第112回国会 衆議院 法務委員会 第9号 昭和63年4月15日

  • 134 山田英介発言URLを表示○山田委員 我が国の公示制度の歴史は百年を超えております。特に今回の不動産登記法の改正につきましては、いわゆる薄冊中心のブックシステムの登記制度からブックレスシステム、すなわちコンピューターシステムへとこれが移行されていくという、またさせていこうという、その意味では我が国の公示制度の大きな変革期に入ってきた、このように認識をするわけでございます。そういうことをベースにして考えてみますと、大事なことは、やはりいかにシステムそのものがブックからコンピューターへと移行したとしても、現在我が国の公示制度が抱えているさまざまな問題点、これの解決への方向づけ、あるいはまた公示制度を取り巻く諸条件の整備というものを、この大きな変革への第一歩といいますか、第一次となります不登法改正のこの機会にやはり明確に方向づけをする、あるいは整備をしていくめどをつけていくという作業が極めて大事な問題である、かような認識をいたしております。  そこで、何点か以下お伺いをするわけでございますが、最初に確認をいたしておきたいと思います。特にこの不動産公示制度と極めて密接な関係で存在をいたしております司法書士制度、そしてその業務に関してでございますが、特に司法書士が不動産の登記申請書を作成をいたしまして代理する、その前提として実際に登記の前提となる契約の実体、あるいはその契約でも物権契約の実体をやはりしっかりと把握していかなければならないのだろうというふうに認識をいたしておりますが、この登記申請書を作成し、そして代理して申請をする以前に、司法書士に求められる業務上の責任というのは一体具体的にどういうものなのかを明らかにしていただきたいと思います。
  • 135 藤井正雄発言URLを表示○藤井(正)政府委員 司法書士はまずその業務の第一号として、登記及び供託の手続について代理をすることというふうに定められております。この手続について代理をするに当たりましては、当事者間になされている物権変動の原因となっている契約を把握し、そして何よりもその両当事者がその物権について登記をする申請意思を持っているということが書面上確認できるような状態にあること、それをはっきりさせることが必要であろうと思っております。
  • 136 山田英介発言URLを表示○山田委員 今局長が答弁なされたこと以外にも、列挙すればいろいろあると私は思います。要するに、局長のおっしゃることは、登記官に与えられている権限は提出された書類、申請書とか添付書類あるいは登記済み証あるいは登記簿こういうものを書面上審査をして、それが一定の様式にかなっており整合性を保っておるということであれば登記を実行する。そういういわば書面形式審査権というものと対比をいたしまして、司法書士の場合にはただ頼まれたから、嘱託を受けたから書類をつくり、申請書をつくり、提出すればいいというものではないのだ。要するにその実体関係にまで立ち入って、その申請をしようとする者が本当にその当事者であるのかとか、あるいはまた本当に登記申請する意思があるのか、その前提としての実体面におけるその物権契約なりそういうものが本当に本人、当事者の意思に基づくものなのかというような、そういう実体にまで立ち入って実質的に審査をしなければならぬのだよ、こういうことでございますね。要するに、実質審査というものを司法書士はその職責上あるいは司法書士制度の目的からいって、これはしっかりやりなさい、こういうことでございますね。
  • 137 藤井正雄発言URLを表示○藤井(正)政府委員 そのように理解いたしております。
  • 138 山田英介発言URLを表示○山田委員 申し上げました登記官の形式審査、それから司法書士の今局長がお認めになられました実質審査、この双方がよりよく機能し、相補い合い、そして初めて真正な登記というものが確保されるのである、また、そういう登記官の形式審査と司法書士の実質審査というものが補完し合って今日の我が国の公示制度というものが運営されてきた、また支えられてきたということは言えますか。
  • 139 藤井正雄発言URLを表示○藤井(正)政府委員 登記が適正に、そしてまた迅速に行われるように司法書士がその役割を果たしてまいってきているというふうに思っております。
  • 140 山田英介発言URLを表示○山田委員 司法書士は実質審査という、こういう一つの職務上の責務、責任というものを果たすために、繰り返すようでありますが、当事者の真意を酌み取る、あるいはまた当事者の意思を申請書などに誤りなく正確に反映をさせる、そして司法書士法一条「目的」あるいは一条の二それから二条、これらの規定から見ましても、当事者の双方の利益のために公正な立場で業務を遂行する、こういう義務が課せられている、こう解釈してよろしゅうございますか。一条、一条の二、二条との関連でお伺いをしております。
  • 141 藤井正雄発言URLを表示○藤井(正)政府委員 司法書士は、多くの場合登記権利者及び登記義務者双方から委任を受けて事務を行っているのが実態であるように承知いたしております。その委任の内容たるものは、その当事者間に行われました物権変動に基づきまして登記を適正にするということが委任の内容でございますので、その内容を誠実に実行するというのが司法書士の努めであると思っております。
  • 142 山田英介発言URLを表示○山田委員 これは「登記研究」という雑誌がございまして、その「登記簿」という欄に記載されているところでございますが、これは一応A、Bという形で対話形式でわかりやすくなさっていますけれども、法務省のしかるべきこの登記に責任を持つ方がわかりやすく、しかも非常に理路整然と司法書士制度とその業務というものを解説されておる、このように私は理解しておりますが、その中に、「実務の上で「他人の嘱託を受けて」という他人の意思及び確認には、司法書士法第一条にいう、業務の適正を図り、国民の権利の保全に寄与するために万全の措置をとらなければならないんですね。」こういう問いかけに対して、「そういうことだね。司法書士の業務は、やり直しのきかないものであり、他の職務とは異なる高度な社会的責任を負っていることがわかるだろう。」そこで、「不動産の商品化・流動化がますます進み、不動産取引も頻度を加え、その登記手続を担う司法書士の職責も一段と重要なものとなってきているんですね。」「そうだね。」こうなっているわけでございますね。これはそのとおりでございますか。
  • 143 藤井正雄発言URLを表示○藤井(正)政府委員 その雑誌はまだ拝見いたしておりませんけれども、お読みになりました内容は、格別異存があるわけではございません。
  • 144 山田英介発言URLを表示○山田委員 格別異存があるわけではないということは、そういうことだとお認めになられている。司法書士の場合は嘱託人からその真意を把握をし、究極の嘱託人の趣旨あるいは目的に合致するようにその登記申請についての実体関係、実体面について法律的な判断を加えて、登記申請について完備した書類を作成するための意思の確認、当事者の申請の意思あるいは物権変動の意思、物権契約の意思、そういうものを確認をする、あるいはもっと基本的に本当の登記義務者であるのか、本当の登記権利者であるのか、本人そのものなのかというところもやはり実体に立ち入ってこれを確認をする、あるいは実質審査をする、そういう義務が課せられていると私は思いますが、重ねてこの点について御答弁をお願いしたいと思います。
  • 145 藤井正雄発言URLを表示○藤井(正)政府委員 契約が真実になされているものであるか、また登記申請を求めている者がその本人であり、その人が真実の意思を持っているかということを確認しなければならないのはそのとおりでございます。ただ、その確認をする手段が何であるかということは、その具体的なケースによっていろいろであろうとは考えます。
  • 146 山田英介発言URLを表示○山田委員 昭和四十六年四月二十日最高裁第三小法廷判決、土地所有権移転登記抹消登記請求事件でございますが、この判決の趣旨に基づいてこのような判断がなされているわけでございますが、それについてお伺いをしたいと思います。要するに、司法書士が嘱託人のいうがままに書類を作成し、登記所に提出することは、今日の経済取引の複雑化、多様化からも許されないものと考えられる。
  •  すなわち、司法書士が公共的な性格をもつものであるから、司法書士がその職務の遂行に関し責任があることは、社会的に当然要求されているところであって、その社会的責任の重要性は一段と強く要請されつつあり、司法書士は、特に嘱託人から調査依頼がなくても当該事件の真偽を確認する注意義務はあるとされている、こうございますけれども、要するに、司法書士が嘱託人の言うがままに書類を作成する、登記所に提出するということは、今日の不動産の取引の複雑化、多様化ということから見てこれは許されない、こう考えてよろしいですね。
  • 147 藤井正雄発言URLを表示○藤井(正)政府委員 そのように考えてよろしいと思います。
  • 148 山田英介発言URLを表示○山田委員 もう一つ、昭和四十七年十二月二十一日東京高裁第四民事部判決、損害賠償請求事件、これはこういうことでございます。   
  • 司法書士が登記義務者の代理人と称する者の依頼により本人のため登記関係書類を作成する場合において、依頼者の言動により代理権の存否に疑のあるような場合は、単に必要書類について形式的な審査をするに止まらず、本人について登記原因証書作成についての真意の有無及び登記申請についての代理権授与の事実を確かめ登記手続に過誤なからしめるよう万全の注意を払う義務があるものというべきであり、代理権の存在を確めないでした申請にもとづき行われた不実の登記を信頼した第三者に対する不法行為責任は免れない これが昭和四十七年十二月二十一日の東京高裁における判決でございます。  したがいまして、私がここで特に指摘しておきたいことは、このように司法書士は登記申請について手続の代理をする、そういう場合には大変厳格な注意義務を持ってこれを遂行しないときには、この登記を信頼した第三者に対する不法行為責任は免れないよというまで要するに職責というものは厳しいものが求められている、この点をこの判決では特に強調しておきたいと私は思います。  それからいま一つは、いわゆる我が国の不動産登記制度、公示制度というものの持つ大きな弱点の一つというのは、欠陥と言ってもよろしいと思いますけれども、登記の迅速性の要請が一方にあり、他方においてその登記が正確になされていなければならないという要請があります。この迅速性と正確性のバランスをいかにとっていくかというところに極めて重要なポイントがあるわけでございまして、登記官の形式審査権の範囲における審査だけでは物権の変動に見合った公示というものがなかなか確保されにくい。要するに書面でだけしか審査できないわけですから、したがって実はそこに不実の登記とかあるいはまた不正な登記というものがつけ入るすきができてきてしまうということは言えると思うわけでございます。そして、実質的な審査権を持つ立場にある司法書士の努力あるいはまたその存在というものが我が国の登記システムというものをしっかりと安定させる、そのために登記官ともども、あるいは関係者の皆さんとともどもにその大きな役割を果たしておる、このように言うことができるわけでございます。したがいまして、この形式審査主義の欠陥というものをカバーをして不実の登記を排除するということが司法書士の使命である、こういうふうに結論を導き出すことができると私は思います。
  •  もし司法書士も登記官と同様に形式的審査権の権限内で業務を果たしていれば、遂行していればいいのだということになれば、我が国の公示制度というものは、これはその根幹にかかわる、その発展もあるいはまた前進もあり得ない、望めないというふうに私は考えざるを得ないわけでございますが、これはどうでしょうか。林田大臣から一言いただいておきましょうか。要するに、登記官と同じように司法書士が形式審査というようなことで、ただ頼まれたのだから頼まれたままに書類をつくり申請すればいいのだというところに安住していれば、とどまっていれば、我が国の登記制度というものの健全な発展というものはあり得ないというふうに思うのですが、いかがでございましょうか。
  • 149 林田悠紀夫発言URLを表示○林田国務大臣 登記が真正な登記でありまするためには、登記官の方は形式上の審査を行えば足りるわけでありまするから、その前段階として代理人でありまする司法書士において十分審査をしていただいて、そして書類を登記官に提出していただくということが最も望ましいことであり、また、これからの登記制度におきましてもそうあらなければならぬことである、かように存じております。
  • 150 山田英介発言URLを表示○山田委員 それでは民事局長にお伺いしますけれども、国が司法書士法に基づきまして司法書士にその登記申請の書類の作成義務を独占的に行わせている、他の者にその業務の取り扱いを禁止している理由は那辺にあるのか、これをちょっと整理してお答えをいただきたい。要するに、国が司決書士法を定めてその法に基づいて登記申請書類の作成義務を独占的に司法書士に行わせている、そして資格のない者にその業務の取り扱いをしてはならないと禁止している理由についてお伺いをしたいと思います。
  • 151 藤井正雄発言URLを表示○藤井(正)政府委員 司法書士法は、資格のない者が業として司法書士の業務を行うことを禁止いたしておりますが、これは司法書士のとり行います登記その他の代理に関する業務が国民一般の財産にかかわる非常に重要な利害関係を持つものでありますために、一定の資格を有する者にそれをとり行わせることが国民多数の幸福につながるという観点からこれをそのように制限をしているものであるというふうに考えております。     〔今枝委員長代理退席、井出委員長代理着席〕
  • 152 山田英介発言URLを表示○山田委員 もう一つだけ確認しておきますけれども、司法書士が申請書を作成し登記所に提出をするその前提として、最近は非常に登記済み証の偽造も多い、あるいはコピー技術の発達等を悪用して印鑑証明書の偽造、変造も多いというような、一つには病理現象、登記制度における病理現象というものが増加する傾向にあると憂える一人でありますけれども、司法書士が提出をする前提として、印鑑証明書とか権利証を厳格にチェックをする、現実にそういう機能を果たしているわけでございますけれども、実際に防止、あるいは見破るといいますか、そういう不実の登記をさせないようあらかじめそれを防ぐ、そういうことについて果たしている役割というものは私は大変多いものであると思っております。  
  • それで、例えば不鮮明な印影だとか印鑑が違っているのじゃないかというような疑いがあるときには、日常の登記事務を通じましてこれを直ちに拒否するとか、あるいはまた必要があれば関係市町村に印影、印鑑証明書について照会をするとか、あるいはまた取引が正しい当事者の合意のもとに行われているかどうかを確認したり、特に大事なことは、所有権を失う登記義務者の意思の確認というのが特に重要であるという認識のもとに、特にそこをまた入念に行う。あるいは印鑑証明書は本来は登記義務者、所有権を失う登記義務者が持ってくるのを常態とするわけですけれども、買い主が単独でやってきて印鑑証明を持ってきた、あるいは本人が病気で来られないというようなときに買い主だけが印鑑証明なんかを預かったという形で持ってくる、こういうときには、特に登記義務者が本当に所有権を失うのですよ、その登記申請をあなたはやろうとしているのですねという、この意思の確認というものを日常的な業務の中でやっているということを私は知っておるわけでございます。
  •  今、十点ばかりにわたりまして御確認をいただいたわけでございますが、私が申し上げたいことは、今の御答弁にもありましたように、例えば実体関係にまで入って調査をする義務がある。あるいはまた嘱託人の言いなりになって書類を作成した場合、仮にそれが不実な登記であったとすれば、その登記を信頼してその権利を取得をした第三者に対して不法行為責任は免れないというふうに判決でも言われている。あるいはまた登記官とは対置される形の実質審査権をしっかりと行使をして、そして真実の登記というものを担保するよう、確保するようその業務を行わなければならない。むしろそういう義務を負い、あるいは課せられている、そういう司法書士であります。  
  • 先ほど民事局長が御答弁になりましたように、結局は、国民の権利義務に重大な関係を有する書類を、一定の資格を有し相当の法律的素養のある者に国民が嘱託して作成してもらうということが、局長おっしゃるように国民の利益、公共の福祉に合致する、こう考えたから、国が司法書士法を定めて、そしてこの登記申請書類の作成権限を独占的に司法書士に与えたのだ、そしてその資格のない者にその業務の取り扱いを禁止したのだ、こういうことであるわけでございます。局長がお認めになったとおりでございます。したがいまして、私はこの登記代理権というものを考える場合に、この点をしっかりとベースに踏まえて議論をしなければ、あるいは方向づけをしていかなければ、これは大きな誤りを犯すことになりはしないかというふうに思うわけでございます。仮にそのような十分な注意義務を払わずに結果的に不実の登記というものをしてしまった場合には、第三者に対して不法行為責任を免れないぞというような、そういうような厳しい一つの使命あるいは役割、責任というものを与えられている司法書士が代理してなす登記の申請と登記の手続と、司法書士以外のそういう資格のない者がなす登記申請とその代理手続と、この不動産登記法上何ら区別がなされていない、これは常識的に考えていかがなものかと私は思うわけでありますけれども、局長、いかがでございますか。
  • 153 藤井正雄発言URLを表示○藤井(正)政府委員 司法書士法では、業として登記事務を代理することは司法書士の専権といたしておりますが、一般の人が個別に代理をすること自体は別に禁止をいたしておりません。そういう意味では、司法書士が独占的に登記代理を行うという形にはなっていないわけでございます。 これは登記事務そのものが、登記の代理が、今まで先生がいろいろ御指摘になられましたように、いろいろ当事者の利害に深くかかわりを持つことはもちろんでございますけれども、登記の依頼人が特定の人を信頼して特定の人にその登記の代理をゆだねるということ自体までは禁止する必要がないというふうに考えているからでございます。これは何もひとり司法書士法に限りませんで、ほかのいろいろな士業種についてもおおむね共通して言えることでございまして、代理をするからには必ず司法書士でなければならないという制度を設けるかどうかは、単に今まで先生がお挙げになられましたような観点からだけで決するというわけにはまいらないのではないかというふうに思う次第でございます。
  • 154 山田英介発言URLを表示○山田委員 午前中の質疑応答を私も拝聴しておりましたので、要するに、民事訴訟法で簡易裁判所については許可を得て弁護士にあらざる者でも訴訟代理人になれるということを局長はおっしゃりたいわけでございます。ただ、司法書士の登記代理権というものを仮に法制化したとしても、実質的にどうなんですか。余り変わらないのじゃないですか。要するに本人が登記申請できるという道は開かれているわけですから、それまで否定せよということでは全くないわけでしょう。  
  • それから、訴訟の場合も、これは原則本人訴訟ですね。最高裁まで本人でできるのだ。訴訟をやっていいわけです。ただ、地裁以上は訴訟代理人を置く場合には弁護士強制主義だよ、簡裁の場合は許可を得てだよ、こういうことになっているわけです。しかし、実際には、民事訴訟法にそういう非弁護士でも簡においては訴訟代理人になれるという規定があるけれども、規定はそうなっていますけれども、実際の運用という面で考えたら、これはどういうことになっているのですか。実際には、運用面まで立ち入って分析してみれば、結局弁護士を訴訟代理人にするかあるいは本人訴訟でいくかの二つしかないのじゃないですか、実際問題としては。局長、これはどうですか。
  • 155 藤井正雄発言URLを表示○藤井(正)政府委員 裁判所の実務の扱いについてまで私が申し上げるのは、いささか行き過ぎかと思います。登記の代理人につきましての実情を拝見しておりますところでは、恐らくもう九割以上の事件において司法書士が代理人として関与されているのが実態でございましょう。そういう意味では、格別法律の規定を設けることはなくても、事実上司法書士が登記代理を独占なさっているに近い状態にあるというふうに考えられます。また、登記所における行政運営の立場から申しましても、登記の専門家でございます司法書士が代理をなさることの方が行政効率を上げる上からでも極めて意味のあることでございます。  
  • ただ、問題は、司法書士以外の第三者は代理をなし得ないというふうに限定的な決め方をすることが果たしていかがなものであろうか。これは、一般国民の経済活動の自由を制約することにもなりますし、これを依頼するとなると必ず司法書士でなければならないということになりますと、昨今のようにいろいろ契約コストその他についての節減をいかなる企業においてもいかなる個人でも図っておる今日でございますから、そういった面からの反発もないわけではないと思います。また、隣接いたします領域において、弁護士でございますとかあるいは税理士でございますとか、こういった方々との間で業際問題にまで発展をするわけでございますので、そのような法律ではっきりとした決め方をするというのは必ずしも適当でないというふうに考えざるを得ないわけでございます。
  • 156 山田英介発言URLを表示○山田委員 何点か今の御答弁に対して指摘をしておきたいのです。  
  • 裁判所に関することを答弁する立場にないということでございますけれども、それでは申し上げますけれども、民事訴訟法の先ほどの規定についていえば、確かに非弁護士でも簡裁では許可を受ければ訴訟代理人になれるとなっています。しかし、現実には運用の問題ですから、そこまで見てかからないと真実はわからない。結果的にそれは弁護士が訴訟代理人として独占的に存在をする。それ以外では、結局は本人訴訟しかないのだ。実態はそうだということを私はまず指摘しておきます。  
  • 今僕の手元にあるのは、六十一年の司法統計年報、全簡易裁判所についての弁護士の選任状況別などという資料なんですけれども、この資料を見ても、要するに簡易裁判所における事件の総数が幾つあったか、そのうちに弁護士をつけたものが幾つあったか、それから当事者本人によるものが幾つあったか。したがいまして、いわゆるこの司法統計年報の中でも、弁護士以外に訴訟代理人となったそういう事件の数というものはもともととっていないのです。実態的には訴訟代理人は弁護士、そしてそのほかに訴訟の手続等がなされるものは本人訴訟である、実態はそういうことでございます。したがいまして、民訴法の同じ士法の横並びで見ると合理性がないとかあるいは納得が得られないということを余り強調されても、それはまさに余り説得力を持たないということはちょっと指摘をさせていただきます。
  •  それから、その後にまたお話がありまして、登記申請の代理権を有する者は司法書士だけだと限定することは国民の自由な活動を妨げることになるのじゃないか、あるいはまたお金をかけなければ登記申請ができないのじゃないかとおっしゃいましたが、それもよく伺っておりますとそういうことではないでしょう、局長。国民の活動の自由を何で妨げることになるのですか。それは本人の登記申請手続の道を閉ざそうというわけじゃないのですから。それじゃ司法書士に頼まなければならぬ、金がかかるじゃないかというけれども、御自分でその場合にはなさればいいわけです。あるいは親戚の者がいて、例えば登記官を定年退職されて余暇を楽しんでおられる、自由な時間がある、じゃそのおじさんのところへ行ってちょっとやってもらおう、やってあげよう、ただでいいよ、これはあり得ると思いますよ。思いますが、それでしたら何もおじさんにやらせなければ国民の自由な活動が妨げられるという理屈にはまたならないでしょう。それは、おじさんから本人が聞けばいいじゃないですか。いろいろと登記のやり方、こういうふうにやれば申請書はできるよ、それで本人申請でやりなさい。これだって国民の自由な活動の妨げにはならない。  私がなぜこの問題を今こうしてこういう角度から取り上げているかという本当の考え方というのは、我が国の百年の歴史を持つ不動産公示制度、それが登記官の形式審査主義、あるいはまた後に触れたいと思いますが、原因証書は必要的な義務づけられた添付書類、提出書類ではないというふうな、そういう中で弱点、もろさ、あるいはどうしても補っていかなければならない欠陥というものがあります。ブックレスシステムへ移行しようという百年の時代を画す登記システムの、公示システムの大変革の時代に来た。しかし、いかにコンピューターシステムに移行させたとしても、真実の権利変動に見合う公示というものがなされなければ、あるいはまた権利変動がないのに公示だけがなされるというような、制度の根幹から出てくるような問題をどうしたら一つ一つその芽をつぶしていくことができるか、克服していくことができるか、もって我が国の公示制度を一層発展なさしめなければならない、そのためにはどうしたらいいかという角度から、司法書士の登記代理権付与という問題も前向きに積極的に検討すべき一つの課題であるのですよということを私は申し上げているわけでございます。その点いかがですか。前向きに検討をなさるべきじゃないのですか。
  • 157 藤井正雄発言URLを表示○藤井(正)政府委員 訴訟制度には訴訟制度としての長い歴史と伝統がございまして、その中での代理権というものも決められてまいったと思います。また、登記は登記として、もともとは裁判所における非訟手続として現在のような代理の形態がずっと続いてきたわけでございまして、私が申し上げたいのは、確かに不動産の所有が単に一部の資産家だけの事柄でなくて非常に国民的広がりを持ってきた、そしてまたこれが非常な資産価値を持ってきたということ、さらにそれをめぐりましていろいろな犯罪その他の問題も起こっているということはそのとおりでございますけれども、だから司法書士に独占的代理権を与えなければならないというような国民的合意が形成されるまでにはまだ至っていないのではなかろうか、そこまで法律が突出するのはいかがなものであろうかということを申し上げたかったわけでございます。  ただ、こういったような問題状況は、将来極めて長い長期的視野で見た場合に、いろいろ社会経済生活も変わってまいりますし、司法書士という制度もさらに発展することでもございましょうし、国民の意識もどのように変わってまいりますか、私どもちょっと予測しがたいものがございます。でありますから、そういった推移を慎重に見守りながら、制度全体の見直しとも関連づけて検討するような時期が来ないとも限らないと思っております。そういう意味合いにおきまして、この問題につきましてはかねてから日本司法書士会連合会の方からそのようなお話もございまして、私どもは今の時代ではこれはちょっと難しいことではないかというふうに申し上げておりますが、今後も協議は続けてまいりたいと思っております。
  • 158 山田英介発言URLを表示○山田委員 私は、今すぐやるべきだというふうに申し上げているわけではありません。不動産公示制度の持つ弱点、欠陥というものを少しでも是正をしていくことが、我が国の経済取引社会を支え、あるいは一層着実に発展をさせていくむしろベーシックなシステムである、登記制度である、極めて重要であるということを申し上げているわけでありまして、これを支え発展させていくために一歩でも二歩でも前進できる、そういう認識を持つことができるならばこれをむしろ積極的に今後の検討課題としてお取り上げいただきたい、あるいは位置づけていただきたいというふうに申し上げているわけでございます。今の時代ではなんでございますが、そういう時代が来ないとは限らないとは思いますがと、二重にも三重にもたがをはめられたようなそういうあれじゃなくて、私が今質問している本当の気持ちは、そういう大事な制度をより発展させるために今の弱点をどう克服するか、その方途について前向きに建設的にいろいろな可能性を積極的に検討するべきじゃないでしょうか、こう申し上げているわけで、局長、もう一回すっきりした答弁を。
  • 159 稲葉威雄発言URLを表示○稲葉政府委員 先生御指摘のように、登記における信頼の確保ということは非常に大切なことでございまして、それをどういうふうにして図るかというのは、いろいろな角度からいろいろな方策を私どもも検討してまいらなければならないと思います。その一環として、先生御提案の登記代理権制度というのも一つの考え方ではございますが、現在のところそれがそういう大目的のために最もふさわしい制度、あるいは国民にとって最も理解のいく制度であるかどうかということについてはまだ確信を持つ段階ではありませんので、そのほかのいろいろな制度との比較において検討してまいるということについてはやぶさかではないというふうに思います。
  • 160 山田英介発言URLを表示○山田委員 司法書士登記代理人の法制化の問題と裏腹なんですけれども、登記代理ということの概念が不明確であります、不登法上に何ら代理権に関する規定がないわけですから。したがって、実体法たる民法の代理権のところで処理せざるを得ないわけでございます。  これをどういうふうに思われますか。こういうことがありますよ。  甲が売り主、乙が買い主。甲乙間で不動産について所有権の移転がなされました。そして、契約に基づいて司法書士Aのところに登記手続の代理を委任してまいりました。それが本日、四月十五日だとします。そして、A司法書士がそれを当然実体審査をきちっとやった上で受けました。そしてその午後から夕方書類を調製をして、明日朝一番で出そう、こう決意をしていた。ところが十五日の深夜、この登記義務者の甲が何らかの事由によりまして亡くなってしまいました。こういう事例があり得ます。しかし司法書士はそれを知らされていなかったとすれば、当然先ほど事務所に来た人がその夜死んだなんということは夢想だにできないことですから、予定どおり朝登記所に所有権移転登記の申請書を提出をしました。  そうなった場合に、これは御案内のとおり民法百十一条の代理権の消滅事由、本人の死亡によって代理権はもう消滅しているわけですね。そこで、そのなされた登記については後にその相続人から訴えが起こされまして、代理権が消滅してなされた所有権移転登記というのは要するに無効である。私の父親は、被相続人は不利な取引条件のもとで乙との間に契約を結んだのだ。しかも登記申請の段階では本人はもう死んでいる、代理権はなくなっている、したがってこれは無効だという争いを起こした。しかし判決はその登記申請が実体にかなっていたということで、これは有効であるという判決が出されております。
  •  ところが、これはどういうことかといいますと、要するに登記代理についての概念が不明確だから、不登法上に代理権限に関する規定が何ら置かれていないものですから、こういう取引の混乱あるいはまた乙の、いわゆる権利者の権利が害されそうになる、あるいは害されるという事態を引き起こしてくるわけでございます。判決でそう出たからといって、同種の類似の事件が今後起きないとは限りません。起きたその都度、これは訴訟になるでしょう。その都度またこれは裁判関係の大きな負担にもなるし、そしてそうじゃなくても、司法試験の合格者数を基準を緩めて、もうちょっと大きくして検事、判事、弁護士の皆さんをふやそうというようなその一つの有力な根拠が、裁判事務あるいはこういう訴訟の滞留といいますか、なかなか迅速に処理できないというようなところにも置かれている。こういうことを考えてみますと、この事例はまさに登記代理人制度の法制化と裏腹の関係で、登記代理権が極めて概念が不明確なところからよって起こる一つの例でございます。  
  • もう一つあります。これは、現実に数年前に九州で起きた事件でございます。登記事件の場合にはよく住所とかあるいは姓名が婚姻等で変わったということで、名義変更というのが前提である場合が多いです。いわゆる現在の所有者の実態に合わせるという意味で、住所変更とか名称の変更とか。この名義変更登記、それから引き続いて抵当権等の抹消登記、その次に、きれいになったところで所有権の移転登記、それから所有権の移転を受けるために新たに銀行から借り入れを起こすことを原因として担保権の設定。したがって、名変、抹消、移転、設定、こういう連件事件というふうに言っておりますけれども、これを受ける場合があるのです。これがよくあるのです。  
  • それで、名義変更をする人が甲、したがってA銀行から金を借りていた、抵当権をつけていた。そのA銀行と甲の間で担保権の抹消登記。それからこの甲と今度は権利者、買い主の乙、甲と乙との所有権移転。そして乙はB銀行からかあるいはあわせてC公庫からお金を借りて、この所有権移転登記を受ける物件の代金の支払いに充てた。したがって、設定登記を銀行や公庫のためにしなければならないという義務が発生する。この一連の連件事件の中で、こういう事例が現実に起こりました。
  •  それは、この連件事件に関係する当事者は、甲、乙、A、B、C、この五者がそれぞれ司法書士にそれぞれの登記の委任をいたしました。それで、司法書士はその実体関係をよく把握をして、登記所に連件事件として提出をした。その後、A銀行に対しては抹消しなければならない甲が二百万円A銀行に支払って、そうして担保権を抹消してもらいたいと言った。ところが、実際に乙から入ったお金が百五十万で、五十万足りなかった。しかし、すぐお持ちしますからということで、実はA銀行の担当者は委任状を交付してしまった。ところが、すぐ五十万持っていきますと言ったのだけれども、その甲が来なかった。したがって、A銀行では待って、ある一定のタイミングで判断をして、これは我がA銀行の利益が害されるということで、甲を呼んで二人でもって登記所へ行った。そうして、我々はA司法書士にはもう委任の終了を告げてきた。したがって我々は当事者だ。A司法書士から提出された委任状に実印を押してあるけれども、A銀行は実印を持ってきた。その場合には実印は要らないかな、担保権の抹消だから要らないかもしれません。いずれにしても、A司法書士には委任の終了を告げてきた。したがって、我々はこの抹消登記については本人が二人で出頭したのだから取り下げてもらいたいと言った。登記所の判断では、それは取り下げたのです。
  •  そうなりますと、この取引というのは物すごく混乱します。特に、所有権移転を受けるべき買い主の乙は、担保権が抹消されたものを所有権移転を受けるというふうに当然理解していたものが、結果的に登記が済んでみて登記簿を確認してみたら、あるいは権利証の裏に担保権設定という印が押捺されていた。こういうことになると、特に乙の権利が害される。乙に金を出したB銀行、C公庫の権利も脅かされる。これはどこから来るかといえば、同じように不登法上登記代理権に関する規定が全く整備されてないものですから、結局民法百十一条の第二項、要するに法定代理人あるいはまた会社の代表取締役の代表権、いわゆるこういう代理権とは違って委任による代理権ですから、この場合でいえば甲とA銀行が司法書士に対して、委任による代理権だからもう委任による代理権はこれで終了しました、このように一方的に通告すれば、通告される方の司法書士は、いやそれは困る、委任はまだ終了していないことにしてくれとは言えない。これは要するに、そういうことから来る取引の混乱の典型的な事例です。それからもう一つは、これは権利者の権利が害されるという典型的な事例でございます。  私の承知しているのは九州の数年前の事件でございますけれども、全国的にはこういう事件が皆無だとは言い切れません。それはもっとあるかもしれません。民事局長さん、それから審議官、これも要するに登記代理権をいつまでも不明確なままに、ということはすなわち不動産登記法上にいつまでも登記代理権の明定をためらっていたり、それを避けようとしていたりすれば、これは年月がたてばたつほど、時代が進展すればするほど高度、複雑そして多岐にわたる不動産登記の実態になっていくわけですから、激増するわけですから、手おくれになりかねませんよ。あるいはまた、そういう経済取引社会の秩序というものを根底から脅かすことになるんじゃないでしょうか。  したがって、こういう観点からも、不動産登記法をブックレスシステムへ百年ぶりに大変革の時期を迎えて、移行させるためのいわば第一次の不登法の改正法案が今出されたのですから、この機会に登記代理権の明確化と、それからそれと密接に関係する、あるいは表裏の関係にある登記代理人の法制化ということも、余り等閑視するとは言いませんけれども、要するに我が国の不動産公示システムを主管をする、所管をする法務省、そして民事局という立場において、もうちょっと問題意識を厳しく持たれるべきではないのでしょうか。私は、このことを強く申し上げたいと思うわけでございます。したがいまして、局長から、そして審議官から先ほど御答弁をいただきましたけれども、私はこういう観点から我が国の公示制度というものを一層発展をさせ、充実させ、そして国民の皆さんから登記というものは、あるいは登記制度というものは本当に、それは確かに公信力は与えてないけれども、ただ単なる第三者対抗要件しか付与されていないけれども、登記をすれば安心なんだという国民の強い信頼感というものをこの我が国の公示制度がかち得ていかなければならないという観点から、私は林田大臣に、この登記代理権、司法書士、そしてまたこの登記代理概念の明確化というものを法務省の一つの重要な検討課題と位置づけられて前向きに御検討いただければ大変ありがたい、よいことではないだろうか、こう存じてお伺いするわけでございますが、ぜひ大臣から前向きな御答弁をいただければと存じます。
  • 161 藤井正雄発言URLを表示○藤井(正)政府委員 ただいまの先生が挙げられました事柄は、登記の代理権を資格者に限定するかどうかという問題とはまた別の問題であろうかと思います。つまり、この場合における委任あるいは代理の終了事由がどうであるのか、あるいは委任の解除の自由があるのかどうか、こういう問題につながることではなかろうかというふうに考えるわけでございまして、個別の法律に特別の規定がなければ民法の規定が適用されるということになりますから、当事者が死亡すれば死亡により代理権は消滅する。しかし、結果なされた登記の効力をどう判定するかというのはまた別の問題であるということで、先ほどのような判決の結論に至るものではなかろうかというふうに考えます。また、委任の解除が自由であるのかどうか、民法の委任の規定がそっくりそのまま適用されるのかということになりますと、お話しのような売り主と買い主との利害が結びつき合って相互に関連をしているようなときにはこの解除の自由が制限されるという解釈が一般にとられておるようなことでございまして、そのような委任に関する民法の解釈がこの場合に適用されていくのではなかろうかというふうに思っております。
  • 162 山田英介発言URLを表示○山田委員 局長、僕はそういうことを伺っているのではないですよ。僕の言っていることを全然御理解いただいていないようなんですけれども、繰り返して言うことは避けますが、そういうことを私は御答弁いただきたいと思っているのではないのです。そうではなくて、もっと大方針にかかわる問題なんです。あなたのおっしゃっているのは枝葉末節のことなんです。もっと大きく、不動産登記システム、制度の意義というものをもうちょっと大きくとらえた上での御答弁をぜひお願いしたいと私は思います。結構です、局長さん。大臣ひとつ。
  • 163 林田悠紀夫発言URLを表示○林田国務大臣 登記というものが第三者に対する対抗要件、こういうことで位置づけられてきまして、今まで伝統的にそういうことになってきておるわけであります。しかしながら、時代が進んでまいりまして不動産の価値の重要性というものが非常に大きくなってきておりまして、登記によりまして不動産そのものを知りたい、あるいはまた商業登記は特にそうでありまするが、会社の実態を知りたいとかそういうことになり、登記というものが非常に重要になってきておると存じます。そういうときに当たりまして登記の持つ根本的な性格をどういうふうに考えていくかということが重要な問題であると存じまして、これからさらに検討を深めてまいりたいと存じます。
  • 164 山田英介発言URLを表示○山田委員 ですから、こういうふうに理解してよろしいのでしょうか。要するに、登記の真正確保ということは不動産公示制度の極めて根幹にかかわる大きな理想であり、理念であり、目的である。それを確保するためには、現在各制度が抱えているいろいろな弱点とか欠陥とかいうものをカバーしていく手段というものを考えなければいけない。それはきっと幾つかあるのだろう。その中の一つが登記代理の概念の明確化であり、その一つがまた登記代理人の方法である。それだけとは言わない。幾つかあるだろう。しかし、現時点でそれもその中の検討課題の一つであることはそのとおりだろう、こういうふうに理解してよろしいのでしょうか。一言、済みません。
  • 165 林田悠紀夫発言URLを表示○林田国務大臣 私の言わんとするところを先生が皆おっしゃっていただきました。まことにそのとおりだろうと思います。さらに検討してまいりたいと存じます。
  • 166 山田英介発言URLを表示○山田委員 さっき民事局長さんの御答弁の中で、弁護士会とあるいは業際問題にまで紛争が激しくなってしまうかもしれない、それがいわゆる司法書士に登記代理権を与えることのできない一つの理由として局長はおっしゃいました。  では、今例えば司法書士団体、日本司法書士会連合会と日弁連、弁護士の集団の執行部の皆さん、あるいは執行部だけとは限りませんが、いろいろなお話し合いがなされておる。お互いに法律事務あるいは法律関連事務、膨大な需要があるわけですから、それをひとり例えば弁護士の皆さんだけでとてもとてもすべてをカバーすることはできない。そこに登記事務を中心として司法書士の一つの法律事務あるいは法律関連事務の担当分野というものがある。その交流といいますか、いろいろな話し合い、研究、勉強会の中で、仮に登記の分野については、これは司法書士が専門的な知識を有し、歴史も持っておる、この分野については例えば不動産登記法上に登記は司法書士ならざれば代理人となることを得ず、あるいは加えて、ただし他の法律に別段の定めがある場合は除くというようなことで、仮にそこである程度理解ができたと仮定して、仮定の問題、そういう話し合いというものはものすごく大事でございますから積み上げていく、そこに信頼関係が出てくる、お互いがお互いをよく理解していくこともできてくるというその延長線上、その結果として局長のおっしゃる業際問題というものが激化するのじゃなくて、それが本当にお互いの理解の中で不登法の中に登記代理権という形であるいは代理人という形で司法書士が原則的に、基本的に規定されていくことは、まあそういうことだろうということになった場合には、これはどうなんですか。局長さんのところではそのときにはどういうふうにするのですか。
  • 167 藤井正雄発言URLを表示○藤井(正)政府委員 業際問題は一つの理由として申し上げたわけでございますが、それでも弁護士団体と司法書士団体との間で話が仮についてそこが解決したとなりますと、それは一歩前進でございます。それ以外の団体あるいは国民の世論の動向を考える上での、一つの重要な材料にはなろうかと思います。
  • 168 山田英介発言URLを表示○山田委員 局長がおっしゃる国民のコンセンサスができていない。それができてくれば、裏にして読めば国民のコンセンサスができてくれば、司法書士登記代理人の法制化あるいは登記代理権の概念の明確化ということはできるわけですね。やろうというつもりである、裏返して読めばそういうことですから、国民のコンセンサスがないから現時点では無理ですとおっしゃるのですから、国民のコンセンサスができてくれば、不登法上に司法書士、登記代理人、あるいは登記代理権の概念の明確化ということはできるというふうに受け取らざるを得ないわけですが、その点ちょっと確認をさせていただきます。
  • 169 稲葉威雄発言URLを表示○稲葉政府委員 そういう独占性を与えるということになると、それは何らかの公益上の必要性が要るということになろうかと思います。そして、それは多分登記の信用を確保するということになるのだろうと思いますが、一方では、国民の間では、非常に登記権利者と登記義務者が知り合っている、そしてよくわかっていて、それが非常に私的な関係で信頼する第三者に登記の代理をさせるということを禁止する。先生は先ほど、そういうときには教えてもらえばいいじゃないかということをおっしゃいましたけれども、本人申請の形をとらなければならないのだ、そういう私的な場合において、当事者の信用は当事者間で考えてみれば全く害されるはずはない。確かに司法書士を登記代理人に選任すれば、それだけ当事者の権利は守られるというふうに私ども考えておりますし、そのことは望ましいことだというふうに思っておりますけれども、当事者がそういうシチュエーションにない場合にあえてそういうことをさせるということのコンセンサス、国民の理解が得られるかどうかということは、今後慎重に検討してまいらなければならないのではないかというふうに思っております。
  • 170 山田英介発言URLを表示○山田委員 今あなたがおっしゃったコンセンサスも含めて、コンセンサスが得られればやるということでしょうかと聞いているのですよ。そうとらざるを得ないでしょう。
  • 171 藤井正雄発言URLを表示○藤井(正)政府委員 そのような意味での国民的合意が得られたならば、おっしゃるようになるであろうと思います。
  • 172 山田英介発言URLを表示○山田委員 今審議官が私のさっきの発言を引いて、それではそれは知識のある人に教えてもらえばいいじゃないか、頼まれた人の申請行為を締め出すということはよくない。それはそれなりの理屈はあると思います。ただ、皆さん弁護士法と横断的に論じられるのですから、僕も横断的に論じれば、例えばそれは登記所長の許可を得てやることができる、これは閉ざしていることにはなりません。それだってできるじゃないですか。
  • 173 稲葉威雄発言URLを表示○稲葉政府委員 もう一つの問題は、訴訟行為と登記申請行為と同視できるかどうかということでございまして、訴訟行為の場合には一つは連続的なかなり長期にわたる行為であるということと、それから裁判所が迷惑するということがあるわけでございます。裁判所が迷惑するということは、訴訟遅延を通じてほかの関係人が迷惑する、こういう論理構成で専門家に頼みなさいということをやっているのだろうと思いますが、それと同じことが登記申請の場合に完全に言い切れるかどうか。かなり一回的な行為であるということもございますし、専門性の程度というものあるいは登記所の迷惑の程度というものもいろいろ考え方があり得るだろう。そういう点が、先ほど先生がお引きになった登記代理権の終了事由と申しますか、そういうものの明確化について必ずしも訴訟法と同じようなやり方ができるかどうかということの判断にも結びつくわけでございまして、そういう問題があるということだけ申し上げておきたいと思います。
  • 174 山田英介発言URLを表示○山田委員 こう言えばこう言う、ああ言えばこう言うであれなんですけれども、結局、簡易裁判所において非弁護士でも訴訟代理人になれる。しかし、実際の運用では、極めて限られた例外を除いては本人申請あるいは結局弁護士を訴訟代理人に頼まなければならぬ。それは裁判所の運用なわけでしょう。要するに許可するかしないかですから、許可を得てだから、しなければ簡裁でも訴訟代理人になれないのです。実態は、要するに本人訴訟かあるいは弁護士に訴訟代理人になってもらうかしかない。実態はそうなっているということを僕は申し上げました。  
  • それでは、今度は訴訟の代理の場合と登記申請手続の代理の場合とは、いわゆる稽留するというのでしょうか、要するに事案がそこにとどまる期限が長いとか短いということを基準にして分けられましたけれども、長ければどうなのか。登記申請は確かに一般的に考えて訴訟事件と比べれば短く完了するでしょう。しかし、訴訟期間が長いからといってそれはできるだけ弁護士に、こっちは短いからといってそれは別に構わないじゃないか、一般の国民で頼まれた者がやるということを許しておいても構わないじゃないか、そうはならないでしょう。そういう理屈だけでは私はよく理解できないわけでございまして、そうではなくて、不動産登記というのは確かに申請手続そのものは一定の様式に従ってやれば済むことですよ。しかし、その実体関係というものに目を転じてみたら、これは実に莫大ないわゆる経済的な価値、価額というものが移動するわけです。それほど国民の基本的な財産権というものを動かすわけです。 ただ単にAからBに初めて何千万円でこの土地を売ったという登記だけじゃないわけでしょう。そういう登記の申請書の作成とかいうことは、なるほど審議官おっしゃるように一定の知識があればできることでしょう。しかし、それでもって非司法書士でもどうしてもやらせる道をあけておかなければならぬとするには、余りにもそれは我が国不動産取引の世界における実態に目をつぶった、そして実体関係を間違いないものに調査をして登記簿に反映させるという観点からしたら、それは非常に目をつぶられた、そういう立場における御答弁に思えてなりません。したがって、登記代理権というものの概念の明確化、これは取引の混乱を防止する、権利者の権利を守るという要請からして必要である。  それから、冒頭私が十問ぐらいのやりとりの中で確認をさせていただいたように、国が司法書士法を制定してそしてその登記申請手続を司法書士に代理をさせるということ、さっき独占的にと申し上げましたが、業としては独占的に司法書士に取り扱わせることにしたのは、まさに国が、この不動産の取引については相当の法律的な素養を持ち、あるいはまた能力を持つそういう有資格者に扱わせることがかえって国民の利益となり、あるいは権利保全のためによろしいことなのだという発想のもとで司法書士法というものを置かれたということからしても、この制度の発展あるいは制度の改善、補強というような立場からこの問題を考えたときには、それは実際に法律を変えるなどということはいろいろ難しいことはあるのでしょう。これは大変な作業であり、そしてまた一つ一つに大変難しいことであるということは、私もまだ三期しか当選したことはありませんけれども、それはここに身を置いて活動していてよくわかります。  ただ、私が心から申し上げたいことは、大変だ、あるいはいやそれはということで、できないできないできない、これが問題だ問題だ問題だだけを幾ら指摘をしても、実際にこの我が国の不動産公示制度は一歩も前へ出ないということになります。したがって、できないできない、難しい難しい、こうだからああだからだめなんだという、そういうことではなく、それは私の言っていることも随分乱暴なこともあるのかもしれません。私は、でも自分で勉強してみてこういうことなんだなと思うから申し上げているわけですが、皆さんが聞いていて、それは乱暴だよ、無理だよというのがあるのかもしれませんよ、それは。けれども、それだけを指摘するにとどまっていたら、我が国の不動産公示制度というものが前進するのですか。それだったら、もしそうおっしゃるのであれば、私は民事局長さんにも、それから稲葉審議官にも、我が民事局は不動産公示制度をより一層前進させるためにこういうプランを持っておりますということを私の前で国民の前に提示してもらわなきゃならない。それすら出ていないじゃないですか、具体的に。そして私が申し上げていることを一つ一つ、これは難しい、これはこうだ、こっちの角度から見ればこうだ、それでは私はいかがなものかな。  残り時間あと三分ですけれども、もしあるのだったらおっしゃってください。なければ結構です。今言えないというのだったら結構です。ただしかし、私は少なくとも我が国の公示制度を本当に中身のある、権利変動の真実を反映した登記というものを実現するために、ひいては国民の信頼というものを一層登記制度にかち得ていく、そういう目標のもとに少なくとも今登記代理人制度というものを考えなきゃならぬのじゃないですか、あるいは代理権限の概念を明確化しなければならないんじゃないですかと私は具体的に申し上げている。  
  • きょうは時間がありませんから、私また次の定例日の審議のときにあと質問をさせていただけると部会長から伺っておりますので、またそのときに伺いたいと思いますけれども、ひとつ公示制度を充実させ、前進させるために法務省がこれとこれとこれをやりたいというものがあったら、ぜひ示していただきたい。なければ私どもの言うこともやはりそれなりの立場で、それなりの姿勢でお受けとめいただかなければ困るのじゃないか、私はそのように思うわけでございます。私は、実はそういうことで質問を二日に分けてさせていただく機会をいただいておりますから、きょうはこの登記代理権とそれから代理権限の明確化というテーマが一本、それからそれに関連をしますけれども、我が国の登記制度の本当に根幹として要求されている登記の真正確保のためにはどうしたらいいかという、この部分についてもう一本やろうと思いましたけれども、前者の一本だけで大体時間でございますので、次の審議のときにぜひ残余の質問はさせていただきたいと思っております。  
  • 私の質問を終わるに当たりまして、大臣に今までの民事局長さんあるいは稲葉審議官さんとのいろいろなやりとりをお聞きいただいていて、大臣からひとつ我が国登記制度発展のための御決意と、それからまたその最も内側にいてこの制度を登記官とともに支えている、一方の当事者となっている司法書士の将来について、法務大臣ひとつさらにこの司法書士職能団体をぜひ見守っていただきたいし、いろいろとまた御指導もいただかなければならぬでしょう。そしてまた、いろいろと将来この不動産登記制度というものを前進させるためにともどもにやっていかなければならない部分も当然あるわけでございますので、そういうような観点も含めて御決意並びに御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。大臣、一言どうぞお願いします。     〔井出委員長代理退席、今枝委員長代理着席〕
  • 175 林田悠紀夫発言URLを表示○林田国務大臣 登記制度が不動産の価値の表示、またいろいろな契約の上におきましても極めて重要なものであるということを、さらに認識を深めたのでございます。先生方の今朝来のいろいろな議論によりまして、司法書士の制度につきましても、これまた登記を行うに当たりまして登記が真正な登記として行われまするために極めて重要な制度であるということも認識をした次第でございまして、司法書士法におきましては、ほかの法律で規定してある場合は別といたしまして、司法書士でなければ登記の代理を業務として行うことはできない、かように書いてあるわけでありまして、司法書士は極めて重要な仕事を行っていただいておるということであろうと存じます。さらにこれから登記につきまして研究を深めてまいりまして、その際におきまする登記の代理制度につきましても検討を深めてまいりたいと存じます。
  • 176 山田英介発言URLを表示○山田委員 終わります。どうもありがとうございました。

内閣府規制改革推進に関する答申案メモ

第13回規制改革推進会議

令和4年5月27日(金)

1.規制改革推進に関する答申(案)について

(資料)

資料1 規制改革推進に関する答申(案)

資料2 規制改革推進に関する答申(概要)

資料3 規制改革実施計画のフォローアップ結果について

参考資料      再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/220527/agenda.html

規制改革推進に関する答申(案)~コロナ後に向けた成長の「起動」~

令和4年5月27日規制改革推進会議

 総論 ………………………….. …………. 1

1.はじめに ………………….. .. 1

2.基本的な方向性 …………………… 1

3.審議経過等 …………………………… 6

4.本答申の実現に向けて……………………… ………… 7

5.次のステップへ ………………………… 7

Ⅱ 各個別分野における規制改革の推進 各個別分野における規制改革の推進 各個別分野における規制改革の推進 ……………………. 8

1.分野横断的な新た取組…………… ……… 8

(1)多様でフェアな社会の実現に資する技術者等の要件見直し…… .. 8

ア 建設業における技術者の資格要件見直し………………. …. 9

イ 下水道分野における技術者の資格要件見直し ………………. 10

ウ 水道分野における技術者の資格要件見直し………………….. 10

エ プログラム医療機器(SaMD)の開発に関する等総括製造販売責任者資格 要件の見直し …………….. ……………… 10

(2)ローカルルールの見直し…………… .. 11

ア 介護分野におけるローカルルール手続負担の軽減 ………… 11

農地転用許可制度における運用のばらつき解消……………….. 13

ウ 地方公共団体等と事業者の間の手続における「ローカル」解消…… 14

(3)規制改革関連制度の連携………………………. . 14

2.スタートアップ・イノベーション…………………… 16

(1)スタートアップに関する規制・制度見直し……….. …. 16

法人設立手続の迅速化・負担軽減…………… 16

イ エクイティの柔軟な活用を可能とする制度見直し……….. 18

経営者保証制度に関する取組…………………… 18

エ 事業成長担保権の創設・整備について……… 18

オ 新技術・製品開発を促進するための政府調達手法の整備………. 18

カ 海外人材の活躍に資する制度見直し…………. 19

(2)常駐・専任規制等の見直し………………….. 19

・ 生産性向上に資する建設業における技術者等の配置・専任要件見直し… 19

(3)電力・都市ガス高圧の分野における保安のテクノロジー化(スマート保安………. 20

(4)イノベーション促進に向けた日本の技術基準適合証明の見直し… 20

(5)デジタル社会に対応したセキュリティトークン市場の環境整備. … 21

(6)デジタル時代におけるコンテンツの円滑な流通に向けた制度整備…… 22

(7)MaaS推進も見据えたバス事業者の申請オンライ化及びGTFS-JP普・促進…. 24

(8)電力データ活用による新たな付加価値創造…………….. 25

(9)イノベーションや地域の課題に応えるラストワマイル配送実現….. 25

(10 )DXを通じたタクシーの利便性向上………… 26

(11 )Society 5.0の実現に向けた電波・放送制度改革の在り方について……… 27

ア 電波の有効利用………… 27

イ デジタル時代における放送制度の在り方ついて……………….. 27

(12 )調停による和解合意に執行力を付与し得る制度の創設等ついて….. 29

(13 )老朽化や被災した区分所有建物の再生円滑に向けた規制改革の推進…………. 30

(14 )美容師の養成在り方…….. 32

(15 )重点的にフォローアップ取り組んだ事項………………. .. 33

・ 資金移動業者の口座へ賃金支払……………. …………….. 33

3.人への投資 ……………….. 34

(1)個に応じた学びを大切する、社会開かれた初等・中等教育… 34

ア 誰一人取り残されない、デジタル活用を前提とした個別最適な教育… 35

イ 外部人材の積極活用を通じた社会とつながる質高い学び実現…….. 36

(2)グローバルなイノベーションを育む高等教育………….. 39

ア イノベーションの芽を育む大学設置基準等.. 39

イ 社会変革を促す新しい学究を支える環境整備……………. 41

(3)柔軟な働き方の実現に向けた各種制度活用・見直し……….. 41

ア 労働時間制度(特に裁量)の見直し……….. 41

イ 既存の各種制度活用・拡充………………….. 42

(4)個人の自律的・主体的なキャリア形成の促進…………… . 43

ア 職務等に関する労働契約関係の明確化…. ………. 43

イ 多様な働き手の長期的キャリア形成に向けた能力開発支援….. 44

ウ 求職者等のニーズに応える業関連情報提供…………….. 45

エ 産業界や地域の実情に即した学び直しや能力開発の実現に向けた支援… 45

(5)求人者と職のマッチングに資する取組…. 46

ア 雇用仲介制度の見直し………. 47

イ 求職者等のニーズに応える職業選択関連情報の提供………… 47

(6)育児休業の取得促進……… 47

(7)保育士及び所の在り方(保育の質向上) ………….. 48

(8)養育費の確保に向けた取組…………………. 49

(9)放課後児童クラブにおける入所決定の在り方…….. . 51

(10)重点的にフォローアップ取り組んだ事項.. 51

・ 大学等における多様なリカレント講座の開発促進…….. 51

4.医療・介護感染症対策…… 52

(1)新型コロナウイルス感染症に係る在宅での検査等の円滑化………. 52

ア 質の確保された抗原定性検査キットの利用環境の整備……….. 53

イ 新型コロナウイルス感染症の検査・診療体制の整備…………. 54

(2)医療DXの基盤整備(在宅でや健康管理充実)………… 54

ア オンライン診療・服薬指導の更なる推進…… 54

イ 電子処方箋の普及及び医療分野における資格確認・本人の円滑化….. 57

ウ 患者のため医薬品アクセスの円滑化………. 58

エ 家庭用医療機器において兆候を検出した疾病名の表示…………… 59

オ 医療機器等の広告規制の見直し……….. 59

(3)医療DXを支える医療関係者の専門能力の最大発揮…………60

ア 薬剤師の地域における対人業務の強化(物物業務の効率)….. 60

イ 医療人材の不足を踏まえたタスクシフト/タスクシェアの推進.. 61

ウ 地域医療構想調整会議の透明性の向上等…… 61

エ 社会保険診療報酬支払基金等における審査・業務の円滑化.. 62

オ 医療現場の負担軽減のための手続のデジタル化等…………… 62

(4)質の高い医療を支える先端的な医薬品・医療機器の開発の促進… 63

ア プログラム医療機器(SaMD)に関する承認審査等の見直し.. 63

イ プログラム医療機器(SaMD)の開発に関する医療機器製造業規制等の見直し… 64

ウ 創薬等に向けた医療データの利活用促進.. 64

エ 治験の円滑化………. 65

(5)利用者のケアの充実が図られ専門職が力を発揮できる持続的な介護制度の構築.. 65

ア 特定施設(介護付き有料老人ホーム)等における人員配置基準の特例的な柔軟化… 66

イ 特別養護老人ホームにおける施設内の医療サービス改善……….. 66

ウ 介護分野におけるローカル等よる手続負担の軽減【再掲】…… 67

(6)その他………… 68

・サービス付き高齢者向け住宅における有資格等の常駐要件見直し….. 68

5.地域産業活性化 ………………. 69

(1)個人事業主の事業承継時の手続簡素化………… 70

(2)地方経済の課題解決や地方創生に資する民泊サービスの推進…… 71

ア 地方における住宅宿泊管理業の担い手確保.. 71

イ 申請手続の簡素化・オンライン化の推進等.. 71

(3)農業者の成長段階に応じた資金調達円滑化. 72

(4)農地利用の最適化の推進… 73

(5)農業用施設の建設に係る規制の見直し ……. 74

(6)農地の違反転用等の課題………… 75

(7)トラクターの公道走行に係る手続の簡素化…………. 77

(8)牛乳・製品の生産流通に関する規制改革. 78

(9)畜舎に関する規制の見直し………………. 80

(10)林業の成長産化に向けた改革の推進………. 81

ア 森林経営管理制度……… 81

イ 国産材の利活用……….. 82

ウ 高性能林業機械の導入促進……………… 83

(11 ) 改正漁業法の制度運用(資源管理)………… 85

(12 )漁業者の所得向上に向けた漁協のガバナンス強化……. 86

(13 )水産流通適正化法の制度運用等……………. 89

6.デジタル基盤 ………………….. 91

(1)社会のデジタル化基盤整備…………………….. 91

ア 5G等の普及拡大に向けた取組………………… 91

イ インターネットバンキングの利用促進………. 93

ウ 企業の会計務におけるデータ流通促進……… 94

エ 金融商品取引における書面交付原則のデジタル原則化….. 96

オ 船荷証券の電子化……… 97

公正証書の作成に係る一連の手続のデジタル化.……… 97

自筆証書遺言制度のデジタル化.………………. 99

ク 株主総会資料のオンライン提供の拡大…….. 100

(2)行政手続デジタル化の基盤整備…………… 101

ア 共通基盤の整備………. 101

イ 情報連携基盤の整備…. 103

ウ 情報システム調達を通じたデジタル化の推進………….. 104

(3)行政手続のオンライン化の推進…………….. 105

ア 行政手続のオンライン化の推進……………… 105

イ 性質上オンライン化が適当でないとされた手続の検証……. 107

ウ 地方公共団体等と事業者の間の手続の標準化・デジタル化…… 108

(4)行政の手続におけるキャッシュレス化の推進…….112

(5)行政手続におけるオンライン利用率を大胆に引き上げる取組の推進….113

オンライ利用率を大胆に引き上げる取組の推進…..113

(6)司法手続におけるデジタル化の推進…………. 123

ア 民事訴訟手続のデジタル化……. 123

事件手続及び民事保全、執行、倒産手続等のデジタル化… 124

ウ 刑事手続のデジタル化. 126

(参考資料1)…………….. 128

規制改革推進会議委員及び専門名簿………………. 128

(参考資料2)…….. 130

規制改革推進会議及びワーキング・グループの審議経過…….. 130

Ⅰ 総論

1.はじめに

規制改革推進会議(以下「会議」という。)は、経済社会の構造改革を進める上で必要な規制の在り方について、総合的に調査審議する内閣総理大臣の諮問機関であり、常設の機関として令和元年10月24日に設置されて以降、令和2年7月2日、令和3年6月1日にそれぞれ審議の結果の取りまとめを行っている。

本答申は、前回の取りまとめ以降、約10か月をかけて取り組んできた規制改革項目について、審議の結果を取りまとめたものである。

2.基本的な方向性

(1)規制改革推進会議の役割

政府は、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトにした新しい資本主義の実現に向けたビジョンを示し、その具体化を進めるための検討を行っている。こうした中で、規制改革推進会議の役割は、国民の声や産業界から具体的に要望のある個別課題にスピーディかつきめ細かく対応し、個別具体的な規制・制度を見直していくことで、成長と分配の好循環の起爆剤となる成長を実現していくことである。

成長が好循環の起爆剤となるためには生産性向上が不可欠である。生産性向上の制約要因となる規制・制度について、イノベーションの進展も含めて、その時々の経済社会の状況に応じて不断の見直しを行うことが必要である。特に、デジタル時代の経済社会の変化は予想が困難で劇的かつ急激なため、そうした目まぐるしく大きな変化を素早く察知し、適切かつ柔軟に対応することが必要であり、特定の技術・手段などを求める画一的で「事前型の規制・制度」から、技術中立的でリスクベース・ゴールベースの柔軟な『事後型の規制・制度』への見直しを進めていかなければならない。すなわち、そのような事後型の規制体系への見直しを通じて、新しい技術の登場やその活用、イノベーションの社会実装を促進し、付加価値の高い新製品・新サービスの創出と市場への浸透による、新たな成長産業を創出していくべきである。

また、旧態依然とした規制・制度を見直し、「場所」や「対面・目視」などの物理的な制約や非効率的な手順・作業から人々を開放するとともに、既に一部の分野において人間の能力を上回っているデジタル技術等を活用し、事業活動の生産性向上や消費者の利便性を向上させることにより、「人」が生み出すことのできる付加価値や活躍の機会を増やしていくべきである。同時に、社会のデジタル化や知識経済化が急速に進展する中で、「無形資産」の重要性もますます高まってきており、研究開発などのイノベーション活動に必要不可欠な人的資本への投資を積極的に行っていかなければ、我が国の国際競争力を高めることはできない。

これらの目的を果たすためには、単に規制・制度を形式的に見直すだけではなく、改革の成果が国民に浸透する段階まで見据えて取り組んでいかなければならない。現場の声を拾い上げるとともに、現場まで改革の成果を届ける双方向の「コミュニケーション」により、国の規制・制度の見直しだけでなく、自治体の現場での運用、民間のルール・慣習などを含め、改革を実行していく。

これまで、本会議では、イノベーションの社会実装に向けたFinTech(フィンテック)やモビリティの分野に関する規制や慣行の見直し、農業者や漁業者が出荷先を自由に選べるようにするための制度や慣行の見直し、産業医の常駐・兼務規制の見直しなどに取り組んできた。また、デジタルに関しては、行政手続等に関して、押印を義務付ける手続、書面の作成・提出等を求める手続、対面や出頭を求める手続などの見直しを進め、行政手続において約99%の押印義務の廃止、オンライン化されていない行政手続の約98%を令和7年までのオンライン化方針、オンライン診療・服薬指導に関する新型コロナウイルス感染症を受けた特例措置の恒久化、オンライン教育に関する規制・制度の見直しなどを実現してきた。このように本会議では、現場のニーズに即した個別具体的な改革に取り組むとともに、それらの改革事項のフォローアップを丁寧に行い、規制所管省庁による確実な実行・実施を求めてきた。

(2)分野横断的な新た取組み

会議では、分野横断的な新たな取組として、資格要件の在り方やローカルルールの見直し、規制改革関連制度の連携に関する実施事項を本答申に盛り込んだ。具体的には、次のとおりである。

◆地方の人手不足や「人」活躍に資する資格要件の見直し

技術者や士業等の資格取得については、試験や学歴・実務経験等が要件として定められている場合が多い。これらの要件は、受験資格として実務経験を求めつつ学歴によって必要な実務経験年数が異なるものや、試験ではなく学歴と実務経験によって資格を取得できるが、大卒・高卒等の学歴や卒業した学科によって必要となる実務経験年数が異なるものなどに類型化することができる。

卒業人数が限られている指定学科卒者の採用が中小企業にとっては困難であることに加え、早期に資格を取得したい優秀な若手技術者や他業種から中途採用した人材のキャリア形成の妨げになっているとの指摘がある。その他、指定学科の卒業者と指定学科以外の卒業者に大きな差はないとの意見もある。さらに、フリーランスや兼業・副業等も含め、働き方の多様化により、有資格者の雇用環境も変化してきている。

また、ここでいう「学歴」については、様々な資格において、文部科学省所管の学校教育法における大学(院)・短大・高等専門学校(いわゆる高専)を念頭に制度が設計されており、これ以外の教育施設であるいわゆる「省庁大学校」などは含まれていないケースもある。地域によっては、資格が指定する学科を置く大学等が所在していないこともあり、こうした取扱いの差についても、地域の実情も踏まえ、行政の縦割りを超えた検討を進めていかなければならない。

こうした資格要件には、制度の制定当初は一定の合理性があったと考えられるが、技術の進展、雇用形態の変化、地方や中小企業の人手不足、「人」の活躍といった観点など、その時々の経済社会の変化を踏まえ、不断の見直しが求められる。業界や資格によって資格を取り巻く状況やその取得要件は様々であるところ、横串で一気通貫の見直しを行うことは困難な側面もあると考えられるが、学歴によって差を設けることについて必ずしも合理的かつ明確な理由がないものについて、本会議における先行的取組を横展開しつつ、分野横断的に一つ一つ見直していくことが必要である。

◆事業者等の負担軽減を図るためローカルールの見直し

各種様式や法令の解釈・運用に地域ごとにばらつきが存在し、これが国民や事業者 の負担になっているという、いわゆる「ローカルルール」問題が指摘されている。

地域ごとのばらつきにいては、企業活動・形態の広域化・多様化の進展に加え、 コロナ禍を契機とした社会全体のデジタル化の要請と相まって、特に地方公共団体ごとに異なる 書式・様式等の課題がこれまで以上に顕在化してきている。

また、行政手続上の書式・様等違いだけでなく、各種制度の運用面のばらつきの問題も指摘されている。特に、法令や審査基準の根拠が不明確なローカルルールは、地方公共団体の行政区域を超える事業活動を行う企業等にとって負担なだけでなく、各種制度や行政に対する不公平感や不信感を助長することにもつがりかねない。

国と地方の役割分担中で、「最後は自治体判断」であることを前提とする結果、かえって国民・事業者の負担が増大し、利便性が損なわれることがあっては本末転倒である。

分権化すべきは政策であって、書式・様式等の業務の細目ではない。運用面のばらつきについても、法令、審査基準等の根拠を明確にしていない、理解不足又は  誤った解釈により制度が運用されている等の不適切な事例について、制度周知を徹底するなど、その解消を図っていかなければならない。

こうしたローカルルールについては、企業活動の広域化や行政手続のデジタル化の進展も踏まえ、手続様式の標準化、法令解釈や法令の趣旨を踏まえた運用の適正化・精緻化といった必要な措置を講じていく必要がある。

地方自治化を尊重しつつ、地方における規制改革を推進するため、先行事例を横展開し、国とて分野横断的に検討していくべきである。

第五に、デジタル基盤である。人の付加価値向上や生産性の向上を推進していく上で、DXは、その重要な共通基盤となるものであり、分野横断的に推進していくことが不可欠と考えられる。

新型コロナウイルス感染症の拡大により、我が国の経済社会は大きなダメージを受けた一方で、本会議が取り組んできた押印・書面・対面に関する規制・制度の見直しの進展とともに、国民・産業界の意識が劇的に変化し、遅々として進まなかったデジタル化が急速に進むなど、社会の変化の兆しが表れている。

これを契機に、デジタル基盤の整備が立ち遅れる地方も含め、デジタルをデフォルトにし、デジタル田園都市国家の実現を目指す。そして、誰一人取り残されないよう、我が国の基盤となるDXを一気呵成に推し進めるために、デジタル改革・規制改革・行政改革を一体的に推進していく必要がある。本会議としても、デジタル臨時行政調査会と連携して、押印・書面・対面・常駐規制の見直しに取り組み、行政手続のオンライン化・利用率の引上げ、ベース・レジストリの整備・連携やキャッシュレス化の推進、司法、金融、建設等の個別分野のデジタル化、5Gの普及・拡大に取り組み、デジタル基盤の整備を推進する。


「農地法の運用について」の制定について

令和4年3月31日3農振第2887号

https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukei/totiriyo/nouchi_tenyo.html

ア 法人設立手続の迅速化・負担軽減

設立登記申請の4週間前など近接した時期

出資に係る払込み

ウ 経営者保証制度に関する取組

融資相談があっ場合には必ず同保証免除特例制度の基準を満たすかどうか事業者に伝える現行の運用の継続、信用保証協会に倣った経営者保証を徴求しない具体的基準に倣った提示を行うように促す。

法務省、 経済産業省及び内閣府は外国人による創業活動を支援

法人設立手続における英語対応




文部科学省は、スクールロイヤー人材の更なる活用促進を図り

(1)個人事業主の承継時手続簡素化

【可能な限り速やかに法案提出 】

h 農林水産省は、農業現場において eMAFF 地図の活用が進むよう、eMAFFチャットツールを活用



自筆証書遺言保管制度の対象だけでなく、自筆証書遺言全般について

納税者が必要とする課税明細書等

地方公共団体へ技術的助言を行う。


関連

令和4年第7回経済財政諮問会議

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0531/agenda.html

  • 令和4年5月31日
  • 経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)に向けて

国立国会図書館「個人向けデジタル化資料送信サービス」を利用してみる

デジタル化資料送信サービス

、が5月19日から始まっているようです。

国立国会図書館は、令和4年5月19日から、「国立国会図書館のデジタル化資料の個人送信に関する合意文書」(令和3年12月3日)に基づき、「個人向けデジタル化資料送信サービス」(略称:個人送信)を新たに開始しました。

これは、著作権法の一部を改正する法律(令和3年法律第52号)が施行されたことによるものです。この改正により、国立国会図書館はデジタル化した資料のうち絶版等の理由により入手困難なものをインターネット経由で個人に送信できるようになりました。法改正の背景には、デジタル化・ネットワーク化への対応とともに、コロナ禍において、当館や公共図書館、大学図書館等に来館せずに利用できるデジタル化資料へのニーズが、研究者・学生等の個人から高まったことがあります。

サービス概要
当館のデジタル化資料のうち、絶版等の理由で入手が困難なものを、利用者ご自身の端末(パソコン、タブレット、スマートフォン)等を用いてインターネット経由で閲覧できるサービスです。国立国会図書館デジタルコレクションで資料の本文画像を閲覧できます。サービス開始当初は閲覧のみですが、令和5年1月を目途に印刷機能の提供を開始する予定です。

https://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2022/220519_01.html

画像

使ってみる

ここでは、来館、郵送申し込みを除いて、オンライン手続のみ引用します。

利用できる方
国立国会図書館の「登録利用者(本登録)」のうち、日本国内に居住している方が対象となります。登録方法の詳細は、「国立国会図書館の利用者登録(個人)について:本登録」をご覧ください。サービスの利用には個人送信の利用規約に同意していただくことが必要です。

インターネットでの登録手続の拡充
令和4年5月19日の個人送信の開始と同時に、インターネット上で「登録利用者(本登録)」の登録手続が可能になりました。新規登録や、「簡易登録利用者」(旧「インターネット限定登録利用者」。身分証の確認を経ずに登録が可能。)から「登録利用者(本登録)」への移行を希望される方は、ご活用ください。詳細は、「国立国会図書館の利用者登録(個人)について:本登録」をご覧ください。

※サービス開始後しばらくは、利用者登録の手続が混みあうことが予想されます。あらかじめご了承ください。

※既に登録を済ませている方へ(個人送信の利用に当たってご注意いただきたい点)
登録の有効期限にご留意ください。なお、有効期限は、国立国会図書館オンラインへのログイン等で自動的に延長されます。
「簡易登録利用者」の方は対象外のため、サービスの利用には「登録利用者(本登録)」として利用者登録を行っていただく必要があります。「登録利用者(本登録)」の登録を希望される方は、来館やインターネットによる手続をお願いします。インターネットによる手続については、前項「インターネットでの登録手続の拡充」もご覧ください。

国立国会図書館の利用者登録(個人)について:本登録

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国立国会図書館オンラインでの新規登録
国立国会図書館オンラインでの「本登録」への移行
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本人確認完了後、「登録利用者(本登録)」としてご利用いただけます。当館から、本人確認完了をお知らせするメールを送信します。
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本人確認書類として有効なものについては、「本人確認書類について」の項をご参照ください。




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東京本館、関西館への初めての来館時に、「登録利用者カード」の発行手続が必要ですので、本人確認書類を忘れずにご持参ください。

※登録情報は、国立国会図書館オンラインにログインして「利用者情報」画面にアクセスすることでも確認できます。利用者種別は「登録利用者(本登録)」と表示されます。


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また、次のことにより、有効期間はその日から3年後まで延長されます。

東京本館または関西館に入館する。
国際子ども図書館児童書研究資料室に入室する。
「登録利用者カード」の発行を受ける。
国立国会図書館オンラインで「簡易登録」から「本登録」への移行を申請し、手続が完了する。
本人確認書類を提示した上で、利用者情報の変更手続を行う。
国立国会図書館オンラインにログインする。
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ログイン方法や操作方法については国立国会図書館オンラインのヘルプ「8-1利用者情報の変更」をご参照ください。

私は、遠隔複写サービスを利用していたため、本登録を済ませていました。

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対象となる資料の見分け方

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このサービスで利用できる資料は、国立国会図書館デジタルコレクションの検索結果一覧や、コンテンツ閲覧画面中の「公開範囲」に、「国立国会図書館/図書館・個人送信限定」と表示されます。

検索結果一覧
国立国会図書館デジタルコレクションでの検索結果表示例。検索結果として表示される資料のタイトルの右横に「国立国会図書館/図書館・個人送信限定」と表示されています。

コンテンツ閲覧画面
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 国立国会図書館がデジタル化した資料は、国立国会図書館デジタルコレクション に収録して提供しています。著作権保護期間が満了した資料、著作権者の許諾を得た資料等については、インターネットを通じて本文の画像を公開しており、どなたでも自宅のパソコン等から利用することができます。インターネットに公開していないデジタル化資料のうち、絶版等の理由で入手困難な資料については、デジタル化資料送信サービスで利用することができます(そのほかに、国立国会図書館の館内に設置された端末でのみ利用できる資料もあります)。
デジタル化資料送信サービスで利用できる資料のリストは次のとおりです。令和4年1月時点では、約153万点の資料が利用できます。リストは、半年に1回程度(原則として1月と7月)の頻度で更新します。
また、国立国会図書館デジタルコレクションで、検索対象を「図書館送信資料」にして検索することによって、該当資料を確認することもできます。

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企業の競争力を高めるリーガルリスクマネジメント

2022年3月18日(金)

日本組織内弁護士協会 LRM研究会 座長

渡部 友一郎弁護士(Airbnb Japan 法務本部長)

1: 共通の枠組みの必要性

2: リスク特定/分析/評価/対応

3: 5×5のリスクマトリクス法

Q:なぜリーガルリスクマネジメントを学ぶ必要がどこにあるのか           

A:組織経営と法務機能の統合、社会構造の変化(Society 5.0)、認知バイアスの点。

Q:ISO31022を読んでもイメージがわかない。

A:「リスク特定→分析→評価→対応」がコア・プロセス。

Q:鉛筆と紙があればできる「5×5のリスクマトリクス法」                 

A:事前課題を取り上げて、法律家や法務部門がどのように取り組めばよいか解説

リーガルリスクマネジメントのプロセス (第5.1-5.5)

1: 共通の枠組みの必要性

企業の競争力を高める=健全なリスクテイク=リスクテイクに共通の枠組みが必要

組織経営と法務機能の統合

組織経営と法務機能の統合、社会構造の変化  (Society  5.0)、認知バイアス

(1)    認知バイアス

●     確証バイアス:自分の先入観と矛盾する証拠を意識せずに排除

●     アンカリング:1つの情報を重視

●     損失回避:現状維持・慎重に傾く誤りを犯していることに気がつかない!

(2)    解決方法

●     「合理的思考によって他人の直感の欠陥を指摘し、その判断を改めることができる」

●     「さまざまな意見やスキルをプロセスに取 り入れること」

問題の所在

企業の競争力を高める=健全なリスクテイク。ところが、意思決定に有害な「法的リスクがあります(完)」というアドバイスが危険である。すべての法律の専門家の助言にあてはまる。

例:本件では○○法第○条に抵触する法的リスクが特定できます。この法的リスクを「起こりやすさ」と「結果の大きさ」の2つの横軸縦軸でリスク分析すると、XXXという高い発生の蓋然性と、YYY例えば刑事罰というリスクがあります。法的リスク評価を行うと、既存のリスク管理策ではXXXの点で十分ではなく、法務としてはこのままの状態では法的リスクは取れないと助言します。

しかし、リスク対応として、ZZZ及びAAAを同時に講じられれば残留リスクは許容できるレベルにまで低減できる可能性があります。ZZZとAAAのほかに取りうるリスク対応 策の選択肢がないか、この後お電話で相談できないでしょうか。法務も解決策を一緒に見つけたいです。

ISO31022の内容は抽象的な部分も多いが、まずリーガルリスクの特定 /分析/評価/対応から始める

Phase 1 リスク特定

●     リスクを発見し、認識し、記述するプロセス(ISO31000 6.4.2、ISO31022 5.3.2.1)

●     ISO31022の附属書A、附属書B、附属書Eが参考になる。

Phase 2 リスク分析

●     リスクの性質及び特徴(特質)を理解し、リスクレベル(=リスクの大きさ)を決定するプロセス

(ISO31000 6.4.3参照)。分析の成果は、後続の「リーガルリスク評価」及び「リーガルリスク対応」へのインプットととなる(ISO310222 5.3.3.1参照)。

●     「事象の起こりやすさ」および「結果の性質及び大きさ」の2要素が分析の中心となるが、これに限られない(ISO31000 6.4.3)。詳細は、渡部友一郎「リーガルリスクマネジメントの先行研究と新潮流」国際商事法務48巻6号(2020)795-796頁 Ⅲ 2 及び 3 を参照。

Phase3 リスク評価

●     リスク評価は、リスク及びリスクの大きさが、受容可能か又は許容可能かを決定するために、リスク分析の結果をリスク基準(=目安とする条件)とを比較するプロセス(ISO31000 6.4.4、ISO31022 5.3.4 参照)。

●     リスク評価は(組織の意思)決定を裏付けるものであり、どの部分に追加の措置を講じるかを決 定するために役立つ。

𐆑     例:さらなる活動を行わない、リスク対応の選択肢を検討する、さらなるリスク分析を続行する、既存の管理策(control)を維持する、(事業やプロジェクトの)目的を再考する。

Phase 4 リスク対応

●     リスク対応とは、リスクに対応するための選択肢を選定し、実施するプロセス(ISO310006.5.1、ISO31022 5.4参照)リスク対応の選択肢の選定、リスク対応の計画及び実施、 対応の有効性の評価、残留リスクが許容可能かの判断、許容できない場合、さらなる対応の実施(ISO31000 6.5.1.ISO31022 5.4.1参照)

●     リスク対応の選択肢:例として、活動を開始・継続しない決定をする、機会を追求するためにリスクを取る又は増加させる、リスク源を除去する、起こりやすさや結果を変える、リスクを共有する(契約、保険など)、リスクを保有するなど。

コミュニケーション、協議及び学習(ISO31022 5.5.2)

●     リーガルリスクマネジメントのプロセスの各段階でにおいて…ステークホルダによるリーガルリスク及び組織への影響の完全な理解のために、時宜を得た方法でコミュニケーション及び 協議をする。

●     組織全体でリスクマネジメント文化を築くための学習

その他にも、モニタリング及びレビュー(同 5.5.3)、記録作成及び報告(同 5.5.4)

リーガルリスクの特定

それはリーガルリスク??を自問自答する。

リーガルリスク vs. ビジネスリスクの区分をもっともっと徹底する。

クリスタルクリアな助言に するには、ビジネス的意見を分ける。

過大なリスク見積もりになっていないか

結果の起こりやすさ【1〜5】

X社が民事訴訟を構えて来る可能性は現実的にどれほどあるのか?制限条項違反の発生可能性はどれくらいあるのか?

リスクスコアの見積もり合計:◯〜◯リーガルリスクの評価

ビジネスにとってDigestableかつ自分のバイアスに特に留意する。

加工第二期成年後見制度利用促進基本計画

https://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/index.html

成年後見制度利用促進専門家会議

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212875.html

~尊厳のある本人らしい生活の継続と地域社会への参加を図る権利擁護支援の推進~

令和4年3月25日閣議決定

目 次

はじめに………………………………………………1

1成年後見制度利用促進基本計画の位置付け………………………..1

2新たな基本計画の必要性……………………………….1

3第二期計画の対象期間…………………………..2

Ⅰ成年後見制度の利用促進に当たっての基本的な考え方及び目標………3

1成年後見制度の利用促進に当たっての基本的な考え方……………..3

(1)地域共生社会の実現に向けた権利擁護支援の推進…………….3

(2)尊厳のある本人らしい生活を継続できるようにするための成年後見制度の運用改善等…………………………………………4

(3)司法による権利擁護支援などを身近なものにするしくみづくり…….5

2今後の施策の目標等……………………………………6

(1)目標……………………………………………6

(2)工程管理………………………………………..6

Ⅱ成年後見制度の利用促進に向けて総合的かつ計画的に講ずべき施策……7

1成年後見制度等の見直しに向けた検討と総合的な権利擁護支援策の充実…7

(1)成年後見制度等の見直しに向けた検討……………………..7

(2)総合的な権利擁護支援策の充実…………………………….7

①成年後見制度と日常生活自立支援事業等との連携の推進及び同事業の実施体制の強化…………………………………………..8

②新たな連携・協力体制の構築による生活支援・意思決定支援の検討……8

③都道府県単位での新たな取組の検討……………………….10

2尊厳のある本人らしい生活を継続するための成年後見制度の運用改善等..11

(1)本人の特性に応じた意思決定支援とその浸透………………….11

①成年後見制度の利用促進における意思決定支援の浸透…………11

②様々な分野における意思決定支援の浸透…………………..12

(2)適切な後見人等の選任・交代の推進等…………………..13

①家庭裁判所による適切な後見人等の選任・交代の推進………….13

②後見人等に関する苦情等への適切な対応……………………14

③適切な報酬の算定に向けた検討及び報酬助成の推進等……………15

④適切な後見人等の選任・交代の推進等に関するその他の取組………..17

(3)不正防止の徹底と利用しやすさの調和等………………….18

①後見制度支援信託及び後見制度支援預貯金の普及等………………..18

②家庭裁判所の適切な監督に向けた取組……………………..19

③専門職団体や市民後見人を支援する団体の取組……………….19

④地域連携ネットワークによる不正行為の防止効果…………….19

⑤成年後見制度を安心して利用できるようにするための更なる検討…….19

(4)各種手続における後見事務の円滑化等…………………..20

3権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり………………..21

(1)権利擁護支援の地域連携ネットワークの基本的な考え方

-尊厳のある本人らしい生活の継続と地域社会への参加-………21

①地域連携ネットワークの必要性と趣旨……………………21

②地域連携ネットワークのしくみ………………………….23

③権利擁護支援を行う3つの場面……………………..24

④市町村・都道府県・国と関係機関の主な役割………………25

(2)権利擁護支援の地域連携ネットワークの機能-個別支援と制度の運用・監督-…………..28

①地域連携ネットワークの機能の考え方………………..28

②権利擁護支援を行う3つの場面における「支援」機能と「運用・監督」機能29

(3)権利擁護支援の地域連携ネットワークの機能を強化するための取組

-中核機関のコーディネート機能の強化等を通じた連携・協力

による地域づくり-….34

①地域連携ネットワークの機能を強化するための取組の考え方……….34

②地域連携ネットワークの機能を強化するための取組(地域の体制づくり)..34

③中核機関のコーディネート機能の強化と協議会の運営を通じた連携・協力関係の推進……………………41

(4)包括的・多層的な支援体制の構築………………..46

①基本方針……………………………..46

②市町村による「包括的」な支援体制の構築………………….47

③都道府県による「多層的」な支援体制の構築………………..47

④国による「包括的」「多層的」な支援体制づくりの支援…………48

4優先して取り組む事項………………………………..49

(1)任意後見制度の利用促進…………………………….49

①基本方針…………………………………………49

②周知・広報等に関する取組…………………………….49

③任意後見制度の趣旨に沿った適切な運用の確保に関する取組……..49

(2)担い手の確保・育成等の推進……………………………..50

①基本方針……………………………….50

②市民後見人の育成・活躍支援……………………………..52

③法人後見の担い手の育成………………………………….54

④専門職後見人の確保・育成……………………………..56

⑤親族後見人への支援…………………………..56

(3)市町村長申立ての適切な実施と成年後見制度利用支援事業の推進……57

①基本方針………………………..57

②市町村長申立ての適切な実施…………………………….58

③成年後見制度利用支援事業の推進………………………..58

(4)地方公共団体による行政計画等の策定……………………….59

①基本方針……………………………………………59

②市町村による行政計画の策定……………………………59

③都道府県による取組方針の策定………………………….60

(5)都道府県の機能強化による権利擁護支援の地域連携ネットワークづくりの推進61

①基本方針……………………………………………….61

②都道府県の機能強化……………………………………62

③市町村への具体的な支援内容……………………………..62

④都道府県自らの取組の実施……………………………..63

別紙第二期計画の工程表とKPI

はじめに

1成年後見制度利用促進基本計画の位置付け

成年後見制度利用促進基本計画(以下「基本計画」という。)は、成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成28年法律第29号。以下「促進法」という。)第12条第1項に基づき、成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために策定するものであり、政府が講ずる成年後見制度利用促進策の基本的な計画として位置付けられる。

なお、促進法第14条第1項において、市町村は、国の基本計画を勘案し、当該市町村の区域における成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画を定めるよう努めるものとされている。

成年後見制度の利用の促進に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=428AC1000000029_20180401_000000000000000

2新たな基本計画の必要性

基本計画は、平成29年度から令和3年度までを最初の計画(以下「第一期計画」という。)の期間として、利用者がメリットを実感できる成年後見制度の運用改善、権利擁護支援の地域連携ネットワーク(以下「地域連携ネットワーク」という。)づくり、安心して成年後見制度を利用できる環境の整備などを進めてきた。

これにより、本人の意思決定支援1や身上保護を重視2した成年後見制度の運用が進みつつあり、また、各地域で相談窓口の整備や判断能力が不十分な人を適切に必要な支援につなげる地域連携のしくみが整備されつつある。

1 「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」(令和2年10月30日意思決定支援ワーキング・グループ)では、「意思決定支援とは、特定の行為に関し本人の判断能力に課題のある局面において、本人に必要な情報を提供し、本人の意思や考えを引き出すなど、後見人等を含めた本人に関わる支援者らによって行われる、本人が自らの価値観や選好に基づく意思決定をするための活動をいう」とされている。

裁判所「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」について(意思決定支援ワーキング・グループ)

https://www.courts.go.jp/saiban/koukenp/koukenp5/ishiketteisien_kihontekinakangaekata/index.html

2 本人の財産の管理のみならず身上の保護が適切に図られるべきこと。

他方、成年後見人、保佐人及び補助人(以下「後見人等」という。)が意思決定支援や身上保護を重視しない場合があり、利用者の不安や不満につながっているといった指摘や、成年後見制度や相談先等の周知が未だ十分でないなどの指摘がされている。また、地域連携ネットワークなどの体制整備は、特に小規模の町村などで進んでいない。さらに、団塊の世代が後期高齢者となる令和7年を迎えて、認知症高齢者が増加するなど(いわゆる2025年問題)、成年後見制度の利用を含む権利擁護支援のニーズが更に多様化及び増大する見込みであり、こうした状況に適切に対応する必要がある。

そこで、新たな基本計画(以下「第二期計画」という。)を定め、更なる施策の推進を図ることとする。

3第二期計画の対象期間

第二期計画の対象期間は、令和4年度から令和8年度までの5年間とする。

Ⅰ成年後見制度の利用促進に当たっての基本的な考え方及び目標

1成年後見制度の利用促進に当たっての基本的な考え方

(1)地域共生社会の実現に向けた権利擁護支援の推進

近年の人口の減少、高齢化、単身世帯の増加等を背景として、地域社会から孤立する人や身寄りがないことで生活に困難を抱える人の問題が顕在化し、地域共生社会の実現を目的とした様々な福祉施策等が進められている。

地域共生社会は、制度・分野の枠や「支える側」と「支えられる側」という従来の関係を超えて、住み慣れた地域において、人と人、人と社会がつながり、すべての住民が、障害の有無にかかわらず尊厳のある本人らしい生活を継続することができるよう、社会全体で支え合いながら、共に地域を創っていくことを目指すものである。

一方、ノーマライゼーション(成年被後見人等が、成年被後見人等でない人と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい生活を保障されるべきこと。)、自己決定権の尊重( 障害者の権利に関する条約第12条の趣旨に鑑み、成年被後見人等の意思決定の支援が適切に行われるとともに、成年被後見人等の自発的意思が尊重されるべきこと。)等を基本理念とする成年後見制度は、認知症、知的障害その他の精神上の障害により判断能力が不十分な人の権利擁護を支える重要な手段であり、身上保護と財産管理の支援によって、本人の地域生活を支える役割を果たしている。また、その利用促進の取組は、市民後見人等地域住民の参画を得ながら、家庭裁判所、関係行政機関、地方公共団体、専門職団体、民間団体等の協働による地域連携ネットワークを通じて推進されるべきものである。このネットワークは、他の様々な支援・活動のネットワーク(例えば、高齢者支援のネットワーク、障害者支援のネットワーク、子ども支援のネットワーク、生活困窮者支援のネットワーク、地域社会の見守り等の緩やかなネットワーク等がある。)と連動しながら、地域における包括的・重層的・多層的な支援体制をかたちづくっていくことによって、地域共生社会の実現という共通の目的に資することになる。したがって、成年後見制度の利用促進とは、単に利用者の増加を目的とするのではなく、全国どの地域においても、制度の利用を必要とする人が、尊厳のある本人らしい生活を継続することができる体制の整備を目指すものでなければならない。

第一期計画では、地域連携ネットワークの構築を施策の目標の一つとして掲げた一方で、その中核的な概念である権利擁護支援については必ずしも明確に定義してはいなかった( 第一期計画では、地域連携ネットワークの役割の一つである「権利擁護支援の必要な人の発見・支援」において、権利擁護に関する支援の必要な人として、「財産管理や必要なサービスの利用手続を自ら行うことが困難な状態であるにもかかわらず必要な支援を受けられていない人、虐待を受けている人など」を掲げていた。)。

そこで、第二期計画では、これを明確にした上で取組を進めていくことが重要である。

権利擁護支援とは、地域共生社会の実現を目指す包括的な支援体制における本人を中心とした支援・活動の共通基盤であり、意思決定支援等による権利行使の支援や、虐待対応や財産上の不当取引への対応における権利侵害からの回復支援を主要な手段として、支援を必要とする人が地域社会に参加し、共に自立した生活を送る(障害者権利条約第19条を参照したもの。同条は、「この条約の締約国は、全ての障害者が他の者と平等の選択の機会をもって地域社会で生活する平等の権利を有することを認めるものとし、障害者が、この権利を完全に享受し、並びに地域社会に完全に包容され、及び参加することを容易にするための効果的かつ適当な措置をとる。」と規定している。)という目的を実現するための支援活動であると定義することができる。権利擁護支援の中でも重要な手段である成年後見制度の特長を鑑みると、基本計画における権利擁護支援とは、判断能力が不十分な人を対象としたこうした支援活動のことであるといえる。

なお、権利擁護支援は、成年後見制度を含めた総合的な支援として充実させていく必要がある。これは、誰もが判断能力が不十分となる可能性があるため、成年後見制度の潜在的な利用者を念頭に置いた支援を拡げていく必要があるからであり、さらには、多くの関係者の協働を必要とする支援が全国的に展開されることは地域共生社会の実現にも資するからである。

以上のように、第二期計画では、地域共生社会の実現という目的に向け、本人を中心とした支援・活動における共通基盤となる考え方として「権利擁護支援」を位置付けた上で、地域連携ネットワークにおける権利擁護支援策の一層の充実などの成年後見制度利用促進の取組をさらに進めていくこととする。

(2)尊厳のある本人らしい生活を継続できるようにするための成年後見制度の運用改善等

成年後見制度の利用促進は、上記のとおり、全国どの地域においても、制度の利用を必要とする人が尊厳のある本人らしい生活を継続することができる体制を整備して、本人の地域社会への参加の実現を目指すものである。

そのため、以下を基本として成年後見制度の運用改善等に取り組む。

①後見人等による財産管理のみを重視するのではなく、認知症高齢者や障害者の特性を理解した上で、本人の自己決定権を尊重し、意思決定支援・身上保護も重視した制度の運用とすること。

②法定後見制度の後見類型は、終了原因が限定されていること等により、実際のニーズにかかわらず、一時的な法的課題や身上保護上の重要な課題等が解決した後も、成年後見制度が継続することが問題であるとの指摘や、一時的な利用を可能として、より利用しやすい制度とすべきとの指摘などがある。これを踏まえ、成年後見制度を利用することの本人にとっての必要性や、成年後見制度以外の権利擁護支援による対応の可能性についても考慮された上で、適切に成年後見制度が利用されるよう、連携体制等を整備すること。

③成年後見制度以外の権利擁護支援策(成年後見制度以外の権利擁護支援策とは、意思決定支援等によって本人を支える各種方策や司法による権利擁護支援を身近なものとする各種方策のこと。これらの施策を充実させるための取組はⅡ1(2)「総合的な権利擁護支援策の充実」を参照。)を総合的に充実すること。

④本人の人生設計についての意思を反映・尊重できるという観点から任意後見制度が適切かつ安心して利用されるための取組を進めるとともに、本人の意思、能力や生活状況に応じたきめ細かな対応を可能とする補助・保佐類型(補助類型は、保佐類型より本人の意思に基づく選択の幅が広い制度である。)が利用されるための取組を進めること。

⑤安心かつ安全に成年後見制度を利用できるようにするため、不正防止等の方策を推進すること。

(3)司法による権利擁護支援などを身近なものにするしくみづくり

権利侵害からの回復支援を進める上での重要な核の一つが家庭裁判所や法律専門職である。身近な相談窓口を通じて、家庭裁判所の手続の利用を円滑にすることや法律専門職による支援などを適切に受けられるようにすることで、権利侵害からの回復支援の実質を担保することができ、尊厳のある本人らしい生活の継続と地域社会への参加が図られる。

したがって、地域連携ネットワークを通じた福祉と司法の連携強化により、必要な人が必要な時に司法による権利擁護支援などを適切に受けられるようにしていく必要がある。

2今後の施策の目標等

(1)目標

①1の「成年後見制度の利用促進に当たっての基本的な考え方」を踏まえ、障害の有無にかかわらず尊厳のある本人らしい生活の継続や本人の地域社会への参加等のノーマライゼーションの理念を十分考慮し、成年後見制度の見直しに向けた検討を行う。また、同様の観点から、市町村長申立て及び成年後見制度利用支援事業の見直しに向けた検討も行う。さらに、権利擁護支援策を総合的に充実するための検討を行う。

②1の「成年後見制度の利用促進に当たっての基本的な考え方」を踏まえ、成年後見制度の運用改善等や、地域連携ネットワークづくりに積極的に取り組む。

(2)工程管理

①(1)に基づく各施策について、工程表に基づき推進するとともに、施策の性質に応じて設定したKPI(KPIとは、Key Performance Indicator(重要業績評価指標)のこと。)10の達成に向けて取り組む(別紙参照)。

なお、成年後見制度利用促進専門家会議(以下「専門家会議」という。)においては、家庭裁判所における取組にもKPIを設定すべきとの意見もあった。最高裁判所は、成年後見制度の利用促進に関する各家庭裁判所の自律的な取組を支援するとともに、できる限り客観性を確保した形で定期的にその進捗状況を専門家会議に報告するなどして、取組を進めることが期待される。

②専門家会議は、進捗管理が特に重要な施策(Ⅱ1(2)の「総合的な権利擁護支援策の充実」など)について、ワーキング・グループを設置し、定期的に検討状況を検証する。

③専門家会議は、第二期計画の中間年度である令和6年度に、中間検証として、各施策の進捗状況を踏まえ、個別の課題の整理・検討を行う。国その他成年後見制度の利用促進に関わる関係機関・関係者は、中間検証の結果を踏まえ、第二期計画の取組を推進する。

Ⅱ成年後見制度の利用促進に向けて総合的かつ計画的に講ずべき施策

尊厳のある本人らしい生活の継続や地域社会への参加等のノーマライゼーションの理念のより一層の実現を図るためには、成年後見制度等が適切に見直される必要がある。さらに、同制度等が見直されるまでの間においても、総合的な権利擁護支援策の充実、現行制度の運用の改善等、地域連携ネットワークづくりを進める必要がある。

そこで、以下のとおり取り組むこととする。

1成年後見制度等の見直しに向けた検討と総合的な権利擁護支援策の充実

(1)成年後見制度等の見直しに向けた検討

成年後見制度については、他の支援による対応の可能性も踏まえて本人にとって適切な時機に必要な範囲・期間で利用できるようにすべき(必要性・補充性の考慮)、三類型を一元化すべき、終身ではなく有期(更新)の制度として見直しの機会を付与すべき、本人が必要とする身上保護や意思決定支援の内容やその変化に応じ後見人等を円滑に交代できるようにすべきといった制度改正の方向性に関する指摘、障害者の権利に関する条約に基づく審査の状況を踏まえて見直すべきとの指摘(「成年後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案」に対する衆議院内閣委員会及び参議院内閣委員会の附帯決議にも同趣旨が盛りこまれている。なお、政府はこれらの附帯決議を尊重して関連施策を実施することとしている。)、現状よりも公的な関与を強めて後見等を開始できるようにすべきとの指摘などがされている。

国は、障害の有無にかかわらず尊厳のある本人らしい生活の継続や本人の地域社会への参加等のノーマライゼーションの理念を十分考慮した上で、こうした専門家会議における指摘も踏まえて、成年後見制度の見直しに向けた検討を行う。

また、専門家会議において、市町村長の関与する場面の拡大など地方公共団体に与えられる権限を拡充すべきといった指摘や、成年後見制度利用支援事業の見直しに関する指摘もされている。国は、こうした指摘も踏まえ、これらの権限・事業についても見直しに向けた検討を行う(成年後見制度利用支援事業については2(2)③イ参照)。

(2)総合的な権利擁護支援策の充実

(1)の成年後見制度の見直しの検討をより深めていくためには、成年後見制度以外の権利擁護支援策を総合的に充実させていく必要がある。そのため、新たに意思決定支援(意思決定支援については、注釈1を参照。)等によって本人を支える各種方策や司法による権利擁護支援を身近なものとする各種方策の検討を進め、これらの検討や成年後見制度の見直しの検討に対応して、福祉の制度や事業の必要な見直しを検討する(市町村長申立て及び成年後見制度利用支援事業については(1)及び2(2)③イを参照。)。

①成年後見制度と日常生活自立支援事業等との連携の推進及び同事業の実施体制の強化

・日常生活自立支援事業は、専門員が作成した支援計画の下で、地域住民が生活支援員として本人に寄り添い、見守り、意思決定支援を行いながら適切な金銭管理等を支援することで、尊厳のある本人らしい生活の安定を図る互助のしくみであり、これにより地域福祉が推進されている。一方、地域によって同事業の待機者が生じていること、利用者数にばらつきがあることや同事業からの成年後見制度への移行に課題があることも指摘されている。

・国は、地域の関係者が個別事案において本人の尊厳保持のために適切な支援の組合せを検討することができるよう、日常生活自立支援事業等関連諸制度における役割分担の検討方法(「日常生活自立支援事業等関連制度と成年後見制度との連携の在り方等についての調査研究事業」(厚生労働省令和2年度社会福祉推進事業)で作成された「日常生活自立支援事業関連諸制度との役割分担チェックシート」の活用が考えられる。)について各地域に周知する。また、国は、成年後見制度の利用を必要とする人が適切に日常生活自立支援事業等から成年後見制度へ移行できるよう、市町村の関係部署や関係機関・関係団体との間で個別事案における対応方針の検討等を行う取組を進めるなど、同事業の実施体制の強化を行う。さらに、上記の指摘を踏まえ、生活困窮者自立支援制度等との連携も考慮しつつ、日常生活自立支援事業の効果的な実施方策について検討し、その結果を幅広く周知するなど、地域を問わず一定の水準で同事業を利用できる体制を目指す。

・家庭裁判所においても、日常生活自立支援事業を含む権利擁護支援に対する理解が進むことが期待される。そのため、最高裁判所においては、家庭裁判所の職員に権利擁護支援の理念が浸透するよう、研修を実施するなど、必要な対応を図ることが期待される。

②新たな連携・協力体制の構築による生活支援・意思決定支援の検討

・ 多様な地域課題に対応するため、公的な機関や民間事業者において、身寄りのない人等への生活支援等のサービス(簡易な金銭管理、入院・入所手続支援等各種の生活支援サービスをいう。以下同じ。)、公的な機関や民間事業者の本来の業務に付随した身寄りのない人等の見守り、寄付等を活用した福祉活動等の様々な取組が行われている。こうした取組については、公的な制度の隙間を埋めるものや公的な制度利用の入口として効果的であるとの指摘がある一方、一部の事業者については運営方法が不透明であるなどの課題も指摘されている。

・そのため、国は、公的な機関、民間事業者や当事者団体等の多様な主体による生活支援等のサービスが、本人の権利擁護支援として展開されるよう、意思決定支援等を確保しながら取組を拡げるための方策を検討する。

・その際、身寄りのない人も含め、誰もが安心して生活支援等のサービスを利用することができるよう、運営の透明性や信頼性の確保の方策、地域連携ネットワーク等との連携の方策についても検討する。

・生活支援等のサービスの提供における意思決定支援等の確保の検討の際には、意思決定支援の取組の推進において市民後見人の果たしてきた役割が大きいこと、ピアサポートの支援が効果的であることに鑑み、市民後見人養成研修の修了者や障害のある当事者等の参画方策の検討を進める。加えて、これらの人が、必要に応じて専門職等の支援等を受けながら意思決定支援を行う方策を、市町村の関与のあり方も含めて検討する。

・上記の検討の際、意思決定支援の場面において、権利侵害や法的課題を発見した場合、専門職等が必要な支援を助言・実施すること、行政の関与(虐待対応や消費者被害への対応、市町村長申立て等が考えられる。)を求めること、専門職による法的支援や成年後見制度につなぐことなど、司法による権利擁護支援を身近なものとする方策についても検討を進める。

・また、サービス等に関する丁寧な説明や本人の特性に合わせた説明が意思決定しやすい環境づくりに寄与することに鑑み、公的な機関及び民間事業者には、合理的配慮に関する取組を行うことが期待される。国及び地方公共団体は、これらの取組が進むよう、関係者に理解を促す取組を進めていく。

・身寄りのない人等であっても、地域において安心して暮らすことができるよう、国及び地方公共団体は、身元保証人・身元引受人等がいないことを前提とした医療機関の対応方法や、施設入所時や公営住宅入居時に身元保証人や連帯保証人を求める必要はないことなどについて、事業者等に理解を促す取組などを更に進めていく。

③都道府県単位での新たな取組の検討

ア寄付等の活用による多様な主体の参画の検討

・法人後見を実施している団体等は、支援の具体的な実践や課題、解決策について、地域住民や企業など広く地域社会に周知して資金を調達することで、公的財源では性質上対応困難な課題(例えば、あらかじめ予算上の措置がされていない、又は予算上の措置が困難な課題などが考えられる。)にも、柔軟な対応をすることが可能となる。また、地域住民や企業等が、権利擁護支援の実践への理解や共感をもち、寄付やボランティア活動などにより、権利擁護支援の取組に参画することは、地域における権利擁護支援の意識の醸成につながり、参画者の積極性を生み出す。

・国は、各地域(例えば、都道府県単位)で、こうした取組が普及するよう、必要な方策を検討する。その際、サービス提供者がサービス利用者から直接寄付等を受けることは利益相反のおそれがあることから、本人が不利益を被らないようなしくみ、資金の適切な管理方法・効果的な活用方法等も検討する。

イ公的な関与による後見の実施の検討

・虐待等の支援困難な事案については、専門職後見人や一般的な法人後見では対応が困難な場合があると指摘されている。こうした場合でも、尊厳のある本人らしい生活を安定的に支えることができるよう、国は、このような事案を受任する法人が都道府県等の適切な関与を受けつつ後見業務を実施できるよう、法人の確保の方策等を含め検討する。

2尊厳のある本人らしい生活を継続するための成年後見制度の運用改善等

(1)本人の特性に応じた意思決定支援とその浸透

意思決定支援は権利擁護支援の重要な要素であるため、意思決定支援の理念が地域に浸透することにより、成年後見制度を含む必要な支援に、適時・適切につなぐことができるようになるほか、尊厳のある本人らしい生活を継続することができる社会の実現にも適うことになる。

後見人等は、民法(明治29年法律第89号)第858条等の趣旨に基づき、障害特性や本人の状況等を十分に踏まえた上で、本人の意思の尊重を図りつつ、身上に配慮した後見事務を行う必要がある。これに加えて、後見人等が本人を代理して法律行為をする場合、本人の意思決定支援の観点からも、本人の自己決定権を尊重し、法律行為の内容に本人の意思及び選好(本人による意思決定の土台となる本人の生活上の好き嫌いをいう。以下同じ。)や価値観を適切に反映させる必要がある。

後見人等が意思決定支援を踏まえた後見事務を行うに当たっては、日常的に本人への支援を行う様々な関係者が、チームとなって意思決定支援の考え方を理解し、実践することが重要である。また、家庭裁判所職員における意思決定支援についての理解と、意思決定支援を踏まえた対応も重要である。

そのため、以下の取組を行う必要がある。

①成年後見制度の利用促進における意思決定支援の浸透

・都道府県等には、専門職団体の協力も得て、親族後見人や市民後見人等、日常生活自立支援事業の関係者及び市町村・中核機関(中核機関については、3(1)②ウ参照。)の職員に対して、意思決定支援に係る研修等を継続的に行うことが期待される。

・国は、都道府県で意思決定支援の指導者となり得る人材を育成するため、引き続き、「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」に関する研修を実施するとともに、成年後見制度利用促進ポータルサイトで意思決定支援に関する最新の情報や知見を紹介するなどの取組を行う。また、国は、互助・福祉・司法の支援を効果的に行うため、権利擁護支援・意思決定支援に関する専門職のアドバイザーの育成を行うほか、地方公共団体における専門的助言についてのオンラインのしくみの活用支援などを行う。

・専門職団体は、4(2)④のとおり、専門職に対する研修等を実施する。

・「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」の普及・啓発に当たっては、同ガイドラインが示す原則的な考え方や本人を支援する関係者によって構成されるチームによる支援の重要性のほか、本人の意思及び選好や価値観を記録し関係者が確認できるしくみの紹介などの実践につながる普及・啓発を併せて行うことに留意する必要がある。

②様々な分野における意思決定支援の浸透

・「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」(平成29年3月31日厚生労働省)、「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(平成30年6月厚生労働省)、「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」(令和元年5月「医療現場における成年後見制度への理解及び病院が身元保証人に求める役割等の実態把握に関する研究」班)等について、引き続き研修等で活用するなど、幅広い関係者に普及・啓発を行っていく必要がある(普及・啓発の一環として、必要に応じて、具体的な実務に関する普及・啓発に取り組むことも重要である。例えば、予防接種についても、意思決定支援の考え方等を踏まえ、本人への丁寧な説明、本人の意思の確認、本人による署名又は代筆が原則となるが、接種に関する本人の意思確認が困難な場合には、本人のそれまでの意思、生活歴、選好、本人にとっての最善の方針が何かを踏まえた上で、家族、医療・ケアのチーム、成年後見人等で相談しながら判断する必要がある。)。

・国は、関係者等における各ガイドラインの理解状況等を把握した上で、各ガイドラインに共通する基本的な意思決定支援の考え方についての議論を進め、その結果を整理した資料を作成する。その上で、国や、地方公共団体を始めとする地域連携ネットワークの関係者は、意思決定支援の取組が、保健、医療、福祉、介護、金融等の幅広い関係者や地域住民に浸透するよう、意思決定支援の考え方を整理した当該資料等も活用し、研修等を通じて継続的に普及・啓発を行う必要がある。

・地域住民への意思決定支援の浸透においては、市民後見人の果たす役割も大きい。したがって、国は、市民後見人養成研修修了者が、地域で行われている身寄りのない人等への生活支援等のサービス提供の際に行われる意思決定支援に参画できる方策を検討する。

・意思決定支援を踏まえた支援が適切に実施されるためには、継続的な取組や定期的な見直しが必要である。国は、関係者における意思決定支援の取組状況や課題を踏まえ、必要に応じて、医療、福祉、介護等の幅広い関係者による支援が適切に実践される方策を検討する。

・家庭裁判所においても、意思決定支援に対する理解が進むことや、意思決定支援を踏まえた対応が図られることが期待される。最高裁判所においては、家庭裁判所の職員に意思決定支援の理念が浸透するよう、研修を実施するなど、「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」を踏まえた必要な対応を図ることが期待される。

(2)適切な後見人等の選任・交代の推進等

全国どの地域においても、成年後見制度の利用を必要とする人が、尊厳のある本人らしい生活を継続できるようにするためには、本人の直面する財産管理や法的課題に適切に対応するとともに、本人の自己決定権を尊重し、身上に配慮した後見事務を適切に行う後見人等が選任される必要がある。また、本人の状況の変化等を踏まえ、後見人等の柔軟な交代が行われることを可能とする必要がある。さらに、適切な後見人等の選任・交代は、本人が納得した上で、後見人等に対して適切な報酬が支払われることにも関係するものと考えられる。

そのため、後見人等の選任・交代や報酬等のあり方などについて、以下の取組を行う。なお、以下の取組の中には、地域の連携協力体制がその基盤となるものがあり、これについては3の「権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり」に記載している。

①家庭裁判所による適切な後見人等の選任・交代の推進

家庭裁判所は、本人の自己決定権の尊重や身上保護の充実といった第一期計画の方針を踏まえ、自主的な努力の積み重ねで、親族後見人の選任の推進など一定の成果を出してきた。裁判事項については、裁判所が個々の事案に応じて独立して職権を行使する性質であるものの、各家庭裁判所には、こうした成果も踏まえながら、事案や場面に応じた適切な対応ができるよう、以下の取組や権利擁護支援に関する研修の実施を含め、引き続き努力することが期待される。

なお、苦情等への対応については、②に記載している。

・市民後見人・親族後見人等の候補者がいる場合は、その選任の適否を検討し、本人のニーズ・課題に対応できると考えられるときは、その候補者を選任する。親族後見人から相談を受けるしくみが地域で十分に整備されていない場合は、専門職監督人による支援を検討する。

・必要に応じた複数選任や、本人のニーズ・課題や状況の変化等に応じた柔軟な後見人等の交代や追加選任を行う。

・補助の開始、代理権・同意権付与や、保佐の代理権付与の審判の際、その必要性についても適切に審査する。その際、意思決定支援に基づく本人による意思決定の可能性も適切に考慮する。

・後見類型についても、代理権行使の必要性が低下した場合、中核機関、専門職団体、日常生活自立支援事業の実施団体等と連携し、市民後見人等への交代や同事業の併用などにより、意思決定支援の観点を重視する。

・上記のような運用が適切に行われるようにするため、後見等の開始の審判時に、後見人等の職務に関する見直しの時期・観点について関係者間で認識を共有し、その後の状況を踏まえ、本人のニーズ・課題の状況や後見人等の適性を定期的に再評価する。

②後見人等に関する苦情等への適切な対応

ア基本方針

(ア)後見人等に関する苦情等には、後見人等の不適正・不適切な職務に関するものだけでなく、後見人等が本人・親族等や支援者の意向等に沿わないことへの不満、本人・親族等が成年後見制度・実務への十分な理解がないこと、本人や支援者とのコミュニケーション不足によって生じる意見の食い違いなど様々なものがある。

そのため、まずは、成年後見制度等に関する広報や事前の説明により、本人や関係者の制度に関する理解を促進することが重要である。

(イ)その上で、以下の役割を基本として、苦情等に適切に対応できるしくみを地域の実情に応じて整備していく必要がある。

・家庭裁判所には、後見監督の一環として、後見人等が本人のためにその職務を適切に行うよう、その職務全般(財産管理、身上保護、意思決定支援のほか、報告書作成等の後見事務)について、司法機関の立場から適切な助言・指導を行うことが予定されている。そのため、家庭裁判所には、不適正・不適切な後見事務に関する苦情等について、司法機関の立場から、専門職団体や市町村・中核機関と連携して対応することが期待される。

・専門職団体には、当該団体に所属する専門職後見人等に関する苦情等について、家庭裁判所などと連携し、その解決に向けて適切に対応することが期待される。また、そのための団体内のしくみの検討を進めることが期待される。

市町村・中核機関は、身上保護に関する支援への苦情等について、その解決に向けて関係者と連携した対応(福祉、医療等のサービスの調整を含む。)を行う。さらに、必要に応じて、専門職団体と連携して対応するほか、不適正・不適切な事案については家庭裁判所に連絡する。

都道府県には、国が都道府県における権利擁護支援等の助言の担い手として養成する専門アドバイザーを活用した市町村支援等の対応を検討することが期待される。

イ具体的な取組

・後見人等に関する苦情等を把握した機関(家庭裁判所、専門職団体、市町村・中核機関など)は、苦情等に関する事情を十分に聴取・確認し、本人の権利・利益の観点から、苦情として具体的な対応を必要とするものかどうかを検討する。その上で、具体的な対応が必要と判断した場合、上記ア(イ)の役割や各地域における対応体制の実情などを踏まえ、自らが主体となって調整すべきものかどうかを検討する。検討の結果、他の機関が調整することが適当な事案の場合は、適切な機関等に対応を引き継ぐ。

家庭裁判所には、後見人等に関する苦情等がある事案(解任事由がない場合を含む。)について、家庭裁判所、専門職団体、市町村・中核機関等が適切に連携することにより、本人のニーズと後見人等の適格性を評価し、必要性が認められる場合には、後見人等の追加選任や交代を実現できるよう努力することが期待される。なお、専門家会議において、家庭裁判所には、専門職団体に対して専門職後見人の不正の防止・早期発見に向けた適切な情報提供をすることが求められるとの意見もあった。

また、専門家会議においては、家庭裁判所が、必要に応じ、家事事件手続規則(平成24年最高裁判所規則第8号)に基づく後見人等への指示(例えば、後見人等が身上保護に関する事務や意思決定支援を行うに当たり、本人の意向を尊重する旨の指示や、本人の支援方針を検討するケース会議等に出席する旨の指示)や、家庭裁判所調査官による調査等を適切に活用することが期待されるとの意見もあった。

③適切な報酬の算定に向けた検討及び報酬助成の推進等

後見人等の報酬のあり方は、後見人等が選任される際に期待された役割を後見人等がどのように果たしたかという評価の問題であり、後見人等の選任のあり方とも密接に関係することから、適切な後見人等の選任・交代のあり方と併せて検討された。また、全国どの地域においても、本人の所得や資産の多寡にかかわらず、成年後見制度を適切に利用できるようにすることが重要である。そのため、後見人等の適切な報酬の算定に向けた検討と申立費用・報酬の助成制度の推進等については、併せて検討される必要がある。

なお、後見人等に対して適切な報酬が支払われるかは、後見人等の担い手の確保とも密接に関連することから、担い手の確保についても併せて推進する必要があり、その方策を4(2)に記載している。

ア適切な報酬の算定に向けた検討

・後見人等の適切な報酬の算定については、最高裁判所及び各家庭裁判所において、当事者団体や専門職団体の意見も踏まえ、後見人等の事務の内容や負担の程度、報酬額の予測可能性の確保の観点のほか、後見人等の報告事務の負担にも配慮する観点から検討が進められている。そして、財産管理事務のみならず、身上保護事務についても適切に評価し、後見人等が実際に行った事務の内容や負担等に応じて報酬を算定するという方向性(「成年後見制度利用促進基本計画に係る中間検証報告書」の1(2)アでは、「報酬の算定に当たっては・・・財産管理事務のみならず身上保護事務についても適切に評価し、後見人等が実際に行った事務の内容や負担等に見合う報酬とすること・・・が望まれる。」とされている。)について、最高裁判所から、適時に専門家会議に報告されてきている。専門家会議では、本人への丁寧な面談やケア会議などへの出席といった日常的な関わりに応える報酬設定とすることが望ましい、専門職後見人には専門性に応じた適切な報酬が支払われるべき、後見人等の質(地方公共団体や専門職団体等による能力向上のための研修の受講の有無)、属性(専門職か否か)、本人の財産の多寡、地域の状況も適切に評価すべきなどの指摘や、実態の把握を適切に行うべきなどの意見があった。

・現行制度において報酬付与は裁判事項であるものの、最高裁判所及び各家庭裁判所には、報酬の算定についての上記のような指摘も踏まえ、利用者にとっての予測可能性をできる限り確保し得る形で、考え方を早期に整理することが期待される。

イ成年後見制度利用支援事業の推進等

・低所得の高齢者・障害者に対して申立費用や報酬を助成する成年後見制度利用支援事業については、市町村により実施状況が異なり、後見人等が報酬を受け取ることができない事案が相当数あるとの指摘がされている。

・そのため、全国どの地域においても成年後見制度を必要とする人が制度を利用できるよう、市町村には、同事業の対象として、広く低所得者を含めることや、市町村長申立て以外の本人や親族による申立ての場合の申立費用及び報酬並びに後見監督人等が選任される場合の報酬も含めることなど、同事業の実施内容を早期に検討することが期待される。

・国は、上記の観点から、市町村の成年後見制度利用支援事業の取扱いの実態把握に努め、同事業を全国で適切に実施するために参考となる留意点を示すなど、全国的に同事業が適切に実施される方策を早期に検討する。また、上記アにより早期に考え方が整理されることが期待される適切な報酬の算定に向けた検討と併せて、市町村が行う同事業に国が助成を行う地域支援事業及び地域生活支援事業についても、必要な見直しを含めた対応を早期に検討する。

・国は、被後見人等を当事者とする民事裁判等手続を処理した法律専門職が、被後見人等の資力が乏しいために報酬を得られない事態が生じているとの指摘があること等を踏まえ、法律専門職を含めた後見人等が弁護士又は司法書士に民事裁判等手続を依頼した場合に適切に民事法律扶助制度が活用される方策を早期に検討する。

ウ成年後見制度の見直しに向けた検討に併せた検討等

・国は、後見人等の報酬の決定についてできるだけ予測可能性の高い制度にすべきなどといった指摘があること等を踏まえ、成年後見制度の見直しに向けた検討の際、報酬のあり方についても検討を行う。関係省庁は、成年後見制度を必要とする人が適切に制度を利用できるよう、報酬のあり方の検討と併せて、報酬助成等の関連する制度のあり方について検討する。

④適切な後見人等の選任・交代の推進等に関するその他の取組

ア本人情報シートの活用の推進

本人情報シートは、適切な医学的診断や適切な後見人等の選任にとって有益であり、後見等開始の審判において多くの事案で提出されている。他方、本人情報シートが、裁判所には提出されているが、診断書を作成する医師に提供されていない事案が一定数あることから、家庭裁判所には、専門職団体や市町村・中核機関等とも連携し、作成された本人情報シートが確実に医師に提供されるよう、申立人に対するわかりやすい説明や関係者への更なる周知などに取り組むことが期待される。また、最高裁判所には、本人情報シートの活用の状況や実態の把握に努め、本人にとって適切な後見人等の選任・交代が促進されるよう、専門職団体や福祉関係者(ここでの福祉関係者とは、「ソーシャルワーカー(社会福祉士、精神保健福祉士等)として本人の支援に関わっている人(介護支援専門員、相談支援専門員、病院・施設の相談員、地域包括支援センターや、権利擁護支援センターの職員等)」のことをいう(「成年後見制度における診断書作成本人情報シート作成の手引(令和3年10月最高裁判所事務総局家庭局)」27ページを参照した。)等の関係者と連携し、本人情報シートの更なる活用に向けた方策(例えば、申立後の本人情報シートの活用、「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」の様式等の併用)を検討することが期待される。

イ後見申立等に関するその他の取組

最高裁判所・家庭裁判所には、本人にとって適切な後見人等の選任・交代が推進されるとともに、申立人・後見人等の事務負担の軽減や手続の迅速化にも資するよう、家庭裁判所への後見等開始の審判の申立てや後見事務の報告に関する書類などのあり方を含め、必要な方策を検討することが期待される。

(3)不正防止の徹底と利用しやすさの調和等

不正事案は、第一期計画に基づく取組により減少しつつあるが、成年後見制度をより安心かつ安全な制度とするため、引き続き不正防止の取組が重要である。したがって、監督機能の充実・強化が必要であるところ、家庭裁判所のみならず関係機関・関係団体は、不正事案の発生を未然に抑止するための方策を推進する必要がある。その際、成年後見制度の利用促進は、制度の利用を必要とする人が尊厳のある本人らしい生活を継続することができるようにするものであることを踏まえ、本人の意思の尊重や利用しやすさも考慮して進める必要がある。

また、利用者が安心して成年後見制度を利用できるようにするには適切な事後救済策も重要であり、そのために必要な方策を推進する必要がある。

なお、任意後見制度における不正防止については、4(1)に記載している。

①後見制度支援信託及び後見制度支援預貯金の普及等

後見制度支援信託及び後見制度支援預貯金(金融関係団体等による「成年後見における預貯金管理に関する勉強会フォローアップ会議」において、令和3年10月、保佐・補助類型を対象とする預貯金管理のしくみに関する方向性がとりまとめられた。)は、後見人等の属性を問わず、広く後見人等による不正防止に有用であるとともに、財産管理の負担が軽減されることで親族後見人の適切な選任にも資するものである。また、後見制度支援預貯金には、身近な金融機関でも導入が比較的容易であるなどのメリットがある。一方、その運用においては、財産の固定化によって本人の積極的な財産活用や日常生活への柔軟な対応に支障が生じないよう留意が必要である。

金融機関には、必要に応じ最高裁判所や関係省庁とも連携しつつ、これらのしくみの導入や改善を図ることが期待される。また、利用者の立場からの意見を聴く場を設けるなどして、本人等の具体的なニーズや利用者側から見た課題等、利用者側の意見を聴取することも期待される。

家庭裁判所には、後見人等の担い手となる団体等に対して、これらのしくみを導入している金融機関に関して把握している情報を適切に提供することが期待される。

国は、最高裁判所と連携し、金融機関における自主的取組等や専門職団体等における対応強化策の検討の状況を踏まえ、必要に応じ、より効率的な不正防止のための方策を検討する。

②家庭裁判所の適切な監督に向けた取組

最高裁判所・家庭裁判所には、引き続き、不正防止のため、後見制度支援信託・後見制度支援預貯金や後見監督人等の活用が難しい親族後見人等の事案を含め、適切な監督に向けた取組をすることが期待される。

③専門職団体や市民後見人を支援する団体の取組

専門職団体は各専門職に対して、市民後見人を支援する社会福祉協議会等の団体は各市民後見人に対して、それぞれ後見事務における不正防止の取組を受任前・養成の段階から進めることが期待される。また、後見事務について不適正な点を発見した場合は、家庭裁判所と連携し適切に対応する必要がある。

④地域連携ネットワークによる不正行為の防止効果

本人の意思を尊重しつつ、後見人等による不正行為の防止を含めた本人の権利擁護をより確実なものとするためには、後見人等を孤立させないよう、必要に応じた支援の下、権利擁護支援チーム(権利擁護支援チームについては、3(1)②ア参照。)の一員として後見人等が職務を行うことができる環境整備が重要である。したがって、3のとおり、地域連携ネットワークづくりを進めるほか、専門職団体は、各団体に所属する専門職後見人等に対し積極的に助言等を行う。

⑤成年後見制度を安心して利用できるようにするための更なる検討

・利用者が安心して成年後見制度を利用できるようにするには、不正防止策に加えて、後見事務に起因して生じた損害を補償する保険などの適切な事後救済策も重要である。そのため、専門職団体や、市民後見人を支援する社会福祉協議会等の団体には、保険会社とも連携し、後見人等の故意による被後見人の損害を補償するための保険を含め、適切な保険の導入に向けた検討を進めることが期待される。

・その上で、こうした保険の導入状況や成年後見制度の見直しの検討状況なども踏まえ、関係省庁、最高裁判所、専門職団体及び市民後見人を支援する社会福祉協議会等の団体は、保険会社とも連携し、必要に応じ、適切な事後救済策の普及方策を検討する。

(4)各種手続における後見事務の円滑化等

・市町村・金融機関等の窓口において、成年後見制度の利用者(後見類型だけでなく、補助・保佐類型の利用者もいることに留意する必要がある。)が、成年後見制度を利用したことによって不利益を被ることのないよう、国及び地方公共団体は、市町村の成年後見制度利用促進の担当部署以外の関係部署及び金融機関等の窓口担当者に対して、同制度の理解の促進を図る必要がある。

・国及び地方公共団体は、新たな行政手続を創設する場合、成年後見制度の利用者(注釈23参照)が、同制度を利用したことによって不利益を被ることのないよう、適切に対応する必要がある。また、国及び地方公共団体は、行政手続のデジタル化に当たり、成年後見制度の利用者(注釈23参照)が、成年後見制度を利用したことによって、同制度以外の代理人による手続利用の場合と比較して不利益を被ることのないよう、適切に対応する必要がある。

・金融機関には、本人以外から預金取引の申出や保険金等の支払請求を受けた際、当該申出等が本人の日常生活の支援という目的・範囲に照らして合理的なものであるかどうかの確認を行うだけでなく、本人の権利擁護の観点から、本人にとっての必要性や利便性とともに、権利侵害の防止も重視して対応することが期待される。上記の観点から、国は、金融機関に対して、成年後見制度や権利擁護支援の理解を促進するための周知等を行う。

3権利擁護支援の地域連携ネットワーク(権利擁護支援の地域連携ネットワークは、「はじめに」の2で、「地域連携ネットワーク」と読替をしている。また、第二期計画における権利擁護支援とは、意思決定支援等による権利行使の支援と、虐待対応等による権利侵害からの回復支援の両方を含む考え方である。詳細は、Ⅰ1(1)「地域共生社会の実現に向けた権利擁護支援の推進」の定義参照。)づくり

(1) 権利擁護支援の地域連携ネットワークの基本的な考え方

-尊厳のある本人らしい生活の継続と地域社会への参加-

①地域連携ネットワークの必要性と趣旨

ア地域連携ネットワークの必要性

・権利擁護支援を必要としている人は、判断能力等の状態や取り巻く生活の状況により、その人らしく日常生活を送ることができなくなったとしても、自ら助けを求めることが難しく、自らの権利が侵されていることに気づくことができない場合もある。そして、こうした状況は、全国どの地域においても必ず起こり得ることである。

・本人らしい生活を継続するためには、地域社会がこうした状況に気づき、意思決定の支援や、必要に応じた福祉や医療等のサービスの利用につなげることが重要である。虐待や消費者被害などが生じている状況では、行政の関与、法的な支援や成年後見制度の利用につなげることも必要になる。

・また、権利擁護支援を必要としている人の中には、身寄りがない、または身寄りに頼ることができない状態や、地域社会とのつながりが希薄であるなど、孤独・孤立の状態に置かれている人もいる。このことから、権利擁護支援を必要としている人に対し、住民同士のつながりや支え合い、社会参加の支援を充実することも重要である。

・以上のことから、各地域において、現に権利擁護支援を必要としている人も含めた地域に暮らす全ての人が、尊厳のある本人らしい生活を継続し、地域社会に参加できるようにするため、地域や福祉、行政などに司法を加えた多様な分野・主体が連携するしくみをつくっていく必要がある。

イ地域連携ネットワークづくりの方向性(包括的・多層的なネットワークづくり)

・第一期計画では、上記の地域連携のしくみを、地域連携ネットワークとし、全国どの地域においても、尊厳のある本人らしい生活を継続することができるよう、必要な人が成年後見制度を利用できるようにするという観点から、その整備を進めてきた。

・第二期計画では、地域連携ネットワークの趣旨として、地域社会への参加の支援という観点も含めることとする。具体的には、地域包括ケアや虐待防止などの権利擁護に関する様々な既存のしくみ(既存のしくみには、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」や、「認知症初期集中支援チーム」、「認知症高齢者見守りネットワーク」等の地域支援体制などがある。)のほか、地域共生社会実現のための支援体制や地域福祉の推進などと有機的な結びつきを持って、地域における多様な分野・主体が連携する「包括的」なネットワークにしていく取組を進めていく必要がある。

「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」とは、精神障害の有無や程度にかかわらず、誰もが安心して自分らしく暮らすことができるよう、市町村が主体となり、保健所や精神保健福祉センターとの連携を図りつつ、精神科医療機関、その他の医療機関、地域援助事業者、居住支援法人等居住支援関係者、ピアサポーター、意思決定を支援する人などとの重層的な連携による支援体制を構築することである。

「認知症初期集中支援チーム」とは、複数の専門家が、認知症が疑われる人や認知症の人及びその家族を訪問し、観察・評価を行った上で、家族支援等の初期の支援を行うチームのことである。

「認知症高齢者見守りネットワーク」とは、認知症高齢者等の行方不明の防止や発見等の見守りに関するネットワークのことである。

・さらに、権利擁護支援を必要としている人の世帯の中には、様々な課題が生じていることもあり、このような場合には、個人ごとに権利擁護支援の課題を捉えた上で、その状況に応じて、家族の構成員同士の想いも尊重しながら、それぞれを同時に支援していく必要がある。こうした世帯内の複合的な地域生活課題(地域生活課題とは、「福祉サービスを必要とする地域住民及びその世帯が抱える福祉、介護、介護予防、保健医療、住まい、就労及び教育に関する課題、福祉サービスを必要とする地域住民の地域社会からの孤立その他の福祉サービスを必要とする地域住民が日常生活を営み、あらゆる分野の課題に参加する機会が確保される上での各般の課題」のこと。社会福祉法(昭和26年法律第45号)第4条第3項に規定。)としては、支援困難な虐待やネグレクト、未成年後見を含む児童の権利擁護などもあり、これらへの適切な支援が必要となる場合もある。

・地域連携ネットワークは、住民に身近な相談窓口等のしくみを有する市町村単位を基本として整備を進めてきたが、このような課題に対応するためには「包括的」なネットワークだけでは十分でなく、地域の実情に応じて権利擁護支援を総合的に充実することができるよう、圏域などの複数市町村単位や都道府県単位のしくみを重ね合わせた「多層的」なネットワークにしていく取組も併せて進めていく必要がある。

ウ地域連携ネットワークづくりの進め方

・イの方向性に基づいた具体的な取組は、(3)で記載しているが、これから地域連携ネットワークづくりを始める地域では、できるだけ早期に、以下に取り組む体制を整備するべきである。

・権利擁護支援に関する相談窓口を明確にした上で、本人や家族、地域住民などの関係者に対し、成年後見制度の内容など権利擁護支援の理解の促進や相談窓口の周知を図ること

・地域連携ネットワークのコーディネートを行う中核機関(②ウを参照)の役割をどういった機関や体制で担うのかを明らかにすること

・また、これらの体制を整備した地域では、後見人等の受任者調整等によって権利擁護支援チームの形成を支援し、その権利擁護支援チームが本人への支援を適切に行うことができるようにする必要がある。こうした地域連携ネットワークの機能を段階的・計画的に充実していくことで、尊厳のある本人らしい生活の継続と地域社会への参加を図ることができるようになる(充実が求められる機能や取組は、(2)②イ・ウ、(3)②イ・ウを参照)。

・なお、これらの体制整備には、市町村単独では取り組むことが難しい内容もあるため、広域的な見地から、都道府県が主体的に取り組むことも重要である。

②地域連携ネットワークのしくみ

地域連携ネットワークは、「権利擁護支援チーム」、「協議会」及び「中核となる機関(中核機関)」の3つのしくみからなる。

ア権利擁護支援チーム

権利擁護支援チームとは、権利擁護支援が必要な人を中心に、本人の状況に応じ、本人に身近な親族等や地域、保健・福祉・医療の関係者などが、協力して日常的に本人を見守り、本人の意思及び選好や価値観を継続的に把握し、必要な権利擁護支援の対応を行うしくみである。

既存の福祉・医療等のサービス調整や支援を行う体制に、必要に応じ、法律・福祉の専門職や後見人等、意思決定に寄り添う人などが加わり、適切に本人の権利擁護が図られるようにする。

イ協議会

協議会とは、各地域において、専門職団体や当事者等団体などを含む関係機関・団体が、連携体制を強化し、これらの機関・団体による自発的な協力を進めるしくみである。

各地域では、成年後見制度を利用する事案に限定することなく、権利擁護支援チームに対し、法律・福祉の専門職や関係機関が必要な支援を行うことができるように協議の場を設ける。なお、協議会は、地域の実情や議題等に応じ、個々の市町村単位、圏域などの複数市町村単位、都道府県単位など階層的に設置する。

ウ中核機関

中核機関とは、地域連携ネットワークのコーディネートを担う中核的な機関や体制であり、以下のような役割を担う。

・本人や関係者等からの権利擁護支援や成年後見制度に関する相談を受け(身近な相談機関を一次相談窓口にして、中核機関は一次相談窓口からの相談を受けている地域もある。)、必要に応じて専門的助言等を確保しつつ、権利擁護支援の内容の検討や支援を適切に実施するためのコーディネートを行う役割

・専門職団体・関係機関の協力・連携強化を図るために関係者のコーディネートを行う役割(協議会の運営等)

中核機関の運営は、地域の実情に応じ、市町村による直営又は市町村からの委託などにより行う。市町村が委託する場合等の運営主体については、業務の中立性・公正性の確保に留意しつつ、専門的業務に継続的に対応する能力を有する法人(例えば、社会福祉協議会、NPO法人、公益法人等)を適切に選定するものとする。

なお、国は、1(1)に記載した成年後見制度等の見直しの検討と併せて、中核機関の位置付け及びその役割にふさわしい適切な名称を検討する。

③権利擁護支援を行う3つの場面

地域において、成年後見制度の利用を含む権利擁護支援を行う場面は、以下の3つに整理できる。

ア権利擁護支援の検討に関する場面(成年後見制度の利用前)

・本人を取り巻く関係者(本人に身近な家族・親族等、医療・福祉・介護等の関係者、民生委員・自治会・民間事業者等の地域の関係者のこと。)が、権利擁護支援に関するニーズに気づき、必要な支援につなぐ場面。

・この場面では、成年後見制度につなぐ場合や、同制度以外の権利擁護支援(権利擁護支援チームによる見守りや意思決定の支援、日常生活自立支援事業の利用、虐待やセルフネグレクトの対応、消費生活センターの相談対応など)などにつなぐ場合がある。

イ成年後見制度の利用の開始までの場面(申立ての準備から後見人等の選任まで)

・成年後見制度の申立ての必要性、その方法、制度利用後に必要となる支援、適切な後見人等候補者などを検討・調整し、家庭裁判所に申し立て、後見人等が選任されるまでの場面。

・この場面では、制度利用後の支援方針を検討する。その中で、適切な権利擁護支援チームの体制も検討する。

ウ成年後見制度の利用開始後に関する場面(後見人等の選任後)

・家庭裁判所の審判により、後見人等が選任され、後見活動が開始されてからの場面。

・この場面では、権利擁護支援チームに後見人等が参加し、チームの関係者間で、あらかじめ想定していた支援方針等を共有し、本人に対して、チームによる適切な支援を開始する。

④市町村・都道府県・国と関係機関の主な役割

権利擁護支援は、地域や福祉、行政、司法など多様な分野・主体が関わるものである。また、第二期計画の期間内に、令和7年を迎えて認知症高齢者が増加するなど(いわゆる2025年問題)、成年後見制度の利用を含む権利擁護支援のニーズが更に多様化及び増大する見込みである。

このようなことに対応できるよう、地域連携ネットワークは、多様な主体が積極的に参画し適切な役割を果たすことで、持続可能な形で運営できるようにすることが重要である。家庭裁判所においても、地域連携ネットワークの中で、持続可能な形で、各関係機関と必要な連携を行いながら、成年後見制度の運用・監督にあたることが重要である。

ア行政(市町村・都道府県・国)

(ア)市町村

・市町村は、権利擁護支援に関する業務が市町村の福祉部局が有する個人情報を基に行われることや、行政や地域の幅広い関係者との連携を調整する必要性などから、協議会及び中核機関の整備・運営といった地域連携ネットワークづくりに主体となって取り組む必要がある。その際、地域の実情に応じ、都道府県と連携して、地域連携ネットワークを重層的なしくみにすることなど柔軟な実施体制も検討する。

・市町村の地域連携ネットワークづくりに対する主体的な役割は、協議会及び中核機関の運営を委託等した場合であっても同様であり、積極的に委託事業等に関わる必要がある。

・市町村は、権利侵害からの回復支援(虐待やセルフネグレクトの対応での必要な権限の行使等)など地域連携ネットワークで行われる支援にも、その責務に基づき主体的に取り組む必要がある。

・上記に加え、市町村は、市町村長申立てや成年後見制度利用支援事業の適切な実施、担い手の育成・活躍支援、促進法に基づく市町村計画の策定といった重要な役割を果たす(4(2)、(3)、(4)を参照)。

(イ)都道府県

・都道府県は、市町村単位では解決が困難な広域的な課題に対する都道府県自らの取組、国との連携確保など、市町村では担えない地域連携ネットワークづくりの役割を主導的に果たす。具体的には、担い手の育成・活躍支援、広域的観点から段階的・計画的にネットワークづくりに取り組むための方針の策定といった重要な役割を果たす(4(2)、(4)、(5)を参照)。

・また、人口規模が小さく、社会資源等が乏しい小規模市町村を始めとした市町村に対する体制整備支援の機能を強化し、地域連携ネットワークづくりを促進する。

(ウ)国

・国は、市町村や都道府県が進める地域連携ネットワークづくりを後押しする観点から、以下の役割を担う。

・成年後見制度利用促進ポータルサイトを活用した最新の情報や知見の共有

・都道府県等との連携や権利擁護支援体制全国ネット(K-ねっと)のしくみを通じた全国の取組状況や地域による格差などの継続的な把握と必要な助言の実施

・各取組の進捗状況等を勘案した必要な研修等の支援策の検討と実施

イ中核機関(再掲)

・中核機関は、②ウに記載した地域連携ネットワークのコーディネートを行う役割を担う。

ウ家庭裁判所

・Ⅰ1(2)の考え方のとおり、家庭裁判所には、尊厳のある本人らしい生活の継続を実現することができるよう、地域連携ネットワークの中で、成年後見制度の適切な運用・監督を行うことが期待される。

・こうした観点も踏まえ、家庭裁判所には、地域連携ネットワークづくりや成年後見制度の運用改善等に向けて、その支部や出張所を含め、地方公共団体、中核機関、専門職団体、協議会等と積極的に連携し、取組情報の交換や意見交換を図ることが期待される。

エ専門職団体

・権利擁護支援を必要としている人は、成年後見制度の利用に限らず、権利擁護や意思決定に関し、福祉的又は法律的な支援が必要になる場合があり、各専門職には、各種場面において、専門分野に応じた役割を発揮することが期待される。

・こうした観点も踏まえ、成年後見制度の利用促進に関わる専門職団体には、地域における協議会等に積極的に参画することや、地域連携ネットワークにおける相談対応や権利擁護支援チームによる支援の活動などにおいて、本人の特性等に合わせながら、専門性を生かした積極的な役割を果たすことが期待される。その際、市町村や都道府県等との連携が円滑に進むよう、都道府県単位などで連絡窓口を整備することが期待される。

オ当事者等団体

・権利擁護支援を必要とする人が、同じような経験をしながら暮らしている仲間と出会い、尊厳のある生活の継続の実態を知ることは、本人にとって非常に大きな力となり、自分のことを自分で考え決めていくための基盤となる。

・こうした観点も踏まえ、認知症、知的障害、発達障害、精神障害等、成年後見制度を利用する可能性がある当事者等の団体には、本人へのピアサポートや、当事者の視点からの協議会や地域づくりへの参画などが期待される。

カ各種相談支援機関

・権利擁護支援を必要としている人は、自ら助けを求めることが難しい。したがって、各地域での見守りや支え合いの中で、早期に身近な相談窓口につなげた上で、成年後見制度の利用が必要かどうかなど権利擁護支援ニーズの精査を行う必要がある。

・こうした観点も踏まえ、介護や障害、生活困窮、子育てなどの各分野において地域住民等からの相談を受けている相談支援機関には、権利擁護支援に関する課題を含む相談を受けた場合、中核機関や専門職等と連携して、必要な情報の収集や集約、整理を行い、必要な支援につなげることが期待される。

・特に、従来より権利擁護業務を実施している地域包括支援センターや基幹相談支援センター等には、これらの業務に対する積極的な関わりが求められる。

(2)権利擁護支援の地域連携ネットワークの機能

-個別支援と制度の運用・監督-

①地域連携ネットワークの機能の考え方

第一期計画では、地域連携ネットワークの機能について、広報機能、相談機能、成年後見制度利用促進機能(受任者調整(マッチング)等の支援、担い手の育成・支援、関連制度からのスムーズな移行)及び後見人支援機能の4つを位置付けてきた。

今後は、権利擁護支援としての成年後見制度の適切な利用を通じて尊厳のある本人らしい生活の継続と地域社会への参加につなげていくようにすること、また、そのために地域連携ネットワークが、多様な主体の積極的な参画と適切な役割の発揮の下で、持続可能な形で運営できるようにすることが重要である。

このような観点から、上記の4機能について、本人中心の権利擁護支援チームを支えるための機能(②を参照)と、その機能を強化するための地域の体制づくりに関する取組((3)を参照)に大別した。

併せて、地域連携ネットワークが担う機能には、福祉・行政・法律専門職などの連携による「支援(専門家会議福祉・行政と司法の連携強化ワーキング・グループにおいて、「福祉や行政の関係者、中核機関が行う支援は、本人等の求めに対し、課題整理などを行い、本人自身の力を基にした解決を図るため、必要に応じ、支援や環境の調整を行うものであり、後見人等への指導や後見事務の適正性の判断・チェックを行うものではないこと」といった趣旨の指摘が多数あった。)」機能と、家庭裁判所による成年後見制度の「運用・監督(家庭裁判所の行う後見監督は、その一環として、後見人等の職務全般(財産管理、身上保護、意思決定支援のほか、報告書作成等の後見事務)について、司法機関の立場から適切な助言や指導を行うことが予定されている。ただし、司法機関である家庭裁判所においては、福祉的観点からの助言等は難しいといった実情もある。)。」機能があることを、権利擁護支援を行う3つの場面に対応した形で整理した。

②権利擁護支援を行う3つの場面における「支援」機能と「運用・監督」機能

福祉・行政・法律専門職など多様な主体による「支援」機能としては、(1)③で整理した権利擁護支援を行う3つの場面に応じて、それぞれ以下の3つが挙げられる。

・「権利擁護の相談支援」機能

・「権利擁護支援チームの形成支援」機能

・「権利擁護支援チームの自立支援」機能

また、家庭裁判所による「運用・監督」機能としては、同様に、それぞれ以下の3つが挙げられる。

・「制度利用の案内」機能

・「適切な選任形態の判断」機能

20220520追記

成年後見制度利用促進法ってさ、変に制度をいじらないで、「人権擁護のために首長申立を促進しよう」っていうだけで良かったのではないかな。

最初に理想を描いて国会議員に根強く働きかけてしまったのは弊業界だと思います。深く陳謝します。

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