家族信託の相談会その61

お気軽にどうぞ。

2023年11月24日(金)14時~17時

□ 認知症や急な病気への備え
□ 次世代へ確実に引き継ぎたいものを持っている。
□ 家族・親族がお金や土地の話で仲悪くなるのは嫌。
□ 収益不動産オーナーの経営者としての信託 
□ ファミリー企業の事業の承継
その他:
・共有不動産の管理一本化・予防
・配偶者なき後、障がいを持つ子の親なき後への備え

1組様 5000円

場所

司法書士宮城事務所(西原町)

要予約

司法書士宮城事務所 shi_sunao@salsa.ocn.ne.jp

後援  (株)ラジオ沖縄

『登記研究2023年10月908号』

『登記研究908号』2023年10月、テイハンからです。

https://www.teihan.co.jp/book/b10040217.html

法務省民事局付 森下宏輝、法務省大臣官房司法法制部審査監督課法務専門官(前法務省民事局民事第二課法務専門官)古田辰美、法務省民事局民事第二課企画係長兼所有者不明土地等対策推進第二係長 光木沙織「■民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(令和5年4月1日施行関係)」

第1 はじめに、第2 民法等の一部改正の趣旨、第3 改正法の概要、第4 施行通達

 令和5年3月28日付け法務省民二第538号法務省民事局長通達「民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて」(令和5年4月1日施行関係)、令和5年3月28日付け法務省民二第537号法務省民事局長通達の解説

 1 不登法改正関係

 改正不動産登記法63条第3項について、遺言執行者が指定されている場合には、共同申請となること。

 「登記義務者」から「共同して登記の抹消の申請をすべき者」への改正は、登記義務者に加えて、その相続人その他の一般承継人も含む、という意味。

 改正不動産登記規則第152条の2の規定による調査方法について、不在住証明証書、不在籍証明書の発行は、地方公共団体の裁量に委ねられているので、これらを取得できなかったとしても、調査として不十分であることにはならないこと。

 外国に住所を有する者についても通達の調査方法が適用される。

 改正不動産登記法70条2項について、既判力が生ずるものではないと考えられる。→登記義務者が反対する場合あり。登記義務者が法人の場合の趣旨は、法人としての実体が喪失していると、積極的に認定することができるケースについて、適用すると整理。

 改正不動産登記法70条の3の、30年の期間について。債権の消滅時効期間(民法166条)、解散した法人の清算手続きの期間を考慮した結果。

 改正不動産登記法70条の4について。住民基本台帳ネットワークシステムから情報を取得するためには、費用負担が生じる(住民基本台帳法30条の29)が固定資産課税台帳上の所有者に関する情報を取得するには費用負担はない。

 2 その他運用の見直し関係

 法定相続分による相続登記がされた後に相続人に対する遺贈があったことが判明した場合の更生登記について。遺産分割協議書などを添付、と記載があるが、戸籍などは記載されていない。法定相続分による登記で相続関係が判明している部分については、戸籍などの添付不要?

 法務省民事局民事第二課補佐官 三枝稔宗、法務省民事局民事第二課補佐官 河瀬貴之、法務省訟務局訟務調査室訟務企画課法務専門官(前法務省民事局民事第二課法務専門官)手塚久美子、法務省民事局民事第二課不動産登記第四係長 清水玖美■「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)」の解説(2)

第2 本要領の概要

 3 第3節 承認申請者、4 第4節 承認申請書類

 現状、書面申請に限られているので、印鑑証明書など添付書類の取り扱いについて記載。印鑑の届け出をしていない法人について、公証人の認証を受けた署名証明書でも良いのか、新しく印鑑届け出を行うのか、気になりました。

一般社団法人商業登記倶楽部代表理事・主宰者 神﨑満治郎「■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第114回)235 理事会及び監事を設置しない一般社団法人の設立について」

 一人で一般社団法人を設立しようとしている依頼者に対して、設立時のみ妻などに依頼し社員になってもらい、設立後速やかに退社する、という方法を紹介。この方法が紙の専門雑誌に掲載されることに、どうなのだろう、と感じました。

(一社)テミス総合支援センター理事都城市代表監査委員 新井克美「■Q&A不動産表示登記(84)Q254  相接する既登記の2棟の建物の間を増築してその隔壁を除去し1棟の建物とした場合はどのような登記を申請するのか。」

 建物の合体の登記について。未だに実務で見たことはありません。平成5年法律第22号不動産登記法改正により、合体前の建物に抵当権等の登記があるときは、登記官は、職権で、抵当権などの登記を合体後の建物の登記用紙に移記するとされた。

 司法書士は、土地家屋調査士とともにする場合であれば、合体による登記などを申請する場合において、併せて所有権の登記を申請すべきときは、所有権の登記の申請手続をすることができる。2件目の所有権の登記は、共同代理申請になるのでしょうか。

 

司法書士鈴木龍介(司法書士法人鈴木事務所)「■商業登記の変遷(54)」

 登記簿の編成の変化。大福帳→バインダー→ファイル化→コンピュータ化(登記記録へ)。

渋谷陽一郎■民事信託の登記の諸問題(25)

登記研究編集室「会社法施行下で使える登記先例──実務の便覧──(1)」

 平成18年の会社法施行以降の、会社法や商業登記法及び商業登記規則の改正関連の主な先例とその概要の紹介。

【法 令】

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和4年10月28日政令第334号)

 施行期日、令和4年11月1日

農地中間管理事業の推進に関する法律による不動産登記の特例に関する政令(令和4年12月23日政令第395号)

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和5年3月30日政令第97号)

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和5年3月30日法務省令第19号)

 審査手数料、施行日の記載。

民法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(令和5年8月2日政令第251号)

 所有不動産記録証明制度(改正不動産登記法119条の2)の施行日、令和8年2月2日。住所変更登記などの申請義務化(改正不動産登記法76条の5,75条の6)の施行日、令和8年4月1日。

【訓令・通達・回答】

▽不動産登記関係

〔6209〕不動産登記規則等の一部改正に伴う不動産登記事項証明書等の交付事務の取扱いについて(令和5年3月23日付け法務省民二第506号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

〔6210〕不動産登記規則等の一部改正に伴う不動産登記事項証明書等の交付事務の取扱いについて(令和5年3月23日付け法務省民二第507号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局民事第二課長依命通知)

 交付請求方法として、スマートフォンの記載。

〔6211〕民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)の施行に関する登記嘱託書の様式について(令和5年3月24日付け法務省民二第518号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局民事第二課長依命通知)

 所有者不明土地管理命令に関連する登記嘱託書の様式について。

金森健一弁護士「民事信託実務入門第5回―民事信託の標準仕様を備える公正証書と信託口口座(下)―」

 信託フォーラム[1]の記事、金森健一弁護士「民事信託実務入門第5回―民事信託の標準仕様を備える公正証書と信託口口座(下)―」からです。

 金融機関による信託契約書案のチェックポイントについて、FATF第4次対日相互審査報告書に基づくマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策[2]の要請を付け加えたいと思います。

 あるべき信託口口座の要件について、著者の記載に同意です。

3,信託口口座の危殆について、多くの金融機関は、信託口口座の出入金について、それが信託財産に属する金銭の入金であるか、出金が信託事務処理に必要なものであるかを確認しない、としています。法人口座で事業用ローンを利用していない場合と同じく、現状の預金契約と信託契約書の事前審査のみでは、金融機関には、そこまで確認する権利や義務もないのではないと考えます。必要性について、信託口口座の入出金について確認を入れたい場合は、信託監督人を設置するか、そこまで気を付けないといけない信託であれば、設定しない方が良いのではないか、と感じました。 

 信託口口座という名称が口座に記載されれば、倒産隔離機能と呼ばれる一定の効果が当然に生じるといった誤解や、どこまでを金融機関が引き受けるのが明確でないゆえに、リスクが特定できない、という指摘には同意です。

 県内では現在、信託口口座の開設に手数料、管理料が必要、とはなっていませんが、今後記事記載のように料金が必要になってくる可能性はあると思います。少なくとも信託契約書の事前審査は、全部審査できる権限がなぜあるのか、という疑問を除いて、金融機関はコストを払っています。

信託口口座について、そのリスクを許容可能な範囲に低減させることが可能となる余地の有無についての検討はまだ十分になされていない、という部分について、法人口座を参考にしていくことが望ましいと思います。

 

 


[1] Vol.20、2023年10月、日本加除出版、P131~

[2] 財務省HP

https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/councils/aml_cft_policy/index.html

渋谷陽一郎「民事信託と登記第11回登記先例の解釈―実体法的アプローチと手続法的アプローチ―」

信託フォーラム[1]の記事、渋谷陽一郎「民事信託と登記第11回登記先例の解釈―実体法的アプローチと手続法的アプローチ―」からです。

今回は読み物としての内容もあります。その中で一番印象的だったのが、2011年以降、筆者が難病を抱える子の介護のため、東京司法書士会に対して会費の一時減免請求を申し出たが、却下された、という箇所でした。現在でも同じ運用が行われていないことを祈ります。

司法書士が民事信託支援業務を行うことができる根拠法令は、記事では司法書士法3条とされています。日本司法書士会連合会では、司法書士行為規範に民事信託支援業務に関する条項2つを盛り込んだので、これを根拠として業務を行って良い、ということで決着しているようです。今後、個人的に触れることはしないようにしたいと思います。

非弁と言われる可能性は数年前まではかなり悩んでましたが、今はほとんど意識しなくなりましたかね。 「信託は魔法のツール」ってやりたい放題やってた時期はいつ誰が刺されるかとドキドキしてました。 司法書士行為規範に民事信託を盛り込んで、「目指すべき適正な形」を明文化したのは大きかった。

https://x.com/Hamuuuuuuuuuuu/status/1714521896757407774?s=20

登記研究 246号 60頁 昭和43年4月12日 民事甲第664号

民事局長回答

◎三七五五 信託財産の所有権移転登記の取扱いについて

【要旨】信託期間終了後において、信託期間終了前の日付でなされた法律行為を原因とする所有権移転登記の申請があった場合の受否について

 登記されている信託条項が、別記のように表示されている場合、受託者から、委託者または受益者以外の者に対し、信託期間終了後であっても、信託期間終了前の日付でなされた売買その他の有償行為を原因として所有権手移転登記の申請があったときは、受理すべきものと考えますが、贈与その他の無償行為を原因として所有権移転登記の申請があった場合は、登記されている信託条項に反するので、不動産登記法第49条第2号または同条第4号の規定により却下してさしつかえないと考えますが、いささか疑義もあるので、ご回示を願います。

(別記)

信託条項

  • 信託目的

信託財産の管理及び処分

  • 信託財産の管理方法

信託財産の管理方法(処分行為を含む)はすべて受託者に一任する。

  • 信託終了の事由

 本信託の期間は五カ年とし期間満了による外、受託者が信託財産を他に売却したるとき及び委託者が信託財産を委付したときはこれにより信託は終了する。

  • 其他信託の条項

 本信託は委託者が大阪市内に家屋を建築するための資金を得るため且委託者が現在第三者より負担する金銭債務を返済するための資金を得るために受託者をして信託財産を売却せしめんとするものにして現在借家人の立退要求、其他売却条件の困難のため売買が進捗しない場合に於ても委託者の要求あるときは受託者は自己の資金を委託者に融通し、又その金融のためには自己の責任に於て信託財産を担保に供することができる。

前記による金融のため委託者が受託者に対し金銭債務を負うに至った場合に於てその返済をすることが困難と思料するときには信託財産を委付してその債務を免れることができる。

前項委付により委託者は受益権並びに元本帰属権(信託財産の返還請求権)を失うものとする。

委託者及び受託者の死亡は本信託に影響を及ぼさないものとする。

委託者と受託者との合意により何時でも信託条項を追加又は変更することができる。

前記以外の事項に付てはすべて信託法の定めるところによる。

(回答)

客年6月21日付登代429号をもって照会のあった表記の件については、前段、後段とも貴見のとおりと考える。ただし、後段の場合は、不動産登記法第49条第4号の規定により却下するのが相当である。

・実体法的アプローチ

 資金を得るための売却処分という信託の目的に対して、受託者は、信託財産の贈与等の無償行為を有効に行うことができるか。

・・・信託原簿に記載されている信託の目的は、信託財産の管理及び処分です。しかし、信託行為全体を読むと、記事記載の通り、家屋建築と委託者の債務返済の資金を得るために信託財産を売却するため、だと考えられます。

 この場合に、実体法上、贈与が認められるか、ということですが、贈与と同時に、信託とは別の法律行為(債務免除など。)によって、委託者の受託者に対する債務が消滅することが確実であり、実体法上も有効であると考えます。手続法的アプローチでも記載しましたが、受贈者が受託者の親族であった場合、信託財産の贈与及び終了の登記申請がされた場合は、受託者が委託者に対して有する債権は消滅する、というような契約(書)があれば、信託の目的には反しないと考えられます。

・手続法的アプローチ

 受託者による信託財産の管理処分権限として、信託財産の売却権限、委託者から信託財産の委付を受ける権限、委託者に資金を融通した場合に信託財産に担保権を設定する権限が信託原簿に記載されているので、贈与による所有権移転登記の申請は却下される、という記事の結論に同意です。

 信託の目的は、信託財産の管理及び処分です。期間満了後に、期間満了前の日付で贈与を受託者の権限として贈与を許容する信託の変更の登記申請は、なされると考えられます。委託者が委付した場合に登記がされることは先例記載の通りです。贈与は受託者以外の者になされる贈与で、受託者の親族等なのかと想像します。


[1] Vol.20.2023年10月、日本加除出版、P124~

遠藤栄嗣「受益者代理人の任務終了等に関する定めの陥穽」

 信託フォーラム[1]の記事、遠藤栄嗣「受益者代理人の任務終了等に関する定めの陥穽」からです。私は普段の実務で、受益者代理人制度を信託開始当初から利用することはなく、置くことが出来る旨の定めを置くのみです(信託法138条1項)。理由としては、信託に関係する人数が多くなると人間関係が複雑になること、受益者代理人を選任すると、原則として受益者の権利の一切の行為をする権限を有すること、記事中にもありますが信託法146条により委託者の権利を受益者に移転していること、信託行為と任意後見契約の代理権目録に、任意後見人の権利と信託行為の関係について定めていることが挙げられます。

 本稿では、事務の処理の終了(信託法143条)の意味や必要性が問題とされています。事務の処理の終了の意味が分からないと、受益者代理人と受託者や受益者が対立したときに、辞任してもらうことや解任(裁判による解任を含みます。)が難しくなってしまう。やめてもらった場合に、受益者代理人であった者に対して、損害を賠償する義務を負う可能性がある(信託法141条)などが挙げられています。

 もともと受益者代理人は信託業法2条に定める信託について、法人が就任することが予定されていたものであり、事務の処理の終了、のような文言が使われているのだと思います。

 個人的には、対立が起きた時点で信託を終了して、後見制度に切り替えてよいのではないかと思います。

 本稿で必要だとされている条項、「本信託の受益者が判断能力を欠き意思表示できないとき、または受託者が信託事務処理上必要と認めたときは、委託者(委託者代理人を含む。)または受益者(他の受益者代理人を含む。)もしくは後継受益者において、受益者代理人を選任する。以後の選任等(辞任の同意及び解任をも含む。)も同様とする。」を利用すると、解任がやり易くなるということです。損害の賠償については変わらないと考えます。


[1] Vol.20,2023年10月、日本加除出版、P118~

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