船橋幹男「AI社会における司法書士業務はどうあるべきか」

市民と法[1]の記事からです。

AI(人工知能を実装した機械)を操作する単なるオペレーターとしてなら一定の報酬は得られるかもしれない。

消極的な書き方に感じられましたが、有力な事業になり得ると思います。AIを操作するのは、簡単ではないと考えられるからです。建設業のロボット建機を適切にオペレーションするには、相応の知識と技術が求められるはずです。人の命に直接関わる場合があるため、緊張感も現在業務と同じかそれ以上になる可能性もあると思います。

土木研究所 技術推進本部 岩見吉輝「建設現場が無人化する日に向けて」

[blogcard url=”https://www.pwri.go.jp/jpn/about/pr/event/2020/1021/pdf/kouen6.pdf”]

 


AI時代にも司法書士が法律専門職として存続するか否かの判定の一つとして、テクノロジーによる代替行為が、依頼された業務の本質部分にまで及ぶのか、それとも業務の本質ではない部分での代替、言い換えれば本質的業務を効率化するためのものにすぎないのか、という見方もできるのではないだろうか。

おそらくそうだと思います。私には、各業務の何が本質部分なのか、分かりません。登記情報を取得することや、メールに対して適切な対応をすること、サムポローニアの使い方を覚えることなど、ほとんど全て本質部分に入ると思っています。私の認識がずれているのかもしれません。

たとえば、相続登記の多くは遺産分割など相続人間の法律行為を前提とするが、相続人の単独申請なので争いのない単純なケースでは、本人申請が増加するものと推測される。

本人申請のシステムを、日本司法書士会連合会で自前で作ってはどうなんだろう、というのが私の認識です。本職のエンジニアと法務局OBで司法書士登録をしている方の力も借りて取り組めば、出来ないことはないと思います。

既に大きめの事務所では開発が始まっているので、下のシステムが法務省などに認定されると、他の司法書士への影響は少なくないと思います。

[blogcard url=”https://www.meiseihoumu.jp/news/20200214.html”]

 

これに対し、司法書士は職域とその業務内容においても法律で厳格に制限されていて、自ら業務開発できる分野にも限界がある。

現在の職域と業務内容の中でも、自ら業務開発できる分野(計算機分野を含めて)で限界まではやり切れていないんじゃないか、というのが私の認識です。

[1] 126号、2020年12月、P3~

引用についての備忘録

引用についての備忘録です。

文化庁HP

[blogcard url=”https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/chosakubutsu_jiyu.html”]

(注5)引用における注意事項

他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合,すなわち引用を行う場合,一般には,以下の事項に注意しなければなりません。

(1)他人の著作物を引用する必然性があること。

(2)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。

(3)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。

(4)出所の明示がなされていること。(第48条)

(参照:最判昭和55年3月28日 「パロディー事件」)

裁判所HP

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/283/053283_hanrei.pdf

昭和55年3月28日最高裁判所第三小法廷判決

裁判要旨

一 旧著作権法(明治三二年法律第三九号)三〇条一項二号にいう引用とは、紹介、参照、論評その他の目的で自己の著作物中に他人の著作物の原則として一部を採録することをいい、引用を含む著作物の表現形式上、引用して利用する側の著作物と、引用されて利用される側の著作物とを明瞭に区別して認識することができ、かつ、右両著作物間に前者が主、後者が従の関係があることを要する。

二 他人が著作した写真を改変して利用することによりモンタージュ写真を作成して発行した場合において、右モンタージュ写真から他人の写真における本質的な特徴自体を直接感得することができるときは、右モンタージュ写真を一個の著作物とみることができるとしても、その作成発行は、右他人の同意がない限り、その著作者人格権を侵害するものである。

三 雪の斜面をスノータイヤの痕跡のようなシュプールを描いて滑降して来た六名のスキーヤーを撮影して著作した判示のようなカラーの山岳風景写真の一部を省き、右シュプールをタイヤの痕跡に見立ててその起点にあたる雪の斜面上縁に巨大なスノータイヤの写真を合成して作成した判示のような白黒のモンタージユ写真を発行することは、右山岳風景写真の著作者の同意がない限り、その著作者人格権を侵害するものである。

(二につき補足意見がある。)

公益社団法人著作権情報センター

https://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime7.html

「著作権Q&A  著作権って何?(はじめての著作権講座)」

Q. 他人の著作物を引用するときの注意点を教えてください。

A.「引用」とは、例えば論文執筆の際、自説を補強するため、他人の論文の一部分をひいてきたりするなどして、自分の著作物の中に他人の著作物を利用することをいいます。この場合、著作権者の許諾なしにその著作物を利用することができますが、「引用」といえるためには、「引用の目的上正当な範囲内」で行われるものであり、以下の条件を満たしていなければなりません。

・すでに公表されている著作物であること

・「公正な慣行」に合致すること

・報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であること

・引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること

・カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること

・引用を行う「必然性」があること

・ 「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)

参考条文…著作権法第32条、第48条

参考

裁判所HP

平成30年8月23日判決言渡

平成30年(ネ)第10023号 著作権侵害差止等本訴請求,損害賠償反訴請求控訴事件(原審:東京地方裁判所平成28年(ワ)第37339号)

「公正な慣行」に合致し,また「引用の目的上正当な範囲内」で行われたことについての判断基準と判断要素について

原判決は,上記2要件の判断基準について,「他人の著作物を利用する側の利用の目的のほか,その方法や態様,利用される著作物の種類や性質,当該著作物の著作権者に及ぼす影響の有無・程度などを総合考慮すべきである。」としており,それ自体は妥当である。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/950/087950_hanrei.pdf

平成25年7月16日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官

平成24年(ワ)第10890号 損害賠償請求事件

引用の要件

(1) 他の部分と明瞭に区別することができること

 本件掲載行為は,本件パンフレットの表紙をそのまま掲載したものであり,

ウェブページ内の他の部分とは明瞭に区別することができる。

(2) 本件イラスト以外のウェブページの記載が主であり,本件イラストが従の

関係にあること

 本件イラストのウェブページ全体に占める割合は小さく,本件大学校と被

告岡山県の連携に関する説明文(本文)に添えられているものにすぎないか

ら,本文との主従関係が明らかである。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/411/083411_hanrei.pdf

平成13年(ワ)第12339号 損害賠償等請求事件

口頭弁論終結日 平成14年12月18日

引用の判断

(2) 上記認定した事実に基づいて判断する。

  本件写真ビラは,専ら,公明党,原告及びDを批判する内容が記載された宣伝用のビラであること,原告写真1の被写体の上半身のみを切り抜き,本件写真ビラ全体の約15パーセントを占める大きさで掲載し,これに吹き出しを付け加えていること等の掲載態様に照らすならば,原告の写真の著作物を引用して利用することが,前記批判等の目的との関係で,社会通念に照らして正当な範囲内の利用であると解することはできず,また,このような態様で引用して利用することが公正な慣行に合致すると解することもできない。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/286/011286_hanrei.pdf

文化庁 著作権なるほど質問箱

引用と無断転載は別 

原則として無断転載は禁止、例外として行政の広報資料などで条件を満たす場合に許される。

イ、「行政の広報資料」等の転載(第32条第2項)

 国・地方公共団体の行政機関、独立行政法人の「広報資料」「調査統計資料」「報告書」などを、「新聞」「雑誌」などの刊行物に転載する場合の例外です。

【条件】

ア  一般に周知させることを目的とした資料であること

イ行政機関等の名義の下に公表した資料であること

ウ説明の材料として転載すること

エ転載を禁止する旨の表示がないこと

オ「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)

https://pf.bunka.go.jp/chosaku/chosakuken/naruhodo/outline/8.h.html

骨董通り法律事務所

https://www.kottolaw.com/column/200410.html

「Legal Innovation Conference 〜法務のDX〜」イベントレポート、の記事を読んで。

「Legal Innovation Conference 〜法務のDX〜」

https://www.businesslawyers.jp/seminars/84

下の記事を読みました。実際にイベントを聴いていません。

https://note.com/ruc/n/na51f4d52969e

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―略―

1. Hubble酒井パート

◆リーガルテック導入によっては何も変わらない。

酒井) 本日は、私とVisionalグループでビズリーチの法務室長の小田さんとで「リーガルテックは法務組織のどんな課題を解決するのか」というテーマについてディスカッションしていきたいと思います。

私は、これまで法務関係者約1000名近くの方々とお会いして、課題のヒアリングなどをさせていただきました。その中で、「ちょっとリーガルテックの導入を検討してるんですよね。」とか、「来期何かリーガルテック入れたいと思ってます。」とかっていうお話をよく伺います。

ただ、私からは本日、「リーガルテック導入によっては何も変わらない。すべては、何を解決し、何を実現したいか。」であるというメッセージをお伝えしたいと思っております。

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聴く人を惹きつけることが大事なんだなと感じました。

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どういうことかというと、「あくまでリーガルテックは手段であるということを前提に、理想の業務フロー・理想の組織・理想の働き方の実現に向けて、今ボトルネックになっている課題を特定して、それを解決していく」、

そういう考えで、リーガルテックについてお考えいただいたうえ、導入に向けて進んでいくというステップが非常に重要なのかなと思っています。

特に今回のセッションでは、小田さんと一緒に、解決すべき課題というものにフォーカスしてお話ができればと思っております。

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実際に、私たちが使っている登記情報サービス、登記・供託オンラインシステム、申請用総合ソフトもリーガルテックに入ると思います。司法書士用の電子証明書、マイナンバーカード附属の電子証明書も当事者による電子署名を行う上で必要です。

サムポローニア、権などの登記申請を行いやすくするシステムもリーガルテックに入ると思います。申請用総合ソフトなどの無料のシステムを比べて、スピードやミスが減るのがITベンダーと呼ばれる企業が提供するシステムの良さだと思います。他に検索機能、一覧性、保存性も重要です。またセキュリティに配慮しながら誰が入力しても同じように申請書などを作成することが出来る、分からないときはサポートセンターに聴くことが出来ます。最後の司法書士によるチェックは必須ですが、そこに至るまでの情報を整理してくれます。

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◆法務組織の課題とは

酒井) まず、実際に課題を特定していくために、いま自分たちがどういうワークフローで業務を行っているのかを考えていく必要があると思っています。

弊社のサービスは契約業務にフォーカスしたサービスですので、たとえばHubbleのユーザー様で、既存の契約業務のフローがどのようになっているのかについて、ユーザー様にヒアリングさせていただいています。簡単に整理した図の一例がこちらです。

まず①事業部門からの契約審査の依頼、そして依頼部門とのやりとりはメールであったり、最近だとTeams、Slackというチャットツールで行います。依頼があったと同時に、Excelで並行して案件管理表を作ります。

社内でのやり取りと相手方とのやり取りを踏まえて、②契約の承認プロセスに入ると、社内の既存システムが走るということになります。

③締結する段階に入れば、ほとんどはまだ紙ベースで行われていて、一部は電子契約に置き換わっています。

④締結後の管理に関しても、Excelで台帳を作り、紙で保管するものに関してはファイリングするという形で契約業務を行っている企業様は少なからずあるのではないかなと思っています。

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どちらが良いのか、私も分かりませんが法務部の人はslackやteamsに入ることは出来ないのかなと感じました。

Excelで案件管理、紙で台帳管理に関して、Excelで検索や情報の並べ替え、タイムスケジュールが分かりやすく管理出来るのなら、それはそれで良いんじゃないかと思いました。

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こうしたワークフローにどういった課題があるかということを考えてみると、例えばこのような感じで出てきます。

契約審査の依頼の段階では、先ほどのようにメールやチャットでバラバラに五月雨式に依頼が来ること、契約審査の段階でいえば、メールとWordで大量にバージョン管理が発生したり、ドキュメントの管理が煩雑になっていることという課題が出てきます。

しかし、これで既存のワークフローを前提に課題が特定できたかというと、これだけでは個人的には不十分だと思っています。

なぜなら、これはまだまだいわゆるメンバー、手を動かす方々のみの課題です。これを抽象化して、組織として見たときにどういう課題になっているのか、さらに言うと会社全体としてどういう課題を抱えることになっているのかというところまでを紐解いていくことで、リーガルテックにより解決すべき課題を特定できるようになると思いますし、そこまで考えるべきだと思っています。

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入口の段階で、バラバラで来ると、さすがにその後の処理も難しくなるかもしれません。表紙だけでも、ワードやエクセルなどに統一出来ると良いのかなと感じます。

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では、どういう風にやっていくかっていう私の考えを、後ほどのパネルディスカッションの中で、小田さんと一緒にディスカッションをさせていただければと思っております。それでは一旦、小田さんの方にバトンタッチしたいと思います。

2. Visionalグループ小田様パート

◆ツールを導入する前に課題を明確にすること

小田) 私の方からは、Visionalグループの法務組織において、どんなことを考えてリーガルテックのツールを導入しているのかという背景を、簡単にお話しできたらなと思っております。

―略―

今日伝えたいことはこちらで、ツールの導入というのはたしかに大事なことではありますが、それを考える前にどんな課題を解決したいのか、ということを明確にしないといけないという、人によっては当たり前の話です。ただ、結構見落とされがちというか、意外と深く考えられていないこともあるのかなと思いますので、今日はここを強調してお話ししたいなと思っております。

まず、当グループの法務組織の背景を理解していただくために、簡単にご紹介できればと思っております。

ビズリーチという会社をCMなどでご覧いただいた方も多いかと思うのですが、今年2月にビズリーチは持株会社の体制に移行しておりまして、ホールディングスとしてビジョナル株式会社というものがございます。私が所属している法務室が株式会社ビズリーチという子会社に所属し、そこでグループ全体の法務機能を統括しているという形です。

まず法務組織のメンバーの人員構成、これが実は私が一番直近苦労してきたところでした。私が法務室長に着任した今年の2月の時点で、法務の正社員は3人しかいませんでした。従業員数も当グループ全体でいうと1000名を超えていますし、事業の数も10前後というところで、その業務の量としては他社と比べても少なくはない水準だったと思います。その中で3名というのは、皆さんも想像していただけると分かると思うのですが、相当苦しい状態からのスタートになりました。

その当時を支えてくれたメンバーには今でも感謝してるんですが、それが今では6名、もうすぐ増員して7名になる予定というところまで来ております。

◆Visonalグループ法務の課題

そんな当グループの法務組織の課題についてお話ししますと、先ほど事業の多さについてお話ししましたが、まず1つ目が、これに付随する問い合わせ件数の多さでした。

色々と前提が違うので数を単純比較できませんが、大体皆さん月間でいうと100件とかその前後で問い合わせ件数が推移されている会社さんが多かったんですが、当グループだと約300件ありました。これを3人で対応するのは、ボリューム的に非常に難しい状態でした。

その中で業務の属人化が顕在化していました。

例えば、次に示す会話って皆さんももしかしたら記憶にあるかもしれません。同じような問い合わせがきた時に「ああ、よくあるアレですね。」という内容を聞いた時です。

僕も着任した当初はよく「これって、過去に質問あったの?」と聞くと、その担当者の頭の中にはあるんだけれども、それが文書化されてなかったり、ファイル自体が担当者のデスクトップに置いてあったりとかして、それを取り出すのにちょっと時間がかかるような状態でした。それが法務組織の課題でした。

もう少し抽象化すると、そもそもの問い合わせ件数300件というのが3人で処理できる限界を超えているということもあって、業務自体がひっ迫している中で、先ほどの属人化を解消するためにリーガルテックを入れて活用しようと言ったところで、その活動をする余力すら残ってない状態でした。

また、当グループ全体でいうと、まだ成長フェーズにございますので、事業の数とともに法的論点も増えている。さらに、グループ経営体制への移行も今年の2月のタイミングだったので、その前後というのは様々な対応に追われました。そういった状況下で、このスパイラルを一向に解消できないという状態が続いてしまっていた、というのが今年の初めまでです。

◆導き出した解決への「3つの柱」

ただ手をこまねいているわけにもいかないので、どういう順番で課題を解決すればいいのか考えました。ツールを導入して云々というところも当然頭にはよぎるんですが、いきなりそこから考えるのではなくて、まずは順を追って考えていこうと、問題を紐解いていきました。私の中ではこの3つを大きな柱として考え、これらを戦略としました。

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やっぱり検索できるようなシステム、一覧性のあるデータベースが必要なんだろうなと感じます。

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1つ目がまず採用です。

兎にも角にも、改善のためのリソースが足りていなかったため、まずはその組織の立ち上げフェーズにジョインしてくれる仲間を募るため、採用に踏み切りました。結果的に今日の時点で3人から6人まで増えているので、そこに関しては大成功しているかなというところで。これでようやく下の二つが着手できる状態になりました。

下の2つというのが、当グループではもともと問い合わせの経路が、Slack で来ていたり、営業側で使っている Salesforce から問い合わせが来たり、色んな所に問い合わせの経路が分岐していて、総数などの管理も難しい状態でした。なので、それを一元化・可視化することをまずやりました。

私自身もすごく手を動かして色々な質問に対応してたのですが、「これまた同じこと聞かれてるな」とか、「隣の人に聞いたら一発でわかるかもしれないのにな」みたいな問合せが、さきほどの300件を構成していたことがわかりました。それらをナレッジ化することで問い合わせの数をそもそも減らしていこうと考えたわけです。

最後に、「車輪の再発明」っていうことを私はよく言うんですけれども、一度一人が苦労して作り上げたものというのは、もう一人が同じ苦労する必要はありません。一度作ったドキュメントをベースに次の人が考えられるようにしておきたいというところで、3点目の知見の共有化を進めて行こうと考えていました。

◆「知見の共有化」とHubble

小田) 2つ目の業務効率の改善は、問い合わせ件数が可視化されるなど、実際に社内向けに公開した事業部向けのナレッジがクォーターだけで133件、法務のメンバー総動員で対応してその作成を完了しました。最後に大事なポイントとして、Hubbleも導入させていただいて、762件のドキュメントが今日の時点で共有されている状態です。

問い合わせ施策の実行による変化を、分かりやすく当グループの中にあるデータとかを使ってご説明できればと思います。問い合わせの件数が、元々300件あったが現在は減少しています。そもそも可視化できなかった状態から可視化できるようになったというところが大きな進歩です。

その次が、社内のナレッジで、「わかりやすくて困る約款解説シリーズ」と名付けた物を作り、社内向けに公開して、これ見たら解決するよっていう状態を作っていこうとしています。ナレッジの閲覧件数などもデータで取れるので、これをもとにナレッジのブラッシュアップに使っていきたいなと思っています。

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サムポローニアが出している説明書の社内向けのようなものをイメージしています。または司法書士必携(検索できるんでしたっけ)。

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さて、Hubbleがどんな活用がされてるなんですけども、ちょうど5月から6月で大きなジャンプをしてるのが分かると思います。実は5月に入社してくれたメンバーに、このHubbleの活用の担当をお願いしました。こちらの担当者が活用のルールなどを定めてくれて、法務のメンバー内で活用を促進してくれたことから一気に活用が進みました。

そして、私がHubbleを使わせて頂いていて、一番肝の機能だなと思っているのが、本文の検索機能です。これがちょっと優秀すぎて手放せないなという感じが正直しています。

本文・文言ベースで検索できるってことが本当にありがたくて、何も考えずにポンポンとドキュメントを放り込むだけで、後でその文言を引っ張り出せる安心感が本当にうれしいなと。Hubbleには本当にお世話になっているという感じです。

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やはり検索機能がくるのですが、これが一番なのかな、なんだろうな、と感じました。

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◆大事なことは「課題ファースト」であること

小田) ―略―まずは入れてみようという発想も大事ではあるんですが、基本的にはどの課題を解決しに行くのか?という点を大事にしないといけない、と私は強く心がけています。

なぜかと言うと、結局、どんな良いツールであっても、徹底的に使わなければその価値を感じられないんですよね。Hubbleも実は5月まで私が導入して使ってみようとか言っていたんですけど、月に10件くらいしか書類がアップロードできなくて、Hubbleのありがたみを感じることができなかったんですよ、正直。それを徹底的に使いこなすところまで行って初めてすごいなと思えるようになったので、実行することを考えた時に、やはりその課題が明確でないと、結局その実行は続かない。そういう意味でこの課題を考えるということが大事になるのかなというところです。

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徹底的に使いこなしてみる、というのは大事だと感じます。システムの癖みたいなところもあると思います。現に私はまだサムポローニアは使いこなせていません。

また、ユーザーが少し調整できる部分があると良いと思うのですが、その余地が少なく感じます。例えば、信託契約書について案件管理や契約書の条項をいくつか登録しておいてパターンごとに大雑把に当てはめる(そこから人が微調整)みたいなことが出来ません。

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リーガルテックNews Pickup 10月2日版


・株式会社サピエンス
金融庁パブコメの全文・横断検索サービスを「LION BOLT」で提供開始
https://lp.sapiens-inc.jp/finance_compliance_riskmanagement


月10万円~

・株式会社クラウドサイン
“印鑑不要”の電子契約サービス 提供企業に相談相次ぐ
4月は6500社と契約。これまでは紙を使うことが多い金融機関や不動産業との契約が多かったということですが、最近はユーチューバーなどとの契約も増えてきている、とのこと。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200927/k10012636441000.html
クラウド型の電子署名サービス。民間企業なので、保険などをかけているのか気になります。
メールの送受信が当事者に残っていれば、契約などが無効になることは少ないのかなと感じます。

・NTTデータ、「サイバー攻撃の痕跡」をアナリストが調べる新サービス
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2009/28/news148.html
「情報処理安全確保支援士」という国家資格を初めて知りました。
これからのニーズはあるように感じます。

・「禊」のツールとなった「第三者委員会」再考
報告書の格付け委員会設置
https://news.nifty.com/article/economy/economyall/12280-808481/
「第三者」だと何が良いのか、考えるきっかけになるのかなと感じます。

・テレワークに伴う個人情報漏えい事案と対策を紹介(個人情報保護委員会)
https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/telework/・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
以前も紹介しましたが。
https://politylink.jp/about
内容としては、「金融庁パブコメの全文・横断検索サービスを「LION BOLT」で提供開始」に近いと思います。

影山克典「IT化に関する施策と司法書士実務」

登記情報[1]の記事です。

情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律などの一部を改正する法律[2]

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/hourei/digital.html

未来投資 戦 略 2017―Society 5.0 の実現に向けた改革―平成 29 年6月9日

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2017_t.pdf

未来投資戦略 2018

―「Society 5.0」「データ駆動型社会」への変革― 平成 30 年6月 15 日

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/miraitousi2018_zentai.pdf

成長戦略実行計画 令和2年7月17日

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/ap2020.pdf

成長戦略フォローアップ 令和2年 7月17日

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/fu2020.pdf

規制改革推進に関する答申 令和2年7月2日

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/20200702/200702honkaigi01.pdf

令和2年度革新的事業活動に関する実行計画 令和2年7月17日

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/ps2020.pdf

経済財政運営と改革の基本方針2020 令和2年7月17日

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2020/2020_basicpolicies_ja.pdf

上の政策が大体掲載されているページ

首相官邸 政策会議

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/kettei.html

オンラインサービスにおける身元確認手法の整理に関する報告書 2020/3/31

https://www.meti.go.jp/press/2020/04/20200417002/20200417002-3.pdf

規制改革制度ワーキングチーム 第18回各府省情報化専任審議官等連絡会議合同会議(資料2-2)

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/senmon_bunka/densi/dai33/siryou2-2.pdf

金融業界における書面・押印・対面手続きの見直しに向けた検討会

https://www.fsa.go.jp/singi/shomen_oin/index.html

目指すもののうち、司法書士実務に関係があると思われる考え方など

・行政手続・・・窓口に行かない。同じ情報を出すことがない。本人確認をオンラインで行う。一部について、電子申請の義務化、マイナンバーカード普及のための施策。

・商業登記・・・法務局への届け出印を持っていない法人の登場。グレーゾーン解消制度(本店移転登記)。

・代理、署名押印・・・代理申請における当事者の電子署名の省略、クラウド型の電子署名、電子署名ではなく、IDとパスワードで本人であることを担保する。

書面・対面なしで完結させている取引(住宅ローン契約の電子化、ブロックチェーンによるデリバティブ取引、電⼦発注(⼯事受発注電⼦化)など。)。

・不動産登記・・・不動産売買契約をオンラインで行う場合の本人確認(特に意志の確認)。相続登記の自動化の可能性。相続人が被相続人が名義人となっている不動産を法務局に照会できる制度を創設予定。戸籍等のオンライン(代理)申請。デジタル遺言(アメリカ合衆国フロリダ州、ネバダ州にて利用開始予定)。

添付情報のオンライン化+提出

・裁判手続、執行手続・・・申立てから終了までのオンライン化を目指す。

・家事事件・・・オンラインによる面会交流。

諸外国

アメリカ、韓国、ドイツ、スイス。

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動きが速いのかどうなのか、判断出来ませんでした。書類も100ページ以上のものがほとんどなので、概要と目次と気になる部分を読むことで済ませました。

私はこちらの考えです。

──2014年以前から、政府はDX(デジタルトランスフォーメーション)を熱望していたのでしょうか。それとも学生運動を通じて、その重要性に気付いたのでしょうか?DXに対する政府の態度はどのように変化しましたか。

わたしたちは、デジタルに“トランスフォーム”(変換)するとは考えていません。どちらかというと従来のアナログのプロセスをより多くの人に届くように“増幅”していると考えています。「デジタルトランスフォーメーション」は何かを奪うものではないんです。たとえば、電子署名法を導入したときも、台湾で広く使われている木彫りの「印鑑」が「もう使えません」とは言いませんでした。印鑑は継続して使えます。電子署名も、印鑑も、どっちでもいいんです。ちなみに、印鑑の電子化を受けてマルチタッチの電子印鑑を生産するイノベーターもいて、印鑑を携帯電話のスクリーンに押しあてると電子印鑑として使えるというものです。それは“トランスフォーム”(変換)ではなく、既存の文化を「増幅」することを意味しています。

https://note.com/blkswn_tokyo/n/ne3513163c79b

・気になること

・電子国家といわれているエストニア(人口約133万人)について

新型コロナ感染症(covid19)について、数字だけ見ると、対応できているのか分からないこと。

感染者数2,272 死亡者数63 回復者数2,024

https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/world-data/

貧困率や格差が相対的に高い。

https://www.globalnote.jp/post-2498.html?cat_no=604

・アメリカについて

新型コロナ感染症(covid19)についてはニュースを読む通り。分断、格差については、Black Lives Matterを読む通り。

・韓国について

https://jp.yna.co.kr/view/AJP20200824001000882

https://www.globalnote.jp/post-2594.html?cat_no=604

・ドイツ

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-08-07/QEP0TLDWLU6I01

https://www.globalnote.jp/post-2520.html?cat_no=604

・スイス

https://www.globalnote.jp/post-2791.html?cat_no=604

デジタル化は方法の1つなんだろうなと、ぼんやり考えています。自分の業務のうち、試すことが出来るものは試していきたいです。

・最近話題になっていたこと(特に支持しているわけではありません。)

リーガルテック企業の方が何度も取り上げていた自由研究

文部科学大臣賞 「知ってる?はんこってなんで押さなきゃいけないの―日本の特別な文化―」

https://concours.toshokan.or.jp/wp-content/uploads/contest-data/230002/?fbclid=IwAR3MoHjyWk2-6Cr58CcuqtOtX5lxI1ARjz2_MNTCi5lVhFWWW3HivtkEVKE#p=51


[1] 705号 2020.8きんざいP25~

[2] 影山克典「デジタル手続法は司法書士実務をどう変えるか」市民と法118号3項~

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