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「信託に関する法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)
(平19.6.22 課法2-5他1課共同)
1 法人課税信託に係る所得の金額の計算の通則
第1 法人税基本通達関係
1 法人課税信託に係る所得の金額の計算の通則
【新設】 (受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託の範囲)
12の6-1-1 法第2条第29号の2イ((法人課税信託))に規定する受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託には、信託法第185条第3項((受益証券の発行に関する信託行為の定め))に規定する受益証券発行信託のほか、例えば、外国法を準拠法とする信託で受益権を表示する証券を発行する旨の定めのあるものが含まれることに留意する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 本通達は、法人税法第2条第29号の2イ((法人課税信託))に規定する「受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託」の範囲を明らかにしている。
信託法(平成18年法律第108号)(以下「新信託法」という。)においては、これまで貸付信託法などの特別法に基づく貸付信託、投資信託等に限られていた受益権の証券化が一般的に認められることとされ、信託行為において1又は2以上の受益権を表示する証券(以下「受益証券」という。)を発行する旨の定めのある信託(以下「受益証券発行信託」という。)に関する規定が設けられた(新信託法185)。
また、法人税法においては、法人課税信託として受託法人に法人税が課される信託の一つとして、受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託(集団投資信託を除く。以下同じ。)が規定された(法2二十九の二イ)。
2 ところで、法人税法においては、上述のように新信託法の規定を直接引用せずに「受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託」と定義されていることから、その範囲が新信託法に規定されている受益証券発行信託と必ずしも一致する規定振りとなっていない。これは、法人税法における「受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託」には、我が国の新信託法に規定する受益証券発行信託のほか、例えば、外国法を準拠法とする信託で受益権を表示する証券を発行する旨の定めのあるものが含まれることによるのである。本通達はこのことを留意的に明らかにしている。
3 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通15の2-1-1)を定めている。
(注) 外国法を準拠法とする信託で受益権を表示する証券を発行する旨の定めのあるものであっても、投資信託及び投資法人に関する法律(昭和26年法律第198号)第2条第2項((定義))に規定する委託者非指図型投資信託に類する外国投資信託に該当する場合には、その信託は集団投資信託に該当し、当該信託に係る信託収益を受領した時に受益者に課税することとなる。したがって、実務上、外国法を準拠法とする信託で受益権を表示する証券を発行する旨の定めのあるものは、一義的に法人課税信託に該当するというものではなく、むしろ集団投資信託に該当するケースが多いと考えられる。
《参考》
○ 新信託法(抄)
((受益証券の発行に関する信託行為の定め))
第185条 信託行為においては、この章の定めるところにより、一又は二以上の受益権を表示する証券(以下「受益証券」という。)を発行する旨を定めることができる。
2 前項の規定は、当該信託行為において特定の内容の受益権については受益証券を発行しない旨を定めることを妨げない。
3 第一項の定めのある信託(以下「受益証券発行信託」という。)においては、信託の変更によって前二項の定めを変更することはできない。
4 第一項の定めのない信託においては、信託の変更によって同項又は第二項の定めを設けることはできない。
【新設】 (信託財産に属する資産のみを信託する場合の課税関係)
12の6-1-2 法人が委託者となる信託のうち、受託者の信託財産に属する資産のみを信託するもの(以下12の6-1-2において「再信託」という。)については、当該受託者において法第2条第29号の2ハ((法人課税信託))に掲げる信託に該当しないのであるが、当該再信託の類型や契約内容等により、集団投資信託、受益者等課税信託又は法人課税信託(同号ハに掲げるものを除く。)のいずれかに該当することとなることに留意する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 平成19年度税制改正後の法人税法においては、受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託、受益者等が存しない信託及び法人が委託者となる信託で一定のものは、法人課税信託として定義され、その信託の受託者を納税義務者としてその信託財産に帰せられる所得につき当該受託者の固有財産に帰せられる所得とは区別して法人税が課されることとされた(法2二十九の二ハ、法4の6 )。このうち、「法人が委託者となる信託で一定のもの」として、租税回避のおそれがある典型的な次の3つの類型に係る規定が設けられた(法2二十九の2ハ)。
事業の重要部分の信託で委託者の株主等を受益者とするもの
委託者である法人又はその特殊関係者が受託者である信託(以下「自己信託等」という。)で存続期間が20年を超えるもの
自己信託等で収益の分配割合が変更可能であるもの
2 ところで、法人が委託者となる信託であっても、信託財産に属する資産のみを信託するものは、法人課税信託の範囲から除かれている(法2二十九の二ハかっこ書)。この「信託財産に属する資産のみを信託するもの」とは、いわゆる再信託のことを示しているのであるが、再信託については租税回避のおそれがあるとはいえないと考えられるため、「法人が委託者となる信託で一定のもの」には該当しないこととされている。
3 したがって、再信託については、当該再信託が法人が委託者となる信託であっても、法人税法第2条第29号の2ハの規定によって法人課税信託とされることはないが、当該再信託の類型や契約内容等により、集団投資信託、受益者等課税信託又は法人課税信託(同号イ、ロ、ニ又はホに掲げるものに限る。)のいずれかに該当することとなる。
このことは法令の規定上明らかであるが、「法人が委託者となる信託で一定のもの」から除かれた再信託の取扱いについて疑義を抱く向きも見受けられるので、本通達において念のため明らかにしている。
4 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通15の2-1-2)を定めている。
【新設】 (法人の事業の全部又は重要な一部の信託)
12の6-1-3 法第2条第29号の2ハ(1) ((法人課税信託))の株主総会の決議を要するものとは、法人の事業の全部又は重要な一部の譲渡を行う場合において、当該法人の株主総会の決議(これに準ずるものを含む。)によって、当該譲渡に係る契約の承認を受けなければならないこととされる行為をいうのであるから、現にその決議が行われたかどうかは問わないことに留意する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 新信託法においては、受託者が信託目的の達成のために必要な一切の行為をすることができることが明確化され、これにより信託財産の管理・処分行為とはいえないような債務負担行為等も信託として行うことができることとなった(新信託法2 )。また、信託の受託者による引受け時において、委託者の債務を受託者が信託財産によって履行する責任を負う債務とすることが明文化され、いわゆる事業信託が可能となった(新信託法21 三)。
2 このような事業信託について、法人税法においては、法人が委託者となる信託で当該法人の事業の全部又は重要な一部を信託するものであって委託者の株主等を受益者とするものは、法人課税信託に該当することとされている。具体的には、法人(公共法人及び公益法人等を除く。)が委託者となる信託(再信託を除く。)で、当該法人の事業の全部又は重要な一部を信託し、かつ、その信託の効力が生じた時において、当該法人の株主等が取得する受益権のその信託に係るすべての受益権に対する割合が100分の50を超えるものに該当することが見込まれていたものは、法人課税信託に該当することとされている。
そして、この場合の「当該法人の事業の全部又は重要な一部」とは、その譲渡につき会社法第467条第1項((事業譲渡等の承認等))(次の 及び に係る部分に限る。)の株主総会の決議(これに準ずるものを含む。以下同じ。)を要するものがこれに該当するものとされている(法2二十九の二ハ(1))。
事業の全部の譲渡
事業の重要な一部の譲渡(当該譲渡により譲り渡す資産の帳簿価額が当該株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の5分の1(これを下回る割合を定款で定めた場合にはその割合)を超えないものを除く。)
なお、この株主総会の決議は、同法第309条第2項第11号((株主総会の決議))の規定により、原則として、特別決議を要するものである。
3 ところで、この場合の株主総会の決議については、法令の規定上は「株主総会の決議(これに準ずるものを含む。)を要するもの」とされている。
この点、事業信託は、信託の法形式上は事業の譲渡に該当することから、法人の事業の全部又は事業の重要な一部を信託した場合には、その信託につき、特別決議によって当該譲渡に係る契約の承認を受けなければならないこととなる。
しかしながら、特別決議を行う必要があるにもかかわらず、これを行っていない事業信託が存する場合には、当該事業信託は、「株主総会の決議」を行っていないから法人課税信託に該当しないのではないかとの疑義が生じるやもしれないが、法令上は上述のとおり、「株主総会の決議(……)を要するもの」が法人課税信託の対象となることが規定されているのであり、実際にその特別決議が行われたかどうかまでを要件としているのではないのである。
本通達は、このことを留意的に明らかにしている。
4 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通15の2-1-3)を定めている。
【新設】 (受益者、委託者、受託者その他の者がその裁量により決定することができる場合)
12の6-1-4 令第14条の5第6項((法人が委託者となる法人課税信託))に掲げる「受益者、委託者、受託者その他の者がその裁量により決定することができる場合」には、例えば、信託行為において受益者である特殊関係者に対する収益の分配の割合が確定的に定められている場合であっても、信託の効力発生時において、信託行為に受益者、委託者、受託者その他の者のいずれかが信託の変更によりその定めの内容の変更を単独で行う権限を有する旨の信託法第149条第4項((関係当事者の合意等))に規定する別段の定めがある場合が含まれるのであるから、留意する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 新信託法により、特定の者が一定の目的に従い自己の有する一定の財産の管理又は処分及びその他の当該目的達成のために必要な行為を自らすべき旨の意思表示を公正証書その他の書面又は電磁的記録で行う方法により、委託者が自ら受託者となる信託として「自己信託」が認められることとなった(新信託法3三)。
2 法人税法においては、法人が委託者となる信託で、この「自己信託」に該当する信託又は委託者である法人の特殊関係者が受託者となる信託であって、その法人の特殊関係者をその受益者とし、かつ、信託の効力発生時において当該特殊関係者に対する収益の分配の割合の変更が可能である場合には、これらの信託は法人課税信託に該当することとされている(法2二十九の二ハ(3))。この場合の「収益の分配の割合の変更が可能である場合」とは、その特殊関係者に対する収益の分配の割合につき受益者、委託者、受託者その他の者がその裁量により決定することができる場合とされている(令14の5 )。
3 具体的にどのような場合がこれに当たるかは、信託行為の内容等により様々であろうが、信託の効力発生時において、これらの者のうちの特定の者が受益者である特殊関係者に対する収益の分配の割合を裁量により決定することができる旨が信託行為に定められている場合は、当然これに当たるところである。
また、このように信託行為に特定の者が収益の分配の割合を裁量により決定することができる旨を定めておらず、受益者である特殊関係者に対する収益の分配の割合が確定的に定められている場合であっても、その信託の変更につき新信託法第149条第4項((関係当事者の合意等))の規定による信託行為に別段の定めがあることにより、収益の分配の割合の変更を特定の者が単独で行う権限を有することとなっているときにはこれに当たるところである。本通達はこのことを例示的に明らかにしている。
4 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通15の2-1-4)を定めている。
(注) 新信託法第149条第1項の規定による委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる信託の変更においても収益の分配の割合が変更可能と考えられるが、この規定による信託の変更は、これら三者間の合意が必要となることから、通常は、「受益者、委託者、受託者その他の者がその裁量により決定することができる場合」に含まれないものと考えられる。
《参考》○ 新信託法(抄)
((関係当事者の合意等))
第149条 信託の変更は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。この場合においては、変更後の信託行為の内容を明らかにしなければならない。
2・3 省略
4 前三項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
以下省略
【新設】 (法人課税信託に係る受託法人の内外判定と納税地)
2の6-1-5 法人課税信託の受託者である法人又は個人の当該法人課税信託に係る納税地は、法第1編第6章((納税地))に定めるところによるのであるから、例えば、法第4条の7第1号又は第2号((受託法人等に関するこの法律の適用))の規定により当該法人課税信託に係る受託法人が内国法人又は外国法人のいずれに該当するかにかかわらないことに留意する。
(注) 法人課税信託の受託者である内国法人について、同号の規定によりその法人課税信託に係る受託法人が外国法人とされた場合における法人税の課税標準は、法第141条((外国法人に係る各事業年度の所得に対する法人税の課税標準))に定めるところによる。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 法人課税信託の受託者は、各法人課税信託の信託資産等(信託財産に属する資産及び負債並びに当該信託財産に帰せられる収益及び費用をいう。以下同じ。)及び固有資産等(法人課税信託の信託資産等以外の資産及び負債並びに収益及び費用をいう。以下同じ。)ごとに、それぞれ別の者とみなして法人税法(同法第4条((納税義務者))、第6章((納税地))等の一定の規定を除く。)の規定を適用することとされている(法4の6 )。この場合において、各法人課税信託の信託資産等及び固有資産等は、これら各別の者にそれぞれ帰属するものとされている(法4の6 )。そして、法人課税信託に係る信託資産等が帰属する者として固有資産等が帰属する者と別の者とみなして法人税法の規定を適用する場合における受託者である法人(受託者が個人である場合には、その個人)を「受託法人」と規定している(法4の7)。
2 受託法人に対する法人税法の適用に当たっては、そもそも信託制度は財産管理制度であり、会社法などの組織法とは異なる制度であることなどから、受託法人に一般事業法人を前提とした法人税法上の規定と同様の規定をそのまま適用することには限界があることなどを理由として、様々な調整規定が設けられているところであり、その一つとして受託法人が内国法人又は外国法人のいずれであるかは次のとおり判定することとされている(法4の7一、二)。
法人課税信託の信託された営業所、事務所その他これらに準ずるもの(以下「営業所」という。)が国内にある場合には、当該法人課税信託に係る受託法人は、内国法人とする。
法人課税信託の信託された営業所が国内にない場合には、当該法人課税信託に係る受託法人は、外国法人とする。
3 このことから、内国法人である受託者について、その法人課税信託の信託された営業所が国内にないため受託法人としては外国法人とされた場合において、当該外国法人たる受託法人の納税地はどこになるのか、という疑問を抱く向きもあろう。
この点、法人課税信託の受託者について、その信託資産等及び固有資産等ごとに各別の者として適用される法人税法の規定には、納税義務者に係る規定とともに納税地に係る規定は含まれないのである(法4の6 )。したがって、上記事例のように内国法人であるその法人が受託法人としては外国法人に該当する場合であっても、その納税地が当該内国法人と別個の納税地となることはない。
これにより、法人課税信託に係る受託法人が内国法人又は外国法人のいずれに該当するかにかかわらず、その受託法人の納税地は受託者である当該法人の納税地(受託者が個人の場合にあっては、当該個人の納税地(所法15))となるのである。
本通達の本文においては、このことを明らかにしている。
4 また、受託者である内国法人について、法人税法第4条の7第2号の規定によりその法人課税信託の受託法人が外国法人とされた場合における各事業年度の法人税の課税標準は、各事業年度の所得の金額のうち同法第141条各号((外国法人に係る各事業年度の所得に対する法人税の課税標準))に掲げる外国法人の区分に応じ当該各号に掲げる国内源泉所得に係る所得の金額となる。本通達の注書においてこのことを留意的に明らかにしている。
【新設】 (信託の効力が生じた時)
12の6-1-6 法第4条の7第7号((受託法人等に関するこの法律の適用))の規定により、受託法人が設立されたものとされる当該受託法人に係る法人課税信託の効力が生ずる日の判定に当たっては、次に掲げる信託の方法に応じ、それぞれ次によることに留意する。
(1) 信託法第3条第1号((信託の方法))に掲げる信託契約を締結する方法 当該信託契約の締結時
(2) 同条第2号に掲げる遺言をする方法 当該遺言の効力発生時
(3) 同条第3号に掲げる意思表示を公正証書その他の書面又は一定の電磁的記録によってする方法 次のいずれかの時
イ 公正証書又は公証人の認証を受けた書面若しくは電磁的記録(以下12の6-1-6において「公正証書等」という。)によってされる場合 当該公正証書等の作成時
ロ 公正証書等以外の書面又は電磁的記録によってされる場合 受益者となるべき者として指定された第三者(当該第三者が2人以上ある場合にあっては、その1人)に対する確定日付のある証書による当該信託がされた旨及びその内容の通知時
(注)
1 本文のいずれの方法による場合であっても、信託行為に停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件の成就又は当該始期の到来により、効果が生ずる時となることに留意する。
2 法人課税信託のうち法第2条第29号の2ハ((法人課税信託))に掲げるもの及び令第14条の2((委託者が実質的に多数でない信託))に掲げる信託における効力が生じた時の判定についても、同様とする。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 法人課税信託に係る信託資産等が帰属する者として固有資産等が帰属する者とは別の者とみなして法人税法の規定が適用されることとなる受託法人は、当該受託法人に係る法人課税信託の効力が生ずる日に設立されたものとされ(法4の7七)、一般の法人と同様に、同日から2月以内に所轄税務署長への設立の届出を要し(法148)、また、同日から事業年度が開始することとなる(法13)。このため、法人課税信託の効力が生ずる日がいつであるかが重要となるのである。本通達では、この点について、新信託法の規定に基づき具体的にその時期を明らかにしている。
2 新信託法において信託の方法は次の3つに区分され、それぞれ次に掲げる事由により信託の効力を生ずることとされている(新信託法3、4)。
(1) 特定の者との間で、当該特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨等の契約(以下「信託契約」という。)を締結する方法 信託契約の締結
(2) 特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨等の遺言をする方法 遺言の効力の発生
(3) 特定の者が一定の目的に従い自己の有する一定の財産の管理又は処分等を自らすべき旨の意思表示を公正証書その他の書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)で当該目的、当該財産の特定に必要な事項等を記載し又は記録したものによってする方法 次のいずれかの事由
イ 公正証書又は公証人の認証を受けた書面若しくは電磁的記録(以下「公正証書等」という。)によってされる場合 当該公正証書等の作成
ロ 公正証書等以外の書面又は電磁的記録によってされる場合 受益者となるべき者として指定された第三者(当該第三者が2人以上ある場合にあっては、その1人)に対する確定日付のある証書による当該信託がされた旨及びその内容の通知
ただし、(1)から(3)までの効力の発生事由にかかわらず、信託は、信託行為に停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件の成就又は当該始期の到来によってその効力が生ずることとされている。
3 法人税法においても、信託の効力がいつ生じたものかについては新信託法の規定と取扱いを異にする理由はないことから、受託法人の設立の日となる「法人課税信託の効力が生ずる日」は、上記2(1)から(3)までの方法に応じてそれぞれ定められた効力発生事由に基づき判定することとなる。本通達の本文では、このことを明らかにしている。
4 また、2のただし書にあるとおり、法人課税信託の信託行為に停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件の成就又は当該始期の到来により、法人の設立の日となる。本通達の(注)1では、このことを明らかにしている。
5 ところで、法人課税信託のうち、法人税法第2条第29号の2ハ((法人課税信託))に掲げるものには、法人が委託者となる信託で一定の要件を満たすものが該当するが、この場合の要件の一つとして、当該法人の特殊関係者をその受益者とし、かつ、当該特殊関係者に対する収益の分配の割合につき、受益者、委託者、受託者等がその裁量により決定することができる場合に該当したことが規定されている(同号ハ(3))。また、集団投資信託のうち、合同運用信託についてその範囲から委託者が実質的に多数でないものとして一定の要件を満たすものが除かれることとされている(法2二十六、令14の2)。これらはいずれも、その要件の判定を行う時期が、「信託の効力が生じた時」(法2二十九の二ハ(3)、令14の2 )とされていることから、本通達の本文と同様に取り扱われることとなるのである。本通達の(注)2では、このことを明らかにしている。
6 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通15の2-1-5)を定めている。
《参考》
○ 新信託法(抄)
((信託の方法))
第3条 信託は、次に掲げる方法のいずれかによってする。
一 特定の者との間で、当該特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の契約(以下「信託契約」という。)を締結する方法
ニ 特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の遺言をする方法
三 特定の者が一定の目的に従い自己の有する一定の財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為を自らすべき旨の意思表示を公正証書その他の書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)で当該目的、当該財産の特定に必要な事項その他の法務省令で定める事項を記載し又は記録したものによってする方法
《信託の効力の発生》
第4条 前条第一号に掲げる方法によってされる信託は、委託者となるべき者と受託者となるべき者との間の信託契約の締結によってその効力を生ずる。
2 前条第二号に掲げる方法によってされる信託は、当該遺言の効力の発生によってその効力を生ずる。
3 前条第三号に掲げる方法によってされる信託は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定めるものによってその効力を生ずる。
一 公正証書又は公証人の認証を受けた書面若しくは電磁的記録(以下この号及び次号において「公正証書等」と総称する。)によってされる場合 当該公正証書等の作成
ニ 公正証書等以外の書面又は電磁的記録によってされる場合 受益者となるべき者として指定された第三者(当該第三者が二人以上ある場合にあっては、その一人)に対する確定日付のある証書による当該信託がされた旨及びその内容の通知
4 前三項の規定にかかわらず、信託は、信託行為に停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件の成就又は当該始期の到来によってその効力を生ずる。
【新設】 (法人課税信託に該当することとなった日の意義)
12の6-1-7 特定受益証券発行信託(法第2条第29号ハ((集団投資信託))に規定する「特定受益証券発行信託」をいう。以下12の6-1-7において同じ。)の計算期間の中途においてその承認受託者(同号ハ(1)に規定する「承認受託者」をいう。以下12の6-1-7において同じ。)がその承認を取り消された場合又は当該特定受益証券発行信託の受託者に承認受託者以外の者が就任した場合における、法第4条の7第7号((受託法人等に関するこの法律の適用))に掲げる「法人課税信託以外の信託が法人課税信託に該当することとなった場合にはその該当することとなった日」とは、その承認を取り消された日又は承認受託者以外の者が就任した日を含む計算期間の翌計算期間の開始の日をいうことに留意する。
(注) 本文の場合には、その承認を取り消された日又は承認受託者以外の者が就任した日を含む計算期間については、特定受益証券発行信託に該当する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 新信託法においては、これまで貸付信託法などの特別法に基づく貸付信託、投資信託等に限られていた受益権の証券化が一般的に認められることとされ、信託行為において受益証券を発行する旨の定めのある受益証券発行信託に関する規定が設けられた(新信託法185)。
2 法人税法においては、この受益証券発行信託は、集団投資信託に該当するものを除き、同法第2条第29号の2イ((受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託))に該当することから、法人課税信託として信託段階において受託法人を納税義務者として法人税が課されることとされている。
(注) 受益証券発行信託のうち、信託事務の実施につき税務署長の承認を受けた法人(以下「承認受託者」という。)が引き受けたもので一定の要件に該当するもの(以下「特定受益証券発行信託」という。)は、集団投資信託として信託収益を現実に受領した時に受益者に課税することとされている(法2二十九ハ)。
3 ところで、法人課税信託の受託法人は、当該法人課税信託の効力が生ずる日に設立されたものとされ、また、法人課税信託以外の信託が法人課税信託に該当することとなった場合にはその該当することとなった日に設立されたものとされている(法4の7七)。
そうすると、例えば、法人課税信託以外の信託である特定受益証券発行信託の承認受託者が、所轄税務署長からその承認を取り消されたような場合には、当該信託は取消しにより法人課税信託に該当することになるのであるが、その場合における法人課税信託に該当することとなった日とは、その取消しを受けた日をいうのか、あるいは、信託の計算期間との関係上その他の日を指すのかについて若干の疑義が生ずる。
4 この点、特定受益証券発行信託について、その計算期間開始の日の前日までに、 当該承認受託者がその承認を取り消された場合、 当該受益証券発行信託の受託者に承認受託者以外の受託者が就任した場合にはこれに該当しないこととされており(法2二十九ハ(1))、特定受益証券発行信託についてこれらの事由が生じたことにより法人課税信託となった場合における「法人課税信託に該当することとなった場合にはその該当することとなった日」とは、 及び の事由が生じた日ではなく、当該事由が生じた日を含む計算期間の翌計算期間の開始の日をいうこととなり、同日以後において法人課税信託である受益証券発行信託となるのである。本通達では、このことを明らかにしている。
5 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通15の2-1-6)を定めている。
【新設】 (信託事務を主宰する受託者の意義)
12の6-1-8 法第4条の8第2項((受託者が二以上ある法人課税信託))の「信託事務を主宰する受託者」とは、中心となって信託事務の全体を取りまとめる受託者をいう。この場合、全体を取りまとめているかは、信託契約に基づき、信託財産の受入れ事務、信託財産の管理又は処分に関する事務、収益計算の報告事務等の処理の実態を総合的に判定する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
一の法人課税信託の受託者が二以上ある場合には、各受託者の当該法人課税信託に係る信託資産等は、一の者の信託資産等とみなして法人税法の規定を適用することとされ、この場合には、各受託者は、当該法人課税信託の信託事務を主宰する受託者を納税義務者として当該法人課税信託に係る法人税を納めることとされている(法4の8)。
ここでいう「主宰」とは、一般に中心となって全体を取りまとめるという意味であることから、一の法人課税信託の受託者が二以上ある場合の納税義務者は、当該信託の受託者のうちで中心となって信託事務の全体を取りまとめる者をいうことになるのであるが、その判定に当たっては、信託契約に基づき、信託財産の受入れ事務、信託財産の管理又は処分に関する事務、収益計算の報告事務等の処理の実態を総合的に勘案することとなる。本通達ではこのことを明らかにしている。
なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通15の2-1-7)を定めている。
2 法人課税信託に係る所得の金額の計算
2 法人課税信託に係る所得の金額の計算
【新設】 (公益法人等の法人課税信託に係る課税所得の範囲)
12の6-2-1 公益法人等が法人課税信託の受託者となった場合には、当該法人課税信託に係る受託法人は当該公益法人等とは別の会社とみなされることから、当該法人課税信託に係る法人税の課税所得の範囲は、収益事業から生じた所得に限られないことに留意する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
法人税法上、公益法人等は、収益事業から生じた所得についてのみ法人税が課されることとされている(法7)。
ところで、法人課税信託の受託者は、各法人課税信託の信託資産等及び信託資産等以外の固有資産等ごとにそれぞれ別の者とみなして法人税法の規定が適用され(法4の6)、この場合、法人課税信託に係る受託法人のうち会社でないものは、会社とみなすこととされている(法4の7三)。このように会社でない受託法人を会社とみなすのは、法人税法が対象とする典型的な組織形態である会社に対する課税と同様の課税となるようにするためであり、このことにより特定同族会社に対する留保金課税や同族会社等の行為計算の否認規定なども適用があるとされている(法4の7六)。
したがって、公益法人等が法人課税信託の受託者になった場合には、当該法人課税信託に係る受託法人は会社とみなされることから、当該受託法人たる公益法人等の当該法人課税信託に係る法人税の課税所得の範囲は、収益事業から生じた所得に限らず、普通法人の課税所得の範囲と同一となる。本通達はこのことを明らかにしている。
【新設】 (受益者等が存しない信託に係る清算所得に対する法人税の課税関係)
12の6-2-2 法人課税信託のうち、法第2条第29号の2ロ((法人課税信託))に掲げる信託に係る受託法人は、受益者が存することなく信託の終了があった場合に限り、清算所得に対する法人税が課されることに留意する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 新信託法において、受益者の定め(受益者を定める方法の定めを含む。)のない信託は、契約又は遺言による方法によってすることができることが定められた(新信託法258 )。
2 法人税法において、「受益者」を受益者としての権利を現に有するものに限り、また、信託の変更をする一定の権限を現に有し、かつ、その信託の信託財産の給付を受けることとされている者を「みなし受益者」とした上で、受益者及びみなし受益者(以下「受益者等」という。)は当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者等の収益及び費用とみなして法人税法の規定を適用することとされている(法12 )。
他方、受益者等が存しない信託については、法人課税信託に係る受託法人に対して各事業年度の所得に対する法人税を課するものとされている(法2二十九の二ロ)。
3 法人課税信託に係る受託法人に法人税法の規定を適用する場合においては、当該法人課税信託の効力が生ずる日に設立されたものとされ(法4の7七)、また、その信託の終了があった場合又は受益者等が存しないものについて受益者等が存することとなった場合には、当該受託法人の解散があったものとされている(法4の7八)。そして、法人課税信託に係る受託法人の解散があったものとされた場合には、受託法人に対する清算所得の課税関係が生ずることとなる。ただし、これらの解散事由のうち、受益者等が存しない法人課税信託について受益者等が存することとなった場合については、信託自体が終了するものではなく、その後は受益者等課税信託として法人税又は所得税の課税が行われることから、法令上、「信託特定解散」として他の解散とは区別して、この信託特定解散をした場合における清算所得に対しては、法人税を課さないこととされている(法92 )。
したがって、受益者等が存しない信託について解散したものとして清算所得に対する法人税が課されるのは、受益者等が存することなく信託が終了した場合に限られるのである。このことは、法令の規定上明らかであるが、本通達において念のため明らかにしている。
【新設】 (法人課税信託の収益の分配における受取配当等の益金不算入の適用)
12の6-2-3 法人課税信託の収益の分配は、資本剰余金の減少に伴わない剰余金の配当とみなされることから、法第23条((受取配当等の益金不算入))の規定の適用があることに留意する。
(注) 法人課税信託の収益の分配を受けた受益者が同条の規定を適用する場合における同条第5項に規定する関係法人株式等の判定に当たっては、たとえ当該受益者が当該法人課税信託の受託者である法人の株式又は出資を有していたとしても、当該受益者が有する当該法人課税信託に係る受益権のみによりその判定を行うこととなる。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 法人課税信託の受益権は株式又は出資とみなされ、その受益者は株主等に含まれるものとされている(法4の7六)。また、法人課税信託の収益の分配は資本剰余金の減少に伴わない剰余金の配当と、法人課税信託の元本の払戻しは、資本剰余金の減少に伴う剰余金の配当とみなされている(法4の7十)。したがって、法人課税信託の収益の分配は、法人税法第23条第1項第1号((受取配当等の益金不算入))の剰余金の配当に該当することから、受取配当等の益金不算入の規定の適用があるのである。
2 ところで、法人課税信託の受託者である法人の株式又は出資は当該法人課税信託に係る受託法人の株式又は出資でないものとみなし、当該受託者である法人の株主等は当該受託法人の株主等でないものとされている(法4の7六)。すなわち、受託者にとっては、法人の立場からみれば当該法人の株式又は出資を有する株主等がいる一方で、受託法人の立場からみれば受益権が株式又は出資とみなされることにより株主等に含まれるものとされる受益者が存することとなるが、当該法人と受託法人はそれぞれ別の者とみなされることから、法人課税信託に係る受託法人の所得計算上は、受託者である法人の株式又は出資を有する株主等を当該受託法人の株主等でないものとされているのである。このことから、法人税法第23条第5項に規定する関係法人株式等の判定を行う場合において、たとえ当該受益者が当該法人課税信託に係る受益権と当該受託者である法人の株式又は出資とを有していたとしても、当該受益権のその信託に係るすべての受益権に対する割合のみにより当該判定を行うこととなる。本通達の注書においてこのことを留意的に明らかにしている。
3 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通15の2-2-1)を定めている。
3 受益者等課税信託による損益
3 受益者等課税信託による損益
【新設】 (信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)
14-4-1 受益者等課税信託における受益者は、受益者としての権利を現に有するものに限られるのであるから、例えば、一の受益者が有する受益者としての権利がその信託財産に係る受益者としての権利の一部にとどまる場合であっても、その余の権利を有する者が存しない又は特定されていないときには、当該受益者がその信託の信託財産に属する資産及び負債の全部を有するものとみなされ、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用の全部が帰せられるものとみなされることに留意する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 平成19年度の税制改正後の法人税法においては、信託のうち集団投資信託、退職年金等信託、特定公益信託等又は法人課税信託のいずれにも該当しないものは、受益者等課税信託として、その信託の受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)は当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者の収益及び費用とみなして、同法の規定を適用することとされている(法12 )。また、信託の変更をする権限を現に有し、かつ、当該信託の信託財産の給付を受けることとされている者(受益者を除く。)は、受益者とみなすこととされている(法12 )。
2 新信託法における受益者とは受益権を有する者をいい(新信託法2 )、受益権とは受益債権及びこれを確保するために同法の規定に基づき受託者その他の者に対し一定の行為を求めることができる権利をいうこととされている(新信託法2 )。したがって、信託行為にこれらの権利につき停止条件が定められているような場合は、上記の「受益者としての権利を現に有するもの」には含まれないこととなるのである。
また、信託行為における受益者の定め方にはさまざまなものがあり、受益者を「○○年後に生まれてくる子供」や「将来設立される法人」などとする受益者が未だ存在していない場合や受益者を「将来の××大会の優勝者」などとする受益者が特定されていない場合もあり得る。このような場合にも、受益者等課税信託の受益者にはなり得ないのである。
3 ところで、このような信託行為における受益者の定め方からすれば、受益者等課税信託の受益者に該当する一の受益者が有する受益者としての権利がその信託財産に係る受益者としての権利の一部にとどまり、その余の権利を有する者が存しない又は特定されていない場合も生じ得る。例えば、一の受益者が有する受益者としての権利が全体の権利のうち70%にとどまり、残余の30%の権利については受益者不存在又は不特定の場合があり得るのである。
このような場合においては、当該信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされ、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用の全部が帰せられるものとみなされるのは、受益者としての権利を現に有するものに限られるのであるから、権利の一部(70%)を有する者がその余の権利を含めて受益者としての権利の全部(100%)を有するものとして、信託財産に属する資産及び負債の全部を有する者とみなし、かつ、信託財産に帰せられる収益及び費用の全部が帰せられるものとされるのである。
本通達はこのことを留意的に明らかにしている。
4 更に、受益者としての権利を現に有する受益者の数が二である場合において、これらの者が有する受益者としての権利が全体の権利のうち70%(各35%)にとどまり、その余の権利(30%)は受益者不存在又は不特定であるようなケースも考えられる。
法令上、受益者の数が二以上である場合、受益者等課税信託の信託財産に属する資産及び負債の全部をそれぞれの受益者がその有する権利の内容に応じて有するものとし、当該信託財産に帰せられる収益及び費用の全部がそれぞれの受益者にその有する権利の内容に応じて帰せられるものとされている(令15
)。
したがって、この場合、各受益者の権利の内容(各35%)に応じて信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属が決められるのであるから、各受益者は均等の権利を有することとなるため、当該信託財産に属する資産及び負債の50%をそれぞれ有し、信託財産に帰せられる収益及び費用の50%がそれぞれに帰せられるものとして課税関係が生ずることとなる。
5 また、以上のことについては受益者について言及しているところであるが、一定の信託の変更をする権限を現に有し、かつ、その信託の信託財産の給付を受けることとされていることにより受益者とみなされる者(法12 )についても、受益者と同様に取り扱われることとなる。
6 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通18-4-1)を定めている。
【新設】 (信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属の時期)
14-4-2 法人が受益者等課税信託の受益者(法第12条第2項((信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属))の規定により、同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下14-4-6までにおいて「受益者等」という。)である場合において、当該法人の各事業年度の所得の金額の計算上、当該受益者等である当該法人の収益及び費用とみなされる当該受益者等課税信託の信託財産に帰せられる収益及び費用は、その信託行為に定める信託の計算期間にかかわらず、当該法人の各事業年度の期間に対応する収益及び費用となるのであるから、留意する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 本通達において、受益者等課税信託の信託財産に帰せられる収益及び費用について、受益者等に対する帰属の時期を明らかにしている。
2 受益者等課税信託では、その信託の受益者段階で法人税の課税関係が生じることとなり、当該受益者等課税信託の信託財産に帰せられる収益及び費用は、当該信託の受益者(受益者とみなされる者を含む。以下「受益者等」という。)に帰属することとなる。ところで、実際の課税場面では、法人が受益者等課税信託の受益者等であって、当該法人の事業年度開始の日から終了の日までの期間と信託行為に定められた計算期間が一致しない場合もあり得よう。このような場合に、当該法人の各事業年度の所得の金額の計算上、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は、当該法人の事業年度開始の日から終了の日までの期間に対応する収益及び費用となるのか、あるいは、当該信託行為に定められた信託の計算期間中の収益及び費用をまとめたところで、例えば当該計算期間の終了の日の属する当該法人の事業年度の収益及び費用となるのかとの疑義を抱く向きもあるようである。
3 この点、受益者等課税信託の受益者等は、当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者等の収益及び費用とみなして法人税法の規定を適用することとされていることから(法12)、当該受益者等に係る信託財産の帰属損益額は、受益者等である法人の各事業年度の期間に対応する信託財産に係る個々の損益を計算して、当該事業年度の益金の額又は損金の額に算入することとなる。
したがって、その信託行為に定める信託の計算期間の始期及び終期と受益者等である法人の事業年度の開始の日及び終了の日が一致しない場合には、当該法人の各事業年度の期間に対応する信託財産に帰せられる収益及び費用に基づき、受益者等である法人の各事業年度の所得の金額を計算することとなるのである。
4 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通18-4-2)を定めている。
【新設】 (信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属額の総額法による計算)
14-4-3 受益者等課税信託の受益者等である法人は、当該受益者等課税信託の信託財産から生ずる利益又は損失を当該法人の収益又は費用とするのではなく、当該法人に係る当該信託財産に属する資産及び負債並びに当該信託財産に帰せられる収益及び費用を当該法人のこれらの金額として各事業年度の所得の金額の計算を行うのであるから、留意する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 本通達においては、受益者等課税信託の受益者等である法人が信託財産に係る帰属損益額を各事業年度の益金の額又は損金の額に算入する場合の当該帰属損益額の計算方法を明らかにしている。
2 受益者等課税信託では、その信託の受益者段階で法人税の課税関係が生ずることとなり、当該受益者等課税信託の信託財産に帰せられる収益及び費用は、当該信託の受益者等に帰属することとなる。
ところで、この場合の受益者等である法人の収益及び費用の計算に当たっては、いわゆる総額法により、当該信託財産に帰せられる収益及び費用を当該法人の収益及び費用とするのか、それともいわゆる純額法により、当該信託財産に帰せられる収益及び費用から計算される利益又は損失を当該法人の収益又は費用とするのかという疑義が生ずる。
3 この点については、受益者等課税信託の受益者等は当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者等の収益及び費用とみなされるのであるから(法12)、信託財産に帰せられる損益の計算結果だけをその法人の各事業年度の所得の金額の計算に反映させる純額法ではなく、その法人に係る当該信託財産に属する資産及び負債を有するものとし、その信託財産に帰せられる収益及び費用をその法人の収益及び費用の金額として各事業年度の所得の金額の計算を行う総額法によることとなる。本通達はこのことを留意的に明らかにしている。
4 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通18-4-3)を定めている。
【新設】 (権利の内容に応ずることの例示)
14-4-4 令第15条第4項((信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属))の規定の適用に当たっては、例えば、その信託財産に属する資産が、その構造上区分された数個の部分を独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものである場合において、その各部分の全部又は一部が二以上の受益者等の有する権利の目的となっているときは、当該目的となっている部分(以下14-4-4において「受益者等共有独立部分」という。)については、受益者等共有独立部分ごとに、当該受益者等共有独立部分につき権利を有する各受益者等が、各自の有する権利の割合に応じて有しているものとして同項の規定を適用する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 法人税法上、受益者等課税信託においては、その信託の受益者等は、当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者等の収益及び費用とみなして、法人税法の規定を適用することとされている(法12)。また、当該受益者等課税信託の受益者等が二以上ある場合には、受益者等課税信託の信託財産に属する資産及び負債の全部をそれぞれの受益者等がその有する権利の内容に応じて有するものとし、当該信託財産に帰せられる収益及び費用の全部がそれぞれの受益者等にその有する権利の内容に応じて帰せられるものとされている(令15 )。
2 この「権利の内容に応じて」の意義について、例えば、土地の区分所有のごとく、受益者等の有する権利に応じてその信託財産が特定され、当該信託財産に帰せられる収益及び費用も明確に区分され得るものであれば特段の疑義も生じないが、信託財産に属する資産が、マンションやオフィスビルなど、その構造上区分された数個の部分を独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものであって、その受益者等の権利が共同所有のように、区分されずに特定されていない部分がある場合には、若干の整理が必要であろう。
この場合においては、まず、その構造上区分された独立した部分のうち一の受益者等に帰せられるものについてはその受益者等に帰属するものとした上で、共有物である建物の独立部分(受益者等共有独立部分)について、上述の受益者等が二以上ある場合の規定に従い、各受益者等がそれぞれの有する権利の割合に応じて信託財産に属する資産の受益者等共有独立部分を有しているものとし、その信託財産に帰せられる収益及び費用が各受益者等にそれぞれの有する権利の割合に応じて帰せられることとされるのである。
3 本通達は、平成19年6月22日付課審1-16ほか5課共同「「土地信託に関する所得税、法人税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」及び「信託受益権が分割される土地信託に関する所得税、法人税、消費税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」の廃止について」(法令解釈通達)により廃止された昭和61年7月9日付直審5-6ほか4課共同「土地信託に関する所得税、法人税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」(法令解釈通達)における「第1共通」の1-4((取扱いの原則))において定められていたものと同趣旨のものであり、平成19年度税制改正後も同様の取扱いとなる旨を明らかにしているものである。
4 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通18-4-4)を定めている。
【新設】 (信託による資産の移転等)
14-4-5 委託者と受益者がそれぞれ単一であり、かつ、同一の者である場合の受益者等課税信託においては、次に掲げる移転は受益者である委託者にとって資産の譲渡又は資産の取得には該当しないことに留意する。
(1) 信託行為に基づき信託した資産の当該委託者から当該受託者への移転
(2) 信託の終了に伴う残余財産の給付としての当該資産の当該受託者から当該受益者への移転
(3) これらの移転があった場合における当該資産(当該信託の期間中に信託財産に属することとなった資産を除く。)の取得の日は、当該委託者が当該資産を取得した日となる。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 新信託法上、信託とは、契約、遺言、一定の意思表示等により、特定の者(受託者)が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他のその目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることとされており(新信託法2 )、法形式上は、信託を行うことによって、信託財産に属する資産の所有権は受託者へ移転するものと解されている。
したがって、自益信託(委託者と受益者が同一の信託をいう。以下同じ)で受益者が単一の場合の受益者等課税信託において、信託行為に基づき信託した資産の移転(委託者→受託者)や、信託の終了に伴う残余財産の給付としての資産の移転(受託者→受益者)がなされた場合、新信託法上は、それぞれの移転に際して当該資産の所有権が移転したものとみることとなる。
2 しかしながら、法人税法上は、受益者等課税信託においては信託の受益者はその信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされることから(法12)、自益信託で委託者兼受益者が単一である受益者等課税信託においてこれらの資産の移転があった場合であっても、当該資産は受益者(委託者)が引き続き有していることとなる。したがって、これらの資産の移転は資産の譲渡又は資産の取得に該当しないこととなるのである。本通達ではこのことを明らかにしている。
3 また、これらの委託者兼受益者と受託者との間の資産の移転があった場合における当該資産の取得の日については、交換により取得した資産の圧縮額の損金算入、土地の譲渡等がある場合の特別税率又は短期所有に係る土地の譲渡等がある場合の特別税率、特定の資産の買換え等の場合の課税の特例等の適用に当たって問題となるところである。この点、法人税法上は、受益者等課税信託の受益者が信託財産に属する資産を有しているものとみなされるため、委託者兼受益者の場合における当該資産の取得の日については、信託の期間前に取得した資産は委託者が取得した日となり、信託の期間中に受託者が新たに取得したことにより信託財産に属することとなった資産は、その属することとなった日となる。本通達の(注)では、このことを明らかにしている。
4 本通達の本文は、平成19年6月22日付課審1-16ほか5課共同「「土地信託に関する所得税、法人税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」及び「信託受益権が分割される土地信託に関する所得税、法人税、消費税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」の廃止について」(法令解釈通達)により廃止された昭和61年7月9日付直審5-6ほか4課共同「土地信託に関する所得税、法人税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」(法令解釈通達)における「第3法人税に関する取扱い」の3-1((信託による資産の移転等))において定められていたものと同趣旨のものであり、平成19年度税制改正後も同様の取扱いとなる旨を明らかにしているものである。
5 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通18-4-5)を定めている。
【新設】 (信託の受益者としての権利の譲渡等)
14-4-6 受益者等課税信託の受益者等がその有する権利の譲渡又は取得が行われた場合には、その権利の目的となっている信託財産に属する資産及び負債が譲渡又は取得されたこととなることに留意する。
(注) 例えば、受益者等がその有する権利の目的となっている信託財産に属する資産が土地である場合において、当該権利が譲渡されたときには、当該受益者等が当該土地を譲渡したものとして、その譲渡の態様に応じて、譲渡、交換、収用、買換え等の法人税に関する法令の規定の適用があることに留意する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 受益者等課税信託においては、その信託の受益者等は、当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者等の収益及び費用とみなして、法人税法の規定を適用することとされている(法12)。このため、受益者等がその有する権利の譲渡をし、又は、他の者からその権利を取得した場合には、その権利の目的となっている信託財産に属する資産及び負債を譲渡又は取得したこととなるのである。本通達はまずこのことを明らかにしている。
2 ところで、上記のことからすれば、その有する権利の目的となっている信託財産に属する資産が土地である場合において、受益者等がその権利を譲渡したときには、当該土地を譲渡したものとされるのであるが、この権利の譲渡に土地の譲渡に関する法人税法等における特例の規定の適用があるかどうかが問題となる。この点については、土地を譲渡したものとされる受益者等課税信託に係る受益者等が有する権利の譲渡においては、その譲渡の態様等に応じて、譲渡、交換、収用、買換え等の法人税法等における特例の規定の適用があることになる。本通達の(注)では、このことを明らかにしている。
3 本通達の本文は、平成19年6月22日付課審1-16ほか5課共同「「土地信託に関する所得税、法人税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」及び「信託受益権が分割される土地信託に関する所得税、法人税、消費税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」の廃止について」(法令解釈通達)により廃止された昭和61年7月9日付直審5-6ほか4課共同「土地信託に関する所得税、法人税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」(法令解釈通達)における「第3法人税に関する取扱い」の3-2((信託受益権の譲渡等))において定められていたものと同趣旨のものであり、平成19年度税制改正後も同様の取扱いとなる旨を明らかにしているものである。
4 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通18-4-6)を定めている。
【新設】 (受益者等課税信託に係る受益者の範囲)
14-4-7 法第12条第1項((信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属))に規定する「信託の受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)」には、原則として、例えば、信託法第182条第1項第1号((残余財産の帰属))に規定する残余財産受益者は含まれるが、次に掲げる者は含まれないことに留意する。
(1) 同項第2号に規定する帰属権利者(以下14-4-8までにおいて「帰属権利者」という。)(その信託の終了前の期間に限る。)
(2) 委託者の死亡の時に受益権を取得する同法第90条第1項第1号((委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例))に掲げる受益者となるべき者として指定された者(委託者の死亡前の期間に限る。)
(3) 委託者の死亡の時以後に信託財産に係る給付を受ける同項第2号に掲げる受益者(委託者の死亡前の期間に限る。)
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 新信託法においては、受益権とは信託行為に基づいて受託者が受益者に対して負う債務であって、信託財産に属する財産の引渡しその他の信託財産に係る給付をすべきものに係る債権及びこれを確保するために新信託法に基づいて受託者その他の者に対し一定の行為を求めることができる権利をいい(新信託法2 )、これらの権利から成る受益権を有する者を受益者としている(新信託法2 )。
他方、法人税法においては、受益者等課税信託に該当する信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる受益者は、原則として、受益者としての権利を現に有するものに限られている(法12①)。
2 ところで、新信託法においては、受益者をはじめ信託財産の給付を受ける者に関する規定がいくつか設けられており、これらの者が法人税法上の受益者等課税信託における受益者に該当するかどうかについて整理しておく必要がある。
3 新信託法においては、信託の残余財産の帰属について、同法第182条((残余財産の帰属))に残余財産受益者と帰属権利者とを定めている。信託は、その信託が終了した場合には、清算することとされており(新信託法175)、その信託を清算する際に、その残余財産の給付を受けることとされている者が残余財産受益者と帰属権利者である。
残余財産受益者とは、信託行為において残余財産の給付を内容とする受益債権に係る受益者として指定された者をいうことから、信託行為に別段の定めがない場合には、受益者としての権利を現に有する者に該当するため、法人税法上の受益者に該当することとなる。
一方、帰属権利者とは、信託行為における受益者ではなく、残余財産の帰属すべき者として指定された者にすぎない。帰属権利者は、当然に残余財産の給付をすべき債務に係る債権を取得し(新信託法183 )、信託の清算中は受益者とみなすこととされている(新信託法183 )。これらの規定から、帰属権利者は、信託の終了事由が発生する前は新信託法において受益者ではなく、信託行為に別段の定めがない場合、受益者としての権利義務を有しない。
したがって、原則として、残余財産受益者は法人税法上の受益者等課税信託における受益者となるが、その信託の終了前の期間における帰属権利者は受益者とはならない。本通達の(1)では、このことを明らかにしている。
4 また、信託においては、受託者に財産を信託して、委託者自身を自己生存中の受益者とし、自己の子、配偶者等を委託者死亡後の受益者(委託者の死亡を始期として信託から給付を受ける権利を取得する受益者)とすることによって委託者自身の死亡後における財産分配を信託によって達成しようとするようなものがある。
このようなもの
は、一般的に遺言代用の信託というようであるが、新信託法第90条第1項((委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例))においては、この遺言代用の信託に係る受益者等に関する特則が設けられ、次の 及び に掲げるものはこれに該当することとされている。
委託者の死亡の時に受益者となるべき者として指定された者が受益権を取得する旨の定めのある信託
委託者の死亡の時以後に受益者が信託財産に係る給付を受ける旨の定めのある信託(当該受益者は、信託行為に別段の定めがない場合、その委託者が死亡するまでは、受益者としての権利を有しない。)
の「委託者の死亡の時に受益者となるべき者として指定された者」とは、新信託法上受益者ではなく、あくまで委託者の死亡事由を起因として受益権を取得することとされている者に過ぎない。したがって、この指定された者は委託者の死亡前においては法人税法上の受益者等課税信託における受益者に該当しない。
次に、 の「受益者」とされる者は、新信託法上「受益者」と称されてはいるが、新信託法第90条第2項において、この場合の受益者は信託行為に別段の定めがない場合、その委託者が死亡するまで受益者としての権利を有しないこととされていることから、法人税法上も、当該受益者は委託者の死亡前においては受益者等課税信託における受益者には該当しないこととなる。本通達の(2)及び(3)では、このことを明らかにしている。
5 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通18-4-7)を定めている。
【
新設】 (受益者とみなされる委託者)
14-4-8 法第12条第2項((信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属))の規定により受益者とみなされる者には、同項に掲げる信託の変更をする権限を現に有している委託者が次に掲げる場合であるものが含まれることに留意する。
(1) 当該委託者が信託行為の定めにより帰属権利者として指定されている場合
(2) 信託法第182条第2項((残余財産の帰属))に掲げる信託行為に残余財産受益者若しくは帰属権利者(以下14-4-8において「残余財産受益者等」という。)の指定に関する定めがない場合又は信託行為の定めにより残余財産受益者等として指定を受けた者のすべてがその権利を放棄した場合
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 受益者等課税信託においては、受益者でなくても、実質的に受益者と同等の地位を有する者をみなし受益者として、受益者等課税信託における受益者と同一に取り扱うこととされている。具体的には、信託の変更をする権限(軽微な変更をする権限を除く。)を現に有し、かつ、信託財産の給付を受けることとされている者を受益者等課税信託における受益者とみなすこととされている(法12 )。
2 そこで、まず、信託の変更をする権限を有している者についてであるが、新信託法においては、信託の変更は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができることとされている(新信託法149 )。したがって、信託の変更をする権限は、信託行為に別段の定めがない限り、委託者、受託者及び受益者が現に有することとなる。
3 次に、これらの者のうち、信託財産の給付を受けることとされている者であるかどうかが問題となる。新信託法において、残余財産の帰属すべき者となるべき者として指定された帰属権利者は、信託の清算中は受益者とみなされ、その信託の清算に当たって当然に残余財産の給付をすべき債務に係る債権を取得する(新信託法182 二、183 、 )。このことから、帰属権利者は新信託法上の受益者ではないが、上述の「信託財産の給付を受けることとされている者」に該当することとなる。したがって、変更権限を現に有する委託者で信託行為の定めにより帰属権利者として指定されている場合には、当然に受益者等課税信託におけるみなし受益者に該当することとなる。
また、信託行為に残余財産受益者若しくは帰属権利者の指定に関する定めがない場合又は残余財産受益者若しくは帰属権利者の指定を受けた者のすべてがその権利を放棄した場合には、新信託法上、信託行為に委託者又はその相続人その他の一般承継人を帰属権利者として指定する旨の定めがあったものとみなすこととされている(新信託法182 )。したがって、これらの場合には、委託者は、帰属権利者として信託財産の給付を受けることとされている者に該当することとなるので、みなし受益者に該当することとなるのである。
4 すなわち、変更権限を現に有する委託者で、
当該委託者が信託行為の定めにより帰属権利者として指定されている場合
信託行為に残余財産受益者若しくは帰属権利者の指定に関する定めがない場合又は信託行為の定めに残余財産受益者若しくは帰属権利者として指定を受けた者のすべてがその権利を放棄した場合のいずれかに該当する場合には、その委託者はみなし受益者に該当することとなる。本通達では、このことを明らかにしている。
5 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通18-4-8)を定めている。
1 第42条の5~第48条((共通事項))関係
第2 租税特別措置法関係通達(法人税編)関係
1 第42条の5~第48条((共通事項))関係
【新設】 (信託財産に属する減価償却資産の特別償却等に係る証明書類等の添付)
42の5~48(共)-6 受益者等課税信託(法第12条第1項に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下42の5~48(共)-6において「受益者等」という。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。)の受益者等である法人が、その信託財産に属する減価償却資産について措置法第3章第1節の規定による特別償却等の適用を受ける場合において、これらの規定に関する規定により、所定の証明書類等をその確定申告書等に添付する必要があるときには、その添付に当たっては、これらの書類が当該法人の有する信託財産に属する減価償却資産に係るものである旨の受託者の証明を受けるものとする。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 受益者等課税信託においては、その信託の受益者等は、当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者等の収益及び費用とみなして、法人税法の規定を適用することとされている(法12)。
したがって、受益者等課税信託の信託財産に属する減価償却資産について、措置法に規定する特別償却等の適用を受けようとする場合には、当該受益者等課税信託の受益者等において、その適用を受けることとなる。
2 ところで、措置法の規定による特別償却等の適用を受ける場合には、確定申告書に明細書を添付するとともに、所定の証明書類等の添付を要件とするものが少なくない(措法43 表一、措令28 等)。
したがって、受益者等課税信託の受益者等である法人が、その信託財産に属する減価償却資産について証明書類等の添付要件が付されている特別償却等の適用を受ける場合には、対象資産である当該信託財産に属する減価償却資産について所定の証明書類等の添付を要することとなるのであるが、ここで若干の問題が生ずる。
すなわち、信託の法形式上、信託財産に属する資産は信託により受託者の所有に帰し、当該受託者がその資産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をする権限を有することとされていることから(新信託法26)、受益者等課税信託の信託財産に属する減価償却資産について取得する証明書類等は、受託者名義で発行されるものと考えられる。
このため、受益者等課税信託の信託財産に属する減価償却資産について受益者等が特別償却等の規定の適用を受けるに当たって、受託者名義の証明書類等を添付することとなり、適用を受けようとする法人名(受益者等)と証明書類等に記載されている法人名(受託者)が異なるという問題が生じることとなるのである。
3 これについては、信託の法形式上はともかく、法人税法上は、受益者等課税信託の信託財産に属する減価償却資産の特別償却等の規定はあくまでも受益者等において適用されることとなるのであるから、その適用に当たって受益者等が有する減価償却資産であることが証明書類等により明らかにされている場合には、信託財産に属する減価償却資産の信託の法形式上の所有者と法人税法上の所有者が異なるといった特殊性に鑑みて、この添付要件を満たすものとして取り扱って差し支えないものと考えられる。
すなわち、所定の証明書類等が受益者等である法人の有する信託財産に属する減価償却資産に係るものである旨の受託者の証明を受けることにより、受益者等に帰属するその減価償却資産について、受益者等において特別償却等の規定の適用があるものとしているのである。本通達はこのことを明らかにしている。
4 この場合の所定の証明書類等は特別償却等の規定ごとに異なり、証明書、関係書類のほか、申請書の写し等が含まれているところであるが、その添付に当たって受けることとなる「当該法人の有する信託財産に属する減価償却資産に係るものである旨の受託者の証明」とは、例えば、受託者が「この減価償却資産は、受益者○○○に係る信託財産に属するものである」旨を記載した書面を作成・添付する方法によるなど、当該減価償却資産が受益者等に帰属することを受託者が明らかにすることが必要となる。
5 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連措通68の10~68の36(共)-6)を定めている。
2 第62条の3((土地の譲渡等がある場合の特別税率))関係
【新設】 (信託財産に属する土地等の譲渡に係る証明書類の添付)
62の3(6)-13 受益者等課税信託(法第12条第1項に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下62の3(6)-13において「受益者等」という。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。)の受益者等である法人が、信託財産に属する土地等の譲渡について措置法第62条の3第4項又は第5項の規定の適用を受ける場合には、これらの項の規定により、措置法規則第21条の19第2項各号又は第9項各号に掲げる書類をその法人税申告書(修正申告書を除く。)に添付する必要があるのであるが、その添付に当たっては、これらの書類が当該法人の有する信託財産に属する土地等の譲渡に係るものである旨の受託者の証明を受けるものとする。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 受益者等課税信託においては、その信託の受益者等は、当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者等の収益及び費用とみなして、法人税法の規定を適用することとされている(法12)。
したがって、受益者等課税信託の信託財産に属する資産の譲渡等のうち措置法第62条の3第2項第1号((土地の譲渡等がある場合の特別税率))に規定する土地の譲渡等があった場合には、当該受益者等課税信託の受益者等がその土地の譲渡等を行ったものとみなされ、受益者等において同条の規定の適用があることとなり、その場合、同条第4項又は第5項の適用除外の規定を適用する場面もあり得よう。
2 この適用除外の規定の適用に当たっては、措置法規則第21条の19第2項各号又は第9項各号に掲げる書類の法人税申告書(修正申告書を除く。)への添付が要件とされている。この場合、信託の法形式上、信託財産に属する資産は信託により受託者の所有に帰し、当該受託者がその資産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をする権限を有することとされていることから(新信託法26)、受益者等課税信託の信託財産に属する土地等の譲渡により取得する書類は、受託者名義で発行されるものと考えられる。
結果として、受益者等課税信託の信託財産に属する土地等の譲渡について受益者等がこの適用除外の規定の適用を受けるに当たって、受託者名義の書類を添付することとなり、適用を受けようとする法人名(受益者等)と書類に記載されている法人名(受託者)が異なるという問題が生じることとなるのである。
3 これについては、信託の法形式上はともかく、法人税法上は、受益者等課税信託の信託財産に属する土地の譲渡等につき措置法第62条の3の規定はあくまでも受益者等において適用されることとなるのであるから、同条第4項又は第5項の適用除外の規定を適用するに当たって受益者等が有する土地等の譲渡であることが書類等により明らかにされている場合には、信託財産に属する土地等の信託の法形式上の所有者と法人税法上の所有者が異なるといった特殊性に鑑みて、この添付要件を満たすものとして取り扱って差し支えないものと考えられる。
すなわち、当該書類が受益者等である法人の有する信託財産に属する土地等の譲渡に係るものである旨の受託者の証明を受けることにより、受益者等に帰属するその土地等の譲渡について、受益者等において土地等の譲渡がある場合の特別税率の適用除外の規定の適用があるものとしているのである。本通達はこのことを明らかにしている。
4 当該書類の添付に当たって受けることとなる「当該法人の有する信託財産に属する土地等の譲渡に係るものである旨の受託者の証明」とは、例えば、受託者が「譲渡された土地は、受益者○○○に係る信託財産に属するものである」旨を記載した書面を作成・添付する方法によるなど、当該土地等が受益者等に帰属することを受託者が明らかにすることが必要となる。
5 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連措通68の68(6)-13)を定めている。
(注) 措置法第62条の3の規定は、平成10年1月1日から平成20年12月31日までの間にした土地の譲渡等については、適用が停止されている(措法62の3 )。
3 第65条の2 ((収用換地等の場合の所得の特別控除))関係
【新設】 (信託財産に属する資産の譲渡への適用)
65の2-11 受益者等課税信託(法第12条第1項に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下65の2-11において「受益者等」という。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。)の信託財産に属する資産について措置法第65条の2第1項に規定する収用換地等による譲渡があった場合における同条の規定の適用に当たっては、次に掲げる事項は、それぞれ次によることに留意する。
(1) 同条第3項第1号に掲げる「最初に当該申出のあった日」とは、当該受益者等課税信託の受託者が、同号の公共事業施行者から当該資産につき最初に買取り等の申出を受けた日をいう。
(2) 同項第2号に規定する「一の収用換地等に係る事業につき前二項に規定する資産の収用換地等による譲渡が二以上あった場合」に該当するかどうかは、当該受益者等課税信託の受益者等である法人が有するものとみなされる当該信託財産に属する資産の譲渡とそれ以外の資産の譲渡とを通じて判定する。
(3) 当該収用換地等による譲渡の時における当該信託財産に属する資産の譲渡をした当該法人が、当該信託財産に属する資産につき最初に買取り等の申出を受けた時における当該受益者等課税信託の受益者等以外の者である場合(同項第3号イ又はロに掲げる場合に該当するときを除く。)には、同号の規定に該当することとなる。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 受益者等課税信託においては、その信託の受益者等は、当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者等の収益及び費用とみなして、法人税法の規定を適用することとされている(法12)。
したがって、受益者等課税信託の信託財産に属する資産につき収用換地等による譲渡があった場合は、当該受益者等課税信託の受益者等が当該収用換地等による資産の譲渡等を行ったものとみなされ、受益者等において措置法第65条の2第1項に規定する収用換地等による譲渡の特例の規定の適用を受ける場合があり得よう。
ところで、信託の法形式上、信託財産に属する資産は信託により受託者の所有に帰し、当該受託者がその資産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をする権限を有することとされていることから(新信託法26)、収用等を行う公共事業施行者は、信託財産に属する資産について買取り等を行う場合には、その信託の受託者を相手方として行うこととなるのであるが、この特例制度の適用を受けるに当たって若干の疑義が生ずる。
2 まず、この特例制度は、その収用換地等による資産の譲渡が、公共事業施行者から当該資産につき最初に買取り等の申出があった日から6か月を経過した日までにされなかった場合には、適用がないこととされている(措法65の2 一)。
公共事業施行者が行う事業用地の買取り等の申出はその土地の所有者に対して行うのであるから、その土地が受益者等課税信託の信託財産に属する土地である場合は、名義人である当該信託の受託者に対して申出を行うこととなる。
しかしながら、法人税法上、受益者等課税信託の信託財産に属する土地は受益者等が有するものとみなされることから、信託の法形式上の所有者と法人税法上の所有者が異なることとなるため、土地の収用換地等による譲渡が買取り等の最初の申出から6か月を経過した日までに行われたものであるかの判定上、その起算日を受託者が買取り等の申出を受けた日とするか、それとも法人税法上の所有者である受益者等がそのことを知った日とするかという点について問題となる。
この点については、受益者等課税信託の信託財産に属する資産の収用換地等による譲渡は受託者名義で受託者の名と計算により行われるものであること、当該受託者は財産の管理運用処分に関する権限を有するとともに受益者のために忠実に信託事務の処理その他の行為をしなければならないこととされていることを踏まえれば(新信託法26、30)、その受託者の行為は受益者等の行為そのものとも捉えることができることから、公共事業施行者から受託者が信託財産に属する資産について最初に買取り等の申出を受けた日をもってこの6か月の期間計算の起算日とすることが相当であろう。本通達の(1)では、このことを明らかにしている。
3 次に、この特例制度は、一の収用換地等に係る事業につき資産の収用換地等による譲渡が二以上あった場合において、これらの譲渡が二以上の年にわたってされたときには、最初の年に譲渡した資産に限り適用があることとされている(措法65の2 二)。そこで、問題となるのが、受益者等課税信託の受益者等が同一の収用換地等の事業の用に供するため、例えば最初の年に信託財産でない土地等を譲渡し、その翌年に信託財産に属する土地等を譲渡することとなった場合には、2年目の譲渡についてこの特例制度の適用を受けられるかどうかという点である。
この点については、法人税法上、受益者等課税信託の信託財産に属する資産はその受益者等が有するものとみなされることから、法人が受益者等である当該信託財産に属する土地と当該法人が所有者である信託財産でない土地とはいずれも当該法人が有する土地とみることからすれば、同条第3項第2号に規定する「一の収用換地等に係る事業につき前二項に規定する資産の収用換地等による譲渡が二以上あった場合」に該当するかどうかは、その有する信託財産に属する資産の譲渡と信託財産でない資産の譲渡のいずれをも判定対象とすることとし、これらの譲渡が二以上の年にわたってされているものかどうかによりこの特例制度の適用の有無を判定することとなる。本通達の(2)では、このことを明らかにしている。
4 更に、この特例制度では、収用換地等による資産の譲渡が最初に買取り等の申出を受けた者以外の者からされた場合には、原則として、その資産の譲渡について特例の適用を認めないこととされている(措法65の2 三)。そこで、問題となるのは、受益者等課税信託の信託財産に属する資産について収用換地等による譲渡があった場合において、公共事業施行者から買取り等の申出があった後に受益権の譲渡等によって当該信託の受益者等が変わっているときの本制度の適用についてである。すなわち、法人税法上の所有者である受益者等に変更がなされているにもかかわらず、名義人は依然として信託の法形式上の所有者である受託者のままであるため、この特例制度を適用できるかどうかにつき疑義が生ずるのである。
この点については、法人税法上、受益者等課税信託の信託財産に属する資産はその受益者等が有するものとみなされるのであるから、当該資産について最初に買取り等の申出を受けた後にその資産の受益者等に変更が生じた場合には、その変更が措置法第65条の2第3項第三号イ又はロに掲げる場合に該当するときを除き、新たに受益者等となった者のその買取り等の申出に係る信託財産に属する資産の譲渡に係る所得の計算上、この特例制度を適用することはできない。本通達の(3)では、このことを明らかにしている。
5 本通達は、平成19年6月22日付課審1-16ほか5課共同「「土地信託に関する所得税、法人税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」及び「信託受益権が分割される土地信託に関する所得税、法人税、消費税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」の廃止について」(法令解釈通達)により廃止された昭和61年7月9日付直審5-6ほか4課共同「土地信託に関する所得税、法人税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」(法令解釈通達)における「第3法人税に関する取扱い」の3-30(1)から(3)まで((収用換地等の場合の所得の特別控除の適用))において定められていたものと同趣旨のものであり、平成19年度税制改正後も同様の取扱いとなる旨を明らかにしているものである。
6 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連措通68の73-15)を定めている。
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参考
国税庁HP