社会福祉法改正memoその3

最近質問があった事案をまとめてみると,


1.権利義務承継規定について
 役員の権利義務承継に関する社会福祉法第45条の6第1項の規定に関しては,経過措置がなく,平成29年4月1日施行である。

 (役員等に欠員を生じた場合の措置)
第45条の6 この法律又は定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。
2~4 【略


2.代表権について
 社会福祉法人の代表について,改正前社会福祉法においては,理事は,原則として代表権を有する(旧法第38条第1項本文)ものの,定款の定め(同項ただし書)により特定の理事のみが代表権を有するものとされていたのが一般であった。この規律については,施行日以後に選定された理事長が就任するまでの間は,なお従前の例によるものとされた(改正附則第15条)。

附則
第15条 この法律の施行の際現に在任する社会福祉法人の理事の代表権については、施行日以後に選定された理事長が就任するまでの間は、なお従前の例による。

 したがって,例えば,平成29年6月15日に開催された定時評議員会の終結の時に,従前の理事が全員任期満了となり,同定時評議員会で新しい理事(6名以上)が選任されたものの,即時に理事会が開催されず,同月20日に開催された理事会で理事長が選定されたとしたら?

(1)施行日(平成29年4月1日)から定時評議員会の終結の時まで
  なお従前の例による。

(2)定時評議員会の終結の時から理事会で選定された理事長が就任する時まで
  ?????

(3)理事長が選定された理事長が就任した時以降
  理事長が代表する。

 6月15日に開催された定時評議員会の終結後,同月20日に開催された理事会で理事長が選定されて就任するまでの間は,「平成28年改正社会福祉法の施行の際現に在任する社会福祉法人の理事」も存在しなくなっていることから,改正附則第15条の規定の適用もなく,さて?の状態である。

 となると,改正附則第15条の規定は,ちとまずいということか。

 常識的に考えれば,(2)の期間は,社会福祉法人を代表する者が不在ということになる。


3.理事は6名以上
 仮に,平成29年6月15日に開催された定時評議員会で理事を4名しか選任することができなかったとしたら?

 この場合,法第45条の6第1項の規定により,従前の理事は,法定の6名以上の理事が選任されるまでの間,なお理事としての権利義務を有することになる。

 したがって,理事4名の中から理事会において理事長を選定することはできず,当該「理事長に選定された者」から「理事及び理事長の変更」の登記を申請することもできない。

 この場合の社会福祉法人の代表については,従前の「代表権を有する理事」がそのまま当該社会福祉法人を代表することになると考えられる。


印鑑届の取扱いについては,通達では,次のとおり。

「改正法附則第14条の規定により,定時評議員会の終結によって任期満了に伴い退任した理事のうち,代表権を有する者として登記され,かつ登記所に印鑑を提出していた理事が,後任の理事による理事会の決議により,新たに理事長に選定された場合(提出済みの印鑑を継続して使用する場合)には,印鑑届書の提出を要しない。」(23頁)


 日司連定時総会の際の他会の会長さんとの雑談で聞いた話によると,上記の場合でも「資格が変わるから」という理由で,印鑑届の提出が必要という取扱いをしている地方法務局があるらしい。

 通達をきちんと理解して欲しいですね


そろそろ登記申請が出始めているであろう社会福祉法人に係る法改正による理事長の変更の登記であるが,同じ方が引き続き在任する場合であっても,「理事A退任」&「理事長A就任」である。

cf. 平成29年5月11日付け「社会福祉法人に係る法改正による理事長の変更の登記」

 
 とすると,「登記の事由」は,「理事の変更,理事長の変更」ということになる。

 定款の添付は,原則として不要であるが,理事会議事録の記名押印者を「理事長及び監事」に限定している場合には,その旨の定款の定め(社会福祉法第45条の14第6項)を証するために,定款を添付する必要がある。

受益者が外国法人である受益者等課税信託の信託財産に属する国内不動産の貸付けによる対価の支払に係る源泉徴収義務について

受益者が外国法人である受益者等課税信託の信託財産に属する国内不動産の貸付けによる対価の支払に係る源泉徴収義務について
平成29年4月28日東京国税局審理課長

標題のことについては、下記の理由から、貴見のとおり取り扱われるとは限りません。

なお、この回答内容は東京国税局としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではないことを申し添えます。

(理由)

(1) 本件マスターリース料に係る貴社の源泉徴収義務について

イ 受益者等課税信託に係る規定(法法121本文、所法131本文)の趣旨は、信託という制度を導管とみなし、信託財産の法律上の帰属者である受託者への課税を排し、信託財産の経済上の帰属者が信託財産を有するものとみなして、信託財産に帰せられる収益に対し課税するというものです。また、同規定は、法人税法及び所得税法において所得の帰属に関する通則として置かれており、所得税法第四編の源泉徴収に関する規定の適用上も、当然に、受益者等課税信託に係る同規定を前提とすることとなります。
 したがって、本件マスターリース契約が貴社と本件信託銀行との間の契約であるとしても、貴社による本件信託銀行への本件マスターリース料の支払は、所得税法上は、貴社から本件投資家に対する支払として取り扱われることとなります。

ロ また、所得税法第212条≪源泉徴収義務≫第1項の規定は、外国法人に対し国内において同法第161条≪国内源泉所得≫第1項第4号から第11号まで又は第13号から第16号までに掲げる国内源泉所得の支払をする者は、その支払の際に、源泉徴収をしなければならないこととしており、上記イのとおり、貴社による本件信託銀行への本件マスターリース料の支払は、貴社から本件投資家に対する国内にある不動産の貸付けによる対価(国内源泉所得)の支払として取り扱われることとなるため、貴社はその支払につき源泉徴収義務を負うと解するのが相当です。

(2) 支払調書の記載について

上記(1)のとおり、貴社は、外国法人に対して、国内において、国内にある不動産の貸付けによる対価(国内源泉所得)の支払をする者であることから、所得税法第225条≪支払調書及び支払通知書≫第1項第8号に掲げる者に該当することとなります。
 したがって、貴社は、税務署長に対し、「不動産の使用料等の支払調書」(所規901、別表第五(二十四))ではなく、「非居住者等に支払われる不動産の使用料等の支払調書」(所規892、別表第五(十九))を提出することとなります。なお、この場合において、同支払調書の「支払を受ける者」の欄には、本件投資家について記載するのが相当です。

信託する

「信託する」という言葉を当たり前のように使っていましたが、どうやら日本語として間違っているようです。

名詞は、「何が何を何する」の「何」の部分

例えば、「努力する」「進行する」「味方する」はOK。「お茶する」もOK(古い?)

理由は、動作を表す名詞だから。「お茶する」は「お茶を飲む」の特例。

「信託」は、動作性の名詞?

「信託」は、固有名詞か普通名詞。

今まで、「委託者は次の財産を信託し、受託者はこれを引き受けた。」などと書いていましたが、

「委託者は、次の財産を信託財産とする信託を受託者と設定した。」が正しい使い方のようです。

参考

広辞苑

道垣内弘人『信託法』有斐閣P400

損害保険  満期返戻金と支払い済みの保険料

 


1、築10年のアパートを家族信託しました。

2、新築時に入っていた火災保険(契約期間20年、満期返戻金400万円)の契約名義を受託者に変更しました。

3、満期返戻金と10年間払ってきた保険料300万円については、どのように考えることができるか。


(1)保険会社に対して満期返涙金を払ってくれという債権は、受託者に移転するか?
①保険者の地位
移転する。

②債権
地位が移転するから債権も移転する


(2)移転するとして、満期返涙金の何円が移転するのか?
全額

(3)支払い済みの保険料との関係はどうなるか?


(4)贈与とみなされるのか?

(5)移転しないと考えることはできるか。

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