沖縄地区土地政策推進連携協議会「改正所有者不明土地法説明会(士業団体向け)」

https://www.ogb.go.jp/kaiken/syoyuusha_humei_tochi_kyougikai/syoyuusha_humei_tochihou_setsumeikai?fbclid=IwAR0ML-qF4hBF-dGP7FYZPjluLtxJn5xdRcr5SWxCcPK3rQvTnJks4bBAj78

令和4年12月12日

(1)所有者不明土地法の改正概要について

<国土交通省不動産・建設経済局 土地政策課 高橋土地調整官>

(2)支援措置について

・所有者不明土地等対策事業費補助金について

・その他の支援措置について

<国土交通省不動産・建設経済局 土地政策課 武藤企画専門官>

(3)所有者不明土地の利用の円滑化のための制度について 30分

<国土交通省不動産・建設経済局 土地政策課 宮島企画係長>

(4)士業等の専門家による取組

<国土交通省不動産・建設経済局 土地政策課 高橋土地調整官>

(5)民法等一部改正法・相続土地国庫帰属法の概要について 20分

<法務省民事局 参事官室 担当官>

【資料一覧】

・議事次第

・資料1_所有者不明土地法の改正概要について

・資料2_支援措置について

・資料3_所有者不明土地の利用の円滑化のための制度について

・資料4_士業等の専門家による取組

・資料5_民法等一部改正法・相続土地国庫帰属法の概要

・参考1_地域福利増進事業ガイドライン

・参考2_所有者不明土地の管理の適正化のための措置に関するガイドライン

・参考3_所有者不明土地対策計画作成の手引き

・参考4_所有者不明土地利用円滑化等推進法人指定の手引き

https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo02_hh_000001_00049.html

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

・所有者不明土地対策計画の作成制度

市町村は、所有者不明土地の利用の円滑化や管理の適正化等を図るための施策に関する計画を作成可能

<補助制度>

 計画に基づき、所有者探索や利活用のための手法の検討等の取組を行う地方公共団体等に対し補助(補助率:地方公共団体1/2 推進法人等1/3)※併せて、地方公共団体負担分に対する特別交付税を措置(措置率最大:1/2)

・所有者不明土地対策協議会制度

市町村は、計画の作成等に関する協議を行うための協議会を設置可能

<主な構成員>

・所有者不明土地利用円滑化等推進法人

・地域福利増進事業等の実施予定者

・関係都道府県・国の関係行政機関

・宅地建物取引業者、司法書士・土地家屋調査士等の専門家、学識経験者等

所有者不明土地利用円滑化等推進法人の指定制度

 市町村長は、所有者不明土地や低未利用土地等の利活用に取り組む特定非営利活動法人や一般社団法人等を指定可能。公的信用力が付与されることにより、地域づくりの新たな担い手として、市町村の補完的な役割を期待

<主な業務>

・利活用希望者に対する情報提供・相談

・所有者に対する適正管理のための情報提供・相談

・低未利用土地等の利用促進のための事業の実施等

取組1:「特定非営利活動法人つるおかランド・バンク」(山形県)

・狭あい道路を拡幅することにより、宅地化を実現

取組2:「特定非営利活動法人かみのやまランドバンク」(山形県)

・空き地に住民と協働して芝生を貼り、広場を整備

所有者不明土地対策計画作成の手引き(概要)

計画記載事項(法第45条第2項)

(所有者不明土地対策計画)第四十五条

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=430AC0000000049_20221101_504AC0000000038

ポイント・記載が考えられる内容

基本的な方針(第1号)

 ・背景・目的、位置づけ、取組方針、対象地域・土地等を記載。

・所有者不明土地に限らず、低未利用土地や空き地条例に位置づけられた空き地も施策の対象とすることが可能。

地域福利増進事業を実施しようとする者に対する情報提供又は助言(第2号)

・地域福利増進事業の実施が促進されるよう、対策計画の周知や助言等の情報提供、国の補助金を活用した支援などについて記載。

確知所有者に対する情報提供又は助言(第3号)

・適切な管理を促すため、市町村による巡回の実施や相談体制の整備等について記載。

土地所有者等の効果的な探索(第4号)

・土地所有者等関連情報の内部利用や、地域福利増進事業等を実施しようとする者への提供手続について記載。

低未利用土地の適正な利用及び管理の促進(第5号)

・低未利用土地の利活用を促進する観点から、空き家・空き地バンク等によりマッチングを図る取組等について記載。

体制整備(第6号)

 ・所有者不明土地対策協議会の設立、所有者不明土地利用円滑化等推進法人の指定、庁内の体制整備等を記載。

・対策協議会に、司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、宅地建物取引業者等の地域の専門家を加えることも効果的。

普及啓発(第7号)

 ・広報誌、マスコミ等の媒体を活用した広報活動、講演会、セミナー等の開催について記載。

その他必要な事項(第8号)

・施策の進捗等を踏まえつつ、必要に応じて、対策計画の見直しを行うことについて記載。

地域福利増進事業を実施しようとする者に対する情報提供又は助言(第2号)の記載例

【主な取組】

・所有者不明土地・低未利用土地の利活用に係る相談窓口の整備

・地域福利増進事業の制度や手続、支援措置等の周知

・地域福利増進事業を実施しようとする者に対する土地所有者関連情報の提供

・地域福利増進事業を実施する者に対する事業費の一部の助成

・○○地区(例:密集市街地)において、地域福利増進事業を活用し防災備蓄倉庫を整備

※まずは取組が具体化している事項を記載し、取組の進捗を踏まえつつ、必要に応じて計画の見直しをしていくことも可能

空家等対策計画を変更して所有者不明土地対策計画を兼ねることとすることも可能であり、作成例も掲載。

低未利用土地の適正な利用及び管理の促進(第5号)の記載例

【主な取組】

・空き家・空き地バンクの運営及び周知

推進法人の募集及び指定

推進法人の業務等

・地域の専門家(宅地建物取引業者、司法書士・土地家屋調査士等)、学識経験者等を構成員とし、空き地の利活用や流通に向けたマッチング、コーディネート、啓発活動などに取り組む法人

・自治会等の地縁団体を母体とし、住民自ら居住環境の改善のため空き地の管理・活用等に取り組む法人

・まちづくり、地域活性化、移住定住等の企画・運営の一環で、空き家・空き地の調査、情報発信、再生・活用事業に取り組む法人

推進法人の指定手続等

・募集方法は、市町村が定める。常時申請を受け付け、その都度審査する方法や、期限を定めて公募する方法等が考えられる。

・法人の活動目的・活動内容が制度の趣旨に合致しているか、業務を適正に行うための体制を備えているか等を審査するため、必要な書類の添付を求めることが考えられる。(定款、活動実績、業務計画書等

・審査基準は、市町村が定める。指定を受けようとする法人が、推進法人の業務を適正かつ確実に行えるかどうかを審査する。

≪審査基準の例≫

活動目的

・法第48条の業務を行う法人であること

(推進法人の業務)第四十八条

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=430AC0000000049_20221101_504AC0000000038

・所有者不明土地や低未利用土地の利用の円滑化等を活動目的としていること

活動実績

過去に、所有者不明土地や低未利用土地の利用の円滑化等に関する活動実績があること

組織形態・運営体制

・特定非営利活動法人、一般社団法人若しくは一般財団法人又は所有者不明土地の利用の円滑化等の推進を図る活動を行うことを目的とする会社であること

・当該市町村内で活動を行っていること

・推進法人の業務を適正かつ確実に行うために、必要な組織体制や人員体制を備えていること

・必要な経費を賄うことができる経済的基礎を有していること

・関係する行政機関や民間団体等とすでに連携して活動を行っていること、又は今後行うことができると認められること

支援措置について

施行者:地方公共団体、推進法人(※) 等

(※)市町村により指定された、低未利用土地の有効利用等に取り組む法人

所有者不明土地等対策事業費補助金(R4年度~)

〇補助対象:

「所有者不明土地対策計画」に基づく以下の取組

・土地に関する実態把握

・土地の所有者の探索や、土地の利活用のための手法等の検討

・土地の管理不全状態の解消門、塀等の工作物や樹木の除去等) 等

〇補助率

・地方公共団体が施行者の場合: 国1/2、地方公共団体1/2

・推進法人等が施行者の場合:国1/3、地方公共団体1/3、推進法人等1/3

 所有者不明土地・空き地等の実態把握は、「所有者不明土地対策計画」の作成前でも実施可能。登記簿等で所有者が分かる空き地等の利活用・処分の検討や、所有者探索の結果、所有者が判明した空き地等の利活用のために行う工作物等の除去も支援可能。

地方公共団体負担分について特別交付税を措置。

(措置率:地方公共団体負担分のうちの1/2(最大))

【対策に必要な調査】

補助対象外

 対策計画の策定に必要な実態把握調査

○ 所有者不明土地等対策計画の策定

○ 体制の整備

・空地に関するデータベースの整備

・所有者不明土地等に関する相談窓口の設置

・所有不明土地等対策協議会の設置・運営

・推進法人の指定・監督

【所有者不明土地等対策の事前対応】

● 所有者の探索

● 対策を講ずるべき土地の利活用等のための基礎調査

・コーディネート業務

・地域福利増進事業等における裁定手続

管理不全状態の解消

隣地等の取得促進

【所有者不明土地等対策の具体の取組】

● 所有者不明土地等の管理不全状態の解消

代執行費用を含む。ただし、地権者等からの費用回収が見込めないと判断したものに限る

● 行政代執行等に係る法務的手続

ただし、地権者等からの費用回収が見込めない場合に限る

● 所有者不明土地の取得促進

・隣地所有者等による所有者不明土地の取得促進(測量費、登記費用等)

Q1. 利活用・処分したい土地はあるが、どのような事業ができるかわからない。

A1. 事業の検討・調整に係る費用が補助。

 計画に位置付けられた対策を講ずべき土地(登記簿等で所有者が分かっている低未利用土地※を含む)の利活用・処分の検討や事業計画の作成、地域住民との調整に係る経費が補助の対象。

地域福利増進事業を実施しようとする場合は、その裁定申請に係る費用も補助の対象。

※低未利用土地…「居住の用、業務の用その他の用途に供されておらず、又はその利用の程度がその周辺の地域における同一の用途若しくはこれに類する用途に供されている土地の利用の程度に比し著しく劣っていると認められる土地」(土地基本法第13条第42項)で空き地のほか、老朽化した空き家も対象。

Q3-1. 利活用を行いたいが、工作物が残っており、撤去費用の負担が重い。

Q3-2. 周囲に悪影響を与えている土地があり、代執行を行いたいが、費用回収の見込みがない。

Q3-3. 市町村から、土地の管理不全状態を解消するよう行政指導を受けたが、お金がない。

A3. 管理不全の解消費用が補助。

 対策を講ずべき土地(所有者探索の結果、所有者が判明した低未利用土地も含む)を利活用する際の残置させた工作物の除去費用や、所有者不明土地法等(空き地等の適正管理を目的とする条例を含む)に基づき、市町村の代執行費用や、指導・勧告等を受けた所有者自身による管理不全状態の解消費用が補助の対象になります。

Q4. そもそも管内に所有者不明土地・空き地等の低未利用土地がどのくらいあるのかわかっていない。

A4. 所有者不明土地や低未利用土地の実態把握調査が可能

 所有者不明土地や低未利用土地の現況や登記簿上の記載事項についての調査費用が補助の対象となります。実態把握調査への補助は所有者不明土地対策計画作成前でも補助の対象となります。

  • 土地の所有者探索

●対象経費の例

・登記事項証明書・住民票の写し・戸籍謄本等の証明書発行手数料

・公的機関・親族等への書面送付に係る郵送料

・証明書請求や所有者訪問に係る交通費

・司法書士等への委託費

●補助金を活用した事業のイメージ

・公共事業実施予定地の所有者の探索

・苦情のあった管理不全土地へ行政指導を行うための所有者の探索

・市街地の空き地を利活用するための所有者の探索等

計画基礎調査費

●対象経費の例

 以下の取組に直接必要となる委託費、役務費、交通費、需用費、謝金、使用料、賃金(アルバイト等の人件費)

土地の売却・賃貸・使用権設定等の方針検討

・土地の整形化・集約化、私道整備等の事業計画検討

・地域福利増進事業の裁定申請書作成、補償金見積書作成等

土地の管理不全状態解消

地域福利増進事業実施のための工作物等の除去

対象経費の例

・地域福利増進事業実施のための工作物等(「工作物や樹木等」をいう。以下同じ。)の除去費用

所有者不明土地を地域福利増進事業以外で活用する場合の工作物等の除去

対象経費の例

・所有者不明土地が地域福利増進事業以外で活用される場合の工作物等の除去費用

財産管理制度を利用して所有者不明土地を取得し、商業ビルの建築等を行う際に、当該土地に存する塀及び建築物の基礎を除去

・低未利用土地を公益的目的で活用する場合の工作物等の除去

 所有者不明土地と思われる土地で、地域福利増進事業により防災広場を整備しようとしていたところ、所有者が判明したため、相対取引で土地を取得し、地域住民が利用できる農園を整備することとした。整備にあたり、当該土地に繁茂していた樹木を伐採

対象経費の例

・所有者探索によって所有者が判明した低未利用土地で、公益的目的(地域住民等の共同の福利又は利便の増進に資する取組)のために10年以上活用される場合の工作物等の除去費用

所有者不明土地の取得促進

●対象事業: 所有者不明土地の処分に係る法務的手続、測量及び調査、権利調整

●施行者: 市町村等・民間事業者等

●対象経費の例

所有者不明土地の売却等のために必要となる以下の費用

・不在者財産管理人等の選任手続費用

・境界確定費用

・所有権以外の権利の抹消に係る手続費用

・登記費用

・司法書士等への委託費用

●補助金を活用した事業のイメージ

・所有者不明土地の利活用・処分方法についてコーディネートを行った結果、境界が確定し、整形された土地であれば隣地所有者による取得の意向があることが判明した。そこで、境界確定及び分筆を行った後、財産管理人を立てて隣地所有者へ売却した。

推進法人を活用した所有者不明土地対策の促進

推進法人に指定されていない地縁団体等への支援

・法人化するために必要な事業計画・資金計画の作成にあたっての有識者の派遣による助言

・推進法人の指定を受けるために実施する「地域福利増進事業」の実行可能性を把握するための社会実験等

低未利用地の適切な利用・管理を促進するための特例措置

国税庁 No.3226 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3226.htm

地域福利増進事業の対象事業(購買施設等・災害対策施設)

購買施設には、例えば、地域の物産を販売する直売所、衣料品小売店、コンビニエンスストア、食品スーパーマーケット、総合スーパーマーケット、家電販売店、ドラッグストア、書店が該当。

教養文化施設には、例えば、歴史・芸術・自然科学等に関する資料・作品の展示施設、植物園、劇場、文化紹介施設、体験学習施設が該当。

購買施設・教養文化施設は、「周辺の地域において同種の施設が著しく不足している」場合又は災害発生市町村(発生後3年以内)の場合に限られる。

• 「周辺の地域において同種の施設が著しく不足している」かどうかは、例えば、徒歩で来訪することが通常想定される施設(例:コンビニエンスストア、食品スーパーマーケット)については半径500m、車で来訪することが通常想定される施設(例:総合スーパーマーケット)については半径5kmに同種の施設が存在しないことなどが目安。

• ただし、地理的条件や交通条件、既存の同種施設の営業日数・営業時間、規模等を踏まえて判断することが可能。

20年の土地等使用権の取得が可能な事業(令和4年改正)

20年の土地等使用権の取得が可能な事業は、次に掲げるもの。【法第13条第3項・政令第10条】

・次のいずれかの事業で、かつ、同種の施設がその周辺の地域において不足している場合

1 路外駐車場その他一般交通の用に供する施設の整備に関する事業

(法第2条第3項第1号の事業のうち道路法上の道路の整備を除いたもの)

2 公園、緑地、広場又は運動場の整備に関する事業(法第2条第3項第6号の事業)

・次のいずれかの事業(不足要件なし)

3 購買施設・教養文化施設の整備に関する事業(法第2条第3項第8号の事業)

4 災害対策施設(備蓄倉庫、非常用電気等供給施設、貯水槽)の整備に関する事業(法第2条第3項第9号の事業)

5 再生可能エネルギー発電設備の整備に関する事業(法第2条第3項第10号の事業)

ただし、上記に該当していても、所有者不明土地を一時的に利用する事業については10年のみ。【政令第10条】

(所有者不明土地を一時的に利用する事業の例)

・本体の工事をするに当たり工事期間中に一時的に使用するための施設(仮設施設)を整備する事業

・大規模イベント開催など一時的な需要の高まりに応じて駐車場や広場等を整備する事業

・仮設住宅の居住者のために一時的に購買施設を整備する事業

自治体が利用する場合は、改正所有者不明土地法よりも民法の新制度を使った方が所有者探索の範囲は狭まる可能性。

相続土地国庫帰属制度については、相続人は自分の相続分さえあれば、その他の相続人や共有者らからその持分をどのような方法で取得しても国庫帰属の承認申請要件を失うことはないよう。所在不明等共有者や非協力的な相続人がいるなどして共同申請が難しい場合、まずは自分に集約で問題なさそう。

PAGE TOP