THINK司法書士論叢会報第122号2024年、日本司法書士会連合会
https://www.shiho-shoshi.or.jp/gallery/think/index
社会的マイノリティの人たちの財産をめぐる諸問題-相続と財産承継を中心として
早稲田大学法学学術院教授 棚村政行
令和6年3月22日出入国在留管理庁「令和5年末現在における在留外国人数について」・・・令和5年末の在留外国人数は、341万992人(前年末比33万5,779人、10.9%増)で、過去最高を更新
https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00040.html
2023.10.19電通グループ「LGBTQ+調査2023」・・・パートナーシップ制度のある自治体に住む回答者のうち68.5%(当事者層58.4%、非当事者層69.4%)が制度の存在を知らないという結果
https://www.group.dentsu.com/jp/news/release/001046.html
2024/09/05国立国会図書館更新 法務省「新種契約についての裁判例の動向に関する調査研究報告書」
https://dl.ndl.go.jp/pid/13737863
法の適用に関する通則法
https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000078
(相続)
第三十六条相続は、被相続人の本国法による。
(物権及びその他の登記をすべき権利)
第十三条動産又は不動産に関する物権及びその他の登記をすべき権利は、その目的物の所在地法による。
2前項の規定にかかわらず、同項に規定する権利の得喪は、その原因となる事実が完成した当時におけるその目的物の所在地法による。
(不法行為)
第十七条不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、加害行為の結果が発生した地の法による。ただし、その地における結果の発生が通常予見することのできないものであったときは、加害行為が行われた地の法による。
名古屋地方裁判所平成15年12月26日判決 民事第7部平成7(ワ)4179号
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=7587
P69・・・本件では,本件事故により死亡した台湾居住被害者に係る損害賠償請求権の成立,その効力は日本法により,当該賠償請求権の請求権者は被害者の相続人とされるから,被相続人たる被害者が台湾人である場合には,その本国法である台湾法によって決せられる相続人がその相続分に応じて賠償請求権を取得するものである。
最高裁判所第三小法廷平成6年3月8日判決平成2(オ)1455号土地持分移転登記抹消登記、土地建物持分移転登記抹消登記等、民集 第48巻3号835頁
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52460
中華民国(台湾)籍の被相続人が日本に残した土地・建物について、日本人の母が子らの相続持分を親権者として第三者に譲渡する契約を締結し、所有権移転登記完了。
子らから、中華民国法上、分割前の遺産の共有は「合同共有(合有)」(中華民国民法1151条)であり、その処分には共有者全員の合意が必要であり処分は無効と主張。
結論・・・共同相続人が遺産分割前の遺産の持分を処分しうるか否かは相続の効果の問題として相続準拠法に依るが、その処分が権利移転の効果を生ずるかどうかは、物権の問題として目的物の所在地法(法の適用に関する通則法13条2項)により、処分権制限について公示方法もないことから、日本法により処分は有効。
法の適用に関する通則法(遺言)
第三十七条遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。
2遺言の取消しは、その当時における遺言者の本国法による。
ドイツ連邦共和国大使館・総領事館
https://japan.diplo.de/ja-ja/service/2097590-2097590
相続人証書の申請
ドイツ国内に相続財産がある場合、ドイツ大使館(東京)では、申請人様が相続人証書申請手続きをドイツに行って行うようお願いしております。特に日本での相続税申告期限のある場合には、現状ではドイツ大使館での期限内での対応ができません。ドイツ国内に残された相続財産に関して英語またはドイツ語で直接ドイツ人担当者と連絡をご希望の方は当館ドイツ語HPのお問合せフォームにてご連絡ください。内容の専門性が高く、スタッフの人員に限りがあるため、日本語でのお問い合わせには対応しておりません。
日本私法学会 遺言の方式に関する法律の抵触に関する条約(昭和39年6月10日-条約第9号)
http://www.pilaj.jp/text/yuigon_j.html
(相続に関する審判事件の管轄権)
家事事件手続法(相続に関する審判事件の管轄権)第三条の十一 裁判所は、相続に関する審判事件(別表第一の八十六の項から百十の項まで及び百三十三の項並びに別表第二の十一の項から十五の項までの事項についての審判事件をいう。)について、相続開始の時における被相続人の住所が日本国内にあるとき、住所がない場合又は住所が知れない場合には相続開始の時における被相続人の居所が日本国内にあるとき、居所がない場合又は居所が知れない場合には被相続人が相続開始の前に日本国内に住所を有していたとき(日本国内に最後に住所を有していた後に外国に住所を有していたときを除く。)は、管轄権を有する。
渋谷区人権を尊重し差別をなくす社会を推進する条例
令和6年4月1日施行
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kusei/shisaku/jorei-toshin/lgbt.html
(区が行うパートナーシップ証明)
第17条 区長は、前条に規定する理念に基づき、公序良俗に反しない限りにおいて、パートナーシップに関する証明(以下「パートナーシップ証明」という。)をすることができる。
2 区長は、前項のパートナーシップ証明を行う場合は、次の各号に掲げる事項を確認するものとする。ただし、区長が特に理由があると認めるときは、この限りでない。
⑴ 当事者双方が、相互に相手方当事者を任意後見契約に関する法律(平成11年法律第150号)第2条第3号に規定する任意後見受任者の1人とする任意後見契約に係る公正証書を作成し、かつ、登記を行っていること。
⑵ 共同生活を営むに当たり、当事者間において、区規則で定める事項についての合意契約が公正証書により交わされていること。
3 前項に定めるもののほか、パートナーシップ証明の申請手続その他必要な事項は、区規則で定める。
「無宗教」社会の日本において「宗教」の多様性を達成するために何が求められているか
関東学院大学教授 髙井啓介
宗教法人令(抄)(昭和二十年十二月二十八日勅令第七百十九号)
https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1318169.htm
文化庁文化部宗務課「宗務時報No.119」平成27年3月
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/shuppanbutsu/shumujiho/index.html
法人化の現状
滞日ムスリムの日常生活にとって不可欠なモスク存続のためには,経済的課題への対処が求められる。モスクの恒常的な維持管理と運営の費用として,備品の購入・修繕費,建物の維持管理費,イマームへの謝礼,水道光熱費や固定資産税など様々な費用が発生する。ムスリムの喜捨などがその費用に充当されるが,不足しがちである。対策として, 法人名義での不動産登記が可能で,固定資産税や喜捨が非課税となり,事業収入の税制優遇などの利点がある宗教法人化がある。―中略―もう一つの対策は,一般社団法人格の取得である。一般社団法人格を有するのは,三重モスク,春日井モスクなど12法人であるが,三重モスクでは宗教法人化を目指して活動している。宗教法人の認証手続きが煩瑣なことや認証までに数年かかることを考えれば,法務局への登記だけで完了し,法人名義での不動産登記が可能となる一般社団法人格を取得することは有用である。しかし,事業収入の税制優遇や不動産への非課税という経済的な利点に加え,内外の政府や諸組織に対する社会的信用という点では,宗教法人格の取得がより有用であろう。現状でも,モスクによる法人制度の積極的な利用はかなり浸透してきているようだが,日本社会における法人制度や団体運営のノウハウがモスクの運営者たちに共有されているとは言い難く,モスク等の不動産の個人名義での登記も依然として各地で見られる。経済的課題の解決のために,法人制度の積極的活用を検討しても良いと考えられる。
硬直的な住宅政策が生み出す新たな住宅問題 居住支援のダイバーシティを展望する
追手門学院大学地域創造学部准教授 葛西リサ
年齢と問わず、低所得単身者の住宅。
投稿論文
成年被後見人の遺言をめぐる諸問題-イギリスにおける制定法上の遺言制度を参考に-
東京司法書士会 鹿島久実子
Introducing the MCA
Mental Capacity Act principle 5: Less restrictive option
Code of practice giving guidance for decisions made under the Mental Capacity Act 2005.
https://www.gov.uk/government/publications/mental-capacity-act-code-of-practice
THE COURT OF PROTECTION RULES 1994
https://www.legislation.gov.uk/uksi/1994/3046/contents/made