加工J-KISS型新株予約権投資契約書Version2.0

株式会社CORAL Capital

https://coralcap.co/j-kiss/

[発行会社名称]

第[1]回J-KISS型新株予約権投資契約書

→J-KISS型に限らず、新株予約権を発行する度に第1回、第2回と名称が付けられることが多い。理由として、新株予約権の内容は、原則として、定款記載事項ではなく、募集事項の決定の都度定められるから混同しないように[1]

[発行会社名称](以下「本会社」という。)及び[投資家名](以下「本投資家」という。)は、本会社が発行する新株予約権の本投資家による引受け等に関し、20__年__月__日(以下「本契約締結日」という。)、以下のとおり投資契約(以下「本契約」という。)を締結する。

[なお、本契約(別紙1「発行要項」を含む。)は、空白又は括弧書き以外の箇所を除き、https://coralcap.co/j-kiss/で公開されているものの一つから変更されていない。]

→J-KISS型新株予約権の目的の1つとして、投資契約書のひな形として修正や交渉を省くことができ、結果として起業家と投資家双方の取引コストを最小限にすることがあるので、穴埋めしていくだけで使用できるようになっている。修正した場合は、修正箇所を示さなければならない仕様。

株式会社CORAL Capital HPより 2023/07/14閲覧

https://coralcap.co/j-kiss/

「J-KISSはシリコンバレーで培われたノウハウの詰まった投資契約書のひな形です。弁護士や税理士といった専門家のレビュー済みで、国内の規制や法律に適合しています。このため投資契約の修正や交渉を省くことができ、結果として起業家と投資家双方の取引コストを最小限にできます。」

第1章 定義

第1.1条(定義)

本契約において、次の各号に掲げる用語の意義は、文脈上別段の意味を有することが明らかな場合を除き、当該各号に定めるところによるものとする。また、本契約本文において別に定義されているものを除き、別紙1で定義された用語は、本契約本文においても同一の意義を有するものとする。

  • 「会社法」とは、会社法(平成17年7月26日法律第86号、その後の改正を含む)をいう。

→会社法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000086

  • 「関係者」とは、ある特定の者につき、当該特定の者が直接又は間接に、他の者を支配し、他の者によって支配され、又は他の者と共通の支配下にある場合の当該他の者をいう。
  • 「クロージング」とは、第2.2条に従って引受新株予約権と引き換えにする金銭の払込みを実行することをいう。
  • 「参加上限額」とは、本払込金額の[2]倍に相当する金額をいう。
  • 「主要投資家」とは、本シリーズ新株予約権を有する者のうち、当該本シリーズ新株予約権について払い込むべき金額の全額(関係者が本シリーズ新株予約権の付与を受けている場合、当該関係者が本シリーズ新株予約権について払い込むべき金額の全額を加算するものとする。)が[5,000,000]円以上である者をいう。
  • 「新株予約権」とは、会社法第2条第21号に定める新株予約権をいう。

→会社法2条第21号

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

二十一 新株予約権 株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいう。

  • 「ストックオプション」とは、本会社から本会社の役職員又はコンサルタントに対して発行、付与若しくは売却された、これらの者の本会社への労務又は役務の提供を維持することを主たる目的とした証券その他の権利をいう。

→新株予約権のうち、株式会社の役職員などに発行、付与、売却させるのがストックオプション。

  • 「多数投資家」とは、本シリーズ新株予約権の発行価額の総額の50%超に相当する本シリーズ新株予約権を単独又は複数で保有する新株予約権者をいう。
  • 「本株式等」とは、本会社の、普通株式、優先株式若しくは他の種類株式、株式買取オプションその他の株式を購入できる権利若しくはこれを表章する証券、新株予約権、新株予約権付社債その他有償若しくは無償で株式に転換し若しくはこれと交換できる証券又はこれらに類する権利をいう。
  • 「本行使通知」とは、本投資家が発する別紙2に定める内容及び様式の、特定の本新株予約権を行使する旨の書面による通知をいう。
  • 「本財務諸表等」とは、毎事業年度の各第一四半期から第三四半期又は各事業年度に係る本会社の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書をいう。
  • 「本シリーズ新株予約権」とは、名称、新株予約権の1個あたりの払込金額並びに払込期日及び割当日の定めを除き本発行要項に定めるのと実質的に同等の内容を有する本会社の発行する新株予約権を総称していい、文脈により本新株予約権を含む。
  • 「本シリーズ投資家」とは、本シリーズ新株予約権を有する者をいう(本投資家を含み、本シリーズ新株予約権を保有しなくなった者を除く。)。
  • 「本新株予約権」とは、本会社の株主総会における決議に基づき発行される、本発行要項に定める内容を有する新株予約権をいう。

→会社法238条から241条。

  • 「本転換」とは、本発行要項に定める株式を対価とする本新株予約権の取得条項に定める条件の成就、又は本投資家による本新株予約権の行使をいう。

→会社法238条7項、280条から283条。

  • 「本発行要項」とは、別紙1の第[1]回J-KISS型新株予約権の発行要項をいう。

第2章 本新株予約権の割当て等

第2.1条(本新株予約権の割当及び引受け)

本契約の定めるところに従い、本発行要項に定める払込期日(以下「本払込期日」という。)において、本投資家は本新株予約権のうち[●]個(以下「引受新株予約権」という。)を引き受け、本新株予約権1個あたり[1,000,000]円(合計[●]円)を本会社に対し払い込み、本会社は引受新株予約権を本投資家に割り当て発行するものとする。

→会社法238条、242条、246条、911条2項12号。

第2.2条(クロージング)

1.   本投資家は、本払込期日において、第2.1条に基づき引き受けた引受新株予約権につき払い込むべき金額の全額(以下「本払込金額」という。)を、本会社によって指定される払込取扱場所となる金融機関口座に振込送金する方法により払い込むものとする。

2.   本会社は、本払込期日において、前項に定める払込みの後速やかに、本会社の新株予約権原簿に引受新株予約権の発行に係る事項を記録又は記載した上、本投資家に対して、会社法第250条第1項に定める新株予約権原簿記載事項証明書を交付するものとする。

→会社法250条第1項

(新株予約権原簿記載事項を記載した書面の交付等)

第二百五十条 前条第三号イの新株予約権者は、株式会社に対し、当該新株予約権者についての新株予約権原簿に記載され、若しくは記録された新株予約権原簿記載事項を記載した書面の交付又は当該新株予約権原簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。

第2.3条(登記手続)

本会社は、本払込期日の後速やかに引受新株予約権の発行について変更登記手続申請をするものとし、本払込期日から30営業日以内に、当該引受新株予約権の発行が反映された本会社の現在事項全部証明書を、本投資家に交付するものとする。

→会社法911条2項12号、商業登記法46条2項、商業登記規則61条3項。

第2.4条(本新株予約権の転換)

1.      本投資家が本新株予約権を行使する際は、本会社に対して本行使通知を交付するものとする。なお、本新株予約権の転換に係る条件は、本発行要項の定めに従う。

→会社法280条。

2.   本会社は、本転換の後可能な限り速やかに、本会社の株主名簿に転換対象株式の発行に係る事項を記載又は記録した上、本投資家に対して、転換対象株式を表章する一又は複数の株券(本会社が株券発行会社でない場合は、会社法第122条第1項に定める株主名簿記載事項証明書)を発行し交付するものとする。

→会社法122条第1項

(株主名簿)

第百二十一条 株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。

一 株主の氏名又は名称及び住所

二号以下略

(株主名簿記載事項を記載した書面の交付等)

第百二十二条 前条第一号の株主は、株式会社に対し、当該株主についての株主名簿に記載され、若しくは記録された株主名簿記載事項を記載した書面の交付又は当該株主名簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。

第3章 本会社による表明保証

第3.1条(本会社による表明保証)

本会社は、本投資家に対し、本契約締結日及び本払込期日において、以下の事項が真実かつ正確であることを表明し保証する。

  • 設立及び存続

本会社は、日本法に基づき適法に設立され、有効に存続している株式会社であり、現に従事している事業を行うために必要な全ての権限及び権能を有している。本会社は、その喪失により本会社の事業又は資産に対する重大な悪影響が及ぶこととなる事業につき、これを遂行するための適格性を有している。

  • 権限

本払込期日において、本会社は、本契約の締結及び履行並びに本新株予約権の発行に必要な内部手続を全て完了している。本契約は、本契約の他の当事者により締結されることにより、本会社に対して法的拘束力を有することになる。

  • 取得勧誘

本投資家による次条に基づく表明及び保証が真実かつ正確であることを前提として、本新株予約権の取得勧誘及び発行に際して、関連する証券法に基づく登録又は届出その他の手続を行うことを要しない。本会社及び権限のある代理人は、本新株予約権の取得勧誘及び発行に際して登録又は届出その他の手続を行うべきこととなる行為を行っていない。

  • 抵触の不存在

本会社による本契約の締結及び義務の履行並びに本新株予約権の発行は、本会社の知る限り、(i)本会社の定款その他の社内規程、(ii)司法・行政機関の判決、決定、命令、裁判上の和解、免許、許可、認可その他の判断(以下「司法・行政機関の判断等」という。)、(iii)本会社に適用のある法令等、及び(iv)本会社が当事者となっている契約等に、重要な点において違反するものではない。

  • 転換対象株式の発行

本転換により転換対象株式が発行され本投資家に交付された際は、転換対象株式は適法かつ有効に発行され、本会社の定款、会社法及び関連する証券法に従った譲渡制限のほかに何らの制限もなく、本投資家による次条に基づく表明及び保証が真実かつ正確であることを前提として、転換対象株式の発行は適用ある有価証券に関する法令に違反しない。

  • 知的財産権

本会社は、事業を現在又は将来において運営するために必要な、特許権、意匠権、実用新案、商標権、サービスマーク、商号、著作権、営業秘密、ライセンス、ドメインネームその他の財産的価値のある情報及びプロセス(外国法に基づくこれらに相当するもの及びこれらの権利を受ける権利を含む。)を、第三者の有するこれらの権利への抵触や侵害なく保有し、又は商業的に合理的な条件によりそれらの権利を獲得することが可能である。

  • 訴訟

本会社を当事者とし、又は本会社が所有若しくは使用する資産を対象とする訴訟、仲裁、調停、仮差押、差押、保全処分、保全差押、滞納処分、強制執行、仮処分、その他裁判上又は行政上の手続(国内外を問わず、以下「訴訟等」という。)は係属しておらず、かつ、本会社の知る限り、かかる訴訟等が本会社に対して提起されるおそれはない。本会社の知る限り、(i)本契約若しくは本新株予約権に基づく取引を妨げ、これに対し重大な変更若しくは延期を生じさせ、又は(ii)本会社の事業に対して重大な悪影響を及ぼすことが合理的に予想される、本会社又はその役員に対する司法・行政機関の判断等は存在しない。

  • 反社会的勢力等

本会社又はその特別利害関係者、株主若しくは主要な取引先等(以下「本会社等」という。)は、反社会的勢力又はこれに準ずるもの(以下「反社会的勢力等」という。)ではなく、反社会的勢力等に資金提供又はそれに準ずる行為を通じて、反社会的勢力等の維持、運営に協力又は関与しておらず、また反社会的勢力等と交流をもっていない。なお、本契約において、特別利害関係者とは、役員(役員持株会を含む。)、その配偶者及び二親等内の血族、これらの者により発行済株式数の過半数が所有されている会社、並びにその関係者及び役員をいう。

  • 開示

本会社による事実の表明及び保証、並びに本会社が本契約の締結に関連して本投資家に対して交付した書面及び提供した情報は、重要な点において真実かつ正確であり、本投資家の投資判断に誤解を生じさせないために必要な事実を重要な点において欠いていない。

4章 本投資家による表明保証

第4.1条(本投資家による表明保証)

本投資家は、本会社に対し、本契約締結日及び本払込期日において、以下の事項が真実かつ正確であることを表明し保証する。

  • 権限

本投資家は、本契約の締結及び履行に必要な内部手続を全て完了している。本契約は、本契約の他の当事者により締結されることにより、本投資家に対して法的拘束力を有することになる。

  • 真正な取得

本投資家は自らの計算により引受新株予約権を引き受けるものであり、第三者に代わってこれを引き受けるのではない。本投資家は、引受新株予約権の一部又は全部を第三者に売り付け又は割り当てるために引受新株予約権を引き受けるものではない。

  • 投資経験

本投資家は、成長段階にある企業の発行する株式又は持分に対する投資を行う投資家であり、自らの判断で投資活動を行う能力を有し、投資活動に伴う経済的なリスクを負担することが可能である。本投資家は、本契約に基づく投資に伴う便益及びリスクを評価するための会計上又は事業上の事項に習熟している。本投資家は、引受新株予約権を取得する目的のためにのみ設立されたものではない。

  • 反社会的勢力等

本投資家又はその特別利害関係者は、反社会的勢力等ではなく、反社会的勢力等に資金提供又はそれに準ずる行為を通じて、反社会的勢力等の維持、運営に協力又は関与しておらず、また反社会的勢力等と交流をもっていない。

第5章 その他の事項

第5.1条(最恵待遇条項

1.   クロージング以降本転換の前に、第三者に新株予約権、新株予約権付社債その他株式への転換若しくは交換又は株式の購入若しくは取得が可能となる有価証券、オプションその他の権利(但し、ストックオプションを除き、以下「後続証券等」と総称する。)を発行し又は付与する場合、本会社は、本投資家に対して、当該発行又は付与の実行日から5日以内に、当該発行又は付与があった旨を書面により通知する。

2.   前項に定める通知に際しては、後続証券等の内容及び発行又は付与に係る払込金額その他の条件を記載し、また、本会社と後続証券等の発行又は付与を受けた者との間の投資契約その他の契約(以下「後続投資契約」という。)の写しを添付するものとする。

3.   本投資家は、後続証券等又は後続投資契約が本新株予約権又は本契約の内容よりも後続証券等の発行若しくは付与を受けた者又は本会社と後続投資契約を締結した第三者にとって有利な条項を含んでいると判断した場合、その選択により、(i)本契約の内容を変更し当該条項と同内容の条項を含めること、及び/又は(ii)引受新株予約権を後続証券等と交換することを、本会社に対して請求できるものとする。

第5.2条(主要投資家の権利

本会社は、主要投資家(本投資家が主要投資家に該当する場合、本投資家を含む。)に対し、以下の各号に定める権利を付与するものとする。

  • 情報請求権
  • 本会社は、本財務諸表等を、主要投資家から請求されたときは可能な限り速やかに(但し、遅くとも毎事業年度の各第一四半期から第三四半期の末日から30日以内又は各事業年度の末日から90日以内とする。)、主要投資家に対して交付する。なお、本財務諸表等は、合理的に詳細であり、かつ、一貫した方針に基づき作成されなければならない。
  • 前号に加えて、本会社は、主要投資家に対して、主要投資家が随時合理的に要求する本会社の財務状態及び事業運営に係る情報を開示するものとする。
  • 前各号の定めにかかわらず、本会社は、営業上の秘密又は守秘性の高い情報と本会社が合理的に判断する情報、又はその開示が弁護士の秘匿特権を侵害するおそれのある情報の開示を拒むことができる。
  • 上記にかかわらず、主要投資家は、法令若しくは金融商品取引所の規則等に基づく場合又は裁判所その他公的機関若しくは自主規制機関から開示の要請を受けた場合、第(1)号に基づき受領した情報を開示することができる。
  • 優先引受権
  • 本会社は、本株式等を引き受け又はその付与を受ける者の募集(次回株式資金調達における募集又はそれまでに行われる募集を含むが、ストックオプションの発行を除く。)をしようとする場合、割当の決定を行う日の10営業日前までに、書面により、当該募集がある旨及び当該募集に係る本株式等の払込金額並びに当該募集の条件を、主要投資家に対して通知するものとする。この場合、主要投資家は、当該募集に参加する他の投資家と同一の条件により、本号に基づき引き受け又はその付与を受けた本株式等に係る払込金額の総額が参加上限額に充つるまで、一又は複数の募集において本株式等を引き受け又はその付与を受ける権利を有する。
  • 前号に基づく主要投資家の権利は、関連する法令等に抵触しない範囲で行使されるものとする。
  • 主要投資家としての権利

本会社は、本契約締結日以後に発行される本株式等に係る発行要項、本株式等の発行又は付与を受けた者が締結する投資関連契約その他の書面において、主要な投資家又はこれに類する者に対して付与される権利(情報請求権、優先引受権を含むがこれらに限られない。)を本投資家に対して付与するものとする。

第5.3条(本新株予約権の譲渡

1.   本投資家は、本契約の定めに基づく場合、又は譲受人が本契約の条件に拘束されることを承諾して本契約の副本に署名した場合を除き、本新株予約権について、譲渡、担保の設定若しくはその予約その他の処分をしてはならない。

2.   前項の定めにかかわらず、本投資家は、本会社に対して事前に書面により通知することにより、引受新株予約権並びに本契約上の地位及び権利義務の全部を、関係者である譲受人に対して譲渡し、又はその他の方法により承継することができる。但し、本契約上の地位及び権利義務の全部を承継する譲受人は、当初から本契約の当事者であった場合と同様に本契約の条件に法的に拘束されるよう、自らが本契約の署名欄に署名したサインページの副本を交付するものとする。

3.   本会社は、本条の定めに従い本新株予約権が譲渡されるときは、株主総会又は取締役会における承認の決議を取得するものとする。

第5.4条(支払)

本契約に基づき本投資家に対して支払いがなされる場合は、全て日本円によって行われるものとする。かかる支払いは、まず本費用(以下に定義される。)に充当され、その後、本発行要項に定める金銭の支払いに充当される。

第5.5条(費用の償還及び補償)

1.   本会社は、適用ある法令の範囲内で、本契約に基づく本会社の本投資家に対する支払期日が到来した支払義務を履行させるために本投資家が負担した合理的な弁護士費用及び法務に関連して生じた費用を含む全ての費用(以下「本費用」という。)を、本投資家に対して支払うものとする。

2.   本投資家の本契約に基づく権利の不行使は、当該権利の放棄とはみなされないものとし、その他いかなる遅延、不作為等の行為によっても、本投資家はその権利又は救済手段を放棄したとはみなされないものとする。なお、権利又は救済手段の放棄は、当該権利又は救済手段を放棄する本投資家の署名又は記名押印がなされた書面によってなされなければ有効とはならない。

3.   本契約又は本新株予約権の内容を解釈し又は実現するにあたって訴訟の提起その他の法的措置を講ずる必要がある場合、当該法的措置を講じ自らにとって有利な判断を得た当事者は、当該当事者が享受する救済に加えて、相手方に対して当該法的措置に関連して発生した合理的な弁護士費用及び実費の償還を請求することができる。

4.   本会社は、本会社が本契約若しくは本契約に関連して締結された契約又は本新株予約権に基づく自らの義務に違反したこと、又は本会社の本契約若しくは本契約に基づく表明及び保証が真実でなく若しくは不正確であったことに起因又は関連して本投資家が直接又は間接に被り又は負担した損害、損失、費用及び責任(合理的な弁護士費用その他の法務的な費用を含み、「損害等」という。)を補償するものとする。但し、本投資家の故意又は重過失に基づき発生した損害等についてはこの限りでない。

第5.6条(契約上の地位の移転)

1.   本契約及び本新株予約権は、本契約当事者の承継人及び譲受人を拘束し、その利益はこれらの者に帰属するものとする。

2.   前項の定めにかかわらず、本会社は、本契約の定めに基づく場合、又は相手方当事者の事前の書面による同意を得た場合を除き、本契約上の地位及び権利義務の全部又は一部を第三者に譲渡その他の処分をしてはならず、又は承継させないものとする。

第5.7条(準拠法及び管轄)

1.   本契約及び本新株予約権は日本法に準拠し、同法に基づいて解釈される。日本法以外を本契約及び本新株予約権の準拠法とする抵触法ルールの適用は、いずれも排除されるものとする。

2.   本契約及び本新株予約権に関連して生じた一切の訴訟については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

第5.8条(通知)

本契約及び本新株予約権に関してなされる全ての通知又は請求は、書面又は電磁的方法により行うものとする。これらの通知又は請求は、以下の各号のうちいずれか早い時期に相手方に対して到達したものとみなす。

  • 相手方当事者との対面による交付の時
  • 受領者の営業時間(受領者が日本国外に所在する場合は、当該所在地の現地時間による。以下同じ。)中に電子メール又はファクシミリにより送信された場合は当該送信時、受領者の営業時間外に電子メール又はファクシミリにより送信された場合は受領者の次の営業日
  • 料金前払の方法により郵送された翌営業日(但し日本国外に宛てた場合にはその5営業日目)

第5.9条(投資関連契約の締結)

次回株式資金調達において発行される株式に関して、かかる株式の株主及び/又は本会社の間で、当該株式の上場努力義務、新株引受権、共同売却権、先買権、優先交渉権及び議決権の行使等に関する事項を含む投資関連契約(投資契約、株主間契約その他名称を問わない。)が締結される場合、本投資家は、本新株予約権の行使又は転換対象株式への転換に際して、当該契約を締結するものとする。

第5.10条(分離可能性)

本契約又は本新株予約権のいずれかの規定が無効であっても、本契約又は本新株予約権の他の規定はそれに何ら影響を受けることなく有効であるものとする。

第5.11条(転換対象株式の数の調整)

本新株予約権の転換までに、株式分割、株式併合その他これに類する取引が行われた場合には、本新株予約権の転換により交付される転換対象株式の数は、これに応じて調整されるものとする。

第5.12条(協力義務)

本会社は、本契約若しくは本新株予約権において規定された事項を実施するため、本投資家が合理的に求める書面作成及び情報提供に協力するものとする。

第5.13条(各契約の独立及び変更等)

1.      本会社と各本シリーズ投資家の間の契約及び本シリーズ新株予約権の各本シリーズ投資家に対する発行は別個独立しており、各本シリーズ投資家は本投資家に対する債務を連帯しないものとする。

2.   本投資家は、本会社と多数投資家が書面により合意した場合、本シリーズ新株予約権の内容の全部又は一部はかかる合意に従い変更され、又は本シリーズ新株予約権の全部若しくは一部の条件は放棄されるものとする。この場合、本投資家は、変更又は放棄につき必要となる書面の作成及び契約の締結に協力しなければならない。但し、第5.2条(本投資家のみが主要投資家である場合に限る。)、第5.3条、第5.5条、第5.12条及び第5.13条の規定は、本投資家の書面による同意なく変更又は放棄されない。本条に基づく変更又は放棄は、本会社及び現在及び将来の各本シリーズ投資家らに対して法的拘束力を有するものとする。

5.14条(順位)

引受新株予約権に基づき本会社が負担する債務は、本契約締結日に存在し、又は将来発行される他の本シリーズ新株予約権に基づき本会社が負担する債務及び転換社債その他の本会社が一般債権者に対して負担する債務と同順位とする。

第5.15条(免責)

本シリーズ投資家は、本会社に対する投資判断については、本会社以外のいかなる者又はその役職員にも依拠していないこと、並びに他の本シリーズ投資家及びその役職員、組合員、代理人及び株主のいずれも、本新株予約権の引き受けに関する本契約締結日以前及び以後の行為又は不作為について責任を負わないことを了承する。

第5.16条(副本)

本契約は複数の副本により締結することができ、それぞれの副本に署名又は記名押印した当事者に対して執行可能であり、その全てが一体となって1通の契約書面となる。副本はファクシミリ、電子メール(PDFファイルを含む。)その他の通信方法により交付することができるものとし、これらの方法により交付された副本は、適法に相手方に交付され、あらゆる意味において有効であるものとする。

(以下余白)

本契約の締結を証するため、本契約の各当事者は頭書の日付において以下のとおり署名又は記名押印する。

本会社:

[発行会社住所]

[発行会社名称]

代表取締役 [発行会社代表取締役氏名]

本投資家:

[投資家住所]

[投資家氏名又は名称及び代表取締役等の氏名]

別紙1「発行要項」

第[1]回J-KISS型新株予約権

発行要項

第[1]回J-KISS型新株予約権(以下「本新株予約権」という。)の募集要項は以下のとおりである。

  1. 発行会社        [発行会社名称](以下「当会社」という。)
  2. 新株予約権の数            [●]個
  3. 払込金額        新株予約権1個あたり[100]万円(以下「本新株予約権の発行価額」という。)
  4. 割当日・払込期日        20__年__月__日(以下「割当日」という。)
  5. 新株予約権の内容

(1)   新株予約権の目的である株式の種類及び数

(a)     本新株予約権の目的たる株式の種類(以下「転換対象株式」という。)は、当会社の普通株式とする。但し、次回株式資金調達(第(2)(a)(x)号に定義される。以下同じ。)において発行される株式が普通株式以外の種類株式である場合には、以下のいずれかとする。

(x)   当該種類株式の発行価額が転換価額(第(2)(a)号に定義される。以下同じ。)と同一の場合には、当該種類株式

(y)   当該種類株式の発行価額が転換価額と異なる場合には、当該種類株式の内容につき、1株あたり残余財産優先分配額及び当該種類株式の取得と引き換えに発行される普通株式の数の算出上用いられる取得価額が転換価額と等しくなるよう適切に調整され、その他必要な調整が行われた当該種類株式とは異なる種類株式

(b)    本新株予約権の行使により当会社が転換対象株式を新たに発行し、又はこれに替えて当会社の保有する転換対象株式を処分する数は、本新株予約権の発行価額の総額を転換価額で除して得られる数とする。但し、本新株予約権の行使により1株未満の端数が生じるときは、1株未満の端数は切り捨て、現金による調整は行わない。

(2)   転換価額

(a)     「転換価額」とは、以下のうちいずれか低い額(小数点以下切上げ)をいう。

(x)   割当日以降に資金調達を目的として当会社が行う(一連の)株式の発行(当該発行に際し転換により発行される株式の発行総額を除く総調達額が[100,000,000]円以上のものに限るものとし、以下「次回株式資金調達」という。)における1株あたり発行価額に[0.8]を乗じた額

(y)   _____円(以下「ポストキャップ」という。)を次回株式資金調達の払込期日(払込期間が設定された場合には、払込期間の初日)の直前における完全希釈化後株式数で除して得られる額
なお、本第(2)(a)号及び同(b)号における「完全希釈化後株式数」とは、下記(i)から(iv)に定める、当会社の株式、新株予約権、新株予約権付社債及びその他当会社の株式を取得できる権利並びに未発行新株予約権(本第(2)(a)(y)号(iii)に定義される。)(以下、総称して「株式等」という。)の合計数(但し、当会社が保有する株式等を除く。)であって、下記算式によって求められる数(小数点以下切捨て)をいう。但し、当該合計数の算出及び下記算式において、同一の株式等は重複して加算しないものとし、また、普通株式以外の株式等についてはその時点で全て普通株式に転換され又は当該株式等に付された権利が行使され普通株式が発行されたものと仮定する。
また、当該合計数の算出及び下記算式において、本新株予約権及び/又は転換価額の定めを除き本新株予約権と同一の条件を有する新株予約権(但し、完全希釈化後株式数を算出するにあたって、当該新株予約権の数が含まれるものに限る。以下「同種新株予約権」という。)につき、本第(2)(a)(x)号の額及び/又は同種新株予約権におけるこれに相当する額が当該新株予約権の転換価額となる場合は、当該新株予約権は、本新株予約権及び/又は同種新株予約権に含まれないものとし、その時点で全て当該転換価額において普通株式に転換され普通株式が発行されたものと仮定し、当該合計数及び下記算式に従って再度算出を行うものとする。

  • 発行済みの普通株式及び種類株式
  • 発行又は付与済みの新株予約権(但し、下記(iv)に該当するものを除く。)、新株予約権付社債及びその他当会社の株式を取得できる権利
  • 当会社において発行を予定しているが未発行の新株予約権(以下「未発行新株予約権」という。なお、未発行新株予約権には、未発行のオプション・プール(付与されていないが、株主総会決議、取締役会決議、当会社との新株予約権付与契約等の締結、当会社と当会社の株主との株主間契約等の締結等によって、将来において付与可能な状態で留保され又は付与が約束されている一定数の新株予約権をいう。以下同じ。)を含むが、次回株式資金調達に関連してオプション・プールが増加する場合には、当該増加分を含まないものとする。)
  • 本新株予約権及び同種新株予約権

                                      除外完全希釈化後株式数

完全希釈化後株式数 = ──────────────────────────────

          1-(本新株予約権転換後下限比率 + 同種新株予約権転換後下限比率)

なお、上記算式で使用される各用語は以下に定める意味を有する。

  • 「除外完全希釈化後株式数」とは、本第(2)(a)(y)号の(i)から(iii)の合計数(但し、当会社が保有する株式等を除く。)をいう。
  • 「本新株予約権転換後下限比率」とは、本新株予約権の発行価額に本新株予約権の総数(但し、当会社が保有する本新株予約権を除く。)を乗じて得られる金額を、ポストキャップで除して得られる数をいう。
  • 「同種新株予約権転換後下限比率」とは、同種新株予約権の1個あたりの発行価額に当該同種新株予約権の総数(但し、当会社が保有する当該同種新株予約権を除く。)を乗じて得られる金額を、当該同種新株予約権のポストキャップに相当する額で除して得られる数をいう。但し、当該同種新株予約権が複数ある場合は、複数の当該同種新株予約権について、それぞれ 本(C)項本文に従い得られる数を合計した数をいうものとする。

(b)    前号にかかわらず、割当日の18ヶ月後の応当日(以下「転換期限」という。)以降における転換価額は、ポストキャップを第(5)(b)号に基づく承認がなされた日における完全希釈化後株式数で除して得られる額(小数点以下切上げ)とする。

(c)     前二号にかかわらず、次回株式資金調達の実行日又は転換期限以前に支配権移転取引等を当会社が承認した場合における転換価額は、ポストキャップを当該支配権移転取引等の実行日における完全希釈化後株式数で除して得られる額(小数点以下切上げ)とする。
なお、第(2)(a)(y)号にかかわらず、本第(2)(c)号における「完全希釈化後株式数」とは、下記(i)から(iii)に定める株式等の合計数(但し、当会社が保有する株式等を除く。)であって、第(2)(a)(y)号に定める算式によって求められる数(小数点以下切捨て)をいう。また、当該算出にあたっては、「除外完全希釈化後株式数」とは、下記(i)及び(ii)の合計数(但し、当会社が保有する株式等を除く。)とする。

  • 発行済みの普通株式及び種類株式
  • 発行又は付与済みの新株予約権(本新株予約権及び同種新株予約権を除く。以下本 (ii)において同じ。)、新株予約権付社債及びその他当会社の株式を取得できる権利(但し、支配権移転取引等に伴い、発行又は付与済みの新株予約権、新株予約権付社債及びその他当会社の株式を取得できる権利の保有者が、当該新株予約権、新株予約権付社債及びその他当会社の株式を取得できる権利の内容に従い、当会社の株式以外の対価を当会社から受領する場合、当該新株予約権、新株予約権付社債及びその他当会社の株式を取得できる権利を除く。)
  • 本新株予約権及び同種新株予約権(但し、支配権移転取引等に伴い、発行又は付与済みの当該新株予約権の保有者が、当該新株予約権の内容に従い、当会社の株式以外の対価を当会社から受領する場合、当該新株予約権を除く。)

また、「支配権移転取引等」とは、(i) 当会社の資産の全部又は実質的に全部の売却、譲渡その他の処分、(ii) 合併、株式交換、株式移転又は株式交付(但し、かかる行為の直前における当会社の株主が、存続会社又は完全親会社の総株主の議決権の過半数を有することになる場合を除く。)、(iii) 吸収分割又は新設分割(但し、当会社の事業の全部又は実質的に全部が承継される場合に限り、かかる行為の直前における当会社の株主が、承継会社又は新設会社の総株主の議決権の過半数を有することになる場合を除く。)、(iv) 当会社の株式等の譲渡又は移転(但し、かかる取引の直前における当会社の株主が、当該取引の直後において引き続き総株主の議決権の過半数を保有することになる場合を除く。)、(v) 当会社の解散若しくは清算、又は(vi) 金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含む。)第2条第16項に規定する金融商品取引所若しくはこれに類似するものであって外国に所在するものに上場されることをいう。但し、かかる行為が当会社の持株会社(当会社の完全親会社であり、当会社の株主がかかる行為の直前における当会社の議決権比率と実質的に同比率にて株式を保有することになる会社をいう。)の設立を目的として行われる場合、又は純粋な資金調達を目的として株式の発行又は処分が行われる場合を除く。

(3)   本新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法

各本新株予約権の行使に際して出資すべき価額は1円とする。

(4)   本新株予約権を行使することができる期間

各本新株予約権は、割当日の翌日以降、いつでも行使することができる。

(5)   本新株予約権の行使の条件

(a)     本新株予約権は、次回株式資金調達が発生することを条件として行使することができる。但し、次回株式資金調達が転換期限までに発生しない場合、又は次回株式資金調達の実行日若しくは転換期限以前に支配権移転取引等を当会社が承認した場合はこの限りではない。

(b)    前(a)号にかかわらず、次回株式資金調達が転換期限までに発生しない場合における本新株予約権の行使は、本新株予約権(同種新株予約権を含む。以下本(b)号において同じ。)の発行価額の総額の過半数の本新株予約権の保有者がこれを承認した場合に限り行うことができる。

(6)   株式を対価とする本新株予約権の取得条項

(a)    当会社は、次回株式資金調達を行うことを決定した場合、当該取引の実行日までの日であって当会社の株主総会(当会社が取締役会設置会社である場合には取締役会)が別に定める日において、その前日までに行使されなかった本新株予約権を全て取得するものとし、当会社は本新株予約権を取得するのと引換えに、当該本新株予約権の発行価額をその時点における転換価額で除して得られる数の転換対象株式を交付する。なお、上記の転換対象株式の数の算出にあたって1株に満たない端数が生じたときは、会社法第234条の規定に従って金銭を交付する。

(b)    前(a)号の定めにより本新株予約権を取得する場合、当会社は、取得日の2週間前までに本新株予約権の保有者に対して、その旨及び転換対象株式の内容その他当該次回株式資金調達における株式発行の条件を書面にて通知するものとする。

(7)   金銭を対価とする本新株予約権の取得条項

(a)    当会社が支配権移転取引等を行うことを決定した場合、当該取引の実行日までの日であって当会社の株主総会(当会社が取締役会設置会社である場合には取締役会)が別に定める日において、その前日までに行使されなかった本新株予約権を全て取得するのと引換えに、各本新株予約権につき本新株予約権の発行価額の2倍に相当する金銭を交付する。

(b)    当会社は、前(a)号に基づき本新株予約権を取得する日(当該日を定めなかった場合には支配権移転取引等の実行日)の2週間前までに本新株予約権の保有者に対して、支配権移転取引等の条件を書面で通知するものとする。

(8)   譲渡制限

譲渡による新株予約権の取得については、株主総会(当会社が取締役会設置会社である場合には取締役会)の承認を要する。

(9)   資本金及び資本準備金に関する事項

(a)   新株予約権の行使により株式を発行する場合において増加する資本金の額は、会社計算規則第17条第1項に従い算出される資本金等増加限度額の2分の1の金額とし、計算の結果端数が生じたときは、その端数を切上げるものとする。

(b)   新株予約権の行使により株式を発行する場合において増加する資本準備金の額は、上記(a)記載の資本金等増加限度額から同(a)に定める増加する資本金の額を減じた額とする。

別紙2「行使通知書」

20_年_月_日

[発行会社] 御中

第[1]回J-KISS型新株予約権

行使通知書

本書末尾に署名又は記名押印する者(以下「保有者」という。)は、貴社に割り当てられた新株予約権を下記の通り行使いたしたく、ここに通知いたします。

行使する新株予約権の種類及び数

[発行会社]第[1]回J-KISS型新株予約権_個

申込期日

20_年_月_日

行使日(払込日)

20_年_月_日

払込金額

__円(新株予約権1個あたり1円)

以上

保有者:

[住所]

[名称]


[1] 松井信憲『商業登記ハンドブック〔第4版〕』、2021、商事法務、P318。

参考

令和4年3月28日法務省民商第122号「複数の契約書により一の総数引受契約が締結された場合における募集新株予約権の発行に係る総数引受契約を証する書面の取扱いについて(通知)」

加工「マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題」(2023年6月)

加工「マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題」(2023年6月)

金融庁

https://www.fsa.go.jp/news/r4/20230630/20230630.html

2「実行を容易にするツールを根絶する」ための対策

(4) 預貯金口座の不正利用防止対策の強化

 不正に譲渡された預貯金口座等が、犯罪者グループ等内での金銭の授受等に用いられている実態がみられるところ、預貯金口座に係る顧客管理の強化を図り犯罪への悪用を防止するべく、業界団体等を交えた検討を行いつつ、犯罪収益移転防止法により求められている預貯金口座利用時の取引時確認や金融機関による顧客等への声掛け・注意喚起を徹底・強化するなどの対策を推進する。

 また、犯罪収益移転防止法等で定められている本人確認の実効性の確保のため、制度改正を含め、非対面の本人確認においてマイナンバーカードの公的個人認証機能の積極的な活用を推進する。

(2) デジタル技術を活用した取引時確認手法(e-KYC)におけるリスク

 e-KYC(electronic Know Your Customer)とは、オンラインで完結する本人特定事項の確認方法の通称であり、2018年11月の犯罪収益移転防止法施行規則の改正・施行により、同規則第6条第1項第1号ホからトなどの方式が新たに認められた。近年、金融機関では、顧客から写真付き本人確認書類の画像と本人の容貌の画像の送信を受ける方法(同号ホ)が多く用いられている。なお、金融機関が、e-KYCを実施するに当たっては、申し込みのあった顧客について本人であることの確認や本人確認書類の精査等の本人確認手続の一部を、1件当たり数百円などの単価で他の企業に委託していることが一般的である。

 しかしながら、金融機関が、当該e-KYC業務の委託先に対して、適切な研修や指導を実施しなかった場合や、本人確認手続の一部を受託した事業者が適切な確認作業を実施していない場合、委託先におけるe-KYC業務が適切に実施されず、適切な取引時確認がなされないリスクがある。

 また実際に、金融機関の顧客が、e-KYCにおいて偽造した運転免許証等を用いて口座を開設しようとした事例も発生している。偽造した本人確認書類等で作成された口座は、特殊詐欺の犯行グループ等により、マネロン等に悪用されるおそれがある。

 このような点を踏まえ、金融機関においては、e-KYCを他の企業に委託している場合には、e-KYCが法令等に基づき適切に実施されることを確保するため、委託先の定期的なモニタリングや最近の検証実績の確認、e-KYCの悪用事例を踏まえた検証態勢の高度化の検討等の措置を講じることが重要である。

 また、e-KYCを利用するに当たっては、偽造本人確認書類を検知できるよう適切な検証機能を整備し、不正な口座開設申請を検知した場合には、警察庁への通報や疑わしい取引の届出を行うことが必要である。利用するe-KYCの手法についても、利用者の真正性がより確認しやすいマイナンバーカード等に搭載されている公的個人認証機能による本人確認方法(犯罪収益移転防止法施行規則第6条第1項第1号ワ)等を検討することも考えられる。

 いずれにしても、各金融機関においては、e-KYC等が悪用され、自社の金融サービスを不正利用されない為の対策を講じることが重要である。

イ 地域金融機関の現状と課題

(イ) 継続的な顧客管理

 継続的な顧客管理の実施に当たっては、自らが抱える全顧客のリスク評価に応じた中長期的な行動計画を策定した上で、その進捗を管理しながら着実かつ丁寧に対応を進めていくことが重要となる。しかし、以下のとおり、一部の金融機関においては取組状況に遅れが認められた。金融庁としては、2022年3月公表の改訂FAQにおいて、改めてSDDの考え方について留意点を明確化する改訂を行っており、引き続き、検査・監督のほか様々な意見交換会や研修・勉強会といったアウトリーチ(金融機関に対し、対策の必要性とあり方について働きかけを行う取組)を通じて、顧客情報の更新を含む継続的な顧客管理に関する態勢整備を促している。

【取組に遅れが認められる事例】

・ リスクに応じて提供できない商品や確認すべき事項を定めた顧客受入方針を策定していない。

・ 犯罪収益移転防止法施行規則第7条に定める本人確認書類に加え、顧客及びその実質的支配者について調査する事項及びリスクに応じ、具体的にどのような公的な書類(経歴や資産・収入等を証明するための書類等)をいかなる場合に「信頼に足る証跡」として顧客に求めるかを検討していない。

・ 顧客の本人確認事項、取引目的等や、実質的支配者の本人確認事項について、いかなる場合にどのような情報を調査するのか、犯罪収益移転防止法に定められている内容にとどまり、リスクベースの対応が規程等に定められていない。

・ 制裁対象者リストの照合手順は定まっているものの、該当候補者がヒットした場合の判断手順が具体的に定められていない。

・ 具体的な高リスク顧客の範囲を明確に定めておらず、的確に検知する仕組みが出来ていない。

・ 高リスク先と判断された顧客以外の顧客について、高リスク先と判断された顧客と類似又は共通する項目等がないかを確認していない。

・ 過去に疑わしい取引を届け出た対象顧客を高リスク顧客として管理していない。

・ 生活口座(給与振込口座、住宅ローン返済口座、公共料金等の振替口座)については、一律SDD対象としている。

・ 顧客リスク評価に影響を与える事象が発生した場合に顧客リスク評価の見直しが行われていない。

・ 国籍や業種等一つの要素のみを理由として、特定の国籍・業種の顧客に対して一律に謝絶することとしている。

【取組が進んでいる事例】

継続的顧客管理(DM送付)への対応について、県内の金融機関はもとより、隣接県内の金融機関、行政機関、銀行協会及びマスコミ等と連携した上、マネロン対策会議を開催し、共通チラシの活用等を通じて県民への理解・浸透を図ることにより回答率の向上を目指している。

・ 自社におけるリスクの特定・評価の結果を踏まえ、取引開始時及び継続的取引における「顧客受入に関する方針」を策定し、取引類型・顧客属性ごとのリスクに応じた対応方針を定めている。

店舗の所在地との地縁の有無等を法人顧客の口座開設における判断基準の一つとしている。

・ 犯罪収益移転防止法施行規則第7条に定める本人確認書類に加え、顧客及びその実質的支配者について調査する事項、及びリスクに応じ具体的にどのような公的な書類(経歴や資産・収入等を証明するための書類等)をいかなる場合に「信頼に足る証跡」として顧客に求めるかを検討の上、一覧表に取りまとめ、実施手順等を規程等に定めている。

→規定について、起業する者がどの位の期間で口座開設出来るのか、分かる範囲で公開する必要があると考えます。

・ 注意コードを設定することなどにより高リスク顧客であることが営業店の端末でも把握できるようにされており、必要なEDDを漏れなく実施することができる仕組みを構築している。

・ 全ての顧客に対して顧客リスク評価を付与し、顧客リスク評価に応じて情報更新の頻度や取引モニタリングのシナリオ・敷居値を変更するだけでなく、顧客の事業内容等を踏まえ、実態に即して、追加的なリスク低減措置を講じている。

・ 規程等により頻度を定めた上で、高リスク顧客の属性や取引形態等を分析し、共通点がみられる項目については高リスク要素として顧客リスク評価ロジックや取引モニタリングルール等に機動的に反映している。

・ 過去に疑わしい取引を届け出た対象顧客について、届出内容に応じ、高リスク先と特定・評価し、システム上でフラグが立つ等の情報共有態勢を構築している。

・ SDD対象とした顧客についても、取引振りや高リスク顧客との関係性等を考慮して必要に応じてSDD対象外としている。

・ 顧客リスク評価を、リスクに応じた頻度で定期的に見直すだけでなく、顧客において、経営戦略の見直し、新規事業の開始、合併・買収、実質的支配者の変更、資金移動のパターンの顕著な変化、ネガティブ・ニュースが報道された等、顧客リスク評価に影響を及ぼすような事象が発生した場合には、直ちに、実態把握を行い顧客リスク評価の見直しを行うこととしている。また、リスク評価に影響を及ぼす事象の検知方法、判断基準、手続等を事前に文書化し、第1線を含む関係部署に周知徹底している。

・ 顧客に提供している商品・サービス、顧客属性等も踏まえつつ、リスクに応じて、複数のリスク遮断の方法を検討している。

4.マネロン対策等に係る業務の共同化

 法律・会計等専門家が行う取引時確認事項については、司法書士等、行政書士等、公認会計士等及び税理士等に対して、顧客に本人特定事項を確認する義務のみが課されていたが、これを改正し、取引を行う目的、職業・事業の内容、法人の場合にはその実質的支配者の確認を求めることとした。また、改正前は、法律・会計等専門家には、疑わしい取引の届出義務は課せられていなかったが、行政書士等、公認会計士等及び税理士等においては、守秘義務に係る法律の規定によって漏らしてはならない事項が含まれる場合を除き、疑わしい取引の届出が義務付けられたほか(司法書士等については、会則で代替措置が設けられる予定。)、リスクの高い取引については、疑わしい取引の届出判断として、資産・収入の状況を確認する義務が課された。

(3) 実質的支配者リスト制度に係る連携

 マネロン対策等においては、法人の悪用防止のため、実質的支配者(Beneficial Owners:以下、「BO」という。)の確認が重要とされており、犯罪収益移転防止法においても、法人顧客の実質的支配者の確認が義務付けられている。

 2022年1月31日より、法務省により実質的支配者リスト制度(以下、「BOリスト制度」という。)が開始された。これは、全国の商業登記所が、株式会社等(利用者)が提出した自社の実質的支配者に関する情報が記載された書面(実質的支配者リスト。以下、「BOリスト」という。)を確認した上で、その写しを交付する制度である。BOリストの写しを活用することで、確認手続の円滑化が期待されるものであり、金融庁においても、法務省と連携し、所管業界への周知や制度の活用を呼び掛けている。

 BOリストの写しについては、一部の地方銀行においては、法人(非上場株式会社)の新規口座開設の際に、口座開設を希望する顧客に依頼して、法務局での取得と銀行への提出を依頼しているなど、積極的に活用されている事例もある。BOリストの写しは、法人顧客の実質的支配者について確認を行ったことの証跡として使えるものであり、より多くの金融機関において活用されることを期待したい。

 また、BOリスト制度については、一般社団法人金融財政事情研究会により「商業登記所における実質的支配者リスト制度の利便性向上に関する研究会」59が立ち上げられ、2023年5月から議論が開始されている。全国銀行協会及び全国地方銀行協会などがメンバーとして議論に参加しているほか、法務省、財務省及び金融庁もオブザーバーとして参加し、制度の更なる活用に向けた利便性向上策について検討を行っている。

投資事業有限責任組合契約の登記「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(通達)」(令和5年6月12日付け法務省民商第113号法務省民事局長通達)

投資事業有限責任組合契約の登記「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(通達)」(令和5年6月12日付け法務省民商第113号法務省民事局長通達)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00098.html#02

○ 投資事業有限責任組合契約の登記

 改正省令施行後において、有限責任事業組合を無限責任組合員とする投資事業有限責任組合契約の効力発生の登記の申請は、投資事業有限責任組合契約書に当該有限責任事業組合を当該無限責任組合員として記載している場合に限り、受理して差し支えない。また、無限責任組合員が清算人となる場合において、有限責任事業組合を清算人とする投資事業有限責任組合の清算人の登記の申請も、受理して差し支えない。

 なお、有限責任事業組合の組合員が無限責任組合員として登記されている投資事業有限責任組合が、当該有限責任事業組合を無限責任組合員として記載している投資事業有限責任組合契約書を添付して、当該有限責任事業組合を無限責任組合員とする登記の更正の申請があったときは、登記に錯誤があるときに当たるとして、受理して差し支えない。この場合において、当該投資事業有限責任組合契約書が申請した登記所に保存されているときは、更正の申請書には、その旨を記載することにより、当該書面を添付することを要しない(投登規第8条が準用する商登規第98条)。

・有限責任事業組合を無限責任組合員とする投資事業有限責任組合契約の効力発生の登記の申請は、投資事業有限責任組合契約書に当該有限責任事業組合を当該無限責任組合員として記載している場合に限り、受理して差し支えない。

https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html#6-27

「組合の名称」投資事業有限責任組合○○

「組合の主たる事務所」○県○市○町○丁目○番○号

「組合契約の効力が発生する年月日」令和○○年○○月○○日

「組合の事業」

1 株式会社の設立に際して発行する株式の取得及び保有並びに企業組合の設立に際しての持分の取得及び当該取得に係る持分の保有

2 株式会社の発行する株式若しくは新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)又は企業組合の持分の取得及び保有

3指定有価証券の取得及び保有

「無限責任組合員・清算人に関する事項」

「資格」無限責任組合員

「住所」○県○市○町○丁目○番○号

「氏名」有限責任事業組合○○

「組合の存続期間」令和○○年○○月○○日まで

「解散の事由」

(1)無限責任組合員が、総有限責任組合員の出資口数の合計の3分の2以上に相当する出資口数を有する有限責任組合員の同意を得た上、本組合が本組合の事業の目的を達成し又は達成することが不能に至ったと決定したこと

(2)有限責任組合員の全員一致により本組合の解散が決定されたこと

「登記記録に関する事項」組合契約の効力発生

投資事業有限責任組合○○組合契約書

第1条本組合の名称は、投資事業有限責任組合○○と称する。

第2条本組合の主たる事務所は、○県○市○町○丁目○番○号とする。

第3条本組合員は、本組合の事業として、共同で次に掲げる事業を行うことを約する。

1 株式会社の設立に際して発行する株式の取得及び保有並びに企業組合の設立に際しての持分の取得及び当該取得に係る持分の保有

2 株式会社の発行する株式若しくは新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)又は企業組合の持分の取得及び保有

3指定有価証券の取得及び保有 

第4条出資一口の金額は、金○円とする。

第5条組合員の資格、氏名及び出資口数

1 無限責任組合員 有限責任事業組合○○

 ○県○市○町○丁目○番○号 ○口出資

2 無限責任組合員 ○○○○

○県○市○町○丁目○番○号 ○口出資

3 有限責任組合員○○○○

○県○市○町○丁目○番○号 ○口出資

第6条組合契約の効力の発生は、令和○年○月○日とする。

第7条本組合の存続期間は、令和○年○月○日までとする。

第8条解散の事由は本法に定めるものの他、総組合員の同意によって解散する。

第9条本組合の事業年度は毎年4月1日に始まり、翌年3月末日までとする。

第10条本契約に定めのない事項は、本法の定めるところによる。

以上、本契約書の真正を担保するために組合員全員が署名押印する。

令和○年○月○日

無限責任組合員○県○市○町○丁目○番○号 有限責任事業組合○○ ㊞

無限責任組合員○県○市○町○丁目○番○号○○○○ ㊞

有限責任組合員○県○市○町○丁目○番○号○○○○ ㊞

・有限責任事業組合の組合員が無限責任組合員として登記されている投資事業有限責任組合が、当該有限責任事業組合を無限責任組合員として記載している投資事業有限責任組合契約書を添付して、当該有限責任事業組合を無限責任組合員とする登記の更正の申請があったときは、登記に錯誤があるときに当たるとして、受理して差し支えない。この場合において、当該投資事業有限責任組合契約書が申請した登記所に保存されているときは、更正の申請書には、その旨を記載することにより、当該書面を添付することを要しない(投登規第8条が準用する商登規第98条)。

投資事業有限責任組合更正登記申請書

登記の事由 錯誤による更正

登記すべき事項 

無限責任組合員・清算人に関する事項について、「住所」○県○市○町○丁目○番○号、「氏名」有限責任事業組合○○と更生

その他記載すべき事項

投資事業有限責任組合契約書が申請した登記所に保存されている。

投資事業有限責任組合契約及び有限責任事業組合契約登記規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=410M50000010047

(商業登記規則の準用)

第八条 商業登記規則第一条の二第一項及び第二項、第二条から第六条まで、第九条第三項、第四項、第六項、第七項、第九項、第十二項及び第十三項、第九条の二、第九条の三、第九条の四(第一項後段及び第二項を除く。)、第九条の五(第四項を除く。)、第九条の六から第十一条まで、第十三条から第十八条まで、第十九条(第四号及び第五号を除く。)、第二十条、第二十一条(第三項第二号を除く。)、第二十二条第一項前段及び第二項、第二十七条から第二十九条まで、第三十条(第一項第四号を除く。)、第三十一条から第三十六条まで、第三十六条の三から第四十五条まで、第四十八条から第五十条まで、第六十五条第一項及び第三項、第八十条から第八十一条の二まで、第八十四条、第八十七条、第九十八条から第百四条まで、第百五条の二から第百九条まで並びに第百十八条の規定は、組合契約の登記について準用する。この場合において、同規則第一条の二第一項中「登記所及び次の各号に掲げる区分」とあるのは「登記所」と、同規則第九条第六項及び第七項、第九条の五第三項、第二十二条第一項、第三十二条の二、第三十三条の五並びに第三十三条の六第二項中「被証明事項」とあるのは「投資事業有限責任組合契約及び有限責任事業組合契約登記規則(平成十年法務省令第四十七号)第三条第一項各号に掲げる事項(同条第二項に規定する場合にあっては、同条第一項第四号に掲げる事項を除き、同条第二項各号に定める事項を含む。)」と、同規則第九条第九項中「後見人」とあるのは「投資事業有限責任組合の無限責任組合員又は清算人」と、同規則第三十三条の三第三号中「管財人等の職務を行うべき者として指名された者」とあるのは「投資事業有限責任組合契約及び有限責任事業組合契約登記規則第三条第二項第一号及び第二号に掲げる者」と、同規則第五十条第一項中「商号」とあるのは「組合の名称」と、同規則第百一条第二項中「後見人である法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあっては、当該代表者の職務を行うべき者)又は管財人等の職務を行うべき者として指名された者」とあるのは「投資事業有限責任組合の無限責任組合員若しくは清算人である法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあっては、当該代表者の職務を行うべき者)又は有限責任事業組合の組合員若しくは清算人(当該組合員又は清算人が法人である場合にあっては、当該組合員又は清算人の職務を行うべき者)」と読み替えるものとする。

商業登記規則

(更正の申請書の添付書面)

第九十八条 登記に錯誤又は遺漏があることがその登記の申請書又は添付書類により明らかであるときは、更正の申請書には、錯誤又は遺漏があることを証する書面を添付することを要しない。この場合には、更正の申請書にその旨を記載しなければならない。

参考

酒井恒雄司法書士、野入美和子司法書士「 知識から実務へ「そこから先」を知るための定款対談―一般社団法人編 ― 第7回・完ファンド組成型のベース定款」登記情報 680号  2018年7月、金融財政事情研究会、P71~

 平成20年12月19日 法務省民商第3279号 民事局長通達 〔五七五三〕有限責任事業組合契約の組合員が取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)である場合における当該組合員の職務を行うべき者の選任に関する書面について〔解説付〕登記研究 733号、金融財政事情研究会、P147~

経済産業省

投資事業有限責任組合(LPS)制度について

https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/keizaihousei/kumiaihou.html

会社設立 株式会社と合同会社の違い

株式会社

上場企業など

株主の有限責任(会社法104条。)。出資した金額以上の責任を負わない。

株主は株式を自由に譲渡することができる(会社法2条5号、127条。)。他の人に高く売ったり、会社から離れるために、安くでも売ったりすることができる。

→お金を集めやすい。

 結果として、会社の所有と、経営(会社法326条、329条、330条、349条など。)が分離されている。

上場していない会社など(非公開会社)

 株主の有限責任はあるが、会社代表者が連帯保証人(民法454条、456条の2~など。)になっていたりするので、出資した以上の、代表取締役個人の預貯金などにも責任を持つことがある。

 株式は自由に譲渡できない。株主総会などの承認が必要(会社法108条1項4号、165条。)。

 経営者が1人株主の株式会社の状態の場合、所有と経営は、分離していない。

合同会社

 社員・・・出資した人のこと。出資した金額以上の責任と負わない有限責任(会社法580条)。代表社員が個人で会社の保証人になる場合は、有限責任は崩れる。

 社員が出資した財産は、持分と呼ばれる。持分を他の人に譲渡するには、他の社員全員の同意が必要(会社法585条)。

 社員は原則として事業を行わなければならない(会社法590条。)。→所有と経営は分離していない。

出資して社員になると、経営も行い、役員の任期規定がない。

株式会社と比べて、設立費用が十数万円安い。

加工デジタル社会の実現に向けた重点計画

https://www.digital.go.jp/policies/priority-policy-program/

2023年(令和5年)6月9日

はじめに ……………………………………………………………….. 1

第1 安全・安心で便利な国民の生活や事業者の活動に向けた重点的な取組 ……………. 2

1.マイナンバーカード/デジタル行政サービス ……………………………….. 2

(1)申請・交付環境の整備 ……………………………………………. 2

(2)行政サービス等の拡充 ……………………………………………. 2

(3)民間サービスとの連携 ……………………………………………. 4

(4)公金受取口座の活用推進 ………………………………………….. 4

(5)スマートフォンへの搭載等マイナンバーカードの利便性の向上 …………….. 5

(6)次期マイナンバーカードの検討 …………………………………….. 5

2.デジタル臨時行政調査会によるアナログ規制の横断的な見直し ………………… 5

(1)アナログ規制の横断的な見直し …………………………………….. 5

(2)テクノロジーマップ等の整備 ………………………………………. 5

(3)デジタル法制審査 ……………………………………………….. 5

(4)官報の電子化 …………………………………………………… 5

(5)手続のデジタル完結と利便性向上 …………………………………… 5

3.国・地方公共団体を通じたDX の推進 …………………………………….. 6

(1)デジタル推進委員の活用 ………………………………………….. 6

(2)地方公共団体のアナログ規制の見直し ……………………………….. 6

(3)情報連携基盤(公共サービスメッシュ)の整備 …………………………. 6

(4)自治体窓口DX「書かないワンストップ窓口」 ………………………….. 6

(5)自治体キャッシュレス ……………………………………………. 7

(6)地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化 ……………………….. 7

(7)国・地方公共団体のガバメントクラウド移行 …………………………… 7

(8)デジタル化を支えるインフラの整備 …………………………………. 7

4.データ連携基盤の整備・優良事例のサービス/システムの横展開 ……………….. 7

(1)データ連携基盤の整備 ……………………………………………. 7

(2)優良事例のサービス/システムの横展開……………………………….. 7

5.準公共サービスの拡充 ……………………………………………….. 8

(1)健康・医療・介護分野 ……………………………………………. 8

(2)教育・こども分野 ……………………………………………….. 8

(3)防災分野 ………………………………………………………. 9

(4)モビリティ分野 …………………………………………………. 9

(5)インフラ分野(「電子国土基本図」の整備・更新) ……………………… 10

6.AI 活用及びデータ戦略の推進 …………………………………………. 10

(1)AI 活用に係る取組 ………………………………………………. 10

(2)包括的データ戦略の推進と今後の取組 ………………………………. 10

7.国際的なデータ連携・越境データ移転の国際枠組み ………………………… 11

(1)国際的な官民連携枠組みの設立 ……………………………………. 11

(2)eID の相互活用・信頼の枠組み …………………………………….. 11

(3)簡易な国際間送金 ………………………………………………. 11

8.事業者向け行政サービスの拡充 ……………………………………….. 11

(1)e-Gov の拡充…………………………………………………… 11

(2)G ビズID の普及 ………………………………………………… 11

(3)J グランツの刷新 ……………………………………………….. 12

(4)中小企業支援のDX 推進 ………………………………………….. 12

(5)政府調達におけるスタートアップ支援 ………………………………. 12

9.デジタルマーケットプレイス試行導入 …………………………………… 12

10.国家安全保障戦略等に基づく取組等の推進 ……………………………….. 12

第2 重点計画の基本的考え方 ……………………………………………… 14

1.デジタルにより目指す社会の姿 ……………………………………….. 14

2.デジタル社会の実現に向けての理念・原則 ……………………………….. 19

(1)デジタル社会形成のための基本原則 ………………………………… 19

(2)BPR と規制改革の必要性 ………………………………………….. 19

(3)構造改革のためのデジタル原則 ……………………………………. 20

(4)クラウド・バイ・デフォルト原則 ………………………………….. 20

第3 デジタル社会の実現に向けた戦略・施策 ………………………………….. 21

第3-1 戦略として取り組む政策群 ………………………………………….. 21

1.デジタル社会の実現に向けた構造改革 …………………………………… 21

(1)デジタル原則を踏まえた規制の横断的な見直し ………………………… 21

(2)国民が利便性を実感できる官民デジタル完結の徹底とAI・データ等を徹底活用でき

る社会づくり ……………………………………………………….. 23

(3)規制改革 ……………………………………………………… 24

2.デジタル田園都市国家構想の実現 ……………………………………… 25

(1)デジタル田園都市国家構想の意義、目的……………………………… 25

(2)構想実現に向けた取組の基本的な考え方……………………………… 25

(3)デジタル田園都市国家構想の実現に向けた重点検討課題 …………………. 26

3.国際戦略の推進 ……………………………………………………. 30

(1)DFFT の推進に向けた国際連携 ……………………………………… 30

(2)利用者本位の行政サービスの実現に向けた国際協力関係の構築 ……………. 30

(3)行政機関におけるデジタル人材育成に向けた国際協力 …………………… 31

(4)諸外国のデジタル政策に関わる機関との連携強化 ………………………. 31

(5)他国への支援 ………………………………………………….. 31

(6)民主的な「メタバース」の実現 ……………………………………. 31

4.サイバーセキュリティ等の安全・安心の確保 ……………………………… 32

(1)サイバーセキュリティの確保 ……………………………………… 32

(2)個人情報等の適正な取扱いの確保 ………………………………….. 34

(3)情報通信技術を用いた犯罪の防止 ………………………………….. 34

(4)高度情報通信ネットワークの災害対策 ………………………………. 34

5.急速なAI の進歩・普及を踏まえた対応 ………………………………….. 35

(1)連携体制 ……………………………………………………… 35

(2)基礎的な開発能力の構築・強化や包括的データ戦略に基づくデータ整備 …….. 35

(3)AI の社会実装 ………………………………………………….. 35

6.包括的データ戦略の推進と今後の取組 …………………………………… 36

(1)内外のデータ戦略の現状 …………………………………………. 36

(2)包括的データ戦略を踏まえた今後の方向性 ……………………………. 38

(3)当面重点的に取り組むべき事項 ……………………………………. 39

7.Web3.0 の推進 ……………………………………………………… 44

(1)Web3.0 の中核的要素であるトークンの利活用に係る環境整備 …………….. 44

(2)Web3.0 を活用したコンテンツ産業の活性化に向けた環境整備 …………….. 44

(3)Web3.0 の健全な発展を担う主体とアイデアの裾野の拡大 ………………… 45

(4)利用者保護 ……………………………………………………. 45

(5)その他 ……………………………………………………….. 45

第3-2 各分野における基本的な施策 ………………………………………… 46

1.国民に対する行政サービスのデジタル化 …………………………………. 46

(1)国・地方公共団体・民間を通じたトータルデザイン …………………….. 46

(2)マイナンバー制度の利用の推進 ……………………………………. 47

(3)マイナンバーカードの普及及び利用の推進 ……………………………. 48

(4)公共フロントサービスの提供等 ……………………………………. 55

(5)デジタル庁における一元的なフォローアップ体制 ………………………. 57

2.安全・安心で便利な暮らしのデジタル化 …………………………………. 58

(1)準公共分野・相互連携分野の指定 ………………………………….. 58

(2)準公共分野のデジタル化の推進 ……………………………………. 58

(3)相互連携分野のデジタル化の推進 ………………………………….. 70

3.アクセシビリティの確保 …………………………………………….. 72

(1)デジタル庁におけるサービスデザイン体制の強化及び他の政府機関等に対する横展開

……………………………………….. 72

(2)デジタル機器・サービスに係るアクセシビリティ環境の整備 ……………… 72

(3)皆で支え合うデジタル共生社会の実現 ………………………………. 73

(4)経済的事情等に基づくデジタルデバイドの是正 ………………………… 74

(5)「言葉の壁」の克服、多文化共生の推進………………………………. 74

(6)情報通信ネットワークの利用環境に係る格差の是正 …………………….. 74

4.産業のデジタル化 ………………………………………………….. 75

(1)デジタルによる新たな産業の創出・育成……………………………… 75

(2)事業者向け行政サービスの質の向上に向けた取組 ………………………. 77

(3)中小企業のデジタル化の支援 ……………………………………… 79

(4)産業全体のデジタルトランスフォーメーション ………………………… 79

5.デジタル社会を支えるシステム・技術 …………………………………… 80

(1)国の情報システムの刷新 …………………………………………. 80

(2)地方の情報システムの刷新 ……………………………………….. 94

(3)デジタル化を支えるインフラの整備 ………………………………… 98

(4)デジタル社会に必要な技術の研究開発・実証の推進 ……………………. 101

6.デジタル社会のライフスタイル・人材 ………………………………….. 105

(1)新たなライフスタイルへの転換 …………………………………… 105

(2)デジタル人材の育成・確保に向けた取組…………………………….. 106

第4 今後の推進体制 ……………………………………………………. 110

1.デジタル庁の役割と政府における推進体制 ………………………………. 110

(1)デジタル化に向けた司令塔としてのデジタル庁の役割 ………………….. 110

(2)政府におけるデジタル改革の推進体制の強化 …………………………. 111

(3)関係会議の開催 ……………………………………………….. 111

(4)政府情報システム保守運用体制に係る関係機関との連携強化 …………….. 112

2.地方公共団体等との連携・協力 ………………………………………. 113

3.民間事業者等との連携・協力 ………………………………………… 113

工程表

別冊

施策集

オンライン化を実施する行政手続の一覧等

1.マイナンバーカード/デジタル行政サービス

マイナンバーカードを使って国民の生活を向上させるため、マイナンバーカードと各種カードとの一体化や、行政手続のオンライン・デジタル化、市民カード化、民間ビジネスにおける利用、カードの利便性の向上など、以下に掲げる事項について重点的に取り組む。

(1)申請・交付環境の整備

紛失等の場合に最短5日間で発行・交付できる特急発行・交付の仕組み、出張申請受付の推進等、取得に課題がある方への環境整備を推進し、マイナンバーカードの交付体制や申請環境を整備する。

(2)行政サービス等の拡充

① 健康保険証との一体化

マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会の取りまとめを踏まえ、一体化を加速し、2024 年(令和6年)秋に健康保険証を廃止する。

(5)スマートフォンへの搭載等マイナンバーカードの利便性の向上

2023 年(令和5年)5月にAndroid 端末で導入したスマートフォン用電子証明書について、利用できるサービスを順次拡大する。iOS 端末についても実現に向けた検討を進める。

また、成人以降のカード更新を、マイナンバーカードに要求される身元確認保証レベル等について整理の上、オンライン化できないか、更に詳細を検討する。

(6)次期マイナンバーカードの検討

2026 年(令和8年)中を視野に次期マイナンバーカードの導入を目指す。このため検討の場として「次期マイナンバーカードタスクフォース(仮称)」を設ける。

暗号アルゴリズム、偽装防止技術を含めた券面デザインについて必要な見直しを行うとともに、性別、マイナンバー、国名、西暦等の券面記載事項、電子証明書の有効期間の延長、早期発行体制の構築を含む発行体制の在り方、マイナンバーカードの公証名義等について検討を行う。券面記載事項については、マイナンバーカードの身分証明書としての機能やマイナンバー利用事務・関係事務実施者の事務への影響を踏まえつつ検討する。

また、より効率的なマイナンバーカード管理システム及び公的個人認証サービス(JPKI)システムへの刷新や、既発行カードの扱い、新旧カード切替えに伴うカード利用機関等への影響についても検討することとする。

法改正が必要な場合は、2024 年(令和6年)通常国会への法案提出を目指す。

6.AI 活用及びデータ戦略の推進

(2)包括的データ戦略の推進と今後の取組

包括的データ戦略のうち、既に実装の段階に入っている施策については、本重点計画の各該当項目に進捗を記載し、引き続き推進する。更に、特に重点的に取り組むべき施策として、ベース・レジストリ等に関する施策を推進する。

ベース・レジストリに関する取組については、社会全体の取引コスト削減による取引規模拡大や生産性向上に向けて、ベース・レジストリに関する制度化の検討と、法人・土地系の注力領域における価値創出の両輪で進める。

制度化については、整備対象データに関し、①法令における位置付け②共有するための根拠③各行政機関の役割分担について整理を行うとともに、デジタル庁が定める「ベース・レジストリの指定」に基づき、データの整備を進める。

法人・土地系のベース・レジストリにおいては、各行政機関において、法人番号等の共通番号の徹底活用を進めるとともに登記等の基本情報を共有することによる変更手続省略等、申請者や審査者の負担軽減に向けた制度やシステムの検討を進める。

個人事業主の番号体系について、本人確認や情報連携等の具体的なユースケースの整理を行った上で、制度的な対応を含めた検討を行い、2023 年(令和5年)内に具体的な結論を出す。

7.国際的なデータ連携・越境データ移転の国際枠組み

(2)eID の相互活用・信頼の枠組み

各国のDigital Identity Wallet3等の取組を踏まえて、eID(electronic id)の領域で公的個人認証による本人確認等を活用するほか、データのやり取りにおいてデータや相手方を検証できる仕組みなど、新たな信頼の枠組みを付加する構想である「Trusted Web5」を推進する。

(3)簡易な国際間送金

簡易な国際間の即時送金について、本人確認手段や必要となるデータ標準など、国際的な相互運用性等について検討し、具体的な結論を得る。

8.事業者向け行政サービスの拡充

(2)G ビズID の普及

事業者(法人、個人事業主)が、様々なサービスにログインできる認証サービスを実現する「G ビズID」について、2023 年度(令和5年度)中にマイナンバーカードを利用した審査の効率化等を通じたユーザー数の増加、連携行政サービスの拡充を進める。加えて、「G ビズID」の制度化を進め、商業登記電子証明書との連携、民間サービスとの連携の在り方について整理・検討を進める。

6.包括的データ戦略の推進と今後の取組

(3)当面重点的に取り組むべき事項

⑤ ベース・レジストリ

社会基盤として参照可能なデータを整備する上では、データの元となる情報(情報源)の最新性や正確性、完全性等の品質担保が重要であり、具体的な社会課題への対応や、実現すべきサービスを念頭に置いた上で、必要となるデータの情報源と、データの共有の在り方について、関係行政機関等とともに検討することが重要である。また、品質担保の実現には、業務面(法令を含む。)やシステム面等の工数がかかり、メリハリをつけた対応が必要である。当面は、法人・土地系等の注力領域を設定し、デジタル臨時行政調査会において、ベース・レジストリの制度化と注力領域における価値創出の両輪で検討を進める。

ベース・レジストリの制度化については、①対象となるデータに関する行政事務における位置付け②データを共有するための法的な根拠の整理③データの整備及び情報連携基盤に係る関係行政機関等の役割分担について、検討を行った上、デジタル庁が別途定める「ベース・レジストリの指定」に基づき、関係行政機関等と連携してデータの整備を進める。

また、行政機関間における個人情報を含むデータの連携等に関する制度設計や運用が適切かつ円滑に行われるよう、個人情報保護委員会においては、個人情報の適正な取扱いに関し、必要な情報提供や助言等を行う。

ベース・レジストリの整備・運用に当たっては、官民の様々な情報について、正確かつ途切れることなく、データクレンジングを行ってきた国立印刷局等の関係する公的機関との連携について、関係府省庁とともに、検討する。

法人ベース・レジストリについては、社会における法人情報を整備し、共有することで、官民の取引コストを低減させ、もって企業の取引規模拡大、生産性向上を目指す。まずは、各行政機関によって目的別に個々に収集されている法人基本情報について、商業登記由来の情報からマスターデータとして行政機関内で共有することにより、申請者たる法人及び審査者たる行政機関双方の事務負担軽減を図るため、制度的な対応や規格の整理、システムの検討を行う。

個人事業主の番号体系については、本人確認や情報連携等の具体的なユースケースの整理を行った上で、制度的な対応を含めた検討を行い、年内に具体的な結論を出す。

土地系ベース・レジストリについては、所在情報に関し誰もが参照できるマスターデータや行政機関が不動産登記情報を利用するに当たっての使いやすいデータを提供することによって、各分野の業務効率化や新たな価値創造の取組の加速化を目指す。不動産登記ベース・レジストリについては、各行政機関によって目的別に個々に取得されている不動産登記由来の情報に関し、その取得スキームを一元化することで、法人ベース・レジストリと同様の行政手続等における効率化等、行政機関の業務効率化や国民の利便性向上を図るため、デジタル庁において、制度的な対応や規格の整理に関する検討を行うとともに、システム整備を推進する。アドレス・ベース・レジストリについては、地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化のスケジュールに対応するため、2025 年度(令和7年度)の本格運用を目指し、デジタル庁において、関係行政機関等と協力し必要な対応を進める。

また、法人及び不動産登記ベース・レジストリの実装に向けては、登記情報のうち、必要なデータ項目の異動情報の受領の在り方について、デジタル庁と法務省において連携して検討する。

支援制度ベース・レジストリについては、マイナポータルとの連携を着実に進め、機能の改善と拡充を図る。

また、ベース・レジストリとして位置付けるものではないものの、ベース・レジストリを活用した基礎的な時系列データや、ベース・レジストリのように汎用的に活用されないが特定分野等で社会の基盤として使われるデータ等に関して、データ整備等の検討をしていく必要がある。

第3-2 各分野における基本的な施策

  • 国民に対する行政サービスのデジタル化

(3)マイナンバーカードの普及及び利用の推進

・死亡・相続手続のオンライン・デジタル化

2020 年度(令和2年度)にデジタル・ガバメント分科会で報告した方針等に基づき、関係府省庁や地方公共団体の協力の下、次の施策を推進する。

2021 年度(令和3年度)中に行われた実証実験等を踏まえて、死亡に関する手続(死亡届及び死亡診断書(死体検案書)の提出)のオンライン化に向けて、デジタル庁において、厚生労働省及び法務省とともに課題の整理を行う。

デジタル庁は、法定相続人の特定に係る遺族等の負担軽減策について、これまでの検討を基に、法務省とともに社会実装に向けた論点整理を行い、その実現を支援する。戸籍情報連携システムを活用した法定相続人の特定に関する支援等を検討する。

第三に、図書館カード、印鑑登録証、書かない窓口の実現など、行政による市民サービスにおけるマイナンバーカードの利活用については、推奨すべきケースやソフト/システムを積極的に特定し、当該サービスの全国への展開を積極的に支援する。なお、コンビニ交付サービスや行政手続のオンライン化についても、引き続き推進する。

様々な民間ビジネスにおける利用の推進

マイナンバーカードが持つ本人確認機能の民間ビジネスにおける利用の普及を図るため、2023 年(令和5年)1月から行っている電子証明書失効情報の提供に係る手数料の当面無料化に続き、2023 年(令和5年)5月から公的個人認証サービスにおける本人同意に基づく最新の住所情報等の提供、スマートフォン用電子証明書搭載サービスを開始した。

また、地域通貨と連動した地域の消費や社会的活動を活性化させるための地域ポイントや、エンタメ分野におけるチケット上の本人確認と連動させたサービス、コンビニセルフレジでの酒・たばこ販売時の年齢確認サービスなど、各分野における新たなユースケース創出のための実証実験や基盤となるシステムの廉価な提供の促進に取り組む。

さらに、給付事業との組合せによる自治体施策の効果的な推進や地域経済の活性化など、自治体マイナポイントの効果的な活用を推進する。

犯罪による収益の移転防止に関する法律、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(携帯電話不正利用防止法)に基づく非対面の本人確認手法は、マイナンバーカードの公的個人認証に原則として一本化し、運転免許証等を送信する方法や、顔写真のない本人確認書類等は廃止する。対面でも公的個人認証による本人確認を進めるなどし、本人確認書類のコピーは取らないこととする。

(2)事業者向け行政サービスの質の向上に向けた取組

デジタル社会では、高度情報通信ネットワークを通じて流通する情報の発信者の真正性や、情報そのものの真正性、完全性等を保証するための機能が提供されることが必要であるため、前述のマイナンバーカードの普及に加え、電子署名、電子委任状、商業登記電子証明書、法人共通認証基盤(G ビズID)の普及に関する取組を更に強力に推進するとともに、確実な本人認証を実現するための技術動向を注視していく。

また、「行政手続におけるオンラインによる本人確認の手法に関するガイドライン」に基づき、行政手続の特性に応じた本人確認手法の適正化を図る。

① 電子署名、電子委任状、商業登記電子証明書の普及

電子署名、電子委任状、商業登記電子証明書について、事業者による活用の機会が増加し、多様化していることから、普及を更に強力に推進する。

商業登記電子証明書を用いた電子署名について、利用者の利便性の向上の観点から、リモート署名方式の導入及び認証局機能のクラウド化について2025 年度(令和7年度)までの可能な限り早期に新規システムの運用開始を目指す。その際、認証と署名の役割を明確化した上でG ビズID と連携を検討する。

代理申請を可能とする場合に、申請者本人の電子証明書及び代理申請者の電子証明書を重ねて提出させることを不要とすること等によって、代理申請の容易化を図る。

共通的な認証・署名の利用

各府省庁による認証・署名機能の利用については、次を原則とする。

・個人の電子署名については、マイナンバーカードによる電子署名

・個人の電子認証については、マイナンバーカードによる電子利用者証明・法人の電子署名については、商業登記電子証明書、特定認証業務として認定された民間

認証局の電子証明書・法人の電子認証については、G ビズID公的個人認証サービスの民間利用の拡大を推進する。また、個人の認証・署名に利用するアプリケーションについては、独自構築による乱立を避けるため、デジタル庁が開発・運用する共通機能の活用を原則とする。

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