受益者が外国法人である受益者等課税信託の信託財産に属する国内不動産の貸付けによる対価の支払に係る源泉徴収義務について
平成29年4月28日東京国税局審理課長
標題のことについては、下記の理由から、貴見のとおり取り扱われるとは限りません。
なお、この回答内容は東京国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではないことを申し添えます。
(理由)
(1) 本件マスターリース料に係る貴社の源泉徴収義務について
イ 受益者等課税信託に係る規定(法法121本文、所法131本文)の趣旨は、信託という制度を導管とみなし、信託財産の法律上の帰属者である受託者への課税を排し、信託財産の経済上の帰属者が信託財産を有するものとみなして、信託財産に帰せられる収益に対し課税するというものです。また、同規定は、法人税法及び所得税法において所得の帰属に関する通則として置かれており、所得税法第四編の源泉徴収に関する規定の適用上も、当然に、受益者等課税信託に係る同規定を前提とすることとなります。
したがって、本件マスターリース契約が貴社と本件信託銀行との間の契約であるとしても、貴社による本件信託銀行への本件マスターリース料の支払は、所得税法上は、貴社から本件投資家に対する支払として取り扱われることとなります。
ロ また、所得税法第212条≪源泉徴収義務≫第1項の規定は、外国法人に対し国内において同法第161条≪国内源泉所得≫第1項第4号から第11号まで又は第13号から第16号までに掲げる国内源泉所得の支払をする者は、その支払の際に、源泉徴収をしなければならないこととしており、上記イのとおり、貴社による本件信託銀行への本件マスターリース料の支払は、貴社から本件投資家に対する国内にある不動産の貸付けによる対価(国内源泉所得)の支払として取り扱われることとなるため、貴社はその支払につき源泉徴収義務を負うと解するのが相当です。
(2) 支払調書の記載について
上記(1)のとおり、貴社は、外国法人に対して、国内において、国内にある不動産の貸付けによる対価(国内源泉所得)の支払をする者であることから、所得税法第225条≪支払調書及び支払通知書≫第1項第8号に掲げる者に該当することとなります。
したがって、貴社は、税務署長に対し、「不動産の使用料等の支払調書」(所規901、別表第五(二十四))ではなく、「非居住者等に支払われる不動産の使用料等の支払調書」(所規892、別表第五(十九))を提出することとなります。なお、この場合において、同支払調書の「支払を受ける者」の欄には、本件投資家について記載するのが相当です。