加工司法書士及び司法書士法人の業務のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与に関するガイドライン

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00607.html

司法書士及び司法書士法人の業務のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与に関するガイドライン

令和6年4月1日 法務省・日本司法書士会連合会

目   次 第1 本ガイドラインの目的等 …………………………………………… 2

1 本ガイドラインの目的 …………………………………………….. 2

2 本ガイドラインの基本的な考え方 …………………………………….. 3

  •  リスクベース・アプローチの位置付け ……………………………….. 3
  •  監督指導等の指針 ………………………………………………. 4

第2 司法書士に求められる取組み ………………………………………… 4

1 司法書士が取り組むべきリスクベース・アプローチ ………………………. 4

  •  リスクベース・アプローチの意義 …………………………………… 4
  •  リスクの特定及び評価 …………………………………………… 5
  •  リスク低減措置 ………………………………………………… 6
  •  リスク低減措置を講じてもリスクが許容される程度に低減されない場合の対応 … 8

 2 犯収法上の義務との関係 …………………………………………… 9

第3 監督指導等の対応 ………………………………………………… 9

1 基本的な考え方 ………………………………………………….. 9

2 司法書士会による監督指導等 ……………………………………….. 10

3 法務大臣等による監督 ……………………………………………. 10

第4 ガイドラインの実現に向けた取組み等 ………………………………… 11

 1 日司連による手引の策定 ………………………………………….. 11

2 司法書士会によるアウトリーチ等 ……………………………………. 11

 3 その他留意事項 …………………………………………………. 11 

第1 本ガイドラインの目的等

1 本ガイドラインの目的

 経済・金融サービスのグローバル化、暗号資産の普及といった技術革新により、資金の流れが多様化し、国境を越える取引が容易になっている中で、マネー・ローンダリングやテロ資金供与(以下「マネロン・テロ資金供与」という。)の手口も複雑化・高度化している。 こうした資金の流れを放置すると、不正な資金が将来の犯罪活動や犯罪組織の維持・強化に利用され、組織的な犯罪及びテロリズムを助長するとともに、これを用いた事業活動への干渉が健全な経済活動に重大な悪影響を与えるおそれがあり、我が国や国際社会にとっての大きな脅威につながる。

 このため、国際社会においては、不正な資金の移転が、国境を越え、脆弱な規制や不十分な対策の隙をついて行われるという認識のもと、金融活動作業部会(Financial Action Task Force(以下「FATF」という。))の多国間枠組みを通じて、マネー・ローンダリング、テロ資金供与、大量破壊兵器の拡散活動への資金供与への対策の国際基準(以下「FATF基準」という。)の策定・履行を協調して行い、世界全体での対策の実効性向上を図っている。我が国でも、犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号。以下「犯収法」という。)等を制定するなどして、FATF基準の履行を図っている。

 犯収法は、令和4年12月に改正され(国際的な不正資金等の移動等に対処するための国際連合安全保障理事会決議第1267号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法等の一部を改正する法律(令和4年法律第97号))、司法書士を含む一定の資格者に義務付けられる取引時確認事項が、犯収法第4条で規定する全ての事項に及ぶこととなった。司法書士及び司法書士法人(以下、両者を併せて「司法書士」という。)については、日本司法書士会連合会(以下「日司連」という。)が特定取引において果たすべき確認事項を示すチェックシートのモデルを作成し、これに基づいて司法書士が取引時確認の義務を果たすこととなる。また、司法書士は、犯収法第8条に規定される疑わしい取引の届出義務が課されないこととなったが、当該義務に代わる自主的な制度として、各司法書士会(以下、日司連と併せて「日司連等」という。)の会則において「特別事件報告」の制度が設けられた。

 しかし、社会情勢等が刻々と変化することに伴うマネロン・テロ資金供与のリスクの変化等に機動的に対応し、個々の依頼についてマネロン・テロ資金供与を目的とするものか否かを的確に判断するためには、これまで行われてきた、法令等の整備によるいわゆる「ルールベース・アプローチ」に基づく対策のみでは不十分であり、司法書士が直面するリスクに応じた柔軟な対応を取ることが不可欠である。

 そこで、本ガイドラインは、司法書士を対象とする「リスクベース・アプローチ」の枠組みを示し、これを遵守させることを目的とするものである(リスクベース・アプローチは、FATFによるマネロン・テロ資金供与対策に関する勧告における基本原則とされており、司法書士を含む特定非金融業者及び職業専門家(DNFBPs)に対しても遵守が求められている。)。リスクベース・アプローチは、自らの業務について直面しているマネロン・テロ資金供与のリスクを適時かつ適切に特定及び評価し、リスクに見合ったリスク低減措置(資産及び収入の状況の確認を含む。)を講ずることをいい、司法書士が業務を行う上での姿勢を示すものである。

 また、司法書士の業務におけるマネロン・テロ資金供与への対策を実効的なものとするために、法務省、日司連等が行うべき取組みや司法書士に対するモニタリングのあり方について明らかにする必要がある。法務省、日司連等が本ガイドラインを踏まえたマネロン・テロ資金供与対策への対応状況等についてモニタリングを行い、適切な是正措置を行うことで司法書士が果たすべき執務の一層の適正化を図るものである。

2 本ガイドラインの基本的な考え方

  •  リスクベース・アプローチの位置付け

 犯収法は、国民生活の安全と平穏を確保し、経済活動の健全な発展に寄与する上でマネロン・テロ資金供与の防止が極めて重要であること(犯収法第1条参照)に鑑みて、その防止のために特定事業者による措置等を規定している。このような法の趣旨及び目的並びに司法書士の職責(司法書士法(昭和25年法律第197号)第2条)に照らすと、司法書士は、自らの業務に関する依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であると認めた場合には、その依頼を受けてはならないことになる。そのため、自らの業務に関する依頼を受けようとするときは、その依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であるか否かについて慎重かつ的確に検討しなければならない。また、その検討の結果、依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であることの疑いを払拭できない場合についても、その依頼を受けてはならない。

 リスクベース・アプローチは、依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であるか否かを検討するための合理的な方法であり、司法書士は、自らの行う業務がマネロン・テロ資金供与に利用されないことが極めて重要な社会的責務であることに鑑みて、全ての依頼について、マネロン・テロ資金供与に関するリスク(以下単に「リスク」という。)の観点から、犯収法等の趣旨を踏まえ、リスクベース・アプローチに基づく対応を行わなければならない(リスクベース・アプローチに基づく検討を行うまでもなく依頼の目的がマネロン・テロ資金供与を目的とすることが明らかである場合には、当然、その依頼を直ちに拒否しなければならない。)。

  •  監督指導等の指針

 マネロン・テロ資金供与対策の実効性を確保するためには、司法書士会及び法務省が、司法書士によるマネロン・テロ資金供与対策の取組状況についてモニタリングを行う必要がある。また、司法書士によるマネロン・テロ資金供与対策が明らかに不十分であるなどの場合には、監督指導による是正が必要となる(以下、モニタリング及び監督指導を合わせて「監督指導等」という。)。 このような監督指導等の具体的な内容は、司法書士がマネロン・テロ資金供与に関わるリスク(以下「監督上のリスク」という。)に応じて決められるべきである(第3を参照)。

第2 司法書士に求められる取組み

1 司法書士が取り組むべきリスクベース・アプローチ

  •  リスクベース・アプローチの意義

 リスクベース・アプローチとは、司法書士が、業務に関して依頼を受けようとする際及び依頼を受けた後に、自らが直面しているリスクを適時かつ適切に特定及び評価し、当該依頼を行うことが許容される程度にまで当該リスクを実効的に低減するため、当該リスクに見合った対策を講ずることをいう。

 リスクベース・アプローチの枠組みは、司法書士の業務に関する依頼の目的がマネロン・テロ資金供与にあるか否かを検討するための基本原則であることから、本来的には、その適用対象は犯収法上の特定取引(犯収法第4条第1項)に限定されるものではなく、司法書士の業務(司法書士法第3条若しくは第29条に定める業務又はこれらに付随し、若しくは関連する業務)のうち、依頼者のためにする行為又は手続に係る依頼全般に適用されるべきものである。

  •  リスクの特定及び評価

ア リスクの特定及び評価

  リスクの特定は、司法書士が、自らが依頼を受け、又は依頼を受けようとする行為や依頼者の属性等のリスクを包括的かつ具体的に検証し、マネロン・テロ資金供与に係るリスクを特定するものであり、リスクベース・アプローチの出発点というべきものである。

 リスクの特定について、司法書士は、司法書士の業務について依頼を受けようとする場合には、依頼者の属性、依頼者との業務上の関係、依頼内容及び依頼に関係する事実(例えば、不動産登記の代理申請の依頼においては、当該申請の登記原因に係る事実)等の事情を包括的かつ具体的に検討した上で、これらを総合的に考慮してリスクを特定しなければならない。

 また、依頼を受けたであっても、同様にこれらの事情について新たなリスクが判明した場合には、これを踏まえてリスクの特定を検討する必要がある。そして、司法書士は、特定されたリスクについて、自らへの影響度等を踏まえて総合的な評価を行い、その依頼について高リスクであるか否かの判断を行わなければならない。

 このようなリスクの特定及び評価は、リスク低減措置の具体的な内容を基礎付けるものであり、リスクベース・アプローチの土台となるものである。

 イ 高リスクの依頼

 高リスクとは、その依頼を受けようとする場合に、特定したリスクの評価の結果、司法書士会の会則(以下「会則」という。)で定められた依頼者等の本人であることの確認並びに依頼の内容及び意思の確認(以下「依頼者等の本人確認等」という。)の義務や犯収法で規定された取引時確認等の義務を履行するだけでは許容されない程度のリスクが残ることをいう。

 ここで、「許容されない程度のリスク」とは、依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であることの疑いを払拭できないことを意味している。この場合には、後記⑶アのとおり、追加的なリスク低減措置が講じられなければならない。

ウ リスクの特定及び評価の具体的方法

 司法書士は、リスクの特定及び評価に当たっては、自らの有する情報のほか、後述するリスクベース・アプローチに関する解説や国家公安委員会作成の「犯罪収益移転危険度調査書」(以下「危険度調査書」という。https://www.npsc.go.jp/policy/)などを参照したり、法務省等の関係省庁から提供される情報や日司連等から提供される情報等を踏まえたりするなどして、高リスクであるか否かの判断を適切に行うように努めなければならない。

 また、特定の依頼者との関係で継続的に業務に従事する場合には、依頼を受けた後においてもリスクの特定及び評価が必要とされる場合がある。

  •  リスク低減措置

ア リスク低減措置としての顧客管理

 前記⑵で特定及び評価されたリスクを許容される程度に実効的に低減するための措置を講ずることは、マネロン・テロ資金供与対策の実効性を決定付けるものである。リスク低減措置のうち、特に個々の依頼者に着目し、自らが特定及び評価したリスクを前提として、個々の依頼者の情報や当該依頼者の依頼内容等を調査し、調査の結果をリスク評価の結果と照らして、講ずべきリスク低減措置を判断及び実施する一連の流れを、本ガイドラインにおいては「顧客管理」という。リスク低減措置の中核的な事項である。

 依頼者との個別的な契約締結を前提とする司法書士の業務において、リスク低減措置は、通常、個々の依頼者を単位として講じられることとなる。そこで、司法書士は、特定及び評価されたリスクについて、個々の依頼者に着目したリスク低減措置を講ずることが基本となる。 顧客管理は、依頼を受けようとする際の顧客管理(以下「依頼時の顧客管理」という。)と依頼を受けた後の顧客管理(以下「依頼後の顧客管理」という。)に分けることができる。

 一般的にいえば、単発的な不動産登記手続の代理申請業務の多くは、依頼時の顧客管理のあり方が中心的な問題となり、財産管理業務など依頼者との間で継続的な関係が予定される場合には、依頼時の顧客管理に加えて依頼後の顧客管理のあり方も問題となることが多い。

イ 依頼時の顧客管理の内容

  依頼時の顧客管理は、依頼者等の本人確認等を典型例とする。講ずべき措置の内容は、特定及び評価されたリスクの内容及び当該リスクが高リスクであるか否かに応じて決められるべきである。本ガイドラインにおいては、高リスクと判断した場合に講ずべき顧客管理を「厳格な顧客管理」といい、高リスクではないと判断した場合に講ずべき顧客管理を「通常の顧客管理」という。 (ア)厳格な顧客管理(高リスクの場合)

  高リスクと判断した場合には、依頼者等の本人確認等を行うだけではリスクを許容される程度に低減することはできないため、追加的なリスク低減措置を講ずることが求められる。追加的なリスク低減措置の具体的な内容は、犯収法第4条第2項に規定する取引(以下「ハイリスク取引」という。)における追加的な確認方法及び後述するリスクベース・アプローチに関する解説や危険度調査書に記載された取組内容等を参照しつつ、司法書士が直面する具体的なリスクの内容に応じて決められるべきである。なお、高リスクと判断した場合には、その判断根拠や講じたリスク低減措置の内容について記録化しておくべきである。

  • 通常の顧客管理

  高リスクではないと判断した場合には、司法書士の職責上求められる依頼者等の本人確認等の義務や犯収法で規定された取引時確認の義務を履行することで、リスクを許容される程度に低減することができる(後述する「簡素な顧客管理」は、「通常の顧客管理」の一態様として整理される。)。

ウ 依頼後の顧客管理

 依頼者との契約に基づく財産管理業務に従事したり、同一の依頼者から継続的に登記申請手続の代理業務に従事したりする場合など、特定の依頼者との関係で継続的に業務に従事するときには、依頼時の顧客管理によって低減されたリスクを依頼後も適切に管理しなければならない。これに加えて、業務に従事する過程で新たなリスクが判明した場合には、リスクの評価を行い、その内容に応じたリスク低減措置を講じなければならない。このように、依頼後の顧客管理は、継続的なリスク管理と新たなリスク等への対応に分けることができる。

  • 継続的なリスク管理

 継続的なリスク管理は、依頼時の顧客管理において取得した情報を更新していくことが想定されている。その更新の頻度については、高リスクであるか否かに応じて決められるべきであるが、依頼時の顧客管理を実行することにより許容される程度にリスクが低減されていることから、依頼後に新たなリスク等が生じたり、依頼時に行った適切な顧客管理をもってしても判明しなかった事情が事後的に判明したりしたといった場合を除いて、適切な顧客管理の実効性が妨げられない範囲で、取引の円滑な遂行等を考慮した顧客管理が許容される(以下、このような顧客管理を「簡素な顧客管理」という。)。

  • 新たなリスク等への対応

 特定の依頼者との関係で継続的に業務に従事する過程で新たなリスク等が判明したり、依頼時に行った適切な顧客管理をもってしても判明しなかった事情が事後的に判明したりしたといった場合には、依頼を受ける際と同様のリスク評価を行わなければならず、これによってその依頼が高リスクと判断された場合には、速やかに依頼時の顧客管理において取得した情報を更新するとともに、厳格な顧客管理として追加的なリスク低減措置を講じなければならない。その内容は、前記イ(ア)に記載したことが基本的には該当する。

  •  リスク低減措置を講じてもリスクが許容される程度に低減されない場合の対応

 リスクベース・アプローチに基づくリスク評価の結果、その依頼が高リスクと判断され、リスク低減措置を講じてもそのリスクが許容される程度まで減ぜられなかったときには、依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であることの疑いが払拭できない場合に該当するとして、司法書士は、その依頼を拒まなければならず、受任後であれば、辞任しなければならない。

 依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であることの疑いが払拭できない場合であるかに関する判断過程は合理的なものである必要があり、前記⑴から⑶までのリスクベース・アプローチの手順に則ったものである必要がある。また、リスクが許容される程度を超えているかについては、リスク低減措置を講じた後に残るリスクの程度が、高リスクと同程度のものといえるかによって判断されることとなる。

 上記の枠組みは、依頼後に新たなリスク等が生じた場合についても同様に当てはまる。

 2 犯収法上の義務との関係

  前記1のリスクベース・アプローチは、司法書士の業務に関する依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であるかどうかを合理的に検討する枠組みであり、これをもって司法書士が犯収法上の義務の履行を免れるものではないことに注意する必要がある。

  例えば、司法書士は、リスクベース・アプローチの枠組みに基づき依頼を高リスクではないと判断した場合であっても、犯収法上の取引時確認等を要する取引類型については、これを実施しなければならないのは当然である。

第3 監督指導等の対応

 1 基本的な考え方

  マネロン・テロ資金供与対策の実効性を確保するためには、司法書士に対する適切な監督指導等が行われる必要がある。監督指導等は、大きく分けて、司法書士会による監督指導等と法務大臣又は法務局及び地方法務局の長による監督(以下「法務大臣等による監督」という。)に区別することができる。司法書士によるマネロン・テロ資金供与対策には、犯収法上の取引時確認等や会則上の依頼者等の本人確認等のように、法令又は会則に基づいて司法書士による遵守が義務付けられている対策(以下「法令等に基づく対策」という。)と、リスクベース・アプローチのように、法令又は会則に基づいて義務付けられているものではないが、ガイドライン等によって取組みが求められている対策(以下「ガイドライン等に基づく対策」といい、法令等に基づく対策と合わせて「司法書士によるマネロン・テロ資金供与対策」という。)が存在する。

 司法書士会による監督指導等は、法令等に基づく対策とガイドライン等に基づく対策の双方について行われるのに対し、法務大臣等による監督は、特に法令等に基づく対策の不遵守等を対象として行われることが想定されている。 司法書士会による監督指導等や法務大臣等による監督の方法は、いずれも監督上のリスクの内容及び性質、当該リスクの程度等に応じて決められるべきである。

2 司法書士会による監督指導等

  司法書士会は、司法書士によるマネロン・テロ資金供与対策が十分であるかについてモニタリングを行う。司法書士会によるモニタリングは、司法書士から提出された特定事件報告書に基づいて行うこととなる(特定事件報告書は、司法書士会によるモニタリング等の基礎となるものであるから、その記載事項は、その時点での社会的情勢等に反映した適切なものとされなければならない。そのため、必要に応じて、記載内容は改定されることとなる。)。

 司法書士会は、特定事件報告書の記載内容を通じて司法書士のマネロン・テロ資金供与対策について確認を行う。特定事件報告書に記載された内容に照らすと司法書士が行うべきマネロン・テロ資金供与対策として不十分な措置がとられていると認めた場合には、当該司法書士から事情聴取をした上で、当該司法書士に対して適切な助言及び指導を行うこととなる。 特定事件報告書の性質やこれに基づいた司法書士会による助言及び指導の実効性を確保する必要性があることを踏まえると、司法書士が特定事件報告書の提出に全く応じない場合、特定事件報告書の内容に基づく司法書士会による助言や指導に従わず、執務の内容等に改善がみられない場合、特定事件報告書に虚偽の記載をした場合には、監督上のリスクが高いものとして、司法書士会による注意勧告等の的確な対応をとることが要請される。 日司連は、司法書士会に対し、司法書士会による監督指導等の対応指針を示し、助言及び指導を行うこととする。

3 法務大臣等による監督

 司法書士会は、その会に所属する司法書士に対する指導権限があることから、まずもって司法書士会による監督指導等によって改善が図られることとなる。 しかし、司法書士会による監督指導が功を奏しない事案、法令等の違反の程度が重大である事案、司法書士会による自治的な取組みに委ねることが相当でない事案など、監督上のリスクが特に高いと認められる場合には、法務大臣等による監督が検討されなければならない。

 法務大臣等による監督は、犯収法上の監督権限(犯収法第15条以下)及び懲戒権限(司法書士法第47条及び第48条)の行使を通じて行われる。

 法務局及び地方法務局の長は、犯収法上の監督権限として、報告等を求める権限(同法第15条)、立入検査等の権限(同法第16条第1項)、指導等の権限(同法第17条)及び是正命令の権限(同法第18条)を有している(犯収法第15条以下、犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令(平成20年政令第20号)第35条。

 なお、罰則規定につき犯収法第25条、第26条及び第31条)。また、法務大臣は、司法書士法上、司法書士に対する懲戒権限を有しており、「司法書士及び司法書士法人に対する懲戒処分の考え方(処分基準等)」において、犯収法違反を伴う本人確認等義務違反が違反行為として明記されている(別表番号8及び15)。

  法務大臣等による監督は、対象となる事案の性質及び内容、法令等の違反の程度、それぞれの権限の性質や趣旨を踏まえて、どの措置をとるかが決定されるべきである。また、具体的な法務大臣等による監督の内容は、司法書士による法令等の違反の内容やその程度等から評価される監督上のリスクに応じて決定されるべきである。

第4 ガイドラインの実現に向けた取組み等

1 日司連による手引の策定

 司法書士がリスクの特定及び評価を適切に行い、実効的なリスク低減措置を可能とするためには、広くマネロン・テロ資金供与に関する最新の情報を収集し、分析することが有益である。そこで、日司連は、司法書士会と連携して参考事例を集積及び分析し、リスクベース・アプローチに基づく対応を行う上で参考となる事項をまとめた手引を策定し、司法書士に提供するものとする。

 リスクベース・アプローチに関する解説の内容は、社会情勢等が日々大きく変化することに伴うマネロン・テロ資金供与のリスクの変化等に機動的に対応するために、定期的に更新されることが想定される。

2 司法書士会によるアウトリーチ等

 司法書士会は、日司連及び法務省とも連携しつつ、リスクベース・アプローチその他のマネロン・テロ資金供与への対策に関する情報を、引き続き研修その他の機会を通じて司法書士に提供するものとする。また、日司連は、関係機関からの情報提供を受けたり、関係機関との間で意見交換等をしたりすることで、適時情報を把握して、司法書士会を通じて会員に情報提供をするものとする。

3 その他留意事項

 日本では、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)や国際連合安全保障理事会決議第1267号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法(平成26年法律第124号)に基づいてタリバーン関係者やテロリスト等に対し、資金その他資産の使用・資金の流れを防止するための資産凍結措置を実施している。司法書士においても、個々の依頼者に着目するほか、下記の対応をとることが求められる。

・取引の内容(送金先、取引関係者(その実質的支配者を含む)等)について最新の制裁リストと照合するなど、的確な運用を図ること

・制裁対象者が新たに指定された際には、遅滞なく、特定受任行為の代理等の依頼者に係る情報と照合するなど、国内外の制裁に係る法規制等の遵守その他リスクに応じた必要な措置を講ずること

月刊登記情報2024年5月号(750号)

「月刊登記情報2024年5月号(750号)」、きんざい

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T/

 法窓一言 配偶者居住権の敷地をめぐる問題点

香川大学法学部准教授 辻上佳輝

 使用収益の方法(制限、裁量)。配偶者居住権の時効取得の可否。

企業価値担保権はどのように議論されてきたか

弁護士 冨川 諒、弁護士 小宮 俊

令和6年3月15日 衆議院 事業性融資の推進等に関する法律案

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g21309057.htm

令和5年2月10日金融審議会「事業性に着目した融資実務を支える制度のあり方等に関するワーキング・グループ」報告

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20230210.html

 財団抵当制度の財団は、物的設備と物権的権利に制限。動産・債権譲渡担保制度は、担保価値が個別資産(動産・債権)の評価額が上限。

資産価値評価のコスト。担保権の信託(セキュリティトラスト)は執行、倒産手続きに関する論点が固まっていない、信託会社の管理報酬コスト。

 企業担保価値権は、株式による投資(エクイティ)と併せて、選択肢を増やすことを予定。再生局面で運転資金の融資を行うためには、借主の事業に対する正確な理解が必要なため、導入。運転資金の融資がしやすくなる、との想定は始まってみないと分からないと思いました。ガイドラインが整備されるのではないかと思います。

担保権の実行を通して企業再生を行うことを想定。経営の規律付けを、経営者の個人保証に依存することなく実現することを想定。融資額は、企業が保有する有形資産の価値を下回る可能性がある。

 無担保融資では、金融機関が借主支援に取り組まなくても、取り組んだ金融機関と比べて得られるリターンが同じ、という問題点があると指摘されていて、その視点はありませんでした。株式担保との比較として、倒産手続きの場面において抵当権とみなされ、別除権者として回収可能。株主が分散している場合、事業譲渡等の場面では同じく影響を受けるのではないかと思います。

 特徴として、企業価値担保信託契約を締結し、契約に基づいた融資、担保権設定が行われること。商業登記簿へ登記されることが効力要件。

「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う

相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)」の解説⑸

法務省民事局民事第二課補佐官 三枝稔宗、法務省民事局民事第二課補佐官 河瀬貴之、法務省訟務局訟務企画課訟務調査室法務専門官(前民事局民事第二課法務専門官) 手塚久美子、法務省民事局民事第二課不動産登記第四係長 清水玖美

 補正対象が承認申請書類の内容である場合で、作成代行者が司法書士、行政書士等の場合、承認申請者の意思を確認したうえで、作成代行者による補正を認める。承認申請の取下げによって審査手数料の還付・再使用は認められていない。負担金の納付期限の起算日は、初日不算入。共有者が申請した場合は、そのうちの1人に対して通知。

商業登記規則逐条解説 第17回

土手敏行

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339M50000010023

(本店移転の登記)第六十五条

昭和41年8月11日民事甲第1759号民事局長回答「株式会社の本店移転の登記の際の企業担保権の登記等の取扱いについて」登記研究227号P70

大西勇:法務省民事局商事課係長(商業法人登記第一係担当)、樋比呂:法務省民事局商事課法規係員 【論説・解説】「管轄外への本店移転の登記申請があった場合における登記すべき事項の取扱いについて(平成29年7月6日付け法務省民商第110号商事課長回答)」の解説、登記研究838号P25

(株主総会の決議の不存在等の登記)第六十六条

昭和57年12月15日法務省民四第7583号民事局第四課長回答「取締役就任登記の抹消に伴う前任の取締役の回復について」登記研究 423号P114

目で見る筆界の調査・認定事例

第6回 過去の筆界確認情報により筆界点を認定した事案

法務省民事局民事第二課地図企画官 楠野智之(日本土地家屋調査士会連合会業務部協力)

 ブロック塀とL字側溝、石杭。隣地所有権登記名義人が休眠会社の場合。

法律業務が楽になる心理学の基礎第8回 改めてヒューマンエラーを考える

弁護士(認定心理士) 渡部友一郎

 人間を、システムの中の一つのシステムとして捉える。

西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本) 安全フォローアップ会議報告書

https://www.westjr.co.jp/safety/fukuchiyama/followup/

犯罪収益移転防止法の大改正と司法書士の実務⑻

司法書士 末光祐一

 既に取引時確認を行っている顧客などであることを確認。→取引時確認とほぼ変わらないのではないかと思いました。

犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=420M60000f5a001

(顧客等について既に取引時確認を行っていることを確認する方法)

第十六条 令第十三条第二項に規定する主務省令で定める方法は、次の各号に掲げることのいずれかにより顧客等(国等である場合にあっては、その代表者等又は当該国等(人格のない社団又は財団を除く。)。以下この条において同じ。)が確認記録に記録されている顧客等と同一であることを確認するとともに、当該確認を行った取引に係る第二十四条第一号から第三号までに掲げる事項を記録し、当該記録を当該取引の行われた日から七年間保存する方法とする。

一 預貯金通帳その他の顧客等が確認記録に記録されている顧客等と同一であることを示す書類その他の物の提示又は送付を受けること。

二 顧客等しか知り得ない事項その他の顧客等が確認記録に記録されている顧客等と同一であることを示す事項の申告を受けること。

2 前項の規定にかかわらず、特定事業者は、顧客等又は代表者等と面識がある場合その他の顧客等が確認記録に記録されている顧客等と同一であることが明らかな場合は、当該顧客等が確認記録に記録されている顧客等と同一であることを確認したものとすることができる。

中小企業とともに歩む企業法務のピントとヒント第61話 協働しよう①~中小企業診断士

司法書士法人鈴木事務所 司法書士 鈴木龍介

 株式による資金調達時など。

令和6年3月15日法務省民二第535号「民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(相続人申告登記関係(通達))<記載例>

令和6年3月15日法務省民二第535号「民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(相続人申告登記関係(通達))

<記載例>

* この記載例は、登記名義人(登記記録上の所有者)が死亡し、そのにおいて、自らが相続人である旨の申出を行う場合のものです。

       ※受付シールを貼るスペースになりますので、この部分には何も記載しないでください。    

      相 続 人 申 出 書

申出の目的   相続人申告

法務太郎(注1)の相続人

 相続開始年月日 令和○年○月○日(注2)

 (申出人)  ○県○市○町二丁目12番地

           法務 優子(注3)

       (氏名ふりがな ほうむ ゆうこ)

       (生年月日 昭和○○年○月○日)(注4)

                  連絡先の電話番号00-0000-0000(注5)

添付情報(注6)

申出人が登記名義人の相続人であることを証する情報(注7)(注8)

住所証明情報(注9)

令和○年○月○日申出 ○○ 法務局(又は地方法務局)○○支局(又は出張所)

不動産の表示(注10)

  不動産番号    1234567890123(注11)

 所   在  ○市○町一丁目

  地   番    23番

 不動産番号    0987654321012

 所   在  ○市○町一丁目23番地

 家屋番号  23番

相続関係説明図例(相続人申告登記用)(注6)

* これは、記載例です。この記載例を参考に、登記名義人(被相続人)と申出人について作成してください。

  登記名義人と申出人以外の者については、適宜記載を省略して差し支えありません。

<解説及び注意事項等>

(注1) 被相続人(死亡した方)の氏名を記載します。

(注2) 被相続人(死亡した方)が死亡した日(戸籍上の死亡日)を記載します。

(注3) 申出人の住所及び氏名を記載します。住民票に記載されているとおり正確に記載してください。

     なお、押印は不要です。

(注4) 住民票上の申出人の氏名のふりがな及び生年月日を記載した場合は、添付情報として住所証明情報(住民票の写し)の提出を省略することができます。

    ※ 登記所において、記載された情報により住基ネットに照会を行い、住基ネットから提供された住所と申出書に記載された住所が合致しているかどうかを確認します。

      なお、住民票に記載のない方(国内に住所のない方)については住所証明情報の提出を省略することはできません。

(注5) 申出書の記載事項等に補正すべき点がある場合に、登記所の担当者から連絡するための連絡先の電話番号(平日の日中に連絡を受けることができるもの)を記載してください。

(注6) 被相続人(死亡した方)と申出人の相続関係を明らかにした「相続関係説明図」(記載例の2枚目参照)が提出された場合には、申出書に添付した戸籍の証明書(戸除籍謄本等)及び住民票の写しを、登記の調査が終了した後にお返しすることができます(これを原本還付の手続といいます。)。

(注7) 一般的に、①被相続人(死亡した方)の死亡した日が分かる戸籍の証明書(戸除籍謄本等)、②申出人が被相続人の子であることが分かる戸籍の証明書、③被相続人の死亡した日以後に発行された申出人についての戸籍の証明書が必要になります。1通の証明書で①~③を満たす場合には、その証明書の添付で足ります。

例えば、1通の証明書に被相続人の死亡した日が記載され、かつ、申出人が被相続人の子として記載されている場合(申出人につきその戸籍から除籍された旨の記載があるものを除く。)には、その証明書の添付で足ります。

これに対し、被相続人が死亡する前に申出人が結婚した場合など、被相続人の死亡した日(上記①)が記載された証明書に、申出人の記載がされていないときは、上記①の証明書に加えて、上記②を満たす被相続人の過去の戸籍の証明書と上記③の証明書が必要になります(どの戸籍の証明書が必要かの判断が難しい場合には、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍の証明書と、申出人の現在の戸籍の証明書を提出いただいても差し支えありません。)。

また、法定相続情報証明制度を御利用いただいている場合には、法定相続情報一覧図の写しを提出するか、法定相続情報番号(法定相続情報一覧図の写しの右上に記載された番号)を申出書に記載することで、上記①~③の証明書の添付に代えることができます。法定相続情報証明制度の具体的な手続については、こちら(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000014.html)を参照してください。

     戸籍の証明書の集め方が分からない場合には、本籍地又は最寄りの市区町村役場にお問合せください。

(注8) 被相続人(死亡した方)の最後の氏名及び住所が登記記録上の氏名及び住所と異なる場合や被相続人の本籍が登記記録上の住所と異なる場合には、被相続人が登記名義人(登記記録上の所有者)であることが分かる被相続人の本籍の記載のある住民票の除票又は戸籍の表示の記載のある戸籍の附票の写し等が必要となります。

(注9)  申出人の住民票の写し(原本)です。住民票上の申出人の氏名のふりがな及び生年月日を記載した場合は、提出する必要はありません(注4参照)。

 なお、住民票の写しを提出する場合は、マイナンバー(個人番号)が記載されていないものを取得し提出してください。

 また、申出人の現在の住所が記載されている法定相続情報一覧図の写しを提出するか、その法定相続情報番号(法定相続情報一覧図の写しの右上に記載された番号)を申出書に記載することで、住所証明情報の添付に代えることができます。

(注10) 申出をする不動産を、登記記録(登記事項証明書)に記録されているとおりに正確に記載してください。

(注11) 不動産番号を記載した場合は、土地の所在・地番、建物の所在・家屋番号の記載を省略することができます。

(注12) 申出書が複数枚にわたる場合は、各用紙のページ数と総ページ数を記載してください。

*注意

   この申出による登記(相続人申告登記)には、次のような留意点がありますので、この申出後、できるだけ早めに相続人の間で遺産分割の話合いを行っていただき、その結果に基づく相続登記をしていただきますようお願いします。

・ 相続した不動産を売却したり、抵当権の設定をしたりするような場合には、別途相続登記をする必要がある。

・ この申出によっては、遺産分割の結果に基づく相続登記の義務を履行することができない。

   

<記載例>  

* この記載例は、登記名義人(登記記録上の所有者)が死亡し、その配偶者において、自らが相続人である旨の申出を行う場合のものです。

       ※受付シールを貼るスペースになりますので、この部分には何も記載しないでください。    

      相 続 人 申 出 書

申出の目的   相続人申告

法務太郎(注1)の相続人

相続開始年月日 令和○年○月○日(注2)

 (申出人)  ○県○市○町二丁目12番地

           法務 花子(注3)

       (氏名ふりがな ほうむ はなこ)

       (生年月日 昭和○○年○月○日)(注4)

                  連絡先の電話番号00-0000-0000(注5)

添付情報(注6)

申出人が登記名義人の相続人であることを証する情報(注7)(注8)

住所証明情報(注9)

令和○年○月○日申出 ○○ 法務局(又は地方法務局)○○支局(又は出張所)

不動産の表示(注10)

  不動産番号    1234567890123(注11)

 所   在  ○市○町一丁目

  地   番    23番

 不動産番号    0987654321012

 所   在  ○市○町一丁目23番地

 家屋番号  23番

相続関係説明図例(相続人申告登記用)(注6)

   被相続人 法務太郎 相続関係説明図

<解説及び注意事項等>

子の場合と同じ。

<記載例>  

* この記載例は、登記名義人(登記記録上の所有者)が死亡し、その配偶者と子の一人において、自らが相続人である旨の申出を一括で行う場合のものです。

* 配偶者と子が連名で(話し合って)申出書を作成する場合の例です(それぞれが個別に自らが相続人である旨の申出を行うこともできます。)。

       ※受付シールを貼るスペースになりますので、この部分には何も記載しないでください。    

      相 続 人 申 出 書

申出の目的   相続人申告

法務太郎(注1)の相続人

相続開始年月日 令和○年○月○日(注2)

 (申出人)  ○県○市○町二丁目12番地

           法務 花子(注3)

       (氏名ふりがな ほうむ はなこ)

       (生年月日 昭和○○年○月○日)(注4)

                  連絡先の電話番号00-0000-0000(注5)

 (申出人)  ○県○市○町二丁目12番地

           法務 一郎

       (氏名ふりがな ほうむ いちろう)

       (生年月日 平成○○年○月○日)

                  連絡先の電話番号00-0000-0000

添付情報(注6)

申出人が登記名義人の相続人であることを証する情報(注7)(注8)

住所証明情報(注9)

令和○年○月○日申出 ○○ 法務局(又は地方法務局)○○支局(又は出張所)

不動産の表示(注10)

  不動産番号    1234567890123(注11)

 所   在  ○市○町一丁目

  地   番    23番

 不動産番号    0987654321012

 所   在  ○市○町一丁目23番地

 家屋番号  23番

相続関係説明図例(相続人申告登記用)(注6)

   被相続人 法務太郎 相続関係説明図

<解説及び注意事項等>

子の場合を同じ。

<記載例>  

* この記載例は、登記名義人(登記記録上の所有者)が死亡し、そのにおいて、自らが相続人である旨の申出を行う場合のものです。

       ※受付シールを貼るスペースになりますので、この部分には何も記載しないでください。    

      相 続 人 申 出 書

申出の目的   相続人申告

法務太郎(注2)の相続人

相続開始年月日 令和○年○月○日(注1)

 (申出人)  ○県○市○町二丁目12番地

           法務 町子(注3)

       (氏名ふりがな ほうむ まちこ)

       (生年月日 昭和○○年○月○日)(注4)

                  連絡先の電話番号00-0000-0000(注5)

添付情報(注6)

申出人が登記名義人の相続人であることを証する情報(注7)(注8)

住所証明情報(注9)

令和○年○月○日申出 ○○ 法務局(又は地方法務局)○○支局(又は出張所)

不動産の表示(注10)

  不動産番号    1234567890123(注11)

 所   在  ○市○町一丁目

  地   番    23番

 不動産番号    0987654321012

 所   在  ○市○町一丁目23番地

 家屋番号  23番

 相続関係説明図例(相続人申告登記用)(注6)

   被相続人 法務太郎 相続関係説明図

<解説及び注意事項等>

子と同じ。

(注7)なお、被相続人に子がいたが、被相続人の死亡前に死亡した場合には、その子に子がないことが分かる戸籍の証明書(その子の出生から死亡までの全ての戸籍の証明書)が別途必要となる場合があります。

<記載例>  

* この記載例は、登記名義人(登記記録上の所有者)が死亡し、その兄弟姉妹において、自らが相続人である旨の申出を行う場合のものです。

       ※受付シールを貼るスペースになりますので、この部分には何も記載しないでください。    

      相 続 人 申 出 書

申出の目的   相続人申告

法務太郎(注1)の相続人

相続開始年月日 令和○年○月○日(注2)

 (申出人)  ○県○市○町二丁目12番地

           法務 次郎(注3)

       (氏名ふりがな ほうむ じろう)

       (生年月日 昭和○○年○月○日)(注4)

                  連絡先の電話番号00-0000-0000(注5)

添付情報(注6)

申出人が登記名義人の相続人であることを証する情報(注7)(注8)

住所証明情報(注9)

令和○年○月○日申出 ○○ 法務局(又は地方法務局)○○支局(又は出張所)

不動産の表示(注10)

  不動産番号    1234567890123(注11)

 所   在  ○市○町一丁目

  地   番    23番

 不動産番号    0987654321012

 所   在  ○市○町一丁目23番地

 家屋番号  23番

相続関係説明図例(相続人申告登記用)(注6)

   被相続人 法務太郎 相続関係説明図

<解説及び注意事項等>

子・親の場合と同じ。

<記載例>  

* この記載例は、①登記名義人(登記記録上の所有者/法務太郎)の死亡により、その子(第一次相続人/法務一郎ら)が所有権を取得し、②法務一郎の死亡によりその子(第二次相続人/法務優子ら)がその所有権を取得した場合に、法務優子において、自らが相続人である旨の申出を行う場合のものです。

       ※受付シールを貼るスペースになりますので、この部分には何も記載しないでください。    

      相 続 人 申 出 書

申出の目的   相続人申告

法務太郎(注1)の相続人

相続開始年月日 平成○年○月○日(注2)

        ○県○市○町二丁目12番地

           法務 一郎(注3)

法務一郎(注4)の相続人

相続開始年月日 平成○年○月○日(注5)

 (申出人)  ○県○市○町二丁目12番地

           法務 優子(注6)

       (氏名ふりがな ほうむ ゆうこ)

       (生年月日 昭和○○年○月○日)(注7)

                  連絡先の電話番号00-0000-0000(注8)

添付情報(注9)

第一次相続人が登記名義人の相続人であることを証する情報(注10)(注11)

第一次相続人の住所証明情報(注12)

申出人が第一次相続人の相続人であることを証する情報(注10)

申出人の住所証明情報(注13)

令和○年○月○日申出 ○○ 法務局(又は地方法務局)○○支局(又は出張所)

不動産の表示(注14)

  不動産番号    1234567890123(注15)

 所   在  ○市○町一丁目

  地   番    23番

 不動産番号    0987654321012

 所   在  ○市○町一丁目23番地

 家屋番号  23番

 相続関係説明図例(相続人申告登記用)(注9)

   被相続人 法務太郎 相続関係説明図

<解説及び注意事項等>

子、親の場合と同じ。

(注5) 相続人(第一次相続人)が死亡した日(戸籍上の死亡日)を記載します。

(注10) 一般的に、①登記名義人(登記記録上の所有者)である被相続人(死亡した方)の死亡した日が分かる戸籍の証明書(戸除籍謄本等)、②(注3)の相続人(第一次相続人)が被相続人の子であることが分かる戸籍の証明書、③第一次相続人の死亡した日が分かる戸籍の証明書、④申出人が第一次相続人の子であることが分かる戸籍の証明書、⑤第一次相続人の死亡した日以後に発行された申出人についての戸籍の証明書が必要になります。①~⑤で重複するものがある場合には、重ねて同じものを添付する必要はありません。

<記載例>  

* この記載例は、①登記名義人(登記記録上の所有者/法務太郎)の死亡により、その妻(第一次相続人/法務花子)と子(第一次相続人/法務一郎ら)が所有権を取得し、②法務花子の死亡によりその子(第二次相続人/法務一郎ら)がその所有権を取得した場合に、法務一郎において、自らが相続人である旨の申出を行う場合(申出人が登記名義人の第一次相続人かつ第二次相続人のケース)のものです。

 ※受付シールを貼るスペースになりますので、この部分には何も記載しないでください。

      相 続 人 申 出 書

申出の目的   相続人申告

法務太郎(注1)の相続人

相続開始年月日 平成○年○月○日(注2)

        ○県○市○町二丁目12番地

           法務 花子(注3)

 (申出人)  ○県○市○町二丁目12番地

           法務 一郎(注4)

法務花子(注5)の相続人

相続開始年月日 令和○年○月○日(注6)

 (申出人)  ○県○市○○町二丁目12番地

           法務 一郎(注4)

       (氏名ふりがな ほうむ いちろう)

       (生年月日 平成○○年○月○日)(注7)

                  連絡先の電話番号00-0000-0000(注8)

添付情報(注9)

申出人及び第一次相続人が登記名義人の相続人であることを証する情報(注10)(注11)

申出人が第一次相続人の相続人であることを証する情報(注10)

第一次相続人の住所証明情報(注12)

申出人の住所証明情報(注13)

 

令和○年○月○日申出 ○○ 法務局(又は地方法務局)○○支局(又は出張所)

不動産の表示(注14)

  不動産番号    1234567890123(注15)

 所   在  ○市○町一丁目

  地   番    23番

 不動産番号    0987654321012

 所   在  ○市○町一丁目23番地

 家屋番号  23番

  相続関係説明図例(相続人申告登記用)(注9)

   被相続人 法務太郎 相続関係説明図

<解説及び注意事項等>

省略している部分は、子・親の場合と同じ。

(注1) 登記名義人(登記記録上の所有者)である被相続人(死亡した方)の氏名を記載します。

(注2) 登記名義人(登記記録上の所有者)である被相続人(死亡した方)が死亡した日(戸籍上の死亡日)を記載します。

(注3) 登記名義人(登記記録上の所有者)の相続人(申出人が相続により取得した所有権を有していた第一次相続人)の住所及び氏名を記載します。

住所については、戸籍の証明書(戸除籍謄本等)に記載されている第一次相続人が死亡したときの本籍又は住民票上の最後の住所を記載してください。

(注4) 申出人の住所及び氏名を被相続人ごとにそれぞれ記載します。住民票に記載されているとおり正確に記載してください。

(注5) (注3)の相続人(第一次相続人)の氏名を記載します。

(注6) (注3)の相続人(第一次相続人)が死亡した日(戸籍上の死亡日)を記載します。

(注7) 住民票上の申出人の氏名のふりがな及び生年月日を記載した場合は、添付情報として住所証明情報(住民票の写し)の提出を省略することができます(いずれかに記載すれば足ります。)。

(注10) 一般的に、①登記名義人(登記記録上の所有者)である被相続人(死亡した方)の死亡した日が分かる戸籍の証明書(戸除籍謄本等)、②(注3)の相続人(第一次相続人)が被相続人の妻であり、かつ、申出人が被相続人の子であることが分かる戸籍の証明書、③第一次相続人の死亡した日が分かる戸籍の証明書、④申出人が(注3)の第一次相続人の子であることが分かる戸籍の証明書、⑤第一次相続人の死亡した日以後に発行された申出人についての戸籍の証明書が必要になります。①~⑤で重複するものがある場合には、重ねて同じものを添付する必要はありません。

(注12)  (注3)の住所として、第一次相続人が死亡したときの本籍を記載した場合は提出する必要はありません。

(注3)の住所として、第一次相続人の住民票上の最後の住所を記載した場合は、住民票の除票の写し等が必要となります。

委任状の例

       委  任  状

 私は、○○市○○町二丁目12番 乙野 次郎 に、次の権限を委任します。

1 下記の申出に関し、申出書を作成すること及び当該申出に必要な書面と共に申出書を管轄登記所に提出すること。

2 職権による登記が完了した旨の通知事項を記載した書面を受領すること。

3 申出に不備がある場合に、当該申出の取下げ、又は補正をすること。

4 上記1から3までのほか、下記の申出に関し必要な一切の権限

 令和○年○月○日

○県○市○町二丁目12番地     

法務 優子     

申出の目的   相続人申告

法務太郎の相続人

 相続開始年月日 令和○年○月○日

     申出人 ○県○市○町二丁目12番地 法務 優子

不動産の表示  

所  在  ○○市○○町一丁目

地  番  23番

所  在    ○○市○○町一丁目23番地

家屋番号   23番

 

ご準備いただく書類等

登記の目的         相続人申告登記申出

不動産の表示:

 
1住民票抄本1通
2被相続人の被相続人(死亡した方)の死亡した日が分かる戸(除)籍謄本/申出人が被相続人の相続人であることが分かる戸(除)籍謄抄本/被相続人の死亡した日以後に発行された申出人の戸籍抄本各1通
3申出人が相続人であることが分かる戸(除)籍謄抄本各1通
4被相続人の最後の住所を記載する場合は、被相続人の戸籍の附票の除票抄本・住民票除票1通
5認印・電子署名押印/電子署名
6法定相続証明情報一覧図を作成済みの場合、法定相続証明情報一覧図の写しを確認のうえ、足りない戸籍類がないか確認戸籍など省略可能な場合あり。
7被相続人(死亡した方)の最後の氏名・住所が、登記記録上の氏名及び住所と異なる場合や、被相続人の本籍が登記記録上の住所と異なる場合・・・被相続人が登記記録上の所有者であることが分かる、被相続人の本籍の記載のある住民票の除票か、戸籍の表示の記載のある戸籍の附票の写し。各1通
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家族信託の相談会その66

お気軽にどうぞ。

2024年5月24日(金)14時~17時

□ 認知症や急な病気への備え
□ 次世代へ確実に引き継ぎたいものを持っている。
□ 家族・親族がお金や土地の話で仲悪くなるのは嫌。
□ 収益不動産オーナーの経営者としての信託 
□ ファミリー企業の事業の承継
その他:
・共有不動産の管理一本化・予防
・配偶者なき後、障害を持つ子の親なき後への備え

1組様 5000円

場所

司法書士宮城事務所(西原町)

要予約

司法書士宮城事務所 shi_sunao@salsa.ocn.ne.jp

後援  (株)ラジオ沖縄

令和6年3月15日法務省民二第535号「民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(相続人申告登記関係 (通達)) 第2 相続人申告登記

第2 相続人申告登記

1 相続人申出において明らかにすべき事項等

(1) 相続人申出において明らかにすべき事項

ア相続人申出においては、次に掲げる事項をも明らかにしてしなければならないとされた(規則第158条の19第1項)。

(ア) 所有権の登記名義人(申出人が所有権の登記名義人の相続人の地位を相続により承継した者であるときは、当該相続人(以下「中間相続人」という。))の相続人である旨

(イ) 所有権の登記名義人(申出人が所有権の登記名義人の相続人の地位を相続により承継した者であるときは、中間相続人)について相続が開始した年月日

(ウ) 中間相続人があるときは、次に掲げる事項(当該事項が既に所有権の登記に付記されているときを除く。)

a 中間相続人の氏名及び最後の住所

b 中間相続人が所有権の登記名義人の相続人である旨

c 所有権の登記名義人について相続が開始した年月日

イ前記ア(ウ)aの中間相続人の最後の住所として中間相続人の最後の本籍を相続人申出等情報の内容としたときは、当該本籍を中間相続人の最後の住所とみなして差し支えないものとする。

(2) 相続人申出において提供しなければならない情報

ア相続人申出においては、次に掲げる情報をもその相続人申出等情報と併せて登記所に提供しなければならないとされた(規則第158条の19第2項)。

(ア) 申出人が所有権の登記名義人(申出人が所有権の登記名義人の相続人の地位を相続により承継した者であるときは、中間相続人)の相続人であることを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)

(イ) 申出人の住所を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)

(ウ) 前記(1)ア(ウ)aからcまでに掲げる事項を相続人申出等情報の内容とするときは、次に掲げる情報

a 中間相続人が所有権の登記名義人の相続人であることを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報

b 中間相続人の最後の住所を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)

イ前記ア(ア)又は(ウ)aに掲げる情報の一部として戸籍の謄本若しくは抄本若しくは戸籍に記載した事項に関する証明書又は除かれた戸籍の謄本若しくは抄本若しくは除かれた戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「戸籍謄本等」という。)が提供された場合であって、所有権の登記名義人である被相続人の登記記録上の住所が当該戸籍謄本等に記載された本籍と異なる場合で被相続人の住民票の写し又は戸籍の附票を提出することができないときは、「所有権の登記名義人と戸籍謄本等に記載された被相続人とは同一である」旨の印鑑証明書付きの申出人の上申書をもって同一性を認めて差し支えないものとする。前記(1)ア(ウ)aからcまでに掲げる事項が既に所有権の登記に付記されている場合に前記ア(ア)に掲げる情報の一部として戸籍謄本等が提供された場合においても同様とするものとする。

(3) 申出人が第三次相続人である場合等の取扱い

 所有権の登記名義人の相続人(以下この(3)、別紙1及び別紙3において「第一次相続人」という。)が当該登記名義人についての相続により所有権を取得し、当該相続により第一次相続人が取得した所有権を第一次相続人についての相続により第二次相続人(当該相続により当該所有権を取得した者をいう。以下この(3)、別紙1及び別紙3において同じ。)が取得し、当該相続により第二次相続人が取得した所有権を第二次相続人についての相続により申出人が取得した場合における相続人申出においては、第一次相続人及び第二次相続人のいずれも前記(1)及び(2)の中間相続人に該当することとなり、この場合の相続人申告事項に係る相続人申出等情報及び相続人申出等添付情報は、それぞれ次のア及びイのとおりとなる。

ア相続人申出等情報

(ア) 申出人の氏名及び住所(前記第1の2(1)ア(ア))

(イ) 申出人が第二次相続人の相続人である旨

(ウ) 第二次相続人について相続が開始した年月日

(エ) 第二次相続人の氏名及び最後の住所

(オ) 第二次相続人が第一次相続人の相続人である旨

(カ) 第一次相続人について相続が開始した年月日

(キ) 第一次相続人の氏名及び最後の住所

(ク) 第一次相続人が所有権の登記名義人の相続人である旨

(ケ 所有権の登記名義人について相続が開始した年月日

イ相続人申出等添付情報

(ア 申出人が第二次相続人の相続人であることを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)

(イ 申出人の住所を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)

(ウ) 第二次相続人が第一次相続人の相続人であることを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)

(エ) 第二次相続人の最後の住所を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)

(オ) 第一次相続人が所有権の登記名義人の相続人であることを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)

(カ) 第一次相続人の最後の住所を証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)なお、申出人が第二次相続人についての相続により所有権を取得した者(別紙1及び別紙3において「第三次相続人」という。)の相続人であるときも、同様となる。

2 相続人申出における相続人申出等添付情報の省略

(1) 法定相続情報一覧図の写し等の提供による添付省略

ア相続人申出をする場合において、申出人が所有権の登記名義人又は中間相続人についての相続に関して法定相続情報一覧図の写し(規則第247条の規定により交付された法定相続情報一覧図の写しをいう。以下同じ。)又は法定相続情報番号(11桁の番号であって、当該法定相続情報一覧図を識別するために登記官が付したものをいう。以下同じ。)を提供したときは、当該法定相続情報一覧図の写し又は当該法定相続情報番号の提供をもって、前記1(2)ア(ア)又は(ウ)aに掲げる情報(申出人が所有権の登記名義人等の相続人であることを証する情報又は中間相続人が所有権の登記名義人の相続人であることを証する情報)の提供に代えることができるとされた。ただし、法定相続情報番号を提供する場合にあっては、登記官が法定相続情報(規則第247条第1項に規定する法定相続情報をいう。以下同じ。)を確認することができるときに限るとされた(規則第158条の20第1項)。 –

イ相続人申出をする場合において、申出人が申出人の住所又は中間相続人の最後の住所が記載された法定相続情報一覧図の写し又は法定相続情報番号(法定相続情報一覧図に申出人の住所又は中間相続人の最後の住所が記載されている場合に限る。以下同じ。)を提供したときは、当該法定相続情報一覧図の写し又は当該法定相続情報番号の提供をもって、前記1(2)ア(イ)又は(ウ)bに掲げる情報(申出人の住所証明情報又は中間相続人の最後の住所証明情報)の提供に代えることができるとされた。ただし、法定相続情報番号を提供する場合にあっては、登記官が法定相続情報を確認することができるときに限るとされた(規則第158条の20第2項)。

(2) 出生の年月日等の提供による添付省略

ア相続人申出をする場合において、申出人が申出人又は中間相続人についての次に掲げる情報(住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第30条の9の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けて登記官が申出人の住所又は中間相続人の最後の住所を確認することができることとなるものに限る。)を提供したときは、当該情報の提供をもって、前記1(2)ア(イ)又は(ウ)bに掲げる情報(申出人の住所証明情報又は中間相続人の最後の住所証明情報)の提供に代えることができるとされた(規則第158条の21)。

(ア) 出生の年月日

(イ) 氏名の振り仮名(日本の国籍を有しない者にあっては、氏名の表音をローマ字で表示したもの)

イ前記ア(ア)及び(イ)に掲げる情報は、いずれも住民票に記載又は記録されたものを意味し、当該情報並びに相続人申出等情報の内容である申出人の氏名及び住所又は中間相続人の氏名及び最後の住所により、機構保存本人確認情報の提供を受けて登記官が申出人の住所又は中間相続人の最後の住所を確認することができる場合には、前記アによる添付省略が認められる。

なお、日本の国籍を有しない者であって、氏名の表音をローマ字で表示したものが住民票に記載又は記録されていない者については、日本の国籍を有する者とみなして前記ア(イ)を適用するものとする。

(3) 電子証明書の提供による添付省略

 相続人申出をする場合において、申出人が相続人電子申出における相続人申出等情報又は委任による代理人の権限を証する情報に規則第42条の電子署名を行い、当該申出人の規則第43条第1項第1号に掲げる電子証明書を提供したときは、当該電子証明書の提供をもって、前記1(2)ア(イ)に掲げる情報(申出人の住所証明情報)の提供に代えることができるとされた(規則第158条の22)。

(4) 法定相続人情報の作成番号の提供による添付省略・・・

ア相続人申出をする場合において、申出人が所有権の登記名義人又は中間相続人に係る法定相続人情報(所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する不動産登記法の特例に関する省令(平成30年法務省令第28号。以下「所有者不明土地法特例省令」という。)第1条に規定する法定相続人情報をいう。以下同じ。)の作成番号(法定相続人情報に当該申出人が所有権の登記名義人又は中間相続人の相続人として記録されている場合に限る。)を提供したときは、当該作成番号の提供をもって、前記1(2)ア(ア)又は(ウ)aに掲げる情報(申出人が所有権の登記名義人等の相続人であることを証する情報又は中間相続人が所有権の登記名義人の相続人であることを証する情報)の提供に代えることができるとされた(改正省令による改正後の所有者不明土地法特例省令第8条第3項)。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=430M60000010028

イ相続人申出をする場合において、申出人が法定相続人情報の作成番号(法定相続人情報に当該申出人の住所が記録されている場合に限る。)を提供したときは、当該作成番号の提供をもって、前記1(2)ア(イ)に掲げる情報(申出人の住所証明情報)の提供に代えることができるとされた(改正省令による改正後の所有者不明土地法特例省令第8条第4項)。

3 相続人申告登記

(1) 相続人申告事項

ア登記官は、相続人申出があったときは、職権で、その旨、申出人の氏名及び住所並びに次に掲げる事項を所有権の登記に付記することができるとされた(法第76条の3第3項及び規則第158条の23第1項)。

(ア) 登記の目的

(イ) 申出の受付の年月日及び受付番号

(ウ) 登記原因及びその日付

(エ) 所有権の登記名義人(申出人が所有権の登記名義人の相続人の地位を相続により承継した者であるときは、中間相続人)について相続が開始した年月日

(オ) 中間相続人があるときは、次に掲げる事項(当該事項が既に所有権の登記に付記されているときを除く。)

a 中間相続人の氏名及び最後の住所

b 中間相続人が所有権の登記名義人の相続人である旨

c 所有権の登記名義人について相続が開始した年月日

イ前記ア(ウ)の登記原因は「申出」とし、登記原因の日付は相続人申出の受付の年月日とする。

(2) 2回以上の相続を付記するときの方法

 登記官は、相続人申告登記によって2回以上の相続についての相続人申告事項を所有権の登記に付記するときは、当該相続ごとにこれを付記するものとするとされた(規則第158条の23第2項)。

(3) 相続人申告登記に関する登記の記録例

 相続人申告登記に関する登記の記録(相続人申告事項の変更の登記、相続人申告事項の更正の登記又は相続人申告登記の抹消に関するものの記録を除く。)は、別紙1の振り合いによるものとする。

第3 相続人申告事項の変更の登記又は相続人申告事項の更正の登記

1 相続人申告事項の変更又は更正の申出

(1) 相続人申告事項の変更又は更正の申出をすることができる場合

 相続人申告事項に変更又は錯誤若しくは遺漏があったときは、その相続人申告事項に係る相続人申告名義人又はその相続人は、登記官に対し、相続人申告事項の変更又は更正を申し出ることができるとされた(規則第158条の24第1項)。

(2) 相続人申告事項の変更又は更正の申出において明らかにすべき事項

ア前記(1)による申出においては、次に掲げる事項をも明らかにしてしなければならないとされた(規則第158条の24第2項)。

(ア) 登記原因及びその日付

(イ) 変更後又は更正後の相続人申告事項

イ相続人申出等情報の内容とする前記ア(ア)の登記原因及びその日付は、次の振り合いによるものとする。

(ア) 相続人申告事項(氏名)の変更の申出の場合

「年月日【氏名に変更が生じた年月日】氏名変更」

(イ) 相続人申告事項(住所)の変更の申出の場合

「年月日【住所に変更が生じた年月日】住所移転」

(ウ) 相続人申告事項の更正の申出の場合

「錯誤」

(3) 相続人申告事項の変更又は更正の申出において提供しなければならない情報

 前記(1)による申出をする場合には、相続人申告事項について変更又は錯誤若しくは遺漏があったことを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)をもその相続人申出等情報と併せて登記所に提供しなければならないとされた(規則第158条の24第3項)。

2 相続人申告事項の変更又は更正の申出における相続人申出等添付情報の省略

ア前記1(1)による申出(変更又は更正の申出)の申出人が相続人申出等情報と併せて申出人又は中間相続人についての次に掲げる情報(住民基本台帳法第30条の9の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けて登記官が申出人の住所について変更若しくは錯誤若しくは遺漏があったこと又は中間相続人の最後の住所について錯誤若しくは遺漏があったことを確認することができることとなるものに限る。)を提供したときは、当該情報の提供をもって、申出人の住所について変更若しくは錯誤若しくは遺漏があったこと又は中間相続人の最後の住所について錯誤若しくは遺漏があったことを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報の提供に代えることができるとされた(規則第158条の25)。

(ア) 出生の年月日

(イ) 氏名の振り仮名(日本の国籍を有しない者にあっては、氏名の表音をローマ字で表示したもの)

イ前記第2の2(2)イの取扱いは、前記アについても同様とする。

3 相続人申告事項の変更の登記又は相続人申告事項の更正の登記

(1) 登記官は、前記1(1)による申出(変更又は更正の申出)があったときは、職権で、相続人申告事項の変更の登記又は相続人申告事項の更正の登記をすることができるとされた(規則第158条の26第1項)。

(2) 登記官は、相続人申告事項の変更の登記又は相続人申告事項の更正の登記をするときは、登記の目的、申出の受付の年月日及び受付番号、登記原因及びその日付、変更後又は更正後の相続人申告事項並びに変更前又は更正前の相続人申告事項を抹消する記号を記録しなければならないとされた(規則第158条の26第2項)。

(3) 相続人申告事項の変更の登記又は相続人申告事項の更正の登記に関する登記の記録は、別紙2の振り合いによるものとする。

4 相続人申告事項の更正

(1) 相続人申告事項の更正の通知

登記官は、相続人申告登記、相続人申告事項の変更の登記又は相続人申告事項の更正の登記を完了した後に相続人申告事項に錯誤又は遺漏があることを発見したときは、遅滞なく、その旨をこれらの登記に係る相続人申出等をした者に通知しなければならないとされた。ただし、当該相続人申出等をした者が二人以上あるときは、その一人に対し通知すれば足りるとされた(規則第158条の27第1項)。

イ前記アの通知は、準則別記第71号様式に準ずる様式による通知書によりするものとし、当該通知をした場合には、各種通知簿(準則第18条第6号)に準則第117条の例により所定の事項を記載するものとする。また、当該通知書が返戻された場合の取扱いについては、準則第121条第1項の例によるものとする。

(2) 相続人申告事項の更正をすべき場合

 登記官は、前記(1)アの場合において、相続人申告事項の錯誤又は遺漏が登記官の過誤によるものであるときは、遅滞なく、当該登記官を監督する法務局又は地方法務局の長の許可を得て、相続人申告事項の更正をしなければならないとされた。この場合において、登記官は、当該許可をした者の職名、許可の年月日及び登記の年月日を記録しなければならないとされた(規則第158条の27第2項)。

(3) 相続人申告事項の更正の完了の通知

ア登記官が前記(2)の相続人申告事項の更正をしたときは、その旨を前記(1)ア本文の相続人申出等をした者に通知しなければならないとされた(規則第158条の27第3項前段)。ただし、当該相続人申出等をした者が二人以上あるときは、その一人に対し通知すれば足りるとされた(規則第158条の27第3項後段において準用する同条第1項ただし書)。

イ前記アの通知は、準則別記第72号様式に準ずる様式による通知書によりするものとし、当該通知をした場合には、各種通知簿に準則第117条の例により所定の事項を記載するものとする。また、当該通知書が返戻された場合の取扱いについては、準則第121条第1項の例によるものとする。

(4) その他相続人申告事項の更正に関する取扱い

 前記(1)から(3)までのほか、相続人申告事項の更正に関する取扱いについては、準則第104条、第105条及び第106条並びに不動産登記法附則第3条第1項の規定による指定を受けた事務に係る登記簿の改製作業等の取扱いについて(平成17年4月18日付け法務省民二第1009号当職通達)第2の例によるものとする。また、同通達第2の1に基づく包括的な許可をもって、同通達第2の1の例による前記(2)に係る包括的な許可とみなすものとする。

第4 相続人申告登記の抹消

1 相続人申告登記の抹消の申出

(1) 相続人申告登記の抹消の申出をすることができる場合

ア相続人申告登記が次の(ア又は(イのいずれかに該当するときは、当該相続人申告登記によって付記された者は、その付記に係る相続人申告登記の抹消の申出をすることができるとされた(規則第158条の28第1項)。

(ア)前記第1の15(1)アからエまでに掲げる事由のいずれかがあること。

(イ) 相続人申告名義人が相続の放棄をし、又は民法(明治29年法律第89号)第891条の規定に該当し若しくは廃除によってその相続権を失ったため法第76条の2第1項に規定する者に該当しなくなったこと。

イ前記アの申出をすることができる者は、前記第1の15(1)アからエまでに掲げる事由のいずれかに該当する相続人申出に係る相続人申告登記によって付記された者又は前記ア(イ)の事由に該当する相続人申告名義人のみであり、相続人申告名義人以外の者(相続人申告名義人の相続人を含む。)において前記アの申出をすることは認められない。

(2) 相続人申告登記の抹消の申出において提供しなければならない情報

 前記(1)アによる申出においては、当該相続人申告登記が前記(1)ア(ア)又は(イ)に該当することを証する情報をもその相続人申出等情報と併せて登記所に提供しなければならないとされた(規則第158条の28第2項)。

2 相続人申告登記の抹消

(1) 登記官は、前記1(1)アによる申出(相続人申告登記の抹消の申出)があったときは、職権で、相続人申告登記の抹消をすることができるとされた(規則第158条の29第1項)。

(2) 登記官は、相続人申告登記の抹消をするときは、抹消の登記をするとともに、抹消すべき事項を抹消する記号を記録しなければならないとされた(規則第158条の29第2項)。

(3) 相続人申告登記の抹消に関する記録は、別紙3の振り合いによるものとする。

3 申出によらない相続人申告登記の抹消

(1) 登記官は、相続人申告登記、相続人申告事項の変更の登記又は相続人申告事項の更正の登記を完了した後にこれらの登記が前記第1の15(1)アからウまでのいずれかに該当することを発見したときは、当該登記に係る相続人申出等の申出人に対し、一月以内の期間を定め、当該申出人がその期間内に書面で異議を述べないときは、当該登記を抹消する旨を通知しなければならないとされた。ただし、通知を受けるべき者の住所又は居所が知れないときは、この限りでないとされた(規則第158条の30第1項)。

(2) 前記(1)本文の通知は、次の事項を明らかにしてしなければならないとされた(規則第158条の30第2項)。

ア抹消する登記に係る次に掲げる事項

(ア) 不動産所在事項及び不動産番号

(イ) 登記の目的

(ウ) 申出の受付の年月日及び受付番号

(エ) 登記原因及びその日付

(オ) 申出人の氏名及び住所

イ抹消する理由

(3) 登記官は、前記(1)の異議を述べた者がある場合において、当該異議に理由がないと認めるときは決定で当該異議を却下し、当該異議に理由があると認めるときは決定でその旨を宣言し、かつ、当該異議を述べた者に通知しなければならないとされた(規則第158条の30第3項)。

(4) 登記官は、前記(1)の異議を述べた者がないとき、又は前記(3)により当該異議を却下したときは、職権で、前記(1)の登記を抹消しなければならないとされた。この場合において、登記官は、登記記録に登記の抹消をする事由を記録しなければならないとされた(規則第158条の30第4項)。

(5) 前記(1)から(4)までのほか、申出によらない相続人申告登記の抹消に関する取扱いについては、準則第107条、第109条及び第110条の例によるものとする。

第5 経過措置

 規則中相続人電子申出に関する規定は、規則附則第3条第1項の規定による改製を終えていない登記簿(電子情報処理組織による取扱いに適合しない登記簿を含む。)に係る申出については、適用しないとされた(改正省令附則第3条)。

第6 その他

 前記第1から第5までのほか、相続人申出等に関する事務の取扱いについては、その性質上適当でないものを除き、権利に関する登記の申請に関する事務の取扱いの例によるものとする。

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