信託 消費税に関する通達


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法律

(信託財産に係る資産の譲渡等の帰属)
第十四条  信託の受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)は当該信託の信託財産に属する資産を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に係る資産等取引(資産の譲渡等、課税仕入れ及び課税貨物の保税地域からの引取りをいう。以下この項及び次条第一項において同じ。)は当該受益者の資産等取引とみなして、この法律の規定を適用する。ただし、法人税法第二条第二十九号 (定義)に規定する集団投資信託、同条第二十九号の二 に規定する法人課税信託又は同法第十二条第四項第一号 (信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する退職年金等信託若しくは同項第二号 に規定する特定公益信託等の信託財産に属する資産及び当該信託財産に係る資産等取引については、この限りでない。

2  信託の変更をする権限(軽微な変更をする権限として政令で定めるものを除く。)を現に有し、かつ、当該信託の信託財産の給付を受けることとされている者(受益者を除く。)は、前項に規定する受益者とみなして、同項の規定を適用する。

3  受益者が二以上ある場合における第一項の規定の適用、前項に規定する信託財産の給付を受けることとされている者に該当するかどうかの判定その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(法人課税信託の受託者に関するこの法律の適用)
第十五条  法人課税信託(前条第一項ただし書に規定する法人課税信託をいう。以下この条において同じ。)の受託者は、各法人課税信託の信託資産等(信託財産に属する資産及び当該信託財産に係る資産等取引をいう。以下この条において同じ。)及び固有資産等(法人課税信託の信託資産等以外の資産及び資産等取引をいう。以下この条において同じ。)ごとに、それぞれ別の者とみなして、この法律(第五条、前条、第二十条から第二十七条まで、第四十七条、第五十条及び第五十一条並びに第六章を除く。以下この条において同じ。)の規定を適用する。

2  前項の場合において、各法人課税信託の信託資産等及び固有資産等は、同項の規定によりみなされた各別の者にそれぞれ帰属するものとする。

3  個人事業者が受託事業者(法人課税信託の受託者について、前二項の規定により、当該法人課税信託に係る信託資産等が帰属する者としてこの法律の規定を適用する場合における当該受託者をいう。以下この条において同じ。)である場合には、当該受託事業者は、法人とみなして、この法律の規定を適用する。

4  固有事業者(法人課税信託の受託者について、第一項及び第二項の規定により、当該法人課税信託に係る固有資産等が帰属する者としてこの法律の規定を適用する場合における当該受託者をいう。以下この条において同じ。)のその課税期間に係る基準期間における課税売上高については、第九条第二項の規定にかかわらず、次に掲げる金額の合計額とする。

一  当該固有事業者の当該課税期間の基準期間における課税売上高として第九条第二項の規定により計算した金額
二  当該固有事業者に係る各法人課税信託の受託事業者の当該固有事業者の基準期間に対応する期間における課税売上高として政令で定めるところにより計算した金額の合計額

5  受託事業者のその課税期間に係る基準期間における課税売上高については、第九条第二項の規定にかかわらず、当該課税期間の初日の属する当該受託事業者に係る法人課税信託の固有事業者の課税期間の基準期間における課税売上高とする。

6  受託事業者のその課税期間の初日において、当該受託事業者に係る法人課税信託の固有事業者が、当該初日の属する当該固有事業者の課税期間(その基準期間における課税売上高が千万円以下である課税期間に限る。)における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき第九条第四項の規定による届出書の提出により、又は第十条から第十二条の三までの規定により消費税を納める義務が免除されない事業者である場合には、当該受託事業者の当該初日の属する課税期間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、第九条第一項本文の規定は、適用しない。

7  固有事業者又は受託事業者に係る第九条の二第一項に規定する特定期間における課税売上高(同条第三項の規定の適用がある場合には同項に規定する合計額)、第十一条第四項に規定する当該事業年度の基準期間における課税売上高及び第三十条第二項に規定する課税期間における課税売上高については、第九条の二第二項若しくは第三項、第十一条第四項又は第三十条第六項の規定にかかわらず、それぞれこれらの金額に相当するものとして第四項又は第五項の規定に準じて政令で定めるところにより計算した金額とする。

8  受託事業者のその課税期間の初日において、当該受託事業者に係る法人課税信託の固有事業者が、当該初日の属する当該固有事業者の課税期間につき第三十七条第一項の規定の適用を受ける事業者である場合に限り、当該受託事業者の当該初日の属する課税期間については、同項の規定を適用する。この場合において、同項中「事業者(」とあるのは「受託事業者(第十五条第三項に規定する受託事業者をいい、第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)のその課税期間の初日において、当該受託事業者に係る法人課税信託(第十五条第一項に規定する法人課税信託をいう。)の固有事業者(同条第四項に規定する固有事業者をいい、」と、「その納税地を所轄する税務署長にその」とあるのは「その」と、「この項の規定の適用を受ける旨を記載した届出書を提出した場合には、当該届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間(当該届出書を提出した日の属する課税期間が事業を開始した日の属する課税期間その他の政令で定める課税期間である場合には、当該課税期間)以後の課税期間(その基準期間における課税売上高が五千万円を超える課税期間及び分割等に係る課税期間を除く。)」とあるのは「この項の規定の適用を受ける事業者である場合には、当該初日の属する当該受託事業者の課税期間」と、同項各号中「当該事業者」とあるのは「当該受託事業者」とする。


9  前項の固有事業者が、同項に規定する初日の属する当該固有事業者の課税期間(以下この項において「固有課税期間」という。)につき第三十七条の二第一項又は第六項の規定の適用を受けた場合における前項の規定の適用については、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定めるところによる。

一  当該固有課税期間が第三十七条の二第一項に規定する選択被災課税期間である場合において当該選択被災課税期間につき同項の承認を受けたとき 前項に規定する初日において当該固有事業者が第三十七条第一項の規定の適用を受ける事業者であつたものとみなす。

二  当該固有課税期間が第三十七条の二第六項に規定する不適用被災課税期間である場合において当該不適用被災課税期間につき同項の承認を受けたとき 前項に規定する初日において当該固有事業者が第三十七条第一項の規定の適用を受ける事業者でなかつたものとみなす。

10  受託事業者についての第四十二条の規定の適用については、信託の併合は合併とみなし、信託の併合に係る従前の信託である法人課税信託に係る受託事業者は被合併法人に含まれるものと、信託の併合に係る新たな信託である法人課税信託に係る受託事業者は合併法人に含まれるものとする。


11  受託事業者については、第九条第四項から第九項まで、第十条から第十二条の三まで、第三十七条第二項から第七項まで、第三十七条の二及び第五十七条の規定は、適用しない。

12  一の法人課税信託の受託者が二以上ある場合には、各受託者の当該法人課税信託に係る信託資産等は、当該法人課税信託の信託事務を主宰する受託者(以下この条において「主宰受託者」という。)の信託資産等とみなして、この法律の規定を適用する。

13  前項の規定により主宰受託者の信託資産等とみなされた当該信託資産等に係る消費税については、主宰受託者以外の受託者は、その消費税について、連帯納付の責めに任ずる。

14  前項に規定する消費税を主宰受託者以外の受託者から徴収する場合における国税通則法第四十三条第一項 (国税の徴収の所轄庁)の規定の適用については、同項 中「国税の徴収」とあるのは「消費税法第十五条第一項(法人課税信託の受託者に関するこの法律の適用)に規定する法人課税信託の同条第十二項に規定する主宰受託者(以下この項において「主宰受託者」という。)以外の受託者(以下この項において「連帯受託者」という。)の同条第十三項に規定する連帯納付の責任に係る消費税の徴収」と、「その国税の納税地」とあるのは「当該消費税の納税地又は当該連帯受託者が当該法人課税信託の主宰受託者であつたとした場合における当該消費税の納税地」とする。

15  前各項に定めるもののほか、法人課税信託の併合又は分割が行われた場合の仕入れに係る消費税額の計算その他受託事業者又は固有事業者についてのこの法律の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

第2節 信託財産に係る譲渡等の帰属
(信託契約に基づき財産を受託者に移転する行為等)
4-2-1 受益者等課税信託(法第14条第1項《信託財産に係る資産の譲渡等の帰属》に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。)がその信託財産に属する資産を有するものとみなされる信託をいう。以下第3節及び9-1-29において同じ。)においては、次に掲げる移転は資産の譲渡等には該当しないことに留意する。(平12課消2-10、平13課消1-5、平19課消1-18により改正)

(1) 信託行為に基づき、その信託の委託者から受託者へ信託する資産の移転

(2) 信託の終了に伴う、その信託の受託者から受益者又は委託者への残余財産の給付としての移転

(注) 事業者が事業として行う令第2条第1項第3号《資産の譲渡等の範囲》に定める行為は、資産の譲渡等に該当する。

(集団投資信託等の信託財産に係る取扱い)
4-2-2 法第14条第1項ただし書《信託財産に係る資産の譲渡等》に規定する集団投資信託、法人課税信託、退職年金等信託又は特定公益信託等(以下9-1-30において「集団投資信託等」という。)の信託財産に属する資産及び当該信託財産に係る資産等取引については、受託者が当該信託財産に属する資産を有し、かつ、資産等取引を行ったものとなるのであるから留意する。(平19課消1-18により改正)


「信託に関する法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)
(平19.6.22 課法2-5他1課共同)

主な改正点は次のとおりです。
第一 法人税基本通達関係
1 法人課税信託に係る所得の金額の計算等
平成19 年度の税制改正により、信託のうち、受益証券を発行する信託、受益
者等の存しない信託、法人が委託者となる一定の信託、投資信託及び特定目的
信託については、集団投資信託、退職年金等信託及び特定公益信託等に該当す
るものを除き、受託者を納税義務者として法人税を課税することとされました。

この法人課税信託にあっては、受託者は、その法人課税信託の信託資産等及
び受託者の固有資産等ごとにそれぞれ別の者とみなして、法人税を課税するこ
ととされています(法4の6①)。


○ 法人の事業の全部又は重要な一部の信託(基通12 の6-1-3 新設)
法人(公共法人及び公益法人等を除きます。)が委託者となる信託で、当
該法人の事業の全部又は重要な一部を信託し、かつ、その信託の効力が生じ
た時において、当該法人の株主等が取得する受益権の保有割合が50%を超え
ることが見込まれているものは、法人課税信託に該当することとされていま
す。
この場合に、その信託した事業が「当該法人の事業の全部又は重要な一部」
に該当するかどうかは、その譲渡につき当該法人の会社法第467 条第1項(第
1号又は第2号に係る部分に限ります。)の株主総会の決議(これに準ずる
ものを含みます。)を要するものかどうかで判定することとされています(法
2二十九の二ハ⑴)。

本通達においては、この株主総会の決議を要するものとは、法人の事業の
全部又は重要な一部の譲渡を行う場合において、当該法人の株主総会の決議
によって、当該譲渡に係る契約の承認を受けなければならないこととされる
行為をいいますから、現にその決議が行われたかどうかは問わないことを明
らかにしています。


○ 法人課税信託に係る受託法人の内外判定と納税地(基通12 の6-1-5
新設)

法人課税信託に係る受託法人(法人課税信託の受託者である法人又は個人
について、当該法人課税信託に係る信託資産等につき別の者とみなして法人
税が課税されるものをいいます。)は、当該法人課税信託の信託された営業
所が国内にある場合には内国法人とされ、当該営業所が国内にない場合には
外国法人とされて、法人税法の規定を適用することとされています(法4の
7一、二)。

本通達においては、これによりその法人課税信託に係る受託法人が内国法
人、外国法人のいずれに該当するかにかかわらず、当該受託法人の納税地は
受託者の納税地であることを明らかにしています。


○ 法人課税信託に該当することとなった日の意義(基通12 の6-1-7 新
設)

法人課税信託の受託法人は、当該受託法人に係る法人課税信託の効力が生
ずる日に設立されたものとし、法人課税信託以外の信託が法人課税信託に該
当することとなった場合にはその該当することとなった日に設立されたも
のとして、法人税法の規定を適用することとされています(法4の7七)。
ところで、受益者段階でその信託収益の受領時に課税される信託である特
定受益証券発行信託は、信託事務の実施につき所定の要件に該当することに
ついて税務署長の承認を受けた法人(以下「承認受託者」といいます。)が
引き受けたものであることがその要件とされていますが、その計算期間の開
始の日の前日までに、

① 当該承認受託者がその承認を取り消された場合
② 当該特定受益証券発行信託の受託者に承認受託者以外の者が就任した場
合は、当該信託は、当該計算期間の開始の日から特定受益証券発行信託に該
当しないこととされています(法2二十九ハ⑴)。

本通達においては、特定受益証券発行信託がその計算期間の中途において
承認受託者がその承認を取り消された場合又はその特定受益証券発行信託の
受託者に承認受託者以外の者が就任した場合における「法人課税信託に該当
することとなった日」とは、その取り消され又は就任した日をいうのではな
く、これらの日を含む計算期間の翌計算期間の開始の日となることを明らか
にしています。


○ 公益法人等の法人課税信託に係る課税所得の範囲(基通12 の6-2-1
新設)

法人課税信託の受託法人(会社でないものに限ります。)は、会社とみな
して法人税法の規定を適用することとされています(法4の7三)。

本通達においては、公益法人等が法人課税信託の受託者となった場合には、
当該法人課税信託に係る受託法人は当該公益法人等とは別の会社とみなされ
ることから、当該法人課税信託に係る法人税の課税所得の範囲は収益事業か
ら生じた所得に限られないことを明らかにしています。


○ 受益者等が存しない信託に係る清算所得に対する法人税の課税関係(基通
12 の6-2-2 新設)

法人課税信託のうち受益者等が存しない信託については、信託の終了があ
った場合又は受益者等が存することとなった場合には、当該法人課税信託に
係る受託法人の解散があったものとして法人税法の規定を適用することと
されています(法4の7八)。

一方、解散の場合の清算所得に対する法人税の課税については、受益者等
が存することとなったことに起因して解散したものとされる場合は、清算所
得に対する法人税を課さないこととされています(法92①)。

本通達においては、これらの規定により、法人課税信託のうち受益者が存
しない信託に係る受託法人は、受益者が存することなく信託の終了があった
場合に限り、清算所得に対する法人税が課されることを明らかにしています。

2 受益者等課税信託による損益

平成19 年度の税制改正により、信託のうち、集団投資信託、退職年金等信託、特定公益信託等又は法人課税信託のいずれにも該当しないもの(以下「受益者等課税信託」といいます。)については、受益者(受益者としての権利を現に有しているものに限ります。)は当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者の収益及び費用とみなして、法人税法の規定を適用することとされました(法12①)。

○ 信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費
用の帰属(基通14-4-1 新設)

受益者等課税信託における受益者は、信託の受益者のうち受益者としての
権利を現に有しているものに限られています。一方、信託行為においては、
一の受益者の有する権利が受益者としての権利の一部にとどまり、その余の
権利を有する者が存しない又は特定されていない場合もあり得ます。

本通達においては、そのような場合であっても、当該受益者がその信託の
信託財産に属する資産及び負債の全部を有するものとみなされ、かつ、当該
信託財産に帰せられる収益及び費用の全部が帰せられるものとみなされるこ
とを明らかにしています。

○ 信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属の時期(基通14-4-2 新
設)

受益者等課税信託においては、その信託財産に帰せられる収益及び費用は
受益者(受益者とみなされる者を含みます。以下「受益者等」といいます。)
の収益及び費用とみなされることとされていますが、信託の計算期間の始期
及び終期と受益者等である法人の事業年度の開始の日及び終了の日が一致し
ない場合もあり得ます。

本通達においては、そのような場合の信託財産に帰せられる収益及び費用
は、その信託行為に定める信託の計算期間にかかわらず、当該法人の各事業
年度の期間に対応する収益及び費用となることを明らかにしています。


○ 信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属額の総額法による計算(基通14
-4-3 新設)

受益者等課税信託においては、その信託財産に帰せられる収益及び費用は
受益者等の収益及び費用とみなして当該受益者等である法人の各事業年度の
所得の金額が計算されることとなります。

本通達においては、受益者等課税信託の受益者等である法人は、(純額法に
より)当該受益者等課税信託の信託財産から生ずる利益又は損失を当該法人
の収益又は費用とするのではなく、(総額法により)当該法人に係る当該信託
財産に属する資産及び負債並びに当該信託財産に帰せられる収益及び費用を
当該法人のこれらの金額として各事業年度の所得の金額の計算を行うことを
明らかにしています。

○ 受益者等課税信託に係る受益者の範囲(基通14-4-7 新設)

受益者等課税信託における受益者とは、信託の受益者(受益者としての権
利を現に有するものに限ります。)及び信託の変更をする権限を有している
など受益者とみなされる者をいうこととされています(法12①、②)。

本通達においては、この「信託の受益者(受益者としての権利を現に有す
るものに限る。)」には、信託の帰属権利者、委託者の死亡の時に受益者と
なるべき者として指定された者及び委託者の死亡の時以後に信託財産に係る
給付を受ける受益者は含まれないことを、例示的に明らかにしています。

○ 受益者とみなされる委託者(基通14-4-8 新設)

受益者等課税信託において、信託の受益者以外の者で当該信託の変更をす
る権限を現に有し、かつ、当該信託の信託財産の給付を受けることとされて
いる者は、受益者とみなされることとされています(法12②)。
本通達においては、この「みなし受益者」には、信託の変更の権限を現に
有している委託者について、

① 当該委託者が信託行為の定めにより帰属権利者として指定されている
場合

② 信託行為に残余財産受益者若しくは帰属権利者の指定に関する定めがな
い場合又は信託行為の定めに残余財産受益者等として指定を受けた者のす
べてがその権利を放棄した場合の当該委託者が含まれることを、例示的に明らかにしています。

第二 租税特別措置法関係通達(法人税編)関係

1 措置法第42 条の5~第48 条関係

○ 信託財産に属する減価償却資産の特別償却等に係る証明書類等の添付(措
通42 の5~48(共)-6 新設)

措置法に定める特別償却等の適用に当たっては、その減価償却資産が特別
償却等の適用対象資産であることの所定の証明書類等の確定申告書等への添
付を要件としているものが少なくありません。

ところで、受益者等課税信託の受益者等である法人は、当該信託の信託財
産に属する減価償却資産についても、これらの特別償却等の規定の適用を受
けることができますが、信託財産に属する資産は名義上は受託者の所有する
ところであるので、証明書類等についても受託者名で発行されることとなり
ます。

本通達においては、このような場合における証明書類等の添付に当たって
は、これらの書類が当該法人の有する信託財産に属する減価償却資産に係る
ものである旨の受託者の証明を受ける必要があることを明らかにしています。
(土地譲渡益重課制度における適用除外に係る証明書類の添付及び資産の譲
渡の場合の課税の特例制度における証明書類の添付についても、上記と同様
の通達を新設しました。)

2 措置法第65 条の2関係
○ 信託財産に属する資産の譲渡への適用(措通65 の2-11 新設)

法人の有する資産につき土地収用法等の規定により収用換地等による譲渡
があった場合には、措置法第65 条の2((収用換地等の場合の所得の特別控
除)) の規定の適用を受けることができることとされています。

ところで、同条の規定は、法人が受益者等となっている受益者等課税信託
の信託財産に属する資産について収用換地等による譲渡があった場合にも適
用を受けることができますが、その適用に当たっては、当該譲渡が公共事業
施行者から最初に買取り等の申出のあった日から原則として6か月を経過し
た日までに行われること等の同条に規定する一定の要件を満たす必要があり
ます。

本通達においては、受益者等課税信託の信託財産に属する資産について収
用換地等による譲渡があった場合の同条の規定の適用に当たっては、「公共
事業施行者から当該資産につき最初に買取り等の当該申出のあった日」とは、
当該受益者等課税信託の受託者が公共事業施行者から当該資産につき最初に
買取り等の申出を受けた日をいうなどの留意点を明らかにしています。

(注)平成19 年度税制改正における信託法(平成18 年法律第108 号)(以下「新信託法」といいます。)の制定に伴う法人税法の改正後の規定は、原則として、新信託法の施行の日以後に効力が生ずる信託(遺言によってされた信託にあっては同日以後に遺言がされたものに限り、新法信託を含みます。)について適用し、同日前に効力が生じた信託(遺言によってされた信託にあっては同日前に遺言がされたものを含み、新法信託を除きます。)については従前どおりとされています(改正法附則34①、改正令附則8)。

(新法信託とは、信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18 年法律第109 号)第3条第1項、第6条第1項、第11 条第2項、第15 条第2項、第26 条第1項、第30 条第2項又は第56 条第2項(新法の適用等)の規定により同法第3条第1項に規定する新法信託とされた信託をいいます。)

信託 相続・贈与税の通達


把握できた分です。


相続税
第3節 信託に関する特例

第9条の2《贈与又は遺贈により取得したものとみなす信託に関する権利》関係
(受益者としての権利を現に有する者)
9の2-1 法第9条の2第1項に規定する「受益者としての権利を現に有する者」には、原則として例えば、信託法第182条第1項第1号((残余財産の帰属))に規定する残余財産受益者は含まれるが、停止条件が付された信託財産の給付を受ける権利を有する者、信託法第90条第1項各号((委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例))に規定する委託者死亡前の受益者及び同法第182条第1項第2号に規定する帰属権利者(以下9の2-2において「帰属権利者」という。)は含まれないことに留意する。(平19課資2-5、課審6-3追加)
(特定委託者)
9の2-2 法第9条の2第1項に規定する特定委託者(以下「特定委託者」という。)とは、公益信託ニ関スル法律(大正11年法律第62号)第1条((公益信託))に規定する公益信託(以下9の2-6において「公益信託」という。)の委託者(その相続人その他の一般承継人を含む。以下同じ。)を除き、原則として次に掲げる者をいうことに留意する。(平19課資2-5、課審6-3追加)

(1) 委託者(当該委託者が信託行為の定めにより帰属権利者として指定されている場合、信託行為に信託法第182条第2項に規定する残余財産受益者等(以下9の2-5までにおいて「残余財産受益者等」という。)の指定に関する定めがない場合又は信託行為の定めにより残余財産受益者等として指定を受けた者のすべてがその権利を放棄した場合に限る。)

(2) 停止条件が付された信託財産の給付を受ける権利を有する者(法第9条の2第5項に規定する信託の変更をする権限を有する者に限る。)
(信託の受益者等が存するに至った場合)
9の2-3 法第9条の2第2項に規定する「信託の受益者等が存するに至った場合」とは、例えば、次に掲げる場合をいうことに留意する。(平19課資2-5、課審6-3追加)
(1) 信託の受益者等(法第9条の2第1項に規定する受益者等をいう。以下同じ。)として受益者Aのみが存するものについて受益者Bが存することとなった場合(受益者Aが並存する場合を含む。)

(2) 信託の受益者等として特定委託者Cのみが存するものについて受益者Aが存することとなった場合(特定委託者Cが並存する場合を含む。)

(3) 信託の受益者等として信託に関する権利を各々半分ずつ有する受益者A及びBが存する信託についてその有する権利の割合が変更された場合
(信託に関する権利の一部について放棄又は消滅があった場合)
9の2-4 受益者等の存する信託に関する権利の一部について放棄又は消滅があった場合には、原則として、当該放棄又は消滅後の当該信託の受益者等が、その有する信託に関する権利の割合に応じて、当該放棄又は消滅した信託に関する権利を取得したものとみなされることに留意する。(平19課資2-5、課審6-3追加)
(信託が終了した場合)
9の2-5 法第9条の2第4項の規定の適用を受ける者とは、信託の残余財産受益者等に限らず、当該信託の終了により適正な対価を負担せずに当該信託の残余財産(当該信託の終了直前においてその者が当該信託の受益者等であった場合には、当該受益者等として有していた信託に関する権利に相当するものを除く。)の給付を受けるべき又は帰属すべき者となる者をいうことに留意する。(平19課資2-5、課審6-3追加)

(公益信託の委託者の地位が異動した場合)
9の2-6 公益信託の委託者の地位が異動した場合には、それに伴い当該公益信託に関する権利も異動するのであるが、相続税又は贈与税の課税上、当該公益信託のうち所得税法施行令(昭和40年政令第96号)第217条の2第1項各号に掲げる要件を満たすものに関する権利の価額は零として取り扱うものとする。(平19課資2-5、課審6-3追加)
(注) 9の4-2参照
(生命保険信託)
9の2-7 いわゆる生命保険信託に関する権利については、生命保険契約に関する規定(法第3条及び第5条)の適用があることに留意する。(平19課資2-5、課審6-3追加)


第9条の3《受益者連続型信託の特例》関係
(受益者連続型信託に関する権利の価額)
9の3-1 受益者連続型信託に関する権利の価額は、例えば、次の場合には、次に掲げる価額となることに留意する。(平19課資2-5、課審6-3追加)

(1) 受益者連続型信託に関する権利の全部を適正な対価を負担せず取得した場合 信託財産の全部の価額

(2) 受益者連続型信託で、かつ、受益権が複層化された信託(以下9の3─3までにおいて「受益権が複層化された受益者連続型信託」という。)に関する収益受益権の全部を適正な対価を負担せず取得した場合 信託財産の全部の価額

(3) 受益権が複層化された受益者連続型信託に関する元本受益権の全部を適正な対価を負担せず取得した場合(当該元本受益権に対応する収益受益権について法第9条の3第1項ただし書の適用がある場合又は当該収益受益権の全部若しくは一部の受益者等が存しない場合を除く。) 零
(注) 法第9条の3の規定の適用により、上記(2)又は(3)の受益権が複層化された受益者連続型信託の元本受益権は、価値を有しないとみなされることから、相続税又は贈与税の課税関係は生じない。ただし、当該信託が終了した場合において、当該元本受益権を有する者が、当該信託の残余財産を取得したときは、法第9条の2第4項の規定の適用があることに留意する。
(受益権が複層化された受益者連続型信託に関する元本受益権の全部又は一部を有する法人の株式の時価の算定)
9の3-2 受益権が複層化された受益者連続型信託で、個人がその収益受益権の全部又は一部を、法人(当該収益受益権を有する個人が当該法人の株式(出資を含む。)を有する場合に限る。)がその元本受益権の全部又は一部をそれぞれ有している場合において、当該個人の死亡に基因して、当該個人から当該法人の株式を相続又は遺贈により取得した者の相続税の課税価格の計算に当たっては、当該株式の時価の算定における昭和39年4月25日付直資56ほか1課共同「財産評価基本通達」(以下「評価基本通達」という。) 185((純資産価額))の計算上、当該法人の有する当該受益者連続型信託に関する元本受益権(当該死亡した個人が有していた当該受益者連続型信託に関する収益受益権に対応する部分に限る。)の価額は零として取り扱う。(平19課資2-5、課審6-3追加)
(法第9条の3第1項本文又は法令第1条の12第3項の規定の適用がある場合の信託財産責任負担債務の帰属)
9の3-3 信託財産責任負担債務(信託法第2条第9項((定義))に規定する信託財産責任負担債務をいう。以下「信託財産責任負担債務」という。)は、次に掲げる場合には、次に掲げる信託に関する権利に帰属することに留意する。(平19課資2-5、課審6-3追加)
(1) 信託財産責任負担債務に係る信託に関する権利について法第9条の3第1項本文の規定の適用がある場合 同項本文に規定する制約が付されていないものとみなされた受益者連続型信託に関する権利

(2) 信託財産責任負担債務に係る信託に関する権利について法令第1条の12第3項の規定の適用がある場合 同項各号に規定する受益者等が有するものとみなされた信託に関する権利

第9条の4《受益者等が存しない信託等の特例》関係
(目的信託についての法第1章第3節の規定の不適用)
9の4-1 信託法第258条第1項((受益者の定めのない信託の要件))に規定する受益者の定め(受益者を定める方法の定めを含む。)のない信託で、かつ、特定委託者の存しないものについては、相続税法第1章第3節の規定の適用がないことに留意する。(平19課資2-5、課審6-3追加)

(受益者等が存しない信託の委託者が死亡した場合)
9の4-2 受益者等が存しない信託の委託者が死亡した場合には、法第9条の4第1項の規定の適用により当該信託の受託者が当該信託に関する権利を遺贈によって取得したものとみなされる場合を除き、当該信託に関する権利は当該死亡した委託者の相続税の課税財産を構成しないことに留意する。(平19課資2-5、課審6-3追加)

(受益者等が存しない信託の受益者等となる者)
9の4-3 法第9条の4第1項に規定する「当該信託の受益者等となる者」又は第2項に規定する「当該受益者等の次に受益者等となる者」が複数名存する場合で、そのうちに1人でも当該信託の委託者(同項の次に受益者等となる者の前の受益者等を含む。)の親族(令第1条の9に規定する者をいう。以下9の5-1において同じ。)が存するときは、法第9条の4第1項又は第2項の規定の適用があることに留意する。(平19課資2-5、課審6-3追加)

(受益者等が存しない信託の受託者が死亡した場合)
9の4-4 法第9条の4第1項又は第2項の規定の適用により、信託に関する権利を贈与又は遺贈により取得したものとみなされた受託者が死亡した場合であっても、当該信託に関する権利については、当該死亡した受託者の相続税の課税財産を構成しないことに留意する。 (平19課資2-5、課審6-3追加)


(法第9条の5の規定の適用がある場合)
9の5-1 受益者等が存しない信託については、法第9条の4第1項又は第2項の規定の適用の有無にかかわらず、当該信託について受益者等(同条第1項又は第2項の信託の残余財産の給付を受けることとなる者及び同項の次に受益者等となる者を含む。)が存することとなり、かつ、当該受益者等が、当該信託の契約締結時(令第1条の11各号に規定する時をいう。)における委託者の親族であるときは、法第9条の5の規定の適用があることに留意する。(平19課資2-5、課審6-3追加)


(信託が合意等により終了した場合)
9-13 法第9条の3第1項に規定する受益者連続型信託(以下「受益者連続型信託」という。)以外の信託(令第1条の6に規定する信託を除く。以下同じ。)で、当該信託に関する収益受益権(信託に関する権利のうち信託財産の管理及び運用によって生ずる利益を受ける権利をいう。以下同じ。)を有する者(以下「収益受益者」という。)と当該信託に関する元本受益権(信託に関する権利のうち信託財産自体を受ける権利をいう。以下同じ。)を有する者(以下「元本受益者」という。)とが異なるもの(以下9の3-1において「受益権が複層化された信託」という。)が、信託法(平成18年法律第108号。以下「信託法」という。)第164条((委託者及び受益者の合意等による信託の終了))の規定により終了した場合には、原則として、当該元本受益者が、当該終了直前に当該収益受益者が有していた当該収益受益権の価額に相当する利益を当該収益受益者から贈与によって取得したものとして取り扱うものとする。 (平19課資2-5、課審6-3追加)

贈与税
(信託財産である居住用不動産についての贈与税の配偶者控除の適用)
21の6-9 受贈配偶者の取得した信託に関する権利(法第9条の2第6項ただし書に規定する信託に関する権利及び法第9条の4第1項又は第2項の規定により贈与により取得したものとみなされる信託に関する権利を除く。)で、当該信託の信託財産に属する資産が次に掲げるいずれかのものである場合には、当該信託に関する権利(次に掲げるいずれかのものに対応する部分に限る。)は、居住用不動産に該当することに留意する。(平19課資2-5、課審6-3追加)
(1) 当該信託の信託財産に属する土地等又は家屋が居住用不動産に該当するもの

(2) 当該信託の委託者である受贈配偶者が信託した金銭により、当該信託の受託者が、信託財産として取得した土地等又は家屋(当該信託の委託者である受贈配偶者が信託した金銭(法第21条の6第1項に規定する配偶者から贈与により取得した金銭に限る。)により取得したもので、かつ、当該金銭に対応する部分に限る。)が居住用不動産に該当するもの
 
この場合において、受贈配偶者が、法第21条の6第2項の規定により贈与税の申告書に添付すべき法施行規則第9条第2号に掲げる居住用不動産に関する登記事項証明書については、当該土地等又は家屋に係る信託目録が含まれたものが必要であることに留意する。


第三節 信託に関する特例
(退職年金の支給を目的とする信託等の範囲)
第一条の六  法第九条の二第一項 に規定する政令で定めるものは、次に掲げる信託とする。
一  確定給付企業年金法第六十五条第三項 (事業主の積立金の管理及び運用に関する契約)に規定する資産管理運用契約に係る信託
二  確定拠出年金法第八条第二項 (資産管理契約の締結)に規定する資産管理契約に係る信託
三  第一条の三第八号に規定する適格退職年金契約に係る信託
四  前三号に掲げる信託に該当しない退職給付金に関する信託で、その委託者の使用人(法人の役員を含む。)又はその遺族を当該信託の受益者とするもの
(信託の変更をする権限)
第一条の七  法第九条の二第五項 に規定する政令で定めるものは、信託の目的に反しないことが明らかである場合に限り信託の変更をすることができる権限とする。
2  法第九条の二第五項 に規定する信託の変更をする権限には、他の者との合意により信託の変更をすることができる権限を含むものとする。

(受益者連続型信託)
第一条の八  法第九条の三第一項 に規定する政令で定めるものは、次に掲げる信託とする。
一  受益者等(法第九条の二第一項 に規定する受益者等をいう。以下この節において同じ。)の死亡その他の事由により、当該受益者等の有する信託に関する権利が消滅し、他の者が新たな信託に関する権利(当該信託の信託財産を含む。以下この号及び次号において同じ。)を取得する旨の定め(受益者等の死亡その他の事由により順次他の者が信託に関する権利を取得する旨の定めを含む。)のある信託(信託法 (平成十八年法律第百八号)第九十一条 (受益者の死亡により他の者が新たに受益権を取得する旨の定めのある信託の特例)に規定する信託を除く。)
二  受益者等の死亡その他の事由により、当該受益者等の有する信託に関する権利が他の者に移転する旨の定め(受益者等の死亡その他の事由により順次他の者に信託に関する権利が移転する旨の定めを含む。)のある信託
三  信託法第九十一条 に規定する信託及び同法第八十九条第一項 (受益者指定権等)に規定する受益者指定権等を有する者の定めのある信託並びに前二号に掲げる信託以外の信託でこれらの信託に類するもの

(親族の範囲)
第一条の九  法第九条の四第一項 に規定する政令で定める者は、次に掲げる者とする。
一  六親等内の血族
二  配偶者
三  三親等内の姻族
四  当該信託の受益者等となる者(法第九条の四第一項 又は第二項 の信託の残余財産の給付を受けることとなる者及び同項 の次に受益者等となる者を含む。)が信託の効力が生じた時(同項 に規定する受益者等が不存在となつた場合に該当することとなつた時及び法第九条の五 に規定する契約締結時等を含む。次号において同じ。)において存しない場合には、その者が存するものとしたときにおいて前三号に掲げる者に該当する者
五  当該信託の委託者(法第九条の四第二項 の次に受益者等となる者の前の受益者等を含む。)が信託の効力が生じた時において存しない場合には、その者が存するものとしたときにおいて第一号から第三号までに掲げる者に該当する者
(受益者等が存しない信託等の受託者の贈与税額又は相続税額の計算)
第一条の十  法第九条の四第一項 又は第二項 の信託の受託者については、これらの規定により贈与(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。以下同じ。)により取得したものとみなされる当該信託に関する権利及び当該信託に関する権利以外の贈与により取得した財産ごとに、それぞれ別の者とみなして、贈与税額を計算する。この場合において、当該信託に関する権利に係る贈与税額の計算については、法第二十一条の二第四項 、第二十一条の四及び第二十一条の六並びに第二章第三節の規定は適用しない。
2  法第九条の四第一項 又は第二項 の規定の適用を受ける信託が二以上ある場合において、当該信託の受託者が同一であるときは、信託ごとにそれぞれ別の者とみなして前項の規定を適用する。ただし、委託者が同一である信託については、この限りでない。

3  法第九条の四第一項 又は第二項 の規定の適用を受ける信託が二以上ある場合において、当該信託の受託者が二以上であるときは、委託者が同一である信託の受託者に係る贈与税については、前二項に定めるもののほか、次に定めるところによる。
一  法第二十一条の二 及び第二十一条の五 の規定の適用については、法第九条の四第一項 又は第二項 の規定の適用を受ける信託で委託者が同一であるものの受託者は、一の者とみなす。
二  前号の規定により一の者とみなされた信託の受託者が贈与税を納める場合においては、それぞれの受託者ごとに贈与税を納めるものとする。
三  前号の場合において、法第二十一条の七 、第二十一条の八及び第二十八条の規定の適用については、法第二十一条の七 中「前二条」とあるのは「相続税法施行令(昭和二十五年政令第七十一号)第一条の十第三項第一号の規定の適用を受けた第二十一条の五」と、「金額と」とあるのは「金額に同項の規定の適用を受ける信託に関する権利に係る課税価格に算入すべき価額の合計額のうちに一の受託者に係る当該信託に関する権利に係る課税価格に算入すべき価額の占める割合を乗じて算出した金額と」と、法第二十一条の八 中「前条」とあるのは「相続税法施行令第一条の十第三項第三号の規定により読み替えられた前条」と、「贈与税の」とあるのは「同条の一の受託者に係る贈与税の」と、法第二十八条第一項 中「、第二十一条の七及び第二十一条の八」とあるのは「並びに相続税法施行令第一条の十第三項第三号の規定により読み替えられた第二十一条の七及び第二十一条の八」とする。

4  法第九条の四第一項 又は第二項 の信託の受託者については、これらの規定により当該信託の委託者又は同項 の次に受益者等となる者の前の受益者等(以下この項において「信託に係る被相続人」という。)から遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下同じ。)により取得したものとみなされる当該信託に関する権利及び当該信託に関する権利以外の当該信託に係る被相続人から相続又は遺贈により取得した財産ごとに、それぞれ別の者とみなして、相続税額を計算する。この場合において、法第二章第一節 及び第二十六条 の規定の適用については、次に定めるところによる。
一  当該信託の受託者が当該信託の信託に係る被相続人の相続人である場合には、当該信託に係る被相続人から遺贈により取得したものとみなされる信託に関する権利に係る受託者の数は、法第十五条第二項 の相続人の数に算入しない。
二  法第十八条 の規定の適用については、同条第一項 中「相続税額は、」とあるのは、「相続税額及び第九条の四第一項又は第二項の規定により信託の受託者が遺贈により取得したものとみなされる当該信託に関する権利に係る相続税額は、」とする。
三  当該信託に関する権利に係る相続税額の計算については、法第十九条 から第二十条 まで及び第二十六条 の規定は適用しない。

5  前各項の規定により計算した贈与税額又は相続税額については、次に掲げる税額の合計額(当該税額の合計額が当該贈与税額又は相続税額を超えるときには、当該贈与税額又は相続税額に相当する額)を控除するものとする。
一  法第九条の四第一項 又は第二項 の規定により贈与又は遺贈により取得したものとみなされる信託に関する権利の価額から翌期控除事業税相当額(当該価額を当該信託の受託法人(法人税法第四条の七 (受託法人等に関するこの法律の適用)に規定する受託法人をいう。以下この項において同じ。)の事業年度の所得とみなして地方税法 (昭和二十五年法律第二百二十六号)の規定を適用して計算した事業税の額をいう。)を控除した価額を当該信託の受託法人の事業年度の所得とみなして法人税法 の規定を適用して計算した法人税の額及び地方税法 の規定を適用して計算した事業税の額
二  前号の規定により計算した当該信託の受託法人の法人税の額を基に地方法人税法 (平成二十六年法律第十一号)の規定を適用して計算した地方法人税の額並びに地方税法 の規定を適用して計算した道府県民税の額及び市町村民税の額

6  法第九条の四第一項 の規定の適用を受ける信託(同項 又は同条第二項 の規定の適用を受けることが見込まれる信託を含む。以下この項及び次項において「特定信託」という。)をする委託者は、当該特定信託以外の特定信託(以下この項及び次項において「従前特定信託」という。)をしている場合には、当該特定信託をする際に、当該特定信託の受託者に対して、当該従前特定信託の受託者の名称又は氏名、住所その他の財務省令で定める事項を通知しなければならない。

7  前項の場合において、特定信託をした委託者は、当該特定信託をした後遅滞なく、従前特定信託の受託者に対して、当該特定信託の受託者の名称又は氏名、住所その他の財務省令で定める事項を通知しなければならない。

8  二以上の信託に関する権利に係る贈与税額が第一項及び第二項の規定により一の者の贈与税として計算される場合において、各信託に関する権利に係る信託財産責任負担債務(信託法第二条第九項 (定義)に規定する信託財産責任負担債務をいう。以下この条において同じ。)の額は、一の者の贈与税として第一項、第二項及び第五項の規定により算出した贈与税額(法第二十一条の八 の規定による控除前の税額とする。)に各信託に関する権利に係る課税価格に算入すべき価額の合計額のうちに各信託に関する権利に係る課税価格に算入すべき価額の占める割合を乗じて算出した金額(各信託に関する権利について法第二十一条の八 の規定の適用がある場合には、当該金額から同条 の規定により控除すべき金額を控除した金額)とする。

9  前項の場合において、二以上の信託に係る受託者が法第二十八条 の規定により申告書を提出するときは、各信託の信託財産の種類、課税価格に算入すべき価額、同項の規定により計算した各信託に係る信託財産責任負担債務の額その他の財務省令で定める事項を記載した明細書を添付しなければならない。

10  二以上の信託に関する権利に係る相続税額が第四項の規定により一の者の相続税として計算される場合において、各信託に関する権利に係る信託財産責任負担債務の額及び法第二十七条 の規定による相続税の申告書の提出については、前二項の規定を準用する。この場合において、第八項中「贈与税として第一項、第二項」とあるのは「相続税として第四項」と、「贈与税額(」とあるのは「相続税額(」と、「第二十一条の八」とあるのは「第二十条の二」と読み替えるものとする。

(契約締結時等の範囲)
第一条の十一  法第九条の五 に規定する政令で定める時は、次の各号に掲げる信託の区分に応じ当該各号に定める時とする。
一  信託法第三条第一号 (信託の方法)に掲げる方法によつてされる信託 委託者となるべき者と受託者となるべき者との間の信託契約の締結の時
二  信託法第三条第二号 に掲げる方法によつてされる信託 遺言者の死亡の時
三  信託法第三条第三号 に掲げる方法によつてされる信託 次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める時
イ 公正証書又は公証人の認証を受けた書面若しくは電磁的記録(イ及びロにおいて「公正証書等」と総称する。)によつてされる場合 当該公正証書等の作成の時
ロ 公正証書等以外の書面又は電磁的記録によつてされる場合 受益者となるべき者として指定された第三者(当該第三者が二人以上ある場合にあつては、その一人)に対する確定日付のある証書による当該信託がされた旨及びその内容の通知の時

(受益者等が存しない信託の受託者の住所等)
第一条の十二  法第九条の四第一項 又は第二項 の信託の受託者について法第一条の三 及び第一条の四 の規定を適用する場合には、次に定めるところによる。
一  法第九条の四第一項 又は第二項 の信託の受託者の住所は、当該信託の引受けをした営業所、事務所その他これらに準ずるものの所在地にあるものとする。
二  法第九条の四第一項 又は第二項 の信託の受託者は、法第一条の三第一項第二号 又は第一条の四第一項第二号 の規定の適用については、日本国籍を有するものとする。

2  法第一条の四 の規定の適用については、法第九条の五 の個人の住所は同条 の委託者の住所にあるものとみなす。

3  受益者等の有する信託に関する権利が当該信託に関する権利の全部でない場合における法第一章第三節 の規定の適用については、次に定めるところによる。
一  当該信託についての受益者等が一である場合には、当該信託に関する権利の全部を当該受益者等が有するものとする。
二  当該信託についての受益者等が二以上存する場合には、当該信託に関する権利の全部をそれぞれの受益者等がその有する権利の内容に応じて有するものとする。

4  停止条件が付された信託財産の給付を受ける権利を有する者は、法第九条の二第五項 に規定する信託財産の給付を受けることとされている者に該当するものとする。

5  法第九条の二第六項 本文の規定は、法第九条の四第一項 若しくは第二項 の信託の受託者又は法第九条の五 の受益者等となる者が、これらの規定により信託に関する権利を取得したものとみなされる場合について準用する。


6  法第九条の四 の規定により信託の受託者が贈与税又は相続税を納める場合(第一条の十第一項から第五項までの規定により贈与税額又は相続税額を計算する場合を含む。)において、一の信託について受託者が二以上あるときは、当該信託の信託事務を主宰する受託者が納税義務者として当該贈与税又は相続税を納めるものとする。

7  前項の場合において、同項の信託に関する権利は、当該信託の信託事務を主宰する受託者が有するものとみなす。

8  前二項の規定により第六項の信託の信託事務を主宰する受託者が納めるものとされている贈与税又は相続税については、法人税法第百五十二条 (受託者の連帯納付の責任)の規定を準用する。

9  法第三十四条第一項 及び第二項 の規定は、第六項の規定により相続税を納める同項の信託の信託事務を主宰する受託者以外の受託者に適用があるものとする。
    第四節 財産の所在
(預金、貯金、積金及び寄託金)
第一条の十三  法第十条第一項第四号 に規定する金融機関に対する預金、貯金、積金又は寄託金は、次に掲げるものとする。
一  銀行、無尽会社又は株式会社商工組合中央金庫に対する預金、貯金又は積金
二  農業協同組合、農業協同組合連合会、水産業協同組合、信用協同組合、信用金庫又は労働金庫に対する預金、貯金又は積金

(貸付金債権の所在の基準となる債務者)
第一条の十四  法第十条第一項第七号 に規定する債務者が二以上ある貸付金債権についての同号 に規定する一の債務者は、当該貸付金債権の債務者のうちに法の施行地に住所又は本店若しくは主たる事務所を有する者があるときは、その者(その者が二以上あるときは、いずれか一の者)とし、当該貸付金債権の債務者のうちに法の施行地に住所又は本店若しくは主たる事務所を有する者がないときは、当該債務者とする。

(有価証券)
第一条の十五  法第十条第一項第八号 に規定する政令で定める有価証券は、外国預託証券(株主との間に締結した契約に基づき株券の預託を受けた者が外国において発行する有価証券で、その株式に係る権利を表示するものをいう。)とする。

2  法第十条第一項第八号 に規定する政令で定める法人は、前項の外国預託証券に係る株式の発行法人とする。
   第二章 課税価格及び控除等
    第一節 課税価格及び控除
(相続又は遺贈に係る財産につき相続税を課されない公益事業を行う者の範囲)
第二条  法第十二条第一項第三号 に規定する宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者は、専ら社会福祉法 (昭和二十六年法律第四十五号)第二条 (定義)に規定する社会福祉事業、更生保護事業法 (平成七年法律第八十六号)第二条第一項 (定義)に規定する更生保護事業、児童福祉法 (昭和二十二年法律第百六十四号)第六条の三第九項 (定義)に規定する家庭的保育事業、同条第十項 に規定する小規模保育事業又は同条第十二項 に規定する事業所内保育事業、学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)第一条 (学校の範囲)に規定する学校又は就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律 (平成十八年法律第七十七号)第二条第六項 (定義)に規定する認定こども園を設置し、運営する事業その他の宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業で、その事業活動により文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するところが著しいと認められるものを行う者とする。ただし、その者が個人である場合には第一号に掲げる事実、その者が法第六十六条第一項 に規定する人格のない社団又は財団(以下この条において「社団等」という。)である場合には第二号 及び第三号 に掲げる事実がない場合に限る。
一  その者若しくはその親族その他その者と法第六十四条第一項 に規定する特別の関係(以下この条において「特別関係」という。)がある者又は当該財産の相続に係る被相続人若しくは当該財産の遺贈をした者若しくはこれらの者の親族その他これらの者と特別関係がある者に対してその事業に係る施設の利用、余裕金の運用、金銭の貸付け、資産の譲渡、給与の支給その他財産の運用及び事業の運営に関し特別の利益を与えること。
二  当該社団等の役員その他の機関の構成、その選任方法その他当該社団等の事業の運営の基礎となる重要事項について、その事業の運営が特定の者又はその親族その他その特定の者と特別関係がある者の意思に従つてなされていると認められる事実があること。
三  当該社団等の機関の地位にある者、当該財産の遺贈をした者又はこれらの者の親族その他これらの者と特別関係がある者に対して当該社団等の事業に係る施設の利用、余裕金の運用、解散した場合における財産の帰属、金銭の貸付け、資産の譲渡、給与の支給、当該社団等の機関の地位にある者への選任その他財産の運用及び事業の運営に関し特別の利益を与えること。

(心身障害者共済制度の範囲)
第二条の二  法第十二条第一項第四号 及び第二十一条の三第一項第五号 に規定する政令で定める共済制度は、所得税法施行令第二十条第二項 (地方公共団体が実施する共済制度)に規定する共済制度とする。

(債務控除をする公租公課の金額)
第三条  法第十四条第二項 に規定する政令で定める公租公課の額は、被相続人(遺贈をした者を含む。以下同じ。)の死亡の際納税義務が確定しているもののほか、被相続人の死亡後相続税の納税義務者が納付し、又は徴収されることとなつた次に掲げる税額とする。ただし、相続人(法第三条第一項 に規定する相続人をいい、包括受遺者を含む。以下同じ。)の責めに帰すべき事由により納付し、又は徴収されることとなつた延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税に相当する税額(地方税法 の規定による督促手数料、延滞金、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金及び滞納処分費の額を含む。)を含まないものとする。
一  被相続人の所得に対する所得税額
二  被相続人が相続若しくは遺贈又は贈与により取得した財産に対する相続税額又は贈与税額
三  被相続人が有していた地価税法 (平成三年法律第六十九号)第二条第一号 (定義)に規定する土地等に対する地価税の額
四  被相続人が資産再評価法 (昭和二十五年法律第百十号)第三条 (基準日)に規定する基準日において有していた資産につき同法第八条第一項 (個人の減価償却資産の再評価)(同法第十条第一項 (非事業用資産を事業の用に供した場合の再評価)において準用する場合を含む。)若しくは第十六条第一項 から第三項 まで(死亡の場合の再評価の承継)の規定により再評価を行い、又は同法第八条第二項 (同法第十条第三項 において準用する場合を含む。)若しくは第九条 (個人の減価償却資産以外の資産の再評価)の規定により再評価が行われたものとみなされた場合における当該再評価に係る再評価税額
五  被相続人が受けた登記、登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定若しくは技能証明に係る登録免許税又は被相続人が受けた自動車検査証の交付若しくは返付若しくは軽自動車についての車両番号の指定に係る自動車重量税につき納税の告知を受けた税額
六  被相続人の行つた消費税法 (昭和六十三年法律第百八号)第二条第一項第八号 (定義)に規定する資産の譲渡等(同項第八号の二 に規定する特定資産の譲渡等に該当するものを除く。)若しくは同法第四条第一項 (課税の対象)に規定する特定仕入れ又は当該被相続人の引き取る同法第二条第一項第十号 に規定する外国貨物に係る消費税の額
七  被相続人が移出し、又は引き取る酒類、製造たばこ、揮発油、石油ガス税法 (昭和四十年法律第百五十六号)に規定する課税石油ガス又は石油石炭税法 (昭和五十三年法律第二十五号)に規定する原油、石油製品、ガス状炭化水素若しくは石炭に係る酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税又は石油石炭税の額
八  被相続人により航空機に積み込まれた航空機燃料に係る航空機燃料税の額
九  被相続人が印紙税法 (昭和四十二年法律第二十三号)第十一条第一項 (書式表示による申告及び納付の特例)又は第十二条第一項 (預貯金通帳等に係る申告及び納付等の特例)の承認を受けて作成した課税文書に係る印紙税の額
十  被相続人が負担すべきであつた地方税法第一条第一項第十四号 (用語)に規定する地方団体の徴収金(都及び特別区のこれに相当する徴収金を含む。)の額

2  前項第一号に掲げる税額には、被相続人の相続人が所得税法 (昭和四十年法律第三十三号)第百三十七条の三第二項 (贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)(同条第三項 の規定により適用する場合を含む。第八条第三項において同じ。)の規定の適用を受ける場合における同法第百三十七条の三第二項 に規定する相続等納税猶予分の所得税額を含まない。ただし、当該相続人がその後納付することとなつた当該相続等納税猶予分の所得税額については、この限りでない。

(特別養子縁組等による養子に準ずる者の範囲)
第三条の二  法第十五条第三項第一号 に規定する政令で定める者は、同号 に規定する被相続人と当該被相続人の配偶者との婚姻前に当該被相続人の配偶者の同号 に規定する特別養子縁組による養子となつた者で、当該婚姻後に当該被相続人の養子となつたものとする。

(相続税額から控除する贈与税相当額等)
第四条  法第十九条 の規定により控除する贈与税の税額に相当する金額は、同条第一項 に規定する贈与により財産を取得した者に係る当該取得の日の属する年分の贈与税額に、当該財産の価額の合計額のうち同条 の規定により相続税の課税価格に加算された部分の金額が当該年分の贈与税の課税価格に算入された財産の価額の合計額のうちに占める割合を乗じて算出した金額とする。
2  法第十九条第二項第二号 に規定する政令で定める場合は、同号 の被相続人の配偶者が、法第二十七条第一項 の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書及びこれらの申告書に係る修正申告書を含む。)又は国税通則法 (昭和三十七年法律第六十六号)第二十三条第三項 (更正の請求)に規定する更正請求書に、法第十九条第二項 に規定する居住用不動産又は金銭につきこれらの財産の価額を贈与税の課税価格に算入する旨その他財務省令で定める事項を記載し、財務省令で定める書類を添付して、これを提出した場合とする。

(配偶者に対する相続税額の軽減の場合の財産分割の特例)
第四条の二  法第十九条の二第二項 に規定する政令で定めるやむを得ない事情がある場合は、次の各号に掲げる場合とし、同項 に規定する政令で定める日は、これらの場合の区分に応じ当該各号に定める日とする。
一  当該相続又は遺贈に係る法第十九条の二第二項 に規定する申告期限(以下次項までにおいて「申告期限」という。)の翌日から三年を経過する日において、当該相続又は遺贈に関する訴えの提起がされている場合(当該相続又は遺贈に関する和解又は調停の申立てがされている場合において、これらの申立ての時に訴えの提起がされたものとみなされるときを含む。) 判決の確定又は訴えの取下げの日その他当該訴訟の完結の日
二  当該相続又は遺贈に係る申告期限の翌日から三年を経過する日において、当該相続又は遺贈に関する和解、調停又は審判の申立てがされている場合(前号又は第四号に掲げる場合に該当することとなつた場合を除く。) 和解若しくは調停の成立、審判の確定又はこれらの申立ての取下げの日その他これらの申立てに係る事件の終了の日
三  当該相続又は遺贈に係る申告期限の翌日から三年を経過する日において、当該相続又は遺贈に関し、民法 (明治二十九年法律第八十九号)第九百七条第三項 (遺産の分割の協議又は審判等)若しくは第九百八条 (遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)の規定により遺産の分割が禁止され、又は同法第九百十五条第一項 ただし書(相続の承認又は放棄をすべき期間)の規定により相続の承認若しくは放棄の期間が伸長されている場合(当該相続又は遺贈に関する調停又は審判の申立てがされている場合において、当該分割の禁止をする旨の調停が成立し、又は当該分割の禁止若しくは当該期間の伸長をする旨の審判若しくはこれに代わる裁判が確定したときを含む。) 当該分割の禁止がされている期間又は当該伸長がされている期間が経過した日
四  前三号に掲げる場合のほか、相続又は遺贈に係る財産が当該相続又は遺贈に係る申告期限の翌日から三年を経過する日までに分割されなかつたこと及び当該財産の分割が遅延したことにつき税務署長においてやむを得ない事情があると認める場合 その事情の消滅の日


2  法第十九条の二第二項 に規定する相続又は遺贈に関し同項 に規定する政令で定めるやむを得ない事情があることにより同項 の税務署長の承認を受けようとする者は、当該相続又は遺贈に係る申告期限後三年を経過する日の翌日から二月を経過する日までに、その事情の詳細その他財務省令で定める事項を記載した申請書を当該税務署長に提出しなければならない。

3  税務署長は、前項の申請書の提出があつた場合において、承認又は却下の処分をするときは、その申請をした者に対し、書面によりその旨を通知する。

4  第二項の申請書の提出があつた場合において、当該申請書の提出があつた日の翌日から二月を経過する日までにその申請につき承認又は却下の処分がなかつたときは、その日においてその承認があつたものとみなす。

(扶養義務者の未成年者控除)
第四条の三  法第十九条の三第二項 の規定による控除を受けることができる扶養義務者が二人以上ある場合においては、各扶養義務者が同項 の規定による控除を受けることができる金額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める金額とする。
一  扶養義務者の全員が、協議によりその全員が控除を受けることができる金額の総額を各人ごとに配分してそれぞれその控除を受ける金額を定め、当該控除を受ける金額を記載した法第二十七条 又は第二十九条 の規定による申告書(これらの申告書に係る期限後申告書を含む。)を提出した場合 これらの申告書に記載した金額
二  前号に掲げる場合以外の場合 扶養義務者の全員が控除を受けることができる金額の総額を、各人が法第十九条の三第二項 に規定する相続又は遺贈により取得した財産の価額につき法第十五条 から第十九条の二 までの規定により算出した金額によりあん分して計算した金額

(障害者の範囲等)
第四条の四  法第十九条の四第二項 に規定する精神又は身体に障害がある者で政令で定めるものは、次に掲げる者とする。
一  所得税法施行令第十条第一項第一号 から第五号 まで及び第七号 (障害者及び特別障害者の範囲)に掲げる者
二  所得税法施行令第十条第一項第六号 に掲げる者のうち、その障害の程度が同項第一号 又は第三号 に掲げる者に準ずるものとして同項第七号 に規定する市町村長等の認定を受けている者

2  法第十九条の四第二項 に規定する精神又は身体に重度の障害がある者で政令で定めるものは、次に掲げる者とする。
一  所得税法施行令第十条第二項第一号 から第四号 まで及び第六号 に掲げる者
二  所得税法施行令第十条第一項第五号 に掲げる者
三  前項第二号に掲げる者のうち、その障害の程度が所得税法施行令第十条第二項第一号 又は第三号 に掲げる者に準ずるものとして同条第一項第七号 に規定する市町村長等の認定を受けている者

3  前条の規定は、法第十九条の四第三項 において準用する法第十九条の三第二項 の規定による控除を受けることができる扶養義務者が二人以上ある場合について準用する。この場合において、前条第二号中「法第十九条の三第二項 」とあるのは「法第十九条の四第三項 において準用する法第十九条の三第二項 」と、「第十九条の二」とあるのは「第十九条の三」と読み替えるものとする。

4  法第十九条の四第三項 において準用する法第十九条の三第三項 の規定を適用する場合において、法第十九条の四第一項 の規定に該当する一般障害者(同項 に規定する障害者のうち同項 に規定する特別障害者(以下この項において「特別障害者」という。)以外の者をいう。以下この項において同じ。)又は特別障害者が、これらの者又はこれらの者の扶養義務者について既に同条第一項 又は同条第三項 において準用する法第十九条の三第二項 の規定による控除を受けたことがあり、かつ、その控除を受けた時においてはそれぞれ一般障害者又は特別障害者に該当する者であつたときは、法第十九条の四第三項 において準用する法第十九条の三第三項 の規定により控除を受けることができる金額は、既に控除を受けた金額の合計額が次に掲げる金額の合計額に満たなかつた場合におけるその満たなかつた部分の金額の範囲内に限るものとする。
一  当該相続(遺贈を含む。次号において同じ。)により財産を取得した一般障害者又は特別障害者につき法第十九条の四第一項 の規定により控除を受けることができる金額
二  前号の一般障害者又は特別障害者につき、同号の相続の開始前に開始した相続(法第十九条の四 の規定の適用に係るものに限る。以下この号において「前の相続」という。)の時における一般障害者又は特別障害者の区分に応じ、当該前の相続開始の時から前号の相続開始の時までの期間に相当する年数を同条第一項 に規定する八十五歳に達するまでの年数とみなして同項 の規定を適用した場合に控除を受けることができる金額(前の相続が二回以上ある場合には、当該前の相続ごとに、当該前の相続開始の時から同条 の規定の適用に係るその直後の相続開始の時までの期間に相当する年数を当該八十五歳に達するまでの年数とみなして同項 の規定を適用した場合に控除を受けることができる金額の合計額)
(年の中途において課税財産の範囲が異なることとなつた場合の贈与税の課税価格)

第四条の四の二  法第二十一条の二第三項 に規定する住所を有していなかつた期間内に贈与により取得した財産で政令で定めるものは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める財産とする。
一  贈与により財産を取得した者が当該贈与により財産を取得した時において法第一条の四第一項第二号 の規定に該当する者である場合 当該贈与により取得した財産
二  贈与により財産を取得した者が当該贈与により財産を取得した時において法第一条の四第一項第三号 の規定に該当する者である場合 当該贈与により取得した財産で法の施行地にあるもの

(贈与財産につき贈与税を課されない公益事業を行う者の範囲)
第四条の五  第二条の規定は、法第二十一条の三第一項第三号 に規定する宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者について準用する。この場合において、第二条第一号中「その者若しくはその親族その他その者と法第六十四条第一項 に規定する特別の関係(以下この条において「特別関係」という。)がある者又は当該財産の相続に係る被相続人若しくは当該財産の遺贈をした者若しくは」とあるのは「その者に当該財産の贈与をした者、その者又は」と、同条第三号中「遺贈をした者」とあるのは「贈与をした者」と読み替えるものとする。

(贈与税の配偶者控除の婚姻期間の計算及び居住用不動産の範囲)
第四条の六  法第二十一条の六第一項 に規定する贈与をした者が同項 に規定する婚姻期間が二十年以上である配偶者に該当するか否かの判定は、同項 の財産の贈与の時の現況によるものとする。

2  法第二十一条の六第一項 に規定する婚姻期間は、同項 に規定する配偶者と当該配偶者からの贈与により同項 に規定する居住用不動産又は金銭を取得した者との婚姻につき民法第七百三十九条第一項 (婚姻の届出)の届出があつた日から当該居住用不動産又は金銭の贈与があつた日までの期間(当該期間中に当該居住用不動産又は金銭を取得した者が当該贈与をした者の配偶者でなかつた期間がある場合には、当該配偶者でなかつた期間を除く。)により計算する。

3  法第二十一条の六第一項 の規定により金銭を取得した者が当該金銭をもつて信託に関する権利(法第九条の二第六項 ただし書に規定する信託に関する権利を除く。)を取得した場合には、当該信託の信託財産に属する資産を取得したものとみなして、法第二十一条の六 の規定を適用する。
    
第二節 特定障害者に対する贈与税の非課税
(用語の意義)
第四条の七  この節において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一  特定障害者、特別障害者、受託者、受託者の営業所等、信託受益権又は障害者非課税信託申告書 それぞれ法第二十一条の四第一項 に規定する特定障害者、特別障害者、受託者、受託者の営業所等、信託受益権又は障害者非課税信託申告書をいう。
二  特定障害者扶養信託契約 法第二十一条の四第二項 に規定する特定障害者扶養信託契約をいう。

(特別障害者以外の特定障害者の範囲)
第四条の八  法第二十一条の四第一項 に規定する精神に障害のある者として政令で定めるものは、次に掲げる者とする。
一  所得税法施行令第十条第一項第一号 及び第二号 (障害者及び特別障害者の範囲)に掲げる者
二  所得税法施行令第十条第一項第七号 に掲げる者のうち、その障害の程度が同項第一号 に掲げる者に準ずるものとして同項第七号 に規定する市町村長等の認定を受けている者

(受託者の範囲)
第四条の九  法第二十一条の四第一項 に規定する信託会社その他の者で政令で定めるものは、信託会社及び信託業務を営む金融機関とする。
(障害者非課税信託申告書の記載事項及び提出)

第四条の十  法第二十一条の四第一項 の規定の適用を受けようとする特定障害者は、同項 に規定する信託がされるごとに、次に掲げる事項を記載した障害者非課税信託申告書に当該障害者非課税信託申告書に係る特定障害者扶養信託契約の契約書の写しその他財務省令で定める書類を添付し、これを当該障害者非課税信託申告書に記載した受託者の営業所等を経由し、当該営業所等において当該特定障害者扶養信託契約に基づいて当該信託がされる日までに、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
一  当該障害者非課税信託申告書を提出する特定障害者の氏名、住所又は居所及び当該特定障害者が特別障害者又は特別障害者以外の特定障害者のいずれに該当するかの別
二  前号の特定障害者を受益者とする特定障害者扶養信託契約に基づく信託の委託者の氏名及び住所又は居所
三  前号の特定障害者扶養信託契約に基づく信託の受託者の名称及び住所並びに当該特定障害者扶養信託契約に基づいて当該特定障害者扶養信託契約に係る財産の信託がされる受託者の営業所等の名称及び所在地並びにその信託がされる年月日
四  第二号の特定障害者扶養信託契約に基づいて信託される財産の種類、数量及び所在場所の明細並びに当該財産に係る信託受益権の価額及びその価額のうち法第二十一条の四第一項 の規定の適用を受けようとする部分の価額
五  既に他の障害者非課税信託申告書を提出している場合には、当該他の障害者非課税信託申告書に係る特定障害者扶養信託契約に基づいて信託された財産の種類、その信託がされた年月日並びに当該財産に係る信託受益権の価額及びその価額のうち法第二十一条の四第一項 の規定の適用を受けた部分の価額
六  その他参考となるべき事項

2  前項の場合において、障害者非課税信託申告書が同項に規定する税務署長に提出されたときは、同項に規定する受託者の営業所等においてこれを受理した日にその提出がされたものとみなす。

(信託財産の範囲)
第四条の十一  法第二十一条の四第二項 に規定する政令で定める財産は、次に掲げるものとする。
一  金銭
二  有価証券
三  金銭債権
四  立木及び当該立木の生立する土地(当該立木とともに信託されるものに限る。)
五  継続的に相当の対価を得て他人に使用させる不動産
六  特定障害者扶養信託契約に基づく信託の受益者である特定障害者の居住の用に供する不動産(当該特定障害者扶養信託契約に基づいて前各号に掲げる財産のいずれかとともに信託されるものに限る。)
(特定障害者扶養信託契約の要件)


第四条の十二  法第二十一条の四第二項 に規定する政令で定める要件は、次に掲げる要件とする。
一  当該特定障害者扶養信託契約に基づく信託は、当該特定障害者扶養信託契約の締結の際における当該信託の受益者である特定障害者の死亡の日に終了することとされていること。
二  当該特定障害者扶養信託契約に、当該特定障害者扶養信託契約に基づく信託は、取消し又は合意による終了ができず、かつ、当該信託の期間及び当該特定障害者扶養信託契約に係る前号の受益者は変更することができない旨の定めがあること。
三  当該特定障害者扶養信託契約に基づく第一号の特定障害者に係る信託財産の交付に係る金銭(収益の分配を含む。)の支払は、当該特定障害者の生活又は療養の需要に応じるため、定期に、かつ、その実際の必要に応じて適切に、行われることとされていること。
四  当該特定障害者扶養信託契約に基づき信託された財産の運用は、安定した収益の確保を目的として適正に行うこととされているものであること。
五  当該特定障害者扶養信託契約に、当該特定障害者扶養信託契約に基づく信託に係る信託受益権については、その譲渡に係る契約を締結し、又はこれを担保に供することができない旨の定めがあること。

(二以上の障害者非課税信託申告書の提出ができる場合)
第四条の十三  法第二十一条の四第三項 に規定する政令で定める場合は、特定障害者の既に提出した障害者非課税信託申告書に係る特定障害者扶養信託契約に基づく信託に係る信託受益権の価額のうち同条第一項 の規定の適用を受けた部分の価額(当該障害者非課税信託申告書が二以上提出されている場合には、これらの申告書に係る当該適用を受けた部分の価額の合計額)が六千万円(特定障害者のうち特別障害者以外の者にあつては、三千万円)に満たない場合において、当該特定障害者が、当該障害者非課税信託申告書に記載された受託者の営業所等において当該特定障害者扶養信託契約に基づき追加して信託される財産に係る信託受益権につき障害者非課税信託申告書を提出するとき、又は当該受託者の営業所等において新たな特定障害者扶養信託契約に基づき信託される財産に係る信託受益権につき障害者非課税信託申告書を提出するときとする。

(障害者非課税信託取消申告書)
第四条の十四  既に提出した障害者非課税信託申告書に係る特定障害者扶養信託契約に基づいて信託された財産の一部につき、信託法第十一条第一項 (詐害信託の取消し等)の規定による取消権の行使があつたこと又は遺留分による減殺の請求があつたことにより当該障害者非課税信託申告書に記載された第四条の十第一項第四号 に規定する信託受益権の価額が減少することとなつた場合には、当該障害者非課税信託申告書を提出した特定障害者は、遅滞なく、その旨、その減少することとなつた理由、当該信託受益権の価額のうち当該減少することとなつた部分の価額(第三項において「信託受益権減価額」という。)その他財務省令で定める事項を記載した申告書を、現に当該信託に関する事務を取り扱う受託者の営業所等を経由し、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
2  前項の規定による申告書(以下この節において「障害者非課税信託取消申告書」という。)が同項に規定する税務署長に提出された場合には、同項に規定する受託者の営業所等においてこれを受理した日にその提出がされたものとみなす。
3  障害者非課税信託取消申告書の提出があつた場合には、当該障害者非課税信託取消申告書に係る障害者非課税信託申告書に記載された第四条の十第一項第四号に規定する信託受益権についての当該提出があつた後における法第二十一条の四 及びこの節の規定の適用については、当該信託受益権の価額のうち当該障害者非課税信託取消申告書に記載された信託受益権減価額に相当する金額(当該金額が当該信託受益権で当該障害者非課税信託申告書の提出により同条第一項 の規定の適用を受けた部分の価額を超える場合には、当該適用を受けた部分の価額に相当する金額)は、同項 の規定の適用を受けた部分の価額に含まれないものとする。

(障害者非課税信託廃止申告書)
第四条の十五  既に提出した障害者非課税信託申告書に係る特定障害者扶養信託契約の締結に関する行為が無効であつたこと若しくは当該行為が取り消すことのできる行為であつたことにより取り消されたこと又は当該特定障害者扶養信託契約に基づいて信託された財産の全部につき遺留分による減殺の請求があつたことにより当該障害者非課税信託申告書に記載された第四条の十第一項第四号に規定する信託受益権がないこととなつた場合には、当該障害者非課税信託申告書を提出した特定障害者は、遅滞なく、その旨その他財務省令で定める事項を記載した申告書を、現に当該信託に関する事務を取り扱う受託者の営業所等を経由し、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

2  前項の規定による申告書(以下この節において「障害者非課税信託廃止申告書」という。)が同項に規定する税務署長に提出された場合には、同項に規定する受託者の営業所等においてこれを受理した日にその提出があつたものとみなす。

3  障害者非課税信託廃止申告書の提出があつた場合には、当該障害者非課税信託廃止申告書に係る障害者非課税信託申告書に記載された第四条の十第一項第四号に規定する信託受益権についての当該提出があつた後における法第二十一条の四 の規定の適用については、同条第一項 の規定の適用がなかつたものとみなす。

(障害者非課税信託に関する異動申告書)
第四条の十六  障害者非課税信託申告書を提出した特定障害者が、その提出後、その住所若しくは居所又は氏名の変更をした場合には、その者は、遅滞なく、その旨その他財務省令で定める事項を記載した申告書を、現に当該障害者非課税信託申告書に係る特定障害者扶養信託契約に基づく信託に関する事務を取り扱う受託者の営業所等を経由し、納税地(住所又は居所を変更したことにより納税地の異動があつた場合には、その異動前の納税地)の所轄税務署長に提出しなければならない。

2  障害者非課税信託申告書を提出した特定障害者が、その提出後、現に当該障害者非課税信託申告書に係る特定障害者扶養信託契約に基づく信託に関する事務を取り扱う受託者の営業所等(以下この項において「前の営業所等」という。)から当該事務の全部を当該受託者の前の営業所等以外の営業所、事務所その他これらに準ずるもので法の施行地にあるもの(以下この条において「受託者の他の営業所等」という。)に移管すべきことを前の営業所等に依頼し、かつ、その移管があつた場合には、当該特定障害者は、遅滞なく、その旨その他財務省令で定める事項を記載した申告書を、前の営業所等を経由し、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

3  前二項の規定による申告書(以下この節において「障害者非課税信託に関する異動申告書」という。)がこれらの規定に規定する税務署長に提出された場合には、これらの規定に規定する受託者の営業所等においてこれを受理した日にその提出がされたものとみなす。

4  第二項の規定による障害者非課税信託に関する異動申告書の提出があつた後においては、当該障害者非課税信託に関する異動申告書を提出した特定障害者に係る第四条の十三の規定の適用については、当該障害者非課税信託に関する異動申告書に係る受託者の他の営業所等は、同条に規定する受託者の営業所等とみなす。

(受託者の変更等があつた場合の申告)
第四条の十七  受託者の変更又は受託者の営業所等の廃止により、既に提出された障害者非課税信託申告書に係る特定障害者扶養信託契約に基づく信託に関する事務の全部が他の受託者の営業所、事務所その他これらに準ずるもので法の施行地にあるもの又は同一の受託者の他の営業所、事務所その他これらに準ずるもので法の施行地にあるもの(以下この条において「移管先の営業所等」という。)に移管された場合には、当該移管先の営業所等の長は、遅滞なく、その旨その他財務省令で定める書類を当該移管先の営業所等の所在地の所轄税務署長に提出しなければならない。

2  前項の規定による書類の提出があつた後においては、同項の障害者非課税信託申告書を提出した特定障害者に係る第四条の十三の規定の適用については、当該書類の提出に係る移管先の営業所等は、同条に規定する受託者の営業所等とみなす。

(受託者の営業所等の障害者非課税信託申告書の税務署長への送付等)
第四条の十八  受託者の営業所等の長は、特定障害者の提出する障害者非課税信託申告書(当該障害者非課税信託申告書に添付された特定障害者扶養信託契約の契約書の写し及び第四条の十第一項に規定する財務省令で定める書類を含む。)、障害者非課税信託取消申告書、障害者非課税信託廃止申告書又は障害者非課税信託に関する異動申告書を受理した場合には、遅滞なく、これらの申告書をその受託者の営業所等の所在地の所轄税務署長に送付しなければならない。

2  前項の場合において、同項の送付を受けた税務署長が同項の申告書の提出先の税務署長でないときは、その送付を受けた税務署長は、遅滞なく、当該申告書をその提出先の税務署長に送付しなければならない。

(受託者の営業所等における障害者非課税信託に関する帳簿書類の整理保存)
第四条の十九  受託者の営業所等の長は、特定障害者から提出された障害者非課税信託申告書に係る特定障害者扶養信託契約に基づいて信託された財産及び当該信託に係る信託受益権につき帳簿を備え、各人別に、その財産及び信託受益権の明細及びその異動並びに当該特定障害者扶養信託契約に基づく当該特定障害者に係る信託財産の交付に係る金銭(収益の分配を含む。)の支払に関する事項を明らかにし、かつ、当該帳簿を財務省令で定めるところにより保存しなければならない。

2  受託者の営業所等の長は、特定障害者の提出する障害者非課税信託申告書(当該障害者非課税信託申告書に添付された第四条の十第一項に規定する財務省令で定める書類を含む。)、障害者非課税信託取消申告書、障害者非課税信託廃止申告書又は障害者非課税信託に関する異動申告書を受理した場合には、財務省令で定めるところにより、これらの申告書の写し(これに準ずるものを含む。)を作成し、これを保存しなければならない。

(障害者非課税信託申告書等の書式)
第四条の二十  障害者非課税信託申告書、障害者非課税信託取消申告書、障害者非課税信託廃止申告書及び障害者非課税信託に関する異動申告書の書式は、財務省令で定める。

信託に関する法人税の通達


探せた分です。

「信託に関する法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)
(平19.6.22 課法2-5他1課共同)


1 法人課税信託に係る所得の金額の計算の通則
第1 法人税基本通達関係
 1 法人課税信託に係る所得の金額の計算の通則
【新設】 (受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託の範囲)
12の6-1-1 法第2条第29号の2イ((法人課税信託))に規定する受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託には、信託法第185条第3項((受益証券の発行に関する信託行為の定め))に規定する受益証券発行信託のほか、例えば、外国法を準拠法とする信託で受益権を表示する証券を発行する旨の定めのあるものが含まれることに留意する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 本通達は、法人税法第2条第29号の2イ((法人課税信託))に規定する「受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託」の範囲を明らかにしている。
 信託法(平成18年法律第108号)(以下「新信託法」という。)においては、これまで貸付信託法などの特別法に基づく貸付信託、投資信託等に限られていた受益権の証券化が一般的に認められることとされ、信託行為において1又は2以上の受益権を表示する証券(以下「受益証券」という。)を発行する旨の定めのある信託(以下「受益証券発行信託」という。)に関する規定が設けられた(新信託法185)。
 また、法人税法においては、法人課税信託として受託法人に法人税が課される信託の一つとして、受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託(集団投資信託を除く。以下同じ。)が規定された(法2二十九の二イ)。

2 ところで、法人税法においては、上述のように新信託法の規定を直接引用せずに「受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託」と定義されていることから、その範囲が新信託法に規定されている受益証券発行信託と必ずしも一致する規定振りとなっていない。これは、法人税法における「受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託」には、我が国の新信託法に規定する受益証券発行信託のほか、例えば、外国法を準拠法とする信託で受益権を表示する証券を発行する旨の定めのあるものが含まれることによるのである。本通達はこのことを留意的に明らかにしている。


3 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通15の2-1-1)を定めている。
(注) 外国法を準拠法とする信託で受益権を表示する証券を発行する旨の定めのあるものであっても、投資信託及び投資法人に関する法律(昭和26年法律第198号)第2条第2項((定義))に規定する委託者非指図型投資信託に類する外国投資信託に該当する場合には、その信託は集団投資信託に該当し、当該信託に係る信託収益を受領した時に受益者に課税することとなる。したがって、実務上、外国法を準拠法とする信託で受益権を表示する証券を発行する旨の定めのあるものは、一義的に法人課税信託に該当するというものではなく、むしろ集団投資信託に該当するケースが多いと考えられる。
《参考》
○ 新信託法(抄)
((受益証券の発行に関する信託行為の定め))
第185条 信託行為においては、この章の定めるところにより、一又は二以上の受益権を表示する証券(以下「受益証券」という。)を発行する旨を定めることができる。

2 前項の規定は、当該信託行為において特定の内容の受益権については受益証券を発行しない旨を定めることを妨げない。

3 第一項の定めのある信託(以下「受益証券発行信託」という。)においては、信託の変更によって前二項の定めを変更することはできない。

4 第一項の定めのない信託においては、信託の変更によって同項又は第二項の定めを設けることはできない。

【新設】 (信託財産に属する資産のみを信託する場合の課税関係)

12の6-1-2 法人が委託者となる信託のうち、受託者の信託財産に属する資産のみを信託するもの(以下12の6-1-2において「再信託」という。)については、当該受託者において法第2条第29号の2ハ((法人課税信託))に掲げる信託に該当しないのであるが、当該再信託の類型や契約内容等により、集団投資信託、受益者等課税信託又は法人課税信託(同号ハに掲げるものを除く。)のいずれかに該当することとなることに留意する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 平成19年度税制改正後の法人税法においては、受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託、受益者等が存しない信託及び法人が委託者となる信託で一定のものは、法人課税信託として定義され、その信託の受託者を納税義務者としてその信託財産に帰せられる所得につき当該受託者の固有財産に帰せられる所得とは区別して法人税が課されることとされた(法2二十九の二ハ、法4の6 )。このうち、「法人が委託者となる信託で一定のもの」として、租税回避のおそれがある典型的な次の3つの類型に係る規定が設けられた(法2二十九の2ハ)。

 事業の重要部分の信託で委託者の株主等を受益者とするもの
 委託者である法人又はその特殊関係者が受託者である信託(以下「自己信託等」という。)で存続期間が20年を超えるもの
 自己信託等で収益の分配割合が変更可能であるもの

2 ところで、法人が委託者となる信託であっても、信託財産に属する資産のみを信託するものは、法人課税信託の範囲から除かれている(法2二十九の二ハかっこ書)。この「信託財産に属する資産のみを信託するもの」とは、いわゆる再信託のことを示しているのであるが、再信託については租税回避のおそれがあるとはいえないと考えられるため、「法人が委託者となる信託で一定のもの」には該当しないこととされている。

3 したがって、再信託については、当該再信託が法人が委託者となる信託であっても、法人税法第2条第29号の2ハの規定によって法人課税信託とされることはないが、当該再信託の類型や契約内容等により、集団投資信託、受益者等課税信託又は法人課税信託(同号イ、ロ、ニ又はホに掲げるものに限る。)のいずれかに該当することとなる。
 このことは法令の規定上明らかであるが、「法人が委託者となる信託で一定のもの」から除かれた再信託の取扱いについて疑義を抱く向きも見受けられるので、本通達において念のため明らかにしている。

4 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通15の2-1-2)を定めている。

【新設】 (法人の事業の全部又は重要な一部の信託)
12の6-1-3 法第2条第29号の2ハ(1) ((法人課税信託))の株主総会の決議を要するものとは、法人の事業の全部又は重要な一部の譲渡を行う場合において、当該法人の株主総会の決議(これに準ずるものを含む。)によって、当該譲渡に係る契約の承認を受けなければならないこととされる行為をいうのであるから、現にその決議が行われたかどうかは問わないことに留意する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 新信託法においては、受託者が信託目的の達成のために必要な一切の行為をすることができることが明確化され、これにより信託財産の管理・処分行為とはいえないような債務負担行為等も信託として行うことができることとなった(新信託法2 )。また、信託の受託者による引受け時において、委託者の債務を受託者が信託財産によって履行する責任を負う債務とすることが明文化され、いわゆる事業信託が可能となった(新信託法21 三)。

2 このような事業信託について、法人税法においては、法人が委託者となる信託で当該法人の事業の全部又は重要な一部を信託するものであって委託者の株主等を受益者とするものは、法人課税信託に該当することとされている。具体的には、法人(公共法人及び公益法人等を除く。)が委託者となる信託(再信託を除く。)で、当該法人の事業の全部又は重要な一部を信託し、かつ、その信託の効力が生じた時において、当該法人の株主等が取得する受益権のその信託に係るすべての受益権に対する割合が100分の50を超えるものに該当することが見込まれていたものは、法人課税信託に該当することとされている。
 そして、この場合の「当該法人の事業の全部又は重要な一部」とは、その譲渡につき会社法第467条第1項((事業譲渡等の承認等))(次の 及び に係る部分に限る。)の株主総会の決議(これに準ずるものを含む。以下同じ。)を要するものがこれに該当するものとされている(法2二十九の二ハ(1))。

 事業の全部の譲渡
 事業の重要な一部の譲渡(当該譲渡により譲り渡す資産の帳簿価額が当該株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の5分の1(これを下回る割合を定款で定めた場合にはその割合)を超えないものを除く。)
なお、この株主総会の決議は、同法第309条第2項第11号((株主総会の決議))の規定により、原則として、特別決議を要するものである。

3 ところで、この場合の株主総会の決議については、法令の規定上は「株主総会の決議(これに準ずるものを含む。)を要するもの」とされている。
 この点、事業信託は、信託の法形式上は事業の譲渡に該当することから、法人の事業の全部又は事業の重要な一部を信託した場合には、その信託につき、特別決議によって当該譲渡に係る契約の承認を受けなければならないこととなる。
 しかしながら、特別決議を行う必要があるにもかかわらず、これを行っていない事業信託が存する場合には、当該事業信託は、「株主総会の決議」を行っていないから法人課税信託に該当しないのではないかとの疑義が生じるやもしれないが、法令上は上述のとおり、「株主総会の決議(……)を要するもの」が法人課税信託の対象となることが規定されているのであり、実際にその特別決議が行われたかどうかまでを要件としているのではないのである。
 本通達は、このことを留意的に明らかにしている。
4 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通15の2-1-3)を定めている。


【新設】 (受益者、委託者、受託者その他の者がその裁量により決定することができる場合)
12の6-1-4 令第14条の5第6項((法人が委託者となる法人課税信託))に掲げる「受益者、委託者、受託者その他の者がその裁量により決定することができる場合」には、例えば、信託行為において受益者である特殊関係者に対する収益の分配の割合が確定的に定められている場合であっても、信託の効力発生時において、信託行為に受益者、委託者、受託者その他の者のいずれかが信託の変更によりその定めの内容の変更を単独で行う権限を有する旨の信託法第149条第4項((関係当事者の合意等))に規定する別段の定めがある場合が含まれるのであるから、留意する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 新信託法により、特定の者が一定の目的に従い自己の有する一定の財産の管理又は処分及びその他の当該目的達成のために必要な行為を自らすべき旨の意思表示を公正証書その他の書面又は電磁的記録で行う方法により、委託者が自ら受託者となる信託として「自己信託」が認められることとなった(新信託法3三)。

2 法人税法においては、法人が委託者となる信託で、この「自己信託」に該当する信託又は委託者である法人の特殊関係者が受託者となる信託であって、その法人の特殊関係者をその受益者とし、かつ、信託の効力発生時において当該特殊関係者に対する収益の分配の割合の変更が可能である場合には、これらの信託は法人課税信託に該当することとされている(法2二十九の二ハ(3))。この場合の「収益の分配の割合の変更が可能である場合」とは、その特殊関係者に対する収益の分配の割合につき受益者、委託者、受託者その他の者がその裁量により決定することができる場合とされている(令14の5 )。

3 具体的にどのような場合がこれに当たるかは、信託行為の内容等により様々であろうが、信託の効力発生時において、これらの者のうちの特定の者が受益者である特殊関係者に対する収益の分配の割合を裁量により決定することができる旨が信託行為に定められている場合は、当然これに当たるところである。

 また、このように信託行為に特定の者が収益の分配の割合を裁量により決定することができる旨を定めておらず、受益者である特殊関係者に対する収益の分配の割合が確定的に定められている場合であっても、その信託の変更につき新信託法第149条第4項((関係当事者の合意等))の規定による信託行為に別段の定めがあることにより、収益の分配の割合の変更を特定の者が単独で行う権限を有することとなっているときにはこれに当たるところである。本通達はこのことを例示的に明らかにしている。

4 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通15の2-1-4)を定めている。
(注) 新信託法第149条第1項の規定による委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる信託の変更においても収益の分配の割合が変更可能と考えられるが、この規定による信託の変更は、これら三者間の合意が必要となることから、通常は、「受益者、委託者、受託者その他の者がその裁量により決定することができる場合」に含まれないものと考えられる。
《参考》○ 新信託法(抄)
((関係当事者の合意等))
第149条 信託の変更は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。この場合においては、変更後の信託行為の内容を明らかにしなければならない。
2・3 省略
4 前三項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
以下省略

【新設】 (法人課税信託に係る受託法人の内外判定と納税地)
2の6-1-5 法人課税信託の受託者である法人又は個人の当該法人課税信託に係る納税地は、法第1編第6章((納税地))に定めるところによるのであるから、例えば、法第4条の7第1号又は第2号((受託法人等に関するこの法律の適用))の規定により当該法人課税信託に係る受託法人が内国法人又は外国法人のいずれに該当するかにかかわらないことに留意する。
(注) 法人課税信託の受託者である内国法人について、同号の規定によりその法人課税信託に係る受託法人が外国法人とされた場合における法人税の課税標準は、法第141条((外国法人に係る各事業年度の所得に対する法人税の課税標準))に定めるところによる。
※下線部分が改正部分である。

【解説】
1 法人課税信託の受託者は、各法人課税信託の信託資産等(信託財産に属する資産及び負債並びに当該信託財産に帰せられる収益及び費用をいう。以下同じ。)及び固有資産等(法人課税信託の信託資産等以外の資産及び負債並びに収益及び費用をいう。以下同じ。)ごとに、それぞれ別の者とみなして法人税法(同法第4条((納税義務者))、第6章((納税地))等の一定の規定を除く。)の規定を適用することとされている(法4の6 )。この場合において、各法人課税信託の信託資産等及び固有資産等は、これら各別の者にそれぞれ帰属するものとされている(法4の6 )。そして、法人課税信託に係る信託資産等が帰属する者として固有資産等が帰属する者と別の者とみなして法人税法の規定を適用する場合における受託者である法人(受託者が個人である場合には、その個人)を「受託法人」と規定している(法4の7)。

2 受託法人に対する法人税法の適用に当たっては、そもそも信託制度は財産管理制度であり、会社法などの組織法とは異なる制度であることなどから、受託法人に一般事業法人を前提とした法人税法上の規定と同様の規定をそのまま適用することには限界があることなどを理由として、様々な調整規定が設けられているところであり、その一つとして受託法人が内国法人又は外国法人のいずれであるかは次のとおり判定することとされている(法4の7一、二)。


 法人課税信託の信託された営業所、事務所その他これらに準ずるもの(以下「営業所」という。)が国内にある場合には、当該法人課税信託に係る受託法人は、内国法人とする。


 法人課税信託の信託された営業所が国内にない場合には、当該法人課税信託に係る受託法人は、外国法人とする。

3 このことから、内国法人である受託者について、その法人課税信託の信託された営業所が国内にないため受託法人としては外国法人とされた場合において、当該外国法人たる受託法人の納税地はどこになるのか、という疑問を抱く向きもあろう。
 この点、法人課税信託の受託者について、その信託資産等及び固有資産等ごとに各別の者として適用される法人税法の規定には、納税義務者に係る規定とともに納税地に係る規定は含まれないのである(法4の6 )。したがって、上記事例のように内国法人であるその法人が受託法人としては外国法人に該当する場合であっても、その納税地が当該内国法人と別個の納税地となることはない。
 これにより、法人課税信託に係る受託法人が内国法人又は外国法人のいずれに該当するかにかかわらず、その受託法人の納税地は受託者である当該法人の納税地(受託者が個人の場合にあっては、当該個人の納税地(所法15))となるのである。
 本通達の本文においては、このことを明らかにしている。
4 また、受託者である内国法人について、法人税法第4条の7第2号の規定によりその法人課税信託の受託法人が外国法人とされた場合における各事業年度の法人税の課税標準は、各事業年度の所得の金額のうち同法第141条各号((外国法人に係る各事業年度の所得に対する法人税の課税標準))に掲げる外国法人の区分に応じ当該各号に掲げる国内源泉所得に係る所得の金額となる。本通達の注書においてこのことを留意的に明らかにしている。


【新設】 (信託の効力が生じた時)

12の6-1-6 法第4条の7第7号((受託法人等に関するこの法律の適用))の規定により、受託法人が設立されたものとされる当該受託法人に係る法人課税信託の効力が生ずる日の判定に当たっては、次に掲げる信託の方法に応じ、それぞれ次によることに留意する。
(1) 信託法第3条第1号((信託の方法))に掲げる信託契約を締結する方法 当該信託契約の締結時

(2) 同条第2号に掲げる遺言をする方法 当該遺言の効力発生時

(3) 同条第3号に掲げる意思表示を公正証書その他の書面又は一定の電磁的記録によってする方法 次のいずれかの時


イ 公正証書又は公証人の認証を受けた書面若しくは電磁的記録(以下12の6-1-6において「公正証書等」という。)によってされる場合 当該公正証書等の作成時

ロ 公正証書等以外の書面又は電磁的記録によってされる場合 受益者となるべき者として指定された第三者(当該第三者が2人以上ある場合にあっては、その1人)に対する確定日付のある証書による当該信託がされた旨及びその内容の通知時
(注)
1 本文のいずれの方法による場合であっても、信託行為に停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件の成就又は当該始期の到来により、効果が生ずる時となることに留意する。

2 法人課税信託のうち法第2条第29号の2ハ((法人課税信託))に掲げるもの及び令第14条の2((委託者が実質的に多数でない信託))に掲げる信託における効力が生じた時の判定についても、同様とする。
※下線部分が改正部分である。

【解説】
1 法人課税信託に係る信託資産等が帰属する者として固有資産等が帰属する者とは別の者とみなして法人税法の規定が適用されることとなる受託法人は、当該受託法人に係る法人課税信託の効力が生ずる日に設立されたものとされ(法4の7七)、一般の法人と同様に、同日から2月以内に所轄税務署長への設立の届出を要し(法148)、また、同日から事業年度が開始することとなる(法13)。このため、法人課税信託の効力が生ずる日がいつであるかが重要となるのである。本通達では、この点について、新信託法の規定に基づき具体的にその時期を明らかにしている。

2 新信託法において信託の方法は次の3つに区分され、それぞれ次に掲げる事由により信託の効力を生ずることとされている(新信託法3、4)。

(1) 特定の者との間で、当該特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨等の契約(以下「信託契約」という。)を締結する方法 信託契約の締結

(2) 特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨等の遺言をする方法 遺言の効力の発生

(3) 特定の者が一定の目的に従い自己の有する一定の財産の管理又は処分等を自らすべき旨の意思表示を公正証書その他の書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)で当該目的、当該財産の特定に必要な事項等を記載し又は記録したものによってする方法 次のいずれかの事由

イ 公正証書又は公証人の認証を受けた書面若しくは電磁的記録(以下「公正証書等」という。)によってされる場合 当該公正証書等の作成

ロ 公正証書等以外の書面又は電磁的記録によってされる場合 受益者となるべき者として指定された第三者(当該第三者が2人以上ある場合にあっては、その1人)に対する確定日付のある証書による当該信託がされた旨及びその内容の通知
ただし、(1)から(3)までの効力の発生事由にかかわらず、信託は、信託行為に停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件の成就又は当該始期の到来によってその効力が生ずることとされている。

3 法人税法においても、信託の効力がいつ生じたものかについては新信託法の規定と取扱いを異にする理由はないことから、受託法人の設立の日となる「法人課税信託の効力が生ずる日」は、上記2(1)から(3)までの方法に応じてそれぞれ定められた効力発生事由に基づき判定することとなる。本通達の本文では、このことを明らかにしている。

4 また、2のただし書にあるとおり、法人課税信託の信託行為に停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件の成就又は当該始期の到来により、法人の設立の日となる。本通達の(注)1では、このことを明らかにしている。

5 ところで、法人課税信託のうち、法人税法第2条第29号の2ハ((法人課税信託))に掲げるものには、法人が委託者となる信託で一定の要件を満たすものが該当するが、この場合の要件の一つとして、当該法人の特殊関係者をその受益者とし、かつ、当該特殊関係者に対する収益の分配の割合につき、受益者、委託者、受託者等がその裁量により決定することができる場合に該当したことが規定されている(同号ハ(3))。また、集団投資信託のうち、合同運用信託についてその範囲から委託者が実質的に多数でないものとして一定の要件を満たすものが除かれることとされている(法2二十六、令14の2)。これらはいずれも、その要件の判定を行う時期が、「信託の効力が生じた時」(法2二十九の二ハ(3)、令14の2 )とされていることから、本通達の本文と同様に取り扱われることとなるのである。本通達の(注)2では、このことを明らかにしている。

6 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通15の2-1-5)を定めている。
《参考》
○ 新信託法(抄)

((信託の方法))
第3条 信託は、次に掲げる方法のいずれかによってする。

一 特定の者との間で、当該特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の契約(以下「信託契約」という。)を締結する方法

ニ 特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の遺言をする方法

三 特定の者が一定の目的に従い自己の有する一定の財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為を自らすべき旨の意思表示を公正証書その他の書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)で当該目的、当該財産の特定に必要な事項その他の法務省令で定める事項を記載し又は記録したものによってする方法

《信託の効力の発生》
第4条 前条第一号に掲げる方法によってされる信託は、委託者となるべき者と受託者となるべき者との間の信託契約の締結によってその効力を生ずる。

2 前条第二号に掲げる方法によってされる信託は、当該遺言の効力の発生によってその効力を生ずる。

3 前条第三号に掲げる方法によってされる信託は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定めるものによってその効力を生ずる。

一 公正証書又は公証人の認証を受けた書面若しくは電磁的記録(以下この号及び次号において「公正証書等」と総称する。)によってされる場合 当該公正証書等の作成

ニ 公正証書等以外の書面又は電磁的記録によってされる場合 受益者となるべき者として指定された第三者(当該第三者が二人以上ある場合にあっては、その一人)に対する確定日付のある証書による当該信託がされた旨及びその内容の通知

4 前三項の規定にかかわらず、信託は、信託行為に停止条件又は始期が付されているときは、当該停止条件の成就又は当該始期の到来によってその効力を生ずる。

【新設】 (法人課税信託に該当することとなった日の意義)

12の6-1-7 特定受益証券発行信託(法第2条第29号ハ((集団投資信託))に規定する「特定受益証券発行信託」をいう。以下12の6-1-7において同じ。)の計算期間の中途においてその承認受託者(同号ハ(1)に規定する「承認受託者」をいう。以下12の6-1-7において同じ。)がその承認を取り消された場合又は当該特定受益証券発行信託の受託者に承認受託者以外の者が就任した場合における、法第4条の7第7号((受託法人等に関するこの法律の適用))に掲げる「法人課税信託以外の信託が法人課税信託に該当することとなった場合にはその該当することとなった日」とは、その承認を取り消された日又は承認受託者以外の者が就任した日を含む計算期間の翌計算期間の開始の日をいうことに留意する。
(注) 本文の場合には、その承認を取り消された日又は承認受託者以外の者が就任した日を含む計算期間については、特定受益証券発行信託に該当する。
※下線部分が改正部分である。

【解説】
1 新信託法においては、これまで貸付信託法などの特別法に基づく貸付信託、投資信託等に限られていた受益権の証券化が一般的に認められることとされ、信託行為において受益証券を発行する旨の定めのある受益証券発行信託に関する規定が設けられた(新信託法185)。

2 法人税法においては、この受益証券発行信託は、集団投資信託に該当するものを除き、同法第2条第29号の2イ((受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託))に該当することから、法人課税信託として信託段階において受託法人を納税義務者として法人税が課されることとされている。

(注) 受益証券発行信託のうち、信託事務の実施につき税務署長の承認を受けた法人(以下「承認受託者」という。)が引き受けたもので一定の要件に該当するもの(以下「特定受益証券発行信託」という。)は、集団投資信託として信託収益を現実に受領した時に受益者に課税することとされている(法2二十九ハ)。

3 ところで、法人課税信託の受託法人は、当該法人課税信託の効力が生ずる日に設立されたものとされ、また、法人課税信託以外の信託が法人課税信託に該当することとなった場合にはその該当することとなった日に設立されたものとされている(法4の7七)。
 そうすると、例えば、法人課税信託以外の信託である特定受益証券発行信託の承認受託者が、所轄税務署長からその承認を取り消されたような場合には、当該信託は取消しにより法人課税信託に該当することになるのであるが、その場合における法人課税信託に該当することとなった日とは、その取消しを受けた日をいうのか、あるいは、信託の計算期間との関係上その他の日を指すのかについて若干の疑義が生ずる。

4 この点、特定受益証券発行信託について、その計算期間開始の日の前日までに、 当該承認受託者がその承認を取り消された場合、 当該受益証券発行信託の受託者に承認受託者以外の受託者が就任した場合にはこれに該当しないこととされており(法2二十九ハ(1))、特定受益証券発行信託についてこれらの事由が生じたことにより法人課税信託となった場合における「法人課税信託に該当することとなった場合にはその該当することとなった日」とは、 及び の事由が生じた日ではなく、当該事由が生じた日を含む計算期間の翌計算期間の開始の日をいうこととなり、同日以後において法人課税信託である受益証券発行信託となるのである。本通達では、このことを明らかにしている。

5 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通15の2-1-6)を定めている。

【新設】 (信託事務を主宰する受託者の意義)
12の6-1-8 法第4条の8第2項((受託者が二以上ある法人課税信託))の「信託事務を主宰する受託者」とは、中心となって信託事務の全体を取りまとめる受託者をいう。この場合、全体を取りまとめているかは、信託契約に基づき、信託財産の受入れ事務、信託財産の管理又は処分に関する事務、収益計算の報告事務等の処理の実態を総合的に判定する。
※下線部分が改正部分である。

【解説】
一の法人課税信託の受託者が二以上ある場合には、各受託者の当該法人課税信託に係る信託資産等は、一の者の信託資産等とみなして法人税法の規定を適用することとされ、この場合には、各受託者は、当該法人課税信託の信託事務を主宰する受託者を納税義務者として当該法人課税信託に係る法人税を納めることとされている(法4の8)。
 ここでいう「主宰」とは、一般に中心となって全体を取りまとめるという意味であることから、一の法人課税信託の受託者が二以上ある場合の納税義務者は、当該信託の受託者のうちで中心となって信託事務の全体を取りまとめる者をいうことになるのであるが、その判定に当たっては、信託契約に基づき、信託財産の受入れ事務、信託財産の管理又は処分に関する事務、収益計算の報告事務等の処理の実態を総合的に勘案することとなる。本通達ではこのことを明らかにしている。
 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通15の2-1-7)を定めている。
2 法人課税信託に係る所得の金額の計算
2 法人課税信託に係る所得の金額の計算
【新設】 (公益法人等の法人課税信託に係る課税所得の範囲)
12の6-2-1 公益法人等が法人課税信託の受託者となった場合には、当該法人課税信託に係る受託法人は当該公益法人等とは別の会社とみなされることから、当該法人課税信託に係る法人税の課税所得の範囲は、収益事業から生じた所得に限られないことに留意する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
法人税法上、公益法人等は、収益事業から生じた所得についてのみ法人税が課されることとされている(法7)。
 ところで、法人課税信託の受託者は、各法人課税信託の信託資産等及び信託資産等以外の固有資産等ごとにそれぞれ別の者とみなして法人税法の規定が適用され(法4の6)、この場合、法人課税信託に係る受託法人のうち会社でないものは、会社とみなすこととされている(法4の7三)。このように会社でない受託法人を会社とみなすのは、法人税法が対象とする典型的な組織形態である会社に対する課税と同様の課税となるようにするためであり、このことにより特定同族会社に対する留保金課税や同族会社等の行為計算の否認規定なども適用があるとされている(法4の7六)。
 したがって、公益法人等が法人課税信託の受託者になった場合には、当該法人課税信託に係る受託法人は会社とみなされることから、当該受託法人たる公益法人等の当該法人課税信託に係る法人税の課税所得の範囲は、収益事業から生じた所得に限らず、普通法人の課税所得の範囲と同一となる。本通達はこのことを明らかにしている。

【新設】 (受益者等が存しない信託に係る清算所得に対する法人税の課税関係)
12の6-2-2 法人課税信託のうち、法第2条第29号の2ロ((法人課税信託))に掲げる信託に係る受託法人は、受益者が存することなく信託の終了があった場合に限り、清算所得に対する法人税が課されることに留意する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 新信託法において、受益者の定め(受益者を定める方法の定めを含む。)のない信託は、契約又は遺言による方法によってすることができることが定められた(新信託法258 )。

2 法人税法において、「受益者」を受益者としての権利を現に有するものに限り、また、信託の変更をする一定の権限を現に有し、かつ、その信託の信託財産の給付を受けることとされている者を「みなし受益者」とした上で、受益者及びみなし受益者(以下「受益者等」という。)は当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者等の収益及び費用とみなして法人税法の規定を適用することとされている(法12 )。
 他方、受益者等が存しない信託については、法人課税信託に係る受託法人に対して各事業年度の所得に対する法人税を課するものとされている(法2二十九の二ロ)。

3 法人課税信託に係る受託法人に法人税法の規定を適用する場合においては、当該法人課税信託の効力が生ずる日に設立されたものとされ(法4の7七)、また、その信託の終了があった場合又は受益者等が存しないものについて受益者等が存することとなった場合には、当該受託法人の解散があったものとされている(法4の7八)。そして、法人課税信託に係る受託法人の解散があったものとされた場合には、受託法人に対する清算所得の課税関係が生ずることとなる。ただし、これらの解散事由のうち、受益者等が存しない法人課税信託について受益者等が存することとなった場合については、信託自体が終了するものではなく、その後は受益者等課税信託として法人税又は所得税の課税が行われることから、法令上、「信託特定解散」として他の解散とは区別して、この信託特定解散をした場合における清算所得に対しては、法人税を課さないこととされている(法92 )。
 したがって、受益者等が存しない信託について解散したものとして清算所得に対する法人税が課されるのは、受益者等が存することなく信託が終了した場合に限られるのである。このことは、法令の規定上明らかであるが、本通達において念のため明らかにしている。

【新設】 (法人課税信託の収益の分配における受取配当等の益金不算入の適用)
12の6-2-3 法人課税信託の収益の分配は、資本剰余金の減少に伴わない剰余金の配当とみなされることから、法第23条((受取配当等の益金不算入))の規定の適用があることに留意する。
(注) 法人課税信託の収益の分配を受けた受益者が同条の規定を適用する場合における同条第5項に規定する関係法人株式等の判定に当たっては、たとえ当該受益者が当該法人課税信託の受託者である法人の株式又は出資を有していたとしても、当該受益者が有する当該法人課税信託に係る受益権のみによりその判定を行うこととなる。
※下線部分が改正部分である。

【解説】
1 法人課税信託の受益権は株式又は出資とみなされ、その受益者は株主等に含まれるものとされている(法4の7六)。また、法人課税信託の収益の分配は資本剰余金の減少に伴わない剰余金の配当と、法人課税信託の元本の払戻しは、資本剰余金の減少に伴う剰余金の配当とみなされている(法4の7十)。したがって、法人課税信託の収益の分配は、法人税法第23条第1項第1号((受取配当等の益金不算入))の剰余金の配当に該当することから、受取配当等の益金不算入の規定の適用があるのである。

2 ところで、法人課税信託の受託者である法人の株式又は出資は当該法人課税信託に係る受託法人の株式又は出資でないものとみなし、当該受託者である法人の株主等は当該受託法人の株主等でないものとされている(法4の7六)。すなわち、受託者にとっては、法人の立場からみれば当該法人の株式又は出資を有する株主等がいる一方で、受託法人の立場からみれば受益権が株式又は出資とみなされることにより株主等に含まれるものとされる受益者が存することとなるが、当該法人と受託法人はそれぞれ別の者とみなされることから、法人課税信託に係る受託法人の所得計算上は、受託者である法人の株式又は出資を有する株主等を当該受託法人の株主等でないものとされているのである。このことから、法人税法第23条第5項に規定する関係法人株式等の判定を行う場合において、たとえ当該受益者が当該法人課税信託に係る受益権と当該受託者である法人の株式又は出資とを有していたとしても、当該受益権のその信託に係るすべての受益権に対する割合のみにより当該判定を行うこととなる。本通達の注書においてこのことを留意的に明らかにしている。

3 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通15の2-2-1)を定めている。

3 受益者等課税信託による損益
 3 受益者等課税信託による損益
【新設】 (信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)
14-4-1 受益者等課税信託における受益者は、受益者としての権利を現に有するものに限られるのであるから、例えば、一の受益者が有する受益者としての権利がその信託財産に係る受益者としての権利の一部にとどまる場合であっても、その余の権利を有する者が存しない又は特定されていないときには、当該受益者がその信託の信託財産に属する資産及び負債の全部を有するものとみなされ、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用の全部が帰せられるものとみなされることに留意する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】

1 平成19年度の税制改正後の法人税法においては、信託のうち集団投資信託、退職年金等信託、特定公益信託等又は法人課税信託のいずれにも該当しないものは、受益者等課税信託として、その信託の受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)は当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者の収益及び費用とみなして、同法の規定を適用することとされている(法12 )。また、信託の変更をする権限を現に有し、かつ、当該信託の信託財産の給付を受けることとされている者(受益者を除く。)は、受益者とみなすこととされている(法12 )。

2 新信託法における受益者とは受益権を有する者をいい(新信託法2 )、受益権とは受益債権及びこれを確保するために同法の規定に基づき受託者その他の者に対し一定の行為を求めることができる権利をいうこととされている(新信託法2 )。したがって、信託行為にこれらの権利につき停止条件が定められているような場合は、上記の「受益者としての権利を現に有するもの」には含まれないこととなるのである。
 また、信託行為における受益者の定め方にはさまざまなものがあり、受益者を「○○年後に生まれてくる子供」や「将来設立される法人」などとする受益者が未だ存在していない場合や受益者を「将来の××大会の優勝者」などとする受益者が特定されていない場合もあり得る。このような場合にも、受益者等課税信託の受益者にはなり得ないのである。

3 ところで、このような信託行為における受益者の定め方からすれば、受益者等課税信託の受益者に該当する一の受益者が有する受益者としての権利がその信託財産に係る受益者としての権利の一部にとどまり、その余の権利を有する者が存しない又は特定されていない場合も生じ得る。例えば、一の受益者が有する受益者としての権利が全体の権利のうち70%にとどまり、残余の30%の権利については受益者不存在又は不特定の場合があり得るのである。
 このような場合においては、当該信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされ、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用の全部が帰せられるものとみなされるのは、受益者としての権利を現に有するものに限られるのであるから、権利の一部(70%)を有する者がその余の権利を含めて受益者としての権利の全部(100%)を有するものとして、信託財産に属する資産及び負債の全部を有する者とみなし、かつ、信託財産に帰せられる収益及び費用の全部が帰せられるものとされるのである。
 本通達はこのことを留意的に明らかにしている。

4 更に、受益者としての権利を現に有する受益者の数が二である場合において、これらの者が有する受益者としての権利が全体の権利のうち70%(各35%)にとどまり、その余の権利(30%)は受益者不存在又は不特定であるようなケースも考えられる。
 法令上、受益者の数が二以上である場合、受益者等課税信託の信託財産に属する資産及び負債の全部をそれぞれの受益者がその有する権利の内容に応じて有するものとし、当該信託財産に帰せられる収益及び費用の全部がそれぞれの受益者にその有する権利の内容に応じて帰せられるものとされている(令15
)。
 したがって、この場合、各受益者の権利の内容(各35%)に応じて信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属が決められるのであるから、各受益者は均等の権利を有することとなるため、当該信託財産に属する資産及び負債の50%をそれぞれ有し、信託財産に帰せられる収益及び費用の50%がそれぞれに帰せられるものとして課税関係が生ずることとなる。

5 また、以上のことについては受益者について言及しているところであるが、一定の信託の変更をする権限を現に有し、かつ、その信託の信託財産の給付を受けることとされていることにより受益者とみなされる者(法12 )についても、受益者と同様に取り扱われることとなる。

6 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通18-4-1)を定めている。

【新設】 (信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属の時期)
14-4-2 法人が受益者等課税信託の受益者(法第12条第2項((信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属))の規定により、同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下14-4-6までにおいて「受益者等」という。)である場合において、当該法人の各事業年度の所得の金額の計算上、当該受益者等である当該法人の収益及び費用とみなされる当該受益者等課税信託の信託財産に帰せられる収益及び費用は、その信託行為に定める信託の計算期間にかかわらず、当該法人の各事業年度の期間に対応する収益及び費用となるのであるから、留意する。
※下線部分が改正部分である。

【解説】
1 本通達において、受益者等課税信託の信託財産に帰せられる収益及び費用について、受益者等に対する帰属の時期を明らかにしている。


2 受益者等課税信託では、その信託の受益者段階で法人税の課税関係が生じることとなり、当該受益者等課税信託の信託財産に帰せられる収益及び費用は、当該信託の受益者(受益者とみなされる者を含む。以下「受益者等」という。)に帰属することとなる。ところで、実際の課税場面では、法人が受益者等課税信託の受益者等であって、当該法人の事業年度開始の日から終了の日までの期間と信託行為に定められた計算期間が一致しない場合もあり得よう。このような場合に、当該法人の各事業年度の所得の金額の計算上、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は、当該法人の事業年度開始の日から終了の日までの期間に対応する収益及び費用となるのか、あるいは、当該信託行為に定められた信託の計算期間中の収益及び費用をまとめたところで、例えば当該計算期間の終了の日の属する当該法人の事業年度の収益及び費用となるのかとの疑義を抱く向きもあるようである。

3 この点、受益者等課税信託の受益者等は、当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者等の収益及び費用とみなして法人税法の規定を適用することとされていることから(法12)、当該受益者等に係る信託財産の帰属損益額は、受益者等である法人の各事業年度の期間に対応する信託財産に係る個々の損益を計算して、当該事業年度の益金の額又は損金の額に算入することとなる。
 したがって、その信託行為に定める信託の計算期間の始期及び終期と受益者等である法人の事業年度の開始の日及び終了の日が一致しない場合には、当該法人の各事業年度の期間に対応する信託財産に帰せられる収益及び費用に基づき、受益者等である法人の各事業年度の所得の金額を計算することとなるのである。

4 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通18-4-2)を定めている。


【新設】 (信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属額の総額法による計算)

14-4-3 受益者等課税信託の受益者等である法人は、当該受益者等課税信託の信託財産から生ずる利益又は損失を当該法人の収益又は費用とするのではなく、当該法人に係る当該信託財産に属する資産及び負債並びに当該信託財産に帰せられる収益及び費用を当該法人のこれらの金額として各事業年度の所得の金額の計算を行うのであるから、留意する。
※下線部分が改正部分である。

【解説】
1 本通達においては、受益者等課税信託の受益者等である法人が信託財産に係る帰属損益額を各事業年度の益金の額又は損金の額に算入する場合の当該帰属損益額の計算方法を明らかにしている。

2 受益者等課税信託では、その信託の受益者段階で法人税の課税関係が生ずることとなり、当該受益者等課税信託の信託財産に帰せられる収益及び費用は、当該信託の受益者等に帰属することとなる。
 ところで、この場合の受益者等である法人の収益及び費用の計算に当たっては、いわゆる総額法により、当該信託財産に帰せられる収益及び費用を当該法人の収益及び費用とするのか、それともいわゆる純額法により、当該信託財産に帰せられる収益及び費用から計算される利益又は損失を当該法人の収益又は費用とするのかという疑義が生ずる。

3 この点については、受益者等課税信託の受益者等は当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者等の収益及び費用とみなされるのであるから(法12)、信託財産に帰せられる損益の計算結果だけをその法人の各事業年度の所得の金額の計算に反映させる純額法ではなく、その法人に係る当該信託財産に属する資産及び負債を有するものとし、その信託財産に帰せられる収益及び費用をその法人の収益及び費用の金額として各事業年度の所得の金額の計算を行う総額法によることとなる。本通達はこのことを留意的に明らかにしている。

4 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通18-4-3)を定めている。

【新設】 (権利の内容に応ずることの例示)
14-4-4 令第15条第4項((信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属))の規定の適用に当たっては、例えば、その信託財産に属する資産が、その構造上区分された数個の部分を独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものである場合において、その各部分の全部又は一部が二以上の受益者等の有する権利の目的となっているときは、当該目的となっている部分(以下14-4-4において「受益者等共有独立部分」という。)については、受益者等共有独立部分ごとに、当該受益者等共有独立部分につき権利を有する各受益者等が、各自の有する権利の割合に応じて有しているものとして同項の規定を適用する。
※下線部分が改正部分である。

【解説】
1 法人税法上、受益者等課税信託においては、その信託の受益者等は、当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者等の収益及び費用とみなして、法人税法の規定を適用することとされている(法12)。また、当該受益者等課税信託の受益者等が二以上ある場合には、受益者等課税信託の信託財産に属する資産及び負債の全部をそれぞれの受益者等がその有する権利の内容に応じて有するものとし、当該信託財産に帰せられる収益及び費用の全部がそれぞれの受益者等にその有する権利の内容に応じて帰せられるものとされている(令15 )。

2 この「権利の内容に応じて」の意義について、例えば、土地の区分所有のごとく、受益者等の有する権利に応じてその信託財産が特定され、当該信託財産に帰せられる収益及び費用も明確に区分され得るものであれば特段の疑義も生じないが、信託財産に属する資産が、マンションやオフィスビルなど、その構造上区分された数個の部分を独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものであって、その受益者等の権利が共同所有のように、区分されずに特定されていない部分がある場合には、若干の整理が必要であろう。
 この場合においては、まず、その構造上区分された独立した部分のうち一の受益者等に帰せられるものについてはその受益者等に帰属するものとした上で、共有物である建物の独立部分(受益者等共有独立部分)について、上述の受益者等が二以上ある場合の規定に従い、各受益者等がそれぞれの有する権利の割合に応じて信託財産に属する資産の受益者等共有独立部分を有しているものとし、その信託財産に帰せられる収益及び費用が各受益者等にそれぞれの有する権利の割合に応じて帰せられることとされるのである。

3 本通達は、平成19年6月22日付課審1-16ほか5課共同「「土地信託に関する所得税、法人税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」及び「信託受益権が分割される土地信託に関する所得税、法人税、消費税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」の廃止について」(法令解釈通達)により廃止された昭和61年7月9日付直審5-6ほか4課共同「土地信託に関する所得税、法人税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」(法令解釈通達)における「第1共通」の1-4((取扱いの原則))において定められていたものと同趣旨のものであり、平成19年度税制改正後も同様の取扱いとなる旨を明らかにしているものである。

4 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通18-4-4)を定めている。

【新設】 (信託による資産の移転等)
14-4-5 委託者と受益者がそれぞれ単一であり、かつ、同一の者である場合の受益者等課税信託においては、次に掲げる移転は受益者である委託者にとって資産の譲渡又は資産の取得には該当しないことに留意する。

(1) 信託行為に基づき信託した資産の当該委託者から当該受託者への移転

(2) 信託の終了に伴う残余財産の給付としての当該資産の当該受託者から当該受益者への移転

(3) これらの移転があった場合における当該資産(当該信託の期間中に信託財産に属することとなった資産を除く。)の取得の日は、当該委託者が当該資産を取得した日となる。
※下線部分が改正部分である。

【解説】

1 新信託法上、信託とは、契約、遺言、一定の意思表示等により、特定の者(受託者)が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他のその目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることとされており(新信託法2 )、法形式上は、信託を行うことによって、信託財産に属する資産の所有権は受託者へ移転するものと解されている。
 したがって、自益信託(委託者と受益者が同一の信託をいう。以下同じ)で受益者が単一の場合の受益者等課税信託において、信託行為に基づき信託した資産の移転(委託者→受託者)や、信託の終了に伴う残余財産の給付としての資産の移転(受託者→受益者)がなされた場合、新信託法上は、それぞれの移転に際して当該資産の所有権が移転したものとみることとなる。

2 しかしながら、法人税法上は、受益者等課税信託においては信託の受益者はその信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされることから(法12)、自益信託で委託者兼受益者が単一である受益者等課税信託においてこれらの資産の移転があった場合であっても、当該資産は受益者(委託者)が引き続き有していることとなる。したがって、これらの資産の移転は資産の譲渡又は資産の取得に該当しないこととなるのである。本通達ではこのことを明らかにしている。

3 また、これらの委託者兼受益者と受託者との間の資産の移転があった場合における当該資産の取得の日については、交換により取得した資産の圧縮額の損金算入、土地の譲渡等がある場合の特別税率又は短期所有に係る土地の譲渡等がある場合の特別税率、特定の資産の買換え等の場合の課税の特例等の適用に当たって問題となるところである。この点、法人税法上は、受益者等課税信託の受益者が信託財産に属する資産を有しているものとみなされるため、委託者兼受益者の場合における当該資産の取得の日については、信託の期間前に取得した資産は委託者が取得した日となり、信託の期間中に受託者が新たに取得したことにより信託財産に属することとなった資産は、その属することとなった日となる。本通達の(注)では、このことを明らかにしている。

4 本通達の本文は、平成19年6月22日付課審1-16ほか5課共同「「土地信託に関する所得税、法人税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」及び「信託受益権が分割される土地信託に関する所得税、法人税、消費税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」の廃止について」(法令解釈通達)により廃止された昭和61年7月9日付直審5-6ほか4課共同「土地信託に関する所得税、法人税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」(法令解釈通達)における「第3法人税に関する取扱い」の3-1((信託による資産の移転等))において定められていたものと同趣旨のものであり、平成19年度税制改正後も同様の取扱いとなる旨を明らかにしているものである。

5 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通18-4-5)を定めている。

【新設】 (信託の受益者としての権利の譲渡等)
14-4-6 受益者等課税信託の受益者等がその有する権利の譲渡又は取得が行われた場合には、その権利の目的となっている信託財産に属する資産及び負債が譲渡又は取得されたこととなることに留意する。

(注) 例えば、受益者等がその有する権利の目的となっている信託財産に属する資産が土地である場合において、当該権利が譲渡されたときには、当該受益者等が当該土地を譲渡したものとして、その譲渡の態様に応じて、譲渡、交換、収用、買換え等の法人税に関する法令の規定の適用があることに留意する。
※下線部分が改正部分である。
【解説】

1 受益者等課税信託においては、その信託の受益者等は、当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者等の収益及び費用とみなして、法人税法の規定を適用することとされている(法12)。このため、受益者等がその有する権利の譲渡をし、又は、他の者からその権利を取得した場合には、その権利の目的となっている信託財産に属する資産及び負債を譲渡又は取得したこととなるのである。本通達はまずこのことを明らかにしている。

2 ところで、上記のことからすれば、その有する権利の目的となっている信託財産に属する資産が土地である場合において、受益者等がその権利を譲渡したときには、当該土地を譲渡したものとされるのであるが、この権利の譲渡に土地の譲渡に関する法人税法等における特例の規定の適用があるかどうかが問題となる。この点については、土地を譲渡したものとされる受益者等課税信託に係る受益者等が有する権利の譲渡においては、その譲渡の態様等に応じて、譲渡、交換、収用、買換え等の法人税法等における特例の規定の適用があることになる。本通達の(注)では、このことを明らかにしている。

3 本通達の本文は、平成19年6月22日付課審1-16ほか5課共同「「土地信託に関する所得税、法人税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」及び「信託受益権が分割される土地信託に関する所得税、法人税、消費税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」の廃止について」(法令解釈通達)により廃止された昭和61年7月9日付直審5-6ほか4課共同「土地信託に関する所得税、法人税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」(法令解釈通達)における「第3法人税に関する取扱い」の3-2((信託受益権の譲渡等))において定められていたものと同趣旨のものであり、平成19年度税制改正後も同様の取扱いとなる旨を明らかにしているものである。

4 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通18-4-6)を定めている。

【新設】 (受益者等課税信託に係る受益者の範囲)
14-4-7 法第12条第1項((信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属))に規定する「信託の受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)」には、原則として、例えば、信託法第182条第1項第1号((残余財産の帰属))に規定する残余財産受益者は含まれるが、次に掲げる者は含まれないことに留意する。

(1) 同項第2号に規定する帰属権利者(以下14-4-8までにおいて「帰属権利者」という。)(その信託の終了前の期間に限る。)

(2) 委託者の死亡の時に受益権を取得する同法第90条第1項第1号((委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例))に掲げる受益者となるべき者として指定された者(委託者の死亡前の期間に限る。)

(3) 委託者の死亡の時以後に信託財産に係る給付を受ける同項第2号に掲げる受益者(委託者の死亡前の期間に限る。)
※下線部分が改正部分である。

【解説】
1 新信託法においては、受益権とは信託行為に基づいて受託者が受益者に対して負う債務であって、信託財産に属する財産の引渡しその他の信託財産に係る給付をすべきものに係る債権及びこれを確保するために新信託法に基づいて受託者その他の者に対し一定の行為を求めることができる権利をいい(新信託法2 )、これらの権利から成る受益権を有する者を受益者としている(新信託法2 )。
 他方、法人税法においては、受益者等課税信託に該当する信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる受益者は、原則として、受益者としての権利を現に有するものに限られている(法12①)。
2 ところで、新信託法においては、受益者をはじめ信託財産の給付を受ける者に関する規定がいくつか設けられており、これらの者が法人税法上の受益者等課税信託における受益者に該当するかどうかについて整理しておく必要がある。

3 新信託法においては、信託の残余財産の帰属について、同法第182条((残余財産の帰属))に残余財産受益者と帰属権利者とを定めている。信託は、その信託が終了した場合には、清算することとされており(新信託法175)、その信託を清算する際に、その残余財産の給付を受けることとされている者が残余財産受益者と帰属権利者である。

 残余財産受益者とは、信託行為において残余財産の給付を内容とする受益債権に係る受益者として指定された者をいうことから、信託行為に別段の定めがない場合には、受益者としての権利を現に有する者に該当するため、法人税法上の受益者に該当することとなる。

 一方、帰属権利者とは、信託行為における受益者ではなく、残余財産の帰属すべき者として指定された者にすぎない。帰属権利者は、当然に残余財産の給付をすべき債務に係る債権を取得し(新信託法183 )、信託の清算中は受益者とみなすこととされている(新信託法183 )。これらの規定から、帰属権利者は、信託の終了事由が発生する前は新信託法において受益者ではなく、信託行為に別段の定めがない場合、受益者としての権利義務を有しない。
 
したがって、原則として、残余財産受益者は法人税法上の受益者等課税信託における受益者となるが、その信託の終了前の期間における帰属権利者は受益者とはならない。本通達の(1)では、このことを明らかにしている。

4 また、信託においては、受託者に財産を信託して、委託者自身を自己生存中の受益者とし、自己の子、配偶者等を委託者死亡後の受益者(委託者の死亡を始期として信託から給付を受ける権利を取得する受益者)とすることによって委託者自身の死亡後における財産分配を信託によって達成しようとするようなものがある。
 このようなもの
は、一般的に遺言代用の信託というようであるが、新信託法第90条第1項((委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例))においては、この遺言代用の信託に係る受益者等に関する特則が設けられ、次の 及び に掲げるものはこれに該当することとされている。
 委託者の死亡の時に受益者となるべき者として指定された者が受益権を取得する旨の定めのある信託

 委託者の死亡の時以後に受益者が信託財産に係る給付を受ける旨の定めのある信託(当該受益者は、信託行為に別段の定めがない場合、その委託者が死亡するまでは、受益者としての権利を有しない。)

の「委託者の死亡の時に受益者となるべき者として指定された者」とは、新信託法上受益者ではなく、あくまで委託者の死亡事由を起因として受益権を取得することとされている者に過ぎない。したがって、この指定された者は委託者の死亡前においては法人税法上の受益者等課税信託における受益者に該当しない。

 次に、 の「受益者」とされる者は、新信託法上「受益者」と称されてはいるが、新信託法第90条第2項において、この場合の受益者は信託行為に別段の定めがない場合、その委託者が死亡するまで受益者としての権利を有しないこととされていることから、法人税法上も、当該受益者は委託者の死亡前においては受益者等課税信託における受益者には該当しないこととなる。本通達の(2)及び(3)では、このことを明らかにしている。

5 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通18-4-7)を定めている。

新設】 (受益者とみなされる委託者)
14-4-8 法第12条第2項((信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属))の規定により受益者とみなされる者には、同項に掲げる信託の変更をする権限を現に有している委託者が次に掲げる場合であるものが含まれることに留意する。

(1) 当該委託者が信託行為の定めにより帰属権利者として指定されている場合

(2) 信託法第182条第2項((残余財産の帰属))に掲げる信託行為に残余財産受益者若しくは帰属権利者(以下14-4-8において「残余財産受益者等」という。)の指定に関する定めがない場合又は信託行為の定めにより残余財産受益者等として指定を受けた者のすべてがその権利を放棄した場合
※下線部分が改正部分である。

【解説】
1 受益者等課税信託においては、受益者でなくても、実質的に受益者と同等の地位を有する者をみなし受益者として、受益者等課税信託における受益者と同一に取り扱うこととされている。具体的には、信託の変更をする権限(軽微な変更をする権限を除く。)を現に有し、かつ、信託財産の給付を受けることとされている者を受益者等課税信託における受益者とみなすこととされている(法12 )。

2 そこで、まず、信託の変更をする権限を有している者についてであるが、新信託法においては、信託の変更は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができることとされている(新信託法149 )。したがって、信託の変更をする権限は、信託行為に別段の定めがない限り、委託者、受託者及び受益者が現に有することとなる。

3 次に、これらの者のうち、信託財産の給付を受けることとされている者であるかどうかが問題となる。新信託法において、残余財産の帰属すべき者となるべき者として指定された帰属権利者は、信託の清算中は受益者とみなされ、その信託の清算に当たって当然に残余財産の給付をすべき債務に係る債権を取得する(新信託法182 二、183 、 )。このことから、帰属権利者は新信託法上の受益者ではないが、上述の「信託財産の給付を受けることとされている者」に該当することとなる。したがって、変更権限を現に有する委託者で信託行為の定めにより帰属権利者として指定されている場合には、当然に受益者等課税信託におけるみなし受益者に該当することとなる。
 また、信託行為に残余財産受益者若しくは帰属権利者の指定に関する定めがない場合又は残余財産受益者若しくは帰属権利者の指定を受けた者のすべてがその権利を放棄した場合には、新信託法上、信託行為に委託者又はその相続人その他の一般承継人を帰属権利者として指定する旨の定めがあったものとみなすこととされている(新信託法182 )。したがって、これらの場合には、委託者は、帰属権利者として信託財産の給付を受けることとされている者に該当することとなるので、みなし受益者に該当することとなるのである。
4 すなわち、変更権限を現に有する委託者で、
 当該委託者が信託行為の定めにより帰属権利者として指定されている場合

 信託行為に残余財産受益者若しくは帰属権利者の指定に関する定めがない場合又は信託行為の定めに残余財産受益者若しくは帰属権利者として指定を受けた者のすべてがその権利を放棄した場合のいずれかに該当する場合には、その委託者はみなし受益者に該当することとなる。本通達では、このことを明らかにしている。
5 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連基通18-4-8)を定めている。


1 第42条の5~第48条((共通事項))関係

第2 租税特別措置法関係通達(法人税編)関係

1 第42条の5~第48条((共通事項))関係

【新設】 (信託財産に属する減価償却資産の特別償却等に係る証明書類等の添付)
42の5~48(共)-6 受益者等課税信託(法第12条第1項に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下42の5~48(共)-6において「受益者等」という。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。)の受益者等である法人が、その信託財産に属する減価償却資産について措置法第3章第1節の規定による特別償却等の適用を受ける場合において、これらの規定に関する規定により、所定の証明書類等をその確定申告書等に添付する必要があるときには、その添付に当たっては、これらの書類が当該法人の有する信託財産に属する減価償却資産に係るものである旨の受託者の証明を受けるものとする。
※下線部分が改正部分である。

【解説】
1 受益者等課税信託においては、その信託の受益者等は、当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者等の収益及び費用とみなして、法人税法の規定を適用することとされている(法12)。

 したがって、受益者等課税信託の信託財産に属する減価償却資産について、措置法に規定する特別償却等の適用を受けようとする場合には、当該受益者等課税信託の受益者等において、その適用を受けることとなる。

2 ところで、措置法の規定による特別償却等の適用を受ける場合には、確定申告書に明細書を添付するとともに、所定の証明書類等の添付を要件とするものが少なくない(措法43 表一、措令28 等)。

 したがって、受益者等課税信託の受益者等である法人が、その信託財産に属する減価償却資産について証明書類等の添付要件が付されている特別償却等の適用を受ける場合には、対象資産である当該信託財産に属する減価償却資産について所定の証明書類等の添付を要することとなるのであるが、ここで若干の問題が生ずる。

 すなわち、信託の法形式上、信託財産に属する資産は信託により受託者の所有に帰し、当該受託者がその資産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をする権限を有することとされていることから(新信託法26)、受益者等課税信託の信託財産に属する減価償却資産について取得する証明書類等は、受託者名義で発行されるものと考えられる。

 このため、受益者等課税信託の信託財産に属する減価償却資産について受益者等が特別償却等の規定の適用を受けるに当たって、受託者名義の証明書類等を添付することとなり、適用を受けようとする法人名(受益者等)と証明書類等に記載されている法人名(受託者)が異なるという問題が生じることとなるのである。

3 これについては、信託の法形式上はともかく、法人税法上は、受益者等課税信託の信託財産に属する減価償却資産の特別償却等の規定はあくまでも受益者等において適用されることとなるのであるから、その適用に当たって受益者等が有する減価償却資産であることが証明書類等により明らかにされている場合には、信託財産に属する減価償却資産の信託の法形式上の所有者と法人税法上の所有者が異なるといった特殊性に鑑みて、この添付要件を満たすものとして取り扱って差し支えないものと考えられる。

すなわち、所定の証明書類等が受益者等である法人の有する信託財産に属する減価償却資産に係るものである旨の受託者の証明を受けることにより、受益者等に帰属するその減価償却資産について、受益者等において特別償却等の規定の適用があるものとしているのである。本通達はこのことを明らかにしている。

4 この場合の所定の証明書類等は特別償却等の規定ごとに異なり、証明書、関係書類のほか、申請書の写し等が含まれているところであるが、その添付に当たって受けることとなる「当該法人の有する信託財産に属する減価償却資産に係るものである旨の受託者の証明」とは、例えば、受託者が「この減価償却資産は、受益者○○○に係る信託財産に属するものである」旨を記載した書面を作成・添付する方法によるなど、当該減価償却資産が受益者等に帰属することを受託者が明らかにすることが必要となる。

5 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連措通68の10~68の36(共)-6)を定めている。
 
2 第62条の3((土地の譲渡等がある場合の特別税率))関係
【新設】 (信託財産に属する土地等の譲渡に係る証明書類の添付)

62の3(6)-13 受益者等課税信託(法第12条第1項に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下62の3(6)-13において「受益者等」という。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。)の受益者等である法人が、信託財産に属する土地等の譲渡について措置法第62条の3第4項又は第5項の規定の適用を受ける場合には、これらの項の規定により、措置法規則第21条の19第2項各号又は第9項各号に掲げる書類をその法人税申告書(修正申告書を除く。)に添付する必要があるのであるが、その添付に当たっては、これらの書類が当該法人の有する信託財産に属する土地等の譲渡に係るものである旨の受託者の証明を受けるものとする。
※下線部分が改正部分である。

【解説】
1 受益者等課税信託においては、その信託の受益者等は、当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者等の収益及び費用とみなして、法人税法の規定を適用することとされている(法12)。

したがって、受益者等課税信託の信託財産に属する資産の譲渡等のうち措置法第62条の3第2項第1号((土地の譲渡等がある場合の特別税率))に規定する土地の譲渡等があった場合には、当該受益者等課税信託の受益者等がその土地の譲渡等を行ったものとみなされ、受益者等において同条の規定の適用があることとなり、その場合、同条第4項又は第5項の適用除外の規定を適用する場面もあり得よう。

2 この適用除外の規定の適用に当たっては、措置法規則第21条の19第2項各号又は第9項各号に掲げる書類の法人税申告書(修正申告書を除く。)への添付が要件とされている。この場合、信託の法形式上、信託財産に属する資産は信託により受託者の所有に帰し、当該受託者がその資産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をする権限を有することとされていることから(新信託法26)、受益者等課税信託の信託財産に属する土地等の譲渡により取得する書類は、受託者名義で発行されるものと考えられる。
結果として、受益者等課税信託の信託財産に属する土地等の譲渡について受益者等がこの適用除外の規定の適用を受けるに当たって、受託者名義の書類を添付することとなり、適用を受けようとする法人名(受益者等)と書類に記載されている法人名(受託者)が異なるという問題が生じることとなるのである。
3 これについては、信託の法形式上はともかく、法人税法上は、受益者等課税信託の信託財産に属する土地の譲渡等につき措置法第62条の3の規定はあくまでも受益者等において適用されることとなるのであるから、同条第4項又は第5項の適用除外の規定を適用するに当たって受益者等が有する土地等の譲渡であることが書類等により明らかにされている場合には、信託財産に属する土地等の信託の法形式上の所有者と法人税法上の所有者が異なるといった特殊性に鑑みて、この添付要件を満たすものとして取り扱って差し支えないものと考えられる。

すなわち、当該書類が受益者等である法人の有する信託財産に属する土地等の譲渡に係るものである旨の受託者の証明を受けることにより、受益者等に帰属するその土地等の譲渡について、受益者等において土地等の譲渡がある場合の特別税率の適用除外の規定の適用があるものとしているのである。本通達はこのことを明らかにしている。

4 当該書類の添付に当たって受けることとなる「当該法人の有する信託財産に属する土地等の譲渡に係るものである旨の受託者の証明」とは、例えば、受託者が「譲渡された土地は、受益者○○○に係る信託財産に属するものである」旨を記載した書面を作成・添付する方法によるなど、当該土地等が受益者等に帰属することを受託者が明らかにすることが必要となる。

5 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連措通68の68(6)-13)を定めている。

(注) 措置法第62条の3の規定は、平成10年1月1日から平成20年12月31日までの間にした土地の譲渡等については、適用が停止されている(措法62の3 )。
 
3 第65条の2 ((収用換地等の場合の所得の特別控除))関係

【新設】 (信託財産に属する資産の譲渡への適用)
65の2-11 受益者等課税信託(法第12条第1項に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下65の2-11において「受益者等」という。)がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託をいう。)の信託財産に属する資産について措置法第65条の2第1項に規定する収用換地等による譲渡があった場合における同条の規定の適用に当たっては、次に掲げる事項は、それぞれ次によることに留意する。

(1) 同条第3項第1号に掲げる「最初に当該申出のあった日」とは、当該受益者等課税信託の受託者が、同号の公共事業施行者から当該資産につき最初に買取り等の申出を受けた日をいう。

(2) 同項第2号に規定する「一の収用換地等に係る事業につき前二項に規定する資産の収用換地等による譲渡が二以上あった場合」に該当するかどうかは、当該受益者等課税信託の受益者等である法人が有するものとみなされる当該信託財産に属する資産の譲渡とそれ以外の資産の譲渡とを通じて判定する。

(3) 当該収用換地等による譲渡の時における当該信託財産に属する資産の譲渡をした当該法人が、当該信託財産に属する資産につき最初に買取り等の申出を受けた時における当該受益者等課税信託の受益者等以外の者である場合(同項第3号イ又はロに掲げる場合に該当するときを除く。)には、同号の規定に該当することとなる。
※下線部分が改正部分である。
【解説】
1 受益者等課税信託においては、その信託の受益者等は、当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者等の収益及び費用とみなして、法人税法の規定を適用することとされている(法12)。

したがって、受益者等課税信託の信託財産に属する資産につき収用換地等による譲渡があった場合は、当該受益者等課税信託の受益者等が当該収用換地等による資産の譲渡等を行ったものとみなされ、受益者等において措置法第65条の2第1項に規定する収用換地等による譲渡の特例の規定の適用を受ける場合があり得よう。

ところで、信託の法形式上、信託財産に属する資産は信託により受託者の所有に帰し、当該受託者がその資産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為をする権限を有することとされていることから(新信託法26)、収用等を行う公共事業施行者は、信託財産に属する資産について買取り等を行う場合には、その信託の受託者を相手方として行うこととなるのであるが、この特例制度の適用を受けるに当たって若干の疑義が生ずる。

2 まず、この特例制度は、その収用換地等による資産の譲渡が、公共事業施行者から当該資産につき最初に買取り等の申出があった日から6か月を経過した日までにされなかった場合には、適用がないこととされている(措法65の2 一)。

公共事業施行者が行う事業用地の買取り等の申出はその土地の所有者に対して行うのであるから、その土地が受益者等課税信託の信託財産に属する土地である場合は、名義人である当該信託の受託者に対して申出を行うこととなる。
しかしながら、法人税法上、受益者等課税信託の信託財産に属する土地は受益者等が有するものとみなされることから、信託の法形式上の所有者と法人税法上の所有者が異なることとなるため、土地の収用換地等による譲渡が買取り等の最初の申出から6か月を経過した日までに行われたものであるかの判定上、その起算日を受託者が買取り等の申出を受けた日とするか、それとも法人税法上の所有者である受益者等がそのことを知った日とするかという点について問題となる。

この点については、受益者等課税信託の信託財産に属する資産の収用換地等による譲渡は受託者名義で受託者の名と計算により行われるものであること、当該受託者は財産の管理運用処分に関する権限を有するとともに受益者のために忠実に信託事務の処理その他の行為をしなければならないこととされていることを踏まえれば(新信託法26、30)、その受託者の行為は受益者等の行為そのものとも捉えることができることから、公共事業施行者から受託者が信託財産に属する資産について最初に買取り等の申出を受けた日をもってこの6か月の期間計算の起算日とすることが相当であろう。本通達の(1)では、このことを明らかにしている。

3 次に、この特例制度は、一の収用換地等に係る事業につき資産の収用換地等による譲渡が二以上あった場合において、これらの譲渡が二以上の年にわたってされたときには、最初の年に譲渡した資産に限り適用があることとされている(措法65の2 二)。そこで、問題となるのが、受益者等課税信託の受益者等が同一の収用換地等の事業の用に供するため、例えば最初の年に信託財産でない土地等を譲渡し、その翌年に信託財産に属する土地等を譲渡することとなった場合には、2年目の譲渡についてこの特例制度の適用を受けられるかどうかという点である。

 この点については、法人税法上、受益者等課税信託の信託財産に属する資産はその受益者等が有するものとみなされることから、法人が受益者等である当該信託財産に属する土地と当該法人が所有者である信託財産でない土地とはいずれも当該法人が有する土地とみることからすれば、同条第3項第2号に規定する「一の収用換地等に係る事業につき前二項に規定する資産の収用換地等による譲渡が二以上あった場合」に該当するかどうかは、その有する信託財産に属する資産の譲渡と信託財産でない資産の譲渡のいずれをも判定対象とすることとし、これらの譲渡が二以上の年にわたってされているものかどうかによりこの特例制度の適用の有無を判定することとなる。本通達の(2)では、このことを明らかにしている。

4 更に、この特例制度では、収用換地等による資産の譲渡が最初に買取り等の申出を受けた者以外の者からされた場合には、原則として、その資産の譲渡について特例の適用を認めないこととされている(措法65の2 三)。そこで、問題となるのは、受益者等課税信託の信託財産に属する資産について収用換地等による譲渡があった場合において、公共事業施行者から買取り等の申出があった後に受益権の譲渡等によって当該信託の受益者等が変わっているときの本制度の適用についてである。すなわち、法人税法上の所有者である受益者等に変更がなされているにもかかわらず、名義人は依然として信託の法形式上の所有者である受託者のままであるため、この特例制度を適用できるかどうかにつき疑義が生ずるのである。

 この点については、法人税法上、受益者等課税信託の信託財産に属する資産はその受益者等が有するものとみなされるのであるから、当該資産について最初に買取り等の申出を受けた後にその資産の受益者等に変更が生じた場合には、その変更が措置法第65条の2第3項第三号イ又はロに掲げる場合に該当するときを除き、新たに受益者等となった者のその買取り等の申出に係る信託財産に属する資産の譲渡に係る所得の計算上、この特例制度を適用することはできない。本通達の(3)では、このことを明らかにしている。

5 本通達は、平成19年6月22日付課審1-16ほか5課共同「「土地信託に関する所得税、法人税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」及び「信託受益権が分割される土地信託に関する所得税、法人税、消費税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」の廃止について」(法令解釈通達)により廃止された昭和61年7月9日付直審5-6ほか4課共同「土地信託に関する所得税、法人税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて」(法令解釈通達)における「第3法人税に関する取扱い」の3-30(1)から(3)まで((収用換地等の場合の所得の特別控除の適用))において定められていたものと同趣旨のものであり、平成19年度税制改正後も同様の取扱いとなる旨を明らかにしているものである。

6 なお、連結納税制度においても、同様の通達(連措通68の73-15)を定めている。
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参考
国税庁HP

⑮不動産を相続したら、まず登記(仮訳)


If you succeed the real property, the register first.

登記をせずに放っておくと、権利関係が複雑になる。

If you leave the registry undone, the right become complex.

たとえば、被相続人の残した不動産について、相続人A、B、Cの間でAが相続するということで話し合いがうまくまとまったので、安心して放置しておいたら、相続人の一人であるCが亡くなってしまったというケースは意外と多くあります。

For example, the heirs leave the registry that is the ancestor’s real property undone because A, B and C agreed that A inherits. There is the unexpected many cases that C dies at that time.

この場合、ただ話し合っただけだったとしたら、Aの名義に登記するためには、亡くなったCの相続人D,E、Fを加えてもう一度協議をしなければなりません。

In this case the talk about inheritance while C was alive disappeared, you agreed only, you should talk the ancestor’s real property over with B, D, E and F to register.

この協議がうまくまとまらないうちにBが亡くなってしまったら、Bの相続人G、H、I、Jも協議に加えなくてはなりません。そうこうしているうちにAが亡くなってしまったら・・・

B died, too when you don’t talk the real property over with B, D, E and F. You should talk the ancestor ‘real property over with G, H, I, J, D, E and F . In the meantime, if A die…….

長い間登記を放置しておくと、相続権のある人が次第に増えて、遺産分割協議が整うことが難しくなります。登記手続に必要な書類も多くなり、不動産をめぐる法律関係をさらに複雑にさせます。

If you leave the registry undone for a long time, the heir increase steadily. So, agreement to divide inheritance become difficulty. You should prepare the form more for the registry. The right of the real property become more complex.

参考I reference.
司法書士アクセスブック
よくわかる相続
日本司法書士会連合会


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6代目 三遊亭 楽太郎「死神」聞きました。

 

参考

平成28年3月2日法務省民ニ第154号

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