『月報司法書士623号』特集デジタル遺産

『月報司法書士623号』特集デジタル遺産、2024年1月、日本司法書士会連合会

「デジタル遺品(デジタル遺産)とは?」弁護士・公認会計士 伊勢田篤史

デジタル遺品という用語を使用する理由・・・金銭的価値に限らない、という意味で。

 オンラインのデジタル遺品

 原則として相続の対象、例外的に、各アカウント(契約)が一身専属性を有する場合には、相続の対象から外れる。・・・民法896条を根拠としていると思われます。一身専属「性」というものが分かりませんでした。

LINEヤフー共通利用規約

https://terms.line.me/line_terms?lang=ja

4. アカウントの登録情報

4.1. アカウントを登録していただく場合、(1)真実かつ正確な情報を登録していただくこと、(2)登録内容が最新となるようお客様ご自身で適宜修正していただくことがお客様の義務となります。

4.2. アカウントを登録したお客様は、いつでも当該アカウントを削除することができます。

4.3. アカウントの登録が必要な当社サービスにおけるお客様のすべての利用権は、理由を問わず、アカウントが削除された時点で消滅します。お客様が誤ってアカウントを削除した場合であっても、アカウントの復旧はできませんのでご注意ください。

4.4. アカウントは、お客様に一身専属的に帰属します。アカウントの登録が必要な当社サービスにおけるお客様のすべての利用権は、第三者に譲渡、貸与その他の処分または相続させることはできません。

 利用規約に、一身専属的に帰属する、のような文言がなくても、サービス提供者から相続が否定されることもある。

 スマートフォン、PCのログインロック機能を外せないと、対応が出来ない。

 データ復旧に20万円から30万円、期間が半年から1年間・・・ソースはどこなのか、分かりませんでした。

ネット証券口座の発見が遅れる可能性。

ログインパスワードを共有する方法

・物に書く

スマホのスペアキー®

https://www.ysk-furuta.com/download

・士業などとの死後事務委任契約、生命保険の担当者へ共有・・・守秘義務があるのかな、義務違反の場合の措置については、別途契約で定めるのかな、と思いました。公正証書遺言や自筆証書遺言書保管制度を作成される方なら、遺言書に記載しても良いのかなと思いました。

・WEBサービス

Digital Keeper

https://digitalkeeper.jp/

まもーれe

https://www.mamowle.com/

中央大学総合政策学部、宮下紘教授「デジタル遺産とプライバシー保護」

・民法上の相続に関する論点と個人情報保護法のアクセス権に関する論点を区別。

個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)

平成28年11月(令和5年12月一部改正)個人情報保護委員会

https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/

人の死後、故人の人格権で保護すべき情報などが第三者から開示された場合に、故人の相続人から権利侵害を主張される可能性。

デンマーク – データ保護の概要

https://www.dataguidance.com/notes/denmark-data-protection-overview

デンマークでは、GDPR と同法が、死亡した個人に関する情報の処理に、死亡後10 年間適用されます (同法のセクション 2(5) を参照)。

エストニアデータ保護法

https://www.riigiteataja.ee/en/eli/507032016001/consolide

§ 13. データ主体の死亡後の個人データの処理

 (1) データ主体の死亡後、データ主体に関連する個人データの処理は、同意がない場合を除き、データ主体の後継者、配偶者、子孫または尊属、兄弟または姉妹の書面による同意がある場合にのみ許可されます。個人データの処理に必要な場合、またはデータ主体の死亡から30年が経過した場合。複数の後継者または本サブセクションで指定されたその他の人物がいる場合、データ主体の個人データの処理は、そのうちのいずれかの同意を得て許可されますが、各後継者は同意を撤回する権利を有します。

 (2) 処理される個人データにデータ主体の氏名、性別、生年月日および死亡の事実のみが含まれる場合、本セクションの第 (1) 項に規定される同意は必要ありません。

ドイツ

・Facebook判決

フランス

データ処理、ファイルおよび自由に関する 1978 年 1 月 6 日法律第 78-17 号

https://www.legifrance.gouv.fr/loda/article_lc/LEGIARTI000039280582

第85条2020 年 1 月 1 日から有効なバージョン

2019 年 9 月 18 日の注文番号 2019-964 により変更 – アート。35 (VD)

I.誰でも、自分の死後の個人データの保存、消去、通信に関するガイドラインを定義できます。これらのガイドラインは一般的または具体的です。

一般指令は、関係者に関するすべての個人データに関するものであり、国家情報技術自由委員会によって認定された信頼できるデジタル第三者機関に記録される場合があります。

一般指令の参照およびそれらが登録されている信頼できる第三者は、単一の登録簿に入力されます。その条件とアクセスは、IT と自由に関する国家委員会の論理的かつ公表された意見に基づいて、国務院の法令によって定められています。

特定の指令は、これらの指令で言及されている個人データの処理に関するものです。これらは、関連するデータ管理者に登録されています。これらは関係者の特定の同意が必要であり、一般使用条件の単独の承認から生じるものではありません。

一般的および特定の指示は、個人が死後に本タイトルの第 2 章に記載されている権利を行使することを意図する方法を定義します。これらの指令の遵守は、個人データを含む公的アーカイブに適用される規定に影響を与えるものではありません。

指令に第三者に関する個人データも含まれるデータの通信が規定されている場合、この通信はこの法律に従って行われます。

個人はいつでも自分の指示を変更または取り消すことができます。

この第 1 段落に記載されている指令には、その実行の責任者を指定することができます。後者は、その人が死亡したときに、指令を読み、関係するデータ管理者にその実装を要求する権利を有します。指定がない場合、または別段の指示がない限り、指定された人物が死亡した場合、その相続人は作成者の死亡時の指示を書き留め、関係するデータ管理者にその履行を要求する権利を有します。

本条に基づいて個人に認められる特権を制限する個人データの処理に関する一般使用条件の契約条項は、不文とみなされます。

II.- 指令またはこれらの指令にこれに反する記載がない限り、関係者の相続人は、必要な範囲で、その死後、本編 II の第 2 章に記載されている権利を行使することができます。

1故人の遺産の整理と清算。したがって、相続人は、遺産の清算と共有に役立つ情報を特定し、伝達するために、自分に関係する個人データの処理にアクセスできます。また、相続人に譲渡可能なデジタル資産や家族の思い出に似たデータの通信を受信することもできます。

2 データ管理者がその死を考慮する場合。そのため、相続人は故人のユーザーアカウントを閉鎖させたり、故人に関する個人データの継続処理に反対したり、更新させたりすることができます。

相続人が要求した場合、データ管理者は、要求者に費用を負担することなく、前段落に従って要求された操作を実行したことを証明しなければなりません。

この II に規定されている権利の行使に関する相続人間の意見の相違は、所轄の司法裁判所に持ち込まれます。

III. – オンライン公衆通信サービスのプロバイダーは、ユーザーの死亡時のユーザーに関するデータの運命を通知し、ユーザーが指定する第三者に自分のデータを通信するかどうかの選択を許可します。

・イタリア

 Apple判決。

イタリアの個人データ保護法

立法令第 2 号 2003 年 6 月 30 日の 196

http://www.privacy.it/archivio/privacycode-en.html

・アメリカ

 受託者に対し、原則としてアクセス権限定付与。

デジタル資産への受託者のアクセスに関する2015年統一州法・・・原文を探すことが出来ませんでした。

・カナダ

 原則として死後20年以内の個人の情報は、本人の同意なしに開示することを禁止。

 個人情報保護法原文を探すことが出来ませんでした。

・日本の今後

 立法解決。

 財産的性格がある権利については、相続可能、という構成に。

 憲法21条通信の秘密との整合性をクリアすること。

北川祥一弁護士「デジタル遺産の実体の把握と探知・相続の留意事項(デジタル遺産各論を中心に)」

 専門家にも、サービスの技術的側面に関する一定の理解が必要(暗号資産に対する権利の法的性質は、債権では観念できないと解されることなど。)。

 暗号資産(仮想通貨)

資金決済に関する法律

(定義)

第二条 この法律において「前払式支払手段発行者」とは、第三条第六項に規定する自家型発行者及び同条第七項に規定する第三者型発行者をいう。

2項から13項略

14 この法律において「暗号資産」とは、次に掲げるものをいう。ただし、金融商品取引法第二十九条の二第一項第八号に規定する権利を表示するものを除く。

一 物品等を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨、通貨建資産並びに電子決済手段(通貨建資産に該当するものを除く。)を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

参考

森勇斗「暗号型財産の法的性質に関する「物」概念からの再検討-民法85条の趣旨に関する制定過程からの問いかけ;暗号通貨(仮想通貨)にかかる議論を踏まえ―」一橋研究 第45 巻1・2 合併号

 無体物なので、所有権ではない。特定の運営者・発行者(相手方)がいないので、債権ともいい難い。

 暗号資産交換業者を通じた取引か否か。Email、ブックマークなどからの探知。

 契約上の地位を相続人に移転すると規約がある暗号資産業者もある。まずは取引所への問い合わせ。

Bit bank

https://bitbank.cc/about/tos/bitbankcc/

利用規約3条7項

ユーザーは、本規約に基づく法的地位を第三者に移転し、本規約に基づく権利義務を、第三者に譲渡、貸与、移転、担保設定その他処分等をすることはできません。ユーザーについて相続が発生した場合、相続人は、当該ユーザーの退会を行う前までに、相続法令の定めに従いかつ当社所定の手続を行うことにより、被相続人の保管資産を承継することができます。

 ウォレット・・・暗号資産の管理に使われる。

 シードフレーズ・・・ウォレットを紛失したり削除したりしてしまった場合に、復元にするために必要な単語。

Crypto Seed Bank 暗号シードフレーズ保管用スチールプレート

著作権者との間で、別途著作権譲渡等の契約が必要との指摘。

HEXA ファン会員利用規約(=購入者利用規約)

 第12条(利用制限および登録解除)

当社は、ファン会員が次の各号のいずれかに該当する場合には、事前の通知なく、直ちに本サービスの全部もしくは一部の利用の制限もしくは停止、または会員登録を取り消すことができるものとします。その場合、当社は、当該ファン会員に関する全ての登録情報を削除したり、公開している情報については公開停止したりすることができます。

死亡した場合

第21条(本NFT、コンテンツに関する権利の帰属)

ファン会員が本サービス上で購入した本NFTを保持する権利については、購入代金の支払決済の完了時にファン会員に譲渡され、同時にファン会員に帰属するものとします。

前項に定める以外の、コンテンツおよび本サービスに関する商標、画像、動画、広告、デザイン等に関する著作権(著作権法第27条および第28条に定める権利を含む)、商標権その他全ての知的財産にかかる一切の権利は、当社に原始的に帰属します。ただし、インフルエンサー会員が自ら創作した物にかかる権利については、当該インフルエンサー会員に帰属するものとします。

ファン会員は、前項により当社に帰属する権利について、本サービスの利用期間において本サービス内においてのみ、当該権利を利用することができます。ただし、利用形態について当社が不適切と判断し、通知した場合、ファン会員は当該利用を直ちに中止するものとします。

本サービスに関連して使用されている全てのソフトウェアは、知的財産権に関する法令等により保護されている財産権を含みます。

ファン会員は、当社および著作権その他の財産権を有する第三者から利用・使用を許諾されている場合または法令により使用が許容されている場合を除き、本サービスに関連して使用されるすべてのソフトウェアの内容を複製、編集、掲載、公衆送信、配布、販売、提供、翻訳その他あらゆる使用形態および目的で利用してはなりません。

ファン会員が前項に違反する行為によって被った損害については、当社は一切の責任を負わないものとします。また、ファン会員が当該行為によって利益を得た場合、当社はその利益相当額を請求できる権利を有するものとします。

・WEBサイト、関連データ

 著作権の相続可能性有り。レンタルサーバー・プロバイダ事業者との契約関係。残したい場合、クレジットカード凍結に注意。

・オフラインデータ

 ロック解除が最初。民法252条但し書きの保存行為に当たる可能性があるが、データ消去のリスクを考えると、専門業者に委託するとしても、相続人全員の同意を得て行うことが望ましい。

戸村涼子税理士「デジタル財産の税務」

遺産は、相続税法は財産、法人税法は資産。

・オフライン上のデジタル財産

 オフライン上のハードウォレットは、相続財産として申告が必要。

YouTubeなどデジタルコンテンツを適正に財産評価するべきケースが、今後出てくる可能性。

 相続人の居住国。

・相続税の課税対象の可否

国税庁

暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和5年12月)

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kakuteishinkokukankei/kasoutuka/

4 相続税・贈与税関係≫

4-1

暗号資産 を相続や贈与 により 取得した場合 〔令和4年 1 2 月更新〕

 暗号資産を相続や贈与により取得した場合の課税関係はどうなりますか。

 被相続人等から暗号資産を相続若しくは遺贈又は贈与により取得した場合には、相続税又は贈与税が課税されます。

 相続税法では、個人が、金銭に見積もることができる経済的価値のある財産を相続若しくは遺贈又は贈与により取得した場合には、相続税又は贈与税の課税対象となることとされています。

 暗号資産については、決済法上、「代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる財産的価値」と規定されていることから、被相続人等から 暗号資産を相続若しくは遺贈又は贈与により取得した場合には、相続税又は贈与税が課税されることになります。

(注)暗号資産の贈与等をした個人の課税関係

 個人が、贈与( 相続人に対する死因贈与を除 ます 。)又は遺贈(包括遺贈及び相続人に対する特定遺贈を除 きます 。)により 暗号資産を 移転させた場合には、 所得税の計算上、その 贈与又は遺贈の時における暗号資産の価額(時価)を総収入金額に算入する必要があります 。詳しくは、「 2- 10 暗号資産 を低額 (無償 譲渡 等 した場合の取扱い」をご覧ください。

【関係法令等 】相法2、2の2、相基通達11 の2-1

NFT

 国税庁 NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)

 問9 NFTを贈与又は相続により取得した場合の贈与税又は相続税の取扱いを教えてください。

(答)個人から経済的価値のあるNFTを贈与又は相続若しくは遺贈により取得した場合には、 その内容や性質、取引実態等を勘案し、その価額を個別に評価した上で、贈与税又は相続税が課されます。

国税庁 法令解釈通達

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/06/03.htm#:~:text=135%20%E6%9B%B8%E7%94%BB%E9%AA%A8%E3%81%A8%E3%81%86%E5%93%81%E3%81%AE,%E5%8F%82%E9%85%8C%E3%81%97%E3%81%A6%E8%A9%95%E4%BE%A1%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%82

(書画骨とう品の評価)

135 書画骨とう品の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。

(1)書画骨とう品で書画骨とう品の販売業者が有するものの価額は、133≪たな卸商品等の評価≫の定めによって評価する。

(2)(1)に掲げる書画骨とう品以外の書画骨とう品の価額は、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。

デジタルコンテンツ

国税庁法令解釈通達

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/07/01.htm

第1節 特許権及びその実施権

(著作権の評価)

148 著作権の価額は、著作者の別に一括して次の算式によって計算した金額によって評価する。ただし、個々の著作物に係る著作権について評価する場合には、その著作権ごとに次の算式によって計算した金額によって評価する。(昭47直資3-16・平11課評2-12外改正)

 年平均印税収入の額×0.5×評価倍率

 上の算式中の「年平均印税収入の額」等は、次による。

(1) 年平均印税収入の額

 課税時期の属する年の前年以前3年間の印税収入の額の年平均額とする。ただし、個々の著作物に係る著作権について評価する場合には、その著作物に係る課税時期の属する年の前年以前3年間の印税収入の額の年平均額とする。

(2) 評価倍率

 課税時期後における各年の印税収入の額が「年平均印税収入の額」であるものとして、著作物に関し精通している者の意見等を基として推算したその印税収入期間に応ずる基準年利率による複利年金現価率とする。

隂山克典日本司法書士会連合会常任理事「デジタル遺産の相続に関する連合会の対応について」

 電子契約システムの開発着手。相続人にとって不利益な規約・条項について、連合会から訂正申し入れを行う場合もあることを想定。

参考

Internet watch デジタル遺品

https://internet.watch.impress.co.jp/category/topic/digitalremains/

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