加工相続土地国庫帰属法施行規則

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○法務省令第一号

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和三年法律第二十五号)第二条第三項第四号、第三条、第四条第二項、第九条、第十条第二項及び第三項、第十三条第四項並びに第十五条第一項並びに相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令(令和四年政令第三百十六号)第四条第一項第二号及び第七条の規定に基づき、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則を次のように定める。

令和五年一月十三日

法務大臣齋藤健

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則

(承認申請書等の提出方法)

第一条相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(以下「法」という。)第三条第一項の規定による承認申請書及び添付書類の提出は、

承認申請に係る土地の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長(以下「管轄法務局長」という。)に

対して行わなければならない。

ただし、承認申請に係る隣接する二筆以上の土地の管轄法務局長が

二以上あるときは、

そのいずれかに対して提出すれば足りる。

(承認申請書の記載事項)

第二条承認申請書には、法第三条第一項各号に掲げる事項のほか、

次に掲げる事項を記載し、

承認申請者又はその代表者若しくは法定代理人(以下「承認申請者等」という。)が

記名押印しなければならない。

ただし、承認申請者等が署名した承認申請書について公証人又はこれに準ずる者の認証を受けたときは、承認申請書に記名押印することを

要しない。

一承認申請者が法人

であるときは、その代表者の氏名

二法定代理人

によって承認申請をするときは、当該法定代理人の氏名又は名称及び住所並びに法定代理人が法人であるときはその代表者の氏名

三承認申請に係る土地の表題部所有者(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第二条第十号に規定する表題部所有者をいう。第十三条第一項において同じ。)

又は所有権の登記名義人(同法第二条第十一号に規定する登記名義人をいう。第十三条第一項において同じ。)の

氏名又は名称及び住所

2 承認申請書には、前項各号に掲げる事項の

ほか、次に掲げる事項を記載するものとする。

一承認申請者又は法定代理人の電話番号その他の連絡先

二手数料の額

三承認申請の年月日

四承認申請書を提出する管轄法務局長の表示

3 承認申請書には、第一項の規定により記名押印した者の

印鑑に関する証明書(住所地の市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、市長又は区長若しくは総合区長とする。)又は登記官が作成するものに限る。)を

添付しなければならない。

ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

一会社法人等番号

(商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第七条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。以下この号及び次条第三号において同じ。)を有する法人の代表者又は代理人が記名押印した者である場合において、その会社法人等番号を承認申請書に記載したとき。

二承認申請者等が記名押印した承認申請書について

公証人又はこれに準ずる者の認証を受けたとき。

三裁判所によって選任された者が

その職務上行う承認申請の承認申請書に押印した印鑑に関する証明書

であって、裁判所書記官が最高裁判所規則で定めるところにより作成したもの

が添付されているとき。

(添付書類)

第三条承認申請書には、

次に掲げる書類を添付しなければならない。

一承認申請者が相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により承認申請に係る土地の所有権又は共有持分を取得した者であるときは、

当該者であることを証する書面(当該者であることが登記記録(不動産登記法第二条第五号に規定する登記記録をいう。)から明らかであるときを除く。)

二法定代理人によって承認申請をするときは、

戸籍事項証明書その他その資格を証する書面

三承認申請者が法人であるときは、

当該法人の代表者の資格を証する書面(当該法人が会社法人等番号を有する法人である場合において、その会社法人等番号を承認申請書に記載したときを除く。

四承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面

五承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真

六承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真

七法第十一条第一項の規定により承認申請に係る土地の所有権が国庫に帰属した場合には

当該土地の所有権が国庫に帰属したことを原因とする国が登記権利者となる所有権の移転の登記を官庁が嘱託することを承諾したことを証する書面(承認申請者等が記名し、承認申請書に押印したものと同一の印を用いて押印したもの又は前条第一項ただし書の認証を受けたものに限る。)

(承認申請書の作成)

第四条承認申請書は、

土地の一筆ごとに

作成しなければならない。

ただし、同一の承認申請者等が二筆以上の土地についての承認申請を

同時にするときは、この限りでない。

(手数料の納付方法等)

第五条法第三条第二項の規定による手数料の納付は、

承認申請書に手数料の額に相当する額の

収入印紙を貼り付けてするものとする。

2 前項の手数料は、

これを納付した後においては、返還しない。

(承認申請の却下の通知方法等)

第六条法第四条第二項の規定による承認申請を

却下したことの通知は、

承認申請者ごとに、

決定書を交付して行うものとする。

2 前項の規定による交付は、

決定書を送付する方法によりすることが

できる。

3 管轄法務局長は、承認申請の却下があったときは、

添付書類を還付するものとする。

ただし、偽造された書面その他の不正な承認申請のために用いられた疑い

がある書面については、この限りでない。

(承認申請の取下げ)

第七条承認申請の取下げは、

承認申請を取り下げる旨を記載した書面(第二十三条第四項第一号において「取下書」という。)を

管轄法務局長に提出する方法

によってしなければならない。

2 承認申請の取下げは、法第五条第一項の承認がされた後は、

することができない。

3 管轄法務局長は、

承認申請の取下げがされたときは、

添付書類を還付するものとする。

この場合においては、前条第三項ただし書の規定を準用する。

(承認申請書等の訂正等)

第八条承認申請者等は、

承認申請書その他の相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属の承認に関する書面につき

文字の訂正、加入又は削除をしたときは、

その旨及びその字数を欄外に記載し、

又は訂正、加入若しくは削除をした文字に括弧その他の記号を付して、

その範囲を明らかにしなければならない。

この場合において、

訂正又は削除をした文字は、なお読むことができるようにしておかなければならない。

2 承認申請者等は、

承認申請書が二枚以上であるときは、

各用紙に当該用紙が何枚目であるかを記載すること

その他の必要な措置を講じなければならない。

(承認申請書等の送付方法)

第九条承認申請者等が

承認申請書及び添付書類を送付するときは、

書留郵便

又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者(以下この項及び次条第六項において「信書便事業者」と総称する。)による同法第二条第二項に規定する信書便(次条第六項及び第七項において「信書便」という。)の役務であって当該信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うもの

によるものとする。

2 前項の場合には、

承認申請書及び添付書類を入れた封筒の表面に

承認申請書が在中する旨を

明記するものとする。

(添付書類の原本の還付請求)

第十条承認申請者等は、

承認申請書の添付書類の

原本の還付を請求することができる。

ただし、第二条第三項本文及び同項第三号の印鑑に関する証明書

並びに第三条第七号の書面については、

この限りでない。

2 前項本文の規定により

原本の還付を請求する承認申請者等は、

原本と相違ない旨を記載した謄本を

提出しなければならない。

3 管轄法務局長は、第一項本文の規定による請求があったときは、

承認申請に係る審査の完了後、

当該請求に係る書類の原本を還付

しなければならない。

この場合には、前項の謄本と当該請求に係る書類の原本を照合し、

これらの内容が同一であることを確認した上、

同項の謄本に原本還付の旨を

記載しなければならない。

4 前項前段の規定にかかわらず、

管轄法務局長は、

偽造された書面その他の不正な承認申請のために用いられた疑いがある書面については、

これを還付することができない。

5 第三項の規定による原本の還付は、

承認申請者等の申出により、

原本を送付する方法によることができる。

この場合においては、承認申請者等は、

送付先の住所をも申し出なければならない。

6 前項の場合における書類の送付は、

同項の住所に宛てて、

書留郵便

又は信書便の役務であって信書便事業者において引受け及び配達の記録を行うものによって

するものとする。

7 前項の送付に要する費用は、

郵便切手又は信書便の役務に関する料金の支払のために使用することができる証票であって法務大臣が指定するものを

提出する方法により納付しなければならない。

8 前項の指定は、告示してしなければならない。

(承認申請の受付)

第十一条管轄法務局長は、

承認申請書が提出されたときは、

受付帳に承認申請の受付の年月日及び受付番号並びに承認申請に係る土地の所在及び地番を

記録しなければならない。

2 管轄法務局長は、

前項の規定により受付をする際、

承認申請書に承認申請の

受付の年月日及び受付番号を記載しなければならない。

3 受付番号は、

一年ごとに更新するものとする。

(承認申請者から所有権を取得した者の取扱い)

第十二条法第十一条第一項の規定による負担金の納付がされるまでの間に、

承認申請者から承認申請に係る土地の所有権の全部又は一部を取得した者(法第二条第一項又は第二項の承認申請をすることができる者に限る。以下この条において「新承認申請権者」という。)があるときは、

新承認申請権者は、

その取得の日から六十日以内に限り、

管轄法務局長に申し出て、

承認申請手続における承認申請者の地位を

承継することができる。

2 前項の申出は、

新承認申請権者が

申出書及び添付書類を

提出して行わなければならない。

3 前項の申出書及び添付書類については、

第二条(第二項第二号を除く。)及び第三条(第一号から第三号まで及び第七号に係る部分に限る。)の規定を準用する。

この場合において、

「承認申請書」とあるのは「申出書」と、「承認申請者」とあるのは「申出人」と、「承認申請者等」とあるのは「申出人等」と、「承認申請を」とあるのは「申出を」と、「承認申請に係る土地の表題部所有者」とあるのは「申出に係る土地の表題部所有者」と、「承認申請の」とあるのは「申出の」と、「承認申請者が相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により承認申請に係る土地の所有権又は共有持分を取得した者であるときは、当該者」とあるのは「申出人が新承認申請権者」と

読み替えるものとする。

(隣接地所有者への通知)

第十三条管轄法務局長は、

承認申請があったときは、

その旨を記載した通知書に、

第三条第四号から第六号までの書類の写しを添付して、

承認申請に係る土地に

隣接する土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人に

送付するものとする。

2 前項の規定による通知は、

前項の表題部所有者又は所有権の登記名義人の

登記簿上の住所に宛てて発すれば足りる。

(法第二条第三項第四号の特定有害物質の基準)

第十四条法第二条第三項第四号に規定する法務省令で定める基準は、

土壌汚染対策法施行規則(平成十四年環境省令第二十九号)第三十一条第一項及び第二項の基準とする。

(農地の地積に応じた負担金が算定される区域)

第十五条相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令(以下「令」という。)第四条第一項第二号に規定する法務省令で定める事業は、次に掲げる要件を満たしている事業とする。

一次のいずれかに該当する事業(主として農地の災害を防止することを目的とするものを除く。)であること。

イ農業用用排水施設の新設又は変更

ロ区画整理

ハ農地の造成(昭和三十五年度以前の年度にその工事に着手した開墾建設工事を除く。)

ニ埋立て又は干拓

ホ客土、暗きよ排水その他の農地の改良又は保全のため必要な事業

二次のいずれかに該当する事業であること。

イ国又は地方公共団体が行う事業

ロ国又は地方公共団体が直接又は間接に経費の全部又は一部につき補助その他の助成を行う事業

ハ農業改良資金融通法(昭和三十一年法律第百二号)に基づき公庫から資金の貸付けを受けて行う事業

ニ公庫から資金の貸付けを受けて行う事業(ハに掲げる事業を除く。)

(隣接する二筆以上の土地の負担金算定の特例の申出方法)

第十六条令第五条第一項の規定による申出は、

次に掲げる事項を記載した申出書を

管轄法務局長に提出して行わなければならない。

ただし、隣接する二筆以上の承認申請に係る土地の

管轄法務局長が二以上あるときは、

そのいずれかに対して提出するものとする。

一申出をする者の氏名又は名称及び住所

二申出に係る隣接する二筆以上の承認申請に係る土地の所在及び地番

三承認申請の受付の年月日及び受付番号(承認申請と併せて申出をする場合を除く。)

四令第五条第二項の規定により共同して申出をするときは、その旨

(承認等の通知方法)

第十七条法第九条の規定による承認をしたことの通知は、

その旨を記載した書面を

承認申請者ごと

に交付して行うものとする。

2 法第十条第二項の規定による負担金の額の通知は、

前項の通知と併せて、

負担金の額を記載した書面を

承認申請者ごとに交付して行うものとする。

3 前二項の規定による交付は、

前二項に規定する書面を

送付する方法によりすることができる。

4 法第九条の規定による承認を

しないことの通知については、

第六条の規定を準用する。

(承認に関する意見聴取方法)

第十八条法第八条の規定による財務大臣及び農林水産大臣からの意見の聴取は、

各大臣の意見及びその理由を記載した

書面の提出を受けることにより行うものとする。

(負担金の納付方法)

第十九条法第十条第一項の規定による負担金の納付の手続は、

会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第四条の二第三項に規定する歳入徴収官が発した

納入告知書又は納付書によってしなければならない。

(国庫帰属に伴う関係資料の送付)

第二十条管轄法務局長は、

承認申請に係る土地の所有権が国庫に帰属したときは、

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属の承認に係る手続に関する書類(第二十三条第四項第一号において「手続書類」という。)の写しを、

財務大臣(当該土地を農林水産大臣が管理するときは、農林水産大臣)に

送付するものとする。

(承認の取消しの通知の方法)

第二十一条法第十三条第四項の規定による承認の取消しの通知は、

決定書を法第五条第一項の

承認を受けた者ごとに

交付して行うものとする。

2 前項の規定による交付は、

同項に規定する書面を送付する方法によりするこ

とができる。

(権限の委任)

第二十二条法第十五条第一項の規定により、

次に掲げる法務大臣の権限は、

法務局又は地方法務局の長に委任する。

ただし、第二号、第四号、第五号、第九号、第十四号及び第十五号に掲げる権限については、

法務大臣が自ら行うことを妨げない。

一法第二条第一項の規定による承認申請を受け付ける権限

二法第四条第一項の規定による承認申請の却下

三法第四条第二項の規定による通知

四法第五条第一項の承認をする権限

五法第五条第一項の承認をしない権限

六法第六条第一項の規定により職員に事実の調査をさせる権限

七法第六条第三項の規定により職員に他人の土地に立ち入らせる権限

八法第六条第四項の規定による通知

九法第七条の規定による協力の求め

十法第八条の規定による意見聴取

十一法第九条の規定による通知

十二法第十条第二項の規定による通知

十三法第十一条第二項の規定による通知

十四法第十三条第二項の規定による意見聴取

十五法第十三条第三項の規定による同意の取得

十六法第十三条第四項の規定による通知

十七令第五条第一項の規定による特例の申出を受け付ける権限

十八令第五条第三項の規定による負担金の算定

(帳簿)

第二十三条法務省には、

次に掲げる帳簿を備えるものとする。

一法務省決定原本つづり込み帳

二審査請求書類等つづり込み帳

2 法務局又は地方法務局には、

次に掲げる帳簿を備えるものとする。

一受付帳

二承認申請書類つづり込み帳

三決定原本つづり込み帳

四各種通知簿

3 法務省が備える次の各号に掲げる帳簿には、

当該各号に定める書類をつづり込むものとする。

一法務省決定原本つづり込み帳法務大臣が作成した法第四条第一項の規定による承認申請の却下、法第五条第一項の承認をしないこと又は法第十三条第一項の規定による承認の取消しに係る決定書の原本及び法第五条第一項の承認をしたこと又は法第十条第二項の規定による

負担金の額の通知に係る書面の原本

二審査請求書類等つづり込み帳審査請求書その他の審査請求事件に関する書類

4 法務局又は地方法務局が備える次の各号に掲げる帳簿には、当該各号に定める書類をつづり込むものとする。

一承認申請書類つづり込み帳

承認申請書及び添付書類、取下書その他の手続書類(前項第一号又は次号の規定によりつづり込むものを除く。)

二決定原本つづり込み帳管轄法務局長が作成した

法第四条第一項の規定による承認申請の却下又は法第五条第一項の承認をしないことに係る

決定書の原本及び同項の承認をしたこと又は法第十条第二項の規定による負担金の額の通知に係る書面の原本

(保存期間)

第二十四条法務省が備える次の各号に掲げる帳簿の

保存期間は、当該各号に定めるとおりとする。

一法務省決定原本つづり込み帳これにつづり込まれた

決定書又は書面に係る処分の年の翌年から十年間

二審査請求書類等つづり込み帳これにつづり込まれた

審査請求に係る裁決又は決定の年の翌年から五年間

2 法務局又は地方法務局が備える次の各号に掲げる帳簿の

保存期間は、当該各号に定めるとおりとする。

一受付帳受付の年

の翌年から十年間

二承認申請書類つづり込み帳法第四条第一項の規定による

承認申請の却下、法第五条第一項の承認をしたこと、同項の承認をしないこと

又は第七条第一項の規定による承認申請の取下げの年

の翌年から十年間

三決定原本つづり込み帳これにつづり込まれた決定書又は書面に係る処分の年

の翌年から十年間

四各種通知簿通知の年

の翌年から一年間

(帳簿の廃棄)

第二十五条第二十三条第一項に規定する帳簿を廃棄するときは、法務大臣の認可を、同条第二項に規定する帳簿を廃棄するときは、管轄法務局長の認可を受けなければならない。

附則

この省令は、法の施行の日(令和五年四月二十七日)から施行する。

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則

案に関する意見募集の結果について

法務省民事局民事第二課

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00460.html

  省令案第1条関係

(別紙)

1  省令案第1条但書について、

いずれかの管轄法務局長に対して承認申請書が提出されたときは、

当該提出がされた管轄法務局長が

その後の審査を取り扱うものと考えられるが、

その具体的な在り方については、

通達等で明らかにすべきである。

省令案第1条第1項但書の場合の

取扱いは御認識のとおりです。

この点については

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

2 省令案第1条及び第2条について、

承認申請に係る法務局は、

原則としてその本局のみを予定しているものと考えられるところ、

例えば、本局以外の管轄内にある

承認申請に係る土地の実地調査や

承認申請者又はその代表者若しくは法定代理人(以下「承認申請者等」という。)に対する事実の聴取については、

例えば、事実の調査に係る現地立会い等において

任意代理人等の承認申請者等が別途選任する者の参加を許容する、

あるいは、承認申請者等の住所等最寄りの

法務局における事情聴取を可能とする等の

運用等を整備すべきである。

現地での立会い等が必要になる場合には、

承認申請者のほか

承認申請者が指定する者の

同行を認めることとしており、

この点については

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

3  帰属法、帰属政令と

本省令案の規定からすると

申請代理人による承認申請を想定していないと思慮するが、

一方、国庫帰属承認手続は専門家の関与が必要な手続であることから

そのサポートも必要であると考える。

このため本省令案で法務局に対する手続であることが定められたことから、

法務局に提出する書類の作成及びその相談を業として行う事が可能な士業に

申請の際の同行、

申請人が出頭できない場合の提出代行など

の申請代行手続を認めるべきではないか。

相続土地国庫帰属制度における

専門家の活用等の考え方については、

法務省ホームページで明らかにしています。

省令案第2条関係

4    省令案によれば、本手続は

書面申請を前提にしているが、

将来的には電子申請、費用の電子納付が採用されることを希望する。

今後の制度の運用実態を把握・検証した上で、検討してまいります。

5     共有地について

国庫帰属の承認申請を行う場合、

記名押印は1枚の承認申請書にしなければならないか。

省令案第2条第1項但書の場合を除き、

承認申請書は一筆ごとに一通作成することになりますが、

共有者の押印を

同一の用紙にする必要まではありません。

6     省令案2条第1項について、帰属法第3条第

1項第2号に代わる情報として不動産番号の記載及び当該記載による承認申請に係る土地の所在、地番、地目及び地積の記載の省略を許容すべきである。

本制度は不動産登記制度とは

異なる制度であるため、

不動産番号の記載によって記載を省略することは困難です。

7     記名共有地等が

権利能力なき社団を構成している場合、

承認申請は可能という理解でよいか。

その場合、承認申請書には

権利能力なき社団の代表者を

承認申請者として記載すればよいか。

承認申請権者は

相続等により土地の所有権を取得した者

とされているので(帰属法第2条)、

当該要件に該当する者であれば承認申請をすることは可能です。

8    省令案第2条第1項第2号の

「法人であるときはその」は同項第1号と同様に

「法人であるときは、その」の方がよい。

また、第2条第1項第2号の「住所」は、

法人であるときは「主たる事務所の所在地」を

記載すべきではないか。

原案のとおりとさせていただきます。

9     破産管財人が承認申請をすることは可能か。 

法令の要件に該当すれば可能であると考えます。

10   法定代理人としては、

親権者、成年後見人、不在者財産管理人、相続財産管理人及び相続財産清算人を念頭に置いているという理解でよいか。

御指摘の親権者等は、「法定代理人」に当たるものと考えられます。

11   士業による代理申請を認めるべきである。

   相続土地国庫帰属制度における専門家の活用等の考え方については、法務省ホームページで明らかにしています。

12   承認申請の法的書類の作成を依頼している弁護士その他の士業の連絡先を記載することは可能か。

任意的記載事項として記載することは可能です。

13   印鑑証明書の添付が必要な場合、

法人の代表者が登記所に印鑑を提出しているときは

登記所提出印を、

法人の代表者が登記所に印鑑を提出していないときは

市町村登録印を押印することになるはずである。

省令案第2条第3項第1号により、

会社法人等番号を記載した場合には、

登記所に印鑑を提出しているか否かにかかわらず、

一切の印鑑証明書が不要となる。

登記所に印鑑を提出していない場合であって、

会社法人等番号を記載した場合には、

印鑑の照合は不可能であり、

照合はしないということになる。

印鑑の照合をしないような書面について

押印を求めるのは、

行政手続における押印の見直し方針に反している。

印鑑の照合を行うのであれば

会社法人等番号の記載によって

添付省略のできる印鑑証明書を

登記所発行のものに限るべきであり、

印鑑の照合を行わないのであれば

会社法人等番号の記載によって

押印自体を不要とすべきである。

本制度では

印影の同一性を確認することにより

申請内容の真実性を確認することを

予定しており、

省令案第2条第1項において

法人の代表者の記名押印(印鑑は登記所に届け出たもの)を

必要としています。

14   省令案第2条第3項本文及び同項第1号につき、

商業登記法第12条の印鑑の提出をしていない法人が

承認申請者等となるときの

省令案第2条第3項本文の

印鑑に関する証明書の取扱いとしては、

例えば、法人の代表者本人に係る本条第3項本文の

印鑑に関する証明書の添付をもって足りるとする等、

当該取扱いに係る運用等を整備すべきである。

本制度では印鑑の照合を行うため、

省令案第2条第1項において

法人の代表者の記名押印を必要としています。

15  省令案第2条第3項第2号につき、

承認申請者等が外国人であるときの

当該承認申請者に係るいわゆるサイン証明は、

同号の「公証人又はこれに準ずる者の認証」として

取り扱うこととすべきである。

いわゆるサイン証明については、

省令案第2条第3項第2号の「公証人又はこれに準ずる者の認証」として取り扱うこととしており、この点については通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

16  省令案第2条第3項第3号につき、

相続財産清算人、不在者財産管理人及び成年後見人につき

裁判所が発行する印鑑証明書は、

所有者不明土地管理人のそれと同様に、

同号の印鑑証明書として取り扱うこととすべきである。

相続財産清算人、不在者財産管理人及び成年後見人につき裁判所が発行する印鑑証明書は、

省令案第2条第3項第3号の印鑑証明書として取り扱うこととしていますが、この点については通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

省令案第3条関係

17   省令案に規定する添付書類では、

調査が困難であると思い、

添付書類(案)を提案します。

(添付書類)

第三条

・位置図、現況案内図

・境界が確定している旨の図面(※地積更正登記済か地積更正登記ができる図面)

(地積測量図、国土調査図面、筆界確認書等)

※地積測量図は、現地復元性があるものに限る。

・現況地目が把握できる写真等

・公図(地図訂正が必要な場合は土地所在図)

・隣接土地の登記簿

・隣接土地の地積測量図(写し)

土地の位置及び範囲を示すための図面は、

測量した成果により作成したものである必要はないことから、

原案どおりとさせていただきます。

18  承認申請手続時における、

承認申請者の負担を軽減し、

円滑な承認申請手続が行われるよう、

添付書類について、

具体的な記載例、記載事項等を早期に示されたい。

通達や法務省ホームページ等で明らかにすることを予定しています。

19   省令案第3条には添付書類が規定されているが、

これ以外に添付書類は要求されないのか。

また通常多くの許認可申請では

申請人側に要件具備のエビデンスを求められることや

帰属法第6条で事実の調査を

国が行うことができることとなっているが、

承認申請者側としては

承認されることを望んで承認申請を行うことから、

法務局側の調査を待たず

承認申請者側でエビデンス等資料を

提出したいと考えるケースがあると考えられる。

このような場合に承認申請者側で

資料等の提出は可能か。

また提出した場合に調査の省略などを検討されるのか。

 調査の過程で調査のために

必要な資料等が生じた場合には、

管轄法務局長は帰属法第6条の規定により

承認申請者に対して

資料の提供を求める場合がありますが、

法令で規定された添付書類以外の

資料について任意で提出することは可能であり、

これらの資料の内容によっては、

調査の一部を迅速に行うことが

可能になる場合があると思われます。

20   省令案第3条第1号によれば、

相続登記未了の土地であっても、

本件手続の承認申請が可能となるようである。

数次相続が発生して、

相続人調査が困難な案件でも

承認申請を認めるとの配慮に基づくものと考える。

その一方で、 相続人の範囲が明確で

共同相続の登記が申請容易な物件でも

相続登記未了のまま承認申請が認められることは、

相続登記の義務化と矛盾するともいえる。

本手続による登記手続がどのようになるか

(被相続人→相続人→国という権利移転の経過が反映されるのか、又は被相続人→国という中間省略的な登記になるのか)にもよるが、

仮に、権利移転の経過が反映されるのであれば、

相続登記部分の登記費用を負担させるなどの処置を

考える必要があるのではないか。

いずれにせよ、

国民目線からみた「公平感」は、

幅広い施策を横断的に導入した

所有者不明土地問題の

全体的解決の視点から重要ではないかと考える。

相続等を原因として

土地の所有権を取得した者は、

帰属法第2条第1項の規定に基づき、

登記の有無に関わらず承認申請権限を有しているため、

原案のとおりとしています。

なお、登記名義人に限らず

相続等により土地を取得した土地の所有者に

承認申請権限を認めることにより、

所有者不明土地の発生防止という

本制度の目的に沿った結果を

期待することができるものと考えます。

21   省令案第3条第1号について、

承認申請に係る土地については、

承認申請の前までに

相続による所有権の移転の登記又は所有権の保存の登記を

完了することが推奨されるものの、

それらの完了を

必ずしも承認申請の前提要件としていないと考えられる。

この考え方については、通達等で明らかにすべきである。

取扱いについて通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

22   国庫帰属は承継取得であることから、

嘱託の移転登記の前提として、

代位で相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)の登記を

国においてすることを

念頭に置いているという認識でよいか。

御理解のとおりです。

23   相続登記未了の土地についても

承認申請を認める場合、

省令案第3条第1号の書面として

法務省発行の法定相続情報一覧図を添付することでもよいか。

御理解のとおりです。

24   相続登記未了の土地についても

承認申請を認める場合、

表題部所有者が承認申請する場合(とりわけ、住所の表示がないなどの理由で表題部の記載だけでは直ちに所有者が特定できない場合)は、

何を添付すればよいか。

省令案第3条第1号に規定する相続等により

承認申請に係る土地の所有権を

取得した者であることを証する書面を

添付いただくことになりますが、

事案によって異なるため一概にお示しすることは困難です。

25   省令案第3条第1号について、

同号の「当該者であることを証する書面」に

該当する具体的な添付書類の内容は、

不動産の相続の登記に係る

登記原因証明情報と同様と考えられるところ、

当該内容については、通達等で明らかにすべきである。

取扱いについて通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

26   相続人ではない包括受遺者による承認申請は可能か。

承認申請をすることはできません。

27   相続人ではない包括受遺者による承認申請を認めない場合、登記原因は遺贈になっているため、登記だけでは判別できない。したがって遺贈の場合、戸籍の添付が必要になるのか。

御理解のとおりです。

28  省令案第3条第3号関係について、

基本的に括弧書きで

会社法人等番号を記載することになると思われるが、

本号は外国会社の場合を念頭に置いており、

外国会社に資格証明書を求めるという理解でよいか。

省令案第3条第3号は、

会社法人等番号を有しない法人の

添付書類を規定したものです。

29 省令案第3条第4号の図面としては、

いわゆる不動産登記法14条地図、

地図に準じる図面、

地積測量図が該当するという理解でよいか。

他に何が該当するか。

不動産登記法第14条第1項地図

及び同条第4項地図のほか、

国土地理院が公開する地理院地図等が該当します。

土地の位置及び範囲が明らかであれば、

図面の種類は問いません。

30  省令案第3条第4号について、

同号の図面としては

必ずしも確定測量図等の精度の高いものに

限られるわけではないと考えられるところ、

同号の図面として許容されるものの在り方については、

例えば、インターネット地図の写しの利用を可とする等、

一般国民において

準備可能な程度に柔軟なものとした上で、

その具体的な内容を通達等で明らかにすべきである。

省令案第3条第4号の図面は、

著作権関係法令に抵触しない限り

いわゆるインターネット上の

地図を活用していただく形でも差し支えありません。

詳細の取扱いについては、

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

31   省令案第3条第4号から第6号までについて、

図面又は写真に記載された情報を

電磁的記録に記録して

CD-ROM、USBメモリその他の読込可能な媒体に格納したものの

提供をもって、

本条第4号から第6号までの各号の書類の添付に

代えることができるようにすべきである。

省令案第3条第4号から第6号までの添付書類については、

承認申請者に

過度な負担を課すものではないため、

書面による提出を前提としています。

32   省令案第3条第4号の図面について、

放棄された土地の

将来の利用も視野に入れて

問題ない物件かを審査する必要があると思う。

よって以下の図面条件を意見する。

1  図面作成者は土地家屋調査士を条件として場所の特定をさせる。

2  図面には推定筆界を明示し越境物がないことを図示する。

省令案第3条第4号の

土地の位置及び範囲を示すための図面は、

測量した成果により作成したものである

必要はないことから、

原案のとおりとさせていただきます。

33   省令案第3条第5号の写真については、

国土地理院で取得できる航空写真でよいか。

航空写真も含まれますが、

建物や工作物の有無などを確認するために

必要な書類であるため、

最新の現況が判る写真を提出していただく必要があります。

34   省令案第3条第5号の写真について、

撮影時期について

承認申請から3か月以内といった期限はないか。

撮影時期の制限はありませんが、

建物や工作物の有無などを確認するために

必要な書類であるため、

最新の現況が判る写真を

提出していただく必要があります。

35   省令案第3条第5号の写真について、

インターネットで取得できる写真

(Google マップの航空写真やGoogle ストリートビュー)

の写真でもよいか。

著作権関係法令に抵触しない限り、

いわゆるインターネット上の

地図を活用いただく形でも

差し支えありませんが、

建物や工作物の有無などを

確認するために必要な書類であるため、

最新の現況が判る写真を

提出していただく必要があります。

36   省令案第3条第5号について、

山林等の広大な土地の場合、

航空写真以外では、

土地の全体を映すことができないが、

土地の全体が分かる写真である必要があるか。

取扱いについて

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定ですが、

建物や工作物の有無などを確認するために必要な書類であるため、

最新の現況が判る写真を提出していただく必要があります。

37  省令案第3条第5号について、

本号の書類に一見明白な不備がない限り、

直ちには却下にならず、

法務局職員の現地調査の結果

不足している写真が収集できれば、

承認申請当初に

本号の書類が添付されていなかった点を

もって却下されることはないという理解でよいか。

取扱いについて通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

38   省令案第3条第5号について、

相続人には高齢の方も多く、

頻繁に相続した土地の現地調査を

行うことは不可能である。

仮に士業による申請代理を認めないのであれば、

本号の審査を無用に厳格化するのではなく、

不備については法務局職員による現地調査で

柔軟に対応できるようにするべきである。

御指摘も踏まえ、運用を検討してまいります。

39   省令案第3条第6号について、

本号は筆界を示す境界標のみを

指しているわけではなく、

境界標があればそれで足りるが、

境界標がなくても、

所有権界を示す物の写真があれば足りるという理解でよいか。

御理解のとおりです。

40  省令案第3条第6号について、

隣地境界線があいまいになっていることは、

実際に多々あり、

放置されているケースもあると聞く。

また、解決しようとしてトラブルになり、

解決までに長期の時間を要する場合もあると聞くが、

これに関しての特別措置や救済措置はあるのか。

隣接地が山などの場合、

境界がどこかが

容易にはわからないことも少なくないと思うし、

隣地所有者が行方不明の場合等もあると思う。

この添付書類が

提出できない時は、

承認申請不可となってしまうのか。

隣地境界線に関するトラブル等は

巷ではよくあるケースで、

他でも問題になっている事案でもあるので、

これだけのために

承認申請不可であったりするのであれば

特別措置や救済措置等が必要だと思う。

本制度を利用するには、

境界が明らかでない土地

その他の所有権の存否、

帰属又は範囲について争いがある土地に

該当しない土地である必要があります(帰属法第2条第3項第5号)。

これに該当するか否かは

事案ごとに判断することになります。

なお、隣地所有者が所在不明であっても、

本制度の利用は可能とされています。

41  省令案第3条第6号について、

地図に準ずる図面しかない土地の場合、

当該図面上、境界点の数が明確ではないことがあるが、

この場合、

承認申請者が認識する所有権界を前提に

当該所有権界の境界点の数だけ

写真を添付すればよいか。

御理解のとおりです。

42  省令案第3条第6号に

規定されている承認申請に係る土地と

当該土地に隣接する土地との境界点を

明らかにする写真の添付は不要である。

また、仮に添付を要するとしても、

「境界付近の写真」と定めるなど、

不動産登記法上求められる境界点としての

精密さを要求するものではないことを

条文上明らかにした内容とすべきである。

土地の位置及び範囲が

不明な場合には、

国が帰属した土地を管理することが困難ですので、

原案のとおりとさせていただきます。

43  省令案第3条第6号について、

同号の写真の添付の趣旨が、

承認申請に係る土地が

帰属法第2条第3項第5号の要件に

該当しないことを証するためのものであると

考えられるところ、

省令案第3条第4号の図面との関係性の明示

及び省令案第3条第6号の写真として

許容されるものの在り方については、

例えば、

写真上に距離や座標等の記載を要しないものとする等、

一般国民において準備可能な程度に柔軟なものとした上で、

その具体的な内容を通達等で明らかにすべきである。

省令案第3条第6号の写真は、

写真上に距離や座標の記載を求めるものではありませんが、

取扱いについて通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

44   省令案第3条第7号について、書面のひな形等、その具体的な内容を一般国民に周知すべきである。

通達や法務省ホームページ等で明らかにすることを予定しています。

45  省令案第3条第7号について、相続登記未了の土地について承認申請をした場合は、追加の書類が必要になるのか。

相続登記を申請する場合と同様の資料が必要になります。

46   省令案第3条第7号について、相続登記未了の土地について国庫への帰属が承認された場合、国が嘱託登記を行う際に法定相続又は遺産分割の代位登記を行うという理解か。

御理解のとおりです。

省令案第4条関係

47   省令案第4条但書に、

帰属政令第5条2項に規定する

隣接する二筆以上の

承認申請に係る土地の所有者が

異なる場合において、

これらの者が共同して承認申請をする場合を

加えるべきである。

所有者が異なる場合に

一の承認申請書による承認申請を

認めるとすると、

承認申請に係る審査が

煩雑となることから、原案のとおりとさせていただきます。

省令案第5条関係

48   将来的には、オンラインによる

手数料の納付

可能となるようにすべきである。

今後の制度の運用実態を把握・検証した上で、検討してまいります。

49  承認申請の審査開始前に当該承認申請が却下された場合、

登録免許税等における過誤納金の還付同様に、

手数料を還付すべきである。

手数料の還付は予定していないため、

原案のとおりとさせていただきます。

50   手数料の額は、極力、低廉なものとすべきである。

御意見も踏まえ、引き続き検討してまいります。

省令案第6条関係

51   省令案第6条第3項の

「その他の不正な承認申請のために

用いられた疑いがある書面」について、

その立法趣旨及び当該書面の具体的内容を、

通達等で明らかにすべきである。

 その他の不正な承認申請のために

用いられた疑いがある書面としては、

盗用されたもの、

不正な方法で交付を受けたもの等が

該当しますが、取扱いについて

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

省令案第7条関係

52 省令案第7条第2項について、

承認申請と同時に

売却を並行して進めることがあり得るが、

承認決定が出る際は

承認申請書に記載した連絡先に

事前に連絡をすべきではないか。

売却の可能性があるものまで

国庫帰属させるのは望ましくない。

承認後に負担金を支払うことにより

土地を国庫に帰属させるかどうかは、

承認申請者の意思に委ねられています。

省令案第8条関係

53  省令案第8条第 1 項について、

承認申請書提出後に

訂正・補正が必要なことが判明した場合、

承認申請書類が返還され、

同項の訂正方法をとる必要があるのか。

実務的にどのような訂正フローになるか。

具体的な取扱いについては、

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

54   省令案第8条第2項について、

ページ番号を記載するだけで足り、

契印は必要ないという理解でよいか。

御理解のとおりです。

55   省令案第8条第2項の

「その他の必要な措置」について、

その具体的内容を通達等で明らかにすべきである。

その他の必要な措置としては、

承認申請書が散逸しないよう、

ステープラー等でとじることなどが該当しますが、

取扱いについては通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

省令案第9条関係

56   省令案第9条第1項について、

許容される信書便の具体的内容を通達等で明らかにすべきである。

日本郵便株式会社が取り扱う

レターパックプラスなどが想定されますが、

取扱いについては

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

省令案第10条関係

57   省令案第10条第1項から第3項について、

原本還付をすることができる添付書類については、

可能な限り、

いわゆる窓口還付の

取扱いを許容すべきである。

承認申請者から

早期の

原本還付が求められた場合などにおいては、

審査に支障のない範囲内で

柔軟な対応を取ることも想定されますが、

具体的な取扱いについては

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

58   省令案第10条第1項について、

共有地の場合は誰に還付するのか。

承認申請者として

連絡先が記載されている方に

連絡して調整することになります。

省令案第11条関係

59   承認申請者は

受付番号をどうやって知るのか。

受理した旨の書類が届くのか。

受付番号を知りたい方には、

受付時に受付番号を

お知らせする予定です。

省令案第12条関係

60   負担金納付後から

嘱託登記までに

承認申請者が死亡した場合、

どのような処理になるのか。

帰属法第11条第1項により、

負担金を納付した時点

所有権が国庫に帰属します。

61   申出の期間について、

60日は短い。

60日より後に地位を承継したいと思った場合に、

再度承認申請が必要になるが、

そうなると法務局にも

承認申請者にも二度手間ないし

負担になるだけである。

また、共有地の承認申請の場合、

共有者の死亡を

他の共有者が知り得ない場合がある。

承認申請者には高齢者も

少なくないため、

共有地の場合、

複数の者が死亡する可能性もある。

手続を一定期間以上

不確定な状態とすることは

適切ではないことから、

原案のとおりとさせていただきます。

62   承認申請中に

共有持分を取得した法人も

本条の手続を利用できるという理解でよいか。

当該法人が帰属法第2条第2項の承認申請をすることができる者に

該当する場合は、

省令案第12条の承継の申出をすることが可能です。

63   省令案第12条第3項について、

申出の添付書類については、

基本的に相続関係を示す書類があれば足りると思われるが、

本項特有の書類(通常の場合と異なる追加的な資料)はあるか。

事案によって異なるため、

一概にお示しすることは困難です。

64  省令案第12条について、

承認申請者が負担金を納付するまでに

死亡等した場合、

新承認申請権者の申出可能期間を

「取得の日」としている点を

「取得したことを知った日」と

定めるべきである。

客観性等の観点から

原案のとおりとさせていただきます。

65  省令案第12条について、新承認申請権者からの申出が期間内に行われなかった場合の取扱いを明らかにすべきである。

御意見等を踏まえ検討します。

66   省令案第12条について、

共有土地についての承認申請である場合において、

共有者の一人に生じた死亡等の理由により

新承認申請権者からの申出が

期間内に行われなかった場合、

他の共有者全部の承認申請

あるいは承認の効力が喪失することにつき

何らかの救済制度を設けるべきである。

土地が数人の共有に属する場合には、

承認申請は共有者の全員が共同して行うときに限り

することができるとされていることから(帰属法第2条第2項)、

原案のとおりとさせていただきます。

67   省令案第12条第1項について、

承認申請から負担金の納付までの期間が

なるべく短期になるよう、

帰属制度における審査等の運用を

整えるべきである。

いただいた御意見については、

今後の運用の検討に当たって参考とさせていただきます。

68   省令案第12条第1項について、

例えば、承認申請に係る土地についての

住居表示実施等による地番の変更等、

本条第1項が想定する承認申請者の相続の開始

以外の事情変更についても、

本条第1項(又はそれに類似する制度)の対象とする等して救済すべきである。

御指摘の変更については、

省令案第3条第1号の疎明資料として

住民票の写し等を提出いただくこと

承認申請に係る土地の同一性を判断することが

可能であると考えます。

69   省令案第12条第1項について、

承認申請の後に

当該承認申請に係る

土地の所有権者に相続が発生した場合の

本条第1項の申出をすることができる者は、

その相続人の全員又は当該相続によって

終局的に当該土地を承継取得した者に限るべきである。

省令案第12条第1項の規定により

申出をすることができる者は、

帰属法第11条第1項の規定による

負担金の納付がされるまでの間に

承認申請者から所有権の全部又は一部を取得した者であって、

帰属法第2条第1項又は第2項の

承認申請をすることができる者とされています。

70   省令案第12条第1項について、

帰属法第10条第3項の負担金の納付の期限が

省令案第12条第1項の申出期間の終期よりも

前に到来するときは、

当該期限を当該終期まで伸長すべきである。

承認申請者に死亡等の承継事由が発生した場合には、

速やかに管轄法務局に連絡するよう、

通達や法務省ホームページ等で周知する予定であり、

納付期限の伸長は予定していません。

71 省令案第12条第1項について、

所有権の登記名義人が被相続人のままである土地について

その相続人全員が承認申請を行い、

その後の遺産分割や相続放棄等に基づき

相続人が当該土地の一部又は全部を

終局的に承継取得した場合における

本条第1項の申出の要否を、

通達等で明らかにすべきである。

通達や法務省ホームページ等で明らかにする予定です。

省令案第13条関係

72 承認申請書に

省令案第13条第1項に規定する者の

記名押印がある境界確認書を添付したときは、

本条第1項の通知等の省略を許容すべきである。

いただいた御意見については、

今後の運用の検討に当たって参考とさせていただきます。

73   承認申請後に補正があった場合や追完があった場合、

現地調査で承認申請書と異なる事実が判明した場合にも、

隣接地所有者への通知をするべきである。

御指摘を踏まえ運用を検討してまいります。

74  省令案第13条により、

省令案第3条第4号から第6号までの

書類の写しが隣接地所有者に送付され、

異議が出た場合も、

当該隣接地所有者との間で

当該異議を解消する旨の合意書が提出された場合は、

帰属法2条3項5項の要件は満たさないという理解でよいか。

御理解のとおりです。

省令案第15条関係

75   省令案の「第十五条相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令(以下「令」という。)第四条第二号に規定する…」の箇所については、正しくは『第四条第一項第二号に規定する…』となるのではないか。

御指摘のとおり修正いたします。

省令案第16条関係

76  省令案第16条第2号につき、同号に代わる情報として不動産番号の記載及び当該記載による承認申請に係る土地の所在、地番、地目及び地積の記載の省略を許容すべきである。

本制度は不動産登記制度とは別の制度であるため、不動産番号の記載によって記載を省略することは困難です。

省令案第17条関係

77   承認申請者が2人以上であるときは、次のとおりとすべきである。

(1)承認申請者への負担金の割付けに係る運用等を整備すべきである。

(2)例えば、省令案第17条第2項の通知の際に承認申請者全員から納入告知書又は納付書の送付先を別途届け出させる等、負担金が二重納付とならない運用等を整備すべきである。

(1) 負担金の分担割合については、承認申請者間で調整いただくことになります。

(2)  御指摘を踏まえ、二重納付とならないような運用となるよう検討してまいります。

省令案第20条関係

78   承認申請後の承認前・承認後のそれぞれの場面で、自治体への情報提供はどのようになされるのか。

 本意見照会の対象外ではありますが、自治体への情報提供については、承認申請者に意思を確認した上で承認前に行う運用を予定しています。

省令案第22条関係

79   委任しているものとそうでないものの違いは何か。また、但書はどのような場面で想定されているか。

性質上委任することが可能と考えられる権限について委任しています。但書は、法務大臣が自ら対応することが適当な事案がある場合に、対応が可能な権限を明示したものです。

省令案第23条関係

80 各種書類が法務省、法務局等に備えられるが承認実例の検証のために情報開示請求の対象になるのか。また、もし開示対象にならない場合でも、承認実例は承認申請手続を行う際に参考になるため、法務省で積極的に実例の情報提供などを検討してほしい。

本制度に関する行政文書は、情報公開法に基づく開示請求の対象となります。なお、承認事例を公表することについては、御意見も踏まえ検討してまいります。

81   法務省決定原本つづり込み帳及び承認申請書類つづり込み帳につづり込まれた書類については、承認申請等のオンライン化を待つまでもなく早期にデジタル化に着手すると共に、当該デジタル化した情報については、その保管期限を永久とすべきである。

今後の制度の運用実態を把握・検証した上で、検討してまいります。

省令案第24条関係

82   保存期間はどれも10年以上とすべきと考える。

また、電磁的記録を作成し、電磁的記録については基本として永年保存(あるいはとりあえず150年等(それくらい保存するなら永年保存でよいと考えるが。))を行うべきと考える(親族が見つからなかったり、関係者が知らない間に不適切な処理がされた場合の回復性については確保を行っておくべきと考える。)。

御意見等を踏まえ、引き続き検討してまいります。

その他

83   一筆一地目が原則であるが、一筆複数地目がある場合の手続きが設けられていない(通常は、分筆が必要。それぞれの地目面積が分かる図面)。

帰属政令第4条第1項各号のいずれかの土地の区分となりますので、原案のままとさせていただきます。

84  

帰属政令第3条第4項第4号「所有権が国庫に帰属した後に法令の規定に基づく処分により国が通常の管理に要する費用以外の費用に係る金銭債務を負担することが確実と認められる土地」について、どのような土地が該当するか省令で具体的に記載されるかと期待したのですが、含まれていませんでした。

地域の土地改良区で整備した農地については、年間の排水設備費等の管理費を土地改良組合に払うことが通常です。国策として開墾した農地についても国庫への帰属が出来なければ法の目的を達することができません。 このような農地についても対象となることを、明記することが必要と考えます。

本意見照会の対象外ではありますが、年間の排水設備費等の管理費を要する土地については、帰属政令第3条第3項第4号に該当し、承認することができないものと考えられます。

いただいた御意見については、今後の運用の見直しに当たっての参考とさせていただきます。

85   1.森林に係る国庫帰属承認申請の段階において、以下の手続・対応を取るべき。

国は、承認申請権者に対し森林経営管理制度の概要を説明するとともに、承認申請に係る土地が属する市町村に対し承認申請者の情報を提供すること。

国から情報提供を受けた市町村は、承認申請権者に対し、森林経営管理法に基づく経営管理の委託について意向の有無を聴取すること。

承認申請権者が経営管理の委託に応じる場合にあっては、森林経営管理制度に基づき、市町村が公的に管理もしくは、経営管理権を設定し林業経営者に再委託の手続を行うこと。

承認申請に係る土地が属する市町村を管轄する森林組合に情報を提供し、経営管理権設定意向の有無について聴取すること。

隣接地所有者への通知の際に、森林施業の集約化等に係り当該相続土地の譲渡・寄附受け等意向の有無について聴取すること。

国庫に帰属した森林については、当該帰属森林の属地状況をホームページ等で開示するとともに、当該帰属森林が属する市町村、森林組合等に情報を提供し、森林施業の集約化等に係り当該森林の譲渡・買い受け等を希望する者に対して、簡易・簡便な手法で譲渡等を可能とする制度を設けること。

国庫帰属森林の売払いにあたっては、国庫帰属財産の性格に鑑み、一般競争入札ではなく、最低売払い価格を公表した随意契約を可能な制度とする等、買い受け希望者が容易に取得できる環境を整えること。

本意見照会の対象外ではありますが、本制度における国庫への帰属に先立ち、地方公共団体に情報提供を行うなど、土地の有効活用を検討するための運用についても、引き続き検討してまいります。

関連

https://souzokutochi-kokkokizoku.com/enforcement-regulation/

加工担保法制の見直しに関する中間試案のたたき台第2案⑵

担保法制部会資料 26

https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00173.html

目次

(前注) …………………………………………..2

第1 個別動産を目的財産とする新たな規定に係る動産担保権の実体的効力 …………..3

1 担保権の効力の及ぶ範囲 …………………………..3

2 果実に対する担保権の効力 …………………………..4

3 被担保債権の範囲 …………………………………4

4 担保の目的物の使用収益権限 ………………………..4

5 使用収益以外の設定者の権限 …………………………4

6 担保権者の権限 …………………………………..5

7 物上代位 ………………………………………..6

8 その他 …………………………………………6

9 根担保権 …………………………………..7

第2 個別債権を目的財産とする譲渡担保の実体的効力 …………..8

第3 集合動産・集合債権の担保化 ………………………….9

1 動産の集合体に対する新たな規定に係る動産担保権の設定の可能性 ………………..9

2 集合動産を目的とする担保を設定した設定者の権限 ……………………….. 10

3 集合動産の構成部分である動産の設定者による処分 ………….. 10

4 集合債権を目的とする担保を設定した設定者の権限 ………. 13

5 担保価値維持義務・補充義務 ……………………… 13

6 集合動産を目的とする担保権における物上代位等 ………………. 14

第4 新たな規定に係る動産担保権の対抗要件等 …………….. 14

1 新たな規定に係る動産担保権の対抗要件等(2の留保所有権の場合を除く。) ……….. 14

2 留保所有権の対抗要件等 ……………………………. 15

第5 新たな規定に係る動産担保権と他の担保物権との優劣関係 ……………. 18

1 動産質権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係 ………… 18

2 先取特権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係 ………….. 18

3 一般先取特権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係 ……….. 18

第6 債権譲渡担保権の対抗要件等の在り方 …………………. 18

1 債権譲渡担保権の対抗要件等 ………………………… 18

2 債権譲渡担保権相互の優劣 …………………… 19

3 一般先取特権と債権譲渡担保権との優劣関係 ……………… 19

第7 動産・債権譲渡登記制度の見直し ………………………… 20

担保法制部会資料26

(前注)

1 動産を目的財産とする非占有型の担保制度や債権を目的財産とする担保制度の規律を設ける方法としては、①債権債務を担保する目的でされた一定の類型の契約を適用の対象として、その契約の効力を定める方法(以下「担保目的取引規律型」という。)、②質権、抵当権等と並ぶ担保物権を新たに設ける方法創設す方法(以下「担保物権創設型」という。)が考えられる。

担保目的取引規律型は、仮登記担保契約に関する法律(以下「仮登記担保法」という。)が「金銭債務を担保するため、その不履行があるときは債権者に債務者又は第三者に属する所有権その他の権利の移転等をすることを目的としてされた代物弁済の予約、停止条件付代物弁済契約その他の契約で、その契約による権利について仮登記又は仮登録のできるもの」の効力等について民法等の特則を設けているのと同様の方法である。動産や債権を目的財産とする担保法制についてこのような方法で規定を設ける場合は、例えば、債務を担保する目的で動産の所有権を移転する契約、債務を担保する目的で動産の所有権を売主に留保する売買契約の効力等について民法等の特則を設けることが考えられる。動産や債権を目的財産とする担保取引としては、現行法においては、債務を担保するため動産の所有権を移転したり(動産譲渡担保)、留保したり(所有権留保)するなどの取引形式が用いられており、このような形式との連続性がある点で実務上も受け入れられやすいと考えられる。

担保物権創設型は、抵当権や質権等と並ぶ新たな担保物権を創設するものであるから、この方法によって設けられた規定は、債務を動産譲渡担保する目的でや所有権を移転する留保の形式が用いられた取引(譲渡担保)などには、直接には適用されないことになる。

しかし、そうすると非典型担保が残ることになり、担保取引に関する法律関係を明確化するという点では不十分な結果となりかねない。そこで、担保物権創設型による場合には、担保物権を創設するだけでなく、債務を担保する目的で動産の所有権を移転する契約、債務を担保する目的で動産の所有権を売主に留保する売買契約などの担保取引については、新たな担保物権を設定する契約とみなすなどの規定を併せて設ける必要がある。

担保物権創設型についてこのようなみなし規定を設けるとすれば、担保目的取引規律型と担保物権創設型は規定の方法の違いにすぎず、ほぼ同様の実質を規律することができるとも考えられる(ただし、動産譲渡担保は形式的には目的財産である動産の所有権を移転する契約であるから、例えば民法第178条が適用されることになる。これに対して新たな担保物権を創設し、対抗要件を引渡しとする場合には、同条は当然には適用されないから、別途規定を設ける必要がある。このように、同じ実質を実現するとしても、必要となる規定が異なる場合がある。)。

2 この中間試案においては、①と②のいずれによって規定を設けるかは法制的な観点からの検討に委ねることとし、担保取引に関する実質的なルールの内容についての試案を示すこととし、特段の言及のない限り、担保目的取引規律型によるか担保物権創設型によるかは中立的に表現することとしている。ただし、債権は現行法上も質権の目的となり得るため、担保物権創設型による場合には、債権質と区別された新たな担保権を創設する必要性自体が問題となり得る(新たな担保権を創設するのではなく、債権質に関する規定を修正するにとどめることもあり得る。)。そこで、この中間試案においては、債権を目的とする担保に関するルールを示すときは、差し当たって担保目的取引規律型によることを前提としてルールの内容を示すこととしている。

このような観点から、担保取引によって債権者が得ることとなる権利を指す用語として、「新たな規定に係る担保権」という文言を用いる。①の方法特による動産を目的財産とする場合について言及する際は、「新たな規定に係る動産担保権」という。

「新たな規定に係る動産担保権の設定」とは、担保物権創設型によれば、新たに創設されることになる動産担保権を設定することをいい、担保目的取引規律型によれば、債務を担保する目的で一定の類型の契約を締結すること(例えば、担保目的で動産の所有権を移転する取引を「契約を締結すること)をいう。

「留保所有権」「債権譲渡担保」「債権譲渡担保権」など、担保目的取引規律型を前提とする表現を用いる場合もある。「留保所有権」とは、売主が売買代金等を担保するために所有権を留保する取引(以下「所有権留保(売買契約)」と呼び、譲渡担保いう。)によって債権者が得る権利をいう。「債権譲渡担保」とは、担保「目的で債権を譲渡する取引をいい、「債権譲渡担保権」、所有権留保とは、債権譲渡担保によって債権者が得る担保を「留保所有権」と呼ぶ。新たに規定を設けた場合の「譲渡担保」「所有権留保」と区別して、特に現行法における「譲渡担保」「所有権留保」について述べる場合は、「現行法の譲渡担保」などと呼ぶ権利をいう。

 (説明)

分かりやすさの観点から表現振りを改めたものである。なお、本文2では、債権を目的とする担保権について、担保目的取引規律型による場合の債権譲渡担保権に関するルールのみを中間試案に記載する理由を追記している。また、本文2では、中間試案における用語について、担保物権創設型、担保目的取引規律型それぞれの立場から意義を明確にしておくことが望ましいものについて記載している。

第1 個別動産を目的財産とする新たな規定に係る動産担保権の実体的効力

1 担保権の効力の及ぶ範囲

新たな規定に係る動産担保権は、目的物に従として付合した物及び設定との先後を問わず設定者が目的物に附属させた従物(注1、2)に及ぶものとする。

ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者の行為について民法第424 条第3項に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りでないものとする。

(注1) 本文において担保権の効力が及ぶとされる物をどのように表現するかについては、「付加一体物」という表現を用いることの可否も含めて今後検討する。

(注2) 設定後に附属させられた従物については解釈に委ねるべきであるとの考え方がある。

(説明)

部会資料21 から実質的変更はない。なお、従物に及んだ主物に対する担保権の効力と従物に設定された担保権との優劣については、補足説明に記載することを予定している。

2 果実に対する担保権の効力

新たな規定に係る動産担保権の担保権者は、その担保する債権について不履行があったときは、目的物の果実から優先弁済を受けることができるものとする。

(説明)

部会資料21 から変更はない。

3 被担保債権の範囲

新たな規定に係る動産担保権は、元本、利息、違約金、担保権の実行の費用及び債務の不履行によって生じた損害の賠償を担保するものとする。

ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでないものとする。

(説明)

部会資料21から実質的変更はない。

4 担保の目的物の使用収益権限

新たな規定に係る動産担保権は、その内容に使用収益権限を含まず、設定者が目的物の使用収益をすることができるものとする。

(説明)

部会資料21 から変更はない。

5 使用収益以外の設定者の権限

⑴ 新たな規定に係る動産担保権は、同一の目的物の上に重複して設定することができるものとする。

⑵ 新たな規定に係る動産担保権の設定者が担保権者の同意なく目的物を真正に譲渡すること(注1)ができるかどうかについては、次のいずれかの案によるものとする。

【案1.5.1】担保権者の同意なく目的物を真正に譲渡することができるものとする(注2)。

【案1.5.2】目的物を真正に譲渡することはできないものとする(注3)。

(注1)ここで、「目的物を真正に譲渡する」は、担保権を消滅させる形で目的物の完全な所有権を譲渡することではなく、担保権を存続させたままで、設定者の有する権利(担保目的に制限された所有権を除いた所有権又は担保権に制約された所有権)を譲渡することを意味する。担保権者35 の同意を得てその担保権を消滅させ、目的物の所有権を譲渡することができることは当然の前提としている。

(注2)【案1.5.1】を採る場合であっても、所有権留保という類型を設けるときは、所有権留保については【案1.5.2】を採るという考え方もあり得る。

(注3)このとき、担保権者の同意を得て、「担保権を存続させたままで設定者の有する権利を移転すること」ができることを前提とする。

⑶ 新たな規定に係る動産担保権の設定者は、目的物の占有を第三者に妨害されるおそれがあるときはその第三者に対する妨害の予防を、目的物の占有を第三者が妨害しているときはその第三者に対する妨害の停止を、目的物を第三者が占有しているときはその第三者に対する返還を、それぞれ請求することができるものとする。

(説明)

⑵において、「目的物を真正に譲渡する」の意義等を(注)に記載した。また、⑶において、設定者が妨害予防請求ができることを明示することとした。

6 担保権者の権限

⑴ 新たな規定に係る動産担保権の担保権者は、その担保する債権について不履行があるまでは、目的物を第三者に譲渡すること(目的物の完全な所有権を第三者に移転させること)ができないものとする(注1)。

(注1)新たな規定に係る動産譲渡担保権の被担保債権を譲渡することに伴う場合に伴って被担保権者が有する権利が移転することは、この限りあるが、これは別の問題ではないある。

⑵ 新たな規定に係る動産担保権について、他の債権の担保とすることができるもの(以下「転担保」という。)する。

⑶ 新たな規定に係る動産担保権については、順位の変更、担保権の譲渡・放棄及び順位の譲渡・放棄(以下「新たな規定に係る動産担保権の処分」という。)及び順位の変更(新たな規定に係る動産担保権の処分と併せて「新たな規定に係る動産担保権の処分等」という。)の全部又は一部をすることができるものとするか、これらのうち一部をすることができるものとする場合、その範囲をどのように考えるかについては、引き続き検討する(注2)。

(注2)できるものとする範囲については、実務上のニーズや公示の観点から、引き続き検討する。

⑶ ⑵でできるものとされた新たな規定に係る動産担保権の処分等の対抗要件等については、次のとおりとする。

ア(ア) 新たな規定に係る動産担保権の処分は、債務者に当該処分を通知し、又は債務者がこれを承諾しなければ、これをもって債務者、保証人、担保権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができないものとする。

(イ) 新たな規定に係る動産担保権の処分は、登記をしなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。

(ウ) 担保権者が数人のために新たな規定に係る動産担保権の処分をしたときにおける処分の利益を受ける者の権利の順位は、新たな規定に係る動産担保権の処分についての登記の前後によるものとする。

イ 新たな規定に係る動産担保権の順位の変更は、登記をしなければ、その効力を生じないものとする。

(説明)

本文⑴について、「目的物を第三者に譲渡すること」の意味内容が不明確であるとの意見があったことから、これを明記することとした。

本文⑵については、部会資料25 及び前回の議論内容を踏まえて、新たな規定に係る動産担保権の処分等の一部に限ってすることができるものとする考え方を併記することとし、新たな規定に係る動産担保権の処分等の対抗要件等についての記載を本項に移すこととした。

7 物上代位

⑴ 新たな規定に係る動産担保権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても行使することができるものとする。

⑵ 新たな規定に係る動産担保権の担保権者は、⑴に基づいて金銭その他の物に対して権利を行使するときは、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならないものとする。

⑶ 新たな規定に係る動産担保権に基づく物上代位とその目的債権を目的財産とする担保との優劣関係について、次のいずれかの案によるものとする。

【案 1.7.1】物上代位とその目的債権を目的財産とする担保との優劣は、⑵の差押えがされた時点と、その目的債権を目的財産とする担保が対抗要件を具備した時点との前後によるものとする。

【案1.7.2】物上代位とその目的債権を目的財産とする担保との優劣は、物上代位を生じさせた目的物元物に設定された担保権が対抗要件を具備した時点と、その目的債権を目的財産とする担保が対抗要件を具備した時点との前後によるものとする(注)。

(注)原則として【案1.7.1】の規律によるが、目的債権を目的財産とする物に設定された新たな規定に係る動産担保権の設定について登記がされたときは、譲渡登記の時点を基準とする(引渡しのみの場合には物上代位が優先する)という考え方がある。

(説明)

本文⑶の(注)について改めて整理を行った。すなわち、新たな規定に係る動産担保権については、対抗要件が必ずしも明らかでない場合もあるため、原則として【案1.7.1】の規律によることとしつつ、当該担保権の設定について登記がされたときは、登記の時点を基準とする考え方がある旨を明記することとした。他方で、目的債権を目的財産とする担保権については、登記まで求めることとするのは過大とも考えられることから、譲渡登記の時点を基準とすることとはしていない。

8 その他

民法第296 条(担保権の不可分性)及び第351 条(物上保証人の求償権)の規定を新たな規定に係る動産担保権について準用するものとする。

(説明)

部会資料21 から変更はない。

9 根担保権

⑴ 新たな規定に係る動産担保権の設定は、【一定の範囲に属する】不特定の債権を担保するためにもすることができるものとする。

⑵ 極度額を定めることの要否については、引き続き検討する。

⑶ 個別の被担保債権について譲渡や債務の引受け、債権者又は債務者の交替による更改があった場合について、譲渡された債権などについて対して担保権を行使することができないものとする。

⑷ 元本の確定前に根担保権者又は債務者について相続開始、合併又は会社分割があった場合について、次のような規定を設けるものとする。

ア 元本の確定前に根担保権者又は債務者について相続開始があった場合には、次のいずれかの案によるものとする。

【案1.9.1】根担保権者又は債務者について相続が開始したときは、担保すべき元本は、確定するものとする。

【案1.9.2】次の(ア)から(エ)までの規定を設けるものとする。

 (ア) 根担保権者について相続が開始したときは、根担保権は、相続開始時に存在する債権及び相続人と設定者との合意により定めた相続人が相続開始後に取得する債権を担保する。

(イ) 債務者について相続が開始したときは、根担保権は、相続開始時に存在する債務及び根担保権者と設定者との合意により定めた相続人が相続開始後に負担する債務を担保する。

(ウ) 上記(ア)(イ)の合意については、後順位の担保権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。

(エ) 上記(ア)(イ)の合意について相続の開始後6か月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始時に確定したものとみなす。

イ(ア) 根担保権者について合併があったときは、根担保権は、合併時に存在する債権及び合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に取得する債権を担保する。

(イ) 債務者について合併があったときは、根担保権は、合併時に存在する債務及び合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に負担する債務を担保する。

(ウ) 設定者は、根担保権者又は債務者について合併があったときは、合併があったことを知った日から2週間かつ合併から1か月以内に、担保すべき元本の確定を請求することができる。ただし、債務者について合併があった場合で、債務者が設定者であるときは、この限りでない。

(エ) (ウ)の請求があったときは、担保すべき元本は、合併の時に確定したものとみなす。

ウ(ア) 根担保権者を分割をする会社とする分割があったときは、根担保権は、分割の時に存在する債権並びに分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に取得する債権を担保する。

(イ) 債務者を分割をする会社とする分割があったときは、根担保権は、分割の時に存在する債務並びに分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に負担する債務を担保する。

(ウ) 設定者は、根担保権者又は債務者を分割をする会社とする分割があったときは、分割があったことを知った日から2週間かつ分割から1か月以内に、担保すべき元本の確定を請求することができる。ただし、債務者を分割をする会社とする分割があった場合で、債務者が設定者であるときは、この限りでない。

(エ) (ウ)の請求があったときは、担保すべき元本は、分割の時に確定したものとみなす。

⑸ 根担保権の全部譲渡、一部譲渡(注)については、これを公示するための制度を設けることができるか否かを含めて、引き続き検討する。

(注)分割譲渡については、これを公示するための制度を設けることができるか否かのほか、極度額の設定の要否と関連して、引き続き検討する。

⑹ 債務者又は設定者が破産手続開始決定を受けたこと、設定から一定期間経過した後に設定者の請求があったことなど(注1)(注2)を被担保債権の元本の確定事由とするものとする。

(注1)担保権者等による実行の着手を元本確定事由とするか否かについては、実行に関する規律(後順位担保権者による実行の可否及びその場合の先順位担保権の消長等)や集合動産を目的とした担保の規律との関係も踏まえて、引き続き検討する。

(注2)元本確定事由に関するその他の規律については、根抵当権に関する規律を参考にして、引き続き検討する。

(説明)

部会資料25 及び前回の議論内容を踏まえて、本文⑷アについて、【案1.9.1】を併記することとした。その他の部分に変更はない。

第2 個別債権を目的財産とする譲渡担保の実体的効力

1 前記第1の2(果実に対する担保権の効力)、3(被担保債権の範囲)、5(使用収益以外の設定者の権限)⑴、6(担保権者の権限)⑴、7(物上代位)、8(その他)及び9(根担保)は、債権譲渡担保権にも適用されるものとする。

2 債権譲渡担保権が設定され【、債務者対抗要件が具備され】た場合、①第三債務者は設定者に対し弁済をすることが制限され、②設定者は、担保権の目的財産である債権について、放棄、免除、相殺、更改など当該債権を消滅させる行為をすることができないものとする。

3⑴ 債権譲渡担保権について、転担保、担保権の譲渡・放棄及び順位の譲渡・放棄(以下「債権譲渡担保権の処分」という。)及び順位の変更(債権譲渡担保権の処分と併せて「債権譲渡担保権の処分等」という。)の全部又は一部をすることができるものとするか、これらのうち一部をすることができるものとする場合、その範囲をどのように考えるかについては、引き続き検討する(注)。

(注)できるものとする範囲については、実務上のニーズや公示の観点から、引き続き検討する。

⑵ ⑴でできるものとされた債権譲渡担保権の処分等の対抗要件等については、次のとおりとする。

ア(ア) 債権譲渡担保権の処分は、債務者に当該処分を通知し、又は債務者がこれを承諾しなければ、これをもって債務者、保証人、担保権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができないものとする。

(イ) 債権譲渡担保権の処分は、登記をしなければ、これをもって第三債務者以外の第三者に対抗することができないものとする。

(ウ) 債権譲渡担保権の処分は、その登記がされたことについて第三債務者に登記事項証明書を交付しなければ、これをもって第三債務者に対抗することができないものとする。

(エ) 担保権者が数人のために債権譲渡担保権の処分をしたときにおける処分の利益を受ける者の権利の順位は、債権譲渡担保権の処分についての登記の前後によるものとする。

イ 債権譲渡担保権の順位の変更は、登記をし、かつ、その登記がされたことについて第三債務者に登記事項証明書を交付しなければ、その効力を生じないものとする。

(説明)

本文3⑴については、部会資料25 及び前回の議論内容を踏まえて独立して項目を設けることとした。また、⑵については、債権譲渡担保権の処分等の対抗要件等についての記載を本項に移すこととした。

第3 集合動産・集合債権を目的とする担保権の実体的効力の担保化

1 動産の集合体に対する新たな規定に係る動産担保権の設定の可能性

新たな規定に係る動産担保権は、種類、所在場所、量的範囲の指定その他の方法により特定された範囲(以下「特定範囲」という。)に属する動産の集合体(設定後に新たに動産がその集合体に加入(個別動産が特定範囲に新たに入ることをいう。)をすることが予定されているものを含む。)を一括して目的とすることができるものとする(注)。

(注)集合体として一括して担保権の目的となるためには、単に複数の動産によって構成されているだけでなく、経済的又は取引上の一体性など、一体として扱うことを正当化するための何らかの要件が扱われるための適格性に関する何らかの要件(経済的若しくは取引上の一体性又は「取引上の社会通念に照らし、構成部分が変動しても集合体としての同一性を維持して存続すると認められる」ことなど)を必要であるというとする考え方がある。

(説明)

部会資料25 及び前回の議論内容等を踏まえて表現を改めた。

2 集合動産を目的とする担保を設定した設定者の権限

新たな規定に係る動産担保権の目的物が特定範囲に属する動産の集合体であって、設定後に新たに動産がその集合体に加入することが予定されているもの(以下「集合動産」という。)である場合における設定者の処分権限や担保権者の権限について、次のような規定を設けるものとする。

⑴ 設定者は、通常の事業の範囲内で、集合動産の構成部分である動産について、担保権の負担のないものとしての処分をし、又は集合動産から逸出(特定範囲に含まれていた個別動産が、事実の問題として特定範囲から出ることをいう。)をさせる権限を有する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、その定めに従う。

 ⑵ 設定者が⑴の権限の範囲(以下「権限範囲」という。)を超えて集合動産の構成部分である動産について、担保権の負担のないものとしての処分をし、を処分し、又は逸出をさせるおそれがあるときは、担保権者は、その予防を請求することができる。

(説明)

部会資料25及び前回の議論内容等を踏まえて表現を改めた。

3 集合動産の構成部分である動産の設定者による処分

⑴ 設定者が、その権限範囲を超えて、集合動産の構成部分である動産を、担保権の負担のないものとしての処分をした場合に、当該処分を受けた者が、その動産が担保権の目的物であることを知らないで、かつ、知らないことに過失がなかったときには、民法第192 条の適用によって保護されるものとする(注1)。

⑵ 設定行為に設定者の処分権限について別段の定めがない場合において、設定者が、集合動産の構成部分である動産を、通常の事業の範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合には、当該処分を受けた者は、その処分が設定者の通常の事業の範囲に含まれると信じるについて正当な理由があるときは、その動産について担保権の負担のない権利を取得するものとする。

⑶ 設定行為に設定者の処分権限を制約する別段の定めがある場合において、設定者が、通常の事業の範囲内で、かつ、制約された権限範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合には、当該処分を受けた者は、制約された権限範囲を超えていることを知らなかったとき(注2)は、その動産について担保権の負担のない権利を取得するものとする(注3)。

⑷ 設定行為に設定者の処分権限を制約する別段の定めがある場合において、設定者が、通常の事業の範囲及び制約された権限範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合には、当該処分を受けた者は、設定者による当該処分が通常の事業の範囲に含まれると信じるについて正当な理由があり、かつ、制約された権限範囲を超えることを知らなかったとき(注2)は、その動産について担保権の負担のない権利を取得するものとする。

⑸ 設定行為に設定者の処分権限を拡大する別段の定めがある場合において、設定者が、通常の事業の範囲及び拡大された権限範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合には、当該処分を受けた者は、設定者による当該処分が通常の事業の範囲又はその拡大された権限範囲に含まれると信じるについて正当な理由があるときは、その動産についての担保権の負担のない権利を取得するものとする。

⑴ 設定者が、通常の事業の範囲内で、かつ、権限範囲を超えて、集合動産の構成部分である動産を処分した場合については、次のいずれかの案によるものとする。

【案3.3.1.1】 処分を受けた者は、その動産について権利を取得するものとする。

【案3.3.1.2】 処分を受けた者は、設定者による処分が権限範囲を超えていることを知らなかった場合には、その動産について権利を取得するものとする。

【案3.3.1.3】 処分を受けた者は、設定者による処分が権限範囲を超えていることを知らず、かつ、知らなかったことにつき過失がないときは、その動産について権利を取得するものとする。

⑵ 設定者が、権限範囲を超えて、かつ、通常の事業の範囲を超えて、集合動産の構成部分である動産を処分した場合については、次のいずれかの案によるものとする。

【案3.3.2.1】 処分を受けた者は、設定者による処分が通常の事業の範囲であると信じていた場合には、その動産についての権利を取得するものとする。

【案3.3.2.2】 規律を設けず、処分を受けた者は、即時取得が成立するときに限り、保護されるものとする。

⑹ 前記2⑴及び3並びに⑴から⑸まで及び⑵で処分を受けた者が集合動産の構成部分である動産について権利を取得しない場合に担保権者のとり得る手段については、引き続き検討する。

(注1)集合動産から逸出をした動産の処分については別異に考えるべきであるという考え方がある。

(注2)知らなかったことにつき過失がないことが必要であるという考え方、重過失がないことが必要であるという考え方がある。

(注3)相手方が権利を取得するために、目的物が集合物から逸出をすることが必要であるかどうかについては、引き続き検討する。

(説明)

1 前記2のとおり、集合動産を目的とする新たな規定に係る担保権の設定者は、原則として、通常の事業の範囲内又は当事者が定めた権限の範囲内で、構成部分である動産の処分権限を有する。本項の本文は、設定者がその範囲を超えて、担保権の負担がないものとして構成部分を処分した場合に、その相手方が担保権の負担のない権利を取得するかどうかについての規律を設けようとするものである。通常の事業の範囲や当事者が合意した権限範囲との関係で、行われた処分がどのように位置づけられるかについては、次のようなパターンが考えられる。

A:通常の事業の範囲に含まれているが、当事者が合意によって制約が加えられており、合意された権限範囲には入っていない。

B:通常の事業の範囲に含まれており、当事者間で合意された権限範囲にも含まれる。

C:通常の事業の範囲内に含まれていないが、当事者が権限範囲を拡大する方向で合意しており、合意された範囲に含まれている。

D:通常の事業の範囲に含まれておらず、当事者が合意した範囲にも含まれていない。

2 具体的な規律内容

本文⑴は、権限外で処分が行われた場合についての原則を明らかにしたものであり、設定者の権限を超えた処分がされた以上、原則として第三者は権利を取得することができないが、即時取得が成立する場合には第三者は担保権の負担のない権利を取得するというものである。

本文⑵は、設定者の処分権限について別段の定めがない場合(したがって、設定者が通常の事業の範囲内での処分権限を有する場合)に関するものである。この場合に、通常の事業の範囲を超えた処分(上図のC、D)がされたときでも、相手方がその処分が通常の事業の範囲内でされたと信じる正当な理由があるときは、相手方は担保権の負担のない権利を取得するとするものである。正当な理由があるときとは、そのように信じるについて過失がないという趣旨である。法律上のデフォルトルールとして、設定者が通常の事業の範囲内では処分権限を有することとされているため、権限内で処分がされたと過失なく信じた相手方を保護しようとするものである。

本文⑶は、当事者間で設定者の処分権限について別段の定めがされ、設定者が、通常の事業の範囲内よりも狭い範囲でのみ処分権限を有するとされた場合に関する規定であり、通常の事業の範囲内で、当事者が合意した権限を超えた処分がされた場合(A)を扱っている。

 通常の事業の範囲内では設定者は処分権限を有するのが原則であり、これに加えられた制約は第三者にとっては認識しにくいものであるから、当事者としては、その処分について設定者が権限を有すると信頼してもやむを得ない。そこで、この場合には、当事者の合意した権限を超えている場合でも、即時取得に必要な主観的要件を緩和して相手方を厚く保護することが考えられる。そこで、本文⑶では、当事者の合意によって制約された権限を超えていることについて相手方が善意でさえあれば、相手方は保護されることとしている。これに対しては、無過失が必要であるという見解や、無重過失が必要という見解も主張されているため、これらを(注)に記載している。

本文⑷も、本文⑶と同様に、当事者間で設定者の処分権限について別段の定めがされ、設定者が、通常の事業の範囲よりも狭い範囲でのみ処分権限を有するとされた場合に関する規通常の事業の範囲 当事者が合意した範囲A B CD定であり、通常の事業の範囲を超え、かつ、当事者が合意した権限を超えた処分がされた場合に関するもの(D)を扱っている。この場合、その処分が通常の事業の範囲内でされたと信じる正当な理由があるときは、相手方の信頼を保護してその処分が通常の事業の範囲内でされたのと同様に扱い(本文⑵と同様)、その上で、通常の事業の範囲というデフォルトルールに加えられた制約は相手方にとって認識しにくく、通常の事業の範囲内にあると正当に信頼した者は、合意による権限を超えていても相手方には処分権限があると信頼するのが通常であるから、本文⑶と同様に、合意による権限を超えていることについて善意でさえあれば、相手方を保護して担保権の負担のない権利を取得することとしている。

本文⑸は、本文⑶⑷とは逆に、設定者の処分権限を拡大する別段の定めがある場合についての規律であり、通常の事業の範囲及び拡大された権限範囲を超えた処分がされた場合に(D)、相手方が、設定者による当該処分が通常の事業の範囲又はその拡大された権限範囲のいずれかに含まれると信じるについて正当な理由があるときは、その信頼を保護しようとするものである。

4 集合債権を目的とする担保を設定した設定者の権限

⑴ 譲渡担保の目的債権が債権発生年月日の始期及び終期並びに債権発生原因等特定範囲によって特定され、特定された範囲に現に発生していない債権を含むもの(以下「集合債権」という。)である場合においては、設定者は、通常の事業の範囲内で、その特定された範囲に含まれる債権の取立て【、譲渡及び相殺、免除その他の債権を消滅させる行為】をする権限を有するものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときはその定めに従うものとする。

⑵ 設定者が⑴の権限の範囲を超えて取立て【、譲渡、免除等】をした場合の譲受人及び第三債務者の保護に関する特別の規定を設けないものとする。

(説明)

本文⑴の集合債権の要件について、表現ぶりを改めた。

なお、本文⑴の「取立て」には取立金を利用する権限まで含まれることについては、補足説明に明記する予定である。

5 担保価値維持義務・補充義務

前記2⑴及び4⑴に規定する場合について、担保価値維持義務や、特定された範囲に含まれる動産又は債権について担保権の負担のないものとしての処分が処分がされ、又は逸出をさせたときの補充義務に関する規定(注)を設けるか否かについて、引き続き検討する。

 (注)例えば、「新たな規定に係る動産担保権の目的財産が集合動産又は集合債権である場合には、正当な理由がある場合を除き、設定者は、通常の事業が継続されれば当該集合動産又は当該集合債権が有すると認められる価値を維持しなければならない」という趣旨の規定が考えられる。

(説明)

二読資料から変更はない。

6 集合動産を目的とする担保権における物上代位等

⑴ 新たな規定に係る動産担保権の目的物が集合動産である場合には、当該担保権は、設定者が通常の事業を継続している間は、特定範囲に含まれる動産の売買、滅失又は損傷によって設定者が受けるべき金銭その他の物に対し、行使することができないものとする。

⑵ 前記⑴につき、次のような例外を設けるかは、引き続き検討する。

ア 当事者が別段の合意をした場合

イ 権限範囲を超える処分がされた場合

⑶ 第三者が特定範囲に含まれる動産を滅失又は損傷させた場合における担保権者独自の損害賠償請求権については、特段の規定を設けないものとする。

(説明)

部会資料21から変更はない。

第4 新たな規定に係る動産担保権の対抗要件等

1 新たな規定に係る動産譲渡担保権(又は新たに創設する担保権。以下併せて「動産譲渡担保権等」という。)の対抗要件等(2の留保所有権の場合を除く。)

 ⑴ 新たな規定に係る動産譲渡担保権の対抗要件

ア 個別動産を目的とする新たな規定に係る動産譲渡担保権(以下「個別動産担保権」という。)の設定は、当該個別動産の引渡し(占有改定を含む。以下同じ。)がなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。

イ 集合動産を目的とする新たな規定に係る動産譲渡担保権(以下「集合動産担保権」という。)等(以下「集合動産譲渡担保権等」という。)の設定は、その構成部分であるとして現に存在する動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。この場合には、当該設定後に集合動産に加入した個別動産に及ぶ当該担保権の効力についても、第三者に対抗することができるものとする。

ウ 個別動産担保権又は集合動産担保権を目的とする動産譲渡担保権等の設定については、登記をすることができることとし、登記がされたときは、目的物である個別動産又は集合動産の構成部分であるとして現に存在する動産について引渡しがあったものとみなすものとする。

⑵ 新たな規定に係る動産譲渡担保権相互の優劣

ア 同一の個別動産又は集合動産ついて数個の個別動産譲渡担保権が設定されて競合したときは、その順位は、原則として、当該担保権について対抗要件を備えた時これをもって第三者に対抗することができるようになった時の前後によるものとする。

イ 同一の集合動産に数個の集合動産担保権が設定されて競合したとき(その一部が重なり合って競合する場合を含む。)は、その順位は、原則として、集合動産担保権について対抗要件を備えた時の前後による(注1)。

ウ 集合動産に一個の集合動産担保権が設定されており、その設定後に、個別動産担保権が設定された個別動産が加入したときは、集合動産担保権(が当該個別動産に及ぶ効力)と個別動産担保権との順位については、原則として、次のいずれかの案によるものとする。

【案 4.1.1】個別動産担保権について対抗要件を備えた時と集合動産担保権について対抗要件を備えた時の前後による。

【案4.1.2】個別動産担保権について対抗要件を備えた時と当該個別動産が集合動産に加入した時の前後による。

アからウまでにかかわらず、登記により対抗要件を備えた新たな規定に係る動産譲渡担保権は、占有改定により対抗要件を備えた新たな規定に係る動産譲渡担保権等に優先するものとする(注2)。

(注1)集合動産担保権の設定後に集合動産に加入した個別動産(加入時に、当該個別動産を目的とする個別動産担保権は設定されていない。)があるときであっても、集合動産担保権同士の競合が問題となる場面においては、設定後に加入した個別動産についても、その順位は、原則として、集合動産担保権について対抗要件を備えた時の前後による。

(注2)集合動産譲渡担保権に限ってエの規律を適用する考え方がある。

(説明)

部会資料 23 では、担保目的取引規律型及び担保物権創設型の双方を包含する形で「動産譲渡担保権等」と定義していたが、分かりにくさもあったことから、「新たな規定に係る動産担保権」とし、実質的ルールの異なる留保所有権の場合を除くこととした。

本文⑴イについては、集合動産の構成部分である個別動産が現には存在しないものの、近いうちに存在することとなるのが確実といえるような場合にも、集合動産を目的とする新たな規定に係る動産担保権の対抗要件を具備する余地を認めるべきとの意見があったことを踏まえて、「その構成部分である動産」という文言に修正することとした。また、本文⑴イについて、集合動産を目的とする新たな規定に係る動産担保権の設定についての第三者対抗要件の効力が、当該設定後に集合動産に加入した個別動産にも及ぶ旨を明記した。

本文⑵では、部会資料 25 及び前回の議論内容を踏まえて新たな規定に係る動産担保権が競合する場面とその規律を整理し、ウにおいて設定時説と加入時説を併記することとした。

2 留保所有権(又は新たに創設する担保権のうち目的物の売買代金債権のみを被担保債権とするもの。以下併せて「留保所有権等」という。)の対抗要件等

⑴ 留保所有権の対抗要件の要否

留保所有権を第三者に主張するために対抗要件を必要とするかどうかについては、次のとおりいずれかの案によるものとする。

ア 目的物の代金債権を担保する留保所有権(以下「狭義の留保所有権」という。)は、これを第三者に主張するために対抗要件を必要とするかどうかについては、次のいずれかの案によるものとする(注1、2)。

【案4.2.1.1】目的物の代金債権を担保する留保所有権(以下「狭義の留保所有権」という。)(又は新たに創設する担保権のうち目的物の売買代金債権のみを被担保債権とするもの。以下「狭義の留保所有権等」という。)は、これを第三者に主張するために、特段の要件を必要としないものとする(注31、2)。

【案4.2.1.2】狭義の留保所有権等を含む)留保所有権等は、その動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。

イ (目的物の代金債権及び)目的物の代金債権(注1)以外の債権を担保する留保所有権(以下「拡大された留保所有権」という。)は、その動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする(注2)。

(注1)動産を購入するための資金の融資に基づく債権など、目的物である動産と密接な関連性を有する一定の債権を被担保債権とする留保所有権についても、狭義の留保所有権に含める等と取り扱う考え方がある。これに関連して、このような密接な関連性を有する一定の債権を被担保債権とする動産譲渡担保権が設定された場合には、当該動産譲渡担保権についても、狭義の留保所有権と同様に取り扱う考え方がある。

担保物権創設型によると、目的物の代金債権【及び上記債権】を担保する新たな規定に係る動産担保権について、狭義の留保所有権と同様に取り扱うことが考えられる。

(注2)担保目的取引規律型による場合には、狭義の留保所有権以外の留保所有権(以下「拡大された留保所有権」という。)は、動産譲渡担保権等と同様に取り扱うものとする。

(注2)留保所有権については、登記できるとすることが考えられる。

(注3)【案4.2.1.1】によっても、(代位弁済等により)目的物の売主以外の者が狭義の留保所有権を有する場合には、その動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする考え方がある。

 ⑵ 留保所有権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係

【案4.2.2.1】狭義の留保所有権等は、他の新たな規定に係る動産担保権に当然に優先するものとする(【案4.2.1.1】を前提とする。)。

【案4.2.2.2】留保所有権等と競合する他の新たな規定に係る動産担保権との優劣は、これをもって第三者に対抗することができるようになった時の前後によるものとする(【案30 4.2.1.2】を前提とする。)。

ア 【案4.2.2.3】留保所有権と競合する他の新たな規定に係る動産担保権との優劣は、留保所有権が目的物の代金債権以外の債権を担保する限度では、原則として、これをもって第三者に対抗することができるようになった時の前後によるものとする(注4)。

イ ただし、留保所有権は、【【案 4.2.1.2】によると引渡しがされていることを前提として、】等がその目的物の代金債権を担保する限度では、他の競合する新たな規定に係る動産担保権に当然に優先するものとする(注5、6)(【案4.2.1.2】を前提とする。)(注3、4)。

(注4)この場合には、前記1⑵エと同様のルール(登記優先ルール)を採用することが考えられる。

(注5)なお、拡大された留保所有権について、目的物の代金債権を担保する部分と目的物の代金債権以外の債権を担保する部分がある場合には、これと競合する他の新たな規定に係る動産担保権との優劣は、本文⑵イにより目的物の売買代金を担保する限度では拡大された留保所有権が優先し、それ以外の部分については、原則として、それぞれが対抗要件を具備した時の前後による

ものとなる。

(注6)他の新たな規定に係る動産担保権に優先するための要件として、一定期間内に登記を備えることを求める考え方がある。

(注3)【案4.2.2.3】を採る場合には、留保所有権等がその目的物の代金債権を担保する限度で競合する新たな規定に係る動産担保権に優先するためには、留保所有権等について第三者対抗要件を備えていることが必要(ただし、競合する他の担保権の対抗要件具備より後でもよい。)となる。

(注4)【案4.2.2.3】を採る場合には、拡大された留保所有権と競合する他の新たな規定に係る動産担保権との優劣は、本文⑵により目的物の売買代金を担保する限度では留保所有権が優先し、それ以外の部分については、原則として、それぞれが対抗要件を具備した時の前後によるものとなる。【案4.2.2.1】を採る場合の拡大された留保所有権の取扱いも、同様とすることが考えられる。

(説明)

留保所有権の登記できる範囲を明確化するなどの表現の見直しを行ったほか、部会資料から実質的変更はない。なお、狭義の留保所有権について登記を要求する意見があったが、(注6)の記載で足りるものと考えられ、特段の追記は行っていない。

3 新たな規定に係る動産担保権の処分等の対抗要件等

⑴ア 新たな規定に係る動産担保権の処分は、債務者に当該処分を通知し、又は債務者がこれを承諾しなければ、これをもって債務者、保証人、担保権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができないものとする。

イ 新たな規定に係る動産担保権の処分は、登記をしなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。

ウ 担保権者が数人のために新たな規定に係る動産担保権の処分をしたときにおける処分の利益を受ける者の権利の順位は、新たな規定に係る動産担保権の処分についての登記の前後によるものとする。

⑵ 新たな規定に係る動産担保権の順位の変更は、登記をしなければ、その効力を生じないものとする。

(説明)

実体的効力に項目を移すこととした。

第5 新たな規定に係る動産担保権と他の担保物権との優劣関係

1 動産質権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係

⑴ 動産質権と新たな規定に係る動産担保権とが競合する場合は、動産質権については設定時(引渡時)を基準とし、新たな規定に係る動産担保権については第三者に対抗することができるようになった時を基準とし、優劣はその前後によるものとする。

⑵ 動産質権と留保所有権とが競合する場合は、動産質権については設定時(引渡時)を基準とし、第4の2⑵と同様に取り扱うこととする。

⑵ 狭義の留保所有権は、その目的物の代金債権を担保する限度では、特段の要件なくして競合する動産質権に優先するものとする。

2 先取特権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係

⑴ 先取特権と新たな規定に係る動産担保権は競合するものとし、その優劣関係については新たな規定に係る担保権を民法第330 条に規定する第1順位の先取特権と同一の効力を有するものと取り扱うものとする。

⑵ 新たな規定に係る動産担保権者については、民法第330 条第2項前段の規定を適用しないこととし、担保権設定時に第2順位又は第3順位の先取特権者があることを知っていたとしても、これらの者に対して優先権を行使できるものとする(注)。

(注)動産質権についても、民法第330 条第2項前段の規定を適用しないようにすることが考えられる。

3 一般先取特権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係

雇用関係の先取特権を含む一般先取特権に、新たな規定に係る動産担保権に対する一定の優先権を認めるかについては、担保法制全体に与える影響も考慮しつつ、新たな規定に係る動産担保権に優先し得る一般先取特権の範囲(雇用関係の先取特権に限るか、その他の一般先取特権にも優先権を認めるか)、新たな規定に係る動産担保権の範囲(その目的物の性質等によって区別するか)、優先権の具体的な内容、優先権を行使するための要件等を引き続き検討する。

(説明)

本文1⑵については、動産質権と留保所有権とが競合する場合の優劣関係の基準については、新たな規定に係る動産担保権と留保所有権とが競合する場合と同様に取り扱うべきことを明記した。その他は部会資料23から変更はない。

第6 債権譲渡担保権の対抗要件等の在り方

1 債権譲渡担保権の対抗要件等

⑴ア 債権を目的とする譲渡担保権(以下「債権譲渡担保権」という。)の設定は、設定者から第三債務者に対する通知又は第三債務者の承諾(以下「通知又は承諾」という。)がなければ、これをもって第三債務者に対抗することができないものとする。

イ 債権譲渡担保権の設定は、確定日付のある証書による通知又は承諾がなければ、これをもって第三債務者以外の第三者に対抗することができないものとする。

⑵ア 債権譲渡担保権の設定については、登記をすることができることとし、登記がされたときは、第三債務者以外の第三者については、確定日付のある証書による通知があったものとみなすものとする。

イ 債権譲渡担保権の設定の登記がされたことについて設定者又は担保権者が第三債務者に登記事項証明書を交付して通知をし、又は当該第三債務者が承諾をしたときは、当該第三債務者についても、確定日付のある証書による通知があったものとみなすものとする。

2 債権譲渡担保権相互の優劣関係

⑴ 同一の債権について数個の債権譲渡担保権が設定されたときは、その順位は、原則として、これをもって第三者に対抗することができるようになった時の前後によるものとする。

⑵ 登記により対抗要件を備えた債権譲渡担保権と、通知又は承諾により対抗要件を備えた債権譲渡担保権との優劣関係について、特別の規定を設けないものとする(注)。

(注)登記により対抗要件を備えた債権譲渡担保権は、通知又は承諾により対抗要件を備えた債権譲渡担保権に優先するものとする考え方がある。

 3 一般先取特権と債権譲渡担保権との優劣関係

雇用関係の先取特権を含む一般先取特権に、債権譲渡担保権に対する一定の優先権を認めるかについては、第5の3と同様に、引き続き検討する。

3 債権譲渡担保権の処分等の対抗要件等

⑴ア 債権譲渡担保権の処分は、債務者に当該処分を通知し、又は債務者がこれを承諾しなければ、これをもって債務者、保証人、担保権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができないものとする。

イ 債権譲渡担保権の処分は、登記をしなければ、これをもって第三債務者以外の第三者に対抗することができないものとする。

ウ 債権譲渡担保権の処分は、その登記がされたことについて第三債務者に登記事項証明書を交付しなければ、これをもって第三債務者に対抗することができないものとする。

エ 担保権者が数人のために債権譲渡担保権の処分をしたときにおける処分の利益を受ける者の権利の順位は、債権譲渡担保権の処分についての登記の前後によるものとする。

⑵ 債権譲渡担保権の順位の変更は、登記をし、かつ、その登記がされたことについて第三債務者に登記事項証明書を交付しなければ、その効力を生じないものとする。

(説明)

本文2について、債権譲渡担保権についても登記優先ルールを採用する考え方があることを(注)に記載した。

また、本文3について、一般先取特権と債権譲渡担保権との優劣関係の問題を引き続き検討する旨を明記することとした。

なお、債権譲渡担保権の処分等の対抗要件等については、実体的効力に項目を移している。

第7 動産・債権譲渡登記制度の見直し

1 同一の動産又は債権を目的とする新たな規定に係る担保権に関する権利関係を一覧的に公示する仕組みの導入の要否

【案 7.1.1】同一の動産又は債権を目的とする新たな規定に係る担保権に関する権利関係を一覧的に公示させる仕組みは、設けないものとする。

【案7.1.2】新たに関連担保目録制度を導入し、同一の動産又は債権を目的とする新たな規定に係る担保権に関する権利関係を関連担保目録にできる限り一覧的に公示させるものとする。

2 新たな規定に係る担保権の処分等を登記できるようにすることの要否及びその範囲並びにその公示方法

新たな規定に係る動産担保権の処分、新たな規定に係る動産担保権の順位の変更、債権譲渡担保権の処分及び債権譲渡担保権の順位の変更(以下「新たな規定に係る担保権の処分等」という。)を登記できるようにすることの要否及びその範囲について、実務上のニーズや公示の分かりやすさの観点等を踏まえて、引き続き検討する。その上で、登記できるとされた新たな規定に係る担保権の処分等の公示方法については、以下のとおりとする。

【案7.2.1】新たな規定に係る担保権の処分等に関する登記を、例えば個々の動産・債権譲渡登記に付記するような形でできるものとする(【案7.1.1】を前提とする。)。

【案7.2.2】関連担保目録に登記された動産・債権譲渡登記に係る新たな規定に係る担保権の処分等のみを登記できることとし、当該新たな規定に係る担保権の処分等に関する登記は関連担保目録上に行うものとする(【案7.1.2】を前提とする。)。

3 登記をすることができる動産若しくは債権の譲渡人又は新たな規定に係る担保権の設定者の範囲登記をすることができる動産若しくは債権の譲渡人又は新たな規定に係る担保権の設定者の範囲を、商号の登記をした商人にも拡大することについて、引き続き検討する。

(説明)

部会資料23 から変更はない。なお、登記手続に関するより詳しい説明は、補足説明に明記する予定である。

加工 担保法制部会資料25 担保法制の見直しに関する中間試案のための検討メモ

https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00167.html

1 新たな規定に係る担保権の処分等について(部会資料21 第1の6⑵及び⑶、第2の1に5 ついて)

部会資料21 の第1の6⑵及び⑶に、以下の案を併記することについて、どう考えるか。

新たな規定に係る担保権についての転担保、順位の変更、担保権の譲渡・放棄及び順位の譲渡・放棄については、その一部に限ってできるものとする(注)。

(注)できるものとする範囲については、実務上のニーズや公示の観点から、引き続き検討する。

(説明)

部会資料23 では、登記することができる新たな規定に係る担保権の処分等について、公示の分かりやすさの観点から、一部のものに限定する案を示した(部会資料23 第7の(説明)3参照)。また、電子記録債権法(平成19 年法律第102 号)は、電子記録債権を目的とする質権について、順位の変更(同法第39条)及び転質(同法第40条)のみを認めており、質権又はその順位の譲渡又は放棄を認めていない(同法第36 条において民法の規定が準用されていない)。これらを踏まえると、実体法上、新たな規定に係る担保権の処分等をすることができるものとするかどうかについても、その一部に限ってできるものとする案を設けることとするのが相当と考えられるため、これを併記することを提案するものである。

なお、できるものとするか否かについては、

①実務上のニーズがあるか(例えば、ニーズがあると指摘されているものとして、順位の変更など)

②(物的に編成されていない動産・債権譲渡登記においても)公示を適切に行うことができるか(公示を比較的適切に行えると考えられるものとして、例えば、転担保、担保権の譲渡・放棄(=他の担保権の存在が問題とならない担保権の処分))などを参考に検討することが考えられる。

根担保権の元本の確定前に根担保権者又は債務者について相続があった場合について(部会資料21 第1の9⑷ア、第2の1について)

部会資料21の第1の9⑷アに、以下の案を併記することについて、どう考えるか。

根担保権者又は債務者について相続が開始したときは、担保すべき元本は、確定するものとする。

(説明)

部会資料 21 の第1の9⑷アでは、根担保権者又は債務者について相続があった場合について、根抵当権と同様に、相続の開始後6か月以内に合意の登記がされた場合に限り、相続人が相続の開始後に取得する債権/債務を担保することを提案していた。しかし、動産・債権譲渡登記においては、債務者は登記事項とされていない上、登記できる譲渡人も(商号登記をした商人に拡大しない限りは)法人に限られるため、債務者について相続があった場合を念頭において合意の登記のような制度を設ける必要性は乏しいと考えられる。また、自然人である根担保権者又は債務者の相続人との間の新たな債権を根担保権によって担保しなければならない必要性は高くないと考えられる。加えて、「合意の登記」のようなものを動産・債権譲渡登記に設けることにより、公示が分かりにくくなるおそれもある。

以上を踏まえると、端的に、根担保権者又は債務者について相続が開始したことを元本確定事由とすることも考えられることから、これを併記することを提案するものである。

関連 民法398条の8、398条の10。昭和46年10月4日付け民事甲第3220号民事局長通達、昭和46年12月27日付け民事三発第960号民事局第三課長依命通知。登記研究312号P43からP47、319号P50、369号P81、370号P72、533号P156、559号P152、649号P195、795号P104。

3 集合動産を構成する動産の「逸出・加入」及び「処分」の概念等について(部会資料21 第3の1から3までについて)部会資料21 第3の1及び2の「加入」とは、「個別動産が、種類、所在場所、量的範囲の指定その他の方法により特定された集合体の範囲(以下「特定範囲」という。)に新たに入ること」をいい、同2の「逸出」とは、集合物を目的とする担保権が及ばなくなるという法的な効果をいうものではなく、「集合体の特定範囲に含まれていた個別動産が、事実の問題として特定範囲から出ること」という趣旨で用いているが、そのような理解でよいか。また、これらの趣旨を表す文言としてよりよいものはあるか。

また、同2及び3の「処分」を「担保権の負担のないものとしての処分」と改めた上で、これを「集合動産の構成部分である個別動産の所有権を、新たな規定に係る担保権の負担がないものとして第三者に移転させること」をいうものと考えて良いか。

(説明)

部会資料21 の第3の1から3までの「逸出・加入」及び「処分」の概念について、集合動産に関する論点を検討する前提として、その意味内容についての認識を共有しようとするものである。なお、「逸出・加入」の用語については、集合動産の特定に当たり、場所的要件を不要とする、又は柔軟化する考え方によると、必ずしも当てはまらない場合もあり得るが、分かりやすさの観点から、「逸出・加入」に統一することとしている。また、「処分」については、分かりやすさの観点から「担保権の負担のないものとしての処分」という名称に改め、その意味内容を明記している。いずれも他の論点を議論する前提として認識を共有する趣旨で記載したものである。

4 集合動産の構成部分である動産を設定者が処分した場合における第三者保護(部会資料21第3の3⑴及び⑵について)

部会資料 21 第3の3⑴及び⑵の記載を、次のとおり修正することについて、どう考えるか。

⑴ 設定行為に設定者の処分権限を制約する別段の定めがある場合において、設定者が、通常の事業の範囲内で、かつ、制約された権限範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合には、当該処分を受けた者は、制約された権限範囲を超えていることを知らなかったときに限り、その動産について権利を取得するものとする(注1)。

(注1)これに加えて、知らなかったことにつき過失がないことを求める考え方がある。

⑵ 設定者が、通常の事業の範囲及び権限範囲を超えて、担保権の負担のないものとして処分をした場合については、当該処分を受けた者は、設定者による当該処分が通常の事業の範囲であると信じていた場合には、その動産についての権利を取得するものとする(注2)。

(注2)この場合において、当該処分を受けた者が、設定者による当該処分が通常の事業の範囲であるとは信じていなかったとき(例えば、設定者による処分は通常の事業の範囲を超えているが、拡大された権限範囲内であると信じていたときや、そもそも集合動産譲渡担保権等が設定されていたことを知らなかったときなど)は、即時取得が成立するときに限り、保護されることになると考えられる。

(説明)

⑴について、ここで問題となる別段の定めを「処分権限を制約する別段の定め(処分権限をデフォルトルールから狭める定め)」に限定することを明記している。なお、部会資料21では、「処分を受けた者は、その動産について権利を取得するものとする」案(部会資料 21の【案 3.3.1.1】)や、「処分を受けた者は、設定者による処分が権限範囲を超えていることを知らず、かつ、知らなかったことにつき過失がないときは、その動産について権利を取得するものとする」案(部会資料21 の【案 3.3.1.3】)を併記していたが、第13 回部会の議論では、「処分を受けた者は、設定者による処分が権限範囲を超えていることを知らなかった場合には、その動産について権利を取得するものとする」案(部会資料21の【案 3.3.1.2】)に支持が多かったことから、これを本文に記載することとし、部会資料21 の【案 3.3.1.3】を(注)に記載することとした。なお、「処分を受けた者は、その動産について権利を取得するものとする」案(部会資料21 の【案 3.3.1.1】)については、悪意の者を保護すべき実質的理由もないことから、本文には記載しないこととした。以上の整理について、どう考えるか。

 ⑵について、当該処分を受けた者の主観に応じて第三者保護の規律を分けることを提案している。すなわち、設定者が、通常の事業の範囲及び権限範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合については、当該処分を受けた者は、設定者による当該処分が通常の事業の範囲であると信じていた場合には、その動産についての権利を取得するものとし(この場合には、即時取得の要件を緩めることになる。)、それ以外の場合(例えば、設定者による処分は通常の事業の範囲を超えているが、拡大された権限範囲内であると信じていたときや、そもそも集合動産譲渡担保権等が設定されていたことを知らなかったときなど)については、原則どおり即時取得の規律によることになると考えられる。

このような整理が適当かについて、御意見を伺いたい。

5 動産譲渡担保権等相互の優劣について(部会資料23の第4の1⑵について)

次の⑴及び⑵を前提として、⑶の場合の規律について、どう考えるか。

⑴ 同一の個別動産に数個の個別動産譲渡担保権等が設定されて競合したときは、その順位は、原則として、個別動産譲渡担保権等について対抗要件を備えた時の前後による。

※いわゆる登記優先ルールの適用あり。

⑵ 同一の集合動産に数個の集合動産譲渡担保権等が設定されて競合したとき(その一部が重なり合って競合する場合を含む。)は、その順位は、原則として、集合動産譲渡担保権等について対抗要件を備えた時の前後による。

この場合において、集合動産譲渡担保権等の設定に集合動産に加入した個別動産(加入時に、当該個別動産を目的とする動産譲渡担5 保権等は設定されていない。)があるときであって、集合動産譲渡担保権等同士の競合が問題となる場面においては、設定後に加入した個別動産について、その順位は、原則として、集合動産譲渡担保権等について対抗要件を備えた時の前後による。

※いわゆる登記優先ルールの適用あり(登記優先ルールの適用範囲をこの場面に限定する考え方がある。)。

⑶ 集合動産に一個の集合動産譲渡担保権等が設定されており、その設定後に、個別動産譲渡担保権等が設定された個別動産が加入したときは、集合動産譲渡担保権等(が当該個別動産に及ぶ効力)と個別動産譲渡担保権等との順位は、次のいずれの立場によって決するのが相当と考えるか。

【甲案】個別動産譲渡担保権等について対抗要件を備えた時と集合動産譲渡担保権等について対抗要件を備えた時の前後による(設定時説)。

【乙案】個別動産譲渡担保権等について対抗要件を備えた時と当該個別動産が集合動産に加入した時の前後による(加入時説)。

※いわゆる登記優先ルールの適用あり

(説明)

前回の部会では、個別動産譲渡担保権等が設定された個別動産が集合動産譲渡担保権等が設定された集合動産に加入した場合の優劣の基準について議論が行われたが、いわゆる加入時説と設定時説の対立が問題となる場面設定をより明確にした上で、改めて問題提起するものである。

まず、

①個別動産譲渡担保権等と個別動産譲渡担保権等が競合する場合

②集合動産譲渡担保権等と集合動産譲渡担保権等が競合する場合

について、原則として対抗要件具備の先後により順位を決することに争いはない。なお、集合動産譲渡担保権等の設定後に(個別動産譲渡担保権等が設定されていない)個別動産が加入した場合であっても、集合動産譲渡担保権等同士の競合が問題となる場面では、設定後に加入した個別動産を含めて、上記②と同様の規律により順位を決すべきことになる(この場面で設定時説と加入時説の対立が問題となるわけではない。)。

これに対し、③個別動産譲渡担保権等と集合動産譲渡担保権等が競合する場合

すなわち、個別動産譲渡担保権等が設定された個別動産が、集合動産譲渡担保権等が設定された集合動産に加入した場合には、設定時説と加入時説の対立が問題となる。上記を前提に、設定時説と加入時説のいずれを採用すべきと考えるか。

なお、登記優先ルールは、上記①から③までのいずれについても適用されることになると考えられる(登記優先ルールの適用範囲を限定する立場によれば、上記②の場合に限って適用されることになる。)。

6 留保所有権の対抗要件等(部会資料23 の第4の2について)

部会資料23 の第4の2の記載を、分かりやすさの観点から、次のとおり修正することについて、どう考えるか。

2 留保所有権の対抗要件等 ※以下では留保所有権の対抗要件等に関する実質的規律について記載するものであり、担保目的取引規律型又は担保物権創設型の立場から厳密な記載を行うものではない。

 ⑴ 留保所有権の対抗要件の要否

ア 目的物の代金債権を担保する留保所有権(以下「狭義の留保所有権」という。)は、これを第三者に主張するために対抗要件を必要とするかどうかについては、次のいずれかの案によるものとする(注1)。

【案4.2.1.1】狭義の留保所有権は、これを第三者に主張するために、特段の要件を必要としないものとする(注2)。

【案4.2.1.2】狭義の留保所有権は、その動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。

イ (目的物の代金債権及び)目的物の代金債権(注1)以外の債権を担保する留保所有権(以下「拡大された留保所有権」という。)は、その動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする(注3)。

(注1)動産を購入するための資金の融資に基づく債権など、目的物である動産と密接な関連性を有する一定の債権を担保する留保所有権についても、狭義の留保所有権に含める考え方がある。

これに関連して、このような密接な関連性を有する一定の債権を被担保債権とする動産譲渡担保権等が設定された場合には、当該動産譲渡担保権等についても、狭義の留保所有権と同様に取り扱う考え方がある。

(注2)【案4.2.1.1】によっても、(代位弁済等により)目的物の売主以外の者が狭義の留保所有権を有する場合には、その動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする考え方がある。

(注3)留保所有権についても、登記できるとすることが考えられる。

⑵ 留保所有権等と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係

ア 留保所有権と競合する他の新たな規定に係る動産担保権との優劣は、留保所有権が目的物の代金債権以外の債権を担保する限度では、これをもって第三者に対抗することができるようになった時の前後によるものとする(注4)。

イ 留保所有権は、【案4.2.1.2 によると引渡しがされていることを前提として、】目的物の代金債権を担保する限度では、他の新たな規定に係る動産担保権に当然に優先するものとする(注5、6)。

(注4)この場合には、前記4の1⑵ウと同様のルール(登記優先ルール)を採用することが考えられる。

(注5)なお、拡大された留保所有権について、目的物の代金債権を担保する部分と目的物の代金債権以外の債権を担保する部分がある場合には、これと競合する他の新たな規定に係る動産担保権との優劣は、本文⑵イにより目的物の売買代金を担保する限度では拡大された留保所有権が優先し、それ以外の部分については、原則として、それぞれが対抗要件を具備した時の前後によるものとなる。

(注6)他の新たな規定に係る動産担保権に優先するための要件として、一定期間内に登記を備えることを求める考え方がある。

(説明)

留保所有権の対抗要件等について、分かりやすさの観点から、表現振りを修正したものである(担保目的取引規律型又は担保物権創設型からの厳密な記載ではなく、実質的な規律内容を記載することとした。)。

実質的な規律内容に変更がある点として、(注2)で代位弁済等により目的物の売主以外の者が狭義の留保所有権を有する場合に対抗要件の要否についての規律を変える考え方があることを明記した。また、部会資料23 の【案4.2.2.2】では、前記の「加入時説」と採ることを前提に、留保所有権が目的物の代金債権を担保する限度であっても、当然には優先しない(原則どおり、対抗要件の先後による)案も提示していたが、当然に優先する立場を支持する意見が多かったことから、これを本文から削ることとしている。

なお、(注6)として、他の新たな規定に係る動産担保権に優先するための要件として、一定期間内に登記を備えることを求める考え方を明記することについて、どう考えるか。

〇〇県〇〇市〇〇町1-1-1全部事項証明書: The certification of all recording matters. (土地):The land.
表題部:The heading section.
(土地の表示):The description of the land. 調整
: The prepared. 令和〇〇年〇月〇日
: The prepared date. 不動産番号
: The real property number. 12345567890123
地図番号
: The map number. A11―1 筆界特定
: The parcel boundary demarcation.       余白:The blank.
【所在】
: The location. 〇〇県〇〇市〇〇町〇〇  余白: The blank
①地 番
: The parcel number.
②地 目
:The land category
(current state of the Land) ③地  積 ㎡
:The parcel area (area of the Land) 原因及びその日付
: The cause for recording and date thereof.
【登記の日付】:The recording date.
9999番3 宅地
: The presidential land.     :100.00㎡ ①9999番1から分筆
: Subdivision of the Parcel Number.9999-1.
【令和〇〇年〇月〇日】
所有者:
The owner.
〇〇市〇〇丁目〇番〇号 E: The name and address of Owner.

 権 利 部(乙区): The rights section (The section B).(所有権以外の権利に関する事項): Matters concerning the owner.
順位番号
: The rank number. 登記の目的
: The purpose of recording. 受付年月日・受付番号
: The recording date and number. 【権利者その他の事項】
: The holder of rights and other particulars.

付記1号

付記2号 根抵当権設定
: The revolving mortgage.
令和〇〇年〇月〇日
第〇〇〇〇号 略
the scope of claims to be secured and the maximum amount;
債務者: The name and address of obligor .
○○県〇〇市〇〇丁目〇番〇号:
E
根抵当権者:The name and address of obligor .
○○県〇〇市〇〇丁目〇番〇号:
A銀行
1番根抵当権変更
:The modification of revolving mortgage No. 1. 令和〇〇年〇月〇日
第〇〇〇〇号 原因:
When and for what cause obligor was acquired.
令和○年〇月〇日相続: The Inheritance date.
債務者:The names and addresses of debtor’s heirs
○○県〇〇市〇〇丁目〇番〇号:B
○○県〇〇市〇〇丁目〇番〇号:C.
1番根抵当権変更
:The modification of revolving mortgage No. 1. 令和〇〇年〇月〇日
第〇〇〇〇号 原因The date of agreement.
令和○年〇月〇日合意
指定債務者 B
※下線のあるものは抹消事項であることを示す。
The underlines indicate delated matters. The filing Number:00000000000 (1/1)                  

これは登記記録に記録されている事項の全部を証明した書面である。
: This document evidences all of the entries made in the registry.

(〇〇地方法務局管轄)〇〇Legal Affairs Bureau.

〇〇年〇〇月〇〇日 Date
〇〇Legal Affairs Bureau   登記官 〇〇  Registrar’s name: 〇〇

※下線のあるものは抹消事項であることを示す。
Underlines indicate delated matters. Filing Number:00000000000 (1/1)                   

加工担保法制の見直しに関する中間試案(案)

https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00173.html

加工

担保法制部会資料 27

目次

(前注) …………………………. 5

第1章 担保権の効力 ………………..  6

第1 個別動産を目的財産とする新たな規定に係る動産担保権の実体的効力 .6

1 担保権の効力の及ぶ範囲 ………………… 6

2 果実に対する担保権の効力 ……………….. 6

3 被担保債権の範囲 ………………………. 6

4 担保の目的物の使用収益権限…………….. 6

5 使用収益以外の設定者の権限 …………….. 6

6 担保権者の権限 …………………………. 7

7 物上代位 ………………………………. 8

8 その他 ………………………………… 8

9 根担保権 …………………. 8

第2 個別債権を目的財産とする譲渡担保の実体的効力 ………. 10

第3 集合動産・集合債権を目的とする担保権の実体的効力 ……. 11

1 動産の集合体に対する新たな規定に係る動産担保権の設定の可能性 …. 11

2 集合動産を目的とする担保を設定した設定者の権限 ………… 11

3 集合動産の構成部分である動産の設定者による処分 ……….11

4 集合債権を目的とする担保を設定した設定者の権限 ……….12

5 担保価値維持義務・補充義務 ……………………12

6 集合動産を目的とする担保権における物上代位等 ………….13

第2章 担保権の対抗要件及び優劣関係 ……………… 13

第4 新たな規定に係る動産担保権の対抗要件等 ………….13

1 新たな規定に係る動産担保権の対抗要件等(2の留保所有権の場合を除く。) … 13

2 留保所有権の対抗要件等 ……………………… 14

第5 新たな規定に係る動産担保権と他の担保物権との優劣関係 ………. 15

1 動産質権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係 …………. 15

2 先取特権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係 ………. 15

3 一般先取特権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係 …….15

第6 債権譲渡担保権の対抗要件等の在り方 ……………….. 16

1 債権譲渡担保権の対抗要件等 …………………… 16

2 債権譲渡担保権相互の優劣関係 ………………………….. 16

3 一般先取特権と債権譲渡担保権との優劣関係 …………………… 16

第7 動産・債権譲渡登記制度の見直し ……………………….. 16

第3章 担保権の実行 ……………………………………. 17

第8 新たな規定に係る担保権の実行方法 ……………………. 17

1 新たな規定に係る担保権の各種の実行方法 …………………… 17

2 新たな規定に係る担保権の私的実行における担保権者の処分権限及び実行通知の要否 ………………………….. 17

3 帰属清算方式による新たな規定に係る担保権の実行手続等 ………. 18

4 処分清算方式による新たな規定に係る担保権の実行手続等 ……….. 19

第9 新たな規定に係る担保権の目的物の評価・処分又は引渡しのための担保権者の権限及び手続 …………………. 20

1 評価・処分に必要な行為の受忍義務 ……………… 20

2 実行完了前の保全処分 …………………….. 20

3 簡易迅速な目的物の引渡しを実現する方法 ………………. 20

 4 実行終了後に目的物の引渡しを実現する方法 ……………….. 20

第10 同一の動産に複数の新たな規定に係る担保権が設定された場合の取扱い … 20

1 劣後担保権者による私的実行の可否及び要件 ………….. 20

2 優先担保権者の同意なくされた劣後担保権者による私的実行の効果 …. 21

3 新たな規定に係る担保権の私的実行に当たっての他の担保権者への通知 ……. 21

4 担保権者間の分配方法についての合意内容の通知 …………. 21

第11 集合動産を目的とする担保権の実行について …………… 22

1 集合動産を目的とする担保権の実行の手続 ………………. 22

2 実行後に特定範囲に加入した動産に対する再度実行の可否 ……… 22

3 集合動産の一部について実行がされた場合に固定化が生じる範囲….. 22

第12 新たな規定に係る担保権の競売手続による実行等について…….. 22

第13 質権の実行方法に関する見直しの要否 …………………… 23

第14 所有権留保売買による留保所有権の実行 ……………….. 23

第15 債権を目的とする担保権の実行 ……………………….. 23

1 債権譲渡担保権者による債権の取立て ……………………. 23

2 債権質権者及び債権譲渡担保権者の取立権限及び実行通知の要否…… 24

3 担保の目的財産が金銭債権である場合に担保権者が取り立てることができる範囲 24

4 担保の目的である金銭債権の弁済期が被担保債権の弁済期前に到来した場合に、担保権者が請求することができる内容 …………………. 24

5 担保の目的財産が非金銭債権である場合の実行方法 ………….. 25

6 直接の取立て以外の実行方法 …………………………. 25

7 集合債権を目的とする担保の実行 ………………………. 25

第4章 担保権の倒産手続における取扱い ………………….. 25

第16 別除権としての取扱い ……………………… 25

第17 担保権実行手続中止命令に関する規律 ……………………. 25

1 担保権実行手続中止命令の適用の有無 ………………………. 25

2 担保権実行手続禁止命令 ……………………………. 26

3 担保権実行手続中止命令等を発令することができる時期の終期 ……… 26

4 担保権者の利益を保護するための手段 …………………… 26

5 審尋の要否 …………………………………….. 26

6 担保権実行手続中止命令等が発令された場合の弁済の効力 ………… 27

7 担保権実行手続取消命令 …………………… 27

第18 倒産手続開始申立特約の効力 ………………………. 28

第19 倒産手続開始後に生じ、又は取得した財産に対する担保権の効力 …. 28

1 倒産手続の開始後に生じた債権に対する担保権の効力 ………… 28

2 倒産手続の開始後に取得した動産に対する担保権の効力 ………… 28

第20 担保権の実行がされた担保目的財産に係る費用の負担 ……….. 29

第21 否認 ………………………………………. 29

第22 担保権消滅許可制度の適用 …………………………. 30

1 破産法上の担保権消滅許可制度の適用 ………………….. 30

2 民事再生法及び会社更生法上の担保権消滅許可制度の適用 …….. 30

第5章 その他 ……………………………… 30

第23 事業担保制度の導入に関する総論的な検討課題 …………. 30

1 事業担保制度導入の是非 …………………………….. 30

2 事業担保権を利用することができる者の範囲 ………………. 31

3 事業担保権の対象となる財産の範囲 ……………………. 31

第24 事業担保権の効力 …………………………….. 31

1 事業担保権の設定 ……………………………….. 31

2 事業担保権の対抗要件及び他の担保権との優劣関係 …………. 31

3 事業担保権の優先弁済権の範囲(一般債権者に対する優先の範囲) …. 31

4 事業担保権設定者の処分権限 ………………. 32

5 一般債権者が差し押さえた場合の担保権者の保護 …………… 32

第25 事業担保権の実行 ………………………… 32

1 実行開始決定の効果 ………………………………. 32

2 事業担保権の目的財産の一部に対する実行及び個別資産の換価の可否 ………. 32

3 裁判上の実行による事業譲渡における債務の承継の可否 ………….. 32

4 他の債権者及び株主の保護 …………………………… 33

5 換価の効果 …………………………………… 33

6 被担保債権以外の債権の扱い …………………………… 33

7 事業継続による収益の中間的な配当 ……………….. 34

8 事業担保権の裁判外の実行 ………………………….. 34

第26 事業担保権の倒産法上の取扱い …………………….. 34

1 別除権及び更生担保権としての取扱い …………………. 34

2 担保権実行手続中止命令の適用の有無 …………………….. 34

3 倒産手続開始後に生じ、又は取得した財産に対する事業担保権の効力 ………. 34

4 破産法上の担保権消滅許可制度の適用 …………………… 34

5 民事再生法及び会社更生法上の担保権消滅許可制度の適用 ……….. 35

6 DIP ファイナンスに係る債権を優先させる制度 ……………… 35

第27 動産及び債権以外の財産権を目的とする担保 ……………..  35

第28 ファイナンス・リース ……………………………… 35

1 ファイナンス・リースに関する規定の要否及び在り方 ………….. 35

2 対抗要件 ………………………………………… 35

3 実行方法 ………………………………… 35

4 倒産法上の取扱い ……………………………….. 36

第29 普通預金を目的とする担保 …………………………. 36

1 普通預金を目的とする担保権設定及び対抗要件具備 …………… 36

2 普通預金を目的とする担保権の実行 ……………………. 36

3 普通預金を目的とする担保権の倒産手続における取扱い ………… 37

 第30 証券口座を目的とする担保 ……………………. 37

(前注)

1 動産を目的財産とする非占有型の担保制度や債権を目的財産とする担保制度の規律を設ける方法としては、①債務を担保する目的でされた一定の類型の契約を適用の対象として、その契約の効力を定める方法(以下「担保目的取引規律型」という。)、②質権、抵当権等と並ぶ担保物権を新たに創設する方法(以下「担5 保物権創設型」という。)が考えられる。

 担保目的取引規律型は、仮登記担保契約に関する法律が「金銭債務を担保するため、その不履行があるときは債権者に債務者又は第三者に属する所有権その他の権利の移転等をすることを目的としてされた代物弁済の予約、停止条件付代物弁済契約その他の契約で、その契約による権利について仮登記又は仮登録のできるもの」の効力等について民法等の特則を設けているのと同様の方法である。

参考

登記研究 847号 69頁  2018年9月 登記研究編集室「【資料】 仮登記に関する先例要旨総覧(4)」

登記研究 747号 1頁  2010年5月 横山 真弓:法務省民事局商事課商業法人登記第二係長(前法務省民事局商事課商業法人登記第三係長)「 【論説・解説】 動産譲渡登記制度を活用した集合動産譲渡担保の実務」

 動産や債権を目的財産とする担保法制についてこのような方法で規定を設ける場合は、例えば、債務を担保する目的で動産の所有権を移転する契約、債務を担保する目的で動産の所有権を売主に留保する売買契約の効力等について民法等の特則を設けることが考えられる。動産や債権を目的財産とする担保取引としては、現行法においては、債務を担保するため動産の所有権を移転したり(動産譲渡担保)、留保したり(所有権留保)するなどの取引形式が用いられており、このような形式との連続性がある点で実務上も受け入れられやすいと考えられる。

 担保物権創設型は、抵当権や質権等と並ぶ新たな担保物権を創設するものであるから、この方法によって設けられた規定は、動産譲渡担保や所有権留保の形式が用いられた取引などには、直接には適用されないことになる。しかし、そうすると非典型担保が残ることになり、担保取引に関する法律関係を明確化するという点では不十分な結果となりかねない。そこで、担保物権創設型による場合には、担保物権を創設するだけでなく、債務を担保する目的で動産の所有権を移転する契約、債務を担保する目的で動産の所有権を売主に留保する売買契約などの担保取引については、新たな担保物権を設定する契約とみなすなどの規定を併せて設ける必要がある。

 担保物権創設型についてこのようなみなし規定を設けるとすれば、担保目的取引規律型と担保物権創設型は規定の方法の違いにすぎず、ほぼ同様の実質を規律することができるとも考えられる(ただし、動産譲渡担保は形式的には目的財産である動産の所有権を移転する契約であるから、例えば民法第178 条が適用されることになる。これに対して新たな担保物権を創設し、対抗要件を引渡しとする場合には、同条は当然には適用されないから、別途規定を設ける必要がある。このように、同じ実質を実現するとしても、必要となる規定が異なる場合がある。)。

2 この中間試案においては、担保取引に関する実質的なルールの内容についての試案を示すこととし、特段の言及のない限り、担保目的取引規律型によるか担保物権創設型によるかは中立的に表現することとしている。ただし、債権は現行法上も質権の目的となり得るため、担保物権創設型による場合には、債権質と区別された新たな担保権を創設する必要性自体が問題となり得る(新たな担保権を創設するのではなく、債権質に関する規定を修正するにとどめることもあり得る。)。そこで、この中間試案においては、債権を目的とする担保に関するルールを示すときは、差し当たって担保目的取引規律型によることを前提としてルールの内容を示すこととしている。

 このような観点から、担保取引によって債権者が得ることとなる権利を指す用語として、「新たな規定に係る担保権」という文言を用いる。特に動産を目的財産とする場合には、「新たな規定に係る動産担保権」という。

 「新たな規定に係る動産担保権の設定」とは、担保物権創設型によれば、新たに創設されることになる動産担保権を設定することをいい、担保目的取引規律型によれば、債務を担保する目的で一定の類型の契約を締結すること(例えば、担保目的で動産の所有権を移転する契約を締結すること)をいう。

 「留保所有権」「債権譲渡担保」「債権譲渡担保権」など、担保目的取引規律型を前提とする表現を用いる場合もある。「留保所有権」とは、売主が売買代金等を担保するために所有権を留保する取引(以下「所有権留保(売買契約)」という。)によって債権者が得る権利をいう。「債権譲渡担保」とは、担保目的で債権を譲渡する取引をいい、「債権譲渡担保権」とは、債権譲渡担保によって債権者が得る権利をいう。

登記研究 686号 1頁 2005年3月植垣 勝裕:法務省民事局参事官、高山 崇彦:法務省民事局付、中原 裕彦:法務省民事局付、坂田 大吾:法務省民事局付「【論説・解説】
「債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律」の概要」
第1章 担保権の効力

第1 個別動産を目的財産とする新たな規定に係る動産担保権の実体的効力

1 担保権の効力の及ぶ範囲

 新たな規定に係る動産担保権は、目的物に従として付合した物及び設定との先後を問わず設定者が目的物に附属させた従物(注1、2)に及ぶものとする。

 ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者の行為について民法第424 条第3項に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りでないものとする。

(注1) 本文において担保権の効力が及ぶとされる物をどのように表現するかについては、「付加一体物」という表現を用いることの可否も含めて今後検討する。

(注2) 設定後に附属させられた従物については解釈に委ねるべきであるとの考え方がある。

2 果実に対する担保権の効力

 新たな規定に係る動産担保権の担保権者は、その担保する債権について不履行があったときは、目的物の果実から優先弁済を受けることができるものとする。

3 被担保債権の範囲

 新たな規定に係る動産担保権は、元本、利息、違約金、担保権の実行の費用及び債務の不履行によって生じた損害の賠償を担保するものとする。

ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでないものとする。

4 担保の目的物の使用収益権限

  新たな規定に係る動産担保権は、その内容に使用収益権限を含まず、設定者が目的物の使用収益をすることができるものとする。

5 使用収益以外の設定者の権限

⑴ 新たな規定に係る動産担保権は、同一の目的物の上に重複して設定することができるものとする。

⑵ 新たな規定に係る動産担保権の設定者が担保権者の同意なく目的物を真正に譲渡すること(注1)ができるかどうかについては、次のいずれかの案によるものとする。

【案1.5.1】譲渡することができるものとする(注2)。

【案1.5.2】譲渡5 することはできないものとする(注3)。

(注1)ここで、「目的物を真正に譲渡する」は、担保権を消滅させる形で目的物の完全な所有権を譲渡することではなく、担保権を存続させたままで、設定者の有する権利(担保目的に制限された所有権を除いた所有権又は担保権に制約された所有権)を譲渡することを意味する。担保権者の同意を得てその担保権を消滅させ、目的物の所有権を譲渡することができることは当然の前提としている。

(注2)【案1.5.1】を採る場合であっても、所有権留保という類型を設けるときは、所有権留保については【案1.5.2】を採るという考え方もあり得る。

(注3)このとき、担保権者の同意を得て、「担保権を存続させたままで設定者の有する権利を移転すること」ができることを前提とする。

 ⑶ 新たな規定に係る動産担保権の設定者は、目的物の占有を第三者に妨害されるおそれがあるときはその第三者に対する妨害の予防を、目的物の占有を第三者が妨害しているときはその第三者に対する妨害の停止を、目的物を第三者が占有しているときはその第三者に対する返還を、それぞれ請求することができるものとする。

6 担保権者の権限

⑴ 新たな規定に係る動産担保権の担保権者は、その担保する債権について不履行があるまでは、目的物を第三者に譲渡すること(目的物の完全な所有権を第三者に移転させること)ができないものとする(注1)。

(注1)新たな規定に係る動産譲渡担保権の被担保債権を譲渡することに伴って担保権者が有する権利が移転することはあるが、これは別の問題である。

⑵ 新たな規定に係る動産担保権について、他の債権の担保とすること(以下「転担保」という。)、担保権の譲渡・放棄及び順位の譲渡・放棄(以下「新たな規定に係る動産担保権の処分」という。)及び順位の変更(新たな規定に係る動産担保権の処分と併せて「新たな規定に係る動産担保権の処分等」という。)の全部又は一部をすることができるものとするか、これらのうち一部をすることができるものとする場合、その範囲をどのように考えるかについては、引き続き検討する(注2)。

(注2)できるものとする範囲については、実務上のニーズや公示の観点から、引き続き検討する。

⑶ ⑵でできるものとされた新たな規定に係る動産担保権の処分等の対抗要件等については、次のとおりとする。

 ア(ア) 新たな規定に係る動産担保権の処分は、債務者に当該処分を通知し、又は債務者がこれを承諾しなければ、これをもって債務者、保証人、担保権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができないものとする。

(イ) 新たな規定に係る動産担保権の処分は、登記をしなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。

(ウ) 担保権者が数人のために新たな規定に係る動産担保権の処分をしたときにおける処分の利益を受ける者の権利の順位は、新たな規定に係る動産担保権の処分についての登記の前後によるものとする。

イ 新たな規定に係る動産担保権の順位の変更は、登記をしなければ、その効力を生じないものとする。

7 物上代位

⑴ 新たな規定に係る動産担保権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても行使することができるものとする。

 ⑵ 新たな規定に係る動産担保権の担保権者は、⑴に基づいて金銭その他の物に対して権利を行使するときは、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならないものとする。

⑶ 新たな規定に係る動産担保権に基づく物上代位とその目的債権を目的財産とする担保との優劣関係について、次のいずれかの案によるものとする。

 【案 1.7.1】物上代位とその目的債権を目的財産とする担保との優劣は、⑵の差押えがされた時点と、その目的債権を目的財産とする担保が対抗要件を具備した時点との前後によるものとする。

【案1.7.2】物上代位とその目的債権を目的財産とする担保との優劣は、物上代位を生じさせた目的物に設定された担保権が対抗要件を具備した時点と、その目的債権を目的財産とする担保が対抗要件を具備した時点との前後によるものとする(注)。

(注)原則として【案1.7.1】の規律によるが、目的物に設定された新たな規定に係る動産担保権の設定について登記がされたときは、登記の時点を基準とする考え方がある。

8 その他

 民法第296条(担保権の不可分性)及び第351条(物上保証人の求償権)の規定を新たな規定に係る動産担保権について準用するものとする。

9 根担保権

⑴ 新たな規定に係る動産担保権の設定は、【一定の範囲に属する】不特定の債権を担保するためにもすることができるものとする。

極度額を定めることの要否については、引き続き検討する。

個別の被担保債権について譲渡や債務の引受け、債権者又は債務者の交替による更改があった場合について、譲渡された債権などについて担保権を行使することができないものとする。

⑷ 元本の確定前に根担保権者又は債務者について相続開始、合併又は会社分割があった場合について、次のような規定を設けるものとする。

ア 元本の確定前に根担保権者又は債務者について相続開始があった場合には、次のいずれかの案によるものとする。

【案1.9.1】根担保権者又は債務者について相続が開始したときは、担保すべき元本は、確定するものとする。

【案1.9.2】次の(ア)から(エ)までの規定を設けるものとする。

(ア) 根担保権者について相続が開始したときは、根担保権は、相続開始時に存在する債権及び相続人と設定者との合意により定めた相続人が相続開始後に取得する債権を担保する。

(イ) 債務者について相続が開始したときは、根担保権は、相続開始時に存在する債務及び根担保権者と設定者との合意により定めた相続人が相続開始後に負担する債務を担保する。

(ウ) 上記(ア)(イ)の合意については、後順位の担保権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。

(エ) 上記(ア)(イ)の合意について相続の開始後6か月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始時に確定したものとみなす。

イ(ア) 根担保権者について合併があったときは、根担保権は、合併時に存在する債権及び合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に取得する債権を担保する。

(イ) 債務者について合併があったときは、根担保権は、合併時に存在する債務及び合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に負担する債務を担保する。

(ウ) 設定者は、根担保権者又は債務者について合併があったときは、合併があったことを知った日から2週間かつ合併から1か月以内に、担保すべき元本の確定を請求することができる。ただし、債務者について合併があった場合で、債務者が設定者であるときは、この限りでない。

(エ) (ウ)の請求があったときは、担保すべき元本は、合併の時に確定したものとみなす。

ウ(ア) 根担保権者を分割をする会社とする分割があったときは、根担保権は、分割の時に存在する債権並びに分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に取得する債権を担保する。

(イ) 債務者を分割をする会社とする分割があったときは、根担保権は、分割の時に存在する債務並びに分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該会社から承継した会社が分割後に負担する債務を担保する。

(ウ) 設定者は、根担保権者又は債務者を分割をする会社とする分割があったときは、分割があったことを知った日から2週間かつ分割から1か月以内に、担保すべき元本の確定を請求することができる。ただし、債務者を分割をする会社とする分割があった場合で、債務者が設定者であるときは、この限りでない。

(エ) (ウ)の請求があったときは、担保すべき元本は、分割の時に確定したものとみなす。

⑸ 根担保権の全部譲渡、一部譲渡(注)については、これを公示するための制度を設けることができるか否かを含めて、引き続き検討する。

(注)分割譲渡については、これを公示するための制度を設けることができるか否かのほか、極度額の設定の要否と関連して、引き続き検討する。

⑹ 債務者又は設定者が破産手続開始決定を受けたこと、設定から一定期間経過した後に設定者の請求があったことなど(注1)(注5 2)を被担保債権の元本の確定事由とするものとする。

(注1)担保権者等による実行の着手を元本確定事由とするか否かについては、実行に関する規律(後順位担保権者による実行の可否及びその場合の先順位担保権の消長等)や集合動産を目的とした担保の規律との関係も踏まえて、引き続き検討する。

(注2)元本確定事由に関するその他の規律については、根抵当権に関する規律を参考にして、引き続き検討する。

第2 個別債権を目的財産とする譲渡担保の実体的効力

1 前記第1の2(果実に対する担保権の効力)、3(被担保債権の範囲)、5(使用収益以外の設定者の権限)⑴、6(担保権者の権限)⑴、7(物上代位)、8(その他)及び9(根担保)は、債権譲渡担保権にも適用されるものとする。

2 債権譲渡担保権が設定され【、債務者対抗要件が具備され】た場合、①第三債務者は設定者に対し弁済をすることが制限され、②設定者は、担保権の目的財産である債権について、放棄、免除、相殺、更改など当該債権を消滅させる行為をすることができないものとする。

3⑴ 債権譲渡担保権について、転担保、担保権の譲渡・放棄及び順位の譲渡・放棄(以下「債権譲渡担保権の処分」という。)及び順位の変更(債権譲渡担保権の処分と併せて「債権譲渡担保権の処分等」という。)の全部又は一部をすることができるものとするか、これらのうち一部をすることができるものとする場合、その範囲をどのように考えるかについては、引き続き検討する(注)。

(注)できるものとする範囲については、実務上のニーズや公示の観点から、引き続き検討する。

⑵ ⑴でできるものとされた債権譲渡担保権の処分等の対抗要件等については、次のとおりとする。

ア(ア) 債権譲渡担保権の処分は、債務者に当該処分を通知し、又は債務者がこれを承諾しなければ、これをもって債務者、保証人、担保権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができないものとする。

(イ) 債権譲渡担保権の処分は、登記をしなければ、これをもって第三債務者以外の第三者に対抗することができないものとする。

(ウ) 債権譲渡担保権の処分は、その登記がされたことについて第三債務者に登記事項証明書を交付しなければ、これをもって第三債務者に対抗することができないものとする。

(エ) 担保権者が数人のために債権譲渡担保権の処分をしたときにおける処分の利益を受ける者の権利の順位は、債権譲渡担保権の処分についての登記の前後によるものとする。

イ 債権譲渡担保権の順位の変更は、登記をし、かつ、その登記がされたことについて第三債務者に登記事項証明書を交付しなければ、その効力を生じないものとする。

第3 集合動産・集合債権を目的とする担保権の実体的効力

1 動産の集合体に対する新たな規定に係る動産担保権の設定の可能性

新たな規定に係る動産担保権は、種類、所在場所、量的範囲の指定その他の方法により特定された範囲(以下「特定範囲」という。)に属する動産の集合体(設定後に新たに動産がその集合体に加入(個別動産が特定範囲に新たに入ることをいう。)をすることが予定されているものを含む。)を一括して目的とすることができるものとする(注)。

(注)集合体として一括して担保権の目的となるためには、単に複数の動産によって構成されているだけでなく、経済的又は取引上の一体性など、一体として扱うことを正当化するための何らかの要件が必要であるという考え方がある。

2 集合動産を目的とする担保を設定した設定者の権限

  新たな規定に係る動産担保権の目的物が特定範囲に属する動産の集合体であって、設定後に新たに動産がその集合体に加入することが予定されているもの(以下「集合動産」という。)である場合における設定者の処分権限や担保権者の権限について、次のような規定を設けるものとする。

⑴ 設定者は、通常の事業の範囲内で、集合動産の構成部分である動産について、担保権の負担のないものとしての処分をし、又は集合動産から逸出(特定範囲に含まれていた個別動産が、事実の問題として特定範囲から出ることをいう。)をさせる権限を有する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、その定めに従う。

⑵ 設定者が⑴の権限の範囲(以下「権限範囲」という。)を超えて集合動産の構成部分である動産について、担保権の負担のないものとしての処分をし、又は逸出をさせるおそれがあるときは、担保権者は、その予防を請求することができる。

3 集合動産の構成部分である動産の設定者による処分

⑴ 設定者が、その権限範囲を超えて、集合動産の構成部分である動産を、担保権の負担のないものとしての処分をした場合に、当該処分を受けた者が、その動産が担保権の目的物であることを知らないで、かつ、知らないことに過失がなかったときには、民法第192 条の適用によって保護されるものとする(注1)。

⑵ 設定行為に設定者の処分権限について別段の定めがない場合において、設定者が、集合動産の構成部分である動産を、通常の事業の範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合には、当該処分を受けた者は、その処分が設定者の通常の事業の範囲に含まれると信じるについて正当な理由があるときは、その動産について担保権の負担のない権利を取得するものとする。

⑶ 設定行為に設定者の処分権限を制約する別段の定めがある場合において、設定者が、通常の事業の範囲内で、かつ、制約された権限範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合には、当該処分を受けた者は、制約された権限範囲を超えていることを知らなかったとき(注2)は、その動産について担保権の負担のない権利を取得するものとする(注3)。

⑷ 設定行為に設定者の処分権限を制約する別段の定めがある場合において、設定者が、通常の事業の範囲及び制約された権限範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合には、当該処分を受けた者は、設定者による当該処分が通常の事業の範囲に含まれると信じるについて正当な理由があり、かつ、制約された権限範囲を超えることを知らなかったとき(注2)は、その動産について担保権の負担のない権利を取得するものとする。

⑸ 設定行為に設定者の処分権限を拡大する別段の定めがある場合において、設定者が、通常の事業の範囲及び拡大された権限範囲を超えて、担保権の負担のないものとしての処分をした場合には、当該処分を受けた者は、設定者による当該処分が通常の事業の範囲又はその拡大された権限範囲に含まれると信じるについて正当な理由があるときは、その動産についての担保権の負担のない権利を取得するものとする。

⑹ 前記2⑴及び3⑴から⑸までで処分を受けた者が集合動産の構成部分である動産について権利を取得しない場合に担保権者のとり得る手段については、引き続き検討する。

(注1)集合動産から逸出をした動産の処分については別異に考えるべきであるという考え方がある。

(注2)知らなかったことにつき過失がないことが必要であるという考え方、重過失がないことが必要であるという考え方がある。

(注3)相手方が権利を取得するために、目的物が集合物から逸出をすることが必要であるかどうかについては、引き続き検討する。

4 集合債権を目的とする担保を設定した設定者の権限

⑴ 譲渡担保の目的債権が債権発生年月日の始期及び終期並びに債権発生原因等によって特定され、特定された範囲に現に発生していない債権を含むもの(以下「集合債権」という。)である場合においては、設定者は、通常の事業の範囲内で、その特定された範囲に含まれる債権の取立て【、譲渡及び相殺、免除その他の債権を消滅させる行為】をする権限を有するものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときはその定めに従うものとする。

 ⑵ 設定者が⑴の権限の範囲を超えて取立て【、譲渡、免除等】をした場合の譲受人及び第三債務者の保護に関する特別の規定を設けないものとする。

5 担保価値維持義務・補充義務

 前記2⑴及び4⑴に規定する場合について、担保価値維持義務や、特定された範囲に含まれる動産又は債権について担保権の負担のないものとしての処分がされ、又は逸出をさせたときの補充義務に関する規定(注)を設けるか否かについて、引き続き検討する。

(注)例えば、「新たな規定に係る動産担保権の目的財産が集合動産又は集合債権である場合には、正当な理由がある場合を除き、設定者は、通常の事業が継続されれば当該集合動産又は当該集合債権が有すると認められる価値を維持しなければならない」という趣旨の規定が考えられる。

6 集合動産を目的とする担保権における物上代位等

⑴ 新たな規定に係る動産担保権の目的物が集合動産である場合には、当該担保権は、設定者が通常の事業を継続している間は、特定範囲に含まれる動産の売買、滅失又は損傷によって設定者が受けるべき金銭その他の物に対し、行使することができないものとする。

⑵ 前記⑴につき、次のような例外を設けるかは、引き続き検討する。

ア 当事者が別段の合意をした場合

イ 権限範囲を超える処分がされた場合

 ⑶ 第三者が特定範囲に含まれる動産を滅失又は損傷させた場合における担保権者独自の損害賠償請求権については、特段の規定を設けないものとする。

参考:最判平成13年11月22日民集55巻6号P1056

登記情報 689号 15頁  2019年4月 白石大:早稲田大学大学院法務研究科教授「日本登記法研究会 第3回研究大会報告 「動産・債権譲渡登記の未来」」

第2章 担保権の対抗要件及び優劣関係

第4 新たな規定に係る動産担保権の対抗要件等

 1 新たな規定に係る動産担保権の対抗要件等(2の留保所有権の場合を除く。)

⑴ 新たな規定に係る動産担保権の対抗要件

ア 個別動産を目的とする新たな規定に係る動産担保権(以下「個別動産担保権」という。)の設定は、当該個別動産の引渡し(占有改定を含む。以下同じ。)がなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。

集合動産を目的とする新たな規定に係る動産担保権(以下「集合動産担保権」という。)の設定は、その構成部分である動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。この場合には、当該設定に集合動産に加入した個別動産に及ぶ当該担保権の効力についても、第三者に対抗することができるものとする。

 ウ 個別動産担保権又は集合動産担保権の設定については、登記をすることができることとし、登記がされたときは、目的物である個別動産又は集合動産の構成部分である動産について引渡しがあったものとみなすものとする。

⑵ 新たな規定に係る動産担保権相互の優劣

ア 同一の個別動産に数個の個別動産担保権が設定されて競合したときは、その順位は、原則として、当該担保権について対抗要件を備えた時の前後による。

イ 同一の集合動産に数個の集合動産担保権が設定されて競合したとき(その一部が重なり合って競合する場合を含む。)は、その順位は、原則として、集合動産担保権について対抗要件を備えた時の前後による(注1)。

ウ 集合動産に一個の集合動産担保権が設定されており、その設定に、個別動産担保権が設定された個別動産が加入したときは、集合動産担保権(が当該個別動産に及ぶ効力)と個別動産担保権との順位については、原則として、次のいずれかの案によるものとする。

【案4.1.1】個別動産担保権について対抗要件を備えた時と集合動産担保権について対抗要件を備えた時の前後による。

【案4.1.2】個別動産担保権について対抗要件を備えた時と当該個別動産が集合動産に加入した時の前後による。

エ アからウまでにかかわらず、登記により対抗要件を備えた新たな規定に係る動産担保権は、占有改定により対抗要件を備えた新たな規定に係る動産担保権に優先するものとする(注2)。

(注1)集合動産担保権の設定後に集合動産に加入した個別動産(加入時に、当該個別動産を目的とする個別動産担保権は設定されていない。)があるときであっても、集合動産担保権同士の競合が問題となる場面においては、設定後に加入した個別動産についても、その順位は、原則として、集合動産担保権について対抗要件を備えた時の前後による。

(注2)集合動産担保権に限ってエの規律を適用する考え方がある。

2 留保所有権の対抗要件等

⑴ 留保所有権等の対抗要件の要否

留保所有権を第三者に主張するために対抗要件を必要とするかどうかについては、次のとおりとする。

ア 目的物の代金債権を担保する留保所有権(以下「狭義の留保所有権」という。)は、これを第三者に主張するために対抗要件を必要とするかどうかについては、次のいずれかの案によるものとする(注1、2)。

【案4.2.1.1】狭義の留保所有権は、これを第三者に主張するために、特段の要件を必要としないものとする(注3)。

【案4.2.1.2】狭義の留保所有権は、その動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする。

イ (目的物の代金債権及び)目的物の代金債権(注1)以外の債権を担保する留保所有権(以下「拡大された留保所有権」という。)は、その動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする(注2)。

(注1)動産を購入するための資金の融資に基づく債権など、目的物である動産と密接な関連性を有する一定の債権を担保する留保所有権についても、狭義の留保所有権に含める考え方がある。

 これに関連して、このような密接な関連性を有する一定の債権を被担保債権とする動産譲渡担保権が設定された場合には、当該動産譲渡担保権についても、狭義の留保所有権と同様に取り扱う考え方がある。

 担保物権創設型によると、目的物の代金債権【及び上記債権】を担保する新たな規定に係る動産担保権について、狭義の留保所有権と同様に取り扱うことが考えられる。

(注2)留保所有権については、登記できるとすることが考えられる。

(注3)【案4.2.1.1】によっても、(代位弁済等により)目的物の売主以外の者が狭義の留保所有権を有する場合には、その動産の引渡しがなければ、これをもって第三者に対抗することができないものとする考え方がある。

⑵ 留保所有権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係

ア 留保所有権と競合する他の新たな規定に係る動産担保権との優劣は、留保所有権が目的物の代金債権以外の債権を担保する限度では、これをもって第三者に対抗することができるようになった時の前後によるものとする(注4)。

留保所有権は、【【案4.2.1.2】によると引渡しがされていることを前提として、】目的物の代金債権を担保する限度では、他の新たな規定に係る動産担保権に当然に優先するものとする(注5、6)。

(注4)この場合には、前記1⑵エと同様のルール(5 登記優先ルール)を採用することが考えられる。

(注5)なお、拡大された留保所有権について、目的物の代金債権を担保する部分と目的物の代金債権以外の債権を担保する部分がある場合には、これと競合する他の新たな規定に係る動産担保権との優劣は、本文⑵イにより目的物の売買代金を担保する限度では拡大された留保所有権が優先し、それ以外の部分については、原則として、それぞれが対抗要件を具備した時の前後によるものとなる。

(注6)他の新たな規定に係る動産担保権に優先するための要件として、一定期間内に登記を備えることを求める考え方がある。

 第5 新たな規定に係る動産担保権と他の担保物権との優劣関係

1 動産質権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係

⑴ 動産質権と新たな規定に係る動産担保権とが競合する場合は、動産質権については設定時(引渡時)を基準とし、新たな規定に係る動産担保権については第三者に対抗することができるようになった時を基準とし、優劣はその前後によるものとする。

⑵ 動産質権と留保所有権とが競合する場合は、動産質権については設定時(引渡時)を基準とし、第4の2⑵と同様に取り扱うこととする。

2 先取特権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係

⑴ 先取特権と新たな規定に係る動産担保権は競合するものとし、その優劣関係については新たな規定に係る担保権を民法第330条に規定する第1順位の先取特権と同一の効力を有するものと取り扱うものとする。

⑵ 新たな規定に係る動産担保権者については、民法第330条第2項前段の規定を適用しないこととし、担保権設定時に第2順位又は第3順位の先取特権者があることを知っていたとしても、これらの者に対して優先権を行使できるものとする(注)。

(注)動産質権についても、民法第330 条第2項前段の規定を適用しないようにすることが考えられる。

3 一般先取特権と新たな規定に係る動産担保権との優劣関係

雇用関係の先取特権を含む一般先取特権に、新たな規定に係る動産担保権に対する一定の優先権を認めるかについては、担保法制全体に与える影響も考慮しつつ、新たな規定に係る動産担保権に優先し得る一般先取特権の範囲(雇用関係の先取特権に限るか、その他の一般先取特権にも優先権を認めるか)、新たな規定に係る動産担保権の範囲(その目的物の性質等によって区別するか)、優先権の具体的な内容、優先権を行使するための要件等を引き続き検討する。

第6 債権譲渡担保権の対抗要件等の在り方

1 債権譲渡担保権の対抗要件等

  • ア 債権を目的とする譲渡担保権(以下「債権譲渡担保権」という。)の設定は、設定者ら第三債務者に対する通知又は第三債務者の承諾(以下「通知又は承諾」という。)がなければ、これをもって第三債務者に対抗することができないものとする。

イ 債権譲渡担保権の設定は、確定日付のある証書による通知又は承諾がなければ、これをもって第三債務者以外の第三者に対抗することができないものとする。

⑵ア 債権譲渡担保権の設定については、登記をすることができることとし、登記がされたときは、第三債務者以外の第三者については、確定日付のある証書による通知があったものとみなすものとする。

イ 債権譲渡担保権の設定の登記がされたことについて設定者又は担保権者が第三債務者に登記事項証明書を交付して通知をし、又は当該第三債務者が承諾をしたときは、当該第三債務者についても、確定日付のある証書による通知があったものとみなすものとする。

2 債権譲渡担保権相互の優劣関係

⑴ 同一の債権について数個の債権譲渡担保権が設定されたときは、その順位は、原則として、これをもって第三者に対抗することができるようになった時の前後によるものとする。

登記により対抗要件を備えた債権譲渡担保権と、通知又は承諾により対抗要件を備え債権譲渡担保権との優劣関係について、特別の規定を設けないものとする(注)。

(注)登記により対抗要件を備えた債権譲渡担保権は、通知又は承諾により対抗要件を備えた債権譲渡担保権に優先するものとする考え方がある。

3 一般先取特権と債権譲渡担保権との優劣関係

 雇用関係の先取特権を含む一般先取特権に、債権譲渡担保権に対する一定の優先権を認めるかについては、第5の3と同様に、引き続き検討する。

 第7 動産・債権譲渡登記制度の見直し

1 同一の動産又は債権を目的とする新たな規定に係る担保権に関する権利関係を一覧的に公示する仕組みの導入の要否

【案7.1.1】同一の動産又は債権を目的とする新たな規定に係る担保権に関する権利関係を一覧的に公示させる仕組みは、設けないものとする。

【案 7.1.2】新たに関連担保目録制度を導入し、同一の動産又は債権を目的とする新たな規定に係る担保権に関する権利関係を関連担保目録にできる限り一覧的に公示させるものとする。

2 新たな規定に係る担保権の処分等を登記できるようにすることの要否及びその範囲並びにその公示方法

 新たな規定に係る動産担保権の処分、新たな規定に係る動産担保権の順位の変更、債権譲渡担保権の処分及び債権譲渡担保権の順位の変更(以下「新たな規定に係る担保権の処分等」という。)を登記できるようにすることの要否及びその範囲について、実務上のニーズや公示の分かりやすさの観点等を踏まえて、引き続き検討する。その上で、登記できるとされた新たな規定に係る担保権の処分等の公示方法については、以下のとおりとする。

 【案7.2.1】新たな規定に係る担保権の処分等に関する登記を、例えば個々の動産・債権譲渡登記に付記するような形でできるものとする(【案7.1.1】を前提とする。)。

 【案7.2.2】関連担保目録に登記された動産・債権譲渡登記に係る新たな規定に係る担保権の処分等のみを登記できることとし、当該新たな規定に係る担保権の処分等に関する登記は関連担保目録上に行うものとする(【案7.1.2】を前提とする。)。

3 登記をすることができる動産若しくは債権の譲渡人又は新たな規定に係る担保権の設定者の範囲登記をすることができる動産若しくは債権の譲渡人又は新たな規定に係る担保権の設定者の範囲を、商号の登記をした商人にも拡大することについて、引き続き検討する。

第3章 担保権の実行

第8 新たな規定に係る担保権の実行方法

1 新たな規定に係る担保権の各種の実行方法

 新たな規定に係る担保権の実行は、次に掲げる方法であって担保権者が選択したものにより行うものとする。

① 担保権者に被担保債権の弁済として目的物を帰属させる方式(帰属清算方式)

② 担保権者が目的物を処分し、その代金を被担保債権の弁済に充てる方式(処分清算方式)

③ 民事執行法第190 条以下の規定に基づく競売

2 新たな規定に係る担保権の私的実行における担保権者の処分権限及び実行通知の要否

 新たな規定に係る担保権の担保権者が私的実行として目的物の所有権を自己に帰属させ、又は第三者に処分する権限及び実行通知の要否については、次のいずれかの案によるものとする。

【案8.2.1】

⑴ 新たな規定に係る担保権の担保権者が私的実行をしようとするときは、被担保債権について不履行があった日以後に、設定者に対し、担保権の私的実行をする旨及び被担保債権の額を通知しなければならないものとする。

⑵ ⑴の通知が設定者に到達した時から1週間が経過したときは、担保権者は、後記3に従って目的物を自己に帰属させ、又は後記4に従って第三者に対して目的物を処分することができるものとする(注)。

(注)1週間の猶予期間を設けず、担保権者は⑴の通知が到達した時に目的物の処分権限を取得するものとする考え方がある。

【案8.2.2】

 被担保債権について不履行があったときは、担保権者は、後記3に従って目的物を自己に帰属させ、又は後記4に従って第三者に対して目的物を処分することができるものとする。

3 帰属清算方式による新たな規定に係る担保権の実行手続等

 帰属清算方式による新たな規定に係る担保権の実行手続等については、次のいずれかの案によるものとする。

【案8.3.1】

⑴ 担保権者が帰属清算方式による私的実行をしようとするときは、担保権者は、設定者に対し、目的物の所有権を担保権者に帰属させる旨、被担保債権の額、担保権者が評価した目的物の価額及びその算定根拠の通知(以下「帰属清算の通知」という。)をしなければならず、担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、帰属清算の通知に加えてその差額の支払又はその提供(以下「清算金の提供等」という。)をしなければならない。

 ⑵ 担保権者が帰属清算の通知(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、これに加えて清算金の提供等)をしたときは、被担保債権は、その時における目的物の客観的な価額の範囲で消滅し、設定者は、その後に被担保債権に係る債務を弁済して担保権を消滅させることができない(注1、2)。

⑶ 担保権者が帰属清算の通知(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、これに加えて清算金の提供等)をした時における目的物の客観的な価額が被担保債権額を超えるときは、担保権者は、設定者に対し、その超える額に相当する金銭を支払う義務を負う(注1、2)。

⑷ 担保権者は、帰属清算の通知(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、これに加えて清算金の提供等)をしたときは、⑴に基づいて担保権者が通知した目的物の評価額と被担保債権額の差額の支払と引換えに、設定者に対して目的物の引渡しを請求することができる。

⑸ ⑴に基づいて担保権者が通知した目的物の価額が、目的物の種類、性質等を考慮して担保権者が通常把握すべき当該目的物に係る事情に照らして著しく合理性を欠くものであるときは、⑵から⑷までの効力は、生じない。

【案8.3.2】

⑴ 【案8.3.1】の⑴から⑶まで及び⑸と同じ。

⑵ 担保権者は、帰属清算の通知(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、これに加えて清算金の提供等)をしたときは、目的物の客観的な価額と被担保債権額の差額の支払と引換えに、設定者に対して目的物の引渡しを請求することができる。

⑶ 【案8.3.1】の⑴に基づいて担保権者が通知した目的物の価額が、目的物の種類、性質等を考慮して担保権者が通常把握すべき当該目的物に係る事情に照らして著しく合理性を欠くものであるときは、⑵並びに【案8.3.1】の⑵及び⑶の効力は、生じない。

(注1)設定者の受戻しの機会等を確保するために、被担保債権の消滅時期、清算金算定の基準時及び設定者が目的物を受け戻すことができなくなる時期を、帰属清算の通知及び清算金の提供等がされた時から一定期間が経過した時とする考え方がある。

(注2)設定者の受戻しの機会等を確保するために、設定者は、被担保債権が消滅した後においても、担保権者に対して目的物を引き渡すまでの間は、被担保債権が消滅しなかったものとすれば支払うべき額を支払うことにより、目的物を受け戻すことができるものとする考え方がある。

4 処分清算方式による新たな規定に係る担保権の実行手続等

 処分清算方式による新たな規定に係る担保権の実行手続等については、次のいずれかの案によるものとする。

 【案8.4.1】

⑴ 担保権者が担保権の実行として目的物を第三者に処分したときは、被担保債権は、その処分時における目的物の客観的な価額の範囲で消滅し、設定者は、その後に被担保債権に係る債務を弁済して担保権を消滅させることができない(注1)。

⑵ 担保権者が担保権の実行として目的物を第三者に処分したときは、担保権者は、設定者に対し、その旨、処分時における被担保債権の額、担保権者が評価した目的物の価額及びその算定根拠を通知しなければならない。

⑶ 設定者は、目的物の処分を受けた第三者からその引渡しを請求されたときは、担保権者が⑵の通知(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、これに加えてその差額の支払)をするまでは、目的物の引渡しを拒むことができる。

 ⑷ 担保権者が担保権の実行として目的物を第三者に処分した場合において、その処分時における目的物の客観的な価額が被担保債権額を超えるときは、担保権者は、設定者に対し、その超える額に相当する金銭を支払う義務を負う。

【案8.4.2】(注2)

⑴ 担保権者が担保権の実行として目的物を第三者に処分したときは、被担保債権は、その処分時における目的物の客観的な価額の範囲で消滅し、設定者は、その後に被担保債権に係る債務を弁済して担保権を消滅させることができない(注1)。

⑵ 担保権者が担保権の実行として目的物を第三者に処分した場合において、その処分時における目的物の客観的な価額が被担保債権額を超えるときは、担保権者は、設定者に対し、その超える額に相当する金銭を支払う義務を負う。

 ⑶ 設定者は、目的物の処分を受けた第三者からその引渡しを請求された場合において、その処分時における目的物の客観的な価額が被担保債権額を超えるときは、担保権者がその差額の支払をするまでは、目的物の引渡しを拒むことができる。

(注1)設定者の受戻しの機会等を確保するために、被担保債権の消滅時期、清算金算定の基準時及び設定者が目的物を受け戻すことができなくなる時期を、目的物が処分された時から一定期間が経過した時と第三者が目的物の引渡しを受けた時のいずれか早い時とする考え方がある。

(注2)【案8.4.2】についても、担保権者が担保権の実行として目的物を第三者に処分したときは、担保権者は、設定者に対し、その旨、処分時における被担保債権の額、担保権者が評価した目的物の価額及びその算定根拠を通知しなければならないものとする考え方がある。

第9 新たな規定に係る担保権の目的物の評価・処分又は引渡しのための担保権者の権限及び手続

1 評価・処分に必要な行為の受忍義務

 新たな規定に係る担保権の被担保債権について不履行があった場合において、担保権者が目的物の評価又は処分に必要な行為をしようとするときは、設定者は、これを拒むことができない(注)。

(注)設定者は、受忍義務に加えて、目的物の評価のために必要な情報を提供する義務を負うものとする考え方がある。

2 実行完了前の保全処分

 新たな規定に係る担保権の被担保債権について不履行があった場合において、設定者又は占有者が、目的物の価格を減少させる行為若しくは実行を困難にする行為をし、又はこれらの行為をするおそれがあるときは、裁判所は、担保権者の申立てにより、次に掲げる保全処分又は公示保全処分を命ずることができるものとする。

 ⑴ 設定者又は占有者に対し、価格を減少させ、若しくは又は実行を困難にする行為を禁止し、又は一定の行為をすることを命ずること

⑵ 設定者又は占有者に対し、執行官への引渡しを命ずること及び執行官に目的物の保管をさせること

⑶ 設定者又は占有者に対し、占有の移転を禁止することを命じ、その使用を許すこと

3 簡易迅速な目的物の引渡しを実現する方法

 新たな規定に係る担保権の被担保債権について不履行があったときは、裁判所は、【担保権者が帰属清算の通知(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、これに加えて清算金の提供等)又は第三者に対する目的物の処分をするまでの間/目的物の評価又は処分のために必要があるときは】、担保権者の申立てにより、清算金の見積額を供託させて、設定者又は目的物の占有者に対し、目的物を担保権者に引き渡すべき旨を命ずることができるものとする。

4 実行終了後に目的物の引渡しを実現する方法

 裁判所は、帰属清算の通知(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、これに加えて清算金の提供等)をした担保権者又は目的物の処分を受けた第三者(以下「担保権者等」という。)の申立てにより、設定者又は目的物の占有者に対、目的物を担保権者等に引き渡すべき旨(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超えるときにあっては、その超える額に相当する金銭の支払と引換えに目的物を担保権者等に引き渡すべき旨)を命ずることができるものとする。

第10 同一の動産に複数の新たな規定に係る担保権が設定された場合の取扱い

1 劣後担保権者による私的実行の可否及び要件

 新たな規定に係る担保権が同一の動産について複数設定されているときは、担保権者は、優先する全ての担保権者の同意を得た場合に限り、私的実行をすることができるものとする。

2 優先担保権者の同意なくされた劣後担保権者による私的実行の効果

 前記1の同意なくされた劣後担保権者によ5 る私的実行の効果については、次のいずれかの案によるものとする。

【案10.2.1】 前記1の同意なくされた劣後担保権者による私的実行は、その効力を生じないものとする。

【案10.2.2】 劣後担保権者が前記1の同意なく帰属清算方式又は処分清算方式による私的実行をしたときは、劣後担保権者又は第三者は、優先担保権の負担のある目的物の所有権を取得するものとする。

3 新たな規定に係る担保権の私的実行に当たっての他の担保権者への通知

新たな規定に係る担保権の担保権者又は設定者が私的実行に当たってとらなければならない手続については、次のいずれかの案によるものとする。

【案10.3.1】 新たな規定に係る担保権の担保権者は、私的実行に着手したときは、遅滞なく、その設定者に対して担保権を有する旨の動産譲渡登記を備えている全ての者に対して、その旨の通知をしなければならないものとする。この場合において、その通知は、【通知を受ける者の登記簿上の住所又は事務所/あらかじめ登記所に届け出た連絡先】に宛てて発すれば足りるものとする。(関連担保目録制度を導入しない【案7.1.1】を前提とする。)

【案10.3.2】 新たな規定に係る担保権の担保権者は、私的実行に着手したときは、遅滞なく、その担保権に係る動産譲渡登記の関連担保目録上においてその担保権に【関連する/後れる】担保権を有する者【(私的実行に着手した担保権者の担保権が動産譲渡登記を備えていないときにあっては、その設定者に対して担保権を有する旨の動産譲渡登記を備えている全ての者)】に対して、その旨の通知をしなければならないものとする。この場合において、その通知は、【通知を受ける者の登記簿上の住所又は事務所/あらかじめ登記所に届け出た連絡先】に宛てて発すれば足りるものとする。(関連担保目録制度を導入する【案

7.1.2】を前提とする。)

【案10.3.3】 設定者は、新たな規定に係る担保権の担保権者から私的実行をする旨又は私的実行をした旨の通知を受けたときは、遅滞なく、【劣後担保権者/その他の担保権者】に対してその旨の通知をしなければならないものとする。

4 担保権者間の分配方法についての合意内容の通知

 後順位の担保権者が優先する担保権者の同意を得て私的実行をしたときは、各担保権者の被担保債権は、目的物の客観的な価額の範囲でその優先順位に従って消滅する。ただし、各担保権者間にこれと異なる合意が成立した場合において、劣後担保権者が、帰属清算の通知(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、これに加えて清算金の提供等)の到達又は第三者への目的物の処分後遅滞なく、設定者に対してその合意の内容を通知したときは、この限りでない。

第11 集合動産を目的とする担保権の実行について

1 集合動産を目的とする担保権の実行の手続

集合動産を目的とする担保権の実行について、次の規定を設けるものとする。

⑴ 集合動産を目的とする担保権の私的実行をしようとするときは、担保権者は、帰属清算の通知(担保権者が評価した目的物の価額が被担保債権額を超える場合にあっては、これに加えて清算金の提供等)又は第三者への目的物の処分に先立って、設定者に対し、担保を実行する旨を通知しなければならない。

⑵ ⑴の通知が設定者に到達したに集合動産に加入した動産には、担保権の効力は及ばない。ただし、その動産が⑴の通知が到達した時点で集合動産の構成部分であった動産と分別して管理されていないときは、この限りでない。

⑶ ⑴の通知が設定者に到達したときは、設定者は、その時点で集合動産の構成部分であった動産の処分権限を失う。

⑷ ⑴の通知は、設定者の承諾を得なければ、撤回することができない。

⑸ ⑷の撤回は、⑴の通知の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

2 実行後に特定範囲に加入した動産に対する再度実行の可否

 集合動産を目的とする担保権の担保権者は、実行の時点で存在する構成部分である動産全部について実行をしたに新たに特定範囲に加入した動産に対して、当初の担保の効力が及んでいるものとして再度の実行をすることはできないものとする(注)。

(注)プロジェクト・ファイナンス等の現在の実務に影響を与えることがないか、事業担保等の他の制度との関係にも留意しつつ、引き続き検討する。

 3 集合動産の一部について実行がされた場合に固定化が生じる範囲

 前記1⑴の通知の到達による前記1⑵及び⑶の効果は、その集合動産全体について生じるものとし、ただし、その通知において、【所在場所により特定された範囲/種類、所在場所、量的範囲の指定その他の方法により特定された範囲】を実行の対象として指定したときは、この限りでないものとする。

第12 新たな規定に係る担保権の競売手続による実行等について

1 新たな規定に係る担保権は、民事執行法第190 条以下の規定に基づく競売によって実行することができるものとする。

2 新たな規定に係る担保権の担保権者は、設定者に対する他の債権者が申し立てた動産に対する強制執行手続及び他の担保権者が申し立てた担保権実行としての動産競売手続において、配当要求をすることができるものとする。

3 新たな規定に係る担保権の担保権者は、その担保権者に劣後する他の担保権者又は一般債権者がその目的物を差し押さえたときは、その強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができるものとし、ただし、目的物の価額が手続費用並びに第三者異議の訴えを提起しようとする担保権者の債権及びこれに優先する債権の合計額を超えるときは、この限りでないものとする(注)。

4 【執行官/差押債権者又は担保権者】は、強制執行手続又は担保権実行としての動産競売手続に係る動産の差押えをしたときは、遅滞なく、その執行債務者に対して担保権を有する旨の動産譲渡登記を備えている全ての者に対し、その旨を通知しなければならないものとする。この場合において、その通知は、【通知を受ける者の登記簿上の住所又は事務所/あらかじめ登記所に届け出た連絡先】に宛てて発すれば足りるものとする。

5 強制執行手続又は担保権実行としての動産競売手続において、その目的である動産の上に存する先取特権、質権及び新たな規定に係る担保権の帰趨については、次のいずれかの案によるものとする。

【案12.5.1】 強制執行手続又は担保権実行としての動産競売手続において、その目的である動産の上に存する先取特権、質権及び新たな規定に係る担保権は、売却により全て消滅するものとする。

【案12.5.2】 強制執行手続又は担保権実行としての動産競売手続において、その申立てに係る担保権者の担保権、配当要求をした担保権者の担保権及びこれらの担保権に劣後する担保権は、売却により消滅するものとし、買受人は、その余の担保権の負担のある目的物の所有権を取得するものとする。

(注)劣後担保権者又は一般債権者が集合動産の構成部分である動産を差し押さえた場合に、同様の規律を適用するかどうかについては、更に検討する。

第13 質権の実行方法に関する見直しの要否

 動産質権について流質契約の有効性を認めるか否かについては、次のいずれかの案によるものとする。

【案13.1】 目的物の価額が被担保債権額を超える場合にその差額を清算させるなどの設定者の利益を保護する措置をとるとともに、民法第349 条を改正し、動産質権について流質契約の有効性を認めるものとする。

【案13.2】 動産質権について流質契約の有効性を否定する民法第349 条を維持するものとする。

第14 所有権留保売買による留保所有権の実行

所有権留保売買による留保所有権の実行方法として、第8の3及び4の帰属清算方式及び処分清算方式による私的実行並びに第12 の民事執行法の規定に基づく競売を認めるものとする。

第15 債権を目的とする担保権の実行

1 債権譲渡担保権者による債権の取立て

債権譲渡担保権者は、その目的である債権を直接に取り立てることができるものとする。

2 債権質権者及び債権譲渡担保権者の取立権限及び実行通知の要否

⑴ 債権譲渡担保権者の取立権限及び実行通知の要否については、次のいずれかの案によるものとする。

【案15.2.1.1】

ア 債権譲渡担保権者が実行をしようとするときは、被担保債権について不履行があった日以後に、設定者に対し、担保権の実行をする旨及び被担保債権の額を通知しなければならないものとする。

イ アの通知が設定者に到達した時から1週間が経過したときは、債権譲渡担保権者は、前記1に従ってその目的である債権を直接に取り立て、又は後記6に従って実行することができるものとする(注)。

(注)1週間の猶予期間を設けず、債権譲渡担保権者はアの通知が到達した時にその目的である債権の取立権限を取得するものとする考え方がある。

【案15.2.1.2】

 被担保債権について不履行があったときは、債権譲渡担保権者は、前記1に従ってその目的である債権を直接に取り立て、又は後記6に従って実行することができるものとする。

⑵ 債権質権者の取立権限及び実行通知の要否については、次のいずれかの案によるものとする。

【案15.2.2.1】 ⑴について【案15.2.1.1】を採用する場合には、これと同様とする。

【案15.2.2.2】 ⑴についていずれの案を採用するかにかかわらず、現在の規律を維持する。

3 担保の目的財産が金銭債権である場合に担保権者が取り立てることができる範囲

⑴ 債権譲渡担保権者は、譲渡担保の目的が金銭債権であるときは、その全額を取り立てることができるものとする。

⑵ 民法第366 条第2項を改め、質権者についても、質権の目的が金銭債権である場合には、その全額を取り立てることができるものとする。

4 担保の目的である金銭債権の弁済期が被担保債権の弁済期前に到来した場合に、担保権者が請求することができる内容

⑴ 債権譲渡担保の目的である金銭債権の弁済期が被担保債権の弁済期よりも先に到来する場合に、債権譲渡担保権者が請求することができる内容については、次のいずれかの案によるものとする。

【案15.4.1.1】 譲渡担保の目的である金銭債権の弁済期が到来したときは、債権譲渡担保権者は、被担保債権の弁済期が到来する前であっても、目的債権を直接に取り立てることができるものとする(注)。

【案15.4.1.2】 譲渡担保の目的である金銭債権の弁済期が被担保債権の弁済期に到来したときは、債権譲渡担保権者は、第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができるものとした上で、第三債務者は、対抗要件を具備した担保権者に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって設定者に対抗することができるものとする(注)。

(注)第三債務者が担保権者に対して弁済した場合において、担保権の実効性を確保するためのその金銭の処理方法については、引き続き検討する。

⑵ 債権質の目的である金銭債権の弁済期が被担保債権の弁済期よりも先に到来する場合に、質権者が請求することができる内容に5 ついては、次のいずれかの案によるものとする。

【案15.4.2.1】 ⑴について【案15.4.1.1】を採用する場合には、民法第366 条第3項を改め、これと同様とする。

【案15.4.2.2】 ⑴について【案15.4.1.2】を採用する場合には、民法第366 条第3項を改め、これと同様とする。

5 担保の目的財産が非金銭債権である場合の実行方法

 担保の目的財産が非金銭債権である場合に、譲渡担保権者は、弁済として受けた物について【譲渡担保権(新たな規定に係る担保権)/動産質権】を有するものとする。

6 直接の取立て以外の実行方法

⑴ 債権譲渡担保権者は、目的債権を直接取り立てる方法によるほか、帰属清算方式又は処分清算方式の私的実行をすることができるものとする。

⑵ 債権譲渡担保権を民事執行法第193 条の規定に基づく債権執行によって実行することができるものとするか否かについては、引き続き検討する。

7 集合債権を目的とする担保の実行

集合債権を目的とする担保の私的実行については、特別な規定を設けないものとする。

 第4章 担保権の倒産手続における取扱い

第16 別除権としての取扱い

 破産手続及び再生手続において、新たな規定に係る担保権を有する者を別除権者(破産法第2条第10 項、民事再生法第53 条)として、更生手続において、新たな規定に係る担保権の被担保債権を有する者を更生担保権者(会社更生法第2条第11 項)として、それぞれ扱うものとする。

登記研究 799号 25頁 2014年9月 藤原勇喜:藤原民事法研究所代表「【論説・解説】倒産法と不動産登記をめぐる諸問題 ―破産法を中心として―」

第17 担保権実行手続中止命令に関する規律

1 担保権実行手続中止命令の適用の有無

⑴ 新たな規定に係る担保権の実行手続(私的実行手続を含む。⑵において同じ。)を民事再生法上の担保権実行手続中止命令(同法第31条)の対象とする。

⑵ 新たな規定に係る担保権の実行手続を会社更生法、会社法及び外国倒産処理手続の承認援助に関する法律に基づく担保権実行手続中止命令(会社更生法第24 条、会社法第516 条及び外国倒産処理手続の承認援助に関する法律第27 条)の対象とする。

⑶ 債権質権の実行手続(私的実行手続を含む。)を⑴及び⑵の手続の対象とする。(注)

(注)契約による質物の処分を可能とする場合には、当該処分を⑴及び⑵に規定する担保権実行手続中止命令の対象とするかも問題となる。

担保権実行手続禁止命令

⑴ 再生手続において、新たな規定に係る担保権の【実行手続/私的実行手続】を実行手続の開始前に発令される担保権実行手続禁止命令の対象とする。(注1)

⑵ 新たな規定に係る担保権についての再生手続における担保権実行手続中止命令及び担保権実行手続禁止命令の要件は、現行の担保権実行手続中止命令と同様とする。

⑶ 更生手続、特別清算手続及び承認援助手続において、⑴と同様に、新たな規定に係る担保権の【実行手続/私的実行手続】を対象とする、実行手続の開始前に発令される担保権実行手続禁止命令の規定を設けるものとする。(注1)

⑷ 新たな規定に係る担保権についての更生手続、特別清算手続及び承認援助手続における担保権実行手続中止命令及び担保権実行手続禁止命令の要件は、現行の担保権実行手続中止命令と同様とする。

 ⑸ 債権質権の【実行手続/直接取立てによる実行】を⑴及び⑶の手続の対象とする。(注2)

(注1)担保権実行手続禁止命令の対象となる手続に関しては、担保権実行手続中止命令と担保権実行手続禁止命令とを区別しない形で法制化すべきという考え方がある。

(注2)契約による質物の処分を可能とする場合には、当該処分を⑴及び⑶に規定する担保権実行手続禁止命令の対象とするかも問題となる。

3 担保権実行手続中止命令等を発令することができる時期の終期

 担保権実行手続中止命令又は2に規定する担保権実行手続禁止命令のうち、新たな規定に係る担保権の私的実行に係るものについては、被担保債権に係る債務が消滅する時までにしなければならないものとする(注)。また、債権質権の取立てに係る担保権実行手続中止命令又は2に規定する担保権実行手続禁止命令についても同様の規定を設けるものとする。

(注)新たな規定に係る動産担保権については、被担保債権に係る債務の消滅後も、担保目的動産が担保権者に引き渡されるまでの間設定者による担保目的動産の受戻しを認めつつ、被担保債権に係る債務の消滅時と担保目的動産の担保権者への引渡し時のいずれか遅い方を担保権実行手続中止命令等の終期とすべきという考え方がある。

4 担保権者の利益を保護するための手段

担保権実行手続中止命令及び2に規定する担保権実行手続禁止命令は、担保権者に不当な損害を及ぼさないために必要な条件を付して発することができる。

5 審尋の要否

 新たな規定に係る担保権の【実行手続/私的実行手続】(注1)に対する担保権実行手続中止命令及び2に規定する担保権実行手続禁止命令は、あらかじめ担保権者の意見を聴くことなく発することができ、ただし、あらかじめ担保権者の意見を聴くことなくこれらの命令を発したときは、裁判所は、発令の後に(注2)担保権者の意見を聴かなければならないものとしてはどうか。

(注1)動産質権及び債権質権などの実行手続をも対象とすることが考えられる。

(注2)担保権者の意見を聴くべき時期の定め方(直ち5 に、速やかに、遅滞なくなど)については、引き続き検討する。

6 担保権実行手続中止命令等が発令された場合の弁済の効力

 債権譲渡担保権の実行に当たって担保権者が担保目的債権の取立権限を取得したが、その後に担保権実行手続中止命令又は2に規定する担保権実行手続禁止命令が発令された場合の弁済の効力等に関して、次のいずれかの案によるものとする。(注)

【案17.6.1】担保権実行手続中止命令又は担保権実行手続禁止命令が発令された場合にも、第三債務者が担保権者に対して弁済することは妨げられないものとする。

【案17.6.2】担保権実行手続中止命令又は担保権実行手続禁止命令が発令された場合において、第三債務者がこれらが発令されたことを知っていたときは、担保権者に対する債務消滅行為の効力を設定者に対抗することができないものとする。この場合において、第三債務者は、担保目的債権の全額に相当する金銭を供託して、その債務を免れることができるものとする。

(注)債権質権に基づき担保権者が担保目的債権の取立権限を取得したが、その後に担保権実行手続中止命令又は2に規定する担保権実行手続禁止命令が発令された場合の弁済の効力等に関して規定を設ける必要があるかどうかについて、引き続き検討する。

7 担保権実行手続取消命令

次のような担保権実行手続取消命令の規定を設けることについて、引き続き検討する。

 ⑴ 裁判所は、集合動産を目的とする新たな規定に係る担保権の実行通知がされた場合において、再生債権者の一般の利益に適合し、かつ、担保権者に不当な損害を及ぼすおそれがない(注1、2)ときは、実行通知の効力を取り消すことができるものとすること(注3)

⑵ 裁判所は、債権譲渡担保権が設定された場合における設定者に対する取立権限の付与が解除された場合において、再生債権者の一般の利益に適合し、かつ、担保権者に不当な損害を及ぼすおそれがない(注1、2)ときは、取立権限の付与の解除の効力を取り消すことができるものとすること(注3)

(注1)再生債務者の事業の継続のために特に必要があると認めることや、担保を立てさせることなどをも要件とすべきという考え方がある。

(注2)担保権実行手続取消命令について、担保権実行手続中止命令及び担保権実行手続禁止命令に関する4と同様に、担保権者に不当な損害を及ぼさないために必要な条件を付して発することができることとするかどうかについては、条件違反があった場合の効果などを踏まえて、引き続き検討する。

(注3)担保権実行手続取消命令が発令された場合における第三債務者による弁済の効力に関して、6のような規律を設けるべきかについては、引き続き検討する。

第18 倒産手続開始申立特約の効力

1 設定者についての再生手続開始の申立て又は更生手続開始の申立てを理由に(注)新たな規定に係る担保権の目的物を設定者に属しないものとし、又は属しないものとする権利を担保権者に与える契約条項(新たな規定に係る担保権の目的財産を設定者の責任財産から逸出させることになる契約条項)は、無効とする。

2 設定者についての再生手続開始の申立て又は更生手続開始の申立てを理由に設定者が新たな規定に係る担保権の目的物の範囲に存する動産をの処分等する権限や担保権の目的物の範囲に存する債権をの取立て等する権限を喪失させる契約条項を無効とする旨の明文の規定を設けるかどうかについて、引き続き検討する。

(注)再生手続開始の申立て又は更生手続開始の申立て以外を理由に⑴に規定する権利を担保権者に与える契約条項を無効とする旨の規定を設けるべきかどうかについては、引き続き検討する。

第19 倒産手続開始後に生じ、又は取得した財産に対する担保権の効力

1 倒産手続の開始に生じた債権に対する担保権の効力

 将来発生する債権を目的とする債権譲渡担保権の設定者について倒産手続が開始された場合に、当該担保権の効力が、管財人又は再生債務者を当事者とする契約上の地位に基づいて倒産手続開始後に発生した債権に及ぶか否かについては、次の4案のいずれかによるものとする(注)。

【案19.1.1】 倒産手続が開始された後に発生した債権にも無制限に担保権の効力が及ぶ(なお、設定者は、担保権の効力が及ぶ債権について、倒産手続の開始によっては、取立権限を失わない。)。

【案19.1.2】 倒産手続が開始された後に発生した債権には担保権の効力が及ぶが、優先権を行使することができるのは、倒産手続開始時に発生していた債権の評価額を限度とする(なお、設定者は、担保権の効力が及ぶ債権について、倒産手続の開始によっては、取立権限を失わない。)。

【案19.1.3】 倒産手続が開始された後に発生した債権であっても、担保権者が担保権を実行するまでに発生したものには、担保権の効力が及ぶ(なお、設定者は、担保権の効力が及ぶ債権について、倒産手続の開始によっては、取立権限を失わない。)。

【案19.1.4】 倒産手続開始後に発生した債権には、担保権の効力は及ばない(なお、設定者は、担保権の効力が及ぶ既発生の債権について、倒産手続の開始によって取立権限を失う。)。

(注)目的債権の取立権限や目的債権の弁済又は対価として受けた金銭等の利用権限等何らかの基準によって場合分けをし、それぞれについて異なる規律を適用するという考え方がある。

2 倒産手続の開始後に取得した動産に対する担保権の効力

 集合動産を目的財産とする新たな規定に係る担保権の設定者について倒産手続が開始された場合に、当該担保権の効力が、倒産手続開始後に管財人又は再生債務者が当事者となった契約に基づいて取得した動産に及ぶか否かについては次の3案のいずれかによるものとする。

【案19.2.1】倒産手続が開始された後に取得した動産には担保権の効力が及ぶが、優先権を行使することができるのは、倒産手続開始時までに取得した動産の評価額を限度とする(なお、設定者は、担保権の効力が及ぶ動産につ5 いて、倒産手続の開始によっては、処分権限を失わない。)。

【案19.2.2】倒産手続が開始された後に取得した動産であっても、担保権者が担保権を実行するまで(実行通知が設定者に到達するまで)に取得したものには、担保権の効力が及ぶ(なお、設定者は、担保権の効力が及ぶ動産について、倒産手続の開始によっては、処分権限を失わない。)。

【案19.2.3】倒産手続開始後に取得した動産には、担保権の効力は及ばない(なお、設定者は、担保権の効力が及ぶ動産について、倒産手続の開始によって処分権限を失う。)。

第20 担保権の実行がされた担保目的財産に係る費用の負担(本項は、第19、1において【案19.1.1】を採用した場合の試案である。)

 将来発生する債権を目的として債権譲渡担保権が設定されている場合において、設定者について倒産手続が開始された後に目的債権を発生させる費用(注)を設定者が支出し、当該担保権の実行が行われたときの規律については次の2案を引き続き検討する。

【案20.1】当該債権譲渡担保権が設定された債権のいずれかについて担保権の実行(担保権者による取立てを含む。)が行われた場合、当該債権の代価又は弁済として受けた金銭等から、担保権者より先に設定者(管財人又は再生債務者)が当該費用の償還を受けることができる。

【案20.2】当該目的債権について担保権の実行(担保権者による取立てを含む。)が行われた場合、当該目的債権の代価又は弁済として受けた金銭等から、担保権者より先に設定者(管財人又は再生債務者)が当該費用の償還を受けることができる。

(注)目的債権を発生させる費用の内容については、引き続き検討する。

第21 否認集合動産又は将来発生する複数の債権を目的とする新たな規定に係る担保権において、個別の動産や債権等が次のような態様で担保権の目的の範囲に加入した場合、これを偏頗行為否認の対象とすること(注1)について、引き続き検討する(注2、3)。

⑴ 通常の事業の範囲を超えるなど、客観的に異常な動産又は債権の担保権の目的の範囲への加入

⑵ 専ら担保権者に債権を回収させる目的で行われたなどの設定者の主観的要件を満たす(注4)動産又は債権の担保権の目的の範囲への加入

(注1)偏頗行為否認の対象とするのではなく、実体法上担保権の効力が及ばないこととすべきという考え方がある。

(注2)偏頗行為否認の対象とする場合に、設定者の支払不能等に関する担保権者の主観的要件を不要とすべきであるという意見がある。

(注3)加入後に個別動産や個別債権の処分等が行われた場合に、それを否認の成否において勘案すべきかどうかについて、引き続き検討する。

(注4)設定者の主観的要件に加えて、担保権者の主観的事情を要件とすべきであるという意見がある。

第22 担保権消滅許可制度の適用

1 破産法上の担保権消滅許可制度の適用

  •  新たな規定に係る担保権について、破産法上の担保権消滅許可制度の適用の対象とする。

 ⑵ 担保権消滅許可の申立てに対する対抗手段としての「担保権の実行の申立て」(破産法第187 条第1項)として、私的実行を認めるかどうかについて、次のいずれかの案によるものとする。

【案22.1.2.1】対抗手段としての「担保権の実行の申立て」として私的実行を認め、その帰属清算方式における評価額又は処分清算方式における処分価額についての要件を課さない

【案22.1.2.2】対抗手段としての「担保権の実行の申立て」として私的実行を認めるが、その帰属清算方式における評価額又は処分清算方式における処分価額(注1)は、担保権消滅許可申立書に記載された売得金(破産法第186 条第3項第2号)の額以上である必要があるとする。

【案22.1.2.3】対抗手段としての「担保権の実行の申立て」として私的実行を認めない(担保権者は、競売手続の実行の申立てによるほか、買受けの申出(破産法第188 条第1項)により対抗することとする。)(注2)。

(注1)帰属清算方式及び処分清算方式のいずれの場合でも、清算金の発生又は被担保債権の消滅の効果は、担保目的物の客観的な価額を基準として生ずることになること等を踏まえ、帰属清算方式における評価額又は処分清算方式における処分価額を基準とするかどうかについては、引き続き検討する。

(注2)対抗手段としての「担保権の実行の申立て」として私的実行を認めるが、その帰属清算方式における評価額又は処分清算方式における処分価額を、担保権消滅許可申立書に記載された売得金の額に5パーセントを加えた額以上である必要があるとするという考え方がある。

2 民事再生法及び会社更生法上の担保権消滅許可制度の適用

新たな規定に係る担保権について、民事再生法及び会社更生法上の担保権消滅許可制度の適用の対象とするものとする。

第5章 その他

第23 事業担保制度の導入に関する総論的な検討課題

1 事業担保制度導入の是非

事業のために一体として活用される財産全体を包括的に目的財産とする担保制度(事業担保制度)を設けるか否かについて、引き続き検討する。

2 事業担保権を利用することができる者の範囲

⑴ 事業担保権者となり得る者の範囲については、制度の趣旨が適切に発揮されるためには適切なモニタリングや経営支援の知見等が必要であることや、経営への不当な介入を防ぐ観点から、金融機関などに限定する方向で、その具体的な範囲を更に検討するものとする。

⑵ 事業担保権を設定することができる者については、個人を除外して法人等に限定する方向で、組合による設定を認めるかなどその具体的な範囲については、設定を公示する手段の有無にも留意しながら更に検討するものとする(注)。

 (注)個人事業者がその事業用の財産に事業担保権を設定することも認めるという考え方がある。

3 事業担保権の対象となる財産の範囲

⑴ 事業担保権は、原則として、のれん、契約上の地位(注)、事実上の利益などを含む、設定者の有する全ての財産に及ぶものとする。

 ⑵ 当事者の合意によって一部の財産に事業担保権が及ばないようにすることができるかどうかについては、その旨の公示の可否などに留意しつつ、更に検討する。

(注)労働契約について何らかの特別な考慮が必要であるとの意見がある。

第24 事業担保権の効力

 1 事業担保権の設定

 事業担保権の設定契約に当たって必要な手続的要件については、事業担保権の設定による影響を受け得る者の利害にも配慮しつつ、更に検討する。

2 事業担保権の対抗要件及び他の担保権との優劣関係

 ⑴ 事業担保権の設定は、商業登記簿に登記しなければ、第三者に対抗することができないものとする。

⑵ 物的に編成された登記登録制度がある個別財産について事業担保権の効力が及ぶことを第三者に対抗するための要件として、商業登記簿への登記で足りるものとするか、登記登録をしなければ事業担保権の効力が及ぶことを第三者に対抗することができないものとするかについて、引き続き検討する。

⑶ 事業担保権と他の約定担保権との優劣関係については、対抗要件の先後によって定めるものする。

⑷ 事業担保権と先取特権との優劣関係について、引き続き検討する。

 3 事業担保権の優先弁済権の範囲(一般債権者に対する優先の範囲)

 労働債権や商取引債権は、無担保であっても一定の範囲で事業担保権の被担保債権に優先することとし、具体的にどのような範囲の債権を優先させるか、各債権に分配する額をどのように算出するか、優先させる債権への分配額を実行開始後に随時弁済することができるかなどについて、引き続き検討する。

4 事業担保権設定者の処分権限

 事業担保権が実行される前の段階において、事業担保権設定者がどのような範囲で事業担保権の目的となっている財産を処分することができるかについて、①事業担保権の目的である財産の処分一般について何らかの制約を設けるか、②事業担保権の目的である財産のうち一部について処分権限を制約するか、③後順位の担保権の設定に制約を設けるかなどの点を引き続き検討する。

5 一般債権者が差し押さえた場合の担保権者の保護

  事業担保権が及ぶ個別の財産について設定者の一般債権者が強制執行を申し立てた場合や、当該財産について抵当権等の担保権を有する担保権者がその実行を申し立てた場合に、事業担保権者がどのような手段を取り得るかについて、引き続き検討する。

第25 事業担保権の実行

1 実行開始決定の効果

⑴ 事業担保権の実行開始決定がされたときは、その目的財産の管理処分権は裁判所の選任する管財人に専属するものとする。

⑵ 管財人は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行わなければならないものとする。

 ⑶ 管財人は、債権者に対し、公平かつ誠実に、⑴の権利を行使し、実行手続を追行する義務を負うものとする。

⑷ 事業担保権の実行開始決定がされたときは、設定者の個別財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、事業担保権に劣後する担保権の実行等の手続は事業担保権の実行手続との関係で失効するものとし、事業担保権に優先する担保権は、事業担保権の実行手続によらないで行使することができるものとする(注)。

(注)事業担保権の被担保債権に先立って弁済を受けることができる一般債権に基づく強制執行及び仮差押えは、失効しないものとする考え方がある。

2 事業担保権の目的財産の一部に対する実行及び個別資産の換価の可否

 ⑴ 事業担保権の裁判上の実行手続において、事業担保権の目的財産の一部のみを対象として実行手続を開始することはできないものとする。

⑵ 管財人が設定者の通常の事業の範囲を超えて個別資産を換価するには、裁判所の許可を得なければならないものとする。

 3 裁判上の実行による事業譲渡における債務の承継の可否

 管財人は、裁判上の実行により事業譲渡をする場合において、事業の買受人に対し、事業担保権の被担保債務に先立って弁済を受けることができる債務その他のその債務の承継によって債権者間の衡平を害しないと認められる債務を承継させることができるものとする。

4 他の債権者及び株主の保護

⑴ 管財人は、裁判上の実行により事業譲渡をするには、裁判所の許可を得なければならないものとする。

⑵ ⑴の事業譲渡について、会社法上の株主総会の決議による承認を要しないものとする(注)。

(注)会社法上の株主総会の決議による承認に代替する手続の要否及び内容については、引き続き検討する。

 5 換価の効果

⑴ 事業担保権の目的財産は、代金の支払があった時に買受人に移転するものとする。

⑵ 事業担保権の実行としての事業譲渡による許認可等の承継については、次のいずれかの案によるものとする。

【案25.5.2.1】 ⑴の場合において、買受人は、その承継に関し他の法令に禁止又は制限 の定めがあるときを除いて、その事業に関する行政庁の許可、認可、免許等を承継するものとする。

【案25.5.2.2】 事業担保権の実行としての事業譲渡による許認可等の承継について、規定を設けないものとする。

包括承継などの構成によって、契約上の地位を相手方の承諾なく移転させることができる制度を設けるか否かについて、引き続き検討する。

6 被担保債権以外の債権の扱い

  •  実行手続の実施に必要な費用などの一定の債権を共益債権とした上で随時弁済することができるものとする(注)。

(注)共益債権とする債権の具体的な内容については、引き続き検討する。

⑵ 実行手続開始前の原因に基づいて生じた債権の扱いについては、次のいずれかの案によるものとする。

【案25.6.2.1】 実行手続開始前の原因に基づいて生じた債権については、実行手続開始後は、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができないものとした上で、実行手続の中でその有無及び額を調査して確定し、これに対して配当する手続を設けるものとし、ただし、その債権を早期に弁済することにより実行手続を円滑に進行することができるとき、又はその債権を早期に弁済しなければ事業の継続に著しい支障を来すときは、裁判所は、管財人の申立てにより、その弁済をすることを許可することができるものとする。

【案25.6.2.2】 実行手続開始前の原因に基づいて生じた債権のうち、事業担保権の被担債権に先立って弁済を受けることができる債権は、実行手続によらないで、随時弁済するものとし、その余の債権については、【案25.6.2.1】と同様とする。

【案25.6.2.3】 実行手続開始前の原因に基づいて生じた債権は、実行手続によらないで、随時弁済するものとし、ただし、設定者に破産手続開始の原因となる事実が生ずるおそれがあるとき又は設定者が事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないときは、裁判所は、管財人の申立てにより、決定で、【【案25.6.2.1】/【案25.6.2.2】】と同様の扱いに移行させるものとする。

7  事業継続による収益の中間的な配当

管財人は、事業担保権の実行としての事業譲渡がされる前において、事業の継続によって得られる収益を中間的に配当することができるものとする。

8 事業担保権の裁判外の実行

  事業担保権の実行方法として、事業担保権者が設定者の同意なくその事業を譲渡することができる裁判外の実行手続を設けないものとする(注)。

(注)事業担保権の設定者による事業譲渡にも前記4⑵、5⑵などの裁判上の実行手続の規律と同様の規律を及ぼすか否かについては、引き続き検討する。

 第26 事業担保権の倒産法上の取扱い

1 別除権及び更生担保権としての取扱い

 破産手続及び再生手続において、事業担保権を有する者を別除権者として、更生手続において、事業担保権の被担保債権を有する者を更生担保権者として、それぞれ扱うものとする。(注)

(注)事業担保権について、再生手続との関係では、手続外での行使を禁止し、手続内において目的物の換価及び配当を行うこととするべきという考え方がある。この考え方を採る場合においては、配当方法に関してどのような規律を設けるべきかなども問題がある。

2 担保権実行手続中止命令の適用の有無

事業担保権を民事再生法等の担保権実行手続中止命令の対象とする。(注)

(注)担保権実行手続中止命令の効果については、引き続き検討する。

3 倒産手続開始後に生じ、又は取得した財産に対する事業担保権の効力

 倒産手続開始後に発生した債権や、倒産手続開始後に管財人又は再生債務者が当事者となった契約に基づいて取得した動産について、事業担保権の効力が及ぶものとする。(注)

(注)倒産手続開始後に発生した債権や、倒産手続開始後に管財人又は再生債務者が当事者となった契約に基づいて取得した動産についても事業担保権の効力は及ぶものとしつつ、優先権を行使することができるのは、倒産手続開始時における担保目的財産発生していた債権又は倒産手続開始時までに取得した動産の評価額を限度とすべきという考え方がある。

4 破産法上の担保権消滅許可制度の適用

事業担保権について、破産法上の担保権消滅許可制度の適用の対象とする。

5 民事再生法及び会社更生法上の担保権消滅許可制度の適用

事業担保権について、民事再生法及び会社更生法上の担保権消滅許可制度の適用の対象とする。

6 DIP  ファイナンスに係る債権を優先させる制度

 事業担保権の設定者について倒産手続が開始された場合に、いわゆるDIP ファイナンスに係る債権を事業担保権の被担保債権に優先させる制度(DIP ファイナンスに係る債権をを被担保債権とする担保権を事業担保権に優先させる制度を含む。)を設けるかどうかについて、引き続き検討する。

第27 動産及び債権以外の財産権を目的とする担保

 動産及び債権以外の財産権を目的とする新たな規定に係る担保権について規定を設けるか、動産や債権を目的とする新たな規定に係る担保権に関する規定と共通する規定としてどのようなものがあるか、どのような範囲で独自の規定を設けるかについては、個々の財産権の性質等も考慮しつつ、引き続き検討する。

第28 ファイナンス・リース

1 ファイナンス・リースに関する規定の要否及び在り方

 次のような特徴を有する契約において利用権を設定した者が有する権利を担保権として取り扱うものとする規定を設けることの要否、その具体的な要件や方式について、引き続き検討する。

① 利用権設定者が利用権者に対し、目的物の使用収益を認容するものであること

② 利用権者が利用期間に利用権設定者に対して支払う利用料の額が、目的物の取得の対価、金利その他の経費等相当額を基に算出されていること

③ 利用権者による目的財産の使用及び収益の有無及び可否にかかわらず利用料債権が発生すること

(注)いわゆるフルペイアウト方式によるファイナンス・リースについては金融の目的であるとみなすとの考え方もあり得るが、厳密な定義が可能か否かも含めて、検討する。

2 対抗要件

 利用権設定者は、特段の要件なく、利用権に設定した担保権を第三者に対抗することができるものとする方向で、引き続き検討する。

3 実行方法

 ⑴ 利用権に設定した担保権の実行方法(注)として帰属清算方式による私的実行を認め、この方法による場合の実行方法は、利用権設定者は利用権者に対して利用権を消滅させる旨の意思表示をしなければならないものとするほか、新たな規定に係る担保権の帰属清算方式による実行と同様とする。

⑵ 利用権に設定した担保権の実行方法(注)として処分清算方式による私的実行を認め、この方法による場合の実行方法は、新たな規定に係る担保権の処分清算方式による実行と同様とする。

(注)実行方法についての規定を設けず、利用権設定契約の解除のみを認めるという考え方がある。

4 倒産法上の取扱い

⑴ 利用権設定者を、破産手続及び民事再生手続における別除権者(破産法第2条第10 項、民事再生法第53 条)として、会社更生手続における更生担保権者(会社更生法第2条第11 項)として、それぞれ扱うものとする。

⑵ア 利用権に設定した担保権の実行手続を民事再生法上の担保権実行手続中止命令(同10 法第31条)の対象とする。

イ 現行の担保権実行手続中止命令(民事再生法第31 条)に加えて、担保権の実行手続の開始前に発令されるものとして、担保権実行手続禁止命令の規定を設け、利用権設定型担保権の実行手続をその対象とする。

⑶ 利用権者についての倒産手続開始の申立てによって利用権者が利用権を喪失するという効果をもたらす特約の有効性については、私的実行が可能な他の担保権に関する規定と同様の規定を設けるものとする。

⑷ 利用権設定型担保権を、破産法、民事再生法及び会社更生法上の担保権消滅許可制度の適用の対象とする。

 第29 普通預金を目的とする担保

1 普通預金を目的とする担保権設定及び対抗要件具備

⑴ 普通預金を目的とする担保権(注)について、以下の規定を設けるかどうかについて引き続き検討する。

ア 普通預金債権を目的とする担保権の設定がされた場合における当該担保権の効力は、設定後の預金口座への入金部分に及ぶ旨の規定

イ 普通預金債権を目的とする担保権の設定について対抗要件が具備された場合には、対抗要件具備の預金口座への入金部分についても第三者に対抗することができる旨の規定

⑵ 普通預金債権を目的とする担保権の設定の有効要件又は対抗要件として、普通預金口座に対する担保権者の支配(コントロール)等の要件を必要とするかどうかについては、特段の規定を置かないことする。

⑶ ⑴の規定を設ける場合には、設定者が法人であるときに限って普通預金債権を目的とする担保権を設定することができるとする等、普通預金債権を目的とする担保権を設定することができる場合を限定することについて、引き続き検討する。

(注)規定を設ける場合における担保権の種類については、引き続き検討する。

2 普通預金を目的とする担保権の実行

普通預金債権を目的とする担保権の設定にかかわらず、預金開設銀行は、差押えがあるまでは、設定者による預金の払戻しに応ずることができる旨の規定を設けるかどうかについて、引き続き検討する。

3 普通預金を目的とする担保権の倒産手続における取扱い

⑴ 普通預金債権を目的とする担保権について、預金残高の増加を否認の対象とするかどうかについて引き続き検討する。

⑵ 普通預金債権を目的とする担保権の、倒産手続開始後の預金口座への入金部分に対する効力について引き続き検討する。

第30 証券口座を目的とする担保

証券口座の担保化について、特段の規定を置かないものとする。

デジタル臨時行政調査会(第6回)

加工

デジタル原則を踏まえたアナログ規制の見直しに係る工程表

2022年12月21日 デジタル臨時行政調査会

https://www.digital.go.jp/councils/administrative-research/c43e8643-e807-41f3-b929-94fb7054377e/

●道路台帳の閲覧:2024年6月まで

道路台帳について、閲覧の際、多くの場合、各地方の閲覧所等に赴く必要があったが、ホームページ等で時間・場所を問わずに閲覧が可能になり、国民の利便性の向上につながる。

道路法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327AC1000000180

(道路台帳)

第二十八条 道路管理者は、その管理する道路の台帳(以下本条において「道路台帳」という。)を調製し、これを保管しなければならない。

2 道路台帳の記載事項その他その調製及び保管に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。

3 道路管理者は、道路台帳の閲覧を求められた場合においては、これを拒むことができない。

電子官報の実現

○官報の原本が慣習で紙媒体とされており、行政手続における書面の廃止やデータの再利用ができない

商業登記法等で公告をしたことを証する書面として紙の官報を提出させている規定が12法律のほか政省令等に存在。

会社等の登記申請の際は年間約13,500件から14,500件程度、紙の官報が提出されている。(内閣府調べ)

改革①:行政手続における官報(紙)の提出を不要に

○セキュリティ強化等を行い、閣議了解等により官報(紙)と「インターネット版官報」の同一性を保証

○官報(紙)の書面添付を義務づけている行政手続(12法律等で規定)の運用を見直し

別表1 66

表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律

法務省

第5条登記官による調査

目視規制1-① 2 要

令和6年度4月~6月

目視ー共通9

告示、通知・通達等の発出又は改正

別表1 67

表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律

法務省

第6条第1項

立入調査目視規制1-① 2 要

令和6年度4月~6月

目視ー共通9

告示、通知・通達等の発出又は改正

別表1 68 不動産登記法

法務省

第135条第1項筆界調査委員による事実の調査

目視規制1-① 2 要

令和6年度4月~6月

目視ー共通9

告示、通知・通達等の発出又は改正

別表1 69 不動産登記法

法務省

第136条第1項測量及び実地調査目視規制1-① 2 要

令和6年度4月~6月

目視ー共通9

告示、通知・通達等の発出又は改正

別表1 70 不動産登記法

法務省

第137条第1項立入調査

目視規制1-① 2 要

令和6年度4月~6月

目視ー共通9

告示、通知・通達等の発出又は改正

別表1 1615 電子署名及び認証業務に関する法律

デジタル庁、法務省

第6条第2項認定の基準目視規制1-① 2 要

令和6年度4月~6月

目視ー共通9

法律改正

電子署名及び認証業務に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC0000000102

(認定の基準)

第六条 主務大臣は、第四条第一項の認定の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、その認定をしてはならない。

一 申請に係る業務の用に供する設備が主務省令で定める基準に適合するものであること。

二 申請に係る業務における利用者の真偽の確認が主務省令で定める方法により行われるものであること。

三 前号に掲げるもののほか、申請に係る業務が主務省令で定める基準に適合する方法により行われるものであること。

2 主務大臣は、第四条第一項の認定のための審査に当たっては、主務省令で定めるところにより、申請に係る業務の実施に係る体制について実地の調査を行うものとする。

新規228

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律

法務省第6条第2項実地調査

目視規制1-① 2 要

令和6年度4月~6月

目視ー法務省1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規229

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律

法務省

第6条第3項実地調査

目視規制1-① 2 要

令和6年度4月~6月

目視ー法務省1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規230

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律

法務省

第6条第7項実地調査

目視規制1-① 2 要

令和6年度4月~6月

目視ー法務省1

告示、通知・通達等の発出又は改正

相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=503AC0000000025_20230427_000000000000000

(事実の調査)第六条

2 前項の規定により事実の調査をする職員は、承認申請に係る土地又はその周辺の地域に所在する土地の実地調査をすること、承認申請者その他の関係者からその知っている事実を聴取し又は資料の提出を求めることその他承認申請に係る審査のために必要な調査をすることができる。

3 法務大臣は、その職員が前項の規定により承認申請に係る土地又はその周辺の地域に所在する土地の実地調査をする場合において、必要があると認めるときは、その必要の限度において、その職員に、他人の土地に立ち入らせることができる。

7 第三項の規定による立入りをする場合には、職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

新規231 不動産登記規則

法務省

第93条測量及び実地調査

目視規制1-① 2 要

令和6年度4月~6月

目視ー共通9

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規821所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

国土交通省

第6条立入検査等

目視規制1-① 2 要

令和5年度4月~9月

目視ー共通2

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規822所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

国土交通省

第8条第1項立入検査等

目視規制1-① 2 要

令和5年度4月~9月

目視ー共通2

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規823所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

国土交通省

第8条第3項立入検査等

目視規制1-① 2 要

令和5年度4月~9月

目視ー共通2

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規824

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

国土交通省

第13条第5項収用委員会の立入調査

目視規制1-① 2 要

令和5年度4月~9月

目視ー共通2

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規825

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

国土交通省

第13条第6項収用委員会の立入調査

目視規制1-① 2 要

令和5年度4月~9月

目視ー共通2

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規826所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

国土交通省

第26条第1項第三章第一節第二款(裁定による特定所有者不明土地の使用)の規定の施行のための立入検査

目視規制1-① 2 要

令和5年度4月~9月

目視ー共通2

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規827所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

国土交通省

第26条第2項第三章第一節第二款(裁定による特定所有者不明土地の使用)の規定の施行のための立入検査

目視規制1-① 2 要

令和5年度4月~9月

目視ー共通2

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規828

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

国土交通省

第32条第5項収用委員会の立入調査

目視規制1-① 2 要

令和5年度4月~9月

目視ー共通2

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規829所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

国土交通省

第32条第6項収用委員会の立入調査

目視規制1-① 2 要

令和5年度4月~9月

目視ー共通2

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規830所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

国土交通省

第36条第1項第三章第二節第一款(収用適格事業のための特定所有者不明土地の収用又は使用に関する特例)の規定の施行のための立入調査

目視規制1-① 2 要

令和5年度4月~9月

目視ー共通2

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規831所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

国土交通省

第36条第2項第三章第二節第一款(収用適格事業のための特定所有者不明土地の収用又は使用に関する特例)の規定の施行のための立入調査

目視規制1-① 2 要

令和5年度4月~9月

目視ー共通2

告示、通知・通達等の発出又は改正

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=430AC0000000049_20221101_504AC0000000038

(特定所有者不明土地への立入り等)

第六条 地域福利増進事業を実施しようとする者は、その準備のため他人の土地(特定所有者不明土地に限る。次条第一項及び第八条第一項において同じ。)又は当該土地にある簡易建築物等その他の工作物に立ち入って測量又は調査を行う必要があるときは、その必要の限度において、当該土地又は工作物に、自ら立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができる。ただし、地域福利増進事業を実施しようとする者が国及び地方公共団体以外の者であるときは、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、当該土地の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けた場合に限る。

(証明書等の携帯)

第八条 第六条の規定により他人の土地又は工作物に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書(国及び地方公共団体以外の者にあっては、その身分を示す証明書及び同条ただし書の許可を受けたことを証する書面)を携帯しなければならない。

2 (略)

3 前二項の証明書又は書面は、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

(裁定)

第十三条 

5 収用委員会は、前項の規定により意見を述べるため必要があると認めるときは、その委員又はその事務を整理する職員に、裁定申請に係る特定所有者不明土地又は当該特定所有者不明土地にある簡易建築物等その他の工作物に立ち入り、その状況を調査させることができる。

6 前項の規定により立入調査をする委員又は職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

(報告及び立入検査)

第二十六条 都道府県知事は、この款の規定の施行に必要な限度において、使用権者(裁定申請をしている事業者でまだ土地使用権等を取得していないもの及び使用権者であった者を含む。以下この項において同じ。)に対し、その事業に関し報告をさせ、又はその職員に、使用権者の事務所、使用権設定土地その他の場所に立ち入り、その事業の状況若しくは事業に係る施設、帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

2 第十三条第六項及び第七項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。

(裁定)

第三十二条 

5 収用委員会は、前項の規定により意見を述べるため必要があると認めるときは、その委員又はその事務を整理する職員に、裁定申請に係る特定所有者不明土地又は当該特定所有者不明土地にある簡易建築物等その他の工作物に立ち入り、その状況を調査させることができる。

6 第十三条第六項及び第七項の規定は、前項の規定による立入調査について準用する。

(立入調査)

第三十六条 都道府県知事は、この款の規定の施行に必要な限度において、その職員に、裁定申請に係る特定所有者不明土地又は当該特定所有者不明土地にある簡易建築物等その他の工作物に立ち入り、その状況を調査させることができる。

2 第十三条第六項及び第七項の規定は、前項の規定による立入調査について準用する。

別表1 60 民法

法務省

第98条第2項公示による意思表示方法(掲示場に掲示)

書面掲示1-① 3-4 要

令和5年度4月~9月

掲示ー法務省1

法律改正

民法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

(公示による意思表示)

第九十八条

2 前項の公示は、公示送達に関する民事訴訟法(平成八年法律第百九号)の規定に従い、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも一回掲載して行う。ただし、裁判所は、相当と認めるときは、官報への掲載に代えて、市役所、区役所、町村役場又はこれらに準ずる施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができる。

別表1 61 民事訴訟法

法務省

第111条裁判所が送達すべき民事訴訟法関係書類の公示送達方法(裁判所の掲示場に掲示)

書面掲示1-① 3-4 要注7

令和8年5月

(可能な限り早期の完了を目指す)

掲示ー共通4

告示、通知・通達等の発出又は改正

民事訴訟法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=408AC0000000109_20220525_504AC0000000048

(公示送達の方法)

第百十一条 公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。

別表1 62 非訟事件手続法

法務省

第102条第1項裁判上の公示催告方法(裁判所の掲示場に掲示)

書面掲示1-① 3-4 要

令和5年度4月~9月

掲示ー法務省1

法律改正

非訟事件手続法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=423AC0000000051_20220525_504AC0000000048

(公示催告についての公告)

第百二条 公示催告についての公告は、前条に規定する公示催告の内容を、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、官報に掲載する方法によってする。

別表1 67戸籍等の謄本等の交付の請求の受付及び引渡しの業務の公共サービス実施民間事業者における実施に関する省令

法務省

第1条公共サービス実施民間事業者における業務実施時間等の掲示義務

書面掲示1-① 3-4 要

令和5年度4月~9月

掲示ー共通1

省令改正

戸籍等の謄本等の交付の請求の受付及び引渡しの業務の公共サービス実施民間事業者における実施に関する省令

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418M60000010065

(掲示)

第一条 公共サービス実施民間事業者は、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律(以下「法」という。)第三十四条第一項第一号に掲げる業務を実施する特定業務取扱事業所(法第三十四条第八項に規定する特定業務取扱事業所をいう。)ごとに、公衆の見やすい場所に、当該業務の実施を委託した地方公共団体(以下「委託地方公共団体」という。)、実施する業務の内容及び当該業務の実施時間を掲示しなければならない。

別表1 68 後見登記等に関する省令

法務省

第16条職権による登記の抹消の際の公告の方法(登記所の掲示場に掲示)

書面掲示1-① 3-4 要

令和5年度4月~9月

掲示ー共通1

省令改正

後見登記等に関する省令

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412M50000010002_20220131_504M60000010003

(職権による登記の抹消の際の公告の方法)

第十六条 令第九条第二項に規定する公告は、抹消すべき事件又は事項が登記された登記所の掲示場その他登記所内の公衆の見やすい場所に二週間掲示して行う。

別表1 159入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律施行規則

農林水産省

第16条入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律第二十五条第五項の規定による立入り又は立木竹の伐採をする旨の公告の方法(市町村の事務所の掲示場の掲示)

書面掲示1-① 3-4 要

令和5年度10月~3月

掲示ー共通3

省令改正

入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=341M50010000043_20201221_502M60000200083

(立入り等の公告)

第十六条 法第二十五条第五項(同条第九項において準用する場合を含む。)の規定による公告は、立入り又は立木竹の伐採の目的、場所及び期日を記載した書面を、立ち入ろうとする土地又は伐採しようとする立木竹の所在する土地を管轄する市町村の事務所の掲示場に五日間掲示してしなければならない。

別表1 160農業振興地域の整備に関する法律施行規則

農林水産省

第13条第1項書類の送付に代わる公告の方法(市町村の事務所の掲示場に掲示)

書面掲示1-① 3-4 要

令和8年5月

(可能な限り早期の完了を目指す)

掲示ー共通4

省令改正

別表1 161農業振興地域の整備に関する法律施行規則

農林水産省

第14条第2項農業振興地域の整備に関する法律第十三条の五において準用する土地改良法第百十八条第三項の規定による公告の方法(市町村の事務所の掲示場に掲示)

書面掲示1-① 3-4 要

令和5年度10月~3月

掲示ー共通3

省令改正

農業振興地域の整備に関する法律施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=344M50010000045

(書類の送付に代わる公告)

第十三条 法第十三条の五において準用する土地改良法第百十二条の規定による公告は、市町村の事務所の掲示場に五日間送付すべき書類の要旨を掲示してしなければならない。

(測量検査の通知)

第十四条 

2 法第十三条の五において準用する土地改良法第百十八条第三項の規定による公告は、前項に掲げる事項を記載し、市町村の事務所の掲示場に五日間掲示してしなければならない。

別表1 195 土地区画整理法

国土交通省

第77条第5項建築物の移転及び除却時に通知する相手方が確知できない場合等における掲示(公告)義務(土地区画整理法第百三十三条第二項、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第七十一条及び新都市基盤整備法第二十九条において準用)

書面掲示1-① 3-4 要

令和6年度4月~6月

掲示ー共通1

法律改正

土地区画整理法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=329AC0000000119

(建築物等の移転及び除却)第七十七条

5 前項後段の公告は、官報その他政令で定める定期刊行物に掲載して行うほか、その公告すべき内容を政令で定めるところにより当該土地区画整理事業の施行地区内の適当な場所に掲示して行わなければならない。この場合において、施行者は、公告すべき内容を当該土地区画整理事業の施行地区を管轄する市町村長に通知し、当該市町村長は、当該掲示がされている旨の公告をしなければならない。

別表1 319戸籍等の謄本等又は戸籍の附票等の写しの交付の請求の受付及び引渡しの事務の郵便局における取扱いに関する省令

総務省 法務省

第1条特定の事務を取り扱う郵便局における指定地方公共団体等の情報掲示義務

書面掲示1-② 3-4 要

令和5年度4月~9月

掲示ー共通1

省令改正

別表1 320戸籍の附票等の写しの交付の請求の受付及び引渡しの業務の公共サービス実施民間事業者における実施に関する省令

総務省 法務省

第1条公共サービス実施民間事業者における委託地方公共団体等の情報掲示義務

書面掲示1-② 3-4 要

令和5年度4月~9月

掲示ー共通1

省令改正

戸籍の附票等の写しの交付の請求の受付及び引渡しの業務の公共サービス実施民間事業者における実施に関する省令

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418M60000018002

(掲示)

  • 公共サービス実施民間事業者は、競争の導入による公共サービスの改革に関する法律(以下「法」という。)第三十四条第一項第四号に掲げる業務を実施する特定業務取扱事業所(法第三十四条第八項に規定する特定業務取扱事業所をいう。)ごとに、公衆の見やすい場所に、当該業務の実施を委託した地方公共団体(以下「委託地方公共団体」という。)、実施する業務の内容及び当該業務の実施時間を掲示しなければならない。

別表2 77 不動産登記法

法務省

第133条第2項筆界特定の申請の通知の公示方法(対象土地の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の掲示場に掲示)

書面掲示1-① 3-4 要

令和8年5月

(可能な限り早期の完了を目指す)

掲示ー共通4

法律改正

不動産登記法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000123

(筆界特定の申請の通知)

第百三十三条 

2 前項本文の場合において、関係人の所在が判明しないときは、同項本文の規定による通知を、関係人の氏名又は名称、通知をすべき事項及び当該事項を記載した書面をいつでも関係人に交付する旨を対象土地の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の掲示場に掲示することによって行うことができる。この場合においては、掲示を始めた日から二週間を経過したときに、当該通知が関係人に到達したものとみなす。

別表2 82一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則

法務省

第88条第1項一般社団法人等における公告方法

書面掲示2-4①② 3-4 要

令和4年度1月~3月

掲示ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=419M60000010028_20220901_502M60000010052

第八十八条 法第三百三十一条第一項第四号に規定する措置として法務省令で定める方法は、当該一般社団法人等の主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法とする。

変更登記が必要?

別表2 91 国有財産法施行令

財務省第19条の3第1項

国有財産の調査又は測量を行うための他人の土地への立ち入りの公告方法(財務事務所等及び市町村の事務所の掲示場に掲示)

書面掲示1-① 3-4 要

令和8年5月(可能な限り早期の完了を目指す)

掲示ー共通4

告示、通知・通達等の発出又は改正

別表2 92 国有財産法施行令

財務省

第19条の5国有地との境界確定に係る公告方法(財務事務所等及び市町村の事務所の掲示場に掲示)

書面掲示1-① 3-4 要

令和8年5月

(可能な限り早期の完了を目指す)

掲示ー共通4

告示、通知・通達等の発出又は改正

国有財産法施行令

https://elaws.e-gov.go.jp/document?law_unique_id=323CO0000000246_20170401_429CO0000000040

(立入りの公告)

第十九条の三 法第三十一条の二第二項の規定による公告は、当該公告に係る土地の所在する地域を管轄する財務事務所(当該財務事務所がない場合には、当該地域を管轄する財務局(当該地域が福岡財務支局の管轄区域内にある場合には、福岡財務支局)。第十九条の五において同じ。)及び当該土地の所在する市町村(都の特別区の区域にあつては、特別区。第十九条の五において同じ。)の事務所の掲示場に少なくとも十日間掲示して、しなければならない。

(境界確定に係る公告)

第十九条の五 法第三十一条の四第五項及び法第三十一条の五第三項の規定による公告は、当該公告に係る境界の存する地域を管轄する財務事務所及び当該境界の存する市町村の事務所の掲示場に少なくとも二十日間掲示して、しなければならない。

別表2 108 行旅病人及行旅死亡人取扱法

厚生労働省

第9条行旅死亡人の状況・遺留物件等告示方法(公署の掲示場に告示)

書面掲示1-① 3-4 要

令和6年度4月~6月

掲示ー共通1

法律改正

行旅病人及行旅死亡人取扱法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=132AC0000000093_20150801_000000000000000

第九条 行旅死亡人ノ住所、居所若ハ氏名知レサルトキハ市町村ハ其ノ状況相貌遺留物件其ノ他本人ノ認識ニ必要ナル事項ヲ公署ノ掲示場ニ告示シ且官報若ハ新聞紙ニ公告スヘシ

別表2 113墓地、埋葬等に関する法律施行規則

厚生労働省

第3条第2号死亡者の本籍等にかかる情報の掲示義務

書面掲示1-① 2-4①② 要

令和5年度10月~3月

掲示ー共通3

告示、通知・通達等の発出又は改正

墓地、埋葬等に関する法律施行規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323M40000100024_20201225_502M60000100208

第三条 死亡者の縁故者がない墳墓又は納骨堂(以下「無縁墳墓等」という。)に埋葬し、又は埋蔵し、若しくは収蔵された死体(妊娠四月以上の死胎を含む。以下同じ。)又は焼骨の改葬の許可に係る前条第一項の申請書には、同条第二項の規定にかかわらず、同項第一号に掲げる書類のほか、次に掲げる書類を添付しなければならない。

一 無縁墳墓等の写真及び位置図

二 死亡者の本籍及び氏名並びに墓地使用者等、死亡者の縁故者及び無縁墳墓等に関する権利を有する者に対し一年以内に申し出るべき旨を、官報に掲載し、かつ、無縁墳墓等の見やすい場所に設置された立札に一年間掲示して、公告し、その期間中にその申出がなかつた旨を記載した書面

別表2 154 農業協同組合法

農林水産省

第97条の4第1項農業協同組合・農事組合法人における公告方法(事務所の掲示場に掲示)を定款で定める義務

書面掲示2-4①② 3-4 要

令和5年度10月~3月

掲示ー共通3

告示、通知・通達等の発出又は改正

→変更登記?

農業協同組合法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000132_20220901_501AC0000000071

第九十七条の四 組合及び農事組合法人は、公告の方法として、事務所の掲示場に掲示する方法を定款で定めなければならない。

② 組合及び農事組合法人は、公告の方法として、前項の方法のほか、次の各号に掲げる方法のいずれかを定款で定めることができる。ただし、第十条第一項第三号又は第十号の事業を行う組合にあつては、第二号又は第三号に掲げる方法のいずれかを定款で定めなければならない。

一 官報に掲載する方法

二 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法

三 電子公告(公告の方法のうち、電磁的方法(会社法第二条第三十四号に規定する電磁的方法をいう。)により不特定多数の者が公告すべき内容である情報の提供を受けることができる状態に置く措置であつて同号に規定するものをとる方法をいう。以下この条において同じ。)

別表2 155 水産業協同組合法

農林水産省

第126条の4第1項水産業協同組合における公告方法(事務所の掲示場に掲示)を定款で定める義務

書面掲示2-4①② 3-4 要

令和5年度10月~3月

掲示ー共通3

告示、通知・通達等の発出又は改正

→実務の変更?

水産業協同組合法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000242_20220901_501AC0000000071

(公告の方法等)

第百二十六条の四 組合は、公告の方法として、事務所の掲示場に掲示する方法を定款で定めなければならない。

→実務の変更?

別表1 148 公証人法

法務省

第44条公証人証書の原本の閲覧

往訪閲覧2-3① 3-3 要

令和6年度4月~6月

閲覧縦覧ー法務省1

告示、通知・通達等の発出又は改正

公証人法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=141AC0000000053

第四十四条 嘱託人、其ノ承継人又ハ証書ノ趣旨ニ付法律上利害ノ関係ヲ有スルコトヲ証明シタル者ハ証書ノ原本ノ閲覧ヲ請求スルコトヲ得

② 第二十八条第一項及第二項、第三十一条並第三十二条第一項ノ規定ハ前項ニ依リ公証人証書ノ原本ヲ閲覧セシムヘキ場合ニ之ヲ準用ス

③ 公証人嘱託人ノ承継人ニ証書ノ原本ヲ閲覧セシムヘキ場合ニ於テハ承継人タルコトヲ証スヘキ証書ヲ提出セシメ其ノ承継人タルコトヲ証明セシムヘシ

④ 検察官ハ何時ニテモ証書ノ原本ノ閲覧ヲ請求スルコトヲ得

別表1 151 信託法

法務省

第172条第1項,第4項

資料の閲覧往訪閲覧1-① 3-3 要

令和5年度4月~9月

閲覧縦覧ー法務省2

法律改正

信託法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418AC0000000108

(保全処分に関する資料の閲覧等)

第百七十二条 利害関係人は、裁判所書記官に対し、第百七十条第三項の報告又は計算に関する資料の閲覧を請求することができる。

4 法務大臣は、裁判所書記官に対し、第一項の資料の閲覧を請求することができる。

別表1 598沖縄県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法施行規則

内閣府 防衛省

第2条第1項地図等の閲覧の場所及び公告往訪閲覧

2-4①2-4②3-4 要

令和5年度10月~3月

閲覧縦覧ー共通5

告示、通知・通達等の発出又は改正

沖縄県の区域内における位置境界不明地域内の各筆の土地の位置境界の明確化等に関する特別措置法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=352AC0000000040

別表2 149 商法

法務省

第539条第1項書面の閲覧

往訪閲覧2-3① 3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

商法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=132AC0000000048_20200401_429AC0000000045

(貸借対照表の閲覧等並びに業務及び財産状況に関する検査)

第五百三十九条 匿名組合員は、営業年度の終了時において、営業者の営業時間内に、次に掲げる請求をし、又は営業者の業務及び財産の状況を検査することができる。

一 営業者の貸借対照表が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

二 営業者の貸借対照表が電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもので法務省令で定めるものをいう。)をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

別表2 151 信託法

法務省

第190条第2項(第3項:貸付信託法の閲覧の条項にて準用されている。)受益者原簿の閲覧

往訪閲覧2-3① 3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

別表2 152 信託法

法務省

第38条第1項,第6項

帳簿等の閲覧往訪閲覧2-3① 3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

信託法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418AC0000000108

(受益権原簿の備置き及び閲覧等)

第百九十条 

2 委託者、受益者その他の利害関係人は、受益証券発行信託の受託者に対し、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

一 受益権原簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

二 受益権原簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

3 前項の請求があったときは、受益証券発行信託の受託者は、次のいずれかに該当すると認められる場合を除き、これを拒むことができない。

一 当該請求を行う者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。

二 請求者が不適当な時に請求を行ったとき。

三 請求者が信託事務の処理を妨げ、又は受益者の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。

四 請求者が前項の規定による覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。

五 請求者が、過去二年以内において、前項の規定による閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。

(帳簿等の閲覧等の請求)

第三十八条 受益者は、受託者に対し、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

一 前条第一項又は第五項の書類の閲覧又は謄写の請求

二 前条第一項又は第五項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

6 利害関係人は、受託者に対し、次に掲げる請求をすることができる。

一 前条第二項の書類の閲覧又は謄写の請求

二 前条第二項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

→民事信託にも影響あり。

別表2 153 建物の区分所有等に関する法律

法務省

第33条第2項規約の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

注9法制審議会において、規約の閲覧に関する規定を含む区分所有法制の見直しについて、引き続き調査審議が行われる見込みである。

建物の区分所有等に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000069_20220401_502AC0000000008

(規約の保管及び閲覧)

第三十三条 

2 前項の規定により規約を保管する者は、利害関係人の請求があつたときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧(規約が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの当該規約の保管場所における閲覧)を拒んではならない。

別表2 154 商業登記法

法務省

第11条の2 登記簿の附属書類の閲覧

往訪閲覧1-①2-3①2-3②2-3③要

令和6年度4月~6月

閲覧縦覧ー法務省4

省令改正

商業登記法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=338AC0000000125

(附属書類の閲覧)

第十一条の二 登記簿の附属書類の閲覧について利害関係を有する者は、手数料を納付して、その閲覧を請求することができる。この場合において、第十七条第三項に規定する電磁的記録又は第十九条の二に規定する電磁的記録に記録された情報の閲覧は、その情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものを閲覧する方法により行う。

新規112 会社法

法務省

第442条第3項計算書類等の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規113 会社法

法務省

第442条第4項計算書類等の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規114 会社法

法務省

第31条第2項定款の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規115 会社法

法務省

第74条第7項議決権の代理権を証明する書類の閲覧

往訪閲覧2-3① 3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規117 会社法

法務省

第76条第5項電磁的記録に記録された議決権行使書面の閲覧

往訪閲覧2-3① 3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規118 会社法

法務省

第81条第3項議事録の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規119 会社法

法務省

第82条第3項創立総会の決議の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規120 会社法

法務省

第125条第2項株主名簿の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

→実務対応が必要?

新規121 会社法

法務省

第171条の2第2項全部取得条項付種類株式に関わる事項の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規122 会社法

法務省

第173条第3項全部取得条項付種類株式の取得に関わる事項の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規123 会社法

法務省第179条の5第2項特別支配株主等に係る事項の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規124 会社法

法務省第179条の10第3項売渡株式等の取得に関する事項の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規125 会社法

法務省

第182条の2第2項株式の併合に関する事項の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規126 会社法

法務省

第182条の6第3項株式の併合に関する事項の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規127 会社法

法務省

第231条第2項株券喪失登録簿の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規128 会社法

法務省

第252条第2項新株予約権原簿の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規129 会社法

法務省

第310条第7項議決権の代理行使に関する事項の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規130 会社法

法務省

第312条第5項電磁的方法による議決権の行使に関わる事項の閲覧

往訪閲覧2-3① 3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規131 会社法

法務省

第318条第4項議事録の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規132 会社法

法務省

第319条第3項株主総会の決議に関わる事項の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規133 会社法

法務省

第371条第2項議事録等の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規134 会社法

法務省

第374条第2項計算書類等の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規135 会社法

法務省

第378条第2項計算書類等の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規136 会社法

法務省

第389条第4項会計帳簿等の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規137 会社法

法務省

第394条第2項議事録等の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規138 会社法

法務省

第396条第2項会計帳簿等の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規139 会社法

法務省

第399条の11第2項議事録等の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規140 会社法

法務省

第413条第2項議事録等の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規141 会社法

法務省

第413条第3項議事録等の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規142 会社法

法務省

第433条第1項会計帳簿等の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規143 会社法

法務省

第496条第2項貸借対照表等の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規144 会社法

法務省

第618条第1項計算書類等の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規145 会社法

法務省

第625条第1項計算書類等の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規146 会社法

法務省

第684条第2項社債原簿の閲覧

往訪閲覧2-3①-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規147 会社法

法務省

第731条第3項議事録の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規148 会社法

法務省

第735条の2第3項社債権者集会の決議に関わる事項の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規149 会社法

法務省

第775条第3項

組織変更計画に関する事項の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規150 会社法

法務省

第782条第3項吸収合併契約等に関する事項の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規151 会社法

法務省

第791条第3項

吸収分割又は株式交換に関する事項の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規152 会社法

法務省

第794条第3項吸収合併契約等に関する事項の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規153 会社法

法務省

第801条第4項吸収合併等に関する事項の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規154 会社法

法務省

第803条第3項

新設合併契約等に関する事項の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③

3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規155 会社法

法務省

第811条第3項新設分割又は株式移転に関する事項の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規156 会社法

法務省

第815条第4項新設合併契約等に関する事項の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規157 会社法

法務省

第816条の2第3項

株式交付計画に関する事項の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規158 会社法

法務省

第816条の10第3項株式交付に関する事項の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

新規159 会社法

法務省

第886条第1項事件に関する文書の閲覧

往訪閲覧1-① 3-3 要

令和5年度4月~9月

閲覧縦覧ー法務省2

法律改正

新規160 会社法

法務省

第906条第1項報告又は計算に関する資料の閲覧

往訪閲覧1-② 3-3 要

令和5年度4月~9月

閲覧縦覧ー法務省2

法律改正

新規161 会社法

法務省

第906条第4項報告又は計算に関する資料の閲覧

往訪閲覧1-② 3-3 要

令和5年度4月~9月

閲覧縦覧ー法務省2

法律改正

新規162 会社法

法務省

第951条第2項財務諸表等の閲覧

往訪閲覧2-3①2-3②2-3③3-3 要

令和4年度1月~3月

閲覧縦覧ー共通1

告示、通知・通達等の発出又は改正

会社法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000086

(計算書類等の備置き及び閲覧等)

第四百四十二条 

3 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 計算書類等が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧の請求

二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 計算書類等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(定款の備置き及び閲覧等)

第三十一条 

2 発起人(株式会社の成立後にあっては、その株主及び債権者)は、発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては、その営業時間)内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)の定めた費用を支払わなければならない。

一 定款が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求

二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 定款が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(議決権の代理行使)

第七十四条 

7 設立時株主(株式会社の成立後にあっては、その株主。次条第四項及び第七十六条第五項において同じ。)は、発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては、その営業時間。次条第四項及び第七十六条第五項において同じ。)内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。

一 代理権を証明する書面の閲覧又は謄写の請求

二 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(電磁的方法による議決権の行使)

第七十六条 

5 設立時株主は、発起人が定めた時間内は、いつでも、前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求をすることができる。

(議事録)

第八十一条 

3 設立時株主(株式会社の成立後にあっては、その株主及び債権者。次条第三項において同じ。)は、発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては、その営業時間。同項において同じ。)内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。

一 第一項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

二 第一項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(創立総会の決議の省略)

第八十二条 

3 設立時株主は、発起人が定めた時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。

一 前項の書面の閲覧又は謄写の請求

二 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(株主名簿の備置き及び閲覧等)

第百二十五条 

2 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

一 株主名簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

二 株主名簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(全部取得条項付種類株式の取得対価等に関する書面等の備置き及び閲覧等)

第百七十一条の二

2 全部取得条項付種類株式を取得する株式会社の株主は、当該株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 前項の書面の閲覧の請求

二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(全部取得条項付種類株式の取得に関する書面等の備置き及び閲覧等)

第百七十三条の二 

3 全部取得条項付種類株式を取得した株式会社の株主又は取得日に全部取得条項付種類株式の株主であった者は、当該株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 前項の書面の閲覧の請求

二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(株式等売渡請求に関する書面等の備置き及び閲覧等)

第百七十九条の五 

2 売渡株主等は、対象会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該対象会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 前項の書面の閲覧の請求

二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

(売渡株式等の取得)

第百七十九条の九 株式等売渡請求をした特別支配株主は、取得日に、売渡株式等の全部を取得する。

2 前項の規定により特別支配株主が取得した売渡株式等が譲渡制限株式又は譲渡制限新株予約権(第二百四十三条第二項第二号に規定する譲渡制限新株予約権をいう。)であるときは、対象会社は、当該特別支配株主が当該売渡株式等を取得したことについて、第百三十七条第一項又は第二百六十三条第一項の承認をする旨の決定をしたものとみなす。

(売渡株式等の取得に関する書面等の備置き及び閲覧等)

第百七十九条の十 

3 取得日に売渡株主等であった者は、対象会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該対象会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 前項の書面の閲覧の請求

二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって対象会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(株式の併合に関する事項に関する書面等の備置き及び閲覧等)

第百八十二条の二 

2 株式の併合をする株式会社の株主は、当該株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 前項の書面の閲覧の請求

二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(株式の併合に関する書面等の備置き及び閲覧等)

第百八十二条の六

3 株式の併合をした株式会社の株主又は効力発生日に当該株式会社の株主であった者は、当該株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 前項の書面の閲覧の請求

二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(株券喪失登録簿の備置き及び閲覧等)

第二百三十一条 

2 何人も、株券発行会社の営業時間内は、いつでも、株券喪失登録簿(利害関係がある部分に限る。)について、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

一 株券喪失登録簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

二 株券喪失登録簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(新株予約権原簿の備置き及び閲覧等)

第二百五十二条 

2 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

一 新株予約権原簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

二 新株予約権原簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(議決権の代理行使)

第三百十条 

7 株主(前項の株主総会において決議をした事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。次条第四項及び第三百十二条第五項において同じ。)は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

一 代理権を証明する書面の閲覧又は謄写の請求

二 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(電磁的方法による議決権の行使)

第三百十二条

5 株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

(議事録)

第三百十八条 

4 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。

一 第一項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧又は謄写の請求

二 第一項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(株主総会の決議の省略)

第三百十九条 

3 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。

一 前項の書面の閲覧又は謄写の請求

二 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(議事録等)

第三百七十一条

2 株主は、その権利を行使するため必要があるときは、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。

一 前項の議事録等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

二 前項の議事録等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(会計参与の権限)

第三百七十四条

2 会計参与は、いつでも、次に掲げるものの閲覧

及び謄写をし、又は取締役及び支配人その他の使用人に対して会計に関する報告を求めることができる。

一 会計帳簿又はこれに関する資料が書面をもって作成されているときは、当該書面

二 会計帳簿又はこれに関する資料が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したもの

3 会計参与は、その職務を行うため必要があるときは、会計参与設置会社の子会社に対して会計に関する報告を求め、又は会計参与設置会社若しくはその子会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。

4 前項の子会社は、正当な理由があるときは、同項の報告又は調査を拒むことができる。

5 会計参与は、その職務を行うに当たっては、第三百三十三条第三項第二号又は第三号に掲げる者を使用してはならない。

6 指名委員会等設置会社における第一項及び第二項の規定の適用については、第一項中「取締役」とあるのは「執行役」と、第二項中「取締役及び」とあるのは「執行役及び取締役並びに」とする。

(会計参与による計算書類等の備置き等)

第三百七十八条

2 会計参与設置会社の株主及び債権者は、会計参与設置会社の営業時間内(会計参与が請求に応ずることが困難な場合として法務省令で定める場合を除く。)は、いつでも、会計参与に対し、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該会計参与の定めた費用を支払わなければならない。

一 前項各号に掲げるものが書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求

二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 前項各号に掲げるものが電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって会計参与の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(議事録)

第三百九十九条の十一

2 監査等委員会設置会社の株主は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、次に掲げる請求をすることができる。

一 前項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

二 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(議事録)

第四百十三条 

2 指名委員会等設置会社の取締役は、次に掲げるものの閲覧及び謄写をすることができる。

一 前項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面

二 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したもの

3 指名委員会等設置会社の株主は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第一項の議事録について前項各号に掲げるものの閲覧又は謄写の請求をすることができる。

(会計帳簿の閲覧等の請求)

第四百三十三条 総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主又は発行済株式(自己株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

一 会計帳簿又はこれに関する資料が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

二 会計帳簿又はこれに関する資料が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(貸借対照表等の備置き及び閲覧等)

第四百九十六条

2 株主及び債権者は、清算株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該清算株式会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 貸借対照表等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求

二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 貸借対照表等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって清算株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(計算書類の閲覧等)

第六百十八条 持分会社の社員は、当該持分会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。

一 計算書類が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

二 計算書類が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

第六百二十五条 合同会社の債権者は、当該合同会社の営業時間内は、いつでも、その計算書類(作成した日から五年以内のものに限る。)について第六百十八条第一項各号に掲げる請求をすることができる。

(社債原簿の備置き及び閲覧等)

第六百八十四条 社債発行会社は、社債原簿をその本店(社債原簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。

2 社債権者その他の法務省令で定める者は、社債発行会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

一 社債原簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

二 社債原簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(議事録)

第七百三十一条

3 社債管理者、社債管理補助者及び社債権者は、社債発行会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。

一 第一項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

二 第一項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

(社債権者集会の決議の省略)

第七百三十五条の二

3 社債管理者、社債管理補助者及び社債権者は、社債発行会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。

一 前項の書面の閲覧又は謄写の請求

二 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

4 第一項の規定により社債権者集会の決議があったものとみなされる場合には、第七百三十二条から前条まで(第七百三十四条第二項を除く。)の規定は、適用しない。

(組織変更計画に関する書面等の備置き及び閲覧等)

第七百七十五

3 組織変更をする株式会社の株主及び債権者は、当該株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 第一項の書面の閲覧の請求

二 第一項の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 第一項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 第一項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(吸収合併契約等に関する書面等の備置き及び閲覧等)

第七百八十二条 

3 消滅株式会社等の株主及び債権者(株式交換完全子会社にあっては、株主及び新株予約権者)は、消滅株式会社等に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該消滅株式会社等の定めた費用を支払わなければならない。

一 第一項の書面の閲覧の請求

二 第一項の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 第一項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 第一項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって消滅株式会社等の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(吸収分割又は株式交換に関する書面等の備置き及び閲覧等)

第七百九十一条

3 吸収分割株式会社の株主、債権者その他の利害関係人は、吸収分割株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該吸収分割株式会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 前項の書面の閲覧の請求

二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって吸収分割株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(吸収合併契約等に関する書面等の備置き及び閲覧等)

第七百九十四条

3 存続株式会社等の株主及び債権者(株式交換完全子会社の株主に対して交付する金銭等が株式交換完全親株式会社の株式その他これに準ずるものとして法務省令で定めるもののみである場合(第七百六十八条第一項第四号ハに規定する場合を除く。)にあっては、株主)は、存続株式会社等に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該存続株式会社等の定めた費用を支払わなければならない。

一 第一項の書面の閲覧の請求

二 第一項の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 第一項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 第一項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって存続株式会社等の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(吸収合併等に関する書面等の備置き及び閲覧等)

第八百一条 

4 吸収合併存続株式会社の株主及び債権者は、吸収合併存続株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該吸収合併存続株式会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 前項第一号の書面の閲覧の請求

二 前項第一号の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 前項第一号の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 前項第一号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって吸収合併存続株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(新設合併契約等に関する書面等の備置き及び閲覧等)

第八百三条 

3 消滅株式会社等の株主及び債権者(株式移転完全子会社にあっては、株主及び新株予約権者)は、消滅株式会社等に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該消滅株式会社等の定めた費用を支払わなければならない。

一 第一項の書面の閲覧の請求

二 第一項の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 第一項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 第一項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって消滅株式会社等の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(新設分割又は株式移転に関する書面等の備置き及び閲覧等)

第八百十一条

3 新設分割株式会社の株主、債権者その他の利害関係人は、新設分割株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該新設分割株式会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 前項の書面の閲覧の請求

二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって新設分割株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

4 前項の規定は、株式移転完全子会社について準用する。この場合において、同項中「新設分割株式会社の株主、債権者その他の利害関係人」とあるのは、「株式移転設立完全親会社の成立の日に株式移転完全子会社の株主又は新株予約権者であった者」と読み替えるものとする。

(新設合併契約等に関する書面等の備置き及び閲覧等)

第八百十五条 

4 新設合併設立株式会社の株主及び債権者は、新設合併設立株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該新設合併設立株式会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 前項第一号の書面の閲覧の請求

二 前項第一号の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 前項第一号の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 前項第一号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって新設合併設立株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(株式交付計画に関する書面等の備置き及び閲覧等)

第八百十六条の二

3 株式交付親会社の株主(株式交付に際して株式交付子会社の株式及び新株予約権等の譲渡人に対して交付する金銭等(株式交付親会社の株式を除く。)が株式交付親会社の株式に準ずるものとして法務省令で定めるもののみである場合以外の場合にあっては、株主及び債権者)は、株式交付親会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式交付親会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 第一項の書面の閲覧の請求

二 第一項の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 第一項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 第一項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式交付親会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(株式交付に関する書面等の備置き及び閲覧等)

第八百十六条の十

3 株式交付親会社の株主(株式交付に際して株式交付子会社の株式及び新株予約権等の譲渡人に対して交付する金銭等(株式交付親会社の株式を除く。)が株式交付親会社の株式に準ずるものとして法務省令で定めるもののみである場合以外の場合にあっては、株主及び債権者)は、株式交付親会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式交付親会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 前項の書面の閲覧の請求

二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式交付親会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

(事件に関する文書の閲覧等)

第八百八十六条 利害関係人は、裁判所書記官に対し、第二編第九章第二節若しくはこの節又は非訟事件手続法第二編(特別清算開始の命令があった場合にあっては、同章第一節若しくは第二節若しくは第一節(同章第一節の規定による申立てに係る事件に係る部分に限る。)若しくはこの節又は非訟事件手続法第二編)の規定(これらの規定において準用するこの法律その他の法律の規定を含む。)に基づき、裁判所に提出され、又は裁判所が作成した文書その他の物件(以下この条及び次条第一項において「文書等」という。)の閲覧を請求することができる。

第九百六条 

利害関係人は、裁判所書記官に対し、第八百二十五条第六項(第八百二十七条第二項において準用する場合を含む。)の報告又は計算に関する資料の閲覧を請求することができる。

4 法務大臣は、裁判所書記官に対し、第一項の資料の閲覧を請求することができる。

(財務諸表等の備置き及び閲覧等)

第九百五十一条 

2 調査委託者その他の利害関係人は、調査機関に対し、その業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該調査機関の定めた費用を支払わなければならない。

一 財務諸表等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 財務諸表等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって調査機関の定めたものにより提供することの請求又は当該事項を記載した書面の交付の請求

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