相続人が行方不明、どうすればいい?(仮訳)The heir is absentee. What is the procedure?

 

相続人の中に行方不明の人や、生死すらわからない人がいると、遺産の分割協議ができず困ったことになります。その場合は次のような措置をすることができます。

If one of the heirs is missing or you don’t know life and death of the heir, you may not agree to division of the property.
In this case, you can do the following procedure.

不在者財産管理人をおく
You may appoint the administrator of absentee property.

共同相続人の一人が行方不明の場合、他の相続人が家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらうよう申立てができます。不在者財産管理人は、行方不明の相続人の財産の目録を作り、それを保管できる権限を持ちます。
また不在者財産管理人は家庭裁判所の許可を得れば、他の相続人と遺産分割の
協議をすることができます。

If one of the heirs is missing, the other heirs may apply to the family court to appoint the administrator of absentee property.
The administrator of absentee property executes the list of property of absentee heir and keeps it.
If the family court permit, the administrator of absentee property may agree to division of the property with the other heir.

参考I reference.
司法書士アクセスブック
よくわかる相続
日本司法書士会連合会

相続人が外国にいるときは?どうすればいい?(仮訳)The heir lives in foreign country. What is the procedure?

 

 

 

この頃では海外に赴任している人も多く、相続が発生したときに、すみやかに相続人全員が集まれるとは限りません。このような場合、その相続人のいる国の日本大使館や領事館等から在留証明書、署名(サイン)証明書もしくは拇印証明書を取り寄せて、相続手続を行うことができます。

Nowadays, many person stay in foreign country.
So, the all heir are not always when the succession occur.
In cases like this, the heir may proceed of the succession in the following.
The heir orders the certificate of status of residence, the certificate of signature or the certificate of heir’s thumbprint from embassy of Japan, consulate-general of Japan.


在留証明書

The certificate of status of residence.

海外で生活する日本人につき相続人としての権利が発生した場合は、外国における現住所を証明する書面を添付して、相続登記申請等をする必要が生じます。その際は、その日本人が海外に在留していることを証明する在留証明書を在外公館(日本大使館、総領事館)に発給申請をします。

If the heir is the Japanese that lives in foreign country, he/she should register for inheritance.
You need the certificate of status of residence.
The Japanese heir apply to the diplomatic establishment (embassy of Japan, consulate-general of Japan) for the certificate of status of residence.

署名(サイン)証明書・拇印証明書
The certificate of signature, the certificate of heir’s thumbprint.

日本では不動産登記申請等で印鑑証明書の添付が必要となります。しかし、日本に住民登録がなければ日本の役場に印鑑登録ができません。この「署名(サイン)証明書」は、海外在留日本人が印鑑証明書を必要とする際に、印鑑証明書の代わりに在外公館が発行するものです。また、拇印証明書が必要となる場合は、拇印証明も併せて行います。

In Japan, you should need certificate of seal impression in application of real property registration and the like.
If you don’t have registry of resident, you may not register seal impression.
The diplomatic establishment publishes the certificate of signature when the Japanese of foreign resident needs certificate of seal impression.
Also, if the Japanese of foreign resident need the certificate of heir’s thumbprint, he/she applies to the diplomatic establishment for the certificate of heir’s thumbprint, too.

参考I reference.
司法書士アクセスブック
よくわかる相続
日本司法書士会連合会


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
雨で散歩に行けません。でも部屋をうろちょろします。やもり発見。(渋柿)

プラスの財産とマイナスの財産(仮訳)限定承認

プラスの財産とマイナスの財産(仮訳)限定承認
The property and the obligation.

親が亡くなって遺産が入ると思っていたら、何と借金ばかりだった・・・。
でも怒ってばかりはいられません。相続開始を知ってから3ヶ月を過ぎると、単純承継といって、借金や債務までも一切を含めた遺産を引き継がなければならなくなるからです。親の残した借金に苦しめられそうな場合、相続人はどのような手を打てるのでしょうか。

You thought that you succeed to your parent’s property.
But your parent’s only left you obligation.
You can’t angry forever.
If three months have passed you know the succession, you should succeed to the property and the obligation. It is called unqualified acceptance.
If you don’t want to succeed to the parent’s obligation, what process do you take?


プラスかマイナスか不明の場合、または借金が多いと予想される場合は「限定承認」を

When you don’t know decedent’s substance of property or you expect that you succeed to obligation, you may proceed qualified acceptance.

仮に遺産の総額が1億円で、借金が1億2000万円だった場合、限定承認をすればこの2000万円については責任を負わなくてもよいことになる方法です。

The property is \100.000.000.00 and obligation is \120.000.000.00.
If you make qualified acceptance, you can perform whole parent’s obligation at the \100.000.000.00.


つまり、相続によって得た財産の限度で債務を弁済する相続の形です。この限定承認をするためには、相続開始があったことを知ってから3ヶ月以内に、被相続人の住んでいた地域を管轄する家庭裁判所に申立てをします。

The qualified acceptance is inheritance to perform the obligation by obtained property.
The heir effect qualified acceptance to the family court within three months of the time he/she has knowledge that three has been a commencement of inheritance for him/her.


限定承認は、相続人全員の意思が一致していなければなりません。また、ひとたび限定承認の申立てが受理されると、撤回することはできません。

If there are two or more heirs, qualified acceptance may only be made if all members of the joint heirs make qualified acceptance jointly.
The qualified acceptance may not be revoked.


参考I reference.
司法書士アクセスブック
よくわかる相続
日本司法書士会連合会


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・シャリコフはまばたきして、答えた。
「サーカスに行きましょう。それがいちばんいい」ブルガーコフ[犬の心臓より]

相続放棄(仮訳)

相続放棄(仮訳)

The renunciation of inheritance.

マイナスがはるかに多ければ「相続放棄」を

If you succeed to obligation, you may proceed to the renunciation of inheritance.

父親が遺産の総額をはるかに超える額の借金を残して亡くなりました。子にはどのようにしても返済できる額ではありません。この場合、子は相続権そのものを放棄することができます。

Your late father left obligation that exceed the property.

The child can’t perform obligation.

The child may renounce the inheritance.

相続放棄の申し立ては、やはり相続開始があったことを知ってから3ヶ月以内に、父親の住んでいた地域を管轄する家庭裁判所に行います。

The heir effect the renunciation of inheritance to the family court within three months of the time he/she has knowledge that three has been a commencement of inheritance for him/her, and the process must be effected by the heir to the family court having jurisdiction over the heir’s father lived.

もちろん債権者は借金を取り戻したいですから、子に対して返済を請求したいのですが、相続放棄が認められると、子ははじめから相続人とはならなかったとみなされ、債権者は返済を請求できなくなるのです。

Certainly, the creditor want to recover the late father’s loan.

The creditor want to claim repayment of the late father’s loan to the child.

If the family court permit the renunciation of inheritance, the child shall be deemed as not originally having been an heir to the inheritance.shall : しなければならない(しなければならない), するものとする(するものとする)

The creditor may not claim repayment of the late father’s loan to the child.

プラスの財産とマイナスの財産

The property and the obligation.

もともと引き継がなくてもいい債務もある

The heir doesn’t inherit an special obligation from the decedent. 

事例

Case.

亡き父親は知人が就職する際の身元保証人になっていたが、その知人が勤務先に甚大な損害を与え、多額の賠償請求がきた。

Your late father was the acquaintance’s referee when the acquaintance get a job and the acquaintance damaged the one’s company.

The one’s company claimed damages to you.

このような場合、民法では「被相続人の一身に専属したものはこの(相続財産の)限りではない」として、故人でないと果たせない義務、代理のきかない性質の債務は引き継がなくてもいいことになっています。

At the time, the only deceased perform obligation.

The civil code

The heir provided that this shall not the authority shall not apply to rights or duties of the decedent that are purely personal.

参考I reference.

司法書士アクセスブック

よくわかる相続

日本司法書士会連合会

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ぶるぶる (渋柿)

ドイツにおける相続に関する意識・実態

ド イ ツ 浦野由紀子 神戸大学大学院法学研究科 教授より

各国の相続法制に関する調査研究業務報告書
平成26 年10 月公益社団法人 商事法務研究会


第7 章 ドイツにおける相続に関する意識・実態


1 相続に関する意識調査

1 Konstanzer Survey による意識調査

ドイツにおいて、40 歳以上の人を対象とした相続に関する意識調査55からは、以下の傾向が指摘されている。

(1) 相続制度のあり方について

回答者の多数は、非婚カップルの一方が死亡した場合に、婚姻夫婦の一方が死亡した場合と同じように、死亡した伴侶(パートナー)を生存している伴侶が相続することにつき、肯定的である。回答者の家族構成で分類すれば、肯定的に回答した人の割合は、核家族世帯では68%、Stieffamilie ( 回答者かその伴侶のいずれか一方に連れ子がいる家族) では76 % 、Patchwork-Familie(回答者とその伴侶の実子およびいずれかの連れ子がいる家族、または、回答者とその伴侶にそれぞれ連れ子がいる家族)では72%、子のないカップルでは81%となっている。

また、子の相続権に関しては、約3 分の2 の回答者が、「実の(leiblich)」子と継子は均等に相続できるべきだと回答している56。


(2) 家族構成と実際の相続形態―とくにStieffamilie やPatchwork-Familie における相続

核家族世帯や子のない世帯の回答者に比べ、Stieffamilie やPatchwork-Familie の家族構成をもつ回答者には、被相続人の伴侶が相続において優遇されるべきだという考え方を持つ人は明らかに少ない。また、Stieffamilie やPatchwork-Familie の家族構成をもつ回答者は、現在の伴侶との子の相続権については肯定的だったが、伴侶の連れ子の相続権について肯定する回答者は約40%と低い傾向にある。

2 Deutsches Forum für Erbrecht e.V.によるアンケート調査

18 歳以上の人を対象とした、Deutsches Forum für Erbrecht e.V.によるアンケート調査(2007年)57によれば、「親の遺産について子は遺留分請求権を有するべきか」との設問に対する回答は「はい」が82.8%、「いいえ」が14.2%である58。


2 遺言制度等の利用実態に関する調査上述したとおり、ドイツ民法は、遺言や相続契約など、さまざまな死因処分を定めている。しかし、複数の実態調査では、その利用率は必ずしも高くないことが指摘されている。たとえば、Institut Hommerich Forschung によるアンケート調査であるErbrechtliche Vorsorge in Deutschland(2006 年。Deutsche Vereinigung für Erbrecht und Vermögensnachfolge の委託による)では、回答者(1002 人)のうち、遺言書を作成したことがある人は18%、相続契約を締結したことがある人は5%、遺言も相続契約もしたことがない人は74%である。また、Deutsches Forum für Erbrecht e.V.によるアンケート調査(2007 年)59によれば、遺言や相続契約をしてい
る人は、全国平均で25.8%「のみ」であり60、60 歳以上の人でも48.1%「のみ」であるとされている。もっとも、わが国における遺言制度のおおよその利用実態と比較すれば、ドイツにおける遺言制度等の利用率ははるかに高いといえそうである61。
各種の死因処分のうち、夫婦共同遺言はもっともよく選択される傾向にあるようである62。


Institut für Demoskopie Allensbach によるアンケート調査(2012 年実施、回答者1613 人。Postbank の委託による調査)63では、遺言書を作成している人は18%であるが、遺言の半数は、夫婦が互いを単独相続人に指定する旨を定めるいわゆる「ベルリン遺言」である64。また、死因処分を定めている人のうち、5 人に1 人は定期的に遺言内容を見直しており、8 人に1 人(約13%)は遺言を少なくとも一度書き換えたことがあるという。


すみれ
「「ベルリン遺言」て言葉があるんだね。かっこいい。4人に1人は遺言か相続契約ってものをしているんだ。思っていたより少ないな。」

第8 章 ドイツにおける相続制度をめぐる議論状況

1 近年の相続に関する法改正の内容

ドイツでは、「2009 年9 月24 日の相続法及び時効法を改正する法律(Gesetz zur Änderung des Erb- und Verjährungsrechts vom 24.September 2009)」により、相続法が改正されたところである(2010 年1 月1 日施行)。この法改正は、遺留分を漸減させる方向に向かうものであるといえる。


すみれ
「ドイツは改正したんだね。税金もか。」


具体的には、
①遺留分権利者の有する親族法上の地位によって異なっていた遺留分剥奪の要件が統一され、新たに要件が規定された。
②遺留分権利者に対する相続人の支払義務の猶予事由が拡大された。
③遺留分補充請求権の基礎として遺産に加算される生前贈与は、相続開始前10 年以内のものについて贈与額全額が加算されていたところ、改正により、贈与から1 年経過するごとに基礎財産への加算額が10 分の1 ずつ減額されることになった。
④被相続人の介護をした直系卑属が相続分の調整(寄与分)を請求するには、自己の職業上の収入を放棄して介護したことが要件とされていたが、この要件が不要とされた。

また、2008 年には相続税及び贈与税法が改正された65。居住の保護という観点から重要と思われる改正内容は2 点ある。第一に、基礎控除額が、配偶者について500000 ユーロ(改正前は307000ユーロ)、子について400000 ユーロ(改正前は205000 ユーロ)に引き上げられた(ErbStG§16)。


第二に、被相続人自身が居住していた住宅(家族の住宅:Familienheim)を被相続人の生存配偶者または子が取得し、取得後10 年間居住する場合は、当該住宅は非課税財産とされた(ErbStG§13Abs.1.Nr.4b)。これは、不動産価格が高騰している地域でも、被相続人の近親者が相続税の支払のために「家族の住宅」を手放さなくてもよいようにするためである。


2 法改正に関する議論とヨーロッパ諸国の相続法改正の傾向


2009 年の改正後も、ドイツでは、相続法の改正に関する議論は続いている。遺留分に関しては、その縮減と遺言自由の拡大がなお引き続き提案されている。
また、第68 回ドイツ法曹大会(2010年)66では、相続法の改正に関するさまざまな提案がなされた。具体的には、夫婦共同遺言に関して、その方式を公正証書によることとしたり、相関的処分の拘束力について、要件を厳格化すべきことが提案されているほか、法定相続制度に関して、被相続人とその配偶者の婚姻中の夫婦財産制の内容とは無関係に(§1371 による付加利得の一括調整をやめて)、生存配偶者の法定相続分そのものを引き上げるべきこと(直系卑属とともに配偶者が法定相続人となる場合は、配偶者の法定相続分を2 分の1 とすべきこと)が提案されている。
後者は、従来から提案されていたものである67。その理由としては、相続時の付加利得の一括調整について、実際の付加利得を適正に清算できているかが明らかでなく、付加利得共通制の理念(婚姻中に夫婦が実際に取得した財産を平等に分配すること)に反している等の問題点があること、及び、配偶者は遺産に対する取り分(法定相続分)に関して、血族より劣位に置かれるべきではないと考えられるようになっていることが挙げられる。

かつて、相続は「次世代への遺産承継」であり、「家族」内に遺産をとどめなければならないものと考えられていた。しかし、今日では、そのような「家族」よりも夫婦関係がより重要な意味をもつようになっている。配偶者は、通常、被相続人の死亡時に被相続人と世帯を営み、生計をともにしていた唯一の人である。他方、子は、(親からの経済的援助をもとに)すでに独り立ちしているので、被相続人の生存配偶者が死亡するまで、被相続人の遺産の取得を待つことができる状態にある68。そのため、今日では、被相続人は、遺産をまず生存配偶者に取得させてその生活を保障し、生存配偶者も死亡した後に子や他の血族に遺産が帰属すべきことを望む傾向があるという69。このような傾向を受けて、ヨーロッパ諸国における近時の相続法改正には、「配偶者相続権の強化」という傾向70が顕著にみられる。ヨーロッパ諸国のこのような動向からは、法定相続分に関するドイツの現行法の規定(§1931Abs.1)は、孤立した状態にあるといえる。

すみれ
「ヨーロッパでは孤立した状態なのか。まずは配偶者っていうのがヨーロッパの家族の意識なんだね。その後に子供。配偶者にあげておいたら子供もみてくれるだろうし。」

〈注〉
・本報告書の執筆にあたり、主として、Leipold,Erbrecht,20.Aufl.2014 を参考にした。
・脚注に引用したウェブサイトへのアクセス日は、2014 年10 月16 日である。

54 なお、注30 にも示したように、「非訟事件の領域における任務の公証人への移管のための法律」(2013 年9 月1 日施行)により、遺産分割の仲介についての管轄は、公証人に移管されている(GVG§23aAbs.3,FamFG§344Abs.4a)。また、管轄について異なる定めを置く州法もある。Leipold,Erbrecht,Rn.10.


55 Frank Lettke, Subjektive Bedeutungen des Erbens und Vererbens.Ergebnisse des Konstanzer Erbschafts-Surveys,Zeitschrift für Soziologie der Erziehung und Sozialisation,S.277ff., Frank Lettke, Vererbungsmuster in unterschiedlichen Familienformen, in: Deutsche Gesellschaft für Soziologie,Soziale Ungleichheit,kulturelle Unterchiede. Verhanldunge des 32.Kongresses der Deutschen Gesellschaft für Soziologie in München 2004, 3831ff., Frank
Lettke, Vererbungsabsichten in unterschiedlichen Familienformen. Ein Beitrag zur Institutionalisierung generationaler Kontinuität, in: Lettke, Frank/Lange, Andreas, Generationen und Familien. Analysen-Konzepte-gesellschaftliches
Spannungsfelder, 2007, 96ff.


56 このように回答した人の割合は、核家族世帯の回答者では57%、Stieffamilie では65%、Patchwork-Familie では62%、子のないカップルでは59%である。


57 (http://www.erbrechtsforum.de/presse/07/Presse_07_09_25_01.pdf


58 「はい」の回答は、州別ではバーデン・ヴュルテンベルクが88.2%で最も多く、ベルリンが76.9%で最も少ない。


59 (http://www.erbrechtsforum.de/presse/07/Presse_07_09_25_01.pdf


60 性別では男性27%、女性24.6%、地域別では旧西ドイツ地域27.4%、旧東ドイツ地域19.2%、州別ではノルトライン・ヴェストファーレンが32.4%で最も高く、テューリンゲンとザクセンが17%で最も低かったという。また、回答者の教育水準や月収の多寡による違いは有意にはなかったとされている。


61 わが国では同種のアンケート調査報告はないので、単純に比較はできないが、たとえば、2011 年10 月2 日付の日本経済新聞によれば、2010 年の公正証書遺言の作成件数は8 万1984 件、遺言書の検認申立て件数は1 万4996 件である。そうすると、仮に公正証書遺言の効力発生件数が、年間作成件数と同程度だとすれば、わが国の遺言の利用者(合計9 万6980 件)は、年間死亡者(約120 万人)の約8%ということになる。


62 遺言をする夫婦の80%は、夫婦共同遺言のうち、いわゆるベルリン遺言をするとの報道記事も散見される(ただし、ソースは不明である)。たとえば、http://www.focus.de/finanzen/steuern/tid-25974/erbschaftsteuer-vermoegen-retten- derletzte-wille_aid_760774.html


63 https://www.postbank.de/postbank/pr_presseinformation_2012_05_31.html


64 共同遺言はBGB 立法時の頃からすでにドイツで広く用いられていた方式であるが、BGB 制定後、今日に至るまで、その傾向は変わっていないようである。Leipold,Wandlungen in den Grundlagen des Erbrechts?,AcP180(1980),S.200f.


65 改正前と改正後の条文は、http://www.dnoti.de/DOC/2008/2008_Erbschaftsteuerrecht.pdf などで比較できる。


66 Verhandlungen des 68.Deutschen Juristentages Berlin 2010,Bd.I Teil A, Bd.II1 Teil L,Bd. II 2 TeilL.

67 Lange/Kuchinke, S.31(Fußn.88,89).具体的には、本文中に示したように、配偶者が被相続人の直系卑属とともに相続する場合はその相続分を2 分の1 とし、被相続人の親と相続する場合はその相続分を4 分の3 とすべきことが提案されている。


68 http://www.mpipriv.de/de/pub/forschung/methodenlehre/ueberlebender_ehegatte_.cfm


69 Henrich/Schwab,Familienerbrecht und Testierfreiheit im europäischen Vergleich,2001,S. 327f.


70 Henrich/Schwab,S.327f. このような傾向が特に顕著なのがオランダ法である。オランダ法では、従来より生存配偶者は子とともに第一順位の法定相続人であったところ(Art.4:10)、2003 年の法改正により、生存配偶者がすべての遺産を取得し(遺産債務も負担し)、子は、遺産についての自己の相続分に相当する額の金銭債権を、生存配偶者に対して有することとなった(Art.4:13)。この金銭債権は、生存配偶者の破産時、死亡時、及び被相続人によって遺言で定められた期限の到来時に、履行期が到来する。遺産に関する生存配偶者の処分権に制限はない。生存配偶者は、再婚する場合は、子の請求により、子の金銭債権の保全のために、遺産の客体のうち、債権額に相当する価値のあるものを譲渡しなければならない。この場合に、生存配偶者は当該遺産の用益権を保持する。また、生存配偶者は、家財道具を含め、被相続人の死亡時に同居していた住居について、6 か月間の利用権を有し、この間、受遺者等は住居を処分することができない(Art.4:29)。Shimansky, Die Reform desniederländischen Erbrechts,ZEV2003,149ff. その他、ベルギー法では、生存配偶者は子と相続する場合に取得するのは、遺産の4 分の1 についての用益権であったが、1981 年の法改正により、遺産全部についての用益権に拡張された。

PAGE TOP