月刊登記情報2024年12月号757号

月刊登記情報2024年12月号757号(一社)金融財政事情研究会

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T

CONTENTS 法窓一言 

事業価値把握のための担保権の議論動向

島田法律事務所 弁護士 本多知則

https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00226.html

法制審議会担保法制部会第41回会議(令和5年11月22日開催)部会資料38 担保法制の見直しに関する要綱案のとりまとめに向けた検討⑼

 ある事業によって発生する債権に集合債権譲渡担保権が設定されていると共にその事業を営むのに必要な財産についても別途担保権が設定されている場合において、その事業を継続して営むことによって得られる利益が見込まれるときには、少なくとも、その利益を勘案した上で、当該事業を営むのに必要な財産の評価を行い、それに基づく別除権協定を締結することは必ずしも再生債務者の義務には反しないように思われる。・・・固定化にかかわらず、継続事業価値による評価を肯定するものと解される。

民法等の一部を改正する法律(家族法制の見直し)の概要

法務省民事局参事官 北村治樹

法務省民事局付 太田健介

法務省民事局付 今村謙介

現行民法

(親権者)

第八百十八条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。

2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。

3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

改正民法

(親権)

第八百十八条 親権は、成年に達しない子について、その子の利益のために行使しなければならない。

2 父母の婚姻中はその双方を親権者とする。

3 子が養子であるときは、次に掲げる者を親権者とする。

一 養親(当該子を養子とする縁組が二以上あるときは、直近の縁組により養親となった者に限る。)

二 子の父母であって、前号に掲げる養親の配偶者であるもの

(一般の先取特権)

第三百六条 次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する。

一 共益の費用

二 雇用関係

三 子の監護の費用

四 葬式の費用

五 日用品の供給

・・・合意を証明する情報が必要。

(子の監護に要する費用の分担の定めがない場合の特例)

第七百六十六条の三 父母が子の監護に要する費用の分担についての定めをすることなく協議上の離婚をした場合には、父母の一方であって離婚の時から引き続きその子の監護を主として行うものは、他の一方に対し、離婚の日から、次に掲げる日のいずれか早い日までの間、毎月末に、その子の監護に要する費用の分担として、父母の扶養を受けるべき子の最低限度の生活の維持に要する標準的な費用の額その他の事情を勘案して子の数に応じて法務省令で定めるところにより算定した額の支払を請求することができる。ただし、当該他の一方は、支払能力を欠くためにその支払をすることができないこと又はその支払をすることによってその生活が著しく窮迫することを証明したときは、その全部又は一部の支払を拒むことができる。

一 父母がその協議により子の監護に要する費用の分担についての定めをした日

二 子の監護に要する費用の分担についての審判が確定した日

三 子が成年に達した日

2 離婚の日の属する月又は前項各号に掲げる日のいずれか早い日の属する月における同項の額は、法務省令で定めるところにより日割りで計算する。

3 家庭裁判所は、第七百六十六条第二項又は第三項の規定により子の監護に要する費用の分担についての定めをし又はその定めを変更する場合には、第一項の規定による債務を負う他の一方の支払能力を考慮して、当該債務の全部若しくは一部の免除又は支払の猶予その他相当な処分を命ずることができる。

・・・原則として、債務者の収入に関わらず一定額。

「外国に住所を有する外国人又は法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の住所証明情報の取扱いについて」の解説

法務省民事局付 森下宏輝

法務省民事局民事第二課補佐官 河瀬貴之

法務省民事局民事第二課補佐官 太田裕介

法務省HP

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00589.html

住所変更登記は、虚無人名義の登記を防止するという制度の趣旨から外れるので、通達の対象外。

 外国の政府等や公証人の作成する書面は、不動産登記令17条1項に該当しない。

不動産登記令(代表者の資格を証する情報を記載した書面の期間制限等)

第十七条第七条第一項第一号ロ又は第二号に掲げる情報を記載した書面であって、市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成したものは、作成後三月以内のものでなければならない。

2前項の規定は、官庁又は公署が登記の嘱託をする場合には、適用しない。

境界紛争調停手続における留意事項

摂南大学法学部特任教授 田中 敦

 公正と公正らしさ。中身の公正と、外面の公正らしさが求められる。調停委員として、名前を言うか言わないかは、当事者をみて考えていきたい。修正写真、望遠写真に気を付ける。専門用語の翻訳。折り合えるように、抽象的にいう。

BOOK REVIEW 金森真吾 著 『供託法・供託規則コンメンタール』

【評者】早稲田大学教授 山野目章夫

供託規則

https://laws.e-gov.go.jp/law/334M50000010002/#Mp-Ch_4

(供託金利息)第三十三条供託金利息は、一年について〇・〇〇一二パーセントとする。

2供託金利息は、供託金受入れの月及び払渡しの月については付さない。供託金の全額が一万円未満であるとき、又は供託金に一万円未満の端数があるときは、その全額又はその端数金額に対しても同様とする。

狭あい道路の解消に向けた取組み

国土交通省住宅局市街地建築課課長補佐 中世古英昭

 国土交通省 狭あい道路対策に関するガイドラインについて(令和6年3月)

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000082.html

更新日:2019年3月18日 那覇市狭あい道路整備事業の改正について「事前協議制度の導入」

https://www.city.naha.okinawa.jp/kurasitetuduki/life/kentiku/todokede/kyouai.html

士業法人に関する出資持分の承継問題と運営における注意点

税理士 柿沼慶一

2023年6月14日東京都税理士会調査研究部「税理士法人出資の評価について」

https://www.tokyozeirishikai.or.jp/news/tax_accountant/detail/1885.html

 税理士法人は税理士法に基づき、社員を税理士に限定した特別法人であり、会社法上の合名会社に準ずる。社員を税理士に限定しているので、社員死亡時に出資持分の相続は認められていない。払戻請求権に転化し、配当所得課税、源泉所得税課税。相続人が税理士でも同じ。税理士法48条の21は、会社法608条を準用していない。

 死亡以外の退社、社員の入社時の課税関係。

国税庁 「持分会社の退社時の出資の評価」

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/13/03.htm

 各士業法人の制度比較。

NEWS 戸籍に氏名の振り仮名を記載する取組が始まります!~皆様のお手元に通知が届いたら~

法務省民事局民事第一課

 施行日は2025(令和7)年5月26日。振り仮名通知は、戸籍単位で送付される予定。通知の振り仮名と実際の振り仮名が違う場合、2026(令和8)年5月25日までに市町村に届け出ることが重要。

商業登記規則逐条解説 第24回

土手敏行

(登記申請の方法)

第百二条前条第一項第一号の規定により登記の申請をするには、申請人又はその代表者若しくは代理人(以下この章において「申請人等」という。)は、法務大臣の定めるところに従い、法令の規定により申請書に記載すべき事項に係る情報に第三十三条の四に定める措置を講じたもの(以下「申請書情報」という。)を送信しなければならない。

2申請人等は、法令の規定により登記の申請書に添付すべき書面(法第十九条の二に規定する電磁的記録を含む。)があるときは、法務大臣の定めるところに従い、当該書面に代わるべき情報にその作成者(認証を要するものについては、作成者及び認証者。第五項において同じ。)が前項に規定する措置を講じたもの(以下「添付書面情報」という。)を送信しなければならない。ただし、添付書面情報の送信に代えて、登記所に当該書面を提出し、又は送付することを妨げない。

3申請人等(委任による代理人を除く。)が登記の申請をする場合において、申請書情報を送信するときは、当該申請人等が第一項に規定する措置を講じたものであることを確認するために必要な事項を証する情報であつて次のいずれかに該当するものを併せて送信しなければならない。

一第三十三条の八第二項(他の省令において準用する場合を含む。)に規定する電子証明書

二電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律第三条第一項の規定により作成された署名用電子証明書

三電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第八条に規定する認定認証事業者が作成した電子証明書(電子署名及び認証業務に関する法律施行規則(平成十三年総務省・法務省・経済産業省令第二号)第四条第一号に規定する電子証明書をいう。)その他の電子証明書であつて、氏名、住所、出生の年月日その他の事項により当該措置を講じた者を確認することができるものとして法務大臣の定めるもの

四官庁が嘱託する場合にあつては、官庁が作成した電子証明書であつて、登記官が当該措置を講じた者を確認することができるものとして法務大臣の定めるもの

4委任による代理人によつて登記の申請をする場合において、申請書情報を送信するときは、当該代理人が第一項に規定する措置を講じたものであることを確認するために必要な事項を証する情報であつて次のいずれかに該当するものを併せて送信しなければならない。

一前項各号に掲げる電子証明書

二当該措置を講じた者を確認することができる電子証明書であつて、前号に掲げるものに準ずるものとして法務大臣の定めるもの

5申請人等が添付書面情報を送信するときは、次の各号に掲げる情報の区分に応じ、それぞれ当該情報の作成者が第一項に規定する措置を講じたものであることを確認するために必要な事項を証する情報であつて当該各号に定めるものを併せて送信しなければならない。

一委任による代理人の権限を証する情報 第三項各号に掲げる電子証明書

二前号に規定する情報以外の情報 前項各号に掲げる電子証明書又は指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する省令第三条第一項に規定する指定公証人電子証明書

 3項1号は、商業登記電子証明書。3項2号はマイナンバーカードによる電子証明書。3項3号はセコムパスポートfor G-IDなど。3条4項は政府認証基盤発行の官職証明書、地方公共団体組織認証基盤発行の職責証明書。

 令和3年3月1日施行、会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)以後は、オンラインによる登記の申請と同時に印鑑届書が提出されることは、原則ではなく例外という位置づけになるから、登記官は印鑑届書の到達を待つことなく登記を処理する。

 4項は登記申請の代理人が利用可能な電子証明書の定め。4項2号の電子証明書には、生年月日の情報がなくてもよい。旧氏が併記されている電子証明書の取扱い。

 5項2号はリモート署名。クラウドサインなど。登記所は、電子署名の有効性と、電子署名の情報に書面に代えて作成した情報の名義人がその作成に関与している情報が記録されていることを確認する。

リスクベース・アプローチに基づくマネロン対策⑹―“司法書士ガイドライン”から考える―

司法書士 末光祐一

 会社設立登記を司法書士が代理申請した事例。 

 判例解説 

1筆の土地の一部分についての所有権移転登記請求権を有する債権者が当該登記請求権を被保全権利として当該土地の全部について処分禁止の仮処分命令の申立てをした場合における保全の必要性の有無(最三小決令5・10・6)

 保全の必要が認められる場合・・・分筆の登記を申請することができない場合や、それが著しく困難な場合。

登記研究59号P26、昭和27年9月19日民事甲第308号民事局長回答 「登記及び台帳事務の取扱について」・・・一筆の土地の一部分について処分禁止の仮処分命令を得た債権者は、その仮処分命令正本を代位原因を証明する書面として、債務者に代位して分筆の登記を申請することができる。

 昭和27年回答の後、分筆の登記の申請に必要な情報として地積測量図が定められた。不動産登記規則78条など。地積測量図を作成することが可能であれば、土地の全部について処分禁止の仮処分命令は認められない。地積測量図を作成することが難しいときは、そのことを陳述、疎明して申立てをしてみる。

実務の現場から

司法書士業務とエンジェル投資家コミュニティの運営

司法書士法人丸山洋一郎事務所 丸山洋一郎

 沖縄県で1年半動いてみましたが、無理でした。

登記研究921号令和6年11月号

登記研究921号(令和6年11月号)、テイハン

https://www.teihan.co.jp/search/g17615.html

【論説・解説】

■民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(登記事項証明書等における代替措置関係)(2)第2 関係法令と施行通達の解説

法務省民事局付 森 下 宏 輝

法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之

法務省民事局民事第二課補佐官 太 田 裕 介

不動産登記規則

https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000010018#Mp-Ch_5-Se_2-Ss_4

(代替措置等申出)

第二百二条の四 1項から5項まで略。

6代替措置等申出書には、次に掲げる書面を添付しなければならない。

一申出人が代替措置等申出書又は委任状に記名押印した場合におけるその印鑑に関する証明書(住所地の市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、市長又は区長若しくは総合区長とする。)が作成するものに限る。)その他の申出人となるべき者が申出をしていることを証する書面

二申出人の氏名又は住所が法第百十九条第六項の登記記録に記録されている者の氏名又は住所と異なる場合にあっては、当該者であることを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した書面(公務員が職務上作成した書面がない場合にあっては、これに代わるべき書面)

三代理人によって代替措置等申出をするときは、当該代理人の権限を証する書面

7前項第一号の規定は、申出人が同号の書面(印鑑に関する証明書を除く。)を登記官に提示した場合には、適用しない。この場合において、登記官から求めがあったときは、当該書面又はその写しを登記官に提出しなければならない。

8第三十七条及び第三十七条の二の規定は、代替措置等申出をする場合について準用する。

9第五十三条の規定は、申出人が代替措置等申出書及びその代替措置等申出添付書面を送付する場合について準用する。

 印鑑証明書を提出する場合、作成期限はない。・・・申出人の置かれている状況により、最新の印鑑証明書を取得することができない事情などが考えられるから。

 代理によって申出を行う場合の委任状の記載条項例(私見)・・・代替措置等申出に関する一切の件。代替措置等の申出に不備がある場合に、当該代替措置等の申出を取下げ、又は補正すること。原本還付請求受領に関する一切の件

 登記されている氏名、住所に変更があった場合、前提としての氏名、住所変更登記申請は不要。現在の氏名、住所とつながりを証する情報の提供は必要。

 登記申請の添付書類を、代替措置等申出の添付書面として援用することは出来ない。→同じ書類が必要なときは、2通準備。

(立件)

第二百二条の五登記官は、代替措置等申出書が提出されたときは、これを立件しなければならない。

2前項の場合には、登記官は、申出立件事件簿に立件の年月日及び立件番号を記録しなければならない。

3登記官は、第一項の規定により立件をする際、代替措置等申出書に立件の年月日及び立件番号を記載しなければならない。

 色々な人から登記事項証明書などの請求がある度、登記事項証明書を公示用住所に書き換えて作成するという継続的な職権発動を伴うので、登記申請における受付ではなく、立件という言葉が用いられる。

(調査)

第二百二条の六登記官は、代替措置等申出があったときは、遅滞なく、申出に関する全ての事項を調査しなければならない。

2登記官は、前項の場合において、必要があると認めるときは、申出人又はその代理人に対し、出頭を求め、質問をし、又は文書の提示その他必要な情報の提供を求める方法により、申出人となるべき者が申出をしているかどうか又は法第百十九条第六項に規定する場合に該当する事実の有無を調査することができる。

3登記官は、前項に規定する申出人又は代理人が遠隔の地に居住しているとき、その他相当と認めるときは、他の登記所の登記官に同項の調査を嘱託することができる。

4登記官は、第二項の規定による調査をしたときは、その調査の結果を記録した調書を作成しなければならない。前項の嘱託を受けて調査をした場合についても、同様とする。

5前項後段の場合には、嘱託を受けて調査をした登記所の登記官は、その調査の結果を記録した調書を嘱託をした登記官に送付しなければならない。

 調査は原則として申出人に対して行い、代理人のみを出頭させて調査の対象とすることはない。

■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第126回)247 一般社団法人の解散と基金の返還について

一般社団法人商業登記倶楽部 名誉主宰者兼最高顧問、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、日本司法書士会連合会顧問、神 﨑 満治郎

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第四章 清算 第四節 債務の弁済等(基金の返還の制限)第二百三十六条基金の返還に係る債務の弁済は、その余の清算一般社団法人の債務の弁済がされた後でなければ、することができない。は、清算一般社団法人に関する定めであり、第二章 一般社団法 第五節 基金第二款の基金の返還(基金の返還)第百四十一条、(代替基金)第百四十四条の適用はない。参考、熊谷 則一『【第2版】逐条解説一般社団・財団法人法』2021、全国公益法人協会、P466からP476

■Q&A不動産表示登記(97)

(一社)テミス総合支援センター理事、都城市代表監査委員 新 井 克 美

第四章 建物(区分建物) 第一節 登記事項

 Q268 規約の設定はどのようにするのか。

建物の区分所有等に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000069#Mp-Ch_1-Se_1

(区分所有者の団体)第三条 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。

(書面又は電磁的方法による決議)

第四十五条 この法律又は規約により集会において決議をすべき場合において、区分所有者全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる。ただし、電磁的方法による決議に係る区分所有者の承諾については、法務省令で定めるところによらなければならない。

2この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項については、区分所有者全員の書面又は電磁的方法による合意があつたときは、書面又は電磁的方法による決議があつたものとみなす。

3この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項についての書面又は電磁的方法による決議は、集会の決議と同一の効力を有する。

4第三十三条の規定は、書面又は電磁的方法による決議に係る書面並びに第一項及び第二項の電磁的方法が行われる場合に当該電磁的方法により作成される電磁的記録について準用する。

5集会に関する規定は、書面又は電磁的方法による決議について準用する。

■逐条解説不動産登記規則(50)

元法務省民事局民事第二課地図企画官 小宮山 秀 史

第99条 地 目

第九十九条 地目は、土地の主な用途により、田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園及び雑種地に区分して定めるものとする。

 地積は量的、地目は質的な特定の要素。

 田と畑の違い・・・工作に当たり用水を利用するかどうか。

 宅地については不動産登記事務取扱手続準則69条。

 用悪水路・・・用水路のうち、かんがい用・使用後の水をはいせつするための水路(不動産登記事務取扱手続準則68条16号)。

 公衆用道路・・・一般人が通行するために使われている土地(不動産登記事務取扱手続準則68条21号、登記研究177号P44、昭和37年6月20日民事甲第1605号民事局長回答「公衆用道路(個人所有)の地目の定め方について)

 農地について、登記研究405号P63、昭和56年8月28日法務省民三第5402号民事局長通達「登記簿上の地目が農地である土地について農地以外の地目への地目の変更の登記申請があつた場合の取扱いについて」、登記研究 429号P120、1983年9月30日質疑応答六三〇四「地目変更の時期について」、登記研究352号P104、1977年3月20日質疑応答五三四六「中間地目変更登記の可否について」

■商業登記の変遷(67)

司法書士 鈴 木 龍 介(司法書士法人鈴木事務所)

第9章 商業登記に関する文献等の歩み

 第1節 文 献

  4.先例集

  5.実務書

信山社『商業登記法釋義(電子書籍)日本立法資料全集別巻1327』2022

https://www.shinzansha.co.jp/book/b10083969.html?srsltid=AfmBOoorOxOrsLf5sygbHa8VA32D2x95ylJWr4SWy40HxvN1Id7qfL2t

■民事信託の登記の諸問題(38)

渋 谷 陽一郎

第260 信託監督人の表示は一般的な登記事項となり得るのか

 不動産登記法97条1項11号により、却下事由には該当しないと考えます。ただし、本記事は、信託監督人の表示を一般的な登記事項として、信託目録に積極的に登記できるか、という意味なのかもしれません。

第261 何が望ましい信託監督人の登記の表示なのか

 信託監督人、住所等、氏名・名称が特定という意味で望ましいと考えます。信託監督人になるべきものと指定された者、と登記することも可能だと考えます。根拠は信託法131条です。

 どちらの表示でも、取引に入ろうとする第三者は、信託契約書、変更があれば変更を証する情報による権利義務の確認と、信託監督人本人の本人確認、意思確認を行うことになると考えます。信託監督人と登記されていても、登記されている者は自身が信託監督人とされていることを知らない可能性があります。

第262 士業者の表記は可能なのか

 士業者の肩書については、登記できないという理由はないと考えます。法人が信託監督人になる場合、株式会社、一般社団法人等を登記することはできない理由がないのと同じ理由となります。士業者が強制加入団体に加入していることは、登記事項と関係ないのではないかと考えます。なお省略は信託監督人の意思により自由だと考えます。

第263 信託監督人の就任承諾前に登記できるのか

 就任承諾前に関しては、信託法131条の文言通り、信託監督人となるべき者、という表示になると考えます。

第264 受託者の処分行為に対する同意権者としての信託監督人の表示

第265 信託監督人の権限伸長の可否

 信託監督人の権限の伸長・拡大について、消極論も信託法132条1項の条文上、あり得ると考えます。実務が信託監督人の権限の伸長・拡大で今後も動いていき、信託不動産の取引に支障をきたすようなことがない場合、積極論に固まる方向になるのではないかと考えます。

【資 料】

■会社法施行下で使える登記先例──実務の便覧──(14)

第2章 株式会社の登記

 第12節 代表取締役 

1 選 定

登記研究221号P46、昭和41年1月20日民事甲第271号民事局長回答 「代表取締役の選住について」

登記研究529号P31、1992年2月29日発行 吉戒 修一:法務省民事局第四課長、門野坂 修一:法務省民事局付、渡部 房男:法務省民事局第四課補佐官、門田 稔永:佐賀地方法務局総務課長(前法務省民事局第四課補佐官)、片岡 貞敏:法務省民事局第四課係長、吉越 満男:法務省民事局第四課係長、植田 和男:法務 【論説・解説】「株式会社に関する先例をめぐって(40)」・・・取締役の予選も論点。予選をせざるを得ない事情も必要。

登記研究416号P133、1982年8月30日質疑応答【六一一九】「代表取締役の重任の日について」

 権利義務代表取締役の規定(会社法351条)は適用されるが、前提としての取締役の任期満了退任日は、原則として代表取締役の退任日。

  2 辞 任

登記研究808号P111、平成27年2月20日法務省民商第18号法務省民事局長通達「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて」

登記研究809号P59、佐藤 真紀子:法務省民事局民事第一課総括係長(前法務省民事局商事課商業法人登記第一係長)【論説・解説】「平成27年改正商業登記規則等に基づく商業・法人登記事務の取扱いについて」

 辞任の登記の前提として、住所の変更登記が必要な場合。

  3 権利義務

登記研究91号P30、昭和30年4月26日民事甲第673号民事局長回答 九二八「商業登記事務の取扱について」

 取締役としての権利義務を有する場合と代表取締役としての権利義務を有する場合は一致しない。

登記研究 204号 46頁  昭和39年10月3日 民事甲第3197号 民事局長回答 ◎三〇四八 代表取締役の変更の登記について

 代表取締役としての権利義務を有する者が代表取締役を退任日とその原因について。

登記研究503号P189、平成元年9月5日法務省民四第3520号民事局長回答「代表取締役の変更登記申請の受否について」

 代表取締役としての権利義務を有する者の解任の可否。

  4 死 亡

登記研究182号P157、昭和37年6月28日民事甲第1650号民事局長一部変更指示◇登記官吏会同決議福島地方法務局本局直轄管内及び支局管内事務協議会決議

登記研究646号P117、2001年11月30日【商業登記の栞】(8・有限会社の代表取締役)

 特例有限会社の定款の定めによる代表取締役が死亡した場合の変更の登記の申請は、後任の代表取締役から申請。

 

 5 代表取締役の住所

登記研究808号P142、平成27年3月16日法務省民商第29号法務省民事局商事課長通知「内国株式会社の代表取締役の全員が日本に住所を有しない場合の登記の申請の取扱いについて【解説付】」

 代表取締役の全員が日本に住所を有しない場合の登記申請の受理の可否。

登記研究329号P67、1975年4月20日第六部質疑・応答五一五二「重任する代表取締役の住所が登記簿の記載と抵触する場合の登記の受否」

  6 印鑑証明書の添付省略

登記研究609号P166、平成10年2月10日法務省民四第270号民事局第四課長通知「代表取締役の変更の登記の申請書に添付すべき印鑑証明書の添付の省略が認められる場合について〔解説付〕」

登記研究270号P72、1970年5月20日第五部質疑・応答四八二五「同時になされた代表取締役の改印届と当該代表取締役の重任による変更の登記申請書の印鑑について」

登記研究241号P68、1967年12月20日第五部質疑・応答四五〇四「印鑑証明書の添付について」

 取締役会設置会社の株式会社で、代表取締役の就任による変更登記の申請書に添付されている取締役会議事録の印鑑と登記申請時に提出されている印鑑が同一の場合、就任する代表取締役個人の印鑑証明書の省略の可否。

【訓令・通達・回答】

▽不動産登記関係

〔6248〕民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(所有権の登記の登記事項の追加関係)(令和6年3月22日付け法務省民二第551号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

▽供託関係

〔6249〕出入国管理及び難民認定法第37条の2第2項の規定による領置物件等の公売に係る代金の供託に関する手続について(令和6年6月10日付け法務省民商第108号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局商事課長依命通知)

令和6年度商業登記分野研修会「税理士に頼られる司法書士となるためには」

令和6年度商業登記分野研修会「税理士に頼られる司法書士となるためには」

令和6年11月20日(水)

司法書士と税理士の付き合い方

第1講第1部 齊藤詩織司法書士(東京司法書士会)

・設立登記は依頼から一週間以内に登記申請したいという要望が多い。について・・・依頼内容や依頼者の理解度によるのかなと思いました。

・目的変更について。私は、似ている業種の上場会社の目的を参考にしてもらっています。許認可が必要な業種については、行政書士に確認を求めます。

・組織再編に対応できる司法書士ということは、強みになる。

・顧客の紹介をする、というのはそうだよねぇ、と思いました。

第1項第2部 飯川洋一司法書士

事前質問に答える形式

・商業法人登記の申請は、月に20件から30件。

・オンライン申請がなかった時は、依頼があった会社には、遠くても直接出向くようにしていた。

・解散する会社が多くなってきた。

・役員の任期管理をしている。

・株主総会議事録は、原則として会社に作成してもらう。依頼されれば作成する。税理士作成の議事録が送られてくる場合もある。

・定款は保管している。税理士も保管している。現状や法改正と異なる場合もある。

・リーガルテックサービスによる登記申請サービスについて。間違えた場合が心配。

・税理士と一緒に勉強会を開催することで、連携が深まった。30年以上続いている。10人くらい。2年に1回くらい発表の機会が回ってくる。飯川洋一司法書士が発表したテーマは、平成3年商法改正、相続登記義務化、遺言書保管制度など。・・・30年以上継続しているのはすごいです。

・正確に迅速に丁寧に業務を行うために意識していること。直接声を聴いて話をすること。メールで連絡が来ても電話で返信する。・・・これは意見が分かれるのかなと思います。私はメールなどテキスト派で書類も郵送が原則ですが、直接会ったり電話するのも、依頼者が望むならそうした方が良いのかなと最近思ったりします。

・講師の依頼は、一緒に勉強会をやっていた税理士からの紹介が多い。

・事業承継の場面で、会社が創業者の株の買い取ることは、剰余金の残高から難しいことを指摘。

・税理士が窓口になっていても、依頼者本人と会うようにしている。

第2講 税理士からみた司法書士(商業・法人登記業務)

日本税理士会連合会常務理事業務対策部長 鴨田和恵税理士

・司法書士法人の担当が転勤などで変わる場合。

・見解が違い、変わる場合。相性。

・公的機関の創業相談から。

・設立登記は本人で行う場合が多い。事情により速く登記したい場合は司法書士を紹介。について。定款、株主構成などの内容は、本人に考えてもらうのかなと思いました。

資本金の額

・中小企業者等の法人税率の特例、租税特別措置法第四十二条の三の二

・中小企業者等の貸倒引当金の特例、租税特別措置法第五十七条の九

・中小企業庁 消費税のしくみ

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_3.htm

事業年度開始の日。設立の日が月初以外の場合。

・沖縄県 法人県民税・法人事業税に関する県税Q&A更新日 2024年1月11日

https://www.pref.okinawa.lg.jp/kurashikankyo/zeikin/1003660/1003689/1023512/1003691.html

・総務省 法人事業税における外形標準課税

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_05.html

令和8年4月1日より、資本金と資本剰余金の合計額が50億円を超える法人等の100%子法人等のうち、資本金と資本剰余金の合計額等が2億円を超えるものについては、外形標準課税の対象に含まれる。

法人成り。

不動産などを現物出資する場合の短期譲渡取得、長期譲渡取得に該当するかの判断。

一般社団法人

 国税庁 一般社団法人・一般財団法人と法人税

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/koekihojin/01.htm

取締役会や監査役の設置または廃止登記の申請

 名目的取締役への役員報酬。名目的取締役、というのが分かりませんでした。

・役員の任期について管理を司法書士が行うのかについて。依頼があればさせていただきたいと思います。

・役員辞任の年月日は、退職所得控除額の計算(役員等勤続年数)に関わる。

国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm

・法人版事業承継税制。贈与の日付。代表権を持った日。議決権数の過半数を保有している日。役員年数。

・本店所在地の移転登記がある場合、事業年度と法人住民税の均等割り。税務署などへ移転届が必要。

・目的を追加する登記申請の場合、削除する目的についても話をして欲しい。

・資本金の額の増加の登記申請、株式の評価・適格現物出資など。

・資本金の額の減少の登記申請、有償減資の場合。

・組織再編の登記申請、合資会社のみなし種類変更(会社法639条)。適格・非適格の判断→繰越欠損日の取扱い、みなし事業年度と合併期日。

・会社の解散・清算登記の申請について、会社解散届、解散確定申告書、清算事業年度の確定申告書、残余財産確定事業年度の確定申告書、清算結了届と関わる。

登記情報756号2024年11月号

登記情報756号2024年11月号、(一社)金融財政事情研究会

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T

 法窓一言 個人情報保護法改正をめぐる昨今の状況

弁護士法人片岡総合法律事務所 弁護士 高松志直

個人情報保護委員会「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」

https://www.ppc.go.jp/personalinfo/3nengotominaoshi

最二小判令5.5.19を踏まえた不動産登記に関する遺言執行者の権限および当事者適格の整理と平成30年改正民法および令和3年改正不動産登記法の判例への影響

久保井総合法律事務所 弁護士 上田 純

 □遺言の作成日は、2019年(令和元年)7月1日より前か、以後か(平成30年法律第72号附則2条、8条2項)。

 □遺言執行者の原告適格。遺言執行者の権限の範囲内(民法1012条1項、1014条2項)か。

□相続開始日は、2019年(令和元年)7月1日より前か、以後か。

□遺言の内容は、特定遺贈、包括遺贈(民法964条)か、相続分の指定(民法902条)か、遺産の分割の方法の定め(民法908条)か、特定財産承継遺言(民法1014条)か。

□相続、遺贈の登記を経て、第三者に所有権移転登記がされていないか(民法1013条2項ただし書)。

遺言執行者の帰責性の有無。民法94条2項類推適用の有無を判断する対象は、遺言執行者か受遺者・相続分の指定により相続する相続人か。

口座登録法・口座管理法の概要

セブン銀行 小山正之

公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/503AC0000000038

預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/503AC0000000039

(相続時における預貯金口座に関する情報の提供)

第八条 相続人(包括受遺者を含む。以下この条において同じ。)は、主務省令で定めるところにより、預金保険機構に対し、全ての金融機関が管理する当該相続人の被相続人(包括遺贈者を含む。以下この条において同じ。)である預貯金者を名義人とする全ての預貯金口座について、次に掲げる事項の通知を求めることができる。

一金融機関及びその店舗の名称

二預貯金の種別及び口座番号

2預金保険機構は、前項の規定による求めを受けた場合には、主務省令で定める方法により、当該求めをした相続人が本人であること及び当該預貯金者が当該相続人の被相続人であることを確認するため、当該相続人及び預貯金者の本人特定事項その他当該相続人及び預貯金者を特定するために必要な事項として主務省令で定めるもの並びに当該相続人及び預貯金者の身分関係(当該相続人が包括受遺者である場合にあっては、遺言の内容)を確認しなければならない。

3預金保険機構は、第一項の規定による求めを受けた場合には、全ての金融機関に対し、当該求めをした相続人の被相続人である預貯金者の個人番号を通知しなければならない。

4前項の規定による通知を受けた金融機関は、当該個人番号に係る預貯金者を名義人とする預貯金口座を管理しているときは第一項各号に掲げる事項を、当該預貯金口座を管理していないときはその旨を、預金保険機構に対し、通知しなければならない。

5前項の規定による通知を受けた預金保険機構は、主務省令で定めるところにより、第一項の規定による求めをした相続人に対し、当該通知に係る事項を通知しなければならない。

1 相続人の1人が、金融機関に対して、

 ・相続時口座照会申込書

・法定相続情報一覧図の写しか、被相続人の死亡の事実と相続人であることが分かる戸(除)籍謄抄本

・照会手数料

を提供。

2 金融機関が預金保険機構と連携。

3 預金保険機構が全金融機関へマイナンバーが付番されている口座の有無を照会。

4 預金保険機構は、相続人の1人へ郵送で結果を通知。

法制審議会だより

民法(成年後見等関係)部会、第5回~第7回会議を開催

編集部

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00008

研究会だより

商業登記所における実質的支配者リスト制度の利便性向上に関する研究会の取りまとめ

編集部

https://www.kinzai.or.jp/substantial_ruler.html

 金融機関が、オンラインで実質的支配者リストの交付を申請することの検討。

検討会だより

定款認証の負担軽減に向けたデジタル活用のための実務検討会の第3回会議、第4回会議が開催され、中間案が取りまとめられる

編集部

https://www.kinzai.jp/seminar/digital_utilization

 モデル定款を利用した場合の発起人の本人確認について、マイナンバーカードの公的個人認証の活用を基本とする。デジタル庁が提供するマイナンバーカード対面確認アプリを利用するかは不明。オンラインでの面談(面前確認)なら、アプリの利用ではなくマイナンバーカードの提示になるのかなと思います。

 代理人による面前確認については、原則不可でも良いと思います。制度趣旨として起業の負担軽減があり、モデル定款を利用するのはオンライン面談、電子署名に対応可能な人が想定されています。士業が関与するとすれば、定款の書類作成、発起人による電子署名の方法について支援、オンライン面談環境の提供・同席等になるのかなと思います。

NEWS

定款認証・設立登記の「72時間原則」が開始される

法務省民事局登記所適正配置対策室長 宇野直紀

 法務省 令和6年9月20日更新 新たな取組に関するリーフレット「定款認証の手続が「2つの原則」の導入で便利になります」

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00076.html

商業登記規則逐条解説 第23回

土手敏行

商業登記規則

https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023#Mp-Ch_3

(電子情報処理組織による登記の申請等)

第百一条 次に掲げる申請、申出、提出、届出又は請求(以下「申請等」という。)は、情報通信技術活用法第六条第一項の規定により、同項に規定する電子情報処理組織を使用する方法によつてすることができる。ただし、当該申請等は、法務大臣が定める条件に適合するものでなければならない。

一登記の申請(これと同時にする受領証の交付の請求を含む。以下同じ。)

一の二第三十一条の二第一項及び第六項第一号、第三十一条の三第一項及び第四項第一号、第八十一条の二第一項、第七項及び第九項(第八十八条の二第二項(第九十条及び第九十二条において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)並びに第八十八条の二第一項(第九十条及び第九十二条において準用する場合を含む。)の申出(前号の登記の申請と同時にする場合に限る。以下第百五条の二第一項及び第百八条第一号において「住所非表示措置等の申出」という。)

二印鑑の提出又は廃止の届出(第一号の登記の申請と同時にする場合に限る。)

三電子証明書による証明の請求

四電子証明書の使用の廃止の届出

五電子証明書の使用の再開の届出

六識別符号の変更の届出

七電子証明書による証明の再度の請求

八登記事項証明書又は印鑑の証明書の交付の請求

2前項第八号の規定は、後見人である法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該後見人である法人の代表者の職務を行うべき者)、外国会社の日本における代表者である法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該外国会社の日本における代表者である法人の代表者の職務を行うべき者)又は管財人等の職務を行うべき者として指名された者が提出した印鑑の証明書については、適用しない。

3情報通信技術活用法第六条第一項に規定する主務省令で定める電子情報処理組織は、登記所の使用に係る電子計算機と第一項に規定する申請等をする者の使用に係る電子計算機であつて法務大臣の定める技術的基準に適合するものとを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。

4情報通信技術活用法第六条第六項に規定する主務省令で定める場合は、申請等に係る書面等のうちにその原本を確認する必要があると登記官が認める場合とする。

 各登記所にオンラインシステムが順次導入されるに伴い、登記所毎に回復した。登記申請、その他の申請や申出などがオンラインで可能になるごとに変更されてきた。登記の申請と同時にしなければならない申出などは、その旨記載される。記載がないものは単独で可能。部分オンラインを認めるための位置付け。

登記研究777号P111、平成24年3月30日法務省民商第886号法務省民事局長通達「商業登記オンライン申請等事務取扱規程の制定について」

リスクベース・アプローチに基づくマネロン対策⑸―“司法書士ガイドライン”から考える―

司法書士 末光祐一

犯罪収益移転危険度調査書の分析から始める。

https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/nenzihokoku/nenzihokoku.htm

 自然人が議決権を間接保有するケースについて、法人の実質的支配者の判定。

目で見る筆界の調査・認定事例第9回 筆界特定書により筆界を認定した事案

大阪法務局首席登記官(不動産登記担当)田中博幸(日本土地家屋調査士会連合会業務部協力)

 隣接所有者の所在が不明なケース。過去に他の隣接地について筆界特定、官民境界確認協議が行われている。

法律業務が楽になる心理学の基礎第14回・完 連載で学んだ26のアクションアイテム

弁護士(認定心理士) 渡部友一郎

 集団思考の特徴。集団成員相互の同調圧力、自己検閲、逸脱意見から集団を防衛する人物の発生、表面上の意見の一致、無謬性の幻想、道徳性の幻想、外集団に対するゆがんだ認識、解決方略の拙さ。

登記研究920号令和6年10月号

登記研究920号(令和6年10月号)、テイハン

https://www.teihan.co.jp/search/g17615.html

取締役会非設置会社(会社法326条)と特例有限会社(会社法整備法3条2項)における代表権について。代表取締役の定め方によって、取締役と代表取締役の地位が分化するか一体なのか定まる。

分化しているか一体なのかは、

  • 1 取締役として就任承諾を会社にしたうえで、代表取締役としても就任承諾が必要なのか、
  • 2 代表取締役の一方的な意思表示により代表取締役のみ辞任して取締役として残ることが可能か否か、
  • 3 代表取締役が死亡した場合に、他の取締役が当然に代表取締役に就任するのか、選任決議が必要なのか、

に関わる。3、について定款に代表取締役は取締役の互選によって定めるという定めがある場合、法人の意思として、取締役のうち誰が代表取締役になっても良い、というところは納得でした。

 定款に、取締役が2名以上あるときは代表取締役を置き、株主総会の決議によって定める、と規定している株式会社の代表取締役が死亡して、他の取締役に代表権を付与する株主総会決議があった場合、他の取締役の代表取締役としての就任承諾を証する情報は必要か。

 有限会社の場合。取締役に代表権付与決議を行った株主総会議事録の添付の要否。登記申請権限の確認が根拠。登記申請権限の確認を根拠とするものとして定款の提供が必要な場合。

■民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(登記事項証明書等における代替措置関係)(1)

法務省民事局付 森 下 宏 輝、法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之、法務省民事局民事第二課補佐官 太 田 裕 介

第1 はじめに

 登記事項証明書等における代替措置制度について。

法務省 登記事項証明書等における代替措置について(不動産登記関係)

令和6年7月2日、初回掲載日(令和6年4月5日)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00596.html

第2 関係法令と施行通達の解説

不動産登記法(登記事項証明書の交付等)

第百十九条 1項から5項まで略。

6登記官は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、登記記録に記録されている者(自然人であるものに限る。)の住所が明らかにされることにより、人の生命若しくは身体に危害を及ぼすおそれがある場合又はこれに準ずる程度に心身に有害な影響を及ぼすおそれがあるものとして法務省令で定める場合において、その者からの申出があったときは、法務省令で定めるところにより、第一項及び第二項に規定する各書面に当該住所に代わるものとして法務省令で定める事項を記載しなければならない。

 これまで通達等により運用上の対応がされていたが、法律上の措置とされた。

不動産登記規則第四章第三節。

https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000010018#Mp-Ch_2-Se_3

(帳簿)第十八条

十二の二申出立件事件簿

十二の三申出立件関係書類つづり込み帳

十二の四申出立件事務日記帳

十二の五代替措置等申出書写しつづり込み帳

(申出立件事件簿等)

第二十七条の二申出立件事件簿には、代替措置等申出(第二百二条の四第一項に規定する代替措置等申出をいう。第三項及び第四項において同じ。)又は代替措置申出の撤回(第二百二条の十五第一項の規定による撤回をいう。第三項及び第四項において同じ。)の立件の年月日その他の必要な事項を記録するものとする。

2申出立件事件簿は、書面により調製する必要がある場合を除き、磁気ディスクその他の電磁的記録に記録して調製するものとする。

3申出立件関係書類つづり込み帳には、代替措置等申出に関する書類及び代替措置申出の撤回に関する書類を立件番号の順序に従ってつづり込むものとする。

4申出立件事務日記帳には、申出立件事件簿に記録しない代替措置等申出に関する事務又は代替措置申出の撤回に関する事務に係る書類の発送及び受領に関する事項を記録するものとする。

(代替措置等申出書写しつづり込み帳)

第二十七条の三代替措置等申出書写しつづり込み帳には、第二百二条の十二第二項(第二百二条の十五第七項及び第二百二条の十六第六項において準用する場合を含む。)の規定により送付を受けた書類をつづり込むものとする。

(保存期間)

第二十八条次の各号に掲げる情報の保存期間は、当該各号に定めるとおりとする。

1号から17号まで略

十八請求書類つづり込み帳につづり込まれた書類に記載された情報受付の日から一年間

十九申出立件事件簿に記録された情報立件の日から五年間

二十申出立件関係書類つづり込み帳につづり込まれた書類に記載された情報立件の日から五年間

二十一代替措置等申出書写しつづり込み帳につづり込まれた書類に記載された情報送付を受けた日から五年間

(公示用住所管理ファイル)

第二百二条の二 法務大臣は、第二百二条の十二第一項各号に掲げる事項を記録する公示用住所管理ファイルを備えるものとする。

2公示用住所管理ファイルは、法第百十九条第六項の申出(以下この節において「代替措置申出」という。)の申出人ごとに電磁的記録に記録して調製するものとする。

3公示用住所管理ファイルに記録された情報の保存期間は、永久とする。

(代替措置の要件)

第二百二条の三 法第百十九条第六項の法務省令で定める場合は、当該登記記録に記録されている者その他の者(自然人であるものに限る。)について次に掲げる事由がある場合とする。

一ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成十二年法律第八十一号)第六条に規定するストーカー行為等に係る被害を受けた者であって更に反復して同法第二条第一項に規定するつきまとい等又は同条第三項に規定する位置情報無承諾取得等をされるおそれがあること。

二児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)第二条に規定する児童虐待(同条第一号に掲げるものを除く。以下この号において同じ。)を受けた児童であって更なる児童虐待を受けるおそれがあること。

三配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成十三年法律第三十一号)第一条第二項に規定する被害者であって更なる暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの(次号において「身体に対する暴力」という。)を除く。)を受けるおそれがあること。

四前三号に掲げるもののほか、心身に有害な影響を及ぼす言動(身体に対する暴力に準ずるものに限る。以下この号において同じ。)を受けた者であって、更なる心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれがあること。

・・・不動産登記法119条の法務省令で定めるものの、具体的内容4つを規定。身体に対する暴力については、不動産登記法に定めがあるため、その他の精神的・心理的暴力について規定。抹消記号が付されている・過去の所有権登記名義人、閉鎖された登記記録に記録されている自然人も該当。商登登記の代表者の住所非表示措置も、制度趣旨からして同様の措置が採られても良いのではないかと思いました。

・代替措置等申し出は書面申請、管轄なし。

・新たなオンライン登記申請と共に代替措置等申出を行う場合は、補記が必要。

・完了証の交付はないが、完了の電話連絡希望は可能。

■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第125回)

一般社団法人商業登記倶楽部 名誉主宰者兼最高顧問、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、一般社団法人日本財産管理協会顧問、日本司法書士会連合会顧問、神 﨑 満治郎

 246 中小企業等協同組合の種類、登記事項及び登記手続法令について

 中小企業等協同組合法

https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000181#Mp-Ch_2-Se_1

 (名称)

第六条 組合は、その名称中に、次の文字を用いなければならない。

事業協同組合にあつては、協同組合(第九条の二第七項に規定する特定共済組合に該当するものにあつては、共済協同組合)

一の二事業協同小組合にあつては、協同小組合(第九条の二第七項に規定する特定共済組合に該当するものにあつては、共済協同小組合)

信用協同組合にあつては、信用協同組合又は信用組合

協同組合連合会にあつては、その種類に従い、協同組合、協同小組合又は信用協同組合のうちのいずれかを冠する連合会(第九条の九第四項に規定する特定共済組合連合会に該当するものにあつてはその種類に従い共済協同組合又は共済協同小組合のうちのいずれかを冠する連合会、同条第一項第三号の事業を行う協同組合連合会に該当するものにあつては共済協同組合連合会)

企業組合にあつては、企業組合

2この法律によつて設立された組合又は他の特別の法律によつて設立された協同組合若しくはその連合会以外の者は、その名称中に、事業協同組合、事業協同小組合、信用協同組合、協同組合連合会又は企業組合であることを示す文字を用いてはならない。

3組合の名称については、会社法(平成十七年法律第八十六号)第八条(会社と誤認させる名称等の使用の禁止)の規定を準用する。

 5種類。

(組合等の設立の登記)

第八十四条 組合の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、第二十九条の規定による出資の払込みがあつた日から二週間以内にしなければならない。

2前項の登記においては、次に掲げる事項(企業組合の設立の登記にあつては、第三号に掲げる事項を除く。)を登記しなければならない。

一事業

二名称

三地区

四事務所の所在場所

五出資一口の金額及びその払込の方法並びに出資の総口数及び払込済出資総額

六存続期間又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由

七代表権を有する者の氏名、住所及び資格

八公告方法

九第三十三条第四項の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項

イ電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であつて法務省令で定めるもの

ロ第三十三条第五項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め

3中央会の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、設立の認可があつた日から二週間以内にしなければならない。

4前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。

一事業

二名称

三事務所の所在場所

四代表権を有する者の氏名、住所及び資格

五公告方法

 登記事項。

民法

(法人の成立等)第三十三条 法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。

2 学術、技芸、慈善、祭祀し、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。

・・・設立根拠法。

(登記)第三十六条 法人及び外国法人は、この法律その他の法令の定めるところにより、登記をするものとする。

・・・登記手続法令。

■Q&A不動産表示登記(96)

(一社)テミス総合支援センター理事、都城市代表監査委員 新 井 克 美

第四章 建物(区分建物)

 第一節 登記事項

Q266 敷地利用権、敷地権、敷地権である旨の登記とは何か。

Q267 専有部分と敷地利用権の一体性の原則とは何か。

建物の区分所有等に関する法律

(定義)

第二条 1項から5項まで略。

6この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。

不動産登記法

(建物の表示に関する登記の登記事項)

第四十四条 建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

1号から8号まで略。

九建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権

不動産登記規則

(登記記録の編成)第四条 1項、2項略

3区分建物である建物の登記記録の表題部は、別表三の第一欄に掲げる欄に区分し、同表の第一欄に掲げる欄に同表の第二欄に掲げる事項を記録するものとする。

別表三(第四条第三項関係)区分建物である建物の登記記録

一棟の建物の表題部

敷地権の目的である土地の表示欄

区分建物の表題部

敷地権の表示欄

不動産登記法(敷地権である旨の登記)

第四十六条登記官は、表示に関する登記のうち、区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは、当該敷地権の目的である土地の登記記録について、職権で、当該登記記録中の所有権、地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない。

不動産登記規則

(敷地権である旨の登記)

第百十九条登記官は、法第四十六条の敷地権である旨の登記をするときは、次に掲げる事項を敷地権の目的である土地の登記記録の権利部の相当区に記録しなければならない。

一敷地権である旨

二当該敷地権の登記をした区分建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番

三当該敷地権の登記をした区分建物が属する一棟の建物の構造及び床面積又は当該一棟の建物の名称

四当該敷地権が一棟の建物に属する一部の建物についての敷地権であるときは、当該一部の建物の家屋番号

五登記の年月日

2登記官は、敷地権の目的である土地が他の登記所の管轄区域内にあるときは、遅滞なく、当該他の登記所に前項の規定により記録すべき事項を通知しなければならない。

3前項の規定による通知を受けた登記所の登記官は、遅滞なく、敷地権の目的である土地の登記記録の権利部の相当区に、通知を受けた事項を記録しなければならない。

■逐条解説不動産登記規則(49)

元法務省民事局民事第二課地図企画官 小宮山 秀 史

(地番)

第九十八条地番は、地番区域ごとに起番して定めるものとする。

2地番は、土地の位置が分かりやすいものとなるように定めるものとする。

 不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付け法務省民二第456号法務省民事局長通達)最終改正:令和6年4月1日

(地番の定め方)第67条 地番は、規則第98条に定めるところによるほか、次に掲げるところにより定めるものとする。

(1) 地番は、他の土地の地番と重複しない番号をもって定める。

(2) 抹消、滅失又は合筆により登記記録が閉鎖された土地の地番は、特別の事情がない限り、再使用しない。

(3) 土地の表題登記をする場合には、当該土地の地番区域内における最終の地番を追い順次にその地番を定める。

(4) 分筆した土地については、分筆前の地番に支号を付して各筆の地番を定める。ただし、本番に支号のある土地を分筆する場合には、その1筆には、従来の地番を存し、他の各筆には、本番の最終の支号を追い順次支号を付してその地番を定める。

(5) 前号本文の規定にかかわらず、規則第104条第6項に規定する場合には、分筆した土地について支号を用いない地番を存することができる。

(6) 合筆した土地については、合筆前の首位の地番をもってその地番とする。

(7) 特別の事情があるときは、第3号、第4号及び第6号の規定にかかわらず、適宜の地番を定めて差し支えない。

(8) 土地区画整理事業を施行した地域等においては、ブロック(街区)地番を付して差し支えない。

(9) 地番の支号には、数字を用い、支号の支号は用いない。

2 登記官は、従来の地番に数字でない符号又は支号の支号を用いたものがある場合には、その土地の表題部の登記事項に関する変更の登記若しくは更正の登記又は土地の登記記録の移記若しくは改製をする時に当該地番を変更しなければならない。ただし、変更することができない特段の事情があるときは、この限りでない。

3 登記官は、同一の地番区域内の2筆以上の土地に同一の地番が重複して定められているときは、地番を変更しなければならない。ただし、変更することができない特段の事情があるときは、この限りでない。

4 地番が著しく錯雑している場合において、必要があると認めるときは、その地番を変更しても差し支えない。

■商業登記の変遷(66)

司法書士 鈴 木 龍 介(司法書士法人鈴木事務所)

 悪意擬制説。異次元説。消極的公示力と積極的公示力。フランス法との比較。商業登記制度のデジタル化の経緯。積極的公示力と外観信頼保護規定。登記分社の専門六法。商業登記関係法令に関する注釈書(コンメンタール)。

■民事信託の登記の諸問題(37)

渋 谷 陽一郎

第254 受託者の権限に対する制約としての信託監督人の同意権に関する登記

P82、信託財産の管理方法、受託者の処分権限 信託不動産の売却処分、売却処分の条件 信託監督人の同意、と信託目録に記録されている場合、売却処分の文言のみで所有権登記申請まで読み取ることが出来るのか分かりませんでした。私なら、売買契約及び売買契約に基づく所有権移転登記申請、とします。信託不動産であることは登記記録から明らかなので除きます。

P84、信託監督人の同意を証する書面(抜粋)中の、所有権の帰属権者、という文言が分かりませんでした。

第255 信託法27条に基づく受託者の権限外行為に対する取消権

 詐害行為取消権(民法424条から426条)との比較。

第256 受託者と受益者への権利の分属(受益者の準物権的行為)

 未成年者の法定代理人による取消権(民法5条)との比較。

第257 受託者による権限外取引の取消権者は誰か

 不動産に関しては、第三者からみて誰が取消権者か分かるような公示の必要性。受益者に判断能力の喪失があったときのために、受託者の権限外行為に対する受益者に代わる同意権者を定めておくことの必要性。

第258 信託監督人と信託法27条の取消権限の帰属

 信託監督人の表示を登記申請することの許容性と相当性。

第259 信託監督人による登記申請権の行使の可能性

 信託監督人による、不動産登記法59条1項7号による代位登記申請の可否。

【資 料】■会社法施行下で使える登記先例──実務の便覧──(13)

 定款により取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までに伸長した会社において、取締役の任期満了による退任の登記の申請書に添付すべき退任の事実を証する書面(商業登記法54条4項)は、定時株主総会議事録に、定款第〇条により任期満了の記載があれば、定款の添付は必要ない。記載がない場合は定款の添付が必要。登記研究698号P73、平成18年3月31日民商第782号民事局長通達「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」、

 始期付きの辞任届は有効。

登記研究182号P161、昭和37年7月20日民事甲第2055号民事局長一部変更指示◇登記官吏会同決議◎津地方法務局本局直轄管内登記官吏会同決議

 取締役の意思表示が会社に到達した日が辞任日。地方議会議員の兼任規定。

登記研究392号P102、昭和54年12月8日法務省民四第6104号 民事局第四課長回答「取締役辞任の時期について」、登記研究503号P37、 1989年12月30日、柳田 幸三:法務省民事局第四課長、渋佐 愼吾:法務省民事局付、竹田 盛之輔:法務省民事局第四課補佐官、門田 稔永:法務省民事局第四課補佐官、井内 省吾:法務省民事局第四課係長、藤部 富美男:法務省民事局第四課係長 【論説・解説】「株式会社に関する先例をめぐって(27)」

 

 法律、定款に定める取締役の定数に満たない場合について。

登記研究93号P41昭和30年5月23日民事甲第1008号民事局長回答「数人の取締役が任期満了又は辞任し、その数に満たない後任取締役が就任した場合の取締役変更登記について」。登記研究465号P108、1986年10月30日、神崎 満治郎:東京法務局総務部職員課長(前法務省民事局第一課補佐官)【先例漫歩】商業・法人登記の実務(11)

 

 権利義務取締役の退任日について。

登記研究102号P31、昭和31年4月6日民事甲第746号民事局長回答「取締役の退任の日について」、登記研究508号P70、昭和30年6月18日民事甲第1271号民事局長回答「農業協同組合法(以下農協法と略記す)第三十一条第二項但書の期間をこえた設立当時の役員の任期について」

 権利義務取締役の辞任による退任の登記の可否。

登記研究144号P33、昭和34年9月23日民事甲第2136号民事局長電報回答「取締役及び監査役の変更登記について」、登記研究509号P25、1990年6月30日、柳田 幸三:法務大臣官房参事官(前法務省民事局第四課長)、渋佐 愼吾:法務省民事局付、竹田 盛之輔:法務省民事局第四課補佐官、門田 稔永:法務省民事局第四課補佐官、井内 省吾:法務省民事局第一課係長(前法務省民事局第四課係長)、宮田 和一:法務省民事局第四【論説・解説】「株式会社に関する先例をめぐって(32)」

 権利義務取締役の辞任、解任の可否について。

登記研究512号P64、昭和35年10月20日民事四発第197号民事局第四課回答「商法第二百五十八条第一項の規定により権利義務を有する取締役の解任について」

 権利義務取締役が亡くなった場合の退任の登記原因。

登記研究170号P83、昭和36年8月25日民事甲第2069号民事局長指示◇登記官吏会同決議◎鹿児島地方法務局鹿屋支局管内登記事務研究会決議、登記研究325号P73、1974年12月20日第六部質疑・応答五一二七「取締役の変更の登記について」

 登記留保措置の廃止と、登記完了前の申請書等の閲覧・交付等。本店移転登記と同時申請の場合における、普通郵便の発送場所。申請疑義事案の例と一部の役員の解任の場合。

登記研究869号P154、令和2年3月23日法務省民商第65号法務省民事局商事課長通知「役員全員の解任を内容とする登記申請があった場合の取扱いについて【解説付】」

 役員の死亡を原因として退任の登記を申請する場合の添付情報の内容。

登記研究303号P72、1973年2月20日第五部質疑・応答五〇二〇「役員が死亡した旨の記載のある議事録をもつて株式会社の役員の死亡による退任を証する書面とすることの可否」

 登記されている取締役が、社外取締役に該当することになった場合。

登記研究698号P73、平成18年3月31日民商第782号民事局長通達 「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」、登記研究658号P175、平成14年4月25日法務省民商第1067号民事局長通達「商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて」

【訓令・通達・回答】

▽不動産登記関係

〔6245〕民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(登記事項証明書等における代替措置関係)(令和6年4月1日付け法務省民二第555号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

 別記第5号、調査結果調書(代替措置等申出関係)

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