登記研究911号(令和6年1月号)テイハン

登記研究911号(令和6年1月号)テイハン

■新年を迎えて

法務省民事局長 竹内努

 令和6年4月1日施行の改正後民法777条について。今後の立法課題、区分所有法制の見直し、家族法制の見直し、担保法制の見直し、船荷証券等の電子化に関する商法等の見直し、成年後見制度の見直し。

【論説・解説】■民事基本法制の立法動向について

法務省大臣官房審議官 松井信憲

一 はじめに

二 令和5年通常国会で成立した法律の概要

 1 いわゆる仲裁関連三法について

 2 民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律について

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00336.html

 3 戸籍法の一部改正について

・総務省令和5年8月28日

 氏名の振り仮名法制化に伴う住民記録・印鑑登録・戸籍附票システム標準仕様書の検討

https://www.soumu.go.jp/main_content/000898401.pdf

三 現下の立法課題の概要

 1 区分所有法制の見直し

 2 家族法制の見直し

 3 担保法制の見直し

 4 船荷証券の電子化のための見直し

 5 公益信託法の見直し

 信託財産を金銭に限定しない、受託者を信託会社に限定しない、特定調整庁による許可・監督制の議論。

 6 違憲決定への対応

令和5年10月25日最高裁判所大法廷決定について。

■「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)」の解説(5)

法務省民事局民事第二課補佐官 三 枝 稔 宗、法務省民事局民事第二課補佐官河瀬貴 之、法務省訟務局訟務企画課訟務調査室法務専門官(前法務省民事局民事第二課法務専門官)手塚久美子、法務省民事局民事第二課不動産登記第四係長清水玖美

第2 本要領の概要

 10 第10節 承認申請の審査(承前)

  ⑶ 第3 調査事項

・登記上の地目と、申請土地の現況を表す「種目」が異なる場合について、不動産登記法37条。

・実地調査において測量は実施しない理由・・・所有権界に争いがないことを確認すれば足りるから。

・建物の判断基準(不動産登記規則111条)。

・相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律2条3項2号の、担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地について・・・地方公共団体等がマンホールや電柱を設置するために土地のごく一部に利用権を設定しているような場合は、「使用及び収益を目的とする権利」には該当しないものと考えられる。

・相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則13条、隣接地所有者への通知について・・・再度の通知に対して返答がない場合は、異議のないものとして取り扱う。書面のみで要件不足の場合、実地調査などで補う。

■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第117回)、一般社団法人商業登記倶楽部代表理事・主宰者、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、一般社団法人日本財産管理協会顧問、日本司法書士会連合会顧問、神﨑満治郎

医療法人会計基準

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=428M60000100095

(金額の表示の単位)

第六条 貸借対照表等に係る事項の金額は、千円単位をもって表示するものとする。

・平成19年3月30日医政指発第0330003号厚生労働省医政局指導課長通知「医療法人における事業報告書等の様式について」

https://www5.cao.go.jp/npc/wg-shiryou/3kai/pdf/3.pdf

■Q&A不動産表示登記(87)

(一社)テミス総合支援センター理事、都城市代表監査委員 新井 克美

 主である建物と附属建物の合体した場合の登記について。共有名義建物について、大正8年8月1日民第2926号民事局長回答。

 登記の可否、合体の登記または登記事項の変更申請か、について。不動産登記事務取扱手続準則95条など。

■商業登記の変遷(57)

司法書士 鈴 木 龍 介(司法書士法人鈴木事務所)

 申請人、申請方式、申請書について。当事者出頭主義から廃止へ。原則書面申請を維持(商業登記法17条1項、登記申請の方式)。現行商業登記規則102条1項の申請書情報について、本記事を読むまで、申請情報だと思い込んでいました。

■民事信託の登記の諸問題(28)、渋 谷 陽一郎

 P84以降に記載されている、一定の第三者、について登記事項として事業承継の場合の債務者が法人とする場合が例示されています。家族経営である合同会社の中で、委託者兼受益者と受託者が、どのような地位(業務執行社員、代表社員など)の場合でも、必要であれば、利益相反取引の承認議事録があれば可能なのか、分かりませんでした。

 私なら委託者兼受益者の孫を債務者として、信託不動産(土地)に抵当権設定を行い、建物を建てて、一部を委託者兼受益者の居住用に充てる場合を示すかなと思います。または、信託不動産(建物・委託者兼受益者居住の収益不動産)の修繕のため、この信託における、残余財産の帰属権利者と指定されている孫が債務者となる場合です。

 信託の目的と法人の目的について。

 P86、信託の目的違反が甚だしい行為であっても、一応、有効なものとして、その効果を信託財産の帰属させることができるのか、これに対して確定的な結論があるのだろうか。について・・・信託法166条1項から考えてみます。本条文は信託終の終了原因を定めているので、一応は有効なものとして、信託財産に帰属させることも出来るように読めますが、それは受託者の事実上の行為によって、信託財産の性質(金銭・不動産etc.)上、信託財産に帰属することも出来る、というように思います。法的に有効か無効かとは別の問題だと考えます。

【資 料】 

会社法施行下で使える登記先例──実務の便覧──(4)

平成29年2月10日法務省民商第15号民事局長通達「登記の申請書に押印すべき者が外国人であり,その者の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付することができない場合等の取扱いについて」の一部改正について。登記研究 833号P91

 外国人の本国の法制上の理由等のやむを得ない事情がある場合、日本における領事若しくは日本における権限がある官憲が発行していない場合の取扱いを追加。

平成29年2月10日法務省民商第16号民事局商事課長依命通知「登記の申請書に押印すべき者が外国人であり,その者の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付することができない場合等の取扱いについて」の一部改正について、登記研究833号P98。

 平成29年2月10日法務省民商第15号民事局長通達の署名証明書の要件について。

 登記事項中、商号に使用できる文字、記号などについて。

【法 令】

法務局における遺言書の保管等に関する省令及び法務局及び地方法務局の支局及び出張所設置規則の一部を改正する省令(令和5年5月12日法務省令第27号)

・添付書類の期間制限の廃止。

・市町村町その他の公務員が、職務上作成していない請求人の証明書(マイナンバーカードなど。)の追加。

・法人でない社団・財団が、遺言書情報証明書の交付請求を行う場合の規定の追加。

民事訴訟法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(令和5年12月15日政令第356号)

【訓令・通達・回答】

▽不動産登記関係

〔6214〕司法書士による本人確認情報の作成について(令和5年3月30日付け法務省民二第556号法務局民事行政部長、地方法務局長宛て法務省民事局民事第二課長通知)

〔6215〕租税特別措置法第77条及び第77条の2並びに東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第40条の2の2の規定により読み替えて適用される租税特別措置法第77条の規定による登録免許税の税率の軽減措置に係る証明書の様式について(令和5年3月31日付け法務省民二第562号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局民事第二課長依命通知)

〔6216〕民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(相続登記等の申請義務化関係)(令和5年9月12日付け法務省民二第927号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

▽遺言書保管関係

〔6217〕法務局における遺言書の保管等に関する省令及び法務局及び地方法務局の支局及び出張所設置規則の一部を改正する省令の施行に伴う遺言書保管事務の取扱いについて(令和5年5月12日付け法務省民商第100号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

遺言書保管事実証明書・遺言書情報証明書の各証明書の交付請求,モニターによる遺言書の閲覧請求を行うことが出来る法務局が、全国の法務局、支局にて可能に。出張所は未対応。

〔6218〕遺言書保管事務の監査について(令和5年6月12日付け法務省民商第118号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

 令和5年6月12日施行。

令和5年9月12日法務省民二第927号通達「民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(相続登記等の申請義務化関係)」

 催告書・通知書の様式など。

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