令和5年4月1日改正(共有制度)民法等の一部を改正する法律」(令和3年4月28日法律第24号
共有に関する改正・新制度
施行日 令和5年4月1日
令和3年12月14日(火)定例閣議案件
民法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(決定)
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2021/kakugi-2021121401.html
法務省 「民法等一部改正法・相続土地国庫帰属法の概要」【令和4年11月28日掲載】
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html
共有物の変更・管理
改正前
(共有物の変更)
第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
(共有物の管理)
第二百五十二条 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
改正後
(共有物の変更)
第二百五十一条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
2 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。
(共有物の管理)
第二百五十二条 共有物の管理に関する事項(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。
2 裁判所は、次の各号に掲げるときは、当該各号に規定する他の共有者以外の共有者の請求により、当該他の共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる。
一 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
二 共有者が他の共有者に対し相当の期間を定めて共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべき旨を催告した場合において、当該他の共有者がその期間内に賛否を明らかにしないとき。
3 前二項の規定による決定が、共有者間の決定に基づいて共有物を使用する共有者に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
4 共有者は、前三項の規定により、共有物に、次の各号に掲げる賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(以下この項において「賃借権等」という。)であって、当該各号に定める期間を超えないものを設定することができる。
一 樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃借権等 十年
二 前号に掲げる賃借権等以外の土地の賃借権等 五年
三 建物の賃借権等 三年
四 動産の賃借権等 六箇月
5 各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。
・その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの・・・砂利道のアスファルト舗装や、建物の外壁・屋上防水等の大規模修繕工事は、基本的に共有物の形状又は効用の著しい変更を伴わないものに当たると考えられる(村松 秀樹 (著, 編集), 大谷 太 (著, 編集)『Q&A令和3年改正民法・改正不登法・相続土地国庫帰属法』きんざい、2022、P59。)
・共有物を使用している共有者がいる場合でも、管理行為は持分の過半数で決定できる(民法252条)。
・連絡はとれるけれど、関心がない・関わりたくないなど、賛否を明らかにしない共有者がいる場合、裁判所の許可を得て、その共有者以外の持分の過半数で管理行為について決定することができる(252条2項2号) 。
・短期賃貸借の設定は持分の過半数で決定可能に(252条4項)。借地借家法との関係・・・原則として適用外。一時使用目的(借地借家法25条、40条)や存続期間が3年以内の定期建物賃貸借(借地借家法38条1項)、取り壊し予定の建物の賃貸借(借地借家法39条)については、契約において更新がないことを明記し、所定の期間内に賃貸借が終了することを明確にした場合、民法の範囲内となり、持分の価格の過半数の決定で設定可能。
・所在等不明共有者(必要な調査を尽くしても氏名等や所在が不明な共有者)がいる場合
共有物の管理者制度(民法251条2項、252条2項1号、252条の2条)
共有物の管理者
・共有者の持分の価格の過半数で選任・解任。
・単独で管理することができる。
・裁判所の決定により、所在等不明共有者以外の共有者全員の同意により、共有物に変更を加える。
裁判所の決定をもらうために書くこと
共有に関する非訟事件及び土地等の管理に関する非訟事件に関する手続規則令和四年五月十三日最高裁判所規則第一三号
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2022/kyouyuukanrihisyoukisoku.pdf
・申立ての趣旨、原因、申立てを理由づける事実
・当事者の氏名又は名称、住所並びに法定代理人の氏名及び住所
・申立てに係る共有物又は民法第二百六十四条に規定する数人で所有権以外の財産権を有する場合における当該財産権(以下この条から第七条までにおいて単に「共有物」という。)の表示
・代理人がいる場合、代理人(前項第一号の法定代理人を除く。)の氏名及び住所
・共有物の共有者(申立人を除く。)の氏名又は名称、住所、法定代理人の氏名及び住所
・申立てを理由づける具体的な事実ごとの証拠
・事件の表示
・附属書類の表示
・申立て年月日
・申立書を提出する裁判所の表示
・申立人又は代理人の郵便番号及び電話番号(ファクシミリの番号を含む。)
・その他裁判所が定める事項
申立書に添付する書類
・不動産に関する権利の場合・・・不動産の登記事項証明書
共有持分の取得
(所在等不明共有者の持分の取得)
第二百六十二条の二 1項、2項略
3 所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合(共同相続人間で遺産の分割をすべき場合に限る。)において、相続開始の時から十年を経過していないときは、裁判所は、第一項の裁判をすることができない。
4項、5項略
共有持分の譲渡
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00343.html
(所在等不明共有者の持分の譲渡)
第二百六十二条の三 不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(以下この条において「所在等不明共有者」という。)以外の共有者の全員が特定の者に対してその有する持分の全部を譲渡することを停止条件として所在等不明共有者の持分を当該特定の者に譲渡する権限を付与する旨の裁判をすることができる。
2 所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合(共同相続人間で遺産の分割をすべき場合に限る。)において、相続開始の時から十年を経過していないときは、裁判所は、前項の裁判をすることができない。
20230425官報
・所有者が不明な土地・建物の管理命令の創設(民法264の2)
公告期間有
・管理できていない土地・建物の管理命令の創設(民法264の9条)
原則として、所有者の意見聴取が必要。
土地所有者の同意が必要。
20230318追記
裁判所 書式など
共有に関する事件(非訟事件手続法第三編第一章)、土地等の管理に関する事件(非訟事件手続法第三編第二章)
所在等不明共有者共有物管理・変更決定、賛否不明共有者の共有物管理決定、所在等不明共有者持分取得決定、所在等不明共有者持分譲渡権限付与決定、所有者不明土地(建物)管理命令、管理不全土地(建物)管理命令
https://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/vcmsFolder_1958/vcms_1958.html