使用されています。第五条、第四十条、第五十条、第五十五条、第五十八条、第六十六条、第六十七条、第六十八条、第七十一条、第七十二条、第八十一条の二、第百九条、第百四十一条です。

不動産登記法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000123

民法177条で使用されている第三者は、当事者および包括承継人以外のすべての第三者(無制限説)ではなく、登記欠缺(けんけつ)を主張することに正当な利益を有する第三者でなければならない(制限説)とされています(大連判明41.12.5)。

不動産登記法の目的をみてみます。

(目的)

第一条 この法律は、不動産の表示及び不動産に関する権利を公示するための登記に関する制度について定めることにより、国民の権利の保全を図り、もって取引の安全と円滑に資することを目的とする。

次に、不動産登記法の登記官の条文をみてみます。

(登記官)

第九条 登記所における事務は、登記官(登記所に勤務する法務事務官のうちから、法務局又は地方法務局の長が指定する者をいう。以下同じ。)が取り扱う[3]

 条文を読む限り、観念的な公益の代表とは何か、法務大臣の監督の下にある登記官が観念的な公益の代表としての第三者に含まれるのか、私には分かりませんでした。また、登記官が登記欠缺(けんけつ)を主張することに正当な利益を有する第三者に含まれるのかについては、登記官が原則として持っている実質的審査権の限りにおいては含まれる可能性はありますが、その範囲に留まるのではないかと思います。

(信託目録の「その他の信託の条項」に)「平成29年4月20日付金銭・不動産管理処分信託契約証書及びこれに付随する変更契約書記載のとおり。」と登記することは認められないものと考えます。

 前提として、私は引用のような登記申請を行ったことはありません。なぜ行わないかというと、記録する意味がないと考えるからです。後続登記を申請する際に、平成29年4月20日付金銭・不動産管理処分信託契約証書や、これに付随する変更契約書を登記原因証明情報を提供すれば足ります。

 実務家による書籍では、認めるものしか探すことは出来ませんでした[4]。登記官と登記申請を行う側の認識が逆になっています。

 申請(代理)する側からは、認める理由としては様式が定まっていないから、という理由が多いように感じます。委託者と受託者など当事者の側からは、第2次・第3次受益者、建物の滅失登記が可能(受託者の権限で取り壊し可能。)、(根)抵当権の設定登記申請が可能(受託者の権限で借入れ可能)、のような記録を、親族を始めとして誰でも取得することが出きる登記記録に掲載するのは躊躇するということがあると思います。

 結論としては、現状の不動産登記制度において引用のような登記申請がされた場合、登記官が認めることが出来ない(却下)ということは不可能ではないかと思います。記事からも根拠法令の記載を探すことは出来ませんでした。ただ、記事でも触れられていますが、書くと余計な混乱を招きかねない可能性もあると思います。信託契約書をどこかに隠しているのではないか、知らない間に変更されているのではないか、など余計な印象を親族をはじめとした第三者に与えてしまうのではないかと思います。すると不動産登記法の目的は果たせなくなります。このような記録から訴訟等が増えたり登記官への問い合わせが増えたりすると、引用のように、近い将来認められなく可能性はあるのではないかと考えます。

法定終了事由は、信託法に規定されている周知の事項であることから、ことさら、「信託の終了の事由(10号)」として登記をする必要性はないと考えています。

 登記申請を行う側からは、とても良い判断をいただいたと思います。全ての法定終了事由に関しては、登記を記録しなくても信託の終了の登記と附随する登記申請を行うことが出来るようになります。また、認めないではなく必要性はないという判断なので、依頼者が忘れないように、安心できるように記録しておくことは認められます。自由度の高い設計が可能となります。

用語の定義や信託不動産目録等が、当然のように登記されています。

 初めて知りました。用語の定義については、どのような記録の仕方なのか分かりませんが、気を付けたいところです。信託不動産目録については、どうにかして同一の信託行為にかかる不動産(例えば土地とその上の建物など。)は、登記記録で管理したい、というのは、私もやったことはありませんが思います。難しいところですが、現状は登記申請を行う側で受付番号と信託目録番号で管理していくしかないのかなと感じます。イメージとしては共同担保目録ではなく株主名簿です。

受益権者甲某に相続が開始したからといって、相続を原因としてその他の信託の条項の内容が直ちに変更される性質のものではなく、信託当事者による信託契約の内容が変更されてはじめて、変更の登記の可否が問題になると考えられます。

 記事に記載の通り、その他の信託の条項の内容が自動的に変更されることはありません。私は、「信託契約の内容が変更されてはじめて」という部分が分かりませんでした。信託契約書の内容によりますが、契約内容を変更しなくても、信託契約書と変更の事実を証する情報を提供し、登記申請においてその他の信託の条項の変更を行えば、信託契約の内容の変更は必要がないと考えます。なお、受益権持分(割合)については以前記事で書いた通り私は利用できないと考えるので使いません。


[1] 712号 2021.3 きんざい P14~

[2] 法令用語研究会編「法律用語辞典第4版」2012有斐閣

[3] 七戸克彦監修「条解不動産登記法」2013弘文堂P62~P84

[4] (一社)民事信託推進センター編集協力「民事信託実務ハンドブック」2016日本法令P185~P186。遠藤英嗣「家族信託契約」平成29年日本加除出版P171~P172など。

「空き家所有者不明土地問題関連研修会」

参考

限界ニュータウン探訪記

https://urbansprawl.net/archives/%e6%89%80%e6%9c%89%e8%80%85%e4%b8%8d%e6%98%8e%e5%9c%9f%e5%9c%b0%e7%89%b9%e6%8e%aa%e6%b3%95.html?s=09

講 師:上原浩一空き家所有者不明土地対策特別委員、渡口慎也委員

 去った大戦で登記簿等が焼失している。戦後の所有権の申告手続きで、登記簿は作成されたが、所有権の申告されない土地があった。その後、地積調査が行われ新たな所有者不明地が発覚した。墓地について所在地の市町村は所有者が現れるまで管理することになっている。大戦前の所有権を有する文書等の証拠が無いに等しい。墓地の上にはお墓があり、中には遺骨がある。墓地の所有者やその承継人が長年の間、墓地として利用している。登記簿には、地主不明または管理者として市町村が登記簿に登載されている。管理者である市町村は、管理解除の判断に困っている。

訴訟で解決を図る場合

・不動産登記法 74条 1項 2号

所有権を有することが確定判決によつて確認された者

・参考

不動産登記法(所有権の保存の登記)

第七十四条 所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない。

二 所有権を有することが確定判決によって確認された者

・土地 (墓地)所有権確認の訴え

戦争前より所有権を有していた。戦前の資料がない。立証は、不可能に近い。

・参考 要件事実

原告が所有権を有すること

確認の利益を基礎付ける事実(買った、など)

・民法 162条 1項の取得時効の主張

占有の開始時と今現在の占有の証明

・参考

民法(所有権の取得時効)

第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。

1.終戦直後の土地所有権認定作業について

・1945年に発布した「ニミッツ布告」。・・・日本の行政権の停止。

・1946年「土地所有権関係資料蒐集」を発布 (米国海軍軍政本部指令第121号)

・・・沖縄県の土地台帳類は、宮古・八重山地域を除き、戦争により焼失したため、米軍が約5年の歳月をかけて土地所有権認定事業を行い、土地所有権の認定証明や登記をすすめた。

参考 

福地 洋子「USCAR法務局琉球財産管理課文書の活用」

沖縄県公文書館研究紀要 第22号 2020年3月

https://www.archives.pref.okinawa.jp/wp-content/uploads/9ee45a3dde4dd45964d88a5bb0f60c70.pdf

・各市町村の各宇に字土地所有権委員会が設置・・・土地所有権関係資料蒐集に基づいて沖縄本島及びその周辺の市町村長は各字に10名の土地所有権委員を任命し、すべての土地所有権に関して調査を行う権限が与えられた。私有地の所有者は、隣接土地所有者2人の保証人の連署を添えて土地所有権申請書を土地所有権委員会に提出し、同委員会はこれに基づいて土地の調査測量を行い、土地を表示した地図を作製し土地所有権申請書を添えて市町村長に報告した。

・各市町村土地所有権委員会を設置・・・5名の市町村土地所有権委員を市町村長が任命し公有地や所有者の判明しない土地(未確定土地)について調査し、その結果を市町村長に報告。

→沖縄諮詢会 (琉球政府の前身)に報告。

・1950年には「土地所有権確定証明中央委員会」が設置、30日間一般の縦覧に供し、異議のない土地につき、1951年 4月 1日 付で各市町村長よりー斉に土地所有権証明書を交付。

・市町村長は、土地所有権証明書を交付、通知用謄本 3通 を作成し、税務署、土地中央事務所、登記所に送付。

・沖縄に登記所がなかつたので、 1951年特別布告によつて同年 7月 1日から登記所が再開、沖縄の登記簿が回復。

参考

米国民政府布告/Civil Administration Proclamation 1950年~1957年 第001号~第039号http://www2.archives.pref.okinawa.jp/opa/OPA600_RESULT_BUNSYO.aspx?cont_cd=A000007665&src_keyword=RDAP000033&keyword_hit=RDAP000033

・滅失登記簿の回復が、旧不動産登記法23条の規定違反。

・復帰特別措置法第 15条 2項により、法令の相当規定による登記簿とみなされ、復帰前登記簿と復帰後の登記簿の法的牽連は確保されており、現在の登記簿の法的有効性が確保。

第 15条 (登記簿及び登記簿に関する経過措置)

沖縄法令によりした登記は、別段の定めある場合を除き、本土法令の相当規定による登記簿とみなす。

2 沖縄法令の規定による登記簿は、別段の定めある場合を除き、本土法令の相当規定による登記簿とみなす。

所有者不明土地

所有者不明土地とは、次のように解することができる。

・戦後の所有権認定作業の際に、私有地であるにもかかわらず申告がなかったために管理地となつた土地で、誰が所有者であるか分からない土地

・戦後の所有権認定作業における測量手続等の不備を補うためになされた地籍調査により新たに発生した私有地で、誰が所有者であるか分からない土地

所有者不明地が存在する理由

これらの所有者不明地が発生した事実上の原因。

・沖縄県外に居住していたため、所有権申請がなされなかった。

・支障を感じていないので所有権の申請がされなかつた。

・一家全減のため。

・戦争で両親が死亡したため、幼年者のみが生き残り。

・所有権証明書の交付は受けたが、登記所で登記手続きをしなかった。

・琉球政府が行つた土地調査の際に、登録地成とされた場合(とうろくちなりと読むようです。初めて知りました。参考 土地台帳法18条https://www.digital.archives.go.jp/das/image/F0000000000000044587)。)。

・無主の不動産であるため所有権申請が為されなかった場合。

・現地に居住していたが、戦争で土地の地形の変化等で事実上の自己の土地として確認できないため、所有権の申請がなされなかった場合。

所有者不明地の管理者

所有者不明地についての管理についての法的根拠

所有者不明地の管理者は、土地の存在する長 (特別布告第 36号第8条)

http://www2.archives.pref.okinawa.jp/opa/OPA600_RESULT_BUNSYO.aspx?cont_cd=A000007665&src_keyword=RDAP000033&keyword_hit=RDAP000033

琉球政府と市町村とが管理 (布告第 16号第3条)

「沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律」)第 62条により、当分の間、従前の例に準じ、沖縄県または当該所有者不明土地の所在する市町村が管理。この布告 16号第 3条により、所有者不明土地のうち、墓地・社寺用敷地・霊地・聖地については、その土地の存在する市町村が管理することになっている。それ以外は、沖縄県が管理することになっている。

民法上の不在者財産管理人

 管理権限としては、権限の定めなき管理人として民法 103条により、保存行為に限られることになり、管理義務としては、他人の財産を管理するのであるから、善管注意義務を負う。管理者である県及び市町村の所有権確認訴訟における当事者適格は、民法103条の保存行為 (財産の現状を維持する)であることから導かれる。

.管理解除

 管理者 (行政)の立場から真実の所有者に返還する。管理を解除すること。管理解除が成立した場合には、表題部所有者表示更正登記をなし不動産登記法 74条 1項の手続きにより所有権保存登記を申請する。

図表等の出典

内閣府  沖縄県における所有者不明土地に起因する問題の解決に向けた調査

令和元年度報告書

平成30年度報告書(PDF形式:3,617KB)

https://www8.cao.go.jp/okinawa/9/kyougikai/humeitochi/humeitochi.html

 全国的には、相続未登記や通常と違う登記がされていて現在の所有者に連絡が出来ない(現在の所有者を特定出来ない)。沖縄県では、戦争の影響で戸籍、土地関係記録の焼失などにより、現在の所有者に連絡が出来ない(現在の所有者を特定出来ない)。戦後70年を超えて、全国と同じ不動産登記制度である限り、相続未登記の不動産も増える可能性がある。

・平成30年度

私は墓地と公共(地方公共団体)の項目が気になりました。

・令和元年度

A類型は管理の解除につながる可能性が高いと考えられるもの

B類型は現状において所有者不明土地を利用・占有している人、法人等が存在する 又は把握される。

C類型は、B類型の人、法人等が存在しないまたは把握が困難な土地(C類型は掲載されていません。)。諦める、後から手を付ける、立法に任せる、という意味でしょうか。

歴史

県管理地のみの数字なので、市町村、民間を合わせると増えます。

面積にすると1K㎡ない、というのは意外でした。もっと大きいのではないでしょうか。

登記簿(登記記録)が天災などで失くなった場合の処理方法。

墓地及埋葬取締規則(明治17年太政管布告25号)

私は初めてしりましたが、太政管は、「だじょうかん」と読むようです。

明治太政官制成立過程に関する研究 2田  村  安  興 

https://core.ac.uk/download/pdf/70356113.pdf

墓地及埋葬取締規則を廃止し、下の規則制定(上位規範の墓地埋葬法は墓地、埋葬等に関する法律。)。

寺院墓地の整理・再利用と墓地使用権

竹内 康博(愛媛大学法文学部)

http://religiouslaw.org/cgi/search/pdf/201002.pdf

墓地、埋葬等に関する法律施行規則(昭和23年7月13日厚生省令第24号)

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei16/

不明地から管理者の名義へ

沖縄の復帰に伴う民事行政事務の取扱いについて

昭和47年5月15日民事甲第1783号那覇地方法務局長あて民事局長通達

不動産登記関係

9 市町村非細分土地登記簿及び所有者不明土地登記簿は、政令第15条第2項の適用を受けるものではないが当分の間各登記所において保存するものとする。なお、附属書類についても同様とする。

(沖縄登記関係法令集 平成4年12月 那覇地方法務局P193)

市町村非細分土地について

不明地には言及されていないが、出来ないとは決まっていない。

沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律(昭和四十六年法律第百二十九号)

施行日: 令和二年十二月一日(平成三十年法律第九十五号による改正)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=346AC0000000129

(所有者不明土地の管理)

第六十二条 沖縄法令の規定による所有者不明土地で、この法律の施行の際琉球政府又は沖縄の市町村が管理しているものは、当分の間、従前の例に準じ、沖縄県又は当該所有者不明土地の所在する市町村が管理するものとする。

以前

日司連公的個人認証有効性確認システムを使ってみました。

PDF文書に、Acrobat DC / Acrobat Reader DCを利用してマイナンバーカードで電子署名をしてみました。

2021年(令和03年)02月15日、日司連公的個人認証有効確認システムが構築されたようなので、試しに利用してみました。

下の事が出来るようです。

・司法書士が依頼者のマイナンバーカードの有効性を確認できる。

・登記申請の際の添付情報等に付された電子証明書が,依頼者のマイナンバーカードの電子証明書と一致しているか即時に司法書士が確認できる。

ログイン画面

https://www.nkys.nisshiren.jp/

まずは、個人会員ログインをしてみます。

・個人会員ログインをクリック

・ID・初期パスワード・メールアドレスを登録すると、次のメールが送られてきます。

・「こちらからアクセスしてください」をクリックして、パスワードを自身で再設定。

・「暗証番号を送信」をクリック。

・暗証番号を入力してログイン。

・マイナンバーカードの有効性確認と、情報に付された電子証明書が,マイナンバーカードの電子証明書と一致しているか確認出来る画面に切り替わりました。

一旦、日司連公的個人認証有効性確認システムの画面に戻って、スマートフォンからマイナンバーカードの電子証明書を読み取ります。

・QRコードを読み込みます。

・スマートフォンアプリケーションが表示されたので、マイナンバーカードの読み取りをします。

ここで私が何度も間違ったこと。マイナンバーカードをアプリケーションに認識させた後、署名用パスワードを入力するのですが、3回も4回も「PINコードが違います」のエラー表示が出てきます。ヘルプデスクに問い合わせました。

最初は、アプリケーションを再インストール(削除して,再度入れなおす)すると改善する可能性があります。とのメールが届きました。

 アプリケーションを再インストールしても、「PINコードが違います」のエラー表示が出てきます。そこでヘルプデスクさんが教えてくれたのが、総務省のページです。

「パスワード入力から読み取り完了までスマートフォンとマイナンバーカードをピッタリあて続けてください」。これをしていなかったのです。私は、スマートフォンがマイナンバーカードを認識した後、マイナンバーカードを外して署名用パスワードを入力していました。「ピッタリ」あて続けた結果、読み取りが完了しました。

マイナンバーカードの有効性を確認してみます。

次は、PDFファイルの文書に、マイナンバーカードを利用してPDF文書に、Acrobat DC / Acrobat Reader DCを利用してマイナンバーカードで電子署名をしてみます。

参考

PDF ファイルで電子署名を利用する方法

https://helpx.adobe.com/jp/acrobat/kb/cq07131410.html

・ファイル/その他の形式で保存/証明済み PDF を選択。

・ツール/証明書/電子署名 を選択。

・署名フィールドをクリック。

・署名に使用するデジタル ID の設定

・署名のプロパティを表示。

公的個人認証サービス  ポータルサイト

署名用認証局の運営に関する情報

https://www.jpki.go.jp/ca/ca_rules3.html

会報信託「信託経済カンファレンス」

 会報「信託」[1]の記事からです。翁百合「コロナ後の日本社会の課題―選択する未来2.0を踏まえて―」。

選択する未来 2.0中間報告 2020 年7月1日 内閣府

https://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/future2/chuukan.pdf

選択する未来2.0 翁座長報告資料

https://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/future2/purezen.pdf

内閣府アンケート調査結果

・家族の重要性を意識するようになった人たちが約半分を占めた。

・20歳代の東京23区に住んでいる人の35.4%の人々については、地方移住への関心が高まっている。

・テレワーク実施率約34%。

・60歳以上のビデオ通話の利用希望・・・約6割が今後も利用したい。

・日本の行政手続きのオンライン利用率7.3%・・・OECD諸国中30位。

提言

・無形資産への投資拡大が必要

・働き方

・経済

・地方活性化

 この記事でいう無形資産というのは、企業にとって、将来の利益を生む現在の労働力・資本・現在の利益のことのようです。

その他のデータ

・非正規雇用では、何年働いても年収300万円を超えるのは難しい。

・労働の質の上昇の要因が近年、非常に少なくなっている?

・女性の非正規雇用率が一番高いのが20代。

・生産性の高い中小企業が退出し、低い中小企業が残ってしまっている。?

提言

・知育アプリ等のコンテンツの充実

・STEM人材の女性比率を上げる。→STEAM人材?

・企業の付加価値生産性を上げていく。

・コーポレートガバナンス改革。

・AIアクティブ・プレイヤー?の割合を上げる。

・地方大学の活性化。

・都市と地方の2地域就労。

・シングルマザー等に対する所得再分配機能を提供。

STEM人材、STEM教育というのは、STEAM教育などと変化があるようです。AIアクティブプレイヤ―、というのは、「一部の業務をAIに置き換えている」または「一部の業務でAIのパイロット運用を行っている」のいずれかに該当し、かつ自社のAI導入を「概ね成功している」と評価した企業、のことで人ではないようです。

参考 総務省HP 

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd112220.html

信託の活用試案

・離職する従業員に、株式を割り当てる(委託者企業(または従業員)、受託者信託銀行、受益者離職従業員)。

・受託者が提供するセキュリティトークン?の基盤を利用して、非上場企業にも社外に出る旧従業員への受益権発行を可能にして、無形資産(将来の利益)の共有と雇用の分離を実現。

 この信託の形は、信託銀行が受託者であることが前提です。非上場企業といっても、ある程度の規模、歴史がある企業(中堅企業)を想定していると思います。私は、信託銀行に管理費用を年間1千万円支払うことが出来る企業だと思います。 中間報告を読んでみると、抽象的な表現が多いという印象を受けました。南場 智子 株式会社ディー・エヌ・エー代表取締役会長、松尾 豊 東京大学大学院工学系研究科教授などが委員を務めています。最終報告では、具体的な数字が出てくるのではないかと思います。

宮川努「生産性から見た日本経済」

・就業者1人当たりのGDPは、30年以上世界20位前後で推移している。

・建設業、製造業、情報通信業など垂直的な取引が多い産業は、大企業と中小企業で大きな格差がある。情報通信業については、失くすべき。

・複数生産性(財の入れ替え)・・・例:富士フィルム

・2019年のデジタル競争力は23位(世界経営開発研究所)。

・生産性向上と研究開発費、IT投資

・この記事での無形資産投資は、人材投資、組織改革。

・PCR検査数と生産性

 就業者1人当たりのGDPを計算して数字として把握しておくのは良いと思うのですが、何の基準になるのか、良く分かりませんでした。この記事の中で富士フィルムに関しては納得できましたが、他については視点が大き過ぎて、私の周りでご飯を配っている人の方が凄いんじゃないか、あの人の生産性はどのくらいで計算されるのか、10億円くらいはいくのではないか、と想像します。PCR検査数で生産性を計るのは、少し違うと感じます。保健師1人当たりのPCR検査数をどれだけ上げるか、という生産性の問題に置き換えて考えることができる、とありますが置き換えることは出来ないと考えます。保健所の他の業務、政策、感染状況、地理的要因、各都道府県での保健所と医療、行政との関係など、様々な要素がある中で生産性が用いられることは、あまり意味を持たないのではないかと考えます。

 信託に関する記載を探すことは出来ませんでした。

平田卓也「中小企業の事業承継を巡る状況について」

・承継準備

・親族内承継と親族外承継

・承継後の後押し(事業承継補助金・事業承継税制)

・事業承継ネットワーク(事業引継ぎ支援センターなど、売上高で分けて小規模企業)。民間M&A業者との連携構築。

・事業承継税制の要件緩和・・・法人版については、緩和前の10年間の適用件数に対して、緩和後3年間で3倍の申請件数。

・中小企業M&Aガイドライン 2020/3/31

https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200331001/20200331001.html

・中小企業経営力強化支援ファンド

・承継実証トライアル事業

 事業承継の話は、私が司法書士になった2007年からずっと聞かされてきました。中小の企業にとっては、事情が千差万別なのでそれぞれの経営者の考え方で良いのかなと思います。事業を誰にも引き継がず廃業を選択する方もいますが、話を聞いているとなるほど、と思うことが多いです。法人版事業承継税制は、適用件数と申請件数なので一概に比較は出来ないけれど、結果が出ている、といえると思います。税制ありきではないですが、承継直後は大変なことも多そうなので、適切な補助は必要なのかなと感じます。特に町の風景の一部になっているような企業、銭湯のような許認可の問題がある企業は、事業が無くなる以上の損失があるのかなと考えます。

 中小企業庁からも信託の話は出てきませんでした。

児島哲郎「With/Afterコロナ時代の事業承継と信託」

・事業承継が進まない一番の原因は経営承継。

・財産の問題(主に自社株評価)

・コロナ後は事業承継についての関心が高くなった。する/しないを含めて。

・所属のみずほグループ全体で支援

・事業承継信託・・・株価が安くなったコロナ禍のうちに。指図権付。生前贈与タイプと遺言代用タイプがある。

・特別目的会社(SPC)と黄金株を利用した事業承継。

・M&A仲介と信託(株式を売却した代金について、一定金額を一定期間に分けて交付)を利用した事業承継。

 経営承継、コロナ禍、グループ全体で、の部分はそうなんだろうなと思います。自社株の評価額については、高いなーと思うことも多いです。信託銀行が受託者になる事業承継信託については、私には規模が大きくついていけません。

参考:みずほ信託銀行自社株承継サービス【遺言代用タイプ・生前贈与タイプ】

 設定時信託報酬…550,000円(税抜500,000円)~

 税務上のお取扱については、今後税制が変更された場合に取扱自体が変わる可能性があります。みずほ信託銀行はお客さまに対して税務上の取扱を保証するものではありません。税務上のお取扱については、事前に顧問税理士・所轄税務署等にご確認ください。

https://www.mizuho-tb.co.jp/souzoku/jigyoushoukei.html

 特別目的会社(SPC)と黄金株を利用した事業承継は、金融機関の協力なくして出来ないことなので、みずほグループとしての強みが活かされるのだろうと思います。

柳川範之、吉野直行「アフターコロナ時代に企業に求められるもの」

柳川範之

・デジタル化と生産性はリンク。

・社会コストをなるべくかけずに、産業転換(企業の入れ替わりを含む。)が必要。

・その役割としての信託・金融機関。

・子育てをしながら仕事ができる。?

・他の仕事も一緒にできる?

・事業承継の後継者も場所を問わない?

・働く場所を問わなくなったことはチャンス?あまり活躍場所のない都市部の大企業で働いている人材は圧倒的に多いので、地方の企業で活躍してもらう?

・金融機関による斡旋。

・経営は組織の改革。

・事業承継時のお金(業種転換、相続)について信託の利用が有効。

 難しかったです。デジタル化と生産性はある程度リンクしていると思います。効率化を除けば、まだ伸びる余地はあると思いますが、私にはその方法が未だ分かりません。社会コストをなるべくかけずに、産業転換(企業の入れ替わりを含む。)が必要で、その役割としての信託・金融機関があるというのは、ある程度納得感があります。

 子育てをしながら仕事ができる?。実際にやっているのかな、という感想を持ちました。出来るのですが、それが仕事に良い影響を与えるかは各家庭違うとおもいますし、私は負担が大きかったです。他の仕事も一緒にできる?。通勤時間に充てていた時間を、という意味だと思います。確かにそのような面もあると思いますが、業種は限られます。

 事業承継の後継者も場所を問わない?東京に居ても地方の企業経営が出来るか、といっても各企業によって違うと思いますし、地方の企業経営ってそんな感覚で出来るんだっけ?と感じます。働く場所を問わなくなったことはチャンス?あまり活躍場所のない都市部の大企業で働いている人材は圧倒的に多いので、地方の企業で活躍してもらう?本当にそうなんでしょうか。都市の大企業に勤めていると、地方の企業で活躍出来るのでしょうか。金融機関による斡旋は、あり得る、というかもうやっていると思います。

参考

金融仲介機能の発揮に向けたプログレスレポート

令和2年 10 月 金融庁

https://www.fsa.go.jp/news/r2/ginkou/20201014-1/01.pdf

吉野直行

・米国(レバレッジ・バイアウト、プライベート・エクイティ・ファンド)との比較。M&Aとは違う。

・日本にも米国のように活発になるのが良い。

・中小企業の技能を伝えていくデジタル。

・デジタル教育。

・中小企業のお金に関して、信託銀行は応援できる(出資、融資)。

・人材の信託、商談会の信託(情報の信託)。

・土地の所有権と使用権を分離する信託→道路整備など。

 米国の事例は、東京のスタートアップと呼ばれるような企業(沖縄にもあります。)の一部が目指しているような形だと思います。第〇シードとかいうやつでしょうか。中小企業の技能を伝えていくデジタル、デジタル教育については、記載の通り大切だと思います。ここで記載されている中小企業に関しては、信託銀行が選ぶような中小企業、という意味だと思います。私が関わっている信託とは別のものだと考えています。人材の信託に関して興味はありませんが、商談会の信託については、どのような仕組みにするのか興味があり可能であればやってみたいと思います。所有権と使用(利用)権の分離は、信託の基本です。


[1] 2021年季刊第1号(一社)信託協会

隂山克典「司法書士実務における電子署名の留意点」

 月報司法書士[1]の記事からです。電子化の流れに付いていけるように、考えてみたいと思います。

電子署名の類型

当事者署名型電子署名

 「当事者署名型」がマイナンバーカードや電子ファイルを利用して署名するもの、ということは知っていましたが、何で当事者署名型、と呼ばれているのでしょうか。法令では、当事者署名型という用語を探すことは出来ませんでした。いつから使われるようになったのかも私には探すことが出来ませんでした。おそらく事業者署名型電子署名のサービスが登場するときに当事者署名型電子署名という用語が作られたのではないでしょうか。

下の法令を読むと、当事者署名型電子署名が原則だと考えられます。

・電子署名をする人(個人、法人の代表者)がいる。

・電子署名をした情報については、変更できないように設定され、それが確認出来るようになっていること。

電子署名及び認証業務に関する法律

(定義)

第二条 この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。

一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。

二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。

電子署名及び認証業務に関する法律施行規則

(利用者の真偽の確認の方法)

第五条 法第六条第一項第二号の主務省令で定める方法は、次に掲げる方法とする。

一 認証業務の利用の申込みをする者(以下「利用申込者」という。)に対し、住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)第十二条第一項に規定する住民票の写し若しくは住民票記載事項証明書、戸籍の謄本若しくは抄本(現住所の記載がある証明書の提示又は提出を求める場合に限る。)若しくは領事官(領事官の職務を行う大使館若しくは公使館の長又はその事務を代理する者を含む。)の在留証明又はこれらに準ずるものとして主務大臣が告示で定める書類の提出を求め、かつ、次に掲げる方法のうちいずれか一以上のものにより、当該利用申込者の真偽の確認を行う方法。ただし、認証業務の利用の申込み又はハに規定する申込みの事実の有無を照会する文書の受取りを代理人が行うことを認めた認証業務を実施する場合においては、当該代理人に対し、その権限を証する利用申込者本人の署名及び押印(押印した印鑑に係る印鑑登録証明書が添付されている場合に限る。)がある委任状(利用申込者本人が国外に居住する場合においては、これに準ずるもの)の提出を求め、かつ、次に掲げる方法のうちいずれか一以上のものにより、当該代理人の真偽の確認を行うものとする。

参考

・本人確認の意味とリスクの高低による本人確認方法。身元確認と当人認証の違い。司法書士にとって、リスクが低いのは金融機関が設定した担保権の抹消登記申請の業務などでしょうか。一部業務を除くと、司法書士が行う業務は全てリスクが高いと考えられます。

オンラインサービスにおける身元確認手法の整理に関する検討報告書(概要版)

2020年4月17日

https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200417002/20200417002.html

事業者署名型電子署名

まずは、2020年に公表されたQ&Aです。

利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法2条1項に関するQ&A)

令和2年7月 17 日

総務省 法務省 経済産業省

https://www.meti.go.jp/covid-19/denshishomei_qa.html

https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/denshishomei_qa.pdf

利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法3条に関するQ&A)

令和2年9月4日

総務省  法務省  経済産業省

https://www.meti.go.jp/covid-19/denshishomei3_qa.html

 私がよく聞くのは、クラウド型電子署名です。要件の一つとして、サービス提供事業者の意思が介在する余地がなく、利用者の意思のみに基づいて機械的に暗号化されたもの、があります。立会人として電子情報の存在を確認した、というのは意思の介在が観念できるか、という問いが立てられています。事業者は電子情報(と電子署名)の存在を確認しないと仕事が完成しないので、その過程を意思の介在と捉えられると、事業者署名型電子署名という業務は成立しないのかなと感じます。Q&Aにも、「電子文書について行われた当該措置が利用者の意思に基づいていることが明らかになる場合には、これらを全体として1つの措置と捉え直すことにより」と記載されており、利用者の意思のみにより事業者によって電子署名が行われれば、これらの過程を1つの措置として捉え直すとされています。

参考

オンラインによる本人確認

平成30年改正犯罪収益移転防止法施行規則(平成30年11月30日公布)に関する資料

https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/hourei/law_com_24.htm

電子署名の検証

司法書士が依頼者の電子署名の検証を行う場合・・・日司連公的個人認証有効性確認システム

https://www.nkys.nisshiren.jp/login/individual

本人性の確認・・・電子署名が付与されたとき、付与された情報を受け取ったときに検証。

・電子証明書の発行主体が正当な認証局

・有効期間が切れていない

・失効していない

署名値の検証

・「【氏名】によって押印されました」

・署名パネルの表示確認

電子署名の有効性検証の継続

 たとえば、電子署名が付与された情報を受け取って登記申請までに期間がある場合。

電子契約システム活用の際の留意点は、私が気付かないことばかりでした。

長期署名対応、認定タイムスタンプ局、アーカイブスタンプ、種類の違う電子署名付与の順序、国際規格への対応などです。


[1] 2021.2 №588 P38~

司法書士のオシゴト

不動産登記の完全オンライン申請に挑戦! その1

https://blog.goo.ne.jp/chararineko/e/cbecda46190f65d4b0795ef0a476a4e5

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