オーナー率

琉球新報2017年5月2日

司法書士安里長従先生の記事より

沖縄県企業のオーナー率(72,8%)が都道府県別で下から2番目。意外でした。一番下が東京都(68.9%)なので、実質1番と考えられます。ちなみにオーナー率は、帝国データバンクの定義に基づくと、代表者名と筆頭株主が一致した企業。

沖縄ってオーナー系が多そうだという意識は、私も持っていたので意外でした。ちゃんと調べてみないと。記事では、理由は歴史的・構造的と書かれています。

アパートの所有権と、その賃貸人たる地位を分離して相続

子ども2人の夫婦で、夫が亡くなり将来は子ども2人へ適切に引き継いでもらいたい、配偶者が元気なうちは、生活に必要な分を確保したい、というような事例です。

アパートに関して、アパートの所有権と、賃貸人の地位を分離して相続することを検討しても良い、二次相続を考慮すると節税にもつながると思われます、というような考えがあって、初めて知りました。たしかに不動産の所有権と、賃貸借契約の賃貸人の地位は別に考えることができます。

この場合、固定資産税などの支払いは所有者である子ども(2人か1人)が行い、修繕、賃料の受取り、ローン返済を配偶者が行うことになるのかなと思いました。

配偶者が亡くなったときは、賃貸人の地位とローンが残っている場合は、債務者の地位を子どもが話し合いで決める、ということになるのでしょうか。

家族信託をもし使うのであれば、配偶者が亡くなった場合でも相続税がかからないように(この場合だと約4200万円)遺産分割協議をします。

その後、子の1人を受託者にして、配偶者を委託者&最初の受益者にする信託契約を締結します。信託する財産には自宅も含めることができます。残っているローンは、信託することができません。

子2人がアパートの共有持ち分を持っている場合は、それを信託するかはケースによります。

配偶者の生活費は、アパートの持分に応じた賃料から、金融機関から連帯債務が認められれば、持分に応じた債務返済分と修繕引当金を差し引いた額を充てます。

配偶者が亡くなった場合は、子2人で残った財産と債務を分けます。分けたあと、信託を終了するということができます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

参考

かふうVol.604

「よくわかる不動産相続Q&A」

オーナーの認知症に備えた委任状(管理業務委任状)

自分なら利用するかといえばしませんが、こういう認知症への備えもあるようです。

対象

賃貸物件の所有者とその家族

利用する場面

所有者が認知症になる前に、なった後のことを家族などに委任しておく

特徴

1、後見開始の審判を受けた場合であっても、自動的に代理権は消滅しない。

2、委任できる事項が多い

(1)賃貸借契約(サブリース業者との間のサブリース原賃貸借契約を含む)の締結

(2)転貸の承諾

(3)賃料その他の契約条件の変更

(4)賃貸借契約の解除

(5)賃貸物件の修繕工事

(6)賃貸物件の原状回復工事に関する請負契約の締結

(7)その他これに付随する一切の行為

3、賃貸住宅管理業者との管理業務委託契約は解除することができない。

4、成年後見制度(おそらく任意後見を含みます)を利用することができるまでの間に使用するためのもの

参考:

(公財)日本賃貸住宅管理協会HP(2017年5月11日閲覧)

 サブリース業者との契約解除も可能か?

(公財)日本賃貸住宅管理協会のQ&AのQ4では、サブリース業者との契約解除も可能と記載されています。(2021年6月17日閲覧)

https://www.jpm.jp/proxy_form/Q&A.pdf

 私の依頼者には、確実に可能とは答えられません。委任状は、民法上の委任契約ですが簡単に作ることが出来る一方、作成時期や内容を証明するのに手間がかかる場合があるからです。作成時期や内容を証明しないといけない場合(訴訟等)、委任者は認知症などに罹患していることが想定されています。

 賃貸住宅管理業者との管理業務委託契約は解除することができない、とあるが、サブリース業者の場合は契約解除は可能か?

(公財)日本賃貸住宅管理協会の解説では、「賃貸住宅管理業者との管理業務委託契約は解除することが出来ない」との記載はないので、解除することが可能と読めます。

https://www.jpm.jp/proxy_form/Q&A.pdf

 現在、親が所有している土地について、サブリース業者との賃貸借契約解除に向けて話合い中です。父から交渉を任されているのですが、裁判になった場合に備えて委任状を作成しようと考えています。

 私なら、任意後見契約を薦めると思います。理由は、任意後見契約に関する法律に基づくので東京法務局が発行する登記事項証明書により代理権の証明が容易だからです。サブリース業者との交渉や弁護士への委任も、登記事項証明書に基づき行うことが出来ます。

受益権をいくつに分けるか

自益権・・・信託財産から経済的利益を受けることを目的とする権利。

共益権・・・信託の運営に参加し、信託事務の監督・是正をすることを目的と

する権利。

処分権・・・受益権を他の人に譲渡することができる権利。

参考

信託法2条、

信託法38条、44条、111条など

信託法93条、103条

『法律学小事典』(株)有斐閣

・・・・・・・・・・・・・・・・・

株式会社の株式の場合は、自益権(剰余金の配当を受ける権利など)、共益権(議決権など)、処分権(譲渡する権利)があります。

似ているようですが、処分権について、株式の場合は譲渡の「制限」ができるのみです。受益権の場合は、譲渡を禁止することができます。

これは、株主は株式の所有者であるのに対して、受益者は受益債権という債権者であることからきていると考えることができます。受託者に対して、確実に受益するための共益権もまとめて受益権というため、一種の地位の譲渡と考えることができるかもしれません。でも、受益者って信託行為の当事者にはならないのに。譲渡が禁止された受益権は要らないっていう場合は、最初に受益権を放棄しないといけないですね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

参考

民法125条、178条、272条、314条、466条、612条、625条)

信託法93条、99条

会社法105条、107条

金子登志雄『事例で学ぶ会社法実務―設立から再編まで―』東京司法書士協同組合

平成29年度事業承継補助金

補助金ありきではなく、何かのきっかけに利用されたら良いのかなと思います。

1、募集期間

平成29年5月8日から平成29年6月2日

2、対象

(1)平成27年4月1日から平成29年12月31日までの間に事業承継をする(した)、事業をたたむ(たたんだ)、事業再生をする(した)個人事業主、中小企業、NPO法人

・期間が短いため、主に事業をたたむ個人事業主、中小企業を中心に説明

・事業承継に関しては、既に行って新たな取り組みの予定がある、事業承継の予定が決まっている方に適していると思います。

3、要件

(1)地域への貢献があること

(2)事業承継の場合、新代表者が一定の経験を持っていること

(3)事業を伸ばす取り組みをすること

4、スケジュール

(1)認定経営革新等支援機関への相談、支援の決定

(2)応募

(3)交付決定(7月から8月)

(4)完了報告書提出

(5)確定検査、交付額決定

(6)補助金請求(2か月から3か月で交付)

(7)事業化報告(事業承継の場合は5年間)

5、補助対象経費

(1)人件費

(2)事業費(例:書類作成など専門家への報酬、在庫処分費、解体及び処分費など)

・・・・・・・・・・・

参考

中小企業庁「平成29年度事業承継補助金【募集要項】」

PAGE TOP