法制審議会信託法部会 第46回会議 議事録






法制審議会信託法部会
第46回会議 議事録







第1 日 時  平成29年11月7日(火)  自 午後1時30分
                       至 午後5時32分

第2 場 所  東京地方検察庁総務部会議室

第3 議 題    公益信託法の見直しに関する中間試案のたたき台の検討 

第4 議 事 (次のとおり)

議        事
○中田部会長 予定した時刻がまいりましたので,法制審議会信託法部会の第46回会議を開会いたします。
  本日は御多忙の中御出席いただきまして,誠にありがとうございます。
  本日は,小野瀬委員,小幡委員,能見委員,平川委員,岡田幹事,堂園幹事,渕幹事,松下幹事が御欠席です。
  まず,本日の会議資料の確認等を,事務当局からお願いします。
○中辻幹事 お手元の資料について確認いただければと存じます。
  事前に部会資料44「公益信託法の見直しに関する中間試案のたたき台(2)」を送付いたしました。また,本日の配布資料として,今回御欠席の平川委員からいただいた「公益信託法の見直しに関する中間試案のたたき台(2)への意見」と題する書面がございます。平川委員の意見書の内容については,関連の箇所で適宜ご紹介させていただきます。
  もしこれらの資料がお手元にない方がいらっしゃいましたら,お申し付けください。
  よろしいでしょうか。
  それから,次回,12月12日の部会ですけれども,できますれば,中間試案の取りまとめに至ることを目標としておりまして,その後,年明けから来年2月中旬頃までの間,中間試案をパブリックコメントに付して,広く国民の意見をお聞きしたいと考えております。
 また,パブコメの後は,信託法部会を再開し,パブコメで頂いた意見も踏まえて,公益信託法の見直しに関する要綱案の作成に向かっていくことを予定しておりますことから,平成30年3月から7月までの日程を確保させていただきました。いずれも第3火曜日ということになります。それ以降の日程につきましては,もう少し先の時点で調整させていただきたいと存じます。
  皆様には,御多忙のところ誠に恐縮ですが,何とぞよろしくお願いいたします。
○中田部会長 本日は,部会資料44「公益信託法の見直しに関する中間試案のたたき台(2)」について御審議いただきます。部会資料44は,部会資料43「中間試案のたたき台(1)」について,9月と10月の2回の部会で皆様から頂きました御意見や御指摘を踏まえて,事務当局の方で修正されたものだということです。
  本日は,部会資料44の全部について御審議いただくことを予定しております。
  審議の進め方ですが,全体を三つに分けることを考えております。すなわち,第1から第7,第8から第11,そして第12から第19の三つです。分量が多いのですけれども,何とぞよろしく御協力をお願いいたします。
  なお,本日は中間試案としてどのような形でパブリックコメントの手続に付すのが適切かという観点から,ゴシック体の部分の内容や表現の当否を中心に御意見を賜われればと思います。
  途中,午後3時半頃,切りのよいところで休憩を挟むことを考えています。
  それでは,本日の審議に入ります。
  まず,第1から第7までの部分について,事務当局から説明してもらいます。
○福崎関係官 それでは,御説明申し上げます。
  今回は,部会資料43の本文の提案から変更している箇所についてのみ,その変更の理由等も含めて御説明させていただきます。
  なお,今回の部会資料の枠囲みの中に記載した部会資料43の本文は,今回の部会資料で変更があったものであり,今回の部会資料で変更がないものについては,第2の2及び3のように枠囲みの中で略と記載するか,第7のように枠囲み自体付けないことにしております。また,第3の1以降では,本文の前に項目名を付ける変更をしておりますが,これは,できるだけ見出しを付けたほうが分かりやすいという趣旨で付けたものでございます。
  まず,「第1 新公益信託法の目的」について御説明いたします。
  第44回会議では,部会資料43の第1の提案のうち,角括弧を付した「公益の増進への寄与を目的とする他の法律と相まって」の部分について,これを積極的に必要とする意見もありましたが,同じく公益の増進を目的とする公益法人認定法及びNPO法にはそのような表現がないことを踏まえて,角括弧の部分を不要とする意見の方が多かったことに加え,あえて上記部分についてパブリックコメントで当否を問うまでの必要性は高くないと考えられることから,本部会資料第1の本文の提案では上記部分を削除しております。
  次に,第2の「1 公益信託の定義」について御説明いたします。
  第44回会議では,部会資料43の第2の1の提案に対し,公益信託の定義としては「公益を目的とする」ことを「受益者の定めのない信託」よりも先に置くべきである旨の意見がありました。
  確かに,公益信託について信託法上の規律と別の規律を定めることの意義は,それが行政庁による審査を経て「公益を目的とする」ことなどの要件を満たすことが公に認められることであることを前提として,当該信託に20年の期間制限などの信託法第258条第1項に規定する受益者の定めのない信託の規定が適用されず,名称が保護されるなどの公的な保護を受けられる地位を設定することにあると考えられます。また,旧信託法第67条は,公益信託を「公益ヲ目的トスル信託」として定義していました。これらを踏まえ,本部会資料第2の1の本文の提案においては,公益信託の定義を「公益を目的とする」を「受益者の定めのない」よりも先に置くものに変更しております。
  なお,第44回会議では,第2の2の「公益信託事務」と信託法上の「信託事務」との区別を明確にすべきである旨の指摘がありましたが,「公益信託事務」は公益法人認定法第2条第4号の「公益目的事業」と同様の概念であり,受託者が行う個別の信託事務を束ねたものを想定しております。
  次に,第3の「2 不認可処分を受けた信託の効力」について御説明いたします。
  第44回会議では,部会資料43の第3の2,後段の甲案を支持する意見が多かったことから,本部会資料第3の2の本文の提案は,部会資料43の第3の2後段の甲案に一本化し,部会資料43の第3の2後段の乙案は,(注2)に示すこととしております。そして,この修正に伴い,受益者の定めのない信託の目的が公益であるか,私益又は共益であるかは截然と区別できない面があることに鑑み,本部会資料第3の2の本文の提案では,部会資料43の第3の2前段で角括弧を付した「公益を目的とする」という部分を削除しております。
  また,第44回会議では,部会資料43の第3の2後段の乙案について,信託法第11章の規定を全面的に適用しないというのではなく,第11章の特則を設けるという提案にしたほうが良く,乙案の別の規定がどのようなものであるのかを補足説明等で例示すべきであるとの指摘がありました。
  そこで,本部会資料第3の2(注2)では,不認可処分を受けた受益者の定めのない信託についても,信託法第11章の規定を適用するが,一定の事項につき信託法第11章の特則を設けるべきであるとの考え方を示しています。上記の特則の例としては,受託者の資格に関する信託法附則第3項の受託者要件を適用しないことなどが考えられます。
  もっとも,行政庁から不認可処分を受けた受益者の定めのない信託について,受託者要件の不適用等の追加的な効果を発生させるということは,当該信託の受託者による公益信託の成立の認可の申請により,当該信託が認可要件を満たしていなくとも,本来は信託法第258条第1項に規定する受益者の定めのない信託に付与されていない効果を発生させることを意味するものであり,そのような取扱いは合理性に疑いがあると考えられます。したがって,不認可処分を受けた受益者の定めのない信託について,一定の事項につき,信託法第11章の特則を設けることについては,慎重な検討を要するものと考えられます。
  さらに,第44回会議において,部会資料43の第3の3の提案は不要であるとの指摘があり,確かに当事者が将来的に公益信託の成立の認可申請を行う予定を有しているか否かの区別をすることは困難であることからすると,部会資料43の第3の2の規定と第3の3の規定を併存させることは相当でないと考えられることなどから,本部会資料第3の本文の提案からは,部会資料43の第3の3の提案を削除しております。
  次に,第4の「2 公益信託の受託者の権限,義務及び責任」について御説明いたします。
  本部会資料第4の2の本文の提案について,部会資料43の第4の2の提案から大きな内容の変更はありません。もっとも,公益信託は受益者の定めがない点で,受益者の定めがある信託とは異なるものであり,公益信託の受託者の権限,義務及び責任を,受益者の定めのある信託の受託者の権限,義務及び責任と全く同一とすることは予定していないことから,そのことを表現するために,本部会資料第4の2(1)の本文の提案では,部会資料43の第4の2の提案の「同一」という文言を「同様」という文言に改めております。
  また,受益者の定めのある信託の受託者の善管注意義務の軽減が信託法第29条第2項で可能とされているのと異なり,公益信託の受託者の善管注意義務を信託行為で軽減することができないようにするか否かの論点は,上記受託者の権限も含めた論点とは異なる論点であるため,本部会資料第4の2の本文(1),(2)の提案は,部会資料43の第4の2の提案を2文に分割した表現に改めております。
  次に,第5の「2 公益信託の信託管理人の資格」について御説明いたします。
  部会資料43の第5の2(1)の提案では,「委託者又は受託者若しくはこれらの者の親族,使用人等の委託者又は受託者と特別の関係を有する者に該当しないこと」と記載していましたが,その該当者が委託者,受託者,委託者と特別の関係を有する者及び受託者と特別の関係を有する者の4者であることが分かりにくいことから,本部会資料第5の2(1)の本文の提案では,受託者とその関係者をア,委託者とその関係者をイにそれぞれ整理して記載することとしました。なお,受託者とその関係者及び委託者が信託管理人になることを認めないとすることは当然でありますが,委託者の関係者が信託管理人になることの可否については,引き続き検討を要します。
  また,部会資料43の第5の2の提案では,(注)の考え方を第5の2(1)の直後に記載していましたが,(注)の考え方は第5の2(1)から(4)の資格に加えて,「学識,経験及び信用」を信託管理人の資格として要求するものであるため,本部会資料第5の2の(4)の直後に記載することとしました。
  さらに,第5の「3 公益信託の信託管理人の権限,義務及び責任」について,第44回会議では,部会資料43の第5の3の提案について特段の異論はなかったことから,本部会資料第5の3の本文の提案に大きな内容の変更はありません。ただし,公益信託の信託管理人の権限,義務及び責任を受益者の定めのある信託の信託管理人の権限,義務及び責任と全く同一とすることは予定していないことから,そのことを表現するために,本部会資料第5の3(1)の本文の提案では,部会資料43の第5の3の提案の「同一」という文言を「同様」という文言に改めております。また,当該論点と信託管理人の権限の信託行為による制限の可否は異なる論点であることから,本文第5の3(1),(2)の提案は,部会資料43の第5の3の提案を2文に分割した表現に改めております。
  次に,第6の「1 公益信託の委託者の権限」について御説明いたします。
  第44回会議では,部会資料43の第6の1の提案に対し,公益信託の場合は内部ガバナンスの担い手として委託者が存在しなくても成り立つような仕組みが必要であるとして,委託者には原則として利害関係人の権限を持たせることとし,信託行為の定めによって受益者の定めのある信託の委託者と同一の権限を持たせることができるようにすべきであるという意見がありました。
  確かに公益信託の委託者に過大な権限を持たせ,公益信託事務の実施に支障が生じることは,公益信託の運営上の観点からも,新たな公益信託が税制優遇を受けることを視野に入れる観点からも望ましいものではないため,信託行為により公益信託の委託者に受益者の定めのある信託の委託者の権限よりも増加した権限を与える必要はないと考えられます。そのため,公益信託の委託者の権限,義務及び責任を,受益者の定めのある信託の委託者の権限,義務及び責任と全く同一にすることは予定しておりません。他方,信託法上の利害関係人は信託財産に対する債権者等であり,委託者と利害関係人は立場を異にするものでありますし,本部会資料第6の1の本文の提案は,任意規定として提案するものであって,仮に公益信託の運営上の観点から委託者の権限を制限する必要があるのであれば,そのような定めを信託行為に置けば足りることに照らすと,公益信託の委託者の権限を原則として受益者の定めのある信託の利害関係人の権限とすることは相当でないと考えられます。
  以上の検討を踏まえ,本部会資料第6の1の本文の提案では,部会資料43の第6の1の提案のうち,公益信託の委託者の行使できる権限は,受益者の定めのある信託の委託者の権限と「同様」と修正した上で,信託行為による「増減」を「制限」に変更しております。
  「第7 行政庁」につきましては変更点がないので,御説明を省略させていただきます。
○中田部会長 それでは,第1から第7までの部分について,御意見を頂きたいと思います。
  どこからでも結構でございますので,御自由に御発言をお願いいたします。
○深山委員 「第3 公益信託の効力の発生」の「2 不認可処分を受けた信託の効力」のところについて,御意見を申し上げたいと思います。
  ここについては,部会資料43のときには甲案,乙案という二つの案が提示されておりましたが,乙案が(注2)というふうに(注)に落とされております。その理由は,今も御説明がありましたように,第44回会議で甲案を支持する意見が多かったということが書かれておりますが,私の印象は必ずしもそういう印象ではなかったので,ここは議事録を読み返したのですけれども,かなりいろいろな意見が出ておりました。
  その中で,私と小野委員は明確に乙案を支持する意見を表明しております。恐らく林幹事も,発言はないけれども,2人が言ったからあえて言わなかったのだと思います。これに対して,甲案を支持することをはっきり発言された委員,幹事の方は,新井委員,それから,能見委員,沖野幹事はそういうことをおっしゃっておりました。ただ,沖野幹事は,御自身の考えを甲案とおっしゃりつつも,ここはいろいろ議論が分かれているので,甲案,乙案と併記をしてパブコメに付すべきだということをおっしゃっております。能見委員も,自身の考えを述べつつも,甲案,乙案,両論を併記することを前提に,それに関連した御意見をおっしゃっております。
  そうしますと,必ずしも甲案多数という取りまとめは異なるのではないかなということを思い,ここは,従来の甲案,乙案という形に戻していただきたいというのが,私の意見であります。
  その点とも関連をするのですが,1点質問をさせていただきたいと思います。
  今回の部会資料の補足説明,7ページの第2パラグラフの「もっとも」以下のところについて,ちょっと趣旨をもう少し解説いただきたいと思います。
  恐らくここの部分が,乙案から(注2)に落ちた実質的な理由なのかなと思いながら読んでいたので,先ほどの点も関連するわけですけれども,ここで,乙案のような考え方を採ったときに,そのような取扱いは合理性に疑いがあるというようなことが書かれております。この合理性に疑いがあるという意味合いをもう少し,私の理解が不十分というか,理解できていないので教えていただきたいというのが質問なのですが,私自身は,むしろ甲案のようにストレートに目的信託の規定を単純に適用したときに,逆にやや不合理な面が出るのではないかなと考えております。
  といいますのは,不認可処分を受けた信託において,受託者要件がどうなるのか,現行信託法の附則3項に定める法人についての5,000万円の純資産という要件がどうなるのかということは非常に大きな問題で,もちろんこの附則3項がそのまま残るかどうかももちろん決まってはいないと思いますし,残ったとしたときに,今の括弧書きの公益目的を除くという点の読み方もいろいろ見解があると思います。そこにも関係しますけれども,例えば,このような不認可処分を受けた信託については,これはもう公益信託ではなく目的信託であるとして,この受託者要件がかかってくるのだということになると,受託者が5,000万円以上の資産を有していないと,公益信託の認定を受けられなかっただけではなくて,目的信託としても不適法ということになって,全く信託として残る道が閉ざされてしまいます。
  もちろん5,000万円以上持っていれば残る余地はあるわけですが,そういうことを考えますと,事実上,非常に狭き門になってしまうというようなことが,むしろこういう信託を当然には無効としないという,ここの部会のコンセンサスからすると,やや不合理ではないかと感じるところです。
  そんなこともありますので,ちょっとこの補足説明に書かれている合理性に疑いがあるというところについて,もう少し教えていただければと思います。
○中田部会長 ただ今の第3の2について,関連する御意見がございましたらお出しいただきまして,その上で,事務当局の方からコメントを頂きたいと思いますが。
○林幹事 深山委員と基本的には同じ,従前から同じ意見なのですが,若干補足させていただきます。認可を受けられないときに,その受けられない根拠が,公益目的なのだけれども認可を受けられないという場合も想定されます。それから,附則3項の関係ですが,いろいろな理解の仕方もあるところかと思いますけれども,要するに,学術,技芸,慈善,公益の場合は適用されないという理解もあるという前提の下に,また一方では,認可を受けられないからといって直ちに無効とはしないという前提の下に今まで議論をしてきて,あるいはそれに併せて附則の改正も視野に入れてというような御提案だったかと思います。そうしたときに,先ほど言われたような従前の乙案である,この(注)のような考え方も,一つ有力な考え方だと思っています。前回の委員幹事の方々もそのような,少なくとも甲案,乙案でパブリックコメントに付すというようなことだったかと思いますので,私も,従前のように甲案,乙案のように戻していただくのがいいのではないかと思っています。
○道垣内委員 甲案,乙案の二つを載せるということに対して,特に反対をするというつもりはないのですが,バランス上,一言申し上げます。
  つまり,深山委員は不合理だとおっしゃったのですが,それでは,最初から公益認定を受けられそうもないような定めでやれば,純資産5,000万円という目的信託の要件は潜脱できるということになるわけですよね。したがって,私は,現在本文として残っている見解は十分に合理的だと思います。しかしながら,二つの意見を並べてパブコメに付すということにすべきであるということであれば,別にそれに反対するものではありませんが,議事録上,不合理であるという言葉だけが残るというのはいかがかと存じますので,一言いたしました。
○中田部会長 ほかにございますでしょうか。
○吉谷委員 どちらに賛成かということについて,前回意見を表明しておりませんでしたけれども,それは従来同様の意見だったからです。前回の乙案は,提案しようということであれば,法制審議会として中間試案を出すのであれば,もう少し具体的な形にまで詰めた上でないと,ちょっと不親切ではないのかと思いますので,(注)の程度にしておいて,そこで自由に意見を述べていただくのがよろしいのではないかと考えております。
○中田部会長 それでは,この辺りで事務当局の方からコメントいただきたいと思います。
○中辻幹事 まず,深山委員から第3の2の論点に関する第44回の部会での意見分布について御指摘がありました。今回もそうですが,第44回では,平川委員からも,部会資料43の第3の2の甲案に賛成という御意見を頂きました。また,その回,道垣内委員は御欠席でしたけれども,メールで甲案に賛成の御意見を頂いたことを事務局から紹介いたしました。それらも踏まえて,部会の御意見としては甲案支持が多かったということを今回の部会資料44に記載したものでございます。その上で,深山委員の御理解のとおり,今回第3の2の乙案が(注2)に落ちた実質的な理由は,部会資料44の7ページの「もっとも」以下で書きました理論的な問題が大きいということがございます。
  もちろん,第44回では,乙案を支持する意見も複数ありましたし,また乙案のいう別の規定の具体化の必要性を示唆する意見もございましたので,それにお答えするという意味で,(注2)の補足説明で別の規定,特則を例示しております。けれども,部会資料43で第3の3の論点としておりました「認可の申請を予定していない受益者の定めのない信託」の取扱いも含めて考えますと,第3の2の従前の乙案というのを検討すればするほど,なかなか実現困難な面があると。ちょっと私が真面目過ぎるのかもしれませんけれども,甲,乙両案併記のままパブコメにかけて,余り乙案支持の方に期待させておいて結局駄目でしたというのでは,かえって申し訳ないという思いから,(注2)に落としたということでございます。
  特に,不認可処分を受けたことによって,何らかの追加的な効果が発生する,元々目的信託としては効力を生じなかったものが効力を生じることになるというのは,解決困難な問題であるように思います。そこが解決できるということであれば良いのですが,私どもとしても,乙案を何とか生かせないかということで考えた末に,今このような提案の仕方になっておるということは,是非御理解いただければと思います。
  結局のところ,林幹事もおっしゃっておりましたけれども,現在の目的信託の5,000万円の受託者要件というのが厳し過ぎることが問題の本質であるような気がし,もし乙案の趣旨を推していくのであれば,むしろ目的信託の受託者要件について考え直すというのが筋なのようにも思います。
  また,現在の附則第3項では,「受益者の定めのない信託(学術,技芸,慈善,祭祀,宗教その他公益を目的とするものを除く。)」と規定されていて,公益目的の受益者の定めのない信託にも5,000万円の受託者要件が課されることになっており,部会資料43の第3の2の乙案を採用するのであれば,不認可処分を受けた公益目的の受益者の定めのない信託について特則を設けるために改正が必要ですし,その時の甲案すなわち今回の第3の2の本文の提案を採用したとしても,附則第3項は,公益を目的とするものとして行政庁の認可を受けたものを除くというような文言に改める必要がございます。ですから,いずれにせよ附則第3項は改正する必要はあるのですが,そこは,従前の甲,乙,どちらを採るかで,改正後の文言は変わってくるということでございます。 
○中田部会長 今,御説明いただきましたが,この点について。
○深山委員 説明は説明で分かりました。
  その上で,乙案について,受託者要件のところは,正に今,中辻幹事がおっしゃったように,元々の附則第3項の問題もありますし,私は別にそこにこだわっているということでもなくて,むしろ,道垣内委員がおっしゃったことはもっともだとは思いつつ,逆に,例えば,信託管理人を必置にするとか,むしろ通常の目的信託よりも厳しい要件という方向も含めての特則ということで考えています。潜脱するということを許すのはもちろんよろしくないのですが,いろいろな角度から特則が必要なのではないかなという気がしております。つまり,受託者要件の点に限らずですね。
  そういう意味で,前回というか前々回ですかね,中辻幹事の方では,そういうことを踏まえて表現を検討しますとおっしゃっていたので,期待していたところ,注に落ちちゃったので,ちょっと今がっくりしているので,つい意見を申し上げたということです。要は,こういう認可を受けられなかった信託の中には,もちろんおよそ好ましくないものもあれば,それなりに社会的に価値のあるものではあるけれども,何らかの理由で認可を受けられなかったものもあり得るというときに,当然には無効にしない道を残すという,元々のこの議論の出発点からすると,場合によっては,厳しい要件を課してでも,なお信託として残るという道を残すべきではないかというのが,私の根本的な考え方です。ですから,受託者要件は,そのまま5,000万円が残ってもいいのかもしれませんが,何らかの単純な目的信託とは違う特則を設けるべきかという問題は,そういう観点から検討すべきではないかという点を,ちょっと補足させていただきます。
○中田部会長 ほかに,この点についてございますでしょうか。
  7ページの先ほど御指摘のあった「もっとも」というパラグラフについては,ただ今の中辻幹事からの御説明で,説明としては一応は理解したということで,その上で,中辻幹事からの御発言もありました,むしろその目的信託の要件の厳重さというのが問題の本質ではないかということが出てきたのかもしれません。これは,また今後,それはそれとして検討するということになろうかと思います。
  その上で,甲案,乙案を復活するという御意見と,これはこれでいいのではないかという御意見と両方あるわけですけれども,乙案に盛り込まれた考え方自体は,(注2)というところで生かされているということであって,かつ,先ほどの「もっとも」以下の説明が一応はあり得るということであれば,これでいってはどうかというのが事務当局の考えだと思うのですけれども,いかがでしょうか。
  取りあえず,今日,ここまで御意見いただいたということで,更にまた検討いたしますけれども,今のところは,必ずしも甲案,乙案,両案にしろということが大多数という感じでもないかなと,今伺って感じました。
  今の点でも結構でございますし,ほかの点でも,第1から第7までお出しいただければと存じますが。
○中辻幹事 では,平川委員の意見書の紹介を,ここでさせていただきたいと思います。
  第1から第7までの論点につきましては,概ね賛成の御意見を頂いております。
  ただし,第2の「1 公益信託の定義」については,現在のたたき台とは別の表現が望ましいのではないか。具体的には,平川委員の意見書1ページの「改正案」として,「公益を目的とする受益者の定めのない信託」という現在の中間試案のたたき台の提案を,単に「公益を目的とする信託」とし,「受益者の定めのない」という部分を削除することが相当ではないかという御意見を頂いております。
○中田部会長 この第2の1の定義について,平川委員からゴシックの部分についての修正案をお出しいただいているわけですけれども,いかがでしょうか。
○樋口委員 ちょっと,議事録に残そうということですね,これから申し上げることは。
  この第2というところ,ずっと昔から,もしかしたらこの場でも申し上げたことがあるのかもしれないのですけれども,今の1を,平川委員と関連するということで発言させていただきますけれども,この1がまず公益信託の定義になっていて,2で公益信託事務の定義になっているわけですね。普通,公益信託の定義と事務の定義は一緒ではないかなとか思うのですけれども,わざわざこうやって二つ書いてあって,上の方には,この目的とする,今の受益者の定めのない信託という話,公益を目的とする受益者の定めのない信託で,次の方は,こういう公益に関する種類のものであって,不特定かつ多数の者の利益で,不特定の者というのは,受益者の定めのないというのに重なると思うのですけれども,多数のっていうのを加えてあるのですね。
  それで,私は,たまたまですが,アメリカでこういう公益団体のリステートメントというのを作っていて,その定義を見ることがあって,それは,これよりちょっと項目は多かったりしますけれども,こういう公益の種類が書いてありますね,そのリステートメントには何が公益かがはっきり書いてあるのです。昔からの歴史のある概念だから,学術,技芸,慈善,祭祀,宗教というのは。でも,アメリカの場合プラスアルファがありますけれども,何であれこういう,正にこれは公益ですよというようなものがある。それに加えているのは,インデフェニットベネフィシャリーズ(不特定の受益者)という話だけなのですね。だから,つまり,デフェニット(特定)であれば,普通,私益信託になりますから,特定の受益者ということになればね。だから,特定の受益者はいない。だから不特定のというのは,私は別に構わない,受益者の定めのないというのは構わないと思うのですけれども,更に「かつ多数」というのを付けたのは解せない。だから一番初めに申し上げる必要すらないのですけれども,日本の伝統では,私が知っているあらゆる学説であれ,それからほかの公益法人法制であれ,不特定かつ多数というのが公益だという,確信というのが何かあって,しかし,その結果どうなっているかというと,この多数というものが入っている分だけ限定解釈になっているわけです。
  それで,場合によっては,例えば私が出身の高校の卒業生で大学へ行く人に奨学金を与えたい,特定の高校ですか,これは公益ではないですねって,多数とは言えないからですね。不特定ではあると思うのですけれどもね,誰になるかは分からないから。そういう狭い解釈というのが,日本では通用してきて,一体多数っていうのはどういうことなのですかという,定義としては誠に不明確な,しかも,どこからやってきたのだろうというのがよく分からない。もしかしたら,ヨーロッパ大陸法の伝統では,こういうような解釈がなされているのかもしれないのですけれども,英米の世界ではないので,どうしてこれが入っているのかなというのを,ずっと疑問に思っているということなのです。
○中田部会長 ありがとうございました。
  ほかに,この第2についていかがでしょうか。
○小野委員 前回話題になった藤谷前関係官の論文に関してですが,公益法人法には,祭祀,宗教が入っていないが,宗教法人法がカバーしているからだというような議論がありました。祭祀,宗教が絶対入っちゃいかんという強い信念を持っているわけではないのですが,パラレルな議論からしても,宗教法人法があるからということもあって,公益信託においてもなくてもよいという議論もあってもよいのかなと思って,発言させていただきました。
  弁護士会での意見では,法人ではなくて信託だから,宗教法人法と公益法人の議論とは異なるという趣旨ではないかという議論もありましたけれども,この点について,事務局の御意見を賜われればと思います。
○中田部会長 祭祀,宗教を入れるかどうかというのは,どこかの段階で確か少し御審議いただいたかと思いますけれども,民法の法人のところには入っているわけですよね。それをどうするかということだと思うのですけれども。
○中辻幹事 今,部会長がおっしゃったとおり,民法第33条の法人の規定には,公益の例示として祭祀,宗教が入っています。そして,その規定の存在を前提とした場合に,法人の方は祭祀,宗教を目的とする宗教法人法があるから公益法人認定法における公益の例示の中に祭祀,宗教を入れなくても良いわけですけれども,信託の方は宗教信託法というのはないので,祭祀,宗教を外してしまうと,信託の方で祭祀,宗教を受け切れない可能性があるように思います。
  祭祀,宗教のために公益信託が利用される場面というのが実際どれほどあるのかというのは,少し疑問が残るところではございますけれども,今申し上げたような理論的な観点から,中間試案における公益信託の定義においては,公益の例示として祭祀,宗教を入れているということでございます。
○神田委員 第2について1点と,もう1点,第3についてもよろしいですか。
  第2については,てにをはで恐縮なのですけれども,前に議論されたかもしれませんし,樋口委員がおっしゃったことともちょっとは関連するのですが,1の定義と2の定義で違いがあって,例えば,1の方は「を目的とする」,2は「に関する」になっていると。それから,2の方は「不特定多数の者の利益の増進に寄与する」となっているのですけれども,これは,あとの第9のときにお伺いすべきことかもしれませんけれども,第9も拝見すると,公益信託というのは,公益信託事務を行うことを目的とする信託ということではないのでしょうか,ということなのですけれども。
  ですから,てにをはとして,1,2と第9との関係を見るとちょっと分かりにくいので,パブリックコメントに付すと,何か予想外の回答が出てくるのではないかということを,やや危惧します。
  それから,第3については,前に申し上げたことで,第3の2なのですけれども,既に信託が存在していて,公益信託の認可申請をして不認可になった場合,これもありだということを補足説明の1で明言していただいているのですけれども,少なくとも,今の第3の2の文章本文では読めないですよね。といいますのは,不認可処分を受けたときから,その効力を生ずると書いてあるものですから。
  ですから,これも,実質は補足説明の1で結構なのですけれども,やはり読めるような本文にしていただいたほうがいいように思います。
○中田部会長 ありがとうございました。
  今,第3についても御意見いただいておりますが,第2,第3について,ほかにいかがでしょうか。
  今までの樋口委員,神田委員からの御意見について,何かございますでしょうか。
○中辻幹事 まず,神田委員の第2についての御意見ですけれども,前々回山本委員から御指摘があった点に関連すると思います。少し第2の1,2の定義がダブりぎみ,また第9の認可基準で公益信託の目的という言葉が出てきますので,整理が必要というのは,そのとおりであると感じます。
  この前山本委員が御指摘になったとおり,公益法人認定法の方を見ると,その認定基準を満たしたものを公益法人とするというような定義付けがされていますので,公益信託も最終的にはそのような条文になるのかもしれません。
  ただ,今のこの中間試案の段階では,公益信託は公益信託として定義をし,公益信託事務を公益法人認定法の公益目的事業と同じような形で定義する,そして更にダブるのですけれども,第9の認可基準でも公益信託の目的について述べておくというのが,いささか重複感はあるものの,このような形でパブリックコメントをかけたほうが読み手にとって分かりやすいのではないかと事務局としては考えているところでございます。
  それから,樋口委員から不特定かつ多数について御指摘がございました。
  おっしゃるとおり,この不特定かつ多数という文言があることによって,公益信託が活用される場面というのが狭くなるというのは望ましくないというように,事務局としても考えております。ただ,既に公益法人認定法あるいはNPO法で,公益を表す具体的な文言として,不特定かつ多数という文言が使われている中で,公益信託の公益についてのみ異なる文言を使うというのもなかなか難しい状況にあるということで,ここは,不特定かつ多数という文言は使うのだけれども,余り限定的に狭く解するべきではないというようなことを,中間試案の補足説明などで示していきたいと感じます。
  それから,神田委員から,第3について御指摘がありました。今回の補足説明に書いた部分は,第44回での神田委員の御示唆を受けて正しく反映できていると思うのですけれども,確かに,今回の第3の2のゴシック本文では,対応しきれていない部分があるように思います。ちょっと引き取って,できるだけ神田委員の御示唆を反映できるように検討しますと,あまり簡単に約束するとまたがっかりさせてしまうかもしれないのであれですけれども,考えてみたいと思います。
○山本委員 今の公益信託の定義の点について以前に発言したのですけれども,恐らく分かりやすさを優先して今回このような形にされたのだろうと,一応理解はしていました。しかし,その際にも申し上げましたように,認可は公益を目的するものとして受けているのではなく,公益事務を行うことを目的とするものであることが認可基準になっているとしますと,確かにこのパプコメを求める段階で,何条の認可を受けた者とするというような,木で鼻をくくったような定義にするのはいかがなものかとは思いますけれども,認可の基準ともう少し整合性のあるような形で提案しておくほうが,混乱が少なくなるのではないかと思います。
  その意味で,神田委員の御指摘に,私も賛成したいと思います。
○中田部会長 では,今頂きました山本委員,あるいはその前の神田委員の御指摘を踏まえて,更に検討していただくということにいたします。
  ほかにいかがでしようか。この第2,第3に限らず,第1から第7までのどこでも結構です。
○道垣内委員 第5の2なのですが,以前の文章ですと,四つのことを書いているというのが分かりにくいので,受託者と委託者とを分けて書こうというのは大変結構なのですが,直していただいた文章を読みましても,最初は理解できませんでした。
  つまり,例えばアで,「受託者又はその親族,使用人等の受託者と特別の関係を有する者」なのですが,今,僕は,分かってから読み始めたのでさり気なく続けて読んでいますけれども,これ,日本語としては,「受託者又はその親族,使用人等の」で切れる可能性というのを十分に持っている文章ではないかなと思います。そうすると,何を言っているのかさっぱり分からないというのが,私の最初の印象だったのですね。
  では,どういうふうにすれば,語の固まりがはっきりするのかというと,「等の」という箇所は「等その他」とすべきではないかなと思います。法制執務的な言葉でパブコメにするには適切ではないという感じもしないではないのですが,何と何とが固まりをなしているのかというのは,そちらの方が分かりやすいのではないかなという気がしました。最初は読んで分からなかったという,その原体験に根差した叫びですね。
○中田部会長 「その親族,使用人その他受託者と」ということですね。ありがとうございました。
  法文がどうなるかということと,適切な意見を出していただくように分かりやすい表現にするというのと,少し違うところがあると思います。その上で,このゴシックの部分をどう書くのか,あるいは補足説明との関係でどう分担するのかと,そんなことだろうと思うのですけれども,更に工夫をしていただこうと思います。
  この点について,今たまたまここに来たわけですけれども,先ほど福崎関係官から,2の(1)のイについて,委託者と特別の関係を有する者が信託管理人になることがいいのか,悪いのかについて検討を要するという御指摘がございました。資料の12ページの3行目から4行目にかけてですけれども,これは,やや実質に関する問いかけですが,もしこの点について御意見ございましたら頂きたいのですけれども。
○吉谷委員 委託者の関係者が信託管理人になるということにつきましては,現在の他の提案と併せて考えますと,委託者の影響力が大きくなり過ぎるという点に問題があると考えておりまして,受託者の解任のところを見ていただくと,委託者と信託管理人で解任できるということになっておりますので,これですと,委託者の関係人が信託管理人になりますと,事実上,委託者が単独で解任できるということに等しくなってしまうと思います。
  これは,委託者が受託者を含む関係者の人事権を握るということになりますので,委託者が信託事務処理に影響力を発揮できるということにつながりやすいと思います。ですので,公益の概念であるとか税の考え方との整合の点で問題があると考えておりますので,その点について,論点として解説等で分かりやすく書いていただけないかなと考えております。
○中田部会長 その部分については,現在のまま変えないほうがよいということでございますね。
○吉谷委員 そうです,はい。
○中田部会長 ありがとうございます。
  ほかにいかがでしょうか。
○小野委員 当然と言われてしまうかもしれませんが,目的信託前置主義ではなくても,認可を受けることを効力発生条件として信託行為によって信託契約を結んで,受託者であることを明確にした上で申請することもあり得るかと思うのですけれども,当然できますというべきか,逆に,この補足説明の書き方とか全体のトーンからすると,仮に効力発生要件が後だとしても,そういうものは公益信託でない以上は契約自体が目的信託になるとかいう議論もないとは思いますがいかがでしょうか。その方が,誰が委託者で誰が受託者で,信託行為の内容も明らかな感じがするのですけれども,それも許容されているという理解でよろしいかどうか,確認させていただけたらと思います。
○中田部会長 それは,先ほどの「第3 公益信託の効力の発生」のところですね。
○小野委員 そうです。補足説明の部分で,目的信託前置主義又は目的信託が残る場合はそれもありますよ,と書いてあるので,そうではないケースでも,事前に条件付きであれば可能ではないかと思っての発言です。
○中辻幹事 小野委員の御理解のとおりだとは思っておるのですけれども,一応,念のためですが,第3の1の「公益信託の成立の認可」のゴシックで,信託行為プラス行政庁による成立の認可があって初めて公益信託の効力が発生するというのは,信託法第4条の特則であり,行政庁による認可がない以前の信託行為がある状態というのは,言わば公益信託の準備状態という意味で,目的信託の規制はかかってこないという説明を,補足説明の方でしています。
  小野委員がおっしゃられた,行政庁の認可を停止条件として,認可があって初めてその公益信託としてやっていきますよという契約であるならば,それは公益信託の認可があるまでは目的信託としても公益信託としても効力を生じることにはならないというのが今の部会資料の考え方でございます。
○中田部会長 よろしいでしょうか。
  ほかにいかがでしょうか。
○新井委員 まず,第1点目が,8ページ,第4の「公益信託の受託者」についてです。
  これについては,甲案,乙案とありまして,乙案の下に(注1)というのがあります。ここで,運営委員とか運営委員会について言及していただいているのは,大変いいことではないかと思います。その上で,現状の実務では,運営委員,運営委員会の役割で一番大きなものは,恐らく受給者の選定です。そうすると,ここでの説明ですと,信託財産の処分となっているので,その受給者の選定が信託財産の処分に当たるとも言えるのですが,なかなかその辺の理解が難しいので,信託の処分というのは,もう少し別の言葉に変えるなり,補充していただいたほうがいいのではないかと思います。
  これが第1点目ですが,少し前後してもよろしいでしょうか。
  第2点目ですが,5ページに戻りまして,第3の「公益信託の効力の発生」ということについては,私は,この事務局案でよろしいと思います。それで,乙案をもし支持するパブリックコメントが出てくるとしたら,この(注2)に関していろいろ意見が出てくると思いますので,実質的には,乙案にも十分配慮した立て付けになっているのではないかと理解をしております。
  それと,第3点目が,第2の「公益信託の定義等」です。
  平川委員のこの文書の意見を読ませていただいたのですが,私も,この第2の「1 公益信託の定義」については,「受益者の定めのない」という部分は不要でもいいのではないか,旧信託法どおりの定義の仕方で,それで十分ではないかなと考えます。
○中田部会長 ありがとうございました。
  今,第4,第3,第2について御意見いただきましたが,関連する御意見ございましたらお願いします。
  それでは,事務当局の方から。
○中辻幹事 新井委員から,第4の1(1)の(注1)の考え方と表現について御指摘をいただきました。ここは,正に新井委員御指摘のとおり,現在の実務,信託銀行が運営委員会等の意見を聴いて奨学金等の支給を行っていることと,税法の規定を意識したものでございます。その上で,信託法第2条で受託者は,信託財産の管理又は処分を行う者と定義されており,その処分に当たる奨学金等の支給を誰に対して行うのか最終的に決めるのは飽くまで受託者であり,運営委員会等は誰に奨学金等を支給するかを助言するという建て付けになっていることから,(注2)では信託財産の処分という言葉を使っています。
  それから,遡って第2について新井委員から平川委員の御意見を支持し,第2の1の公益信託の定義から「受益者の定めのない信託」という部分を削り,旧信託法のように公益を目的とする信託とシンプルに書くことで十分ではないかという御意見をいただきました。
  ただ,従前平川委員も新井委員も公益信託に受益者の定めのある信託は入らないというご理解を示されており,そこについては他の委員幹事も事務局も同じ考えであるとすると,結局どちらが分かりやすいといえば「受益者の定めのない信託」と書いてあった方が分かりやすいようにも思います。また,平成18年の信託法改正のときに,公益信託については受益者の定めのない信託のうち公益を目的するものという定義付けがされているということがあって,「公益を目的とする」と「受益者の定めのない信託」のどちらを先にするのかというのは信託の分類論で,それこそ解釈学,研究者の方にお任せすべき話なのであって,むしろパブリックコメントをする際に読んだ皆さんが分かりやすい方が良いのではないかということで本文の提案はしているものでございます。
○中田部会長 いかがでしょうか。
○小野委員 運営委員会の関連の質問です。信託法で指図権の議論があって,信託法上どう位置付けられるのかみたいな議論と思うのですけれども,何となく運営委員会が指図権者的な,運営委員会という名前からして違うという議論かもしれませんけれども,位置付けもなきにしもあらずかと思うのですがいかがでしょうか。公益信託の場合は,全体像からしたら,それが許容されるとは思わないのですが,禁止もされていないようにも思われるので,それについてはどんなふうなお考えなのか教えていただければと思います。
○中辻幹事 実務の話も関係しますので,吉谷委員の方が正確にお答えできるのかもしれませんが,私の現在の理解では,現在の許可審査基準における運営委員会等は,指図権者ではありません。飽くまで受託者が公益信託事務を行うに際しての諮問機関であって,その助言を受けて受託者が奨学金等の支給分配を行っているという理解をしておりますし,たしかに禁止されてもいませんが,公益信託で指図権者を設ける必要性もないように思います。
○中田部会長 よろしいでしょうか。
○神田委員 第6について,てにをはなのですが,1,2を見ますと,1の「公益信託の委託者」,2は「公益信託がされた場合には」,ほかを見ますと,公益信託の委託者でいいように思いますし,行使できる権限とまで書かなくても,1の方で言うと,「公益信託の委託者の権限は」「受益者の定めのある信託の受託者の権限と同様とした上で」とし,次の「委託者の権限は」は不要で,「信託行為により制限できる」。2の方は,「公益信託の委託者の相続人は」で,「公益信託」も要らないぐらいなのですけれども,ほかを見ますと,「公益信託の信託管理人」とか「公益信託の受託者」という文章で始まっていますので,シンプルでいいように思います。
○中田部会長 表現については,また検討していただこうと思います。できるだけ紛れがなく,分かりやすくということだと思います。
○深山委員 第2の定義のところで,平川委員からも新たな意見が出たので,その点に関して申し上げたいと思います。
  結論から言うと,今の提案の「受益者の定めのない」というのを残していいと,個人的には考えております。その上でパブコメということで,(注)でそれを不要という意見があるというのを紹介することは差し支えないと考えておりますが,やはり,先ほどの不認可処分を受けた信託の効力のところなどでも,その他のところもそうですけれども,やはり公益信託というのはかなり特殊な信託ではあるものの,やはり目的信託の,ある意味一種だという理解が,この場では多数の認識ではないかと思うのです。
  先ほどの第3の2のところでは,甲案というのはストレートに目的信託という位置付けですし,そうではない考え方でも,それに特則を設けるというような議論をしているということは,やはりベースにおいては目的信託を意識した立て付けになっているという気がするので,そういう意味では,ここで受益者の定めのないというのを定義の中に入れるのが自然ではないかなと思うということを,一つの意見として申し上げておきたいと思います。
○中田部会長 今の点,いかがでしょうか。
  目的信託の一種かどうかについては,多分いろいろ御議論があるところだろうと思います。その上で,パブリックコメントに出す際に,公益信託という制度をより簡単に理解してもらうために,受益者の定めのないというのを入れたほうが分かりやすいだろうということなのだろうと思います。その性質論としては意見が分かれるとしても,実質として受益者の定めのない信託であることは動かないわけでしょうから,そのことを踏まえた上で,どうしたら無用の誤解を避けて意見を出していただくことができるかということなのかなと考えておりますが,さらに,この点について御意見がございましたらお出しいただきたいと思いますけれども。
  深山委員のおっしゃった,その(注)のような書き方にすると,公益信託の中で受益者の定めのある公益信託というものも,実質論としてあり得るのだというような誤解が生じるのもどうかなという気もします。そこは,どちらにしても,考えていることは皆同じだと思いますので,疑義のないようにするにはどうしたらいいのかという観点で,更に詰めていただこうと思います。
  そういう辺りでよろしいでしょうか。
  ほかに,第1から第7まで,よろしいでしょうか。
○吉谷委員 第5の「公益信託の信託管理人」の2のところで,1点御意見申し上げます。
  (4)の後に(注)がありまして,これは,信託管理人に対して能力要件が必要であるという考え方だと理解しておりますけれども,ここの,これも文言の,表現の問題ではありますけれども,「当該公益信託の目的に照らしてふさわしい学識,経験及び信用を有する者」というような表現になっておりますけれども,まず,「公益信託の目的に照らして」というところは,以前に受託者のところでも議論されていましたけれども,もはや使っていない用語であります。その後の学識,経験,信用についても同様かと思います。
  ですので,表現としては,受託者のところが「公益信託事務の適正な処理をなし得る能力を有すること」となっておりますので,それに合わせれば,公益信託事務の適正な処理の状況の監督をなし得る能力を有する者とか,公益信託事務の適正な処理の監督をなし得る能力を有する者とか,そういう形で合わせたほうが,受託者の能力要件との比較では分かりやすい表現になっているのかなと思っております。
○中田部会長 ありがとうございました。
  これも,これまで若干議論を経た上でこういう表現になっていったのかと思いますけれども,今の御指摘をまた踏まえて,御検討いただくことにしたいと思います。
  第1から第7までについては大体よろしいでしょうか。
  それでは,次に進めさせていただきます。
  第8から第11までの部分について,御審議いただきたいと思います。
  事務当局から説明してもらいます。
○舘野関係官 それでは,「第8 公益信託の成立の認可の申請」について御説明いたします。
  部会資料43の第8の提案に対して,第44回会議では,特段の異論はありませんでしたが,当該提案の趣旨は,公益信託の認可の申請を行う主体及び申請の手続の骨格を新公益信託法の中に定めておくというものであることから,それをより明らかにするためには,本文第8の標題を「公益信託の成立の認可の申請」に改めた上,第8の1の本文の提案について,部会資料第43の第8の1の提案のうち,「認可を受けることができる」という部分を,「認可の申請をすることができる」という表現に変更しております。
  次に,「第9 公益信託の成立の認可基準」について御説明いたします。
  第44回会議では,部会資料43の第9の「1 公益信託の目的に関する基準」の本文の提案に対し,特段の異論は示されませんでした。
  もっとも,部会資料43の第9の1の「公益信託は,収益事業を目的としてはならないものとする」という提案では,公益目的の信託事務が収益を伴うものであることが許容されるのか否かが分かりにくい旨の指摘がありました。部会資料38の第3に記載しましたとおり,公益信託の受託者が行う信託事務の中には,まず,①当該公益信託の目的の達成のために直接必要な信託事務,②当該公益信託の目的達成のために間接的に必要な信託事務,③当該公益信託の目的の達成のために必要性を欠く信託事務が想定されるところ,公益信託の受託者が行うことができる信託事務は,今御説明いたしました①及び②に限定し,③の目的達成のために必要性を欠く信託事務は許容しないようにするべきであり,そのことをパブリックコメントに付す提案としては明らかにすることが必要であると考えられます。
  そこで,本部会資料第9の1の本文の提案では,部会資料43の第9の1において,「公益信託事務を行うことを目的とするものであること。公益信託は,収益事業を目的としてはならないものとする。」としていた部分を,「公益信託事務を行うことのみを目的とするものであること」に修正した上で,本部会資料第9の2の本文の提案を追加し,公益信託の受託者が行う信託事務に関する基準として,公益信託の受託者は,当該公益信託の目的の達成のために必要な信託事務を行わなければならないことを明らかにするため,「公益信託の受託者は,当該公益信託の目的の達成のために必要な信託事務を行わなければならず,その目的の達成のために必要性を欠く信託事務を行ってはならないものとする。」という基準を明示しております。
  なお,本部会資料第9の1及び2の本文の提案は,公益信託の受託者が収益を伴う信託事務を行ったとしても,それが公益信託の目的の達成のために必要な範囲であれば許容されることを前提としているものです。収益を伴う信託事務が,先ほど御説明いたしました②として許容されるか,③として許容されないかは,行政庁が公益信託の成立の認可の時点で,当該信託の信託行為や事業計画書等に基づいて判断し,成立の認可後も,当該公益信託の目的の達成のために必要な範囲外の収益を伴う信託事務を受託者が行うことがないように,行政庁が監督することを想定しております。
  また,第9の「3 公益信託の信託財産に関する基準」の本文のうち,(2)の公益信託事務を遂行することが可能な信託財産を保有していることにつきましては,部会資料43の第9の2(2)の提案では,括弧書きで,信託財産の取崩しを内容とする場合には,その存続期間を通じて,当該公益信託事務を遂行することができる見込みがあることと記載しておりましたが,当該括弧内の信託財産の取崩しを内容とする場合の公益信託事務の遂行見込みは,当該括弧以前の一般的な公益信託事務の遂行見込みに包含されるものであることから,本部会資料第9の3(2)の本文の提案では,その括弧の部分を削除しております。
  なお,本部会資料のゴシックの本文につきましては,基本的に条文化されるものを記載しておりますが,本部会資料の第9の3(1)本文の公益信託の信託財産は,金銭に限定しないものとするとの提案につきましては,新公益信託法の条文として,規律を設けることにはならないため,パブリックコメントに付す際には,本文の提案とはしないものの,重要な見直しの一つでありますので,その旨が明らかになるよう努めたいと存じます。
  さらに,第9の「4 公益信託の信託行為の定めに関する基準」の本文につきましては,公益信託事務が金銭の助成等に限定されている公益信託と,それ以外の公益信託とに適用される基準の違いを明確にするために,第9の4(1)では,新たな公益信託一般について適用される基準を明記した上で,第9の4(2)において,公益信託事務が金銭の助成等に限定されている公益信託については,会計に関する基準を適用しないことを明記しております。
  なお,部会資料43の第9の3(3)に提案しておりました,公益信託の信託財産の投資運用についての基準は,第44回会議における指摘を踏まえますと,新たな公益信託の認可基準に投資運用についての基準を設けるまでの必要はないと考えられることから,部会資料43の第9の3(3)の甲案及び乙案をいずれも削除しております。
  第10及び第11につきましては,特段変更点はございませんので,説明は省略させていだきます。
○中田部会長 それでは,ただ今御説明いただきました第8から第11までの部分につきまして,御意見を頂きたいと思います。
○道垣内委員 第9の2について,まったく読み間違いをしてしまったのです。私が最初思いましたのは,信託行為において,受託者が必要な信託事務を行わなければならず,必要ではないものは行ってはならないということを明文で書きなさい,書かないと認可はしませんよという趣旨であるのかなと思ったのです。
  どうしてなのかというと,受託者が目的達成に必要な行為をしなければいけなくて,目的達成に不要な行為をしてはいけないというのは,全ての信託においてそうなのですから,それを書くということ自体の意味が最初分からなかったのですが,このようにクリアに書いておかないと認可しないという意味なのだなと思って,初めて,そうかと思ったのです。ところが,そうではなくて,これは,収益行為のようなものがどこまでできるかというような基準を定めているのだと言われますと,またびっくりいたしまして,ほかの信託においては受託者は不要な行為をしてもよいのですかという疑問が生じてしまうのです。どうなのでしょうか。
○中田部会長 実質というよりも,この表現の仕方ですよね。
○道垣内委員 そうです。実質的にこうだというのは,そのとおりなのです。そして,認可基準として,これがきちんと明記されていることというのを要求することは分かりますが,一般論としては,それは全ての信託においてそうでしょうという感じがするということです。
○吉谷委員 私どもの方でも同じような疑問を持っておりましたのですけれども,ここの表現が,受託者の権限や義務の規定のように見えるということですので,認可基準ということでありましたら,これは,信託事務処理の内容について,目的達成のために必要性を欠く信託事務を行うことになっていないかというような認可基準なのではないかと思いました。
  信託行為に書いてあるかどうかということのチェックというよりは,書いてあってもいいと思うのですけれども,書いてある信託事務処理の内容が公益と関係のないことが書いてあれば駄目だということだと思いますし,それ以外に,事業計画のようなもので,公益目的の達成のために必要なことが書いていたりしたら,駄目だということを認可の際に判断されるのだと思いましたので,そういう表現に直したほうがいいかなと思いました。
○中田部会長 ありがとうございます。
  ほかに関連する御意見等ございますでしょうか。
○樋口委員 ここで,細かな規定を書くことはできないのだろうと思いますが,やはり具体的な例が挙がっていましたよね。それをどう読むかというのが,ここからではちょっと分からないような気がしたのです。
  具体的に言うと,例えば,今度は美術館の事業運営みたいなものも公益信託としてやれるという話は,そういうことですよね。そうすると,ちょっと私の想像力が乏しいせいだと思うけれども,ミュージアムストアとか附属のレストランなんていうのはどうなるのだろうか,喫茶店でもいいのですけれども。それは,厳密に言えば,目的達成のために必要性があるかといえば,ないのですね。しかし,17ページのところを見れば,当該公益信託の目的達成のために,間接的に必要なものは可能だとする。きっと上記のような信託事務だという意識だと思うのですけれども,この表現だけでは本当に分かるのだろうか,結局行政庁の裁量で,何であれという。だから,もう少し,これに,つまり目的に関連する収益事業は別に構いませんということをはっきりさせていただいたほうが,分かるのではないかなと思うのですけれども。あとは,行政庁の判断でというほどの議論はしていなくて,もう少し緩やかな議論がここではあったのではないかと思うので,結局,この表現では,必要性という言葉の解釈の問題になるのですけれども,ちょっとどうかなという疑問を抱いたということです。
○中田部会長 ありがとうございます。
○神田委員 第9の3なのですけれども,これは,あくまで認可基準だとすると,認可時における信託財産を意味しているのでしょうか。
  例えば,今の(2)で言いますと,認可時では金銭なのだけれども,これからそれで(2)に該当するような信託財産を買っていきます,取得していきますということを書いておけばいいと思いますし,補足説明の18ページの2で,それはいいという趣旨に読めるのですけれども。ちょっとそれが,認可時において,3の(2)のような信託財産を保有していないと認可されないということになると,狭過ぎる,事後に取得しますでもいいと思うのですけれども。
  それからもう1点,違う点なのですが,(3)について前にちょっと発言したことがあるのですけれども,本文でちょっと読めないかなと思うのは,資産管理会社があって,何か税制とかの理由で株式という形で持っていて,その株式を公益信託にといった場合に,ここを文字どおり読みますと,その資産管理会社の意思決定に関与することができる株式というか,あるいは,実質的に支配していることになる。ただ,たまたま保有形態が何らかの理由で別会社形態になっていて,株式という形をとっている。本来なら,財産そのものをということなのだとは思うのですけれども,いろいろな事情でそうなっていて,その事情にそれなりの理由があるというような場合には,例外であっていいように思うものですから,前にちょっと発言させていただいた記憶もあるのですけれども。そんな細かいことは,補足説明かどこかで,今は触れられていないと思うのですけれども,いいとは思うのですけれども,抽象的に言いますと,いい場合とよくない場合の線引きをもう少し明確に書いていただくことができれば,有り難く思います。
○中田部会長 ありがとうございます。
  第9について引き続き御意見をいただきたいと思いますけれども,第9の2について,3人の委員から御意見を頂き,また,3の基準時と,3の(3)について,今,神田委員から御意見を頂きましたので,これらについて,この段階でお答えいただけますでしょうか。
○中辻幹事 では,まず最初に,先ほど同様に平川委員の意見書の御紹介ですけれども,第8から第11までの論点につきましても,割と賛成していただいているところが多いなと思います。ただ,第9の「4 公益信託の信託行為の定めに関する基準」というところでは,(1)のアからウについては賛成だけれども,エの(ア),収支相償ですね,この要件については要検討。それから(2),これは助成型と事業型と分けるというふうな御提案ですけれども,これについては反対というふうな御意見を頂いております。
  その上で,今皆様から頂いた御意見に対するコメントですけれども,まず,道垣内委員と吉谷委員から,第9の2の基準は,信託行為や事業計画書において受託者の行う信託事務とされているものにつき収益を伴うものも含めて目的達成との関係で必要性の有無を判断する際の基準なのでしょうねという善解をしていただきまして,それはそのとおりでございます。
  第9の2は,こちらも書いているときになかなか悩ましいなと感じていたところで,くどいんですね。必要な信託事務を行わなければならない,その上に,必要性を欠く信託事務を行ってはならない,これはある意味表裏の話ですし,現に信託法第26条に,受託者は信託目的の達成のために必要な行為をする権限を有するという条文もあるので,その規律との重複感もあって,今の第9の2のゴシック本文をそのまま条文化することはまず不可能ですし,吉谷委員からの御指摘もありましたので,もう一度考え込んでみたいと思います。
  その上で,樋口委員からも御指摘ありましたけれども,以前の部会資料では,美術館ではこう,留学生の学生寮ならこうみたいな,具体的事例の表を作って,それは事例ごとに認可行政庁の方で,ここまでは認められるよ,認められないよということを,個別具体の事案に即して判断するという提案をしておりました。その提案の実質は維持するということを考えておりまして,公益信託の認可申請をする場合には,受託者が公益信託事務としてどのようなことをするかというのを具体的に列挙して,それを事業計画書なりなんなりの形で認可行政庁に提出するわけですが,その内容をクリアに書いてもらい,その内容を見て,認可行政庁の方で公益信託の受託者の行う信託事務として許容されるものかどうかの判断をされるということを想定しております。
  それで,中間試案の補足説明には,今のような表ですね,例があったほうが分かりやすいのだろうと思っています。表を作っていると,だんだん楽しくなってきていろいろ考えるのですけれども,樋口委員が以前の部会で言われたように,例えば留学生の学生寮の地下にコンビニが入るのは,留学生にとっても便利で役に立つ話かもしれず,そこも結局個別具体の判断なのだろうと。また,ミュージアムショップの営業ですけれども,以前は,美術館の館内で営業するものは公益性が認められ,館外で営業するものは公益性が認められないという整理でいたわけですけれども,ここも突き詰めていくと,美術館の館外だけども隣の敷地で営業していたらどうなのだみたいな話があって,もう全然関係ないところでやっているのだったらともかくとして,美術館を訪れる人たちの利便性に資するのであれば,それは場合によっては認められても良いのではないのですか,みたいな話もあると思いますので,より分かりやすく補足説明で説明させていただければと思います。
  それから,第9の3について,神田委員から御指摘を受けました。まず,第9の3の認可基準は,最初に認可を受ける時もそうですし,公益信託が続いている間はその認可基準を満たさなくてはいけないという趣旨で提案しているものですが,第9の3の(2)の基準は,確かに設定時のことしか考えていないように読める余地があるのかもしれません。もっとも,神田委員には既にご理解頂いているとおり,設定当初の信託財産が金銭であってもそれを使って公益信託事務のために必要な信託財産を事後的に取得することはできると事務局としても考えていて,信託設定後の信託財産の運用も含めて,存続期間を通じての遂行見込みがあることがあればいいという趣旨で書かせていただいておるのですけれども,信託設定時と設定後の基準の働き方を意識してもっと分かりやすくできないか,考えてみたいと思います。また,資産管理会社の話は,ゴシック本文の修正意見ではないと受け止めましたが,前から御指摘されていたところでもありますので,補足説明に書かせていただければと思います。
○中田部会長 ただ今の御説明について。
○松元関係官 
  今の神田委員御発言の趣旨について,ちょっと確認させていただきたいので,1点だけ質問なのですけれども,第9の3の(3)のところで,「信託財産に他の団体の意思決定に関与することができる株式等の財産が原則として含まれないこと」と書いているのは,公益法人の場合の要件と同じようなものを想定していて,なので,50%を超える議決権を持っているかどうかということだけで区別するという,そういう基準を導入してはどうかということを考えているということなのだと理解しています。50%を超える議決権を持っていたら駄目だけれども,それより下であれば認められるであろうというようなことを考えていたのですけれども,今,神田委員の御発言を聞いていると,それだけでは不十分であるという御趣旨なのかなと思いまして,資産管理会社の場合というのは,議決権は100%持っていても認めるべきだろうという御趣旨でしょうか。ちょっと発言の趣旨を教えていただければと思います。
○神田委員 おっしゃるとおりというか,原則は,今前半でおっしゃっていただいたとおりの整理でいいと思います。
  ただ,例外として,どういう形態があり得るのかよく分かりませんけれども,例えば,美術館といった場合に,美術館の土地建物そのものが信託財産になるのが通常だとはもちろん思いますけれども,何らかの合理的な理由があってということですけれども,美術館の土地建物が別の法人形態になっていて,その法人の意思決定権を有する,極端な場合で言えば,例えば100%議決権を持っていると。それは他の団体ですと,形式的に言うと,ですから駄目ですという必要はなくて,それは,実質的には土地建物を信託財産にするような場合に準じて考えられる場合もあると思いますので,そういう場合を排除する必要はないので,そういう意味では,例外的な場合ということなのかもしれませんけれども,何かちょっと,どこまでこれ書くのがいいのかよく分からないのですけれども,少なくとも補足説明での言及は,多少していただいたほうがいいと思うということです。
  なお,実際のニーズや実態のところが私はよく分かりませんので,何となく予想で発言しているというところはあります。
○松元関係官 そうすると,完全に質問で申し訳ないのですが,要件の立て方というのは,どういう場合を例外にすればいいのか,ちょっとその要件の立て方が想像がつかないようなところもありまして,何かいいアイデアがあれば,教えていただきたいという感じもするのですが,何を基準にすればよろしいでしょうか。
○神田委員 条文ではなくて中間試案で聴くのでしたら,原則はこの(3)でいいので,例外として,公益信託の目的に整合するというか,そういう場合には,文字どおり言えば,他の団体の意思決定に関与,あるいは実質的に支配と,形式的にはそうであっても,実質的に見て公益信託にはふさわしいというのですかね,そういうものであればというような表現でいけるのではないかと思いますが。
○中田部会長 神田委員の御指摘も,このゴシックの第9の2ということよりも,補足説明でも構わないということでございますので,厳密な要件をこの時点でどうするというよりも,むしろ頂いた御指摘を補足説明の中で的確に反映するということかなと承ってよろしいでしょうか。
  では,そういうふうにさせていただきます。
  第9の2につきまして,趣旨が分かりにくい,あるいは表現がやや重複感がある,あるいは中辻幹事からも御指摘のありましたように,信託法に既に規定があることとの関係をどうするのかということで,補足説明の中でいろいろ具体的な例を挙げて書いていただくということは,大体共通の理解になっていると思うのですけれども,第9の2について,具体的にこういう表現がいいのではないかという考えがございましたら,お出しいただけますと更に検討をしていただけると思うのですが,何かいいお知恵はありますでしょうか。
○深山委員 考えが余り練れていないのですが,収益事務をどの範囲でできるのか,できないのかというところが,やはり議論の実質的なポイントだと思うのですね。補足説明で例を挙げて説明していただくというのは,大変よろしいと思うのですが,ただ,ゴシックだけを見ていると,全くその視点といいますか,ポイントが,この場で議論している人は分かるわけですが,一般の人は分かりにくい。しっかりと補足説明を読んで,ああ,そういうことが問題になっているのかというのが初めて分かるということだとすると,やはりやや不親切な気がして,そういう意味では,正面からは公益信託事務を目的とするということをうたいつつ,ただし書のような形で,当該公益信託事務に必要又は有益な収益事業を行うことを妨げないというようなことを入れるというのが,やはり分かりやすいのではないかという気がします。
○中田部会長 ありがとうございます。
  ほかにもし何かアイデアございましたら,是非お出しいただければと思いますけれども。
○吉谷委員 深山委員がおっしゃったような内容を(注)として入れて,本文の方には,端的に目的達成のために必要性を欠く信託事務を行うことになっていないかというぐらいの文章でもよろしいかと思いました。
○中田部会長 それでは,この第9の2につきましては,頂いた御指摘,あるいはアイデアを検討させていただきまして,次回の中間試案の案に盛り込むということにしたいと思いますが。
○道垣内委員 吉谷委員がおっしゃったことに全く反対ではないのですが,基準を示すにあたって,ほかのところは「こと」で終わっているのに,3の(1)だけが「ものとする」となっている。積極的に満たさなければならない基準が「こと」で結ばれていないところに,恐らく問題の発端があるのではないかという気がします。
  吉谷委員がおっしゃったのは,恐らく受託者が当該公益信託の目的に必要な事務を行うべき権限をきちんと有することとか,あるいは逆に,そうではないものの権限は有しないことを,きちんと書くということなのだろうと思いますが,問題は「こと」にありそうな気がします。
○中田部会長 貴重な御指摘ありがとうございました。
○神田委員 私もちょっと便乗して,同じ趣旨なのですけれども,ここでいう信託事務という概念は,先ほどの公益信託事務と,その束ねるというレベルだけではなくて,運用とか例えばそういうものも含まれるというので,はみ出る概念なのですよね,恐らく。ですから,そういうことで言えば,公益信託の受託者が行う信託事務は,「公益信託事務及び」というか,「その他」でもいいのですけれども,ここの言葉でいうと,公益信託目的達成のために必要なものに限られる,つまり公益信託事務プラス必要な信託事務に限られると,普通に書くのが一番素直なように思いますけれども。
○中田部会長 ありがとうございました。
  公益信託事務の概念を限定した上でプラスアルファにするのか,そちらの概念をむしろ広げるのかというのとも関係すると思いますけれども,その辺りも更に検討していただこうと思います。
  もしいいお知恵がありましたら,今でなくても,このあと,5時ぐらいになってでも結構ですから,是非お出しいただければと思いますけれども。ほかに,今の点も含めまして,第8から第11までについて御意見を頂きたいと存じます。
○林幹事 大きな意味において,中間試案に向けた整理に反対という趣旨ではないのですが,弁護士会での議論で出たことを,幾つかポイントだけ申し上げたいと思います。まず,第8の1なのですけれども,申請の主体について,受託者になろうとする者とされているのですけれども,委託者だったら駄目なのかという素朴な意見もありました。実質的には受託者が事務をしているから,受託者候補者がやればいいのでしょうけれども,契約の場合は,実質的には一緒になってやるのでしょうし,委託者も申請主体になる余地もあってもいいのではないかという意見がありました。
  それから,第9の1ですが,2との絡みもあって,あえてここに「のみ」を意識的に入れられているのだと思うのですけれども,2がきちんと整理されれば,1の「のみ」はなくてもいいのではないのかという意見がありました。
  それから,あとは,9の4の(1)の,特にエなのですが,先ほど言われたように,認可のときと,その後の基準との関係が問題で,そういう問題意識を持つべきだと中辻幹事がおっしゃられたのはそのとおりなのですが,特にエに関しては,「一定の」という言葉があるので,認可のときはいいのですけれども,事後的な取消しのときは,具体的なものがないと,多分判断基準にならないので,そういう違いはあると思います。また,ここは,問題意識は従前議論したところで,非常に基準というかが微妙なところでもあったので,(注)では,事業型については(ウ)の基準が不要という考え方もあったのですけれども,(ウ)だけではなくて(ア),(イ)も合わせて不要という意見もあったことは申し上げます。
○中田部会長 ありがとうございました。今の御発言について何か,よろしいでしょうか。
  第8から第11までについて,大体御意見を頂いたということでよろしいでしょうか。よろしければ,この辺りで一旦休憩にしたいと思います。
  15分後の15時28分に再開いたしますので,その時間になりましたら,御参集ください。

          (休     憩)

○中田部会長 時間が来ましたので再開します。
  部会資料44の第12から第19まで御審議いただきたいと思います。
  事務当局から説明してもらいます。
○舘野関係官 それでは,第12以降を説明させていただきたいと思います。
  まず「第12 公益信託の監督」につきましては,変更点は特にございませんので,説明は省略させていただきます。
  「第13 公益信託の受託者の辞任・解任,新受託者の選任」の本文の提案は,部会資料43の第13の提案からいずれも変更はございませんが,部会資料43の第13の1及び2の提案に対しては,第45回会議において,新受託者の選任だけでなく受託者の辞任・解任の場面においても裁判所に加えて行政庁の関与を必要とし,公益信託の受託者の辞任・解任,新受託者の選任については,委託者に受託者の辞任の同意権や受託者の解任及び新選任の合意権を原則として与えない任意規定とすべきであるとの代案が示されました。
  確かに,公益信託には私益の排除という観点から,当事者の都合で安易に信託を終了することを認めるべきではなく,受託者の辞任・解任後1年が経過した後に信託が終了することからすると,委託者及び信託管理人の合意等による受託者の辞任・解任を認めることは,事実上これらの者の合意による公益信託の終了を認めることになるおそれがあります。しかし,そのような事態は,例えば利害関係人の申立てに基づき裁判所が新受託者の選任をすることにより防止することが可能であると考えられます。また,やむを得ない事由等の判断を裁判所と行政庁が重複して行うことは合理性を欠きますし,受託者は信託の仕組みにおける重要な役割を担っていることからすると,受託者の辞任等は委託者及び信託管理人の合意によって判断されることが望ましく,信託管理人単独での受託者の解任権を認めることにも慎重にならざるを得ません。そのため当該代案を第13の本文の提案に採り入れることはしておりませんが,広く国民の意見を公平に聴く観点から,パブリックコメントに付すに際しては,代案の理由及び問題点が明らかになるよう努めたいと存じます。
  次に,「第14 公益信託の信託管理人の辞任・解任,新信託管理人の選任」の本文の提案についても,部会資料43の第14の提案から変更はございませんが,この提案に対して第45回会議では,パブリックコメントに付すに際しては,公益信託の受託者と信託管理人の位置付けの違いや公益信託の信託管理人の解任の申立権を受託者に与える考え方があることも明らかにすべきである旨の指摘が出されておりますので,広く国民の意見を公平に聴く観点から,パブリックコメントに付すに際しては,その旨が明らかになるように努めたいと存じます。
  次に,「第15 公益信託の変更,併合及び分割」のうち,第15の1及び3の本文の提案については,いずれも部会資料43の第15の1及び3の提案から変更はございません。ただ,第45回会議では,部会資料43の第15の1及び3の(注)の考え方を本文の提案としてパブリックコメントに付すべきである旨の意見を頂きました。その意見が部会の大勢を占めるまでには至らなかったことから(注)のままとしておりますが,広く国民の意見を公平に聴く観点から,パブリックコメントに付すに際しては,(注)の考え方の理由及び問題点が明らかになるように努めたいと存じます。
  また,部会資料43の第15の2(1)の提案に対して,第45回会議では,公益目的の変更や公益信託事務の範囲の変更が,公益信託事務の処理の方法以外の信託行為の変更に該当するのかが分かりにくい旨の指摘があったことから,その点を明確にするため,本部会資料第15の2(1)の本文の提案では「公益信託事務の処理の方法以外の公益信託行為の変更(公益目的の変更及び公益信託事務の範囲の変更を含む。)」という記載に変更しております。
  また,第45回会議では,部会資料43の第15の2(2)の提案に対して,シ・プレ原則の適用範囲として狭過ぎ,帰属権利者の同意があるような場合もシ・プレ原則を適用すべきである旨の指摘,部会資料43の第15の2(2)の提案において,帰属権利者が定まらない場合にシ・プレ原則を適用するとしていることと,第17の本文の提案において信託行為に帰属権利者の定めを必ず置くこととしていることとの関係を整理すべきである旨の指摘がありました。
  これらを踏まえ再度検討しますと,本部会資料の第17の本文の提案を前提としますと,信託財産の帰属権利者が定まらないという事態が発生することは想定しにくいですし,信託財産をできるだけ民間による公益活動のために活用しようという観点からは,仮に公益目的の達成又は不達成の場合に,公益信託の残余財産の帰属権利者として定められた国,地方公共団体等がその権利を放棄していないときであっても,委託者,受託者及び信託管理人の合意により,その目的を変更することは可能とすべきであると考えられます。その上で,公益目的の達成又は不達成の前の時点では,類似目的への変更という制約は課されていないこととの均衡も考慮して,当初の公益目的と類似していない他の公益目的への変更を認めることが相当であると考えられます。一方,委託者が現に存しない場合は,当初の公益目的のために信託財産を拠出した委託者の意思を尊重する必要があることから,当初の公益目的と類似の目的の公益信託への変更のみを許容することが相当であると考えられます。
  そこで,本部会資料第15の2(2)の本文の提案では,部会資料43の第15の2(2)の提案から「残余財産が存在するが帰属権利者が定まらないときは」という部分を削除した上で,(ア)として,委託者が現に存する場合には委託者,受託者及び信託管理人の合意に加え,行政庁の変更の認可を受けることにより他の公益目的に変更できる。(イ)として,委託者が現に存しない場合には,受託者及び信託管理人の合意に加え,行政庁の変更の認可を受けることにより類似の目的に変更できるという二つの場合に分けた提案に変更しております。
  なお,部会資料42の中で御説明しておりますが,本部会資料の第15の1(1)アの本文の「委託者,受託者及び信託管理人の合意等」には,信託法第149条第2項第2号などの受託者単独の意思表示による変更も含まれていることから「合意『等』」との表現を用いております。他方,本部会資料の第15の2(1)の本文につきまして,こちらは公益信託の目的の変更等を含んでおりますが,目的の変更は必ず委託者,受託者及び信託管理人の合意に基づいて行わなければならず,信託法第149条第2項第2号などの受託者単独の意思表示はできないものと解されますので,「委託者,受託者及び信託管理人の合意」という表現としております。パブリックコメントに付すに際しては,これらの点も本文の提案の中で明らかにすることも含め検討してまいりたいと存じます。
  次に,「第16 公益信託の終了」についてですが,第44回会議及び第45回会議では,新たな公益信託の終了事由の全体像を明示して,パブリックコメントに付すべきであるとの意見が出されました。これを踏まえ,本部会資料第16には(前注)を設け,信託法第163条に規定される信託の終了事由が同条第2号を除き新たな公益信託にも原則として適用されることを前提としていることを明示するとともに,本部会資料の27ページの補足説明の1に,新たな公益信託の終了事由について具体的に記載しております。
  また,本部会資料の第16の「2 委託者,受託者及び信託管理人の合意による終了」では,部会資料43の16の2の本文の提案を本部会資料第16の2の甲案としております。第16の2の甲案に関しましては,外部の第三者機関としての行政庁の関与を求めるものとして角括弧を付した上で,行政庁による終了の認可又は成立の認可の取消しを受けることを提案しております。この場面においては,行政庁は残余財産の分配が信託行為の定めに従い適切に行われるか否かという観点から終了の可否を判断することを想定しておりますが,やむを得ない事由や正当な理由があることを確認しなければならない可能性などもあり得ますので,その点についても御意見等がございましたら頂戴できればと存じます。その上で,パブリックコメントに付す際にやむを得ない事由や正当な理由があることを本文の提案に加えるか否かは検討できればと存じます。
  これに対し,第45回会議では,残余財産の帰属先について適切な帰属権利者の定めがされるのであれば,公益信託を合意によって終了させてもよいとする意見がありました。
  確かに,現行税法において,「合意による終了ができないものであること」が税制優遇を受けるための要件とされている趣旨は,公益目的に拠出された信託財産に対する私益の排除であると考えられることから,その観点から,残余財産の帰属先が適切であれば,委託者,受託者及び信託管理人の合意による終了を認めることも一定の合理性があると考えられます。また,信託の終了と清算は区別される概念であることからすると,信託財産の清算処理に行政庁の監督が必要であるとしても,信託の終了に行政庁が関与することが必要であるとまではいい難いと言えます。さらに,信託目的の達成又は不達成による終了のような場合には,行政庁の認可は不要であることからすると,委託者,受託者及び信託管理人の合意がある場合には,行政庁の認可を得ずに公益信託の終了を認めるべきであるという考え方があり得ます。そこで,本部会資料第16の2の本文では,そのような考え方を乙案として新たに提案しております。なお,本論点の検討に当たっては,一般社団法人の解散事由に社員総会の決議が存在するのと異なり,一般財団法人の解散事由には評議員会の決議が存在しないことにも留意する必要があるものと考えられます。
  次に,「第17 公益信託の終了時の残余財産の処理」につきましては,部会資料43の第17の提案から変更点はございませんが,第45回会議では,本文第17の1(2)(注)の考え方を本文の提案としてパブリックコメントに付すべきであるとの意見が出されましたが,残余財産の一部でも,帰属先として私人を指定することを認めた場合には,新たな公益信託が税制優遇を受けることは困難になること,そのような意見の趣旨を実現するには別の方法があることなどを理由に反対する意見も複数出され,積極意見が部会の大勢を占めるまでには至らなかったことから(注)のままとしております。もっとも,広く国民の意見を公平に聴く観点から,パブリックコメントに付すに際しては,(注)の考え方の理由及び問題点が明らかになるように努めたいと存じます。
  次に,「第18 公益信託と受益者の定めのある信託等の相互変更等」につきましては,特段変更はございませんので説明は省略させていただきます。
  最後に,「第19 その他」の論点についてですが,本部会資料の第19の2の提案のみ御説明させていただきます。
  第45回会議では,部会資料43の第19の「2 新公益信託法施行時に存在する既存の公益信託の取扱い」の提案に対して,新公益信託法の施行時に存在する既存の公益信託に対する現公益信託法及び新公益信託法の適用関係を整理すべきであるとの意見,既存の公益信託については,簡易な手続で新公益信託法の適用を受ける公益信託に移行できるようにすべき旨の意見,みなし認可のように,移行に関する手続を不要とする場合であっても,新公益信託法に定める強行規定の充足性については確認する必要がある旨の指摘などがありました。
  公益法人制度改革の際の特例民法法人は,移行の認定又は認可を受けることで,旧法から新法への適用関係の切替えが行われていたと考えられます。
  また,新たな公益信託においては,現在の公益信託と比べて主務官庁制を廃止し,信託管理人を必置とするなど,公益信託の内部ガバナンスを厳格なものとすることが想定されていることなどから,現行公益信託法から新公益信託法への適用関係の切替えについて,公益法人制度改革当時と同様の明確化の要請があるものと考えられます。したがって,新たな公益信託においても,移行の認可を受けることで新公益信託法の適用を受けるものとすることが相当であると考えられることから,本部会資料第19の2(1)の本文の提案をしております。
  また,特例民法法人という制度が,旧公益法人が新制度の法人に移行するまでの間の一時的な存在として設けられた趣旨は,特例民法法人である間は実質的には民法法人であったときと同じ扱いをしようとするものであり,特例民法法人である間は旧主務官庁が引き続き指導監督を行うこととされていました。これを踏まえ,本部会資料第19の2(2)の本文の提案では,新公益信託法施行時に存在する既存の公益信託について,新公益信託法の施行日以降も移行の認可を受けるまでは現行公益信託法が適用され,移行の認可を受けた後は新公益信託法が適用されることを明示しております。
  なお,移行の認可の手続については,既存の公益信託が新たな公益信託の成立の認可の審査を受けるものとすること,一定の要件を満たす既存の公益信託については,新たな行政庁への届出のみとするなど,移行の手続を簡易なものとすること,既存の公益信託にみなし認可を与え,移行に関する一切の手続を不要とすることなどの選択肢が考えられますが,先ほど御説明いたしましたように,新たな公益信託は現在の公益信託とは根幹の部分で異なるものとなることが想定されていますし,移行の認可には既存の公益信託に対する旧法及び新法の適用関係の明確化という重要な意味があると考えられることから,みなし認可のように一切の手続を不要とすることは相当でないと考えられます。ただし,部会資料43の第19の2の補足説明にも記載いたしましたとおり,既存の公益信託の移行手続に伴う事務負担の増加による信託財産の減少を看過することは相当でないと考えられることから,その点を念頭に置いて引き続き検討を要します。
  また,本部会資料第19の2(1)の行政庁による移行の認可を受けない公益信託については,当該信託は終了するものとするほかに,信託法第258条第1項の受益者の定めのない信託として存続するものとすることも考えられます。
  しかし,公益法人は一般社団法人又は一般財団法人が公益認定を受けることで公益法人となる仕組みを採用していることから,既存の公益法人が5年の移行期間内に一般法人に移行する選択肢も用意されたものと考えられるのに対し,新たな公益信託は,本部会資料第3の1の本文の提案のとおり,信託行為かつ行政庁による成立の認可を受けることで成立する仕組みを採用し,信託法第258条第1項の受益者の定めのない信託の前置を不要とするものでありますし,また,移行の認可を受けない意思を有する公益信託の当事者に,当該公益信託を信託法第258条第1項の受益者の定めのない信託として存続させることのニーズも見いだし難いことから,本部会資料第19の2(3)の本文の提案では,部会資料43の第19の2(3)の甲案と同様に,一定の期間内に行政庁から移行の認可を受けなかった公益信託は終了するものとする考え方を示しております。
○中田部会長 それでは,第12から第19までの部分につきまして,御意見を頂きたいと存じます。御自由に御発言をお願いいたします。
○棚橋幹事 第13の1の提案について1点申し上げます。前々回の部会でも申し上げましたが,第13の1の公益信託の受託者の辞任許可事由について,正当な理由を中間試案に含めるという御提案をされるのであれば,正当な理由という文言を提案する理由,例えば私益信託において何らかの不都合が生じているといったような立法事実や,信託法と異なる文言が必要となる理由,そもそも正当な理由には何が含まれるのか,正当な理由の内容,裁判所はどういった観点で何を判断すべきなのかについて,中間試案の補足説明などで何らかの説明をしていただきたいと考えております。
  この点について,部会の内部で認識が一致しているのかどうか疑問もございますし,説明がないまま中間試案として提案してパブリックコメント手続を行った場合に,読み手の方に,先ほど申し上げた点が正確に伝わらずにそれぞれの解釈で意見が出されると,パブリックコメント手続の効果が減少してしまうようにも思われますので,御検討をお願いできればと思います。
○中田部会長 ただ今の御発言は,第13の1の角括弧の中にやむを得ない事由と正当な理由とが選択としてあるわけですが,むしろやむを得ない事由に一本化すべきであるということでしょうか。それとも,これはこれで残しておいて,補足説明の中でその理由を説明することとし,その理由について,この部会で更に意見を交換してほしいという,そういうことでございましょうか。
○棚橋幹事 部会で出された意見は中間試案に含めるという前提でほかの論点も整理されていると思いますが,部会の中では正当な理由という文言を採用すべきという意見も出されていましたので,中間試案に含めるべきでないとまでは申し上げませんが,中間試案に含めるのであれば御説明を頂きたいということでございます。
○中田部会長 ありがとうございました。
  御指摘のように,信託法自体はやむを得ない事由ということになっていますし,公益信託法もそうだと。それで,ここで正当な理由に,言わば広げることについて積極的な説明をする必要があるだろう。それが統一的な認識があるんだろうかということをもう少し議論してほしいということのようですけれども,いかがでしょうか。その正当な理由という要件の方がいいという御意見の方から,あるいはそれ以外の方でも結構ですけれども,説明が十分できないと,せっかくパブリックコメントをしても余り十分な効果が出ないかもしれませんので,もし何か御説明をいただけますと……。
○小野委員 かつて議論した立場から述べさせていただきますと,法律間の整合性という議論ももちろんあるかもしれませんが,より新しい法律ですから,解釈論的に分かりにくいという御議論でしたけれども,やむを得ない事由が持つ不都合さというものよりも,正当な理由の方がいいのではないかと思いますし,これまでそのような趣旨の発言をしてきました。
  やむを得ない事由が持つ不都合さというのは,かつての公益信託法のコンメンタール,確か三菱信託銀行の法務部長をされた松本崇さんがコンメンタールで書いたのは,病気と洋行であったと記憶します。ですから,病気というのは正にインポッシブルですけれども,洋行というのは海外旅行ですから,決して物理的不可能,身体的不可能を意味しているわけではなくその趣旨でそのように述べられたのではないかと思いますが,やはりやむを得ないという言葉が持つ強さというのはあるかと思います。
  正当な理由というのは,かつて議論したことの繰り返しになりますけれども,旧受託者と新受託者,あと当該公益信託を取り囲む環境,状況,特に継続性があるものですから,信託行為設定のときとか認可のときと受託者も変わっているかもしれませんし,公益信託の内容も変わっているかもしれないということで,いろいろな総合的判断になることを示唆する表現と思います。今の御意見ですと,裁判所は総合的判断ができないという趣旨も多少あったかもしれませんけれども,正当という言葉自体が日本語として十分意味のある表現だと思うので,それは主張立証する側が正当性についてきちんと主張立証といいますか,疎明し,裁判所も,それであれば,この公益信託の目的に沿った形で辞任を認める,解任を認めるということで判断できるかと思います。
  ということで,正当な理由というほうがより新しい法律,新しい公益信託法を目指した場合にはふさわしいのではないかと思います。
○中田部会長 ありがとうございました。
  ほかに関連して。
○林幹事 特に辞任のところの正当な理由につきましては,次の新たな受託者の候補者がきちんといて,信託の継続性を阻害しないような場合は,その事情も含めた形で辞任を裁判所の判断によって認めてよいのではないかという議論があったかと思います。そういう観点からすると,やむを得ない事由だと若干狭きに失してしまうので,正当な理由というような考え方があり得るという議論であったと思います。解任の場合だと,重要な事由なのか正当な理由かは私個人としては悩みますけれども,辞任の場合は受託者そのものが,受託者として活動ができないことについて積極的に言っているような場面で,意に反してやめさせられる場合でもないですし,特に新たな受託者の候補者がいて,継続性に問題がない場合においては緩やかであってもよいと,そういう理解でおります。
○中田部会長 ありがとうございました。
  ほかに。
○吉谷委員 今回の提案であれば,正当な理由の方がよいと思っておりまして,それは委託者及び信託管理人の同意を得て辞任することができるということになっているんですけれども,委託者は死亡した場合にはもういないということになりますので,そうすると全て裁判所の許可を得て辞任するのかということにもなりかねないと思っております。そういうこともあって,前回,行政庁による辞任の認可ということもお話しておりましたんですけれども,その点については正当な理由というところの中に,後任の受託者の存在というものも入れておかなければ,うまく回らない場合が出てきかねないと思っております。
○中田部会長 ありがとうございました。
○道垣内委員 吉谷委員のご発言で,私の申し上げたいところに近づいているのですが,このパブリックコメントのための中間試案を出すときに,信託法と異なるのはなぜなのかということに対して何らかの方向性を示さないといけない,と思うのです。そして,それが棚橋幹事がおっしゃった「正当な理由って何なの」という話につながってくるんだと思うんですね。
  新しい法律だからというのでは,多分不十分なのではないかという気がするときに,なぜ正当な理由で辞任できるとするのかは,なかなか説明が難しいような気はします。しかし,今まで意見が出ているので,書くことには全く反対ではありません。ただ,やはり説明しようと思うと,そこを説明しないと正当の理由の意味は分からないのではないかなという気がいたします。
○中田部会長 ありがとうございました。
  その説明の仕方について,特に信託法とどこが違うのかということですね。後任の受託者の存在を考慮できるかとかということを,挙げていただいているわけですけれども,なぜ公益信託に限って考慮すべきなのかというところの説明が,もし追加して,今御発言いただいた方々から何か頂けましたら有り難いんですけれども。
○吉谷委員 その後任の受託者について,前任の受託者が勝手にこの人なら大丈夫と思っているだけでは難しいのかもしれなくて,そこにはやはり行政庁が新しい受託者についても,これは認可の基準を満たしているというようなことが内々に言ってもらえるのか,あるいは認可基準に照らせば,もうこの人ならできるんだということが分かるのか,何かそのようなものがあって公益なんだからというロジックが一つ入るということが考えられるのかなと思いました。
○道垣内委員 ですから,残余財産の死亡後の話を勝手に理解して拡大するとするならば,委託者は自分の目的を達成しようとして,及び受益者は利益を受ける主体として,そして,その達成を引き受けている受託者がいるというときに,やむを得ない事由がないのにやめるということはできない。それに対して,公益信託というのが公益というものを目指してする以上,委託者のコントロールからの離脱の程度が私益信託よりも高く,ゆえに,そこは自律的に,その後運営されるようにするためには,受託者の辞任についても,委託者,受益者の利益ないしは意思というものを尊重する度合いを一般の信託の場合よりも低下させてもおかしくないという説明はできるのかもしれない。
  しかし,あまり説得的だとも思えませんので,今の説明を批判しないでください。
○中田部会長 ありがとうございました。
○中辻幹事 棚橋幹事から的確な御指摘を頂きまして議論が深まったので,大変有り難いことだと思います。
  その中で,小野委員から松本崇さんの信託法コンメンタールの御紹介がありました。その元をたどるとおそらく,四宮教授が書かれた信託法の本に書いてあるフレーズだろうと思います。四宮教授の本は,旧信託法の時代に書かれたものですけれども,やむを得ない事由の例として天災,病気,洋行というのが挙がっていると。これは今の時点で読みますと,ある意味広過ぎるし,ある意味狭過ぎます。受託者の洋行,これがやむを得ない事由というのは,現代社会では当てはまらないことも多いと思うんですね。それに法人が受託者である場合には病気はないけれども,それ以外のやむを得ない事由の例は考えられるようにも思います。
  そうしますと,公益信託の受託者の辞任の要件が,天災,病気などに限られるのか,新受託者の存在というのを考慮できないのか,ここはもう信託法57条1項の「やむを得ない事由」という文言の解釈論に委ねるべき事柄のような気もします。なので,信託法57条1項に厳然として定められている「やむを得ない事由」の解釈の範囲内で解決できる問題なのか,それともやはり別の視点から,「正当な理由」に条文の文言を変えなければ,新受託者の存在を考慮できないのかという問題なのかなと私としては理解しまして,それが伝わるような形で,ここは現在の角括弧を維持したまま両論併記で中間試案に出すのが良いのかなと考えていたところでございます。
○中田部会長 今のような取扱いでよろしいでしょうか。
  それでは,この点については補足説明の中で今の点を丁寧に書いていただくということになろうかと存じます。
  ほかはいかがでしょうか。
○吉谷委員 辞任のところもそうなのかもしれないんですけれども,解任について,前回の提案について,補足説明でも言及していただいているところですが,意見は余り変わらないのですけれども,それは繰り返さず,受託者の解任が現在の提案のままで困難にならないのかというところについて危惧しています。それは,先ほど申し上げたように委託者の死亡,その他の場合において,裁判所の決定がなければ受託者を解任できないというような制度というのが,ちょっと厳し過ぎるのではないかということで,あるいは合意と裁判所の間に行政庁の解任というもう一つの手段があってもいいのではないかなと,まだ思わないではないというところがございます。
  ただ,1点ちょっと確認したいところなのですけれども,「第12 公益信託の監督」のところで,認可基準不適合の場合に勧告,命令の措置をとることができるというふうになっておりまして,そのような勧告,命令に対して従わないような受託者が存在するというような場合には,裁判所はその他重要な事由,あるいは正当な理由,どちらでも受託者を解任することができるということを前提に,この案ができているのでしょうか。また,裁判所がそういう判断をしている間は行政庁は認可の取消しというのは行わないで待っていて,裁判所の方で後任の受託者を選んでもらえるような状態になれば,もうそこで前任の受託者が解任されているのであれば,信託の終了にはならないような形にできるのでしょうかというのが,一つ確認させていただきたいところです。
  その上で,そのような場合ではなくて,受託者が正当な事由なのか,その他重要な事由というふうなところに当てはまるものであれば解任できるということではあるかと思うのですが,受託者が余り真剣に取り組んでいないような場合に,後任の受託者候補が存在するというような理由で,裁判所が解任を決定することができるのかというところが疑問点であるというところでございます。行政庁単独で解任や辞任ができたほうがいいのかということについて,信託協会の中でも統一した意見があるわけではないのですけれども,よりふさわしい受託者がいるということを理由に裁判所が解任できないということであれば,やはり行政庁による何らかの関与というものがあってもいいのではないかというふうに考えているところです。
○中田部会長 ありがとうございました。
  今の御発言は,裁判所にせよ行政庁にせよ,その解任事由をより柔軟にすべきであるという部分と,それからこの提案とは違って,裁判所に加えて行政庁独自の解任権を与えるべきであるということと二つの内容というふうに伺ってよろしいでしょうか。
○吉谷委員 はい。
○中田部会長 ありがとうございました。
  ただいまの御発言に関連いたしまして,御意見ございましたら頂きたいと思います。
  事務当局の方から何かありますでしょうか。
○中辻幹事 受託者の解任事由についても,先ほど道垣内委員から辞任事由のところで御指摘ありましたとおり,仮に信託法58条4項と異なる解任事由を公益信託では定めよう,その解任事由を正当な理由という文言にしようということを提案するのであれば,それなりの理由付けが必要なんだろうと思います。そして,またここも結局のところ58条4項の解任事由の解釈に行き着くのかもしれません。
  四宮教授の影響というのは非常に大きくて,平成18年信託法改正の立案を担当された寺本元参事官の逐条解説でも四宮教授の本に書かれた解釈が引用されていて,58条4項の受託者の解任事由について,受託者が任務に背いたように見える行為であっても,ささいなミスや怠慢や不正確な行為は解任事由には当たらないという解釈を踏襲することを改正で明示したと書かれています。
  吉谷委員が例として挙げられた,受託者が余り真剣に取り組んでいなかったり能力が不足している一方で,よりふさわしい後任の受託者候補が存在するような場合ですけれども,これはなかなか,今申し上げた四宮教授の本や寺本参事官の逐条解説を踏まえると,58条4項の解任事由に当たらないときが多いように思います。また,公益信託の受託者が行政庁の勧告命令に全然従わないという状況である場合,これは私益信託ではあり得ない状況ですけれども,その場合には,裁判所は58条4項に該当するとして解任できそうな気もし,行政庁が裁判所の判断が出るまで認可の取消しを待つということもあり得るでしょうが,逆に行政庁が裁判所の解任の判断を待たなければならない理由もないように思います。いかんせん,事案ごとの判断になるとしか申し上げようがない面がございます。
  それから,吉谷委員からは,行政庁に受託者の解任権限を付与したほうがよいのではないかという御意見を一貫して頂いているところでございます。この点につきまして,事務局としては,主務官庁制を廃止し,行政庁の権限を認可基準の充足性を確保するために必要な範囲に限定することを前提とすると,認可基準の充足性と直接関連しない受託者の辞任,解任の場面において行政庁の介入を認めることは不要ではないかと考えています。けれども,吉谷委員の御意見の理由の中には大変合理性があると感ずる部分もございまして,なぜならば,認可基準を充足しないと,行政庁が認可の取消権限を行使してその公益信託を終了させるということになるのですが,そこまでしなくても,公益信託内部のガバナンスで公益信託の受託者を解任するなどその任務を終了させれば問題が解決する場合もあるというのはそのとおりであると受け止めております。
○中田部会長 今の点についていかがでしょうか。
  これは,前回,吉谷委員から代案を具体的に御提案いただきまして,それについて前回御審議いただき,また事務当局の方でも検討した結果,ゴシックはこのような形にした上で,その御意見の内容について説明するというようなことが今回の提案になっているかと存じます。前半の部分については,結局は正当な理由,あるいはもう一つ,重要な事由でしょうか,それの解釈の問題として,それはどういうふうに説明で盛り込むのかは分かりませんけれども,ゴシックの部分自体に更に別の事由を書き込むということよりも,解釈の問題かなというふうには思います。行政庁の権限については,ずっと吉谷委員から御提言頂いておりますが,その提言を受けて,特に成立認可の取消しに至らないような事態にどういうふうに対処するのかということが,御指摘によって問題点が明らかになってきたと思いますので,それを更に説明をし,検討していただくということになろうかと存じます。
○吉谷委員 ちょっと先ほど辞任と解任のところをごちゃごちゃにして少し話してしまいましたので,特に解任につきましては,信託管理人が後任の受託者に替わってほしいなと思っている程度では,裁判所は解任することができないという,そういう御提案であるというふうに理解をしておりますので,そういう提案でいいのかというところについて問題提起があるということで,何らかの形で反映させていただけないかなと思います。
○中田部会長 関連してございますでしょうか。
  それでは,今の御意見を受け止めまして,説明の中になるかどうかというところだと思いますけれども,検討していただくということになろうかと存じます。
  ほかに。
○中辻幹事 先ほどと同様に第12以降についても平川委員の方から御意見を頂いておりますので,ここで御紹介させていただきます。
  有り難いことに,第12以降もおおむね賛成の御意見を頂いてございます。甲乙分かれているところ,第16の2,それから第17の1,第17の2,第18の4,第19の1については,いずれも乙案に賛成というふうな御意見を頂いています。これらを踏まえて,また御審議いただければと思います。
○中田部会長 ただ今第12と第13について御意見を頂いておりますが,ここでも結構ですし,それ以外のところでも結構でございますので,御意見をお出しいただければと存じます。
○新井委員 31ページの「第19 その他」の1について発言をしたいと思います。
  この部分につきましての私の前回の発言については,小野委員からの御指摘もありましたように,私の発言内容が必ずしも正確ではなかったのではないかと思い,そこで改めて発言させていただき,私の意のあるところを議事録に残しておきたいと思います。
  まず第1点として私は,自己信託,それ自体を否定するものでは全くありません。法律で認められた以上,それは健全に発達するということを願っております。その上で,目的信託と公益信託というのは,ここでの部会での議論では一応切り離すことにはなっているわけですけれども,実際には両者にはかなりの類似性があります。それで,目的信託については自己信託による設定が認められておりません(信託法258条)。自己信託による公益信託の設定をもし認めるとすると,目的信託と公益信託は,機能的には類似であるにもかかわらず,極めて大きな違いが出るということになります。ですから,そこのところは是非慎重に考えていただきたいというのが第1点の問題提起でした。
  それから,第2点についてですが,自己信託が本当に効力を持つためには,やはり何らかの財産の切り離しというのが必要だと思いますが,一体何をもって財産の切り離しとするのかということについては,私,前回のこちらの信託法部会に参加しておりませんので,議論の内実が分かりません。それで,立案担当者のものを読んでも,何をもって自己信託における財産の切り離しとするかということについては,必ずしも十分な記述を見付けることはできません。実務においても,ややそこは混乱が見られるような気が私はしているわけです。例えば,公正証書だけ作ればそれでいいのか,あるいはどういう内実のある切り離しが必要かということについてやや混乱がありまして,私としては,そういう問題を認可のところに持ち込むのはやはりかなり混乱をするのではないかという心配とか危惧がありまして,それで前回のような発言をさせていただきました。
  ですから,自己信託自体を否定するものでは全然ありませんけれども,今申し上げた二つの点で,私としては甲案を指示するわけです。ただし,乙案賛成の意見もありますので,パブリックコメントとしては甲案,乙案を並べて意見を聴くというのがフェアではないかと考えます。
○中田部会長 ありがとうございました。
  甲案を指示する,その理由付けについて明確に今御説明いただいたかと存じます。
  この点でも結構ですし,ほかの点でも結構ですが,いかがでしょうか。
○小野委員 前回の議論を繰り返すことはいたしませんけれども,私の趣旨としては前回と同様であるということと,あと今の新井委員の御発言の中で切り離しという言葉,表現がなされましたけれども,それは何か法律用語としてよく分かりにくいんですけれども,意を解すると,処分行為があるや否やという議論かと思います。この点は典型的な自己信託における論点ですが,それもある意味では既に議論が十分なされた点で,要するに処分はないが,信託法の適用があるということに尽きるのではないかと思います。
  もちろん自己信託においても,そこで民法的な意味における処分というものを観念すべきだという議論は法律論としてはあり得るかと思うんですけれども,それは恐らく私法体系全体にまで及ぶようなことなので,なかなかこの場での議論だけですむような話ではないと思います。今の法制度の中においても切り離しといいますか,信託財産の独立性,独自性を認めるための措置は講じられていると思いますから,新井委員が自己信託制度そのものは制度として認めるとおっしゃっていながら,切り離しがないというのは議論として整合してなく,やはり自己信託に対する新井委員としてのやや疑問符を持っているという趣旨で理解すれば,よく理解できるところでもあると思うんですけれども,切り離しがないという議論というのはちょっと違うのではないかと思って,発言させていただきました。
○中田部会長 それぞれのお立場から御意見頂きまして,それを踏まえて説明の方に御趣旨をいかせるような形で取り込んでいただくことになるかと存じます。
  このほかいかがでしょうか,ただ今の点でも結構ですし。
○長谷川幹事 別の論点について申しあげます。
  31ページの第19の「2 新公益信託法施行時に存在する既存の公益信託の取扱い」というところでございます。前回議論があり,反対するご意見もあったわけですが,旧法適用の公益信託をそのまま残す考え方につきまして,甲案・乙案と併記するか,(注)として挙げるかという問題はあるかもしれませんが,いずれにしても,何らかの形で残していただきたいというのが意見でございます。
  理由といたしましては,これまでの議論の中でも,特段現行の公益信託について弊害は生じていないということがほぼコンセンサスだったのではないかと理解をしておりまして,そうした中で,移行時及び移行した後も含めて,新たな負担を課していくということについては,やや疑問があると思っているのが1点です。
  2点目の理由といたしまして,これは前回も議論がありましたけれども,公益活動を活性化させていくために公益信託をより活用させる観点から,そういった負担を増加させるというのはいかがなものかということでございます。
  3点目といたしまして,先ほど申し上げた理由の2点目と関連するわけでございますけれども,今ある公益信託を利用している方々へのインパクトが不明であるものですから,そういったことも含めて確認できる形でパブリックコメントに付すほうが適当なのではないかと思う次第でございます。
  あと,前回の議論も踏まえてということだと思いますけれども,補足説明の中で,適用関係の明確化が必要だということが書かれてございます。この点は,会社法施行時の特例有限会社の例もありますように,表示といいますか名称といいますか,そのあたりのルールをある程度明確化していけば解決される部分もあるのかと,前回も申し上げましたけれども,思っているところでございます。
  また,別の論点として,主務官庁制を廃止するということについては,新たにできる公益信託についてはそういう方向性だと理解していますけれども,厳正かどうかという議論はあるものの,既存のものについても廃するということであったかどうかというのは,必ずしも議論が詰まっていなかったと理解しているところでございます。
  以上は意見にわたるところでございます。
  大きな2点目といたしまして,質問と意見がございますけれども,31ページの2の(1)の(注)で,「一定の要件を満たしている公益信託については,簡易な手続とする旨の考え方がある」と書いていただいているのは有り難いと思っておりますけれども,補足説明の中にあるように,新しい公益信託は従来のものと根本的に違う点があるものだと考えると,一体その簡易な手続というのはどういったものを想定しておられるのかというのが,まず質問でございます。その上で,意見としては,今申しあげた点が分からず,ある程度のイメージも描けないままパブリックコメントに付すというのは,読み手の立場からすると不親切なのではないかという気がいたします。こちらは意見にわたるところでございます。
○中田部会長 ありがとうございました。
  では,今の移行について御意見をお出しいただきたいと思います。
○深山委員 正に,長谷川幹事がおっしゃったところですが,私も,この19の2の(1)の(注)のところが,その簡易な手続というのが,どの点がどう簡易なのかというのが分かりにくいなと思っていました。それは,そもそも,(1)のところの移行の認可というものが,何をどう審査されるのかということが,必ずしもはっきりしないからなのかなという気がしました。何となくのニュアンスとしては,通常の公益信託における認可基準に照らしてということなんだろうなというのは漠然とは分かるんですけれども,既存の公益信託について,それは全く新規に作る際の認可基準の判断と全く同じ判断をするということなのか,そうではなくて,既に存在しているということを踏まえて何かそれなりに移行の認可の基準というものを設けて,新規のものとはやや異なる,アレンジした物差しで考えるのかということがあって,それとの関係で,更にそれより簡易なものというのが初めて,それぞれの比較において出てくるんだと思うんですね。
  なので,本文の方の移行の認可がどういう判断基準でなされるのかということを明らかにした上で,それとの比較でどこがどう簡易なのかということを,補足説明になるのかもしれませんけれども,やはり示さないと,どう違うのかが分からないというのは私も同じ意見であります。
○中田部会長 ありがとうございます。
  ほかに関連する御意見はございますでしょうか。
○小野委員 今の議論の関連なんですけれども,現在,信託銀行以外の法人が行っている給付型の公益信託がそれなりに存在しているという前提に立ち,なおかつそういうものは全部不特定多数の方に対する給付を公益目的でやっているという前提に立つと,簡易という以上に自動的に認可を与えてもよいのではないかと思います。事後的に監督の中で何か不適切とか改善すべきものがあれば,それは是正措置とかをするというようなことで,簡易が実質自動につながるのかもしれませんけれども,簡易ということを細かく要件定義をするようなことをしなくても,今現在,各官庁がそれぞれの所管において,また地方公共団体の所管において認可しているものは,かつての公益法人法の改正のときのように,ちょっと問題がある,ため込んだりとか,何となくいろいろ問題があるというものが現在あるわけではないという前提に立つことは十分できると思うので,簡易が何かという議論以上にほぼ自動でよろしいのではないかと思っております。それがいけないという理由とか立法事実とか社会的問題があったという話は聞いたこともないですし,元々助成型,給付型ですから,問題になりようもないと思います。
○中田部会長 ありがとうございました。
  3種類の問題をお出しいただいているわけでして,まず,移行の認可の基準を示すべきではないかと。2番目に,簡易な手続というのは一体,要件,効果がどういうものなのか。場合によっては簡易な手続ではなくて,ほぼ自動でよいと。ほぼ自動というのと簡易なというのがどういう関係にあるのか,ひょっとしたら考えていることはそれほど違わないのかもしれませんけれども。それから,三つ目といたしまして,第19の2(3)に,期間経過後に終了するという規律に対して,長谷川幹事の方から,そうではなくて,むしろいつまでも現行の制度の公益信託を残すべきであるという御発言だったかというふうに承りました。3種類の問題が出ているかと思います。
  関連して御意見ございますでしょうか。
○道垣内委員 簡易な手続というのは具体的に何かという話なんですが,この中間試案において,簡易な手続というのはこういうものですというふうに決め打ちをして聴くというのが唯一在るべき選択肢ではないと思います。実際問題として公益信託に関心を持ち,あるいは公益信託を運営し,あるいは利害関係を持っている人が,どのような部分について負担を感じるのかということを正にパブリックコメントを通じて明らかにしていただくということは十分にあり得ると思います。ただ,確かにこれのみを書きますと,何について簡易化することが考えられるのかということになり,若干の例がないと何にも分からないであろうかと思いますので,それは例を,何とか書くということはあり得るかもしれません。ただし,ここで一つの具体的な簡易な方法を特定的に提示して,その簡易化方法の是非について聴く必要はないのではないかなと思います。
  2番目に,フリーパスという選択肢は,本来的には,この中間試案をもとにしたパブリックコメントでは聞けない事柄ではないかと思うんですね。と申しますのは,公益信託法の全体についてパブリックコメントをしているときに,こういうふうな機関を置きなさい,こういうふうな制度を置きなさいというふうに,かなり根本的に現在の公益信託とは違った枠組みというのが採られる可能性はまだ排除されていないわけですよね。排除されていないとなりますと,これはもう既存の公益信託は,新しい公益信託法における要件を,ほとんどの場合,満たさないということだって考えられるわけですから,それは実体要件が定まった後に考えてみるほかはない。現在,公益信託として行われているものは今回も実体要件を全部満たすよねと,だからほぼフリーパスでいいのではないかということも考えられるんですが,フリーパスという選択肢を掲げるというのは難しいのではないかという気がいたします。ただ,今私が申し上げましたように,新しい公益信託法における実体的な要件というものの作り込み次第によっては,ほぼ現在のままのものをそのまま認めてよいということはあり得るというのは,補足説明等で明記するということは必要なのかもしれないと思います。
○中田部会長 ありがとうございました。
○吉谷委員 (注)のところで簡易な手続とする旨の考え方があるという形で書いていただいておるわけですけれども,この議場では考え方があるというよりは,それについてはもうコンセンサスが得られているということではないかと思いますので,もう少し強い表現でもよろしいのではないかと思います。
  ただ,ちょっとそれは表現の問題でありまして,小野委員のおっしゃっていただいた御意見は,私が前回,みなし認可という形で申し上げたことと結構よく似た考え方だろうと思いまして,それにつきましては,解説等で例示で挙げるのであれば,事後的な形で新しい行政庁がチェックに入るという形でも済むというような考え方があるんだというようなことを例示として示していただければよろしいのではないかと思っております。それで,そういう簡易な手続というのが,それが届出なのか何になるかというのはまだもちろん分からないわけではあると思いますが,簡易な手続で移行できるということを前提としまして,そういうのが認められない場合であれば,長谷川幹事がおっしゃったような考え方というのが対極あるということについて,お示しいただくのがいいんではないかなと思いました。
○中田部会長 ほかにいかがでしょうか。
  吉谷委員の御発言の中で,あるいは小野委員もそうかもしれませんけれども,事後的にというのですと,今回のこの事務局提案というのは明確性ということを重視していると思うんですけれども,事後的ですと,いつの時点で新法の適用を受けているのかということがやや不明確になるのではないかなというふうに,今伺っていて思ったんですが,その点はいかがでしょうか。
○吉谷委員 新法の適用については,みなし認可なのか何か分かりませんけれども,みなし認可にも一定の要件がまた掛かるのかもしれませんけれども,その場合には施行時に新法適用に切り替わるということだと理解しております。
○中田部会長 ありがとうございました。
  ほかにいかがでしょうか。
○山田委員 難しい問題ではありません。小さなことです。31ページの第19で今話題になっているところと一緒なんですが,2の(3)の冒頭ですが「上記(2)の移行の認可は」とありますが,この上記(2)のというのが必要かどうか。上記(1)ではないかなという気もするんですが,そうすると,(2)のところの移行の認可には何も付いていないので,すいません,整理をお願いいたします。
○中田部会長 御指摘ありがとうございました。
  ほかに。
○林幹事 第19についてですが,繰り返しかもしれませんが,私自身は旧法の適用をした形での現行の公益信託法の下での主務官庁制の公益信託がずっと続くというのはやはりよろしくないと考えます。何十年先にも主務官庁制の公益信託と新しい行政庁による公益信託が両建てで残るというのはよろしくないと思います。そういう意味においては,今回の御提案に賛成しているところです。
  それで,手間の問題というのは非常によく分かるのですが,道垣内委員がおっしゃったように,法がどういうふうになって,それで現行の公益信託がどういう状況にあるのかというのが分からないと決まらないところです。簡易な手続でというのは,できればそれがいいというのは分かっていますし,場合によっては紙一枚出すだけかもしれません。そういう事例が多いのであれば,それを踏まえた上で,そこからはみ出る手間のかかる事例だけきちんと手当てすればよいと,そういう可能性もあるところと思います。そういう前提では,今の時点においては私としては今の御提案のような形で聞いていただいても,それは全然問題ではないと考えています。
○中田部会長 ありがとうございました。
○中辻幹事 いろいろ御指摘をありがとうございました。
  林幹事もおっしゃいましたけれども,道垣内委員が正に本質を突かれていて,新たな公益信託の認可基準がどうなるかが先決であって,それを踏まえて移行措置について検討するというのが本筋です。ただ,実務的には関心の高いところですので,第一読会以来論点として掲げさせていただいているということになります。
  また,簡易な手続について例示した方が良いと言う御指摘がありました。私どもが考えていた典型的な例としては認可行政庁への届出制なのですけれども,それが33ページの上の方に書いてある②のように,現行の特定公益信託なり認定特定公益信託の要件を満たすものなら届出で良いというくくりにすると,なぜ税法の要件が入ってくるかちょっと説明がつかないようなところがありますし,仮に届出制にしたとしても,実際その届出を受けた認可行政庁の方が認可基準を満たしているかどうかを判断するのであれば,結局のところ認可制度と何も変わらないということになりますので,引き続き検討したいと思います。
  それから,長谷川幹事から旧法適用の公益信託を新法施行後もそのまま旧法信託として存続させる案を提案として本文又は(注)に残すべきであるという趣旨の御提案がございました,長谷川幹事は,川島委員もですが,ある意味民間,実務家のユーザーの代表ですので,重く意見は受け止めたいと思います。それに対し,林幹事からは,いや,旧法適用の公益信託がいつまでも残るのはどうかという御意見もありました。この点については,他の委員幹事の方々からもぜひ御意見をいただければと存じます。
○中田部会長 御意見を頂きたいということですけれども,特に先ほど私三つの問題点の御指摘があるということで,その三つ目ですね,現行法の下での既存の公益信託をそのままずっと残す可能性を認めるかどうかについて,長谷川幹事と林幹事からそれぞれ御意見を頂いたわけですけれども,ほかに。
○山田委員 私の意見は,林幹事がおっしゃったのと一緒で,この(3)の考え方は是非残すべきだと思います。その理由は,廃止する立法事実があるかと言われると,ちょっと具体的には持ち出せないんですけれども,公益信託という制度をやはり二本立てで続けていくということについての過剰感というんでしょうか,制度の過剰感。そして,今各省庁に分けて行われている主務官庁制というのが,規模としては余り大きくないのかもしれませんが,当面残るということの行政コストの説明というんでしょうか。いいものを作って導入しようということですので,やはり過剰なコストが移行に生じないようにすべきだという点は全く異論ありませんけれども,(3)のところは是非残していただきたいと思います。
○新井委員 私も林幹事,山田委員の意見に賛成です。
  現状では,確か公益信託は400件台だったと思いますけれども,公益法人のときの法人数に比べれば少ないので,やはり全面的に移行させるというのがよろしいのではないかと思います。二つの法律があって,公益信託がそれぞれ別の法律の下にあるというのは一般にも理解は容易ではなく,これだけ努力して新しい公益信託を作るわけですから,やはり統一化したほうがいいのではないかと思います。
○中田部会長 ほかに。
○小野委員 前回の議論,前回の発言の延長になるんですけれども,利便性からしたらおっしゃられるとおりなんですけれども,信託法が変わったときも,別に旧法信託は契約時基準で残っているわけです。いまだにおびただしい数の旧法信託があるかと思いますけれども,別に契約だからしようがないと思います。公益信託は契約プラス認可という視点がありますけれども,契約としての将来的に旧法公益信託が強制的に認可を取れないから取らなかった,もしかしたら善意でどこか地の果ての方の公益信託が,よく知らない間に終了させられるという必要もないような気がします。利便性からしたら,そういうのもどうぞ新しいものに移行してくださいという努力は必要かと思うんですけれども,そこに何か強権を発動しなければいけないような状況もないと思いますし,大した議論ではありませんけれども,私法的な契約をそういう形で終了させなければいけないという意味も,合理性といいますか,公共の利益もないような気がいたします。
○中田部会長 ありがとうございました。
  今の御発言は,主務官庁の監督は続くという前提で理解してよろしいですね。
○小野委員 先ほどの吉谷委員との議論に戻るかもしれませんけれども,主務官庁のところは認可は新しいものに移行するということでもいいと思います。そういう立て付けになれば,新しい認可に自動的に移行しつつ,それによって強制的に終了しないことになると思います。そっちはまた別の議論だということになれば主務官庁も残ることになって,それでは不都合ではないかという議論はよく理解しますけれども,かといって信託契約そのものが終了になりますというのも何となく納得感がないということであります。
○中田部会長 分かりました。ありがとうございました。
  19の2以降については,大体御意見いただきましたでしょうか。
○長谷川幹事 1点だけ申しあげます。先ほど申し上げたことを踏まえても,やはり旧法適用のものはなくすべきだという考え方はあるとは思うのですけれども,先ほど新井委員もおっしゃられましたように,前々回の資料において472件という数字が出ており,これらに与えるインパクトを聴くという意味で,パブリックコメントでは置いておいてもいいのではないかというのが私の意見でございます。
○中田部会長 ありがとうございました。
  それでは,頂いた御意見を事務局の方でまた検討していただくことにしたいと思います。
  ほかはいかがでしょうか。今回,新しい提案も出ているところでございますが。特にシ・プレの部分ですね。第15の2の(2)について,これまでのここでの御審議を踏まえて事務当局の方から新しい提案が出ているわけですが,これについて,もし御意見を頂ければと存じますけれども。
○林幹事 第15の2の(2)のシ・プレのところについてご質問です。第17との関係です。前回の提案だと第17にいってからこちらの方に来るというので,一応,論理的には流れていたと思っていましたが,この提案だと両者の優先関係というのがどうなるのでしょうか。一見,並行して同時にあるように思ったものの,実質的には第15の2の(2)の方が優先するようにも思えたのですが,その関係に関する御提案の趣旨を教えていただければと思います。
○中辻幹事 特に第15の2の方が優先するという関係ではなく,第17と並行して存在する規律という趣旨で提案しております。
○吉谷委員 第15については,御提案のとおりでよろしいのではないかと思っております。
  一応ちょっと念のための確認として,先ほども御説明があったのかもしれないですけれども,今回,第15の本文及び(注)のところでは,前の部会資料42の(注2)で書かれていた合意等の意味について特に言及がされておりませんで,信託法第149条の第2項や第3項の適用がここにはあるのだということだと私は理解しておるのですけれども,それはそのとおりということでよろしいのでしょうかということと,パブコメに付すときにはそれはどんな形で示されるのでしょうかということを教えていただけますでしょうか。
○中辻幹事 第15における「合意等」の意味については,前回沖野幹事からも御指摘がありましたが,部会資料42の(注2)で書きました「合意等」の意味合いを変えるものではなく,「合意等」という用語を使うことにより信託法149条2項及び3項の適用があるということを含意しているものでございます。
  少し前までの資料では(注)というのをけっこう自由に使っているので,今さら大きなことは言えないのですが,この中間試案のゴシックを提案するに際し(注)を余り便利使いするとかえって分かりにくくなると思いまして,中間試案では,本文の提案と反対の考え方又は別の考え方に限り,(注)で摘示するという構成にしております。
  したがって,今の「合意等」の意味のようなゴシックの内容の説明的なものについては,(注)ではなく補足説明の方に書いてパブリックコメントに付すということを考えているところでございます。
○道垣内委員 別のことでもよろしいでしょうか。
  林幹事がおっしゃったことに関連するのですけれども,恐らくこの仕組みというのは,例えば信託の目的が達成できないとなった場合に,第16の3か2か分かりませんが,委託者,受託者,信託管理人は,いずれでも信託の終了を求めて裁判所に申し立てることができ,その3人が合意をすると,合意によってやめることもできるかもしれませんけれども,第15の2の(2)のアによって,その別の公益目的に使うというふうに転換することもできるという,そういう仕組みであって,その合意が調達できないときには仕方なく,仕方ないかどうか分かりませんが,やめるという,そういう仕組みになっているんだろうと私は理解いたしました。
  それはそれで私は結構だと思うんですが,1点だけ気になりますのは,第16の3は,第2文において「委託者については信託行為において公益信託の終了命令の申立権を有しない旨を定めることができる」となっているわけですね。この委託者が公益信託の終了の申立権を有しないときにも,第15の2の(2)においては,その人の合意がないと,他の公益目的に変更をするということはできないのだろうか。つまり,そうなると委託者について,信託行為において公益信託の終了命令の申立権を有しない旨を定めてしまったら,委託者が現に存しないわけではありませんので,もはや終了させるほかないということになってしまうのではないか。ならば,2の(2)のアにおいて,本当は,委託者が終了の申立権を有しないときには,委託者以外の人の合意で目的の変更ができるというふうにしないと,整合性がとれなくなるのではないかという気がします。ちょっと今,急に思い付いたことなので,どこかに論理の誤りがあるかもしれませんけれども,御検討いただければと思います。
○中田部会長 ありがとうございました。
  ここは第16の(前注)で信託法第163条の適用が前提となっておりまして,27ページの補足説明にもありますように,信託の目的達成,あるいは達成不能によって終了するというのは前提となっていて,しかし,その合意があれば変更ができるという規律なんだろうと思います。しかし,その上で,やはり実質的に委託者の取扱いが第15の2の(2)と第16の3とで齟齬があるのではないかという御指摘だったと思いますので,その点を更に御指摘を踏まえて検討するということになろうかと存じます。ありがとうございました。
  今回のこの部分は新しい御提案ですけれども,今,道垣内委員から御指摘を頂きましたが,ほかに何か御意見を頂くことがございましたら,お出しいただきたいと存じますけれども。
  こういう形でパブリックコメントに付するということで,特に御異論はございませんでしょうか。
  それでは,頂きました御意見を更に検討し,あるいは事務当局の方で次回までに更に検討を深めて,この規律について練り上げていくということになろうかと存じます。
  今の点を含めまして,ほかに第12から第19までどこでも結構ですけれども,ございませんでしょうか。
○林幹事 第12ですが,ちょっと細かい話で恐縮ですが,4の下の(注)が今回削られていて,そこについてのコメントがいただけてなかったと思いますので,一応意図を確認させていただければと思います。その点を削ることに特に異論はないのですが,補足説明がなかったからという趣旨において伺いたいです。それから,従前来の繰り返しですが,一応ここで述べるだけ述べますと,第13の3の(2)の(注),あるいは「第15 公益信託の変更,併合及び分割」のところの1の(1)のウのところですね。行政庁の許可を必要とするのではなくて事前に行政庁の意見なりを聴くという,これについて,ちょっとこだわりますが,(注)ではなくて格上げしていただいてよかったというのが率直なところなんですが,ただ,先ほど御説明あったように,その内容について補足説明なりできちんと説明の上していただくということなので,そのとおりしていただいて,意見も聞いていただけたらというところです。
  細かいのですが第12のところだけ,意図があればお教えいただければと思います。
○中辻幹事 第12の1のゴシックの(注)を削除した理由ですけれども,これは,深山委員から,第45回の部会で,行政庁の公益信託の認可の取消しというのもいろいろ場合があって,強制的に取り消すべき場合もあれば,任意的に取り消すべき場合も御指摘があったことを踏まえたものでございます。それを受け,今回の部会資料44の28ページで公益信託の認可の取消しの効果というのを一応整理して記載しているわけですが,その際に,従前あった第12の1の(注)はゴシック本文の提案とは対立する考え方ではないということに気付きまして削除したということでございます。
  もう一つ付け加えておきますと,今の第12の1で認可行政庁の監督権限が書き尽くされているかというと,そうではありません。これだけですと行政庁は受託者が勧告命令に従わなかった場合のみ認可を取り消すという読み方もできそうですけれども,それ以外の場合にも行政庁が公益信託の認可を取り消すことは想定されますので,補足説明なりできちんと御説明したいと考えているところでございます。
○中田部会長 ほかにいかがでしょうか。
  先ほど,舘野関係官から第16の2について,甲案,乙案に関しまして,甲案を採る場合に終了の認可あるいは成立認可の取消しの基準といいますか,そういうものを示すかどうかについてのお話もあったかと存じますけれども,この第16の2の甲案,乙案について,更に御意見をお聞かせいただければと存じますが。
○林幹事 乙案ですけれども,今回新たに出されたもので,改めて弁護士会でも議論したところですが,先ほどの御説明を含めてそれなりに合理性あると思っており,弁護士会でも乙案に賛成という意見もそれなりに出たところですので,パブリックコメントでこのような形で聞いていただくのもいいのではないかと思っています。
  特に行政庁なりの監視というか,行政庁の目が必要だというのは,その事後的に資産がどのように処理されるかというところがポイントだったかと思いますが,そういう意味においては,それは清算の問題であって終了の問題は別だと整理した上で,このようにされるということについて,一つの考えとして十分合理性はあると思いました。
○中田部会長 ありがとうございます。
  今回,乙案を立てるということについては,御異論はございませんでしょうか。
  では,この形で出すことにいたしまして,その上で甲案について何らかの基準を示すかどうかですけれども,特に示さずにこのような形でよろしいでしょうか。それとも,何らかの認可の基準を,ゴシックで入れるか説明になるかはともかくとして,示したほうがよろしいということでしょうか。
○深山委員 以前も意見というか,質問的な意見を申し上げたような気がするんですが,終了の認可と成立の認可の取消しというのが両方掲げられていて,それが単に言葉の問題であったり形式的な用語の問題としてどちらが適切かということなのか,そもそも違う基準をイメージしているのかということが,どちらなのかなという気がして,以前も申し上げたのは,いわゆる取消しすべき事由があって,認可基準に照らしてそこから外れるような場合と,別にそういうことはないんだけれども,何らかの理由でもう終わりにすべきだというような場合があり,後者の終了を妥当なものとして認めるというような意味での認可というものは,やはり判断している中身が違うと思うんですね。ですから,この終了の認可というのが,そういう認可基準に外れるということではない部分を判断基準としているのであれば,そういう言葉の方がふさわしいという気がします。
  従前の立法例では,そういうものも含めて取消しという言葉を使っている例があるような気はするんですが,それはそれとして,認可基準から外れるというのではない終了の認可という概念というのも要るのかなという気がいたします。そのことから,部会長の質問にあるように,そもそもここで言う認可というのは何をどう判断するものなのかということはやはり明確であったほうがいいし,そのこととの関係で,用語としてのどちらがいいのかということも決まってくるのかもしれないので,できれば何か基準めいたものが示せたほうがいいと思います。
○中田部会長 ありがとうございました。
  重ねて恐縮でございますけれども,もし具体例がありましたらお示しくだされば,事務当局は喜ばれると思いますが。
  では,またそれは検討していただくことにいたします。
  第16の2については,ほかに御意見ございますでしょうか。
  それでは,今の点を含めてまして,ほかに……
○沖野幹事 今の認可の基準の点は非常に難しく,そうだとすると,乙案の方がよろしいのかなというふうに傾いているところではあるんですけれども,1つ確認させていただきたいことがあります。行政庁によるチェックの主眼は,公益という目的が最後まで貫徹されるかということであり,終了のときも清算の在り方が適切になされているか,残余財産の帰属等がきちんとされているかの確認といった観点からの関与が考えられるということだと思うんですけれども,そこのチェックはどの段階でどのように行われるかです。認可の際にどういう決め方になっているかを判断するというところでその確認は終わっているのでしょうか。それとも,清算終了段階の,例えば最終計算報告の相手方に行政庁が含まれるとか,あるいは前回に公示の問題も取り上げられたかと思いますけれども,行政庁への届出などをすることで,その際に適切にされているかということも事実上,チェックされるとか,そういったプロセスが後に控えているという想定だったのでしょうか。そこの確認をさせていただければと思います。
○中辻幹事 乙案は前回の山田委員の御示唆を受けたものでして,従前の部回資料43では,清算段階について行政庁の関与が必要だからということを一つの理由として甲案のみを提案していたわけですが,終了が妥当か否かの判断と,清算段階での残余財産の帰属内容の処理が適切に行われているかの判断は別の問題であり,現時点では清算段階について行政庁の関与が必要であるということは甲案の理由にはならないと事務局としては考えています。
  また,先ほど深山委員から,終了の認可と,成立の認可の取消しの意味合いの違いについて御示唆をいただきましたように,公益法人認定法29条1項4号では,公益法人が公益認定の取消しを行政庁に申請した場合には,それは任意的取消事由でなく,強制的取消事由であり,必ず公益認定が取り消されるということになっており,終了の認可という用語は使われておりません。もっとも,公益法人には終了という概念がなくてそれに対比されるのは公益認定の取消し又は法人の解散ということになりますから,いちがいに比較することはできないとも思います。
  その上で,現在の甲案の理由なのですが,清算段階での公益性は終了の認可や認可の取消という方法とは別に確保するのですが,成立から終了に至るまでの間の公益性の確保という観点から,やむを得ない事由なり正当な理由なりといった要件を設け,その中で,沖野幹事が以前おっしゃっておられた,受託者や信託管理人が1年間不在となった場合に公益信託が自動的に終了することの不都合を回避するための方策というか抑えとして行政庁の認可が必要なのではないかという理由なのであれば一定の合理性があるようにも思われ,そのような趣旨で行政庁が公益信託の終了の可否を判断するというのが現在の甲案でございます。
○沖野幹事 適切に整理してくださったと思うんですけれども,従来言われていたことは,一つは自由にやめられるということが適切なのかです。自由に終了させて,一度やり出した活動をもう明日にはやめますというようなことでもいいのかという,その問題が一つはあったかと思われ,その問題を捉えるならば正当な理由とかそういうことになるんだと思います。これに対して,もう一つは,やめるのはもう終了事由があるならというか,三者合意でやめられるということは構わないという考え方を採って,三者で合意でやめるのも構わないのだから,潜脱ではないのかもしれませんけれども,どのようなものであれやめるのは構わないと,ただ財産だけどうするかということが問題なんだという理解です。これらのどちらに力点を置くのか,あるいは両方の話をするのかということだと思います。ただ,いずれにしましても,あるいはどちらからしましても,財産の点は押さえておかなければいけないのではないかという感じがするものですから,終了の認可というのも,清算もきちんとやれますかということも含めて当初の認可をするということは考えられるのかと思いますけれども,時期的に具体化した段階での確認の問題があるように思われます。乙案に立った場合は,その押さえは何か別途されるのか,それともそもそも残余財産の帰属の在り方がどうなるかというのは認可の段階で,最初の段階でもう決めてあるところなので,そのとおりされましたかというところのチェックは特にされないということなんでしょうか。それとも,それはやはりそれは行われるのだと,方法としては計算報告であるとか届出であるとか,あるいはさらに別途考えるとか,そういうことなのか,そこを念のため確認させていただければと思います。
○中辻幹事 分かりました。事務局としては,残余財産の帰属先について公益性が確保されることは最初の信託成立の段階でも最後の清算の段階でも必要であると考えておりまして,現在の第16の2の甲案と乙案のいずれを採ろうとも,そこは確保されていることが前提になっています。
○沖野幹事 どのように確保されているのでしょうか。
○中辻幹事 以前の甲案のように残余財産の帰属先について,それが正当な帰属先に行き着いているか否かをチェックしてそれがなければ公益信託を終了させないという選択肢ではなくて,例えば,最後の清算の段階であれば行政庁への報告を義務付け,残余財産の帰属先を不正に違えた受託者に対しては,当分認可を与えないことにするなどのサンクションを課すなどの方法は考えられるように思います。ただ,まだその方法については詰め切れておりませんので,沖野幹事の御指摘を踏まえて検討したいと思います。
○中田部会長 沖野委員のおっしゃっているのは,「第17 公益信託の終了時の残余財産の処理」について,ここは定めを置かなければならない。それから,最終的な帰属についての規律があるのだけれども,それを最終的に何らかの形で確認する制度が必要ではないかということになりましょうか。
○沖野幹事 ええ,すみません。きちんとそう言えばよかったんですけれども,そういうのを置いたほうがいいのではないかという感覚を持っており,手法としては,繰り返しですけれども,計算報告か届出か,そういった,清算はきちんと終わりましたということを行政庁が関知できるプロセスを入れなくていいんだろうか。ただ,信託だけそうなのかという問題はほかの制度との関係であるかと思いますけれども,そういうことはなくていいんだろうかということが元々の関心ではあります。
○中田部会長 ありがとうございました。
  第16の2の甲案,乙案のどちらを採るかというのとはまた別の問題として,新たな御指摘を頂いたかと存じます。
○小野委員 公益信託が終了しても,まだ信託財産は残っているわけですから,監督は清算が結了するまで継続しているというような理解で私はいるんですけれども。そうすればきちんとしたところに財産がいかなければ,終了していても行政処分が可能かと思うのですがいかがでしょうか。
○中田部会長 ありがとうございます。
  今の御発言を前提にしますと,監督権限は最後まで残っているわけだから,特段の規律を置かなくても,その監督権限の運用によって対応できるのではないか,こういう御指摘ですね。
○小野委員 はい。
○中田部会長 ありがとうございました。
  沖野委員の御指摘と小野委員の御指摘と関連すると思いますので,両方併せて検討していただこうと思います。
  ほかにございますでしょうか。
○明渡関係官 第16の2で甲案,乙案を採るかということについては,ほかに影響するところとして8ページ,第4の(2)の部分に跳ねてくるんだろうと思います。乙案のような形で合意によって仮に届出があったとしても,認可の取消し等を行わないというようなことになりますと,この第4の1の(2)のオの条項は掛かってこないというような形になります。仮にそうなった場合に,どういうふうなことが生じるのかというと,監督上の措置を採ろうとしていた場合に,その実際の措置を採る前に合意によってやめますというようなことが出てくることがあり得ます。公益法人においては,公益認定の取消申請というのは,そういうふうな場合によく出てきます。そうなった場合に,こちらの方の第4の(2)のオのような条項が掛からなくていいのかと。やはりどんどん作って勝手にやめちゃって,そこの受託者については何も,また手を挙げてやりますというような形ができるような仕組みというふうな形にならないかというふうなことは懸念しております。
○中田部会長 ありがとうございました。
  16の2の甲案,乙案について,仮に乙案を採る場合に今の問題点が出てくるということでございますね。
  ほかに関連して,あるいはその他の点でも結構でございます。
  一応これで部会資料44についての御審議を頂いたとしますと,次回に予定どおり中間試案(案)がここに出されて,取りまとめることができればという段階になろうと思いますので,パブリックコメントの前の本日は実質的に非常に重要な会議でございますので,もしほかにお気付きの点がございましたら,何でもこの機会におっしゃっていただければと思いますが。
○中辻幹事 少し残された時間がありますので,もし御意見があれば頂ければと思います。
  現在,第17の1の(2),第17の2,第18の4の3つの論点につきましては,甲案,乙案の両論を併記しております。ただ,これまでの部会での意見分布の状況としては,いずれの論点でも乙案支持の方が多かったと思っています。ですので,いやこれはもうこのまま両論併記で良いということであればこのままパブコメにかけますが,ほかの論点ではかなり絞り込んでいるのだから,これらの論点でも甲案は(注)に落とすべきであるという御意見もあり得るように思っておりまして,この3点についてもう少し御意見をいただければ大変助かります。
○中田部会長 第17の終了時の残余財産の処理,そして第18の相互変更について両論立ててはいますけれども,甲案御支持の方,あるいは両論を載せておくべきだという方,が全体なのか,それとも乙案だけでいいのではないかという辺りについて御意見を頂ければと思いますが,三つのうちのどれでも結構でございます。
○沖野幹事 19ページの第17の2については,従前二つの話があったと思われます。一つは信託法の規律との違いということですが,これは公益活動の場合にはというような理由で説明されます。もう一つは,財産として残るものが,それが望ましい財産であるとは限らないという,むしろマイナスの価値があるようなものについてどうするかという問題があって,その観点から甲乙の当否の問題もあったかと思いますけれども,前回でしょうか,前々回でしょうか,その資料によりますと,無価値財産なり迷惑財産なり,そういうものの処理についての対応をどうするかということは別途考えるという留保が付いた上で,乙案でいいのではないかという,そういう姿勢であったように思われますから,ここはそういった問題は少し残っているけれどもということは補足説明なりで書いていただいて,一本化するということが十分考えられると思います。
○中田部会長 ありがとうございます。
  では,ここからいきましょうか。最終的な残余財産の帰属について,清算受託者に帰属するという案を甲案という形で残しておくべきなのか,(注)に落とすか。いずれにしても,無価値財産等についてはコメントをするという御提案でございますけれども。あるいは,(注)にさえ要らないということかもしれませんが。
○沖野幹事 きちんと把握しているわけではないですけれども,乙案でいいのではないかという考え方が大勢というか,ほとんど全てを占めていたように思います。ただ,若干の留意事項がありますねということではなかったかという認識をしておりますので,そうであるとすれば,注記するまでもなく一本化し,ただ,検討すべき事項は補足説明などで書いていただくということではないかと考えます。
○中田部会長 ありがとうございました。
  甲案を残しておくべきである,あるいは(注)で残しておくべきであるという御意見がございましたらお出しいただきたいと存じますが。
  よろしいでしょうか。それでは,第17の2については国庫に帰属するということを提案し,しかし,問題点として,今,沖野幹事から御指摘を頂いたようなことを説明をするというふうにしたいと存じます。
  あとの2点についてはいかがでしょうか。
○吉谷委員 第17の1の(2)の甲案につきましては,私の理解ではこれは現行の税制との整合性のようなところが言われていて残っているのかなと思っていたんですけれども,そういう問題が全くないのであれば,乙案でもいいのかなと思うんですが,ちょっと本当にそうなんだろうかというところはかなり不安があるので,不安を残すままであれば両論併記でもよろしいかと思っております。
  あと,第18の4につきましては,私どもは従来から甲案賛成ということで申し上げ続けておりまして,その理由としては,制度を複雑化するだけで,効率化などのメリットはないというところでございます。ただ,両論併記についてまで反対するということは申し上げませんということで意見を言っていたかと思います。
○中田部会長 ありがとうございました。
  最初におっしゃった第17の1の(2)については,現行税制との関係についても更に精査していただきまして,問題がないということであれば,先ほど皆様から御了解いただきましたような形で乙案一本化ということでしょうし,なお不安があるということであれば,現在のような形を残すということでしょうか。
  それから,第18の4につきましては,確かに従前から吉谷委員は甲案を主張してこられたと思いますので,特にこれを消していいということで一致しているわけではないようですから,これはもうこの形で残すということにしたいと思います。
○沖野幹事 終わり際にすみません。
  第17の1の(2)なんですけれども,以前から非常に分かりにくい対比であるということがありまして,表現の仕方と対象が誰かということを比べたときの甲案と乙案との対比が必ずしもよく分からないところがあり,対象としましては,甲案の方は国,地方公共団体か類似目的を有する他の公益信託ということになっているのに対して,乙案は,それに加えて類似の目的を有する公益法人等が入っています。
  それで,以前の説明によると,相互性といいますか,公益法人の方の扱いと対応させたときに,公益法人の方では公益信託が入っていないからというような話もあったかと思いますが,それは余りさしたる理由ではないというか,別に公益法人を含んで構わないのではないかというふうに考えられます。税法上,それが入ることによって問題があるという感じはしないんですけれども,もしあるならば,もちろん検討していただいたらいいと思いますけれども。もう一つは書き方といいますか,前回でしたか,問題になったのは「寄附」という表現と「帰属」という表現で,ただ,そのときには「帰属」という表現,あるいはとりわけ「帰属権利者」という表現をここで使うことが適切なのかという問題提起もされまして,それは甲案と乙案でそう明確に対比されるべきことでもないように思われ,「寄附」の方が適切であるならば,乙案についても「寄附」ということを使えばいいということですので,この2案をわざわざ立てておく意味が,結局は公益法人等を含むだけであれば,余りないというか,また公益法人等を含んでいいのではないかと思われますので,その意味では乙案で一本化し,その場合にも,表現がこれでいいのかというのは更に検討していただくということになるのではないでしょうか。ただ,吉谷委員がおっしゃったように,私にはちょっとそこが分かりませんけれども,これが含まれるか,含まれないかで税制上の扱いがかなり違うということであれば,そういうことを考慮したものかもしれませんけれども。
  結論としては,乙案でこれも一本化して,ただ表現は全体についてこれでいいのかを考える必要があるのではないかということかと考えます。
○松元関係官 第17の1の(2)の乙案につきまして,これは乙案を採ると,「公益法人認定法第5条第17号イないしトに掲げる法人を含む」ということになっていますので,例えば学校法人とか社会福祉法人に対して残余財産を与えて,譲り渡していいということになるので,そうしますと,甲案との違いとして,甲案だと類似の目的を有するところにしか残った財産は与えられないんだけれども,乙案だと大分広く,学校法人とか社会福祉法人であればどこでも渡せるということになってしまうということにならないでしょうか。
○沖野幹事 資料では,かっこ書きを含めたこの公益法人等にも類似の目的を有するというのが掛かっているんですけれども,これは公益法人に掛かる場合と公益信託に掛かる場合で意味なり範囲なりが違ってくるという前提ですか。
○中辻幹事 私の方から補足して説明しますと,今の第17の1(2)の乙案は,「類似の目的を有する公益法人等(公益法人認定法第5条第17号イないしトに掲げる法人を含む。)」と書いておりますので,普通に読めば,私立学校であっても社会福祉法人であっても,その類似の目的を有するというのは掛かってくるということになると思います。ただ,最近公益法人認定法の方を見直したときに,第5条第17号には,類似の事業を目的とする他の公益法人若しくは次に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与する旨を定款で定めているものとすると書かれていて,類似の事業を目的とするというのは公益法人にのみ掛かり,次に掲げるというところで対象となる社会福祉法人や私立学校には掛からないという読み方ができるのではないかということが事務局内部で議論になったので,もう少し詰めて検討する必要があると考えているところでございます。
○中田部会長 この甲案,乙案につきましては,乙案が実質的に何を意味しているのかについて,今の御説明で課題が明確になったと思いますので,それを踏まえた上で,甲案,乙案の違いがどこにあるのかということを検討した上で,税制も含めて両案を立てるべきなのか,それとも一本化すべきなのかを検討していただきたいと思います。さらに,沖野幹事から御指摘いただきましたように,表現の面での無用な不統一というのがあるのであれば,それは統一できるところは統一するということで,その上で果たして,なお2案を出す必要があるのか,ないのかということを次回までに検討していただくということにしたいと思いますが,それでよろしいでしょうか。
  ありがとうございます。
  それでは,ほかに。
○明渡関係官 ちょっと今のところですけれども,公益法人認定法第5条第17号の柱書きですが,確かこちらの方の類似の事業を目的とするというのは,確か次に掲げる法人まで掛かるというふうなことだったように思います。もう一度ちょっと解釈を確認して次回までには御説明しますけれども,公益法人だけではなくて,そちらのほかの方にも掛かったのではないかというふうには思います。
○中田部会長 ありがとうございました。
  実質が公益法人認定法の方でどうかということと,それからここで提案しようとしている乙案の中身が何なのかということとありまして,いずれにしても,この乙案の内容を明確にする必要があると思います。また明渡関係官の方から御教示も頂きながら,明確な案を次回までに用意していただこうと思います。
  ほかに,全体についていかがでしょうか。
○道垣内委員 第18の4と第19の1なんですが,これは甲案,乙案になっていないような気がするんですね。つまり甲に反対というのが乙ですよね,乙に反対というのが甲ですよね。二つの種類の異なる規律があって,どっちがいいですかというのならば,甲案,乙案と掲げる意味があるんですが,一方に賛成ですかと聞いているだけですので,どっちかにすればいいと思いますけれども。
○中田部会長 そこは意見の聞き方として,一方のみ出したとすると,何かそれを支持しているようで,反対があれば出してくださいということになるかもしれませんので,フラットに出すというのが多分事務局の御意向だと思いますが,今の御指摘を踏まえてまた検討してもらおうと思います。ありがとうございました。
  ほかによろしいでしょうか。今日は時間が早く終わるかなと思ったら,ちょうど時間がやってまいりました。
  それでは,本日の審議はこの程度にさせていただきまして,最後に次回の日程等について事務当局から説明してもらいます。
○中辻幹事 次回の日程ですけれども,12月12日火曜日午後1時半から午後5時半まで,場所は法務省ですが,具体的な部屋は未定ですので,決まり次第御連絡いたします。
  次回は,本日の部会での皆様の御意見を踏まえて,「公益信託法の見直しに関する中間試案(案)」と題する部会資料を用意して皆様に御審議いただくことを予定しております。また,事務局の責において作成する中間試案の補足説明につきましても,参考資料として用意し,中間試案の審議の参考にしていただこうと思います。余り無理をする必要もないのですけれども,冒頭申し上げましたとおり,現時点では来月の部会における中間試案の取りまとめを予定しておりますので,何とぞよろしくお願いいたします。
○中田部会長 ほかにございませんでしょうか。
  それでは,本日の審議はこれで終了といたします。本日も熱心な御審議を賜りまして,ありがとうございました。
-了-




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