2021年6月4日内閣官房IT総合戦略本部「行政サービス・データ連携モデル(全体編)(β版)」

行政サービス・データ連携モデル
標準ガイドライン群ID:1016

行政サービス・データ連携モデル(全体編)(β版)

2021年6月4日内閣官房IT総合戦略本部

https://cio.go.jp/guides

〔キーワード〕 個人、法人、基本情報、決算情報、財務情報、申請、届出、報告、連絡、通知証明、事例、行政サービス、制度、行政サービス拠点、支援機関、事例、イベント、報告書、会議資料、サービスカタログ、調達、デジタル手続法、ワンスオンリー、ベース・レジストリ   〔概要〕 行政機関で個人や法人に関するマスターデータや各種手続に関するシステムを作るときに参照すべき実践的データ連携モデルの全体編。このガイドに従いデータ設計を行うことで、ワンスオンリー、ワンストップ、ベース・レジストリの活用等、他機関とのデータ交換が容易かつ正確に行えるようになり、データ設計に関するコストも削減することができる。

目次

2021年6月2日. 1

1 はじめに. 4

1.1 背景. 4

1.2 全体像. 4

1) 個人データの活用場面とサービス分類. 5

2) 法人データの活用場面とサービス分類. 6

3) その他のデータ. 7

4) サービスイメージと体系. 7

5) データの基本構造. 12

6) データの入力から再利用までの流れ. 13

7) ワンスオンリーの実現. 14

8) ワンストップの実現. 14

9) ベース・レジストリとの連携. 14

1.3 導入方式. 15

1) 新規にシステムを開発する場合. 16

2) 既にシステムを保有している場合. 17

1.4 データやデータ項目名の表記に関する留意点. 17

2 基本データ. 18

2.1 文字. 18

1) 漢字. 18

2) ヨミガナ. 18

3) ローマ字. 18

4) 数字. 18

2.2 日付時刻. 19

1) 日付. 19

2) 時刻. 19

3) 日時. 19

4) 利用可能日. 19

5) 時期. 20

6) 日時備考. 20

2.3 所在地(住所). 20

1) 住所都道府県、住所町名、住所丁目以下. 20

2) 建物名等(方書). 20

3) 郵便番号. 20

2.4 電話番号. 21

3 基本ブロック. 22

3.1 個人基本情報(3情報). 22

3.2 連絡先(個人). 23

3.3 法人基本情報(3情報). 23

3.4 事業所情報. 23

3.5 連絡先(法人). 24

3.6 宛先、申請元、発行元. 24

3.7 表題等の概要. 25

4 留意事項. 26

4.1 氏名、法人名の漢字表記の扱い. 26

4.2 氏名、法人名のヨミガナの扱い. 26

4.3 本社住所の扱い. 26

4.4 外字の扱い. 26

4.5 申請者などによる押印の扱い. 27

4.6 公印の扱い. 27

1 はじめに

1.1 背景

行政機関では多くのデータを管理していますが、そのデータは独自の形式である場合が多く、データの再利用が困難であったり、外部とのデータ連携においても大きな障害になっていたりします。また、データ形式が標準化されていないと、データ連携ができないだけでなく、データの整形に多くのリソースを割くことになり、分析にも支障をきたします。AIやビッグデータの活用が注目されていますが、そのインプットとなるデータが十分に整備されていなければ、目的の結果にたどり着くのが困難になります。

欧州や米国では、行政データの標準化を進めることで、社会全体のデータ標準化につながっていくものと考え、欧州委員会(EC)は、各国の個人、法人、場所情報等が活用できるようにSEMIC[1]という行政データ標準化のプロジェクトを推進しています。米国では同様にNIEM[2]というプロジェクトが進められています。

行政においては、これまでEDINET[3]を通じて上場企業に対してデータの標準化を推進し、法人番号制度の開始と同時に開始した法人情報を収集、公開するgBizINFO[4]は、政府の推進するデータのフレームワークである共通語彙基盤[5]に準拠して開発されています。

デジタル手続法が制定されたこともあり、今後はワンスオンリー、ワンストップの実現が求められてきます。また、社会の基本データとしてのベース・レジストリの整備も進められており、個人、法人、土地の基本データだけでなく、申請情報、資格情報等の社会活動に関連したデータ全体の標準化も必要となっています。

データの標準化は、個人や法人が活動しやすい社会環境を実現するために必須の要素であり、早急な環境整備と普及が望まれています。

1.2 全体像

個人や法人が活動しやすい社会環境を考える上で、行政機関と社会の間で交換される情報を明確化し体系を整理していきます。

1)個人データの活用場面とサービス分類

個人に関するデータは、例えば下記のような場面において活用されます。

  • 転居、妊娠や出産などの申請について知りたい
  • 利用できるイベントや施設について知りたい
  • 利用できる支援制度の情報が欲しい
  • 相談に行く先が知りたい

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私が知っている現在の民間サービス

株式会社グラファー

・転出届、税証明書等の各種行政手続きのオンライン化。自治体向け。

https://graffer.jp

Civichat

・助成金以外の奨学金・給付金・支援金などの情報提供と申請代行をLINEで受取る。申請代行報酬は給付額の15%。個人向け。

https://civichat.jp/

特定非営利活動法人自立生活サポートセンター・もやい

2021.05.28生活保護申請書作成システム PASSリリース

全国の生活保護申請窓口に提出することが出来る書式をオンラインで提供。スマートフォンで作成し、コンビニで印刷することが出来る。

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このような各場面で利用者が情報を探すためには、各組織からデータを独自の形式で提供するのではなく、比較検討しやすくするために一定の規約に沿った形式でのデータ提供が必要となります。

個人の活動を支えるデータとしては以下のようなものが挙げられます。

・個人基本データ

氏名、住所、世帯等の基本情報

・申請データ

補助金、届出等の各種手続の情報

・証明書データ

許認可、証明書、通知等の情報

・行政サービス・データ

支援制度、行政サービス案内等の情報

・事例データ

事例集等の事例の情報

・イベントデータ

展示会やセミナー等のイベントの情報

・行政サービス拠点・支援機関等データ

学校、税務署、保健所等の支援機関の情報

・報告書・会議資料等データ

調査報告書、レポート等の報告書の情報

また、行政サービスの分類体系でありメニュー体系であるサービスカタログが必要になります。サービスカタログとは、デパートでの「食品」「紳士服」「生活雑貨」のように、行政サービスを整理するときの分類の標準モデルです。欧州では各国横断で行政サービスを検索可能とするように、サービスカタログの開発が積極的に行われています。

2)法人データの活用場面とサービス分類

企業はライフサイクルの段階に応じて、様々な情報を必要とします。

例えば新しい事業を始めるなら、以下のような情報を集めるでしょう。

  • 事業のヒントを得るためのイベント情報や事例情報、報告書情報
  • 競合他社や協力企業の候補
  • 事業の立ち上げにかかわる手続に関する情報
  • 事業の立ち上げにかかわる支援情報
  • 相談窓口

また、既存事業を拡大若しくは効率化したいと考える企業も同じような情報を集めるでしょう。

  • 事業の着想を得るためのイベントや事例、報告書情報等
  • 競合他社や協力企業の候補
  • 既存事業の拡大に関する支援情報
  • 相談窓口

事業を承継、清算したい企業は、それに関連する以下のような情報を集めるでしょう。

  • 譲渡先候補
  • 事業承継、清算にかかわる支援情報
  • 相談窓口

こうした情報につながる、法人の活動を支えるデータには以下のようなものがあります。

・法人基本データ

法人名、本社所在地等の基本情報

・申請データ

補助金、届出等の各種申請の情報

・財務データ

会計年度ごとの決算の情報

・証明書データ

許認可、証明書、通知、表彰等の情報

・行政サービス・データ

支援制度、行政サービス案内等の情報

・事例データ

事例集等の事例の情報

・イベントデータ

展示会やセミナー等のイベントの情報

・報告書・会議資料等データ

調査報告書、レポート等の報告書の情報

・行政サービス拠点・支援機関等データ

税務署、商工会議所等の支援機関の情報

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・財務データ「会計年度ごとの決算の情報」は全ての法人で公開するという方針なのでしょうか。

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法人にも、業務の各場面で利用者が情報を探すために、「設備投資」「販路拡大」「雇用・人材」のように、行政サービスを整理するときの分類体系でありメニュー体系であるサービスカタログが必要になります。

3)その他のデータ

個人や法人に関する情報ではありませんが、行政機関の重要な活動として調達があります。調達データの標準は、「行政サービス・データ連携モデル 解説」(標準ガイドライン群ID:1016(2019年(平成31年)3月28日))として公表していましたが、本ガイドの改定に合わせ調達標準も本ガイドに含むこととします。

4)サービスイメージと体系

本データモデルを適用した場合の個人や法人の活動と行政内の活動のイメージは以下の通りです。

図 1 個人の活動のイメージ

図 2 法人の活動のイメージ

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情報を探しに行く、検索するのではなくて、情報が入ってくるという図になっています。

どのようなタイミングで情報を送るのか、仕組みが気になります。

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このサービスを実現するため、本データモデルは、以下のデータモデル体系で構成します。

図 3 データモデルの全体像

この全体像を効率的に実現するために、共通語彙基盤という政府で推進するデータ連携のための体系をもとに構造化したデータモデルを考えています。

例えば、連絡先を1つのデータ項目で自由記述にしていると、連絡先一覧を作成するようなデータの再利用が難しくなります。部署名、住所、メール等を別々のデータ項目にして、ブロックのように組み合わせることでデータの活用が容易になり、目的に応じた並べ替えや精度の高い検索ができるようになります。

具体的には以下のようにブロックを組み合わせるイメージです。様々な申請・届出データも、あらかじめ準備された基本部品を組み合わせてデータモデルを作っていくことができます。

図 4 データブロックの組み合わせによるデータモデルイメージ

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サービスカタログモデルを採用する場合、スマートフォンでは縦表示でスクロールする形になると思いますが、見づらいと思います。パソコン、大きめの画面サイズのタブレットが必要になってくるんじゃないかなと思います。

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一方、型化されたデータモデルは目的に合わないデータ項目が多くて使いにくいことや、独自データ項目を付け加えたい場合があります。

そこで、実際に導入する際には、目的に合わせて、データモデルをそのまま使ったり、必要な項目だけ部分的に利用(サブセット化)したり、独自ブロックや項目を追加(エクステンション)する等のカスタマイズをすることも可能です。

図 5 データモデルの部分利用や項目追加等のカスタマイズイメージ

カスタマイズで独自のデータ項目を付加した場合には、そのデータ項目は他組織では扱えない可能性があります。データ連携を検討する際には独自のデータ項目を定義している旨、情報提供することが重要です。

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絶対に関係のない情報以外は、切り捨てるのが難しそうです。スマートフォンのアプリのように、必要に応じてではなく、画面の大きさに合わせることになるような気がします。

5)データの基本構造

個人に関する情報は、住所などを示す基本情報、法人に関する情報は、法人そのものを表す法人基本情報、それに付随する財務情報が基本となります。

関連情報は類型化することが可能で、「申請・証明系」「ドキュメント系」「施設・イベント系」に分類することができます。

申請、証明系

申請や証明等のデータは、宛先に続き、申請内容や証明事項等の内容のブロックがあり、その後に連絡先と発行者情報のブロックが付く場合が多いです。また、各ブロックの中に個人や法人の情報を含む構造になっています。

ドキュメント系

制度や事例などのドキュメントは、表題等の概要の後に内容が続き、法人情報を含む連絡先のブロックで構成されることが多いです。

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どちらかというと、登記申請や裁判手続きはドキュメント系に入りそうです。

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施設・イベント系

施設やイベントも、表題等の概要の後に内容が続き、法人情報を含む連絡先のブロックで構成される場合が多いです。

6)データの入力から再利用までの流れ

申請書で入力した内容が、行政手続や内部分析で再利用され、証明書等でさらにデータが再利用される仕組みを目指します。

さらに、公開可能データは、データカタログサイト等で公開をしていきます。

図6 データのライフサイクル

7)ワンスオンリーの実現

ワンスオンリーサービスの実現のため、既に登録されている情報があれば、そのデータの活用を検討する必要があります。特に、ベース・レジストリが整備されている分野では、ベース・レジストリのデータを使うことが求められます。

ただし、再利用対象のデータの正確性や最新性に問題があったり、データの取得が困難であったり等の理由で再利用できない場合、クレンジングしたデータを活用する等、別途対応が必要になります。

8)ワンストップの実現

複数の申請先に提出する必要のある申請をワンストップで行うためには、受付組織から他組織への照会、転送、確認等の処理が必要になります。各機関が独自のデータ形式で照会や転送等を行うと、受け取った側でデータ形式の変換が必要になるため、確認元、確認先の双方の負担になります。また、自動照合等の機械的処理の妨げにもなります。

このような組織間の申請情報や証明情報の連携や交換を円滑に実施できるように標準的なデータモデルを使っていくことが重要になります。

9)ベース・レジストリとの連携

今後、行政機関でベース・レジストリの整備が進んでいきます。ベース・レジストリのデータの基になるのが申請や届出のデータです。

一度登録されたデータは2回目以降の手続では入力不要になるワンスオンリーにより、ベース・レジストリに登録された情報が自動的に申請に転記されます。また、証明データは申請内容との照合が行われます。

ワンスオンリーの実現のために、ベース・レジストリの提供者は、本データモデルに沿ってベース・レジストリを整備するか、本データモデルに合わせたインタフェースを整備することが重要になります。ベース・レジストリ利用者に利便性を提供するのはもちろんのこと、ベース・レジストリ提供者にとっても、データ管理が効率的にすることができます。

また、既存のデータベース等、本データモデルを採用していないベース・レジストリと連携する場合には、コンバータを介してデータ形式を連携可能な形式に変換する場合もあります。

図 7 ベース・レジストリ活用の例

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コンバータ・・・データの変換器。

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1.3 導入方式

データの設計は、以下の流れになります。

図 8 導入の流れ

1.ニーズ分析

何の目的で、何のためにデータが必要かを精査する。

2.現状データ分析

複数部門の類似データを比較したり、既存データが目的に対して妥当かを確認したりする。

3.テンプレートと比較

本ガイドが提供するデータモデルと比較することでデータの過不足を確認する。役職と氏名を1つのデータ項目にしている等の再利用が困難なデータ項目は、役職と氏名を別のデータ項目に分割することを検討する。

4.不要データの削除、不足データの追加

データ項目の過不足の評価を踏まえ、必要なデータ項目を追加し、不要なデータ項目を削除する。

5.新データモデルで実装

データ定義書を作り、システムを実装する。

1)新規にシステムを開発する場合

新規にシステムを設計する場合には、本ガイドのデータモデルをベースに考えていくことで効率的かつ拡張性、メンテナンス性が高くシステム連携が容易なシステムを構築していくことができます。

図 9 新規システム構築時のイメージ

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私のイメージは、現在利用している民間ベンダーの登記申請ソフトです。

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入力、出力含め、システム全体をデータモデルに沿って構築します。独自データを持つ外部システムと連携する場合には、接続先にデータモデルに沿った形式でのデータの提供を求めますが、自システム若しくは接続先のインタフェース部分の前処理として、データ形式の変換を行うようにし、連携に影響のない仕組みにする必要があります。

メリット

・設計済みのデータモデルを利用するため、データ設計コストを抑えられる

・データモデルによりインタフェースが標準化されるため他のサービスと連携しやすい

・データがモジュール化、標準化されるため、メンテナンス性が高い

・将来のデータ移行も容易である

デメリット

・なし

ただし、超高速処理が必要なシステム等においては、日付の年月を省略し日情報だけで管理する等、システムの目的によっては標準ではないデータを使う場合もある(その場合には、外部との連携処理をする場合にデータを年月日にする等の変換処理をインタフェース部で行う)。

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デメリットがないシステムいうのは初めて聞きました。

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2)既にシステムを保有している場合

既にシステムがあり、独自データ項目で運用している場合、現在のシステムのデータを本データモデルのデータ形式に置き換えるのはコスト的にも業務的にも負担が大きくなります。現在のシステムの持つインタフェースの外側にデータ形式を変換するインタフェースを整備し、データ形式を整えてシステム連携できるようにしておき、内部システムの標準化はシステム更改等のタイミングで実施するなど中長期で検討を行う必要があります。

図10 既存のシステムへの適用イメージ

メリット

・既存システム自体には手を加えないため、コストや業務面の負担が抑えられる

・インタフェースを介して、連携先に合ったデータ形式に変換されるため他のサービスと連携しやすい

デメリット

・データ形式を変換するインタフェースの整備にコストがかかる

1.4 データやデータ項目名の表記に関する留意点

本ガイドでは、システム連携のためのデータモデルを示しています。画面や帳票等ではデータ形式を変換して表示することがあります。

例えば、日付データはシステムには「2019-04-01」で格納し、入出力画面や帳票上では「2019年4月1日」に変換して表示する等、様式や手続等の要件に応じて対応します。

データ項目名も必要に応じて異なる表示をすることがあります。例えば、データ項目名としては「氏名」がよく使われますが、入出力画面や帳票等では「お名前」と表示するなどです。

2 基本データ

システムで各種データを扱う前に、文字、日付時刻、住所等の基本データの定義が必要になります。基本的には、文字環境導入実践ガイドブック、行政基本情報データ連携モデル[6]を基にした表記にすることで、様々なシステムとの相互運用性を確保することとなります。

2.1 文字

データモデルで使用する文字は、システム間の連携を容易にするため文字環境導入実践ガイドブック[7]に準拠することが重要です。

1)漢字

一般的な情報機器で使用できるJIS X 0213(いわゆるJIS第4水準)の範囲内を使用します。この範囲外の外字については、文字情報技術促進協議会が提供する文字情報基盤縮退マップ[8]で、JIS X 0213の文字に縮退した文字を使います。可読性を高めるために、文字をさらに限定して教員免状のように常用漢字を使用する場合もあります。その場合はその行政手続の規則に従います。

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MJ縮退マップ(文字情報基盤縮退マップ)

氏名、法人名や地名にはヨミガナを付与します。

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(一社)金融財政事情研究会

氏名の読み仮名の法制化に関する研究会

https://www.kinzai.or.jp/legalization_kana.html

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3)ローマ字

氏名、法人名や地名をローマ字表記する場合は、基本的にヘボン式ローマ字を使用します。ただし、従前から慣用的に使われているローマ字などはそのまま使用する場合があります。

4)数字

数字は基本的に半角数字を使います。

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登記記録の表記も半角数字になると考えていた方が良いと思います。

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2.2 日付時刻

1)日付

西暦年と月日とします。半角の数字とハイフンのデータとします。曜日はコンピュータが持つカレンダーデータから自動取得できるため省略します。

例: 2019-04-01

画面への表示、印刷で他の形式にしたい場合にはデータを変換して表示、印字します。また曜日を記載したい場合には、データをカレンダーから呼出し、(水)のように日付の後に表示します。

例: 2019年4月1日(月)

期間を表現する場合には1つのデータ項目に「2019-04-01から2019-04-08まで」とするのではなく、開始日「2019-04-01」終了日「2019-04-08」とデータ項目を分けて管理します。

2) 時刻

時刻は24時間表記のデータとします。行政データ連携標準を基本とし、半角数字と半角コロンのデータとします。

例: 13:00

時刻に期間がある場合には、日付同様に開始時間「13:00」、終了時間「16:00」とデータ項目を分けて記入します。

3) 日時

コンピュータ処理の中で日付と時刻を1つのデータ項目で扱う場合があります。その場合には、ISOの標準に従い「T」をセパレータとして接続した表記を行います。

例: 2019-06-01T10:00

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和暦は出力側で変換することになるのでしょうね。

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4) 利用可能日

施設、イベント等では利用可能日を使用します。国際的に、利用可能日を情報提供するのが主流であり、利用日検索の効率化を図るため、休館日等の利用不可日のデータ項目は使わないようにします。

例: 月火木金土日

5) 時期

時期が未定の場合は、該当しそうな月を前広に扱います。例えば桜まつりの場合は、3月、4月が該当するので「3,4」と記入します。季節や旬を表現したい場合には、「行政データ連携モデル(日付及び時刻)」[9]を参照してください。

6) 日時備考

「金曜日は終了時間が変更」のような特記事項がある場合には、日時備考の項目を設けます。

2.3 所在地(住所)

個人や法人が存在する建物の位置を示すのに「所在地」と「住所」がデータ項目名として使用されますが、所在地は「東京」等のエリアを示す場合があり定義が明確でないため、行政データにおいては「住所」をデータ項目名として使用します。行政データ連携標準(住所)[10]の「3個のデータ項目で管理する場合に準拠します。

1) 住所都道府県、住所町名、住所丁目以下

住所は、制度上は町名と丁目が一体ですが、丁目以下は漢数字や半角数字などが混在するため、町名までの住所と丁目以下の住所に分割し別々のデータ項目にします。「住所都道府県」は記入又は選択肢で入力し、「住所町名」では郡・市区町村から記入し、丁目以降は省略します。また「住所丁目以下」では半角数字ハイフンつなぎで表記します。

例: 住所   「東京都」「千代田区霞が関」「3-3-1」

ただし、入力時に都道府県を選択した上で市区町村を入力するなどの方法や市区町村コードを利用するなどの工夫は自由にできます。

2) 建物名等(方書)

ビル名等は上記項目とは別途「建物名等」のデータの項目を作り管理します。

例: 建物名等   〇〇ビル9階

3) 郵便番号

郵便番号は、7桁のデータとします。ハイフンは省略します。表示や印字する時には頭に〒を付加して表示します。

例: 郵便番号 1000013

2.4 電話番号

半角で、省略可能な市外局番に()をつけ、その後の番号はハイフン接続のデータとします。内線、代表等は、電話番号のデータに連続して記入するのではなく、電話番号とは別のデータ項目として管理します。

例: (03)3501-****

3 基本ブロック

基本情報を組み合わせて定型的に使う基本ブロックの例を示します。

法人情報の基本ブロックは以下の通りになります。

図11 情報の基本ブロック

「氏名」が「氏」と「名」と分離するなどデータ項目は従来に比べて増加していますが、登録済み情報を自動入力したり、審査を自動化したりするための工夫が図られています。

こうすることで、利用者、行政機関の双方の利便性が増し、業務を効率化します。

3.1 個人基本情報(3情報)

個人番号個人に割り当てられた一意の番号(12桁)
個人の氏
個人の名
氏(カナ)個人の氏のカナ表記
名(カナ)個人の名のカナ表記
氏(英字)個人の氏の英字表記
名(英字)個人の名の英字表記
住所都道府県個人の住所の表記(都道府県)
住所町名個人の住所の表記(郡・市区町村から記入し、丁目以下省略)
住所丁目以下個人の住所の表記(丁目以下を半角数字とハイフンで記入)
建物名等個人の住所に建物名等の情報がある場合に使用

3.2 連絡先(個人)

役割代理の場合の、委任先、保護者等の関係性
個人の氏
個人の名
氏(カナ)個人の氏のカナ表記
名(カナ)個人の名のカナ表記
電話番号個人の電話番号(市外局番にカッコをつけ、以降の番号はハイフンで接続。半角)
メールアドレス連絡先のメールアドレス
住所都道府県個人の住所の表記(都道府県)
住所町名個人の住所の表記(郡・市区町村から記入し、丁目以下省略)
住所丁目以下個人の住所の表記(丁目以下を半角数字とハイフンで記入)
建物名等個人の住所に建物名等の情報がある場合に使用
郵便番号個人の住所の郵便番号(ハイフンなしの7桁(半角))

3.3 法人基本情報(3情報)

法人番号法人に割り当てられた一意の番号(13桁)
商号又は名称法人の商号又は名称
商号又は名称(カナ)法人の商号又は名称のカナ表記。 株式会社、一般社団法人等の組織種別のカナは省略
商号又は名称(英字)法人の商号又は名称の英字表記
登記住所都道府県法人登記の所在地の表記(都道府県)
登記住所町名法人登記の所在地の表記(郡・市区町村から記入し、丁目以下省略)
登記住所丁目以下法人登記の所在地の表記(丁目以下を半角数字とハイフンで記入)
登記建物名等法人登記の所在地に建物名等の情報がある場合に使用

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登記住所都道府県、登記住所町名、登記住所丁目以下、登記建物名等は、直接業務に関係があります。

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 事業所情報

事業所名法人に関する、支店などの名称。本社の場合は、本社とする
事業所住所都道府県法人に関連する、支店などの住所の表記(都道府県)
事業所住所町名法人に関連する、支店などの住所の表記(郡・市区町村から記入し、丁目以下省略)
事業所住所丁目以下法人に関連する、支店などの住所の表記(丁目以下を半角数字とハイフンで記入)
事業所建物名等法人に関連する、支店などの建物名
事業所郵便番号法人に関連する、支店などの郵便番号(ハイフンなしの7桁(半角))

3.4 連絡先(法人)

役割連絡先の役割
担当部署担当部署名
担当者役職担当者の役職
担当者名の氏担当者の氏
担当者名の名担当者の名
担当者名の氏(カナ)担当者の氏のカナ表記
担当者名の名(カナ)担当者の名のカナ表記
電話番号担当部署の電話番号(市外局番にカッコをつけ、以降の番号はハイフンで接続。半角)
内線担当部署の電話番号の内線番号 電話番号に「直通」「代表」と記載したい場合は、この欄に記入
メールアドレス連絡先のメールアドレス
住所都道府県連絡先の住所の表記(都道府県)
住所町名連絡先の住所の表記(郡・市区町村から記入し、丁目以下省略)
住所丁目以下連絡先の住所の表記(丁目以下は半角数字とハイフンで記入)
建物名等連絡先の住所に建物名等の情報がある場合に使用
郵便番号連絡先の郵便番号(ハイフンなしの7桁(半角))
Webフォーム連絡先のWebフォームURL

3.5 宛先、申請元、発行元

商号又は名称法人の商号又は名称
商号又は名称(カナ)法人の商号又は名称のカナ表記 株式会社、一般社団法人等の組織種別のカナは省略
商号又は名称(英字)法人の商号又は名称の英字表記
事業所名法人に関する、支店などの名称。本社の場合は、本社とする
事業所住所都道府県法人に関連する、支店などの住所の表記(都道府県)
事業所住所町名法人に関連する、支店などの住所の表記(郡・市区町村から記入し、丁目以下省略)
事業所住所丁目以下法人に関連する、支店などの住所の表記(丁目以下を半角数字とハイフンで記入)
事業所建物名等法人に関連する、支店などの建物名
事業所郵便番号法人に関連する、支店などの郵便番号(ハイフンなしの7桁(半角))
担当者部署担当者の部署名
担当者役職担当者の役職
担当者名の氏担当者の氏
担当者名の名担当者の名

3.6 表題等の概要

タイトルタイトル
サブタイトルサブタイトル
概要概要(70文字以内)
最終更新日最終更新日(西暦年月日とし、半角数字をハイフンでつなぐ)
産業分類産業分類大分類、可能な場合は中分類

留意事項

4.1 氏名、法人名の漢字表記の扱い

氏名、法人名は、一般の情報機器では扱うことができないJIS X 0213で定められた範囲外の文字(いわゆる外字)で戸籍や登記に登録されていることがあります。政府に登録された正規の表記ですが、既に社会保障・税番号制度の導入に伴い、マイナンバーカードに個人氏名の代替文字が導入され、法人番号公表サイトで法人名の代替文字が提供されています。また、マイナンバーカードには券面入力補助アプリにも代替文字が記録されています。従来の手続と同等の利便性を確保するために、行政サービスや他システム連携データでは、氏名、法人名に代替文字が活用されることがあります。

戸籍や商業登記に基づき登録された文字が法令等に基づき必要な場合には、データ項目に一般の手続に使われる「氏名」の項目と別項目の「戸籍氏名」を設け、商業登記名が必要なときには「法人名」と別項目の「登記名」を設けることで円滑な連携ができるようにするなどの工夫が必要です。

4.2 氏名、法人名のヨミガナの扱い

氏名や法人名については、法的にはヨミガナが存在しません。しかし、名簿等でのデータのソートは名称の五十音順に行われることが多く、ヨミガナがないと、データのソートや検索に不都合が生じます。

よって、手続では、固有名詞のデータにヨミガナを付与することを基本とします。ヨミガナを付与することでローマ字表記化することも容易になります。

4.3 本社住所の扱い

本社住所は、商業登記した住所が正式なものです。一方で、変更登記が行われていない法人も多く、住居表示変更等も反映されていない場合もあります。

ワンスオンリー実現の観点から、商業登記した住所を、その後の申請などで使うことが求められていますが、正確な連絡先として使用できない場合があるため、「登記住所」というデータ項目とは別に事業所名「本社」事業所住所「本社住所」と記録できるようにするなどの工夫が必要です。登記変更を促すため申請のデータ項目に追加することで、「登記住所」と「本社住所」が異なる場合に注意を促す運用も可能になります。

4.4 外字の扱い

氏名、法人名、地名等で外字の表示が必須である場合には、コンピュータで処理するデータ項目以外に、外字をイメージで保有する場合があります。その場合にも、データ項目は、JIS X 0213の範囲で運用することが望ましいです。範囲外の文字を使う場合には、連携システムや再利用時の影響評価を実施した上で判断する必要があります。

4.5 申請者などによる押印の扱い

規制改革推進会議が整理した押印手続の見直しの方針[11]に基づき、押印の必要性を見直します。またデータの真正性証明は、データの場合は電子証明書、サーバーに保存している情報を参照する場合には認証などでのアクセスコントロールで行うことができます。

4.6 公印の扱い

公印に法的な拘束力はありませんが、多くの書類に押印されてきました。書面に印影イメージや「公印省略」を印刷する場合がありますが、証明としての効力は有しないため省略が可能です。BPRの観点から不要な業務プロセスや様式を洗い出し、内部規則などの見直しを図る必要があります。またデータの真正性証明は、データの場合は電子証明書、サーバーに保存している情報を参照する場合には認証などでのアクセスコントロールで行うことができます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「戸籍氏名」、「登記名(商号)」、「登記住所」、は、氏名、会社名、住所の意味が変わったので、新しく出来た用語ですね。


[1] https://joinup.ec.europa.eu/collection/semantic-interoperability-community-semic

[2] https://www.niem.gov/

[3] https://www.fsa.go.jp/search/20130917.html

[4] https://info.gbiz.go.jp/

[5] https://imi.go.jp/goi/

[6] https://cio.go.jp/guides

[7] https://cio.go.jp/guides

[8] https://moji.or.jp/mojikiban/map

[9] https://cio.go.jp/guides

[10] https://cio.go.jp/guides

[11] https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/imprint/i_index.html

令和3年度沖縄県司法書⼠会 不動産登記委員会研修会「民法改正概論(債権・相続)」

令和3年6⽉19⽇

令和3年度沖縄県司法書⼠会 不動産登記委員会 研修会

・条文内の「」は私です。

民法466条から民法469条

(債権の譲渡性)

第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。

2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。

3 前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。

4 前項の規定は、債務者が債務を履行しない場合において、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その債務者については、適用しない。

(譲渡制限の意思表示がされた債権に係る債務者の供託)

第四百六十六条の二 債務者は、譲渡制限の意思表示がされた金銭の給付を目的とする債権が譲渡されたときは、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地(債務の履行地が債権者の現在の住所により定まる場合にあっては、譲渡人の現在の住所を含む。次条において同じ。)の供託所に供託することができる。

2 前項の規定により供託をした債務者は、遅滞なく、譲渡人及び譲受人に供託の通知をしなければならない。

3 第一項の規定により供託をした金銭は、譲受人に限り、還付を請求することができる。

第四百六十六条の三 前条第一項に規定する場合において、譲渡人について破産手続開始の決定があったときは、譲受人(同項の債権の全額を譲り受けた者であって、その債権の譲渡を債務者その他の第三者に対抗することができるものに限る。)は、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかったときであっても、債務者にその債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託させることができる。この場合においては、同条第二項及び第三項の規定を準用する。

(譲渡制限の意思表示がされた債権の差押え)

第四百六十六条の四 第四百六十六条第三項の規定は、譲渡制限の意思表示がされた債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては、適用しない。

2 前項の規定にかかわらず、譲受人その他の第三者が譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった場合において、その債権者が同項の債権に対する強制執行をしたときは、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって差押債権者に対抗することができる。

(預金債権又は貯金債権に係る譲渡制限の意思表示の効力)

第四百六十六条の五 預金口座又は貯金口座に係る預金又は貯金に係る債権(以下「預貯金債権」という。)について当事者がした譲渡制限の意思表示は、第四百六十六条第二項の規定にかかわらず、その譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対抗することができる。

2 前項の規定は、譲渡制限の意思表示がされた預貯金債権に対する強制執行をした差押債権者に対しては、適用しない。

(将来債権の譲渡性)

第四百六十六条の六 債権の譲渡は、その意思表示の時に債権が現に発生していることを要しない。

2 債権が譲渡された場合において、その意思表示の時に債権が現に発生していないときは、譲受人は、発生した債権を当然に取得する。

3 前項に規定する場合において、譲渡人が次条の規定による通知をし、又は債務者が同条の規定による承諾をした時(以下「対抗要件具備時」という。)までに譲渡制限の意思表示がされたときは、譲受人その他の第三者がそのことを知っていたものとみなして、第四百六十六条第三項(譲渡制限の意思表示がされた債権が預貯金債権の場合にあっては、前条第一項)の規定を適用する。

(債権の譲渡の対抗要件)

第四百六十七条 債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。

2 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

(債権の譲渡における債務者の抗弁)

第四百六十八条 債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。

2 第四百六十六条第四項の場合における前項の規定の適用については、同項中「対抗要件具備時」とあるのは、「第四百六十六条第四項の相当の期間を経過した時」とし、第四百六十六条の三の場合における同項の規定の適用については、同項中「対抗要件具備時」とあるのは、「第四百六十六条の三の規定により同条の譲受人から供託の請求を受けた時」とする。

(債権の譲渡における相殺権)

第四百六十九条 債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる。

2 債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、その債権が次に掲げるものであるときは、前項と同様とする。ただし、債務者が対抗要件具備時より後に他人の債権を取得したときは、この限りでない。

一 対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権

二 前号に掲げるもののほか、譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権

3 第四百六十六条第四項の場合における前二項の規定の適用については、これらの規定中「対抗要件具備時」とあるのは、「第四百六十六条第四項の相当の期間を経過した時」とし、第四百六十六条の三の場合におけるこれらの規定の適用については、これらの規定中「対抗要件具備時」とあるのは、「第四百六十六条の三の規定により同条の譲受人から供託の請求を受けた時」とする。

譲渡制限の意思表示に反する債権譲渡と抵当権の移転

改正法◇譲渡制限の意思表示に反する債権譲渡も有効→「債権譲渡」を原因とする抵当権移転登記申請手続を⾏うことが可能となる(民法466条2項)。

◇抗弁を放棄する意思がある場合を除き、移転登記を⾏うべきでない(民法466条3項)。

民法

第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

(錯誤)

第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。

一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤

二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤

2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。

3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。

一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。

二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。

4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

登記の原因及び年月日・・・錯誤 年月日(※意志表示の到達⽇)

登記原因証明情報に記載すべき事項例

1,錯誤が、本件の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであると認められる。

2,本件を基礎とした1,の事情が本件の基礎となることを表示。

3,錯誤の意思表示到達日。

4,錯誤取消しの意思表示により、本件は無効となり不動産の所有権は義務者に帰属。

5、よって、年月日受付番号の登記は、年月日取消により抹消する。

・連帯債務

民法

(相対的効力の原則)第四百四十一条 第四百三十八条、第四百三十九条第一項及び前条に規定する場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。ただし、債権者及び他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときは、当該他の連帯債務者に対する効力は、その意思に従う。

原則・・・1⼈に対する請求は、他の連帯債務者に対して効⼒を⽣じない。

例外・・・ただし書き。契約書等に記載。

・債務引き受け

(併存的債務引受の要件及び効果)

第四百七十条 併存的債務引受の引受人は、債務者と「連帯して」、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する。

2 併存的債務引受は、「債権者と引受人となる者との契約」によってすることができる。

3 併存的債務引受は、「債務者と引受人となる者との契約」によってもすることができる。この場合において、併存的債務引受は、「債権者が引受人となる者に対して承諾をした時」に、その効力を生ずる。

4 前項の規定によってする併存的債務引受は、第三者のためにする契約に関する規定に従う。

(併存的債務引受における引受人の抗弁等)

第四百七十一条 引受人は、併存的債務引受により負担した自己の債務について、その効力が生じた時に債務者が主張することができた抗弁をもって債権者に対抗することができる。

2 債務者が債権者に対して取消権又は解除権を有するときは、引受人は、これらの権利の行使によって債務者がその債務を免れるべき限度において、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。

(免責的債務引受の要件及び効果)

第四百七十二条 免責的債務引受の引受人は債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担し、債務者は自己の債務を免れる。

2 免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。この場合において、免責的債務引受は、「債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時」に、その効力を生ずる。

3 免責的債務引受は、「債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾」をすることによってもすることができる。

(免責的債務引受における引受人の抗弁等)

第四百七十二条の二 引受人は、免責的債務引受により負担した自己の債務について、その効力が生じた時に債務者が主張することができた抗弁をもって債権者に対抗することができる。

2 債務者が債権者に対して取消権又は解除権を有するときは、引受人は、免責的債務引受がなければこれらの権利の行使によって債務者がその債務を免れることができた限度において、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。

(免責的債務引受における引受人の求償権)

第四百七十二条の三 免責的債務引受の「引受人は、債務者に対して求償権を取得しない。」

(免責的債務引受による担保の移転)

第四百七十二条の四 債権者は、第四百七十二条第一項の規定により債務者が免れる債務の担保として設定された担保権を引受人が負担する債務に移すことができる。ただし、引受人以外の者がこれを設定した場合には、その承諾を得なければならない。

2 前項の規定による担保権の移転は、あらかじめ又は同時に引受人に対してする意思表示によってしなければならない。

3 前二項の規定は、第四百七十二条第一項の規定により債務者が免れる債務の保証をした者があるときについて準用する。

4 前項の場合において、同項において準用する第一項の承諾は、書面でしなければ、その効力を生じない。

5 前項の承諾がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その承諾は、書面によってされたものとみなして、同項の規定を適用する。

・弁済

(預金又は貯金の口座に対する払込みによる弁済)

第四百七十七条 債権者の預金又は貯金の口座に対する払込みによってする弁済は、債権者がその預金又は貯金に係る債権の債務者に対してその払込みに係る金額の払戻しを請求する権利を取得した時に、その効力を生ずる。

・返済期日の特定基準。

(第三者の弁済)

第四百七十四条 債務の弁済は、第三者もすることができる。

2 弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない。

3 前項に規定する第三者は、「債権者の意思に反して」弁済をすることができない。ただし、その第三者が債務者の委託を受けて弁済をする場合において、そのことを債権者が知っていたときは、この限りでない。

4 前三項の規定は、その債務の性質が第三者の弁済を許さないとき、又は当事者が第三者の弁済を禁止し、若しくは制限する旨の意思表示をしたときは、適用しない。

正当な利益を有する・・・保証⼈など。

(賃貸借の存続期間)

第六百四条 賃貸借の存続期間は、五十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、五十年とする。

2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五十年を超えることができない。

敷金

第六百二十二条の二 賃貸人は、敷金(「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。

一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。

二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。

2 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。

「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」・・・たとえ保証金、礼金という名目であっても。

(賃借人の原状回復義務)

第六百二十一条 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷「(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。)」以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

参考

国土交通省住宅局「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html

(消費貸借)

第五百八十七条 消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

(書面でする消費貸借等)

第五百八十七条の二 前条の規定にかかわらず、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを「約することによって、その効力を生ずる」。

2 書面でする消費貸借の借主は、「貸主から金銭その他の物を受け取るまで、契約の解除をすることができる」。この場合において、貸主は、その契約の解除によって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる。

3 書面でする消費貸借は、借主が貸主から金銭その他の物を受け取る前に当事者の一方が破産手続開始の決定を受けたときは、その効力を失う。

4 消費貸借がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その消費貸借は、書面によってされたものとみなして、前三項の規定を適用する。

(返還の時期)

第五百九十一条 当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。

2 借主は、返還の時期の定めの有無にかかわらず、「いつでも返還をすることができる。」

3 当事者が返還の時期を定めた場合において、「貸主は、借主がその時期の前に返還をしたことによって損害を受けたときは、」借主に対し、その賠償を請求することができる。

(第三者のためにする契約)

第五百三十七条 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。

2 前項の契約は、「その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。」

3 第一項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。

(第三者の権利の確定)

第五百三十八条 前条の規定により第三者の権利が発生した後は、当事者は、これを変更し、又は消滅させることができない。

2 前条の規定により第三者の権利が発生した後に、債務者がその第三者に対する債務を履行しない場合には、同条第一項の契約の相手方は、その第三者の承諾を得なければ、契約を解除することができない。

(連帯保証人について生じた事由の効力)

第四百五十八条 第四百三十八条、第四百三十九条第一項、第四百四十条及び第四百四十一条の規定は、主たる債務者と連帯して債務を負担する保証人について生じた事由について準用する。

・434条の準用なし。

(連帯債権者の一人との間の相殺)

第四百三十四条 債務者が連帯債権者の一人に対して債権を有する場合において、その債務者が相殺を援用したときは、その相殺は、他の連帯債権者に対しても、その効力を生ずる。

(個人根保証契約の保証人の責任等)

第四百六十五条の二 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。

2 個人根保証契約は、「前項に規定する極度額を定めなければ、」その効力を生じない。

3 第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、個人根保証契約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。

第三目 事業に係る債務についての保証契約の特則

(公正証書の作成と保証の効力)

第四百六十五条の六 事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された「公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。」

2 前項の公正証書を作成するには、次に掲げる方式に従わなければならない。

一 保証人になろうとする者が、次のイ又はロに掲げる契約の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項を公証人に口授すること。

イ 保証契約(ロに掲げるものを除く。) 主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、その債務の全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。

ロ 根保証契約 主たる債務の債権者及び債務者、主たる債務の範囲、根保証契約における極度額、元本確定期日の定めの有無及びその内容並びに主たる債務者がその債務を履行しないときには、極度額の限度において元本確定期日又は第四百六十五条の四第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事由その他の元本を確定すべき事由が生ずる時までに生ずべき主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものの全額について履行する意思(保証人になろうとする者が主たる債務者と連帯して債務を負担しようとするものである場合には、債権者が主たる債務者に対して催告をしたかどうか、主たる債務者がその債務を履行することができるかどうか、又は他に保証人があるかどうかにかかわらず、その全額について履行する意思)を有していること。

二 公証人が、保証人になろうとする者の口述を筆記し、これを保証人になろうとする者に読み聞かせ、又は閲覧させること。

三 保証人になろうとする者が、筆記の正確なことを承認した後、署名し、印を押すこと。ただし、保証人になろうとする者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。

四 公証人が、その証書は前三号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

3 前二項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない。

(契約締結時の情報の提供義務)

第四百六十五条の十 主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証又は主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者に対し、次に掲げる事項に関する情報を提供しなければならない。

「一 財産及び収支の状況」

二 主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況

三 主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容

2 主たる債務者が前項各号に掲げる事項に関して情報を提供せず、又は事実と異なる情報を提供したために委託を受けた者がその事項について誤認をし、それによって保証契約の申込み又はその承諾の意思表示をした場合において、主たる債務者がその事項に関して情報を提供せず又は事実と異なる情報を提供したことを債権者が知り又は知ることができたときは、保証人は、保証契約を取り消すことができる。

3 前二項の規定は、保証をする者が法人である場合には、適用しない。

(主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務)

第四百五十八条の二 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、「保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。」

(主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務)

第四百五十八条の三 「主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から二箇月以内に、その旨を通知」しなければならない。

2 前項の期間内に同項の通知をしなかったときは、債権者は、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から同項の通知を現にするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く。)に係る保証債務の履行を請求することができない。

3 前二項の規定は、保証人が法人である場合には、適用しない。

(配偶者居住権)

第千二十八条 被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の全部について無償で使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」という。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない。

一 「遺産の分割によって配偶者居住権を取得」するものとされたとき。

二 「配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。」

2 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。

3 第九百三条第四項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。

(審判による配偶者居住権の取得)

第千二十九条 遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、次に掲げる場合に限り、配偶者が配偶者居住権を取得する旨を定めることができる。

一 共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき。

二 配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき(前号に掲げる場合を除く。)。

(配偶者居住権の登記等)

第千三十一条 居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の「登記を備えさせる義務を負う。」

2 第六百五条の規定は配偶者居住権について、第六百五条の四の規定は配偶者居住権の設定の登記を備えた場合について準用する。

(配偶者「短期」居住権)

第千三十七条 配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に「無償で」居住していた場合には、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の所有権を相続又は遺贈により取得した者(以下この節において「居住建物取得者」という。)に対し、居住建物について無償で使用する権利(居住建物の一部のみを無償で使用していた場合にあっては、その部分について無償で使用する権利。以下この節において「配偶者短期居住権」という。)を有する。ただし、配偶者が、相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、この限りでない。

一 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合 「遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から六箇月を経過する日のいずれか遅い日」

二 前号に掲げる場合以外の場合 「第三項の申入れの日から六箇月を経過する日」

2 前項本文の場合においては、居住建物取得者は、第三者に対する居住建物の譲渡その他の方法により配偶者の居住建物の使用を妨げてはならない。

3 居住建物取得者は、第一項第一号に掲げる場合を除くほか、いつでも「配偶者短期居住権の消滅の申入れ」をすることができる。

(使用貸借等の規定の準用)

第千四十一条 第五百九十七条第三項、第六百条、第六百十六条の二、第千三十二条第二項、第千三十三条及び第千三十四条の規定は、配偶者短期居住権について準用する。

令和2年3月30日民事局長通達

https://shihoshoshi.com/touki2030/wp-content/uploads/2020/03/r20330m2_318_Redacted.pdf

(特別受益者の相続分)

第九百三条 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

2 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。

3 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う。

4 「婚姻期間が二十年以上」の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その「居住の用に供する建物又はその敷地」について「遺贈又は贈与」をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第一項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。

(遺産の分割前における預貯金債権の行使)

第九百九条の二 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の「三分の一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額」(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。

平成三十年法務省令第二十九号

民法第九百九条の二に規定する法務省令で定める額を定める省令

民法(明治二十九年法律第八十九号)第九百九条の二の規定に基づき、同条に規定する法務省令で定める額を定める省令を次のように定める。

民法第九百九条の二に規定する法務省令で定める額は、百五十万円とする。

附 則

この省令は、民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成三十年法律第七十二号)の施行の日から施行する。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=430M60000010029

(遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲)

第九百六条の二 遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その「全員の同意」により、当該処分された財産が遺産の分割時に「遺産として存在するものとみなす」ことができる。

2 前項の規定にかかわらず、共同相続人の一人又は数人により同項の財産が処分されたときは、当該共同相続人については、同項の「同意を得ることを要しない」。

(遺産の分割の協議又は審判等)

第九百七条 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は「一部」の分割をすることができる。

2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は「一部」の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。

3 前項本文の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。

(自筆証書遺言)

第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の「目録」を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。

3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

(遺言執行者の任務の開始)

第千七条 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。

2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を「相続人に通知」しなければならない。

(特定財産に関する遺言の執行)

第千十四条 前三条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。

2 遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、「遺言執行者は、当該共同相続人が第八百九十九条の二第一項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。」

3 前項の財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、同項に規定する行為のほか、その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解約の申入れをすることができる。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。

4 前二項の規定にかかわらず、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

(遺留分侵害額の請求)

第千四十六条 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する「金銭の支払」を請求することができる。

2 遺留分侵害額は、第千四十二条の規定による遺留分から第一号及び第二号に掲げる額を控除し、これに第三号に掲げる額を加算して算定する。

一 遺留分権利者が受けた遺贈又は第九百三条第一項に規定する贈与の価額

二 第九百条から第九百二条まで、第九百三条及び第九百四条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額

三 被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、第八百九十九条の規定により遺留分権利者が承継する債務(次条第三項において「遺留分権利者承継債務」という。)の額

(遺留分侵害額請求権の期間の制限)

第千四十八条 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から「一年間」行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から「十年を経過」したときも、同様とする。

(共同相続における権利の承継の対抗要件)

第八百九十九条の二 相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第九百一条の規定により算定した「相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。」

2 前項の権利が「債権」である場合において、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の「通知」をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。

(遺言執行者の権利義務)

第千十二条 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

2 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者「のみ」が行うことができる。

3 第六百四十四条、第六百四十五条から第六百四十七条まで及び第六百五十条の規定は、遺言執行者について準用する。

(寄与分)

第九百四条の二 共同相続人中に、被相続人の事業に関する「労務の提供」又は財産上の給付、被相続人の「療養看護」その他の方法により被相続人の「財産の維持又は増加」について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。

2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。

3 寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。

4 第二項の請求は、第九百七条第二項の規定による請求があった場合又は第九百十条に規定する場合にすることができる。

20220502追記

『登記研究』886号、887号、888号、889号、890号(株)テイハン

法務省民事局総務課長 村松秀樹、法務大臣官房参事官 大谷太、法務省民事局参事官脇村真治、東京地方検察庁検事 川畑憲司、法務省民事局付 芳賀朝哉、法務省民事局付 宮崎文康、東京地方裁判所判事 渡辺みどり、弁護士 小田智典、法務省民事局付 中丸隆之、法務省民事局付 福田宏晃「令和3年民法・不動産登記法等改正及び相続土地国庫帰属法の解説1~5」

PDFについて

「PDFファイルで、電子署名をして登記原因証明情報を法務局に送信する。」、「メールかlineにPDFファイル添付して送って。」「研修資料は、PDFで送ります。」などなど。

 私は、司法書士になるまで、電子メールは利用したことはあってもFAXを使ったことがありませんでした。そこから、WordファイルをPDFファイルに変換、電子署名、電子署名の検証、新しく知るCSVファイル、XMLファイルなど。技術の進化に追いつけないでいます。最近、PDFファイルにも色々とあるのだなと考えることがありました。ちなみに改変出来ない、加工しにくいということで、IT業界の方からはあまり好かれていないようです。

PDFファイルについて、少し考えてみようと思います。

Adobe Comms 2021年6月2日 参考

https://blog.adobe.com/jp/publish/2021/06/02/dc-pdf-charlesgeschke.html?trackingid=XT3PH468&mv=email#gs.46090a

Adobeアドビ創業者・・・チャールズ・ゲシキ(Charles Geschke)博士。当初はアドベと読んでいました。

 1992年誕生のPDFはフォーマット(型)。XMLのベースとなったSGML(Standard Generalized Markup Language)のフォーマットをベースにしたDTPソフト(製品・保守マニュアル作成向け)を、FrameMakerの開発元だったフレームテクノロジーをアドビがパブリッシング用(販売・頒布用)に採用したフォーマットがPDF。

 SGML(Standard Generalized Markup Language)は、マニュアルなどの文書のためのマークアップ言語。

 XMLは、文章の見た目や構造を記述するためのマークアップ言語。文法のようなもの。Wordで登記申請する場合に、左側を何ミリ空けるとか決まっていたりすること。

 FrameMakerは、アドビの販売するDTPソフト(書籍の文章や図のページ割り付けのイメージ)で、大規模な構造化文書(マニュアルなど)に特化。

 Acrobat Readerを無償配布して、PDFを読むのは無料にしたことが決定的に伸びた理由。たしかに、最初はAdobereaderをダウンロードすることでしかPDFファイルを読むことは出来なかったと思います。 官公庁に採用され始めた。理由は、構造化された中身と見栄えをファイルフォーマットの中に両立させていたから。

PDFには、国際標準規格がある。

https://www.iso.org/standard/51502.html

最近は、色々なPDFツールが出てきているが、規格に沿ったものか注意が必要。他の人のPCで読めなかったりすることがある。WebページとPDFとの違いは、PDFはページの概念を持っているという点です。有限のスペースにテキストやベクターデータのオブジェクトを埋め込むのがPDF。だから、PDFでは「3ページの5行目」という指定が可能。これらは、人と人がテキストなどを通して行うコミュニケーションなので、加工したいIT業界の方があまり好かれないのはもっともだと思います。そもそも目的が違うのだと思います。

参考:PDF への構造の追加

https://helpx.adobe.com/jp/indesign/using/structuring-pdfs.html

PDFの加工でよく目にするもの

Acrobat ユーザーガイド

https://helpx.adobe.com/jp/acrobat/user-guide.html

・編集を制限・PDFの保護(詳細設定/セキュリティポリシーを使用した暗号化)

PDFにパスワードを設定して、PDF内の文書や画像のコピーなど、「PDFの編集」機能での変更に対して制限をかけることができます。パスワードを設定して保存されたPDFを編集する際にはパスワードを入力する必要があります。

・オンラインでPDFのサイズを圧縮

PDF圧縮ツール

https://www.adobe.com/jp/acrobat/online/compress-pdf.html

・PDFにページを挿入

オンラインツール

https://www.adobe.com/jp/acrobat/online/add-pages-to-pdf.html?promoid=DZTGZXSJ&mv=other

・PDF をドラッグ&ドロップして、ノート注釈、テキスト、描画などを追加します。

オンラインツール

https://www.adobe.com/jp/acrobat/online/pdf-editor.html?promoid=SPVLM8LQ&mv=other

20210720追記

オンラインサービス、アプリケーションなどでPDFを作成した場合、それが構造を持っているのか確かめる方法。

限度はあると思いますが、PDFからデータの性質に応じて、WordやExel形式に変換してみて、ある程度おかしくない変換が出来るのであれば、構造を持っている、といっていいのだと思います。

Adobe変換ツール

https://acrobat.adobe.com/jp/ja/acrobat/features.html?promoid=88X75PM5&mv=other#convert

2021年5月政府CIO補佐官等ディスカッションペーパー「ベース・レジスト リとしての住所・所在地マスターデータ整備について」について

2021年5月に、ディスカッションペーパーとして、「ベース・レジストリとしての住所・所在地マスターデータ整備について」が出されています。異議がなければ、登記その他の文書(情報)作成において、今後使われるようになると思われるので、読んでみます。

https://cio.go.jp/dp2021_03

政府CIO補佐官
中村弘太郎、下山紗代子、関治之、平本健二

要 旨

ベース・レジストリとは、公的機関等が保有し、様々な場面で参照される社会の基盤となるデータベースである。住所・所在地データはあらゆる社会活動において広く利用されるが、現状は標準的な住所・所在地の情報を行政が一元的に管理できておらず、官民含む多様な主体が利用可能な状態になっていない。
海外の事例では、個人情報を含まず、経済波及範囲が大きいことから、ベース・レジストリの整備において先行して取り組まれるのが住所・所在地データである。
本書では、住所・所在地の情報をベース・レジストリとして整備・更新するために考慮・検討すべき事項を整理する。また、海外の先進事例(1,2)およびベース・レジストリ化による経済効果(8章)についても記載する。

本ディスカッションペーパーは、政府CIO補佐官等の有識者による検討内容を取りまとめたもので、論点整理、意見・市場動向の情報収集を通じて、オープンで活発な議論を喚起し、結果として議論の練度の向上を目的としています。そのため、ディスカッションペーパーの内容や意見は、掲載時期の検討内容であり、執筆者個人に属しており、内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室、政府の公式見解を示すものではありません。

目 次
目 次…………………………………………………… i
1 はじめに ……………………………………………… 4
1.1 背景と目的 ……………………………………….. 4
1.2 用語 …………………………………………….. 4
1.3 海外の先進事例…………………………………….. 7
1) デンマーク ………………………………………… 7
2) エストニア ……………………………………….. 10
3) 英国 …………………………………………….. 10
4) 米国 …………………………………………….. 12
2 データ標準化に向けたこれまでの取組……………………….. 15
2.1 行政基本情報データ連携モデル………………………… 15
2.2 共通語彙基盤(IMI 情報共有基盤) …………………….. 16
3 行政が整備・提供するデータ(住所・所在地関連) …………….. 17
3.1 全国地方公共団体コード(総務省)…………………….. 17
3.2 位置参照情報(国土交通省) …………………………. 17
3.3 電子国土基本図(地名情報)(国土地理院) ………………. 17
1) 電子国土基本図(地名情報) ………………………….. 17
2) 電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」 ……………… 18
3.4 国勢調査 小地域(町丁・字等別)境界データ(総務省統計局) .. 18
3.5 特徴比較 ………………………………………… 19
4 ベース・レジストリとしての住所・所在地マスターデータの位置付け .. 20
4.1 既存の住所・所在地関連オープンデータの課題 ……………. 20
4.2 ベース・レジストリとしての要件………………………. 21
4.3 ベース・レジストリとしての住所・所在地マスターデータの位置付け……. 21
4.4 住所・所在地情報の出所 …………………………….. 24
1) 町字(市区町村)…………………………………… 24
2) 住居表示(市区町村) ……………………………….. 24
3) 地番(登記所)…………………………………….. 24
4.5 整備レベル ………………………………………. 25
1) 行政区画に関する整備レベル ………………………….. 25
2) 情報の深さに関する整備レベル ………………………… 26
3) 更新頻度に関する整備レベル ………………………….. 26

5 住所・所在地マスターデータ<町字レベル> ………………….. 27
5.1 住所のデータ表現における町字の整理 …………………… 27
5.2 町字レベル住所・所在地マスターの ID 体系・データ項目の検討 .. 28
5.3 町字レベル住所・所在地マスターデータのデータフォーマット案 . 29
1) 町字マスターデータ…………………………………. 30
2) 町字マスター位置参照拡張データ……………………….. 32
6 住所・所在地マスターデータ<番地号レベル> ………………… 36
6.1 番地号レベル住所・所在地マスターの ID 体系・データ項目の検討 36
6.2 番地号レベル住所・所在地マスターデータのデータフォーマット案 36
1) 地番マスターデータ…………………………………. 37
2) 住居表示-街区マスターデータ ………………………… 38
3) 住居表示-住居マスターデータ ………………………… 39
4) 地番マスター位置参照拡張データ……………………….. 40
5) 住居表示-街区マスター位置参照拡張データ ………………. 41
6) 住居表示-住居マスター位置参照拡張データ ………………. 42
7) 4.3 に示したとおり、この住居表示-住居マスター位置参照拡張デ
ータが ID 対応表として電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」(国土
地理院)へのリンクを可能にする。………………………… 42
7 町字に関する告示情報のデータ標準化の検討 ………………….. 44
7.1 町字レベル住所・所在地マスターデータの最新性の確保 ……… 44
7.2 町字の区域・名称の新設・廃止・変更の告示 ……………… 44
1) 町字の区域・名称の新設・廃止・変更……………………. 44
2) 告示の概要 ……………………………………….. 44
3) 町字の区域・名称の新設・廃止・変更の告示情報の構造………. 45
4) 参考:告示のパターン例 ……………………………… 48
7.3 住居表示の実施の告示 ………………………………. 50
1) 住居表示の実施…………………………………….. 50
2) 告示の概要 ……………………………………….. 50
3) 住居表示実施の告示情報の構造 ………………………… 51
4) 住居表示実施新旧対照データの構造……………………… 52
8 住所のベース・レジストリ化による経済効果 ………………….. 54
8.1 国の規模による推定 ………………………………… 54
8.2 想定コストによる推定 ………………………………. 54
8.3 日本の想定 ………………………………………. 55
9 【付属資料1】町字 ID 付番ガイドライン…………………….. 56
9.1 町字 ID の付番方法…………………………………. 56
9.2 町字の異動に対するレコード更新ポリシー ……………….. 58
9.3 町字の区域・名称の変更 - 主なパターンの整理…………… 60
10 【付属資料2】住所・所在地の異動に係る行政の業務………….. 67
10.1 町字レベルの住所・所在地の異動…………………….. 67
1) 町字とは? 住居表示とは? ……………………………. 67
2) 町字の区域・名称の新設・廃止・変更(地方自治法第 260 条) …. 68
3) 新たに生じた土地(地方自治法第9条の5) ………………. 69
4) 住居表示(住居表示に関する法律)……………………… 70
5) 住居表示実施の手順…………………………………. 72
6) 告示の例 - 地方自治法第 260 条(住居表示の実施に伴うもの以外)
74
7) 告示の例 - 住居表示 ……………………………….. 75
8) 町界町名地番整理…………………………………… 78
9) その他 …………………………………………… 80
10.2 地番の異動……………………………………… 81
1) 地番の異動が生じるケース ……………………………. 81
2) 不動産登記 ……………………………………….. 81
3) 地籍調査 …………………………………………. 90
11 【付属資料3】現状入手可能な無償・有償の住所データ………… 94
11.1 住所データ概観………………………………….. 94
1) 住所データ/概観…………………………………… 94
2) 住所データ/大字町丁目レベル ………………………… 96
3) 住所データ/街区レベル (主に住居表示実施区域)…………… 97
11.2 入手可能なデータ(無償) …………………………. 98
1) 全国地方公共団体コード/総務省……………………….. 98
2) 位置参照情報/国土交通省 ……………………………. 99
3) 国勢調査 小地域(町丁・字等別)/総務省統計局………….. 102
4) 電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」/国土地理院 …… 105
11.3 入手可能なデータ(有償) ………………………… 107
1) 全国町・字ファイル/国土地理協会・地方公共団体情報システム機構
(J-LIS) ………………………………………….. 107
2) 日本行政区画便覧データファイル/日本加除出版株式会社 ……. 110

1 はじめに
1.1 背景と目的
「ベース・レジストリとは、公的機関等で登録・公開され、様々な場面で参照される、人、法人、土地、建物、資格等の社会の基本データ」であり、正確性や最新性が確保された社会の基幹となるデータベースである。日本ではいくつかの台帳等が相当する。ベース・レジストリは行政サービスの改善に必須の要素である。デジタル手続法 により、ワンスオンリー 、ワンストップ処理が求められているが、その実現にはデータの標準化とベース・レジストリの整備が必要となる。ベース・レジストリは、社会全体で広範に使われる公的機関等で共有される基本データである。マスターデータの一種だが、公的に権威があり、広く社会的に使われるものである。戸籍のように行政機関を中心に参照されるものと、郵便番号のように広くオープンデータとして公開されるものがある。
住所・所在地のマスターデータは、人(個人)や法人とともにあらゆる社会活動の土台となる基礎的なベース・レジストリであり、デジタル先進国においても先行的に整備されている。

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ベース・レジストリの一部としてマスターデータがある。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

しかしながら日本では、住所・所在地の情報は市区町村や登記所で個別に管理されており、標準的な住所・所在地を一元的に管理できていない。加えて、一般に流通している住所・所在地の表記は、地域により様々に異なり、特殊なケースも多々存在している。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 住所は市区町村、所在地は登記所。マイナンバーカードには住所。
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本ディスカッションペーパーは、デジタル社会の実現ならびに行政のデジタル化に資するよう、住所・所在地の情報をベース・レジストリとして整備・更新するために考慮・検討すべき事項を整理するものである。
1.2 用語
本ディスカッションペーパーにおいて使用する用語は、表1-1のとおりである。
表表1-1 用語の定義
用語 意味
ベース・レジストリ 公的機関等が保有する社会の基本データ(個人、法人、土地、建物、資格等に関するデータ)を登録したデータベース。社会の基盤として、データの正確性や最新性を確保するなど、行政手続をはじめとする様々な場面で参照し得るよう整備することが求められるもの。
町字/町字レベル 市区町村の下層の行政区画は、地方自治法(昭和22年法律第67号)や住居表示に関する法律(昭和37年法律第119 号)で「町若しくは字」「町又は字」と表されているが、本書では「町字(まちあざ)」と表現する。「町」「丁目」「大字」「(小)字」など。
(詳細は付属資料2(10.1)にも記載。)
番地号/番地号レベル 町字の下層の住所・所在地や土地を特定するために用いられる、「地番」や住居表示における「街区符号」「住居番号」について、本書では総称して「番地号」と表現する。
地番 不動産登記法(平成16年法律第123号)で規定される、一筆の土地ごとに付す番号。住居表示を実施していない区域においては、住所・所在地の表示にも利用される。
(詳細は付属資料2(10.2)にも記載。)
住居表示 住居表示に関する法律で規定される、市街地の住所・所在地の表示。街区方式と道路方式がある。住居表示が実施されている区域においても、別途地番は存在する。同じ場所を示す2種類の方法が存在することになる。
(詳細は付属資料2(10.1)にも記載。)
位置参照情報 場所を識別するためのラベル(地理識別子)である住所・所在地の実世界における位置を緯度・経度や平面直角座標等により記述(空間参照)する情報。国土交通省が、「街区レベル位置参照情報」「大字・町丁目レベル位置参照情報」を提供している。
代表点 住所・所在地が示す場所を代表する点。位置参照情報として、代表点の座標を整備するのがひとつの方法。
ポリゴン 地物の領域を二次元の多角形の面として表現したもの。住所・所在地の場合、その住所・所在地が示す領域を示し、構成点の座標を整備することにより実世界における位置を記述する。

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ベース・レジストリについて、土地、建物、資格等に関するデータは、国家資格、公的職務(例えばCIO補佐官)については納得です。個人、法人に関するデータは、具体的内容が必要だと思います。
P5、町字/町字レベルについて、用語自体がどういう意味なのか分かりませんでした。意味で市区町村の下層とあるのに、町を含めるという意味でしょうか。○○市○○町などの意味なのだろうと思いますが、少し分かりづらい用語だと思います。私なら、市区町村/町字レベルとします。

P5、番地号/番地号レベルについて、地番や街区符号(2番など)、住居番号(3号など)が番地号。番地と番号のことなのか、地番(所在)と番地(住居表示)は違うので地番号がしっくりくるような気がします。それとも番地に統一していこうという考え方なのかなと思いました。

地番について、不動産登記法(平成 16 年法律第 123 号)で規定される、一筆の土地ごとに付す番号。住居表示を実施していない区域においては、住所・所在地の表示にも利用される、と定義されています。不動産登記法に規定されているのは、2条17号、35条、不動産登記規則97条、98条、不動産登記事務取扱手続準則59条、67条です。
不動産登記法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?law_unique_id=416AC0000000123_20200929_502AC0000000012
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
十七 地番 第三十五条の規定により一筆の土地ごとに付す番号をいう。
(地番)
第三十五条 登記所は、法務省令で定めるところにより、地番を付すべき区域(第三十九条第二項及び第四十一条第二号において「地番区域」という。)を定め、一筆の土地ごとに地番を付さなければならない。

住居表示について、住居表示に関する法律で規定される、市街地の住所・所在地の表示。街区方式と道路方式がある。住居表示が実施されている区域においても、別途地番は存在する。同じ場所を示す2種類の方法が存在することになる、と定義されています。

住居表示に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000119
(目的)
第一条 この法律は、合理的な住居表示の制度及びその実施について必要な措置を定め、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。

地番は土地の特定、住居表示は名前の通り住居を表示するため(建物を建てなくても、建てた場合に表示できるようにするため。)。同じ場所を示す2種類の方法が存在することになる、というよりは、そのように定めたのは国なので、存在することにした、という表現にした方が良いのかなと思います。

位置参照情報について
街区レベル位置参照情報
https://nlftp.mlit.go.jp/isj/index.html
大字町丁目レベル位置参照情報 東京都目黒区
http://ckan.gsi.go.jp/dataset/3dsf9rtz

代表点について、どうやって代表点を決めるのか私には分かりませんでした。街区ポリゴンの中心を採るのでしょうか。

ポリゴンの定義については、地物の領域を二次元の多角形の面として表現したもの。住所・所在地の場合、その住所・所在地が示す領域を示し、構成点の座標を整備することにより実世界における位置を記述する、地物の領域、住所・所在地、実世界における位置、など私は分かりませんでした。
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1.3海外の先進事例
海外でベース・レジストリに取り組むときに最初に取り組まれるのがアドレスデータである。個人情報を含まず、経済的波及範囲が大きいことから、先行して整備が行われる。国内は区画で住所・所在地を表し、海外のストリート型のアドレスとは異なる方式をとる等、アドレス情報の仕組みは違うが収集やデータベース化、効果評価等が参考になる。

1)デンマーク
1990年に、アドレスデータは全ての分野やアプリケーションの共通データとして重要であることからデータ化を開始した。1996-2001年に、自治体のボランタリな作業としてジオコーディングを実施し全国の97%のアドレスを特定した。

図 1-1-1 アドレスデータの例

2000年に、アドレス情報は国のベース・レジストリに位置づけられ、2002年に、国と自治体で、自治体のアドレスデータは無料で公開することのアグリーメントを締結した。またそれに伴い、整備のために4年間の財政支援を自治体に対して実施した。現在は、OSM(オープン・ストリート・マップ)と連携し、データ活用してもらうとともに、データの間違いの報告をしてもらい、アドレスデータに反映している。
オープンデータにしているので、行政機関だけではなく民間企業も活用しており、現在は利用の70%が自治体からのアクセスとなっている。
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 OSM(オープン・ストリート・マップ)について・・・OpenStreetMap(OSM)は、誰でも自由に地図を使えるよう、みんなでオープンデータの地理情報を作るプロジェクトです。
プロジェクトには、誰でも自由に参加して、誰でも自由に地図を編集して、誰でも自由に地図を利用することが出来ます。
本サイトは、日本地域のプロジェクト支援としてイベント情報などを発信しています。
https://openstreetmap.jp/#zoom=5&lat=38.06539&lon=139.04297&layers=000B

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図1-2 アドレスデータの利用状況3

行政機関における効果
・ アドレス情報管理時間の削減
・ 様々なデータソースの情報における、アドレス情報の整合性を確保するための時間の削減
企業における効果
・ 高い正確性で、全国がカバーされ、最新のデータを入手できる
・ アドレス情報を購入する費用がなくなり、データを使ったサービスを改善できる
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今後、地図関連業者はどうするのか、気になります。
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P8 市民における効果
・ アドレスデータが間違っていた時に生じる可能性のある不利益に対する心配がなくなった
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 なぜ、不利益に対する心配がなくなったのか、私には分かりませんでした。
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1つのデータベースを整備したことにより、1000のアプリケーションが開発され、500万人のユーザーが利用している。この経済的価値は大きい。初期フェーズでの投資対効果は、整備運用費3.5億円(€2.8m (2003-2010) )に対して、経済効果が96億円(€77m (2005-2010) )と試算されている。また、2015年以降の経済効果は、初期投資15億円、運用投資5億円に対し、年間40億円の価値と試算されている。(€1=125、常勤職員1名のコスト1000万円で計算)

図 1-3 アドレスデータの投資対効果3
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p9 経済効果をどのように計算したのか、調べることが出来ませんでした。リンク先のスライドでも探すことが出来ませんでした。

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アドレスデータ・ベース・レジストリの企画、運営をするために、住宅・都市・地方大臣が議長となる委員会を設置している。参加組織は、地理空間庁、自治体(複数)、人口登録センター、法人登記機関、税機関、デジタル庁であり、アドレスデータ管理のためのプログラム・マネージャを設置している。
利用しやすいようにDanish Address Web API(DAWA)を提供し、最新のアドレス情報が誰でも取得可能になっている。Addresses, road names, road sections, additional city names and postal codes等だけでなく、地理座標やポリゴンも含まれる。単にアドレス検索によるデータ提供だけではなく、アドレスデータクレンジング、自動入力支援、地図上のポイントからのアドレス取得などの機能を提供している。

図 1-4 アドレスデータAPIのDAWA
https://www.slideshare.net/Mortlin/addresses-and-address-data-experiences-from-denmark
2)エストニア
地理空間情報の利用は行政サービスの本質的サービスと位置づけている。その中でもアドレスデータを最重要のデータに位置づけている。自治体がデータの正確性と品質を保証し、すべてのアドレスデータはAddress Data System (ADS)に登録される。このアドレスデータは、オープンデータになるだけではなく、その他のデータセットのメンテナンスに使われる。
アドレスシステムは、アドレスの規格(形式、構成要素及びフォーマット)や管理方法を統一し、対象物に対して、表記上のアドレス情報(家屋番号、通り名、都市名及び郵便番号)と地理的情報(点や範囲)と各種登録コード(土地台帳、地籍台帳及び建築登録簿)を結び付けている。また旧アドレスにも対応している。ADSは、APIであるIn-ADSを通じてオープンにアクセスが可能である。
政府のLand Boardがこのデータベースを管理、運営している。また、単にアドレスを参照するだけでなく、全ての政府機関は、アドレスを扱うときに、このデータベースを利用しなければならないと決まっている。
3)英国
2014年に政府の独立レポートとして「An open national address gazetteer」が公表され、アドレスデータを自由に利用、再利用ができる国の資産と位置づけている。経済的社会的効果が、コストに対して遥かに大きいと考えている。一方、品質、維持、取引、法、財務上の解決すべき課題があると認識されている。
https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/274979/bis-14-513-open-national-address-gazetteer.pdf
現在は、国の呼びかけで作られたジョイントベンチャーのgeoplace社がNational Address Gazetteerの運営を行っており、528組織から情報を収集し6週間ごとにデータ更新をしている。
2020年7月からは、Unique Property Reference Numbers(UPRNs)とUnique Street Reference Numbers(USRNs)をオープンデータとして公開し、行政の効率化とともに、社会全体の効率化を図っている。また、高度な情報やサービスは有料で販売している。

図 1-5 アドレス情報の例
https://www.geoplace.co.uk/

これらの取り組みによる投資対効果の試算をしている。効果モデルを元に効果を算出し、整備費と比較している。2020年までに4倍の投資対効果と計算している。

図 1-6 投資効果の分類5

図 1-7 投資対効果の試算5
4)米国
運輸省がNational Address Database(NAD)に取り組んでいる。輸送のために作っているが、郵送、許認可、教育などの様々な行政サービスの本質的な基盤と捉えている。国と自治体が協力して取り組みを進めているが、24州が参加し、現在進行中である。

図 1-8 アドレスデータベースの進捗(2020-09)
詳細なデータ構造定義を行っており、下記のように統一はされていないが様々なイメージで詳細図まで管理できる。

図 1-9 アドレスイメージの例
NADを構築運用するための役割分担は以下のように整理されている。

図 1-10 アドレスデータの運用体制と役割

2 データ標準化に向けたこれまでの取組
2.1 行政基本情報データ連携モデル
行政のサービス・業務改革に伴う政府情報システムの整備及び管理について、その手順や各組織の役割等を定める体系的な政府共通ルールである「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」及びこれに関連する指針類等に係る文書体系である「標準ガイドライン群」が政府CIOポータルに公開されている。

標準ガイドライン群
https://cio.go.jp/guides

標準ガイドライン群に含まれる「行政基本情報データ連携モデル(略称:行政データ連携標準)」は、日付時刻、住所、電話番号等、手続や情報提供において分野を問わず使用される基本的なデータの形式について、データ連携を円滑に行えるよう、基本的なデータの記述形式を示したモデルである。
住所のデータ記述形式は、住所関連の主要省庁及び日本郵便株式会社のデータ記述方式を参照し、場合に応じた記述形式が決められている。

行政データ連携標準 住所
https://cio.go.jp/sites/default/files/uploads/documents/1015-2_gyousei_data_model_address.pdf
(2019年3月28日 初版決定)
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この記載は初めて読みました。住所表記で仕組みが分からない場合、1番と1番地の違いなど、読み返してみたいと思います。データとして利用する場合は、全て半角数字の市区町村コードとハイフン、番地の半角数字の組み合わせになると思います。
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なお、この中で、町字に関して以下のように記載されている。
2.3 町字識別子を使用して管理する場合(現在検討中)
町字まで識別子で管理し、番地以下をデータで持つ。
例)東京都千代田区霞が関二丁目1番6号の場合
データ「(町字識別子)」「1-6」
表記「東京都千代田区霞が関2-1-6」

6 町字識別子の整備
住所表記の揺らぎがあった場合に正確な表記が可能となるように、国が中心となり最新の町字情報が一覧できる環境を整備することとする。
町字識別子には、ID、漢字名、カナ名、英字名、ポリゴン情報を含む。

2.2 共通語彙基盤(IMI情報共有基盤)
IMI(Infrastructure for Multilayer Interoperability:情報共有基盤)は、経済構造革新への基盤づくりの一環で、データに用いる文字や用語を共通化し、情報の共有や活用を円滑に行うための基盤である。共通語彙基盤と文字情報基盤により、行政サービスの相互運用性(Interoperability)向上を図っている。
共通語彙基盤は、データで用いる様々な用語の表記、意味、構造を統一し、分野を超えてデータの検索向上やシステム連携強化を実現する。

共通語彙基盤
https://imi.go.jp/goi/

コア語彙は、共通語彙基盤の基礎をなすもので、氏名、住所、組織等、あらゆる社会活動で使用される中核的な用語の集合である。多くのシステム間で情報交換のための基礎となる語彙で、データ交換、オープンデータの二次利用等の効率化に役立つ。

コア語彙 バージョン2.4.2
https://imi.go.jp/core/core242/
(2019年2月公開)

コア語彙のひとつとして、住所型、住所DMDが公開されている。

住所型
https://imi.go.jp/ns/core/Core242.html#ic:%E4%BD%8F%E6%89%80%E5%9E%8B
住所DMD
https://imi.go.jp/dmd/0000009/


3 行政が整備・提供するデータ(住所・所在地関連)
3.1 全国地方公共団体コード(総務省)
都道府県コード及び市区町村コードをPDFファイル及びExcelファイルで提供している。また、2005年4月1日以降の変更情報の提供もされている。

全国地方公共団体コード
https://www.soumu.go.jp/denshijiti/code.html

3.2 位置参照情報(国土交通省)
大字・町丁目レベル位置参照情報及び街区レベル位置参照情報をCSV形式のファイルで提供している。それぞれ、全国の大字・町丁目の代表点の位置座標(緯度・経度、平面直角座標)、街区(全国の都市計画区域相当範囲が対象)の代表点の位置座標を整備したものである。年1回の更新。

GISホームページ(国土数値情報、位置参照情報ほか)
https://nlftp.mlit.go.jp/index.html

3.3 電子国土基本図(地名情報)(国土地理院)
電子国土基本図(地名情報)は、「オルソ画像」「地図情報」とともに、デジタルデータを中心とした新たな基本図体系の一つとして、地図等により国土を表す基準となるものである。測量法(昭和24年法律第188号)に基づく基本測量の成果であり、国土地理院が同法第13条に基づき地方公共団体から資料又は報告の提出を求め、整備・更新を行っている。
1) 電子国土基本図(地名情報)
数値地図(国土基本情報)として、地図情報、メッシュ標高情報、付属情報とともに地名情報として提供されており、居住地名、自然地名、公共施設、信号交差点のデータが含まれる。

電子国土基本図(地名情報)
https://www.gsi.go.jp/kihonjohochousa/chimeijoho.html

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 地図ではなく、表記方法の説明図です。
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2) 電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」
住居表示実施区域の住居番号を決める際に用いる「基礎番号」の代表点の位置座標(緯度・経度)をCSV形式のファイルで提供している。

電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」
https://www.gsi.go.jp/kihonjohochousa/jukyo_jusho.html
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 沖縄県で整備されているのは、那覇市、宜野湾市、浦添市、名護市、糸満市、沖縄市、うるま市、嘉手納町でした。

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3.4 国勢調査 小地域(町丁・字等別)境界データ(総務省統計局)
e-STATでは各種統計データを地図上に表示し、視覚的に統計を把握できる地理情報システム(GIS)を提供しており、地図で見る統計(jSTAT MAP)に登録されている境界データ(ポリゴンデータ)を各種GISフォーマット(Shapefile、KML、GML)で提供している。5年ごとに実施される国勢調査のデータが提供される際に提供される。

e-Stat 地図で見る統計(統計GIS)境界データ
https://www.e-stat.go.jp/gis/statmap-search?page=1&type=2

Shapefile?・・・GISデータフォーマットの1つで、病院などの目標物や道路や建物などの位置や形状、属性情報を持つベクターデータ(ポイント、ライン、ポリゴン)を格納することができる。ファイルのサイズはそれぞれ2GBの制限。日本語の場合、5 文字までに制限されます(英数字の場合は 10 文字まで)。
KML?・・・GoogleEarth、Googleマップ、モバイルGoogleマップなどのEarthブラウザで、地理データの表示に使用するファイル形式です。KMLは、XML標準をベースにしており、ネストされた要素や属性を含むタグ構造を使用。すべてのタグで大文字と小文字が区別される。OGC(Open Geospatial Consortium)の公式標準。
GML?・・・Open Geospatial Consortium によって開発された地理的特徴を表現する XMLベースのマークアップ言語である。 GMLは地理情報システムやインターネット上で地理情報を交換するフォーマットとして使用。


3.5 特徴比較
上記のうち3データについて特徴を比較したものが 表 3 1である。
表3-1 各データの特徴比較
国勢調査 小地域
(総務省統計局) 位置参照情報
(国土交通省) 住居表示住所
(国土地理院)
範囲 全国 全国
街区レベルは都市計画区域相当範囲のみ 全国
住居表示実施区域のみ
階層 大字・町丁目レベル相当 大字・町丁目レベル
街区レベル 住居番号レベル
レコード単位 統計情報を集計することを目的とした単位(例えば、大字を複数の小字で構成されるいくつかの単位に分割しているケースがある) 大字・町丁目レベル位置参照情報は一定の網羅性のあるマスターデータ的な整備
街区レベル位置参照情報は街区(住居表示未実施区域を含む)の単位(非網羅的に小字の名称の収録がある) 住居表示の住居番号の基礎番号単位(実際の住居番号は住居ごとに設定されるため異なる)
コード化 コード化されている(統計集計単位) 大字・町丁目レベル位置参照情報のみコード化されている コード化されている(URI形式)
位置座標 大字・町丁目レベル相当のポリゴンデータ 大字・町丁目レベル、街区レベルそれそれの代表点 住居番号の基礎番号の代表点
読み仮名等 読み仮名・英語表記の収録がない 読み仮名・英語表記の収録がない なし(基本的に数字)


4 ベース・レジストリとしての住所・所在地マスターデータの位置付け
4.1 既存の住所・所在地関連オープンデータの課題
行政が提供する既存の住所・所在地関連オープンデータには、ベース・レジストリに求められる正確性や最新性の確保の観点で以下のような課題がある。

• 更新頻度が年1回または5年に1回。
• 調査時点から提供時期までに要する期間が長い。
• 標準的な住所・所在地は一元的に管理されておらず、解釈の違いが生じ、既存データ間で対応が取れない場合がある。
• 個別にコード化されているものの、共通のIDがない。

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p20 住所と所在地は、一元的に管理される必要があるのかな、と思いました。土地の住所が所在地、建物の所在地が住所であるという理解ではないのだと思います。
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例えば、位置参照情報の説明には以下のような記述がある。
街区レベル位置参照情報に含まれる地名は、市町村資料、国土地理院の数値地図2500、民間の地図等を基に作成したものであり、国内の標準的な地名を指定しているものではありません。
(https://nlftp.mlit.go.jp/isj/index.html)

このような状況の背景として、以下が挙げられる。

• 地方自治法等の法律において、町字の明確な定義がない。
• 同法第260条に基づく、町字の区域・名称の新設・廃止・変更の業務は個々の市区町村が実施し、告示義務があるものの、その情報公開の方法等が様々に異なる。よって情報・資料の集約に労力がかかる。
• 住居表示に関する法律に基づく、住居表示の実施や、実施済み区域内の街区・住居番号の変更等の業務は個々の市区町村が実施し、告示義務があるものの、その情報公開の方法等が様々に異なる。よって情報・資料の集約に労力がかかる。
• 不動産登記法に基づく、土地の登記における地番に変化が生じる登記(新たに生じた土地等の表題登記、土地の滅失、分筆、合筆等)の業務は個々の登記所が実施するが、広く一般に情報公開はされない。よって情報・資料の集約に労力がかかる。
• 一般に流通している住所・所在地の表記は、地域により様々に異なり、特殊なケースも多々存在している。
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 不動産登記法に基づく、土地の登記における地番に変化が生じる登記(新たに生じた土地等の表題登記、土地の滅失、分筆、合筆等)の業務は個々の登記所が実施するが、広く一般に情報公開はされない。よって情報・資料の集約に労力がかかる、に関しては、現在でも国税庁、市区町村との連携はあるので、広く一般に情報公開されていないからといって、行政内で公開出来ない理由にはならないと思います。

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4.2 ベース・レジストリとしての要件
既存の住所・所在地関連オープンデータの課題を解消し、住所・所在地のマスターデータがベース・レジストリとして最大の効果を生むための要件を以下に示す。

• 国がオーソライズしている住所・所在地のマスターデータが存在する。
• 住所・所在地マスターデータは、継承性のある固有のIDを持つ。
• 住所・所在地マスターデータは、オープンデータ及びAPIとして無料で提供され、行政のみならず誰もが広く利活用できる。
• 住所・所在地マスターデータを利用した住所正規化ツールがオープンソースで提供され、行政のみならず誰もが広く利活用できる。
• 住所・所在地マスターデータは、再利用可能な高い品質で維持され、変化情報も遅滞なく収録・提供される。
• 住所・所在地マスターデータは、国及び自治体の各種台帳や行政サービスからデータ連携の形で参照される。

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オーソライズ?・・・公認。

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また、一体的に以下が実現することが望ましいと考えられる。

• 住所・所在地の情報を管理する市区町村や登記所の業務がデジタル化かつ標準化され、自ずと機械判読可能な品質のデータを出力できる。
• 住所・所在地マスターデータを更新する必要のある変化が生じた場合は、市区町村や登記所から、能動的に標準化された形式でデータ、情報、資料が開示されるWebサイト等の場が用意される。
• これにより、国が整備・提供する既存の住所・所在地関連オープンデータ(位置参照情報や国勢調査小地域等)の更新に必要な情報・資料の収集のコスト・時間が大幅に低減する。
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 登記所は国(法務省)の機関なので、ここでいう国とはデジタル庁、内閣府内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室のことだと思います。


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4.3 ベース・レジストリとしての住所・所在地マスターデータの位置付け
既存のオープンデータを活かしつつ、現状の課題を解決するための、ベース・レジストリとしての住所・所在地マスターデータの位置付けは、以下のように考えられる。

• 町字レベルのマスターデータに関しては、その収録内容を各市区町村により公式のものと認定されたものであること。
• 広く一般に利用可能な状態で公開されること。
• 住所・所在地マスターデータは、国の既存の各種オープンデータ(位置参照情報・国勢調査データ等)の機能を代替するものではなく、共存し、連携するものとする。但し、将来的な機能の統合を否定するものではない。

ベース・レジストリとしての住所・所在地マスターデータは、町字レベルにおいては国内の標準的な地名(町字、さらには通称名)をオーソライズしていくことを目指すものである。
初期の段階では、既存の位置参照情報や小地域境界データとは併存し、連携する形を考えている。
例えば、位置参照の機能である代表点緯度経度座標の整備は、位置参照情報に委ね、住所・所在地マスターデータには代表点座標を保持せず、位置参照情報へのIDによるリンク情報を保持することにより、データ連携を可能とする。

図4-1住所・所在地マスターデータ関連データ等の関係

より具体的には、ID対応表を介して既存データとリンクする図 4-2のような構成案が考えられる。

図 4-2 ベース・レジストリとしての住所・所在地マスターデータ構成案
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p23 ベース・レジストリとしての住所・所在地マスターデータ群の入力先がもし不動産登記(土地)表題部だけなら、省庁内の行政内部で完結するのではないかなと思います。市区町村が入るからややこしくなっていて、そこを一元管理するための住所・所在地マスターデータ群だと思っていました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4.4 住所・所在地情報の出所
住所・所在地の情報は、概ね行政機関において生じるものであり、所掌の行政機関が組織内部に留めず広くオープン化することが求められる。
1) 町字(市区町村)
町字の区域の新設・廃止、町字の区域・名称の変更は、地方自治法第260条に基づき市町村(特別区を含む。)が実施する。主な発生事由は以下の通り。
• 土地改良事業
• 土地区画整理事業
• 国土調査の実施
• 新たに生じた土地
• 住居表示の実施
• 町界町名地番整理の実施
• 大規模な宅地造成
• その他
2) 住居表示(市区町村)
住居表示は、住居表示に関する法律に基づき市町村(特別区を含む。)が実施する。
3) 地番(登記所)
地番の新設・廃止・変更は、不動産登記法に基づき登記所が表示に関する登記を行うことにより生じる。主な発生事由は以下のとおり。

(申請に基づく登記) ※地番の変更に関わるもの
• 表題登記(新たに生じた土地や表題登記がない土地の所有権の取得)
• 分筆
• 合筆
• 土地の滅失
• その他

(職権による登記) ※地番の変更に関わるもの
• 一筆の土地の一部の地目・地番区域の変更による分筆
• 地図の作成に必要となる分筆・合筆
• その他

登記記録は以下のような項目があるが、住所・所在地の情報として必要となるのはそのうちの一部である。
登記記録 住所・所在地での要否
表題部 地図番号 ○ (1) 土地の表示 不動産番号 ※ 所在 ○ (2)
地番 ○
地目
地積
原因及びその日付 ※
登記の日付 ※
所有者
権利部 甲区
乙区
○:情報として必要、※:データ管理上必要
(1) 代表点やポリゴンの整備には地図自体が必要となる。 (2) 地番を特定するために、市区町村・町字の情報が必要となる。
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p25 地目・地積は必要ない、ということは住所と所在地の特定に絞っているということなのかなと思います。農地や宅地の面積は他の省庁で統計を取るということでしょうか。住居を買うために土地を探している人がいるとして、宅地割合や農地割合を知りたい人もいるのかなと思いました。
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4.5 整備レベル
住所・所在地の整備レベルは、複数の観点で以下のように整理することができる。段階を踏んで整備を進めることも考えられる。
1) 行政区画に関する整備レベル
整備レベル 整備内容 備考
1 町字
2 町字+住居表示の街区
3 町字
+住居表示の街区・住居番号(1) +住居表示非実施区域の地番 住所・所在地としての表示を網羅できる 4 町字 +住居表示の街区・住居番号 +すべての地番 住居表示実施区域の不動産登記の地番まで網羅できる (1) 住居番号はフロンテージの基礎番号を整備する場合と、実際の建物等につけられた住居番号を整備する場合の2とおりある。前者の例として、国土地理院の電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」がある。
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p25 整備レベル3の整備内容で、住所・所在地としての表示を網羅出来るのでしょうか。町字+住居表示の街区・住居番号+地番がないと所在地としての表示を網羅出来ないのではないかと思います。
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2) 情報の深さに関する整備レベル
整備レベル 整備内容 備考
1 行政区画のID+名称 最低限の定義がなされたマスターデータ
2 行政区画のID+名称
+ヨミガナ・英字等の属性 様々な利用シーンに対応したマスターデータ
3 行政区画のID+名称
+ヨミガナ・英字等の属性
+代表点座標(緯度経度) 位置参照情報まで含む
4 行政区画のID+名称
+ヨミガナ・英字等の属性
+代表点座標(緯度経度)
+区域を表現するポリゴン(*2) 地理的範囲の情報まで含む
(*2) 座標(緯度経度)の情報を持つ点により構成される多角形の図形。整備に使用する基図(ベースとなる地図)の縮尺により精度が異なる。
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 名称が何を指すのか、分かりませんでした。
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3) 更新頻度に関する整備レベル
整備レベル 整備内容 備考
1 年1回の更新
2 3ヶ月に1回の更新
3 月1回の更新
4 実施日に更新 行政サービスでの利用時に差異が生じない
5 実施日に更新かつ過去情報を保持(3) 過去のある時点のマスターを再現できる (3) 過去情報は新設日と廃止日を管理することになる。


5 住所・所在地マスターデータ<町字レベル>
5.1 住所のデータ表現における町字の整理
2-1でも紹介した「行政基本情報データ連携モデル 住所」(2019年3月初版決定)に記載されている解説を引用する。
住所は、「都道府県」「支庁」「郡」「市区町村」「政令指定都市」「区」「町村」「町・大字」「丁目・字」「番地・号」、「地域自治区」で構成され、さらに「方書」を使用する。
※地方自治法(昭和22年法律第67号)第260条に「字」の新設や廃止に関する条項があるが字の定義はない。住居表示に関する法律においても字の定義はない。
※本標準では、以下の理由により「町」「大字」「丁目」「字」を分け、「大字」には「丁目」が入らない整理とする。
・地方自治法第260条に基づく告示の変更調書で、「○○二丁目」のような新住所表示を大字として表すことがある。
・地方公共団体情報システム機構が提供する全国・町字ファイルにおいて「市区郡町村名」に次の項目は「大字、通称名」であり、その次が「字・丁目」である。
・「丁目」が「大字」に入る場合と「字」に入る場合の2つの場合があり、コンピュータ処理上、分ける必要がある。

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 町または大字から地番という住所もあるのではないかと思います。
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市区町村の下層の行政区画として、地方自治法に「町若しくは字」、住居表示に関する法律に「町又は字」と表現されているが、地方自治法にも住居表示に関する法律にもこれら町字の定義は存在しない。(なお、本書では、「町若しくは字」あるいは「町又は字」のことを「町字」と表現する。)
定義がないことにも起因し、一般に流通している各種住所データの項目の分け方・持ち方は統一されておらず、データ間連携を難しくしている。町字を2階層に分けてコード化しているケースが主流だが、この2階層の分け方がまちまちなのである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 定義は存在しない、統一されておらず、データ間流通を難しくしている、というのは、省庁の行政内部の問題なので、定義をしていない、統一していない、そのためデータ間流通が難しい、の表現になると思います。

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5.2 町字レベル住所・所在地マスターのID体系・データ項目の検討
ベース・レジストリとしての住所・所在地マスターデータ<町字レベル>(以降、場合により「町字レベル住所・所在地マスター(データ)」または「町字マスター(データ)」と表現する)において、町字レベルのID体系は2階層構造を採用し、以下の分け方を標準とする。町字を識別するID(「町字ID」と称す)は上位階層の市区町村内でユニークになるよう付番するものとし、階層1を数字4桁、階層2を数字3桁とする。
表5-1 町字の階層
住居表示 階層1 階層2 備考
大字・町 丁目 小字
住居表示実施
(街区方式) 町 (丁目なし) -
町 丁目 - 堺市の「丁」を含む
町 - 丁目に文字 「●丁目北」など文字を含む場合
(町なし) 丁目 - 例外的、固有地名部分がない場合
住居表示実施
(道路方式) 道路 (丁目なし) - 道路方式の住居表示の場合、道路名は「大字・町名」に収録
道路 丁目 -
住居表示
非実施 大字・町 (丁目なし) (小字なし)
大字・町 丁目 -
大字・町 - 小字 文字を含む丁目も小字扱い
大字・町 - 番地補足 番地の前の「東」「浜」「甲」「イ」等(1) (大字なし) - 小字(字) (大字なし) - (小字なし) 大字・町 - 通称等 通称、無番地等(町字の下層の場合) 通称等 - (小字なし) 通称、無番地等(市町村の直下の場合) (1) IMI共通語彙基盤における「住所型」の「番地補足」に相当するもの

また、データ項目の設計においては、以下を条件として考慮する。
• 町字レベルのマスターを想定するものであり、番地号レベル(住居表示の街区符号[番]・住居番号[号]、住居表示非実施の地番[番地])は別のデータセットで扱う。
• 行政データ連携標準-住所の日本語表記・英語表記の両方を再現できるデータの持ち方とする。

5.3 町字レベル住所・所在地マスターデータのデータフォーマット案
町字レベル住所・所在地マスターデータのセットとして、下記のデータを対象とし、データフォーマット案を示す。

• 町字マスターデータ
• 町字マスター位置参照拡張データ

1) 町字マスターデータ
表5-2 町字マスターデータ フォーマット案
No. 項目 Key 区分 型 サイズ 説明
1 全国地方公共団体コード ○ ◎ 文字列 半角数字 6 総務省「全国地方公共団体コード」の市区町村に対するコード
2 町字ID ○ ◎ 文字列 半角数字 7 コード体系:4桁-大字・町、3桁-丁目・小字
3 町字区分コード ○ 整数 収録する町字の区分
(1:大字・町 2:丁目 3:小字)
4 都道府県名 ◎ 文字列 JIS X 0401に従う
5 都道府県名カナ 文字列 全角カナ 総務省「全国地方公共団体コード」に従う 6 都道府県名英字 文字列 半角文字 行政データ連携標準-住所に従う (固有名称部分のみ)
7 郡名 ○ 文字列 JIS X 0402に従う
8 郡名カナ 文字列 全角カナ JIS X 0402に従う 9 郡名英字 文字列 半角文字 行政データ連携標準-住所に従う
10 市区町村名 ◎ 文字列 JIS X 0402に従う
11 市区町村名カナ 文字列 全角カナ JIS X 0402に従う 12 市区町村名英字 文字列 半角文字 行政データ連携標準-住所に従う (固有名称部分の後に「-shi」「-ku」「-machi」「-cho」「-mura」「-son」をつける)
13 政令市区名 ○ 文字列 JIS X 0402に従う
14 政令市区名カナ 文字列 全角カナ JIS X 0402に従う 15 政令市区名英字 文字列 半角文字 行政データ連携標準-住所に従う (固有名称部分の後に「-ku」をつける)
16 大字・町名 ○ 文字列
17 大字・町名カナ ○ 文字列 18 大字・町名英字 文字列 半角文字
19 丁目名 ○ 文字列 原則漢数字、「丁目(丁)」を含む
20 丁目名カナ ○ 文字列 「チョウメ(チョウ)」を含む 21 丁目名数字 ○ 文字列 半角数字 丁目名の数字部分のみ
22 小字名 ○ 文字列
23 小字名カナ ○ 文字列 24 小字名英字 文字列 半角文字
25 住居表示フラグ ○ ◎ 整数 (1:住居表示実施 0:住居表示非実施)
26 住居表示方式コード 整数 (1:街区方式 2:道路方式 0:住居表示でない)
27 大字・町通称フラグ 整数 (0:通称でない 1:大字・町名に通称名を収録) 28 小字通称フラグ 整数 (0:通称でない 1:小字名に通称名を収録)
29 効力発生日 日付 YYYY-MM-DD 町字の新設または名称変更の実施日
30 廃止日 日付 YYYY-MM-DD 町字の廃止の実施日、または名称変更の告示による旧名称の廃止の実施日
31 原典資料コード 整数 原典資料を表すコード
32 郵便番号 文字列 半角英数 郵便番号を管理したい場合に使用、複数ある場合はセミコロン(;)で区切る
33 備考 文字列 特記事項があれば記載

※データフォーマットは別途「推奨データセット」仕様書の形式でも提供する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
JIS X 0401?・・・文字列表記は全角、コードは半角数字2桁
日本産業標準調査会
https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISNumberNameSearchList?show&jisStdNo=X0401

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【補足説明】
• Key(列):○は主キーとなる項目。但し、過去(廃止)レコードを同じデータセットに収録する場合は、同一キーレコードの重複を許容する(「効力発生日」「廃止日」で区別)。
• 区分(列):推奨データセットにおける区分に同じ。
◎:必須項目、○:収録が望ましい(条件付き必須を含む)
• 町字ID(No.2):更新時の継承性(異動がなかった場合に同じIDが維持されること)を担保する。異動に伴う町字IDの継承または新規付番については、本書の9【付属資料1】町字ID付番ガイドラインによる。
• 同一の町字に対して、住居表示整備区域と住居表示未整備区域が混在するケースでは、同一の町字IDを付番する。このケースでは、住居表示フラグが「1」のレコードと、「0」のレコードを収録する。
• 市区町村コード3~5桁目で表現される市区町村について、「郡」「行政区(政令指定都市区)」の名称を別項目に分けて収録する。
• 町字ID 7桁で表現される町・大字・丁目・小字(字)について、「大字・町名」「丁目名」「小字名」を別項目に分けて収録する。
• 大字・町通称フラグ(No.27)/小字通称フラグ(No.28):町字ではないが、住所・所在地の表現として普及している通称名等を収録する場合に識別するためのコード。大字・町通称フラグは、大字・町の名称項目(No.16~18)に通称名を収録する場合、小字通称フラグは、小字の名称項目(No.22~24)に通称名を収録する場合をそれぞれ識別する。
• 効力発生日(No.29):当該レコードが有効となる日。告示に定められる実施日。不明な場合の未収録を許容する。月まではわかるが日がわからない場合は”DD”に”01” を収録。
• 廃止日(No.30):レコードが無効となる前日(最終の有効日)。過去レコードを収録する場合に使用する。月まではわかるが日がわからない場合は”DD”に”01” を収録。
• 「効力発生日」「廃止日」を利用して、過去レコードを収録できる。また、確定した未来日付で実施される町字の変更等や住居表示に関して、新旧レコードを両方収録できる。


2) 町字マスター位置参照拡張データ
表5-3 町字マスター位置参照拡張データ フォーマット案
No. 項目 Key 区分 型 サイズ 説明
1 全国地方公共団体コード ○ ◎ 文字列 半角数字 6 当該町字が属する市区町村に相当するコード
2 町字ID ○ ◎ 文字列 半角数字 7 当該町字に相当するコード
3 住居表示フラグ 整数 (1:住居表示実施 0:住居表示非実施)
4 代表点経度 実数 データ発行者が整備する場合に使用 単位:度、10進法小数点表示 5 代表点緯度 実数 単位:度、10進法小数点表示
6 代表点座標参照系 文字列 代表点緯度経度の座標参照系、EPSG:6668など 7 代表点地図情報レベル 文字列 整備時に背景とする地図(測量成果)の縮尺の分母の数値
8 ポリゴンファイル名 文字列 データ発行者が整備する場合に使用 9 ポリゴンキーコード 文字列 ファイル内に複数のポリゴンデータが収録される場合に当該ポリゴンを識別するコード
10 ポリゴンデータフォーマット 文字列 シェープファイル、GeoJSON、KMLなど 11 ポリゴン座標参照系 文字列 ポリゴンの座標参照系
12 ポリゴン地図情報レベル 文字列 半角数字 整備時に背景とする地図(測量成果)の縮尺の分母の数値 13 位置参照情報大字町丁目コード 文字列 半角数字 位置参照情報を参照する場合に使用 大字・町丁目レベル位置参照情報の大字町丁目コード
14 位置参照情報データ整備年度 文字列 半角数字 大字・町丁目レベル位置参照情報の整備年度(西暦) 15 国勢調査境界小地域(町丁・字等別)_KEY_CODE 文字列 半角文字 国勢調査境界データを参照する場合に使用 国勢調査境界データ小地域(町丁・字等別)のKEY_CODE 16 国勢調査境界_データ整備年度 文字列 半角数字 国勢調査境界データ小地域(町丁・字等別)の整備年度(西暦)

町字マスターに対し、位置参照に関する情報を収録するための拡張データである。データ発行者が独自に代表点やポリゴンデータを整備する場合と、既存オープンデータを参照する場合に対応する。
4.3に示したとおり、この町字マスター位置参照拡張データがID対応表として大字・町丁目レベル位置参照情報(国土交通省)へのリンクと、国勢調査境界データ小地域(町丁・字等別)(総務省統計局)へのリンクを可能にする。

【補足説明】
• 座標参照系(No.6、No.11):地球上の位置を座標で示す体系を定義するもの。CRS(Coordinate Reference System)。行政データ連携標準-地理座標に示されるとおり、基盤地図情報で採用される 「JGD 2011/(B,L) 」(日本測地系2011、測地座標系による緯度・経度)を標準とする。町字マスター位置参照拡張データでは、汎用性の観点からGIS ソフト等での指定に用いられるEPSGコード による記載とする。JGD2011(緯度・経度)のEPSGコードは6668である(「EPSG:6668」のように表記する)。座標参照系は、測量法施行令(昭和24年政令第322号)第2条(日本経緯度原点及び日本水準原点)及び第3条(長半径及び扁平率)により規定される 。主な座標参照系は以下のとおり。

EPSGコード JIS X7115 附属書2
に基づく表記 座標参照系
EPSG:6668 JGD 2011 / (B, L) 日本測地系2011(緯度・経度)
EPSG:4612 JGD 2000 / (B, L) 日本測地系2000(緯度・経度)
EPSG:4326 WGS 84 / (B, L) WGS 84 (緯度・経度)
EPSG:6677 JGD 2011 / 9 (X, Y) 日本測地系2011 平面直角座標系第IX系

• 地図情報レベル(No.7、No.12):地図(ここでは代表点とポリゴンデータ)の表現精度を表すもので、相当する地図縮尺の分母の数値で表現する。公共測量に関する「作業規程の準則」 、基盤地図情報ダウンロードデータファイル仕様書などで使用される用語。
• データフォーマット(No.10):ポリゴンデータはベクトル形式の地図データで整備する。主なフォーマットは以下のとおり。
フォーマット 説明
シェープファイル Esri社が策定したデータ相互交換用データフォーマット(バイナリ)。
GML 地理空間データをXMLで表現するもの。地理空間情報の標準化を行う国際的なコンソーシアムであるOGC(Open Geospatial Consortium)により開発され、ISO 19136 として標準化されている。
https://www.ogc.org/standards/gml

KML 地理空間データをXMLで表現するもの。Googleに買収されたKeyhole社が開発し、OGCに移管され、国際的な標準となっている。
https://www.ogc.org/standards/kml

GeoJSON 地理空間データをJSONで表現するもの。現在はIETF(Internet Engineering Task Force)が管理している。
https://geojson.org/

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JSON・・・JavaScript Object Notation(JSON、ジェイソン)。データ記述言語の1つで軽量なテキストベースのデータ交換用フォーマットでありプログラミング言語を問わず利用できる。

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【大字・町丁目レベル位置参照情報とのリンクに関する留意点】
• 位置参照情報は年1回の更新であるため、町字マスターと整備時点が異なるケースが想定される。この場合、不整合が生じる場合がある。

【国勢調査境界データ小地域(町丁・字等別)とのリンクに関する留意点】
• 大字・町丁目レベルでリンクするよう対応情報を整備する(小字レベルは国勢調査小地域側が任意に複数小字をグルーピングしている場合があり、個々の小字では対応がつかないため)。このように国勢調査小地域のひとつの大字のエリアが複数に分割されているケースは、町字ID:小地域(KEY_CODE)が1:多となる。
• 国勢調査境界データ小地域のポリゴンは、元々水域等による分断や飛び地等の理由で、同一小地域につき複数のポリゴンを持つことができる構造である。
• 国勢調査は5年に1回の更新であるため、町字マスターと整備時点が異なるケースが想定される。この場合、不整合が生じる場合がある。


6 住所・所在地マスターデータ<番地号レベル>
6.1 番地号レベル住所・所在地マスターのID体系・データ項目の検討
ベース・レジストリとしての住所・所在地マスターデータ<番地号レベル>(「番地号レベル住所・所在地マスター」と称する)において、住居表示住所と地番住所は別のデータセットで管理することが望ましいと考える。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


p36、住居表示住所と地番住所は別で管理するということでしょうか。データセットを別にしても一元管理出来るということなんでしょうか。


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6.2 番地号レベル住所・所在地マスターデータのデータフォーマット案
番地号レベル住所・所在地マスターデータのセットとして、下記のデータを対象とし、データフォーマット案を示す。

• 地番マスターデータ
• 住居表示-街区マスターデータ
• 住居表示-住居マスターデータ
• 地番マスター位置参照拡張データ
• 住居表示-街区マスター位置参照拡張データ
• 住居表示-住居マスター位置参照拡張データ
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地番(所在地)と住居表示は、結局別のマスターデータでいいのでしょうか。

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1) 地番マスターデータ
表6-1 地番マスターデータ フォーマット案
No. 項目 Key 区分 型 サイズ 説明
1 全国地方公共団体コード ○ ◎ 文字列 半角数字 6 当該地番が属する市区町村に相当するコード
2 町字ID ○ ◎ 文字列 半角数字 7 当該地番が属する町字に相当するコード
3 地番ID ○ ◎ 文字列 半角数字 10 コード体系: 5桁-地番1(本番)、5桁-地番2(支号)、5桁-地番3(支号の支号))
4 市区町村名 ◎ 文字列 全国地方公共団体コードに対応する市区町村の名称
5 政令市区名 ○ 文字列
6 大字・町名 ◎ 文字列 町字IDに対応する大字・町、丁目、小字の名称
7 丁目名 ○ 文字列
8 小字名 ○ 文字列
9 地番1 ◎ 文字列 地番(本番) 表示用
10 地番2 ○ 文字列 地番(支号) 表示用
11 地番3 ○ 文字列 地番(支号の支号) 表示用
※例外的に存在し得る
12 住居表示フラグ ○ ◎ 整数 (1:住居表示実施 0:住居表示非実施)
※親となる町字に関する属性
※住居表示実施区域の地番レコードは登記上の住所・所在地表現のデータとなる
13 地番レコード区分フラグ 整数 当該レコードが最下層(一筆)のものか、親番等上位階層のものかを識別するフラグ
(1:最小単位のレコード 0:上位階層のレコード)
14 地番区域コード 整数 (1:大字・町丁目 2:小字 3:市区町村)
不動産登記規則 (平成17年法務省令第18号)97・98条
※地番がユニークとなる単位
15 効力発生日 日付 YYYY-MM-DD 地番の設定の実施日
16 廃止日 日付 YYYY-MM-DD 当該地番の廃止の実施日
17 原典資料コード 整数 原典資料を表すコード
18 備考 文字列 特記事項があれば記載

2) 住居表示-街区マスターデータ
表6-2 住居表示-街区マスターデータ フォーマット案
No. 項目 Key 区分 型 サイズ 説明
1 全国地方公共団体コード ○ ◎ 文字列 半角数字 6 当該街区符号が属する市区町村に相当するコード
2 町字ID ○ ◎ 文字列 半角数字 7 当該街区符号が属する町字に相当するコード
3 街区ID ○ ◎ 文字列 半角数字 3 街区符号を一意に識別するためのコード
4 市区町村名 ◎ 文字列 全国地方公共団体コードに対応する市区町村の名称
5 政令市区名 ○ 文字列
6 大字・町名 ◎ 文字列 町字IDに対応する大字・町、丁目、小字の名称
7 丁目名 ○ 文字列
8 小字名 ○ 文字列
9 街区符号 ◎ 文字列 表示用 ※数字以外の場合があり得る
10 住居表示フラグ ○ ◎ 整数 (1:住居表示実施 0:住居表示非実施)
※必ず「1」
11 住居表示方式コード ◎ 整数 (1:街区方式 2:道路方式 0:住居表示でない) ※「1」か「2」
12 効力発生日 日付 YYYY-MM-DD 当該地番が生じた日(登記等の実施日)
13 廃止日 日付 YYYY-MM-DD 当該地番の廃止の実施日
14 原典資料コード 整数 原典資料を表すコード
15 備考 文字列 特記事項があれば記載


3) 住居表示-住居マスターデータ
表6-3 住居表示-住居マスターデータ フォーマット案
No. 項目 Key 区分 型 サイズ 説明
1 全国地方公共団体コード ○ ◎ 文字列 半角数字 6 当該住居番号が属する市区町村に相当するコード
2 町字ID ○ ◎ 文字列 半角数字 7 当該住居番号が属する町字に相当するコード
3 街区ID ○ ◎ 文字列 半角数字 3 当該住居番号が属する街区に相当するコード
4 住居ID ○ ◎ 文字列 半角数字 3 住居番号を一意に識別するためのコード
5 住居2ID 文字列 半角数字 5 住居番号が団地・中高層建物の特例、または枝番の設定により2つの番号を組み合わせて構成される場合の後の番号(各戸の番号等)に対するコード
6 市区町村名 ◎ 文字列 全国地方公共団体コードに対応する市区町村の名称
7 政令市区名 ○ 文字列
8 大字・町名 ◎ 文字列 町字IDに対応する大字・町、丁目、小字の名称
9 丁目名 ○ 文字列
10 小字名 ○ 文字列
11 街区符号 ○ ○ 文字列 表示用
(街区方式の住居表示の場合は必須、
道路方式の住居表示の場合は空欄)
12 住居番号 ◎ 文字列 表示用
13 住居番号2 文字列 住居番号が団地・中高層建物の特例、または枝番の設定により2つの番号を組み合わせて構成される場合の後の番号(各戸の番号等)
14 住居表示フラグ ◎ 整数 (1:住居表示実施 0:住居表示非実施)
※必ず「1」
15 住居表示方式コード ○ 整数 (1:街区方式 2:道路方式 0:住居表示でない) ※「1」か「2」
16 効力発生日 日付 YYYY-MM-DD 当該地番が生じた日(登記等の実施日)
17 廃止日 日付 YYYY-MM-DD 当該地番の廃止の実施日
18 原典資料コード 整数 原典資料を表すコード
19 備考 文字列 特記事項があれば記載

住居番号は家屋番号のことなのでしょうか。

4) 地番マスター位置参照拡張データ
表6-4 地番マスター位置参照拡張データ フォーマット案
No. 項目 Key 区分 型 サイズ 説明
1 全国地方公共団体コード ○ ◎ 文字列 半角数字 6 当該地番が属する市区町村に相当するコード
2 町字ID ○ ◎ 文字列 半角数字 7 当該地番が属する町字に相当するコード
3 地番ID ○ ◎ 文字列 半角数字 3 当該地番に相当するコード
4 代表点経度 実数 データ発行者が整備する場合に使用 単位:度、10進法小数点表示 5 代表点緯度 実数 単位:度、10進法小数点表示
6 代表点座標参照系 文字列 代表点緯度経度の座標参照系、EPSG:4326など 7 代表点地図情報レベル 文字列 整備時に背景とする地図(測量成果)の縮尺の分母の数値
8 ポリゴンファイル名 文字列 データ発行者が整備する場合に使用 9 ポリゴンキーコード 文字列 ファイル内に複数のポリゴンデータが収録される場合に使用
10 ポリゴンデータフォーマット 文字列 シェープファイル、GeoJSON、KMLなど 11 ポリゴン座標参照系 文字列 ポリゴンの座標参照系
12 ポリゴン地図情報レベル 文字列 半角数字 整備時に背景とする地図(測量成果)の縮尺の分母の数値 13 法務省地図市区町村コード 文字列 半角文字 5 法務省を参照する場合に使用
14 法務省地図大字コード 文字列 半角文字 3 15 法務省地図丁目コード 文字列 半角文字 3
16 法務省地図小字コード 文字列 半角文字 4 17 法務省地図予備コード 文字列 半角文字 2
18 法務省地図_筆id 文字列

地番マスターに対し、位置参照に関する情報を収録するための拡張データである。データ発行者が独自に代表点やポリゴンデータを整備する場合と、法務省地図 を参照することが可能な場合に対応する。


5) 住居表示-街区マスター位置参照拡張データ
表6-5 住居表示-街区マスター位置参照拡張データ フォーマット案
No. 項目 Key 区分 型 サイズ 説明
1 全国地方公共団体コード ○ ◎ 文字列 半角数字 6 当該街区符号が属する市区町村に相当するコード
2 町字ID ○ ◎ 文字列 半角数字 7 当該街区符号が属する町字に相当するコード
3 街区ID ○ ◎ 文字列 半角数字 3 当該街区符号に相当するコード
4 住居表示フラグ 整数 (1:住居表示実施 0:住居表示非実施)
5 住居表示方式コード 整数 (1:街区方式 2:道路方式 0:住居表示でない)
6 代表点経度 実数 データ発行者が整備する場合に使用 単位:度、10進法小数点表示 7 代表点緯度 実数 単位:度、10進法小数点表示
8 代表点座標参照系 文字列 代表点緯度経度の座標参照系、EPSG:6668など 9 代表点地図情報レベル 文字列 半角数字 整備時に背景とする地図(測量成果)の縮尺の分母の数値
10 ポリゴンファイル名 文字列 データ発行者が整備する場合に使用 11 ポリゴンキーコード 文字列 ファイル内に複数のポリゴンデータが収録される場合に使用
12 ポリゴンデータフォーマット 文字列 シェープファイル、GeoJSON、KMLなど 13 ポリゴン座標参照系 文字列 ポリゴンの座標参照系
14 ポリゴン地図情報レベル 文字列 半角数字 整備時に背景とする地図(測量成果)の縮尺の分母の数値 15 位置参照情報都道府県名 文字列 位置参照情報を参照する場合に使用 街区レベル位置参照情報の都道府県名
16 位置参照情報市区町村名 文字列 街区レベル位置参照情報の市区町村名 17 位置参照情報大字・町丁目名 文字列 街区レベル位置参照情報の大字・町丁目名
18 位置参照情報小字・通称名 文字列 街区レベル位置参照情報の小字・通称名 19 位置参照情報街区符号・地番 文字列 街区レベル位置参照情報の街区符号・地番
20 位置参照情報データ整備年度 文字列 半角数字 街区レベル位置参照情報の整備年度(西暦) 21 電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」住所コード(可読) 文字列 半角数字 電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」を参照する場合に使用 電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」の住所コード(可読)における街区レベルまでのコード
22 電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」_データ整備日 日付 YYYY-MM-DD 電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」の更新日

住居表示-街区マスターに対し、位置参照に関する情報を収録するための拡張データである。データ発行者が独自に代表点やポリゴンデータを整備する場合と、既存オープンデータを参照する場合に対応する。
4.3に示したとおり、この住居表示-街区マスター位置参照拡張データがID対応表として街区レベル位置参照情報へのリンクと、電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」(国土地理院)へのリンクを可能にする。なお、電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」の個々のレコードは住居表示の住居レベルであり、直接的に街区レベルの座標情報を取得できるわけではない。
6) 住居表示-住居マスター位置参照拡張データ
表6-6 住居表示-住居マスター位置参照拡張データ フォーマット案
No. 項目 Key 区分 型 サイズ 説明
1 全国地方公共団体コード ○ ◎ 文字列 半角数字 6 当該住居番号が属する市区町村に相当するコード
2 町字ID ○ ◎ 文字列 半角数字 7 当該住居番号が属する町字に相当するコード
3 街区ID ○ ◎ 文字列 半角数字 3 当該住居番号が属する街区に相当するコード
4 住居ID ○ ◎ 文字列 半角数字 3 当該住居番号に相当するコード、または住居2(枝番等)がある場合は当該住居2が属する住居番号(親番)に相当するコード
5 住居2ID 文字列 半角数字 5 当該住居番号に相当するコード
6 住居表示フラグ 整数 (1:住居表示実施 0:住居表示非実施)
7 住居表示方式コード 整数 (1:街区方式 2:道路方式 0:住居表示でない)
8 代表点経度 実数 データ発行者が整備する場合に使用 単位:度、10進法小数点表示 9 代表点緯度 実数 単位:度、10進法小数点表示
10 代表点座標参照系 文字列 代表点緯度経度の座標参照系、EPSG:6668など 11 代表点地図情報レベル 文字列 半角数字 整備時に背景とする地図(測量成果)の縮尺の分母の数値
12 電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」住所コード(可読) 文字列 半角数字 電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」を参照する場合に使用 電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」の住所コード(可読) 13 電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」データ整備日 日付 YYYY-MM-DD 電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」の更新日

住居表示-住居マスターに対し、位置参照に関する情報を収録するための拡張データである。データ発行者が独自に代表点を整備する場合と、既存オープンデータを参照する場合に対応する。住居番号は、その性質上ポリゴンで表現するには適さないため代表点のみの整備とする。
7)4.3に示したとおり、この住居表示-住居マスター位置参照拡張データがID対応表として電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」(国土地理院)へのリンクを可能にする。 
7 町字に関する告示情報のデータ標準化の検討
7.1 町字レベル住所・所在地マスターデータの最新性の確保
町字レベル住所・所在地マスターデータがベース・レジストリとして十分に機能するには、正確性や最新性の確保が求められる。このうち最新性については、異動が生じた場合の更新を適時行うことが必要となる。
町字レベルの住所・所在地に異動が生じるケースは、主に以下がある。

• 町字の区域・名称の新設・廃止・変更(地方自治法第260条)
• 住居表示の実施(住居表示に関する法律)

これらはいずれも市町村による告示の義務があるため、告示の情報をデータ更新に活用することになる。そこで、本章ではあくまでも参考として告示情報のデータ標準化を検討する。

7.2 町字の区域・名称の新設・廃止・変更の告示
1) 町字の区域・名称の新設・廃止・変更
町字の区域・名称の新設・廃止・変更は、地方自治法第260条に基づき市町村が実施し、告示の義務がある(詳細は、「10.1町字レベルの住所・所在地の異動」を参照)。以下のような種類がある。

• 区域の画定(新設)
• 区域の廃止
• 区域の変更
• 名称の変更
2) 告示の概要
資料7-1にインターネット上で公開されている告示の例を示す。変更等の内容は、別紙として示されることが多く、変更調書が別紙に使われるケースも多いようである。また、図面が添付されることもある。

資料7-1 告示の例(町字の区域・名称の新設・廃止・変更)

3) 町字の区域・名称の新設・廃止・変更の告示情報の構造
告示に示される情報について、データとして取り扱うことを想定した場合のデータ形式は以下のように表現できる。

表 7 1 町字の区域・名称の新設・廃止・変更の情報の構造
No. 項目 型 出現数 説明
最小 最大
1 告示ID 文字列 1 1 同一の告示に同じIDを収録
2 告示タイトル 文字列 1 1 例-「大字・字の区域の変更及び廃止について」
3 告示日 文字列 半角英数 1 1 “YYYY-MM-DD”形式
4 効力発生日 文字列 半角英数 1 1 “YYYY-MM-DD”形式
日付として決まっていない場合はNull許容
5 効力発生日タイプ 整数 1 1 (0:通常 1:土地改良事業 2:土地区画整理事業 3:国土調査 4:その他)
6 タイプ 整数 1 1 (1:町字の区域の画定 2:町字の区域の廃止 4:町字の区域の変更 8:町字の名称の変更)
1 *
7 新 市区町村コード 文字列 半角数字 1 1 町字レベル住所・所在地マスターにリンク
8 町字ID 文字列 半角数字 1 1 町字レベル住所・所在地マスターにリンク
9 市区町村名 文字列 1 1 告示の変更調書には表示されないケースが大半だが、データ管理上保持
10 町字名 文字列 1 1 告示の変更調書に表示する名称
11 小字名 文字列 0 1 告示の変更調書に表示する名称
※小字がない場合はNULL
12 地番 文字列 0 1 地番整理が行われる場合で、告示にその新しい地番を示す必要がある場合に使用
1 *
13 旧 市区町村コード 文字列 半角数字 1 1 町字レベル住所・所在地マスターにリンク
14 町字ID 文字列 半角数字 1 1 町字レベル住所・所在地マスターにリンク
15 市区町村名 文字列 1 1 告示の変更調書には表示されないケースが大半だが、データ管理上保持、市町村合併に伴う町字の区域・名称の変更等の場合は旧市区町村名を収録
16 町字名 文字列 1 1 告示の変更調書に表示する名称
17 小字名 文字列 0 1 告示の変更調書に表示する名称
※小字がない場合はNULL
18 地番 文字列 0 1 告示で「、」や空白で区切られる個々の地番の羅列、または地番+介在・隣接・地先などの道路・水路等公有地等自由な文字列で記載(但し、フィールドセパレータの記号を地番と地番の区切り文字としてフィールド内に収録しないこと)
19 新たに生じた土地の面積 文字列 0 1 新たに生じた土地に対して町字の区域の画定が行われる場合に記載する面積を単位まで含めて自由な文字列で記載
20 新町字にかかる介在・隣接・地先コメント 0 1 (1) 21 告示対象全体にかかる介在・隣接・地先コメント 文字列 1 1 (1)
0 *
22 図面名 1 1 図面名称(位置図、概略図、明細図等)
23 図面ファイル名 1 1 データファイルの名称
24 告示表示用備考 文字列 1 1 告示に備考を表示する場合に文字列を収録
25 備考 文字列 1 1 データに関する全般的な特記事項
(*1) 文字列として、「及びこれらの区域に隣接介在する道路、水路である公有地の一部」のように収録

以下、データ構造に関する補足説明を記す。

• データ構造は、階層を持ち、繰り返し出現する項目を持つ形態となる。
• 地番(No.18):任意に複数の地番等を列記した文字列を収録する。「●から●まで」「●の一部」「●から●までの各一部」「全部」「●、●を除く全部」などの表現が用いられる。よりデータベース的なデータの持ち方としては個々の地番を配列として持つ形態も考えられる。但し、筆の一部が対象となるケースがあるため「●の一部」の表現は残る。
• 効力発生日(No.4):告示日と効力発生日が異なるケースが多いため別項目とする。但し、土地改良事業や土地区画整理事業等で「換地処分の告示があった日の翌日」と表現される場合がある。
• 「及びこれらの区域に隣接介在する道路、水路である公有地の一部」に類する記述は、公開されている告示を参考にすると以下のようなパターンがある。
① 個々の地番に付して示される場合
② 個々の旧大字・(小)字の地番列記に付して示される場合
③ 個々の新大字・(小)字に付して示される場合(複数の旧大字・(小)字を束ねて付される)
④ 告示全体に対して付して示される場合


4) 参考:告示のパターン例
実際の告示のパターンは以下のようなものがある。

①町字の区域の画定-新たに生じた土地に新規町字を設定 (例)
 ※新たに生じた土地は別途地方自治法第9条の5に基づく告示を伴う。

新 (新たに生じた土地が画される字の区域) 旧 (新たに生じた土地の所在)
大字 字 大字 字 地番 新たに生じた土地の面積
AAA BBB AAA CCC 200の地先の公有水面埋立地 1,518.00平方メートル

②町字の区域の変更-新たに生じた土地を既存町字に編入 (例)
 ※新たに生じた土地は別途地方自治法第9条の5に基づく告示を伴う。

新(新たに生じた土地が編入される字の区域) 旧(新たに生じた土地の所在)
大字 字 大字 字 地番 新たに生じた土地の面積
AAA BBB AAA BBB 1040の1地先から1125地先までの公有水面埋立地 4,332.10平方メートル

③町字の区域の変更 (例)

新(変更後) 旧(変更前)
大字 字 大字 字 地番
AAA BBB AAA CCC 18、19の2、29の一部
上記の区域に隣接介在する道路、水路である公有地の全部
DDD 35の一部
EEE FFF 70の2の一部、74から76までの各一部
上記の区域に隣接介在する道路、水路である公有地の全部
GGG 12の6、13の2、14の4の地先の道路である公有地の一部
HHH JJJ AAA KKK 507、508の1、513の2
LLL MMM 944の1、944の2の地先の水路等である公有地の一部及びこれらの区域に隣接介在する道路、水路である公有地の一部

④町字の区域の変更-字の廃止 (例)

新 旧
大字 字 大字 字 地番
AAA AAA BBB 438、439、439-2、440-1から440-6まで、441、乙441、441-3から441-5まで、<中略>、545-4、545-5
CCC 547、547-2、547-3、548、549-1から549-6まで、571-1、572-3、<中略>、590-5、590-10
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ほとんど数字が繋がらない場合もあるのだなと初めて知りました。

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⑤町字の区域・名称の変更-住居表示のため大字の区域が分割 (例)
 ※字・地番に変更のないケース。
 ※実際には下表のような表組みで示されることは少ない。

新 旧
大字 大字
AAA一丁目 AAA町
AAA二丁目
AAA三丁目

⑥町字の名称の変更-市町村合併 (例)
 ※地番に変更のないケース。

新 旧
大字 字 旧市町村名 大字 字
AAABBB FFF AAA BBB FFF
GGG GGG
AAACCC CCC
AAADDD DDD
AAAEEE EEE

7.3 住居表示の実施の告示
1) 住居表示の実施
住居表示の実施は、住居表示に関する法律に基づき、市町村が行い、告示の義務がある(詳細は、「10.1町字レベルの住所・所在地の異動」を参照)。告示に記載する事項は、以下のとおりである。

• 区域
• 期日
• 住居表示の方法(街区方式か道路方式か)
• 街区符号又は道路の名称、住居番号

住居表示の実施に伴い、町字の区域・名称の新設・廃止・変更(地方自治法第260条)を実施する場合があるが、別途前述の町字の区域・名称の新設・廃止・変更の告示がされる。
2) 告示の概要
資料7-2にインターネット上で公開されている告示の例を示す。旧新対照表、新旧対照表、新旧対照案内図が付される場合も多いようである。
資料7-2告示の例(住居表示の実施)


3) 住居表示実施の告示情報の構造
告示に示される情報について、データとして取り扱うことを想定した場合のデータ形式は以下のように表現できる。
表7-2 住居表示実施の告示情報の構造
No. 項目 型 出現数 説明
最小 最小
1 告示ID 文字列 1 1
2 告示タイトル 文字列 1 1 例-「住居表示の実施について」
3 告示日 文字列 半角英数 1 1 “YYYY-MM-DD”形式
4 実施日 文字列 半角英数 1 1 “YYYY-MM-DD”形式
5 住居表示方式コード 整数 1 1 (1:街区方式 2:道路方式 3:街区方式と道路方式の混合)
6 市区町村コード 文字列 半角数字 1 1 町字レベル住所・所在地マスターにリンク
7 市区町村名 文字列 1 10 *
8 町字ID 文字列 半角数字 1 1 町字レベル住所・所在地マスターにリンク
実施区域の町字ID ※新町字
9 大字・町名 文字列 1 1 実施区域の町字IDに対応する大字・町名
10 丁目名 文字列 1 1 実施区域の町字IDに対応する丁目名
11 住居表示方式コード 1 1 (1:街区方式 2:道路方式)
※道路方式の場合、大字・町名(No.9)に道路名が入る
12 対象区域区分コード 整数 1 1 (1:大字町丁目の全域が対象 2:大字町丁目の一部が対象 0:道路方式のため対象外)
14 実施区域図の提供有無 整数 1 1 (0:なし 1:インターネット公開有り 2:物理掲示公開有り)
15 実施区域図の公開URL 文字列 0 * 「https:」から始まるURL文字列
16 新旧対照案内図(街区まで)の提供有無 整数 1 1 (0:なし 1:インターネット公開有り 2:物理掲示公開有り)
17 新旧対照図(街区まで)の公開URL 文字列 0 * 「https:」から始まるURL文字列
18 新旧対照案内図(住居番号まで)の提供有無 整数 1 1 (0:なし 1:インターネット公開有り 2:物理掲示公開有り)
19 新旧対照図(住居番号)の公開URL 文字列 0 * 「https:」から始まるURL文字列
20 旧新対照表(住居番号)の提供有無 整数 1 1 (0:なし 1:インターネット公開有り 2:物理掲示公開有り)
21 旧新対照表(住居番号)の公開URL 文字列 0 * 「https:」から始まるURL文字列
22 新旧対照表(住居番号)の提供有無 整数 1 1 (0:なし 1:インターネット公開有り 2:物理掲示公開有り)
23 新旧対照表(住居番号)の公開URL 文字列 0 * 「https:」から始まるURL文字列
24 備考 0 1

・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最小と最小で合っているのでしょうか?
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4) 住居表示実施新旧対照データの構造
告示に付される新旧・旧新対照の情報について、データとして取り扱うことを想定した場合のデータ形式は以下のように表現できる。
表7-3 住居表示実施新旧対照データの構造
No. 項目 型 出現数 説明
最小 最大
1 告示ID 文字列 1 1 告示データとのリンクキー
2 住居表示実施日 文字列 半角英数 1 1 “YYYY-MM-DD”形式
1 *
3 新 市区町村コード 文字列 半角数字 1 1 町字レベル住所・所在地マスターにリンク
4 町字ID 文字列 半角数字 1 1 町字レベル住所・所在地マスターにリンク
5 市区町村名 文字列 1 1
6 大字・町名 文字列 1 1
7 丁目名 文字列 0 1
8 街区符号 文字列 1 1 新規に設定された街区符号(表示用)
9 住居番号 文字列 1 1 新規に設定された住居番号(表示用)
10 旧 市区町村コード 文字列 半角数字 1 1 町字レベル住所・所在地マスターにリンク
11 町字ID 文字列 半角数字 1 1 町字レベル住所・所在地マスターにリンク
12 市区町村名 文字列 1 1
13 大字・町名 文字列 1 1
14 丁目名 文字列 0 1
15 小字名 文字列 0 1
16 街区符号 文字列 0 1 旧住所が住居表示実施済みで街区が整理される場合に使用
17 住居番号 文字列 0 1 旧住所が住居表示実施済みで街区が整理される場合に使用
18 地番 文字列 0 1 旧住所が住居表示非実施の場合に使用
数字は半角を使用
支号は半角”-“(ハイフン)でつなぐ
19 旧住所備考 文字列 0 1 地区名称等の記載が必要な場合
20 方書 文字列 0 1 集合住宅名や部屋番号等を記載する場合
21 旧新対照表に記載する備考 文字列 1 1
22 備考 文字列 1 1

以下、データ構造に関する補足説明である。

• 「旧新対照表」と「新旧対照表」の両方が提供されるケースがあるが、データは1つとし、出力時にいずれも出力可能とする。
• 対応したい新旧対照表のパターン例を以下に示す。

表7-4 新旧対照表のパターン例
新 旧 備考
町名 街区符号 住居番号 町名 番地 方書
AAA一丁目 1 7 BBB 779-1
〃 1 7-101 〃 779-1 ○○マンション 101
〃 1 7-102 〃 779-1 ○○マンション 102
〃 1 17 〃 777-16
〃 1 18 〃 777-15
〃 1 19 〃 777-14
〃 2 6 BBB 787-2
〃 2 12 〃 788-1
〃 2 25 〃 783

8 住所のベース・レジストリ化による経済効果
住所のベース・レジストリ化は、大きな経済効果があると言われている。
8.1 国の規模による推定
住所データの投資額が公表されている国との規模の違いは以下のとおりである。
人口 国土
日本 12581万人 377975km2
デンマーク 582万人 43094km2
英国 6644万人 244820km2
日本/デンマーク 21倍 8.7倍
日本/英国 2倍 1.5倍

各国の5年あたりの投資と効果は日本円に換算すると以下のとおりである。
投資 効果 投資対効果
デンマーク
(2005-2010) 3.5億円 96億円 27.5倍
デンマーク
(2015-2020) 40億円 200億円 5倍
英国
(2010-2015) 6億円 12億円 2倍
英国
(2015-2020) 70億円 282億円 4倍
€1=125、£1=140、常勤職員1名のコスト1000万円で計算

海外の投資額が大きいのは住所のポリゴンまで住所データベースに登録しているためと考えられる。
8.2 想定コストによる推定
「行政手続等の棚卸結果等の概要」(2020年7月2日内閣官房IT総合戦略室、総務省)によると、国と自治体における年間の手続は24億件である。これらの手続で住所の記述がないものは考えられず、書類によっては複数箇所の記入が求められる。また、添付書類取得のために住所を記入する場合もある。軽微な間違いを除き、1%の書類で修正が必要な住所間違いがある場合、その例外処理に1000円かかるとして、240億円のコストが無駄に発生する。今後、自動審査が進み、住所の自動照合ができるようになるとエラー率はもっと上がると考えられる。

8.3 日本の想定
海外と同レベルでポリゴンまで整備する場合、国の規模で換算すると、日本は、年間で20億円の投資で100億円程度の効果が見込まれる。一方、日本の住所活用ではポリゴン情報を使用する場面が少ないので、テキストデータの登録に絞ることで、投資額を抑えた上で住所データの整備を進め、徐々にポリゴンに拡大していく方法が考えられる。
利用想定から考えると、行政内の削減効果も大きいが、デンマークでは民間での活用が70%であることを考えると、日本でも民間利用でのコスト削減効果が得られるものと考えられ、そこでも数百億円の効果が見込まれる。

いずれにしても、住所データの整備は、国内で数百億円レベルの効果が見込めると考えられる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
海外でポリゴン情報を使用する場面は、どのような場面があるのでしょうか。

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9 【付属資料1】町字ID付番ガイドライン
本ディスカッションペーパーで提示する町字レベル住所・所在地マスターデータのデータフォーマット案における、町字ID付番に係るガイドラインを示す。
9.1 町字IDの付番方法
町字IDは、町字を構成する2階層を表現し、上4桁で「大字・町」、下3桁で「丁目・小字」を表す。

①小字の扱い
大字のみのレコード、各小字のレコードを収録する。同じ大字の配下にある小字の町字IDは、上4桁は同一数字とする。小字の町字IDは下3桁に101以降の数字を使う。

レコード フィールド 収録値(例)
大字A 町字ID 0123000 (1) 住居表示フラグ 0 (住居表示非実施) 町字区分コード 1 (大字・町) 小字X 町字ID 0123101 (1)
住居表示フラグ 0 (住居表示非実施)
町字区分コード 2 (小字)
小字Y 町字ID 0123102 (1) 住居表示フラグ 0 (住居表示非実施) 町字区分コード 2 (小字) 小字Z 町字ID 0123103 (1)
住居表示フラグ 0 (住居表示非実施)
町字区分コード 2 (小字)
(*1) 上4桁は同一数字。

②丁目の扱い
丁目の前につく固有地名が同じ場合(下記例の「町字A」)は、上4桁は同一数字とする。丁目の町字IDは下3桁を丁目の数字をそのまま用いる(左側は0埋め)。これら複数の丁目をグルーピングした町のレコード(下3桁が「000」)も収録する。なお、丁目の前につく固有地名と同じ住居表示非実施の町字が併存する場合は、別レコードとして収録し、町字IDの上4桁は別々の数字を付番する(下記例の「0123」と「1234」)。

レコード フィールド 収録値(例)
町字A 町字ID 0123000 (2) 住居表示フラグ 1 (住居表示実施) 町字区分コード 1 (大字・町) 町字A 1丁目 町字ID 0123001 (2)
住居表示フラグ 1 (住居表示実施)
町字区分コード 3 (丁目)
町字A
2丁目 町字ID 0123002 (2) 住居表示フラグ 1 (住居表示実施) 町字区分コード 3 (丁目) 町字A 3丁目 町字ID 0123003 (2)
住居表示フラグ 1 (住居表示実施)
町字区分コード 3 (丁目)
町字A
(住居表示非実施) 町字ID 1234000 (3) 住居表示フラグ 0 (住居表示非実施) 町字区分コード 1 (大字・町) (2) 上4桁は同一数字
(3) 上4桁は (2)とは異なる数字

③同じ町字の一部が住居表示実施されている場合
住居表示非実施のレコードと住居表示実施のレコードをそれぞれ収録するが、町字IDの上4桁は同一数字とする(住居表示フラグの値が異なる)。なお、丁目の一部が住居表示実施されている場合は、同様に住居表示非実施のレコードと住居表示実施のレコードをそれぞれ収録し、町字IDの7桁は同一数字とする(住居表示フラグの値が異なる)。

レコード フィールド 収録値(例)
町字A
(住居表示非実施) 町字ID 0123000 (4) 住居表示フラグ 0 (住居表示非実施) (5)
町字区分コード 1 (大字・町)
町字A
(住居表示実施) 町字ID 0123000 (4) 住居表示フラグ 1 (住居表示実施) (5)
町字区分コード 1 (大字・町)
(4) 7桁同一数字 (5) 住居表示フラグの値が異なる

④初期データに関する留意事項
初期データの町字IDは、国土交通省の位置参照情報のコードを踏襲することを推奨しているが、上記仕様と異なる採番がなされているレコードに関しては、町字IDを振り直すものとする。

⑤新たな町字IDを付番するとき
「効力発生日(町字の新設・名称変更の実施日)」および「大字・町名_カナ」の昇順で、既存レコードの町字ID(上4桁)の最大値 +1の数字を新たに振っていくものとする。

9.2 町字の異動に対するレコード更新ポリシー
町字IDを新たに付番するケースや、旧レコードを削除(または廃止状態化-廃止日に有効値を収録)して新レコードを追加するケースについて、以下のとおりとする。

• 町字IDを新たに付番して新レコードを作成するケース:
‐ 町字の画定(新設)- 住居表示実施に伴うケースを含む

• 旧レコードを削除(または廃止状態化-廃止日に有効値を収録)し、町字IDを新たに付番して新レコードを作成するケース:
‐ 全国地方公共団体コード(市区町村コード)に変更が生じる事案(市町村合併、政令指定都市移行、市制施行、他の都道府県への編入、など)- 但し、同一コードが重複しない等、異動前の町字IDをそのまま継承できるケースは継承することを妨げない

• 旧レコードを削除(または廃止状態化-廃止日に有効値を収録)し、町字IDを変更せず新レコードを作成するケース:
‐ 町字の区域・名称の変更を伴わない住居表示の実施(住居表示フラグが変更)
‐ 町字の名称のみの変更

• 旧レコードを削除(または廃止状態化-廃止日に有効値を収録)し、新レコードを作成しないケース:
‐ 町字の廃止

• レコードを更新しないケース:
‐ 町字の区域のみの変更 - 元の区域の一部に町字が画定されるケースを含む

9.3 町字の区域・名称の変更 - 主なパターンの整理

①区域の画定(新設)

従来町字未設定だった区域(新たに生じた土地等)に新たな町字を画定

町字A 町字ID 新規IDを付番
効力発生日 変更実施日の日付を収録

1つの町字の区域内の一部を新たな町字として画定

町字A 町字ID 変更前のIDを継承
効力発生日 変更しない (ポリゴン形状は変更)
町字B 町字ID 新規IDを付番
効力発生日 変更実施日の日付を収録

複数の町字の区域内の一部を新たな町字として画定

町字A 町字ID 変更前のIDを継承
効力発生日 変更しない (ポリゴン形状は変更)
町字B 町字ID 変更前のIDを継承
効力発生日 変更しない (ポリゴン形状は変更)
町字C 町字ID 新規IDを付番
効力発生日 変更実施日の日付を収録

複数の町字の全域を含む新たな町字を画定

町字A 町字ID 変更なし(過去レコード保持の場合)
廃止日 廃止実施日の日付を収録(過去レコード保持の場合)
町字B 町字ID 変更なし(過去レコード保持の場合)
廃止日 廃止実施日の日付を収録(過去レコード保持の場合)
町字C 町字ID 新規IDを付番
効力発生日 画定実施日の日付を収録

②区域の廃止(全部または一部)

町字の区域内の一部が消滅 (水域に変化した等)

町字A 町字ID 変更前のIDを継承
効力発生日 変更しない (ポリゴン形状は変更)

町字の区域内の全部が消滅 (水域に変化した等)

町字A 町字ID 変更なし(過去レコード保持の場合)
廃止日 廃止実施日の日付を収録(過去レコード保持の場合)


③区域の変更

町字に従来町字未設定だった区域(新たに生じた土地等)を編入

町字A 町字ID 変更前のIDを継承
効力発生日 変更しない (ポリゴン形状は変更)

町字が他の町字の区域内の一部を編入

町字A 町字ID 変更前のIDを継承
効力発生日 変更しない (ポリゴン形状は変更)
町字B 町字ID 変更前のIDを継承
効力発生日 変更しない (ポリゴン形状は変更)

町字が他の町字の区域内の全部を編入

町字A 町字ID 変更前のIDを継承
効力発生日 変更しない (ポリゴン形状は変更)
町字B 町字ID 変更なし(過去レコード保持の場合)
効力発生日 廃止実施日の日付を収録(過去レコード保持の場合)


④名称の変更

町字の名称を変更

町字A 町字ID 変更なし(過去レコード保持の場合)
大字・町名 町字A の名称
丁目名
小字名
効力発生日 変更実施日の日付を収録(過去レコード保持の場合)
町字B 町字ID 変更前のIDを継承
大字・町名 町字B の名称
丁目名
小字名
効力発生日 変更実施日の日付を収録


⑤住居表示の実施

町字の全域で住居表示の実施(区域の画定または区域の変更、かつ/または名称の変更を伴う場合がある)

町字A
※旧レコード 町字ID 変更なし(過去レコード保持の場合)
住居表示フラグ 0(住居表示非実施)
廃止日 変更実施日の日付を収録(過去レコード保持の場合)
町字A
※新レコード 町字ID 変更前のIDを継承
住居表示フラグ 1(住居表示実施)
効力発生日 変更実施日の日付を収録

町字の区域内の一部で住居表示の実施

町字A
※住居表示未実施 町字ID 変更前のIDを継承
住居表示フラグ 0(住居表示非実施)
効力発生日 変更しない (ポリゴン形状は変更)
町字A
※住居表示実施 町字ID 変更前のIDを継承
住居表示フラグ 1(住居表示実施)
効力発生日 変更実施日の日付を収録


⑥上位階層の変更

市制施行による全国地方公共団体コード・市区町村名等の変更(町字レベルの変更はなし)

町字A
※旧レコード 全国地方公共団体コード 変更なし(過去レコード保持の場合)
町字ID 変更なし(過去レコード保持の場合)
廃止日 変更実施日の日付を収録(過去レコード保持の場合)
町字A
※新レコード 全国地方公共団体コード 新規に付与される
町字ID 新規IDを付番(旧町字IDを継承してもよい)
(市区町村レベル各名称項目) 変更後の各名称を収録
効力発生日 変更実施日の日付を登録

町制施行(村→町)による市区町村名の変更(町字レベルの変更はなし)

町字A
※旧レコード 全国地方公共団体コード 変更なし(過去レコード保持の場合)
町字ID 変更なし(過去レコード保持の場合)
効力発生日 変更実施日の日付を収録(過去レコード保持の場合)
町字A
※新レコード 全国地方公共団体コード 変更なし
町字ID 変更なし
(市区町村レベル各名称項目) 変更後の各名称を収録
効力発生日 変更実施日の日付を収録

市町村合併または政令指定都市移行で全国地方公共団体コード等の変更

町字A
※旧レコード 全国地方公共団体コード 変更なし(過去レコード保持の場合)
町字ID 変更なし(過去レコード保持の場合)
廃止日 変更実施日の日付を収録(過去レコード保持の場合)
町字A
※新レコード 全国地方公共団体コード 新規に付与される
町字ID 新規IDを付番 (市区町村区域分割時等可能な場合は旧町字IDを継承してもよい)
(市区町村レベル各名称項目) 変更後の各名称を収録
大字・町名 変更なし 又は 町字A から 町字B に変更 (合併時に区域を変更せず旧行政名を付加するケース等あり)
丁目名
小字名
効力発生日 変更実施日の日付を登録

10 【付属資料2】住所・所在地の異動に係る行政の業務
10.1 町字レベルの住所・所在地の異動
1) 町字とは? 住居表示とは?
• 総務省として住所の集約は行っていない。
• 町字の区域・名称の新設(画定)・廃止・変更は、地方自治法第260条による。告示義務を規定。
• 住居表示は、住居表示に関する法律による。告示義務を規定。町字の区域の全部又は一部に対して住居表示が実施される(一般的な街区方式の場合)。
• 自治体(市町村)が実施する。
• 町字の明確な定義は存在しない。
• 大字と(小)字の区分に関して、大字は明治の大合併(市制町村制)の際にそれ以前の旧町村名が付けられたものである。

(参考)市町村数の変遷と明治・昭和の大合併の特徴(総務省)
https://www.soumu.go.jp/gapei/gapei2.html
「明治の大合併」
 近代的地方自治制度である「市制町村制」の施行に伴い、行政上の目的(教育、徴税、土木、救済、戸籍の事務処理)に合った規模と自治体としての町村の単位(江戸時代から引き継がれた自然集落)との隔たりをなくすために、町村合併標準提示(明治21年 6月13日 内務大臣訓令第352号)に基づき、約300~500戸を標準規模として全国的に行われた町村合併。結果として、町村数は約5分の1に。

(参考)町村合併標準(明治21年 6月13日 内務大臣訓令第352号)
第六条
合併ノ町村ニハ新ニ其名称を選定スヘシ、旧町村ノ名称ハ大字トシテ之ヲ存スルコトヲ得、尤大町村ニ小町村ヲ合併スルトキハ其大町村ノ名称ヲ以テ新町村ノ名称トナシ或ハ互ニ優劣ナキ数小町村ヲ合併スルトキハ各町村ノ旧名称ヲ参互折衷スル等適宜斟酌シ勉メテ民情ニ背カサルコトヲ要ス、但町村ノ大小ニ拘ハラス歴史上著名ノ名称ハ可成保存ノ注意ヲ為スヘシ
2) 町字の区域・名称の新設・廃止・変更(地方自治法第260条)
地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000067

第二百六十条 市町村長は、政令で特別の定めをする場合を除くほか、市町村の区域内の町若しくは字の区域を新たに画し若しくはこれを廃止し、又は町若しくは字の区域若しくはその名称を変更しようとするときは、当該市町村の議会の議決を経て定めなければならない。
2 前項の規定による処分をしたときは、市町村長は、これを告示しなければならない。
3 第一項の規定による処分は、政令で特別の定めをする場合を除くほか、前項の規定による告示によりその効力を生ずる。

(要点)
• 市町村の区域内に画する「町若しくは字(の区域)」と表現。
• 「町若しくは字」の定義を記載した条項は見当たらない。
• 告示(市町村長による)が必要なケース:
‐ 区域の画定(新設)
‐ 区域の廃止(全部又は一部)
‐ 区域の変更
‐ 名称の変更
• 地方自治法第260条は、改正により2012(H24)年4月1日から、都道府県から市町村に業務が移管されている(それ以前から条例で権限委譲しているケースもある)。
→現在は、都道府県のWebサイトから情報をまとめて取得できないケースが大半となっている。2012年までの情報だけ掲載された都道府県もある。

(参考) 福井県 町・字の区域・名称の変更等に係ること
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/sityousinkou/azakai-menu.html
なお、「地域主権改革に基づく第2次一括法による基礎自治体への権限移譲」に伴う地方自治法第260条の改正により、平成24年4月1日から、町または字の区域・名称の変更等に関する事務は市町がおこなうことになりました。(平成20年4月から、「福井県知事の権限に属する事務処理の特例に関する条例」の一部改正により既に移譲済み。)

(参考) 内閣府 都道府県から市町村への事務・権限の移譲等
https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/kisojititai/kisojititai-index.html
2011(H23)年8月26日成立
「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(平成23年法律第105号)(第2次一括法)
(地方自治法の一部改正)
第十四条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。
<中略>
第二百六十条第一項中「政令で特別の定をする場合を除く外」を「市町村長は、政令で特別の定めをする場合を除くほか」に、「あらたに」を「新たに」に改め、「市町村長が」を削り、「これを定め、都道府県知事に届け出なければならない」を「定めなければならない」に改め、同条第二項中「届出を受理した」を「処分をした」に、「都道府県知事は、直ちに」を「市町村長は、」に改める。

3) 新たに生じた土地(地方自治法第9条の5)
地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000067

第九条の五 市町村の区域内にあらたに土地を生じたときは、市町村長は、当該市町村の議会の議決を経てその旨を確認し、都道府県知事に届け出なければならない。
2 前項の規定による届出を受理したときは、都道府県知事は、直ちにこれを告示しなければならない。

(要点)
• 埋立等による新たに生じた土地は、市町村長が議会の議決を経て確認し、都道府県知事が告示する。
• その後、地方自治法第260条により「町若しくは字」が画定される。


4) 住居表示(住居表示に関する法律)
住居表示に関する法律 (昭和三十七年法律第百十九号)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000119

(住居表示の原則)
第二条 市街地にある住所若しくは居所又は事務所、事業所その他これらに類する施設の所在する場所(以下「住居」という。)を表示するには、都道府県、郡、市(特別区を含む。以下同じ。)、区(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の二十の区及び同法第二百五十二条の二十の二の総合区をいう。)及び町村の名称を冠するほか、次の各号のいずれかの方法によるものとする。
一 街区方式 市町村内の町又は字の名称並びに当該町又は字の区域を道路、鉄道若しくは軌道の線路その他の恒久的な施設又は河川、水路等によつて区画した場合におけるその区画された地域(以下「街区」という。)につけられる符号(以下「街区符号」という。)及び当該街区内にある建物その他の工作物につけられる住居表示のための番号(以下「住居番号」という。)を用いて表示する方法をいう。
二 道路方式 市町村内の道路の名称及び当該道路に接し、又は当該道路に通ずる通路を有する建物その他の工作物につけられる住居番号を用いて表示する方法をいう。

(要点)
• 住居表示には、「街区方式」と「道路方式」がある。
• 「街区方式」では、市区町村の配下として以下の階層構造により表示される。
‐ 「町又は字」(名称・区域)
‐ 「街区(街区符号)」
‐ 「住居(住居番号)」
• 「道路方式」の適用は例外的。山形県東根市等に事例がある。

(住居表示の実施手続)
第三条 市町村は、前条に規定する方法による住居表示の実施のため、議会の議決を経て、市街地につき、区域を定め、当該区域における住居表示の方法を定めなければならない。
2 市町村は、前項の規定により区域及びその区域における住居表示の方法を定めたときは、当該区域について、街区符号及び住居番号又は道路の名称及び住居番号をつけなければならない。
3 市町村は、前項の規定により街区符号及び住居番号又は道路の名称及び住居番号をつけたときは、住居表示を実施すべき区域及び期日並びに当該区域における住居表示の方法、街区符号又は道路の名称及び住居番号を告示するとともに、これらの事項を関係人及び関係行政機関の長に通知し、かつ、都道府県知事に報告しなければならない。
4 市町村は、第一項及び第二項に規定する措置を行なうに当たつては、住民にその趣旨の周知徹底を図り、その理解と協力を得て行なうように努めなければならない。

(要点)
• 住居表示実施の告示
‐ 区域
‐ 期日
‐ 住居表示の方法
‐ 街区符号(又は道路名称)
‐ 住居番号
• 都道府県知事への報告義務がある

(町又は字の区域の新設等の手続の特例)
第五条の二 市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)は、第二条に規定する方法による住居表示の実施のため、地方自治法第二百六十条第一項の規定により町若しくは字の区域の新設若しくは廃止又は町若しくは字の区域若しくはその名称の変更(以下「町又は字の区域の新設等」という。)について議会の議決を経ようとするときは、あらかじめ、その案を公示しなければならない。
2 前項の規定により公示された案に係る町又は字の区域内に住所を有する者で市町村の議会の議員及び長の選挙権を有するものは、その案に異議があるときは、政令の定めるところにより、市町村長に対し、前項の公示の日から三十日を経過する日までに、その五十人以上の連署をもつて、理由を附して、その案に対する変更の請求をすることができる。
3 市町村長は、前項の期間が経過するまでの間は、住居表示の実施のための町又は字の区域の新設等の処分に関する議案を議会に提出することができない。
4 第二項の変更の請求があつたときは、市町村長は、直ちに当該変更の請求の要旨を公表しなければならない。
5 市町村長は、第二項の変更の請求があつた場合において、当該変更の請求に係る町又は字の区域の新設等の処分に関する議案を議会に提出するときは、当該変更の請求書を添えてしなければならない。
6 市町村の議会は、第二項の変更の請求に係る町又は字の区域の新設等の処分に関する議案については、あらかじめ、公聴会を開き、当該処分に係る町又は字の区域内に住所を有する者から意見をきいた後でなければ、当該議案の議決をすることができない。
7 市町村の議会は、第二項の変更の請求に係る町又は字の区域の新設等の処分に関する議案について、修正してこれを議決することを妨げない。
8 第二項の市町村の議会の議員及び長の選挙権を有する者とは、第一項の公示の日において選挙人名簿に登録されている者をいう。

(要点)
• 住居表示のため地方自治法第260条1項(前述)により「町若しくは字」の新設・廃止・区域変更・名称変更がある場合は、あらかじめその案を公示する必要がある。
• 案の公示後30日が経過しないと、「町若しくは字」の新設等の議案を議会に提出できない。
• 議会は「町若しくは字」の新設等の議案について公聴会を開いた後でないと議決できない。

5) 住居表示実施の手順

<住居表示実施の手順の概要>
① 原案の作成
調査、区域や街区の案の作成
(住居表示に関する法律 第4条:住居表示実施の手続等は市町村の条例で定める)
② 住居表示審議会
原案を審議し、市町村長へ答申
(住居表示に関する法律 第4条:住居表示実施の手続等は市町村の条例で定める)
③ 議会の議決(住居表示する区域・方法)
(住居表示に関する法律 第3条第1項)
④ 町字の区域変更案の公示
(住居表示に関する法律 第5条の2第1項)
⑤ 議会の議決と告示(町字の区域等の変更)
(地方自治法第260条第1項・第2項)
⑥ 街区符号・住居番号の決定
(住居表示に関する法律 第3条第2項)
⑦ 住居表示の告示
(住居表示に関する法律 第3条第3項)

(参考) 住居表示の手引(八王子市)
https://www.city.hachioji.tokyo.jp/kurashi/kosekijumin/008/002/p004503_d/fil/jukyohyojitebiki.pdf

(参考) 住居表示の実施経過の例(厚木市)
https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/machiit/kaihatsu/hyouzi/sanda-jyuukyohyouji/d046552.html

(参考)『市町村境界変更等事務の手引』(財団法人福島県市町村振興協会)
http://www.fksm.jp/sinko/kyoukai.pdf
平成17年11月
※注:都道府県から市町村への事務・権限の移譲等の地方自治法第260条改正前
第1章 市町村境界変更
第2章 権限移譲事務の概要
第3章 町(字)の区域及び名称の変更
第4章 あらたに生じた土地の確認及びそれに伴う町(字)の変更等
第5章 住居表示


6) 告示の例 - 地方自治法第260条(住居表示の実施に伴うもの以外)

(参考) 町の区域の設定(福井市) ※土地区画整理関連
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/sityousinkou/azakai-menu30_d/fil/fukui183.pdf

(参考) 字の区域の画定(阿南市) ※新たに生じた土地
https://www.pref.tokushima.lg.jp/file/attachment/511209.pdf
 

7) 告示の例 - 住居表示

(参考) 住居表示における町字の区域等の変更案の公示の例(厚木市)
https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/machiit/kaihatsu/hyouzi/sanda-jyuukyohyouji/d042459.html
※住居表示実施の手順の「④ 町字の区域変更案の公示」

(参考) 町の区域の設定及び字の廃止の告示の例(厚木市)
https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/machiit/kaihatsu/hyouzi/sanda-jyuukyohyouji/d043698_d/fil/kokuji.pdf
※住居表示実施の手順の「⑤ 議会の議決と告示(町字の区域等の変更)」


(参考) 住居表示実施の告示の例(うるま市)
https://www.city.uruma.lg.jp/sp/userfiles/U033/files/kokuji3-3.pdf


(参考) 住居表示旧新対照表の例(厚木市) ※旧住所→新住所参照
https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/machiit/kaihatsu/hyouzi/sanda-jyuukyohyouji/d046552_d/fil/sandakyuushin.pdf

(参考) 住居表示新旧対照表の例(厚木市) ※新住所→旧住所参照
https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/machiit/kaihatsu/hyouzi/sanda-jyuukyohyouji/d046552_d/fil/sandasinkyuu.pdf

(参考) 住居表示新旧対照案内図の例(厚木市)
https://www.city.atsugi.kanagawa.jp/machiit/kaihatsu/hyouzi/sanda-jyuukyohyouji/d046552_d/fil/sanda_sinkyu_annaizu.pdf

8) 町界町名地番整理
• 住所をわかりやすく表現するために採られる手法には、住居表示と(町界)町名地番整理の2つがある。
• 町名地番整理の場合は街区方式の住居表示と同様に街区(ブロック)に対して地番(親番)を設定し、街区内の個々の土地に対して地番の支号(枝番)を設定することが認められている。
• この場合、数字を「-」でつないだ表記をされた住所の場合は両者の違いの判別は困難(住居表示の場合は「1番2号」、町名地番整理された地番の場合は「1番地の2」と表現されるケースが多い)。
• 以下に市町村のWebサイトに説明が掲載されている事例を示す。

(参考)日野市は住居表示を採用していますか。
http://www.city.hino.lg.jp/faq/kurashi/sumai/1000713/1000723.html
日野市は、住居表示に関する法律(昭和37年5月10日法律第119号)にもとづく住居表示を採用していません。
土地の表示(町名地番)をそのまま住所に使っています。
(参考)日野市の町名地番整理
http://www.city.hino.lg.jp/shisei/machidukuri/chomei/1005343.html
日野市では、町名が混在していたり、地番が複雑になっている地区及び土地区画整理事業が終了する地区を対象に町名地番整理を進めています。

(参考)川越市 町名地番整理とは
https://www.city.kawagoe.saitama.jp/shisei/toshi_machizukuri/machizukuri/chomeichiban/chomeichiban_toha.html
町名地番整理とは、町名地番が混乱している区域の町名及び地番を変更し、住所等をわかりやすくする事業です。
なお、川越市では住居表示ではなく、町名地番整理を実施しております。

(参考)稲城市 住所整理事業とは
https://www.city.inagi.tokyo.jp/smph/shisei/machi_zukuri/juushoseiri/juushoseirijigyou.html
現在の稲城市の住所、所在地の表示方法は、土地の番号である地番を使用しています。
地番は元々、人の居住場所を知るために設けられたものでなく、主に徴税を目的として明治時代に土地につけられた番号です。
そのため、土地の分合筆や道路整備等が行われるたびに番号の規則性が失われ、番号が飛んでいる、同じ地番に多くの家が建っている等、大変わかりにくい状況になっています。
このような状況を解消するために、わかりやすい住所、所在地の表示への整理を進めています。

(参考)戸田市 住所整理事業
https://www.city.toda.saitama.jp/soshiki/271/tosikei-k-three-zyuukyo.html
住所整理とは
住所が連続していない地域では、道案内や通報の際、場所の伝達に苦労をおかけすることがあります。また、緊急車両や配送車両を運転する方は、迅速に場所を特定するのに苦慮しています。
このような状況を解消するため、住所の番号を順序よく整理し、わかりやすくする事業として住所整理事業を行っています。
住所整理の手法
住所整理の手法には、土地の番号を振りなおす「町界町名地番整理」と建物の位置で住所を付ける「住居表示」のふたつの手法があります。
戸田市での住所整理の実施状況は以下のとおりです。
戸田市内住所整理実施状況図 [PDFファイル/672KB]
※戸田市は町名地番整理と住居表示を併用。

• なお、町名地番整理の場合は地番をそのまま住所の表示に使用するが、住所の表示は「番地」、土地の地番は「番」と表現される違いを説明している資料がある。

(参考)川越市 町名地番整理について
https://www.city.kawagoe.saitama.jp/shisei/toshi_machizukuri/machizukuri/chomeichiban/pamphlet.files/chomeipamphlet202006.pdf
住所・本籍  川越市元町1丁目3番地1
土地の地番  川越市元町1丁目3番1

(参考)稲城市住所整理事業
https://www.city.inagi.tokyo.jp/shisei/machi_zukuri/juushoseiri/juushoseirijigyou.files/pamphlet.pdf
住   所  稲城市東長沼一丁目1番地の1
土地の地番  稲城市東長沼一丁目1番1
9) その他

(参考)なぜ、堺市では美原区域以外は「丁目」じゃなくて「丁」なの?
https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/jutaku/jutaku/jukyohyoji/cho.html


10.2 地番の異動
1) 地番の異動が生じるケース
• 地番の新設・廃止や、地番の区域の変更は、必ず不動産登記法に基づく土地の表題部に関する登記が行われる。
• 表題登記(新たに生じた土地等)、土地の滅失の登記、分筆・合筆の登記等がある。
• 面的に異動が生じるケースとしては、土地改良事業(土地改良法(昭和24年法律第195号)、土地区画整理事業(土地区画整理法(昭和29年法律第119号))、市街地再開発事業(昭和44年法律第38号)等がある。
• 住所整理事業で、住居表示によらない手法として町界町名地番整理(地方自治法第260条)がある(10.18) 町界町名地番整理)。町の区域をわかりやすく設定した後に、土地の地番を順序よく振り直すもの。
• 地番に対応する一筆の土地の形状に関する情報は、登記所備付地図又は公図として記録される。

2) 不動産登記
不動産登記法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000123

(要点-全般)
• 不動産とは、土地又は建物をいう (不動産登記法第2条第1号)
• 登記記録のうち表示に関する登記が記録される部分を表題部、権利に関する登記が記録される部分を権利部という (不動産登記法第2条第7号及び第8号)

(要点-土地の登記)
• 登記記録は、一筆の土地又は一個の建物ごとに作成される。(不動産登記法第2条第5号)
• 土地の表示に関する登記の登記事項に、土地の所在する市区郡町村及び字と地番が含まれる。(不動産登記法第34条)
• 地番とは、地番区域(地番を付すべき区域)を定め、一筆の土地ごとに付す番号をいう。(不動産登記法第35条及び第2条第17号(定義))
• 土地の表題登記(表示に関する登記のうち表題部に最初にされる登記-新たに生じた土地、表題登記がない土地の所有権の取得) (不動産登記法第36条及び第2条第20号(定義))
• 分筆・合筆の登記 (不動産登記法第39条)
• 土地の滅失の登記 (不動産登記法第42条)
• 登記所には、「地図」(登記所備付地図(14条地図))及び建物所在図を備え付ける。各土地の区画を明確にし、地番を表示する。地図が備え付けられるまでの間、これに代わるものとして「地図に準ずる図面」(公図)を備え付けることができる。 (不動産登記法第14条)

不動産登記規則
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417M60000010018

(要点-土地の登記)
• 地番区域は市、区、町、村、字又はこれに準ずる地域をもって定める。(不動産登記規則第97条)
• 地番は地番区域ごとに起番して定める。(不動産登記規則第98条)
• 地番区域が大字・町の場合は小字(ある場合)の表記を省略しても地番は一意に決まるが、地番区域が小字の場合は小字の表記を省略できない(同一大字内に同じ地番の重複がある)。

(参考)不動産登記のABC (法務省)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji02.html
不動産登記とは?
 不動産登記は,わたしたちの大切な財産である土地や建物の所在・面積のほか,所有者の住所・氏名などを公の帳簿(登記簿)に記載し,これを一般公開することにより,権利関係などの状況が誰にでもわかるようにし,取引の安全と円滑をはかる役割をはたしています。

登記記録(登記簿)とは?
1  登記簿は磁気ディスクをもって調製されています。登記所では,所定の請求書を提出すると,だれでも登記事項証明書(登記事項の全部又は一部を証明した書面。)の交付を受けることができ,また,だれでも登記事項要約書(登記事項の概要を記載した書面)の交付を受けることができます。
2  登記記録は,1筆(1区画)の土地又は1個の建物ごとに表題部と権利部に区分して作成されています。さらに,権利部は甲区と乙区に区分され,甲区には所有権に関する登記の登記事項が,乙区には所有権以外の権利に関する登記の登記事項がそれぞれ記録されています。
(1)  表題部の記録事項
土地・・・所在,地番,地目(土地の現況),地積(土地の面積)など
建物・・・所在,地番,家屋番号,種類,構造,床面積など (表題部にする登記を「表示に関する登記」といいます。)
 マンションなどの区分建物については,その建物の敷地に関する権利(敷地権)が記録される場合があります。この敷地権についての権利関係は,区分建物の甲区,乙区の登記によって公示されます。
(2) 権利部(甲区)の記録事項  所有者に関する事項が記録されています。その所有者は誰で,いつ,どんな原因(売買,相続など)で所有権を取得したかが分かります(所有権移転登記,所有権に関する仮登記,差押え,仮処分など)。
(3) 権利部(乙区)の記録事項  抵当権など所有権以外の権利に関する事項が記録されています(抵当権設定,地上権設定,地役権設定など)。

(要点)
• 土地の登記記録の表題部の情報を集約することにより、地番の実在情報(レコード)は得ることができる。
• その地番がどこの土地を指すものかについては、別掲の地図(登記所備付地図)・地図に準ずる図面(公図)による。
資料 10 1 不動産登記のABC (法務省)より引用


(参考)地番の定め方 (不動産登記事務取扱手続準則第67条)
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%B8%8D%E5%8B%95%E7%94%A3%E7%99%BB%E8%A8%98%E4%BA%8B%E5%8B%99%E5%8F%96%E6%89%B1%E6%89%8B%E7%B6%9A%E6%BA%96%E5%89%87%E7%AC%AC67%E6%9D%A1
(地番の定め方)
第67条
1.地番は,規則第98条に定めるところによるほか,次に掲げるところにより定めるものとする。
一 地番は,他の土地の地番と重複しない番号をもって定める。
二 抹消,滅失又は合筆により登記記録が閉鎖された土地の地番は,特別の事情がない限り,再使用しない。
三 土地の表題登記をする場合には,当該土地の地番区域内における最終の地番を追い順次にその地番を定める。
四 分筆した土地については,分筆前の地番に支号を付して各筆の地番を定める。ただし,本番に支号のある土地を分筆する場合には,その1筆には,従来の地番を存し,他の各筆には,本番の最終の支号を追い順次支号を付してその地番を定める。
五 前号本文の規定にかかわらず,規則第104条第6項に規定する場合には,分筆した土地について支号を用いない地番を存することができる。
六 合筆した土地については,合筆前の首位の地番をもってその地番とする。
七 特別の事情があるときは,第3号,第4号及び第6号の規定にかかわらず,適宜の地番を定めて差し支えない。
八 土地区画整理事業を施行した地域等においては,ブロック(街区)地番を付して差し支えない。
九 地番の支号には,数字を用い,支号の支号は用いない。
2.登記官は,従来の地番に数字でない符号又は支号の支号を用いたものがある場合には,その土地の表題部の登記事項に関する変更の登記若しくは更正の登記又は土地の登記記録の移記若しくは改製をする時に当該地番を変更しなければならない。ただし,変更することができない特段の事情があるときは,この限りでない。
3.登記官は,同一の地番区域内の2筆以上の土地に同一の地番が重複して定められているときは,地番を変更しなければならない。ただし,変更することができない特段の事情があるときは,この限りでない。
4.地番が著しく錯雑している場合において,必要があると認めるときは,その地番を変更しても差し支えない。
(要点)
• 地番は数字とするのが原則だが、従来の地番には数字でないものが存在しうることが示唆されている。その場合、変更の登記等に合わせて数字の地番に変更される。
• 支号(枝番)の支号(枝番)は用いないのが原則だが、従来の地番には支号の支号を用いたものが存在しうることが示唆されている。その場合、変更の登記等に合わせて支号の支号がない地番に変更される。

(参考)登記所の地図には どのようなことが記載されているのですか? (法務局)
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/000130963.pdf
1 登記所には,どのような地図が備え付けられているのですか。
登記所には,大きく分けて,次の2種類の地図が備え付けられています。
① 地図(法第14条第1項)
 不動産登記法第14条第1項の規定によって,登記所に備え付けることとされている地図で精度の高い調査・測量の成果に基づいて作成されたものです。
 精度が高い地図ですが,備付けが完了していない地域もあります。
② 地図に準ずる図面(法第14条第4項,いわゆる公図)
 ①の地図(法第14条第1項)が備え付けられるまでの間,これに代わって登記所に備え付けることとされている図面で,土地の位置,形状及び地番を表示しているものです。
 これらの図面の大部分は,明治時代に作成された旧土地台帳附属地図(いわゆる公図)で,昭和25年以降に税務署から登記所に移管されたものであり,①の地図(法第14条第1項)と比べると,精度が劣っています。

2 地図には,どのような事項が記録されているのですか。
 地図は,登記されている土地が,現地のどこにあって(位置 ,どのような形)をしていて(形状,区画 ,隣接している土地の地番は何番かを表すために,一筆又は数筆の土地ごとに作成されています。
 地図には,
 (1)地番区域の名称「東京都千代田区霞が関一丁目」など
 (2)地図(各図郭)の番号 地図にはそれぞれ固有の番号が付されています。この地図番号は,登記記録の表題部にも記録されています。
 (3)縮尺
 (4)平面直角座標系の番号又は記号
 (5)図郭線及びその座標値
 (6)各土地の区画及び地番
 (7)基本三角点等の位置
 (8)精度区分
 (9)隣接図郭との関係
 (10)作成年月日
 が記録されています。
 なお,地図に準ずる図面の大部分は,明治時代に作成された旧土地台帳附属地図(いわゆる公図)であるため,上記の事項の全ては表示されておらず,また,土地の形状が現地と一致していないものもあります。このような地図に準ずる図面は,登記された土地のおおよその位置,地番とその隣接関係を表示しているものとお考えください。
 このほか,紛争等のために隣接地との筆界が不明確な土地については,地図に筆界を表示せずに,そのような土地の地番を並列するなどの方法で表示しているものも一部あります。

(要点)
• 登記所備付地図が整備されている場合、土地の区画(地番の区域)の図形情報が座標(緯度経度)付きで存在する。
• 登記所備付地図が整備されていない場合、公図しかないため正確な座標情報は存在しない。

土地家屋調査士法 (昭和25年法律第228号)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC1000000228

(参考) 土地家屋調査士の業務 (法務省)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji117.html
(参考) 土地家屋調査士について (日本土地家屋調査士会連合会)
https://www.chosashi.or.jp/investigator/about/
土地家屋調査士の業務
(1) 不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査及び測量をすること。
(2) 不動産の表示に関する登記の申請手続について代理すること。
(3) 不動産の表示に関する登記に関する審査請求の手続について代理すること。
(4) 筆界特定の手続について代理すること。
(5) 土地の筆界が明らかでないことを原因とする民事に関する紛争に係る民間紛争解決手続について代理すること。
※ (1)~(5)の事務に関して,相談に応じること等も,業務に含まれる。

(要点)
• 不動産登記に必要な調査・測量は土地家屋調査士が行っている。
• 例えば、土地の分筆登記であれば、登記所に備え付けられた地図や地積測量図等の資料、現地の状況や隣接所有者の立会い等を得て公法上の筆界を確認し、その成果に基づき測量をする。

(参考)登記所備付地図作成作業 (法務省)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00236.html
(参考)登記所備付地図整備事業の推進 (法務省)
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00231.html
全国の法務局・地方法務局においては,「民活と各省連携による地籍整備の推進」(平成15年6月26日都市再生本部決定)の方針を踏まえ,全国の都市部の人口集中地区(DID)の地図混乱地域を対象に,登記所備付地図[注3]作成作業を計画的に実施しています。
  しかし,地価が高額であるなどといった理由により大都市の枢要部や地方の拠点都市の地図の整備は進んでいません。また,東日本大震災の被災県においても,復興の進展に伴い地図の整備が求められています。
  そこで,法務省民事局では,登記所備付地図の整備の更なる推進を図るため,従来の計画を見直し,平成27年度を初年度とする,(1)「登記所備付地図作成作業第2次10か年計画」,(2)「大都市型登記所備付地図作成作業10か年計画」及び(3)「震災復興型地図作成作業3か年計画」を策定し,作業面積を拡大して実施することとしました。
  なお,個々の登記所備付地図作成作業は,2年単位で実施しております。

注3
登記所備付地図とは,不動産登記法(平成16年法律第123号)第14条第1項の規定に基づき,登記所に備え付けられる地図のことをいい,これにより,各土地の位置及び区画(筆界(境界))を明確にすることができます。
なお,登記所備付地図が備え付けられるまでの間,これに代えて,地図に準ずる図面(公図)が備え付けられています(同条第4項)が,公図は,明治期の地租改正の際に作成されたものが多く,現地を復元するほどの精度と正確性は有していません。

(要点)
• 登記所備付地図の整備は、都市部において整備が遅れている。

(参考)地図情報システムで取り扱う地図情報のデータ形式について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00171.html
地図情報システムは,登記所に備え付けられている地図及び地図に準ずる図面等を電子情報として管理し,コンピュータシステムによる事務の処理を可能とするシステムです。
地図情報システムで取り扱われている地図及び地図に準ずる図面のデータ形式は,以下のとおりです。

法務省フォーマット
http://www.moj.go.jp/content/000116463.pdf
地図XMLフォーマット
http://www.moj.go.jp/content/000116464.pdf

筆データ
フィールドフォーマット
No. 項目 説明 型 サイズ 例
1 大字コード 文字列 3
2 丁目コード 文字列 3
3 小字コード 文字列 4
4 予備コード 文字列 2
5 大字名 文字列
6 丁目名 文字列
7 小字名 文字列
8 予備名 文字列
9 地番 文字列
(以下略)
※法務省フォーマット、地図XMLフォーマットで要素は共通

(要点)
• 表題部の登記における「所在」(地番の上位階層の行政区画を示す)のうち町字が「大字」「丁目」「小字」に区分されている。
• 任意座標(緯度・経度や平面直角座標に対応がつかない座標)で整備されている場合や、方位、縮尺不明の場合がある。

3) 地籍調査
国土調査法 (昭和26年法律第180号)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0000000180

国土調査法施行令 (昭和27年政令第59号)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327CO0000000059

(参考)地籍調査Webサイト (国土交通省)
http://www.chiseki.go.jp/
(参考)地籍調査とは? (国土交通省)
http://www.chiseki.go.jp/about/point/index.html
地籍調査とは、主に市町村が主体となって、一筆ごとの土地の所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量する調査です。「地籍」とは、いわば「土地に関する戸籍」のことです。各個人には固有の「戸籍」という情報があり、様々な行政場面で活用されているのと同様に、土地についても「地籍」の情報が行政の様々な場面で活用されています。
我が国では、土地に関する記録は登記所において管理されていますが、土地の位置や形状等を示す情報として登記所に備え付けられている地図や図面は、その半分ほどが明治時代の地租改正時に作られた地図(公図)などをもとにしたものです。そのため登記所に備え付けられている地図や図面は、境界や形状などが現実とは異なっている場合が多くあり、また、登記簿に記載された土地の面積も、正確ではない場合があるのが実態です。
地籍調査が行われることにより、その成果は登記所にも送られ、登記簿の記載が修正され、地図が更新されることになります。また、固定資産税算出の際の基礎情報となるなど、市町村における様々な行政事務の基礎資料として活用されます。
なお、地籍調査は、国土調査法に基づく「国土調査」の1つとして実施されています。

(要点)
• 地籍調査の成果の写しは登記所に送付される。(国土調査法第20条)
• 登記所に送付された地籍図は登記完了後に地図として備え付ける。(不動産登記規則第10条第5項)


(参考)地籍整備の推進に関する政策評価 政策評価書 (総務省)
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01hyoka02_191206000137696.html
(第3 政策効果の把握の結果  8 法務局・地方法務局との連携状況)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000657953.pdf
全国の登記所に備え付けられている地図・図面の現状は、図表8-(1)-ア-②のとおり、平成30 年 4 月 1 日現在、約722 万枚の地図・図面が備え付けられており、このうち登記所備付地図は約407 万枚(56.4%)で、残りの約315 万枚(43.6%)が公図となっている。 登記所備付地図の内訳をみると、地籍調査による地籍図が約301万枚(74.0%)となっており、このほか、土地改良図等の土地所在図等が約104万枚(25.6%)、法務局等作成地図が約2.4 万枚(0.6%)となっている。

(要点)
• 地図・図面のうち登記所備付地図は56%(2018年時点)。
• 登記所備付地図のうち地籍調査によるものが74%(2018年時点)。


(参考)公図と現況のずれ Q&A (国土交通省)
http://gaikuchosa.mlit.go.jp/gaiku/html/info4.html
Q3:公図と現況のずれは、どのように調査したのですか。
A:国土交通省においては、平成16年度から18年度にかけ都市再生街区基本調査を実施し、市区町から収集した情報及び現地踏査を元に、公図の角の点に対応すると考えられる現地の点の位置を測量しています。
これらの点を基準として、できるだけ差が小さくなるように公図と現況図を重ねたときの乖離を「ずれ」と表現しています。
この「ずれ」の値は、現在の公図が正しい地図を作るためにどの程度有用であるかの目安を示すものです。現地で測量した点は土地の所有者に筆界であることを確認した点ではありません。また、一筆ごとの土地それぞれについて公図とのずれを示す目的で作業をしたものでもありませんので、ご利用にあたってはご留意ください。

Q8:全国的な公図と現況のずれはどのような傾向になっているのですか。
A:公図と現況のずれの傾向は下表の通りです。

(要点)
• 公図の精度について、都市再生街区基本調査(2004~06年に人口集中地区(DID)の地籍調査が行われていない地域全域に対して実施)の結果として、大きなずれ(ずれが1m以上)のある地域が50%以上。

(参考)都市再生街区基本調査 (国土交通省 地籍調査Webサイト)
http://www.chiseki.go.jp/plan/cityblock/index.html
都市再生街区基本調査とは、都市部の地籍調査を推進するための基礎的データを整備するために、平成16~18年度に国が実施した基本調査です。
一筆ごとの土地について所有者、地番、地目、境界及び面積を調査する地籍調査は、土地の境界を明確にし、土地取引による経済活動全体の円滑化・活性化につながり、公共事業などを円滑に進めるためにも早期に取り組むことが必要です。
しかし、調査には多くの労力と時間がかかり、特に都市部では土地の権利関係が複雑なため調査が遅れています(調査開始時点(平成16年度末)における進捗率:全国46%、都市部19%))。このような都市部の地籍整備の状況を改善し、都市開発事業や公共事業の円滑化・迅速化及び安心のできる土地取引の基盤づくりを進めていくことが都市再生を推進する上できわめて重要です。また、平成15年6月の都市再生本部会合において、全国の都市部における地籍整備を推進するため、関係省庁が協力して推進するよう指示がありました。
これらを踏まえて、全国の都市部における地籍整備の推進を図ることを目的として、地籍調査のための基礎的調査を実施する「都市再生街区基本調査」が行われました。

11 【付属資料3】現状入手可能な無償・有償の住所データ
11.1 住所データ概観
1) 住所データ/概観
市区町村 町字
[大字町丁目] 街区符号
(住居表示区域) 住居番号
(住居表示区域)
+地番
(非住居表示) 地番
(住居表示区域)
マスター 代表点 ポリゴン マスター 代表点 ポリゴン マスター 代表点 ポリゴン マスター 代表点 ポリゴン マスター 代表点 ポリゴン
全国地方公共団体コード・JIS
(総務省) ◎
全国町・字ファイル
(国土地理協会/J-LIS) ◎
日本行政区画便覧ファイル
(日本加除出版) ◎ ◎
大字・町丁目レベル位置参照情報
(国土交通省) ◎ ○
街区レベル位置参照情報
(国土交通省) ○ ○
基盤地図情報
(国土地理院) ○ ○ ○ ○ ○ 線
のみ
国勢調査・小地域-町丁・字等別
(総務省統計局) ○ ○
電子国土基本図(地名情報) 居住地名
(国土地理院) ○ ○
電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」
(国土地理院) 住居番号のみ 住居番号のみ
不動産登記
登記所備付地図
(法務省) 地番のみ ○
不動産登記
公図
(法務省)
民間地図会社 ◎ ○ ○ ◎ ○ ○ ◎ ○ ※ ◎ ○
民間地図会社
(ゼンリン/NTT) ◎ ○ ※
<凡例>
◎:コード化されたマスターデータあり
○:コード化されていないマスターデータあり/位置情報(代表点・ポリゴン)の収録あり
※:収録の有無が異なる

【参考メモ】
• 位置情報(緯度経度座標)の整備には「代表点」と「ポリゴン」がある。
代表点 :1地点の緯度経度座標を持つ。位置の検索等に使える。
ポリゴン:領域を多角形(各頂点に緯度経度を持つ)の面で示す。ある地点がどのポリゴンに内包するかの判定や、統計情報の集計等に使える。
※なお、境界線を「線(ライン)」で持っている場合、表示用には使えても、集計等の用途には使えない。
• 住居表示実施区域は、表示用の住所(○丁目○番○号)と、不動産登記の地番の二重構造になっている。
• 住居表示非実施区域は、不動産登記の地番をそのまま住所・所在地の表示に使う。
• したがって、民間企業を中心とする住所データ(番地号レベル・位置情報付き)については、住居表示実施区域については住居表示のみの収録、住居表示非実施区域については地番の収録とする場合が主流である。
• 住居表示実施区域の不動産登記の地番は、民間地図会社のゼンリン(商品名「ブルーマップ」)、NTTインフラネット[旧:NTT空間情報](商品名:「GEOSPACE地番地図」)が整備・提供している。自治体のWebサイトで、住居表示整備区域の地番を知るには、窓口でブルーマップを参照するように、と説明しているケースもある。
• 通称町名が普及している地域があるが、通称町名の収録有無に関しては、各社各様のポリシーに準じているようである。

2) 住所データ/大字町丁目レベル
データ 更新頻度 収録範囲 備考
マスター
(レコード) 全国町・字ファイル
(国土地理協会/J-LIS) 月1回 全国
日本行政区画便覧ファイル
(日本加除出版) 月1回 全国
大字・町丁目レベル位置参照情報
(国土交通省国土情報課) 年1回 全国 街区レベル位置参照情報を補完する位置付け
基盤地図情報
(国土地理院) 年4回 全国 位置参照情報を活用していると思われる
国勢調査・小地域-町丁・字等別
(総務省統計局) 5年に1回 全国
民間地図会社 年2 or 4 or 12回 全国
代表点 大字・町丁目レベル位置参照情報
(国土交通省国土情報課) 年1回 全国
基盤地図情報
(国土地理院) 年4回 全国 位置参照情報を活用していると思われる
民間地図会社 年2 or 4 or 12回 全国
ポリゴン 国勢調査・小地域-町丁・字等別
(総務省統計局) 5年に1回 全国
民間地図会社 年2 or 4 or 12回 全国

【参考メモ】
• 町字の明確な定義がない状況下で、長らく加除式図書である『国土行政区画総覧』(国土地理協会)や『日本行政区画便覧』(日本加除出版)が自治体における町字の一覧の拠り所とされてきた側面がある。従来は出版物(紙媒体)での提供だったが、現在はデータ提供されている(上表のとおり)。


3) 住所データ/街区レベル (主に住居表示実施区域)
データ 更新頻度 収録範囲 備考
マスター
(レコード) 日本行政区画便覧ファイル
(日本加除出版) 月1回 全国/住居表示実施区域 国土地理協会と日本加除出版の違い
街区レベル位置参照情報
(国土交通省国土情報課) 年1回 全国/都市計画区域(住居表示非実施区域を含む) 住居表示非実施区域においても道路等で囲まれた街区の代表点を収録
基盤地図情報
(国土地理院) 年4回 全国 位置参照情報を活用していると思われる
民間地図会社 年2 or 4 or 12回 全国
代表点 街区レベル位置参照情報
(国土交通省国土情報課) 年1回 全国/都市計画区域(住居表示非実施区域を含む)
基盤地図情報
(国土地理院) 年4回 全国 位置参照情報を活用していると思われる
民間地図会社 年2 or 4 or 12回 全国
ポリゴン 民間地図会社 年2 or 4 or 12回 全国

11.2 入手可能なデータ(無償)
1) 全国地方公共団体コード/総務省

データ名称 全国地方公共団体コード
提供元 総務省地域力創造グループ地域情報政策室(問合せ先)
提供サイトURL https://www.soumu.go.jp/denshijiti/code.html

データ内容 市区町村レベルのマスターデータ(位置座標なし)
仕様 全国地方公共団体コード仕様
https://www.soumu.go.jp/main_content/000137948.pdf

過去情報の提供 「都道府県コード及び市区町村コード」改正一覧表(平成17年4月1日以降)を提供

データ項目
No. 項目 説明 型 サイズ 例
1 団体コード 都道府県コード(JIS X 0401) 2桁
市区町村コード(JIS X 0402) 3桁
チェックデジット 1桁 文字列(数字) 6桁 131016
2 都道府県名(漢字) 文字列 - 東京都
3 市区町村名(漢字) 文字列 - 千代田区
4 都道府県名(カナ) 文字列 - トウキョウト
5 市区町村名(カナ) 文字列 - チヨダク

※都道府県コード(JIS X 0401)、市区町村コード(JIS X 0402)
https://www.jisc.go.jp/app/jis/general/GnrJISSearch.html より検索

【参考メモ】
• 郡について、JIS X 0402に掲載あり、読み仮名あり、コード化されていない。総務省「全国地方公共団体コード」には掲載なし。

2) 位置参照情報/国土交通省

データ名称 街区レベル位置参照情報(①)
大字・町丁目レベル位置参照情報(②)
提供元 国土交通省不動産・建設経済局(2020/7/1付で国土交通省国土政策局より移管)
提供サイトURL http://nlftp.mlit.go.jp/isj/index.html

データ内容 ①街区(住居表示実施区域における街区及び未実施区域における街区相当範囲(道路等で区画された範囲))の代表点位置座標(都市計画区域内を整備)
②大字・町丁目の代表点位置座標(街区レベル位置参照情報を補完する整備)
(参照)位置参照情報の説明ページ
https://nlftp.mlit.go.jp/isj/index.html

仕様 位置参照情報のデータ形式
http://nlftp.mlit.go.jp/isj/data.html

ライセンス情報 位置参照情報ダウンロードサービスコンテンツ利用規約
https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/other/agreement.html#agree-03
• 2020年4月1日に改定されている。
• 改定により、政府標準利用規約(第2.0版)に準拠・CC BY 4.0互換となった。
更新頻度 年1回

主な特徴:
• 街区レベル位置参照情報は、市区町村・大字町丁目がコード化されていない。
• 大字・町丁目レベル位置参照情報は、市区町村・大字町丁目がコード化されている。
• 街区レベル位置参照情報は、街区レベルの代表点緯度経度を収録。住居表示非実施区域は街区相当範囲(道路等で区画された範囲)に含まれる地番を代表点に対応付けしている。
• 地名について、「国内の標準的な地名を指定しているものではありません」。

データ項目・仕様
街区レベル位置参照情報
No. 項目 説明 型 サイズ 例
1 都道府県名 福島県
2 市区町村名 本宮市
3 大字・町丁目名 岩根
4 小字・通称名 下桶
5 街区符号・地番 126
6 座標系番号 平面直角座標系の座標系番号 9
7 X座標 平面直角座標系のX座標
メートル単位(小数第1位まで)(北方向プラス) 164065.1
8 Y座標 平面直角座標系のY座標
メートル単位(小数第1位まで)(東方向プラス) 43616.6
9 緯度 十進経緯度
度単位(小数第6位まで) 37.477545
10 経度 十進経緯度
度単位(小数第6位まで) 140.326492
11 住居表示フラグ 1:住居表示実施、0:住居表示未実施 0
12 代表フラグ 1:代表する、0:代表しない
街区符号・地番が複数レコードある場合 1
13 更新前履歴フラグ 1:新規作成、2:名称変更、3:削除、0:変更なし 0
14 更新後履歴フラグ 1:新規作成、2:名称変更、3:削除、0:変更なし 1

【参考メモ】
• 街区レベル位置参照情報には、小字(小字を表示しないと下層の地番がユニークにならない区域)の収録が見られるが、大字・町丁目レベル位置参照情報には該当する小字レコードの収録がない。
• 街区レベル位置参照情報では、
 大字・町丁目名:大字名、町名+丁目名
 小字・通称名 :小字等
のように収録されており、「丁目」と「小字」が別階層扱い。
• 「住居表示未実施区域は街区相当範囲(道路等で区画された範囲)に含まれる地番を代表点に対応付けしている」との説明から、小字については網羅性が担保されないことが推察される。
• 街区レベル位置参照情報には、市区町村レベル・大字町丁目レベルともIDを持たない。


データ項目・仕様
大字・町丁目レベル位置参照情報
No. 項目 説明 型 サイズ 例
1 都道府県コード JIS都道府県コード
2 都道府県名 当該範囲の都道府県名
3 市区町村コード JIS市区町村コード
4 市区町村名 当該範囲の市区町村名
(郡部は郡名、政令指定都市の区名も含む)
5 大字町丁目コード  大字町丁目コード
(JIS市区町村コード+独自7桁)
6 大字町丁目名 当該範囲の大字・町丁目名
(町丁目の数字は漢数字)
7 緯度 十進経緯度
度単位(小数第6位まで)
8 経度 十進経緯度
度単位(小数第6位まで)
9 原典資料コード 大字・町丁目位置参照情報作成における原典資料を表すコード
1:自治体資料 2:街区レベル位置参照 3:1/25000地形図 0:その他資料
10 大字・字・丁目区分コード 大字/字/丁目の区別を表すコード
1:大字 2:字 3:丁目 0:不明

【参考メモ】
• 大字・町丁目レベル位置参照情報における「大字町丁目コード」のうち下7桁(独自コード7桁)は以下に分解されるとみられる。
上位4桁:大字・町
下位3桁:丁目
※実データの参照による
• 大字・町丁目レベル位置参照情報における「大字町丁目名」は、1フィールド内に丁目(「●丁目」)まで収録。
• 街区レベル位置参照情報には、小字(小字を表示しないと下層の地番がユニークにならない区域)の収録が見られるが、大字・町丁目レベル位置参照情報には該当する小字レコードの収録がない。

3) 国勢調査 小地域(町丁・字等別)/総務省統計局

データ名称 国勢調査 境界データ 小地域(町丁・字等別)
※国勢調査以外の経済センサス等の小地域データもあり
提供元 総務省統計局
https://www.stat.go.jp/

提供サイトURL 境界データダウンロード
https://www.e-stat.go.jp/gis/statmap-search?type=2
(上位サイト)
e-Stat 地図で見る統計(統計GIS)
https://www.e-stat.go.jp/gis
e-Stat(政府統計の総合窓口)
https://www.e-stat.go.jp/

データ内容 統計情報の集計単位としての町丁・字等の領域をあらわすポリゴンデータ
仕様 データダウンロードサイトに掲載
ライセンス情報 政府統計の総合窓口(e-Stat)利用規約
https://www.e-stat.go.jp/terms-of-use
→政府標準利用規約(第2.0版)に準拠、CC BY4.0互換
更新頻度 国勢調査が実施される5年に1回


データ項目・仕様
No. 項目 説明 型 サイズ 例
1 KEY_CODE 図形と集計データのリンクコード
KEN+KEYCODE2 文字列(数字) 11 13108001001
2 PREF 都道府県番号 文字列(数字) 2 13
3 CITY 市区町村番号 文字列(数字) 3 108
4 S_AREA 町字コード+丁目・字などの番号
KIHON1+KIHON2 文字列(数字) 6 001001
5 PREF_NAME 都道府県名 文字列(S-JIS) 12 東京都
6 CITY_NAME 区町村名
CSS_NAME(ない場合はGST_NAME) 文字列(S-JIS) 14 江東区
7 S_NAME 町丁・字等名称 文字列(S-JIS) 96 清澄1丁目
8 KIGO_E 特殊記号E(町丁・字等重複フラグ)
En(n≧1):1市区町村内に同一の町丁・字等番号を持つ境界が複数存在した場合にE1から付与 文字列 3
9 HCODE 分類コード
8101:町丁・字等、8154:水面調査区 倍精度浮動小数点 8101
10 AREA 面積 (m2) 倍精度浮動小数点 98557.466
11 PERIMETER 周辺長 (m) 倍精度浮動小数点 1257.478
12 H27KAxx_ 内部ID 倍精度浮動小数点 1793
13 H27KAxx_ID 外部ID 倍精度浮動小数点 1792
14 KEN 都道府県番号
町丁・字等番号 文字列(数字) 2 13
15 KEN_NAME 都道府県名 文字列(S-JIS) 12 東京都
16 SITYO_NAME 支庁・振興局名 文字列(S-JIS) 22
17 GST_NAME 郡市・特別区・政令指定都市名 文字列(S-JIS) 14 江東区
18 CSS_NAME 区町村名 文字列(S-JIS) 14
19 KIHON1 町字コード 文字列(数字) 4 0010
20 DUMMY1 ダミー (“-“) 文字列 1 –
21 KIHON2 丁目・字などの番号 文字列(数字) 2 01
22 KEYCODE1 マッチング番号
CITY+KIHON1+KIHON2 文字列(数字) 9 108001001
23 KEYCODE2 町丁・字等別結果マッチング番号 文字列(数字) 9 108001001
24 AREA_MAX_F 面積最大フラグ 文字列 1 M
25 KIGO_D 特殊記号D(飛び地、抜け地フラグ)
D:飛び地、D1:抜け地(飛び地) 文字列 2
26 N_KEN 抜け地県番号 文字列(数字) 2
27 N_CITY 抜け地市区町村番号 文字列(数字) 3
28 KIGO_I 特殊記号I(島フラグ)
I:島 文字列 1
29 MOJI 町丁・字等名称 文字列(S-JIS) 96 清澄1丁目
(中略)
33 X_CODE 図形中心点X座標(10進経度) 倍精度浮動小数点 139.79298
34 Y_CODE 図形中心点Y座標(10進緯度) 倍精度浮動小数点 35.68162
35 KCODE1 町丁・字等番号
KIHON1+DUMMY1+KIHON2 文字列 7 0010-01

【参考メモ】
• 大字・町丁目レベルのコードは、4桁+2桁の計6桁。
• 実データを参照すると、小字がある地域においてすべての小字を分割して収録しているわけではなく、任意に束ねて収録しているように見受けられる。


4) 電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」/国土地理院

データ名称 電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」
提供元 国土交通省国土地理院
https://www.gsi.go.jp/

提供サイトURL https://www.gsi.go.jp/kihonjohochousa/jukyo_jusho.html

データ内容 全国の住居表示実施区域のみ整備
街区符号及び住居番号を収録(住居番号は道路縁に沿った等間隔の基礎番号としての収録であり、建物に付される実際の住居番号を収録しているわけではない)
代表点の位置座標あり
仕様 ファイル仕様書
https://www.gsi.go.jp/common/000187306.pdf

ライセンス情報 国土地理院コンテンツ利用規約
https://www.gsi.go.jp/kikakuchousei/kikakuchousei40182.html
→政府標準利用規約(第2.0版)に準拠、CC BY4.0互換
更新頻度 不定期更新-年1回以上更新履歴はあり
更新履歴
https://saigai.gsi.go.jp/jusho/20200318_koushin.pdf

主な特徴:
• 住居番号レベルまで位置座標が収録される
• 市区町村コードあり、大字・町丁目レベルは数値のコードなし
• URI形式での住居番号レベルの住所コード(可読)の収録がある
• 整備状況等の表示(Q&Aより)
今後の予定はどのようになっていますか。
電子国土基本図(地名情報)「住居表示住所」は、全国の住居表示実施地区について提供することを目標として整備を進めており、順次、提供市区町村を増やしていきます。


データ項目・仕様
No. 項目 説明 型 サイズ 例
1 市区町村コード
2 町又は字の名称 住居表示に関する法律等にいう町又は字の名称。但し、「○丁目」の部分の数値は「十」を使用し「〇」を使用しない漢数字による表現に統一している
3 街区符号 住居表示に関する法律 第二条に定める街区方式における街区符号
4 基礎番号 住居表示に関する法律 第二条に定める街区方式による住居表示実施地域について、各建築物に住居番号を付与するための基準として、街区縁上に定められた区画の番号等
5 住所コード(可読) 市町村コード、町又は字の名称、街区符号、基礎番号等の情報をスラッシュで連携し、URI形式としたコード
丁目数字はハイフン+アラビア数字、それ以外を3~6文字の英字
6 住所コード(数値) 未収録
7 経度 JGD2011、十進法、小数第9位まで
8 緯度 JGD2011、十進法、小数第9位まで
9 地図情報レベル 経度・緯度の地図情報レベル、2500または25000(ベース地図の縮尺)


11.3 入手可能なデータ(有償)
1) 全国町・字ファイル/国土地理協会・地方公共団体情報システム機構(J-LIS)

データ名称 全国町・字ファイル
提供元 公益財団法人国土地理協会
http://www.kokudo.or.jp/
地方公共団体情報システム機構(J-LIS)
https://www.j-lis.go.jp/

製品サイトURL http://www.kokudo.or.jp/master/001.html

データ内容 全国の町・字、丁目レベルのマスターデータ(位置座標なし、オプション提供あり)
過去情報の提供 廃止レコードの収録あり。
全国町・字ファイル 新旧対応ファイル
http://www.kokudo.or.jp/master/003.html
• 新規地名の町・字コードと旧地名の町・字コードの対応テーブル。1新規地名に対して旧地名が複数ある場合は、レコードは複数存在。
• 新規地名に対する旧地名が不明な場合、旧地名の町・字コードが空欄となる場合がある。
仕様 (製品サイトに掲載)
ライセンス情報 有償、使用許諾契約を締結
更新頻度 月1回

主な特徴:
• 小字を収録。 
• 通称町名を収録。通称フラグも収録。
• 京都の通り名を収録。通り名識別(フラグ)も収録。
• 廃止レコードを収録。
• 新旧レコードの対応情報を提供。


データ項目・仕様(主要なもののみ抜粋):
No. 項目 説明 型 サイズ 例
1 町・字コード/都道府県 JIS 文字列(数字) 2桁
2 町・字コード/市区郡町村 JIS 文字列(数字) 3桁
3 町・字コード/大字・通称 国土地理協会コード 文字列(英数) 3桁
4 町・字コード/字・丁目 国土地理協会コード 文字列(数字) 3桁
5 新町・字コード/都道府県 廃止レコードの場合、対応する新町・字コードを収録(1対1で対応とれる場合のみ/すべて1対1対応とれるわけではない) 文字列(数字) 2桁
6 新町・字コード/市区郡町村 文字列(数字) 3桁
7 新町・字コード/大字・通称 文字列(英数) 3桁
8 新町・字コード/字・丁目 文字列(数字) 3桁
9 郵便番号 文字列 7桁
10 親子関係/識別フラグ 1地名に複数郵便番号がある場合はその郵便番号の数だけレコードが存在するため、代表レコードを識別する情報を収録 文字列 1桁
11 親子関係/対応コード 文字列 11桁
(中略)
17 カナ/都道府県名 カナ地名 文字列 8
18 カナ/市区郡町村名 カナ地名 文字列 24
19 カナ/大字・通称名 カナ地名 文字列 36
20 カナ/字・丁目名 カナ地名 文字列 24
26 漢字/都道府県名 漢字地名 文字列 4文字
27 漢字/市区郡町村名 漢字地名 文字列 12文字
28 漢字/大字・通称名 漢字地名 文字列 18文字
29 漢字/字・丁目名 漢字地名 文字列 12文字
(中略)
39 大字・字フラグ 整数 1
40 字・小字フラグ 整数 1
41 通り名識別 京都市の通り名を収録、識別情報 整数 1
42 通称フラグ 通称地名を収録、識別情報 文字列 1
43 施行年月 整数 6
44 廃止年月 整数 6
46 呼称変更年月 地名関連を変更した場合に処理年月収録 整数 6


コード体系について(サイトから抜粋):

地方公共団体等に対しては、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)より提供される。

全国町・字ファイルの提供
https://www.j-lis.go.jp/ipd/machiaza/cms_11034.html
※LGWAN経由

2) 日本行政区画便覧データファイル/日本加除出版株式会社

データ名称 日本行政区画便覧データファイル
提供元 日本加除出版株式会社
https://www.kajo.co.jp/

製品サイトURL https://www.kajo.co.jp/f/digital_contents/software01.html

データ内容 全国の町字、丁目レベルのマスターデータ(位置座標なし、オプション提供あり)
過去情報の提供 あり
仕様 (製品サイトに掲載)
ライセンス情報 有償、使用許諾契約を締結
更新頻度 月1回

主な特徴:
• 全国市区町村の町名、字名(戸籍及び住民基本台帳に小字を使用している地域は小字まで)を収録
• 加除式図書「日本行政区画便覧」をデータ化した製品
• 全国の地名(公称町名・字名)を、精密な調査に基づき網羅した地名便覧
• 住基ネット統一文字コードにも対応
• 通り名ファイル(京都):1町名に対して複数の通り名が対応(別ファイル提供)
• 複数郵便番号ファイル:町名1レコードに対して複数郵便番号がある場合(別ファイル提供)
• 廃止レコードを収録。

オプションデータ:
• 街区データ
全国の住居表示実施区域の街区符号及び地番整理区域の親地番約100万超のデータを収録。また、街区符号についてはその属性情報を付与(住居表示をしている/していないの別)。
• 町・丁目、街区地理座標データ
全国の町・丁目及び街区にその表点(内点)の経緯度座標を付与したデータ。

データ項目・仕様
No. 項目 説明 型 サイズ 例
1 町名・字名コード/都道府県 JIS 文字列(半角) 2桁 13101003001
2 町名・字名コード/市区町村 JIS 文字列(半角) 3桁
3 町名・字名コード/大字・町名 加除出版コード 文字列(半角) 3桁
4 町名・字名コード/字・丁目 加除出版コード 文字列(半角) 3桁
5 新町名・字名コード/都道府県 旧レコードに対応する新レコード 文字列(半角) 2桁 13101003001
6 新町名・字名コード/市区町村 文字列(半角) 3桁
7 新町名・字名コード/大字・町名 文字列(半角) 3桁
8 新町名・字名コード/字・丁目 文字列(半角) 3桁
9 郵便番号 文字列(半角) 7桁 1010032
10 郵便番号個数 文字列(半角) 1桁 1
11 政令指定都市フラグ 文字列(半角) 1桁 0
12 カナ読み/都道府県 文字列(半角) 8桁 トウキョウト
13 カナ読み/市区町村 文字列(半角) 24桁 チヨダク
14 カナ読み/大字・町名 文字列(半角) 32桁 イワモトチョウ
15 カナ読み/字名・丁目 文字列(半角) 32桁 01チョウメ
16 漢字地名/都道府県 文字列 4文字 東京都
17 漢字地名/市区町村 文字列 12文字 千代田区
18 漢字地名/大字・町名 文字列 18文字 岩本町
19 漢字地名/字名・丁目 文字列 18文字 1丁目
20 外字情報/都道府県 情報交換用漢字符号JISX0208-1990(90JIS)にない文字(300字超) 文字列(半角) 1桁 1
21 外字情報/市区町村 文字列(半角) 1桁 1
22 外字情報/大字・町名 文字列(半角) 1桁 1
23 外字情報/字名・丁目 文字列(半角) 1桁 1
24 登録年月 文字列(半角) 6桁 199507
25 廃止年月 文字列(半角) 6桁 000000
26 町名変更年月 文字列(半角) 6桁 000000
27 郵便番号変更年月 文字列(半角) 6桁 000000
28 住居表示実施年月 文字列(半角) 6桁 199507
29 住居表示実施フラグ 文字列(半角) 1桁 1
30 レコード区分 文字列(半角) 1桁 0
31 通称名フラグ 戸籍や住民基本台帳に使用される町名・字名の外に、区画整理が進んでいない一部地域で使用されている通称町名 文字列(半角) 1桁 0
32 通り名フラグ 京都市における通り名 文字列(半角) 1桁 0
33 大字・字フラグ1 文字列(半角) 1桁 0
34 大字・字フラグ2 文字列(半角) 1桁 0
35 旧郵便番号(3・5桁) 文字列(半角) 8桁 101
36 修正コード 文字列(半角) 1桁

(公社)日本不動産学会 春季全国大会「2021年度春季全国大会シンポジウム「再生可能エネルギーと地域づくり」

(公社)日本不動産学会 春季全国大会「2021年度春季全国大会シンポジウム「再生可能エネルギーと地域づくり」日時:2021年6月4日

メモ

特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所

太陽光と風力は拡大している。コストが低下している。

令和元年度質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(米国カリフォルニア州における DPR/IPR 事業の事業化・汎用的事業モデルの検討及びマスタープランへの組込)調査報告書 2020年2月28日

経済産業省 委託先: 横河電機株式会社 みずほ情報総研株式会社

https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2019FY/000021.pdf

再生エネルギーは不安定か

 ベースロードから、柔軟性パラダイムへ。複数のエネルギー源。足りない時期、余っている時期、貯められる時期などを合わせて均していく。デンマーク土地利用計画、南オーストラリア州、サムソ島、ドイツ、中国

再生可能エネルギー100%・サムソ島訪問記 足利工業大学 根本 泰行

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jwea/35/3/35_74/_pdf

会津、新潟、

経済産業省 資源エネルギー庁 バーチャルパワープラント(VPP)について

https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/advanced_systems/vpp_dr/about.html

バーチャルパワープラント(VPP)とは、需要家側エネルギーリソース、電力系統に直接接続されている発電設備、蓄電設備の保有者もしくは第三者が、そのエネルギーリソースを制御(需要家側エネルギーリソースからの逆潮流(※)も含む)することで、発電所と同等の機能を提供することです。

※ 逆潮流:

自家発電事業者等が、消費電気よりも発電電力が多くなった場合に、余った電力を電力会社線側に戻るように流すこと。また、需要家とエネルギーリソースが同じ場所にない場合は、直接電力を電力会社線側に流すこともある。

パネルディスカッション

再生可能エネルギー

どこを伸ばすのか? 支援はなぜ必要か?  ITからFIPへ

FIP制度の詳細設計と アグリゲーションビジネスの更なる活性化

2020年8月31日 資源エネルギー庁

https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/019_01_00.pdf

FIP制度では、卸電力取引市場や相対取引で再エネ発電事業者が市場に売電した場合に、基準価格(FIP価格)と市場価格の差額をプレミアムとして交付することにより、投資インセンティブを確保する。

 同時に、再エネ発電事業者が新たに市場に出てくることも踏まえ、アグリゲーションビジネスの活性化のための環境整備などを進めることも重要である。

再生可能エネルギー設備と土地利用規制

国レベルでは、土地の属性毎の縦割り型土地規制の存在と曖昧性(白地地域など)。地方自治体レベルでは、知事、市町村長への届け出や事前協議、同意などの手続きが必要なことがある。今後は、住民への説明や合意形成の方が大切になってくる(負担も重くなってくるといえる)。

FIT適用要件の厳格化2020年4月~

許容区域指定型、ポジティブゾーニング

農山漁村再エネ法、温対法改正法

家庭用エネルギー需要の動向と省エネルギー(株)住環境計画研究所

http://www.jyuri.co.jp/

 エネルギー種別は電気が伸びている。用途別では、照明・家電ほかが伸びている。スマートハウス化もあるかもしれませんが、パソコン類が多いんじゃないかなと思います。地方別で違いがある。北海道は、LPガスが電気より多い。

環境省委託事業 ホームエネルギーレポートによる省エネ効果の実証研究2018

https://seeb.jp/material/2018/download/2018BECC-1AB2Hirayama.pdf

ホームエネルギーレポート(HER)

• HERは、比較や結果を見える化することで「気づき」を与えるコンテンツと、それを「行動」の喚起につなげられるようなコンテンツで構成。

自然エネルギー100%大学へのはじまり

千葉商科大学 

https://www.cuc.ac.jp/about_cuc/activity/environment/keii/index.html

2015年度、学外専門家の協力も得て、経済産業省の補助金を獲得し、ネット・ゼロ・エネルギー・キャンパスの可能性を調査しました。メガソーラー野田発電所の初年度発電実績は、市川キャンパスで消費された電力の77%に相当することが分かり、その結果、残り23%を省エネ・創エネで削減できれば、ネット・ゼロ・エネルギー・キャンパス、つまり、ネットで「RE100大学」となりうることが明らかになりました。 そこで、政策情報学部を中心に行ってきたネット・ゼロ・エネルギー・キャンパス化に向けた「省エネ・創エネプロジェクト」を全学的なものとして展開しました。

その後、この活動は全学的な理解が深まり、2017年3月1日の原科幸彦学長就任時に提案した4つの学長プロジェクトの一つとして、「自然エネルギー100%大学」に向けた活動が本格的にスタートしました。これは、自らの使用電力量に相当する分を、自らが再エネで発電するものです。

メガソーラー野田発電所のFIT電気を東京電力パワーグリッドを通じて、みんな電力に特定卸供給。

みんな電力のブロックチェーンP2P電力トレーサビリティシステムを利用することで、メガソーラー野田発電所のFIT電気を、本学市川キャンパスに供給することが証明可能になる。電力の不足分は、他のFIT電気や再生可能エネルギー電力(風力、バイオマス等)により補充し、さらに、トラッキング付き非化石証書により、再生可能エネルギー利用率100%を実現する。

再生エネルギーは安くなっている(いく)。

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