照会事例から見る信託の登記実務(20)

登記情報[1]の横山亘「照会事例から見る信託の登記実務(20)」から考えてみたいと思います。

登録免許税法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=342AC0000000035

(信託財産の登記等の課税の特例)

第七条 信託による財産権の移転の登記又は登録で次の各号のいずれかに該当するものについては、登録免許税を課さない。

一 委託者から受託者に信託のために財産を移す場合における財産権の移転の登記又は登録

二 信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である信託の信託財産を受託者から当該受益者(当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者である者に限る。)に移す場合における財産権の移転の登記又は登録

三 受託者の変更に伴い受託者であつた者から新たな受託者に信託財産を移す場合における財産権の移転の登記又は登録

2 信託の信託財産を受託者から受益者に移す場合であつて、かつ、当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である場合において、当該受益者が当該信託の効力が生じた時における委託者の相続人(当該委託者が合併により消滅した場合にあつては、当該合併後存続する法人又は当該合併により設立された法人)であるときは、当該信託による財産権の移転の登記又は登録を相続(当該受益者が当該存続する法人又は当該設立された法人である場合にあつては、合併)による財産権の移転の登記又は登録とみなして、この法律の規定を適用する。

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当初の委託者及び受益者から、順次、変更の経緯を時系列に登記させる必要性は乏しいと考えています。おそらく、誌友の皆様の多くも登記申請時点の最新の内容を記載すべきという考えであって、時系列に順次、変更の登記をするといった発想は持っていないのではないでしょうか。

私は、権利変動の過程を登記(するのであれば)申請することが必要だと考えていたので、これまで考えていたことが間違いだったのかもしれません。

もっとも、登録免許税法7条1項2号の規定は、文理解釈上、委託者の所有する不動産を信託財産とする場合に限定するものとは読めないので、結論としては、照会者の意見のとおり、信託財産の処分により不動産を取得した場合であっても適用を受けることになると思われます。

現在の運用では、そうなるのかなと思いました。

不動産登記規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417M60000010018

(合筆の登記の制限の特例)

第百五条 法第四十一条第六号の合筆後の土地の登記記録に登記することができる権利に関する登記は、次に掲げる登記とする。

一 承役地についてする地役権の登記

二 担保権の登記であって、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一のもの

三 信託の登記であって、法第九十七条第一項各号に掲げる登記事項が同一のもの

四 鉱害賠償登録令(昭和三十年政令第二十七号)第二十六条に規定する鉱害賠償登録に関する登記であって、鉱害賠償登録規則(昭和三十年法務省令第四十七号)第二条に規定する登録番号が同一のもの

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つまり、同項の趣旨は、受託者から委託者の相続人への相続による財産権の移転の登記とみなすことにあることから―略―

相続登記その他の一般承継、包括承継の申請と、権利変動の過程が同一視出来るかで判断することは妥当だと思います。

信託の終了に伴い、受託者兼残余財産帰属権利者が受ける所有権の移転登記に係る登録免許税法第7条第2項の適用関係について

https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/bunshokaito/sonota/181200/index.htm


[1] №723.2022年2月号(一社)金融財政事情研究会P38~

インターネット上に引用するのは除名で、有料で「生徒」に配布するのはOK?

2月相談会のご案内ー家族信託の相談会その40ー

お気軽にどうぞ。
家族信託の相談会その40
2022年2月25日(金)14時~17時
□ 認知症や急な病気への備え
□ 次世代へ確実に引き継ぎたいものを持っている。
□ 家族・親族がお金や土地の話で仲悪くなるのは嫌。
□ 収益不動産オーナーの経営者としての信託 
□ ファミリー企業の事業の承継
その他:
・共有不動産の管理一本化・予防
・配偶者なき後、障がいを持つ子の親なき後への備え
1組様 5000円

場所 司法書士宮城事務所(西原町)
要予約   司法書士宮城事務所 shi_sunao@salsa.ocn.ne.jp
後援  (株)ラジオ沖縄

令和3年9月17日東京地方裁判所判決平成31年(ワ)11035号損害賠償請求事件/論点と私見や疑問

参考文献

『家庭の法と裁判』 2021年12月号<特集:実務家のための民事信託入門>vol.35 P134~日本加除出版

遠藤英嗣『家族信託の実務 信託の変更と実務裁判例 家族信託をめぐる争訟を知り、信託行為と信託の変更を考える』2021年11月日本加除出版

論点

・信託契約書の案文を作成する段階で、信託内融資を取り扱っている金融機関を調査した上、あらかじめ、当該金融機関との間で、案文のチェックを受け、内容等の調整を行うべきか。

・・・信託契約書の案文を作成した後、公正証書にする前の段階で、信託内融資を取り扱っている金融機関を調査し、案文のチェックを受け、内容等の調整を行う必要があるか。・・・あると考えます。ただし、チェックを受けて信託内融資が可能であるという回答を記録に残る情報で行う金融機関は、2022年現在も限られていると思います。私の場合は、信託専用口座の作成や信託内融資に関する問い合わせはFAX、メールなどで送信します。回答は電話など口頭で返って来ることが多いですが、送信履歴は残しておきます。

・信託契約を公正証書にする場合、代理人を嘱託人とすることはすべきではないか・・・2022年現在の状況では、公証人と嘱託人によるFaceHubなどを利用した本人確認が認められており、代理はなじまないと考えます。

テレビ電話による認証制度

https://www.koshonin.gr.jp/business/b07_4#tvphone

FaceHub

導入事例 日本公証人連合会

https://www.face-peer.com/casestudy/index.html

利用規約

https://www.face-peer.com/term/index.html

パートナーは、本システムの利用に関して、ユーザーまたは第三者に損害を与えた場合、その一切の責任を負うものとし、当社は一切その責任を負わないものとします。

当社は、 本システムによって提供される情報の正確性を保証するものではありません。

 別途、日本公証人連合会とFacePeer株式会社との間で契約があるのか分かりませんが、利用規約を読む限りなりすまし等による責任は公証人が負うではないかと思います。

嘱託代理の積極について・・・どのような運用なのか分かりませんが、代理というより使者という取扱いに読めます。民法99条、102条。

金子順一藤沢公証役場公証人「公証役場からみた民事信託」P24~『家庭の法と裁判』 2021年12月号vol.35日本加除出版

「最近、日本公証人連合会は積極説を採用し、公証人が委託者本人に信託契約締結の意思と代理人への事実を明確に確認できた場合には、委託者について代理方式で公正証書を作成することを許容するという見解を採用した」

・信託契約に係る公正証書の作成手続の補助を行うことに関する委任を受けた者において、当該公正証書について、委託者本人に作成の嘱託をさせるべき注意義務を一般的に負っている場面としては、どのような場面が考えられるか。

・・・判決における注意義務を負わない理由

  • 2018(平成30)年当時、民事信託の活用事例は多くはなかったこと
  • 2018(平成30)年当時、民事信託の活用を円滑に行うための知識や知見が必ずしも十分には普及していなかったと考えられること

主に2つを理由にしています。この状況を2022年に当てはめてみると、信託契約の公正証書の作成件数は、2018年(平成30年)2,223件、2020(令和2)年2,924件[1]と年々増えており、2つの理由は払拭されていると判断される可能性が高いと考えられます。

・信託契約無効確認公正証書の作成手数料と専門家報酬について、不法行為と相当因果関係が認められる場合があるとすれば、どのような場面が考えられるか。

・・・今回の事案においては、信託契約無効確認書の中で、事実の経緯として公正証書の作成手数料と専門家報酬の額について記載されていることが必要だと考えらえます。

民法(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

疑問

・何故、和解で終らずに判決まで至ったのか。・・・訴訟外を含めた和解で終らず、約4年に及ぶ訴訟手続きを経て判決まで至ったのか、分かりませんでした。Y司法書士の民事信託に関する名刺の記載が○○○○、と記載されていないことを考えると、O弁護士とY司法書士は、面識があるか民事信託に関する同じ組織に属している可能性があると思います。

・判決文中、Y司法書士が信託契約書案を公正証書化する前に、J信用金庫に信託専用口座開設について照会した際、J信用金庫は信託専用口座を作成するには、J信用金庫が指定する弁護士又は司法書士が作成した信託契約書に限定している、と記載されています。

 その後、受託者Aは、平成31年1月30日に、J信用金庫から弁護士を紹介されたとの記載があります。J信用金庫は、Y司法書士が作成した信託契約書(案か公正証書)を読む機会があったのか。

 判決文を読む限り、AがJ信用金庫に相談したのではなく、J信用金庫がAに接触しています。なぜJ信用金庫はAにO弁護士を紹介したのか。

 J信用金庫とO弁護士との関係について、無関係なのか。

・J信用金庫の民事信託口座開設に関する指定弁護士なのか。

・実はこの判決の一番すごいところは、司法書士が信託の専門家であると認定した上で、専門家責任を負うと判断したところなのか。その背景として日司連や民事信託推進センターの活動を挙げており、司法書士の制度史に残る判決か。

・・・なぜ、判決までいったのかという疑問を持っている私には、よく分かりませんでした。判決文で、司法書士が信託の専門家であると認定しているのか、私にはどこに記載されているのか見つけることが出来ませんでした。

 判決が、日司連や民事信託センターの活動を挙げているのは、原告が弁論を行い証拠を提出していて、Y司法書士の説明義務を判断するのに必要な事実だからだと思います。

・この判決が言っているのは、「間違った説明をしたら責任を負う」という、当たり前のことに過ぎないのか。

・・・分かりませんでした。

・民事信託の分野は最近になって生まれたため、倫理も確立されておらず、なんでも言った者勝ちの風潮があったのか。ようやく、地に足のついた実務に向かうのではないかと期待できるのか。

・・・匿名で批判し合って同業者間のビジネスになっていることを、地に足のついた実務だと考えると、そうなのかもしれません。

・司法書士業界でいうところの「規則31条業務」なる概念は誤っていて、この判決は、その考えをさらに強くするか。

・・・規則31号業務については、司法書士法に縛られた上で、信託監督人、法人の顧問など等の根拠規定とされるのかなと思います。規則というのは、そのような性質で作成されています。


[1] 金子順一藤沢公証役場公証人「公証役場からみた民事信託」P24~、八谷博喜「金融機関における民事信託―各種信託商品、信託口口座の設計―」P30~『家庭の法と裁判』 2021年12月号vol.35日本加除出版

参考

『信託フォーラム 2022年10月号』vol.18、2022年10月号、日本加除出版、福田智子茨城大学講師「判例紹介民事信託組成における専門家責任が問われた事例─ 東京地判令和3・9・17(家庭の法と裁判35号134頁)」

令和3年9月17日東京地方裁判所判決平成31年(ワ)第11035号損害賠償請求事件、裁判所の判断

裁判所の判断

参考文献

『家庭の法と裁判』 2021年12月号<特集:実務家のための民事信託入門>vol.35 P134~日本加除出版

遠藤英嗣『家族信託の実務 信託の変更と実務裁判例 家族信託をめぐる争訟を知り、信託行為と信託の変更を考える』2021年11月日本加除出版

・平成18年信託法の制定(平成19年施行)及びこれを受けた平成30年までの司法書士の活動等

・平成30年当時の信託に関する金融機関の対応状況

・XとA、Y司法書士とのやり取り(Aのメモ、各当事者の電子メール、提案書・スケジュールなどの添付ファイル、Y司法書士の見積書。

・A、C、Y司法書士、E税理士との信託契約書案の内容に関する面談。

・XとY司法書士との信託に関する委任契約締結日は、平成30年7月12日。委任契約書は作成していない。

・平成30年7月12日締結の委任契約でY司法書士が負う債務の内容は、A名義の信託専用口座の開設と、開設出来ない可能性があることや信託内融資についての金融機関の対応状況の説明。

令和3年9月17日東京地方裁判所判決平成31年(ワ)第11035号損害賠償請求事件の事実関係

事実関係

参考文献

『家庭の法と裁判』 2021年12月号<特集:実務家のための民事信託入門>vol.35 P134~日本加除出版

遠藤英嗣『家族信託の実務 信託の変更と実務裁判例 家族信託をめぐる争訟を知り、信託行為と信託の変更を考える』2021年11月日本加除出版

X 昭和12年生、B 平成16年死亡、C 昭和52年生、D 昭和54年生、A 昭和56年生。

平成30年当時のX所有名義の主な財産

・不動産10

・借地権1

・複数金融機関の預金債権

平成30年当時のX所有名義の財産の使用状況

4階建て建物の3,4階部分に、D、Aと同居。1,2階部分は第三者に店舗として賃していた。賃借人との折衝(管理)は主にAが行っていた。

平成30年4月頃

Xから、E税理士に対して信託に関する問い合わせ。

平成30年5月1日

E税理士は、Xに対してY司法書士を紹介。X,C、AとY司法書士は、信託に関する打合せを何度か行う。

平成30年5月20日

XはY司法書士から、実費と家族信託組成サポートに係る報酬の見積書を受け取る(総額159万3,300円)。

平成30年〇月〇日

✕とY司法書士が家族信託に関する委任契約締結。

内容

・信託契約書の案文の作成

・信託契約書を公正証書にする手続きの補助

・信託財産に属する不動産に係る信託の登記の申請手続の代理

・信託財産に属する金銭を預け入れる受託者名義の預金口座の開設の支援「等?」

平成30年8月30日

公証人Fが信託契約書の公正証書作成。

嘱託人は、Xの代理人Y司法書士とAの二人。

・預金債権等?

Y司法書士からXに対して、委任契約に関する請求書(137万9,392円)を受け取る。

平成30年8月30日

Y司法書士の代理により、所有権移転及び信託登記申請。

第十二 信託に関する登記

一 信託の登記

1 法第98条第1項の権利の移転(仮訳)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

委託者の所有する土地を、信託財産とする家族信託契約により、不動産の所有権を受託者に移転するとともに、信託の登記をする場合。

参考

「不動産登記記録例集」(株)テイハン

「信託目録の理論と実務」渋谷陽一郎 (株)民事法研究会

「改訂版 信託登記の実務」信託登記実務研究会 日本加除出版(株) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●登記記録(登記簿):●The registration record (The registry)

表題部:The heading section. (土地の表示):The description of the land.調整 : The prepared.平成〇〇年〇月〇日 : The prepared date.不動産番号 : The real property number.12345567890123 
地図番号 : The map number.A11―1筆界特定 : The parcel boundary demarcation.       余白:The blank. 
【所在】 : The location.〇〇県〇〇市〇〇町〇〇 余白: The blank
①地 番 : The parcel number.  ②地 目 :The land category  (current state of the Land)③地  積 ㎡ :The parcel area (area of the Land)原因及びその日付 : The cause for recording and date thereof. 【登記の日付】:The recording date. 
9999番3宅地 : The presidential land.100 00                 :100.00㎡①9999番1から分筆 : Subdivision of the Parcel Number.9999-1. 【平成〇〇年〇月〇日 
所有者: The owner.  〇〇市〇〇丁目〇番〇号    〇〇 〇〇: The name and address of Owner.   
 権 利 部(甲区): The rights section (The section A).        (所有権に関する事項): Matters concerning the owner.
順位番号 : The rank number.登記の目的 : The purpose of recording.受付年月日・受付番号 : The recording date and number.【権利者その他の事項】 : The holder of rights and other particulars.
1  所有権保存 : The preservation of ownership.  平成〇〇年〇月〇日 第〇〇〇〇号所有者: The name and address of Owner. 〇〇市〇〇丁目〇番〇号: 〇〇 〇〇
所有権移転 : Transfer of ownership.平成〇〇年〇月〇日 第〇〇〇〇号原因: When and for what cause ownership was acquired.  平成〇〇年〇月〇日信託: The trust date.   〇〇市〇〇丁目〇番〇号: 〇〇 〇〇 : The name and address of owner.
信託 :The trust.余白: The blank.信託目録第何号 : The inventory of trust number.

※下線のあるものは抹消事項であることを示す。

The underlines indicate delated matters.        The filing Number:00000000000 (1/1)                  

〇〇県〇〇市〇〇町〇〇〇〇―〇             全部事項証明書: The certification of all recording matters. (土地):The land.  信託目録:The inventory of trust. 調整: The prepared.  余白:The blank. 番号 : The number. 受付年月日・受付番号 : The recording date and number. 予備:The preparation. 第1号 : The number 1. 平成〇〇年〇月〇日 第〇〇〇〇号 余白:The blank. 1 委託者に関する事項  : 1 Matters concerning the settlor. 〇〇市〇〇丁目〇番〇号 〇〇 〇〇 : The name and address of the settlor. 2 受託者に関する事項 :2 Matters concerning the trustee. 〇〇市〇〇丁目〇番〇号 〇〇 〇〇 : The name and address of the trustee. 3 受益者に関する事項等 : 3 Matters concerning the beneficiary. 〇〇市〇〇丁目〇番〇号 〇〇 〇〇 : The name and address of the beneficiary. 〇〇市〇〇丁目〇番〇号 〇〇 〇〇 : The name and address of the beneficiary’s agent. 4 信託条項 : 4 Trust clause. 1、信託の目的: The purpose of trust    信託不動産の管理、運用及び処分。 : maintain the real property of the trust use the real property of the trust dispose the real property of the trust   2、信託財産の管理、運用及び処分の方法 :the procedure to maintain the real property of the trust the procedure to use the real property of the trust the procedure to dispose the real property of the trust      (1)受託者は、受益者又は受益者代理人からの同意を得て、信託不動産を処分することができる。また、受託者自らが必要かつ合理的と認める場合、受託者の裁量にて行うことができる。   : (1) The trustee may dispose the real property of the trust when he beneficiary or the beneficiary’s agent agree to disposition. Also, the trustee may choose dispose the real property of the trust when he/she accept dispose the real property of the trust.   (2)受託者は、受益者又は受益者代理人の同意を得て、下記の事項に関して信託不動産に抵当権を設定し、抵当権設定登記手続を行うことができる。   : The trustee may set mortgage and registry of the mortgage in the real property of the trust in the following case (ア、イ、ウ) when the beneficiary or the beneficiary’s agent agree to it.    ア 信託不動産のためにする金銭の借入れのために、受益者または受託者を債務者とする場合 : The obligor, who is the beneficiary or trustee, loan money the real property of the trust.   イ 受益者が本信託設定以前において、信託不動産のために負担していた債務を担保するため、受益者を債務者とする場合。   : The obligor , who is the beneficiary, secure the obligation for the real property of the trust   ウ 信託費用が欠ける場合、信託費用等を補填するためにする金銭の借入のため、受託者を債務者とする場合。    :  The obligor, who is trustee, loan for the cost of the trust.     4、信託の変更 : Modification of the trust.    本信託は、受託者および受益者又は受益者代理人との合意により、変更することができる。      : The trust may modify when the trustee and the beneficiary (or the beneficiary’s agent) agree to the modification.   5、信託の終了 : Termination of the trust.      本信託の終了事由は、下記の通りである。 : The grounds for termination of the trust are the following.   (1)受託者および受益者又は受益者代理人が合意した時。 : (1) If the trustee and the beneficiary (or the beneficiary’s agent) agree to termination of the trust, the trust terminates.   (2)信託法に定める事由が生じた時。 : (2) If the grounds in the trust act occur, the trust terminates.   6、残余財産の帰属権利者 : The holder of vested right of the residual asset      本信託の残余財産の帰属権利者は、最終の受益者とする。       : The holder of vested right of the residual asset in the trust is the last beneficiary.   7、清算手続の終了 : Termination of liquidation procedure of the trust.      受託者による信託の清算手続は、信託財産の全てを、これに関する一切の債権債務関係と共に、残余財産の帰属権利者に引き渡したときに終了する。      : The liquidation procedure in the trust by the trustee terminates when the trustee deliver over the all asset of the trust with all claim and obligation to the holder of vested right of the residual asset.                           これは登記記録に記録されている事項の全部を証明した書面である。 : This document evidences all of the entries made in the registry.   四角形: 角を丸くする: Official Seal★(〇〇地方法務局管轄)〇〇Legal Affairs Bureau.   〇〇年〇〇月〇〇日 Date 〇〇Legal Affairs Bureau   登記官 〇〇  Registrar’s name: 〇〇   ※下線のあるものは抹消事項であることを示す。 Underlines indicate delated matters.        Filing Number:00000000000 (1/1)                   
表題部:The heading section. (土地の表示):The description of the land.調整 : The prepared.平成〇〇年〇月〇日 : The prepared date.不動産番号 : The real property number.12345567890123 
地図番号 : The map number.A11―1筆界特定 : The parcel boundary demarcation.       余白:The blank. 
【所在】 : The location.〇〇県〇〇市〇〇町〇〇 余白: The blank
①地 番 : The parcel number.  ②地 目 :The land category  (current state of the Land)③地  積 ㎡ :The parcel area (area of the Land)原因及びその日付 : The cause for recording and date thereof. 【登記の日付】:The recording date. 
9999番3宅地 : The presidential land.100 00                 :100.00㎡①9999番1から分筆 : Subdivision of the Parcel Number.9999-1. 【平成〇〇年〇月〇日 
所有者: The owner.  〇〇市〇〇丁目〇番〇号    〇〇 〇〇: The name and address of Owner.   
 権 利 部(甲区): The rights section (The section A).        (所有権に関する事項): Matters concerning the owner.
順位番号 : The rank number.登記の目的 : The purpose of recording.受付年月日・受付番号 : The recording date and number.【権利者その他の事項】 : The holder of rights and other particulars.
1  所有権保存 : The preservation of ownership.  平成〇〇年〇月〇日 第〇〇〇〇号所有者: The name and address of Owner. 〇〇市〇〇丁目〇番〇号: 〇〇 〇〇
所有権移転 : Transfer of ownership.平成〇〇年〇月〇日 第〇〇〇〇号原因: When and for what cause ownership was acquired.  平成〇〇年〇月〇日信託: The trust date.   〇〇市〇〇丁目〇番〇号: 〇〇 〇〇 : The name and address of owner.
信託 :The trust.余白: The blank.信託目録第何号 : The inventory of trust number.

※下線のあるものは抹消事項であることを示す。

The underlines indicate delated matters.        The filing Number:00000000000 (1/1)                  

〇〇県〇〇市〇〇町〇〇〇〇―〇             全部事項証明書: The certification of all recording matters. (土地):The land.  信託目録:The inventory of trust. 調整: The prepared.  余白:The blank. 番号 : The number. 受付年月日・受付番号 : The recording date and number. 予備:The preparation. 第1号 : The number 1. 平成〇〇年〇月〇日 第〇〇〇〇号 余白:The blank. 1 委託者に関する事項  : 1 Matters concerning the settlor. 〇〇市〇〇丁目〇番〇号 〇〇 〇〇 : The name and address of the settlor. 2 受託者に関する事項 :2 Matters concerning the trustee. 〇〇市〇〇丁目〇番〇号 〇〇 〇〇 : The name and address of the trustee. 3 受益者に関する事項等 : 3 Matters concerning the beneficiary. 〇〇市〇〇丁目〇番〇号 〇〇 〇〇 : The name and address of the beneficiary. 〇〇市〇〇丁目〇番〇号 〇〇 〇〇 : The name and address of the beneficiary’s agent. 4 信託条項 : 4 Trust clause. 1、信託の目的: The purpose of trust    信託不動産の管理、運用及び処分。 : maintain the real property of the trust use the real property of the trust dispose the real property of the trust   2、信託財産の管理、運用及び処分の方法 :the procedure to maintain the real property of the trust the procedure to use the real property of the trust the procedure to dispose the real property of the trust      (1)受託者は、受益者又は受益者代理人からの同意を得て、信託不動産を処分することができる。また、受託者自らが必要かつ合理的と認める場合、受託者の裁量にて行うことができる。   : (1) The trustee may dispose the real property of the trust when he beneficiary or the beneficiary’s agent agree to disposition. Also, the trustee may choose dispose the real property of the trust when he/she accept dispose the real property of the trust.   (2)受託者は、受益者又は受益者代理人の同意を得て、下記の事項に関して信託不動産に抵当権を設定し、抵当権設定登記手続を行うことができる。   : The trustee may set mortgage and registry of the mortgage in the real property of the trust in the following case (ア、イ、ウ) when the beneficiary or the beneficiary’s agent agree to it.    ア 信託不動産のためにする金銭の借入れのために、受益者または受託者を債務者とする場合 : The obligor, who is the beneficiary or trustee, loan money the real property of the trust.   イ 受益者が本信託設定以前において、信託不動産のために負担していた債務を担保するため、受益者を債務者とする場合。   : The obligor , who is the beneficiary, secure the obligation for the real property of the trust   ウ 信託費用が欠ける場合、信託費用等を補填するためにする金銭の借入のため、受託者を債務者とする場合。    :  The obligor, who is trustee, loan for the cost of the trust.     4、信託の変更 : Modification of the trust.    本信託は、受託者および受益者又は受益者代理人との合意により、変更することができる。      : The trust may modify when the trustee and the beneficiary (or the beneficiary’s agent) agree to the modification.   5、信託の終了 : Termination of the trust.      本信託の終了事由は、下記の通りである。 : The grounds for termination of the trust are the following.   (1)受託者および受益者又は受益者代理人が合意した時。 : (1) If the trustee and the beneficiary (or the beneficiary’s agent) agree to termination of the trust, the trust terminates.   (2)信託法に定める事由が生じた時。 : (2) If the grounds in the trust act occur, the trust terminates.   6、残余財産の帰属権利者 : The holder of vested right of the residual asset      本信託の残余財産の帰属権利者は、最終の受益者とする。       : The holder of vested right of the residual asset in the trust is the last beneficiary.   7、清算手続の終了 : Termination of liquidation procedure of the trust.      受託者による信託の清算手続は、信託財産の全てを、これに関する一切の債権債務関係と共に、残余財産の帰属権利者に引き渡したときに終了する。      : The liquidation procedure in the trust by the trustee terminates when the trustee deliver over the all asset of the trust with all claim and obligation to the holder of vested right of the residual asset.                           これは登記記録に記録されている事項の全部を証明した書面である。 : This document evidences all of the entries made in the registry.   四角形: 角を丸くする: Official Seal★(〇〇地方法務局管轄)〇〇Legal Affairs Bureau.   〇〇年〇〇月〇〇日 Date 〇〇Legal Affairs Bureau   登記官 〇〇  Registrar’s name: 〇〇   ※下線のあるものは抹消事項であることを示す。 Underlines indicate delated matters.        Filing Number:00000000000 (1/1)                   

平成30年8月31日

Xは、Y司法書士名義の預金口座に振り込みによって支払い。

平成30年9月21日

受託者AとY司法書士がI銀行○○支店で、A信託口名義口座開設。

平成30年9月16日

J信用金庫からAに対して、信託用口座開設は出来ないことの通知。理由は、J信用金庫が指定する弁護士や司法書士以外が作成した信託契約書であるから。

平成30年9月以降

株式会社K銀行○○支店、株式会社M銀行○○支店は、Aが求めるの信託専用口座開設を拒絶。

平成31年1月9日頃

Aは、H信用金庫に信託専用口座の開設を照会(審査料3万2,400円)。

平成31年1月30日付け書面

H信用金庫からAに対して、信託専用口座開設の拒絶通知。理由は、信託契約公正証書作成の嘱託人に代理人がなっていること。

平成31年1月30日

J信用金庫から、Aに対して弁護士の紹介を受ける。

平成31年2月

J信用金庫弁護士からAに対して、信託契約公正証書作成の嘱託人に代理人がなっていることが問題であり、信託契約が無効であることを指摘。

J信用金庫弁護士とAとの間で、信託契約に係る公正証書の作成手続などの委任契約を締結。

平成31年2月28日

公証人役場(公証センター)

J信用金庫弁護士とAの嘱託。信託契約無効確認書の公正証書作成。

XとAの嘱託。信託契約公正証書作成。

平成31年3月7日

J信用金庫弁護士がY司法書士が代理申請した、平成30年8月30日付けの所有権移転及び信託登記を、錯誤を原因として抹消登記代理申請。続いて、平成31年2月28日所有権移転及び信託登記を代理申請。

第十二 信託に関する登記

一 信託の登記

1 法第104条第1項の権利の抹消(仮訳)

参考

「不動産登記記録例集」(株)テイハン

「信託目録の理論と実務」渋谷陽一郎 (株)民事法研究会

「改訂版 信託登記の実務」信託登記実務研究会 日本加除出版(株)

●登記記録(登記簿):●The registration record (The registry)

表題部:The heading section. (土地の表示):The description of the land.調整 : The prepared.平成〇〇年〇月〇日 : The prepared date.不動産番号 : The real property number.12345567890123 
地図番号 : The map number.A11―1筆界特定 : The parcel boundary demarcation.       余白:The blank. 
【所在】 : The location.〇〇県〇〇市〇〇町〇〇 余白: The blank.
①地 番 : The parcel number.  ②地 目 :The land category  (Current state of the Land).③地  積 ㎡ : The parcel area (area of the Land).原因及びその日付 : The cause for recording and date thereof. 【登記の日付】:The recording date.   
9999番3宅地 : The presidential land.100 00                 :100.00㎡①9999番1から分筆 : Subdivision of the Parcel Number.9999-1. 【平成〇〇年〇月〇日 
所有者 : The owner.〇〇市〇〇丁目〇番〇号    〇〇 〇〇: The name and address of owner.   
 権 利 部(甲区): The rights section (The section A).        (所有権に関する事項): Matters concerning the owner.
順位番号 : The rank number.登記の目的 : The purpose of recording.受付年月日・受付番号 : The recording date and number.【権利者その他の事項】 : The holder of rights and other particulars.
1  所有権保存 : The preservation of ownership.  平成〇〇年〇月〇日 第〇〇〇〇号所有者: The name and address of owner. 〇〇市〇〇丁目〇番〇号: 〇〇 〇〇
所有権移転 : Transfer of ownership.平成〇〇年〇月〇日 第〇〇〇〇号原因: When and for what cause ownership was acquired.  平成〇〇年〇月〇日信託: The trust date.   受託者 〇〇市〇〇丁目〇番〇号: 〇〇 〇〇 : The name and address of the trustee.
信託 :The trust.余白抹消: The blank cancellation.信託目録第何号 : The inventory of trust number.
所有権移転 : Transfer of ownership.平成〇〇年〇月〇日 第〇〇〇〇号原因: When and for what cause ownership was acquired.  平成〇〇年〇月〇日信託財産引継: The property of the trust inheritance date.
2番信託登記抹消 : The second registration of the trust cancellation.余白: The blank.原因: When and for what cause ownership was acquired. 錯誤

※下線のあるものは抹消事項であることを示す。

The underlines indicate delated matters.        The filing Number:00000000000 (1/1)                  

〇〇県〇〇市〇〇町〇〇〇〇―〇             全部事項証明書: The certification of all recording matters. (土地):The land.  信託目録:The inventory of trust. 調整: The prepared.  余白:The blank. 番号 : The number. 受付年月日・受付番号 : The recording date and number. 予備:The preparation 第1号 : The number 1. 平成〇〇年〇月〇日 第〇〇〇〇号 信託抹消 平成〇〇年〇月〇日受付第〇〇〇〇号抹消 1 委託者に関する事項  : 1 Matters concerning the settlor. 〇〇市〇〇丁目〇番〇号 〇〇 〇〇 : The name and address of the settlor. 2 受託者に関する事項 :2 Matters concerning The trustee. 〇〇市〇〇丁目〇番〇号 〇〇 〇〇 : The name and address of the trustee.      3 受益者に関する事項等 : 3 Matters concerning the beneficiary 〇〇市〇〇丁目〇番〇号 〇〇 〇〇 : The name and address of the beneficiary’s agent. 4 信託条項 : 4 Trust clause. 1、信託の目的: The purpose of trust.    信託不動産の管理、運用及び処分。 : maintain the real property of the trust use the real property of the trust dispose the real property of the trust   2、信託財産の管理、運用及び処分の方法 :the procedure to maintain the real property of the trust the procedure to use the real property of the trust the procedure to dispose the real property of the trust      (1)受託者は、受益者又は受益者代理人からの同意を得て、信託不動産を処分することができる。また、受託者自らが必要かつ合理的と認める場合、受託者の裁量にて行うことができる。   : (1) The trustee may dispose the real property of the trust when he the beneficiary’s agent agree to disposition. Also, the trustee may choose dispose the real property of the trust when he/she accept dispose the real property of the trust.   (2)受託者は、受益者又は受益者代理人の同意を得て、下記の事項に関して信託不動産に抵当権を設定し、抵当権設定登記手続を行うことができる。   : The trustee may set mortgage and registry of the mortgage in the real property of the trust in the following case (ア、イ) when the beneficiary’s agent agree to it.    ア 信託不動産のためにする金銭の借入れのために、受益者または受託者を債務者とする場合 : The obligor, who is the trustee, loan money the real property of the trust.   イ 信託費用が欠ける場合、信託費用等を補填するためにする金銭の借入のため、受託者を債務者とする場合。    :  The obligor, who is trustee, loan for the cost of the trust.   3、信託の終了 : Termination of the trust.      本信託の終了事由は、下記の通りである。 : The grounds for termination of the trust are the following.   (1)受託者および受益者又は受益者代理人が合意した時。 : (1) If the trustee and the beneficiary’s agent agree to termination of the trust, the trust terminates.   (2)信託法に定める事由が生じた時。 : (2) If the grounds in the trust act occur, the trust terminates.   4、信託の変更 : Modification of the trust.    本信託は、受託者および受益者又は受益者代理人との合意により、変更することができる。      : The trust may modify when the trustee and the beneficiary’s agent agree to the modification.   5、清算手続の終了 : Termination of liquidation procedure of the trust.      受託者による信託の清算手続は、信託財産の全てを、これに関する一切の債権債務関係と共に、残余財産の帰属権利者に引き渡したときに終了する。      : The liquidation procedure in the trust by the trustee terminates when the trustee deliver over the all asset of the trust with all claim and obligation to the holder of vested right of the residual asset.   6、残余財産の帰属権利者 : The holder of vested right of the residual asset.      本信託の残余財産の帰属権利者は、最終の受益者とする。       : The holder of vested right of the residual asset in the trust is the last beneficiary.                                         これは登記記録に記録されている事項の全部を証明した書面である。 : This document evidences all of the entries made in the registry.   四角形: 角を丸くする: Official Seal★(〇〇地方法務局管轄)〇〇Legal Affairs Bureau   〇〇年〇〇月〇〇日 Date 〇〇Legal Affairs Bureau   登記官 〇〇  Registrar’s name: 〇〇   ※下線のあるものは抹消事項であることを示す。 Underlines indicate delated matters.        Filing Number:00000000000 (1/1)                  
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