「家族信託ファクトブック2020―第3章 アンケートデータでみる家族信託(2020)―」より

「家族信託ファクトブック2020」(2020年11月、一般社団法人家族信託普及協会)からです。

Q1 これまでに家族信託に関連したご相談はどれくらいありますか

Q2 その中で信託組成に至った件数は何件ですか

Q3 家族会議を開催する割合をお教えください

Q4 家族信託に関するご相談はどういうルートで受けられることが多いですか

Q5 家族信託の組成や相談を進めるうえで、困ったこと、阻害要因となったことはありましたか

Q6 家族信託の相談ではどのような内容のものが多いですか

Q7 組成の継続フォローは確実に行われていますか

Q8 信託口口座を開設できた金融機関をお答えください

Q9 口座開設におけるお困りごとを教えてください

Q10 口座が開設できなかった場合はどうされましたか

また、抵当付不動産について債権者の承諾は得られましたか

承諾を得られなかった場合の対処法をお答えください

Q11 協会にどのようなサポートを期待されているかをお答えください

(回答総数300 件)

Q1、Q2、については、多いのか少ないのか、自主申告であることなどからよく分からない部分があるので、感想はありません。グラフを観ていると年々増えている、年に1人一件くらい新規で信託行為を設定している、というようなことが何となく分かります。Q3の家族会議については、年に一度は専門家同席のもと、話し合いの場を持ちましょう、という顧問契約のようなものだと思います。どのような内容で行うかは記載されていないので、特別に思うところはありませんでした。約3分の1(約100名)の方は必ず実施している、と回答されています。

Q4の相談が寄せらせるルートについて

 ここは、結構散らばりがあって興味深くみていました。大まかに5つに分かれるようです。自社チラシ、HP、既存顧客への提案、取引先からの提案、セミナーなどの参加者、その他(協会からの紹介、金融機関からの紹介、新規先への提案など)。

取引先からの提案、セミナーなどの参加者という枠の中に、おそらく士業、不動産会社などからの紹介も入っているのだと思いました。「提案」という中には、制度の紹介や遺言などの相続関係の相談を受けた際に提案してみた、というものも含まれれるのではないかと想像します。家族信託・民事信託のみをいきなり提案しても説明が大変だと思いますし、相談した方も理解が難しいのではないかと考えるからです。

アンケート調査については、大体納得できる印象です。

 抜けている、というか私が関心を持っているのは、共同受任、業務提携、リーガルチェック、同業向けセミナー、学校という名前がついたサービスについてです。情報が入ってくる限りでは1,000件/年くらいあるように思います。色々なことを考える発想力は凄いなと思いますが、少なくないお金を払う同業者にとって本当に利益になっているのか、私には分かりません。特に去年の合格者に対して営業をかけている場面を観てからは、おいおいおいと感じてしまいました。司法書士会主催の研修と書籍、出来れば自分の名前で発信するメディアを持つこと(紙、各種ブログサービス、ホームページ、SNSなど)で充分足ります。

Q5について、本人の理解、家族の理解、抵当付き不動産、公正証書の作成実務、農地の信託財産化、税理士弁護士の理解、組成コスト、金融機関による受託者への融資、信託登記手続き、信託契約書の作成実務、金融機関での口座作成実務、本人の判断能力の低下、受託者のなり手などが挙げられています。

この中で私が重要だと考えるのは、本人の判断能力の低下と家族の理解です。本人の判断能力が低下している場合、信託行為自体の有効性が疑われてしまいます。信託行為の内容でどれだけ考えても無駄になってしまいます。また本人の判断能力の判断能力の低下は、家族の理解(意向)との齟齬を招く可能性があります。

Q6については、認知症対策が50%を超えています。大きな括りで考えると、将来への不安を一定限度ではありますが軽減するため、と考えてよいと思います(保険と近い)。

Q7について、6~7割以上が適切なフォローを実施している、と記載されています。これは質問するとしたら依頼者だと思います。

Q8について、口座が開設できない場合は受託者の個人口座や屋号の口座を適用するなど、柔軟にご対応されており、信託口口座ができないことを理由に組成をあきらめるケースは6%、と記載があります。受託者の個人口座や屋号口座について、私は否定的です。沖縄県内の金融機関のほとんどが信託口口座を作成可能なことは、恵まれているかもしれません。また最近はインターネットで信託口通帳を作成可能な金融機関も出てきているようなので、場所を問わなくなってくるのだと思います。抵当付不動産で債権者の承諾を得られなかった場合が3割近くあるということは、少し驚きを持ちました。金融機関にとって不利なことは少ないと思います。受託者の特性や遺留分など、何かしらの要因が重なっているのではないかと考えます。

Q11についての記載を探すことは出来ませんでした。

「家族信託ファクトブック2020」第2章 家族信託が必要とされる背景

「家族信託ファクトブック2020」(2020年11月、一般社団法人家族信託普及協会)からです。

少子高齢化の現在、確かに現役世代の支えるべき高齢者の数は増大していますが、その分、未成年者の数は大きく減少しているために、トータルでの社会コストとしてみると、実は1965 年の時点と現代、そして近い将来を考えても、就業者1 人が支えるべき非就業者の人数には、大きな変化は見られないのです。

 

 何か違う感覚を持つのは私だけでしょうか。国民年金保険料、国民健康保険料の額が、最初に払い始めた20歳の時より、5,000円/月位高くなっていると思うのですが。高齢者の医療費と年金を合わせた額と、未成年者の医療費と教育費などを合わせた額の比較で決まるのかなと感じました。

ただ、「就業者が非就業者を支える」という視点に環境適応の緒を見出そうという動きが起こっていることも確かです。加えて新たに現役世代の負担感を減じるような施策が打たれ、たとえば「高齢者の保有する金銭的、人的リソースがうまく社会で活用され、循環させられる制度」がありさえすれば、未来は変えていけるかも知れません。

 「高齢者の保有する金銭的リソースが上手く社会で活用され、循環させられる制度」の選択肢の1つとして家族信託がある、ということだと思います。このような書かれ方の場合、金銭的リソースを保有しない高齢者には、家族信託を利用する選択肢は(ほとんど)ない、ということも出来ます。

世帯主の年代別に、平均してどの程度の資産を保有しているかをみたものが以下のグラフです。

現役世代、たとえば40 歳代が平均で2,909 万円(金融資産588 万円、不動産等実物資産2,321 万円)程度であるのに対し、60 歳代は4,649 万円(金融資産1,509 万円、不動産等実物資産3,140 万円)と、とくに金融資産では3 倍近く差が開いていることがわかります。

この25 年間で60 歳代以上の資産はほぼ倍増、個人資産全体の約6~7 割を占めるに至り、個人金融資産約1,700 兆円中1,000 兆円あまりが高齢者層の保有、個人宅地資産も、約900 兆円中520 兆円が同じく高齢者層の保有となっています。

 私の個人的な感触は、簡単に高齢者が自身の所有する財産を次世代に引き継ぐとは思えません。何かしらの安心が必要だと感じます。私が所有していても子供に管理してもらうか、といったら自分で出来る間は自分で管理したいと思います。おそらく、自身に大きな疾患が見つかった場合(ステージ3の癌など。)は、今のうちに動いておこう、となるかもしれません。その次に、身近な親戚、友人知人の病気や死、相続で争った(財産の所有に拘って争った)ことを経験した・聞いた場合には、ちょっと考えないといけないのかな、と思うかもしれません。

認知症発症により“塩漬け”とされる高齢者の金融資産額は年々上昇しており、2030 年度時点で215兆円に達するとの試算が、2018 年8 月に、第一生命経済研究所より発表されています。

 塩漬け、というのは全く使われないという意味ではなく、原則として高齢者自身のためにしか使えなくなる、というような意味合いだと思います。

・企業の後継者不在は3 社に2 社という結果が出ており、この傾向は企業規模が小さいほど顕著です。また、経営者の年齢別では、とくに緊急性の高い60 歳代でも59.6%がなお「後継者不在」と回答しています(東京商工リサーチ発表)。

これは非常に憂慮すべき問題であり、2020 年1 月から10 月までの「後継者難」倒産は301 件(同期比47.5%増)に達しました。今年はこれに加え、コロナ禍の影響による休廃業・解散件数も大幅に増加しています。同じく2020 年8 月に発表された東京商工リサーチの第7 回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査によれば中小企業の廃業検討率は8.5%に上り、かつ「コロナの影響が継続している」と回答した企業のうち4.3%がその具体例として国内取引先企業の廃業を挙げています。最終的には30 万社を超える中小企業が廃業する恐れがあると言われています。

こうした点から、今後は少子高齢化による生産人口の減少とともに企業そのものの急激な減少による地域経済の落ち込みが心配されます。

 事業承継が進まない、というのは私が司法書士になったときからずっと聞いているような気がします。ただ、経営者の中には様々な理由で廃業する人がいることも分かり、法人設立に比べて悪い印象を持たれているんじゃないかな、と感じるようになってきました。私は、自分の仕事の範囲で起業、廃業の意思は尊重していきたいと思います。その間に法人の箱だけ誰か使うかな、法人の中身(機器)だけ事業を新しくやる人が使うかな、後継者に早めにバトンタッチしたいな、といった場合に必要な人に繋げられるようにはしたいと思います。

民事信託・家族信託の共同受任など

・共同受任:受任した際の報酬額の30%~70% 

お客様との打合せに最低1回は参加します。(交通費は別途必要)

参考となる信託契約書、信託目録を提供します。(信託契約書等は作成していただきます)

Zoom等を用いて、契約書の内容や信託目録を一条ずつ読み合わせをします。

依頼者との業務委任契約書に当法人も押印しますので、何かあったときは当法人も責任を持って対応します。

契約書のチェック:1契約書につき10万円~

ご自分で作成された契約書を、こちらもチェックします。

Zoom等を用いて、契約書の内容や信託目録を一条ずつ読み合わせをします。

依頼者との業務委任契約書には、当法人は押印しません。

・業務サポート

家族信託設計コンサルティング・・・共同受任(各々の司法書士が依頼者に請求)

バックアップ・・・受任司法書士に対して、各案件ごとに完全なる≪スポット報酬≫とするか、受任専門職との顧問契約に基づき≪月額顧問料+各案件に関する付加報酬≫

リーガルチェック・・・受任した専門職との顧問契約に基づく月額顧問料が基本

・費用(報酬)基準を出していない事務所・・・ホームページがあり、民事信託、家族信託を専門としているけれど費用(報酬基準)がないところに関しては、何か考えがあってのことなのかなと感じます。

 例えば、既に紹介をしてくれる方が複数いるので、費用を掲載する必要がない。民事信託は複雑・高度なので見積書は依頼者毎にしか出せない。財産の内容や希望によって変わってきますので、 相談後に見積書を作成。など。以前まで報酬表を載せていたのに、今回久し振りに覗いてみると掲載されていないという司法書士法人もありました。

・費用(報酬)シミュレーションがホームページに付いている事務所があって、利用者にとっては便利な感じがしました。

 司法書士が「リーガルチェック」という言葉を利用する場合、当然に司法書士法と判例の範囲内と考えて良いのか、それとも何か注釈を付けないといけないのか、ホームページに載せる場合には考える必要があるんじゃないかなと感じます。

・最近印象的だったのは、司法書士その他の士業に教えることで対価を得ている民事信託・家族信託の団体が、令和2年度の司法書士合格者に対してSNSで積極的にコミュニケーションを取っていることです。

「家族信託ファクトブック2020」を読んで

「家族信託ファクトブック2020」(2020年11月、一般社団法人家族信託普及協会)からです。

・家族信託と他の制度との違い  生前の財産管理を担う役割

委任契約で身上監護が出来ないとの記載がありますが、可能ではないかなと思いました。

成年後見制度の中に任意後見と法定後見が含まれていますが、分けても良いのかなと感じます。

・不動産を信託財産とした場合の登記簿の記載

 私なら登記記録と表示します。信託条項の信託財産の管理方法に、「受託者は、信託不動産について所有権移転または所有権保存の登記及び信託の登記手続きを行うこととする。」と記載がありますが、私は登記申請情報に記載していません。委託者と受託者から、登記申請に関する委任契約(差し入れ方式)を締結するからです。

 ・家族信託に必要なコスト

「信託財産の数」及び不動産であれば「固定資産評価額」連動の費用設定が一般的、との記載があります。費用設定ではなくて報酬計算方法で、確かにそのような計算方法が多いような感触があります。

組成に関わる費用例

総資産 5,000 万円のケース(基本財産:自宅+現金少々)

I:信託組成コンサルティングフィー 32 万円(内訳:コーディネート費用 10 万円、専門家契約書作成等費用 22 万円)。

・概ね固定資産評価額の 0.5~1%程度が組成までのコスト

・組成後の信託登記手続きは概ね固定資産評価額の 0.5~0.9%程度(登録免許税含む)

 0.5%と1%では、結構な差が出てくると思います(5000万円だと25万円~50万円)。皆さんどのような基準を持っているのかなと思いました。手続きの数や難易度で決めるのか最初から決めているのでしょうか。

所有権移転(保存)及び信託登記申請手続きに関しては、報酬が固定資産評価額の0.1%から0.5%―(不動産の数×1,000円)で計算されているのだと思います。固定資産税評額5,000万円、土地と建物で不動産2つの場合、48,000円から248,000になります。かなり幅がありますが、信託目録の記録事項について時間がどの位かかるのかで決めているのかなと想像しました。

「【応用編】見落としがちな家族信託契約書作成の4つの盲点とは?」を読んで

―略―

そのうえで、家族信託の契約書を作成していくことになりますが、作成時見落としがちなのが「信託の終わらせ方」です。この記事では「終わらせ方」を基準にして、契約書の作成を見ていきたいと思います。

 

今回の記事のポイントは下記の通りです。

 

信託契約書は「最終的に信託財産を、①誰に②どのように帰属させたいか(=終わらせ方)」が重要。

信託契約書を作成する段階で、信託財産をだれに帰属させるかを今判断できない場合は「協議型」がオススメ!ただ、リスクがあることを知っておこう!

信託契約書数を、当事者ごと・財産ごとにするか等いくつにするか要検討

「終わらせ方」を考える際は、事前にいくつかのチェック項目を考慮して設計することが必要。

下記の方に特におススメの記事です

・ご自身で契約書を作成したい

・「ご自身の要望を実現する契約書が作れているか判断できるようになりたい」

 

目次 [非表示]

 

「終わらせ方」から考える家族信託契約書4つの型

事例 高齢アパートオーナーの資産管理

認知症対策・財産管理対策を速やかに行いたい方は「協議型」を活用!

資産管理方針、承継先が複数ある場合は「契約複数型」だと効果的!

信託契約書で「終わらせ方」を考える際は・・・

まとめ

「終わらせ方」から考える家族信託契約書4つの型

家族信託は、「終わらせ方」が非常に重要です。

どうしても家族信託の目的である「認知症対策」や「財産管理対策」に意識がいってしまいます。しかし、家族信託で可能になる財産管理権限がいつまで続くのか、どのように終わらせるのが適切かを考えることは、何年後かわからない未来を考えた設計をするわけですから、ご家族間の考え、調整が必要不可欠なのです。

また、その終わらせるタイミングの多くは、委託者兼受益者の死亡時になります。それは、死亡時に信託財産をだれが受け取るのか、という相続の分野にもなってきますね。

そうなると「親が認知症になってしまうと、財産管理ができなくなってしまうから困るからやってみよう」で家族信託に手をつけた人にとっては、信託を行うのが難しく感じるでしょう。

「終わらせ方」=「信託財産の相続の仕方」を考えるために、以下4つの型を参考にしていただきたいと思います。

(1)基本型

(2)遺言代用型

(3)協議型

(4)契約複数型

※これらのパターンは、1つの型のみ使用する場合もありますし、組み合わせて使用する場合もあります。今回の記事では「協議型」「契約複数型」をご紹介していきます。

―事例略―

認知症対策・財産管理対策を速やかに行いたい方は「協議型」を活用!

「協議型」とは、その名の通り信託終了時に相続人間で話し合って決めるという方法です。

この型の特徴として、今はだれがどの財産を相続するかは決められないが、認知症対策・財産管理対策速やかに行いたい方が活用する傾向があります。認知症対策として活用する成年後見制度の代用として、財産管理機能のみを家族信託で用いることができるのがメリットです。

その場合、委託者兼受益者の法定相続人、特定の複数人などを帰属権利者とします。

―略―

信託終了事由 父郎さんの死亡

帰属権利者  法定相続人(協議で帰属先及び帰属割合を定める )

協議がまとまらない場合のリスクも想定しておこう!

当然、資産承継先を具体的に定めていないので、帰属権利者間の協議がまとまらない可能性は大いにあります。その場合、いつまでも信託を終了し、財産の引き渡し手続き等をすることができず、相続税申告期限に間に合わないなど、相続財産が確定しないリスクがあるので、注意と対策が必要です。

そのため、協議型を用いる場合には、ご家族の関係性が重要です。ご家族の関係が良好であれば、協議型を活用しても問題ないと思いますが、不仲の場合で協議型を活用する場合は、いつまでたって協議がまとまらず信託財産を取得する者を定められない、相続税の納税期限(被相続人が死亡したことを知った日から10か月以内)までに協議がまとまらず、小規模宅地の特例など、相続税上の軽減特例を活用することができない、といった問題が発生する可能性もあります。

そのため、必ず協議をまとめるために、協議に期限を信託契約書上に設ける等の対策を考えておくとよいでしょう。

 「(協議で帰属先及び帰属割合を定める )」というやり方を私は使ったことがないです。何故かというと、残余財産の帰属権利者(受益者)は決めておいて、信託の終了事由が発生したときに残余財産(信託行為で定められたり、第三者から求められる債務引き受けなどのマイナスの財産を含みます。)が欲しくなければその権利を放棄すれば良いと考えているからです。放棄した場合、次順位の残余財産の帰属権利者(受益者)が指定されていれば、その人、いなければ信託法182条2項、3項によって処理されるので問題がないのかなと考えています。

 帰属割合、というのがどのようなものなのか、私には分かりませんでした。受益権割合というのがどのようなものかについても未だに分かりません。残余財産が全て金銭(債権)であれば計算できると思いますが、それ以外の非公開会社の株式や不動産などがある場合、計算方法で意見が食い違ってしまうと分ける前の段階で止まってしまわないかな、などと考えてしまいます。

 協議に期限を設けるというのは、思い付きませんでした。例えば、9か月以内に協議がまとまらない場合は、残余財産は法定相続分で帰属させる、というようなことなのかなと想像します。期限を経過した場合で、残余財産の帰属権利者(受益者)の協力がないとき、この信託行為の定めで相続税の申告が出来るか、不動産登記が出来るかというと出来ないと思います。とすると、信託行為に定める事例は、そんなに多くはないのかなと感じました。

資産管理方針、承継先が複数ある場合は「契約複数型」だと効果的!

信託財産の目的に応じて信託契約を複数にする方法が「契約複数型」です。これは、資産の管理方針、または承継先などを考慮したうえで複数の契約書にわけていきます。

―略―

契約を承継先ごとにつくると、「父郎さんと一郎さん」「父郎さんと花子さん」がそれぞれ話し合って、それぞれの要望がしっかりと反映された信託契約をつくることができます。

このように、「契約複数型」は、それぞれが受託者兼帰属権利者として承継予定の財産を管理できるので、契約内容が複雑にならないのが大きなメリットです。

「信託複数型」をすると、損益通算ができない!

契約が複数になるとそれぞれの信託財産の「損益通算ができない」というデメリットがあります。

―略―

また、Bアパートの損失は通常であれば翌年以降への繰越しが認められますが、信託財産の場合は、損失を翌年へ繰越すこともできません。この損失の繰り越すことができないという論点は、信託複数型のみならず、1つの信託契約で複数の収益物件を信託した場合にも適用され、複数物件の利益と損失を通算し発生した赤字部分も同様に翌年に損失を繰り越しすることができません。

損益通算の禁止については、アパートなど収益が発生する物件を信託する際には重要な論点になるので、信託に強い専門家に相談しながら進めていってください。

     信託契約が複数だと損益通算が出来ないというのは、税理士さんの見解も同じようなので、実務でも固まっている運用なのだと思います。私だけかもしれませんが、何で出来ないのだろうと思ってしまいます。理由は、追加信託だと損益通算が出来ること、信託契約が複数の場合でも第2次受益者以降の条項以外の信託行為の定めが同じ場合、1つの信託契約と同じと理解しても良いのではないかなと考えるからです。おそらく理由の後者は当事者が分かりやすいように、というところから来ている場合もあるので、それで税務上の不利益を受けるのはなんだかなぁ、と考えたりします。

損益通算と繰越控除は違う制度ではないでしょうか。記事を読んでいると、私は繰越控除も損益通算に含まれるのかなと読めました。

国税庁HP 損益通算

[blogcard url=”https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2250.htm”]

青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除

[blogcard url=”https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5762.htm”]

 

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