法制審議会信託法部会 第45回会議 議事録


法制審議会信託法部会 第45回会議 議事録 第1 日 時  平成29年10月10日(火)   自 午後1時29分                          至 午後5時16分 第2 場 所  法務省第一会議室 第3 議 題 公益信託法の見直しに関する中間試案のたたき台の検討 第4 議 事 (次のとおり) 議        事 ○中田部会長 予定した時刻が参りましたので,法制審議会信託法部会の第45回会議を開会いたします。本日は御多忙の中を御出席いただきまして,誠にありがとうございます。   本日は,小幡委員,神田委員,岡田幹事,松下幹事が御欠席です。   まず,本日の会議資料の確認を事務当局からお願いします。 ○中辻幹事 本日の御審議は,前回配布の部会資料43を使用して行うことを予定しておりますが,当日配布資料として,吉谷委員から頂いた「公益信託の受託者の辞任・解任,新受託者の選任に関する意見書」を机上にお配りしております。   これらの資料がお手元にない方がいらっしゃいましたら,お申し付けください。よろしいでしょうか。 ○中田部会長 それでは,前回から引き続き,部会資料43の第12以降について御審議を頂きます。   前回申し上げました進行予定のとおり,本日は「中間試案のたたき台(1)」の審議の2回目ということで,この資料の最後,第19まで審議を進めることを予定しております。大部でございますけれども,御協力をお願いいたします。   途中,3時半頃,切りのよいところで休憩を挟むことを考えています。   それでは,本日の審議に入りますが,まずは,前回,途中で終わりました第12から第14までの審議を行いたいと思います。   事務当局からの説明は前回既にされておりますので,本日は引き続いての意見交換に入ります。御自由に御発言をお願いいたします。 ○吉谷委員 私の方でお配りさせていただいておりますのは,第13につきましての代案という形で,甲案,乙案を作りましたものでございます。前回の発言内容が明確にお伝えできなかったかもしれないと思いまして,信託協会でも協議した上で,文書の形にしてお示ししたものでございます。要旨のみお話しいたします。   辞任と解任ともに,甲案が信託協会の考え方をお示ししたもので,2ページ目の下のところに,1,2の「甲案の要点」というふうに記載しておりますとおり,受託者の辞任・解任に行政庁の認可を必要とすること,委託者の権利を原則なしとする任意規定とすることの,この2点を盛り込んだものが甲案でございます。対しまして乙案は,法務省提案をベースにいたしまして,委託者の権利は原則なしとした場合にはこのようになるのではないかということで作りましたものでございます。   この提案の理由につきましては,3ページ目の冒頭に要旨として御説明しているとおりでございますけれども,更に補足させていただきますと,要旨の更に下に書いてありますとおり,法務省提案では事実上,当事者の合意による信託の終了というのを認めていることと等しくなるのではないかと考えておりまして,この点につきましては,39回会議でも,問題となり得ることについては,ある程度ほかの方からの御意見があったのではないかと考えており,また,要旨あるいは4ページに記載のとおり,税制との整合性の問題もあると考えているところです。   委託者につきましては,4ページに記載しておるのですけれども,元々の提案ですと,第14の信託管理人のところと合わせますと,委託者が単独で人事権を握るに等しいことになってしまいまして,公益信託の在り方や税制との関係で論点となるのではないかと考えております。それで,デフォルトでは権利なしとすることがよいと考えているというところでございます。   もし,今のような委託者の権利を,デフォルトでありとする提案とされる場合には,任意規定の意味であるとか,どういう論点があるとかというところを示していただければと思っております。   あと,意見書からは離れますが,御提案の一番最後の(注)があるのですけれども,(注)の内容について,まだ御意見,御議論があったのかどうかというのが分かりませんで,3の(注)は不要なのではないかというふうにも思ったところでございますので,そういうところについても,ほかの委員,幹事の方の御意見を教えていただければと考えております。 ○中田部会長 ありがとうございました。   ただ今頂きました資料の甲案,乙案というのは,これは吉谷委員の方で新たな御提案として甲案を出しておられるというわけで,部会資料43の甲案とは別のものだということでよろしゅうございますね。   御意見の骨格としては,第13について,受託者の辞任についての同意ないし合意だけではなくて行政庁の認可が必要である,あるいは裁判所の許可だけではなくて行政庁の認可が必要であるということが一つ。もう一つは,委託者を原則として掲げるのではなくて,むしろ例外的に,追加的に含めることができるようにすべきであると。この2点が主な御意見かと伺いましたが,そういうことでよろしいでしょうか。   それから,最後におっしゃった(注)といいますのは,部会資料43の第13の3の最後にある(注),行政庁に意見を聴くという考え方についてのコメントであったということでよろしいでしょうか。   今の吉谷委員の御意見について,更に御意見,御質問を頂きたいと思いますが,その前に,深山委員からお願いいたします。 ○深山委員 それでは,第12の点について申し上げようと思ったのですが,その前に,第13の話が出ましたので,その点に関連したところから申し上げたいと思います。   今議論しているこの資料は,パブコメに付するための資料ということだと理解しておりますので,基本的にはそれなりに議論が分かれたといいますか,意見の対立のあるところについては,幅広く取上げて,国民一般,社会一般の意見を求めるという姿勢が大事だろうと思います。   そのような意味で,今,吉谷委員からの新たな提案も併せてパブコメに付すということも,そうあってしかるべきだと思いますが,そういう基本的な考え方に従いますと,最後に吉谷委員から指摘のあった第13の3の(注)の考え方,この考え方についても,弁護士会で議論をしたところでは,十分な合理性がある考え方として,(注)ではなくて,例えば本文が甲案であれば,これを乙案という形で,もう少しクローズアップした形で取り上げてもいいのではないかという議論をしました。   それに関連して,補足説明の中では,更に届出制にする考え方もあるというようなことも書かれております。これも,確かに一理あるなと思います。余りこの場で議論がなかったという意味では,全く同格ではないのかもしれませんが,それこそ(注)ぐらいには上げて,ゴチックの方にも届出制という考え方についても言及をしていただき,現在の(注)はむしろ乙案というような形で,もうワンランクアップしていただくと良いと思います。さらには,本日の吉谷委員の提案も含めると,かなり選択肢が増えてしまって,法務省としては余り議論を拡散するのは好ましくないというお考えもあるのかもしれませんけれども,やはり重要なところについては,この段階ではまだ複数案をパブコメに付するという基本姿勢を重視するべきではないかなと考えます。   以上が第13についての意見です。   一つ戻りまして,第12のところについて,全体として異論はないのですけれども,第12の1の「行政庁の権限」の(4)と,それからその後の(注)がございます。(4)のところは,正当な理由なく行政庁の命令に従わなかったときに取り消さなければならないという,必要的な取消しについての規律を提案しており,(注)のところでは,認可基準のいずれかに適合しなかったときに,任意的に取り消すことができるという考え方を御紹介していただいております。   これは,もちろん場面が違う問題であるので,対立するといいますか,考え方の違いというよりは,場面の違うものとして(注)を記載していただいていると思うのですが,そういう意味でいいますと,必要的取消事由というべきものと,任意的取消事由というものはそれぞれ分けて考えるべきです。公益法人認定法29条でも,その1項で必要的取消事由が掲げられ,その2項で任意的取消事由が規定されていることに鑑みますと,基本的には,公益社団法人,公益財団法人と同じような規律として,必要的取消事由と任意的取消事由を分けて,なおかつ併記をし,それぞれ規定をするということでよろしいのではないかと考えておりますので,そこは御検討いただければと思います。 ○中田部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○道垣内委員 吉谷委員に,いや吉谷委員ではなくても,深山委員でも他の方でもよいのですけれども,少し伺いたいことがあります。第13で議論があったときに,行政庁の許可にするのか,裁判所の許可にするのかという議論が最初にありましたね。それで,第13に関しては,別に公益認定とかの問題ではなくて,私法上の法律関係というか,そこから離脱をするときに,やむを得ない事由があるいは正当な理由があるかどうかというのを判断するのは裁判所なのではないかという話になり,裁判所とされたわけですね。   さて,このたび,行政庁の認可というのをそこに加えるべきであるという提案がされるとき,行政庁の認可の基準は何なのか,行政庁はそこで何を判断するという前提で,このような提案があるのか,そこをはっきりさせないと,二重に許可が必要なのかという疑問が出てくると思うのです。あるいは,行政庁の認可だけでいいのではないかという話も出るかもしれませんけれども,仮に二重であるならば,また,当事者の合意による離脱のときには,当事者の合意というのは何を行っていて,それに対して,行政庁というのはどのような観点から認可あるいは不認可とするのかという問題があるような気がするのですが,その点についてはどういうつくりとしてお考えなのでしょうか。 ○吉谷委員 私の方でお示しした提案では,行政庁の場合も,やむを得ない事由,正当な理由というような形で書いておるのですけれども,それは今の御指摘からすると,やや手抜きで,コピペをしただけなのかもしれません。ですので,もう少し正確に申し上げますと,行政庁の判断基準は,やはり公益の認可の判断基準によるということになると思います。それは,受託者については,能力要件というものもあると思いますし,実際にこの受託者ではその他の認可基準を満たすことができないというような場合というのも考えられると思っております。 ○道垣内委員 例えばある受託者が,こういう事由があるので辞任したいと言っているときに行政庁により判断されるのは,新受託者候補者の適格性であるというお考えですか。生身の人間が受託者になるというのは余りないかもしれませんけれども,教科書的には,やむを得ない事由の例として,病気によって受託者の任務が遂行できなくなったといった例が書いてあったりするわけですよね。そうすると,病気によってできないと言っている人に対して,何かもう少しやれと言われるのは,かわいそうな感じがするのですけれども,新受託者の適格性について判断をして,新受託者についてきちんと候補を出していかないと駄目ですよというのならばわからないではないような気もします。そういったつくりにするというお考えなのだろうかということをお伺いしたいのです。 ○吉谷委員 資料の方では,甲案の注書きとして,①,②,③というのをお示しさせていただいておりまして,そこに③で「新たな受託者の選任に関する意見を記載した書類」というのを付けているところです。これは,現行の公益認定の基準のところをそのまま引き写したような形で持ってきておるのですけれども,ただ,辞任の場合に,必ずしも新たな候補がもう大体決まっているというようなことまで求めているわけではありませんで,辞任しなければいけない理由として,①の理由だけでも辞任を認めるべき場合というのはあるのではないかと考えております。   ただ,辞任の場合には,後任の受託者が任命されるまでは,引き続き信託事務処理はするという前提になっていると思いますが,多分,辞任が認められたら,受託者の不存在で1年間たてば,そこで終了になってしまうと思いますので,新たな受託者のめどが立っていなくても辞任すべきであるというような場合ということになるのではないかと考えております。 ○沖野幹事 今の吉谷委員の御提案についてなのですけれども,行政庁として認可をするというのは,この受託者でやっていけるのかということが一番主眼になるということで,新受託者の選任の方にはそれが関わってくることになりますので,辞任や解任によって別の受託者が立つ場合は,これでいいのかというチェックはそちらで掛けるようになっているのが今回の40ページの3であると考えております。   そうしたときに,辞任や解任というのは,基本的には信託法の規律に則しており,ただ,公益信託への特殊性がどこまであるのかということで規律が立っているのだと思うのですけれども,そうした場合に,取り分け,問題として指摘されているところで気になりますのは,終了の合意の潜脱にならないかという点でございまして,辞任によって新しい受託者が選任されて,信託を続けていくという場合については,そこはチェックが掛かるのですけれども,同意によって辞任して,そのまま1年たつと終了してしまうということがあります。しかも,辞任の場合ですと,今,吉谷委員がおっしゃいましたように,同意による辞任の場合には,元々の受託者がそのまま権利義務を継続するということになっていて,保管ですとか引継ぎに限られるということでもないですので,ずっと受託者をやっていて,あるときぱっと終わるということになるのが,合意による終了のところには行政庁のチェックを受けるということになっている50ページの第16の2の規律との関係で,問題がなくはないかという点は,確かに御懸念が当てはまるのではないかと思います。そのときに,およそ一般的に辞任・解任について,行政庁の認可を掛けるという考え方により,幅広く網を掛けるような形がよろしいのかどうかというのは,なお気になるところでして,考え方を問うとしても,せいぜい注記ではないかと思います。   もう一つは,そこが取り分け問題であるならば,合意による終了のところで,今の同意を得て辞任して1年たって,ずっと継続はしているのだけれども,新しい受託者も選任できませんでしたということで終わるという場合についても,行政庁のチェックを掛けるということは考えられるのではないかと思っております。 ○中田部会長 ほかにいかがでしょうか。ただ今の吉谷委員の御提案に限らず,原資料の第12から第14のいずれでも結構でございます。 ○平川委員 第12につきましては前回申し上げたとおりで,第13の点につきまして,吉谷委員の行政庁の認可というお話がございましたけれども,私の意見といたしましては,私的自治の尊重の観点から,当事者の同意を得て辞任することができるということに,むしろ賛成いたします。   この場合,当事者には委託者,信託管理人のほか,また申し上げますと,運営委員会が含まれるべきであると考えておりますが,このことは第13の2及び3の場合も同様の趣旨でございます。   更に申しますと,運営委員会必置論というのは大勢の意見とはならず,パブコメ案では,ないという前提で構成されると考えるとすれば,ここで是非確認していただきたいことは,運営委員会的機関が個別の信託行為で設置し得るということ。その場合,その権限内容等についても,強行法規として,受託者,信託管理人,委託者に付与された権限を奪うことにならない範囲内で,受託者の辞任・解任,新選任に係る合意について権限を有するよう自由に設計できることを,ここで確認していただきたいと思います。    例えば,受託者の解任について,委託者及び信託管理人の合意に加えて,運営委員も合意当事者として,これら3者の合意が得られなければ裁判所の権限とするというようなこと。また,この確認は,次の第14についても同じとするほか,当事者の合意による委任終了の場合も同様と考えます。   受託者の辞任の話に戻しますと,当事者の同意が得られなかった場合に,第三者機関の許可を得て辞任することができるとしますが,第三者機関としては裁判所がふさわしく,その場合,辞任には正当な理由があれば足り,やむを得ない事由を必要としないというふうにするのがよいと思います。   第13の2につきましては,委託者及び信託管理人の合意による解任については,一般的には後任の受託者を予定している場合も考えられることから,広く正当な事由があるときで足りると考えます。合意がない場合の解任については,当事者に争いがあることが予想されることから,重要な事由を必要とする法務省案に賛成いたします。   委託者については,出捐以後は受益者のある民事信託と比べ,極力その権限を縮小すべきであることから,信託行為において,受託者の解任の申立権を有しない旨を定めることができることに賛成します。ただし,委託者の権限縮小の観点から,そもそもその権限を持たないとする考えも検討していただきたいと思います。   第13の3につきまして,新受託者の選任について,信託行為に定めがある場合並びにない場合のいずれの選任についても,法務省案に賛成します。   新受託者が行政庁による選任の認可を受ける必要があるかどうかについては,公益法人制度において,役員等の変更の場合と同様,行政庁への届出,必要により事前届出ということになると思いますが,行政庁への届出で足り,形式要件を備えているかどうかについて,届出受付けの際,チェックすることで足りると考えます。   新受託者が非適格であることが後に判明すれば,それは公益認可の取消しの問題として処理するということになると思います。   また,裁判所が新受託者を選任した場合においても届出で足り,新受託者が行政庁の選任の認可を受けたりする必要はなく,不適格の場合は認可後の取消しの問題として処理すれば十分であると考えます。   また,裁判所が選任する前に行政庁の意見を聴くということは,実務的にもなかなか難しいのではないかと考えますので,不適格の選任であれば,行政庁の上記対応,すなわち不適格の場合は,認可後の取消しの問題として処理すればよいと考えます。 ○棚橋幹事 第13の3について2点申し上げます。まず,先ほど深山委員からお話のあった第13の3の(2)の下の(注)を本文に移動させる点についてです。以前の部会でも変更命令の部分で少し述べましたが,裁判所が事前に意見を聴取するということにした場合に,先ほど道垣内委員も近いことをおっしゃったのかもしれないのですが,行政庁が意見を述べる対象は認可基準の充足性の点であり,裁判所が判断するのは必要性の点であるため,判断事項は別々になると思います。注を本文に移動させるには,それぞれが別々の事項を判断するにもかかわらず裁判所から行政庁に一つの手続内で求意見をする必要があるのか,行政庁の判断部分に不服がある場合にはどうするのかなどの疑問をクリアする必要があるのではないかというのが1点目です。   2点目は,質問なのですが,まず少し前置きのようなことを申し上げると,今回,第13の3の(2)で,合意がないときは,裁判所が私法的な合意に代わって新受託者を選任するという案を御提案されています。当初から述べていたことの繰り返しになりますが,元々公益信託は,目的が公益であるという点や,単なる契約ではなく公益法人にも類似する機能を有する点で,私益信託とはかなり異なるものかと思っており,裁判所が私益の調整という観点から,どこまで監督ができるのかという点は疑問があります。特に新受託者の選任については,一時評議員を選任するというような保全的な場面とは違い,常任の機関である新受託者を選任することになりますので,裁判所が私益の調整という観点から,合意に係る協議の状況その他の事情に照らして必要があると認めた場合には,常任の受託者を選任するということが,公益信託の目的や,公益信託の運営に支障を生じさせないのかについて,懸念がないわけではないと考えております。以上が前置きで,1点質問がございまして,以前,変更命令に関して申し上げたことですが,裁判所が新受託者を選任するという案を採った場合に,新受託者を選任した後,今回の提案では行政庁による認可を受けることになりますので,新受託者選任から認可までの間の行為の効力はどのようになるのか,また,認可を受けられなかったときには効力はどのようになるのかという点は,どこかの段階で教えていただければと思っております。 ○中田部会長 2点とおっしゃいましたのは,私が聞き漏らしたのだと思いますけれども,裁判所が新受託者を選任する際に,選任から認可までの間の法律関係がどうかということと,それから--それが1点目ですか。 ○棚橋幹事 申し上げたかった2点のうちの1点目は,最初に申し上げた行政庁の意見を聴くという案に関して,疑問をクリアする必要があるのではないかという点で,2点目が,効力がどうなるのかという点でございます。 ○中田部会長 どうもありがとうございました。   それでは,今,棚橋幹事からの御質問がございましたし,それまで他の委員,幹事からの御意見も出ておりますので,この辺りで幾つかコメントをお願いしたいと思います。 ○中辻幹事 では,棚橋幹事の御質問からお答えします。   棚橋幹事がおっしゃられたように,この御質問は以前にも頂いておりまして,裁判所による受託者の新選任から行政庁の認可までのタイムラグの間に受託者が行った行為の法的効力については,引き続き整理したいと思いますけれども,第13の3(2)のゴチックでは「新受託者になろうとする者」という表現を使っており,新受託者になろうとする者は,裁判所の決定があり,かつ,行政庁による新選任の認可を受けて初めて新受託者になると考えております。もっとも,裁判所の決定があった時点で新受託者が選任されるのだけれども,新受託者としての事務処理を始める前に行政庁の認可を受けなければならないという考え方もあろうかと思います。   いずれにせよ,行政庁から新選任の認可を受けるまでに公益信託の受託者が行った行為については,無効ないし取消しの対象となると現時点では考えているところでございます。   次に,平川委員から御確認の要望がありました運営委員会ですけれども,運営委員会を個別の信託行為で設置することはできますし,その権限については強行法規に反しない限度で当事者が自由に決められるということでございます。   それから,吉谷委員から頂いた新たな御提案について,道垣内委員,沖野幹事から関連の御指摘がございました。事務局としては,新受託者の選任の場面では,新たな公益信託の認可基準となる受託者の資格を満たしているか否かを行政庁に御判断頂く必要があるのですが,受託者の辞任・解任の場面では,対象となる受託者の辞任・解任に理由があるか否かまで行政庁が判断するというのは,主務官庁制を廃止して信託内部のガバナンスを充実し,新たに認可・監督を行う行政庁には公益性を確保するために必要な範囲内の権限を付与するという立て付けからすると,受託者の辞任・解任に行政庁の認可を必要とするのでは主務官庁制への先祖返りのような印象を持たれるおそれがあるようにも感じます。   確かに,吉谷委員の意見書のとおり,また,沖野幹事からも御指摘ありましたように当事者による受託者の辞任・解任がされただけの状態が1年間続くと公益信託の終了事由になってしまうという懸念はあると思います。ただし,その解決方法として,例えば沖野幹事の御提案のように受託者不在期間の1年超過を理由に公益信託の終了をする場合には行政庁のチェックをかけるという方法もあるかもしれませんし,1年間の間に利害関係人が新受託者の選任を裁判所に対する申し立てることにより対処できるのではないかとも感じました。 ○道垣内委員 先ほどの吉谷委員の案に対する中辻幹事の御回答なのですが,理論的にはそのとおりだろうと思います。ただ,ある人が辞めるといったときに,それがやむを得ないか,あるいは正当な事由があるかというふうなことについて,次の人がいるかどうかというのは結構重要な考慮要素になるのだろうと思うのです。もちろん,それはやむを得ない事由の判断についてであって,合意による辞任において,次の人の適格性を判断の中に位置付けるというのはなかなか難しいのかもしれないのですが,合意のある種の正当性,つまり,沖野幹事もおっしゃったような,脱法行為として,合意によって終了させようとしているのではない,ということを判断するためには,新受託者の候補がいるかどうか,また,その人は行政庁によって認められ得るのかということが考慮要素になることはあり得るような気がします。   それをどういうふうに法文として作るのかというのはなかなか難しいのかもしれませんけれども,そういう論点があるということは,何らかの形で認識をするということはあり得るのかなと思います。 ○長谷川幹事 議論の当初から申し上げておりますとおり,税制上の優遇が確保できるかどうかというのは極めて重要だと思っております。今回の吉谷委員の御提案の中で,税の優遇の観点からもということで書かれておりますとおり,行政庁が関与した方が,あるいは私的自治の範囲を一定程度制限した方が,公益性が維持され,税制上の優遇が確保しやすいということであれば,深山委員もおっしゃられたように,今回,広く国民の意見を聴くということでございますので,どちらを甲案,どちらを乙案とするかは別にいたしまして,中間試案には載せておいていただければと思っております。   その上で,先ほど道垣内委員,あるいは沖野幹事,あるいは事務局から御指摘がございました問題点も,補足説明の中で,国民に分かりやすい形で提示していただくということでいかがでしょうか。以上,意見でございます。 ○中田部会長 ありがとうございました。   ほかにいかがでしょうか。 ○林幹事 今の論点と離れますが,第13の1と2では,やむを得ない事由と正当な理由とにブラケットが付いていますが,パブコメのときはどういう形で聞かれるのか質問させてください。このままでパブコメに付すのか,本日なりの法制審の議論で絞るのか。弁護士会ではいろいろ議論もありましたけれども,少なくとも広く国民の意見を聴くという意味では,両案あることを聞かれるのもパブコメとしてはいいと思ったので,質問させてください。 ○中田部会長 いかがでしょうか。 ○中辻幹事 この部会での皆様の御意見の分布を踏まえてと考えております。すなわち,今回あるいは次回までに,やむを得ない事由の方が正当な理由よりも良いという御意見が多数であれば,やむを得ない事由にゴチックの提案を一本化してパブコメで意見を聴きますし,やむを得ない事由を支持する意見と正当な理由を支持する意見が拮抗するような状況なのであれば,現在のブラケットを付した形のままパブコメで意見を聴くということでございます。 ○林幹事 その趣旨であれば,弁護士会の議論を踏まえた意見を簡単に申し上げます。辞任については,両案あるというものの,正当な理由の意見が多かったところです。特に,先ほどもあったのですが,後任の候補がある場合については,辞任も若干緩やかに認めてもいいのではないかと考えられ,やむを得ない事由と正当な理由を比べたとき,正当な理由の方がベターだという意見の方が多かったところです。   それに対して,解任については,受託者の意に反して解任するというところもあって,要件を厳しくした方がよいとの考えから,正当な理由より,受託者がその任務に違反して信託財産に著しい損害を与えたことその他重要な事由とした方がよいという意見が多かったところです。 ○道垣内委員 私の立場をはっきりさせるためにだけ申し上げるのですが,私は先ほど,後任の人がどういう人かというのが正当事由の判断において組み入れられることは十分にあり得るのではないかと申しましたが,かといって,吉谷委員ご提出の甲案,乙案を出すというのは,私は必ずしも賛成できません。中辻幹事がおっしゃったような,理屈上の問題点が余りに大きいという気がいたします。   したがって,そのような考慮要素をどう位置付けるのかというのが問題となるということを(注)に書くということは十分にあり得るのですけれども,裁判所の話と行政庁の話が並行して存在しているという形の案というのは,理屈上は成り立ち得ないのではないかなという気がします。 ○中田部会長 第12から第14まで,ほかにいかがでしょうか。   本日,吉谷委員から新たな御提案を頂きまして,幅広くパブリックコメントでは意見を聴取した方がいいという御指摘を複数の委員,幹事から頂きました。他方で,余りにも拡散しますと,かえってまた意見の集約が難しくなるかもしれませんので,本日の部会資料第43を基本といたしまして,そこに吉谷委員の御提案をどういう形で反映することができるのか,本日の皆様の御意見に基づいて,事務局の方で練っていただこうかと思っておりますが,そういう取扱いでよろしいでしょうか。   それでは,そのようにさせていただきます。   ほかにもしございませんようでしたら,先に進みたいと思います。 ○吉谷委員 第14について,まだ意見を述べておりませんでしたので,一言だけ述べさせていただきます。   元々第13で甲案というのを出しているというところはあるのですけれども,甲案のような立場に立った場合でも,受託者と信託管理人の位置付けが異なるのではないかというような意見があるということを,(注)なのか,解説なのか,どこかに入れていただければと思います。   そのような考え方が,信託管理人の1年の不存在を信託終了事由とするべきではないというような考え方にもつながっていると考えております。公益信託を安易に終了できるようにすべきではないという考え方でございます。   あと,御提案につきまして,信託管理人の解任につきましては,委託者以外の者ができるような制度になっておりませんと,委託者の不存在であるとか,委託者のところを起点にしてしまうとかというようなことによって,事実上解任できなくなってしまうというような場合があると思います。ですので,受託者のような関係者も,一定の場合には信託管理人を解任できるようにはするべきだと考えておりまして,今回の御提案は,恐らくそのようなことも踏まえた上で,「同様の規律とするものとする。」というような書き方にされていると思うのですけれども,その同様というところが,合意であるとか,行政庁,裁判所の関わり方については同様という趣旨ではないかと理解をしているのですけれども,そのような解釈でよろしいのかということと。そうであれば,御説明のところでは何か,中間試案を出す場合には補足説明していただければなと思っていますというところです。 ○中田部会長 今の点いかがでしょうか。 ○中辻幹事 吉谷委員の御理解のとおり,公益信託の信託管理人の解任の規律を受託者と同様の規律とするという書き方は,信託管理人の解任と受託者の解任を全く同じ規律とするのではなく,多少違いを持たせるということの含みを持たせた表現ということでございます。   特に,信託管理人の解任については,以前の部会資料39などでも提示させていただいたとおり,公益信託の受託者に裁判所に対する信託管理人の解任申立権を与えるか否かという論点がございます。事務局としては,公益信託の適正な監督のために不適切な信託管理人を交代させなくてはならないけれども委託者も他の信託管理人も存在しないという局面が想定できないわけではないことからすると,公益信託の受託者には信託管理人の解任申立権を付与することが良いのではないかと考えております。ただし,分かりやすい例えを使えば,監督される側の受託者が監督する側の信託管理人の解任申立権を持つのはおかしいという考え方もございますので,その点も含め引き続き詰めて検討していきたいと思います。 ○中田部会長 ほかに,第14についてございますでしょうか,よろしいでしょうか。   それでは,先に進むことにいたします。   続きまして,第15から第17までについて御審議いただきます。   事務当局から説明してもらいます。 ○舘野関係官 それでは,御説明申し上げます。   今回も,本文を中間試案として掲げるに当たって,検討を要する事項を中心に御説明させていただきます。   まず,「第15 公益信託の変更,併合及び分割」について御説明いたします。   第15の「1 公益信託事務の処理の方法に係る信託行為の定めの変更」の本文は,(1)として,「ア,公益信託事務の処理の方法に係る信託行為の定めの変更は,委託者,受託者及び信託管理人の合意等がある場合には,行政庁による変更の認可を受けることによってすることができるものとする。」   「イ,裁判所は,信託行為の当時予見することのできなかった特別の事情により,公益信託事務の処理の方法に係る信託行為の定めが信託の目的及び信託財産の状況その他の事情に照らして公益信託の目的の達成に支障になるに至ったときは,委託者,受託者又は信託管理人の申立てにより,信託の変更を命ずることができるものとする。   委託者については,信託行為について変更命令の申立権を有しない旨を定めることができるものとする。」   「ウ,受託者は,イの変更命令の後,行政庁による変更の認可を受けるものとする。」   (2)として,「(1)アの例外として,信託行為の定めの軽微な変更をするときは,受託者は,その旨を行政庁に届け出るとともに,当該変更について受託者及び信託管理人の同意を得ていない場合には,遅滞なく,委託者及び信託管理人に対し,変更後の信託行為の定めの内容を通知しなければならないものとする」との提案をするものです。   第15の「2 公益信託事務の処理の方法以外の信託行為の定めの変更」の本文は,(1)として,「現行公益信託法第6条を廃止又は改正し,公益信託事務の処理の方法以外の信託行為の定めの変更は,委託者,受託者及び信託管理人の合意がある場合には,行政庁による変更の認可を受けることによってすることができるものとする。」   (2)として,「現行公益信託法第9条を改正し,公益信託の目的の達成又は不達成の場合において,残余財産が存在するが帰属権利者が定まらないときは,受託者及び信託管理人(委託者が現に存する場合にあっては,委託者,受託者及び信託管理人)の合意がある場合には,公益信託の目的を類似の目的に変更し,行政庁による変更の認可を受けることによって公益信託を継続できるものとする」との提案をするものです。   第15の「3 公益信託の併合・分割」の本文は,「現行公益信託法第6条を廃止又は改正し,公益信託の併合・分割は,委託者,受託者及び信託管理人の合意等がある場合には,行政庁による併合・分割の認可を受けることによってすることができるものとする」との提案をするものです。   第15の1の本文について,部会資料42の第1の1(2)アの提案に対しては,第43回会議において賛成の意見が多数ありましたが,委託者,受託者及び信託管理人の変更,合意等について行政庁が認可するという構造の方がいい旨の意見もあったことから,それらを踏まえ,部会資料42の第1の1(2)アの提案の実質は維持した上で,変更の主体は信託の当事者であり,行政庁の関与は補充的なものであることを明らかにする旨の表現の修正をしております。   また,公益信託の場合,公益信託の目的と公益信託事務がほぼ同一とされている契約書も多く見受けられ,公益信託事務の処理の方法に係る信託行為の定めの変更であっても,それが公益信託の目的の変更に相当する場合はあり得ることからすると,公益信託事務の処理の方法に係る信託行為の定めの変更は,変更後の信託行為の定めが公益信託の成立の認可基準を充足することが行政庁の関与により担保されなければ許容されるべきではないと考えられます。   そして,部会資料42の第1のように「公益信託の目的以外の信託行為の定めの変更」と表現する場合には,公益信託事務の変更がこれに含まれるか否か不明確になることから,第15の1(1)アの本文の提案では,その表現を「公益信託事務の処理の方法にかかる信託行為の定めの変更」に修正しております。   次に,第15の2の本文について,部会資料42の第1の2の提案に対して,第43回会議では,これに賛成する意見が多かったことから,その実質を維持しております。   また,部会資料の42の第1の2(3)の「行政庁が当該信託を継続させることができる」という表現について,行政庁の役割との関係で検討すべきである旨の意見があったことを踏まえ,第15の2(2)本文の提案については,「公益信託事務の処理の方法以外の信託行為の定めの変更」の場面であることを明示した上で,第15の1(1)本文と同様の表現の修正をしております。   なお,公益信託事務の処理の方法以外の信託行為の定めの変更の具体例としては,公益信託の目的の変更や,公益信託事務の範囲の変更が挙げられます。   第15の3の本文の提案については,部会資料42の第2の2(1)の提案から実質的な変更はありません。   その上で,裁判所が公益信託の併合・分割を命ずることができる旨の規律を設けるものとするとしていた部会資料42の第2の(2)の提案は,第15の3本文の(注)として示しております。   この点,部会資料42の第2の2(2)の提案に対して,第43回会議ではこれに賛成する意見がありましたが,裁判所が併合・分割命令を行うことについては慎重に検討すべき旨の意見もありました。   信託の併合・分割は,いわゆる会社の組織変更に類似するものであると言え,委託者等の信託の関係人に対し信託目的の変更よりも重大な影響をもたらす可能性があり,裁判所が信託の併合・分割を命令できるということになると,当該信託の関係人の意思に反して組織変更を命令することになり,私的自治への介入の程度が大きいと考えられます。そして,裁判所の命令による信託の併合・分割については,信託法上複数の解釈が存在することからしても,新公益信託法に明文の規定を設けるべきではなく,この点は新公益信託法の解釈に委ねることが相当であると考えられます。   したがって,部会資料42の第2の(2)の提案は,本文の提案とせず,本文3の(注)に記載するにとどめることにいたしました。この点については,御意見等がございましたらお願いできればと存じます。   また,裁判所による変更命令に行政庁が関与する仕組みについては,第43回会議において,変更命令の後に行政庁の変更の認可を必要とすることは,屋上屋を重ねるものである旨の意見等もありましたが,裁判所による変更命令は,委託者,受託者及び信託管理人の合意等が整わない場合に,当該合意等の代替として活用されるものであり,認可基準充足性の判断を予定しているものではないため,変更後の信託行為の定めの認可基準充足性について,行政庁の関与により担保することが相当であると考えられます。   したがって,第15の本文1(1)ウの提案をしておりますが,この点についても御意見等を頂ければと存じます。   次に,「第16 公益信託の終了」について御説明いたします。   第16の「1 公益信託の存続期間」の本文は,「公益信託の存続期間については,制限を設けないものとする」との提案をするものです。   第16の「2 委託者,受託者及び信託管理人の合意による終了」の本文は,「公益信託の終了は,委託者,受託者及び信託管理人の合意がある場合には,行政庁による公益信託の終了の認可又は成立の認可の取消しを受けることによってすることができるものとする」との提案をするものです。   第16の「3 公益信託の終了命令」の本文は,「信託行為の当時予見することのできなかった特別の事情により,公益信託を終了することが信託の目的及び信託財産の状況その他の事情に照らして相当になるに至ったことが明らかであるときは,裁判所は,委託者,受託者又は信託管理人の申立てにより,信託の終了を命ずることができるものとする。委託者については,信託行為において公益信託の終了命令の申立権を有しない旨を定めることができるものとする」との提案をするものです。   第16の「4 公益信託の成立の認可の取消しによる終了」の本文は,「公益信託の成立の認可を取り消された公益信託は,終了するものとする」との提案をするものです。   第16の1の本文の提案については,部会資料37の第1の2の提案からの変更はありません。   第16の2の本文の提案については,部会資料40の第1の1の提案に対する第40回会議での御意見や御指摘を踏まえ,「原則として,信託関係人の合意等による終了を禁止するが,例外として,公益信託の委託者,受託者及び信託管理人の合意がある場合に,公益信託を終了することについてやむを得ない事由があるときは,行政庁の許可を受けて公益信託を終了することができるものとする」との提案をしていた部会資料40の第1の1の乙案を修正し,公益信託の委託者,受託者及び信託管理人の合意による信託の終了はできるが,その場合には受託者が行政庁による公益信託の終了の認可を受けることを必要とする考え方を示しています。   また,公益法人認定法第29条第1項第4号では,公益法人の認定の必要的取消事由として,公益法人から公益認定の取消申請があったときが規定されていることなどを参考として,受託者が公益信託の成立の認可の取消しを受けることを必要とする考え方もあることから,上記二つの考え方を角括弧内に並列して表現しております。   第16の2の提案に関しては,委託者が現に存しない場合における受託者及び信託管理人の合意による公益信託の終了の可否及び行政庁による残余財産の分配の適正性担保の方法について検討する必要があると思われることから,それらの点についても御意見等を頂ければと存じます。   第16の3の本文の提案については,第40回会議での御意見等を踏まえ,終了命令の主体は裁判所とすることが相当であると考えられることから,その旨の提案をしております。   また,委託者がその意思により公益信託を支配することは許されるべきではありませんが,その終了時に委託者及びその関係者に信託財産が帰属することが禁止されている前提であれば,終了命令の申立権者に委託者が原則として入っていることが不適切であるとは言い難いと考えられるため,第16の3の本文の提案では,部会資料40の第1の2(2)ただし書の提案を維持しております。   第16の4の本文の提案については,第42回会議での御意見等を踏まえ,公益信託の成立の認可の取消しによって一律に信託が終了するものとする部会資料41の第2の甲案は,制度の簡明さの点で優れていること,公益法人と異なり,公益信託の成立の認可の取消しによって,公益信託の成立の認可を失った受益者の定めのない信託に信託財産を帰属させることに格別の意味を見いだすことはできないこと,公益信託の成立の認可が取り消されるような場合には,委託者及び受託者の通常の意思は,その時点で信託を終了させることになるものと考えられることから,第16の4の本文の提案では,部会資料41の第2の甲案と同一の提案をしております。   次に,「第17 公益信託の終了時の残余財産の処理」について御説明いたします。   第17の「1 残余財産の帰属権利者の指定」の本文は,まず「(1)公益信託の信託行為には,残余財産の帰属すべき者(以下「帰属権利者」という。)の指定に関する定めを置かなければならないものとする」との提案をした上で,(2),(1)の定めの内容は,甲案として,「信託終了時の全ての残余財産が,国若しくは地方公共団体に帰属し,又は当該公益信託と類似の目的を有する他の公益信託に寄附することを定めたものでなければならないものとする。」   乙案として,「信託終了時の全ての残余財産を当該公益信託と類似の目的を有する他の公益信託若しくは類似の目的を有する公益法人等(公益法人認定法第5条第17号イないしトに掲げる法人を含む。)又は国若しくは地方公共団体に帰属させることを定めたものでなければならないものとする」との提案をするものです。   第17の「2 最終的な残余財産の帰属」の本文は,帰属権利者の指定に関する信託行為の定めに掲げられた者の全てがその権利を放棄した場合の残余財産は,甲案として,「清算受託者に帰属するものとする」。乙案として,「国庫に帰属するものとする」との提案をするものです。   第17の1(1)の本文の提案については,部会資料40の第1の3(1)の提案から変更はありません。   第17の1(2)の本文の提案のうち,甲案は,現行の税法及び現在の公益信託の契約書に記載されている条項等を参考として,今回,新たに提案するものです。   他方,乙案は,公益法人認定法第5条第17号を参考にした部会資料40の第1の3(2)の甲案の表現を修正して提案するものです。   乙案の(注)は,部会資料40の第1の3(2)の乙案の表現を修正しているものです。   第17の2の本文の提案については,部会資料40の第1の3(3)の甲案及び乙案から変更点はありません。   第17の1(2)の本文の提案については,第40回会議の御意見,御指摘等を踏まえると,残余財産を私人に帰属させることを許容した場合には,現行の税法の規定からかなり離れたものとなり,公益信託が税制優遇を受けることが非常に難しくなること。また,信託設定当初の信託財産と追加された信託財産とを厳格に区別する運用を確保した上で,公益信託の終了時に公益法人と同様の非常に複雑な計算処理を行う必要があり,さらに,公益信託のガバナンス体制もより規制が強められることも想定されることから,このような公益信託が篤志家による公益実現の手段として選択されるかには疑問が残ります。むしろ,公益信託としての適切な帰属先が定められ,その信頼性が確保されることの効果を重視すべきであると考えられることから,残余財産を私人に帰属させることを許容するとの考え方は,第17の1(2)の本文の(注)に示すにとどめております。   これらの点について,御意見を頂ければと存じます。   また,第17の2の本文の提案については,第40回会議で帰属先が定まらない残余財産については,国に帰属するものとする案を支持する意見が多かったことに加え,現行税法が残余財産の帰属先を国又は地方公共団体等に限定している趣旨に鑑みると,負担を伴う残余財産の帰属についてはなお検討を要しますが,基本的には第17の2の乙案を採用することが相当であると考えられます。   なお,地方公共団体を最終的な残余財産の帰属先とすることは,信託法及び民法第239条第2項との整合性の観点からすると,現時点においてそれを提案することは相当でないと考えられます。   これらの点についても,御意見を頂ければと存じます。 ○中田部会長 それでは,第15から第17まで,併せて御意見を頂きたいと思います。 ○能見委員 第15の2(1)と(2)の関係,さらには,これらと第17の帰属権利者の問題との関係が,少し私にはよく分からない部分があります。少なくともパブリックコメントを求める際に,もう少し説明が必要なのではないかというのが第1点であります。あわせて,私が十分理解できなかったことから来る私の疑問についてもお答えいただければと思います。  そこで私の疑問の第1は,信託終了事由発生前の変更と信託終了事由発生後の変更との関係についてです。第15の2(1)の公益信託事務の処理方法以外の信託行為の定めの変更ということで,公益信託事務の処理の方法に係るような目的の変更は,第15の1(1)によることになり,それに係らない目的の変更は第15の2(1)に含まれるという前提で理解しておりますが,あるいは,信託目的の変更は全て第15の1なのかもしれませんが,この点は私の質問にとってはどちらでもよいので,要は,第15の1や第15の2の(1)は信託終了事由発生前の変更を考えていると思いますが,それと(2)の関係についてです。第15の2の(1)は,一般的に公益信託の事務処理に係らない目的変更もこういう行政庁の認可を受ければできるということが書いてあるというふうに理解できますが,(2)は,信託終了事由が発生した後は,(1)で処理するのではなく,(2)によって処理する。公益信託の場合に,国や自治体以外の者が帰属権利者として定められているのかわかりませんが,また,その場合に帰属権利者にどの程度権利性があるのか分かりませんけれども,帰属権利者の定めがあるが,その定めでは具体的な帰属権利者が定まらないときに,(2)で公益信託の目的を類似の目的に変更して,行政庁の認可を受けて目的の変更された公益信託として継続できるという処理ができる。(2)も信託の変更なのですが,信託終了事由発生前には使えないが,信託終了事由が発生した後は,(2)が使える。そういう振り分けになっているというふうに理解したのですが,そういう理解でよろしいのでしょうかというのが第1であります。   その上で,今の第15の2の(2)の意味なのですが,ここでは帰属権利者が定まらないときは当該公益信託の目的を類似の目的に変更できるということが書いてあるわけですが,信託終了事由発生前は,第15の1(1)なのか第15の2(1)なのかはともかく,委託者,受託者,信託管理人の合意があり,行政庁の認可があれば,ある意味ではどのようにでもできるというのと比較すると,第15の2の(2)はかなり制約されているというふうに思いました。   (2)はシプレー原則の考え方を具体化しているのだと思いますが,現在の公益信託法の9条ですと,帰属権利者の定めない場合についてのシプレー原則であり,それと(2)は余り中身としては違わないのだと思いますが,ただ,第17で必ず帰属権利者に関する定めを置かなければならないとなっていますので,それとの関係でいえば,今の第15の2の(2)というのは,帰属権利者の定めはあるが,帰属権利者が定まらない場合に適用される規律ということになりますが,具体的にどういう場合に(2)が使われるのかわかりにくいと思いました。   そこで,第17の方に話が飛ぶのですが,第17の方で帰属権利者に関する定めを置くというときに,これは,以前に議論したかもしれませんので繰り返しになるかもしれませんが, 例えば,特定の団体に帰属させるとか,国に帰属させるとか,そういうふうに,具体的に決めなくてはいけないのか,もう少し抽象的に,国又は地方団体,又は同種の目的の公益信託ないし公益法人に帰属させるというような,抽象的な定めでもいいのかという質問が一つまずあります。   ここで抽象的な定めでよいとすると,終了事由が発生した後,いざ帰属権利者を具体的に決めようと思ったときに,受託者がいろいろ考えて,どうもどれもしっくりこないので,結局選べないという状態が生じるのかどうか問題ですけれども,それもありうるとすると,第15の2の(2)のところに戻ってきて,帰属権利者が定まらないという場面が一つ考えられると思います。受託者からすると,一定の範囲の中から帰属権利者を選ぶという定めがあるが,受託者の考えではどうも適当な者がいないということで帰属権利者が定まらないということになり,当該公益信託の目的を類似目的に変更して,行政庁の認可を得て存続するということを認めるのか。それとも,この場合には,帰属権利者の定めがあり,かつ,それによって帰属権利者は定まるから,第15の2(2)の問題にはならないと考えるのか,どちらの考え方をするのかという問題が2番目です。   このようなことは認めないとすると,帰属権利者の定めがあるが,帰属権利者が定まらないというのはどういう場合かというと,一番考えられるのは,具体的に特定の帰属権利者が定まっているが,それらの帰属権利者が権利を放棄したときに,第15の2(2)のところに戻って来て,シプレ原則的な解決がされるのだと思います。そこら辺の関係が,すなわち第15と第17の関係ですけれども,これが少し分かりにくいように思いましたので,今述べた点についてどういう立場を採るにせよ,少し説明が必要であろうと思います。   私は,個人的には,実はこれを意見としては申し上げたいと思い,前提の理解となる部分をくどくど述べたのですが,第15の2の(2)のようなシプレー原則的処理がもう少し広く使えていいのではないかと考えています。第17で帰属権利者の定めを置かなくてはいけないというので,取りあえず国と地方自治体を帰属権利者として定めた。しかし,国と地方自治体に残余財産が行くよりは,類似の目的に公益信託の目的を変更して存続した方が,当初設定された公益信託の趣旨に合うと受託者が考えたときに,第15の2の(2)でそれができるとよいと思います。といいますのも,国や自治体は,帰属権利者として受け取る財産について必ずしも関心があるわけではなく,当該公益信託の公益目的と同じような目的で使うことは全く保障されてない。おそらくそのようには使わないでしょう。このように考えると,国や自治体が帰属権利者として定められていても,なお第15の2の(2)のルールが使えるとよいのではないかと思います。しかし,現在ここに書いてある第17,第15の案ですと,先ほど言いましたように,帰属権利者が定まらないということの解釈にもよりますが,国や自治体が帰属権利者として定められていると第15の2(2)は使えないことになりそうですが,私としては,第15の2(2)がもう少し緩い使い方ができるとよいと思います。   私の発言がいろいろな点,多岐にわたって分かりにくかったかもしれませんけれども,以上です。 ○中田部会長 ありがとうございました。   ただ今,第15の2の(1)と(2)の関係についてが第1点,それから第15と第17との関係について,これが第2点,について御意見を頂きました。関連した御発言がございましたらお出しいただいた上で,事務当局の方からコメントを頂きたいと思います。 ○中辻幹事 それでは,事務局の方からお答えさせていただきます。   まず,能見委員の御質問,第15の2(1)と(2)の関係でございますけれども,ここは能見委員の御理解のとおり,時系列で整理しておりまして,公益信託の目的達成又は不達成の前は(1)の規律を適用し,目的達成又は不達成の後は(2)の規律を適用するという趣旨で御提案しているものでございます。   それから,2点目,第17で挙げている当該公益信託と類似の目的を有する他の公益信託を帰属権利者とする場合の信託行為の定めにつきまして,具体的な類似目的の信託名の定めを置くことも,抽象的に「類似の目的を有する他の公益信託」という定めを置くことも,両方許容されるという整理をしておりますが,実務においては後者の記載が多いようでございます。そして,信託行為の定めが抽象的な場合には,能見委員がおっしゃられたように受託者の側で類似目的の公益信託を探したが見つからなかった,というケースもあり得ると考えていて,その場合にいつまでも探し続ける義務を受託者に負わせることは酷である,そのような場合も第15の2の(2)「帰属権利者が定まらないとき」に該当するという整理をしています。ただ,第17で帰属権利者として国又は地方公共団体を入れているので,結局これらの者が帰属権利者と定められていた場合には国や地方公共団体が残余財産の受領を拒否というのか放棄しなければ第15のシプレー原則は発動しないというのが現在の部会資料の作りです。私どもとしては,特に公益信託の当初の目的が達成されたような場合には,その信託を設定した委託者の意思は実現されているので,基本的には当該公益信託は終了させるべきものであり,シプレー原則については限定的に適用すべきであると考えておりました。   さはさりながら,能見委員のように,シプレー原則の間口を広くとり社会のために公益信託が生き残る可能性を増やす方が良いという考え方にも十分合理性はあると思いますので,また事務局としても再度検討し,皆様の御意見を伺いたいと思います。 ○沖野幹事 ありがとうございました。   一つは,第17の(2)の甲案,乙案について,その意味なのですけれども,乙案には(注)が付いているということなのかと理解したのですけれども,甲案の方は,甲乙比べますと,「類似の目的を有する公益法人等」というのが甲案には入っていないのですけれども,これはあえて除外した案と入れた案という対比なのでしょうか。それにどのくらいの理由があるのか,入れてもいいのではないかと思うものですから。   もう一つは,甲案では「寄附することを定めた」と書かれており,国等の場合は帰属しないのですけれども,乙案の方は全てが帰属になっていまして,ここであえてこの部分だけ寄附という言葉を使っていることには意味があって,甲案と乙案の対比はそのように,(注)のところを置きますと,その他の公益法人等を入れていいのかということと,帰属ではなく,寄附という構成として扱うというところにあるのでしょうか,よく分からなかったものですから,おうかがいします。それは純粋に甲案,乙案の意味についてです。   それから,能見委員の御指摘を伺いまして--能見委員の御指摘を伺う前に気になっていたことなのですが,一つは,(2)の定めについてです。まず(1)で定めを置かなければならないと,その定めの内容としてこういうものでなければならないというときに,変更の規定によって,この(2)の定めを変更することができるかということです。   恐らく,(2)は,これは全部外延というか外枠というか,それ以外のものについては,(注)の点はありますけれども,帰属権利者として指定ができないということだと思うのですが,具体的に書いてしまったのだけれども,例えば地方公共団体が引き受けてくれそうだというようなときに,それなら信託行為の定めを変更して,地方公共団体を指定に入れて,そちらにお願いするということができるのかどうかです。   それから,次が,能見委員の御指摘を伺ってということなのですけれども,今申し上げたような形での変更などができないとなりますと,最初のときにきちんと書いておくか,それとも最初のときに,これはもうその他条項的に,国や地方公共団体は必ず入れておくようにしましょうというような指定の仕方になる可能性があるように思います。   いずれにしてもですが,そのようにしておいたときに,今度,能見委員が御指摘になった点なのですけれども,国や地方公共団体はそれほど関心を寄せていないのだけれども,46ページの2の(2)です。帰属権利者は一応いるし,放棄してもらえばいいのかもしれませんけれども,そう簡単に国や地方公共団体が放棄できるのかというのは少しよく分からないところもありますけれども,そういう場合に,すなわち帰属権利者が同意しているという場合に,この目的を変更する形でそのまま続けてもらったらいいと言っているような場合は受けなくていいのだろうかというのが,今の御指摘を伺っていて気になりました。   ただ,そのときも,もう実体的には信託終了して,帰属権利者に帰属すべき財産が残っているという状態だと思われますので,帰属権利者が定まっていないときはこのルートによれるということで,帰属権利者が定まっているならば,帰属権利者が新たに信託設定をすればいいということになるかと思います。ただ,そのときには,帰属権利者が委託者としての地位を得てしまうことになりますので,そういった地位は望まないという場合も考えられますそのときは,その信託行為に委託者としての地位を有しないと書くことで対応できそうにも思いますので,対応可能ではあるとは思います。   もう一つ,どのくらい手間が掛かるのかということで,新規にといっても,今までの受託者で,今までの信託管理人で,今までと全く同じ形でやるのだけれども,目的は違うものを立てるのだというときに,それほど大して手数等が掛からないのであれば,新たな設定でもいいのではないかとも思うのですけれども,そこは少し飛ばしてといいますか,このルートによってもいいのではないかということはあり得るようにも思いました。そうしますと,もしそういう考え方を入れるとすると,(2)のところに帰属権利者が定まらないときにはこの3者でなのだけれども,帰属権利者の同意を得て,さらに,あるときには帰属権利者の同意を得るときは同じルートでいけるというようなことを考える余地もあるのかと思ったところです。 ○中田部会長 3点,御質問あるいは御意見を頂戴しましたが,事務当局の方からお願いします。 ○中辻幹事 それでは,沖野幹事の御質問にお答えしますと,第17の(2)の甲案,乙案の違いは,社会福祉法人なども含めた公益法人等を入れるか入れないかというところが大きな違いであることはそのとおりでございます。その上で,現行税法は,特定公益信託の要件として,当該信託終了の場合においてその信託財産が国若しくは地方公共団体に帰属し,又は類似の目的の公益信託として継続するものであることを求める,シプレー原則の含みを持たせた表現となっており,そのことを踏まえて現在の公益信託契約書では類似の公益信託への「寄附」という表現が使われていることから,甲案ではその表現を用いたということになります。ただし,類似の目的の公益信託への残余財産の「寄附」が可能なのであれば,類似の目的の公益信託への残余財産の「帰属」も可能ではないかと考えております。   なお,現在の公益法人認定法には,公益法人の残余財産の帰属先に類似目的の公益信託は入っていないので,仮に乙案を採るのであればイーブンの関係ということで,公益法人の残余財産の帰属先にも類似目的の公益信託を入れてもらうということを想定しております。   2点目,第17の帰属権利者の指定の定めの変更について,御質問を受けるまで,それほど深く考えていたわけではないのですが,帰属権利者の指定の定めを第15の公益信託の変更に関する手続を経て変更することは可能ではないかと感じました。けれども,例に挙げられたケースでは既に終了事由が発生していますので,そこからあわてて変更できるかはもっと考えた方が良いのだろうと思います。   それから,沖野幹事がおっしゃられたように,帰属権利者が定まらないとき以外にも例えば帰属権利者が公益信託の継続に同意しているようなケースであればすこしシプレー原則の間口を広く採って適用するという仕組みはあり得るのかなと感じました。 ○樋口委員 2点,発言させていただきます。2点目は質問なのですけれども,1点目は今のシプレーの話ですね。それで,先ほどはっきり,シプレーについては限定的にという趣旨で,この46ページの(2)というところは書いてあるのだというお話で,それについては,本当はこういう条項が働く場面てどれくらいあるかというと,それは英米でもものすごく少ないのです,実際にはね。しかし,やはり真理は--真実は細部に宿るというのでしたか,こういう細かい点で,やはり私は立法政策上何か問題があるような気がするのです。   つまり,先ほどの説明だと,とにかく達成ないし不達成だからもう終了すればいいではないかというとどうなるかというと,公益信託は一つなくなるのですね。数が減るのですね,簡単に言うと。やはり,これは数を増やそうと思ってやっているのではないのだろうかという,そういう気持ちがなくて,できるだけ限定的にするというのが法政策上どうなのだろうかという気がするのです。   もう一つ,それは前にも少し発言したのですけれども,確かに英米でも公益信託の初めの設定目的というのを非常に厳格に解して,シプレーの適用を限定する傾向が歴史的にはあったのですね。しかし,もうアメリカでははっきりその態度を変えて,それはやはり,その当時,委託者が考えたものとは,類似なものであればというか,ジェネラル・チャリタブル・パーパスという,やはり公益のためにというぐらいに広く解釈して--広く解釈しようという話に,私が知っている限りはそうなっているのに,ここで,いやいやそれは採りませんというのがですね。別にアメリカに追随することだけがいいことではないと思いますけれども,どうしてなのだろうと。先ほどの法政策的な発想からしても,少しよく分からない。   更に言えば,先ほどの沖野幹事からの話を何とか類推すれば,どうするかというと,私は実務家でもないので,そんなこと言うのは本当に実務を知らないからだと思いますが,実際には,46ページです。(1)(2)を見ると,信託目的の達成又は不達成ということが見込める時点で,受託者として,樋口が受託者なら何をするかというと,(1)をやりますね。だから,信託行為の定めの変更,(1)によってという部分,まだ達成又は不達成とならない時点で,受託者及び信託管理人の合意があって,行政庁によって変更の認可をもらえば,実際にはシプレーはできる。本当にできるのかどうか,少し分かりませんけれども,組み合わせればそんなことだって考えられると,私は少し今の議論で思ったりしました。   二つ目は,少し質問で,これは教えていただきたいのですよ。帰属先ってどこでしたっけか,最後の帰属先,54ページです。   最終的に残余財産の帰属というのは国庫で,このときに地方公共団体というのはできないのですよというのが,私なんか,つまり法律を知らないからだと思いますが--理解できないのは,だって,その上の17の,54ページの上のところでは,指定はできるのですね,地方公共団体って。指定された場合には帰属されて,何にも書いていなくて,みんなが断った場合には,地方公共団体に行くことができない。そうすると,どうなるかというと,これは少し時間があれば,後で1回だけまた余計なことで発言させてもらおうと思っているのですけれども,今の仕組みは,47都道府県に認定委員会を作ろうとしていますよね。行政庁というのは,47都道府県の委員会も入っているわけですよ。   そうすると,そこのところで,いいですか,何とか県でとにかく勝手に終了--勝手に終了というのかな,終了の認可だか何だかさせておいて,それでそのツケが国に来ることになるのですね,それは。それは大体おかしいような気がするのですけれどもね。だから,しかし,そもそも日本の法理上,国庫以外に最終的な帰属先はないのだということを,もう少しかみ砕いて教えていただきたい。   しかし,帰属先として地方公共団体の指定はできる。指定がない場合には国庫には行くが地方公共団体には行けない。このような不条理のようなことがあっても,それは仕方がない,それは日本の法がそうなっているからだというようなことを,少し御教示願えれば幸いです。 ○中田部会長 関連する御意見ございますでしょうか。 ○能見委員 関連するというか,先ほど沖野幹事が,そもそもの問題として,帰属権利者の定めがあるときに,その定めの変更できないかということに言及されましたが,私も少しその問題を考えていたのですけれども,それと関連して,さらにこの問題の前提問題として,公益信託における帰属権利者というのは一体何なのかというところがはっきりしていないという問題があるように思います。   まず,第17の1(2)甲案にあるような残余財産を帰属権利者に「寄附する」というような意味での帰属権利者という考え方は,一般信託法の方にはないと思います。そこでは,帰属権利者というのは,終了事由が発生すると同時にある種の権利が発生して,私益信託の場合であれば,受益者とみなされて,受益者と同様な地位を取得します。しかし,公益信託の帰属権利者は,公益信託には受益者がいない以上,受益者とみなされないのは当然ですが,何らかの意味での権利性,期待権も恐らくないのではないかと思うのです。   そうだとすると,公益信託で帰属権利者という同じ言葉を使っていますけれども,やはり私益信託の場合と違う。国や自治体が帰属権利者として定められていても,私益信託の帰属権利者とは違う。先ほどの議論につないでしまいますけれども,公益信託で帰属権利者が定められていても,シプレー原則的な法理で,信託財産のより適切な処分,より近似する目的の公益法人や公益信託に寄付もできるし,類似目的に信託目的を変更して存続することもできる。何かそういうふう方向にもつながるかもしれませんので,帰属権利者というのは何なのかということについて,改めて少し詰めておいた方がいいという感じがしました。 ○中田部会長 それでは,事務当局の方からコメントを頂きたいと思います。 ○中辻幹事 樋口委員が先に意見として言われた方からコメントしますと,樋口委員のおっしゃるとおり,信託目的の達成又は不達成が見込まれるような場合にそれを当事者が認識し,変更が必要だと考えた場合には,第15の2(1)の方法で変更できるので,(2)の方法の適用場面は限定的にしても良いのではないかと事務局としては考えておりました。   御質問へのお答えですが,私が民法にとらわれすぎているのかもしれませんけれども,無主物の国庫帰属という条文,不動産の場合ですけれども民法第239条第2項にございまして,その帰属先に地方公共団体は含まれておりません。フランスでは地方公共団体が帰属先になり得るということは知識としては持っておりますし,樋口委員御指摘のように,新たな公益信託の認可は,公益法人の認定と同じく地方公共団体を行政庁として行われるケースもあるので,そのことも踏まえて引き続き考えを巡らしてみたいと思います。 ○中田部会長 能見委員の御指摘で,帰属権利者が公益信託の場合少し違うのではないかということを,具体的にこのゴチックの部分に反映するとすれば,どういう方法がございますでしょうか。もし今すぐでなくても,後でも結構ですけれども。 ○能見委員 そういう文章の作成は私は余り得意ではないので,むしろ沖野幹事など,そのほう方面の能力の長けた方にお願いしたいと思います。 ○道垣内委員 沖野幹事ではないので申し訳ないのですが,簡単に言うと,帰属権利者という言葉をここで使うとミスリーディングといいますか,概念の混合が起こってしまうので,使わないということではないですかね。「残余財産が移転する者」として,「帰属」と書いてしまいますと同じになってしまうので,少し変えるべきだということかなと思います。 ○中田部会長 具体的なヒントを頂きまして,ありがとうございました。最終的に中間試案でどうなるかはともかくとして,今の御指摘を何らかの,例えば補足説明の中になるのか,どこか分かりませんけれども,更に検討していただこうと思います。   ほかにいかがでしょうか。 ○沖野幹事 念のため,能見委員と道垣内委員の御指摘を確認したいだけなのです。つまり,この第17で残余財産の処理の2の最終的な残余財産の帰属の方は,もう最後にここに帰属するだけで,帰属権利者ではないというような処理にすることが考えられるかと思うのですけれども,その前の指定されているものも,信託法上の帰属権利者ではないという形にすることが適切であるという御意見で,したがって,終了事由が発生して,清算段階になったときには,各所の受益者としての権利が与えられることになる,報告を求めるとか。あと,最終計算の報告先としてどうなるかというような話も,帰属権利者で出てくるのですけれども,そういった地位は一切与えないことが適切であるという御意見なのでしょうか。念のため確認させていただきたいと思います。 ○能見委員 私は,むしろ信託法第182条とか第183条で使っている帰属権利者とは違うというふうに捉えた方がいいのだろうと思います。特に,信託法第183条第6項のように,「帰属権利者は,信託の清算中は,受益者とみなす。」というような地位は与えることはきでませんので,公益信託の帰属権利者は権利性の弱い,もっと軽いものとして考えるべきだという意見です。 ○山田委員 第16について,2点ないし3点発言させていただきます。   一つは,中間試案発表時の補足説明についての希望からお話しさせてください。   第16は「公益信託の終了」というタイトルで始まっているのですが,私の理解するところでは,公益信託の終了に関するルールを広く取り上げていなくて,重要なところをピックアップしているように思われました。何が足りないかなと考えると,終了事由の一部しか上がっていないように思います。   ですから,終了事由の例えば目的の達成・不達成の確定というのは,ほかのところでは終了事由として取り上げられているように思いますので,第16のところでゴチックで表現する必要はないようにも思いますが,補足説明の比較的頭の辺りにそういう位置付けを示していただけると有り難いと思います。   そして,同じ性質のものですが,少し細かくなりますけれども,第16の4の「公益信託の成立の認可の取消し」というところですが,これも恐らく取消事由というルールがあって,そしてそれに当たるかどうかを行政庁が判断して,公益信託の成立の認可の取消しというところに進むと思います。   先ほどは,公益法人認定法の,公益法人から公益認定の取消しの申請があったときは,必要的取消事由ですということが,関係官の方の口頭の説明にあったと思いますので,しかし,それを生かすかどうかというのも一つの問題ですが,公益信託の成立の認可の取消しに関するルールの大まかなところというのがあった方が,第16の4について具体的なイメージを持ちやすいように思います。   二つ目が具体的な意見で,中間試案には,第16の2について少し手直しをしていただけないかということです。   それは,ここには公益信託の[終了の認可/成立の認可の取消し],これはどちらでもいいのですが,これを介在させて,公益信託を終了させるという考え方が一つ示されています。   このような御意見もあろうかと思いますが,これに並べて,あるいは乙案でなくて,(注)で考え方があるというのでも結構ですが,行政庁の関与なしに公益信託は終了するというものはあってよいと思います。それで,意見を聞いていただきたいと思います。   一つ目の話と少し関連するのですが,目的の達成で終了するときに,行政庁による公益信託の終了の認可又は成立の認可の取消しというのも想定しているのかな,していないのかなというのがよく分からなかったのですが,多分していないのだろうなと考えました。そこで,もし想定していないのであれば,目的の達成がなくても,要するに信託を支えている当事者全員が,もうこれは終了させようというのであれば,行政庁の介在なしに終了させて私はよいと思いますので,それについても意見を聴く対象に加えていただければと思います。   御説明の中にあったか,なかったか,よく分からないのですが,ここに一つに集約した理由として考えられるのは,事務当局のお考えとして私が推測するのは,このようにして公益信託の公益性というものを確実にしようとされているところかと思います。勝手に辞められたら困るのだということかもしれませんが,私は,基本は,その前に話がありました残余財産の行き先をどうするかというところをしっかりすれば,行政庁の関与なく公益信託の終了というのがあってよい,当事者の合意があれば,あってよいと思います。 ○中田部会長 第16についての御意見,ほかにも頂けるようですので,その後で事務当局の方から御説明いただこうと思います。 ○沖野幹事 先ほど,ちょうど吉谷委員からの問題の指摘を受けて,第16の2の合意による終了のところで,辞任プラス1年,しかも同意による辞任プラス1年というところにも同じようにチェックを掛けなくていいかという点を申し上げたところなのですが,そういうことを考えていきますと,他の終了事由は放置していいのだろうかという問題がありまして,間違いなくそういう判断がされているのか。経済的に立ち行かなくなって,信託法52条による終了の申入れをして終了させるとか,目的の達成・不達成についてもそのとおりなのかといった辺りは,行政庁のお話としては気にしなくていいのかどうかというのが気になりまして,それで実は,山田委員とは逆の方向を考えたものですから。認可になるのか,それとも何か届出などのチェックなのか,チェックのかけかたは必ずしも認可に限らないと思いますけれども,そういうことは掛けなくていいのだろうかというのが気になったものですので,申し上げたいと思います。 ○中田部会長 それでは,対照的な御意見を二つ頂いたわけですが,関連ですか。 ○山本委員 第16の2が少し理解しにくかったので,このついでに確認させていただければと思うのですが,合意がある場合に,終了認可ないし成立認可の取消しを受けることによって終了するとされているわけですけれども,この認可の際に何をどう考慮するのでしょうか。目的の達成,不達成等を考慮するということなのかどうか,あるいはその他のことも含めて考慮するのか。そこで何を考慮するのかという点を少し明示していただかないと,この案をどう受け止めていいかが分かりにくいと思いますので,お聞かせいただければと思います。 ○深山委員 第16の2のところで,私も,鍵括弧で「終了の認可」と「成立認可の取消し」というのが並んでいて,これは中身として違うものなのかなと思ってはいるのですが,単に言葉の問題ではなくて,内容的に違っているのかなと思いながら,ただ,どこがどう違うのかということを考えておりました。   その関連で第16の4のところの本文で,認可を取り消された公益信託は終了するという提案があって,それとの関係もよく分からないのですね。というのは,第16の2のところは,もちろん合意による終了の規律として書かれているということは分かるのですが,その場合に,例えばこの鍵括弧の中の「成立の認可の取消しをすることによって」という要件を課するのだとすると,ある意味,合意があろうとなかろうと,取り消されたときには終了するということと同じことを言っているのであって,逆に言えば,合意があっても取り消されなければ終了しないということですから,結局,2と4というのは論理的には同じ規律,要件になりはせんかと思います。   ただ,そこで,2の「成立の認可の取消し」,あるいはその手前に書いてある「終了の認可」というものが,4のところとは違う場面を想定していて,つまり認可の取消事由があって,行政庁が取り消しますという場面ももちろんあるでしょうが,そうではなくて,当事者がもうこれやめたいのですと言ってきたときに,それを認めてあげましょうという認可について,それを終了の認可というのか,かつて行った認可の取消しというのかは,言い方としては両方あると思うのですが,必ずしも取消事由ではない,当事者の意思によるといいますか,その意味では合意による終了というような,そういう場面を想定しているのだとしたら,2と4というのは別のルールとしてあり得るのかなと,こんなことを感じたので,少しその辺の整理も含めて御検討いただければと思います。 ○中田部会長 取りあえず今,第16について御意見が相当出ておりますので,もし第16について更にございましたら頂いて,事務当局の方から説明してもらおうと思います。 ○平川委員 第16につきまして,2の終了の認可を受けることによって終了するというのはいいとして,「成立の認可の取消し」という言葉だけから来る印象かもしれないのですけれども,目的信託の前置を前提とした考えにつながっているようで,結局,認可によって成立するはずですが,この言葉遣いからは,認可を取り消すと,何か別の信託が生まれて,普通の目的信託になり,それが4の(注)の考え方,目的信託を前置とする考え方につながっているものと思うのですけれども,目的信託の前置を前提とした考えでは必ずしもないということを御確認いただきたいと思います。   「成立の」という言葉が何で必要なのかということも,少しよく分かりません。 ○吉谷委員 第16の3なのですが,これが少しよく分からなくて,信託法165条というのがそもそも何のためにあるのかがよく分からないというところがあるのですけれども,16の3の御提案を読んだときに,どうしてここでは行政庁の認可が不必要なのだろうかというところがよく分からなかった。   変更のところは,裁判所の後に行政庁の認可があるのに,終了の方は裁判所で終わると。これは,目的の達成がされたということだけを裁判所が判断するということであれば,別にこの仕組みを使わなくても,別の確認訴訟とかのやり方とかでもあるのかしらと思いながら読んでおりました。なので,整合性というところからすると,第16の3についても,行政庁の認可を要するとした方がよろしいのではないか。そうでなければ,終了事由とここの各項目の御説明のところについて,何か整合性があった方がいいのではないかと思われました。   そして,実務的な観点からいいますと,やはり信託目的が終了しているのかどうかということに少し自信がないというようなときに,行政庁の認可を受けて終了ということにしたいという,人情のようなものがありまして,そういう役割というのも行政庁に果たしていただくことを期待すると。先ほどの受託者の辞任・解任でもそうなのですけれども,というような実務的な,やはり自分たちで決めていいのかという悩みがあるというところについても御配慮いただけると有り難いと思うわけであります。 ○中田部会長 ありがとうございました。 ○明渡関係官 すみません。今,山田委員がおっしゃられた認可を介在せずに終了させるというような仕組みを設けた場合に,34ページに戻りますけれども,公益信託の情報公開,こちらの方は認可をしたら公示するということを想定しています。ここの部分との整合性,つまり今まで全て認可が掛かってくると,なくなったものが公示されるけれども,何もなく終了できるというふうなことであるのだったら,そこがどういうふうにして,なくなったというふうなことが明らかになるのだろうかという点の整理は必要となってくるのではないかと思います。 ○深山委員 第16の4のところに(注)が付いておるので,この(注)について申し上げます。   先ほども同じようなことで,(注)を格上げしたらどうかということを言って,ここでも結論的に言えば,同じような意見を申したいと思います。   念のために言いますと,決して(注)を全部格上げしろという趣旨ではなくて,重要なものに限ってという趣旨で,ここは格上げをすべきではないかという意見を申し上げます。   これは,以前どこかで議論した記憶があるのですが,一旦成立した公益信託の認可が事後的に取り消されて終了した場面をここでは念頭に置いていると思うのですが,その場合に(注)の考え方というのは,信託行為に定めがあるときを前提にしていますが,単純な終了ではなくて,受益者の定めのない信託として存続する余地を認める考え方です。   似たような議論として,最初の公益信託を創設する段階で認可申請をしたところ,不認可になってしまったときにどうなるかという議論を前回しました。第3の公益信託の効力の発生のところだったと思いますが,ここでは,甲案,乙案という形で,細かい規律についてといいますか,具体的な規律について案が述べられています。少なくとも,当然に効力がなくなるわけではなくて,一定の効力があり得るということをむしろ前提に,では,その不認可になった信託はどういう信託なのか。単純な目的信託なのか,それとはまた違った,言わば第3類型的なものなのかという議論を前回しました。そことの整合性といいますか,平仄を考えたときに,もちろん入口の場面で不認可になったときと,後から不認可になった場合は違うという考え方も,論理的にはあり得ると思います。ですから,そこと全く同じにしなければならないという論理的な必然性はないのですが,しかし,素直に考えれば,不認可といってもいろいろな不認可があるでしょうから,事後的に不認可になった場合であっても,やはり必ず当然終了しかないということではなくて,委託者の意思として,公益信託ではないけれども,公益的な信託として残してもらいたいという意向があり,行政庁から見ても,それが不合理ではないと考えられるときには当然終了にならないという道を残すべきではないかなという気がしております。   そういう観点から,ここは意見が分かれるのかもしれませんが,少なくとも(注)を乙案という形にして,本文を甲案にして,乙案という形でランクアップをして,パブコメに付していただくのがよろしいのではないかということを申し上げたいと思います。 ○中田部会長 第16について様々な御意見を頂きました。行政庁の関与の仕方について,異なった観点からの御指摘を頂きました。また,いずれにしても,認可基準を明らかにすべきである,あるいは取消事由を明らかにして,それとの関係を明確にすべきである。さらに,ただ今取消しの効果について御意見を頂きました。   これらについて,事務当局の方からコメントいただきたいと思います。 ○中辻幹事 では,順にお答えしていきますと,まず山田委員の方から終了事由について御指摘がありました。深山委員からも前回同様の御指摘がありましたけれども,この部会資料43では信託の終了事由をゴチックでは網羅的に上げておりませんので,その点もう少し分かりやすくなるよう工夫したいと思います。   次に,山本委員の御質問について,山田委員と沖野幹事でお考えが二つに分かれたところに関連しますが,事務局としては,信託目的の達成又は不達成という終了事由の有無を行政庁が判断するということは想定しておりません。信託関係人の合意による終了と,信託の目的達成又は不達成による終了とは飽くまで別のものであり,目的達成又は不達成を行政庁が判断することは困難であるし相当でもないという整理をしています。   では,信託関係人の合意による終了の場合に行政庁が何を判断するかということになりますが,補足説明に少し書きましたとおり,残余財産の分配がその信託行為の定めに従って適切に行われているどうかということを想定しているものでございます。公益信託の終了の時点では新たな公益信託が成立することはないので,新受託者の選任の論点でも申し上げているように,公益信託の認可基準を満たしているか否かの判断と直接関係しないのであれば,信託内部のガバナンスを優先し,行政庁は一歩引くべきであるという現在の事務局の考え方は,山田委員の御意見と親和性があるように感じました。   それから,深山委員から御指摘いただいた,終了の認可と成立の認可の取消しをブラケットで囲ってある部分ですけれども,事務局としては,公益信託の成立の時点で最初にされた認可の行政処分がある以上当該信託の終了時にはその取消処分が必要であるという考え方と,取消処分は必須ではなく別に当該信託の終了時に終了の認可という行政処分がされれば自動的に成立の認可は効力を失うという考え方を2つ並べているものでございます。   もう一つ,深山委員から第16の2と4の関係について御指摘を受けました。仮に第16の2のブラケットの部分が成立の認可の取消しということになるのであれば,それも含めた形で第16の4の終了で受けられます。ただし,第16の2が終了の認可ということになったときには,2と4は別の整理ということになると思います。   それから,平川委員から御指摘ありました目的信託の前置との懸念につきましては,この部会の結論として,公益信託の成立のために目的信託の前置を不可欠なものとしないということははっきりさせておきたいと思います。なお,成立の認可という表現を使ったのは,変更の認可や終了の認可など場面ごとで分けるという趣旨でございます。   さらに,吉谷委員の御意見について,実務上という話であればそれは人情も含めて尊重すべきであると感じますし,公益目的の達成又は不達成について当事者の方で自信が持てないという場面は想定できるようにも思います。ただ,信託内部のガバナンスを充実させ,公益信託の認可基準適合性の確保に必要な範囲で行政庁が関与するという建て付けからすると,この場面において行政庁の関与が必要であるとするのは少し過剰な関与であるように思いました。   長くなり恐縮です。最後,明渡関係官から御指摘ありました認可の公示との関係ですけれども,公益信託の成立の認可が公示されるのであれば,公益信託の終了も公示されるのが筋ということになります。おそらく公益法人認定法の仕組みからいえば認可の取消しの公示がしっくりくるのかもしれませんけれども,仮に終了の認可ということになった場合にも,行政庁は終了の公示をすることになるのではないかと考えます。 ○中田部会長 頂いた御意見に今,全てお答えいただいたかどうか,もし確認を求める委員,幹事いらっしゃいましたらどうぞ。一応今のお答えでよろしいですか。   もちろん,本日の御発言については,更に議事録で精査いたしまして,今後の作業に反映していただくことになると思います。   ほかにもしございませんようでしたら,お待ちいただいておりました小野委員にお願いします。 ○小野委員 まず,第15についてコメントといいますか,お願いしたい点を申し述べます。   今,この辺りはずっとこれまで議論してきたところで,「目的」という言葉が「公益信託事務の処理」という言葉に変わったという経緯は,もちろん重々承知しておりますけれども,この中で対立する概念といいますか,「軽微」という表現になっておりまして,目的と軽微の間というのはどうしてもいろいろグラデーションが掛かるという,グラデーションという言葉を使うまでもなく,いろいろな幅があるかと思います。   公益法人認定法との比較とか整合性とを検討することが,絶えずといいますか,要所要所において必要があるかと思うのですけれども,公益法人認定法の方は届出も限定列挙で,なおかつ認可が必要なものは3つに限っているようで,大分立て付けが異なっております。信託と法人ですから,全ての面で必ずしも同じである必要はないと思いますけれども,同じ行政庁が同じような公益事業を扱うときに,行政庁の負担としても発想の仕方としても違う扱いをする必要があるのかと思うところがあります。   何点かお願いしたいところは,「軽微」という言葉をある意味ではもう少し拡大解釈できるような表現を考えていただけないかと。逆に,軽微であれば届出すら要らないという議論もあるかと思います。公益法人認定法の方は,届出すら限定列挙であるということを踏まえると,信託目的の変更に匹敵するような事務処理の変更と,あと「てにをは」のような意味においての軽微といったところと,その間のものがいろいろあるかと思うので,その辺について何か配慮していただけるような記述を考えていただければと思います。   また,パブコメを求める際に,一般の市民の方がどういうふうに考えていいかということの取っ掛かりとして,公益法人認定法においてはこういうような形になっていますというものを要所要所で述べていただきたいと思います。特に,この観点からすると,もし今の表現が変わらないとすると,大分違うということも認識の上で,これでいいのだという議論もあるかもしれませんし,よりもう少し細かい,今2分類ですけれども,3つとか,場合によっては4つとか,間を採るような分類もあるかと思うので,そういうような意見も喚起するという意味において,そういうような配慮も補足説明のところでしていただければと思います。 ○中田部会長 ただ今の小野委員の御発言なのですけれども,第15の1の(1)と(2)についての御発言だったかと承ったのですが。 ○小野委員 そうです。 ○中田部会長 さらに,第15については2の規律もございます。2の規律というのは,目的変更については2の規律があり,第15の1というのは,それ以外のと申しますか,一般的な公益信託事務の処理の方法についての変更で,その中に(1)と(2)があるので,私は3段階あるのかなと思っていたのですけれども。 ○小野委員 その意味においてはそうです。 ○中田部会長 2の(1)が,信託目的の変更や公益信託事務の範囲の変更などを想定しているのが事務局の考えかと理解しておりました。ですので,そうしますと,今の小野委員の御指摘というのは,ある程度は盛り込まれていて,更にきめ細かくするということなのか,あるいは少し分かりにくいところがありますので,それは補足説明等で,場合によっては公益法人認定法の規律も参照しながら分かりやすくするというようなことでも対応することができますでしょうか。 ○小野委員 補足説明等でていねいに公益法人認定法の規律を参照するという点はぜひお願いしたいところです。たださらに軽微基準をもう少し,軽微という言葉ではないものにしていただき届出の対象とし,一方,「てにをは」的なものは軽微基準にも該当しないという扱いにしていただければと思います。4分類と言っておいてよかったと思うのですけれども,届出とするものを,公益法人認定法とのバランスとの関係で,もう少し幅広く捉えてもいいのではないか,それは行政庁の負担からその方がよいではないかということでございます。 ○中田部会長 分かりました。ありがとうございました。 ○平川委員 今の第15の点なのですけれども,そもそもこの分類の公益信託事務の処理の方法に係る信託行為の定めの変更というのと,公益信託事務の処理の方法以外の信託行為の定めの変更という,二つの変更の相違というのがどこにあるのか,我々でも分かりにくく,さらに,一般人にはより分かりにくい表現の仕方で,そもそも分ける必要があるのかも疑問があるように思うのですけれども,分けるとしたら,パブコメの際は両者の相違を一般人でも理解できるように,明確にしていただきたいと思います。   また,公益法人認定法第11条1項においては,行政庁の認定を必要とするものは,公益目的事業の実施区域や事務所の変更並びに収益事業等の内容の変更を除けば,公益目的事業の種類又は内容の変更のみとなっております。それと対比した場合に,公益信託事務の処理の方法に係る信託行為の定めの変更というのは,公益法人認定法上の公益目的事業の内容の変更に当たり,その種類の変更ではないと解してよろしいのか,御確認いただきたいと思います。   また,処理の方法以外に係る信託行為の定めの変更の例示として,たたき台48ページにある「公益信託の目的の変更や公益信託事務の範囲の変更」は,公益法人認定法と対比してどの変更に当たるのか,必ずしも明確ではないように思いますが,公益信託事務の処理の方法を内包するものが公益信託事務の種類の変更も含むのか,それは公益信託の目的の変更とどう違うのかについて,分かるようにしていただきたいと思います。   また,公益信託の目的の達成に支障となるに至ったときに,関係人の申立てにより,裁判所が信託の変更を命ずることができることについては,賛成いたします。   裁判所が信託の変更を命じる前に行政庁の意見を聴くという考え方については,手続が複雑となり,遅延も考えられることから,その必要はないと考えます。   信託行為の定めの軽微な変更をするときには,受託者がその旨を行政庁への届出で足りることについては,公益法人の場合と同一であり,賛成いたします。   何が軽微かということについて,より明確にした方がよいのではないかという小野委員の御意見には賛成いたします。   公益信託の目的の達成又は不達成の場合において,一定の場合に公益信託を継続することができることについては,賛成いたします。   第15の3の「公益信託の併合・分割」についてですが,これは信託関係人の合意により,行政庁の認可により行うことができることについては,賛成いたします。   裁判所が関与するルートについては,併合・分割は私的自治の問題であることから,必要がないと考えます。   ちなみに,公益法人制度においては,合併事業の全部又は一部の譲渡について,公益法人認定法第11条1項に該当する場合は行政庁の認定を必要といたしますが,それに該当しない場合は事前の届出をすればよいことになっています。 ○小野委員 細かい質問で恐縮ですが,「合意等」の「等」が何を意味するかというのと,第15の2の(1)とか「合意」だけになっていますが,意図的に区別したのかどうなのか,確認をさせてください。 ○林幹事 まず,1点は,他の方々の繰り返しかもしれませんけれども,先ほどおっしゃられたように,第15の変更について3段階になっていることは理解して,この御提案自体がいろいろ配慮されてできたものだとは理解しているつもりです。ただし,その3段階の相互の間の境界線が若干不明確ですので,何とか具体化できないのかと思います。特に,「軽微」というのも分かりにくいので,この点どう考えられているのかということがあって,公益法人認定法のように,もっと何らか具体的に事由を書くのかなどを御検討いただけたらというのがまず1点です。   それから,(注)の関係の話ばかりしてしまうのですが,弁護士会で議論であったところとしては,まず第15の1の(1)のウのところです。行政庁による変更の認可を受ける点に関して,(注)で,事前に行政庁の意見を聴くことについて,これも考えられる意見なので,(注)ではなくて,格上げをした形でパブコメにしたらどうかと考えます。   それから,第15の3の併合・分割については,裁判所による併合・分割についてです。確かにこれを現実にやろうとすると,それなりに深く関わるということは理解できるのですが,可能性もあるところなので,これも格上げしてはどうかという意見が弁護士会でもあったので申し上げます。 ○新井委員 私の発言は,第15の公益信託の変更について,パブリックコメントに付す際の要望です。   まず,公益信託事務の処理の方法というのと,公益信託事務の処理の方法以外というのと二つに分けたのは,一般の方には分かりにくい点があるかもしれませんけれども,これまでの議論の到達点ですので,これはいいとして,その上でパブリックコメントに付す際に,是非分かりやすい説明をしていただければと思います。   その上で,前者については,行政庁による変更の認可プラス裁判所の信託の変更というのが出てきております。それに対して,後者については行政庁による変更の認可だけで,裁判所の信託の変更を命ずるということはないことになっておりますが,これは一般の方にパブリックコメントで意見を聴くときに,これだけ出されてもなかなか答えようがないのではないでしょうか。なぜ両者が違うかということを,しっかりと理由を述べていただいた上で意見を求めることが必要だと思いますので,そのようにお願いいたしたいと思います。 ○中田部会長 ありがとうございました。 ○吉谷委員 従来述べておりました意見の繰り返しではあるのですけれども,認可当初の信託目的や公益事業の内容を度々変更するとか,委託者の意向によって変更するというような,濫用的なものは行政庁の認可が得られないようにすべきではないかと考えておりまして,このような考え方について,(注)なのか何なのか,何らかの形で示していただければと考えております。 ○棚橋幹事 (注)の格上げについて2点申し上げます。まず1点目は,第15の1の(1)のウの(注)の部分ですけれども,先ほど申し上げた意見と同様で,裁判所の判断対象でない点について意見を聴く理屈の整理がないまま注から本文に格上げすることには難しい面があると考えます。   2点目は,第15の3の「公益信託の併合・分割」の(注)の裁判所による併合・分割命令という点について,部会資料にも記載がありますが,組織変更のように思われますし,信託の目的の変更よりも重大な変更のように思われますので,合意がないのに裁判所が命令できることにすると,私人間の契約関係について,裁判所が新たな契約関係を創造してしまうということになり,監督の域を超えているのではないかと思われますので,その正当化根拠も含めて慎重に検討していただきたいと思います。   また,信託法150条はそのまま併合・分割命令ということの要件には使えないと思いますので,要件が煮詰まっていない段階で中間試案本文に上げることにも難しい面があるように思います。 ○中田部会長 棚橋幹事の御意見は,第15の1(1)ウの(注)については,乙案という形で格上げするのではなくて,(注)にとどめておくべきであると。3の(注),併合・分割命令については,むしろこれは(注)からも落とすべきであるということでございましょうか。 ○棚橋幹事 実際,部会で議論があった点ですので,(注)から落とすことまで申し上げているわけではないですが,こちらの考え方を述べさせていただいたということです。 ○沖野幹事 第15の小野委員の御質問に関してなのですけれども,今回,区分を信託目的の変更とそれ以外というところから,公益信託事務の処理の方法を基準としてそれ以外というふうに分けられたところなのですけれども,それで,合意等の話ですが,元々は目的とそれ以外で分かれていたときには,変更自体は信託法149条2項以下の規律によりまして,信託目的に反しないことが明らかであるようなときには,受託者と受益者の合意でできるといったような規律がベースにあるので,必ずしも3者合意に限らないということで「等」が入っていたのではないかと理解していたのですが,まずそれでよろしいかというのが1点なのです。   それで,そういう理解であればということなのですけれども,そうしましたときに,目的の変更については,それぞれの,いわば主体省略の要件を満たさないので,3者の合意でしかできないということになるのではないかと思うのですけれども,事務処理の範囲の変更などになりますと,目的には反しないことが明らかであるといったような場合が出てくるようにも思われまして,そうすると,元々使い分けていた「合意等」と「合意」というのが必ずしも当てはまらないように思われました。   そうしますと,しかし,2の(1)を「合意等」に改めますと,結局,1の(1)の後が同じになるのではないかと思われまして,あえて分けている意味があるのかと。2の(2)の方は「類似の目的」に変更しますので,目的変更ですから,ここは違ってくると思うのですけれども,少し混乱を招くようにも思いました。元々の「合意等」の理解が間違っていれば,それは前提が違っていますので,確認させていただければと思います。 ○中田部会長 この辺りで事務局の方からコメントを頂きたいと思います。 ○中辻幹事 小野委員,林幹事及び新井委員からは,パブコメにかける中間試案はできる限り分かりやすく作るようにという御指示を頂いたものと受け止めました。   小野委員から御質問のあった「合意等」の意味についてお答えいたしますと,沖野幹事のご理解のとおりですが,少し今回の部会資料では説明をしょってしまったきらいがあって,以前の部会資料42の第1の(注2)では,委託者,受託者及び信託管理人の「合意等」について,委託者,受託者及び信託管理人の合意という,信託法149条1項の場面だけではなく,149条2項以降の,3者合意ではなくて2者合意や信託の目的に反しないことが明らかであるとき等の受託者単独の意思表示も含めた概念を想定していたものでございます。   その上で,沖野幹事がおっしゃられたとおり,第15の2で「委託者,受託者及び信託管理人の合意」と書き,「等」を付けていない理由は,もともとこの項目は公益信託の目的の定めの変更という表題を付け,目的の変更の場合は今申し上げた,信託の目的に反しないことが明らかであるときというような場面は想定できないことから,基本的には3者合意,委託者がいない場合は2者合意で受託者単独の意思表示による変更は認められないという整理をして,あえて「等」を外しているということでございます。   なお,現時点の部会資料は,前と違い公益信託の目的以外の変更か目的の変更かで区別していないこともあり,第15の1と第15の2の違いが分かりにくくなっているというのはそのとおりですし,2(1)についての沖野幹事の御指摘もそのとおりかと思いますので,更に分かりやすくなるよう工夫したいと思います。 ○中田部会長 ほかに御意見も頂いておりますけれども,それも更に検討して,できるだけ次回か,次々回かには何らかの形で応答できるようになるかと存じます。   大分遅くなっておりますけれども,更に第15から第17までについて御意見ございますでしょうか。   ほかにございませんでしたら,では,深山委員と平川委員から御意見を頂いて,そこで休憩に入ることにいたします。 ○深山委員 第17についてですが,また三度(注)の格上げの話で大変恐縮なのですが,先ほども言いましたように,決して全ての(注)を格上げすべきと言っているのではなくて,今回の第17の1の(注)の格上げについては,最も格上げしていただきたいということを申し上げます。   残余財産の帰属先として,委託者等の私人を認めるかどうかということについて,(注)の考え方というのは,一定の場合には認めるという考え方を示すものです。   甲案,乙案というふうにありますので,言わばこれは丙案として並べていただきたいと思います。もちろん,ここの議論も,パブコメの意見も踏まえて,最終的には決まってくるわけですが,私がここで,言わばこの(仮称)丙案にこだわる実質的な趣旨は,これも度々申し上げているように,言わば期間限定の公益信託というものを認めるべきではないか,例えば,10年という確定期限でもいいですし,あるいは委託者が死亡したときという不確定期限でもいいのですが,例えば10年なら10年という期間を限定して,この期間に限って公益信託を設定し,公益に供したいという委託者の意思というものを認めることによって,この制度をそれならば使いたいという人が少なからずいるのではないか,それを認めるニーズはあるのではないかと考えています。   もちろん,いろいろな批判もあるところですが,補足説明には,言わば批判的なことをずらずらっと書いて,従って(注)ですとされています。こういうことで一応(注)に残してはいただいているものの,前回も申し上げたように,もう少しメリット・デメリットみたいなことをニュートラルに書いていただいて,こういうメリットもあるけれども,こういうデメリットもあるというようなニュートラルな書き方をして,意見を取っていただきたいと思います。   この場の議論なりパブコメで,いや,期間限定信託なんていうものは必要ないという意見が大勢であれば,これはいたし方ないのですが,この(注)の書き方あるいは補足説明だけですと,私が言うところの丙案が意図しているところが,恐らく分からないまま葬り去られるのではないかという気がします。それは,やはり私としては納得し難いので,そういう期間限定信託を認める必要があるか,ないかということを土俵にのせた上で,それは要らないというのであれば,それはそれで一つの判断なのだと思います。是非そういう観点で,丙案に格上げするだけではなくて,補足説明の中でも,これを認めればこういうことが可能になるというメリットもありますということを御紹介いただいた上で,他方でデメリットといいますか,問題点があるということももちろん書いていただいて結構なので,例えば税制優遇との関係のことを説明してもらえればと思います。   それから,もう一つ申し上げたいのは,ここでの議論において,信託の設定時に供された財産と,その後入ってきた財産とを会計上も分けなければならないという煩瑣な問題があるという指摘があって,そのこと自体はもっともだと思うのですが,私が想定しているこの場合の例というのは,補足説明に記載されているような,金銭をぼんと信託をして,一定期間それを公益信託において,たとえば10億のうち7億使ってという場合ではなくて,特定の不動産,あるいは動産でもいいと思うのですが,特定の財物を一定の期間,10年なら10年,30年なら30年,公益信託に付するというものです。例えば,アパートのようなものを留学生の学生寮として使うというもので,そのものが終了時に,10年なり30年たったときに,そのままの形で残っている場合に,それを委託者なり第三者に戻すという,そういうことを念頭に置いていて,金銭のような会計上の分別が必ずしも容易でないものとか,あるいは管理上容易でないものまで手間を掛けて区分しておいて,最終的に帰属を分けるということを想定しているわけでもないのです。   ですから,そこは仕組みを仮に作るとしたら,それなりの手当てといいますか工夫をする必要があるのでしょうが,念頭に置いているのは,そういう特定のものが形を変えずに最後まで残っていて,そのまま返すというようなものを想定しております。そのような信託財産を念頭に置いた期間限定公益信託というものについて,あってもいいかどうかということを問題提起した上で,是非を問うていただきたいという意味での格上げ案を御検討いただきたいと思います。 ○平川委員 第17につきまして,甲案を大いに推進したいと考えるものですけれども,先ほど中辻幹事が冒頭で言及されましたように,今後,公益法人認定法改正の際には,公益法人の残余財産を類似の目的を有する公益信託に帰属させることとする条項をリシプロカルに入れる可能性の基となるものですから,公益にささげられた財産の公益な活用が可能となることから,この乙案を推進すべきであると考えます。   ただし,今,深山委員が格上げすべきであるとおっしゃっている(注)の考え方,すなわち公益信託成立後,増殖した財産のみ公益帰属とし,元々の財産は私益に戻り得るという考え方については,制度として複雑化し,公益財産の信託設定後の公益活用を担保できるか否かの問題があることから,(注)に書く程度はよいとしても,格上げすることには反対いたします。 ○中田部会長 ありがとうございました。   更に第17について。 ○道垣内委員 深山委員がおっしゃることはよく分かるのですが,深山委員がおっしゃるとおりに書いたら,それはとてもいいことだというふうに皆さんお考えになると思うのです。しかし,それはキャピタルゲイン課税との関係では,かなり難しい問題が生じると思いますところ,ただ単に税制優遇を伴うことはまず期待できなくなるということだけ書くのではなく,どのような理由でどれだけ難しくなるかということをきちんと書いた方がいいですね。 ○小野委員 今の深山委員の発言を補足するだけなのですけれども,弁護士会での議論でも,米国でも利用例はあって,それで税務上の取扱いも米国ならではの取扱いかもしれませんけれども,信託財産の最低金額を設定するとかのやり方で行われており,決して珍しい,また,あってはならない制度ではないということも付加して,補足説明していただければと思います。 ○吉谷委員 こう申し上げては何なのですけれども,深山委員のおっしゃったような例は,別に不動産を信託しなくても,別のやり方を考えればできるような気が私はしましたので,信託という非常にいろいろな使い方ができる道具ですので,別の工夫をして,同じ目的を実現できれば,別に制度自体を複雑にする必要はないのかなというふうに少し思いましたという感想でございます。 ○渕幹事 私からは二点ございます。一つは今,吉谷委員がおっしゃったことと同じでございます。定期借地権を信託する等のほかの方法を使えば,それほど複雑な制度にせずに,同じことが達成できるのではないかと思う次第です。   もう一つは,第17のところで説明されている,税制優遇のことです。所得税法施行令217条の2を参照して,「税制優遇は期待できなくなる」とはっきり書かれています。先日,藤谷前関係官が雑誌「信託」載せた論文で,税制優遇を公益信託に対して与える前提として,制度の立て付けとしては,まず,公益信託を税法でいう「法人課税信託」という器にのせて,その上で優遇する,というようにしないとうまくいかないだろうということを書いていらっしゃいます。要するに,委託者に帰属したままの財産ではなくて,財産が一旦独立して宙に浮いているのだという状態がまずあって,そのことを前提に,それに対して税制優遇を与えるのだという説明になるのだと思います。   このため,今回,税制優遇が期待できなくなるというのは,程度問題という面ではなく,むしろ,税制優遇の前提となる制度設計の前提が崩れるというような,かなり大きな問題になるかもしれません。   私個人としては,深山委員がおっしゃったような制度設計もありだと思いますし,それで税制優遇が伴わない公益信託というものがあってもいいのかもしれないとは思います。しかし,もしこの補足説明で書かれているように,税制優遇ということを重く見るのであり,かつ整合的な税制ということを仕組もうということを考えるのであれば,やはり以上述べた点は非常に大きいと考えます。 ○中田部会長 ありがとうございました。   大体それぞれのお立場からのポイントというのは,今までも御議論いただきましたし,また,本日,よりそれぞれのお立場が明確になったと存じます。   ほかにないようでしたら,この辺りで,大分遅くなってしまいましたけれども,15分間の休憩を挟みたいと……。 ○小野委員 今の渕幹事の発言に質問があるのですけれども。 ○中田部会長 これはまだ続きそうですから,休憩後にいたしましょう。申し訳ございません。4時15分まで休憩いたします。           (休     憩) ○中田部会長 それでは,時間が来ましたので,再開いたします。   ただ今,部会資料43の第17について御意見いただいていたわけですが,更に小野委員から御発言がおありかと存じますので,お願いいたします。 ○小野委員 先ほど渕幹事のお話を聞いて,今まで目的信託前置の是非の議論とか,公益目的の目的信託の議論とか,あと目的信託と公益信託の違いとか類似の議論をしたときに,誰もが頭にあったのは,現行の目的信託の信託法上の要件の厳格さということのほか,もう一つ,利用されない最大の理由の一つとして,法人課税信託であるということもあったと思います。   これまでこの微妙な論点を避けるべく部会では議論をしてきたと思います。ところが,税法の世界で,公益信託は目的信託の特例であるという扱いをする可能性,また,それが論理的な整合性があるというような趣旨が,多分,先ほどの渕幹事のお話であったと思うのですけれども,それは今までの部会での公益信託は目的信託とは違うのだという議論と大分方向が違うと思います。   ですから,せっかくこれまでの議論が反映されるような形での税制上の扱いをしていただきたいと。そういう観点から今後議論していただければと思いますし,また,部会長を始め事務局の方もその辺を十分留意していただければと思います。 ○渕幹事 先ほど申し上げた話は,「法人課税信託」なので課税が重いというような話ではございません。税制優遇を与えるとした場合に,どういう仕組みで与えるかという話です。特定の個人に帰属したままの財産であるけれども,それを税法上優遇するというロジックは,なかなか実際問題難しいわけです。本当にその人が公益目的に使うかどうか,なかなか分からないわけです。このため,委託者とは離れた財産であるということを前提に,それは良い目的に使われるので,税制優遇を与える価値がある,というロジックの方が,税制優遇を与えるにしても,制度の設計の仕方としてスマートであろう,合理的であろうと,そういうような話でございます。「法人課税信託」なので常に課税が重いということにはならないと思います。 ○小野委員 原則と例外をひっくり返して,例外を原則まで広げれば確かに同じになりますけれども,今,法人課税信託が導入された時点で,公益信託課税が変更にならなかったという現実,また,当然そういうことは一定の理屈があって変更にならなかったと思うのですけれども,それは公益信託が目的信託とは違うのだということが制度の立て付けだったと思うのです。だからこそ,部会での議論も,従前のものをすっかり変えましょうという議論は,もちろん論点としてはありましたけれども,そうはしないというのが,先ほども事務局の中辻幹事から発言ありましたけれども,部会のほぼ一致した意見であり,また目的信託前置とはしないという議論であり,それが部会でのこれまでの議論だったのですね。   ですから,そういう事実も片やあるということ,また,現行の税法上の取扱いにロジックが当然あったはずだということも重く受け止めていただければと思うのです。 ○渕幹事 私,研究者として個人としては,できるだけあらゆる財産を個人に帰属させて考えた方がよいと思っております。しかし,法人課税信託が入ったときもそうですけれども,ここ15年,20年ぐらいの法人税や所得税の制度設計に当たっては,納税義務者の単位に割と簡単に認めてしまって,それから事を考えようというような発想が出てきております。法人税の納税義務者というのが何なのかということについて,非常に深く考えるというよりは,技術的に課税を受ける単位の一つであるというぐらいに軽く考えているというふうな感じになってきております。要するに,法技術的に財産を個人に寄せて考えるのか,個人と独立の団体に帰属する財産として考えるのかという対立軸において,後者が優勢になってきているわけです。   そうすると,今回の公益信託の課税についても,後者の枠組み,すなわち個人とは独立した財産の固まりであるということを受け入れた上で,それに対して税制優遇を与えるという仕組みにした方がいいのではないかというのが,藤谷論文を読んだ私の理解でございまして,そして,それは非常に合理的なのではないかと思います。   要するに,最終的に税制優遇がどのぐらいの程度認められればいいかということが問題なのであって,個人に寄せて考えて税制優遇が余りない場合と,独立した主体と税法上考えて税制優遇がたくさんあるのであれば,恐らく小野委員も後者の方がいいと考えられるのではないかと思います。 ○中田部会長 ありがとうございます。   ここで税制をどうこうすることはできないわけですが,現在の客観的な情勢について今御説明いただいたかと存じます。   ほかにございませんようでしたら,第17までについては以上といたしまして,続きまして,部会資料43の第18及び第19について御審議いただきたいと思います。   事務当局から説明してもらいます。 ○舘野関係官 それでは,御説明いたします。   まず,「第18 公益信託と受益者の定めのある信託等の相互変更等」について御説明いたします。   第18の「1 公益先行信託」の本文は,「公益先行信託について,行政庁が成立の認可を行う制度は設けないものとする」との提案をするものです。   また,本文の提案の括弧内に記載しておりますが,公益先行信託とは,「信託設定当初の一定期間は信託財産の一部を公益目的のために供するが,一定期間経過後は,残りの信託財産を私益目的のために供する信託」と定義しております。   部会資料40の第2の1の提案では,公益先行信託について規律は設けないとしておりましたが,その意味をより明確にするため,第18の1の本文では「行政庁が成立の認可を行う制度は設けない」とする表現に変更しております。   部会資料40の第2の1の提案に対して,第41回会議では,ニーズが不明であること,税制上の問題,法律関係の複雑化等の理由から,公益先行信託を許容すべきでないという意見があった一方,公益先行信託の先行部分については公益信託の実態を有するものであることや,規律を設けないと行政庁の認可を受けない信託が悪用される可能性があることから,規律を設けるべきである旨の意見や指摘もありました。   それらの御意見等を踏まえて再度検討したところ,現在の法制度の下でも受益者の定めのある信託の仕組みを活用して,公益先行信託の趣旨を実現することが可能であることを示すことには大きな意味がありますが,議論の整理のため,公益先行信託の定義を明確にし,その成立を行政庁が認可する制度を設けるか否かを検討することが適切であると考えられます。したがって,第18の1の本文の括弧内のように,公益先行信託を定義しております。   民間による公益活動を促進するための方法の多様化という観点からは,公益先行信託に関する新たな制度を設けることも一つの考え方ではありますが,特に税制優遇を得て私財の蓄積がされる等の濫用を防止するための規定等の複雑な規定を新公益信託法の中に設ける必要があると考えられるほか,「公益先行信託」という名称の下に,委託者以外の第三者から寄附が集まるとは想定し難いですし,行政庁による監督のコスト等に見合った利用がされるかは疑問が残ります。さらに,税法の観点から見ても,私的利用が見込まれる信託が公益信託と同等の税制優遇を受けることは期待できないものとも考えられます。   したがって,第18の1の本文のような提案をするとともに,先ほど申し上げましたように,現時点では,現在の法制度の下でも受益者の定めのある信託の仕組みを活用して,公益先行信託の趣旨を実現することが可能であることを一般に周知することの方が,より適切かつ現実的な方策であると考えられます。   これらの点について,御意見等を頂ければと存じます。   次に,第18の「2 公益信託から受益者の定めのある信託への変更」ですが,部会資料40の第2の2の提案に対して,第41回会議では,これに賛成する御意見が大多数であったことから,細かな表現の修正のみを行い,当該提案の実質を維持した提案をしております。   次に,第18の「3 残余公益信託」の本文は,「残余公益信託について,行政庁が成立の認可を行う制度は設けないものとする」との提案をするものです。   また,本文の提案の括弧内に記載しておりますが,残余公益信託とは,「信託設定当初の一定期間は信託財産の一部を私的目的のために供するが,一定期間経過後は,残りの信託財産を公益目的のために供する信託」と定義しております。   第18の3の本文の提案については,先ほど御説明いたしました第18の1と同様の観点から,部会資料40の第2の3の提案を変更しているのみであり,当該提案の実質は維持しております。   部会資料40の第2の3の提案に対して,第41回会議ではこれに賛成する意見が多数でありましたが,残余公益信託については,後続の公益目的の信託開始時に存在する信託財産の金額が不確定である上,当初の信託設定時に行政庁が認可基準を満たしているか判断することは困難であるとも考えられます。また,後続の信託が公益目的となる以上,先行する私益選択にも一定の監督がされるべきであると考えられますが,そのような監督を行うことは容易ではありませんし,税制優遇を受けることも期待できません。   また,現在の法制度の下でも受益者の定めのある信託の仕組みを活用して,残余公益信託の趣旨を実現することも可能であることから,公益先行信託と同様に,現時点ではそのことを一般に周知することの方が,より適切かつ現実的な方策であると考えられます。   これらの点について,御意見を頂ければと存じます。   次に,第18の「4 受益者の定めのある信託から公益信託への変更」の本文は,まず甲案として,「受益者の定めのある信託について,信託の変更によって受益者の定めを廃止して,公益信託とすることはできないものとする」。乙案として,「受益者の定めのある信託について,信託の変更によって受益者の定めを廃止して,公益信託とすることができるものとする」との提案をするものです。   部会資料40の第2の4の提案について,第41回会議では,甲案,乙案の両案を支持する意見がありましたが,乙案を支持する意見として,会社法上の組織変更に相当するような仕組みが必要となる可能性がある旨の指摘がありました。信託法上は,受益者の定めのある信託と受益者の定めのない信託とは,基本的な点において大きく異なり,信託の変更によってこの両者の間を言わばまたぐようにすることは相当でないと考えられていることから,第18の4の本文の甲案の提案をしておりますが,甲案に対しては,受益者の定めのある信託から公益信託への変更は,政策的な観点から認める余地があるとの指摘が考えられます。   一方,第18の4の本文の乙案は,本部会資料に記載いたしましたような活用事例も考えられる上,税制優遇の観点からも問題はないと考えられます。ただし,乙案を採用した場合,先行する受益者の定めのある信託の受益者の定めを廃止することにより,当該信託の受益権が消滅することになるため,受益者全員の同意が必要であるほか,受益者の債権者を保護するための規定などを設けることを含め,会社の組織変更のように複雑な制度になる可能性があるという指摘があり得ますので,その点に留意して検討する必要があります。   これらの点について,御意見を頂ければと存じます。   最後に,「第19 その他」の論点について御説明いたします。   まず,第19の「1 信託法第3条第3号に規定する方法による公益信託」について御説明いたします。   第19の1の本文は,甲案として,「信託法第3条第3号に規定する方法により,公益信託をすることはできないものとする」。乙案として,「信託法第3条第3号に規定する方法により,公益信託をすることはできるものとする」との提案をするものです。   これらの提案については,部会資料37の第5の1の提案から実質的な変更はありませんが,第37回会議において,委託者が公益信託を支配しないという基本的な考え方に自己信託は合わず,税制優遇も伴わない可能性があるとの御指摘があったことを踏まえ,甲案の理由として,その旨の懸念を付加することが考えられます。   次に,第19の「2 新公益信託法施行時に存在する既存の公益信託の取扱い」について御説明いたします。   第19の2の本文は,新公益信託法施行時に存在する既存の公益信託について,甲案として,「新公益信託法の施行日から一定の期間内に新公益信託法に基づく公益信託への移行の認可を行政庁から受けることを必要とし,移行の認可を受けなかった信託は上記の期間経過後に終了するものとする」。乙案として,「新公益信託法の施行日後に新公益信託法に基づく公益信託の移行の認可を行政庁から受けることを必要とせず,移行の認可を行政庁から受けなかった信託も存続するものとする」との提案をするものです。   部会資料37の第5の3の甲案及び乙案に対しては,第38回会議において,両案を支持する意見が複数ありました。   そこで,第19の2の本文の提案では,部会資料37の第5の3の提案において「認定」としていた箇所を「移行の認可」とするなどの表現の変更をした上で,実質を維持しております。   新公益信託法に基づく移行の認可について,公益信託の受託者の事務負担や,当該事務負担に起因する信託財産の減少を看過すべきでないことは当然ではありますが,本部会資料の第9などで提案をしておりますとおり,新たな公益信託においては,内部ガバナンス体制も大きく変わることが想定されていることから,新公益信託法の施行後には,既存の公益信託にも新公益信託法を適用することが相当であると考えられます。   その点も踏まえ,既存の公益信託に与える影響について慎重に検討した上で,第19の2の本文の甲案を採用する,あるいは特定公益信託の要件を満たしている既存の公益信託について,施行日後に新たに成立する公益信託よりも簡易な手続等により,新たな公益信託の移行の認可を受けることを可能とするような案を検討することも考えられます。   これらの点について,御意見を頂ければと存じます。   次に,第19の「3 罰則」について御説明いたします。   第19の3の本文は,「現行公益信託法第12条の規律を改め,罰則について所要の措置を講ずるものとする」との提案をするものです。   平成18年信託法改正時に本規定が設けられた趣旨及び本部会資料において,現行公益信託法第4条第2項,第6条及び第7条などは,廃止又は改正が検討されていることを踏まえると,公益信託に係る科料について定めている同法第12条も改正する必要があるものと考えられます。   そして,新たな公益信託において,仮に受託者による公告を不要とするのであれば同条第1号の規定は不要となりますが,同条第2号及び第3号の規定については,これと同趣旨の罰則が必要になるとも考えられます。   さらに,公益法人認定法第62条から第66条までの規定を参考として,偽りその他不正の手段により公益信託の成立の認可を受けた受託者に対する罰則などを新設することが考えられます。   なお,現行公益信託法第12条は,平成18年の新信託法制定の際に新設された規定であり,公益法人認定法の罰則規定も平成18年に新設されたものであって,その後10年が経過した現時点において,物価や貨幣価値の変動は大きなものでないことからすると,罰金及び科料の金額は,現状の金額を維持することが相当であると考えられます。   これらの点について,御意見を頂ければと存じます。   また,第19の4において,その他所要の規定を整備するものとすることとしております。 ○中田部会長 それでは,まず「第18 公益信託と受益者の定めのある信託等の相互変更等」について,御審議いただきたいと思います。   いかがでしょうか。 ○平川委員 第18の1,2,3の法務省の提案には賛成いたします。   3の「残余公益信託」について,実際上,残余財産が公益帰属された時点で認可要件を充足するなら,その時点で申請・認可を受ければよいのであって,当初,私益信託の段階で,あらかじめ残余公益信託という形の認可を行う必要はないと考えます。   4につきましては,乙案を推進したいと考えます。これを排除する必要のないことから乙案に賛成するのですが,当初受益者への受益が不要となり,信託行為を変更し,その時点で公益信託の認可をとるという理解を前提としまして,特段これを排除する必要はないと考えます。 ○林幹事 まず,第18の「1 公益先行信託」につきましては,弁護士会の中でもいろいろ議論はあって,この御提案に賛成の意見もあるのですが,何らか規定すべきだという意見もありました。   これについては,従来の部会資料40第1の3の乙案,今回の部会資料43で言えば第17の1(2)の(注)の考え方とも関連して,そちらが認められれば,こちらの方はこの御提案でもよいという意見もありました。そういう意味においては,パブリックコメントの際にどう書くかがありますが,そういう考え方もあり得ることは,何らかパブリックコメントにおいて示していただけたらと思います。   それから,3の「残余公益信託」と,それから4の「受益者の定めのある信託から公益信託への変更」の点ですが,4において,乙案に賛成します。そして,それが認められる限度においては,3の「残余公益信託」は御提案のとおりでもよいというようなことが弁護士会の議論では大勢であったところです。   残余公益信託で言われるように,当初から私益の段階から認可を受ける必要はないというのはそのとおりだと思います。私益から公益に変わるときに認可を受ければ足りるので,そういう意味においては4で十分かとは思います。   補足説明の60ページの下のところで,現行法でも実質的には同じようにできると,私益信託が終了してから公益信託を設定し直せばいいという,そういう趣旨で書かれていて,それはそのとおりだと思うのですけれども,信託として同一性を持ったまま私益信託から公益信託に移行することはあってもいいと思います。   それから,個人的な疑問でもあるのですが,途中で公益信託に変わろうと考えるに至ったときに変更手続するのはいいのですが,当初から,後には公益信託に変わるということを想定して信託設定するということがあり得て,それは恐らく信託として一体性を持って私益信託から公益信託となるのだと思いますし,それにおいては,公益信託に変わるときに認定を受ければいいのですが,そのときに必ず変更手続をとらないといけないのかという点が,若干分からなくて,疑問でもあります。事案によりますし,こういう変更手続もいろいろなパターンがありますから,そこを整理し切れていませんけれども,そういう問題意識は持っています。ただ,取りあえずそれは置いて,4の乙案が認められる限りで,3の御提案も賛成と考えます。 ○中田部会長 ありがとうございました。   ほかに。   内容については,これまで御議論を重ねていただいたところでございまして,さらに,本日頂いた御意見を説明の中に更に加えることはできるかどうかを検討していただくということでよろしいでしょうか。   事務局の方から何かありますでしょうか。   それでは次に,「第19 その他」1から3までございますけれども,どこからでも結構でございます。御意見をお願いいたします。 ○新井委員 1ですけれども,自己信託によって公益信託は設定できるかという点については,甲案を支持したいと思います。   それで,「今回検討すべき事項」のところの説明に,台湾信託法の話が書いてあります。どうして台湾信託法はこういうふうにしたかというと,自己信託の導入をめぐって,非常に激しい対立があったのですね。特に,英米法系の学者は自己信託を導入すべきだと主張して,そうでない学系の学者と非常に抜き差しならない対立があって,その妥協策として,公益法人が自己信託の方法によって公益信託を設定できると条文は作られたのですが,利用例は1件もないと理解しております。公益法人がそういうことをやるのであれば,公益法人自体の活動として行えばいいということで,ほとんど実際には機能していないようです。   甲案支持の理由としては,ここに書いてあるとおりで,委託者が公益信託を支配しないという基本的な考え方に自己信託は合わず,税制優遇も伴わない可能性があるという指摘に全面的に賛成です。   それで,そもそも自己信託ですけれども,相当濫用されているようです。信託協会では多分把握していないと思いますけれども,いわゆる民事信託と言われる分野において,執行免脱とか財産隠匿という形で利用されているという実態があります。ですから,そういう実態を踏まえて,そういう自己信託によって公益信託が設定できるということについては,私は賛成できません。   63ページにその説明がありまして,2行目からこう書いてあります。「本文の甲案の理由としては,自己信託は委託者と受託者が同一であることから,公益信託の信託財産について委託者からの分離が確保されていないとして税制優遇は受けられないことが懸念される」ということなのですが,ここの書きぶりは少しあるいは修正した方がいいように思われます。   私はこの理解でいいと思っているのですが,今回,信託法によって自己信託が導入されました。そこでの考え方は,自己信託であっても,委託者の財産と受託者の財産は分離されているという前提に立って自己信託を導入したのではないかと思います。それをこういうふうに「公益信託の信託財産について」はということで書くと,自己信託一般については分離されていないのかというような解釈もできますから,自己信託というのは財産の分離が明確でないと私自身は思っているのですが,ただ,法務省の立場としては,オフィシャルにはこういう書き方は少し注意した方がよろしいのではないかと思います。   結論としては,私は甲案を支持したいと思います。 ○中田部会長 ありがとうございました。 ○小野委員 全く真逆のことをきちんと申し上げなければいけないのですが,今,新井委員は新井委員のご意見として,自己信託そのものが問題であるから,ましてやといいますか,公益信託で利用することについての問題点という形で指摘されたのではないかと思います。しかし,自己信託制度は十分議論されて,正に法制度として存在しているということは重く受け止める必要があると思います。   濫用事例というのは,具体的事例を取り上げないと分かりませんけれども,それが法律違反的な趣旨での濫用であれば法的な問題があるわけでして,法律に違反している方がいるからといって制度そのものが問題だということになれば,ありとあらゆる制度において同じことが議論されてしまいます。   自己信託制度は制度として存在し,なおかつ詐害信託防止など通常の信託より既にいろいろな措置が講じられており,自己信託はけしからんから,公益信託での利用は許容できないという議論は議論としてふさわしくないと思います。   また,以上の議論とは別として,この補足説明のところで,委託者が信託財産を支配しているという表現が使われていますが,自己信託において一旦設定された後は,受託者は信託財産を受託しているのであって決して支配しておりません。だからこそ信託財産としての法的な独立性が認められる扱いがされるわけでございます。   あたかも自己信託制度そのものがけしからんという前提だと,この支配という概念は当てはまるのかもしれませんけれども,自己信託制度というのは法制度として厳として存在しており,法制度としてはニュートラルであって,そういう観点から,公益信託において利用することのさらに留意すべき点があるや否やということで考えればいいと思います。認定制度を採るわけでして,認定のところで,濫用の危険のあるような自己信託がなされるということになれば,そこでチェックすればよく,誰もが認めるような立派な企業や金融機関が,自ら自己信託によって奨学金制度を作りますといったとき,あなたは悪いことをするのでしょうとか,何か執行免脱の目的でしょうと,そういう議論は当てはまらないと思うのです。   ですから,ここでの議論は,また,新井委員の先ほどの議論もそうですけれども,自己信託というのはけしからん,また,自己信託というのは絶えず何か問題を抱えているのだという議論が出発点になっていますけれども,やはりもう少しニュートラルに書いて,また,ニュートラルな議論をしていただきたいと思います。   私自身としては,ニュートラルな議論をすれば,今の信託制度の中に自己信託は厳として存在する立派な制度でございますから,それを利用して何がいけないのだろうかと。支配するようなことをする受託者がいるとしたら,それは認定のところで排除すべきであってと思います。ということで,是非,書きぶりにおいても,自己信託悪しきという書き方ではなくて,是非ニュートラルの補足説明にしていただければと思います。 ○平川委員 第19の1のただ今の自己信託の点ですけれども,公益信託の法形式として,自己信託を特に排除すべき特段の理由はないものと考えますので,そういう意味では乙案に賛成します。   ただし,無条件に自己信託を認めるというのではなく,やはりガバナンス体制がきちんとしているかとか,そういう点を考慮に入れなければならないと思いますので,イギリスのチャリティのように信託宣言の場合には,不当な管理を回避するために受託者を複数にするとか,私どもがこの部会でずっと言っておりますように,運営委員会を要件にするとか,そういうような,自己信託を認める場合のガバナンス体制についての要件を付加していくべきだと考えます。 ○中田部会長 第19の1について,ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。   ゴチックの部分,甲案,乙案,両論あるということは,今の御議論からも維持するということになろうかと存じます。頂きました御意見を,更に補足説明,これは今回の補足説明が必ずしも中間試案の補足説明になるわけではありませんですし,中間試案の補足説明は参事官室でお書きいただくということになりますけれども,今の御議論を踏まえて,また御検討いただくということになろうかと存じます。   それでは,1について,よろしければ先に進みたいと思います。 ○平川委員 それでは,第19の2につきましては,甲案に賛成するものですが,新公益信託がどのようなスキームとなるかにもよるのですが,新しい形となった場合には,公益法人制度における移行と同様,移行期間を定め,その期間終了後は既存の公益信託を終了する整備方式に賛成いたします。   その理由としましては,新公益信託の認可要件を満たしていない既存公益信託も新公益信託と併存するということは,社会的混乱を惹起するおそれがあると考えるからです。現在の信託銀行受託の公益信託は,全てが助成型であり,信託事務も単一で,財産的にも金銭,その運用対象も金融資産を含んでおりますが,単一であり,特例民法法人の移行と異なり,移行申請手続に過大な事務負担を要するとは考えられないと思うからです。 ○中田部会長 ありがとうございました。   ほかに,既存の公益信託の取扱いについていかがでしょうか。 ○山田委員 中間試案としては,63ページのゴチックの甲案,乙案,両方示して意見を聴くということが,私,積極的によいと思います。乙案を採ってほしいという意見が世の中にどれぐらいあるかということは,考慮したらよいだろうと思います。私自身は甲案がよいと思いますけれども,乙案について意見を言っていただく機会というのを設けるのがいいだろうと思います。   その上で,これはやはり分かりにくいと思うのです。2点あると思います。一つは,乙案の方ですが,移行の認可を行政庁から受けなかった信託も存続するものとすると,全くそのとおりだと思うのですが,結局,現公益信託法に基づく主務官庁による監督が続くと,そして期限なしで続くということになると思います。新たに法律を,今回やろうとしている立法の次にもう一回作って,初めて終わるということになるのかなと思うのです。   乙案が駄目だ,駄目だと言うのはフェアではないと思うのですが,少し乙案の現実的な姿というのをですね。書かれているかもしれませんが,もう少し書いていただくといいかなというふうに思います。   他方で,甲案に関するし,乙案にも関係するのだと思うんですが,移行の認可というのがここで取り上げられています。移行の認可を行政庁が行うという,新たに公益信託について一元的に認可と監督を行政庁がやるというところはそれでよいと思うのですが,補足説明の中に書いてあって,方向が少し別なのですけれども,移行の認可を受けるために信託の変更が必要であるということが問題になると思います。そういう場合がもしあったときにどうするかで,私の理解では,信託の変更の方が論理的に先行しますので,信託の変更は現在の公益信託法に基づいて,主務官庁の許可を得て信託の変更をすることが,何も手当てがないと必要に思われます。その辺りは,行き先が決まっているわけですから,ここでいう行政庁に一元化できるのであれば一元化することが望ましく,そういったことも,それはゴチックではないのですが,中間試案をパブリックコメントに付すときの補足説明に触れていただけると,今の公益信託の受託者は,皆さん,兼営銀行だとするとすぐに分かるのだと思いますが,委託者とか委託者の相続人とかの方々は,もう少しこの問題をよく理解していただけるかなと思います。 ○吉谷委員 山田委員に御指摘いただいた問題意識については,まず共有をしておりましたのですけれども,私が見るところでは,この甲案,乙案には二つの論点があって,認可が必要かどうかということと,旧法適用の公益信託を残すのかどうかという,この2点があると思います。   この提案の問い掛けは,認可の要・不要だけを問うているように見えますので,私どもは今まで,認可は不要であるというふうに申し上げていたのですけれども,その上で,旧法適用ではない,新法適用をするという道もあるのではないかというふうにも考えているところでございます。ですので,二つ論点があると考えてよければ,そのようなことが分かりやすいように,甲案,乙案の解説なのか,何かで示していただければと思います。   認可は不要ということの意味なのですけれども,例えば既存の公益信託は,新法の認可をみなし認可で受けることができるというようなやり方も考えられるのではないかと思っておりまして,それは一体甲案なのだろうか,乙案なのだろうか,どっちなのかというところがよく分からないと思っております。ですので,私は,全て新法に移行していいですとまで,今はまだ言ってはいないのですけれども,そのような二つの論点があるという形で認識しておりまして,それを反映していただければと思います。 ○中田部会長 今の御発言は,乙案の記載の仕方を修正すべきであるということになるのでしょうか。これはこのままで,説明でよろしいでしょうか。 ○吉谷委員 乙案,少し書き方を考えると,また自分でも考えないと,よく整理できないのですけれども,何といいますか,みなし認可で新法適用という道が許されてもいいのではないかということを,意見を募って,それにこたえられるような形の内容になっていればよろしいかと思います。 ○中田部会長 分かりました。 ○長谷川幹事 山田委員がおっしゃられたように,甲案,乙案を両方,中間試案に載せていただくということに賛成でございます。なおかつ,吉谷委員がおっしゃられたように,認可の問題と旧法適用の問題があるというのはそのとおりかと思っておりまして,その点も分かりやすく,補足説明の中でもいいのですけれども,書いていただければと思っております。   あと,恐らく派生的な問題としては,旧法適用を残す場合は,名称を新法適用と異なるものとするかなど,整理が必要な問題もあり得るかと思っております。 ○中田部会長 ありがとうございました。 ○小野委員 事務局への質問となるのですけれども,公益信託は監督とか認可とか,そういう観点からすると,正に規制法というのでしょうか。ですから,その時々の規律に従えばいいと思うのですけれども,ただ,組織法たる会社と違って,元々信託行為,信託契約,私法の範囲でありまして,そうすると,私法のところは,そう易々とこの契約は新法上駄目だよというわけにはいかないと思うのです。そういう観点から見ると,甲案の中で終了するというような規定になっておりますが,本来,有効だった私法上の信託契約をこうやって終了させるというための私法という観点からのロジックに,何となく全体は公益法人法という組織法的な議論をここではしているという観点なのですけれども必要と思います。何か課税では信託を組織法として捉えるという流れがあるようと思われますが,この部会では決してそうではない形で議論してきましたから,そういう観点から,何かきちんと私法上のロジックを考えていただき,そういう説明も補足説明の中でしていただければと思います。 ○中田部会長 御質問ございましたが,樋口委員の御発言いただいてからでよろしいでしょうか。 ○樋口委員 今の御発言で,なかなか甲案,乙案の読み方もいろいろあるのだなと。旧法で,旧法上の何とかっていう発想が私なんかなかったものだから。だって,公益信託というのは,名称独占では別に決まっているわけでしょう。そうすると,旧法公益信託というのが残るという発想は,なかなかユニークでいいですね。それは面白いですね,それが乙案だとするのかなという。   普通は--普通というのは,私が普通でないかもしれないのであれですが,64ページの真ん中にあるように,移行のために,つまり今までやってきた信託よりも簡易な手続で,それを吉谷委員みたいに思い切ってみなしまでいくかどうかはともかくね。簡易な手続で移行させてあげるというのが普通のやり方かなと思うので,普通のやり方ってどうしてかと,ここを言いたいのですけれども。   今回の公益信託法の改正は,やはり私も数だけにこだわっているわけではないけれども,公益信託活動を推進するためのものでないといけない。これは一旦ゼロにするということですよね,基本的に,もし新たに全部という話になるとね。ゼロを472まで本当に戻せるのでしょうか。   我々,先例を持っていますね。公益法人制度というのは,64ページに,2万4,000あった。今,幾つになっていると思いますか。これはきっとここの人たちは御存じなのでしょうけれども,9,400です。4割ぐらいになってしまっているわけですよ,でも公益信託はそもそも472しかないのです。しかし,公益法人は,もしかしたら少しトラの尾を踏んでしまうのかもしれないけれども,本当は2万4,000あるべきではなかったものも一杯あるのかもしれない。だから,9,400は適正な数なのかもしれないけれども,私は,吉谷委員に補足してもらいたいけれども,私らが知っている限りは,公益信託で不祥事があってという話は余り聞いたことがなくて,470というのは先ほどのほとんど助成型で,やはり資産を投げ打って,それを誰かに,とにかく基金として分け与えているというようなものがほとんどで,それを今更もう1回,ここにあるように,この移行の過程を,認可を受けることに伴う事務負担や,当該事務負担に起因する信託財産の減少だって,しかも公益信託って小規模で,それでなくたって財産がないということは分かっているのではないですか。   それで,470しかないということも分かっていて,470しかないから面倒掛けさせようという逆の,2万4,000だから5年も掛かったけれども,つまり発想が,470を減らそうと思っているのですかという,これね,公益信託潰しみたいな感じがするのですよね。それはやはりどうなのかというのは,少しついでに言うと,多分,公益信託も,今どんな法律もあるから,3年間だか5年間で見直し規定というのが入るのでしょう,多分。入らないのかな,こういう特別な立派な法律は。普通の業法は全部入るわけですよね。そうすると,3年ないし5年たったところで,470が幾つになっているかという話。もし,こんな仰々しく条文を一杯並べた挙げ句に3分の1になりました。これは,やはり立法者の失敗ではないでしょうか。そんなふうな方向で物事を考えるのがどうなのかなという気がするということです。   特に今,だから,もう1回繰り返しますけれども,そこにきちんと書いてあるように,特定公益信託ということかもしれないのですけれども,要件を満たしている既存の公益信託については,施行日後に簡易な手続で移行する。とにかく余りコストも掛からないというようなことで,これを470を出発点にしてどうやって増やしていくかということを考えていくのがいいのではないかなと考えました。 ○中田部会長 それでは,ただ今の小野委員の御質問,そのほかの委員,幹事の御発言について,事務当局の方からコメントを頂きます。 ○中辻幹事 小野委員から,公益信託は公益法人の組織法と違い私法上の契約の面があり,既存の公益信託を終了させる方向での議論は避けるべきであるという御指摘があり,また,樋口委員から,できるだけ既存の公益信託を生かしていくべきではないか,増やしていくべきではないかというお言葉をいただきました。事務局としてはいずれもそのとおりであると考えておりますし,特に,立案担当者としては公益信託がより皆様に活用されるものになって欲しいという想いを強く持っているのでありまして,新たに認可を受けることでそれが減少してしまうというのは本末転倒の事態であると思います。   その上で,旧主務官庁から許可を受けた公益信託がなんらの手続なしに新制度の下で存在し続けるというのは,あまり望ましくないのではないかとも考えていて,樋口委員のおっしゃったとおり,公益法人制度改革のときには,不適格な公益法人を振り落とそうという面があり,それは公益信託であってもしかるべきだと思いますが,現状を捉まえれば,現在の公益信託はほとんど信託銀行が受託者となっていることもあり,昔の公益法人に比べれば不祥事みたいのはごくわずかというかあまり聞いたことがございませんので,そのことや先ほどの山田委員のご示唆も踏まえて,届出など簡易な手続も含めて既存の公益信託から新たな公益信託への移行の方法については引き続き検討してまいりたいと思います。 ○道垣内委員 「みなし」というか,何もしなくても自動的に新法公益信託になるというのは,ほとんどの場合それでよろしいのでしょうけれども,私,現状をよく知らなくて恐縮なのですけれども,現在の公益信託においては,信託管理人の定め,あるいは残余財産の帰属すべき者の定めというのは存在しているのですか。 ○中田部会長 もし御存知の方がいらっしゃいましたら,吉谷委員,よろしいでしょうか。 ○吉谷委員 信託管理人は,私の知る限りでは全てに存在していますし,残余財産についても何らかの定めを置いてあると思います。 ○道垣内委員 そのときには,国又は地方公共団体,あるいは当該公益信託と--それは甲案,乙案あるのですが--類似の目的を有する他の公益法人とか,そういう形になっているのですね。はい,分かりました。 ○中田部会長 道垣内委員の御指摘は,現在どうかということについてですが,理屈の上では新法の基準に合致していない公益信託もあるかもしれない,それについて仮に乙案のような考え方を採った場合に,何らかの手当てが必要ないだろうかと,こういう御指摘だということでしょうか。 ○道垣内委員 そのとおりですね。チェックを何らかの形で掛けると,申請手続を同じようにして,何かいろいろしなければいけないというのではなくて,簡易にするということは十分に考えられるのですが,強行法規の基準を満たしているかというチェックのシステムというのは,どこかに置かないと多分駄目なのではないかなという気がします。 ○中田部会長 ありがとうございました。   ほかに。 ○深山委員 既に議論されているところの確認なのですけれども,乙案で想定している特段の移行の認可を受けなくとも存続する信託というのは,先ほど話の出た旧法に基づく信託としてという意味ではないというふうに理解をして読んでいたのですね。そこが旧法信託として残るという考え方と,当然に新法信託になって残るというものが,もし両案あるのであれば,そこは乙案が更に二つに分かれるということだと思うのですが,旧法信託として残るという案はないのだとすれば,そのことは少し説明した方がいいと思うのです。   他方で,先ほどの小野委員の指摘であったのですが,法人格の問題である法人の議論と違って,契約ですから,旧法下で成立した契約というのは,法律が新たになったからといって,当然に新法下での契約にはならないというのが一般論としてはあると思うのですね。そうだとすると,何らかの法的手当てで,旧法下の信託契約であっても新法が適用されるということは,立法技術的には何か手当てをしないと,既存の信託が新法下で新法の適用を受けるということにならないような気がしたものですから,少しそこの整理をお願いしたいと思います。 ○中田部会長 甲案について,これを支持される御意見があった一方,乙案については,このままだと分かりにくいということをいろいろな角度から御指摘いただいたのだと思います。乙案自身の表現,あるいはその説明について,更に検討していただくということになろうかと存じますけれども,この2について,ほかに御意見ございますでしょうか。 ○道垣内委員 乙案が言葉が分かりにくいというのは,甲案に言葉をそろえたからだろうと思います。したがって,無理のないところもあるのですけれども,乙案自体は旧法信託として存続するという案なわけでしょう。違うのですか。必要とせず,そのまま信託が存続するということではないのですか。 ○中田部会長 今のような御指摘が出ること自体が,乙案について不明確な点が多分あるのだろうと思います。それで,補足説明の中でも,旧制度と新制度のというようなこともありますので,いずれにしても,ここはもう少し明確にする必要があるということが今日の御審議で出てきたと思いますので,それは検討していただこうと思います。   ほかに,第19の2について,よろしいでしょうか。   それでは,また戻っていただいても結構ですけれども,残りが第19の「3 罰則」と「4 その他」の全体を通しての御意見を頂ければと存じますが。 ○吉谷委員 第19の4の意見なのかどうかは少し分からないのですけれども,中間試案として世に出されるときに,公益信託が税法上の優遇措置が適用になるとか,税の認可と一体になっているとか,そういうことを視野に入れるべきだということで最初,資料の第1回のときで言っていただいていたと思います。その考え方というのはやはり変わらないと思いますので,仮にこの4でいうのだとしたら,公益法人認定法58条のような,「所要の税制上の措置を講ずる」というようなものを入れるということになりますし,ここではなくて,あるいは前書きみたいなところで,何かそういうベースの考え方があるのだということを書いていただくというようなことが分かりやすいのではないかなと思います。 ○中田部会長 ほかにございますでしょうか。 ○小野委員 私の記憶ですと,公益認定はとっているのだけれども,税制上の特定はとっていないものが幾つか,何十件かあったかと思うのです。ですから,今の吉谷委員の恐らく発言されたことの延長だと思うのですけれども,そういうものが不利にならないような形で,何かきちんと対応する。新制度ですということで,今までオーケーだったものがオーケーではなくなるというものは,特にそれが問題になっているわけではないので,不合理かと思いますので,その辺も配慮していただければと思います。 ○中田部会長 審議の進め方の問題と部会の中間試案という形での決定で,どの辺を書くかというのとまた少しずれがあるかもしれませんで,いろいろ難しいことがあろうかと思います。ただ今のお二人の御意見を承ったということにさせていただきます。   ほかに。   ここまでのところで,事務局の方から何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。   以上で予定した審議は全て終えたわけですが,部会資料43の全体を通じて,もし言い残したような点がございましたらお出しいただければと思いますが,特によろしいでしょうか。   よろしければ,本日の審議はこの程度にさせていただきます。   最後に,次回の日程等について,事務当局から説明してもらいます。 ○中辻幹事 次回の日程ですけれども,11月7日(火曜日)午後1時半から午後5時半まで,場所は,法務省15階の第1531会議室を予定しております。   次回は,部会資料43「中間試案のたたき台(1)」について前回と今回にかけて頂きました皆様の御意見をできるだけ反映する形で,事務局の方で「公益信託法の見直しに関する中間試案のたたき台(2)」と題する部会資料44を用意いたしまして,皆様に御審議いただくことを予定しております。 ○中田部会長 ほかにございませんでしょうか。   それでは,本日の審議はこれで終了といたします。本日も熱心な御審議を賜りまして,ありがとうございました。 -了-