日本登記法学会 第9回研究大会

日本登記法学会 第9回研究大会

令和6年11月23日、共催日本司法書士会連合会、日本土地家屋調査士会連合会

テーマ 「担保法制の見直しの行方」

報告① 和田 勝行氏(京都大学大学院法学研究科教授)

担保法制の見直しによる「対抗要件」概念の課題

法務省 法制審議会-担保法制部会 部会資料46

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003008.html

 動産について占有改定で真正譲渡がされていた場合。譲渡担保権者の調査負担が減る。

1 集合動産譲渡担保権の目的である集合動産が存在する場所がある。

2 個別動産について、集合動産譲渡担保権設定者Aが、Bからお金を借りて(個別)動産譲渡担保を設定する。

3 個別動産について、集合動産譲渡担保権設定者Aが、個別動産の所有者Cから個別動産を購入する。

4 Aが、Bのための占有改定により引き渡し、その後、集合動産が存在する場所に、個別動産を搬入した場合の優劣。

集合動産譲渡担保の所在場所の指定。

報告② 伊見 真希氏(司法書士)

「担保法制の見直しによる登記実務上の課題」

 法制審議会-担保法制部会 部会資料46。

動産譲渡担保権の順位の変更

 動産譲渡担保権の順位は、各動産譲渡担保権者の合意によって変更可能。利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。順位の変更は、特例法の定めるところに従いその登記をしなければ、その効力を生じない。

 動産譲渡担保権と抵当権について、同一の農業用動産について動産譲渡担保権と抵当権とが競合する場合には、その順位は、動産譲渡担保契約に基づく農業用動産の譲渡についての引渡しと抵当権の登記の前後による。占有改定で農業用動産の引渡しを受けることにより対抗要件を備えた動産譲渡担保権は、抵当権に劣後する。同一の登録自動車について動産譲渡担保権と抵当権とが競合する場合には、その順位は、登録の前後による。

 債権譲渡担保権の順位の変更について。債権譲渡担保権の順位は、各債権譲渡担保者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。順位の変更は、特例法の定めるところに従いその登記をしなければ、その効力を生じない。

 根譲渡担保契約の効力について。根抵当権の極度額に関する規定はない。 不特定の債権を担保するための譲渡担保契約。譲渡担保契約は、債務者との間に生ずる一定の範囲に属する不特定の債権を担保するためにも締結することができる。

 根譲渡担保権の譲渡又は一部譲渡の対抗要件について。根譲渡担保権の譲渡又は一部譲渡は、動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、これをもって第三者に対抗することができない。債権を目的とする根譲渡担保権の譲渡又は一部譲渡は、当該譲渡又は一部譲渡及びその譲渡又は一部譲渡につき登記がされたことについて、譲渡人若しくは譲受人が当該債権の債務者に登記事項証明書を交付して通知をし、又は当該債務者が承諾をしなければ、これをもって当該債務者に対抗することができない。

 登記原因を譲渡担保とする譲渡登記の必要的記録事項の見直しについて。譲渡担保権者の氏名及び住所(法人にあっては、商号又は名称及び本店又は主たる事務所)並びに譲渡担保権者が会社法人等番号を有する法人であるときは当該法人の会社法人等番号(以下「氏名及び住所等」という。)を加える。→譲渡担保権者を変更することができるようになる。

 競合する譲渡担保権を記録するための競合担保登記目録制度について。譲渡人及び譲渡担保権の登記名義人は、共同して、競合担保登記目録の作成を申請することができる。

 動産譲渡担保権者による他の動産譲渡担保権者等に対する通知について。担保権実行の局面。

 動産譲渡担保契約に基づく動産の譲渡につき動産譲渡登記がされた動産譲渡担保権の動産譲渡担保権者は、その被担保債権について不履行があり、かつ、譲渡担保動産の引渡しを受けたとき(譲渡担保動産の引渡しに先立って帰属清算の通知又は処分清算譲渡をした場合にあっては、帰属清算の通知又は処分清算譲渡をしたとき)は、遅滞なく、その時にその動産譲渡登記の競合担保登記目録に特定事項が記録されている他の動産譲渡登記又は所有権留保登記において動産譲渡担保権者又は留保売主等として登記されている全ての者に対し、その旨を通知しなければならないものとする。通知は、通知を受ける者の動産譲渡登記ファイル上の住所又は事務所に宛てて発すれば足りるものとする。

テーマ 「震災と登記」

報告① 「不動産登記の機能・再考」舟橋 秀明氏(金沢大学大学院法学研究科准教授)

 不動産登記とは、不動産物権に関する情報提供装置。抵当権は、抵当目的物の占有を要素としないため(非占有担保性)、引渡しをもって公示することができなかった。また、所有権と異なり順位の概念が伴うため、順位を明確にするために、目的物の引渡しに代わる公示方法を採用せざるを得なかった。それが登記(帳簿)。

 地図について。登記によって不動産物権の公示機能が十全に効果を発揮するためには、登記記録に記載された内容がどの不動産に関するものであるかが特定できることを要する。そのための手段が地図(地籍図)の作成であり、土地については、地図によって物権(所有権)の対象となる区画(筆)を確定し、その位置や形状等を正確に表現することが要請される。

不動産の物権を持つ者の確定について。ドイツ法との比較。権利保護資格要件としての登記として、民法605条の2第3項。物権的請求権の相手方として、最三判平6・2・8民集48巻2号373頁。

被災地域の権利関係の証明・・・登記上の権利関係を根拠に、自らが権利者であることを容易に証明することができることで、補償金や支援金を受け取るのに役立つ。臨時の避難場所や仮設住宅の用地を確保するため、登記上の情報をもとに土地・建物の所有者や管理者を確認できる。

報告② 「震災後における登記実務の諸問題〜令和6年能登半島地震を踏まえ〜」曽根 裕氏(司法書士)

 公費による建物の解体のための、相続等の相談。宣誓書方式による公費解体・・・被相続人名義の被災建物の公費解体につき、相続人全員の同意が得られない場合において、相続人の代表者による宣誓書等の提出を受け、自治体が被災建物の公費解体を行う場合(以下「宣誓書方式」という。)には、自治体が被災建物の取壊しにつき法的責任を負わないとする制度の構築や、法的責任が免除される具体例などを示すなど、自治体が円滑に公費解体を行える環境を国が整備すること。

 令和6年3月29日民事2課第678号通知において、令和5年度の賦課期日における登録価格を課税標準として登録免許税を算出することとなった。

租税特別措置法第84条の4第1項(自然災害の被災者等は新築又は取得をした建物に係る所有権保存の登記等の免税措置)、

租税特別措置法第84条の4第2項(法84条の4第1項の規定の適用を受ける建物の新築又は取得の資金貸付等に係る抵当権の設定の登記に係る登録免許税の免税措置)、

租税特別措置法第84条の5第1項(被災者等が被災代替建物に係る土地を取得した場合の所有権移転の登記等に係る登録免許税の免税措置)、

租税特別措置法第84条の5第2項(法第84条の5第1項の免税措置の適用を受ける土地の所有者又は地上権若しくは賃借権の取得のための資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に係る登録免許税の免税措置)。

報告③ 「震災後における登記実務の諸問題~表題部に関する登記~」石野 芳治氏(土地家屋調査士)

 罹災証明書発行にかかる調査補助。倒壊等した建物の滅失調査。職権滅失登記に係る実地調査書の補助資料作成。過去の災害、阪神・淡路大震災(平成7年1月17日、東日本大震災(平成23年3月11日)、熊本地震(平成28年4月14日、16日)に関する対処方法を参考にしつつ、災害によって違う。

 •公費解体等に関する問題・・・申請物件と固定資産課税台帳との照合、相続・共有名義による障害、不登法第14条第1項に規定される地図がない、現地に行ってここが何番の土地かわからない、建物所在地の特定に非常に手間がかかる、液状化被害に関して筆界は移動しないが、家は動いた。これからの雪の季節。

•未登記に関する問題・・・権利登記に関して、登記が旧住所。問題、表題部登記に関して、増築、附属建物に係る変更登記の未登記が多かった。

環境省 令和6年能登半島地震を踏まえた公費解体の取組と課題について令和6年能登半島地震を踏まえた災害対応検討ワーキンググループ(第4回)令和6年8月20日

http://kouikishori.env.go.jp/archive/r06_shinsai/efforts/

コーディネーター 今川 嘉典氏(司法書士)

コメンテーター 山野目 章夫氏(早稲田大学大学院法務研究科教授)

登記情報756号2024年11月号

登記情報756号2024年11月号、(一社)金融財政事情研究会

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T

 法窓一言 個人情報保護法改正をめぐる昨今の状況

弁護士法人片岡総合法律事務所 弁護士 高松志直

個人情報保護委員会「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」

https://www.ppc.go.jp/personalinfo/3nengotominaoshi

最二小判令5.5.19を踏まえた不動産登記に関する遺言執行者の権限および当事者適格の整理と平成30年改正民法および令和3年改正不動産登記法の判例への影響

久保井総合法律事務所 弁護士 上田 純

 □遺言の作成日は、2019年(令和元年)7月1日より前か、以後か(平成30年法律第72号附則2条、8条2項)。

 □遺言執行者の原告適格。遺言執行者の権限の範囲内(民法1012条1項、1014条2項)か。

□相続開始日は、2019年(令和元年)7月1日より前か、以後か。

□遺言の内容は、特定遺贈、包括遺贈(民法964条)か、相続分の指定(民法902条)か、遺産の分割の方法の定め(民法908条)か、特定財産承継遺言(民法1014条)か。

□相続、遺贈の登記を経て、第三者に所有権移転登記がされていないか(民法1013条2項ただし書)。

遺言執行者の帰責性の有無。民法94条2項類推適用の有無を判断する対象は、遺言執行者か受遺者・相続分の指定により相続する相続人か。

口座登録法・口座管理法の概要

セブン銀行 小山正之

公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/503AC0000000038

預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/503AC0000000039

(相続時における預貯金口座に関する情報の提供)

第八条 相続人(包括受遺者を含む。以下この条において同じ。)は、主務省令で定めるところにより、預金保険機構に対し、全ての金融機関が管理する当該相続人の被相続人(包括遺贈者を含む。以下この条において同じ。)である預貯金者を名義人とする全ての預貯金口座について、次に掲げる事項の通知を求めることができる。

一金融機関及びその店舗の名称

二預貯金の種別及び口座番号

2預金保険機構は、前項の規定による求めを受けた場合には、主務省令で定める方法により、当該求めをした相続人が本人であること及び当該預貯金者が当該相続人の被相続人であることを確認するため、当該相続人及び預貯金者の本人特定事項その他当該相続人及び預貯金者を特定するために必要な事項として主務省令で定めるもの並びに当該相続人及び預貯金者の身分関係(当該相続人が包括受遺者である場合にあっては、遺言の内容)を確認しなければならない。

3預金保険機構は、第一項の規定による求めを受けた場合には、全ての金融機関に対し、当該求めをした相続人の被相続人である預貯金者の個人番号を通知しなければならない。

4前項の規定による通知を受けた金融機関は、当該個人番号に係る預貯金者を名義人とする預貯金口座を管理しているときは第一項各号に掲げる事項を、当該預貯金口座を管理していないときはその旨を、預金保険機構に対し、通知しなければならない。

5前項の規定による通知を受けた預金保険機構は、主務省令で定めるところにより、第一項の規定による求めをした相続人に対し、当該通知に係る事項を通知しなければならない。

1 相続人の1人が、金融機関に対して、

 ・相続時口座照会申込書

・法定相続情報一覧図の写しか、被相続人の死亡の事実と相続人であることが分かる戸(除)籍謄抄本

・照会手数料

を提供。

2 金融機関が預金保険機構と連携。

3 預金保険機構が全金融機関へマイナンバーが付番されている口座の有無を照会。

4 預金保険機構は、相続人の1人へ郵送で結果を通知。

法制審議会だより

民法(成年後見等関係)部会、第5回~第7回会議を開催

編集部

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00008

研究会だより

商業登記所における実質的支配者リスト制度の利便性向上に関する研究会の取りまとめ

編集部

https://www.kinzai.or.jp/substantial_ruler.html

 金融機関が、オンラインで実質的支配者リストの交付を申請することの検討。

検討会だより

定款認証の負担軽減に向けたデジタル活用のための実務検討会の第3回会議、第4回会議が開催され、中間案が取りまとめられる

編集部

https://www.kinzai.jp/seminar/digital_utilization

 モデル定款を利用した場合の発起人の本人確認について、マイナンバーカードの公的個人認証の活用を基本とする。デジタル庁が提供するマイナンバーカード対面確認アプリを利用するかは不明。オンラインでの面談(面前確認)なら、アプリの利用ではなくマイナンバーカードの提示になるのかなと思います。

 代理人による面前確認については、原則不可でも良いと思います。制度趣旨として起業の負担軽減があり、モデル定款を利用するのはオンライン面談、電子署名に対応可能な人が想定されています。士業が関与するとすれば、定款の書類作成、発起人による電子署名の方法について支援、オンライン面談環境の提供・同席等になるのかなと思います。

NEWS

定款認証・設立登記の「72時間原則」が開始される

法務省民事局登記所適正配置対策室長 宇野直紀

 法務省 令和6年9月20日更新 新たな取組に関するリーフレット「定款認証の手続が「2つの原則」の導入で便利になります」

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00076.html

商業登記規則逐条解説 第23回

土手敏行

商業登記規則

https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023#Mp-Ch_3

(電子情報処理組織による登記の申請等)

第百一条 次に掲げる申請、申出、提出、届出又は請求(以下「申請等」という。)は、情報通信技術活用法第六条第一項の規定により、同項に規定する電子情報処理組織を使用する方法によつてすることができる。ただし、当該申請等は、法務大臣が定める条件に適合するものでなければならない。

一登記の申請(これと同時にする受領証の交付の請求を含む。以下同じ。)

一の二第三十一条の二第一項及び第六項第一号、第三十一条の三第一項及び第四項第一号、第八十一条の二第一項、第七項及び第九項(第八十八条の二第二項(第九十条及び第九十二条において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)並びに第八十八条の二第一項(第九十条及び第九十二条において準用する場合を含む。)の申出(前号の登記の申請と同時にする場合に限る。以下第百五条の二第一項及び第百八条第一号において「住所非表示措置等の申出」という。)

二印鑑の提出又は廃止の届出(第一号の登記の申請と同時にする場合に限る。)

三電子証明書による証明の請求

四電子証明書の使用の廃止の届出

五電子証明書の使用の再開の届出

六識別符号の変更の届出

七電子証明書による証明の再度の請求

八登記事項証明書又は印鑑の証明書の交付の請求

2前項第八号の規定は、後見人である法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該後見人である法人の代表者の職務を行うべき者)、外国会社の日本における代表者である法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該外国会社の日本における代表者である法人の代表者の職務を行うべき者)又は管財人等の職務を行うべき者として指名された者が提出した印鑑の証明書については、適用しない。

3情報通信技術活用法第六条第一項に規定する主務省令で定める電子情報処理組織は、登記所の使用に係る電子計算機と第一項に規定する申請等をする者の使用に係る電子計算機であつて法務大臣の定める技術的基準に適合するものとを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。

4情報通信技術活用法第六条第六項に規定する主務省令で定める場合は、申請等に係る書面等のうちにその原本を確認する必要があると登記官が認める場合とする。

 各登記所にオンラインシステムが順次導入されるに伴い、登記所毎に回復した。登記申請、その他の申請や申出などがオンラインで可能になるごとに変更されてきた。登記の申請と同時にしなければならない申出などは、その旨記載される。記載がないものは単独で可能。部分オンラインを認めるための位置付け。

登記研究777号P111、平成24年3月30日法務省民商第886号法務省民事局長通達「商業登記オンライン申請等事務取扱規程の制定について」

リスクベース・アプローチに基づくマネロン対策⑸―“司法書士ガイドライン”から考える―

司法書士 末光祐一

犯罪収益移転危険度調査書の分析から始める。

https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/nenzihokoku/nenzihokoku.htm

 自然人が議決権を間接保有するケースについて、法人の実質的支配者の判定。

目で見る筆界の調査・認定事例第9回 筆界特定書により筆界を認定した事案

大阪法務局首席登記官(不動産登記担当)田中博幸(日本土地家屋調査士会連合会業務部協力)

 隣接所有者の所在が不明なケース。過去に他の隣接地について筆界特定、官民境界確認協議が行われている。

法律業務が楽になる心理学の基礎第14回・完 連載で学んだ26のアクションアイテム

弁護士(認定心理士) 渡部友一郎

 集団思考の特徴。集団成員相互の同調圧力、自己検閲、逸脱意見から集団を防衛する人物の発生、表面上の意見の一致、無謬性の幻想、道徳性の幻想、外集団に対するゆがんだ認識、解決方略の拙さ。

登記研究920号令和6年10月号

登記研究920号(令和6年10月号)、テイハン

https://www.teihan.co.jp/search/g17615.html

取締役会非設置会社(会社法326条)と特例有限会社(会社法整備法3条2項)における代表権について。代表取締役の定め方によって、取締役と代表取締役の地位が分化するか一体なのか定まる。

分化しているか一体なのかは、

  • 1 取締役として就任承諾を会社にしたうえで、代表取締役としても就任承諾が必要なのか、
  • 2 代表取締役の一方的な意思表示により代表取締役のみ辞任して取締役として残ることが可能か否か、
  • 3 代表取締役が死亡した場合に、他の取締役が当然に代表取締役に就任するのか、選任決議が必要なのか、

に関わる。3、について定款に代表取締役は取締役の互選によって定めるという定めがある場合、法人の意思として、取締役のうち誰が代表取締役になっても良い、というところは納得でした。

 定款に、取締役が2名以上あるときは代表取締役を置き、株主総会の決議によって定める、と規定している株式会社の代表取締役が死亡して、他の取締役に代表権を付与する株主総会決議があった場合、他の取締役の代表取締役としての就任承諾を証する情報は必要か。

 有限会社の場合。取締役に代表権付与決議を行った株主総会議事録の添付の要否。登記申請権限の確認が根拠。登記申請権限の確認を根拠とするものとして定款の提供が必要な場合。

■民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(登記事項証明書等における代替措置関係)(1)

法務省民事局付 森 下 宏 輝、法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之、法務省民事局民事第二課補佐官 太 田 裕 介

第1 はじめに

 登記事項証明書等における代替措置制度について。

法務省 登記事項証明書等における代替措置について(不動産登記関係)

令和6年7月2日、初回掲載日(令和6年4月5日)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00596.html

第2 関係法令と施行通達の解説

不動産登記法(登記事項証明書の交付等)

第百十九条 1項から5項まで略。

6登記官は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、登記記録に記録されている者(自然人であるものに限る。)の住所が明らかにされることにより、人の生命若しくは身体に危害を及ぼすおそれがある場合又はこれに準ずる程度に心身に有害な影響を及ぼすおそれがあるものとして法務省令で定める場合において、その者からの申出があったときは、法務省令で定めるところにより、第一項及び第二項に規定する各書面に当該住所に代わるものとして法務省令で定める事項を記載しなければならない。

 これまで通達等により運用上の対応がされていたが、法律上の措置とされた。

不動産登記規則第四章第三節。

https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000010018#Mp-Ch_2-Se_3

(帳簿)第十八条

十二の二申出立件事件簿

十二の三申出立件関係書類つづり込み帳

十二の四申出立件事務日記帳

十二の五代替措置等申出書写しつづり込み帳

(申出立件事件簿等)

第二十七条の二申出立件事件簿には、代替措置等申出(第二百二条の四第一項に規定する代替措置等申出をいう。第三項及び第四項において同じ。)又は代替措置申出の撤回(第二百二条の十五第一項の規定による撤回をいう。第三項及び第四項において同じ。)の立件の年月日その他の必要な事項を記録するものとする。

2申出立件事件簿は、書面により調製する必要がある場合を除き、磁気ディスクその他の電磁的記録に記録して調製するものとする。

3申出立件関係書類つづり込み帳には、代替措置等申出に関する書類及び代替措置申出の撤回に関する書類を立件番号の順序に従ってつづり込むものとする。

4申出立件事務日記帳には、申出立件事件簿に記録しない代替措置等申出に関する事務又は代替措置申出の撤回に関する事務に係る書類の発送及び受領に関する事項を記録するものとする。

(代替措置等申出書写しつづり込み帳)

第二十七条の三代替措置等申出書写しつづり込み帳には、第二百二条の十二第二項(第二百二条の十五第七項及び第二百二条の十六第六項において準用する場合を含む。)の規定により送付を受けた書類をつづり込むものとする。

(保存期間)

第二十八条次の各号に掲げる情報の保存期間は、当該各号に定めるとおりとする。

1号から17号まで略

十八請求書類つづり込み帳につづり込まれた書類に記載された情報受付の日から一年間

十九申出立件事件簿に記録された情報立件の日から五年間

二十申出立件関係書類つづり込み帳につづり込まれた書類に記載された情報立件の日から五年間

二十一代替措置等申出書写しつづり込み帳につづり込まれた書類に記載された情報送付を受けた日から五年間

(公示用住所管理ファイル)

第二百二条の二 法務大臣は、第二百二条の十二第一項各号に掲げる事項を記録する公示用住所管理ファイルを備えるものとする。

2公示用住所管理ファイルは、法第百十九条第六項の申出(以下この節において「代替措置申出」という。)の申出人ごとに電磁的記録に記録して調製するものとする。

3公示用住所管理ファイルに記録された情報の保存期間は、永久とする。

(代替措置の要件)

第二百二条の三 法第百十九条第六項の法務省令で定める場合は、当該登記記録に記録されている者その他の者(自然人であるものに限る。)について次に掲げる事由がある場合とする。

一ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成十二年法律第八十一号)第六条に規定するストーカー行為等に係る被害を受けた者であって更に反復して同法第二条第一項に規定するつきまとい等又は同条第三項に規定する位置情報無承諾取得等をされるおそれがあること。

二児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)第二条に規定する児童虐待(同条第一号に掲げるものを除く。以下この号において同じ。)を受けた児童であって更なる児童虐待を受けるおそれがあること。

三配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成十三年法律第三十一号)第一条第二項に規定する被害者であって更なる暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの(次号において「身体に対する暴力」という。)を除く。)を受けるおそれがあること。

四前三号に掲げるもののほか、心身に有害な影響を及ぼす言動(身体に対する暴力に準ずるものに限る。以下この号において同じ。)を受けた者であって、更なる心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれがあること。

・・・不動産登記法119条の法務省令で定めるものの、具体的内容4つを規定。身体に対する暴力については、不動産登記法に定めがあるため、その他の精神的・心理的暴力について規定。抹消記号が付されている・過去の所有権登記名義人、閉鎖された登記記録に記録されている自然人も該当。商登登記の代表者の住所非表示措置も、制度趣旨からして同様の措置が採られても良いのではないかと思いました。

・代替措置等申し出は書面申請、管轄なし。

・新たなオンライン登記申請と共に代替措置等申出を行う場合は、補記が必要。

・完了証の交付はないが、完了の電話連絡希望は可能。

■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第125回)

一般社団法人商業登記倶楽部 名誉主宰者兼最高顧問、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、一般社団法人日本財産管理協会顧問、日本司法書士会連合会顧問、神 﨑 満治郎

 246 中小企業等協同組合の種類、登記事項及び登記手続法令について

 中小企業等協同組合法

https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000181#Mp-Ch_2-Se_1

 (名称)

第六条 組合は、その名称中に、次の文字を用いなければならない。

事業協同組合にあつては、協同組合(第九条の二第七項に規定する特定共済組合に該当するものにあつては、共済協同組合)

一の二事業協同小組合にあつては、協同小組合(第九条の二第七項に規定する特定共済組合に該当するものにあつては、共済協同小組合)

信用協同組合にあつては、信用協同組合又は信用組合

協同組合連合会にあつては、その種類に従い、協同組合、協同小組合又は信用協同組合のうちのいずれかを冠する連合会(第九条の九第四項に規定する特定共済組合連合会に該当するものにあつてはその種類に従い共済協同組合又は共済協同小組合のうちのいずれかを冠する連合会、同条第一項第三号の事業を行う協同組合連合会に該当するものにあつては共済協同組合連合会)

企業組合にあつては、企業組合

2この法律によつて設立された組合又は他の特別の法律によつて設立された協同組合若しくはその連合会以外の者は、その名称中に、事業協同組合、事業協同小組合、信用協同組合、協同組合連合会又は企業組合であることを示す文字を用いてはならない。

3組合の名称については、会社法(平成十七年法律第八十六号)第八条(会社と誤認させる名称等の使用の禁止)の規定を準用する。

 5種類。

(組合等の設立の登記)

第八十四条 組合の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、第二十九条の規定による出資の払込みがあつた日から二週間以内にしなければならない。

2前項の登記においては、次に掲げる事項(企業組合の設立の登記にあつては、第三号に掲げる事項を除く。)を登記しなければならない。

一事業

二名称

三地区

四事務所の所在場所

五出資一口の金額及びその払込の方法並びに出資の総口数及び払込済出資総額

六存続期間又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由

七代表権を有する者の氏名、住所及び資格

八公告方法

九第三十三条第四項の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項

イ電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であつて法務省令で定めるもの

ロ第三十三条第五項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め

3中央会の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、設立の認可があつた日から二週間以内にしなければならない。

4前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。

一事業

二名称

三事務所の所在場所

四代表権を有する者の氏名、住所及び資格

五公告方法

 登記事項。

民法

(法人の成立等)第三十三条 法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。

2 学術、技芸、慈善、祭祀し、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。

・・・設立根拠法。

(登記)第三十六条 法人及び外国法人は、この法律その他の法令の定めるところにより、登記をするものとする。

・・・登記手続法令。

■Q&A不動産表示登記(96)

(一社)テミス総合支援センター理事、都城市代表監査委員 新 井 克 美

第四章 建物(区分建物)

 第一節 登記事項

Q266 敷地利用権、敷地権、敷地権である旨の登記とは何か。

Q267 専有部分と敷地利用権の一体性の原則とは何か。

建物の区分所有等に関する法律

(定義)

第二条 1項から5項まで略。

6この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。

不動産登記法

(建物の表示に関する登記の登記事項)

第四十四条 建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

1号から8号まで略。

九建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権

不動産登記規則

(登記記録の編成)第四条 1項、2項略

3区分建物である建物の登記記録の表題部は、別表三の第一欄に掲げる欄に区分し、同表の第一欄に掲げる欄に同表の第二欄に掲げる事項を記録するものとする。

別表三(第四条第三項関係)区分建物である建物の登記記録

一棟の建物の表題部

敷地権の目的である土地の表示欄

区分建物の表題部

敷地権の表示欄

不動産登記法(敷地権である旨の登記)

第四十六条登記官は、表示に関する登記のうち、区分建物に関する敷地権について表題部に最初に登記をするときは、当該敷地権の目的である土地の登記記録について、職権で、当該登記記録中の所有権、地上権その他の権利が敷地権である旨の登記をしなければならない。

不動産登記規則

(敷地権である旨の登記)

第百十九条登記官は、法第四十六条の敷地権である旨の登記をするときは、次に掲げる事項を敷地権の目的である土地の登記記録の権利部の相当区に記録しなければならない。

一敷地権である旨

二当該敷地権の登記をした区分建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番

三当該敷地権の登記をした区分建物が属する一棟の建物の構造及び床面積又は当該一棟の建物の名称

四当該敷地権が一棟の建物に属する一部の建物についての敷地権であるときは、当該一部の建物の家屋番号

五登記の年月日

2登記官は、敷地権の目的である土地が他の登記所の管轄区域内にあるときは、遅滞なく、当該他の登記所に前項の規定により記録すべき事項を通知しなければならない。

3前項の規定による通知を受けた登記所の登記官は、遅滞なく、敷地権の目的である土地の登記記録の権利部の相当区に、通知を受けた事項を記録しなければならない。

■逐条解説不動産登記規則(49)

元法務省民事局民事第二課地図企画官 小宮山 秀 史

(地番)

第九十八条地番は、地番区域ごとに起番して定めるものとする。

2地番は、土地の位置が分かりやすいものとなるように定めるものとする。

 不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付け法務省民二第456号法務省民事局長通達)最終改正:令和6年4月1日

(地番の定め方)第67条 地番は、規則第98条に定めるところによるほか、次に掲げるところにより定めるものとする。

(1) 地番は、他の土地の地番と重複しない番号をもって定める。

(2) 抹消、滅失又は合筆により登記記録が閉鎖された土地の地番は、特別の事情がない限り、再使用しない。

(3) 土地の表題登記をする場合には、当該土地の地番区域内における最終の地番を追い順次にその地番を定める。

(4) 分筆した土地については、分筆前の地番に支号を付して各筆の地番を定める。ただし、本番に支号のある土地を分筆する場合には、その1筆には、従来の地番を存し、他の各筆には、本番の最終の支号を追い順次支号を付してその地番を定める。

(5) 前号本文の規定にかかわらず、規則第104条第6項に規定する場合には、分筆した土地について支号を用いない地番を存することができる。

(6) 合筆した土地については、合筆前の首位の地番をもってその地番とする。

(7) 特別の事情があるときは、第3号、第4号及び第6号の規定にかかわらず、適宜の地番を定めて差し支えない。

(8) 土地区画整理事業を施行した地域等においては、ブロック(街区)地番を付して差し支えない。

(9) 地番の支号には、数字を用い、支号の支号は用いない。

2 登記官は、従来の地番に数字でない符号又は支号の支号を用いたものがある場合には、その土地の表題部の登記事項に関する変更の登記若しくは更正の登記又は土地の登記記録の移記若しくは改製をする時に当該地番を変更しなければならない。ただし、変更することができない特段の事情があるときは、この限りでない。

3 登記官は、同一の地番区域内の2筆以上の土地に同一の地番が重複して定められているときは、地番を変更しなければならない。ただし、変更することができない特段の事情があるときは、この限りでない。

4 地番が著しく錯雑している場合において、必要があると認めるときは、その地番を変更しても差し支えない。

■商業登記の変遷(66)

司法書士 鈴 木 龍 介(司法書士法人鈴木事務所)

 悪意擬制説。異次元説。消極的公示力と積極的公示力。フランス法との比較。商業登記制度のデジタル化の経緯。積極的公示力と外観信頼保護規定。登記分社の専門六法。商業登記関係法令に関する注釈書(コンメンタール)。

■民事信託の登記の諸問題(37)

渋 谷 陽一郎

第254 受託者の権限に対する制約としての信託監督人の同意権に関する登記

P82、信託財産の管理方法、受託者の処分権限 信託不動産の売却処分、売却処分の条件 信託監督人の同意、と信託目録に記録されている場合、売却処分の文言のみで所有権登記申請まで読み取ることが出来るのか分かりませんでした。私なら、売買契約及び売買契約に基づく所有権移転登記申請、とします。信託不動産であることは登記記録から明らかなので除きます。

P84、信託監督人の同意を証する書面(抜粋)中の、所有権の帰属権者、という文言が分かりませんでした。

第255 信託法27条に基づく受託者の権限外行為に対する取消権

 詐害行為取消権(民法424条から426条)との比較。

第256 受託者と受益者への権利の分属(受益者の準物権的行為)

 未成年者の法定代理人による取消権(民法5条)との比較。

第257 受託者による権限外取引の取消権者は誰か

 不動産に関しては、第三者からみて誰が取消権者か分かるような公示の必要性。受益者に判断能力の喪失があったときのために、受託者の権限外行為に対する受益者に代わる同意権者を定めておくことの必要性。

第258 信託監督人と信託法27条の取消権限の帰属

 信託監督人の表示を登記申請することの許容性と相当性。

第259 信託監督人による登記申請権の行使の可能性

 信託監督人による、不動産登記法59条1項7号による代位登記申請の可否。

【資 料】■会社法施行下で使える登記先例──実務の便覧──(13)

 定款により取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までに伸長した会社において、取締役の任期満了による退任の登記の申請書に添付すべき退任の事実を証する書面(商業登記法54条4項)は、定時株主総会議事録に、定款第〇条により任期満了の記載があれば、定款の添付は必要ない。記載がない場合は定款の添付が必要。登記研究698号P73、平成18年3月31日民商第782号民事局長通達「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」、

 始期付きの辞任届は有効。

登記研究182号P161、昭和37年7月20日民事甲第2055号民事局長一部変更指示◇登記官吏会同決議◎津地方法務局本局直轄管内登記官吏会同決議

 取締役の意思表示が会社に到達した日が辞任日。地方議会議員の兼任規定。

登記研究392号P102、昭和54年12月8日法務省民四第6104号 民事局第四課長回答「取締役辞任の時期について」、登記研究503号P37、 1989年12月30日、柳田 幸三:法務省民事局第四課長、渋佐 愼吾:法務省民事局付、竹田 盛之輔:法務省民事局第四課補佐官、門田 稔永:法務省民事局第四課補佐官、井内 省吾:法務省民事局第四課係長、藤部 富美男:法務省民事局第四課係長 【論説・解説】「株式会社に関する先例をめぐって(27)」

 

 法律、定款に定める取締役の定数に満たない場合について。

登記研究93号P41昭和30年5月23日民事甲第1008号民事局長回答「数人の取締役が任期満了又は辞任し、その数に満たない後任取締役が就任した場合の取締役変更登記について」。登記研究465号P108、1986年10月30日、神崎 満治郎:東京法務局総務部職員課長(前法務省民事局第一課補佐官)【先例漫歩】商業・法人登記の実務(11)

 

 権利義務取締役の退任日について。

登記研究102号P31、昭和31年4月6日民事甲第746号民事局長回答「取締役の退任の日について」、登記研究508号P70、昭和30年6月18日民事甲第1271号民事局長回答「農業協同組合法(以下農協法と略記す)第三十一条第二項但書の期間をこえた設立当時の役員の任期について」

 権利義務取締役の辞任による退任の登記の可否。

登記研究144号P33、昭和34年9月23日民事甲第2136号民事局長電報回答「取締役及び監査役の変更登記について」、登記研究509号P25、1990年6月30日、柳田 幸三:法務大臣官房参事官(前法務省民事局第四課長)、渋佐 愼吾:法務省民事局付、竹田 盛之輔:法務省民事局第四課補佐官、門田 稔永:法務省民事局第四課補佐官、井内 省吾:法務省民事局第一課係長(前法務省民事局第四課係長)、宮田 和一:法務省民事局第四【論説・解説】「株式会社に関する先例をめぐって(32)」

 権利義務取締役の辞任、解任の可否について。

登記研究512号P64、昭和35年10月20日民事四発第197号民事局第四課回答「商法第二百五十八条第一項の規定により権利義務を有する取締役の解任について」

 権利義務取締役が亡くなった場合の退任の登記原因。

登記研究170号P83、昭和36年8月25日民事甲第2069号民事局長指示◇登記官吏会同決議◎鹿児島地方法務局鹿屋支局管内登記事務研究会決議、登記研究325号P73、1974年12月20日第六部質疑・応答五一二七「取締役の変更の登記について」

 登記留保措置の廃止と、登記完了前の申請書等の閲覧・交付等。本店移転登記と同時申請の場合における、普通郵便の発送場所。申請疑義事案の例と一部の役員の解任の場合。

登記研究869号P154、令和2年3月23日法務省民商第65号法務省民事局商事課長通知「役員全員の解任を内容とする登記申請があった場合の取扱いについて【解説付】」

 役員の死亡を原因として退任の登記を申請する場合の添付情報の内容。

登記研究303号P72、1973年2月20日第五部質疑・応答五〇二〇「役員が死亡した旨の記載のある議事録をもつて株式会社の役員の死亡による退任を証する書面とすることの可否」

 登記されている取締役が、社外取締役に該当することになった場合。

登記研究698号P73、平成18年3月31日民商第782号民事局長通達 「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」、登記研究658号P175、平成14年4月25日法務省民商第1067号民事局長通達「商法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて」

【訓令・通達・回答】

▽不動産登記関係

〔6245〕民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(登記事項証明書等における代替措置関係)(令和6年4月1日付け法務省民二第555号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

 別記第5号、調査結果調書(代替措置等申出関係)

市民と法No.149

市民と法No.149、2024年10月、民事法研究会

http://www.minjiho.com/shopbrand/ct238/

大論公論 不安な時代における司法書士の役割

 早稲田大学教授 和田仁孝

 どこにつなげるか。

【論説/解説】・消費者被害救済の現状と課題─司法書士の視点と役割─

 日本司法書士会連合会消費者問題対策委員会委員・司法書士 浅田奈津子・川戸周平・山田茂樹

 加害者特定のための法律。各種決済手段と適用される法律。

・地域の社会資源と司法書士

 一般社団法人倶知安観光協会前代表理事・司法書士 吉田 聡

 坪単価400万円超。

・相続登記申請義務化時代の司法書士制度論(5・完)──AI時代の司法書士原論──

 司法書士 長谷川清

 相続登記申請義務を商業・法人登記の申請義務と同じ意識、認識で司法書士が執務を行うのではないか、という予測。

 相続登記申請の依頼を受任した後、相続人の1人である依頼者から、遺産分割の合意成立に関与して欲しいと言われた場合に、遺産承継業務への切り替えの必要性。・・・最初に相続登記申請を依頼している時点でどの不動産を誰に、という聞き取りを行うと思います。その後に遺産分割の合意成立に関与して欲しい、と言われるということは、紛争になる可能性が出ているのではないかと思われます。私なら、弁護士さんに相談するように言うと思います。

【特集】デジタル資産を考える

[1]デジタル資産と終活

   弁護士 小坂谷聡

 ポイントについて。

[2]デジタル資産にアクセスできないケースの相続対応

   弁護士 渡邊涼介

 暗号資産やNFT。パスワードが分からなくて売却等ができない場合であっても、相続税の課税対象となる。

国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和5年12月)」

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kakuteishinkokukankei/kasoutuka

金融活動作業部会(FATF)「暗号資産:FATF基準の実施状況についての報告書」令和6年7月10日

https://www.fsa.go.jp/inter/etc/20240710/20240710.html

[3]デジタル資産をめぐる被害の予防と救済

   弁護士・東京経済大学教授 坂勇一郎

金融庁 デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会

https://www.fsa.go.jp/singi/digital/index.html

[4]デジタル資産と司法書士実務

   司法書士 隂山克典

 デジタル資産。

財務省 CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関する有識者会議

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/meeting_of_cbdc/cbdctorimatome.html

 不動産購入の対価としてデジタル資産が支払われる場合、司法書士報酬としてデジタル資産で支払いたいと要望があった場合。

[5]利用者死亡後におけるSNSアカウントの法的取扱い──デジタルな「死」について考える──

   大阪大学准教授 大塚智見

 SNSアカウントの相続性。

対談 司法書士のアイデンティティの行方(下)

 司法書士 稲村 厚、司法書士 渋谷陽一郎

 若い司法書士と相談会、司法書士法の相談について。

信託契約書から学ぶ民事信託支援業務9 信託契約書の起案の作法(4)

 司法書士 渋谷陽一郎

 信託契約書作成の依頼者は誰なのかについて、日本弁護士連合会と日本司法書士会連合会の違い。

登記情報2024年10月号

登記情報2024年10月号(755号)、(一社)金融財政事情研究会

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T

 法窓一言 境界紛争解決とADR

東京土地家屋調査士会境界紛争解決センター センター長 味田昌也

 筆界と占有界、所有権界に誤差の範囲内では処理しきれない誤差が生じる場合。

特 集 近時の民事法制・重要判例先例

民事基本法制の立法動向

法務省大臣官房司法法制部長(前大臣官房審議官) 松井信憲

 法務省 民法等の一部を改正する法律について

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00315.html

 公益Information 公益信託に関する法律

https://www.koeki-info.go.jp

 法務省 法制審議会-区分所有法制部会

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00004

 法務省において、法案の立案作業中。

 衆議院 事業性融資の推進等に関する法律案

https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/213/meisai/m213080213057.htm

 譲渡担保権の内容や被担保債権の範囲に関する規律。

 集合動産譲渡担保契約について対抗要件の特例等を定めること。

 所有権留保契約の効力について。

法務省 法制審議会-担保法制部会

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003008.html

金融庁 金融審議会 事業性に着目した融資実務を支える制度のあり方等に関するワーキング・グループ

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/base_gijiroku.html

 法務省 法制審議会-商法(船荷証券等関係)部会

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00002

 商法(船荷証券等関係)等の改正に関する要綱案

法務所 法制審議会-民法(遺言関係)部会

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00009

 自筆証書遺言のデジタル化について

公益社団法人商事法務研究会 成年後見制度の在り方に関する研究会

https://www.shojihomu.or.jp/list/seinenkoken

 法制審議会民法部会において調査審議中。

近時の重要判例と士業実務

司法書士 早川将和

最判二小判令5・11・27判タ1519号162頁

 抵当権の登記を重視。登記後は差押え前であっても、将来賃料債権を受働債権とする相殺をして抵当権者に対抗することは出来ない。

最三小決令6・3・19銀法912号69頁

 真正相続人の相続回復請求権(民法884条)の消滅時効の前後に関わらず、表見相続人は、真正相続人が相続した財産の所有権を時効により取得することができる。

最二小判令6・6・21LLI/DB判例秘書L07910030

 親の現在の法的性別は認知の届出(民法781条)は受理される。

最三小決令6・3・27LLI/DB判例秘書L07910009

 医療法46条の3の2第4項、理事長は、総社員の五分の一以上の社員から社員総会の目的である事項を示して臨時社員総会の招集を請求された場合には、その請求のあつた日から二十日以内に、これを招集しなければならない。ただし、総社員の五分の一の割合については、定款でこれを下回る割合を定めることができる。について、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律37条2項、次に掲げる場合には、前項の規定による請求をした社員は、裁判所の許可を得て、社員総会を招集することができる。一前項の規定による請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合、二前項の規定による請求があった日から六週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内の日を社員総会の日とする社員総会の招集の通知が発せられない場合、を準用規定がないので、類推適用することは出来ない。

最二小判令6・4・19LLI/DB判例秘書L07910011

 株券発行会社における株主間の株式の譲渡は、株券発行前であれば、契約のみで効力が生じる。

大阪高判令4・128法学教室511号136頁

 取締役の善管注意義務、忠実義務について(会社法330条、355条)。

近時の重要先例と士業実務

司法書士 田口真一郎

令和5年3月30日民二第555号回答

 本人確認情報(不動産登記法23条4項1号、不動産登記規則72条)を作成するにあたり、テレビ電話会議システムによる方法が可能と考えられる要件について。

・・・遠隔の場合、テレビ電話会議に依頼者の現地に事務所を持つ司法書士に同席してもらい、同時に画面で映って確認する方法もあるのかなと思います。

令和5年9月12日民二第927号通達

 相続登記における過料の消極要件について。

令和5年12月15日民二第1596号通達

 外国に住所がある外国人・外国を本店等とする法人の住所・本店等を証する情報について。

令和5年12月18日民二第1619号回答

 相続を広義の原因とする登記申請において添付する被相続人の同一性を証する情報について、性別を補完する情報。

令和6年3月15日民二第535号通達

 相続人申告登記の抹消申出を、次順位相続人が出来るかについて。

令和6年3月19日法務省民事局民事第二課補佐官事務連絡

 租税特別措置法84条の2の3の第1項と第2項の関係について

令和6年3月21日民二第569号通達

 登記申請時における法定相続情報の提供について。

令和6年3月22日民二第551号通達

 所有権の登記事項に法人等が記録される場合の取扱いについて。

令和6年3月22日民二第552号通達

 所有権の登記名義人に、ローマ字併記が認められる場合と添付が必要な情報について。

令和6年3月27日民二第553号通達

 所有権の登記名義人が旧氏併記の申出が可能な場合と必要な情報について。

令和6年4月1日付け民二第555号通達

 不動産登記法116条6項に関する通達。信託目録に記録されている者について、不動産登記法97条1項11号その他の信託の条項に記録される者についても適用があるのか、分かりませんでした。

法制審議会だより

民法(成年後見等関係)部会、第1回~第4回会議を開催

編集部

法務省 法制審議会-民法(成年後見等関係)部会

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00008

 現在7回まで開催。重度の身体障害により意思疎通が困難な場合など、法定後見制度の対象となる範囲について。

 

民法(遺言関係)部会、第1回~第4回会議を開催

編集部

法務省 法制審議会-民法(遺言関係)部会

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00009

 遺言が要式行為であることの趣旨を確認。死亡危急時遺言や一般隔絶地遺言等の見直しについて検討。

検討会だより

定款認証の負担軽減に向けたデジタル活用のための実務検討会の第2回会議が開催される

編集部

https://www.kinzai.jp/seminar/digital_utilization

 金融財政事情研究会の主催。現在、4回まで開催。モデル定款に取締役会設置会社を含めることについて。既存システム(登記・供託オンライン申請システムや法人設立OSS)を有効活用し、モデル定款の作成を既存システムの新たな機能として位置付けた上で、国がその基本的機能を開発することとし、そのAPIを提供して民間が広く活用する方向で検討。

商業登記規則逐条解説 第22回

土手敏行

https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023

(登記すべき登記記録等)

第九十四条外国会社の登記は、その登記をするに最も適する登記簿の種類に従つた登記記録にしなければならない。

2登記すべき事項の記録は、これに最も適する区に記録しなければならない。

 商号規定は適用されない。

(設立の準拠法等の記録)

第九十五条外国会社の設立の準拠法に関する登記は商号区に、外国会社の日本における代表者に関する登記は社員区又は役員区にしなければならない。

 外国会社の設立の準拠法は、具体的な法律名。外国会社の日本における代表者は、代表取締役や支配人の地位を持つ者でなくても良い。

(登記記録の閉鎖等)

第九十六条次の登記は、登記記録区にしなければならない。

一営業所を登記所の管轄区域外に移転した場合において、当該営業所の旧所在地においてする移転の登記(登記所の管轄区域内に他の営業所がある場合を除く。)

二営業所を閉鎖した場合において、当該営業所の旧所在地においてする閉鎖の登記(登記所の管轄区域内に他の営業所がある場合及び登記所の管轄区域内に日本における代表者の住所地がある場合(すべての日本における営業所を閉鎖した場合に限る。)を除く。)

三日本に営業所を設置している外国会社のすべての日本における代表者(日本に住所を有するものに限る。)の退任の登記(清算の開始の命令がある場合を除く。)

四日本に営業所を設置していない外国会社の日本における代表者がその住所を登記所の管轄区域外に移転した場合において、当該代表者の旧住所地においてする移転の登記(登記所の管轄区域内に他の日本における代表者の住所地がある場合を除く。)

五日本に営業所を設置していない外国会社が登記所の管轄区域外に営業所を設置した場合において、当該外国会社の日本における代表者の住所地においてする営業所の設置の登記

六日本に営業所を設置していない外国会社の日本における代表者の住所地においてする当該代表者の退任の登記(登記所の管轄区域内に他の日本における代表者の住所地がある場合及び清算の開始の命令がある場合を除く。)

七清算結了の登記

2前項各号に掲げる登記をしたときは、その登記記録を閉鎖しなければならない。

 外国会社の登記のうち、登記記録区にする登記を規定。登記記録の閉鎖について。

(準用規定)

第九十七条第九条の四第二項の規定は、外国会社の日本における代表者である法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該外国会社の日本における代表者である法人の代表者の職務を行うべき者)が登記の申請をする場合について準用する。

2第六十五条第一項の規定は、法第百三十一条において準用する法第五十二条第二項の規定による申請書の送付について準用する。

3第七十四条及び第七十五条の規定は、外国会社の登記について準用する。

 国税庁 アイルランド共和国に本店を有する法人が我が国会社法の規定に基づき日本における代表者の選任及び外国会社の登記をし、その代表者が日本において一定の行為をした場合の恒久的施設の有無の判定

https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/bunshokaito/hojin/230222/index.htm

空き家問題の解消および相続登記の申請義務化における司法書士の役割

江島・猪之鼻司法書士事務所、日本司法書士会連合会 常任理事 猪之鼻久美子

 一般財団法人国土計画協会 所有者不明土地問題研究会

https://www.kok.or.jp/project/research.html

 各市町村における空き家対策協議会への参加。海外に移住した相続人や国内に居住する外国籍の方からの相談など、渉外登記業務についての対応。

リスクベース・アプローチに基づくマネロン対策⑷―“司法書士ガイドライン”から考える―

司法書士 末光祐一

 依頼者の属性、依頼の種類・目的、形態、同種の依頼との比較など。

法律業務が楽になる心理学の基礎第13回 産業・組織心理学から見た社会的手抜きと働く意義

弁護士(認定心理士) 渡部友一郎

 社会手抜き。集団で仕事をすると生産性が低くなる原因。キャリアの自己責任化との関係。

供託ねっと―実務から学ぶ供託―第113回 不法行為に基づく損害賠償金の供託について、供託者による取戻請求をさせないために被供託者が採り得る手段について

甲府地方法務局供託課長 小山真治

 供託受諾書について(供託規則48条)。

第66話 「共済」って知っていますか?

司法書士法人鈴木事務所、司法書士 鈴木龍介

 全税共年金

http://www.zenzeikyo.com/nenkin.html

実務の現場から

台湾人の相続登記―令和5年12月15日付け法務省民二第1596号通達を踏まえて

司法書士 竹内淳史

 登記研究804号P325、2015年2月28日発行【登記簿】台湾の会社を登記権利者とする所有権の移転の登記に係る添付情報について

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