元本受益権について

参考 (一社)民事信託推進センター テーマ別研修会「信託税務2つの事例の考察を中心として」 令和2年11月10日 税理士・司法書士 白 稲子 白稲子©2020

税務に関する最終判断は、税理士に依頼をお願いします。

・元本受益権、何に使うのか。

私は信託契約書の中に元本受益権という言葉を使ったことはありませんが、色々なところで使われています。

・国税庁

相続税法基本通達【第9条の3((受益者連続型信託の特例))関係】

[blogcard url=”https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sozoku/070704/08.htm”]

(受益者連続型信託に関する権利の価額)

9の3─1 受益者連続型信託に関する権利の価額は、例えば、次の場合には、次に掲げる価額となることに留意する。

(1) 受益者連続型信託に関する権利の全部を適正な対価を負担せず取得した場合 信託財産の全部の価額

(2) 受益者連続型信託で、かつ、受益権が複層化された信託(以下9の3─3までにおいて「受益権が複層化された受益者連続型信託」という。)に関する収益受益権の全部を適正な対価を負担せず取得した場合 信託財産の全部の価額

(3) 受益権が複層化された受益者連続型信託に関する元本受益権の全部を適正な対価を負担せず取得した場合(当該元本受益権に対応する収益受益権について法第9条の3第1項ただし書の適用がある場合又は当該収益受益権の全部若しくは一部の受益者等が存しない場合を除く。)零

(注) 法第9条の3の規定の適用により、上記(2)又は(3)の受益権が複層化された受益者連続型信託の元本受益権は、価値を有しないとみなされることから、相続税又は贈与税の課税関係は生じない。ただし、当該信託が終了した場合において、当該元本受益権を有する者が、当該信託の残余財産を取得したときは、法第9条の2第4項の規定の適用があることに留意する。

・財産評価基本通達202(信託受益権の評価)

[blogcard url=”https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/01.htm”]

202 信託の利益を受ける権利の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。(平11課評2-12外・平12課評2-4外改正)

(1) 元本と収益との受益者が同一人である場合においては、この通達に定めるところにより評価した課税時期における信託財産の価額によって評価する。

(2) 元本と収益との受益者が元本及び収益の一部を受ける場合においては、この通達に定めるところにより評価した課税時期における信託財産の価額にその受益割合を乗じて計算した価額によって評価する。

(3) 元本の受益者と収益の受益者とが異なる場合においては、次に掲げる価額によって評価する。

イ 元本を受益する場合は、この通達に定めるところにより評価した課税時期における信託財産の価額から、ロにより評価した収益受益者に帰属する信託の利益を受ける権利の価額を控除した価額

ロ 収益を受益する場合は、課税時期の現況において推算した受益者が将来受けるべき利益の価額ごとに課税時期からそれぞれの受益の時期までの期間に応ずる基準年利率による複利現価率を乗じて計算した金額の合計額

・税務大学校論叢第 92 号 平成 30 年6月 佐 々 木 誠「受益権が質的に分割された信託に対する所得税の課税に関する考察」

[blogcard url=”https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/92/03/03.pdf”]

「はじめに」より抜粋

受益権が質的に分割される信託のうち、今後、個人の財産管理や承継のために活用が見込まれる元本分配と収益分配を受ける権利を分割する信託や、信託収益を受益者に分配せずに、その全部又は一部が留保される信託を念頭に置き、現行の受益者等課税信託に代わる新たな課税方式を検討することとしたい。

・相続税法9条の2第4項

・相続税法施行令1条の8

・相続税法基本通達9-13

何やら、税金に関係があるようです。元本はアパートで考えると建物と土地(所有権、借地権)、収益は、賃料などから、元本を維持するための費用を差し引いたお金、とひとまず考えたいと思います。

このような信託を設定することで何か良い事があるのか。

・受益者連続型信託の場合、委託者兼受益者が亡くなった場合、次の順位の元本受益者には、「課税上は元本受益権の権利の価額は0円として扱われます[1]」、とありますが、私は土地建物の価額を0円と評価するのは(次の順位の元本受益者の居住の有無に関わらず)難しいような気がするのですが、実務運用はどのようになっているのか気になります。税法上の優遇措置を利用する場合を除きます。

[1] (一社)民事信託推進センター「民事信託ハンドブック」平成28年 日本法令P370~

元本受益権、誰が使うのか。

・受益者連続信託における、第2次受益者以降の受益者を想定しているのだと思います。

元本受益権はどのように評価するのか。

・信託が続いているうちは、0円。終了時に、終了原因、残余財産の帰属権利者(受益者)により課税。

・配偶者居住権の算定式を参考に評価。

国税庁HP

[blogcard url=”https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/4666.htm”]

0円と1,300万円だと大分違ってきます。

・その他の算定方法

・固定資産税評価額

・相続税評価額

他に適切な算定方法があれば教えて下さい。

 

 

 

 

・遺留分侵害額の請求との関係

 

遺留分侵害額の請求の対象となる受益権

 

委託者兼受益者(他に当初受益者がいる場合はその人も含みます。)が亡くなった場合と、第2次受益者が亡くなった場合を同じ計算方法で行うものとします。

 

・元本受益権、収益受益権ともに受益者が亡くなった年度の相続税評価額×給付の期間×給付の内容の金銭評価。

 

・他に適切な方法があれば教えて下さい。

PAGE TOP