取締役1人の特例有限会社が、株主総会で新たな人を代表取締役たる取締役に選任

・取締役1人の特例有限会社が、株主総会で新たな人を代表取締役たる取締役に選任。

・現任の取締役は代表権を有しない取締役とする。

・定款には「当会社に取締役が2人以上いるときは、取締役の互選によって代表取締役を定めるものとする」とあるる。

臨時株主総会議事録

Minutes of Extraordinary General Meeting of Shareholders.

1.日  時:【総会開催日】【総会開催時刻】

1.Date and Time: [Date of General Meeting] [Time of General Meeting].

2.場  所:【本店所在場所】当会社本店会議室

2.Place: [Location of the head office] Conference room at the head office of the Company.

3.出 席 者:発行済株式の総数          

3.Attendees: Total number of shares issued. 

【発行済株式数】株

Number of shares issued: shares.

この議決権を有する総株主数 

Total number of shareholders holding these voting rights.

【株主総数】名

Total number of shareholders.

この議決権の総数

Total number of voting rights.

【総株主の議決権数】個

Number of voting rights held by all shareholders.

本日出席株主数(委任状出席を含む)

Number of shareholders attending the meeting today (including those attending by proxy).

【出席株主数】名

Total number of shareholders present.

この議決権の個数

Number of voting rights.

【出席株主の議決権数】個

Number of voting rights of shareholders present at the meeting.

4.議  長:取締役 【現在の取締役・氏名】

4.Number of voting rights of shareholders present at the meeting.

5.出席役員:取締役 【現在の取締役・氏名】

5.Attending officers: Directors [Current directors and names].

取締役候補者 【新・代表取締役・氏名】

Candidate for Director [New Representative Director, Name].

6.会議の目的事項並びに議事の経過の要領及び結果:

6,Purpose of the meeting and outline of the proceedings and results.

 議長は上記のとおり定足数に足る株主の出席があったので、本総会は適法に成立した旨を述べ、議案の審議に入った。

The Chairperson of the meeting stated that this General Meeting of Shareholders was legally convened since there were enough shareholders present to constitute a quorum as stated above, and then proceeded to deliberate on the agenda.

第1号議案 定款一部変更の件

Proposition No. 1: Partial amendment to the Articles of Incorporation.

 議長は、当会社の定款第○条「当会社に取締役が2人以上いるときは、取締役の互選によって代表取締役を定めるものとする」を「当会社の代表取締役は、株主総会によって定める」に変更したい旨を述べ、その理由を詳細に説明した。  議長がその賛否を議場に諮ったところ、満場一致をもってこれに賛成した。よって、議長は、定款は議長提案どおり変更された旨を宣した。

The Chair stated that he wished to change Article XX of the Company’s Articles of Incorporation, “If the Company has two or more Directors, a Representative Director shall be determined by mutual election of the Directors,” to “The Representative Director of the Company shall be determined by a General Meeting of Shareholders,” and explained the reasons in detail.The Chair asked the floor for their approval or disapproval, and the vote was unanimous in favor of the change.

Therefore, the Chair declared that the Articles of Incorporation had been amended as proposed by the Chair.

Translated with www.DeepL.com/Translator (free version).

第2号議案 代表取締役たる取締役選任の件

Proposal No. 2: Election of Directors as Representative Directors.

 議長は、前号議案の可決を受けて、当会社の代表取締役たる取締役として下記の者を選任し、従前の代表取締役たる取締役【取締役A・氏名】は、以後、代表権を有しないことにしたい旨を述べ、その選任をはかったところ、満場一致をもってこれに賛成し、次のとおり選任した。

The Chairman stated that, in response to the approval of the previous proposition, he would like to elect the following person as a Director to represent the Company, and that the former Representative Director [Director A, name] shall no longer have the right of representation.

The vote was unanimously in favor of the proposal and the following election was made.

【新・代表取締役・住所】

New Representative Director, Address.

代表取締役たる取締役 【新・代表取締役・氏名】

Director who is a representative director [New representative director, name].

  なお、被選任者は、席上直ちにその就任を承諾した。

The appointee immediately accepted the appointment at the meeting.

7.閉  会:議長は【総会閉会時刻】閉会を宣言した。

7. Closing: The Chair declared the meeting closed at the closing time of the General Meeting.

 以上、本議事録を作成し、議事録作成者及び就任承諾を明らかにするため新代表取締役が次に記名押印する。

The minutes of the meeting are hereby prepared, and the name and seal of the person who prepared the minutes and the new Representative Director are hereby affixed to the minutes to indicate his acceptance of office.

【総会開催日】

[Date of General Meeting]

【商号】臨時株主総会

[Name of the company] Extraordinary General Meeting of Shareholders.

議事録作成者 【取締役A・氏名】     (会社届出印)

Preparer of the minutes [Name of director] (Company registered seal)

新代表取締役 【新・代表取締役B・氏名】 (個人実印)

New representative director [Name of new representative director] (Personal seal).

登記される事項

「役員に関する事項」

「資格」取締役

「住所」【新・取締役・住所】

「氏名」【新・取締役・氏名】

「原因年月日」【就任日付】就任

「役員に関する事項」

「資格」代表取締役

「氏名」【新・代表取締役・氏名】

「原因年月日」【就任日付】就任

Matters to be registered.

“Officer Matters.

“Qualifications” Director.

“Address” [New director’s address].

“Name” [New Director, Name.

Date of Cause” [Date of Assumption] Assumption.

“Matters Relating to Officers.

Representative Director.

Name of new representative director.

Name: Representative Director “Date of cause” [Date of appointment].

遺言者が亡くなったことをどうやって知るか

あるメールマガジンの記事です。

■■ 「キケンを察知」は、法律も同じ

遺言や信託、任意後見は、事前対策。

「このまま行くと、キケンかもしれないからこのような対策をしておきましょう!」と提案しますよね。

自動車保険や、火災保険も同じですよね。

事前対策をしておけば、認知症になったとき、相続のとき、すごいパワーを発揮しますよね。

認知症対策は、もしかしたら不要になるかもしれませんが、相続は100%起こります。事前対策としては必要度が高いと言えると思います。

遺言を作成する場合、専門家が遺言執行者になることもありますよね。

■■ 遺言執行者になるケース

相続人が遺言執行をしづらいときですよね。具体的には、銀行の解約して、お金を渡すことでしょう。相続登記はオンラインでできますので、近くの司法書士に頼めばできます。

分解するとこの2つ。

1.現地での作業が難しい

2.お金を渡すことが難しい

つまり

1.のケースは

・相続人がみんな遠隔地にいる

・近くにいても相続人の体が弱い(認知症)

2.のケースは

・相続人間で仲違いをしている

・前妻(前夫)との間に子がいる

などがあります。

このようなケースは、遺言執行者になることを提案してみてくださいね。きっと喜ばれます。

■■ 遺言執行の実務の進め方

そして、遺言執行の実務ですよね。

書籍を見れば、執行の段取りや、様々な書式が出てきます。

1,2冊あれば十分でしょう。

研修会も多数開催されているので、みなさんも1度や2度はそのような研修会を受けたことがあると思います。

■■ 実務で見落とされがちな問題点

さて、ここまで見れば、遺言執行、そんなに困難はないと思います。相続人間でトラブルがあるときの連絡くらいでしょうか。

でも、1点、見落とされがちなことがあります。このメルマガの読者なら、もうわかりますよね。

「どうやって、亡くなったことを知るか」

もう一度いいますよ。

「どうやって、遺言者が亡くなったことを知るか」

です。

遺言のことを知っている相続人とつながっていればもちろん問題ないでしょう。

ただ

・遺言者が遺言のことを家族に話していない

・唯一の相続人が認知症や知的障がい、小さい子供

・遺言者の相続人や施設と連絡を取り合っていない

つまり、遺言者が亡くなっても誰も連絡してくれなそうなとき。どうやって遺言者が亡くなったことを知るのでしょうか?実務では超重要なのに、ほとんどあっさり流される。(苦笑)だって、本を書いた人や研修会の講師も、おそらくこの部分を「仕組」で解決できていないからです。

実際難しいんです。

■■ ある、外資系の保険会社の人のケースです

家族は、母と子の二人だけ。

子には障がいがある。

母は子のために生命保険に加入。

その時、その担当者は母から言われたそうです。

「私が亡くなったことを、御社はどうやって知るのですか?」

ワオ!

まさにそのとおり!

その会社では、1年に一回は、契約者に電話等で連絡して、存命かどうかを確認することになっているそうです。

組織的に対応でき、資金が潤沢な保険会社ですら、このやり方なんですよね。

つまり、マメに連絡するしかない。

■■ 遺言執行者の責任は重い

民法 第899条の2

相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、

次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超える部分については、

登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。

つまり、遺言は、先に登記されると負けます。(第三者に対しては)

実際この条文が適用になることは実務では少ないでしょうが、執行者の責任としては、亡くなったら速やかに遺言執行をしないとまずいですよね。

遺言執行者になるとマメに連絡は、絶対必要です。遺言執行者になる = マメに連絡

■■ でもどうやって?

遺言執行も1,2件くらいだと把握はできます。しかし、5年、10年事務所をやって、遺言執行の案件が10件もあると大変です。遺言の作成も数十件していると、どの人の遺言が執行者になるか訳分からなくなります。

しかも普段忙しくて、本来業務でないことは、おろそかになりがち。

気がついたら、93歳の人の遺言を、8年間放置(現在101歳!)

なんてことも

あ、これ私のことね。(汗)

先日のメルマガでも書きました。気になる人はバックナンバー見れるので探してみてください。(20年11月14日のメルマガ)

そのために作ったのが、「人を大事にするシステム」遺言執行の案件を検索すると、該当する案件が一覧で表示され、遺言のコピーや、連絡すべき人がすぐ確認できます。

その間10秒くらい。

このシステムのおかげで、101歳の方の関係者に、時々連絡を取るのがとても楽になりました。(今もお元気です!)

今はモニターの方に大事システムを使っていただいて、さらにシステムをいいものにしています。春くらいになったらモニターを再募集しますので、気になれば応募してくださいね。

 

■■ ただし、条件が!

システムに入力が大変なので、大変でも入力する意思のある人でも、これって、

お客さんとの打合せのメモや、お客さんの氏名や住所などは何らかの形で、今までも残していたでしょうから、実は作業はあまり増えないんですよね。

 

遺言を含め、財産管理系の業務は、専門家の仕事の仕方を変えるかもしれませんね。やったら終わり、ダメ。

お客さんとマメに連絡することを継続することが、求められるようになってきました。

専門家から連絡を取るという意味では役員変更の時期に法人に連絡するのと同じではないかな、と思いました。私なら火事や脳梗塞などが怖いので見守りサービスなどを外注します。

日本郵便(株)みまもり訪問サービス

[blogcard url=”https://www.post.japanpost.jp/life/mimamori/tel.html”]

[blogcard url=”https://www.post.japanpost.jp/life/mimamori/visit.html”]

セコム(株)親の見守りプラン

[blogcard url=”https://www.secom.co.jp/homesecurity/plan/seniorparents/”]

「信託で円滑な事業承継を実現するために司法書士ができること」他

家族信託実務ガイド[1]の記事からです。

(1)有価証券管理等信託設定契約書の作成

 私はこのような題名の契約書を観る度に感じるのが、「有価証券管理等」という言葉をいれる必要があるのかなということです。この記事では株式会社の株式(評価額は記事では不明)と金銭5000万円が信託財産に属する財産として設定されています。金銭に関して、少ないとはいえない額です。管理等の中に入っていると思いますが、遺言のような承継機能を持った設計になっています。信託契約書に財産の種類や信託事務の態様などを記載してしまうと、違法でなく実務で認められていれば自由に信託設定が出来る財産の幅を狭め、信託設定時に多様な組み合わせが可能な信託事務の幅を狭めてしまわないかなと感じます。

依頼者Mの希望

―中略―

自分が元気なうちは、A社に対する決定権は自分が持っておきたいし、今後も、会社経営が順調な間は、毎年配当金を受け取りたい。

―中略―

議決権行使指図人:M

 任意後見契約の締結は見送ったと記載されていたので、Mの議決権行使の指図権がどのような条件で消滅するのか気になりました。

植野直孝「育てた事業を次世代に遺す実子以外の親族への事業承継」

 上の記事に関して印象に残ったのは、2019年12月に相談を受けて、抹消されていなかった抵当権の抹消登記を済ませ、2020年3月に公証役場で信託契約書を作成したスピード感でした。現在、私は公証役場の予約も半年待ちです。予約前に手遅れになってしまった件もあります。地域性があるのかなと思うと同時に、金融機関などの協力があれば信託契約書を公正証書化しなくても信託口口座を作成できるように実務を組み立てる必要もあるのかなと思いました。その後に受託者と受益者代理人か次順位の受益者でその時の信託契約を確認するため公正証書を作成する、というようなやり方もあるかもしれません。

オリックス銀行(株)吉田紀美子×家族信託実務ガイド編集部

 上の記事では、信託口口座の開設を、非対面(郵送とネット)で可能にしたという箇所です。今後、場所を問わなくなってくるのかなと感じます。

斎藤竜「顧客目線で考える専門家サービスを商品化する方法とは?」

取引先開拓で意識しておくべきは、エンドユーザーと取引先の悩みは違うということです。ここを間違えていると取引先の課題を解決できないばかりか、お客さんを紹介してほしいという、仕事だけを求める下請け的なポジションとなってしまいます。

 私には良く分かりませんでした。取引先には業務支援の顧問型商品、エンドユーザーには課題解決の提案、というような内容のようです。問題解決という範囲では同じなのかなと思いました。事業と家計の違いをいっているのかもしれません。

[1] 2021.2第20号日本法令

「信託契約公正証書作成の留意点」

浅草公証役場公証人 澤野芳夫

 

家族信託実務ガイド[1]の記事からです。

公正証書作成件数推移の概況

以下、日本公証人連合会が正規に公表しているもの以外は概数で表示しています。

―略―

民事信託件数

平成30年1月~6月計 1000件

平成31(令和元)年1月~6月計 1200件

令和2年1月~6月計 1400件

日本公証人連合会が全国の民事信託件数の概数を把握していることに驚きました。

[blogcard url=”http://www.koshonin.gr.jp/news/nikkoren/%e4%bb%a4%e5%92%8c%e5%85%83%e5%b9%b4%ef%bc%88%e5%b9%b3%e6%88%90%ef%bc%93%ef%bc%91%e5%b9%b4%ef%bc%89%e3%81%ae%e9%81%ba%e8%a8%80%e5%85%ac%e6%ad%a3%e8%a8%bc%e6%9b%b8%e4%bd%9c%e6%88%90%e4%bb%b6%e6%95%b0.html”]

私が平成31年に那覇公証センターに照会したときには、そのような調査はしていないという回答だったからです。数字をみると、現実的な数字かなと感じます。遺言公正証書の作成件数と比較すると約2%~3%ですが、決して少なくないという印象を私は持ちました。業界内で大きく取り上げてられている割に少ないというズレも何となく納得です。

信託契約公正証書作成の留意点

―略―

金銭の追加信託についても、例えば「信託口座への入金をもって信託財産の追加とみなす」という文言は、①委託者の意思能力がなくなった場合にも追加信託として認められるかという問題点や、②前記の学説のように追加信託も契約とみると、委託者、受託者の関与がない追加信託を認めて良いかという問題点があるので避けたほうがよいと思われます。

私が考え得る方法

方法1、信託法26条の範囲で、受託者から受益者に信託事務に必要な費用として金銭を信託財産に属する財産として追加してもらう構成にする。

 

方法2、信託法146条を利用して、委託者の地位を追加信託の権限に限定して受益者に移転する。受益者の意思能力がなくなった場合に備えて受益者代理人を選任しておく(または選任できる規定を定めておく。)。不動産の場合、信託法上は有効ですが、不動産登記法の構成上、登記が出来ません。

[blogcard url=”https://miyagi-office.info/%e8%bf%bd%e5%8a%a0%e4%bf%a1%e8%a8%97/”]

(2)委託者の意思確認の重要性

―略―

この関係で、信託契約の中に終了事由として「受益者は、受託者の合意により、本件信託を終了することができる」との条項(以下、「本件条項」という)があった場合、それが上記別段の定めにあたるとして、委託者兼受益者が信託を終了するには、受託者との合意を要すると解される余地があるので注意を要します。(東京地裁平成30年10月23日判決金融法務事情2122号85頁参照)。本件条項は上記別段の定めにあたり、委託者兼受益者が信託を終了させるには、受託者との合意が必要となると解さざるを得ないと思いますが、そうすると、遺言では、遺言者の最終意思を尊重するということで撤回が自由とされている(民法1022条)のに、資産の承継という目的を有する点で遺言と同様の目的をも有する信託においては、委託者兼受益者が自由に撤回(終了)できなくなるのが妥当といえるのかという問題が生じます。

・上記別段の定めにあたるとして、委託者兼受益者が信託を終了するには、受託者との合意を要すると解される余地があるので注意を要します。(東京地裁平成30年10月23日判決金融法務事情2122号85頁参照)。について

「受益者は、受託者の合意により、本件信託を終了することができる」との条項を入れたとしても、「その他信託法で定める場合」と信託行為に定めている場合は信託法164条1項の委託者は単独で信託を終了することが出来ます。

 

・遺言では、遺言者の最終意思を尊重するということで撤回が自由とされている(民法1022条)のに、資産の承継という目的を有する点で遺言と同様の目的をも有する信託においては、委託者兼受益者が自由に撤回(終了)できなくなるのが妥当といえるのかという問題が生じます。について

委託者兼受益者が自由に撤回(終了)できる信託を設定すると、受託者に就任する人が少なくなると思われるので、避けたほうがよいのかなと感じます。本当に委託者や受益者と受託者の関係が悪くなった場合には、信託法163条1項1号か同法165条により信託を終了せざるを得ないのかなという印象を持ちました。

[blogcard url=”https://miyagi-office.info/%e4%bf%a1%e8%a8%97%e3%81%ae%e7%b5%82%e4%ba%86-2/”]

信託契約の条項において、「本信託は、委託者が事理を弁別し判断能力が不十分になったときに効力を発生する」(判断に客観性を持たせるために医師2名以上の診断書を必要とすることなどが考えられます)などとすることにより、―中略―停止条件付信託契約はこのような不都合を生じるおそれがありますので、注意をする必要があります。

信託契約ではなく自己信託にして、受託者が後継受託者を誰からみても正常な状態で指名しない限り信託が終了するような仕組みにすれば良いのではないかなと感じました。

(4)「受託者は、信託不動産の瑕疵及び瑕疵により生じた損害につき責任を負わない」という条項について

著者も民法上の責任を負うなど注意喚起していますが同意します。またこのような条項を入れることにより、受託者にとってより不都合な解釈がされるのでないかと思います(例えば、信託設定時から損害が生じることを知っていたのではないか、など)。

 

[1] 2021.2第20号P2~日本法令

「利益相反取引の容認条項」

家族信託実務ガイド[1]の記事からです。

 

利益相反行為のと事例

(1)略

(2)略

利益相反行為

(3)第三者との間において信託財産のためにする行為であって、自己が第三者の代理人となって行うもの

具体的な事例

信託財産たるマンションを受託者が代表を務める会社に売却するケース

法的効果

有効!

⇒取引当事者である第三者が知っていた場合、または知らなかったことについき重大な過失があった場合は、取消可能

具体的事例の場合、知らないということは同一人物なのであり得ないと思います。有効、取消可能の両方のケースでも信託法40条が適用されることにも触れた方が良いのかなと感じました。

 (4)信託財産に属する財産につき固有財産に属する財産のみをもって履行する責任を負う債務に係る債権を被担保債権とする担保権を設定することその他第三者との間において信託財産のためにする行為であって受託者またはその利害関係人と受益者との利益が相反することになるもの

具体的事例

受託者個人が借りている銀行のアパートローンの担保として、信託財産を担保提供するケース

法的効果

有効!

⇒取引当事者である第三者が知っていた場合、または知らなかったことについき重大な過失があった場合は、取消可能

 

銀行など金融機関が担保設定する場合に、信託財産であることを知らないということはほぼないのではないかと感じました。信託法40条の適用は(3)と同じです。

 

利益相反取引はその都度受益者の同意を得るのが原則

―略―

一つ目は、「受益者代理人」を置き、受益者に代わって受益者代理人がその都度承諾をするという方策です。

―略―

受益者代理人にも一定の同意要件を置く必要があるのかなと思いました。

利益相反行為はその都度受益者の同意を得るのが原則

―略―

利益相反取引については具体的に記載する

信託契約書の条項において、単に「受託者は利益相反行為(自己取引)をすることができる」旨だけを置くケースを見かけることが少なくありません。

地域性かもしれません。私は「受託者は利益相反行為(自己取引)をすることができる」という直球の条項をみたことがありません。怖くないのかな、委託者(兼)受益者に説明したときに理解を得られるのかなと思ってしまいます。

利益相反取引については、具体的に記載する

記載されている規定は省略します。信託行為で予め定める想定がされていますが、大枠だけ決めておいて(または決めずに)、取引の都度決めても良いのかなと感じます。

受益者に利益相反行為をしたことを報告するのが大原則

―略―ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによると定められているため、信託契約書に「信託法31条3項による受託者から受益者への通知は、要しないものとする」との条項を設ければ、受益者への通知を省略することが可能となります。

ここでいう報告、通知は、受託者から受益者への利益相反行為後の事後の報告、通知です。信託法31条3項但し書きを規定する場合(私はしませんが)に一本補助線を引く必要があると考えます。例えば、通知の対象となる利益相反行為が信託財産の大部分を占めるものではないこと、受託者の負担軽減になること、信託財産に損害がないこと、などになるのかなと思います。ただし、受託者の負担軽減になること、という要件は利益相反行為が頻繁にある信託であるということを意味するので、そのような信託類型は限定されて要件にはなり得ないのかもしれません。

[1] 2021.2第20号日本法令P63~

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