信託業法の「営業」

営業って何でしょう。営業に当たるか当たらないかによって、家族信託・民事信託における、受託者資格が決まります。

考え方1[1]

1、営利の目的を持って

2、一定の計画に従い反復継続すること

3、対公衆性すなわち不特定多数の者を相手方とすること

このうち、1つでも欠けている場合は、信託業法の許可を得ないで済む、個人間で信託行為をして問題ない。利益を上げる目的でない場合や、特定多数の委託者、不特定少数の委託者の場合など。

多数、少数ってどのくらいでしょうか。多数は特定されていれば1000名でも良いのでしょうか。委託者が1人でも誰だか分からないと、受託者は不安で信託を引き受けるのは怖いと考えるのではないでしょうか。

考え方2

受託者が、反復継続して信託の引き受けを行う意思をもっている場合、営利の目的を持っていなくても「営業」にあたり、信託業法の許可が必要になる[2]

なぜ許可が必要なのでしょうか。反復継続して信託の引き受けを行う業者と顧客との間に情報量や交渉力の格差が生じうること、受託者が預かった信託財産を自己名義で管理運用するという大きな権限を有することから受託者の義務を加重する必要がある等の理由があるようです[3]

 情報量や交渉力の格差が生じると信用できるということにはならないのか、と少し疑問です。大きな権限を持つから義務も加重する必要がある、というのは納得できます。

自己信託

自己信託については、これを「営業」として行ったとしても、信託業に該当することはなく、信託会社としての免許・登録は不要[4]であるが、多数(50名上)の者が受益権を取得できる場合には、自己信託会社としての登録が必要となる(信託業法50の2条、信託業法施行令15条の2)。

 なぜ、40名ぐらいだと可能なのでしょうか。権限が大きくなるからでしょうか。

よく分からないことが分かった、というくらいしか言えませんが、受託者をみて無理そうだなと思ったら信託銀行にお願いしたり、途中から変更したりすることが必要だと考えます。

食堂入り口のドアに「営業中」の札が下がっていれば、営業していることが分かります。

「営業終了」の札が下がっていると、今日の営業は終了したことと、明日は定休日でない限り営業するということが分かります。

「都合により休業中」の札が下がっていると、今は休業していることと、今後、都合が許せば営業するということが分かります。

「○月○日をもって閉店」などの札が下がっていると、閉店して営業をしないということが分かります。

食堂を持ち出すのは安易かもしれません。しかし、受託者の主観は相手から見えない以上、客観的な基準が必要だと考えます。

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信託業法第2条第1項

(定義)

第二条  この法律において「信託業」とは、信託の引受け(他の取引に係る費用に充てるべき金銭の預託を受けるものその他他の取引に付随して行われるものであって、その内容等を勘案し、委託者及び受益者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定めるものを除く。以下同じ。)を行う営業をいう。

商法第502条第13号

(営業的商行為)

第五百二条  次に掲げる行為は、営業としてするときは、商行為とする。ただし、専ら賃金を得る目的で物を製造し、又は労務に従事する者の行為は、この限りでない。

十三  信託の引受け


[1]弁護士山中眞人『信託フォーラムvol.6』P92

[2]小出卓也『逐条解説 信託業法』 2008 (株)清文社P17

[3]小出卓也『逐条解説 信託業法』 2008 (株)清文社P17

[4] 平成19年信託業法パブリックコメント「その他」

信託の利益相反

1、受託者が2番目の受益者となるべき者になっている。

2、残余財産受益者または残余財産の帰属権利者が信託終了時の受益者となっている。

1、2の定めがある信託行為では、例えば長男が受託者となり父親が亡くなったときは、信託の変更や途中での終了がない限り、長男に財産が帰属することになります。

このような定めは、利益相反にあたる、忠実義務違反にあたるという考えがあります[1][2]

忠実義務は、信託法に定めがあります(30条)が、利益相反についてはどの部分に当たるのか指摘がなく、民法上の利益相反行為(108条など)なのか、信託法31条の利益相反行為の制限なのか判明しません。

信託法上の利益相反行為の制限である信託法31条について考えてみたいと思います。

(利益相反行為の制限)

第三十一条   受託者は、次に掲げる行為をしてはならない。

一   信託財産に属する財産(当該財産に係る権利を含む。)を固有財産に帰属させ、又は固有財産に属する財産(当該財産に係る権利を含む。)を信託財産に帰属させること。

二   信託財産に属する財産(当該財産に係る権利を含む。)を他の信託の信託財産に帰属させること。

三   第三者との間において信託財産のためにする行為であって、自己が当該第三者の代理人となって行うもの

四   信託財産に属する財産につき固有財産に属する財産のみをもって履行する責任を負う債務に係る債権を被担保債権とする担保権を設定することその他第三者との間において信託財産のためにする行為であって受託者又はその利害関係人と受益者との利益が相反することとなるもの

2   前項の規定にかかわらず、次のいずれかに該当するときは、同項各号に掲げる行為をすることができる。ただし、第二号に掲げる事由にあっては、同号に該当する場合でも当該行為をすることができない旨の信託行為の定めがあるときは、この限りでない。

一   信託行為に当該行為をすることを許容する旨の定めがあるとき。

二   受託者が当該行為について重要な事実を開示して受益者の承認を得たとき。

三   相続その他の包括承継により信託財産に属する財産に係る権利が固有財産に帰属したとき。

四   受託者が当該行為をすることが信託の目的の達成のために合理的に必要と認められる場合であって、受益者の利益を害しないことが明らかであるとき、又は当該行為の信託財産に与える影響、当該行為の目的及び態様、受託者の受益者との実質的な利害関係の状況その他の事情に照らして正当な理由があるとき。

3   受託者は、第一項各号に掲げる行為をしたときは、受益者に対し、当該行為についての重要な事実を通知しなければならない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

4   第一項及び第二項の規定に違反して第一項第一号又は第二号に掲げる行為がされた場合には、これらの行為は、無効とする。

5   前項の行為は、受益者の追認により、当該行為の時にさかのぼってその効力を生ずる。

6   第四項に規定する場合において、受託者が第三者との間において第一項第一号又は第二号の財産について処分その他の行為をしたときは、当該第三者が同項及び第二項の規定に違反して第一項第一号又は第二号に掲げる行為がされたことを知っていたとき又は知らなかったことにつき重大な過失があったときに限り、受益者は、当該処分その他の行為を取り消すことができる。この場合においては、第二十七条第三項及び第四項の規定を準用する。

7   第一項及び第二項の規定に違反して第一項第三号又は第四号に掲げる行為がされた場合には、当該第三者がこれを知っていたとき又は知らなかったことにつき重大な過失があったときに限り、受益者は、当該行為を取り消すことができる。この場合においては、第二十七条第三項及び第四項の規定を準用する。

利益相反行為は行為時を基準とし、

(1)信託行為のときと、

(2)受託者が受益権を取得し、信託を終了、清算結了した後に残余財産の帰属権利者として所有権を取得するときで分けて考えます。

まず、1項1号の信託財産に属する財産を固有財産に帰属させること、には(1)、(2)ともあたると考えることができます。信託が途中で変更、終了しない限りは、受託者が受益権を取得し、信託を終了することで信託財産に属する財産を固有財産に帰属させることができるからです。1項2号、3号、4号にはあたりません。

次に、第2項1号により信託行為に利益相反行為を許容する定めがある場合はどのように考えることができるでしょうか。

委託者兼当初受益者と受託者が合意の上で定めているので、許容する定めがある場合は、(1)、(2)共にできることになります。

第2項2号は、(1)の場合はまだ受託者にはなっていませんが、信託行為のときに委託者兼受益者の承認が得られていると考えることができます。(2)の場合は、受託者イコール受益者となっているので、承認を考えることはできません。

第2項3号の「相続その他の包括承継」に受益権の取得は入るのでしょうか。受益権は受益債権とこれを確保するための権利である受益者の地位を表すものです。(1)、(2)ともその他の包括承継にあたる可能性があると考えます。

第2項4号は、(1)の際はまだ受託者になっていないので当てはまりません。

(2)の際は、正当理由があるのかが判断のポイントとなります。

第3項は、受託者から受益者への利益相反行為をしたことの通知、第4項は、受託者と受益者間の利益相反行為は無効となること、第5項は、第4項の場合、受益者が承認すると有効になることを定めています。

第6項、第7項は、受益者が利益相反行為を取り消すことができる場合を挙げています。

 以上から考えてみると、

1、信託行為のときには、

(1)受託者が信託財産の帰属権利者となることの定めを許容する定めがあれば、利益相反行為にはあたらず、行為をすることが出来る

(2)委託者兼受益者の承認が得られていると考えると、利益相反行為にはあたるが、行為をすることが出来る

(3)信託の清算手続きが終了し、信託財産が所有権となって帰属権利者に引き渡す定めが、相続その他の包括承継にあたる場合は、利益相反行為にはあたるが、行為をすることが出来る

2、受託者が受益権を取得し、信託を終了、清算結了した後に残余財産の帰属権利者として所有権を取得するときには、

(1)受託者が信託財産の帰属権利者となることの定めを許容する定めがあれば、利益相反行為にはあたらず、行為をすることが出来る

(2)信託の清算手続きが終了し、信託財産が所有権となって帰属権利者に引き渡すことが、相続その他の包括承継にあたる場合は、利益相反行為にはあたるが、行為をすることが出来る

となります。

信託期間中に、受託者が、現在の受益者の利益を保護するのではなく、自分のために信託財産を保全しようという気持ちとなり、信託事務を行った場合、利益相反となることの指摘があります[3]。受託者が受益者に対して、信託行為で定められた金銭より少なく給付して、受託者に多くの金銭を残すような信託事務を行った場合、利益相反行為にあたるでしょうか。これは一方のマイナスが一方のプラスになるという関係にあり、利益相反行為にあたるといえます。あたるとしたうえで、許容範囲の2項各号に当てはめられるかを判断していくことになります。

なお、利益相反関係には今まで挙げた状況の全てが当てはまり、信認義務という観点からはさらに議論が必要になります。

忠実義務違反について

 前述の金銭の給付に関する信託事務は、忠実義務違反で問われることが妥当と考えることができます。利益相反行為にあたらない場合、あたるが許容される場合であっても、忠実義務違反に問うことはできます。

受託者は、すでに第2次受益者として制限付きの受益権を持っており、第3次受益者の定めもなく、受託者が残余財産の帰属権利者となっている信託では、受託者の信託事務は、現在の受益者の犠牲のもとに自己の利益を図る意思があると推定することができます。


[1]渋谷陽一郎『民事信託のための信託監督人の実務』2017 日本加除出版(株)P269「利益相反となってしまい」と記載。利益相反関係または利益相反行為の結果であるかは明らかではない。

[2] 公益財産法人トラスト未来フォーラム家族信託の実態把握と課題の整理に関する研究会「家族信託の現状と課題」『信託フォーラムvol.6」日本加除出版(株)P17「事実上の利益相反関係が生じるケースがあり得る。」と記載。利益相反行為ではない。

[3]渋谷陽一郎『民事信託のための信託監督人の実務』2017 日本加除出版(株)P269

受益者指定権者等

受益者指定権者+受益者変更権者=受益者指定権者等

1、家族信託・民事信託の設定後に、受益者を指定、変更する権限を持っている→受益者指定権等(信託法89条)

2、権限を持つ者の属性による分類

(1)委託者である場合

 自身が持つ権利を留保している。

例 自身の後継者として指名した者を、健康や資質などの事情で変更する可能性を残したい場合

(2)受託者が持つ場合

 委託者が、信託行為によって受益者指定権を作り、受託者は信託事務として引き受けている。通常の信託事務として、信託行為内の裁量権を持ち善管注意義務などの義務を負う。

例 自己信託をしている場合

(3)第3者が持つ場合

 委託者が、信託行為によって受益者指定権を作り、第3者は委託者から受任している。

例 後継者の次の後継者を、親族ではない取締役に決めてもらう場合

3、受益者を変更、指定した効果

(1)指定、変更した場合

  受益権が移転し、新たに取得した者が受益者

  受託者は、変更前の受益者に通知義務(信託法88条)

(2)指定、変更できる範囲とその限界

   信託設定行為の定め次第。全部の受益者、一部の受益者の変更、最初に1人だけ定めておいて、後に1人追加するような指定も可能。

しかし、信託目的に「受益者の生涯に渡る居住の確保」とあった場合に、何の支援処置も取らずに受益者を変更することは出来ないと考えられます。

4、受託者から受益者への受益権の内容を変更する場合

例 受益者へ給付する金銭を「毎月の上限として30万円」として定めている場合に、これを50万円とする。

(1)受益者指定権等を持つものが対応する[1]

条文通りに読めば、受益者を変更、指定する権利を持つのみで、受益権の内容を変更することが出来るとするのは無理があると考えます。

受益者を新たに指定する場合など、結果的に他の受益者の受益権の内容が変わることはあり得ますが、その場合は、受益者の指定と信託の変更などを併せて行うのが妥当だと考えます。  

(2)信託の変更による

 受益権の内容の変更は、信託の変更と考える方が妥当ではないかと考えます。受益者を新たに指定する場合など、結果的に他の受益者の受益権の内容が変化する場合でも、先に信託の変更により受益権の個数を2つにするか、受益権の割合を50対50などで分けた後に、新受託者に受益権を割り当てることになると考えます。

5、リスク

(1)信託財産と受託者の財産を引き当てにしている債権者、受益者の債権者にとって、誰が受益者であるかは重要。

債権者の知らないところで受益者が変わると保全できない。

6、リスク対応

(1)信託契約書へ「受益権の譲渡禁止・制限特約」の定めを置く

(2)「受益権の移転に伴い債務も移転する。」という定めを置く。

(3)受益権への担保権設定

7、税[2]

(1)前の受益者が存命であれば、新たな受益者に課税。

対価なし→贈与税

適正な対価の負担あり→譲渡取得税

(2)税の考え方は、受益者指定権等の定めがある信託は、受益者連続型信託とされます(相続税法9条の3①、相続税法施行令1条の8)。

・なお、詳細はお近くの税理士にご相談ください。

【条項例】

(受益者指定権等)

第○条 本信託において、受益者指定権等は次の者が有する。

住所

氏名○○(委託者)生年月日

条件 指定、変更後の受益者は、委託者の民法上の親族とする。

(受益者指定権等)

第○条 本信託において、受益者指定権等は次の者が有する。

住所

氏名○○(受託者)生年月日

条件 指定、変更後の受益者は、受託者の民法上の親族のうち疾病などにより働くことが出来なくなった者とする。


[1]平川忠雄ほか『民事信託実務ハンドブック』2016日本法令P143

[2] 青木孝徳ほか『改正税法のすべて』大蔵財務協会 2007 P474~

都市計画マスタープランNOTE

 

順序
1、都市計画区域マスタープランを作る。
都市計画区域マスタープランは、人口、人や物の動き、土地の利用のしかた、公共施設の整備などについて将来の見通しや目標を明らかにし、将来のまちをどのようにしていきたいかを具体的に定めるものです。西原町は、那覇広域都市計画の中に入っています。北は北中城村、南は糸満市までです。

具体的には、以下のような内容を定めます。

(1)都市計画の目標→どんなまちにしたいか。

(2)区域区分(市街化区域と市街化調整区域との区分)の決定の有無及び当該区分を決めるときはその方針→家の隣に大きな工場、その隣に学校、その隣はパチンコ屋さん、その隣は畑、みたいになるとごちゃごちゃして生活も不便になるので、この区域は住宅を集めましょう、この区域には工場などを、とある程度決めてみる。

(3)2の他、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針

2、市町村マスタープラン
 住民に最も近い立場にある市町村が、その創意工夫のもとに住民の意見を反映し、まちづくりの具体性ある将来ビジョンを確立し、地区別のあるべき「まち」の姿を定めるものです。市町村マスタープランは、当該市町村を含む都市計画区域マスタープラン、議会の議決を経て定められた当該市町村の建設に関する基本構想に即したものとなっています。


3、都市計画基礎調査
 都市計画を適切に策定し、実現していくためには、都市の現状や変化の様子などについて幅広くデータを集めて、これに基づいて計画を定める必要があります。そのために、おおむね5年ごとに、都市計画区域について、人口、産業、市街地面積、土地利用、交通量などの現況と将来の見通しについての調査を行っています。

都市計画区域
 都市計画を決めるにあたっては、まず「都市」の範囲を明らかにしなければなりません。そこで、都心の市街地から郊外の農地や山林のある田園地域に至るまで、人や物の動き、都市の発展を見通し、地形などからみて、一体の都市として捉える必要がある区域を、「都市計画区域」として指定します。
 都市計画区域は都市の実際の広がりに合わせて定めるので、その大きさは一つの市町村の行政区域の中に含まれるものからいくつかの市町村にわたる広いものまであります。


●準都市計画区域
 近年、モータリゼーションの進展等により、高速道路のインター周辺や幹線道路の沿道等を中心に大規模な開発、建設が拡大しており、無秩序な土地の利用や良好な景観の喪失が進んでいます。
 そこで、用途地域・風致地区など土地の使われ方を決めるために必要な都市計画を定めるため、「準都市計画区域」を指定できることになりました。

・線引き(区域区分)
 都市計画では、無秩序にまちが広がらないように、一定のルールに基づいて建物の建築などを制限しています。具体的には都市計画区域を2つに区分して、すでに市街地になっている区域や計画的に市街地にしていく区域(市街化区域)と、市街化をおさえる区域(市街化調整区域)を定めます。(区分を定めることを「線引き」と言います。)

●用途地域
 都市における住居、商業、工業といった土地利用は、似たようなものが集まっていると、それぞれにあった環境が守られ、効率的な活動を行うことができます。しかし、種類の異なる土地利用が混じっていると、互いの生活環境や業務の利便が悪くなります。
 そこで、都市計画では都市を住宅地、商業地、工業地などいくつかの種類に区分し、これを「用途地域」として定めています。

第一種低層住居専用地域
低層住宅のための地域です。
小規模なお店や事務所をかねた住宅や、小中学校などが建てられます。

第二種低層住居専用地域
主に低層住宅のための地域です。
小中学校などのほか、150m2までの一定のお店などが建てられます。


第一種中高層住居専用地域
中高層住宅のための地域です。
病院、大学、500m2までの一定のお店などが建てられます。

第二種中高層住居専用地域
主に中高層住宅のための地域です。
病院、大学などのほか、1,500m2までの一定のお店や事務所など必要な利便施設が建てられます。


第一種住居地域
住居の環境を守るための地域です。
3,000m2までの店舗、事務所、ホテルなどは建てられます。

第二種住居地域
主に住居の環境を守るための地域です。
店舗、事務所、ホテル、カラオケボックスなどは建てられます。

準住居地域
道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域です。


近隣商業地域
まわりの住民が日用品の買物などをするための地域です。
住宅や店舗のほかに小規模の工場も建てられます。

商業地域
銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まる地域です。
住宅や小規模の工場も建てられます。

準工業地域
主に軽工業の工場やサービス施設等が立地する地域です。
危険性、環境悪化が大きい工場のほかは、ほとんど建てられます。

工業地域
どんな工場でも建てられる地域です。
住宅やお店は建てられますが、学校、病院、ホテルなどは建てられません。

工業専用地域
工場のための地域です。
どんな工場でも建てられますが、住宅、お店、学校、病院、ホテルなどは建てられません。

地域地区
 都市計画区域内の土地をその利用目的によって区分し、建築物などに対するルールを決め、土地の合理的な利用を図るために、用途地域などの地域地区を指定します。また、準都市計画区域については、用途地域などの地域地区のうち一部の地域地区について指定します。

用途地域における建て方のルール
 用途地域が指定されている地域においては、建築物の用途の制限とあわせて、建築物の建て方のルールが定められています。これによって、土地利用に応じた環境の確保が図られるようになっています。
 例えば、土地の面積と建物の床の面積の比率(容積率と言います。)、道路の幅に見あった建物の高さなどのルールがあります。


●都市施設
 私たちが都市で生活し、学び、仕事などをするためには、みんなが共同で利用する道路、公園、下水道が無くてはなりません。
 都市計画では、将来のまちづくりを考えて、このような都市の骨組みを形づくっている都市施設の位置、規模、構造などを定め、計画的に整備しています。また、将来の事業が円滑に実施できるよう、都市計画に定められた施設の区域内では、建築について規制が課せられます。
 都市施設には、
•道路、都市高速鉄道、駐車場など(交通施設)
•公園、緑地など(公共空地)
•上下水道、電気、ガスなど(供給・処理施設)
•河川、運河その他の水路
•学校、図書館など(教育文化施設)
•病院、保育所など
•市場
•一団地の住宅施設
•一団地の官公庁施設
•流通業務団地
等があります。

都市計画事業
 道路、公園、下水道などを整備する場合は、通常、都市計画事業として行われ、地方公共団体等が必要な用地を買収し、計画に従って工事を実施します。

土地区画整理事業
 土地区画整理事業は、土地の所有者や住民が話し合い、みんなでまちをよくする事業です。みんなが少しずつ土地を提供して、この土地をみんなが使う公園などの公共用地に充てます。それぞれの土地の所有者にとっては、事業後の宅地の面積は少し小さくなりますが、道路や公園などが整備されたり、宅地が整形化されることにより、住みやすく利用価値の高い土地が得られることになります。
 まずは、その地域の所有者の合意が必要となります。


市街地再開発事業

 市街地再開発事業は、中心市街地などの土地を有効高度利用すべき地区において、バラバラに建っていた従来の古い建物を取り壊した上で、みんなで協力して新しい中高層のビルや住宅に建て替えるとともに、区域内の道路や広場をあわせて整備するものです。市街地再開発事業では、事業が行われる前から土地や建物について権利を持っている人は、それぞれの権利に応じて新しくできたビルとその敷地に権利が移し換えられることになります。

特別緑地保全地区
 「特別緑地保全地区」とは、樹木地、草地、水辺地などの緑地のうち、伝統的・文化的価値を有していたり、風致又は景観が優れていて生活環境を確保するために必要な地区を定め緑地として保全するための地域地区です。
 特別緑地保全地区に指定された場合は、建築物の建築や樹木の伐採等緑地の保全に支障がある行為は規制されることになります。

伝統的建造物群保存地区
 「伝統的建造物群保存地区」とは、伝統的建造物群及びこれと一体をなして歴史的風致を形成している環境を保存するため、市町村が定める地域地区です。
 保存地区内においては、主に建築物等の建築又は除却、建築物等の外観の変更、宅地の造成、木竹の伐採、土石の採取等について規制されることになります。


生産緑地地区
 「生産緑地地区」とは、市街化区域内にある一定の要件を満たす農地を農業生産活動を通して緑地として計画的に保全し、良好な都市環境の形成を図るための地域地区です。
 生産緑地地区に指定された場合は、農地として管理しなければならず建築物の建築等農業生産に関係のない行為は規制されることとなります。

景観地区
「景観地区」とは、市街地において、積極的に良好な景観の形成を図るために定められる地域地区です。
景観地区では、建築物や工作物について、デザイン・色彩・高さなど様々な事項が、地域の特性に応じて、総合的に規制されることになります。


環境アセスメント
「環境アセスメント(環境影響評価)」とは、大規模な事業の実施にあたって、それが環境にどのような影響を及ぼすかについて、調査・予測・評価を行い、その結果を公表して住民のみなさん、地方公共団体などから意見を聴き、それらを踏まえて環境の保全の観点から、よりよい事業計画を作り上げていく制度です。
 大規模な道路や土地区画整理事業等を都市計画として定める際には、都市計画を定める手続きとあわせて、実施することになっています。

地区計画で定められるまちづくりのルール
1.地区施設(生活道路、公園、広場、遊歩道など)の配置
2.建物の建て方や街並みのルール
(用途、容積率、建ぺい率、高さ、敷地規模、セットバック、デザイン、生垣化、など)

3.保全すべき樹林地

【策定プロセス】
•地区計画の案は、市町村が条例に基づき、土地所有者等の意見を求めて作成します。
•地区計画の方針が策定された地区内では、土地所有者等が協定を締結して、市町村に対して地区整備計画の策定を要請することができます。
•市町村の条例で定めるところにより、地域住民から市町村に対し、地区計画の案の申し出ができます。

【実現担保】
•通常は、届出・勧告によります。ただし、地区計画で定めたルールを市町村が条例化すれば、強制力が付与されます。
•特定の事項を定めた場合に、特定行政庁の認定・許可により、用途地域の用途、容積率、高さの制限を緩和できる場合があります。


●地区計画
 地区計画は、それぞれの地区の特性に応じて、良好な都市環境の形成を図るために必要なことがらを市町村が定める、「地区計画レベルの都市計画」です。地区計画は、地区の目標、将来像を示す「地区計画の方針」と、生活道路の配置、建築物の建て方のルールなどを具体的に定める「地区整備計画」とからなり、住民などの意見を反映して、街並みなどその地区独自のまちづくりのルールを、きめ細かく定めるものです。


●いろいろな地区計画があります。
地区計画(昭和55年)
防災街区整備地区計画(平成9年)
歴史的風致維持向上地区計画(平成20年)
沿道地区計画(昭和55年)
集落地区計画(昭和62年)
市街化調整区域での地区計画(平成4年)
再開発地区計画(昭和63年→平成14年再開発等促進区に統合)
住宅地高度利用地区計画(平成2年→平成14年再開発等促進区に統合)
再開発等促進区(平成14年)
開発整備促進区(平成18年)
誘導容積型地区計画(平成4年)
容積適正配分型地区計画(平成4年)
高度利用型地区計画(平成14年)
用途別容積型地区計画(平成2年)
街並み誘導型地区計画(平成7年)
立体道路制度(平成元年)

優良なプロジェクトに対する特例制度
 都市計画で定められた容積率は、基盤施設とのバランスや、良好な市街地環境を確保するための基礎的な社会的ルールです。したがって、これらを一律に緩和することは、交通混雑、環境悪化等を招くことから適当ではありません。そこで、過密の弊害を招くことなく、土地の有効利用を効果的に進めるため、公共施設や、オープンスペースの整備等を伴う「優良なプロジェクト」に対しては、「都市再生特別地区」、「特定街区」、「再開発等促進区」、「高度利用地区」といった、容積率の特例制度が適用されます。

都市計画手続き
 都市計画の案を作る段階では、公聴会などにより住民の皆さんの意見を反映させるための措置を講じることとされています。案は公告・縦覧され、住民の皆さんは案に対し意見を提出することができます。案は、提出された意見書を添えて、都市計画審議会に提出され、審議を経た後必要な手続きを経て決定されます。
 なお、都市計画は、広域的・根幹的な見地から決定すべき都市計画については都道府県が定め、その他については、基本的に市町村が定めます。


<公聴会>


今回の西原町都市計画マスタープラン検討委員会は、ここに入っています。一部は公聴会と同時並行で進められました。

<公告・縦覧>
<都市計画審議会>
<都市計画決定>


農地法からの観点(主に転用条件)

第1種農地
10ヘクタール以上の規模の一団の農地、土地改良事業等の対象となった農地等良好な営農条件を備えている農地
原則不許可(土地収用法対象事業等のために転用する場合、例外許可)
・西原町の場合、下線の方針で進める予定です。

第2種農地
鉄道の駅が500m以内にある等、市街地化が見込まれる農地又は生産性の低い小集団の農地
農地以外の土地や第3種農地に立地困難な場合等に許可

第3種農地
鉄道の駅が300m以内にある等、市街地の区域又は市街地化の傾向が著しい区域にある農地
原則許可

河川法からの観点


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参考

国土交通省HP

都市計画法
(市町村の都市計画に関する基本的な方針)

第18条の2  市町村は、議会の議決を経て定められた当該市町村の建設に関する基本構想並びに都市計画区域の整備、開発及び保全の方針に即し、当該市町村の都市計画に関する基本的な方針(以下この条において「基本方針」という。)を定めるものとする。

2 市町村は、基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

3 市町村は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、都道府県知事に通知しなければならない。

4 市町村が定める都市計画は、基本方針に即したものでなければならない

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