施行日 2023(令和5)年4月1日
対象となる人
相続放棄の申述申立てを、家庭裁判所に対して行ったときに、相続放棄した財産を現に占有している人。
現に占有って?
被相続人名義の建物に住んでいる(下の土地も占有)、通帳を持っている、家具や遺品を持っているなど。Nintendo Switchなど。
観念的承継は含まないって?[1]
→被相続人名義が、自己名義の畑を耕していた場合、そのことは知っていたけれど、行ったことはないとき、など。
[1] 村松 秀樹 (著, 編集), 大谷 太 (著, 編集)『Q&A令和3年改正民法・改正不登法・相続土地国庫帰属法』、2022、P235
改正の効果
・次の順位の相続人が存在しない場合にも適用される。
・相続放棄の時点で、相続財産に属する財産を現に占有している人だけが、保存義務を負う。→相続放棄をした他の相続人は、義務を負わない。
・相続財産の保存義務を負う相手方
他の相続人、相続財産の清算人。
→近隣の人や、自治体からこの条文を根拠に責任を問われることはない。
保存義務が終わるとき
→相続人、法定相続人全員が放棄した場合は相続財産の管理人・相続財産の清算人などに対して当該財産を引き渡したとき。供託(民法494条、497条)が利用される可能性はあるか。現金?
改正の影響
・相続財産の清算人の選任請求(民法952条)の促進の可能性。
令和3年12月14日(火)定例閣議案件
民法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(決定)
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2021/kakugi-2021121401.html
法務省 「民法等一部改正法・相続土地国庫帰属法の概要」【令和4年11月28日掲載】
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html
民法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
改正前
(相続の放棄をした者による管理)
第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
2 第六百四十五条、第六百四十六条、第六百五十条第一項及び第二項並びに第九百十八条第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。
改正後
(相続の放棄をした者による管理)
第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
2 第六百四十五条、第六百四十六条並びに第六百五十条第一項及び第二項の規定は、前項の場合について準用する。