引用についての備忘録です。
文化庁HP
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(注5)引用における注意事項
他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合,すなわち引用を行う場合,一般には,以下の事項に注意しなければなりません。
(1)他人の著作物を引用する必然性があること。
(2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(4)出所の明示がなされていること。(第48条)
(参照:最判昭和55年3月28日 「パロディー事件」)
裁判所HP
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/283/053283_hanrei.pdf
昭和55年3月28日最高裁判所第三小法廷判決
裁判要旨
一 旧著作権法(明治三二年法律第三九号)三〇条一項二号にいう引用とは、紹介、参照、論評その他の目的で自己の著作物中に他人の著作物の原則として一部を採録することをいい、引用を含む著作物の表現形式上、引用して利用する側の著作物と、引用されて利用される側の著作物とを明瞭に区別して認識することができ、かつ、右両著作物間に前者が主、後者が従の関係があることを要する。
二 他人が著作した写真を改変して利用することによりモンタージュ写真を作成して発行した場合において、右モンタージュ写真から他人の写真における本質的な特徴自体を直接感得することができるときは、右モンタージュ写真を一個の著作物とみることができるとしても、その作成発行は、右他人の同意がない限り、その著作者人格権を侵害するものである。
三 雪の斜面をスノータイヤの痕跡のようなシュプールを描いて滑降して来た六名のスキーヤーを撮影して著作した判示のようなカラーの山岳風景写真の一部を省き、右シュプールをタイヤの痕跡に見立ててその起点にあたる雪の斜面上縁に巨大なスノータイヤの写真を合成して作成した判示のような白黒のモンタージユ写真を発行することは、右山岳風景写真の著作者の同意がない限り、その著作者人格権を侵害するものである。
(二につき補足意見がある。)
公益社団法人著作権情報センター
https://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime7.html
「著作権Q&A 著作権って何?(はじめての著作権講座)」
Q. 他人の著作物を引用するときの注意点を教えてください。
A.「引用」とは、例えば論文執筆の際、自説を補強するため、他人の論文の一部分をひいてきたりするなどして、自分の著作物の中に他人の著作物を利用することをいいます。この場合、著作権者の許諾なしにその著作物を利用することができますが、「引用」といえるためには、「引用の目的上正当な範囲内」で行われるものであり、以下の条件を満たしていなければなりません。
・すでに公表されている著作物であること
・「公正な慣行」に合致すること
・報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であること
・引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
・カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
・引用を行う「必然性」があること
・ 「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)
参考条文…著作権法第32条、第48条
参考
裁判所HP
平成30年8月23日判決言渡
平成30年(ネ)第10023号 著作権侵害差止等本訴請求,損害賠償反訴請求控訴事件(原審:東京地方裁判所平成28年(ワ)第37339号)
「公正な慣行」に合致し,また「引用の目的上正当な範囲内」で行われたことについての判断基準と判断要素について
原判決は,上記2要件の判断基準について,「他人の著作物を利用する側の利用の目的のほか,その方法や態様,利用される著作物の種類や性質,当該著作物の著作権者に及ぼす影響の有無・程度などを総合考慮すべきである。」としており,それ自体は妥当である。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/950/087950_hanrei.pdf
平成25年7月16日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官
平成24年(ワ)第10890号 損害賠償請求事件
引用の要件
(1) 他の部分と明瞭に区別することができること
本件掲載行為は,本件パンフレットの表紙をそのまま掲載したものであり,
ウェブページ内の他の部分とは明瞭に区別することができる。
(2) 本件イラスト以外のウェブページの記載が主であり,本件イラストが従の
関係にあること
本件イラストのウェブページ全体に占める割合は小さく,本件大学校と被
告岡山県の連携に関する説明文(本文)に添えられているものにすぎないか
ら,本文との主従関係が明らかである。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/411/083411_hanrei.pdf
平成13年(ワ)第12339号 損害賠償等請求事件
口頭弁論終結日 平成14年12月18日
引用の判断
(2) 上記認定した事実に基づいて判断する。
本件写真ビラは,専ら,公明党,原告及びDを批判する内容が記載された宣伝用のビラであること,原告写真1の被写体の上半身のみを切り抜き,本件写真ビラ全体の約15パーセントを占める大きさで掲載し,これに吹き出しを付け加えていること等の掲載態様に照らすならば,原告の写真の著作物を引用して利用することが,前記批判等の目的との関係で,社会通念に照らして正当な範囲内の利用であると解することはできず,また,このような態様で引用して利用することが公正な慣行に合致すると解することもできない。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/286/011286_hanrei.pdf
文化庁 著作権なるほど質問箱
引用と無断転載は別
原則として無断転載は禁止、例外として行政の広報資料などで条件を満たす場合に許される。
イ、「行政の広報資料」等の転載(第32条第2項)
国・地方公共団体の行政機関、独立行政法人の「広報資料」「調査統計資料」「報告書」などを、「新聞」「雑誌」などの刊行物に転載する場合の例外です。
【条件】
ア 一般に周知させることを目的とした資料であること
イ行政機関等の名義の下に公表した資料であること
ウ説明の材料として転載すること
エ転載を禁止する旨の表示がないこと
オ「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)
https://pf.bunka.go.jp/chosaku/chosakuken/naruhodo/outline/8.h.html
骨董通り法律事務所