加工 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00460.html

令和5年2月8日法務省民二第70号

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に

伴う相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法

律第25号、相続等により取得)した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行期日を定める政令(令和3年政令第333号)、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令(令和4年政令第316号)及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則(令和5年法務省令第1号)が公布され、令和5年4月27日から施行されることとなったところ、これらに伴う相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する手続に関する事務の取扱いについては、別添の「相続土地国庫帰属制度事務処理要領」に拠るものとしますので、事務処理に遺憾のないよう、周知方取り計らい願います。

ヒグマがいないことを証する書面、猟友会、自治体との情報連携。

別記第6号様式 法務局がヒグマに関する照会をかける可能性。ニュースを情報源に?

国庫帰属の相談がありそうな土地・・・何処にあるか分からない山林、どうにもならない農地(面積小など)。

地積が小さい土地は可能性有り。

何処にあるか分からない山林は、断る説明が難しいかも。

1ヘクタール超・・・森林組合が欲しがる。超えない場合は国庫帰属相談に流れる。

接道要件を満たしていない土地は難しい。囲繞地通行権は通用するか?可能性は低いのでは?。実体との関係。

国民の期待の大きさ。

業務を行う上での論点

・境界に杭が埋まっているか?埋まっていなければ、土地家屋調査士の調査必要→コスト。所有権界は理解が難しい。

・代理ではないから、依頼者の責任で出来る?

・土地家屋調査士の責任が軽くなる方向で、運用できるか。名前が出てこない、懲戒の対象規範。

・相続登記はやる方向になると考えられる。

・災害などで隣地に迷惑をかける可能性。

・生前対策(子・孫に負の遺産を残さないように)として。

・委任契約で高低を付ける(添付書面だけチェックのみ、など。)

・実家の売却と併せて申請する場合は、費用負担も抑えられる場合あるかも。

・隣地所有者への贈与。

別添

相続土地国庫帰属制度事務処理要領

第1節定義

この要領において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

1 法相続等により取得し「 た土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(令和3年法律第25号)

2 令「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令」(令和4年政令第316号)

3 規則「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則」(令和5年法務省令第1号)

4 帰属制度法により創設された相続土地国庫帰属制度

5 相続等 相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)

6 相続土地相続等により所有権又は共有持分を取得した土地

7 承認申請法第2条第1項又は第2項の規定による、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認の申請

8 承認申請者法第2条第1項又は第2項の規定により、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を申請する者

9 承認申請者等承認申請者又はその代表者若しくは法定代理人

10 申請土地承認申請に係る土地

11 承認申請書類承認申請書及びその添付書類

12 法務局等法務局又は地方法務局の本局

13 法務局長等法務局又は地方法務局の長

14 帰属担当者法務局等において帰属制度の事務を担当する職員

15 管轄法務局申請土地の所在地を管轄する法務局等

16 管轄法務局長管轄法務局の長

17 国庫帰属地帰属制度により国庫に帰属した土地

18 管理予定庁国庫帰属地を管理する可能性がある行政機関(財務局、財務支局、沖縄総合事務局、財務事務所及び出張所、経営局及び地方農政局並びに森林管理局、森林管理署及び森林管理署の支署)

19 管理庁国庫帰属地を管理することが決定した行政機関(財務局、財務支局、沖縄総合事務局、財務事務所及び出張所、経営局及び地方農政局並びに森林管理局、森林管理署及び森林管理署の支署)

20 関係機関国の関係行政機関又は地方公共団体

21 却下要件法第2条第3項各号に規定する要件

22 不承認法第5条第1項の規定により承認をしないこと

23 不承認要件法第5条第1項各号に規定する要件

第2節 帰属制度の相談

第1 相談

1 帰属制度に関する相談(以下、単に「相談」という。)とは、法務局等において、帰属制度の概要等を説明することで、承認申請を受け付けた後の円滑な事務処理に資することを目的とする。さらに、相談者に帰属制度以外に採り得る手段(関係機関による寄附受け、農地中間管理事業の推進に関する法律(平成25年法律第101号)に基づく農地中間管理事業(いわゆる農地バンク)や森林経営管理法(平成30年法律第35号)に基づく森林経営管理制度、相続放棄などの他の制度活用等)を紹介する等して相談者が抱える相続土地に係る問題の解決に助言を与えることとする。

2 相談は、帰属制度の手続についての一般的な説明に限らず、相談の内容に応じて個別に相談者が持参した資料等を踏まえた帰属制度の手続に関連する具体的な助言をする対応も可能とする。

3 相談は、原則として事前予約制で実施するものとする。ただし、制度の概要や手続についての簡単な説明は電話によることができるが、5分以内をめどとする。

4 相談は、原則として、対面又は電話で実施するものとする。

5 対面又は電話による具体的な個別事案の相談は、帰属制度の概要の説明及びその後の処理時間を含めて30分以内をめどとする。

6 相談は、土地の所有者及びその親族等のほか、これらの者からの依頼を受けた資格者を対象とするが、相談時において、土地の所有者本人であることや資格者であること等の厳密な確認は、特段の事情がない限り行わないものとする。

なお、相談対応の過程において、土地の所有者と関係性が全くないなど、相談の趣旨にそぐわないと判断した場合には、必要に応じて関係性を確認した上で、相談を終了して差し支えない。

7 相談は、管轄法務局以外の法務局等でも対応するものとする。ただし、承認申請は、管轄法務局に申請されることから、承認申請に係る具体的な内容を含む相談の場合については、必要に応じ、管轄法務局への相談を勧めるものとする。

8 管轄法務局以外の法務局等が相談に対応した場合であって、管轄法務局に共有しておくべき情報があるときには、相談対応した法務局等の帰属担当者は、管轄法務局の帰属担当者に相談内容を共有するものとする。

この場合、相談対応した法務局等の帰属担当者は、相談者にあらかじめ管轄法務局と相談内容を共有する旨を伝え、了解を得るものとする。

9 相談対応した法務局等の帰属担当者は、相談の結果について、可能な範囲

でその概要を記録するものとする。

第2 相談の留意事項

1 相談においては、以下の点に留意して、必要な事項を説明するものとする。

(1) 相談における帰属担当者の見解は、相談者が持参した資料等の範囲内で帰属担当者が自らの見解を述べているものであり、承認の可否を保証するものではないこと。

(2) 承認申請後の実際の審査においては、関係機関から提供される資料の確認や実地調査を行った上で判断することとなるため、相談における帰属担当者の見解と異なる結果になる可能性があること。

(3)実際の審査には一定の期間を要すること。

(4) 承認申請後は、法令上、いかなる理由があっても、納付された審査手数料を返還することはできないため、承認申請をする際にはその点を十分考慮すること。

(5)承認された場合、国に所有権を移転するためには、負担金の額の通知を受けた日から30日以内に、原則として一筆の土地ごとに20万円が基本となる負担金を納付する必要があること。

(6) 偽りその他不正の手段により承認を受けたことが判明したときは、承認が取り消され、損害賠償責任を負う可能性があること。

2 相談に関する問合せがある場合には、相談者に対して、相談前に法務省のホームページに掲載している「相続土地国庫帰属制度のご案内」を確認し、相談に係る土地が却下要件及び不承認要件に該当しないかを確認した上で相談を利用するよう促すものとする。

また、対面による相談対応については、土地の登記事項証明書、地積測量図、登記所備付地図(不動産登記法(平成16年法律第123号)第14条第1項地図)又は地図に準ずる図面(同条第4項の地図。以下これらを「登記所備付地図等という」 。)の写し、所有者が所有する土地に関する書面(境界確定図、境界確認書等)、現地の状況が分かる写真等の参考資料を持参することも促すものとする。

第3節承認申請者

第1 承認申請者

1 承認申請者は、土地の所有者(相続等によりその土地の所有権の全部又は一部を取得した者及び同人が所有権の一部を所有する土地の共有者に限る。)である(法第2条第1項及び第2項)。

承認申請者が申請土地の所有者であること及び相続等により申請土地の所有権又は共有持分を取得した者であることは、原則として、登記記録又は規則第3条第1号で定める「当該者であることを証する書面」を確認することにより判断するものとする。

2 申請土地の所有者本人からの承認申請であること及び承認申請の意思確認は、原則として、承認申請書への記名押印を求めた上で(規則第2条第1項本文)、押印された印影及び承認申請者等の印鑑に関する証明書(以下「印鑑証明書」という。)の提出を受け(規則第2条第3項本文)、当該印影を照合することによって行うものとする。

ただし、以下の場合は、取扱いに留意する必要がある。

(1) 記名押印を要しない場合

承認申請者等が署名した承認申請書について、公証人又はこれに準ずる者の認証を受けている場合は、当該認証を確認するものとし、記名押印を要しないため、印影の照合をする必要はない(規則第2条第1項ただし書)。

(2) 印鑑証明書の添付を要しない場合

ア 承認申請者が商業登記法(昭和38年法律第125号。以下「商登法」という。)第12条の規定による印鑑を提出している法人である場合において、その会社法人等番号が承認申請書に記載されているときは、当該印鑑に係る印鑑証明書の添付を要しない(規則第2条第3項第1号)。

この場合には、登記所に提出されている代表者の印鑑と承認申請書に押印された印影との同一性を確認するものとする。これに対し、承認申請者が商登法第12条の印鑑の提出をしていない法人である場合には、照合可能な押印がされていないことから、同号の「押印」があったとはいえないこととなるため、印鑑証明書の添付を省略することはできない。

なお、当該法人の代表者個人の住所地に登録されている印鑑を承認申請書に押印し、当該印鑑に係る印鑑証明書を添付した場合であっても、承認申請者である法人の意思を確認することができないため、必要な印鑑証明書の添付があったとはいえないこととなる。

イ承認申請者等が記名押印した承認申請書について、公証人又はこれに準ずる者の認証を受けている場合には、印鑑証明書の添付を要しないものとする(規則第2条第3項第2号)。

ウ裁判所によって選任された者がその職務上行う承認申請の承認申請書に押印した場合には、裁判所書記官が最高裁判所規則で定めるところにより作成した証明書の印影と承認申請書に押印された印影との同一性を確認するものとし、当該印鑑に係る印鑑証明書の添付を要しないものとする(規則第2条第3項第3号)。

(3) その他

承認申請者が未成年である場合において、当該者の法定代理人が承認申請書に記名押印をし、当該印鑑に係る印鑑証明書を添付したときは、承認申請者本人が記名押印をする必要はなく、本人の印鑑証明書の添付も要しない。また、印鑑の登録をしている未成年者が自ら承認申請書に記名押印し、当該印鑑に係る印鑑証明書を添付した場合には、その印影を照合するほか、法定代理人の同意を証する書面及び法定代理人の印鑑証明書も併せて添付させ、承認申請の意思を確認する必要がある。

3 上記1及び2で確認する各種証明書については、期限の定めは設けないものとする。なお、各種証明書の住所と承認申請者等の住所が異なる場合には、住所のつながりを明らかにした資料(住民票の写し等)の添付を求めるものとする。

第2 表題部所有者又は所有権の登記名義人でない場合の対応

1 承認申請者が表題部所有者又は所有権の登記名義人でない者であっても、表題部所有者又は所有権の登記名義人から相続等により申請土地の所有権を取得した者であることを証明する書面(不動産登記手続において相続等による所有権の移転の登記の登記原因を証する情報と同程度のものに限る。)を提出した場合は、申請土地の所有者と判断することが可能であることから、承認申請を認めることとしている(規則第3条第1号)。

これに対し、表題部所有者又は所有権の登記名義人から承認申請者に至るまでに相続等以外の原因(以下「売買等」という。)による所有権の移転がある場合には、承認申請者が申請土地の所有者であると確実に判断することができないから、売買等を原因とする所有権の移転の登記が行われない限り、「承認申請が申請の権限を有しない者の申請によるとき」(法第4条第1項第1号)に該当するものとして、却下することになる。

2 相続等により申請土地の所有権を取得した者が所在不明となった場合にお

いて、不在者財産管理人(民法(明治29年法律第89号)第25条)、所有者不明土地管理人(民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)による改正後の民法第264条の2)又は相続財産管理人(民法第952条第1項)が選任されたときは、裁判所の許可を得て、不在者財産管理人、所有者不明土地管理人又は相続財産管理人が申請土地の所有者の法定代理人として承認申請をすることができる。

第3 承認申請者が複数である場合の申請方法

1 申請土地が複数人の共有に属する場合は、共有者の全員が共同して行うときに限り、承認申請をすることができる(法第2条第2項)。

前記第1の1と同様、承認申請者が申請土地の所有者であること及び相続等により申請土地の所有権又は共有持分を取得した者であることは、原則として、登記記録又は規則第3条第1号で定める「当該者であることを証する書面」を確認し、現在の登記名義人や所有権を取得した原因が相続等であることを確認することにより、承認申請者の該当性を判断するものとする。

なお、申請土地が複数人の共有に属する場合、相続等により申請土地の所有権を取得していることは、その共有者のうちの1人について確認すれば足りるが、申請土地の所有者であることは、全ての共有者について確認する必要がある。

2 申請土地の所有者本人からの承認申請であること及び承認申請の意思確認は、前記第1の2と同様、承認申請書に押印された印影と印鑑証明書等(規則第2条第3項)の印影を照合することによって判断することとする。なお、共有者の場合には、共有者全員の押印及び印鑑証明書の提出が必要となる。

第4節承認申請書類

第1 承認申請書の添付書類

規則第3条各号に規定する添付書類については、それぞれ次に掲げるものを提出させるものとする。

1 「承認申請者が相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により承認申請に係る土地の所有権又は共有持分を取得した者であるときは、当該者であることを証する書面」(第1号関係)

承認申請者が相続等により申請土地の所有権又は共有持分を取得した者である場合において、登記記録上の登記名義人と一致していないとき(相続を原因とする所有権の移転の登記を行っておらず、登記記録上同一人であることを確認することができない場合等)に、承認申請者が当該者であることを証する書面の添付が必要である。この書面は、相続等により申請土地の所有権又は共有持分を取得した者であることを書面上確認できるものである必要があることから、不動産登記令(平成16年政令第379号。以下「不登令」という。)第7条第1項第5号イに規定する情報と同程度のもの(相続その他の一般承継があったことを証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した書面(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき書面))であることを要する。

具体的には、承認申請者が登記名義人の相続人であることを示す戸籍事項証明書や不動産登記規則(平成17年法務省令第18号。以下「不登規則」という。)第247条の規定により交付された法定相続情報一覧図の写し、遺産分割協議書(押印及び当該印影に係る印鑑証明書の添付)、登記名義人から承認申請者に申請土地を遺贈する旨が記載された遺言書、相続人である承認申請者の住所又は氏名を示す住民票の写しや戸籍の附票の写し等が挙げられる。

なお、申請土地の所有権の登記名義人ではあるが、登記原因が遺贈であり、相続人に対する遺贈かを登記記録上で判断することができない場合や所有権の保存の登記のみである場合には、登記記録のみでは相続等により申請土地の所有権又は共有持分を取得した者であることを確認することができないので、当該者であることを証する書面の添付が必要である。

また、承認申請者が承認申請書に記載した氏名又は名称及び住所と、登記記録上の氏名又は名称及び住所が合致しない場合には、同一人であることを証する書面の添付が必要である。この書面は、登記名義人の氏名若しくは名称又は住所に変更や誤りがあったことを当該書面において確認することができる必要があることから、不登令別表第23の項添付情報欄に規定する情報と同程度のもの(登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更又は錯誤若しくは遺漏があったことを証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した書面(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき書面))であることを要する。

具体的には、戸籍事項証明書、住民票の写しや戸籍の附票の写しなどが挙げられる。

なお、住民票コード(住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第7条第13号に規定する住民票コードをいう。)をもってこれらの書面に代えることはできないので留意が必要である。

2 「法定代理人によって承認申請をするときは、戸籍事項証明書その他その資格を証する書面」(第2号関係)法定代理人が承認申請を行う場合に、当該代理人の地位を証する書面の添付が必要である。

具体的には、未成年者の親権者については戸籍事項証明書等が、成年被後見人の成年後見人については成年後見登記事項証明書又は審判書謄本等が挙げられる。また、不在者財産管理人又は相続財産管理人については、裁判所による選任を証する決定書謄本等及び裁判所の許可を証する決定書謄本等が挙げられる。

3 「承認申請者が法人であるときは、当該法人の代表者の資格を証する書面」(第3号関係)

承認申請者に法人が含まれる場合において、当該法人の代表者であることを証する書面の添付が必要である。

具体的には、当該法人の登記事項証明書や代表者資格証明書が挙げられる。

なお、当該法人に係る会社法人等番号が承認申請書に記載されている場合において、管轄法務局の帰属担当者が法第7条の規定に基づき取得した当該法人の登記事項証明書により法人の代表者であることを確認できるときには、当該書面の添付が不要となる。

4 「承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面」(第4号関係)

承認申請に当たり、対象土地がどの位置にあり、また、当該土地の範囲がどのようなものであるかについて、承認申請者の認識を明らかにする書面の添付が必要である。これは、管轄法務局における申請土地の書面調査や実地調査においても基礎となる資料であるほか、法第2条第3項第5号に規定する「境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地」に該当しないことを隣接地所有者に確認するために必要となるものである。

具体的には、登記所備付地図等や、国土地理院が公開している地理院地図などに、承認申請者が認識している土地の位置及び範囲を示したものが必要となる。

なお、法第2条第3項第5号の「境界」とは、公的境界である「筆界」ではなく、「所有権界」を意味し、本図面で表示される土地の範囲も「所有権界」による範囲を意味する。したがって、本図面で表示された土地の範囲が「筆界」と相違することをもって承認申請を却下することはできない。そのため、本図面を作成するに当たり、承認申請者は、自らが認識する「所有権界」による土地の範囲を示せば足り、隣接地との境界について復元測量等を実施することまでは要しない。もっとも、管轄法務局の審査に資することを目的として、あらかじめ復元測量等を実施し、その成果を資料として任意に提出することは差し支えない。

5 「承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真」(第5号関係)

承認申請に当たり、対象土地が現在どのような状況であるかを承認申請者において明らかにする写真の添付が必要である。これは、管轄法務局において、申請土地上に建物や工作物等が存在するかを確認したり、実地調査の基礎資料としたりするためのものである。

具体的には、申請土地の全景及び近景を撮影した写真であって、上記4の図面におけるそれらの位置関係を明らかにしたものが必要となる。

なお、申請土地が広大であり、全景を1枚の写真で明らかにすることが困難である場合には、航空写真や全体の関係を明らかにした複数枚の写真によることで差し支えない。このため、承認申請者においてドローン等により土地の全景を撮影することまでは要しないが、これらを使用して作成しても差し支えない。

6 「承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真」(第6号関係)

承認申請に当たり、対象土地がどの境界点で隣接している土地に接しているかを承認申請者において明らかとする写真の添付が必要である。これは、管轄法務局における土地の隣接関係の書面調査や実地調査において判断するための基礎となる資料であるほか、法第2条第3項第5号に規定する「境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地」に該当しないことを隣接地所有者に確認するために必要となるものである。

具体的には、各境界点を示すもの(境界標、ブロック塀又は道路のへり等の地物、簡易な目印等をいい、審査時及び国庫帰属時において確認可能なものであることを要する。)を明確に撮影した写真であって、上記4の図面におけるそれらの位置関係を明らかにしたものが必要となる。

なお、境界点を示すものについては、承認申請後の管轄法務局における審査時及び国庫帰属時において現地の確認が可能なものである必要があるが、境界標が存在しない場合に、隣地と境界を確定し、測量に基づく恒久性のある境界標を埋設することまでは要しない点に注意する必要がある。

7 「法第11条第1項の規定により承認申請に係る土地の所有権が国庫に帰属した場合には当該土地の所有権が国庫に帰属したことを原因とする国が登記権利者となる所有権の移転の登記を官庁が嘱託することを承諾したことを証する書面」(第7号関係)

法第11条第1項の規定により、申請土地が国庫に帰属した場合には、当該土地の所有権が国に移転することとなるため、国が所有者であることを登記記録上で公示することが必要となる。このため、国庫帰属後に管理庁において帰属制度に基づく所有権の移転の登記嘱託をすることを承諾する書面の添付が必要となる。これは、不登令別表第73の項添付情報欄ロに規定する登記義務者の承諾を証する当該登記義務者が作成した情報となり得る書面である必要がある。

具体的には、承認申請に係る土地の所有権が国庫に帰属した場合、国庫帰属後に土地を管理する国の機関によって、国の機関への所有権の移転の登記嘱託をすることを承諾する旨が記載されている必要がある。

第2 承認申請書類の提出方法

承認申請書類の提出方法は、書面提出に限るものとする。オンラインによる承認申請や書類提出は認められない。

第3 承認申請書類の提出先

承認申請書類の提出は、管轄法務局長に対して提出する必要がある(規則第1条本文、第22条第1号)。

ただし、同一所有者が所有する隣接する二筆以上の土地の管轄法務局が二以上存在する場合には、そのいずれかの管轄法務局長に対して承認申請書類を提出することができる(規則第1条ただし書)。この場合には、承認申請者が選択したいずれかの管轄法務局が受付以降の手続を担当することになる(以下、これにより管轄以外の土地に係る承認申請書の提出を受けた管轄法務局も含めて特段の指定がない限り、単に「管轄法務局」という。)。

第4 審査手数料

1 承認申請をするときは、手数料を納付しなければならない。なお、手数料については、納付した後は返還しない(法第3条第2項、規則第5条第2項)。

2 手数料の納付は、当該手数料の額に相当する収入印紙を承認申請書に貼付

する方法による(規則第5条第1項)。

手数料の納付がない承認申請は、法第4条第1項第2号により却下される。

3 承認申請時に納付された手数料の額が納付すべき手数料の額に満たない場合は、承認申請者が不足額を追納しない意思を明らかにしているときを除き、手数料の納付がないことを理由として直ちに承認申請を却下するのではなく、納付すべき手数料の額を通知して補正の機会を与えるものとし、この場合の補正期間は2週間を目安とする。

4 手数料が過大に納付された場合には、過大に納付された手数料の額に相当する金額の金銭を償還するものとし、帰属担当者が過大納付を確認した場合

には、承認申請者に遅滞なく連絡するものとする。ただし、その額が1,000円未満であり、かつ、承認申請者が放棄する旨を申し出た場合にはこれを認め、償還請求及び払戻手続によることなく、承認申請書の収入印紙が貼付されている部分の余白に放棄した旨及び金額を記載させるとともに、押印又は署名させるものとする。なお、承認申請者が遠隔地に居住している等により承認申請書に当該記載をすることができない場合には、その旨を記載し、承認申請書に押印した印鑑と同一の印鑑を押印した書面を送付して申し出ることで足りる。

承認申請者が償還を請求する場合には、その旨を書面で提出させ、払戻手続を行うものとする。なお、払戻手続を行った場合には、承認申請書の収入印紙が貼付されている部分の余白にその旨を記載するものとする。

第5節承認申請の受付

第1 窓口申請

1 管轄法務局に出頭して行う申請(以下「窓口申請」という。)は、管轄法務局の本局の帰属担当者が窓口で受け付けるものとする。

なお、窓口申請の受付では事前予約制は採らないが、各局の実情により事前予約を可能とし、事前予約者がいる場合には、当該者の承認申請を優先的に取り扱うものとする。

2 受付時には、承認申請書類が提出すべき管轄法務局に提出されているか、規則第2条第3項本文の印鑑証明書及び第3条各号の添付書類が添付されているか、同一の承認申請書で申請できるものであるか等について確認するとともに、疑義がある場合には必要に応じて承認申請書の提出者に確認を行うものとする。

必要な確認を行った後に承認申請書を受け付けたときは、直ちに、承認申請書に貼付された収入印紙を、再使用を防止することができる消印器により消印するものとする。

3 受付時において、承認申請書の提出後は審査手数料が過大に納付された場合における賠償償還請求手続を除き、審査手数料の返還の手続は存在しない(理由を問わず返還することはできない。)ことを承認申請書の提出者に説明し、理解を得るよう努めるものとする。

また、承認申請書及び原本還付をしない添付書面は、提出後は返却することができないので、その旨も併せて説明し、理解を得るよう努めるものとする。

4 受付後、承認申請の受付年月日、受付番号、申請土地の所在及び地番を受付帳に記載するものとする。

受付番号は、承認申請に係る一筆の土地ごとに付すものとする。

5 受付後、承認申請の受付年月日及び受付番号を承認申請書の1枚目の余白に<別記第1号様式>による印判を押印するなどして記載するものとする。

なお、一の承認申請書で二筆以上の土地が承認申請されている場合には、どの土地に対する受付であるかを明らかにするため、申請土地の表示の適宜の場所に受付番号を記載するものとする。

承認申請者から、受付がされたことの情報の教示の希望があった場合には、承認申請に係る処分をするまでの間は、口頭で受付番号を伝達する方法のほか、申請土地一筆ごとの承認申請の受付年月日及び受付番号等を記載した受付証を、<別記第2号様式>により作成し、提供することができる。

第2 郵送申請

1 郵送による承認申請(以下「郵送申請」という。)は、管轄法務局の本局の帰属担当者が受け付けるものとする。

2 郵送申請の受付時には、第1の2と同様に承認申請書類を確認し、疑義がある場合には、必要に応じて承認申請者に電話で確認を行うものとする。

確認後、承認申請書を受け付けたときは、直ちに、貼付された収入印紙を、再使用を防止することができる消印器により消印するものとする。

3 郵送申請において、提出先の管轄法務局を誤って承認申請書類が送付された場合には、誤って送付を受けた法務局等の帰属担当者は、承認申請者に電話で連絡をし、管轄法務局への承認申請書類の転送の希望の有無を確認するものとする。

承認申請者が転送を希望する場合、誤って送付された法務局等の帰属担当者は、管轄法務局の帰属担当者に、承認申請に係る所在地番、承認申請者名及び承認申請書類の転送について事前に連絡した上で、承認申請書類一式を転送するものとする。

転送の希望がない場合や承認申請書類が送付された日から5業務日を過ぎても確認が取れない場合には、承認申請者の住所宛てに承認申請書類一式を返送するものとする。

4 郵送申請を受付後、承認申請の受付年月日、受付番号、申請土地の所在及

び地番を受付帳に記載するものとする。

受付番号は、承認申請に係る一筆の土地ごとに付すものとする。

5 郵送申請の受付後、承認申請の受付年月日及び受付番号を承認申請書の1枚目の余白に<別記第1号様式>による印判を押印するなどして記載するものとする。なお、一の承認申請書で二筆以上の土地が承認申請されている場合には、どの土地に対する受付であるか明らかにするため、申請土地の表示の適宜の場所に受付番号を記載する等の措置を講ずるものとする。

郵送申請時において、承認申請者から受付がされたことの情報の教示の希望があった場合は、承認申請に係る処分をするまでの間は、承認申請者が送付料を負担した返信用封筒が同封されているときに限り、承認申請者に申請土地一筆ごとの承認申請の受付年月日及び受付番号等を記載した受付証を、<別記第2号様式>により作成し、返信用封筒を利用して提供することができる。

第3 承認申請主体

1 承認申請は、承認申請者又は法定代理人が行う必要がある(法第2条第1

項及び第2項等)。

ただし、承認申請書類の作成代行については、それを業務とするものでなければ親族等が行うことが許容されている。承認申請書類の作成を業務として代行することができる資格者(報酬を得るか否かに関わりない。)は、弁護士(弁護士法(昭和24年法律第205号)第3条)、司法書士(司法書士法(昭和25年法律第197号)第3条第1項第2号)及び行政書士(行政書士法(昭和26年法律第4号)第1条の2)に限られる。

なお、承認申請の任意代理は、認められない。

2 承認申請書類の窓口申請は、必ずしも承認申請者等が出頭して行う必要はなく、使者による提出も認められることから、窓口での受付時において、承認申請者又は法定代理人本人であることの確認は行わないものとする。

第4 審査主体

1 承認申請に係る審査及び判断は、原則として、管轄法務局長が行うものとする。

2 承認申請に係る管轄法務局の審査を踏まえて法務大臣が自ら承認、不承認又は却下の判断を行う場合は、法務省から管轄法務局にその旨を指示する。

第6節添付書類の原本の還付

1 承認申請者は、規則第10条第1項の規定により添付書類の原本の還付を請求することができる。ただし、規則第2条第3項本文に規定する印鑑証明書及び規則第3条第7号に規定する承諾したことを証する書面については、原本の還付を請求することができない点に注意する必要がある。

なお、承認申請者が相続により土地の所有権又は共有持分を取得した者であることを証する書面の原本還付を請求する場合に、いわゆる相続関係説明図が提出されたときは、当該書面のうち、戸籍又は除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書に限り、当該相続関係説明図を規則第10条第2項に定める謄本として取り扱うことができる。

2 規則第10条第3項の「承認申請に係る審査の完了後」とは、却下要件及び不承認要件の審査をするために添付書類の原本を留め置く必要がなくなった段階を意味し、審査状況に応じて帰属担当者が判断するものとする。

3 規則第10条第3項後段の原本還付の旨の記載は、同条第2項の謄本の最初の用紙の表面余白に<別記第3号様式>による印版を押印するとともに、帰属担当者が押印してするものとする。

4 原本の還付請求があった添付書類が偽造された書面である疑いがある場合やその他の不正な承認申請のために用いられた疑いがある書面である場合は、添付書面を還付することはできない(規則第10条第4項ただし書)。

5 原本の還付は、承認申請者が郵送での還付を希望する場合は、承認申請者が申し出た送付先の住所に郵送で送付することができる。

この場合、書留郵便又はこれと同等のものである信書便の役務であって信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うことができるものに限られているため、送付可能な郵便切手や法務大臣が指定する証票が同封されている必要があり、規則第10条に規定する方法以外の方法により還付を希望する申出があったとしてもこれに応ずることはできない。

第7節承認申請者に承継があった場合の取扱い

1 負担金が納付されるまでの間に承認申請者から申請土地の所有権の全部又は一部を取得した一般承継者又は所有権の登記名義人として登記された特定承継者は、所有権を取得した日から60日以内に限り、管轄法務局に申出書及び添付書類を提出することにより、承認申請者の地位を承継することができる(規則第12条第1項、同条第2項)。

この際の申出書は、<別記第4号様式>又はこれに準ずる書面によるものとする。

2 帰属担当者は、申出書と同時に提出される添付書類により、申出人が承認申請者から所有権の全部又は一部を取得した者であって、規則第12条第1項に規定する新承認申請権者に該当すること及び法第11条第1項の規定により承認申請に係る土地の所有権が国庫に帰属した場合には当該土地の所有権が国庫に帰属したことを原因とする国が登記権利者となる所有権の移転の登記を官庁が嘱託することを承諾していることを確認するものとする。

ただし、特定承継者からの地位承継の申出については、その者が法第2条第2項後段の承認申請権者に該当する場合(他の共有者に相続等によって土地の共有持分を取得した者がいる場合)に限って認められることに注意を要する。

なお、申出書及び添付書類については、承認申請書及び添付書類の取扱いに準ずるものとする。

3 申出人が新承認申請権者であると判断できない場合において、補正等がされないときは、地位承継の申出を却下するものとし、適宜の方法によりその旨を申出人に通知するものとする。

4 承認申請者の死亡など同人が申請土地の所有権を喪失した事実を管轄法務

局が把握した場合であって、喪失した日から60日以内に新承認申請権者から承認申請者の地位を承継する申出がないときは、法第4条第1項第1号の規定により承認申請を却下するものとする。

第8節関係機関への情報提供

1 承認申請の受付後、申請土地の寄附受けや他の制度の活用(以下「寄附受け等」という)の可能性について確認することを目的として、国の行政機関及び申請土地が所在する地方公共団体に対し、申請土地に係る情報を提供するものとする。

また、申請土地が所在する法務局等の管轄内にその他の情報提供が有益と考えられる団体(以下、上記の国の行政機関及び申請土地が所在する地方公共団体と併せて「情報提供対象機関」という。)が存在する場合には、当該機関に対しても情報提供をするものとする。

2 情報提供の実施に当たっては、情報提供対象機関に情報提供をする旨を承認申請者に対して説明し、承認申請者の同意を得るものとする。なお、承認申請者が情報提供対象機関への情報提供を希望しない場合は実施しないものとする。

3 情報提供対象機関に対する情報提供は、<別記第5号様式>で実施するものとし、申請土地の所在、地番を記載し、添付書類のうち、「承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面」(規則第3条第4号)、「承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真」(規則第3条第5号)、「申請土地に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真」(規則第3条第6号)、管轄法務局の帰属担当者が取得した申請土地の登記事項証明書及び登記所備付地図等の写しを複写した書面を添付するものとする。

4 情報提供対象機関に対する確認依頼は、2週間を期限として、<別記第5

号様式>により回答を依頼するものとし、情報提供対象機関から寄附受け等の検討に関する連絡があった場合には、承認申請に係る処分を留保するものとする。

なお、期限内に回答がない場合であっても、承認決定までの間に情報提供対象機関から寄附受け等の検討に関する連絡があったときは、承認申請に係る処分を留保するものとする。

5 情報提供対象機関から申請土地の寄附受け等について検討する旨の連絡があった場合は、承認申請者にその旨を連絡するものとする。

なお、寄附受け等に関する調整は承認申請者と寄附受け等を希望する情報提供対象機関との間で直接行うものとし、管轄法務局においては連絡調整以外の具体的な内容に関する調整は実施しないが、情報提供対象機関に対しては、定期的に進捗の確認を行うものとする。

6 複数の情報提供対象機関から寄附受け等について検討する旨の連絡があった場合は、承認申請者に対し、それぞれの情報提供対象機関について説明した上で調整を行う相手方の希望を確認し、その結果について寄附受け等を希望する情報提供対象機関に連絡するものとする。

承認申請者と調整を行う情報提供対象機関が決定した後の対応については、上記5と同様とする。

第9節関係機関への資料提供の依頼等

1 関係機関に対する資料提供の依頼は、申請土地の所在及び地番を記載した依頼書<別記第6号様式>により行うものとし、当該依頼書と併せて、添付書類のうち、「承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面」(規則第3条第4号)、「承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真」(規則第3条第5号「承認申請に)、 係る土地と当該土地に隣接する土地との境界

点を明らかにする写真」(規則第3条第6号)、管轄法務局の帰属担当者が取得した申請土地の登記事項証明書、登記所備付地図等の写しを複写した書面及び管轄法務局負担の返信用封筒を添付するものとする。

2 関係機関に対する資料提供依頼の内容は、次に掲げる事項を対象とするものとし、可能な限り文書等による回答及び資料提供を求めるものとする。なお、次に掲げる事項以外の事項についても、申請土地の状況に応じて追加して資料提供を依頼することがあり得るので留意が必要である。

(1) 固定資産課税台帳上の所在地番、地目及び地積(登記及び課税)(法第10条第1項関連)

(2) 「市街化区域」、「用途地域」、「農用地区域」又は「土地改良法第2条第2項に規定する土地改良事業若しくはこれに準ずる事業が施行される区域」内に存在する土地(法第10条第1項、令第4条第1項第1号、同項

第2号、規則第15条関連)

(3)「農地台帳」に記載のある土地(法第10条第1項関連)

(4)(3)の土地における使用収益権の設定状況(法第2条第3項第2号関連)

(5)地域森林計画の対象となっている土地(法第10条第1項関連)

(6)森林法(昭和26年法律第249号)第11条第1項に規定する森林経営計画の認定の有無(法第2条第3項第2号関連)

(7) 森林経営管理法第2条第4項に規定する経営管理権が設定されている土地(法第2条第3項第2号関連)

(8) 入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律(昭和41年法律第126号)第2条第1項に規定する入会権が設定されている土地(法第2条第3項第2号関連)

(9) 林地台帳及び林地台帳地図(法第2条第3項第5号関連)

(10)森林簿及び森林計画図(法第2条第3項第5号、令第3条第3項第3号関連)

(11) 土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)第6条の「要措置区域」及び同法第11条の「形質変更時要届出区域」に存在する土地(法第2条第3項第4号関連)

(12) 「墓地」として都道府県知事(市又は特別区にあっては、市長又は区長)の許可を受けた区域に存在する土地(令第2条第2号関連)

(13) 「境内地」に該当する土地(令第2条第3号関連)

(14)「ため池」に該当する土地としてため池台帳に記載がある土地(令第2条第4号関連)

(15) 治山事業(森林法第41条第3項に規定する保安施設事業及び地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第51条第1項第2号に規定する地すべり地域又はぼた山に関して同法第3条又は第4条の規定によって指定された地すべり防止区域又はぼた山崩壊防止区域における同法第2条第4項に規定する地すべり防止工事又は同法第41条のぼた山崩壊防止工事に関する事業をいう)の計。 画がある土地(令第3条第3項第1号関連)

(16)森林病害虫等防除法(昭和25年法律第53号)第7条の5の規定に基づき高度公益機能森林又は被害拡大防止森林に指定されている土地(令第

3条第3項第2号関連)

(17) 森林病害虫等防除法第7条の10の規定に基づき地区実施計画の対象となっている土地(令第3条第3項第2号関連)

(18)条例等に基づき、金銭の支払債務(土地改良法(昭和24年法律第195号)第36条第1項の規定に基づき賦課徴収される金銭等の支払義務)が発生することが確実な土地(令第3条第3項第4号関連)

(19) 条例等に基づき、金銭の支払債務(下水道事業受益者負担金等)が発生しており、所有権の移転によって当該債務が承継することとなる土地(令

第3条第3項第5号関連)

(20)(18)・(19)以外に金銭の支払を求められる可能性がある土地(別荘地等)(令第3条第2項第2号関連)

3 関係機関に対する助言の依頼

法第7条の規定に基づき、関係機関に対して申請土地の審査に当たり、資料の提供、説明、事実の調査の援助その他必要な協力を求める必要がある場合には、申請のあった承認申請書類の写しのほか、管轄法務局の帰属担当者が取得した申請土地の登記事項証明書及び登記所備付地図等の写しを複写し

た書面を送付することとする。なお、必要に応じ上記2により収集した資料についても同様に送付するものとする。

また、法第7条の規定に基づき、関係のある公私の団体その他の関係者に協力を求める場合には、関係機関に対する依頼に準じた対応をするものとする。

第10節承認申請の審査

第1 書面調査

承認申請がされた場合には、後記第3に記載する事項を中心に、承認申請書類の記載内容、法第7条の規定に基づき関係機関から取得した資料及び登記所が保有する資料(登記事項証明書及び登記所備付地図等)の内容により調査を行うものとする。

なお、書面調査において却下要件に該当することが確実と判断できる場合には、当該承認申請を却下する方向で処理を進めるものとし、この場合において、法第7条の規定に基づき資料提供依頼を行い、当該依頼に係る回答がされていないものがあるときは、当該依頼に対する回答が不要である旨連絡をするなど、照会先に配慮した適切な措置を講ずるものとする。

第2 実地調査

1 申請土地についての法第6条第2項に規定する実地調査は、原則として管

轄法務局の帰属担当者が実施する。ただし、書面調査において、却下要件に

該当することが明らかな場合であって、補正の見込みもないとき(例えば、登記記録上に抵当権の登記があり、承認申請者が抵当権の登記の抹消を申請する意思がない場合等)においてはこの限りでない。

2 実地調査は、1回かつ1日以内での実施を原則とする。

ただし、申請土地が広大な土地である場合や調査に時間を要する特別な事

情がある場合には、複数回や複数日での実地調査を行うことも差し支えない。

3 実地調査に当たっては、<別記第7号様式>により、立入りを予定している他人の土地の占有者に通知を行うものとする(法第6条第3項及び第4項)。なお、承認申請者については、電話等適宜の方法による連絡で差し支えない。

4 宅地又は垣、柵等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合

は、当該土地の占有者にその旨を告げ、その後に立ち入るものとする(法第

6条第5項)。

5 土地の占有者の承諾を得ない限り、日出前又は日没後の立入りはしないも

のとする(法第6条第6項)。

6 立入りをする場合には、法務局長等が発行した帰属担当者の身分証明書を携行し、関係者からの求めがあったときには、当該身分証明書を提示するものとする(法第6条第7項)。

7 実地調査においては、原則として承認申請者の同行は求めないものとする。

ただし、承認申請者の同行がなければ、申請土地に到達することが困難と認められる場合は、実地調査に承認申請者等又は承認申請者等が指定する者の同行を求めるものとする。また、以下のような場合にも、必要に応じて承認申請者等又は承認申請者等が指定する者の同行を求めることができるものとする。

ア添付書類に示された申請土地の所在位置に疑義がある場合

イ添付書類に示された申請土地の境界(所有権の範囲)に疑義がある場合

ウその他承認申請者の認識を現地で確認する必要がある場合

なお、承認申請者が正当な理由がないにもかかわらず同行に応じない場合には、法第4条第1項第3号の規定により承認申請を却下するものとする。

8 実地調査においては、必要がある場合には、法第7条の規定に基づき、管

理予定庁に同行を求めるものとする。

9 実地調査の終了後は、<別記第8号様式>を用いて、実地調査結果報告書を作成するものとする。

10 実地調査は、主に後記第3に掲げる調査事項を確認するため、申請土地及びその周辺を調査するものとし、必要に応じて隣接地所有者や周辺住民等への聴取も実施するものとする。

第3 調査事項

以下の①から⑱までの項目について、書面調査及び実地調査を行うものと

する。

① 承認申請書に記載された氏名又は名称及び住所(法第3条第1項第1号、規則第2条第1項第1号、同項第3号)

【書面調査】

申請土地の登記記録を確認し、承認申請書の記載事項と照合する。

登記記録上の氏名又は名称及び住所と承認申請書の記載事項が一致しない場合には、規則第3条第1号に基づく添付書類により、変更事項(住所変更、氏名変更等)を確認するものとする。なお、申請土地が複数人の共有に属する場合は、共有者全員の確認が必要である(法第2条第2項)。

【実地調査】

実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

② 申請土地の所在、地番、地目及び地積(法第3条第1項第2号)

【書面調査】

申請土地の登記記録を確認し、承認申請書の記載事項と照合する。

【実地調査】

(1) 申請土地の所在、地番

添付書面の「承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面」(規則第3条第4号)や登記所備付地図等を確認の上、現地に到達することができるか、現地に申請土地が存在するかなどの点を中心に確認を行うものとする。

特に、申請土地の特定(土地の取り違え)に留意する必要がある。

(2) 地目

申請土地の現況を確認し、登記記録上の地目と同じであるか、異なる

場合はどのような用途で利用されているかを中心に確認するものとす

る。

なお、調査の結果、登記記録上の地目と現況の利用用途が異なっていたとしても、それを理由に承認申請を却下することはできない点に留意する必要がある。

(3) 地積

申請土地の現況を確認し、登記記録上の地積と著しく相違がないことを確認するものとする。

なお、実地調査において申請土地の測量は実施しない。

③ 申請土地の所有者(法第2条第1項及び第2項)

【書面調査】

申請土地の登記記録を確認し、承認申請者が所有権の登記名義人となっているかを確認する。申請土地が共有地である場合には、全ての承認申請者について確認する必要がある。

申請土地の登記記録の所有権の登記名義人が承認申請者でない場合には、相続により所有権を取得したことを証する添付書類(遺産分割協議書、戸籍事項証明書等)又は相続人に対する遺贈により所有権を取得していることを証する添付書類(遺言書、戸籍事項証明書等)を確認し、承認申請者が申請土地の所有者であるかを判断するものとする(規則第3条第1号)。これに対し、相続等以外を原因とする所有権の取得(例えば、売買を原因とする場合)については、相続等以外を原因とする所有権の移転の登記を求めるものとし、当該登記がされない場合には承認申請権限を有しないものとして取り扱うものとする。

なお、承認申請者の住所が登記記録上の所有者の住所と異なる場合には、登記記録上の住所に変更又は誤りがあったことを証する添付書類(住民票の写し等)を、承認申請者の氏名又は名称が登記記録上の氏名又は名称と異なる場合には、登記記録上の氏名又は名称に変更又は誤りがあったことを証する添付書類(戸籍事項証明書等)を確認し、同一人であるかを判断するものとする(規則第3条第1号)。

【実地調査】

実地調査においては、申請土地の所有者以外の者が承認申請者として承認申請していると疑わしい場合を除き、特段の確認は要しないものとする。

④ 所有権の取得原因(法第2条第1項及び第2項)

【書面調査】

申請土地の登記記録を確認し、承認申請者に対する所有権の移転の登記の登記原因が「相続」である場合には、「相続等によりその土地の所有権の全部又は一部を取得した者」(法第2条第1項)と取り扱うものとする(規則第3条第1号)。

相続登記がされていない場合は、相続等を証する添付書面(戸籍事項証明書、遺産分割協議書等)を確認することにより、相続等によって土地の所有権を取得しているかを確認するものとする(規則第3条第1号)。

承認申請者に対する所有権の移転の登記の登記原因が「遺贈」である場合(「相続人」に対する遺贈であるかが判明しない)や、承認申請者を所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記があるにとどまる場合には、登記記録のみによっては承認申請権限の有無を確認することができないため、承認申請権限を証する他の添付書類(遺言書、戸籍事項証明書等)を確認し、承認申請権限の有無を判断するものとする(規則第3条第1号)。

なお、申請土地が共有地である場合には、その一人について確認すれば足りる。

【実地調査】

実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

⑤ 建物の存する土地(法第2条第3項第1号)

【書面調査】

申請土地を底地とする建物の登記が存在するかを確認するものとする。

また、添付書類の写真(申請土地の形状を明らかにする写真(規則第3条第5号)) によって建物の有無を確認するものとする。

滅失した建物の登記記録が存在する場合は、承認申請者に建物滅失登記の申請等をするよう促すものとする。

【実地調査】

(1) 申請土地に建物が存在しないことを確認するものとする。

建物の該当性については、建物の登記の存在の有無及び存在する建築物が「屋根及び周壁又はこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるもの」(不登規則第111条)に該当するかによって判断するものとする。なお、建物には該当しない廃屋等が存在する場合、当該廃屋等が、土地の通常の管理又は処分を阻害する有体物に該当するかを判断することとなる。

(2) 実地調査において建物が存在しないことを確認した場合であって、建物の登記が存在するときは、当該建物を管轄する登記所の不動産登記事務担当者に、<別記第8号様式>を用いて作成する実地調査結果報告書の写しを提出し、申請土地に建物が存在しないこと等について情報提供するものとする。

⑥ 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地(法第

2条第3項第2号)

【書面調査】

(1) 申請土地の登記記録を確認し、抵当権等の担保権、又は地上権、地役権、賃借権等の使用及び収益を目的とする権利(以下「使用収益権」という。)の登記の有無について確認するものとする。

なお、登記記録上において、担保権又は使用収益権が存在しない場合には、権利設定の有無について積極的に調査をする必要はないが、農地に係る使用収益権等の設定の有無は、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料の内容も確認するものとする。また、調査の過程でこれらの権利の存在を疑うに足る事情を発見した場合には、承認申請者から事情を聴取した上、必要に応じて資料の提出を求めるものとする。

(2) 入会権や経営管理権が設定されている土地、森林組合等への森林経営委託契約等の管理や経営に関する委託契約を締結している土地については、登記記録から権利設定の有無が明らかとはならないため、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料及び承認申請者からの申告内容を確認することとなる。また、調査過程において、これらの権利が設定されていることが判明した場合には、使用収益権が設定されている土地に該当するものと判断することとなる。

(3) 買戻特約の登記、処分制限の登記又は譲渡担保権の設定の登記の有無についても確認するものとする。

なお、これらの登記が存在する場合には、国が所有権を喪失する又は自由な使用収益を害する可能性が高いことから、担保権が設定されている土地や所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地に該当するものと判断することとなる。

【実地調査】

(1) 担保権又は使用収益権((2)から(4)までの場合を除く。)

実地調査においては、特段の確認は要しないものとするが、現地において、これらの権利の存在を疑うに足る事情があるときは、承認申請者、隣接地所有者又は近隣住民に確認をする等の調査を実施するものとする。

(2) 入会権

実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

(3) 経営管理権、森林組合等への森林経営委託契約等の管理や経営に関する委託契約を締結している土地実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

(4) 買戻特約の登記、処分制限の登記又は譲渡担保権の設定の登記が存在する土地実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

⑦ 通路その他の他人による使用が予定される土地(墓地、境内地、現に通路、水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地)(法第2条

第3項第3号、令第2条第1号から第4号まで)

【書面調査】

(1) 現に通路の用に供されている土地

添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)及び登記記録上の地目により、申請土地が現に通路の用に供されている土地に該当するかを確認するものとする。

(2) 墓地内の土地

法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた墓地の許可に関する資料、添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)により、申請土地が墓地内の土地に該当するかを確認するものとする。

(3) 境内地

法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた境内地に関する資料、添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)及び登記記録上の地目により、申請土地が境内地に該当するかを確認するものとする。

(4) 現に水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地

法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた水道用地、用悪水路又はため池に関する資料、添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)及び登記記録上の地目により、申請土地が現に水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地に該当するかを確認するものとする。

【実地調査】

(1) 現に通路の用に供されている土地

実地調査においては、申請土地が現に通路や道路の用に供されている土地に該当するかを確認するものとする。また、森林に存在する林道や登山道については、現に通路の用に供されているかを確認するものとする。

なお、必要に応じて、隣接地所有者や近隣住民に申請土地が現に通路や道路の用に供されているかを確認するものとする。

(2) 墓地内の土地

実地調査においては、特段の調査を要しない。

(3) 境内地

実地調査においては、申請土地が宗教法人法(昭和26年法律第126号)第3条第2号から第7号までに規定される土地であるかを確認するものとする。

なお、必要に応じて、隣接地所有者や近隣住民に申請土地が境内地に該当するかを確認するものとする。

(4) 現に水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地

実地調査においては、申請土地が現に水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地に該当するかを確認するものとする。

なお、必要に応じて、隣接地所有者や近隣住民に申請土地が現に水道用地、用悪水路又はため池の用に供されているかを確認するものとする。

⑧ 土壌汚染対策法第2条第1項に規定する特定有害物質(規則第14条で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地(法第2条第3項第4号、規則第14条)

【書面調査】

法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた特定有害物質に関する資料により確認するものとする。

なお、提供された資料により汚染されている土地に該当する可能性があると疑われる場合には、承認申請者に対し、法第6条第2項の規定に基づき、特定有害物質により汚染されていないことを証する資料(上申書)の提出を求めるものとする。

上申書の内容を踏まえても汚染されている土地に該当する可能性が払拭されない場合には、承認申請者に対し、土壌汚染対策法に基づく指定調査機関等による調査報告書の提出を求めるものとする。

【実地調査】

実地調査においては、申請土地に明らかな異常(土地の変色、異臭等)が存在するかについて確認するものとする。

明らかな異常が認められる場合は、承認申請者に事情を聴取し、必要に応じて資料の提出を求めるものとする。

なお、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた特定有害物質に関する資料により、人体に有害な物質により汚染されていると認められる場合には、実地調査を省略して差し支えない。

⑨ 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地(法第2条第3項第5号)

【書面調査】

(1) 所有権の存否又は帰属について争いがある土地

上記①、③及び④の調査による。

(2) 所有権の範囲について争いがある土地

所有権の範囲については、以下の2点を確認する必要がある。

ア承認申請者が認識している隣接土地との境界が表示されていること添付書面の「承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面(規則第3条第4」 号)、「承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真」(規則第3条第5号)及び「承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真」(規則第3条第6号)を確認するものとする。

また、法第7条の規定に基づき収集した申請土地に係る法務局等の保有する資料(登記記録、登記所備付地図等、地積測量図、筆界特定図面等)と添付書面の内容に齟齬がないかを確認するものとする。

イ承認申請者が認識している申請土地の境界について、隣接地所有者が認識している境界と相違がなく、争いがないこと

(a) 管轄法務局から隣接地所有者に対し、申請土地と申請土地に隣接する土地(以下「隣接土地」という)との境界及び境界紛争の有無を確認するため、承認申請があった旨を記載した通知書に規則第3条第4号から第6号までの書類の写し及び管轄法務局負担の返信用封筒を添付して、隣接土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人に送付するものとする(規則第13条第1項)。

(b) (a)の通知書は、<別添第9号様式>によって作成するものとし、表題部所有者又は所有権の登記名義人の登記記録上の住所地に宛てて送付するものとする(規則第13条第2項)。

(c) 隣接土地の該当性は、登記所備付地図等において申請土地に隣接しているかによって確認するものとし、申請土地と境界点で接している全ての土地について通知をするものとする。

なお、申請土地について、関係機関から林地台帳地図又は森林計画図の写しの提供がある場合には、当該図面も参考にするものとする。

(d) 隣接土地が共有地である場合は、共有者全員の登記記録上の住所地に宛てて通知書を送付するものとする。

(e) 通知書の回答期限は、作成の日から2週間とする。

返信期限までに返信がない場合は、再度通知書を送付するものとし、回答期限は再度の作成の日から2週間とする。

ただし、通知を受ける者が外国に住所を有する場合には、これらの回答期限は4週間とする。

なお、再度の通知に対して正当な理由がなく回答がなかった場合には、異議のないものとして取り扱い、実地調査を行うこととして差し支えない。

(f) 通知に対して「異議はない」旨の回答があった場合には、承認申請者と当該隣接地所有者との間に境界の認識に相違はないものと判断するものとする。

(g) 通知に対して「異議がある」旨の回答があった場合には、承認申請者に結果を伝えるとともに、隣接地所有者から異議が提出されている状態では、隣接地所有者との間に境界の争いが存在することになるため、法第2条第3項第5号に該当し承認申請は却下となることを説明し、隣接地所有者との調整や申請の取下げの検討を促すものとする。

この場合の隣接地所有者との調整期限は、2か月を目安とし、調整が整った場合には、該当する規則第3条第4号から第6号までの書面を補正させた上で、関係する隣接地所有者に対して再通知を行うものとする。

なお「異議がある、 」との回答に具体的な理由が記載されていない場合には、具体的な理由を明らかにするよう再通知することとし、それでもなお理由を示さない場合には、承認申請者と当該隣接地所有者との間に境界の認識に相違はないものと判断するものとする。

(h) 隣接地所有者に通知が届かなかった場合(宛所不明で返戻された場合)は、実地調査において隣接地の状況を確認し、隣接地所有者や近隣住民等に認識を確認するなどの調査を実施することとなる。

通知書が返戻された場合は、その旨を審査結果報告書に記載し、当該通知書は承認申請書類つづり込み帳につづり込むものとする。

【実地調査】

(1) 所有権の存否又は帰属について争いがある土地所有者以外の者が申請土地を不法に占拠している状況が存在しないか、所有権の帰属について争いがある状況が存在しないかを確認するものとする。

(2) 所有権の範囲について争いがある土地

ア承認申請者が認識している隣接土地との境界が現地で確認できること

添付書面の「承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面(規則第3条第4」 号)、「承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真」(規則第3条第5号)及び「承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真」(規則第3条第6号)を参考に、現地で境界点の存在と位置を確認し、図面及び写真と齟齬していないかを確認するものとする。

添付書面と現地の状況が明らかに齟齬している場合は、承認申請者に事情を聴取するものとする。

イ承認申請者が認識している申請土地の境界について、隣接地所有者が認識している境界と相違がなく、争いがないこと

前記書面調査の(2)イにおいて隣接地所有者に送付した通知書に関し、承認申請者が認識している境界に異議がない旨の返信があった場合には、実地調査において当該者に改めて境界の認識を確認する必要はない。

隣接地所有者へ通知を2回送付しても返信がなかった場合、宛先不明で返送された場合及び異議の内容を具体的に明らかとしなかった場合は、隣接土地の状況を確認し、所有者又は占有者が存在し、聴取が可能な場合は境界に関する認識を聴取するものとする。

隣接土地が更地である場合のように所有者又は占有者に境界の認識を聴取することが困難なときにおいては、承認申請者に当該隣接土地に係る境界の争いの有無を確認するとともに、必要に応じて隣接地所有者や近隣住民に対する事情聴取を実施するものとする。

なお、実地調査において、書面調査では確認することができなかった隣接土地が存在する場合には、当該土地の隣接地所有者の境界に関する認識も調査する必要がある。現地で認識を聴取することができればそれで足り、現地で認識について聴取できない場合には、他の隣接地所有者と同様、境界の認識を確認する通知を改めて送付するものとする。

⑩ 崖(勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上のもの)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの(法第5条第1項第1号、令第3条第1項)

【書面調査】

添付書面の写真により、申請土地における崖の有無を確認するものとする。

【実地調査】

(1) 申請土地が傾斜地である場合、社会通念に照らして「一個の崖」を認定する。なお、申請土地が崖の一部である場合には、申請土地以外の周辺の土地を含めて「一個の崖」と認定する。

申請土地に令で定める基準に該当する崖がある場合は、所在する人の生命等に被害を及ぼす又は隣接土地に土砂が流れ込むことによって財産的な被害を生じさせる可能性があり、擁壁工事等を実施する必要があることが客観的に認められるかにより、当該要件の該当性を判断するものとする。

当該一個の崖が令で定める基準に該当するかについてはレーザー距離計等の機器を用いて、傾斜がある部分の上端及び下端を特定し、角度及び垂直距離を測定し、勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上であるかを判断するものとする。

(2) (1)の判断に当たっては、法第7条の規定に基づく事実の調査のため、通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要する崖に該当するかについて、原則として、関係機関に意見照会を実施するものとし、関係機関の意見を踏まえて、通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要する崖に該当するかを判断するものとする。ただし、管轄法務局において容易に判断することができる場合は、この限りではない。

⑪ 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地(法第5条第1項第2号)

【書面調査】

添付書面の写真により、申請土地における工作物、車両又は樹木その他の有体物の有無を確認するものとする。

【実地調査】

(1) 申請土地に存在する有体物の有無を確認し、通常の管理又は処分を阻

害する有体物に該当するかを判断するものとする。

(2) 通常の管理又は処分を阻害する有体物に該当する主な事例は、以下のとおりである。

ア果樹園の樹木

イ民家、公道、線路等の付近に存在し、放置すると倒木のおそれがある枯れた樹木や枝の落下等による災害を防止するために定期的な伐採を行う必要がある樹木

ウ放置すると周辺の土地に侵入するおそれや森林の公益的機能の発揮に支障を生じるおそれがあるために定期的な伐採を行う必要がある竹

エ過去に治山事業等で施工した工作物のうち、補修等が必要なもの

オ建物には該当しない廃屋

カ放置車両

⑫ 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物

が地下に存する土地(法第5条第1項第3号)

【書面調査】

添付書面の写真により、申請土地の状況を確認するとともに、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料及び必要に応じて収集した地歴調査に関する資料により確認するものとする。

なお、提供を受けた資料から管理を阻害する有体物が地下に存する可能性がある場合には、承認申請者から事情を聴取し、管理を阻害する有体物が地下に存しないことを証する資料(上申書)の提出を求めるものとする。

【実地調査】

申請土地の状況を確認し、不自然に土地を掘り起こした部分がないかを確認するものとする。

不自然な点がある場合には、承認申請者から事情を聴取し、有体物が地下に存しないことを証する資料(上申書)の提出を求めるものとする。

⑬ 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地(法第5条第1項第4号)

【書面調査】

(1) 民法第210条第1項に規定する他の土地に囲まれて公道に通じない土地又は同条第2項に規定する事情のある土地であって、現に同条の規定による通行が妨げられているもの(令第3条第2項第1号)添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)及び登記所備付地図等により、申請土地の状況を確認するものとする。

(2) 所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地(その程度が軽微で土地の通常の管理又は処分を阻害しないと認められるものを除く。)(令第3条第2項第2号)添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)により、申請土地の状況を確認するものとする。

なお、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料(いわゆる別荘地関連や立木を第三者に販売する契約)が存在する場合は、当該資料も確認する。

【実地調査】

(1) 民法第210条第1項に規定する他の土地に囲まれて公道に通じない土地又は同条第2項に規定する事情のある土地であって、現に同条の規定による通行が妨げられているもの(令第3条第2項第1号)申請土地から公道に通じる土地の状況を確認し、通行が妨害されているといった状況の有無について確認するものとする。

(2) 所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地(その程度が軽微で土地の通常の管理又は処分を阻害しないと認められるものを除く。)(令第3条第2項第2号)

ア例えば、所有者以外の第三者に不法に占有されている、隣接地から継続的に流水がある、といった土地の使用に支障がある状況にないかを確認するものとする。

イ法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料等により、申請土地を特定の管理会社が管理し、管理費用が発生する土地(いわゆる別荘地)に該当する可能性がある場合であって、申請土地についても管理費用の支払を求め、管理費用を国が支払わないと申請土地の利用が阻害されるおそれが明らかであるときは、所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地と判断することとなる。

ウ法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料等により、立木を第三者に販売する契約を締結している土地であって、申請土地について第三者が立木を伐採するために土地に立ち入る可能性がある場合には、所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地と判断することとなる。

⑭ 土砂の崩壊、地割れ、陥没、水又は汚液の漏出その他の土地の状況に起因する災害が発生し、又は発生するおそれがある土地であって、その災害により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体又は財産に被害が生じ、又は生ずるおそれがあり、その被害の拡大又は発生を防止するために当該土地の現状に変更を加える措置(軽微なものを除く。)を講ずる必要があるもの(令第3条第3項第1号)

【書面調査】

添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)により、申請土地の状況を確認するものとする。

なお、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料(治山事業の計画がある土地)が存在する場合は、当該資料も確認するものとする。

【実地調査】

(1) 申請土地の状況を確認した上、法第7条の規定に基づく事実の調査のため、申請土地が本要件に該当するかについて、原則として、関係機関に意見照会を実施するものとし、関係機関の意見を踏まえて、客観的に通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要する土地に該当するかを判断するものとする。ただし、法務局等において容易に判断することができる場合は、この限りでない。

なお、法7条に基づく関係機関から提供を受けた治山事業に関する資料により、土地の崩落などが現に生ずるおそれが高い場合は、実地調査を省略して差し支えない。

(2) 本要件は、災害等の発生の可能性があり、被害の拡大又は発生を防止するために当該土地の現状に変更を加える措置(軽微なものを除く。)が必要であることについて、具体的かつ客観的な情報がある場合に限って該当するものとする。

⑮ 鳥獣、病害虫その他の動物が生息する土地であって、当該動物により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体、農産物又は樹木に被害が生じ、又は生ずるおそれがあるもの(その程度が軽微で土地の通常の管理又は処分を阻害しないと認められるものを除く。)(令第3条第3項第2号)

【書面調査】

添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)により、申請土地の状況を確認するものとする。

なお、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料(森林病害虫等防除法第7条の5の規定に基づき高度公益機能森林又は被害拡大防止森林に指定されている土地若しくは森林病害虫等防除法第7条の10の規定に基づき地区実施計画の対象となっている土地)が存在する場合は、当該資料も確認するものとする。

【実地調査】

(1) 本要件に該当する可能性がある申請土地については、原則として、法第7条の規定に基づく事実の調査のため、管理予定庁に同行を求めることとし、管理予定庁とともに申請土地の状況を確認するものとする。

(2) 本要件は、当該動物により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体、農産物又は樹木に被害が生じ、又は生ずるおそれがあることについて、具体的な被害情報や具体的に被害が発生する客観的な情報がある場合に限って該当するものとする。

⑯ 主に森林(森林法第2条第1項に規定する森林をいう。)として利用されている土地のうち、その土地が存する市町村の区域に係る市町村森林整備計画(同法第10条の5第1項に規定する市町村森林整備計画をいう。)に定められた同条第2項第3号及び第4号に掲げる事項に適合していないことにより、当該事項に適合させるために追加的に造林、間伐又は保育を実施する必要があると認められるもの(令第3条第3項第3号)

【書面調査】

添付書面の写真(申請土地の形状を明らかにする写真。規則第3条第5号)により、申請土地の状況を確認するとともに、法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた森林計画や森林簿により確認するものとする。なお、天然林について、標準伐期齢に達しているかどうかについて、添付書類の写真や森林簿によっても林齢が不明な場合には、承認申請者に対して林齢を確認するものとする。

【実地調査】

(1) 本要件に該当する可能性がある申請土地については、原則として、法第7条の規定に基づく事実の調査のため、管理予定庁に同行を求めることとし、管理予定庁とともに申請土地の状況を確認するものとする。

(2) 市町村森林整備計画に適合させるため、追加的に造林、間伐又は保育を実施する必要があると認められる森林の例は、以下のとおりである。

ア間伐の実施を確認することができない人工林

イ一定の生育段階に到達するまで更新補助作業が生じる可能性がある標準伐期齢に達していない天然林

⑰ 法第11条第1項の規定により所有権が国庫に帰属した後に法令の規定に基づく処分により国が通常の管理に要する費用以外の費用に係る金銭債務を負担することが確実と認められる土地(令第3条第3項第4号)

【書面調査】

法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料(条例等に基づき、金銭の支払債務(土地改良法第36条第1項の規定に基づき賦課徴収される金銭等)が発生することが確実な土地)が存在する場合は、当該資料を確認するものとする。

なお、当該資料によって、金銭債務の支払が発生することが確実な土地と認められる場合には、本号に基づき承認申請は不承認となる。

【実地調査】

実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

⑱ 法令の規定に基づく処分により承認申請者が所有者として金銭債務を負担する土地であって、法第11条第1項の規定により所有権が国庫に帰属したことに伴い国が法令の規定により当該金銭債務を承継することとなるもの(令第3条第3項第5号)

【書面調査】

法第7条の規定に基づき関係機関から提供を受けた資料(条例等に基づき、金銭の支払債務(下水道事業受益者負担金等)が発生しており、所有権の移転によって当該債務を承継する土地であることが分かる資料)が存在する場合は、当該資料を確認するものとする。

当該資料によって、金銭の支払が承継する土地と認められる場合であって、承認申請者が当該金銭債務を消滅させる意思がないときには、本号に基づき承認申請は不承認となる。

【実地調査】

実地調査においては、特段の確認は要しないものとする。

第4 承認、却下又は不承認の判断

1 書面調査及び実地調査の結果並びに第9節の3により依頼した事項の回答を踏まえ、申請土地について却下要件及び不承認要件の該当性を検討の上、<別記第10号様式>により審査結果報告書を作成するものとする。

なお、却下要件及び不承認要件は、客観的かつ具体的に認められることが必要であり、要件該当性に疑義がある場合には、当該要件には該当しないと判断する必要がある点に留意する。

2 管轄法務局長が承認、却下又は不承認の決定をする場合(規則第22条第2号、第4号及び第5号、帰) 属担当者は、審査結果報告書について管轄法務局長の判断を仰ぐものとする。

3 法務大臣が承認、却下又は不承認の決定をする場合(規則第22条柱書き)、管轄法務局長は、<別記第11号様式>により、承認申請書類及び審

査の過程で入手した書類の写しを添付して進達するものとする。

4 管轄法務局長が承認申請に対して承認しようとする場合には、その決定前

に、帰属担当者が、申請土地の登記記録(承認申請者が法人の場合は法人の

登記記録を含む。)を確認した上で、電話等により承認申請者等に対し、申

請土地の所有権の移転又は承認申請者住所の変更の有無及び承認をした場合に窓口での通知の受領の希望の有無について確認するものとする。また、承認申請者が複数人である場合には、負担金に係る納入告知書を受領する代表者についても併せて確認するものとする。

この場合において、登記記録以外で承認申請者の情報が変更されていることが判明したときには、当該事実を証する資料の提供を求めることとする。

なお、法務大臣が承認申請に対して承認しようとする場合には、管轄法務局の帰属担当者は、その決定前に前記の内容を確認し、法務省へ報告するものとする。

第5 標準処理期間

法務局長等は、承認申請の件数や事務の処理状況等を考慮の上、承認申請から承認をするまでに通常要すべき標準的な期間を定め、法務局等のホームページに掲載する等の方法により明らかにしておくものとする。

第11節承認申請の却下

1 承認申請が却下事由に該当する場合には、管轄法務局長は、当該承認申請を却下しなければならない。

ただし、当該承認申請の不備が補正することができるものである場合において、承認申請者等に補正を求め、承認申請者等が相当の期間内に補正をしたときは、この限りではない。

承認申請を却下したときには、却下したことの通知を書面で作成し、承認申請者ごとに交付するものとする(法第4条第2項、規則第6条第1項)。

2 却下したことの通知は、<別記第12号様式>により作成するものとし、却下した理由を明記するものとする。

なお、審査の結果判明した却下の理由が複数の却下要件に該当する場合に

は、全ての理由を記載するものとする。

却下したことの通知は、承認申請者に交付するもののほか、管轄法務局の決定原本つづり込み帳につづり込むものを1通作成するものとする。

3 却下したことの通知を送付の方法により行う場合は、到達日を確認することができる書留郵便で送付するものとする(規則第6条第2項)。

ただし、承認申請者が却下したことの通知をする管轄法務局での交付を希

望する場合は、管轄法務局で交付することができる。この場合には、交付後、管轄法務局で保存する通知書に交付した日を記録するものとする。

4 添付書類の還付は、上記2の通知の交付と同時に行うものとする。

ただし、偽造された書面である疑いがある場合やその他の不正な承認申請

のために用いられた疑いがある書面である場合には、添付書面は還付することはできない(規則第6条第3項ただし書)。

第12節承認申請の取下げ

1 承認申請の取下げは、承認申請者が承認申請を取り下げる旨を記載した書面を管轄法務局長に提出する方法によってすることができるとされている(規則第7条第1項)ことから、口頭により取下げの申出があったとしても、その取下げを認めることはできない。

なお、取下書は、<別記第13号様式>又はこれに準ずる書面によるものとする。

2 承認申請の取下げは、法第5条第1項の承認がされた後はすることができないとされている。このため、法務大臣又は法務局長等の承認の決定がされた後は、承認申請の取下げを認めることができないので注意する必要がある(規則第7条第2項)。

3 承認申請の取下げがあった場合において、偽造された書面である疑いがある場合やその他の不正な承認申請のために用いられた疑いがある書面である場合は、添付書面を還付することはできない(規則第7条第3項)。

添付書面の還付の方法は、承認申請者の希望に応じて窓口又は郵送のいずれの方法でも還付することができる。ただし、郵送による還付を希望する場合は、承認申請者が郵送料及び返信用封筒を負担するときに限るものとする。

第13節承認をしたこと又は承認をしないことの通知

第1 承認をしたことの通知

1 承認をしたときは、法務局長等は、承認をしたことの通知を書面で作成し、承認申請者ごとに交付して行うものとする。

法務局長等が行う承認をしたことの通知の様式は、<別記第14号様式>により作成するものとする。

なお、本通知は、第14節第3の負担金の通知と併せて行うものとする(法第10条第2項、規則第17条第2項)。

2 承認をしたことの通知は、到達日を確認することができる書留郵便で送付するものとする。

ただし、承認申請者が管轄法務局での交付を希望する場合は、承認申請書

の余白の適宜の場所に、通知を受領した日及び受領した承認申請者の氏名を

記載させた上で、管轄法務局において交付することができる。

第2 承認をしないことの通知

1 承認をしないこととしたときは、法務局長等は、承認をしない理由を明記した通知を書面で作成し、承認申請者ごとに交付して行うものとする(法第9条、規則第17条第4項)。

承認をしないことの通知は、<別記第15号様式>により作成するものとする。

なお、審査において複数の不承認要件が存在する場合は、全ての理由を記載するものとする。

承認をしないことの通知は、承認申請者に交付するもののほか、管轄法務局の決定原本つづり込み帳につづり込むものを1通作成するものとする。

2 承認をしないことの通知は、到達日を確認することができる書留郵便で送付するものとする。ただし、承認申請者が承認をしないことの通知をする管轄法務局での交付を希望する場合は、管轄法務局で交付することができる。

この場合には、交付後、管轄法務局で保存する通知書に交付した日を記録するものとする。

3 添付書類の還付は、上記2の通知の交付と同時に行うものとする。

ただし、偽造された書面である疑いがある場合や虚偽の内容を記載した書面である場合は、添付書面を還付することはできない(規則第6条、第17条第4項)。

4 審査の結果、却下事由及び不承認事由の双方が存在する場合は、該当する事由を<別記第12号様式>による却下通知に併記するものとする。

第14節負担金

第1 種目の判断

1 負担金を算定するための前提として、申請土地の主な種目が宅地、農用地(田・畑・採草放牧地)、森林又はそれ以外のいずれの種目に該当するかを法務局長等が判断するものとする(規則第22条第18号)。

ただし、承認申請が却下又は不承認となる場合には、種目の判断は不要とする。

2 種目の判断に当たっては、主に農用地又は森林として利用されている土地ではないと明らかに認められる場合を除き、法務局長等から財務大臣及び農

林水産大臣(財務大臣又は農林水産大臣から権限委任がなされている場合は、委任を受けた者。以下同じ。)に対し、書面調査及び実地調査の結果を踏まえた法務局長等の見解を記載した<別記第16号様式>を用いて意見を聴取するものとする(法第8条、規則第18条)。

3 法務局長等は、前記2の意見聴取において財務大臣及び農林水産大臣から提出を受けた意見を考慮の上、種目の最終判断を行うものとする。

第2 負担金の算定

1 法務局長等は、前記第1の3において最終的に判断した種目に基づき、関係機関から提出を受けた資料を踏まえ(例えば、都市計画法(昭和43年法律第100号)第7条第1項に規定する市街化区域等の該当性を確認するなどした上で、負担金の金額を) 算定するものとする(令第4条第1項各号)。

2 負担金の算定に用いる申請土地の面積は、登記記録上の地積によるものとする。

なお、承認申請者が登記記録上の地積とは異なる現況面積を主張して負担金の算定を求める場合には、原則として、承認申請前に地積更正又は地積変更の登記をさせるものとする。

第3 負担金の通知

負担金の額の通知は、<別記第14号様式>の様式による書面により行うものとする。

なお、本通知は、第13節第1の1の承認をしたことの通知と併せて行うものとする(規則第17条第2項)。

第4 納入告知書の作成及び送付

1 負担金の納付は、法務局等の歳入徴収官が作成する納入告知書によるものとする(規則第19条)。

2 納入告知書は、負担金の額の通知と併せて交付するものとし、納付期限は負担金の額の通知が到達した日の翌日から起算して30日以内となることに留意するものとする(法第10条第3項)。

なお、承認申請者が複数いる場合には、最初に負担金額の通知書が到達した日の翌日を起算日とする。

3 負担金の納付期限を経過した場合においては、事件を終結するものとする(法第10条第3項)。

4 納付期限後に誤って負担金が納付されたときは、当該納付は無効となるため、納付された負担金の額に相当する金額の金銭を還付する必要がある。

このため、法務局等において期限後の納付を確認した場合には、承認申請者に遅滞なく連絡するものとする。

第5 合算負担金の申出

1 令第5条第1項の規定による申出(合算負担金の申出)は、規則第16条第1号から第4号までに規定する事項を記載した申出書を、管轄法務局に提出する方法によってするものとする。

当該申出書の様式は、<別記第17号様式>又はこれに準ずるものとする。

なお、合算負担金の申出書は、承認申請が承認されるまでの間に管轄法務局に提出されている必要がある。

合算負担金の申出要件を欠いている場合には、申出を却下するものとし、適宜の方法により申出人に通知するものとする。

2 隣接する二筆以上の土地の管轄法務局が二つ以上存在する場合には、いず

れかの管轄法務局に対して申出すれば足りる。

3 前記2の場合には、それ以降、原則として、申出がされた管轄法務局において申出に係る全ての土地の審査を担当するものとし、他の管轄法務局は、当該管轄法務局において保有する申出に係る土地に関する承認申請書類を、申出がされた管轄法務局に引き継ぐものとする。

第15節国庫帰属による所有権移転

第1 通知

法務大臣は、負担金が納付され、土地の所有権が国庫に帰属したときは、直ちにその旨を財務大臣又は農林水産大臣に通知しなければならないとされている(法第11条第2項)。

このため、土地の所有権が国庫に帰属したときは、管轄法務局が管理庁に直ちにその旨を一報した上で、<別記第18号様式>によって作成した書面を管理庁に宛てて通知することによって行うものとする(規則第22条第13号)。なお、通知の発出後は、管理庁が当該通知を受領した事実を確認するものとする。

第2 関係資料の送付

前記第1に規定する通知には、国庫帰属地に係る手続書類(承認申請書類及び審査時に収集した資料、負担金の納付に関する書類等)の写しを添付してするものとする(規則第20条)。

この手続書類の写しは、管轄法務局長が原本と相違ない旨を記載した謄本によるものとする。

第3 嘱託登記

管理庁は、前記第2の規定に基づき管轄法務局から送付を受けた書類を確認後、国庫帰属地に係る権利の移転等を公示するため、不動産を管轄する登記所に所有権の移転の登記等の嘱託を行うこととなる。

この場合の嘱託登記における登記原因は、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律第11条第1項の規定に基づく令和〇年〇月〇日所有権の国庫帰属」とし、登記原因日付は、負担金が納付された日となる。

第4 国庫帰属地の管理又は処分

国庫帰属地の管理又は処分は、管理庁が実施することになる。このため、所有権の移転の登記等の嘱託が完了した後は、国庫帰属の承認の取消し又は国庫帰属地に係る損害賠償請求に係る場面を除き、管轄法務局が国庫帰属地に直接関与することは想定されないが、管理庁から国庫帰属地の管理処分に当たり、承認申請の審査の経緯やその内容等について照会を受けた場合には、これに協力することとする。

第16節承認の取消し

第1 承認の取消し

1 法務大臣は、承認申請者が偽りその他不正の手段により、土地の所有権の国庫への帰属の承認を受けたことが判明したときは、その承認を取り消すことができるとされている(法第13条第1項)。

この「偽りその他不正の手段」とは、承認申請者が故意をもって行う不正行為の一切をいい、以下のような場合が想定される。

① 虚偽の記載事項を承認申請書に記載し、却下要件又は不承認要件に該当していないかのように装い、その結果、法務大臣又は法務局長等を錯誤に陥れることによって法務大臣又は法務局長等による承認を受けた場合

② 偽造された添付書類を提出し、法務大臣又は法務局長等による承認を受けた場合

③ 申請土地が却下要件に該当すること又は不承認要件に該当することを認識していたにもかかわらず、その事実を秘匿したまま法務大臣又は法務局長等による承認を受けた場合

2 承認の取消しの端緒としては、主に以下のような場合が想定される。

① 管理庁又は管理庁からの土地の所管換等により土地を所管することになった国の機関(以下「管理庁等」という。)が、承認申請者が偽りその他不正の手段により承認を受けたことを把握し、法務局等に承認の取消しについて協議の申し入れがあった場合

② 第三者から、承認申請者が偽りその他不正の手段により承認を受けたことについて通報があった場合

3 法務局等は、前記2により承認の取消しに係る事案を知ったときには、法務省に速やかに一報するものとする。

4 承認の取消しに関する検討は、原則として、承認申請を処理した法務局等(以下、単に「法務局等」という。以下、本節において同じ。)が実施し、その検討結果を法務省に進達するものとする。

5 法務局等は、管理庁等や第三者から提供があった情報を確認の上、承認申請の審査結果を確認するとともに、承認の取消しの要否について検討を行うものとする。

第2 意見聴取

1 意見聴取は、法務局等が実施するものとする(法第15条第1項、規則第22条第14号)。

なお、法務局等における検討後、管理庁等に、<別記第19号様式>を用いて意見を聴くものとし、当該書面には、法務局等の検討結果を記載するものとする(法第13条第2項、規則第22条第14号)。

2 法務局等による意見聴取は、法務省が実施する場合は、実施しない。

第3 同意の取得

1 前記第2の1の意見聴取の結果を踏まえ、国庫帰属地の所有権を取得した

者又は当該国庫帰属地につき所有権以外の権利の設定を受けた者があるとき

の法第13条第3項の規定に基づく同意の取得は、原則として、法務局等が実施するものとする(法第15条第1項、規則第22条第15号)。

なお、同意の取得については、事前に法務省に確認を得た上で実施するものとする。

2 法務局等による同意の取得については、法務省が実施する場合は、実施し

ない。

3 国庫帰属地の所有権を取得した者又は当該国庫帰属地につき、所有権以外の権利の設定を受けた者から同意を取得することができない場合は、その旨を法務省に報告するものとする。

第4 承認の取消しの通知

法務大臣が承認の取消しを決定したときは、法務局長等は、承認を受けた者に対して、承認を取り消したことを書面で通知するものとする(法第13条第4項、規則第21条、第22条第16号)。

この通知は、<別記第20号様式>により行うものとする。

第5 所有権の移転の登記の抹消

承認の取消しがされたときは、速やかに国庫帰属に基づく所有権の移転の登記の抹消手続を行う必要がある。

法務局等は、国庫帰属に基づく所有権の移転の登記の抹消登記が行われていることを把握したときは、その旨を法務省へ報告するとともに、承認の取消しがされた国庫帰属地に係る承認申請書の適宜の場所に付記しておくこととする。

第17節損害賠償責任

国庫帰属地が承認時に法第2条第3項各号又は第5条第1項各号のいずれかに該当する事由があったことによって国に損害が生じた場合において、承認申請者が却下事由又は不承認事由を知りながらその点を明らかにせずに法第5条第1項の承認を受けた者であるときは、その者は、国に対して損害賠償責任を負うものとされている(法第14条)。

この場合において、国が承認申請者に対して行う損害賠償請求に関する事務は、管理庁等が行うことが想定されるところ、管理庁から法務局等に対して、承認申請者に関する情報や承認申請の審査時における承認申請者の却下事由又は不承認事由に関する認識等について情報提供を求められた場合には、法務局等が把握している情報を速やかに管理庁等に提供するものとする。

第18節審査請求

1 帰属制度における行政処分は、以下のとおりである。

① 却下(法第4条第1項)

② 承認(法第5条第1項)

③ 不承認(法第5条第1項)

④ 負担金の額の通知(法第10条第2項)

⑤ 承認の取消し(法第13条第1項)

2 法には、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に関する特別の定めがなく、処分庁の最上級行政庁が審査請求先となることから、帰属制度における審査請求先は前記1のいずれの行政処分についても法務大臣となる。

3 処分を行った法務局等に審査請求書が提出された場合には、法務省に一報し、審査請求書を法務省に転送するものとする。併せて、審査請求者に転送した旨を電話等により連絡するものとする。

4 審査請求の手続については、行政不服審査法の規定により行うものとする。

第19節行政文書開示請求及び保有個人情報開示請求

法には、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)及び個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に関する特別の定めがないことから、帰属制度に関連する文書に対する開示請求の手続等については、各法律の規定に基づいて行うものとする。

第20節帳簿

1 規則第23条第2項の各号に掲げる帳簿の様式は、下記のとおりとする。

① 受付帳別記第21号様式

② 承認申請書類つづり込み帳別記第22号様式

③ 決定原本つづり込み帳別記第23号様式

④ 各種通知簿別記第24号様式

2 承認申請書類つづり込み帳は、管轄法務局において、承認申請書及び添付書類、取下書その他の手続書類をつづり込むものとするとされている(規則第23条第4項第1号)。

具体的には、受付番号ごとに、これらの書類等を以下のように分類した上で、つづり込んで作成するものとし、つづり込むに当たっては、<別記第22号様式>による仕切り紙を付すものとし、第2分類には、<別記第22号様式>による目録又はこれに準ずる適宜の様式の目録を、アの最初につづり込むものとする。

なお、同一の承認申請者が二筆以上の土地についての承認申請を同時にした場合には、複数の受付番号の書類等をまとめてつづり込むこととして差し支えない。この場合には、<別記第22号様式>による表紙の適宜の場所にその旨を記載するものとする。

① 第一分類

ア承認申請書

イ添付書類

ウ取下書

エ承認申請者の地位を承継する申出書及び添付書類

オ合算負担金の申出書

② 第二分類

ア関係機関から取得した書面

イ上記以外の審査のために参考とした書面

ウ実地調査結果報告書

エ審査結果報告書

③ 第三分類

ア関係機関への情報提供依頼書

イ関係機関への資料提供の依頼書

ウその他、第一分類及び第二分類に属さない書類

附則

相続土地国庫帰属制度事務処理要領は、令和5年4月27日から施行する。

別記第1号様式(第5節第1の5関係)

年月日受付第  号

別記第2号様式(第5節第1の5関係)

受付証(相続土地国庫帰属申請)

受付年月日令和○年○○月○○日

受付番号令和○年第○○号

受付法務局○○(地方)法務局

土地の所在地番○○県○○市○○番

注意事項

1承認申請の審査中に、国又は地方公共団体等から申請土地の寄附の要望があった場合には、審査途中に法務局の担当者から連絡する

ことがあります。

2 承認申請書類の内容に不明な点がある場合は、法務局の担当者から連絡することがあります。

3 申請された土地の現地を調査するに当たって、現地への案内、立会いを依頼することがあります。

4 承認申請から審査の結果が出るまでには、一定の期間を要します。

※ 当局の標準処理期間は○か月です。

5 結果が出るまでの間は、取下書を提出することにより、承認申請を取り下げることができますが、審査手数料は返還されません。

 上記のとおり、申請を受付しました。

○○(地方)法務局

令和○年○○月○○日

連絡先

 

別記第3号様式(第6節の3関係)

原 本 還 付

別記第4号様式(第7節の1関係)①一般承継の場合

申 出 書

○○(地方)法務局長 殿

下記承認申請に関し、相続の発生(注1)に伴い、新承認申請者として承認申

請者の地位を承継し申請を継続しますので、その旨申出をします。

受付日:令和○年○○月○○日(注2)

受付番号:令和○年第○○号(注2)

申請土地の所在地番:○○県○○市○○町○○番

申請土地の地目及び地積: 〇 ○○㎡

申請土地の所有権登記名義人の氏名・住所(注3):○○ ○○

新承認申請者名:○○ ○○

承継の理由(注1):令和○年○月○日相続

添付資料(注4):印鑑証明書、承認申請者及び新承認申請権者の戸籍事項証明書、

登記承諾書

(注1)具体的な理由を記載してください。

(注2)受付年月日及び受付番号が分かる場合に記載してください。

(注3)所有権登記名義人又は表題部所有者の氏名・住所を記載してください。

(注4)添付資料の概要を記載してください。

申出年月日 令和○年○月○日

申出人(新承認申請者)

住所:○○県○○市○○町○○

氏名:○○ ○○ 実印

連絡先:○○-○○○○-○○○○

※ 複数の申出人が同一の申出書を用いる場合には、連名又は申請人ごとに別紙用紙を用いても差し支えない。

別記第4号様式(第7節の1関係)②特定承継の場合

申 出 書

○○(地方)法務局長 殿

下記承認申請に関し、売買(注1)に伴い、新承認申請者として承認申請者の

地位を承継し申請を継続しますので、その旨申出をします。

受付日:令和○年○○月○○日(注2)

受付番号:令和○年第○○号(注2)

申請土地の所在地番:○○県○○市○○町○○番

申請土地の地目及び地積: 〇 ○○㎡

申請土地の所有権登記名義人の氏名・住所(注3):○○ ○○

新承認申請者名:○○ ○○

承継の理由:令和○年○月○日売買(注1)

添付資料(注4):印鑑証明書、登記承諾書、登記事項証明書

(注1)具体的な登記原因を記載してください。

(注2)受付年月日及び受付番号が分かる場合に記載してください。

(注3)所有権登記名義人又は表題部所有者の氏名・住所を記載してください。

(注4)添付資料の概要を記載してください。

申出年月日 令和○年○月○日

申出人(新承認申請者)(注5)

住所:○○県○○市○○町○○

氏名:○○ ○○ 実印

連絡先:○○-○○○○-○○○○

(注5)法人の場合には、代表者名及び新承認申請者の会社法人等番号も記載してください。

※ 複数の申出人が同一の申出書を用いる場合には、連名又は申請人ごとに別紙用紙を用いても差し支えない。

別記第5号様式(第8節の3、4関係)

情報提供対象機関の長 殿

○○(地方)法務局長

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する申請について

下記1の土地について、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属の承認申請書が当局に提出されました。

 つきましては、下記1の土地について、貴機関において土地を引き取る可能性や森林経営管理制度などの他の制度を活用する可能性がある場合には、別紙により、下記2の期限までに当局の担当者宛てに御連絡いただきますようお願いいたします。

 なお、上記期限後であっても、土地を引き取る可能性や他の制度を活用する可能性が生じた場合には、随時、御連絡ください。

1 申請土地の表示等

:申請土地の所在地番 ○○市○○町○○番

:受付番号

:承認申請年月日

参考資料

(1) 承認申請書の添付書類(土地の位置及び範囲を明らかにする図面、土地の形状を明らかにする写真及び隣接する土地との境界点を明らかにする写真)

※申請者が認識する土地の範囲を示すものであり、必ずしも筆界と一致

するとは限りませんのでご注意ください

(2)  申請土地の登記事項証明書及び登記所備付地図等の写しを複写したもの。

2 回答期限:

※ 回答期限は、発出の日から2週間程度の日とする。

※ 余白に、担当者名等を記載すること。

(別紙)法務局への回答書

回 答 書

土地の所在地番

申請土地の所在地番: ○○県○○市○○町○○番

受付番号: 令和○年第○号

法務局からの照会番号: 令和○年○月○日日記第○号

※ 太枠の部分に回答を記載してください。

□ 寄附受けを希望する。

□ 寄附受けを検討する。

※ 検討結果の回答時期を記載してください。

〔                 〕

□ 以下の制度の活用を検討する。

※ 活用を検討する制度及び回答時期を記載してください。

〔               〕

回答者

情報提供対象機関名

担当者:○○

連絡先:

※ 寄附受け等を希望・検討する場合には、期限までに回答をお願いします。

別記第6号様式(第9節の1関係)

日 記 第    号

令和○年○月○日

関係機関の長 殿

○○(地方)法務局長

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する承認申請の審査に必要な資料の提供について(依頼)

 下記1の土地について、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属の申請書が当局に対して提出されました。

 当該申請について、当局の審査のため、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)第7条の規定に基づき、申請土地に係る別紙記載事項について情報の提供を依頼しますので、回答及び関連資料の写しを提供していただきますようお願いいたします。

 なお、回答及び関連資料の写しについては、下記2の期限までに当局の担当者宛てに連絡いただきますようお願いいたします。

1 申請土地の表示等

申請土地の所在地番:

承認申請年月日:

受付番号:

参考資料

(1) 承認申請書の添付書類(土地の位置及び範囲を明らかにする図面、土地の形状を明らかにする写真及び隣接する土地との境界点を明らかにする写真)

(2) 申請土地の登記事項証明書及び登記所備付地図等の写しを複写したもの。

2 回答期限:令和○年○月○日

 

※ 回答期限は、発出の日から2週間程度の日とする。

※ 余白に、担当者名等を記載すること。

 

別記第6号様式(第9節の1関係)(別紙)

①固定資産課税台帳上の所在地番、地目及び地積(登記及び課税)

□ 別添のとおり

□ 以下のとおり

・所在地番

・地目(台帳)   (課税)

・地積(台帳)   (課税)

②「市街化区域」、「用途地域」、「農用地区域」又は「土地改良法第2条第2項に規定する土地改良事業若しくはこれに準ずる事業が施行される区域」内に存在する土地

□ 該当する

□ 該当しない

③ 「農地台帳」に記載のある土地

□ 記載がある

□ 記載はない

④③の土地における「農地台帳」に記載のある土地の使用収益権の設定状況

□ 設定がある

□ 設定はない

⑤地域森林計画の対象となっている土地

□ 対象である

□ 対象ではない

⑥ 森林経営計画の認定の有無

□ 認定されている

□ 認定されていない

⑦森林経営管理法第2条第4項に規定する経営管理権が設定されている土地

□ 設定されている

□ 設定されていない

⑧入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律第2条第1項に規定する入会権が設定されている土地

□ 設定されている

□ 設定されていない

⑨林地台帳及び林地台帳地図

□ 存在する

□ 存在しない

※ 存在する場合は、申請土地及び申請土地に隣 接している土地の写しの提供をお願いします。

⑩ 森林簿及び森林計画図

□ 存在する

□ 存在しない

※ 存在する場合は、申請土地及び申請土地に隣 接している土地の写しの提供をお願いします。

別記第6号様式(第9節の1関係)(別紙)

⑪土壌汚染対策法第6条の「要措置区域」及び同法第11条の「形質変更時要届出区域」に存在する土地

□ 該当する

□ 該当しない

⑫「墓地」として都道府県知事(市又は特別区にあっては、市長又は区長)の許可を受けた区域に存在する土地※ 存在する場合は、関連資料の写しの提供をお願いします。

□ 許可区域である

□ 許可区域ではない

⑬ 「境内地」に該当する土地

□ 該当する

□ 該当しない

⑭「ため池」に該当する土地としてため池台帳に記載がある土地

□ 該当する

□ 該当しない

□ 資料が存在しない

⑮治山事業(森林法第41条第3項に規定する保安施設事業及び地すべり等防止法第51条第1項第2号に規定する地すべり地域又はぼた山に関して同法第3条又は第4条の規定のよって指定された地すべり防止区域又はぼた山崩壊防止区域における同法第2条第4項に規定する地すべり防止工事又は同法第41条のぼた山崩壊防止工事に関する事業をいう。)の計画がある土地

□ 該当する

□ 該当しない

⑯森林病害虫等防除法第7条の5に基づき高度公益機能森林又は被害拡大防止森林に指定されている土地

□ 指定されている

□ 指定されていない

⑰森林病害虫等防除法第7条の10に基づき地区実施計画の対象となっている土地

□ 対象となっている

□ 対象となっていない

⑱条例等に基づき、金銭の支払債務(土地改良法第36条第1項の規定に基づき賦課徴収される金銭等の支払義務)が発生することが確実な土地

□ 該当する

□ 該当しない

⑲条例等に基づき、金銭の支払債務(下水道事業受益者負担金等)が発生しており、所有権の移転によって当該債務が承継することとなる土地

□ 該当する

□ 該当しない

⑳⑱・⑲以外に金銭の支払いを求められる可能性がある土地(別荘地管理組合等から管理費等の支払を求められる場合など。)

□ 該当する

□ 該当しない

□ 資料が存在しない

※ 送付する関係機関に応じて、照会項目を適宜削除等して差し支えない。

別記第7号様式(第10節第2の3関係)

日 記 第    号

令和○年○○月○○日

○○ ○○ 様

○○(地方)法務局長

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する申請の審査における土地への立ち入りについて(通知)

 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する申請における審査のため、貴殿が占有する土地に立ち入って調査を行う予定としておりますので、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)第6条第3項の規定により、通知します。

 なお、現地で立ち会っていただく必要はありません。

 おって、本通知について不明な点がある場合は、下記の担当者宛てご連絡ください。

立入調査を予定している土地の所在地番:〇○県○○市○○町○○番

立入調査の予定日時:令和○年○○月○○日○○時頃

立入調査の実施者:○○(地方)法務局

参考資料

1 立入りを予定している土地の概略図

2相続土地国庫帰属制度の概要資料

※ 管理予定庁が同行する場合は、立入り調査の実施者に同行する管理予定庁及び担当部署を記載すること。

※ 余白に、担当者名等を記載すること。

※ 調査時間は、申請土地の状況により修正して差し支えない。

(注)調査は1時間程度を予定しています。なお、荒天時は日程を延期することがあります。

別記第8号様式(第10節第2の9関係)

実地調査結果報告書

令和 年 月 日○○(地方)法務局担当 :

  以下のとおり、実地調査の結果を報告します。

1 調査対象土地の概要

  • 受付番号令和○年受付第○号

(2) 所在・地番

2 調査実施情報

(1) 実地調査担当者

○○(地方)法務局○○ ○○

(2) 実地調査同行者((地方)法務局以外)

○○省○○ ○○ ○○ ○○

(3) 実地調査実施日時

令和○年○月○日○○時から○○時まで

(4) 承認申請者等の同行

□ 有・□ 無

(有の場合) 同行者 関係 本人 その他

3 調査実施結果

  • 申請土地の所在、地番、地目及び地積(法第3条第1項第2号)

□特記事項あり【特記事項】

□特記事項なし

(2)  建物の存する土地(法第2条第3項第1号)

結果

□該当なし

□該当あり【該当する具体的・客観的理由】【備考】

(3)  担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地(法第2条第3項第2号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(4) 通路その他の他人による使用が予定される土地(墓地、境内地、現に通路、水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地)(法第2条第3項第3号、令第2条第1号から第4号まで)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(5) 土壌汚染対策法第2条第1項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地(法第2条第3項第4号、規則第14条)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(6)

 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地(法第2条第3項第5号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(7) 崖(勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上のもの)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの(法第5条第1項第1号、令第3条第1項)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(8) 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地(法第5条第1項第2号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(9)

 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地(法第5条第1項第3号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(10) 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地(法第5条第1項第4号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(11) 土砂の崩壊、地割れ、陥没、水又は汚液の漏出その他の土地の状況に起因する災害が発生し、又は発生するおそれがある土地であって、その災害により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体又は財産に被害が生じ、又は生ずるおそれがあり、その被害の拡大又は発生を防止するために当該土地の現状に変更を加える措置(軽微なものを除く。)を講ずる必要があるもの(令第3条第3項第1号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(12) 鳥獣、病害虫その他の動物が生息する土地であって、当該動物により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体、農産物又は樹木に被害が生じ、又は生ずるおそれがあるもの(その程度が軽微で土地の通常の管理又は処分を阻害しないと認められるものを除く。)(令第3条第3項第2号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

(13) 主に森林(森林法第2条第1項に規定する森林をいう。次条第1項第3号及び第6条第2項において同じ。)として利用されている土地のうち、その土地が存する市町村の区域に係る市町村森林整備計画(同法第10条の5第1項に規定する市町村森林整備計画をいう。)に定められた同条第2項第3号及び第4号に掲げる事項に適合していないことにより、当該事項に適合させるために追加的に造林、間伐又は保育を実施する必要があると認められるもの(令第3条第3項第3号)

結果

□ 該当なし【該当する具体的・客観的理由】

□ 該当あり【備考】

4 調査対象土地の現況、境界の設置状況等

(1) 土地の現況

撮影年月日

備   考

(2) 境界点

点名

境界標

確認の状況

遠景

近景

撮影年月日

備   考

5 補足・特記事項

6 その他参考となる画像情報

3( )関係

撮影年月日

備   考

詳しいサイト 負動産の窓口

https://souzokutochi-kokkokizoku.com/ordinance/

加工相続土地国庫帰属法施行規則

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00460.html

○法務省令第一号

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和三年法律第二十五号)第二条第三項第四号、第三条、第四条第二項、第九条、第十条第二項及び第三項、第十三条第四項並びに第十五条第一項並びに相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令(令和四年政令第三百十六号)第四条第一項第二号及び第七条の規定に基づき、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則を次のように定める。

令和五年一月十三日

法務大臣齋藤健

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則

(承認申請書等の提出方法)

第一条相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(以下「法」という。)第三条第一項の規定による承認申請書及び添付書類の提出は、

承認申請に係る土地の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長(以下「管轄法務局長」という。)に

対して行わなければならない。

ただし、承認申請に係る隣接する二筆以上の土地の管轄法務局長が

二以上あるときは、

そのいずれかに対して提出すれば足りる。

(承認申請書の記載事項)

第二条承認申請書には、法第三条第一項各号に掲げる事項のほか、

次に掲げる事項を記載し、

承認申請者又はその代表者若しくは法定代理人(以下「承認申請者等」という。)が

記名押印しなければならない。

ただし、承認申請者等が署名した承認申請書について公証人又はこれに準ずる者の認証を受けたときは、承認申請書に記名押印することを

要しない。

一承認申請者が法人

であるときは、その代表者の氏名

二法定代理人

によって承認申請をするときは、当該法定代理人の氏名又は名称及び住所並びに法定代理人が法人であるときはその代表者の氏名

三承認申請に係る土地の表題部所有者(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第二条第十号に規定する表題部所有者をいう。第十三条第一項において同じ。)

又は所有権の登記名義人(同法第二条第十一号に規定する登記名義人をいう。第十三条第一項において同じ。)の

氏名又は名称及び住所

2 承認申請書には、前項各号に掲げる事項の

ほか、次に掲げる事項を記載するものとする。

一承認申請者又は法定代理人の電話番号その他の連絡先

二手数料の額

三承認申請の年月日

四承認申請書を提出する管轄法務局長の表示

3 承認申請書には、第一項の規定により記名押印した者の

印鑑に関する証明書(住所地の市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、市長又は区長若しくは総合区長とする。)又は登記官が作成するものに限る。)を

添付しなければならない。

ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

一会社法人等番号

(商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第七条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。以下この号及び次条第三号において同じ。)を有する法人の代表者又は代理人が記名押印した者である場合において、その会社法人等番号を承認申請書に記載したとき。

二承認申請者等が記名押印した承認申請書について

公証人又はこれに準ずる者の認証を受けたとき。

三裁判所によって選任された者が

その職務上行う承認申請の承認申請書に押印した印鑑に関する証明書

であって、裁判所書記官が最高裁判所規則で定めるところにより作成したもの

が添付されているとき。

(添付書類)

第三条承認申請書には、

次に掲げる書類を添付しなければならない。

一承認申請者が相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により承認申請に係る土地の所有権又は共有持分を取得した者であるときは、

当該者であることを証する書面(当該者であることが登記記録(不動産登記法第二条第五号に規定する登記記録をいう。)から明らかであるときを除く。)

二法定代理人によって承認申請をするときは、

戸籍事項証明書その他その資格を証する書面

三承認申請者が法人であるときは、

当該法人の代表者の資格を証する書面(当該法人が会社法人等番号を有する法人である場合において、その会社法人等番号を承認申請書に記載したときを除く。

四承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面

五承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真

六承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真

七法第十一条第一項の規定により承認申請に係る土地の所有権が国庫に帰属した場合には

当該土地の所有権が国庫に帰属したことを原因とする国が登記権利者となる所有権の移転の登記を官庁が嘱託することを承諾したことを証する書面(承認申請者等が記名し、承認申請書に押印したものと同一の印を用いて押印したもの又は前条第一項ただし書の認証を受けたものに限る。)

(承認申請書の作成)

第四条承認申請書は、

土地の一筆ごとに

作成しなければならない。

ただし、同一の承認申請者等が二筆以上の土地についての承認申請を

同時にするときは、この限りでない。

(手数料の納付方法等)

第五条法第三条第二項の規定による手数料の納付は、

承認申請書に手数料の額に相当する額の

収入印紙を貼り付けてするものとする。

2 前項の手数料は、

これを納付した後においては、返還しない。

(承認申請の却下の通知方法等)

第六条法第四条第二項の規定による承認申請を

却下したことの通知は、

承認申請者ごとに、

決定書を交付して行うものとする。

2 前項の規定による交付は、

決定書を送付する方法によりすることが

できる。

3 管轄法務局長は、承認申請の却下があったときは、

添付書類を還付するものとする。

ただし、偽造された書面その他の不正な承認申請のために用いられた疑い

がある書面については、この限りでない。

(承認申請の取下げ)

第七条承認申請の取下げは、

承認申請を取り下げる旨を記載した書面(第二十三条第四項第一号において「取下書」という。)を

管轄法務局長に提出する方法

によってしなければならない。

2 承認申請の取下げは、法第五条第一項の承認がされた後は、

することができない。

3 管轄法務局長は、

承認申請の取下げがされたときは、

添付書類を還付するものとする。

この場合においては、前条第三項ただし書の規定を準用する。

(承認申請書等の訂正等)

第八条承認申請者等は、

承認申請書その他の相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属の承認に関する書面につき

文字の訂正、加入又は削除をしたときは、

その旨及びその字数を欄外に記載し、

又は訂正、加入若しくは削除をした文字に括弧その他の記号を付して、

その範囲を明らかにしなければならない。

この場合において、

訂正又は削除をした文字は、なお読むことができるようにしておかなければならない。

2 承認申請者等は、

承認申請書が二枚以上であるときは、

各用紙に当該用紙が何枚目であるかを記載すること

その他の必要な措置を講じなければならない。

(承認申請書等の送付方法)

第九条承認申請者等が

承認申請書及び添付書類を送付するときは、

書留郵便

又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者(以下この項及び次条第六項において「信書便事業者」と総称する。)による同法第二条第二項に規定する信書便(次条第六項及び第七項において「信書便」という。)の役務であって当該信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うもの

によるものとする。

2 前項の場合には、

承認申請書及び添付書類を入れた封筒の表面に

承認申請書が在中する旨を

明記するものとする。

(添付書類の原本の還付請求)

第十条承認申請者等は、

承認申請書の添付書類の

原本の還付を請求することができる。

ただし、第二条第三項本文及び同項第三号の印鑑に関する証明書

並びに第三条第七号の書面については、

この限りでない。

2 前項本文の規定により

原本の還付を請求する承認申請者等は、

原本と相違ない旨を記載した謄本を

提出しなければならない。

3 管轄法務局長は、第一項本文の規定による請求があったときは、

承認申請に係る審査の完了後、

当該請求に係る書類の原本を還付

しなければならない。

この場合には、前項の謄本と当該請求に係る書類の原本を照合し、

これらの内容が同一であることを確認した上、

同項の謄本に原本還付の旨を

記載しなければならない。

4 前項前段の規定にかかわらず、

管轄法務局長は、

偽造された書面その他の不正な承認申請のために用いられた疑いがある書面については、

これを還付することができない。

5 第三項の規定による原本の還付は、

承認申請者等の申出により、

原本を送付する方法によることができる。

この場合においては、承認申請者等は、

送付先の住所をも申し出なければならない。

6 前項の場合における書類の送付は、

同項の住所に宛てて、

書留郵便

又は信書便の役務であって信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うものによって

するものとする。

7 前項の送付に要する費用は、

郵便切手又は信書便の役務に関する料金の支払のために使用することができる証票であって法務大臣が指定するものを

提出する方法により納付しなければならない。

8 前項の指定は、告示してしなければならない。

(承認申請の受付)

第十一条管轄法務局長は、

承認申請書が提出されたときは、

受付帳に承認申請の受付の年月日及び受付番号並びに承認申請に係る土地の所在及び地番を

記録しなければならない。

2 管轄法務局長は、

前項の規定により受付をする際、

承認申請書に承認申請の

受付の年月日及び受付番号を記載しなければならない。

3 受付番号は、

一年ごとに更新するものとする。

(承認申請者から所有権を取得した者の取扱い)

第十二条法第十一条第一項の規定による負担金の納付がされるまでの間に、

承認申請者から承認申請に係る土地の所有権の全部又は一部を取得した者(法第二条第一項又は第二項の承認申請をすることができる者に限る。以下この条において「新承認申請権者」という。)があるときは、

新承認申請権者は、

その取得の日から六十日以内に限り、

管轄法務局長に申し出て、

承認申請手続における承認申請者の地位を

承継することができる。

2 前項の申出は、

新承認申請権者が

申出書及び添付書類を

提出して行わなければならない。

3 前項の申出書及び添付書類については、

第二条(第二項第二号を除く。)及び第三条(第一号から第三号まで及び第七号に係る部分に限る。)の規定を準用する。

この場合において、

「承認申請書」とあるのは「申出書」と、「承認申請者」とあるのは「申出人」と、「承認申請者等」とあるのは「申出人等」と、「承認申請を」とあるのは「申出を」と、「承認申請に係る土地の表題部所有者」とあるのは「申出に係る土地の表題部所有者」と、「承認申請の」とあるのは「申出の」と、「承認申請者が相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により承認申請に係る土地の所有権又は共有持分を取得した者であるときは、当該者」とあるのは「申出人が新承認申請権者」と

読み替えるものとする。

(隣接地所有者への通知)

第十三条管轄法務局長は、

承認申請があったときは、

その旨を記載した通知書に、

第三条第四号から第六号までの書類の写しを添付して、

承認申請に係る土地に

隣接する土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人に

送付するものとする。

2 前項の規定による通知は、

前項の表題部所有者又は所有権の登記名義人の

登記簿上の住所に宛てて発すれば足りる。

(法第二条第三項第四号の特定有害物質の基準)

第十四条法第二条第三項第四号に規定する法務省令で定める基準は、

土壌汚染対策法施行規則(平成十四年環境省令第二十九号)第三十一条第一項及び第二項の基準とする。

(農地の地積に応じた負担金が算定される区域)

第十五条相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令(以下「令」という。)第四条第一項第二号に規定する法務省令で定める事業は、次に掲げる要件を満たしている事業とする。

一次のいずれかに該当する事業(主として農地の災害を防止することを目的とするものを除く。)であること。

イ農業用用排水施設の新設又は変更

ロ区画整理

ハ農地の造成(昭和三十五年度以前の年度にその工事に着手した開墾建設工事を除く。)

ニ埋立て又は干拓

ホ客土、暗きよ排水その他の農地の改良又は保全のため必要な事業

二次のいずれかに該当する事業であること。

イ国又は地方公共団体が行う事業

ロ国又は地方公共団体が直接又は間接に経費の全部又は一部につき補助その他の助成を行う事業

ハ農業改良資金融通法(昭和三十一年法律第百二号)に基づき公庫から資金の貸付けを受けて行う事業

ニ公庫から資金の貸付けを受けて行う事業(ハに掲げる事業を除く。)

(隣接する二筆以上の土地の負担金算定の特例の申出方法)

第十六条令第五条第一項の規定による申出は、

次に掲げる事項を記載した申出書を

管轄法務局長に提出して行わなければならない。

ただし、隣接する二筆以上の承認申請に係る土地の

管轄法務局長が二以上あるときは、

そのいずれかに対して提出するものとする。

一申出をする者の氏名又は名称及び住所

二申出に係る隣接する二筆以上の承認申請に係る土地の所在及び地番

三承認申請の受付の年月日及び受付番号(承認申請と併せて申出をする場合を除く。)

四令第五条第二項の規定により共同して申出をするときは、その旨

(承認等の通知方法)

第十七条法第九条の規定による承認をしたことの通知は、

その旨を記載した書面を

承認申請者ごと

に交付して行うものとする。

2 法第十条第二項の規定による負担金の額の通知は、

前項の通知と併せて、

負担金の額を記載した書面を

承認申請者ごとに交付して行うものとする。

3 前二項の規定による交付は、

前二項に規定する書面を

送付する方法によりすることができる。

4 法第九条の規定による承認を

しないことの通知については、

第六条の規定を準用する。

(承認に関する意見聴取方法)

第十八条法第八条の規定による財務大臣及び農林水産大臣からの意見の聴取は、

各大臣の意見及びその理由を記載した

書面の提出を受けることにより行うものとする。

(負担金の納付方法)

第十九条法第十条第一項の規定による負担金の納付の手続は、

会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第四条の二第三項に規定する歳入徴収官が発した

納入告知書又は納付書によってしなければならない。

(国庫帰属に伴う関係資料の送付)

第二十条管轄法務局長は、

承認申請に係る土地の所有権が国庫に帰属したときは、

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属の承認に係る手続に関する書類(第二十三条第四項第一号において「手続書類」という。)の写しを、

財務大臣(当該土地を農林水産大臣が管理するときは、農林水産大臣)に

送付するものとする。

(承認の取消しの通知の方法)

第二十一条法第十三条第四項の規定による承認の取消しの通知は、

決定書を法第五条第一項の

承認を受けた者ごとに

交付して行うものとする。

2 前項の規定による交付は、

同項に規定する書面を送付する方法によりするこ

とができる。

(権限の委任)

第二十二条法第十五条第一項の規定により、

次に掲げる法務大臣の権限は、

法務局又は地方法務局の長に委任する。

ただし、第二号、第四号、第五号、第九号、第十四号及び第十五号に掲げる権限については、

法務大臣が自ら行うことを妨げない。

一法第二条第一項の規定による承認申請を受け付ける権限

二法第四条第一項の規定による承認申請の却下

三法第四条第二項の規定による通知

四法第五条第一項の承認をする権限

五法第五条第一項の承認をしない権限

六法第六条第一項の規定により職員に事実の調査をさせる権限

七法第六条第三項の規定により職員に他人の土地に立ち入らせる権限

八法第六条第四項の規定による通知

九法第七条の規定による協力の求め

十法第八条の規定による意見聴取

十一法第九条の規定による通知

十二法第十条第二項の規定による通知

十三法第十一条第二項の規定による通知

十四法第十三条第二項の規定による意見聴取

十五法第十三条第三項の規定による同意の取得

十六法第十三条第四項の規定による通知

十七令第五条第一項の規定による特例の申出を受け付ける権限

十八令第五条第三項の規定による負担金の算定

(帳簿)

第二十三条法務省には、

次に掲げる帳簿を備えるものとする。

一法務省決定原本つづり込み帳

二審査請求書類等つづり込み帳

2 法務局又は地方法務局には、

次に掲げる帳簿を備えるものとする。

一受付帳

二承認申請書類つづり込み帳

三決定原本つづり込み帳

四各種通知簿

3 法務省が備える次の各号に掲げる帳簿には、

当該各号に定める書類をつづり込むものとする。

一法務省決定原本つづり込み帳法務大臣が作成した法第四条第一項の規定による承認申請の却下、法第五条第一項の承認をしないこと又は法第十三条第一項の規定による承認の取消しに係る決定書の原本及び法第五条第一項の承認をしたこと又は法第十条第二項の規定による

負担金の額の通知に係る書面の原本

二審査請求書類等つづり込み帳審査請求書その他の審査請求事件に関する書類

4 法務局又は地方法務局が備える次の各号に掲げる帳簿には、当該各号に定める書類をつづり込むものとする。

一承認申請書類つづり込み帳

承認申請書及び添付書類、取下書その他の手続書類(前項第一号又は次号の規定によりつづり込むものを除く。)

二決定原本つづり込み帳管轄法務局長が作成した

法第四条第一項の規定による承認申請の却下又は法第五条第一項の承認をしないことに係る

決定書の原本及び同項の承認をしたこと又は法第十条第二項の規定による負担金の額の通知に係る書面の原本

(保存期間)

第二十四条法務省が備える次の各号に掲げる帳簿の

保存期間は、当該各号に定めるとおりとする。

一法務省決定原本つづり込み帳これにつづり込まれた

決定書又は書面に係る処分の年の翌年から十年間

二審査請求書類等つづり込み帳これにつづり込まれた

審査請求に係る裁決又は決定の年の翌年から五年間

2 法務局又は地方法務局が備える次の各号に掲げる帳簿の

保存期間は、当該各号に定めるとおりとする。

一受付帳受付の年

の翌年から十年間

二承認申請書類つづり込み帳法第四条第一項の規定による

承認申請の却下、法第五条第一項の承認をしたこと、同項の承認をしないこと

又は第七条第一項の規定による承認申請の取下げの年

の翌年から十年間

三決定原本つづり込み帳これにつづり込まれた決定書又は書面に係る処分の年

の翌年から十年間

四各種通知簿通知の年

の翌年から一年間

(帳簿の廃棄)

第二十五条第二十三条第一項に規定する帳簿を廃棄するときは、法務大臣の認可を、同条第二項に規定する帳簿を廃棄するときは、管轄法務局長の認可を受けなければならない。

附則

この省令は、法の施行の日(令和五年四月二十七日)から施行する。

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則

案に関する意見募集の結果について

法務省民事局民事第二課

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00460.html

  省令案第1条関係

(別紙)

1  省令案第1条但書について、

いずれかの管轄法務局長に対して承認申請書が提出されたときは、

当該提出がされた管轄法務局長が

その後の審査を取り扱うものと考えられるが、

その具体的な在り方については、

通達等で明らかにすべきである。

省令案第1条第1項但書の場合の

取扱いは御認識のとおりです。

この点については

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

2 省令案第1条及び第2条について、

承認申請に係る法務局は、

原則としてその本局のみを予定しているものと考えられるところ、

例えば、本局以外の管轄内にある

承認申請に係る土地の実地調査や

承認申請者又はその代表者若しくは法定代理人(以下「承認申請者等」という。)に対する事実の聴取については、

例えば、事実の調査に係る現地立会い等において

任意代理人等の承認申請者等が別途選任する者の参加を許容する、

あるいは、承認申請者等の住所等最寄りの

法務局における事情聴取を可能とする等の

運用等を整備すべきである。

現地での立会い等が必要になる場合には、

承認申請者のほか

承認申請者が指定する者の

同行を認めることとしており、

この点については

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

3  帰属法、帰属政令と

本省令案の規定からすると

申請代理人による承認申請を想定していないと思慮するが、

一方、国庫帰属承認手続は専門家の関与が必要な手続であることから

そのサポートも必要であると考える。

このため本省令案で法務局に対する手続であることが定められたことから、

法務局に提出する書類の作成及びその相談を業として行う事が可能な士業に

申請の際の同行、

申請人が出頭できない場合の提出代行など

の申請代行手続を認めるべきではないか。

相続土地国庫帰属制度における

専門家の活用等の考え方については、

法務省ホームページで明らかにしています。

省令案第2条関係

4    省令案によれば、本手続は

書面申請を前提にしているが、

将来的には電子申請、費用の電子納付が採用されることを希望する。

今後の制度の運用実態を把握・検証した上で、検討してまいります。

5     共有地について

国庫帰属の承認申請を行う場合、

記名押印は1枚の承認申請書にしなければならないか。

省令案第2条第1項但書の場合を除き、

承認申請書は一筆ごとに一通作成することになりますが、

共有者の押印を

同一の用紙にする必要まではありません。

6     省令案2条第1項について、帰属法第3条第

1項第2号に代わる情報として不動産番号の記載及び当該記載による承認申請に係る土地の所在、地番、地目及び地積の記載の省略を許容すべきである。

本制度は不動産登記制度とは

異なる制度であるため、

不動産番号の記載によって記載を省略することは困難です。

7     記名共有地等が

権利能力なき社団を構成している場合、

承認申請は可能という理解でよいか。

その場合、承認申請書には

権利能力なき社団の代表者を

承認申請者として記載すればよいか。

承認申請権者は

相続等により土地の所有権を取得した者

とされているので(帰属法第2条)、

当該要件に該当する者であれば承認申請をすることは可能です。

8    省令案第2条第1項第2号の

「法人であるときはその」は同項第1号と同様に

「法人であるときは、その」の方がよい。

また、第2条第1項第2号の「住所」は、

法人であるときは「主たる事務所の所在地」を

記載すべきではないか。

原案のとおりとさせていただきます。

9     破産管財人が承認申請をすることは可能か。 

法令の要件に該当すれば可能であると考えます。

10   法定代理人としては、

親権者、成年後見人、不在者財産管理人、相続財産管理人及び相続財産清算人を念頭に置いているという理解でよいか。

御指摘の親権者等は、「法定代理人」に当たるものと考えられます。

11   士業による代理申請を認めるべきである。

   相続土地国庫帰属制度における専門家の活用等の考え方については、法務省ホームページで明らかにしています。

12   承認申請の法的書類の作成を依頼している弁護士その他の士業の連絡先を記載することは可能か。

任意的記載事項として記載することは可能です。

13   印鑑証明書の添付が必要な場合、

法人の代表者が登記所に印鑑を提出しているときは

登記所提出印を、

法人の代表者が登記所に印鑑を提出していないときは

市町村登録印を押印することになるはずである。

省令案第2条第3項第1号により、

会社法人等番号を記載した場合には、

登記所に印鑑を提出しているか否かにかかわらず、

一切の印鑑証明書が不要となる。

登記所に印鑑を提出していない場合であって、

会社法人等番号を記載した場合には、

印鑑の照合は不可能であり、

照合はしないということになる。

印鑑の照合をしないような書面について

押印を求めるのは、

行政手続における押印の見直し方針に反している。

印鑑の照合を行うのであれば

会社法人等番号の記載によって

添付省略のできる印鑑証明書を

登記所発行のものに限るべきであり、

印鑑の照合を行わないのであれば

会社法人等番号の記載によって

押印自体を不要とすべきである。

本制度では

印影の同一性を確認することにより

申請内容の真実性を確認することを

予定しており、

省令案第2条第1項において

法人の代表者の記名押印(印鑑は登記所に届け出たもの)を

必要としています。

14   省令案第2条第3項本文及び同項第1号につき、

商業登記法第12条の印鑑の提出をしていない法人が

承認申請者等となるときの

省令案第2条第3項本文の

印鑑に関する証明書の取扱いとしては、

例えば、法人の代表者本人に係る本条第3項本文の

印鑑に関する証明書の添付をもって足りるとする等、

当該取扱いに係る運用等を整備すべきである。

本制度では印鑑の照合を行うため、

省令案第2条第1項において

法人の代表者の記名押印を必要としています。

15  省令案第2条第3項第2号につき、

承認申請者等が外国人であるときの

当該承認申請者に係るいわゆるサイン証明は、

同号の「公証人又はこれに準ずる者の認証」として

取り扱うこととすべきである。

いわゆるサイン証明については、

省令案第2条第3項第2号の「公証人又はこれに準ずる者の認証」として取り扱うこととしており、この点については通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

16  省令案第2条第3項第3号につき、

相続財産清算人、不在者財産管理人及び成年後見人につき

裁判所が発行する印鑑証明書は、

所有者不明土地管理人のそれと同様に、

同号の印鑑証明書として取り扱うこととすべきである。

相続財産清算人、不在者財産管理人及び成年後見人につき裁判所が発行する印鑑証明書は、

省令案第2条第3項第3号の印鑑証明書として取り扱うこととしていますが、この点については通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

省令案第3条関係

17   省令案に規定する添付書類では、

調査が困難であると思い、

添付書類(案)を提案します。

(添付書類)

第三条

・位置図、現況案内図

・境界が確定している旨の図面(※地積更正登記済か地積更正登記ができる図面)

(地積測量図、国土調査図面、筆界確認書等)

※地積測量図は、現地復元性があるものに限る。

・現況地目が把握できる写真等

・公図(地図訂正が必要な場合は土地所在図)

・隣接土地の登記簿

・隣接土地の地積測量図(写し)

土地の位置及び範囲を示すための図面は、

測量した成果により作成したものである必要はないことから、

原案どおりとさせていただきます。

18  承認申請手続時における、

承認申請者の負担を軽減し、

円滑な承認申請手続が行われるよう、

添付書類について、

具体的な記載例、記載事項等を早期に示されたい。

通達や法務省ホームページ等で明らかにすることを予定しています。

19   省令案第3条には添付書類が規定されているが、

これ以外に添付書類は要求されないのか。

また通常多くの許認可申請では

申請人側に要件具備のエビデンスを求められることや

帰属法第6条で事実の調査を

国が行うことができることとなっているが、

承認申請者側としては

承認されることを望んで承認申請を行うことから、

法務局側の調査を待たず

承認申請者側でエビデンス等資料を

提出したいと考えるケースがあると考えられる。

このような場合に承認申請者側で

資料等の提出は可能か。

また提出した場合に調査の省略などを検討されるのか。

 調査の過程で調査のために

必要な資料等が生じた場合には、

管轄法務局長は帰属法第6条の規定により

承認申請者に対して

資料の提供を求める場合がありますが、

法令で規定された添付書類以外の

資料について任意で提出することは可能であり、

これらの資料の内容によっては、

調査の一部を迅速に行うことが

可能になる場合があると思われます。

20   省令案第3条第1号によれば、

相続登記未了の土地であっても、

本件手続の承認申請が可能となるようである。

数次相続が発生して、

相続人調査が困難な案件でも

承認申請を認めるとの配慮に基づくものと考える。

その一方で、 相続人の範囲が明確で

共同相続の登記が申請容易な物件でも

相続登記未了のまま承認申請が認められることは、

相続登記の義務化と矛盾するともいえる。

本手続による登記手続がどのようになるか

(被相続人→相続人→国という権利移転の経過が反映されるのか、又は被相続人→国という中間省略的な登記になるのか)にもよるが、

仮に、権利移転の経過が反映されるのであれば、

相続登記部分の登記費用を負担させるなどの処置を

考える必要があるのではないか。

いずれにせよ、

国民目線からみた「公平感」は、

幅広い施策を横断的に導入した

所有者不明土地問題の

全体的解決の視点から重要ではないかと考える。

相続等を原因として

土地の所有権を取得した者は、

帰属法第2条第1項の規定に基づき、

登記の有無に関わらず承認申請権限を有しているため、

原案のとおりとしています。

なお、登記名義人に限らず

相続等により土地を取得した土地の所有者に

承認申請権限を認めることにより、

所有者不明土地の発生防止という

本制度の目的に沿った結果を

期待することができるものと考えます。

21   省令案第3条第1号について、

承認申請に係る土地については、

承認申請の前までに

相続による所有権の移転の登記又は所有権の保存の登記を

完了することが推奨されるものの、

それらの完了を

必ずしも承認申請の前提要件としていないと考えられる。

この考え方については、通達等で明らかにすべきである。

取扱いについて通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

22   国庫帰属は承継取得であることから、

嘱託の移転登記の前提として、

代位で相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)の登記を

国においてすることを

念頭に置いているという認識でよいか。

御理解のとおりです。

23   相続登記未了の土地についても

承認申請を認める場合、

省令案第3条第1号の書面として

法務省発行の法定相続情報一覧図を添付することでもよいか。

御理解のとおりです。

24   相続登記未了の土地についても

承認申請を認める場合、

表題部所有者が承認申請する場合(とりわけ、住所の表示がないなどの理由で表題部の記載だけでは直ちに所有者が特定できない場合)は、

何を添付すればよいか。

省令案第3条第1号に規定する相続等により

承認申請に係る土地の所有権を

取得した者であることを証する書面を

添付いただくことになりますが、

事案によって異なるため一概にお示しすることは困難です。

25   省令案第3条第1号について、

同号の「当該者であることを証する書面」に

該当する具体的な添付書類の内容は、

不動産の相続の登記に係る

登記原因証明情報と同様と考えられるところ、

当該内容については、通達等で明らかにすべきである。

取扱いについて通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

26   相続人ではない包括受遺者による承認申請は可能か。

承認申請をすることはできません。

27   相続人ではない包括受遺者による承認申請を認めない場合、登記原因は遺贈になっているため、登記だけでは判別できない。したがって遺贈の場合、戸籍の添付が必要になるのか。

御理解のとおりです。

28  省令案第3条第3号関係について、

基本的に括弧書きで

会社法人等番号を記載することになると思われるが、

本号は外国会社の場合を念頭に置いており、

外国会社に資格証明書を求めるという理解でよいか。

省令案第3条第3号は、

会社法人等番号を有しない法人の

添付書類を規定したものです。

29 省令案第3条第4号の図面としては、

いわゆる不動産登記法14条地図、

地図に準じる図面、

地積測量図が該当するという理解でよいか。

他に何が該当するか。

不動産登記法第14条第1項地図

及び同条第4項地図のほか、

国土地理院が公開する地理院地図等が該当します。

土地の位置及び範囲が明らかであれば、

図面の種類は問いません。

30  省令案第3条第4号について、

同号の図面としては

必ずしも確定測量図等の精度の高いものに

限られるわけではないと考えられるところ、

同号の図面として許容されるものの在り方については、

例えば、インターネット地図の写しの利用を可とする等、

一般国民において

準備可能な程度に柔軟なものとした上で、

その具体的な内容を通達等で明らかにすべきである。

省令案第3条第4号の図面は、

著作権関係法令に抵触しない限り

いわゆるインターネット上の

地図を活用していただく形でも差し支えありません。

詳細の取扱いについては、

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

31   省令案第3条第4号から第6号までについて、

図面又は写真に記載された情報を

電磁的記録に記録して

CD-ROM、USBメモリその他の読込可能な媒体に格納したものの

提供をもって、

本条第4号から第6号までの各号の書類の添付に

代えることができるようにすべきである。

省令案第3条第4号から第6号までの添付書類については、

承認申請者に

過度な負担を課すものではないため、

書面による提出を前提としています。

32   省令案第3条第4号の図面について、

放棄された土地の

将来の利用も視野に入れて

問題ない物件かを審査する必要があると思う。

よって以下の図面条件を意見する。

1  図面作成者は土地家屋調査士を条件として場所の特定をさせる。

2  図面には推定筆界を明示し越境物がないことを図示する。

省令案第3条第4号の

土地の位置及び範囲を示すための図面は、

測量した成果により作成したものである

必要はないことから、

原案のとおりとさせていただきます。

33   省令案第3条第5号の写真については、

国土地理院で取得できる航空写真でよいか。

航空写真も含まれますが、

建物や工作物の有無などを確認するために

必要な書類であるため、

最新の現況が判る写真を提出していただく必要があります。

34   省令案第3条第5号の写真について、

撮影時期について

承認申請から3か月以内といった期限はないか。

撮影時期の制限はありませんが、

建物や工作物の有無などを確認するために

必要な書類であるため、

最新の現況が判る写真を

提出していただく必要があります。

35   省令案第3条第5号の写真について、

インターネットで取得できる写真

(Google マップの航空写真やGoogle ストリートビュー)

の写真でもよいか。

著作権関係法令に抵触しない限り、

いわゆるインターネット上の

地図を活用いただく形でも

差し支えありませんが、

建物や工作物の有無などを

確認するために必要な書類であるため、

最新の現況が判る写真を

提出していただく必要があります。

36   省令案第3条第5号について、

山林等の広大な土地の場合、

航空写真以外では、

土地の全体を映すことができないが、

土地の全体が分かる写真である必要があるか。

取扱いについて

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定ですが、

建物や工作物の有無などを確認するために必要な書類であるため、

最新の現況が判る写真を提出していただく必要があります。

37  省令案第3条第5号について、

本号の書類に一見明白な不備がない限り、

直ちには却下にならず、

法務局職員の現地調査の結果

不足している写真が収集できれば、

承認申請当初に

本号の書類が添付されていなかった点を

もって却下されることはないという理解でよいか。

取扱いについて通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

38   省令案第3条第5号について、

相続人には高齢の方も多く、

頻繁に相続した土地の現地調査を

行うことは不可能である。

仮に士業による申請代理を認めないのであれば、

本号の審査を無用に厳格化するのではなく、

不備については法務局職員による現地調査で

柔軟に対応できるようにするべきである。

御指摘も踏まえ、運用を検討してまいります。

39   省令案第3条第6号について、

本号は筆界を示す境界標のみを

指しているわけではなく、

境界標があればそれで足りるが、

境界標がなくても、

所有権界を示す物の写真があれば足りるという理解でよいか。

御理解のとおりです。

40  省令案第3条第6号について、

隣地境界線があいまいになっていることは、

実際に多々あり、

放置されているケースもあると聞く。

また、解決しようとしてトラブルになり、

解決までに長期の時間を要する場合もあると聞くが、

これに関しての特別措置や救済措置はあるのか。

隣接地が山などの場合、

境界がどこかが

容易にはわからないことも少なくないと思うし、

隣地所有者が行方不明の場合等もあると思う。

この添付書類が

提出できない時は、

承認申請不可となってしまうのか。

隣地境界線に関するトラブル等は

巷ではよくあるケースで、

他でも問題になっている事案でもあるので、

これだけのために

承認申請不可であったりするのであれば

特別措置や救済措置等が必要だと思う。

本制度を利用するには、

境界が明らかでない土地

その他の所有権の存否、

帰属又は範囲について争いがある土地に

該当しない土地である必要があります(帰属法第2条第3項第5号)。

これに該当するか否かは

事案ごとに判断することになります。

なお、隣地所有者が所在不明であっても、

本制度の利用は可能とされています。

41  省令案第3条第6号について、

地図に準ずる図面しかない土地の場合、

当該図面上、境界点の数が明確ではないことがあるが、

この場合、

承認申請者が認識する所有権界を前提に

当該所有権界の境界点の数だけ

写真を添付すればよいか。

御理解のとおりです。

42  省令案第3条第6号に

規定されている承認申請に係る土地と

当該土地に隣接する土地との境界点を

明らかにする写真の添付は不要である。

また、仮に添付を要するとしても、

「境界付近の写真」と定めるなど、

不動産登記法上求められる境界点としての

精密さを要求するものではないことを

条文上明らかにした内容とすべきである。

土地の位置及び範囲が

不明な場合には、

国が帰属した土地を管理することが困難ですので、

原案のとおりとさせていただきます。

43  省令案第3条第6号について、

同号の写真の添付の趣旨が、

承認申請に係る土地が

帰属法第2条第3項第5号の要件に

該当しないことを証するためのものであると

考えられるところ、

省令案第3条第4号の図面との関係性の明示

及び省令案第3条第6号の写真として

許容されるものの在り方については、

例えば、

写真上に距離や座標等の記載を要しないものとする等、

一般国民において準備可能な程度に柔軟なものとした上で、

その具体的な内容を通達等で明らかにすべきである。

省令案第3条第6号の写真は、

写真上に距離や座標の記載を求めるものではありませんが、

取扱いについて通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

44   省令案第3条第7号について、書面のひな形等、その具体的な内容を一般国民に周知すべきである。

通達や法務省ホームページ等で明らかにすることを予定しています。

45  省令案第3条第7号について、相続登記未了の土地について承認申請をした場合は、追加の書類が必要になるのか。

相続登記を申請する場合と同様の資料が必要になります。

46   省令案第3条第7号について、相続登記未了の土地について国庫への帰属が承認された場合、国が嘱託登記を行う際に法定相続又は遺産分割の代位登記を行うという理解か。

御理解のとおりです。

省令案第4条関係

47   省令案第4条但書に、

帰属政令第5条2項に規定する

隣接する二筆以上の

承認申請に係る土地の所有者が

異なる場合において、

これらの者が共同して承認申請をする場合を

加えるべきである。

所有者が異なる場合に

一の承認申請書による承認申請を

認めるとすると、

承認申請に係る審査が

煩雑となることから、原案のとおりとさせていただきます。

省令案第5条関係

48   将来的には、オンラインによる

手数料の納付

可能となるようにすべきである。

今後の制度の運用実態を把握・検証した上で、検討してまいります。

49  承認申請の審査開始前に当該承認申請が却下された場合、

登録免許税等における過誤納金の還付同様に、

手数料を還付すべきである。

手数料の還付は予定していないため、

原案のとおりとさせていただきます。

50   手数料の額は、極力、低廉なものとすべきである。

御意見も踏まえ、引き続き検討してまいります。

省令案第6条関係

51   省令案第6条第3項の

「その他の不正な承認申請のために

用いられた疑いがある書面」について、

その立法趣旨及び当該書面の具体的内容を、

通達等で明らかにすべきである。

 その他の不正な承認申請のために

用いられた疑いがある書面としては、

盗用されたもの、

不正な方法で交付を受けたもの等が

該当しますが、取扱いについて

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

省令案第7条関係

52 省令案第7条第2項について、

承認申請と同時に

売却を並行して進めることがあり得るが、

承認決定が出る際は

承認申請書に記載した連絡先に

事前に連絡をすべきではないか。

売却の可能性があるものまで

国庫帰属させるのは望ましくない。

承認後に負担金を支払うことにより

土地を国庫に帰属させるかどうかは、

承認申請者の意思に委ねられています。

省令案第8条関係

53  省令案第8条第 1 項について、

承認申請書提出後に

訂正・補正が必要なことが判明した場合、

承認申請書類が返還され、

同項の訂正方法をとる必要があるのか。

実務的にどのような訂正フローになるか。

具体的な取扱いについては、

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

54   省令案第8条第2項について、

ページ番号を記載するだけで足り、

契印は必要ないという理解でよいか。

御理解のとおりです。

55   省令案第8条第2項の

「その他の必要な措置」について、

その具体的内容を通達等で明らかにすべきである。

その他の必要な措置としては、

承認申請書が散逸しないよう、

ステープラー等でとじることなどが該当しますが、

取扱いについては通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

省令案第9条関係

56   省令案第9条第1項について、

許容される信書便の具体的内容を通達等で明らかにすべきである。

日本郵便株式会社が取り扱う

レターパックプラスなどが想定されますが、

取扱いについては

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

省令案第10条関係

57   省令案第10条第1項から第3項について、

原本還付をすることができる添付書類については、

可能な限り、

いわゆる窓口還付の

取扱いを許容すべきである。

承認申請者から

早期の

原本還付が求められた場合などにおいては、

審査に支障のない範囲内で

柔軟な対応を取ることも想定されますが、

具体的な取扱いについては

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

58   省令案第10条第1項について、

共有地の場合は誰に還付するのか。

承認申請者として

連絡先が記載されている方に

連絡して調整することになります。

省令案第11条関係

59   承認申請者は

受付番号をどうやって知るのか。

受理した旨の書類が届くのか。

受付番号を知りたい方には、

受付時に受付番号を

お知らせする予定です。

省令案第12条関係

60   負担金納付後から

嘱託登記までに

承認申請者が死亡した場合、

どのような処理になるのか。

帰属法第11条第1項により、

負担金を納付した時点

所有権が国庫に帰属します。

61   申出の期間について、

60日は短い。

60日より後に地位を承継したいと思った場合に、

再度承認申請が必要になるが、

そうなると法務局にも

承認申請者にも二度手間ないし

負担になるだけである。

また、共有地の承認申請の場合、

共有者の死亡を

他の共有者が知り得ない場合がある。

承認申請者には高齢者も

少なくないため、

共有地の場合、

複数の者が死亡する可能性もある。

手続を一定期間以上

不確定な状態とすることは

適切ではないことから、

原案のとおりとさせていただきます。

62   承認申請中に

共有持分を取得した法人も

本条の手続を利用できるという理解でよいか。

当該法人が帰属法第2条第2項の承認申請をすることができる者に

該当する場合は、

省令案第12条の承継の申出をすることが可能です。

63   省令案第12条第3項について、

申出の添付書類については、

基本的に相続関係を示す書類があれば足りると思われるが、

本項特有の書類(通常の場合と異なる追加的な資料)はあるか。

事案によって異なるため、

一概にお示しすることは困難です。

64  省令案第12条について、

承認申請者が負担金を納付するまでに

死亡等した場合、

新承認申請権者の申出可能期間を

「取得の日」としている点を

「取得したことを知った日」と

定めるべきである。

客観性等の観点から

原案のとおりとさせていただきます。

65  省令案第12条について、新承認申請権者からの申出が期間内に行われなかった場合の取扱いを明らかにすべきである。

御意見等を踏まえ検討します。

66   省令案第12条について、

共有土地についての承認申請である場合において、

共有者の一人に生じた死亡等の理由により

新承認申請権者からの申出が

期間内に行われなかった場合、

他の共有者全部の承認申請

あるいは承認の効力が喪失することにつき

何らかの救済制度を設けるべきである。

土地が数人の共有に属する場合には、

承認申請は共有者の全員が共同して行うときに限り

することができるとされていることから(帰属法第2条第2項)、

原案のとおりとさせていただきます。

67   省令案第12条第1項について、

承認申請から負担金の納付までの期間が

なるべく短期になるよう、

帰属制度における審査等の運用を

整えるべきである。

いただいた御意見については、

今後の運用の検討に当たって参考とさせていただきます。

68   省令案第12条第1項について、

例えば、承認申請に係る土地についての

住居表示実施等による地番の変更等、

本条第1項が想定する承認申請者の相続の開始

以外の事情変更についても、

本条第1項(又はそれに類似する制度)の対象とする等して救済すべきである。

御指摘の変更については、

省令案第3条第1号の疎明資料として

住民票の写し等を提出いただくこと

承認申請に係る土地の同一性を判断することが

可能であると考えます。

69   省令案第12条第1項について、

承認申請の後に

当該承認申請に係る

土地の所有権者に相続が発生した場合の

本条第1項の申出をすることができる者は、

その相続人の全員又は当該相続によって

終局的に当該土地を承継取得した者に限るべきである。

省令案第12条第1項の規定により

申出をすることができる者は、

帰属法第11条第1項の規定による

負担金の納付がされるまでの間に

承認申請者から所有権の全部又は一部を取得した者であって、

帰属法第2条第1項又は第2項の

承認申請をすることができる者とされています。

70   省令案第12条第1項について、

帰属法第10条第3項の負担金の納付の期限が

省令案第12条第1項の申出期間の終期よりも

前に到来するときは、

当該期限を当該終期まで伸長すべきである。

承認申請者に死亡等の承継事由が発生した場合には、

速やかに管轄法務局に連絡するよう、

通達や法務省ホームページ等で周知する予定であり、

納付期限の伸長は予定していません。

71 省令案第12条第1項について、

所有権の登記名義人が被相続人のままである土地について

その相続人全員が承認申請を行い、

その後の遺産分割や相続放棄等に基づき

相続人が当該土地の一部又は全部を

終局的に承継取得した場合における

本条第1項の申出の要否を、

通達等で明らかにすべきである。

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

省令案第13条関係

72 承認申請書に

省令案第13条第1項に規定する者の

記名押印がある境界確認書を添付したときは、

本条第1項の通知等の省略を許容すべきである。

いただいた御意見については、

今後の運用の検討に当たって参考とさせていただきます。

73   承認申請後に補正があった場合や追完があった場合、

現地調査で承認申請書と異なる事実が判明した場合にも、

隣接地所有者への通知をするべきである。

御指摘を踏まえ運用を検討してまいります。

74  省令案第13条により、

省令案第3条第4号から第6号までの

書類の写しが隣接地所有者に送付され、

異議が出た場合も、

当該隣接地所有者との間で

当該異議を解消する旨の合意書が提出された場合は、

帰属法2条3項5項の要件は満たさないという理解でよいか。

御理解のとおりです。

省令案第15条関係

75   省令案の「第十五条相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令(以下「令」という。)第四条第二号に規定する…」の箇所については、正しくは『第四条第一項第二号に規定する…』となるのではないか。

御指摘のとおり修正いたします。

省令案第16条関係

76  省令案第16条第2号につき、同号に代わる情報として不動産番号の記載及び当該記載による承認申請に係る土地の所在、地番、地目及び地積の記載の省略を許容すべきである。

本制度は不動産登記制度とは別の制度であるため、不動産番号の記載によって記載を省略することは困難です。

省令案第17条関係

77   承認申請者が2人以上であるときは、次のとおりとすべきである。

(1)承認申請者への負担金の割付けに係る運用等を整備すべきである。

(2)例えば、省令案第17条第2項の通知の際に承認申請者全員から納入告知書又は納付書の送付先を別途届け出させる等、負担金が二重納付とならない運用等を整備すべきである。

(1) 負担金の分担割合については、承認申請者間で調整いただくことになります。

(2)  御指摘を踏まえ、二重納付とならないような運用となるよう検討してまいります。

省令案第20条関係

78   承認申請後の承認前・承認後のそれぞれの場面で、自治体への情報提供はどのようになされるのか。

 本意見照会の対象外ではありますが、自治体への情報提供については、承認申請者に意思を確認した上で承認前に行う運用を予定しています。

省令案第22条関係

79   委任しているものとそうでないものの違いは何か。また、但書はどのような場面で想定されているか。

性質上委任することが可能と考えられる権限について委任しています。但書は、法務大臣が自ら対応することが適当な事案がある場合に、対応が可能な権限を明示したものです。

省令案第23条関係

80 各種書類が法務省、法務局等に備えられるが承認実例の検証のために情報開示請求の対象になるのか。また、もし開示対象にならない場合でも、承認実例は承認申請手続を行う際に参考になるため、法務省で積極的に実例の情報提供などを検討してほしい。

本制度に関する行政文書は、情報公開法に基づく開示請求の対象となります。なお、承認事例を公表することについては、御意見も踏まえ検討してまいります。

81   法務省決定原本つづり込み帳及び承認申請書類つづり込み帳につづり込まれた書類については、承認申請等のオンライン化を待つまでもなく早期にデジタル化に着手すると共に、当該デジタル化した情報については、その保管期限を永久とすべきである。

今後の制度の運用実態を把握・検証した上で、検討してまいります。

省令案第24条関係

82   保存期間はどれも10年以上とすべきと考える。

また、電磁的記録を作成し、電磁的記録については基本として永年保存(あるいはとりあえず150年等(それくらい保存するなら永年保存でよいと考えるが。))を行うべきと考える(親族が見つからなかったり、関係者が知らない間に不適切な処理がされた場合の回復性については確保を行っておくべきと考える。)。

御意見等を踏まえ、引き続き検討してまいります。

その他

83   一筆一地目が原則であるが、一筆複数地目がある場合の手続きが設けられていない(通常は、分筆が必要。それぞれの地目面積が分かる図面)。

帰属政令第4条第1項各号のいずれかの土地の区分となりますので、原案のままとさせていただきます。

84  

帰属政令第3条第4項第4号「所有権が国庫に帰属した後に法令の規定に基づく処分により国が通常の管理に要する費用以外の費用に係る金銭債務を負担することが確実と認められる土地」について、どのような土地が該当するか省令で具体的に記載されるかと期待したのですが、含まれていませんでした。

地域の土地改良区で整備した農地については、年間の排水設備費等の管理費を土地改良組合に払うことが通常です。国策として開墾した農地についても国庫への帰属が出来なければ法の目的を達することができません。 このような農地についても対象となることを、明記することが必要と考えます。

本意見照会の対象外ではありますが、年間の排水設備費等の管理費を要する土地については、帰属政令第3条第3項第4号に該当し、承認することができないものと考えられます。

いただいた御意見については、今後の運用の見直しに当たっての参考とさせていただきます。

85   1.森林に係る国庫帰属承認申請の段階において、以下の手続・対応を取るべき。

国は、承認申請権者に対し森林経営管理制度の概要を説明するとともに、承認申請に係る土地が属する市町村に対し承認申請者の情報を提供すること。

国から情報提供を受けた市町村は、承認申請権者に対し、森林経営管理法に基づく経営管理の委託について意向の有無を聴取すること。

承認申請権者が経営管理の委託に応じる場合にあっては、森林経営管理制度に基づき、市町村が公的に管理もしくは、経営管理権を設定し林業経営者に再委託の手続を行うこと。

承認申請に係る土地が属する市町村を管轄する森林組合に情報を提供し、経営管理権設定意向の有無について聴取すること。

隣接地所有者への通知の際に、森林施業の集約化等に係り当該相続土地の譲渡・寄附受け等意向の有無について聴取すること。

国庫に帰属した森林については、当該帰属森林の属地状況をホームページ等で開示するとともに、当該帰属森林が属する市町村、森林組合等に情報を提供し、森林施業の集約化等に係り当該森林の譲渡・買い受け等を希望する者に対して、簡易・簡便な手法で譲渡等を可能とする制度を設けること。

国庫帰属森林の売払いにあたっては、国庫帰属財産の性格に鑑み、一般競争入札ではなく、最低売払い価格を公表した随意契約を可能な制度とする等、買い受け希望者が容易に取得できる環境を整えること。

本意見照会の対象外ではありますが、本制度における国庫への帰属に先立ち、地方公共団体に情報提供を行うなど、土地の有効活用を検討するための運用についても、引き続き検討してまいります。

関連

https://souzokutochi-kokkokizoku.com/enforcement-regulation/

加工担保法制の見直しに関する中間試案のたたき台第2案⑵

担保法制部会資料 26

https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00173.html

目次

(前注) …………………………………………..2

第1 個別動産を目的財産とする新たな規定に係る動産担保権の実体的効力 …………..3

1 担保権の効力の及ぶ範囲 …………………………..3

2 果実に対する担保権の効力 …………………………..4

3 被担保債権の範囲 …………………………………4

4 担保の目的物の使用収益権限 ………………………..4

5 使用収益以外の設定者の権限 …………………………4

6 担保権者の権限 …………………………………..5

7 物上代位 ………………………………………..6

8 その他 …………………………………………6

9 根担保権 …………………………………..7

第2 個別債権を目的財産とする譲渡担保の実体的効力 …………..8

第3 集合動産・集合債権の担保化 ………………………….9

1 動産の集合体に対する新たな規定に係る動産担保権の設定の可能性 ………………..9

2 集合動産を目的とする担保を設定した設定者の権限 ……………………….. 10

3 集合動産の構成部分である動産の設定者による処分 ………….. 10

4 集合債権を目的とする担保を設定した設定者の権限 ………. 13

5 担保価値維持義務・補充義務 ……………………… 13

6 集合動産を目的とする担保権における物上代位等 ………………. 14

第4 新たな規定に係る動産担保権の対抗要件等 …………….. 14

1 新たな規定に係る動産担保権の対抗要件等(2の留保所有権の場合を除く。) ……….. 14

2 留保所有権の対抗要件等 ……………………………. 15

第5 新たな規定に係る動産担保権と他の担保物権との優劣関係 ……………. 18

1 動産質権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係 ………… 18

2 先取特権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係 ………….. 18

3 一般先取特権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係 ……….. 18

第6 債権譲渡担保権の対抗要件等の在り方 …………………. 18

1 債権譲渡担保権の対抗要件等 ………………………… 18

2 債権譲渡担保権相互の優劣 …………………… 19

3 一般先取特権と債権譲渡担保権との優劣関係 ……………… 19

第7 動産・債権譲渡登記制度の見直し ………………………… 20

担保法制部会資料26

(前注)

1 動産を目的財産とする非占有型の担保制度や債権を目的財産とする担保制度の規律を設ける方法としては、①債権債務を担保する目的でされた一定の類型の契約を適用の対象として、その契約の効力を定める方法(以下「担保目的取引規律型」という。)、②質権、抵当権等と並ぶ担保物権を新たに設ける方法創設す方法(以下「担保物権創設型」という。)が考えられる。

担保目的取引規律型は、仮登記担保契約に関する法律(以下「仮登記担保法」という。)が「金銭債務を担保するため、その不履行があるときは債権者に債務者又は第三者に属する所有権その他の権利の移転等をすることを目的としてされた代物弁済の予約、停止条件付代物弁済契約その他の契約で、その契約による権利について仮登記又は仮登録のできるもの」の効力等について民法等の特則を設けているのと同様の方法である。動産や債権を目的財産とする担保法制についてこのような方法で規定を設ける場合は、例えば、債務を担保する目的で動産の所有権を移転する契約、債務を担保する目的で動産の所有権を売主に留保する売買契約の効力等について民法等の特則を設けることが考えられる。動産や債権を目的財産とする担保取引としては、現行法においては、債務を担保するため動産の所有権を移転したり(動産譲渡担保)、留保したり(所有権留保)するなどの取引形式が用いられており、このような形式との連続性がある点で実務上も受け入れられやすいと考えられる。

担保物権創設型は、抵当権や質権等と並ぶ新たな担保物権を創設するものであるから、この方法によって設けられた規定は、債務を動産譲渡担保する目的でや所有権を移転する留保の形式が用いられた取引(譲渡担保)などには、直接には適用されないことになる。

しかし、そうすると非典型担保が残ることになり、担保取引に関する法律関係を明確化するという点では不十分な結果となりかねない。そこで、担保物権創設型による場合には、担保物権を創設するだけでなく、債務を担保する目的で動産の所有権を移転する契約、債務を担保する目的で動産の所有権を売主に留保する売買契約などの担保取引については、新たな担保物権を設定する契約とみなすなどの規定を併せて設ける必要がある。

担保物権創設型についてこのようなみなし規定を設けるとすれば、担保目的取引規律型と担保物権創設型は規定の方法の違いにすぎず、ほぼ同様の実質を規律することができるとも考えられる(ただし、動産譲渡担保は形式的には目的財産である動産の所有権を移転する契約であるから、例えば民法第178条が適用されることになる。これに対して新たな担保物権を創設し、対抗要件を引渡しとする場合には、同条は当然には適用されないから、別途規定を設ける必要がある。このように、同じ実質を実現するとしても、必要となる規定が異なる場合がある。)。

2 この中間試案においては、①と②のいずれによって規定を設けるかは法制的な観点からの検討に委ねることとし、担保取引に関する実質的なルールの内容についての試案を示すこととし、特段の言及のない限り、担保目的取引規律型によるか担保物権創設型によるかは中立的に表現することとしている。ただし、債権は現行法上も質権の目的となり得るため、担保物権創設型による場合には、債権質と区別された新たな担保権を創設する必要性自体が問題となり得る(新たな担保権を創設するのではなく、債権質に関する規定を修正するにとどめることもあり得る。)。そこで、この中間試案においては、債権を目的とする担保に関するルールを示すときは、差し当たって担保目的取引規律型によることを前提としてルールの内容を示すこととしている。

このような観点から、担保取引によって債権者が得ることとなる権利を指す用語として、「新たな規定に係る担保権」という文言を用いる。①の方法特による動産を目的財産とする場合について言及する際は、「新たな規定に係る動産担保権」という。

「新たな規定に係る動産担保権の設定」とは、担保物権創設型によれば、新たに創設されることになる動産担保権を設定することをいい、担保目的取引規律型によれば、債務を担保する目的で一定の類型の契約を締結すること(例えば、担保目的で動産の所有権を移転する取引を「契約を締結すること)をいう。

「留保所有権」「債権譲渡担保」「債権譲渡担保権」など、担保目的取引規律型を前提とする表現を用いる場合もある。「留保所有権」とは、売主が売買代金等を担保するために所有権を留保する取引(以下「所有権留保(売買契約)」と呼び、譲渡担保いう。)によって債権者が得る権利をいう。「債権譲渡担保」とは、担保「目的で債権を譲渡する取引をいい、「債権譲渡担保権」、所有権留保とは、債権譲渡担保によって債権者が得る担保を「留保所有権」と呼ぶ。新たに規定を設けた場合の「譲渡担保」「所有権留保」と区別して、特に現行法における「譲渡担保」「所有権留保」について述べる場合は、「現行法の譲渡担保」などと呼ぶ権利をいう。

 (説明)

分かりやすさの観点から表現振りを改めたものである。なお、本文2では、債権を目的とする担保権について、担保目的取引規律型による場合の債権譲渡担保権に関するルールのみを中間試案に記載する理由を追記している。また、本文2では、中間試案における用語について、担保物権創設型、担保目的取引規律型それぞれの立場から意義を明確にしておくことが望ましいものについて記載している。

第1 個別動産を目的財産とする新たな規定に係る動産担保権の実体的効力

1 担保権の効力の及ぶ範囲

新たな規定に係る動産担保権は、目的物に従として付合した物及び設定との先後を問わず設定者が目的物に附属させた従物(注1、2)に及ぶものとする。

ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者の行為について民法第424 条第3項に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りでないものとする。

(注1) 本文において担保権の効力が及ぶとされる物をどのように表現するかについては、「付加一体物」という表現を用いることの可否も含めて今後検討する。

(注2) 設定後に附属させられた従物については解釈に委ねるべきであるとの考え方がある。

(説明)

部会資料21 から実質的変更はない。なお、従物に及んだ主物に対する担保権の効力と従物に設定された担保権との優劣については、補足説明に記載することを予定している。

2 果実に対する担保権の効力

新たな規定に係る動産担保権の担保権者は、その担保する債権について不履行があったときは、目的物の果実から優先弁済を受けることができるものとする。

(説明)

部会資料21 から変更はない。

3 被担保債権の範囲

新たな規定に係る動産担保権は、元本、利息、違約金、担保権の実行の費用及び債務の不履行によって生じた損害の賠償を担保するものとする。

ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでないものとする。

(説明)

部会資料21から実質的変更はない。

4 担保の目的物の使用収益権限

新たな規定に係る動産担保権は、その内容に使用収益権限を含まず、設定者が目的物の使用収益をすることができるものとする。

(説明)

部会資料21 から変更はない。

5 使用収益以外の設定者の権限

⑴ 新たな規定に係る動産担保権は、同一の目的物の上に重複して設定することができるものとする。

⑵ 新たな規定に係る動産担保権の設定者が担保権者の同意なく目的物を真正に譲渡すること(注1)ができるかどうかについては、次のいずれかの案によるものとする。

【案1.5.1】担保権者の同意なく目的物を真正に譲渡することができるものとする(注2)。

【案1.5.2】目的物を真正に譲渡することはできないものとする(注3)。

(注1)ここで、「目的物を真正に譲渡する」は、担保権を消滅させる形で目的物の完全な所有権を譲渡することではなく、担保権を存続させたままで、設定者の有する権利(担保目的に制限された所有権を除いた所有権又は担保権に制約された所有権)を譲渡することを意味する。担保権者35 の同意を得てその担保権を消滅させ、目的物の所有権を譲渡することができることは当然の前提としている。

(注2)【案1.5.1】を採る場合であっても、所有権留保という類型を設けるときは、所有権留保については【案1.5.2】を採るという考え方もあり得る。

(注3)このとき、担保権者の同意を得て、「担保権を存続させたままで設定者の有する権利を移転すること」ができることを前提とする。

⑶ 新たな規定に係る動産担保権の設定者は、目的物の占有を第三者に妨害されるおそれがあるときはその第三者に対する妨害の予防を、目的物の占有を第三者が妨害しているときはその第三者に対する妨害の停止を、目的物を第三者が占有しているときはその第三者に対する返還を、それぞれ請求することができるものとする。

(説明)

⑵において、「目的物を真正に譲渡する」の意義等を(注)に記載した。また、⑶において、設定者が妨害予防請求ができることを明示することとした。

6 担保権者の権限

⑴ 新たな規定に係る動産担保権の担保権者は、その担保する債権について不履行があるまでは、目的物を第三者に譲渡すること(目的物の完全な所有権を第三者に移転させること)ができないものとする(注1)。

(注1)新たな規定に係る動産譲渡担保権の被担保債権を譲渡することに伴う場合に伴って被担保権者が有する権利が移転することは、この限りあるが、これは別の問題ではないある。

⑵ 新たな規定に係る動産担保権について、他の債権の担保とすることができるもの(以下「転担保」という。)する。

⑶ 新たな規定に係る動産担保権については、順位の変更、担保権の譲渡・放棄及び順位の譲渡・放棄(以下「新たな規定に係る動産担保権の処分」という。)及び順位の変更(新たな規定に係る動産担保権の処分と併せて「新たな規定に係る動産担保権の処分等」という。)の全部又は一部をすることができるものとするか、これらのうち一部をすることができるものとする場合、その範囲をどのように考えるかについては、引き続き検討する(注2)。

(注2)できるものとする範囲については、実務上のニーズや公示の観点から、引き続き検討する。

⑶ ⑵でできるものとされた新たな規定に係る動産担保権の処分等の対抗要件等については、次のとおりとする。

ア(ア) 新たな規定に係る動産担保権の処分は、債務者に当該処分を通知し、又は債務者がこれを承諾しなければ、これをもって債務者、保証人、担保権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができないものとする。

(イ) 新たな規定に係る動産担保権の処分は、登記をしなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。

(ウ) 担保権者が数人のために新たな規定に係る動産担保権の処分をしたときにおける処分の利益を受ける者の権利の順位は、新たな規定に係る動産担保権の処分についての登記の前後によるものとする。

イ 新たな規定に係る動産担保権の順位の変更は、登記をしなければ、その効力を生じないものとする。

(説明)

本文⑴について、「目的物を第三者に譲渡すること」の意味内容が不明確であるとの意見があったことから、これを明記することとした。

本文⑵については、部会資料25 及び前回の議論内容を踏まえて、新たな規定に係る動産担保権の処分等の一部に限ってすることができるものとする考え方を併記することとし、新たな規定に係る動産担保権の処分等の対抗要件等についての記載を本項に移すこととした。

7 物上代位

⑴ 新たな規定に係る動産担保権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても行使することができるものとする。

⑵ 新たな規定に係る動産担保権の担保権者は、⑴に基づいて金銭その他の物に対して権利を行使するときは、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならないものとする。

⑶ 新たな規定に係る動産担保権に基づく物上代位とその目的債権を目的財産とする担保との優劣関係について、次のいずれかの案によるものとする。

【案 1.7.1】物上代位とその目的債権を目的財産とする担保との優劣は、⑵の差押えがされた時点と、その目的債権を目的財産とする担保が対抗要件を具備した時点との前後によるものとする。

【案1.7.2】物上代位とその目的債権を目的財産とする担保との優劣は、物上代位を生じさせた目的物元物に設定された担保権が対抗要件を具備した時点と、その目的債権を目的財産とする担保が対抗要件を具備した時点との前後によるものとする(注)。

(注)原則として【案1.7.1】の規律によるが、目的債権を目的財産とする物に設定された新たな規定に係る動産担保権の設定について登記がされたときは、譲渡登記の時点を基準とする(引渡しのみの場合には物上代位が優先する)という考え方がある。

(説明)

本文⑶の(注)について改めて整理を行った。すなわち、新たな規定に係る動産担保権については、対抗要件が必ずしも明らかでない場合もあるため、原則として【案1.7.1】の規律によることとしつつ、当該担保権の設定について登記がされたときは、登記の時点を基準とする考え方がある旨を明記することとした。他方で、目的債権を目的財産とする担保権については、登記まで求めることとするのは過大とも考えられることから、譲渡登記の時点を基準とすることとはしていない。

8 その他

民法第296 条(担保権の不可分性)及び第351 条(物上保証人の求償権)の規定を新たな規定に係る動産担保権について準用するものとする。

(説明)

部会資料21 から変更はない。

9 根担保権

⑴ 新たな規定に係る動産担保権の設定は、【一定の範囲に属する】不特定の債権を担保するためにもすることができるものとする。

⑵ 極度額を定めることの要否については、引き続き検討する。

⑶ 個別の被担保債権について譲渡や債務の引受け、債権者又は債務者の交替による更改があった場合について、譲渡された債権などについて対して担保権を行使することができないものとする。

⑷ 元本の確定前に根担保権者又は債務者について相続開始、合併又は会社分割があった場合について、次のような規定を設けるものとする。

ア 元本の確定前に根担保権者又は債務者について相続開始があった場合には、次のいずれかの案によるものとする。

【案1.9.1】根担保権者又は債務者について相続が開始したときは、担保すべき元本は、確定するものとする。

【案1.9.2】次の(ア)から(エ)までの規定を設けるものとする。

 (ア) 根担保権者について相続が開始したときは、根担保権は、相続開始時に存在する債権及び相続人と設定者との合意により定めた相続人が相続開始後に取得する債権を担保する。

(イ) 債務者について相続が開始したときは、根担保権は、相続開始時に存在する債務及び根担保権者と設定者との合意により定めた相続人が相続開始後に負担する債務を担保する。

(ウ) 上記(ア)(イ)の合意については、後順位の担保権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。

(エ) 上記(ア)(イ)の合意について相続の開始後6か月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始時に確定したものとみなす。

イ(ア) 根担保権者について合併があったときは、根担保権は、合併時に存在する債権及び合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に取得する債権を担保する。

(イ) 債務者について合併があったときは、根担保権は、合併時に存在する債務及び合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に負担する債務を担保する。

(ウ) 設定者は、根担保権者又は債務者について合併があったときは、合併があったことを知った日から2週間かつ合併から1か月以内に、担保すべき元本の確定を請求することができる。ただし、債務者について合併があった場合で、債務者が設定者であるときは、この限りでない。

(エ) (ウ)の請求があったときは、担保すべき元本は、合併の時に確定したものとみなす。

ウ(ア) 根担保権者を分割をする会社とする分割があったときは、根担保権は、分割の時に存在する債権並びに分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に取得する債権を担保する。

(イ) 債務者を分割をする会社とする分割があったときは、根担保権は、分割の時に存在する債務並びに分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に負担する債務を担保する。

(ウ) 設定者は、根担保権者又は債務者を分割をする会社とする分割があったときは、分割があったことを知った日から2週間かつ分割から1か月以内に、担保すべき元本の確定を請求することができる。ただし、債務者を分割をする会社とする分割があった場合で、債務者が設定者であるときは、この限りでない。

(エ) (ウ)の請求があったときは、担保すべき元本は、分割の時に確定したものとみなす。

⑸ 根担保権の全部譲渡、一部譲渡(注)については、これを公示するための制度を設けることができるか否かを含めて、引き続き検討する。

(注)分割譲渡については、これを公示するための制度を設けることができるか否かのほか、極度額の設定の要否と関連して、引き続き検討する。

⑹ 債務者又は設定者が破産手続開始決定を受けたこと、設定から一定期間経過した後に設定者の請求があったことなど(注1)(注2)を被担保債権の元本の確定事由とするものとする。

(注1)担保権者等による実行の着手を元本確定事由とするか否かについては、実行に関する規律(後順位担保権者による実行の可否及びその場合の先順位担保権の消長等)や集合動産を目的とした担保の規律との関係も踏まえて、引き続き検討する。

(注2)元本確定事由に関するその他の規律については、根抵当権に関する規律を参考にして、引き続き検討する。

(説明)

部会資料25 及び前回の議論内容を踏まえて、本文⑷アについて、【案1.9.1】を併記することとした。その他の部分に変更はない。

第2 個別債権を目的財産とする譲渡担保の実体的効力

1 前記第1の2(果実に対する担保権の効力)、3(被担保債権の範囲)、5(使用収益以外の設定者の権限)⑴、6(担保権者の権限)⑴、7(物上代位)、8(その他)及び9(根担保)は、債権譲渡担保権にも適用されるものとする。

2 債権譲渡担保権が設定され【、債務者対抗要件が具備され】た場合、①第三債務者は設定者に対し弁済をすることが制限され、②設定者は、担保権の目的財産である債権について、放棄、免除、相殺、更改など当該債権を消滅させる行為をすることができないものとする。

3⑴ 債権譲渡担保権について、転担保、担保権の譲渡・放棄及び順位の譲渡・放棄(以下「債権譲渡担保権の処分」という。)及び順位の変更(債権譲渡担保権の処分と併せて「債権譲渡担保権の処分等」という。)の全部又は一部をすることができるものとするか、これらのうち一部をすることができるものとする場合、その範囲をどのように考えるかについては、引き続き検討する(注)。

(注)できるものとする範囲については、実務上のニーズや公示の観点から、引き続き検討する。

⑵ ⑴でできるものとされた債権譲渡担保権の処分等の対抗要件等については、次のとおりとする。

ア(ア) 債権譲渡担保権の処分は、債務者に当該処分を通知し、又は債務者がこれを承諾しなければ、これをもって債務者、保証人、担保権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができないものとする。

(イ) 債権譲渡担保権の処分は、登記をしなければ、これをもって第三債務者以外の第三者に対抗することができないものとする。

(ウ) 債権譲渡担保権の処分は、その登記がされたことについて第三債務者に登記事項証明書を交付しなければ、これをもって第三債務者に対抗することができないものとする。

(エ) 担保権者が数人のために債権譲渡担保権の処分をしたときにおける処分の利益を受ける者の権利の順位は、債権譲渡担保権の処分についての登記の前後によるものとする。

イ 債権譲渡担保権の順位の変更は、登記をし、かつ、その登記がされたことについて第三債務者に登記事項証明書を交付しなければ、その効力を生じないものとする。

(説明)

本文3⑴については、部会資料25 及び前回の議論内容を踏まえて独立して項目を設けることとした。また、⑵については、債権譲渡担保権の処分等の対抗要件等についての記載を本項に移すこととした。

第3 集合動産・集合債権を目的とする担保権の実体的効力の担保化

1 動産の集合体に対する新たな規定に係る動産担保権の設定の可能性

新たな規定に係る動産担保権は、種類、所在場所、量的範囲の指定その他の方法により特定された範囲(以下「特定範囲」という。)に属する動産の集合体(設定後に新たに動産がその集合体に加入(個別動産が特定範囲に新たに入ることをいう。)をすることが予定されているものを含む。)を一括して目的とすることができるものとする(注)。

(注)集合体として一括して担保権の目的となるためには、単に複数の動産によって構成されているだけでなく、経済的又は取引上の一体性など、一体として扱うことを正当化するための何らかの要件が扱われるための適格性に関する何らかの要件(経済的若しくは取引上の一体性又は「取引上の社会通念に照らし、構成部分が変動しても集合体としての同一性を維持して存続すると認められる」ことなど)を必要であるというとする考え方がある。

(説明)

部会資料25 及び前回の議論内容等を踏まえて表現を改めた。

2 集合動産を目的とする担保を設定した設定者の権限

新たな規定に係る動産担保権の目的物が特定範囲に属する動産の集合体であって、設定後に新たに動産がその集合体に加入することが予定されているもの(以下「集合動産」という。)である場合における設定者の処分権限や担保権者の権限について、次のような規定を設けるものとする。

⑴ 設定者は、通常の事業の範囲内で、集合動産の構成部分である動産について、担保権の負担のないものとしての処分をし、又は集合動産から逸出(特定範囲に含まれていた個別動産が、事実の問題として特定範囲から出ることをいう。)をさせる権限を有する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、その定めに従う。

 ⑵ 設定者が⑴の権限の範囲(以下「権限範囲」という。)を超えて集合動産の構成部分である動産について、担保権の負担のないものとしての処分をし、を処分し、又は逸出をさせるおそれがあるときは、担保権者は、その予防を請求することができる。

(説明)

部会資料25及び前回の議論内容等を踏まえて表現を改めた。

3 集合動産の構成部分である動産の設定者による処分

⑴ 設定者が、その権限範囲を超えて、集合動産の構成部分である動産を、担保権の負担のないものとしての処分をした場合に、当該処分を受けた者が、その動産が担保権の目的物であることを知らないで、かつ、知らないことに過失がなかったときには、民法第192 条の適用によって保護されるものとする(注1)。

⑵ 設定行為に設定者の処分権限について別段の定めがない場合において、設定者が、集合動産の構成部分である動産を、通常の事業の範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合には、当該処分を受けた者は、その処分が設定者の通常の事業の範囲に含まれると信じるについて正当な理由があるときは、その動産について担保権の負担のない権利を取得するものとする。

⑶ 設定行為に設定者の処分権限を制約する別段の定めがある場合において、設定者が、通常の事業の範囲内で、かつ、制約された権限範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合には、当該処分を受けた者は、制約された権限範囲を超えていることを知らなかったとき(注2)は、その動産について担保権の負担のない権利を取得するものとする(注3)。

⑷ 設定行為に設定者の処分権限を制約する別段の定めがある場合において、設定者が、通常の事業の範囲及び制約された権限範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合には、当該処分を受けた者は、設定者による当該処分が通常の事業の範囲に含まれると信じるについて正当な理由があり、かつ、制約された権限範囲を超えることを知らなかったとき(注2)は、その動産について担保権の負担のない権利を取得するものとする。

⑸ 設定行為に設定者の処分権限を拡大する別段の定めがある場合において、設定者が、通常の事業の範囲及び拡大された権限範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合には、当該処分を受けた者は、設定者による当該処分が通常の事業の範囲又はその拡大された権限範囲に含まれると信じるについて正当な理由があるときは、その動産についての担保権の負担のない権利を取得するものとする。

⑴ 設定者が、通常の事業の範囲内で、かつ、権限範囲を超えて、集合動産の構成部分である動産を処分した場合については、次のいずれかの案によるものとする。

【案3.3.1.1】 処分を受けた者は、その動産について権利を取得するものとする。

【案3.3.1.2】 処分を受けた者は、設定者による処分が権限範囲を超えていることを知らなかった場合には、その動産について権利を取得するものとする。

【案3.3.1.3】 処分を受けた者は、設定者による処分が権限範囲を超えていることを知らず、かつ、知らなかったことにつき過失がないときは、その動産について権利を取得するものとする。

⑵ 設定者が、権限範囲を超えて、かつ、通常の事業の範囲を超えて、集合動産の構成部分である動産を処分した場合については、次のいずれかの案によるものとする。

【案3.3.2.1】 処分を受けた者は、設定者による処分が通常の事業の範囲であると信じていた場合には、その動産についての権利を取得するものとする。

【案3.3.2.2】 規律を設けず、処分を受けた者は、即時取得が成立するときに限り、保護されるものとする。

⑹ 前記2⑴及び3並びに⑴から⑸まで及び⑵で処分を受けた者が集合動産の構成部分である動産について権利を取得しない場合に担保権者のとり得る手段については、引き続き検討する。

(注1)集合動産から逸出をした動産の処分については別異に考えるべきであるという考え方がある。

(注2)知らなかったことにつき過失がないことが必要であるという考え方、重過失がないことが必要であるという考え方がある。

(注3)相手方が権利を取得するために、目的物が集合物から逸出をすることが必要であるかどうかについては、引き続き検討する。

(説明)

1 前記2のとおり、集合動産を目的とする新たな規定に係る担保権の設定者は、原則として、通常の事業の範囲内又は当事者が定めた権限の範囲内で、構成部分である動産の処分権限を有する。本項の本文は、設定者がその範囲を超えて、担保権の負担がないものとして構成部分を処分した場合に、その相手方が担保権の負担のない権利を取得するかどうかについての規律を設けようとするものである。通常の事業の範囲や当事者が合意した権限範囲との関係で、行われた処分がどのように位置づけられるかについては、次のようなパターンが考えられる。

A:通常の事業の範囲に含まれているが、当事者が合意によって制約が加えられており、合意された権限範囲には入っていない。

B:通常の事業の範囲に含まれており、当事者間で合意された権限範囲にも含まれる。

C:通常の事業の範囲内に含まれていないが、当事者が権限範囲を拡大する方向で合意しており、合意された範囲に含まれている。

D:通常の事業の範囲に含まれておらず、当事者が合意した範囲にも含まれていない。

2 具体的な規律内容

本文⑴は、権限外で処分が行われた場合についての原則を明らかにしたものであり、設定者の権限を超えた処分がされた以上、原則として第三者は権利を取得することができないが、即時取得が成立する場合には第三者は担保権の負担のない権利を取得するというものである。

本文⑵は、設定者の処分権限について別段の定めがない場合(したがって、設定者が通常の事業の範囲内での処分権限を有する場合)に関するものである。この場合に、通常の事業の範囲を超えた処分(上図のC、D)がされたときでも、相手方がその処分が通常の事業の範囲内でされたと信じる正当な理由があるときは、相手方は担保権の負担のない権利を取得するとするものである。正当な理由があるときとは、そのように信じるについて過失がないという趣旨である。法律上のデフォルトルールとして、設定者が通常の事業の範囲内では処分権限を有することとされているため、権限内で処分がされたと過失なく信じた相手方を保護しようとするものである。

本文⑶は、当事者間で設定者の処分権限について別段の定めがされ、設定者が、通常の事業の範囲内よりも狭い範囲でのみ処分権限を有するとされた場合に関する規定であり、通常の事業の範囲内で、当事者が合意した権限を超えた処分がされた場合(A)を扱っている。

 通常の事業の範囲内では設定者は処分権限を有するのが原則であり、これに加えられた制約は第三者にとっては認識しにくいものであるから、当事者としては、その処分について設定者が権限を有すると信頼してもやむを得ない。そこで、この場合には、当事者の合意した権限を超えている場合でも、即時取得に必要な主観的要件を緩和して相手方を厚く保護することが考えられる。そこで、本文⑶では、当事者の合意によって制約された権限を超えていることについて相手方が善意でさえあれば、相手方は保護されることとしている。これに対しては、無過失が必要であるという見解や、無重過失が必要という見解も主張されているため、これらを(注)に記載している。

本文⑷も、本文⑶と同様に、当事者間で設定者の処分権限について別段の定めがされ、設定者が、通常の事業の範囲よりも狭い範囲でのみ処分権限を有するとされた場合に関する規通常の事業の範囲 当事者が合意した範囲A B CD定であり、通常の事業の範囲を超え、かつ、当事者が合意した権限を超えた処分がされた場合に関するもの(D)を扱っている。この場合、その処分が通常の事業の範囲内でされたと信じる正当な理由があるときは、相手方の信頼を保護してその処分が通常の事業の範囲内でされたのと同様に扱い(本文⑵と同様)、その上で、通常の事業の範囲というデフォルトルールに加えられた制約は相手方にとって認識しにくく、通常の事業の範囲内にあると正当に信頼した者は、合意による権限を超えていても相手方には処分権限があると信頼するのが通常であるから、本文⑶と同様に、合意による権限を超えていることについて善意でさえあれば、相手方を保護して担保権の負担のない権利を取得することとしている。

本文⑸は、本文⑶⑷とは逆に、設定者の処分権限を拡大する別段の定めがある場合についての規律であり、通常の事業の範囲及び拡大された権限範囲を超えた処分がされた場合に(D)、相手方が、設定者による当該処分が通常の事業の範囲又はその拡大された権限範囲のいずれかに含まれると信じるについて正当な理由があるときは、その信頼を保護しようとするものである。

4 集合債権を目的とする担保を設定した設定者の権限

⑴ 譲渡担保の目的債権が債権発生年月日の始期及び終期並びに債権発生原因等特定範囲によって特定され、特定された範囲に現に発生していない債権を含むもの(以下「集合債権」という。)である場合においては、設定者は、通常の事業の範囲内で、その特定された範囲に含まれる債権の取立て【、譲渡及び相殺、免除その他の債権を消滅させる行為】をする権限を有するものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときはその定めに従うものとする。

⑵ 設定者が⑴の権限の範囲を超えて取立て【、譲渡、免除等】をした場合の譲受人及び第三債務者の保護に関する特別の規定を設けないものとする。

(説明)

本文⑴の集合債権の要件について、表現ぶりを改めた。

なお、本文⑴の「取立て」には取立金を利用する権限まで含まれることについては、補足説明に明記する予定である。

5 担保価値維持義務・補充義務

前記2⑴及び4⑴に規定する場合について、担保価値維持義務や、特定された範囲に含まれる動産又は債権について担保権の負担のないものとしての処分が処分がされ、又は逸出をさせたときの補充義務に関する規定(注)を設けるか否かについて、引き続き検討する。

 (注)例えば、「新たな規定に係る動産担保権の目的財産が集合動産又は集合債権である場合には、正当な理由がある場合を除き、設定者は、通常の事業が継続されれば当該集合動産又は当該集合債権が有すると認められる価値を維持しなければならない」という趣旨の規定が考えられる。

(説明)

二読資料から変更はない。

6 集合動産を目的とする担保権における物上代位等

⑴ 新たな規定に係る動産担保権の目的物が集合動産である場合には、当該担保権は、設定者が通常の事業を継続している間は、特定範囲に含まれる動産の売買、滅失又は損傷によって設定者が受けるべき金銭その他の物に対し、行使することができないものとする。

⑵ 前記⑴につき、次のような例外を設けるかは、引き続き検討する。

ア 当事者が別段の合意をした場合

イ 権限範囲を超える処分がされた場合

⑶ 第三者が特定範囲に含まれる動産を滅失又は損傷させた場合における担保権者独自の損害賠償請求権については、特段の規定を設けないものとする。

(説明)

部会資料21から変更はない。

第4 新たな規定に係る動産担保権の対抗要件等

1 新たな規定に係る動産譲渡担保権(又は新たに創設する担保権。以下併せて「動産譲渡担保権等」という。)の対抗要件等(2の留保所有権の場合を除く。)

 ⑴ 新たな規定に係る動産譲渡担保権の対抗要件

ア 個別動産を目的とする新たな規定に係る動産譲渡担保権(以下「個別動産担保権」という。)の設定は、当該個別動産の引渡し(占有改定を含む。以下同じ。)がなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。

イ 集合動産を目的とする新たな規定に係る動産譲渡担保権(以下「集合動産担保権」という。)等(以下「集合動産譲渡担保権等」という。)の設定は、その構成部分であるとして現に存在する動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。この場合には、当該設定後に集合動産に加入した個別動産に及ぶ当該担保権の効力についても、第三者に対抗することができるものとする。

ウ 個別動産担保権又は集合動産担保権を目的とする動産譲渡担保権等の設定については、登記をすることができることとし、登記がされたときは、目的物である個別動産又は集合動産の構成部分であるとして現に存在する動産について引渡しがあったものとみなすものとする。

⑵ 新たな規定に係る動産譲渡担保権相互の優劣

ア 同一の個別動産又は集合動産ついて数個の個別動産譲渡担保権が設定されて競合したときは、その順位は、原則として、当該担保権について対抗要件を備えた時これをもって第三者に対抗することができるようになった時の前後によるものとする。

イ 同一の集合動産に数個の集合動産担保権が設定されて競合したとき(その一部が重なり合って競合する場合を含む。)は、その順位は、原則として、集合動産担保権について対抗要件を備えた時の前後による(注1)。

ウ 集合動産に一個の集合動産担保権が設定されており、その設定後に、個別動産担保権が設定された個別動産が加入したときは、集合動産担保権(が当該個別動産に及ぶ効力)と個別動産担保権との順位については、原則として、次のいずれかの案によるものとする。

【案 4.1.1】個別動産担保権について対抗要件を備えた時と集合動産担保権について対抗要件を備えた時の前後による。

【案4.1.2】個別動産担保権について対抗要件を備えた時と当該個別動産が集合動産に加入した時の前後による。

アからウまでにかかわらず、登記により対抗要件を備えた新たな規定に係る動産譲渡担保権は、占有改定により対抗要件を備えた新たな規定に係る動産譲渡担保権等に優先するものとする(注2)。

(注1)集合動産担保権の設定後に集合動産に加入した個別動産(加入時に、当該個別動産を目的とする個別動産担保権は設定されていない。)があるときであっても、集合動産担保権同士の競合が問題となる場面においては、設定後に加入した個別動産についても、その順位は、原則として、集合動産担保権について対抗要件を備えた時の前後による。

(注2)集合動産譲渡担保権に限ってエの規律を適用する考え方がある。

(説明)

部会資料 23 では、担保目的取引規律型及び担保物権創設型の双方を包含する形で「動産譲渡担保権等」と定義していたが、分かりにくさもあったことから、「新たな規定に係る動産担保権」とし、実質的ルールの異なる留保所有権の場合を除くこととした。

本文⑴イについては、集合動産の構成部分である個別動産が現には存在しないものの、近いうちに存在することとなるのが確実といえるような場合にも、集合動産を目的とする新たな規定に係る動産担保権の対抗要件を具備する余地を認めるべきとの意見があったことを踏まえて、「その構成部分である動産」という文言に修正することとした。また、本文⑴イについて、集合動産を目的とする新たな規定に係る動産担保権の設定についての第三者対抗要件の効力が、当該設定後に集合動産に加入した個別動産にも及ぶ旨を明記した。

本文⑵では、部会資料 25 及び前回の議論内容を踏まえて新たな規定に係る動産担保権が競合する場面とその規律を整理し、ウにおいて設定時説と加入時説を併記することとした。

2 留保所有権(又は新たに創設する担保権のうち目的物の売買代金債権のみを被担保債権とするもの。以下併せて「留保所有権等」という。)の対抗要件等

⑴ 留保所有権の対抗要件の要否

留保所有権を第三者に主張するために対抗要件を必要とするかどうかについては、次のとおりいずれかの案によるものとする。

ア 目的物の代金債権を担保する留保所有権(以下「狭義の留保所有権」という。)は、これを第三者に主張するために対抗要件を必要とするかどうかについては、次のいずれかの案によるものとする(注1、2)。

【案4.2.1.1】目的物の代金債権を担保する留保所有権(以下「狭義の留保所有権」という。)(又は新たに創設する担保権のうち目的物の売買代金債権のみを被担保債権とするもの。以下「狭義の留保所有権等」という。)は、これを第三者に主張するために、特段の要件を必要としないものとする(注31、2)。

【案4.2.1.2】狭義の留保所有権等を含む)留保所有権等は、その動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。

イ (目的物の代金債権及び)目的物の代金債権(注1)以外の債権を担保する留保所有権(以下「拡大された留保所有権」という。)は、その動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする(注2)。

(注1)動産を購入するための資金の融資に基づく債権など、目的物である動産と密接な関連性を有する一定の債権を被担保債権とする留保所有権についても、狭義の留保所有権に含める等と取り扱う考え方がある。これに関連して、このような密接な関連性を有する一定の債権を被担保債権とする動産譲渡担保権が設定された場合には、当該動産譲渡担保権についても、狭義の留保所有権と同様に取り扱う考え方がある。

担保物権創設型によると、目的物の代金債権【及び上記債権】を担保する新たな規定に係る動産担保権について、狭義の留保所有権と同様に取り扱うことが考えられる。

(注2)担保目的取引規律型による場合には、狭義の留保所有権以外の留保所有権(以下「拡大された留保所有権」という。)は、動産譲渡担保権等と同様に取り扱うものとする。

(注2)留保所有権については、登記できるとすることが考えられる。

(注3)【案4.2.1.1】によっても、(代位弁済等により)目的物の売主以外の者が狭義の留保所有権を有する場合には、その動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする考え方がある。

 ⑵ 留保所有権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係

【案4.2.2.1】狭義の留保所有権等は、他の新たな規定に係る動産担保権に当然に優先するものとする(【案4.2.1.1】を前提とする。)。

【案4.2.2.2】留保所有権等と競合する他の新たな規定に係る動産担保権との優劣は、これをもって第三者に対抗することができるようになった時の前後によるものとする(【案30 4.2.1.2】を前提とする。)。

ア 【案4.2.2.3】留保所有権と競合する他の新たな規定に係る動産担保権との優劣は、留保所有権が目的物の代金債権以外の債権を担保する限度では、原則として、これをもって第三者に対抗することができるようになった時の前後によるものとする(注4)。

イ ただし、留保所有権は、【【案 4.2.1.2】によると引渡しがされていることを前提として、】等がその目的物の代金債権を担保する限度では、他の競合する新たな規定に係る動産担保権に当然に優先するものとする(注5、6)(【案4.2.1.2】を前提とする。)(注3、4)。

(注4)この場合には、前記1⑵エと同様のルール(登記優先ルール)を採用することが考えられる。

(注5)なお、拡大された留保所有権について、目的物の代金債権を担保する部分と目的物の代金債権以外の債権を担保する部分がある場合には、これと競合する他の新たな規定に係る動産担保権との優劣は、本文⑵イにより目的物の売買代金を担保する限度では拡大された留保所有権が優先し、それ以外の部分については、原則として、それぞれが対抗要件を具備した時の前後による

ものとなる。

(注6)他の新たな規定に係る動産担保権に優先するための要件として、一定期間内に登記を備えることを求める考え方がある。

(注3)【案4.2.2.3】を採る場合には、留保所有権等がその目的物の代金債権を担保する限度で競合する新たな規定に係る動産担保権に優先するためには、留保所有権等について第三者対抗要件を備えていることが必要(ただし、競合する他の担保権の対抗要件具備より後でもよい。)となる。

(注4)【案4.2.2.3】を採る場合には、拡大された留保所有権と競合する他の新たな規定に係る動産担保権との優劣は、本文⑵により目的物の売買代金を担保する限度では留保所有権が優先し、それ以外の部分については、原則として、それぞれが対抗要件を具備した時の前後によるものとなる。【案4.2.2.1】を採る場合の拡大された留保所有権の取扱いも、同様とすることが考えられる。

(説明)

留保所有権の登記できる範囲を明確化するなどの表現の見直しを行ったほか、部会資料から実質的変更はない。なお、狭義の留保所有権について登記を要求する意見があったが、(注6)の記載で足りるものと考えられ、特段の追記は行っていない。

3 新たな規定に係る動産担保権の処分等の対抗要件等

⑴ア 新たな規定に係る動産担保権の処分は、債務者に当該処分を通知し、又は債務者がこれを承諾しなければ、これをもって債務者、保証人、担保権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができないものとする。

イ 新たな規定に係る動産担保権の処分は、登記をしなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。

ウ 担保権者が数人のために新たな規定に係る動産担保権の処分をしたときにおける処分の利益を受ける者の権利の順位は、新たな規定に係る動産担保権の処分についての登記の前後によるものとする。

⑵ 新たな規定に係る動産担保権の順位の変更は、登記をしなければ、その効力を生じないものとする。

(説明)

実体的効力に項目を移すこととした。

第5 新たな規定に係る動産担保権と他の担保物権との優劣関係

1 動産質権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係

⑴ 動産質権と新たな規定に係る動産担保権とが競合する場合は、動産質権については設定時(引渡時)を基準とし、新たな規定に係る動産担保権については第三者に対抗することができるようになった時を基準とし、優劣はその前後によるものとする。

⑵ 動産質権と留保所有権とが競合する場合は、動産質権については設定時(引渡時)を基準とし、第4の2⑵と同様に取り扱うこととする。

⑵ 狭義の留保所有権は、その目的物の代金債権を担保する限度では、特段の要件なくして競合する動産質権に優先するものとする。

2 先取特権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係

⑴ 先取特権と新たな規定に係る動産担保権は競合するものとし、その優劣関係については新たな規定に係る担保権を民法第330 条に規定する第1順位の先取特権と同一の効力を有するものと取り扱うものとする。

⑵ 新たな規定に係る動産担保権者については、民法第330 条第2項前段の規定を適用しないこととし、担保権設定時に第2順位又は第3順位の先取特権者があることを知っていたとしても、これらの者に対して優先権を行使できるものとする(注)。

(注)動産質権についても、民法第330 条第2項前段の規定を適用しないようにすることが考えられる。

3 一般先取特権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係

雇用関係の先取特権を含む一般先取特権に、新たな規定に係る動産担保権に対する一定の優先権を認めるかについては、担保法制全体に与える影響も考慮しつつ、新たな規定に係る動産担保権に優先し得る一般先取特権の範囲(雇用関係の先取特権に限るか、その他の一般先取特権にも優先権を認めるか)、新たな規定に係る動産担保権の範囲(その目的物の性質等によって区別するか)、優先権の具体的な内容、優先権を行使するための要件等を引き続き検討する。

(説明)

本文1⑵については、動産質権と留保所有権とが競合する場合の優劣関係の基準については、新たな規定に係る動産担保権と留保所有権とが競合する場合と同様に取り扱うべきことを明記した。その他は部会資料23から変更はない。

第6 債権譲渡担保権の対抗要件等の在り方

1 債権譲渡担保権の対抗要件等

⑴ア 債権を目的とする譲渡担保権(以下「債権譲渡担保権」という。)の設定は、設定者から第三債務者に対する通知又は第三債務者の承諾(以下「通知又は承諾」という。)がなければ、これをもって第三債務者に対抗することができないものとする。

イ 債権譲渡担保権の設定は、確定日付のある証書による通知又は承諾がなければ、これをもって第三債務者以外の第三者に対抗することができないものとする。

⑵ア 債権譲渡担保権の設定については、登記をすることができることとし、登記がされたときは、第三債務者以外の第三者については、確定日付のある証書による通知があったものとみなすものとする。

イ 債権譲渡担保権の設定の登記がされたことについて設定者又は担保権者が第三債務者に登記事項証明書を交付して通知をし、又は当該第三債務者が承諾をしたときは、当該第三債務者についても、確定日付のある証書による通知があったものとみなすものとする。

2 債権譲渡担保権相互の優劣関係

⑴ 同一の債権について数個の債権譲渡担保権が設定されたときは、その順位は、原則として、これをもって第三者に対抗することができるようになった時の前後によるものとする。

⑵ 登記により対抗要件を備えた債権譲渡担保権と、通知又は承諾により対抗要件を備えた債権譲渡担保権との優劣関係について、特別の規定を設けないものとする(注)。

(注)登記により対抗要件を備えた債権譲渡担保権は、通知又は承諾により対抗要件を備えた債権譲渡担保権に優先するものとする考え方がある。

 3 一般先取特権と債権譲渡担保権との優劣関係

雇用関係の先取特権を含む一般先取特権に、債権譲渡担保権に対する一定の優先権を認めるかについては、第5の3と同様に、引き続き検討する。

3 債権譲渡担保権の処分等の対抗要件等

⑴ア 債権譲渡担保権の処分は、債務者に当該処分を通知し、又は債務者がこれを承諾しなければ、これをもって債務者、保証人、担保権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができないものとする。

イ 債権譲渡担保権の処分は、登記をしなければ、これをもって第三債務者以外の第三者に対抗することができないものとする。

ウ 債権譲渡担保権の処分は、その登記がされたことについて第三債務者に登記事項証明書を交付しなければ、これをもって第三債務者に対抗することができないものとする。

エ 担保権者が数人のために債権譲渡担保権の処分をしたときにおける処分の利益を受ける者の権利の順位は、債権譲渡担保権の処分についての登記の前後によるものとする。

⑵ 債権譲渡担保権の順位の変更は、登記をし、かつ、その登記がされたことについて第三債務者に登記事項証明書を交付しなければ、その効力を生じないものとする。

(説明)

本文2について、債権譲渡担保権についても登記優先ルールを採用する考え方があることを(注)に記載した。

また、本文3について、一般先取特権と債権譲渡担保権との優劣関係の問題を引き続き検討する旨を明記することとした。

なお、債権譲渡担保権の処分等の対抗要件等については、実体的効力に項目を移している。

第7 動産・債権譲渡登記制度の見直し

1 同一の動産又は債権を目的とする新たな規定に係る担保権に関する権利関係を一覧的に公示する仕組みの導入の要否

【案 7.1.1】同一の動産又は債権を目的とする新たな規定に係る担保権に関する権利関係を一覧的に公示させる仕組みは、設けないものとする。

【案7.1.2】新たに関連担保目録制度を導入し、同一の動産又は債権を目的とする新たな規定に係る担保権に関する権利関係を関連担保目録にできる限り一覧的に公示させるものとする。

2 新たな規定に係る担保権の処分等を登記できるようにすることの要否及びその範囲並びにその公示方法

新たな規定に係る動産担保権の処分、新たな規定に係る動産担保権の順位の変更、債権譲渡担保権の処分及び債権譲渡担保権の順位の変更(以下「新たな規定に係る担保権の処分等」という。)を登記できるようにすることの要否及びその範囲について、実務上のニーズや公示の分かりやすさの観点等を踏まえて、引き続き検討する。その上で、登記できるとされた新たな規定に係る担保権の処分等の公示方法については、以下のとおりとする。

【案7.2.1】新たな規定に係る担保権の処分等に関する登記を、例えば個々の動産・債権譲渡登記に付記するような形でできるものとする(【案7.1.1】を前提とする。)。

【案7.2.2】関連担保目録に登記された動産・債権譲渡登記に係る新たな規定に係る担保権の処分等のみを登記できることとし、当該新たな規定に係る担保権の処分等に関する登記は関連担保目録上に行うものとする(【案7.1.2】を前提とする。)。

3 登記をすることができる動産若しくは債権の譲渡人又は新たな規定に係る担保権の設定者の範囲登記をすることができる動産若しくは債権の譲渡人又は新たな規定に係る担保権の設定者の範囲を、商号の登記をした商人にも拡大することについて、引き続き検討する。

(説明)

部会資料23 から変更はない。なお、登記手続に関するより詳しい説明は、補足説明に明記する予定である。

加工 担保法制部会資料25 担保法制の見直しに関する中間試案のための検討メモ

https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00167.html

1 新たな規定に係る担保権の処分等について(部会資料21 第1の6⑵及び⑶、第2の1に5 ついて)

部会資料21 の第1の6⑵及び⑶に、以下の案を併記することについて、どう考えるか。

新たな規定に係る担保権についての転担保、順位の変更、担保権の譲渡・放棄及び順位の譲渡・放棄については、その一部に限ってできるものとする(注)。

(注)できるものとする範囲については、実務上のニーズや公示の観点から、引き続き検討する。

(説明)

部会資料23 では、登記することができる新たな規定に係る担保権の処分等について、公示の分かりやすさの観点から、一部のものに限定する案を示した(部会資料23 第7の(説明)3参照)。また、電子記録債権法(平成19 年法律第102 号)は、電子記録債権を目的とする質権について、順位の変更(同法第39条)及び転質(同法第40条)のみを認めており、質権又はその順位の譲渡又は放棄を認めていない(同法第36 条において民法の規定が準用されていない)。これらを踏まえると、実体法上、新たな規定に係る担保権の処分等をすることができるものとするかどうかについても、その一部に限ってできるものとする案を設けることとするのが相当と考えられるため、これを併記することを提案するものである。

なお、できるものとするか否かについては、

①実務上のニーズがあるか(例えば、ニーズがあると指摘されているものとして、順位の変更など)

②(物的に編成されていない動産・債権譲渡登記においても)公示を適切に行うことができるか(公示を比較的適切に行えると考えられるものとして、例えば、転担保、担保権の譲渡・放棄(=他の担保権の存在が問題とならない担保権の処分))などを参考に検討することが考えられる。

根担保権の元本の確定前に根担保権者又は債務者について相続があった場合について(部会資料21 第1の9⑷ア、第2の1について)

部会資料21の第1の9⑷アに、以下の案を併記することについて、どう考えるか。

根担保権者又は債務者について相続が開始したときは、担保すべき元本は、確定するものとする。

(説明)

部会資料 21 の第1の9⑷アでは、根担保権者又は債務者について相続があった場合について、根抵当権と同様に、相続の開始後6か月以内に合意の登記がされた場合に限り、相続人が相続の開始後に取得する債権/債務を担保することを提案していた。しかし、動産・債権譲渡登記においては、債務者は登記事項とされていない上、登記できる譲渡人も(商号登記をした商人に拡大しない限りは)法人に限られるため、債務者について相続があった場合を念頭において合意の登記のような制度を設ける必要性は乏しいと考えられる。また、自然人である根担保権者又は債務者の相続人との間の新たな債権を根担保権によって担保しなければならない必要性は高くないと考えられる。加えて、「合意の登記」のようなものを動産・債権譲渡登記に設けることにより、公示が分かりにくくなるおそれもある。

以上を踏まえると、端的に、根担保権者又は債務者について相続が開始したことを元本確定事由とすることも考えられることから、これを併記することを提案するものである。

関連 民法398条の8、398条の10。昭和46年10月4日付け民事甲第3220号民事局長通達、昭和46年12月27日付け民事三発第960号民事局第三課長依命通知。登記研究312号P43からP47、319号P50、369号P81、370号P72、533号P156、559号P152、649号P195、795号P104。

3 集合動産を構成する動産の「逸出・加入」及び「処分」の概念等について(部会資料21 第3の1から3までについて)部会資料21 第3の1及び2の「加入」とは、「個別動産が、種類、所在場所、量的範囲の指定その他の方法により特定された集合体の範囲(以下「特定範囲」という。)に新たに入ること」をいい、同2の「逸出」とは、集合物を目的とする担保権が及ばなくなるという法的な効果をいうものではなく、「集合体の特定範囲に含まれていた個別動産が、事実の問題として特定範囲から出ること」という趣旨で用いているが、そのような理解でよいか。また、これらの趣旨を表す文言としてよりよいものはあるか。

また、同2及び3の「処分」を「担保権の負担のないものとしての処分」と改めた上で、これを「集合動産の構成部分である個別動産の所有権を、新たな規定に係る担保権の負担がないものとして第三者に移転させること」をいうものと考えて良いか。

(説明)

部会資料21 の第3の1から3までの「逸出・加入」及び「処分」の概念について、集合動産に関する論点を検討する前提として、その意味内容についての認識を共有しようとするものである。なお、「逸出・加入」の用語については、集合動産の特定に当たり、場所的要件を不要とする、又は柔軟化する考え方によると、必ずしも当てはまらない場合もあり得るが、分かりやすさの観点から、「逸出・加入」に統一することとしている。また、「処分」については、分かりやすさの観点から「担保権の負担のないものとしての処分」という名称に改め、その意味内容を明記している。いずれも他の論点を議論する前提として認識を共有する趣旨で記載したものである。

4 集合動産の構成部分である動産を設定者が処分した場合における第三者保護(部会資料21第3の3⑴及び⑵について)

部会資料 21 第3の3⑴及び⑵の記載を、次のとおり修正することについて、どう考えるか。

⑴ 設定行為に設定者の処分権限を制約する別段の定めがある場合において、設定者が、通常の事業の範囲内で、かつ、制約された権限範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合には、当該処分を受けた者は、制約された権限範囲を超えていることを知らなかったときに限り、その動産について権利を取得するものとする(注1)。

(注1)これに加えて、知らなかったことにつき過失がないことを求める考え方がある。

⑵ 設定者が、通常の事業の範囲及び権限範囲を超えて、担保権の負担のないものとして処分をした場合については、当該処分を受けた者は、設定者による当該処分が通常の事業の範囲であると信じていた場合には、その動産についての権利を取得するものとする(注2)。

(注2)この場合において、当該処分を受けた者が、設定者による当該処分が通常の事業の範囲であるとは信じていなかったとき(例えば、設定者による処分は通常の事業の範囲を超えているが、拡大された権限範囲内であると信じていたときや、そもそも集合動産譲渡担保権等が設定されていたことを知らなかったときなど)は、即時取得が成立するときに限り、保護されることになると考えられる。

(説明)

⑴について、ここで問題となる別段の定めを「処分権限を制約する別段の定め(処分権限をデフォルトルールから狭める定め)」に限定することを明記している。なお、部会資料21では、「処分を受けた者は、その動産について権利を取得するものとする」案(部会資料 21の【案 3.3.1.1】)や、「処分を受けた者は、設定者による処分が権限範囲を超えていることを知らず、かつ、知らなかったことにつき過失がないときは、その動産について権利を取得するものとする」案(部会資料21 の【案 3.3.1.3】)を併記していたが、第13 回部会の議論では、「処分を受けた者は、設定者による処分が権限範囲を超えていることを知らなかった場合には、その動産について権利を取得するものとする」案(部会資料21の【案 3.3.1.2】)に支持が多かったことから、これを本文に記載することとし、部会資料21 の【案 3.3.1.3】を(注)に記載することとした。なお、「処分を受けた者は、その動産について権利を取得するものとする」案(部会資料21 の【案 3.3.1.1】)については、悪意の者を保護すべき実質的理由もないことから、本文には記載しないこととした。以上の整理について、どう考えるか。

 ⑵について、当該処分を受けた者の主観に応じて第三者保護の規律を分けることを提案している。すなわち、設定者が、通常の事業の範囲及び権限範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合については、当該処分を受けた者は、設定者による当該処分が通常の事業の範囲であると信じていた場合には、その動産についての権利を取得するものとし(この場合には、即時取得の要件を緩めることになる。)、それ以外の場合(例えば、設定者による処分は通常の事業の範囲を超えているが、拡大された権限範囲内であると信じていたときや、そもそも集合動産譲渡担保権等が設定されていたことを知らなかったときなど)については、原則どおり即時取得の規律によることになると考えられる。

このような整理が適当かについて、御意見を伺いたい。

5 動産譲渡担保権等相互の優劣について(部会資料23の第4の1⑵について)

次の⑴及び⑵を前提として、⑶の場合の規律について、どう考えるか。

⑴ 同一の個別動産に数個の個別動産譲渡担保権等が設定されて競合したときは、その順位は、原則として、個別動産譲渡担保権等について対抗要件を備えた時の前後による。

※いわゆる登記優先ルールの適用あり。

⑵ 同一の集合動産に数個の集合動産譲渡担保権等が設定されて競合したとき(その一部が重なり合って競合する場合を含む。)は、その順位は、原則として、集合動産譲渡担保権等について対抗要件を備えた時の前後による。

この場合において、集合動産譲渡担保権等の設定に集合動産に加入した個別動産(加入時に、当該個別動産を目的とする動産譲渡担5 保権等は設定されていない。)があるときであって、集合動産譲渡担保権等同士の競合が問題となる場面においては、設定後に加入した個別動産について、その順位は、原則として、集合動産譲渡担保権等について対抗要件を備えた時の前後による。

※いわゆる登記優先ルールの適用あり(登記優先ルールの適用範囲をこの場面に限定する考え方がある。)。

⑶ 集合動産に一個の集合動産譲渡担保権等が設定されており、その設定後に、個別動産譲渡担保権等が設定された個別動産が加入したときは、集合動産譲渡担保権等(が当該個別動産に及ぶ効力)と個別動産譲渡担保権等との順位は、次のいずれの立場によって決するのが相当と考えるか。

【甲案】個別動産譲渡担保権等について対抗要件を備えた時と集合動産譲渡担保権等について対抗要件を備えた時の前後による(設定時説)。

【乙案】個別動産譲渡担保権等について対抗要件を備えた時と当該個別動産が集合動産に加入した時の前後による(加入時説)。

※いわゆる登記優先ルールの適用あり

(説明)

前回の部会では、個別動産譲渡担保権等が設定された個別動産が集合動産譲渡担保権等が設定された集合動産に加入した場合の優劣の基準について議論が行われたが、いわゆる加入時説と設定時説の対立が問題となる場面設定をより明確にした上で、改めて問題提起するものである。

まず、

①個別動産譲渡担保権等と個別動産譲渡担保権等が競合する場合

②集合動産譲渡担保権等と集合動産譲渡担保権等が競合する場合

について、原則として対抗要件具備の先後により順位を決することに争いはない。なお、集合動産譲渡担保権等の設定後に(個別動産譲渡担保権等が設定されていない)個別動産が加入した場合であっても、集合動産譲渡担保権等同士の競合が問題となる場面では、設定後に加入した個別動産を含めて、上記②と同様の規律により順位を決すべきことになる(この場面で設定時説と加入時説の対立が問題となるわけではない。)。

これに対し、③個別動産譲渡担保権等と集合動産譲渡担保権等が競合する場合

すなわち、個別動産譲渡担保権等が設定された個別動産が、集合動産譲渡担保権等が設定された集合動産に加入した場合には、設定時説と加入時説の対立が問題となる。上記を前提に、設定時説と加入時説のいずれを採用すべきと考えるか。

なお、登記優先ルールは、上記①から③までのいずれについても適用されることになると考えられる(登記優先ルールの適用範囲を限定する立場によれば、上記②の場合に限って適用されることになる。)。

6 留保所有権の対抗要件等(部会資料23 の第4の2について)

部会資料23 の第4の2の記載を、分かりやすさの観点から、次のとおり修正することについて、どう考えるか。

2 留保所有権の対抗要件等 ※以下では留保所有権の対抗要件等に関する実質的規律について記載するものであり、担保目的取引規律型又は担保物権創設型の立場から厳密な記載を行うものではない。

 ⑴ 留保所有権の対抗要件の要否

ア 目的物の代金債権を担保する留保所有権(以下「狭義の留保所有権」という。)は、これを第三者に主張するために対抗要件を必要とするかどうかについては、次のいずれかの案によるものとする(注1)。

【案4.2.1.1】狭義の留保所有権は、これを第三者に主張するために、特段の要件を必要としないものとする(注2)。

【案4.2.1.2】狭義の留保所有権は、その動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。

イ (目的物の代金債権及び)目的物の代金債権(注1)以外の債権を担保する留保所有権(以下「拡大された留保所有権」という。)は、その動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする(注3)。

(注1)動産を購入するための資金の融資に基づく債権など、目的物である動産と密接な関連性を有する一定の債権を担保する留保所有権についても、狭義の留保所有権に含める考え方がある。

これに関連して、このような密接な関連性を有する一定の債権を被担保債権とする動産譲渡担保権等が設定された場合には、当該動産譲渡担保権等についても、狭義の留保所有権と同様に取り扱う考え方がある。

(注2)【案4.2.1.1】によっても、(代位弁済等により)目的物の売主以外の者が狭義の留保所有権を有する場合には、その動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする考え方がある。

(注3)留保所有権についても、登記できるとすることが考えられる。

⑵ 留保所有権等と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係

ア 留保所有権と競合する他の新たな規定に係る動産担保権との優劣は、留保所有権が目的物の代金債権以外の債権を担保する限度では、これをもって第三者に対抗することができるようになった時の前後によるものとする(注4)。

イ 留保所有権は、【案4.2.1.2 によると引渡しがされていることを前提として、】目的物の代金債権を担保する限度では、他の新たな規定に係る動産担保権に当然に優先するものとする(注5、6)。

(注4)この場合には、前記4の1⑵ウと同様のルール(登記優先ルール)を採用することが考えられる。

(注5)なお、拡大された留保所有権について、目的物の代金債権を担保する部分と目的物の代金債権以外の債権を担保する部分がある場合には、これと競合する他の新たな規定に係る動産担保権との優劣は、本文⑵イにより目的物の売買代金を担保する限度では拡大された留保所有権が優先し、それ以外の部分については、原則として、それぞれが対抗要件を具備した時の前後によるものとなる。

(注6)他の新たな規定に係る動産担保権に優先するための要件として、一定期間内に登記を備えることを求める考え方がある。

(説明)

留保所有権の対抗要件等について、分かりやすさの観点から、表現振りを修正したものである(担保目的取引規律型又は担保物権創設型からの厳密な記載ではなく、実質的な規律内容を記載することとした。)。

実質的な規律内容に変更がある点として、(注2)で代位弁済等により目的物の売主以外の者が狭義の留保所有権を有する場合に対抗要件の要否についての規律を変える考え方があることを明記した。また、部会資料23 の【案4.2.2.2】では、前記の「加入時説」と採ることを前提に、留保所有権が目的物の代金債権を担保する限度であっても、当然には優先しない(原則どおり、対抗要件の先後による)案も提示していたが、当然に優先する立場を支持する意見が多かったことから、これを本文から削ることとしている。

なお、(注6)として、他の新たな規定に係る動産担保権に優先するための要件として、一定期間内に登記を備えることを求める考え方を明記することについて、どう考えるか。

〇〇県〇〇市〇〇町1-1-1全部事項証明書: The certification of all recording matters. (土地):The land.
表題部:The heading section.
(土地の表示):The description of the land. 調整
: The prepared. 令和〇〇年〇月〇日
: The prepared date. 不動産番号
: The real property number. 12345567890123
地図番号
: The map number. A11―1 筆界特定
: The parcel boundary demarcation.       余白:The blank.
【所在】
: The location. 〇〇県〇〇市〇〇町〇〇  余白: The blank
①地 番
: The parcel number.
②地 目
:The land category
(current state of the Land) ③地  積 ㎡
:The parcel area (area of the Land) 原因及びその日付
: The cause for recording and date thereof.
【登記の日付】:The recording date.
9999番3 宅地
: The presidential land.     :100.00㎡ ①9999番1から分筆
: Subdivision of the Parcel Number.9999-1.
【令和〇〇年〇月〇日】
所有者:
The owner.
〇〇市〇〇丁目〇番〇号 E: The name and address of Owner.

 権 利 部(乙区): The rights section (The section B).(所有権以外の権利に関する事項): Matters concerning the owner.
順位番号
: The rank number. 登記の目的
: The purpose of recording. 受付年月日・受付番号
: The recording date and number. 【権利者その他の事項】
: The holder of rights and other particulars.

付記1号

付記2号 根抵当権設定
: The revolving mortgage.
令和〇〇年〇月〇日
第〇〇〇〇号 略
the scope of claims to be secured and the maximum amount;
債務者: The name and address of obligor .
○○県〇〇市〇〇丁目〇番〇号:
E
根抵当権者:The name and address of obligor .
○○県〇〇市〇〇丁目〇番〇号:
A銀行
1番根抵当権変更
:The modification of revolving mortgage No. 1. 令和〇〇年〇月〇日
第〇〇〇〇号 原因:
When and for what cause obligor was acquired.
令和○年〇月〇日相続: The Inheritance date.
債務者:The names and addresses of debtor’s heirs
○○県〇〇市〇〇丁目〇番〇号:B
○○県〇〇市〇〇丁目〇番〇号:C.
1番根抵当権変更
:The modification of revolving mortgage No. 1. 令和〇〇年〇月〇日
第〇〇〇〇号 原因The date of agreement.
令和○年〇月〇日合意
指定債務者 B
※下線のあるものは抹消事項であることを示す。
The underlines indicate delated matters. The filing Number:00000000000 (1/1)                  

これは登記記録に記録されている事項の全部を証明した書面である。
: This document evidences all of the entries made in the registry.

(〇〇地方法務局管轄)〇〇Legal Affairs Bureau.

〇〇年〇〇月〇〇日 Date
〇〇Legal Affairs Bureau   登記官 〇〇  Registrar’s name: 〇〇

※下線のあるものは抹消事項であることを示す。
Underlines indicate delated matters. Filing Number:00000000000 (1/1)                   

加工担保法制の見直しに関する中間試案(案)

https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00173.html

加工

担保法制部会資料 27

目次

(前注) …………………………. 5

第1章 担保権の効力 ………………..  6

第1 個別動産を目的財産とする新たな規定に係る動産担保権の実体的効力 .6

1 担保権の効力の及ぶ範囲 ………………… 6

2 果実に対する担保権の効力 ……………….. 6

3 被担保債権の範囲 ………………………. 6

4 担保の目的物の使用収益権限…………….. 6

5 使用収益以外の設定者の権限 …………….. 6

6 担保権者の権限 …………………………. 7

7 物上代位 ………………………………. 8

8 その他 ………………………………… 8

9 根担保権 …………………. 8

第2 個別債権を目的財産とする譲渡担保の実体的効力 ………. 10

第3 集合動産・集合債権を目的とする担保権の実体的効力 ……. 11

1 動産の集合体に対する新たな規定に係る動産担保権の設定の可能性 …. 11

2 集合動産を目的とする担保を設定した設定者の権限 ………… 11

3 集合動産の構成部分である動産の設定者による処分 ……….11

4 集合債権を目的とする担保を設定した設定者の権限 ……….12

5 担保価値維持義務・補充義務 ……………………12

6 集合動産を目的とする担保権における物上代位等 ………….13

第2章 担保権の対抗要件及び優劣関係 ……………… 13

第4 新たな規定に係る動産担保権の対抗要件等 ………….13

1 新たな規定に係る動産担保権の対抗要件等(2の留保所有権の場合を除く。) … 13

2 留保所有権の対抗要件等 ……………………… 14

第5 新たな規定に係る動産担保権と他の担保物権との優劣関係 ………. 15

1 動産質権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係 …………. 15

2 先取特権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係 ………. 15

3 一般先取特権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係 …….15

第6 債権譲渡担保権の対抗要件等の在り方 ……………….. 16

1 債権譲渡担保権の対抗要件等 …………………… 16

2 債権譲渡担保権相互の優劣関係 ………………………….. 16

3 一般先取特権と債権譲渡担保権との優劣関係 …………………… 16

第7 動産・債権譲渡登記制度の見直し ……………………….. 16

第3章 担保権の実行 ……………………………………. 17

第8 新たな規定に係る担保権の実行方法 ……………………. 17

1 新たな規定に係る担保権の各種の実行方法 …………………… 17

2 新たな規定に係る担保権の私的実行における担保権者の処分権限及び実行通知の要否 ………………………….. 17

3 帰属清算方式による新たな規定に係る担保権の実行手続等 ………. 18

4 処分清算方式による新たな規定に係る担保権の実行手続等 ……….. 19

第9 新たな規定に係る担保権の目的物の評価・処分又は引渡しのための担保権者の権限及び手続 …………………. 20

1 評価・処分に必要な行為の受忍義務 ……………… 20

2 実行完了前の保全処分 …………………….. 20

3 簡易迅速な目的物の引渡しを実現する方法 ………………. 20

 4 実行終了後に目的物の引渡しを実現する方法 ……………….. 20

第10 同一の動産に複数の新たな規定に係る担保権が設定された場合の取扱い … 20

1 劣後担保権者による私的実行の可否及び要件 ………….. 20

2 優先担保権者の同意なくされた劣後担保権者による私的実行の効果 …. 21

3 新たな規定に係る担保権の私的実行に当たっての他の担保権者への通知 ……. 21

4 担保権者間の分配方法についての合意内容の通知 …………. 21

第11 集合動産を目的とする担保権の実行について …………… 22

1 集合動産を目的とする担保権の実行の手続 ………………. 22

2 実行後に特定範囲に加入した動産に対する再度実行の可否 ……… 22

3 集合動産の一部について実行がされた場合に固定化が生じる範囲….. 22

第12 新たな規定に係る担保権の競売手続による実行等について…….. 22

第13 質権の実行方法に関する見直しの要否 …………………… 23

第14 所有権留保売買による留保所有権の実行 ……………….. 23

第15 債権を目的とする担保権の実行 ……………………….. 23

1 債権譲渡担保権者による債権の取立て ……………………. 23

2 債権質権者及び債権譲渡担保権者の取立権限及び実行通知の要否…… 24

3 担保の目的財産が金銭債権である場合に担保権者が取り立てることができる範囲 24

4 担保の目的である金銭債権の弁済期が被担保債権の弁済期前に到来した場合に、担保権者が請求することができる内容 …………………. 24

5 担保の目的財産が非金銭債権である場合の実行方法 ………….. 25

6 直接の取立て以外の実行方法 …………………………. 25

7 集合債権を目的とする担保の実行 ………………………. 25

第4章 担保権の倒産手続における取扱い ………………….. 25

第16 別除権としての取扱い ……………………… 25

第17 担保権実行手続中止命令に関する規律 ……………………. 25

1 担保権実行手続中止命令の適用の有無 ………………………. 25

2 担保権実行手続禁止命令 ……………………………. 26

3 担保権実行手続中止命令等を発令することができる時期の終期 ……… 26

4 担保権者の利益を保護するための手段 …………………… 26

5 審尋の要否 …………………………………….. 26

6 担保権実行手続中止命令等が発令された場合の弁済の効力 ………… 27

7 担保権実行手続取消命令 …………………… 27

第18 倒産手続開始申立特約の効力 ………………………. 28

第19 倒産手続開始後に生じ、又は取得した財産に対する担保権の効力 …. 28

1 倒産手続の開始後に生じた債権に対する担保権の効力 ………… 28

2 倒産手続の開始後に取得した動産に対する担保権の効力 ………… 28

第20 担保権の実行がされた担保目的財産に係る費用の負担 ……….. 29

第21 否認 ………………………………………. 29

第22 担保権消滅許可制度の適用 …………………………. 30

1 破産法上の担保権消滅許可制度の適用 ………………….. 30

2 民事再生法及び会社更生法上の担保権消滅許可制度の適用 …….. 30

第5章 その他 ……………………………… 30

第23 事業担保制度の導入に関する総論的な検討課題 …………. 30

1 事業担保制度導入の是非 …………………………….. 30

2 事業担保権を利用することができる者の範囲 ………………. 31

3 事業担保権の対象となる財産の範囲 ……………………. 31

第24 事業担保権の効力 …………………………….. 31

1 事業担保権の設定 ……………………………….. 31

2 事業担保権の対抗要件及び他の担保権との優劣関係 …………. 31

3 事業担保権の優先弁済権の範囲(一般債権者に対する優先の範囲) …. 31

4 事業担保権設定者の処分権限 ………………. 32

5 一般債権者が差し押さえた場合の担保権者の保護 …………… 32

第25 事業担保権の実行 ………………………… 32

1 実行開始決定の効果 ………………………………. 32

2 事業担保権の目的財産の一部に対する実行及び個別資産の換価の可否 ………. 32

3 裁判上の実行による事業譲渡における債務の承継の可否 ………….. 32

4 他の債権者及び株主の保護 …………………………… 33

5 換価の効果 …………………………………… 33

6 被担保債権以外の債権の扱い …………………………… 33

7 事業継続による収益の中間的な配当 ……………….. 34

8 事業担保権の裁判外の実行 ………………………….. 34

第26 事業担保権の倒産法上の取扱い …………………….. 34

1 別除権及び更生担保権としての取扱い …………………. 34

2 担保権実行手続中止命令の適用の有無 …………………….. 34

3 倒産手続開始後に生じ、又は取得した財産に対する事業担保権の効力 ………. 34

4 破産法上の担保権消滅許可制度の適用 …………………… 34

5 民事再生法及び会社更生法上の担保権消滅許可制度の適用 ……….. 35

6 DIP ファイナンスに係る債権を優先させる制度 ……………… 35

第27 動産及び債権以外の財産権を目的とする担保 ……………..  35

第28 ファイナンス・リース ……………………………… 35

1 ファイナンス・リースに関する規定の要否及び在り方 ………….. 35

2 対抗要件 ………………………………………… 35

3 実行方法 ………………………………… 35

4 倒産法上の取扱い ……………………………….. 36

第29 普通預金を目的とする担保 …………………………. 36

1 普通預金を目的とする担保権設定及び対抗要件具備 …………… 36

2 普通預金を目的とする担保権の実行 ……………………. 36

3 普通預金を目的とする担保権の倒産手続における取扱い ………… 37

 第30 証券口座を目的とする担保 ……………………. 37

(前注)

1 動産を目的財産とする非占有型の担保制度や債権を目的財産とする担保制度の規律を設ける方法としては、①債務を担保する目的でされた一定の類型の契約を適用の対象として、その契約の効力を定める方法(以下「担保目的取引規律型」という。)、②質権、抵当権等と並ぶ担保物権を新たに創設する方法(以下「担5 保物権創設型」という。)が考えられる。

 担保目的取引規律型は、仮登記担保契約に関する法律が「金銭債務を担保するため、その不履行があるときは債権者に債務者又は第三者に属する所有権その他の権利の移転等をすることを目的としてされた代物弁済の予約、停止条件付代物弁済契約その他の契約で、その契約による権利について仮登記又は仮登録のできるもの」の効力等について民法等の特則を設けているのと同様の方法である。

参考

登記研究 847号 69頁  2018年9月 登記研究編集室「【資料】 仮登記に関する先例要旨総覧(4)」

登記研究 747号 1頁  2010年5月 横山 真弓:法務省民事局商事課商業法人登記第二係長(前法務省民事局商事課商業法人登記第三係長)「 【論説・解説】 動産譲渡登記制度を活用した集合動産譲渡担保の実務」

 動産や債権を目的財産とする担保法制についてこのような方法で規定を設ける場合は、例えば、債務を担保する目的で動産の所有権を移転する契約、債務を担保する目的で動産の所有権を売主に留保する売買契約の効力等について民法等の特則を設けることが考えられる。動産や債権を目的財産とする担保取引としては、現行法においては、債務を担保するため動産の所有権を移転したり(動産譲渡担保)、留保したり(所有権留保)するなどの取引形式が用いられており、このような形式との連続性がある点で実務上も受け入れられやすいと考えられる。

 担保物権創設型は、抵当権や質権等と並ぶ新たな担保物権を創設するものであるから、この方法によって設けられた規定は、動産譲渡担保や所有権留保の形式が用いられた取引などには、直接には適用されないことになる。しかし、そうすると非典型担保が残ることになり、担保取引に関する法律関係を明確化するという点では不十分な結果となりかねない。そこで、担保物権創設型による場合には、担保物権を創設するだけでなく、債務を担保する目的で動産の所有権を移転する契約、債務を担保する目的で動産の所有権を売主に留保する売買契約などの担保取引については、新たな担保物権を設定する契約とみなすなどの規定を併せて設ける必要がある。

 担保物権創設型についてこのようなみなし規定を設けるとすれば、担保目的取引規律型と担保物権創設型は規定の方法の違いにすぎず、ほぼ同様の実質を規律することができるとも考えられる(ただし、動産譲渡担保は形式的には目的財産である動産の所有権を移転する契約であるから、例えば民法第178 条が適用されることになる。これに対して新たな担保物権を創設し、対抗要件を引渡しとする場合には、同条は当然には適用されないから、別途規定を設ける必要がある。このように、同じ実質を実現するとしても、必要となる規定が異なる場合がある。)。

2 この中間試案においては、担保取引に関する実質的なルールの内容についての試案を示すこととし、特段の言及のない限り、担保目的取引規律型によるか担保物権創設型によるかは中立的に表現することとしている。ただし、債権は現行法上も質権の目的となり得るため、担保物権創設型による場合には、債権質と区別された新たな担保権を創設する必要性自体が問題となり得る(新たな担保権を創設するのではなく、債権質に関する規定を修正するにとどめることもあり得る。)。そこで、この中間試案においては、債権を目的とする担保に関するルールを示すときは、差し当たって担保目的取引規律型によることを前提としてルールの内容を示すこととしている。

 このような観点から、担保取引によって債権者が得ることとなる権利を指す用語として、「新たな規定に係る担保権」という文言を用いる。特に動産を目的財産とする場合には、「新たな規定に係る動産担保権」という。

 「新たな規定に係る動産担保権の設定」とは、担保物権創設型によれば、新たに創設されることになる動産担保権を設定することをいい、担保目的取引規律型によれば、債務を担保する目的で一定の類型の契約を締結すること(例えば、担保目的で動産の所有権を移転する契約を締結すること)をいう。

 「留保所有権」「債権譲渡担保」「債権譲渡担保権」など、担保目的取引規律型を前提とする表現を用いる場合もある。「留保所有権」とは、売主が売買代金等を担保するために所有権を留保する取引(以下「所有権留保(売買契約)」という。)によって債権者が得る権利をいう。「債権譲渡担保」とは、担保目的で債権を譲渡する取引をいい、「債権譲渡担保権」とは、債権譲渡担保によって債権者が得る権利をいう。

登記研究 686号 1頁 2005年3月植垣 勝裕:法務省民事局参事官、高山 崇彦:法務省民事局付、中原 裕彦:法務省民事局付、坂田 大吾:法務省民事局付「【論説・解説】
「債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律」の概要」
第1章 担保権の効力

第1 個別動産を目的財産とする新たな規定に係る動産担保権の実体的効力

1 担保権の効力の及ぶ範囲

 新たな規定に係る動産担保権は、目的物に従として付合した物及び設定との先後を問わず設定者が目的物に附属させた従物(注1、2)に及ぶものとする。

 ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者の行為について民法第424 条第3項に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りでないものとする。

(注1) 本文において担保権の効力が及ぶとされる物をどのように表現するかについては、「付加一体物」という表現を用いることの可否も含めて今後検討する。

(注2) 設定後に附属させられた従物については解釈に委ねるべきであるとの考え方がある。

2 果実に対する担保権の効力

 新たな規定に係る動産担保権の担保権者は、その担保する債権について不履行があったときは、目的物の果実から優先弁済を受けることができるものとする。

3 被担保債権の範囲

 新たな規定に係る動産担保権は、元本、利息、違約金、担保権の実行の費用及び債務の不履行によって生じた損害の賠償を担保するものとする。

ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでないものとする。

4 担保の目的物の使用収益権限

  新たな規定に係る動産担保権は、その内容に使用収益権限を含まず、設定者が目的物の使用収益をすることができるものとする。

5 使用収益以外の設定者の権限

⑴ 新たな規定に係る動産担保権は、同一の目的物の上に重複して設定することができるものとする。

⑵ 新たな規定に係る動産担保権の設定者が担保権者の同意なく目的物を真正に譲渡すること(注1)ができるかどうかについては、次のいずれかの案によるものとする。

【案1.5.1】譲渡することができるものとする(注2)。

【案1.5.2】譲渡5 することはできないものとする(注3)。

(注1)ここで、「目的物を真正に譲渡する」は、担保権を消滅させる形で目的物の完全な所有権を譲渡することではなく、担保権を存続させたままで、設定者の有する権利(担保目的に制限された所有権を除いた所有権又は担保権に制約された所有権)を譲渡することを意味する。担保権者の同意を得てその担保権を消滅させ、目的物の所有権を譲渡することができることは当然の前提としている。

(注2)【案1.5.1】を採る場合であっても、所有権留保という類型を設けるときは、所有権留保については【案1.5.2】を採るという考え方もあり得る。

(注3)このとき、担保権者の同意を得て、「担保権を存続させたままで設定者の有する権利を移転すること」ができることを前提とする。

 ⑶ 新たな規定に係る動産担保権の設定者は、目的物の占有を第三者に妨害されるおそれがあるときはその第三者に対する妨害の予防を、目的物の占有を第三者が妨害しているときはその第三者に対する妨害の停止を、目的物を第三者が占有しているときはその第三者に対する返還を、それぞれ請求することができるものとする。

6 担保権者の権限

⑴ 新たな規定に係る動産担保権の担保権者は、その担保する債権について不履行があるまでは、目的物を第三者に譲渡すること(目的物の完全な所有権を第三者に移転させること)ができないものとする(注1)。

(注1)新たな規定に係る動産譲渡担保権の被担保債権を譲渡することに伴って担保権者が有する権利が移転することはあるが、これは別の問題である。

⑵ 新たな規定に係る動産担保権について、他の債権の担保とすること(以下「転担保」という。)、担保権の譲渡・放棄及び順位の譲渡・放棄(以下「新たな規定に係る動産担保権の処分」という。)及び順位の変更(新たな規定に係る動産担保権の処分と併せて「新たな規定に係る動産担保権の処分等」という。)の全部又は一部をすることができるものとするか、これらのうち一部をすることができるものとする場合、その範囲をどのように考えるかについては、引き続き検討する(注2)。

(注2)できるものとする範囲については、実務上のニーズや公示の観点から、引き続き検討する。

⑶ ⑵でできるものとされた新たな規定に係る動産担保権の処分等の対抗要件等については、次のとおりとする。

 ア(ア) 新たな規定に係る動産担保権の処分は、債務者に当該処分を通知し、又は債務者がこれを承諾しなければ、これをもって債務者、保証人、担保権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができないものとする。

(イ) 新たな規定に係る動産担保権の処分は、登記をしなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。

(ウ) 担保権者が数人のために新たな規定に係る動産担保権の処分をしたときにおける処分の利益を受ける者の権利の順位は、新たな規定に係る動産担保権の処分についての登記の前後によるものとする。

イ 新たな規定に係る動産担保権の順位の変更は、登記をしなければ、その効力を生じないものとする。

7 物上代位

⑴ 新たな規定に係る動産担保権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても行使することができるものとする。

 ⑵ 新たな規定に係る動産担保権の担保権者は、⑴に基づいて金銭その他の物に対して権利を行使するときは、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならないものとする。

⑶ 新たな規定に係る動産担保権に基づく物上代位とその目的債権を目的財産とする担保との優劣関係について、次のいずれかの案によるものとする。

 【案 1.7.1】物上代位とその目的債権を目的財産とする担保との優劣は、⑵の差押えがされた時点と、その目的債権を目的財産とする担保が対抗要件を具備した時点との前後によるものとする。

【案1.7.2】物上代位とその目的債権を目的財産とする担保との優劣は、物上代位を生じさせた目的物に設定された担保権が対抗要件を具備した時点と、その目的債権を目的財産とする担保が対抗要件を具備した時点との前後によるものとする(注)。

(注)原則として【案1.7.1】の規律によるが、目的物に設定された新たな規定に係る動産担保権の設定について登記がされたときは、登記の時点を基準とする考え方がある。

8 その他

 民法第296条(担保権の不可分性)及び第351条(物上保証人の求償権)の規定を新たな規定に係る動産担保権について準用するものとする。

9 根担保権

⑴ 新たな規定に係る動産担保権の設定は、【一定の範囲に属する】不特定の債権を担保するためにもすることができるものとする。

極度額を定めることの要否については、引き続き検討する。

個別の被担保債権について譲渡や債務の引受け、債権者又は債務者の交替による更改があった場合について、譲渡された債権などについて担保権を行使することができないものとする。

⑷ 元本の確定前に根担保権者又は債務者について相続開始、合併又は会社分割があった場合について、次のような規定を設けるものとする。

ア 元本の確定前に根担保権者又は債務者について相続開始があった場合には、次のいずれかの案によるものとする。

【案1.9.1】根担保権者又は債務者について相続が開始したときは、担保すべき元本は、確定するものとする。

【案1.9.2】次の(ア)から(エ)までの規定を設けるものとする。

(ア) 根担保権者について相続が開始したときは、根担保権は、相続開始時に存在する債権及び相続人と設定者との合意により定めた相続人が相続開始後に取得する債権を担保する。

(イ) 債務者について相続が開始したときは、根担保権は、相続開始時に存在する債務及び根担保権者と設定者との合意により定めた相続人が相続開始後に負担する債務を担保する。

(ウ) 上記(ア)(イ)の合意については、後順位の担保権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。

(エ) 上記(ア)(イ)の合意について相続の開始後6か月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始時に確定したものとみなす。

イ(ア) 根担保権者について合併があったときは、根担保権は、合併時に存在する債権及び合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に取得する債権を担保する。

(イ) 債務者について合併があったときは、根担保権は、合併時に存在する債務及び合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に負担する債務を担保する。

(ウ) 設定者は、根担保権者又は債務者について合併があったときは、合併があったことを知った日から2週間かつ合併から1か月以内に、担保すべき元本の確定を請求することができる。ただし、債務者について合併があった場合で、債務者が設定者であるときは、この限りでない。

(エ) (ウ)の請求があったときは、担保すべき元本は、合併の時に確定したものとみなす。

ウ(ア) 根担保権者を分割をする会社とする分割があったときは、根担保権は、分割の時に存在する債権並びに分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に取得する債権を担保する。

(イ) 債務者を分割をする会社とする分割があったときは、根担保権は、分割の時に存在する債務並びに分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に負担する債務を担保する。

(ウ) 設定者は、根担保権者又は債務者を分割をする会社とする分割があったときは、分割があったことを知った日から2週間かつ分割から1か月以内に、担保すべき元本の確定を請求することができる。ただし、債務者を分割をする会社とする分割があった場合で、債務者が設定者であるときは、この限りでない。

(エ) (ウ)の請求があったときは、担保すべき元本は、分割の時に確定したものとみなす。

⑸ 根担保権の全部譲渡、一部譲渡(注)については、これを公示するための制度を設けることができるか否かを含めて、引き続き検討する。

(注)分割譲渡については、これを公示するための制度を設けることができるか否かのほか、極度額の設定の要否と関連して、引き続き検討する。

⑹ 債務者又は設定者が破産手続開始決定を受けたこと、設定から一定期間経過した後に設定者の請求があったことなど(注1)(注5 2)を被担保債権の元本の確定事由とするものとする。

(注1)担保権者等による実行の着手を元本確定事由とするか否かについては、実行に関する規律(後順位担保権者による実行の可否及びその場合の先順位担保権の消長等)や集合動産を目的とした担保の規律との関係も踏まえて、引き続き検討する。

(注2)元本確定事由に関するその他の規律については、根抵当権に関する規律を参考にして、引き続き検討する。

第2 個別債権を目的財産とする譲渡担保の実体的効力

1 前記第1の2(果実に対する担保権の効力)、3(被担保債権の範囲)、5(使用収益以外の設定者の権限)⑴、6(担保権者の権限)⑴、7(物上代位)、8(その他)及び9(根担保)は、債権譲渡担保権にも適用されるものとする。

2 債権譲渡担保権が設定され【、債務者対抗要件が具備され】た場合、①第三債務者は設定者に対し弁済をすることが制限され、②設定者は、担保権の目的財産である債権について、放棄、免除、相殺、更改など当該債権を消滅させる行為をすることができないものとする。

3⑴ 債権譲渡担保権について、転担保、担保権の譲渡・放棄及び順位の譲渡・放棄(以下「債権譲渡担保権の処分」という。)及び順位の変更(債権譲渡担保権の処分と併せて「債権譲渡担保権の処分等」という。)の全部又は一部をすることができるものとするか、これらのうち一部をすることができるものとする場合、その範囲をどのように考えるかについては、引き続き検討する(注)。

(注)できるものとする範囲については、実務上のニーズや公示の観点から、引き続き検討する。

⑵ ⑴でできるものとされた債権譲渡担保権の処分等の対抗要件等については、次のとおりとする。

ア(ア) 債権譲渡担保権の処分は、債務者に当該処分を通知し、又は債務者がこれを承諾しなければ、これをもって債務者、保証人、担保権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができないものとする。

(イ) 債権譲渡担保権の処分は、登記をしなければ、これをもって第三債務者以外の第三者に対抗することができないものとする。

(ウ) 債権譲渡担保権の処分は、その登記がされたことについて第三債務者に登記事項証明書を交付しなければ、これをもって第三債務者に対抗することができないものとする。

(エ) 担保権者が数人のために債権譲渡担保権の処分をしたときにおける処分の利益を受ける者の権利の順位は、債権譲渡担保権の処分についての登記の前後によるものとする。

イ 債権譲渡担保権の順位の変更は、登記をし、かつ、その登記がされたことについて第三債務者に登記事項証明書を交付しなければ、その効力を生じないものとする。

第3 集合動産・集合債権を目的とする担保権の実体的効力

1 動産の集合体に対する新たな規定に係る動産担保権の設定の可能性

新たな規定に係る動産担保権は、種類、所在場所、量的範囲の指定その他の方法により特定された範囲(以下「特定範囲」という。)に属する動産の集合体(設定後に新たに動産がその集合体に加入(個別動産が特定範囲に新たに入ることをいう。)をすることが予定されているものを含む。)を一括して目的とすることができるものとする(注)。

(注)集合体として一括して担保権の目的となるためには、単に複数の動産によって構成されているだけでなく、経済的又は取引上の一体性など、一体として扱うことを正当化するための何らかの要件が必要であるという考え方がある。

2 集合動産を目的とする担保を設定した設定者の権限

  新たな規定に係る動産担保権の目的物が特定範囲に属する動産の集合体であって、設定後に新たに動産がその集合体に加入することが予定されているもの(以下「集合動産」という。)である場合における設定者の処分権限や担保権者の権限について、次のような規定を設けるものとする。

⑴ 設定者は、通常の事業の範囲内で、集合動産の構成部分である動産について、担保権の負担のないものとしての処分をし、又は集合動産から逸出(特定範囲に含まれていた個別動産が、事実の問題として特定範囲から出ることをいう。)をさせる権限を有する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、その定めに従う。

⑵ 設定者が⑴の権限の範囲(以下「権限範囲」という。)を超えて集合動産の構成部分である動産について、担保権の負担のないものとしての処分をし、又は逸出をさせるおそれがあるときは、担保権者は、その予防を請求することができる。

3 集合動産の構成部分である動産の設定者による処分

⑴ 設定者が、その権限範囲を超えて、集合動産の構成部分である動産を、担保権の負担のないものとしての処分をした場合に、当該処分を受けた者が、その動産が担保権の目的物であることを知らないで、かつ、知らないことに過失がなかったときには、民法第192 条の適用によって保護されるものとする(注1)。

⑵ 設定行為に設定者の処分権限について別段の定めがない場合において、設定者が、集合動産の構成部分である動産を、通常の事業の範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合には、当該処分を受けた者は、その処分が設定者の通常の事業の範囲に含まれると信じるについて正当な理由があるときは、その動産について担保権の負担のない権利を取得するものとする。

⑶ 設定行為に設定者の処分権限を制約する別段の定めがある場合において、設定者が、通常の事業の範囲内で、かつ、制約された権限範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合には、当該処分を受けた者は、制約された権限範囲を超えていることを知らなかったとき(注2)は、その動産について担保権の負担のない権利を取得するものとする(注3)。

⑷ 設定行為に設定者の処分権限を制約する別段の定めがある場合において、設定者が、通常の事業の範囲及び制約された権限範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合には、当該処分を受けた者は、設定者による当該処分が通常の事業の範囲に含まれると信じるについて正当な理由があり、かつ、制約された権限範囲を超えることを知らなかったとき(注2)は、その動産について担保権の負担のない権利を取得するものとする。

⑸ 設定行為に設定者の処分権限を拡大する別段の定めがある場合において、設定者が、通常の事業の範囲及び拡大された権限範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合には、当該処分を受けた者は、設定者による当該処分が通常の事業の範囲又はその拡大された権限範囲に含まれると信じるについて正当な理由があるときは、その動産についての担保権の負担のない権利を取得するものとする。

⑹ 前記2⑴及び3⑴から⑸までで処分を受けた者が集合動産の構成部分である動産について権利を取得しない場合に担保権者のとり得る手段については、引き続き検討する。

(注1)集合動産から逸出をした動産の処分については別異に考えるべきであるという考え方がある。

(注2)知らなかったことにつき過失がないことが必要であるという考え方、重過失がないことが必要であるという考え方がある。

(注3)相手方が権利を取得するために、目的物が集合物から逸出をすることが必要であるかどうかについては、引き続き検討する。

4 集合債権を目的とする担保を設定した設定者の権限

⑴ 譲渡担保の目的債権が債権発生年月日の始期及び終期並びに債権発生原因等によって特定され、特定された範囲に現に発生していない債権を含むもの(以下「集合債権」という。)である場合においては、設定者は、通常の事業の範囲内で、その特定された範囲に含まれる債権の取立て【、譲渡及び相殺、免除その他の債権を消滅させる行為】をする権限を有するものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときはその定めに従うものとする。

 ⑵ 設定者が⑴の権限の範囲を超えて取立て【、譲渡、免除等】をした場合の譲受人及び第三債務者の保護に関する特別の規定を設けないものとする。

5 担保価値維持義務・補充義務

 前記2⑴及び4⑴に規定する場合について、担保価値維持義務や、特定された範囲に含まれる動産又は債権について担保権の負担のないものとしての処分がされ、又は逸出をさせたときの補充義務に関する規定(注)を設けるか否かについて、引き続き検討する。

(注)例えば、「新たな規定に係る動産担保権の目的財産が集合動産又は集合債権である場合には、正当な理由がある場合を除き、設定者は、通常の事業が継続されれば当該集合動産又は当該集合債権が有すると認められる価値を維持しなければならない」という趣旨の規定が考えられる。

6 集合動産を目的とする担保権における物上代位等

⑴ 新たな規定に係る動産担保権の目的物が集合動産である場合には、当該担保権は、設定者が通常の事業を継続している間は、特定範囲に含まれる動産の売買、滅失又は損傷によって設定者が受けるべき金銭その他の物に対し、行使することができないものとする。

⑵ 前記⑴につき、次のような例外を設けるかは、引き続き検討する。

ア 当事者が別段の合意をした場合

イ 権限範囲を超える処分がされた場合

 ⑶ 第三者が特定範囲に含まれる動産を滅失又は損傷させた場合における担保権者独自の損害賠償請求権については、特段の規定を設けないものとする。

参考:最判平成13年11月22日民集55巻6号P1056

登記情報 689号 15頁  2019年4月 白石大:早稲田大学大学院法務研究科教授「日本登記法研究会 第3回研究大会報告 「動産・債権譲渡登記の未来」」

第2章 担保権の対抗要件及び優劣関係

第4 新たな規定に係る動産担保権の対抗要件等

 1 新たな規定に係る動産担保権の対抗要件等(2の留保所有権の場合を除く。)

⑴ 新たな規定に係る動産担保権の対抗要件

ア 個別動産を目的とする新たな規定に係る動産担保権(以下「個別動産担保権」という。)の設定は、当該個別動産の引渡し(占有改定を含む。以下同じ。)がなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。

集合動産を目的とする新たな規定に係る動産担保権(以下「集合動産担保権」という。)の設定は、その構成部分である動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。この場合には、当該設定に集合動産に加入した個別動産に及ぶ当該担保権の効力についても、第三者に対抗することができるものとする。

 ウ 個別動産担保権又は集合動産担保権の設定については、登記をすることができることとし、登記がされたときは、目的物である個別動産又は集合動産の構成部分である動産について引渡しがあったものとみなすものとする。

⑵ 新たな規定に係る動産担保権相互の優劣

ア 同一の個別動産に数個の個別動産担保権が設定されて競合したときは、その順位は、原則として、当該担保権について対抗要件を備えた時の前後による。

イ 同一の集合動産に数個の集合動産担保権が設定されて競合したとき(その一部が重なり合って競合する場合を含む。)は、その順位は、原則として、集合動産担保権について対抗要件を備えた時の前後による(注1)。

ウ 集合動産に一個の集合動産担保権が設定されており、その設定に、個別動産担保権が設定された個別動産が加入したときは、集合動産担保権(が当該個別動産に及ぶ効力)と個別動産担保権との順位については、原則として、次のいずれかの案によるものとする。

【案4.1.1】個別動産担保権について対抗要件を備えた時と集合動産担保権について対抗要件を備えた時の前後による。

【案4.1.2】個別動産担保権について対抗要件を備えた時と当該個別動産が集合動産に加入した時の前後による。

エ アからウまでにかかわらず、登記により対抗要件を備えた新たな規定に係る動産担保権は、占有改定により対抗要件を備えた新たな規定に係る動産担保権に優先するものとする(注2)。

(注1)集合動産担保権の設定後に集合動産に加入した個別動産(加入時に、当該個別動産を目的とする個別動産担保権は設定されていない。)があるときであっても、集合動産担保権同士の競合が問題となる場面においては、設定後に加入した個別動産についても、その順位は、原則として、集合動産担保権について対抗要件を備えた時の前後による。

(注2)集合動産担保権に限ってエの規律を適用する考え方がある。

2 留保所有権の対抗要件等

⑴ 留保所有権等の対抗要件の要否

留保所有権を第三者に主張するために対抗要件を必要とするかどうかについては、次のとおりとする。

ア 目的物の代金債権を担保する留保所有権(以下「狭義の留保所有権」という。)は、これを第三者に主張するために対抗要件を必要とするかどうかについては、次のいずれかの案によるものとする(注1、2)。

【案4.2.1.1】狭義の留保所有権は、これを第三者に主張するために、特段の要件を必要としないものとする(注3)。

【案4.2.1.2】狭義の留保所有権は、その動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。

イ (目的物の代金債権及び)目的物の代金債権(注1)以外の債権を担保する留保所有権(以下「拡大された留保所有権」という。)は、その動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする(注2)。

(注1)動産を購入するための資金の融資に基づく債権など、目的物である動産と密接な関連性を有する一定の債権を担保する留保所有権についても、狭義の留保所有権に含める考え方がある。

 これに関連して、このような密接な関連性を有する一定の債権を被担保債権とする動産譲渡担保権が設定された場合には、当該動産譲渡担保権についても、狭義の留保所有権と同様に取り扱う考え方がある。

 担保物権創設型によると、目的物の代金債権【及び上記債権】を担保する新たな規定に係る動産担保権について、狭義の留保所有権と同様に取り扱うことが考えられる。

(注2)留保所有権については、登記できるとすることが考えられる。

(注3)【案4.2.1.1】によっても、(代位弁済等により)目的物の売主以外の者が狭義の留保所有権を有する場合には、その動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする考え方がある。

⑵ 留保所有権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係

ア 留保所有権と競合する他の新たな規定に係る動産担保権との優劣は、留保所有権が目的物の代金債権以外の債権を担保する限度では、これをもって第三者に対抗することができるようになった時の前後によるものとする(注4)。

留保所有権は、【【案4.2.1.2】によると引渡しがされていることを前提として、】目的物の代金債権を担保する限度では、他の新たな規定に係る動産担保権に当然に優先するものとする(注5、6)。

(注4)この場合には、前記1⑵エと同様のルール(5 登記優先ルール)を採用することが考えられる。

(注5)なお、拡大された留保所有権について、目的物の代金債権を担保する部分と目的物の代金債権以外の債権を担保する部分がある場合には、これと競合する他の新たな規定に係る動産担保権との優劣は、本文⑵イにより目的物の売買代金を担保する限度では拡大された留保所有権が優先し、それ以外の部分については、原則として、それぞれが対抗要件を具備した時の前後によるものとなる。

(注6)他の新たな規定に係る動産担保権に優先するための要件として、一定期間内に登記を備えることを求める考え方がある。

 第5 新たな規定に係る動産担保権と他の担保物権との優劣関係

1 動産質権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係

⑴ 動産質権と新たな規定に係る動産担保権とが競合する場合は、動産質権については設定時(引渡時)を基準とし、新たな規定に係る動産担保権については第三者に対抗することができるようになった時を基準とし、優劣はその前後によるものとする。

⑵ 動産質権と留保所有権とが競合する場合は、動産質権については設定時(引渡時)を基準とし、第4の2⑵と同様に取り扱うこととする。

2 先取特権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係

⑴ 先取特権と新たな規定に係る動産担保権は競合するものとし、その優劣関係については新たな規定に係る担保権を民法第330条に規定する第1順位の先取特権と同一の効力を有するものと取り扱うものとする。

⑵ 新たな規定に係る動産担保権者については、民法第330条第2項前段の規定を適用しないこととし、担保権設定時に第2順位又は第3順位の先取特権者があることを知っていたとしても、これらの者に対して優先権を行使できるものとする(注)。

(注)動産質権についても、民法第330 条第2項前段の規定を適用しないようにすることが考えられる。

3 一般先取特権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係

雇用関係の先取特権を含む一般先取特権に、新たな規定に係る動産担保権に対する一定の優先権を認めるかについては、担保法制全体に与える影響も考慮しつつ、新たな規定に係る動産担保権に優先し得る一般先取特権の範囲(雇用関係の先取特権に限るか、その他の一般先取特権にも優先権を認めるか)、新たな規定に係る動産担保権の範囲(その目的物の性質等によって区別するか)、優先権の具体的な内容、優先権を行使するための要件等を引き続き検討する。

第6 債権譲渡担保権の対抗要件等の在り方

1 債権譲渡担保権の対抗要件等

  • ア 債権を目的とする譲渡担保権(以下「債権譲渡担保権」という。)の設定は、設定者ら第三債務者に対する通知又は第三債務者の承諾(以下「通知又は承諾」という。)がなければ、これをもって第三債務者に対抗することができないものとする。

イ 債権譲渡担保権の設定は、確定日付のある証書による通知又は承諾がなければ、これをもって第三債務者以外の第三者に対抗することができないものとする。

⑵ア 債権譲渡担保権の設定については、登記をすることができることとし、登記がされたときは、第三債務者以外の第三者については、確定日付のある証書による通知があったものとみなすものとする。

イ 債権譲渡担保権の設定の登記がされたことについて設定者又は担保権者が第三債務者に登記事項証明書を交付して通知をし、又は当該第三債務者が承諾をしたときは、当該第三債務者についても、確定日付のある証書による通知があったものとみなすものとする。

2 債権譲渡担保権相互の優劣関係

⑴ 同一の債権について数個の債権譲渡担保権が設定されたときは、その順位は、原則として、これをもって第三者に対抗することができるようになった時の前後によるものとする。

登記により対抗要件を備えた債権譲渡担保権と、通知又は承諾により対抗要件を備え債権譲渡担保権との優劣関係について、特別の規定を設けないものとする(注)。

(注)登記により対抗要件を備えた債権譲渡担保権は、通知又は承諾により対抗要件を備えた債権譲渡担保権に優先するものとする考え方がある。

3 一般先取特権と債権譲渡担保権との優劣関係

 雇用関係の先取特権を含む一般先取特権に、債権譲渡担保権に対する一定の優先権を認めるかについては、第5の3と同様に、引き続き検討する。

 第7 動産・債権譲渡登記制度の見直し

1 同一の動産又は債権を目的とする新たな規定に係る担保権に関する権利関係を一覧的に公示する仕組みの導入の要否

【案7.1.1】同一の動産又は債権を目的とする新たな規定に係る担保権に関する権利関係を一覧的に公示させる仕組みは、設けないものとする。

【案 7.1.2】新たに関連担保目録制度を導入し、同一の動産又は債権を目的とする新たな規定に係る担保権に関する権利関係を関連担保目録にできる限り一覧的に公示させるものとする。

2 新たな規定に係る担保権の処分等を登記できるようにすることの要否及びその範囲並びにその公示方法

 新たな規定に係る動産担保権の処分、新たな規定に係る動産担保権の順位の変更、債権譲渡担保権の処分及び債権譲渡担保権の順位の変更(以下「新たな規定に係る担保権の処分等」という。)を登記できるようにすることの要否及びその範囲について、実務上のニーズや公示の分かりやすさの観点等を踏まえて、引き続き検討する。その上で、登記できるとされた新たな規定に係る担保権の処分等の公示方法については、以下のとおりとする。

 【案7.2.1】新たな規定に係る担保権の処分等に関する登記を、例えば個々の動産・債権譲渡登記に付記するような形でできるものとする(【案7.1.1】を前提とする。)。

 【案7.2.2】関連担保目録に登記された動産・債権譲渡登記に係る新たな規定に係る担保権の処分等のみを登記できることとし、当該新たな規定に係る担保権の処分等に関する登記は関連担保目録上に行うものとする(【案7.1.2】を前提とする。)。

3 登記をすることができる動産若しくは債権の譲渡人又は新たな規定に係る担保権の設定者の範囲登記をすることができる動産若しくは債権の譲渡人又は新たな規定に係る担保権の設定者の範囲を、商号の登記をした商人にも拡大することについて、引き続き検討する。

第3章 担保権の実行

第8 新たな規定に係る担保権の実行方法

1 新たな規定に係る担保権の各種の実行方法

 新たな規定に係る担保権の実行は、次に掲げる方法であって担保権者が選択したものにより行うものとする。

① 担保権者に被担保債権の弁済として目的物を帰属させる方式(帰属清算方式)

② 担保権者が目的物を処分し、その代金を被担保債権の弁済に充てる方式(処分清算方式)

③ 民事執行法第190 条以下の規定に基づく競売

2 新たな規定に係る担保権の私的実行における担保権者の処分権限及び実行通知の要否

 新たな規定に係る担保権の担保権者が私的実行として目的物の所有権を自己に帰属させ、又は第三者に処分する権限及び実行通知の要否については、次のいずれかの案によるものとする。

【案8.2.1】

⑴ 新たな規定に係る担保権の担保権者が私的実行をしようとするときは、被担保債権について不履行があった日以後に、設定者に対し、担保権の私的実行をする旨及び被担保債権の額を通知しなければならないものとする。

⑵ ⑴の通知が設定者に到達した時から1週間が経過したときは、担保権者は、後記3に従って目的物を自己に帰属させ、又は後記4に従って第三者に対して目的物を処分することができるものとする(注)。

(注)1週間の猶予期間を設けず、担保権者は⑴の通知が到達した時に目的物の処分権限を取得するものとする考え方がある。

【案8.2.2】

 被担保債権について不履行があったときは、担保権者は、後記3に従って目的物を自己に帰属させ、又は後記4に従って第三者に対して目的物を処分することができるものとする。

3 帰属清算方式による新たな規定に係る担保権の実行手続等

 帰属清算方式による新たな規定に係る担保権の実行手続等については、次のいずれかの案によるものとする。

【案8.3.1】

⑴ 担保権者が帰属清算方式による私的実行をしようとするときは、担保権者は、設定者に対し、目的物の所有権を担保権者に帰属させる旨、被担保債権の額、担保権者が評価した目的物の価額及びその算定根拠の通知(以下「帰属清算の通知」という。)をしなければならず、担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、帰属清算の通知に加えてその差額の支払又はその提供(以下「清算金の提供等」という。)をしなければならない。

 ⑵ 担保権者が帰属清算の通知(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、これに加えて清算金の提供等)をしたときは、被担保債権は、その時における目的物の客観的な価額の範囲で消滅し、設定者は、その後に被担保債権に係る債務を弁済して担保権を消滅させることができない(注1、2)。

⑶ 担保権者が帰属清算の通知(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、これに加えて清算金の提供等)をした時における目的物の客観的な価額が被担保債権額を超えるときは、担保権者は、設定者に対し、その超える額に相当する金銭を支払う義務を負う(注1、2)。

⑷ 担保権者は、帰属清算の通知(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、これに加えて清算金の提供等)をしたときは、⑴に基づいて担保権者が通知した目的物の評価額と被担保債権額の差額の支払と引換えに、設定者に対して目的物の引渡しを請求することができる。

⑸ ⑴に基づいて担保権者が通知した目的物の価額が、目的物の種類、性質等を考慮して担保権者が通常把握すべき当該目的物に係る事情に照らして著しく合理性を欠くものであるときは、⑵から⑷までの効力は、生じない。

【案8.3.2】

⑴ 【案8.3.1】の⑴から⑶まで及び⑸と同じ。

⑵ 担保権者は、帰属清算の通知(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、これに加えて清算金の提供等)をしたときは、目的物の客観的な価額と被担保債権額の差額の支払と引換えに、設定者に対して目的物の引渡しを請求することができる。

⑶ 【案8.3.1】の⑴に基づいて担保権者が通知した目的物の価額が、目的物の種類、性質等を考慮して担保権者が通常把握すべき当該目的物に係る事情に照らして著しく合理性を欠くものであるときは、⑵並びに【案8.3.1】の⑵及び⑶の効力は、生じない。

(注1)設定者の受戻しの機会等を確保するために、被担保債権の消滅時期、清算金算定の基準時及び設定者が目的物を受け戻すことができなくなる時期を、帰属清算の通知及び清算金の提供等がされた時から一定期間が経過した時とする考え方がある。

(注2)設定者の受戻しの機会等を確保するために、設定者は、被担保債権が消滅した後においても、担保権者に対して目的物を引き渡すまでの間は、被担保債権が消滅しなかったものとすれば支払うべき額を支払うことにより、目的物を受け戻すことができるものとする考え方がある。

4 処分清算方式による新たな規定に係る担保権の実行手続等

 処分清算方式による新たな規定に係る担保権の実行手続等については、次のいずれかの案によるものとする。

 【案8.4.1】

⑴ 担保権者が担保権の実行として目的物を第三者に処分したときは、被担保債権は、その処分時における目的物の客観的な価額の範囲で消滅し、設定者は、その後に被担保債権に係る債務を弁済して担保権を消滅させることができない(注1)。

⑵ 担保権者が担保権の実行として目的物を第三者に処分したときは、担保権者は、設定者に対し、その旨、処分時における被担保債権の額、担保権者が評価した目的物の価額及びその算定根拠を通知しなければならない。

⑶ 設定者は、目的物の処分を受けた第三者からその引渡しを請求されたときは、担保権者が⑵の通知(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、これに加えてその差額の支払)をするまでは、目的物の引渡しを拒むことができる。

 ⑷ 担保権者が担保権の実行として目的物を第三者に処分した場合において、その処分時における目的物の客観的な価額が被担保債権額を超えるときは、担保権者は、設定者に対し、その超える額に相当する金銭を支払う義務を負う。

【案8.4.2】(注2)

⑴ 担保権者が担保権の実行として目的物を第三者に処分したときは、被担保債権は、その処分時における目的物の客観的な価額の範囲で消滅し、設定者は、その後に被担保債権に係る債務を弁済して担保権を消滅させることができない(注1)。

⑵ 担保権者が担保権の実行として目的物を第三者に処分した場合において、その処分時における目的物の客観的な価額が被担保債権額を超えるときは、担保権者は、設定者に対し、その超える額に相当する金銭を支払う義務を負う。

 ⑶ 設定者は、目的物の処分を受けた第三者からその引渡しを請求された場合において、その処分時における目的物の客観的な価額が被担保債権額を超えるときは、担保権者がその差額の支払をするまでは、目的物の引渡しを拒むことができる。

(注1)設定者の受戻しの機会等を確保するために、被担保債権の消滅時期、清算金算定の基準時及び設定者が目的物を受け戻すことができなくなる時期を、目的物が処分された時から一定期間が経過した時と第三者が目的物の引渡しを受けた時のいずれか早い時とする考え方がある。

(注2)【案8.4.2】についても、担保権者が担保権の実行として目的物を第三者に処分したときは、担保権者は、設定者に対し、その旨、処分時における被担保債権の額、担保権者が評価した目的物の価額及びその算定根拠を通知しなければならないものとする考え方がある。

第9 新たな規定に係る担保権の目的物の評価・処分又は引渡しのための担保権者の権限及び手続

1 評価・処分に必要な行為の受忍義務

 新たな規定に係る担保権の被担保債権について不履行があった場合において、担保権者が目的物の評価又は処分に必要な行為をしようとするときは、設定者は、これを拒むことができない(注)。

(注)設定者は、受忍義務に加えて、目的物の評価のために必要な情報を提供する義務を負うものとする考え方がある。

2 実行完了前の保全処分

 新たな規定に係る担保権の被担保債権について不履行があった場合において、設定者又は占有者が、目的物の価格を減少させる行為若しくは実行を困難にする行為をし、又はこれらの行為をするおそれがあるときは、裁判所は、担保権者の申立てにより、次に掲げる保全処分又は公示保全処分を命ずることができるものとする。

 ⑴ 設定者又は占有者に対し、価格を減少させ、若しくは又は実行を困難にする行為を禁止し、又は一定の行為をすることを命ずること

⑵ 設定者又は占有者に対し、執行官への引渡しを命ずること及び執行官に目的物の保管をさせること

⑶ 設定者又は占有者に対し、占有の移転を禁止することを命じ、その使用を許すこと

3 簡易迅速な目的物の引渡しを実現する方法

 新たな規定に係る担保権の被担保債権について不履行があったときは、裁判所は、【担保権者が帰属清算の通知(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、これに加えて清算金の提供等)又は第三者に対する目的物の処分をするまでの間/目的物の評価又は処分のために必要があるときは】、担保権者の申立てにより、清算金の見積額を供託させて、設定者又は目的物の占有者に対し、目的物を担保権者に引き渡すべき旨を命ずることができるものとする。

4 実行終了後に目的物の引渡しを実現する方法

 裁判所は、帰属清算の通知(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、これに加えて清算金の提供等)をした担保権者又は目的物の処分を受けた第三者(以下「担保権者等」という。)の申立てにより、設定者又は目的物の占有者に対、目的物を担保権者等に引き渡すべき旨(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超えるときにあっては、その超える額に相当する金銭の支払と引換えに目的物を担保権者等に引き渡すべき旨)を命ずることができるものとする。

第10 同一の動産に複数の新たな規定に係る担保権が設定された場合の取扱い

1 劣後担保権者による私的実行の可否及び要件

 新たな規定に係る担保権が同一の動産について複数設定されているときは、担保権者は、優先する全ての担保権者の同意を得た場合に限り、私的実行をすることができるものとする。

2 優先担保権者の同意なくされた劣後担保権者による私的実行の効果

 前記1の同意なくされた劣後担保権者によ5 る私的実行の効果については、次のいずれかの案によるものとする。

【案10.2.1】 前記1の同意なくされた劣後担保権者による私的実行は、その効力を生じないものとする。

【案10.2.2】 劣後担保権者が前記1の同意なく帰属清算方式又は処分清算方式による私的実行をしたときは、劣後担保権者又は第三者は、優先担保権の負担のある目的物の所有権を取得するものとする。

3 新たな規定に係る担保権の私的実行に当たっての他の担保権者への通知

新たな規定に係る担保権の担保権者又は設定者が私的実行に当たってとらなければならない手続については、次のいずれかの案によるものとする。

【案10.3.1】 新たな規定に係る担保権の担保権者は、私的実行に着手したときは、遅滞なく、その設定者に対して担保権を有する旨の動産譲渡登記を備えている全ての者に対して、その旨の通知をしなければならないものとする。この場合において、その通知は、【通知を受ける者の登記簿上の住所又は事務所/あらかじめ登記所に届け出た連絡先】に宛てて発すれば足りるものとする。(関連担保目録制度を導入しない【案7.1.1】を前提とする。)

【案10.3.2】 新たな規定に係る担保権の担保権者は、私的実行に着手したときは、遅滞なく、その担保権に係る動産譲渡登記の関連担保目録上においてその担保権に【関連する/後れる】担保権を有する者【(私的実行に着手した担保権者の担保権が動産譲渡登記を備えていないときにあっては、その設定者に対して担保権を有する旨の動産譲渡登記を備えている全ての者)】に対して、その旨の通知をしなければならないものとする。この場合において、その通知は、【通知を受ける者の登記簿上の住所又は事務所/あらかじめ登記所に届け出た連絡先】に宛てて発すれば足りるものとする。(関連担保目録制度を導入する【案

7.1.2】を前提とする。)

【案10.3.3】 設定者は、新たな規定に係る担保権の担保権者から私的実行をする旨又は私的実行をした旨の通知を受けたときは、遅滞なく、【劣後担保権者/その他の担保権者】に対してその旨の通知をしなければならないものとする。

4 担保権者間の分配方法についての合意内容の通知

 後順位の担保権者が優先する担保権者の同意を得て私的実行をしたときは、各担保権者の被担保債権は、目的物の客観的な価額の範囲でその優先順位に従って消滅する。ただし、各担保権者間にこれと異なる合意が成立した場合において、劣後担保権者が、帰属清算の通知(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、これに加えて清算金の提供等)の到達又は第三者への目的物の処分後遅滞なく、設定者に対してその合意の内容を通知したときは、この限りでない。

第11 集合動産を目的とする担保権の実行について

1 集合動産を目的とする担保権の実行の手続

集合動産を目的とする担保権の実行について、次の規定を設けるものとする。

⑴ 集合動産を目的とする担保権の私的実行をしようとするときは、担保権者は、帰属清算の通知(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、これに加えて清算金の提供等)又は第三者への目的物の処分に先立って、設定者に対し、担保を実行する旨を通知しなければならない。

⑵ ⑴の通知が設定者に到達したに集合動産に加入した動産には、担保権の効力は及ばない。ただし、その動産が⑴の通知が到達した時点で集合動産の構成部分であった動産と分別して管理されていないときは、この限りでない。

⑶ ⑴の通知が設定者に到達したときは、設定者は、その時点で集合動産の構成部分であった動産の処分権限を失う。

⑷ ⑴の通知は、設定者の承諾を得なければ、撤回することができない。

⑸ ⑷の撤回は、⑴の通知の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

2 実行後に特定範囲に加入した動産に対する再度実行の可否

 集合動産を目的とする担保権の担保権者は、実行の時点で存在する構成部分である動産全部について実行をしたに新たに特定範囲に加入した動産に対して、当初の担保の効力が及んでいるものとして再度の実行をすることはできないものとする(注)。

(注)プロジェクト・ファイナンス等の現在の実務に影響を与えることがないか、事業担保等の他の制度との関係にも留意しつつ、引き続き検討する。

 3 集合動産の一部について実行がされた場合に固定化が生じる範囲

 前記1⑴の通知の到達による前記1⑵及び⑶の効果は、その集合動産全体について生じるものとし、ただし、その通知において、【所在場所により特定された範囲/種類、所在場所、量的範囲の指定その他の方法により特定された範囲】を実行の対象として指定したときは、この限りでないものとする。

第12 新たな規定に係る担保権の競売手続による実行等について

1 新たな規定に係る担保権は、民事執行法第190 条以下の規定に基づく競売によって実行することができるものとする。

2 新たな規定に係る担保権の担保権者は、設定者に対する他の債権者が申し立てた動産に対する強制執行手続及び他の担保権者が申し立てた担保権実行としての動産競売手続において、配当要求をすることができるものとする。

3 新たな規定に係る担保権の担保権者は、その担保権者に劣後する他の担保権者又は一般債権者がその目的物を差し押さえたときは、その強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができるものとし、ただし、目的物の価額が手続費用並びに第三者異議の訴えを提起しようとする担保権者の債権及びこれに優先する債権の合計額を超えるときは、この限りでないものとする(注)。

4 【執行官/差押債権者又は担保権者】は、強制執行手続又は担保権実行としての動産競売手続に係る動産の差押えをしたときは、遅滞なく、その執行債務者に対して担保権を有する旨の動産譲渡登記を備えている全ての者に対し、その旨を通知しなければならないものとする。この場合において、その通知は、【通知を受ける者の登記簿上の住所又は事務所/あらかじめ登記所に届け出た連絡先】に宛てて発すれば足りるものとする。

5 強制執行手続又は担保権実行としての動産競売手続において、その目的である動産の上に存する先取特権、質権及び新たな規定に係る担保権の帰趨については、次のいずれかの案によるものとする。

【案12.5.1】 強制執行手続又は担保権実行としての動産競売手続において、その目的である動産の上に存する先取特権、質権及び新たな規定に係る担保権は、売却により全て消滅するものとする。

【案12.5.2】 強制執行手続又は担保権実行としての動産競売手続において、その申立てに係る担保権者の担保権、配当要求をした担保権者の担保権及びこれらの担保権に劣後する担保権は、売却により消滅するものとし、買受人は、その余の担保権の負担のある目的物の所有権を取得するものとする。

(注)劣後担保権者又は一般債権者が集合動産の構成部分である動産を差し押さえた場合に、同様の規律を適用するかどうかについては、更に検討する。

第13 質権の実行方法に関する見直しの要否

 動産質権について流質契約の有効性を認めるか否かについては、次のいずれかの案によるものとする。

【案13.1】 目的物の価額が被担保債権額を超える場合にその差額を清算させるなどの設定者の利益を保護する措置をとるとともに、民法第349 条を改正し、動産質権について流質契約の有効性を認めるものとする。

【案13.2】 動産質権について流質契約の有効性を否定する民法第349 条を維持するものとする。

第14 所有権留保売買による留保所有権の実行

所有権留保売買による留保所有権の実行方法として、第8の3及び4の帰属清算方式及び処分清算方式による私的実行並びに第12 の民事執行法の規定に基づく競売を認めるものとする。

第15 債権を目的とする担保権の実行

1 債権譲渡担保権者による債権の取立て

債権譲渡担保権者は、その目的である債権を直接に取り立てることができるものとする。

2 債権質権者及び債権譲渡担保権者の取立権限及び実行通知の要否

⑴ 債権譲渡担保権者の取立権限及び実行通知の要否については、次のいずれかの案によるものとする。

【案15.2.1.1】

ア 債権譲渡担保権者が実行をしようとするときは、被担保債権について不履行があった日以後に、設定者に対し、担保権の実行をする旨及び被担保債権の額を通知しなければならないものとする。

イ アの通知が設定者に到達した時から1週間が経過したときは、債権譲渡担保権者は、前記1に従ってその目的である債権を直接に取り立て、又は後記6に従って実行することができるものとする(注)。

(注)1週間の猶予期間を設けず、債権譲渡担保権者はアの通知が到達した時にその目的である債権の取立権限を取得するものとする考え方がある。

【案15.2.1.2】

 被担保債権について不履行があったときは、債権譲渡担保権者は、前記1に従ってその目的である債権を直接に取り立て、又は後記6に従って実行することができるものとする。

⑵ 債権質権者の取立権限及び実行通知の要否については、次のいずれかの案によるものとする。

【案15.2.2.1】 ⑴について【案15.2.1.1】を採用する場合には、これと同様とする。

【案15.2.2.2】 ⑴についていずれの案を採用するかにかかわらず、現在の規律を維持する。

3 担保の目的財産が金銭債権である場合に担保権者が取り立てることができる範囲

⑴ 債権譲渡担保権者は、譲渡担保の目的が金銭債権であるときは、その全額を取り立てることができるものとする。

⑵ 民法第366 条第2項を改め、質権者についても、質権の目的が金銭債権である場合には、その全額を取り立てることができるものとする。

4 担保の目的である金銭債権の弁済期が被担保債権の弁済期前に到来した場合に、担保権者が請求することができる内容

⑴ 債権譲渡担保の目的である金銭債権の弁済期が被担保債権の弁済期よりも先に到来する場合に、債権譲渡担保権者が請求することができる内容については、次のいずれかの案によるものとする。

【案15.4.1.1】 譲渡担保の目的である金銭債権の弁済期が到来したときは、債権譲渡担保権者は、被担保債権の弁済期が到来する前であっても、目的債権を直接に取り立てることができるものとする(注)。

【案15.4.1.2】 譲渡担保の目的である金銭債権の弁済期が被担保債権の弁済期に到来したときは、債権譲渡担保権者は、第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができるものとした上で、第三債務者は、対抗要件を具備した担保権者に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって設定者に対抗することができるものとする(注)。

(注)第三債務者が担保権者に対して弁済した場合において、担保権の実効性を確保するためのその金銭の処理方法については、引き続き検討する。

⑵ 債権質の目的である金銭債権の弁済期が被担保債権の弁済期よりも先に到来する場合に、質権者が請求することができる内容に5 ついては、次のいずれかの案によるものとする。

【案15.4.2.1】 ⑴について【案15.4.1.1】を採用する場合には、民法第366 条第3項を改め、これと同様とする。

【案15.4.2.2】 ⑴について【案15.4.1.2】を採用する場合には、民法第366 条第3項を改め、これと同様とする。

5 担保の目的財産が非金銭債権である場合の実行方法

 担保の目的財産が非金銭債権である場合に、譲渡担保権者は、弁済として受けた物について【譲渡担保権(新たな規定に係る担保権)/動産質権】を有するものとする。

6 直接の取立て以外の実行方法

⑴ 債権譲渡担保権者は、目的債権を直接取り立てる方法によるほか、帰属清算方式又は処分清算方式の私的実行をすることができるものとする。

⑵ 債権譲渡担保権を民事執行法第193 条の規定に基づく債権執行によって実行することができるものとするか否かについては、引き続き検討する。

7 集合債権を目的とする担保の実行

集合債権を目的とする担保の私的実行については、特別な規定を設けないものとする。

 第4章 担保権の倒産手続における取扱い

第16 別除権としての取扱い

 破産手続及び再生手続において、新たな規定に係る担保権を有する者を別除権者(破産法第2条第10 項、民事再生法第53 条)として、更生手続において、新たな規定に係る担保権の被担保債権を有する者を更生担保権者(会社更生法第2条第11 項)として、それぞれ扱うものとする。

登記研究 799号 25頁 2014年9月 藤原勇喜:藤原民事法研究所代表「【論説・解説】倒産法と不動産登記をめぐる諸問題 ―破産法を中心として―」

第17 担保権実行手続中止命令に関する規律

1 担保権実行手続中止命令の適用の有無

⑴ 新たな規定に係る担保権の実行手続(私的実行手続を含む。⑵において同じ。)を民事再生法上の担保権実行手続中止命令(同法第31条)の対象とする。

⑵ 新たな規定に係る担保権の実行手続を会社更生法、会社法及び外国倒産処理手続の承認援助に関する法律に基づく担保権実行手続中止命令(会社更生法第24 条、会社法第516 条及び外国倒産処理手続の承認援助に関する法律第27 条)の対象とする。

⑶ 債権質権の実行手続(私的実行手続を含む。)を⑴及び⑵の手続の対象とする。(注)

(注)契約による質物の処分を可能とする場合には、当該処分を⑴及び⑵に規定する担保権実行手続中止命令の対象とするかも問題となる。

担保権実行手続禁止命令

⑴ 再生手続において、新たな規定に係る担保権の【実行手続/私的実行手続】を実行手続の開始前に発令される担保権実行手続禁止命令の対象とする。(注1)

⑵ 新たな規定に係る担保権についての再生手続における担保権実行手続中止命令及び担保権実行手続禁止命令の要件は、現行の担保権実行手続中止命令と同様とする。

⑶ 更生手続、特別清算手続及び承認援助手続において、⑴と同様に、新たな規定に係る担保権の【実行手続/私的実行手続】を対象とする、実行手続の開始前に発令される担保権実行手続禁止命令の規定を設けるものとする。(注1)

⑷ 新たな規定に係る担保権についての更生手続、特別清算手続及び承認援助手続における担保権実行手続中止命令及び担保権実行手続禁止命令の要件は、現行の担保権実行手続中止命令と同様とする。

 ⑸ 債権質権の【実行手続/直接取立てによる実行】を⑴及び⑶の手続の対象とする。(注2)

(注1)担保権実行手続禁止命令の対象となる手続に関しては、担保権実行手続中止命令と担保権実行手続禁止命令とを区別しない形で法制化すべきという考え方がある。

(注2)契約による質物の処分を可能とする場合には、当該処分を⑴及び⑶に規定する担保権実行手続禁止命令の対象とするかも問題となる。

3 担保権実行手続中止命令等を発令することができる時期の終期

 担保権実行手続中止命令又は2に規定する担保権実行手続禁止命令のうち、新たな規定に係る担保権の私的実行に係るものについては、被担保債権に係る債務が消滅する時までにしなければならないものとする(注)。また、債権質権の取立てに係る担保権実行手続中止命令又は2に規定する担保権実行手続禁止命令についても同様の規定を設けるものとする。

(注)新たな規定に係る動産担保権については、被担保債権に係る債務の消滅後も、担保目的動産が担保権者に引き渡されるまでの間設定者による担保目的動産の受戻しを認めつつ、被担保債権に係る債務の消滅時と担保目的動産の担保権者への引渡し時のいずれか遅い方を担保権実行手続中止命令等の終期とすべきという考え方がある。

4 担保権者の利益を保護するための手段

担保権実行手続中止命令及び2に規定する担保権実行手続禁止命令は、担保権者に不当な損害を及ぼさないために必要な条件を付して発することができる。

5 審尋の要否

 新たな規定に係る担保権の【実行手続/私的実行手続】(注1)に対する担保権実行手続中止命令及び2に規定する担保権実行手続禁止命令は、あらかじめ担保権者の意見を聴くことなく発することができ、ただし、あらかじめ担保権者の意見を聴くことなくこれらの命令を発したときは、裁判所は、発令の後に(注2)担保権者の意見を聴かなければならないものとしてはどうか。

(注1)動産質権及び債権質権などの実行手続をも対象とすることが考えられる。

(注2)担保権者の意見を聴くべき時期の定め方(直ち5 に、速やかに、遅滞なくなど)については、引き続き検討する。

6 担保権実行手続中止命令等が発令された場合の弁済の効力

 債権譲渡担保権の実行に当たって担保権者が担保目的債権の取立権限を取得したが、その後に担保権実行手続中止命令又は2に規定する担保権実行手続禁止命令が発令された場合の弁済の効力等に関して、次のいずれかの案によるものとする。(注)

【案17.6.1】担保権実行手続中止命令又は担保権実行手続禁止命令が発令された場合にも、第三債務者が担保権者に対して弁済することは妨げられないものとする。

【案17.6.2】担保権実行手続中止命令又は担保権実行手続禁止命令が発令された場合において、第三債務者がこれらが発令されたことを知っていたときは、担保権者に対する債務消滅行為の効力を設定者に対抗することができないものとする。この場合において、第三債務者は、担保目的債権の全額に相当する金銭を供託して、その債務を免れることができるものとする。

(注)債権質権に基づき担保権者が担保目的債権の取立権限を取得したが、その後に担保権実行手続中止命令又は2に規定する担保権実行手続禁止命令が発令された場合の弁済の効力等に関して規定を設ける必要があるかどうかについて、引き続き検討する。

7 担保権実行手続取消命令

次のような担保権実行手続取消命令の規定を設けることについて、引き続き検討する。

 ⑴ 裁判所は、集合動産を目的とする新たな規定に係る担保権の実行通知がされた場合において、再生債権者の一般の利益に適合し、かつ、担保権者に不当な損害を及ぼすおそれがない(注1、2)ときは、実行通知の効力を取り消すことができるものとすること(注3)

⑵ 裁判所は、債権譲渡担保権が設定された場合における設定者に対する取立権限の付与が解除された場合において、再生債権者の一般の利益に適合し、かつ、担保権者に不当な損害を及ぼすおそれがない(注1、2)ときは、取立権限の付与の解除の効力を取り消すことができるものとすること(注3)

(注1)再生債務者の事業の継続のために特に必要があると認めることや、担保を立てさせることなどをも要件とすべきという考え方がある。

(注2)担保権実行手続取消命令について、担保権実行手続中止命令及び担保権実行手続禁止命令に関する4と同様に、担保権者に不当な損害を及ぼさないために必要な条件を付して発することができることとするかどうかについては、条件違反があった場合の効果などを踏まえて、引き続き検討する。

(注3)担保権実行手続取消命令が発令された場合における第三債務者による弁済の効力に関して、6のような規律を設けるべきかについては、引き続き検討する。

第18 倒産手続開始申立特約の効力

1 設定者についての再生手続開始の申立て又は更生手続開始の申立てを理由に(注)新たな規定に係る担保権の目的物を設定者に属しないものとし、又は属しないものとする権利を担保権者に与える契約条項(新たな規定に係る担保権の目的財産を設定者の責任財産から逸出させることになる契約条項)は、無効とする。

2 設定者についての再生手続開始の申立て又は更生手続開始の申立てを理由に設定者が新たな規定に係る担保権の目的物の範囲に存する動産をの処分等する権限や担保権の目的物の範囲に存する債権をの取立て等する権限を喪失させる契約条項を無効とする旨の明文の規定を設けるかどうかについて、引き続き検討する。

(注)再生手続開始の申立て又は更生手続開始の申立て以外を理由に⑴に規定する権利を担保権者に与える契約条項を無効とする旨の規定を設けるべきかどうかについては、引き続き検討する。

第19 倒産手続開始後に生じ、又は取得した財産に対する担保権の効力

1 倒産手続の開始に生じた債権に対する担保権の効力

 将来発生する債権を目的とする債権譲渡担保権の設定者について倒産手続が開始された場合に、当該担保権の効力が、管財人又は再生債務者を当事者とする契約上の地位に基づいて倒産手続開始後に発生した債権に及ぶか否かについては、次の4案のいずれかによるものとする(注)。

【案19.1.1】 倒産手続が開始された後に発生した債権にも無制限に担保権の効力が及ぶ(なお、設定者は、担保権の効力が及ぶ債権について、倒産手続の開始によっては、取立権限を失わない。)。

【案19.1.2】 倒産手続が開始された後に発生した債権には担保権の効力が及ぶが、優先権を行使することができるのは、倒産手続開始時に発生していた債権の評価額を限度とする(なお、設定者は、担保権の効力が及ぶ債権について、倒産手続の開始によっては、取立権限を失わない。)。

【案19.1.3】 倒産手続が開始された後に発生した債権であっても、担保権者が担保権を実行するまでに発生したものには、担保権の効力が及ぶ(なお、設定者は、担保権の効力が及ぶ債権について、倒産手続の開始によっては、取立権限を失わない。)。

【案19.1.4】 倒産手続開始後に発生した債権には、担保権の効力は及ばない(なお、設定者は、担保権の効力が及ぶ既発生の債権について、倒産手続の開始によって取立権限を失う。)。

(注)目的債権の取立権限や目的債権の弁済又は対価として受けた金銭等の利用権限等何らかの基準によって場合分けをし、それぞれについて異なる規律を適用するという考え方がある。

2 倒産手続の開始後に取得した動産に対する担保権の効力

 集合動産を目的財産とする新たな規定に係る担保権の設定者について倒産手続が開始された場合に、当該担保権の効力が、倒産手続開始後に管財人又は再生債務者が当事者となった契約に基づいて取得した動産に及ぶか否かについては次の3案のいずれかによるものとする。

【案19.2.1】倒産手続が開始された後に取得した動産には担保権の効力が及ぶが、優先権を行使することができるのは、倒産手続開始時までに取得した動産の評価額を限度とする(なお、設定者は、担保権の効力が及ぶ動産につ5 いて、倒産手続の開始によっては、処分権限を失わない。)。

【案19.2.2】倒産手続が開始された後に取得した動産であっても、担保権者が担保権を実行するまで(実行通知が設定者に到達するまで)に取得したものには、担保権の効力が及ぶ(なお、設定者は、担保権の効力が及ぶ動産について、倒産手続の開始によっては、処分権限を失わない。)。

【案19.2.3】倒産手続開始後に取得した動産には、担保権の効力は及ばない(なお、設定者は、担保権の効力が及ぶ動産について、倒産手続の開始によって処分権限を失う。)。

第20 担保権の実行がされた担保目的財産に係る費用の負担(本項は、第19、1において【案19.1.1】を採用した場合の試案である。)

 将来発生する債権を目的として債権譲渡担保権が設定されている場合において、設定者について倒産手続が開始された後に目的債権を発生させる費用(注)を設定者が支出し、当該担保権の実行が行われたときの規律については次の2案を引き続き検討する。

【案20.1】当該債権譲渡担保権が設定された債権のいずれかについて担保権の実行(担保権者による取立てを含む。)が行われた場合、当該債権の代価又は弁済として受けた金銭等から、担保権者より先に設定者(管財人又は再生債務者)が当該費用の償還を受けることができる。

【案20.2】当該目的債権について担保権の実行(担保権者による取立てを含む。)が行われた場合、当該目的債権の代価又は弁済として受けた金銭等から、担保権者より先に設定者(管財人又は再生債務者)が当該費用の償還を受けることができる。

(注)目的債権を発生させる費用の内容については、引き続き検討する。

第21 否認集合動産又は将来発生する複数の債権を目的とする新たな規定に係る担保権において、個別の動産や債権等が次のような態様で担保権の目的の範囲に加入した場合、これを偏頗行為否認の対象とすること(注1)について、引き続き検討する(注2、3)。

⑴ 通常の事業の範囲を超えるなど、客観的に異常な動産又は債権の担保権の目的の範囲への加入

⑵ 専ら担保権者に債権を回収させる目的で行われたなどの設定者の主観的要件を満たす(注4)動産又は債権の担保権の目的の範囲への加入

(注1)偏頗行為否認の対象とするのではなく、実体法上担保権の効力が及ばないこととすべきという考え方がある。

(注2)偏頗行為否認の対象とする場合に、設定者の支払不能等に関する担保権者の主観的要件を不要とすべきであるという意見がある。

(注3)加入後に個別動産や個別債権の処分等が行われた場合に、それを否認の成否において勘案すべきかどうかについて、引き続き検討する。

(注4)設定者の主観的要件に加えて、担保権者の主観的事情を要件とすべきであるという意見がある。

第22 担保権消滅許可制度の適用

1 破産法上の担保権消滅許可制度の適用

  •  新たな規定に係る担保権について、破産法上の担保権消滅許可制度の適用の対象とする。

 ⑵ 担保権消滅許可の申立てに対する対抗手段としての「担保権の実行の申立て」(破産法第187 条第1項)として、私的実行を認めるかどうかについて、次のいずれかの案によるものとする。

【案22.1.2.1】対抗手段としての「担保権の実行の申立て」として私的実行を認め、その帰属清算方式における評価額又は処分清算方式における処分価額についての要件を課さない

【案22.1.2.2】対抗手段としての「担保権の実行の申立て」として私的実行を認めるが、その帰属清算方式における評価額又は処分清算方式における処分価額(注1)は、担保権消滅許可申立書に記載された売得金(破産法第186 条第3項第2号)の額以上である必要があるとする。

【案22.1.2.3】対抗手段としての「担保権の実行の申立て」として私的実行を認めない(担保権者は、競売手続の実行の申立てによるほか、買受けの申出(破産法第188 条第1項)により対抗することとする。)(注2)。

(注1)帰属清算方式及び処分清算方式のいずれの場合でも、清算金の発生又は被担保債権の消滅の効果は、担保目的物の客観的な価額を基準として生ずることになること等を踏まえ、帰属清算方式における評価額又は処分清算方式における処分価額を基準とするかどうかについては、引き続き検討する。

(注2)対抗手段としての「担保権の実行の申立て」として私的実行を認めるが、その帰属清算方式における評価額又は処分清算方式における処分価額を、担保権消滅許可申立書に記載された売得金の額に5パーセントを加えた額以上である必要があるとするという考え方がある。

2 民事再生法及び会社更生法上の担保権消滅許可制度の適用

新たな規定に係る担保権について、民事再生法及び会社更生法上の担保権消滅許可制度の適用の対象とするものとする。

第5章 その他

第23 事業担保制度の導入に関する総論的な検討課題

1 事業担保制度導入の是非

事業のために一体として活用される財産全体を包括的に目的財産とする担保制度(事業担保制度)を設けるか否かについて、引き続き検討する。

2 事業担保権を利用することができる者の範囲

⑴ 事業担保権者となり得る者の範囲については、制度の趣旨が適切に発揮されるためには適切なモニタリングや経営支援の知見等が必要であることや、経営への不当な介入を防ぐ観点から、金融機関などに限定する方向で、その具体的な範囲を更に検討するものとする。

⑵ 事業担保権を設定することができる者については、個人を除外して法人等に限定する方向で、組合による設定を認めるかなどその具体的な範囲については、設定を公示する手段の有無にも留意しながら更に検討するものとする(注)。

 (注)個人事業者がその事業用の財産に事業担保権を設定することも認めるという考え方がある。

3 事業担保権の対象となる財産の範囲

⑴ 事業担保権は、原則として、のれん、契約上の地位(注)、事実上の利益などを含む、設定者の有する全ての財産に及ぶものとする。

 ⑵ 当事者の合意によって一部の財産に事業担保権が及ばないようにすることができるかどうかについては、その旨の公示の可否などに留意しつつ、更に検討する。

(注)労働契約について何らかの特別な考慮が必要であるとの意見がある。

第24 事業担保権の効力

 1 事業担保権の設定

 事業担保権の設定契約に当たって必要な手続的要件については、事業担保権の設定による影響を受け得る者の利害にも配慮しつつ、更に検討する。

2 事業担保権の対抗要件及び他の担保権との優劣関係

 ⑴ 事業担保権の設定は、商業登記簿に登記しなければ、第三者に対抗することができないものとする。

⑵ 物的に編成された登記登録制度がある個別財産について事業担保権の効力が及ぶことを第三者に対抗するための要件として、商業登記簿への登記で足りるものとするか、登記登録をしなければ事業担保権の効力が及ぶことを第三者に対抗することができないものとするかについて、引き続き検討する。

⑶ 事業担保権と他の約定担保権との優劣関係については、対抗要件の先後によって定めるものする。

⑷ 事業担保権と先取特権との優劣関係について、引き続き検討する。

 3 事業担保権の優先弁済権の範囲(一般債権者に対する優先の範囲)

 労働債権や商取引債権は、無担保であっても一定の範囲で事業担保権の被担保債権に優先することとし、具体的にどのような範囲の債権を優先させるか、各債権に分配する額をどのように算出するか、優先させる債権への分配額を実行開始後に随時弁済することができるかなどについて、引き続き検討する。

4 事業担保権設定者の処分権限

 事業担保権が実行される前の段階において、事業担保権設定者がどのような範囲で事業担保権の目的となっている財産を処分することができるかについて、①事業担保権の目的である財産の処分一般について何らかの制約を設けるか、②事業担保権の目的である財産のうち一部について処分権限を制約するか、③後順位の担保権の設定に制約を設けるかなどの点を引き続き検討する。

5 一般債権者が差し押さえた場合の担保権者の保護

  事業担保権が及ぶ個別の財産について設定者の一般債権者が強制執行を申し立てた場合や、当該財産について抵当権等の担保権を有する担保権者がその実行を申し立てた場合に、事業担保権者がどのような手段を取り得るかについて、引き続き検討する。

第25 事業担保権の実行

1 実行開始決定の効果

⑴ 事業担保権の実行開始決定がされたときは、その目的財産の管理処分権は裁判所の選任する管財人に専属するものとする。

⑵ 管財人は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行わなければならないものとする。

 ⑶ 管財人は、債権者に対し、公平かつ誠実に、⑴の権利を行使し、実行手続を追行する義務を負うものとする。

⑷ 事業担保権の実行開始決定がされたときは、設定者の個別財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、事業担保権に劣後する担保権の実行等の手続は事業担保権の実行手続との関係で失効するものとし、事業担保権に優先する担保権は、事業担保権の実行手続によらないで行使することができるものとする(注)。

(注)事業担保権の被担保債権に先立って弁済を受けることができる一般債権に基づく強制執行及び仮差押えは、失効しないものとする考え方がある。

2 事業担保権の目的財産の一部に対する実行及び個別資産の換価の可否

 ⑴ 事業担保権の裁判上の実行手続において、事業担保権の目的財産の一部のみを対象として実行手続を開始することはできないものとする。

⑵ 管財人が設定者の通常の事業の範囲を超えて個別資産を換価するには、裁判所の許可を得なければならないものとする。

 3 裁判上の実行による事業譲渡における債務の承継の可否

 管財人は、裁判上の実行により事業譲渡をする場合において、事業の買受人に対し、事業担保権の被担保債務に先立って弁済を受けることができる債務その他のその債務の承継によって債権者間の衡平を害しないと認められる債務を承継させることができるものとする。

4 他の債権者及び株主の保護

⑴ 管財人は、裁判上の実行により事業譲渡をするには、裁判所の許可を得なければならないものとする。

⑵ ⑴の事業譲渡について、会社法上の株主総会の決議による承認を要しないものとする(注)。

(注)会社法上の株主総会の決議による承認に代替する手続の要否及び内容については、引き続き検討する。

 5 換価の効果

⑴ 事業担保権の目的財産は、代金の支払があった時に買受人に移転するものとする。

⑵ 事業担保権の実行としての事業譲渡による許認可等の承継については、次のいずれかの案によるものとする。

【案25.5.2.1】 ⑴の場合において、買受人は、その承継に関し他の法令に禁止又は制限 の定めがあるときを除いて、その事業に関する行政庁の許可、認可、免許等を承継するものとする。

【案25.5.2.2】 事業担保権の実行としての事業譲渡による許認可等の承継について、規定を設けないものとする。

包括承継などの構成によって、契約上の地位を相手方の承諾なく移転させることができる制度を設けるか否かについて、引き続き検討する。

6 被担保債権以外の債権の扱い

  •  実行手続の実施に必要な費用などの一定の債権を共益債権とした上で随時弁済することができるものとする(注)。

(注)共益債権とする債権の具体的な内容については、引き続き検討する。

⑵ 実行手続開始前の原因に基づいて生じた債権の扱いについては、次のいずれかの案によるものとする。

【案25.6.2.1】 実行手続開始前の原因に基づいて生じた債権については、実行手続開始後は、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができないものとした上で、実行手続の中でその有無及び額を調査して確定し、これに対して配当する手続を設けるものとし、ただし、その債権を早期に弁済することにより実行手続を円滑に進行することができるとき、又はその債権を早期に弁済しなければ事業の継続に著しい支障を来すときは、裁判所は、管財人の申立てにより、その弁済をすることを許可することができるものとする。

【案25.6.2.2】 実行手続開始前の原因に基づいて生じた債権のうち、事業担保権の被担債権に先立って弁済を受けることができる債権は、実行手続によらないで、随時弁済するものとし、その余の債権については、【案25.6.2.1】と同様とする。

【案25.6.2.3】 実行手続開始前の原因に基づいて生じた債権は、実行手続によらないで、随時弁済するものとし、ただし、設定者に破産手続開始の原因となる事実が生ずるおそれがあるとき又は設定者が事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないときは、裁判所は、管財人の申立てにより、決定で、【【案25.6.2.1】/【案25.6.2.2】】と同様の扱いに移行させるものとする。

7  事業継続による収益の中間的な配当

管財人は、事業担保権の実行としての事業譲渡がされる前において、事業の継続によって得られる収益を中間的に配当することができるものとする。

8 事業担保権の裁判外の実行

  事業担保権の実行方法として、事業担保権者が設定者の同意なくその事業を譲渡することができる裁判外の実行手続を設けないものとする(注)。

(注)事業担保権の設定者による事業譲渡にも前記4⑵、5⑵などの裁判上の実行手続の規律と同様の規律を及ぼすか否かについては、引き続き検討する。

 第26 事業担保権の倒産法上の取扱い

1 別除権及び更生担保権としての取扱い

 破産手続及び再生手続において、事業担保権を有する者を別除権者として、更生手続において、事業担保権の被担保債権を有する者を更生担保権者として、それぞれ扱うものとする。(注)

(注)事業担保権について、再生手続との関係では、手続外での行使を禁止し、手続内において目的物の換価及び配当を行うこととするべきという考え方がある。この考え方を採る場合においては、配当方法に関してどのような規律を設けるべきかなども問題がある。

2 担保権実行手続中止命令の適用の有無

事業担保権を民事再生法等の担保権実行手続中止命令の対象とする。(注)

(注)担保権実行手続中止命令の効果については、引き続き検討する。

3 倒産手続開始後に生じ、又は取得した財産に対する事業担保権の効力

 倒産手続開始後に発生した債権や、倒産手続開始後に管財人又は再生債務者が当事者となった契約に基づいて取得した動産について、事業担保権の効力が及ぶものとする。(注)

(注)倒産手続開始後に発生した債権や、倒産手続開始後に管財人又は再生債務者が当事者となった契約に基づいて取得した動産についても事業担保権の効力は及ぶものとしつつ、優先権を行使することができるのは、倒産手続開始時における担保目的財産発生していた債権又は倒産手続開始時までに取得した動産の評価額を限度とすべきという考え方がある。

4 破産法上の担保権消滅許可制度の適用

事業担保権について、破産法上の担保権消滅許可制度の適用の対象とする。

5 民事再生法及び会社更生法上の担保権消滅許可制度の適用

事業担保権について、民事再生法及び会社更生法上の担保権消滅許可制度の適用の対象とする。

6 DIP  ファイナンスに係る債権を優先させる制度

 事業担保権の設定者について倒産手続が開始された場合に、いわゆるDIP ファイナンスに係る債権を事業担保権の被担保債権に優先させる制度(DIP ファイナンスに係る債権をを被担保債権とする担保権を事業担保権に優先させる制度を含む。)を設けるかどうかについて、引き続き検討する。

第27 動産及び債権以外の財産権を目的とする担保

 動産及び債権以外の財産権を目的とする新たな規定に係る担保権について規定を設けるか、動産や債権を目的とする新たな規定に係る担保権に関する規定と共通する規定としてどのようなものがあるか、どのような範囲で独自の規定を設けるかについては、個々の財産権の性質等も考慮しつつ、引き続き検討する。

第28 ファイナンス・リース

1 ファイナンス・リースに関する規定の要否及び在り方

 次のような特徴を有する契約において利用権を設定した者が有する権利を担保権として取り扱うものとする規定を設けることの要否、その具体的な要件や方式について、引き続き検討する。

① 利用権設定者が利用権者に対し、目的物の使用収益を認容するものであること

② 利用権者が利用期間に利用権設定者に対して支払う利用料の額が、目的物の取得の対価、金利その他の経費等相当額を基に算出されていること

③ 利用権者による目的財産の使用及び収益の有無及び可否にかかわらず利用料債権が発生すること

(注)いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リースについては金融の目的であるとみなすとの考え方もあり得るが、厳密な定義が可能か否かも含めて、検討する。

2 対抗要件

 利用権設定者は、特段の要件なく、利用権に設定した担保権を第三者に対抗することができるものとする方向で、引き続き検討する。

3 実行方法

 ⑴ 利用権に設定した担保権の実行方法(注)として帰属清算方式による私的実行を認め、この方法による場合の実行方法は、利用権設定者は利用権者に対して利用権を消滅させる旨の意思表示をしなければならないものとするほか、新たな規定に係る担保権の帰属清算方式による実行と同様とする。

⑵ 利用権に設定した担保権の実行方法(注)として処分清算方式による私的実行を認め、この方法による場合の実行方法は、新たな規定に係る担保権の処分清算方式による実行と同様とする。

(注)実行方法についての規定を設けず、利用権設定契約の解除のみを認めるという考え方がある。

4 倒産法上の取扱い

⑴ 利用権設定者を、破産手続及び民事再生手続における別除権者(破産法第2条第10 項、民事再生法第53 条)として、会社更生手続における更生担保権者(会社更生法第2条第11 項)として、それぞれ扱うものとする。

⑵ア 利用権に設定した担保権の実行手続を民事再生法上の担保権実行手続中止命令(同10 法第31条)の対象とする。

イ 現行の担保権実行手続中止命令(民事再生法第31 条)に加えて、担保権の実行手続の開始前に発令されるものとして、担保権実行手続禁止命令の規定を設け、利用権設定型担保権の実行手続をその対象とする。

⑶ 利用権者についての倒産手続開始の申立てによって利用権者が利用権を喪失するという効果をもたらす特約の有効性については、私的実行が可能な他の担保権に関する規定と同様の規定を設けるものとする。

⑷ 利用権設定型担保権を、破産法、民事再生法及び会社更生法上の担保権消滅許可制度の適用の対象とする。

 第29 普通預金を目的とする担保

1 普通預金を目的とする担保権設定及び対抗要件具備

⑴ 普通預金を目的とする担保権(注)について、以下の規定を設けるかどうかについて引き続き検討する。

ア 普通預金債権を目的とする担保権の設定がされた場合における当該担保権の効力は、設定後の預金口座への入金部分に及ぶ旨の規定

イ 普通預金債権を目的とする担保権の設定について対抗要件が具備された場合には、対抗要件具備の預金口座への入金部分についても第三者に対抗することができる旨の規定

⑵ 普通預金債権を目的とする担保権の設定の有効要件又は対抗要件として、普通預金口座に対する担保権者の支配(コントロール)等の要件を必要とするかどうかについては、特段の規定を置かないことする。

⑶ ⑴の規定を設ける場合には、設定者が法人であるときに限って普通預金債権を目的とする担保権を設定することができるとする等、普通預金債権を目的とする担保権を設定することができる場合を限定することについて、引き続き検討する。

(注)規定を設ける場合における担保権の種類については、引き続き検討する。

2 普通預金を目的とする担保権の実行

普通預金債権を目的とする担保権の設定にかかわらず、預金開設銀行は、差押えがあるまでは、設定者による預金の払戻しに応ずることができる旨の規定を設けるかどうかについて、引き続き検討する。

3 普通預金を目的とする担保権の倒産手続における取扱い

⑴ 普通預金債権を目的とする担保権について、預金残高の増加を否認の対象とするかどうかについて引き続き検討する。

⑵ 普通預金債権を目的とする担保権の、倒産手続開始後の預金口座への入金部分に対する効力について引き続き検討する。

第30 証券口座を目的とする担保

証券口座の担保化について、特段の規定を置かないものとする。

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