登記研究914号(令和6年4月号)テイハン
https://www.teihan.co.jp/book/b10081494.html
【論説・解説】
■「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)」の解説(8・完)
法務省民事局民事第二課補佐官 三 枝 稔 宗
法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之
法務省訟務局訟務企画課訟務調査室法務専門官(前法務省民事局民事第二課法務専門官) 手 塚 久美子
法務省民事局民事第二課不動産登記第四係長 清 水 玖 美
第2 本要領の概要
14 第14節 負担金
15 第15節 国庫帰属による所有権移転
登記原因日付は、負担金が納付された日。
16 第16節 承認の取消し
職権ではなく、申請による。
17 第17節 損害賠償責任
18 第18節 審査請求
承認、負担金の額の通知も行政処分にあたり、審査請求の対象となる。審査請求先は法務大臣。
19 第19節 行政文書開示請求及び保有個人情報開示請求
20 第20節 帳 簿
附 則
相続土地国庫帰属制度事務取扱処理要領の施行日は、2023(令和5)年4月27日。
■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第120回)
一般社団法人商業登記倶楽部代表理事・主宰者、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、一般社団法人日本財産管理協会顧問、日本司法書士会連合会顧問、神 﨑 満治郎
241 医療法人の理事長の登記をめぐる諸問題について
組合等登記令
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339CO0000000029
設立の登記)
第二条 組合等の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、設立の認可、出資の払込みその他設立に必要な手続が終了した日から二週間以内にしなければならない。
2 前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 目的及び業務
二 名称
三 事務所の所在場所
四 代表権を有する者の氏名、住所及び資格
五 存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由
六 別表の登記事項の欄に掲げる事項
別表(第一条、第二条、第六条、第七条の二、第八条、第十四条、第十七条、第二十条、第二十一条の三関係)
医療法人
医療法(昭和二十三年法律第二百五号)
資産の総額
医療法第四十六条の三の六において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第四十七条の二に規定する電子提供措置をとる旨の定めがあるときは、その定め
医療法
第四十六条の六 医療法人(次項に規定する医療法人を除く。)の理事のうち一人は、理事長とし、医師又は歯科医師である理事のうちから選出する。ただし、都道府県知事の認可を受けた場合は、医師又は歯科医師でない理事のうちから選出することができる。
・・・理事長の前提資格となる理事の任期が、理事長の任期。
■商業登記の変遷(60)
司法書士 鈴 木 龍 介(司法書士法人鈴木事務所)
会社は商号を刻印した届出印を登記所に届け出。
→印鑑紙によって登記所に提出。
→改印する場合、印鑑保証人方式の導入。
→登記申請書等に押印された印鑑と、届出印の相違が却下事由として明文化。
→印鑑保証人方式の廃止と、印鑑届出・改印時に、個人の印鑑証明書を添付すること。
→届出印の大きさについて規定。
→印鑑紙の廃止。
→印鑑の提出の任意化。
法務省 法務資料展示室「歴史の壺」第12回
https://www.moj.go.jp/housei/tosho-tenji/housei06_00010.html
最初、商法を作るときにドイツの法学者ヘルマン・ロエスレルという人の商法草案を基にしたようです。では、ドイツでは会社について印鑑を届ける制度があるのか。
・JETRO 外国企業の会社設立手続き・必要書類 ドイツ
https://www.jetro.go.jp/world/europe/de/invest_09.html
JETROのページを見る限りでは、印鑑届のような制度を見つけることは出来ませんでした。
■民事信託の登記の諸問題(31)
渋 谷 陽一郎
受託者が帰属権利者に指定されていることで生じ得る利益相反リスク
信託法(利益相反行為の制限)第三十一条
(略)
2 前項の規定にかかわらず、次のいずれかに該当するときは、同項各号に掲げる行為をすることができる。ただし、第二号に掲げる事由にあっては、同号に該当する場合でも当該行為をすることができない旨の信託行為の定めがあるときは、この限りでない。
一 信託行為に当該行為をすることを許容する旨の定めがあるとき。
二 受託者が当該行為について重要な事実を開示して受益者の承認を得たとき。
三 相続その他の包括承継により信託財産に属する財産に係る権利が固有財産に帰属したとき。
(略)
・信託法183条3項の想定は、最終的に残余財産の帰属権利者が決まらないような、やむを得ない事由がある場合を想定したものか。
・信託行為で受託者を残余財産の帰属権利者として指定している場合、信託目録に、受託者【氏名】と、受託者の肩書を入れる方が良いのか。このようなとき、信託法31条2項1号定めも信託行為に定めて、信託目録に登記申請するのが信託法上、不動産登記法上、あるべき姿か。・・・特定の人を残余財産の帰属権利者として指定したことがないので分かりませんが、受託者の肩書を入れるかに関わらず、受託者の住所氏名を特定するなら、受託者の肩書を入れるかどうかに関わらず信託法31条2項1号定めがあった方がしっくりきます。受託者は信託条項として登記されているので、肩書を入れているかいないかは、問題にならないのではないかと思いました。
・みなし受益者としての受益者変更登記申請(原因、年月日信託の清算開始による受益者変更、みなし受益者の肩書を入れる。)の可否。・・・原因とみなし受益者の肩書を入れることについて、考えたことがありませんでした。
・信託法31条2項2号の受益者の承諾の限界について。信託行為、信託目録と矛盾する登記申請は不可能だと考えられる。例えば、信託不動産の処分が禁止されているのに、受益者の承諾書(信託法27条の取消権を放棄する文言入り。)を提出して所有権移転及び信託登記の抹消登記の申請をすること・・・同意です。
■改正民法と不動産登記実務(12)
民法473条(弁済)、474条(第三者の弁済)、476条(弁済として引き渡した物の消費又は譲渡がされた場合の弁済の効力等)、477条(預金又は貯金の口座に対する払込みによる弁済)、弁済日は、被仕向け金融機関が受取人の預貯金口座に入金記録をした日。
482条(代物弁済)、所有権移転の日付は、原則として代物弁済契約の締結日、債務消滅の日付は、弁済者が給付した日。
486条(受取証書の交付請求等)、同時履行の関係にあることを明文化。
【資 料】会社法施行下で使える登記先例──実務の便覧──(7)
・公告の記載誤りがあった場合
昭和38年9月12日民事甲第2596号民事局長回答「会社の本店所在地の大字名を遺漏して公告された組織変更に関する登記申請の受否について」登記研究191号 ・・・訂正公告なし、上申書添付で登記申請受理。
昭和44年5月12日民事甲1036号民事局長回答「商法第百条第一項の規定による公告をしたことを証する書面の適否について」登記研究 259号・・・吸収合併に関する債権者保護手続きの公告(会社法793条、789条、790条)につき、商号間違い。異議申出期日前に訂正公告のうえ、公告情報を添付して登記申請受理。
昭和44年8月15日民事四発第733号民事局第四課長電報回答「株式譲渡制限のための株券提供公告について」登記研究262号 ・・商号間違いの場合、訂正公告後1カ月(会社法219条)を経過して登記申請があった場合、受理。
2009年10月30日【質疑応答】〔七九〇〇〕「吸収合併消滅会社又は吸収合併存続会社がする官報公告において表示すべき会社の所在場所について」登記研究740号・・・合併契約締結後、本店移転をした場合は、官報公告は新本店を表示。本店移転登記は消滅会社においても必要か、必要な場合、いつの時点で必要か、は分かりませんでした。
2023年7月30日【質疑応答】〔8007〕「組織再編に係る債権者保護手続の公告を、定款上の公告方法の変更に係る登記申請前に、変更後の公告方法により行った場合の登記の受否について」登記研究905号・・・不受理。
・資本金の額
平成18年3月31日民商第782号民事局長通達「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」登記研究698号・・・商業登記規則61条11項に該当する書面は、代表者の作成に係る証明書等。商業登記規則61条11項の事実を証する書面は、代表者の作成に係る証明書等。
・会社法施行規則の一部を改正する省令(令和5年12月27日法務省令第50号)
・電子公告規則の一部を改正する省令(令和5年12月27日法務省令第51号)
・一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和5年12月27日法務省令第52号)
・・・磁気ディスクから電磁的記録媒体への変更。
【訓令・通達・回答】
▽供託関係
〔6225〕供託規則の一部を改正する省令等の施行に伴う供託事務の取扱いについて(令和5年9月11日付け法務省民商第173号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)・・・契印からページ数の記載へ変更。供託物払渡請求書等に押印不要となる場合を規定。委任による代理人の権限を証する書面へ押印する者を供託者に限定。
【質疑応答】▽不動産登記関係
〔8009〕共同相続における租税特別措置法第84条の2の3第2項の適用の可否について・・・2023年3月30日【質疑応答】〔8006〕「共同相続における租税特別措置法第84条の2の3第2項の適用の可否について」登記研究 901号の変更。土地を死亡した相続人と共同相続登記申請する場合について、死亡した相続人については租税特別措置法84条の2の3第1項適用、存命の相続人について、租税特別措置法84条の2の3第2項(不動産の価格が100万円以下の場合の免税)は不適用。