地域共生社会はどうあるべきか―ーポストコロナの福祉ビジョン―

 市民と法[1]の宮本太郎中央大学教授「地域共生社会はどうあるべきか―ポストコロナの福祉ビジョン―」からです。

・重層的支援体制整備事業

社会福祉法の改正

厚生労働省 / MHLWchannel 「②社会福祉法の改正趣旨・改正概要について」

社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0000000045

(地域福祉の推進)

第四条 地域福祉の推進は、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現を目指して行われなければならない。

・・・理念

(福祉サービスの提供体制の確保等に関する国及び地方公共団体の責務)

第六条 2 国及び地方公共団体は、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備その他地域福祉の推進のために必要な各般の措置を講ずるよう努めるとともに、当該措置の推進に当たつては、保健医療、労働、教育、住まい及び地域再生に関する施策その他の関連施策との連携に配慮するよう努めなければならない。

・・・努力義務

(重層的支援体制整備事業)

第百六条の四 2 前項の「重層的支援体制整備事業」とは、次に掲げるこの法律に基づく事業及び他の法律に基づく事業を一体のものとして実施することにより、地域生活課題を抱える地域住民及びその世帯に対する支援体制並びに地域住民等による地域福祉の推進のために必要な環境を一体的かつ重層的に整備する事業をいう。

一 地域生活課題を抱える地域住民及びその家族その他の関係者からの相談に包括的に応じ、利用可能な福祉サービスに関する情報の提供及び助言、支援関係機関との連絡調整並びに高齢者、障害者等に対する虐待の防止及びその早期発見のための援助その他厚生労働省令で定める便宜の提供を行うため、次に掲げる全ての事業を一体的に行う事業

イ 介護保険法第百十五条の四十五第二項第一号から第三号までに掲げる事業

ロ 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第七十七条第一項第三号に掲げる事業

ハ 子ども・子育て支援法第五十九条第一号に掲げる事業

ニ 生活困窮者自立支援法第三条第二項各号に掲げる事業

二 地域生活課題を抱える地域住民であつて、社会生活を円滑に営む上での困難を有するものに対し、支援関係機関と民間団体との連携による支援体制の下、活動の機会の提供、訪問による必要な情報の提供及び助言その他の社会参加のために必要な便宜の提供として厚生労働省令で定めるものを行う事業

三 地域住民が地域において自立した日常生活を営み、地域社会に参加する機会を確保するための支援並びに地域生活課題の発生の防止又は解決に係る体制の整備及び地域住民相互の交流を行う拠点の開設その他厚生労働省令で定める援助を行うため、次に掲げる全ての事業を一体的に行う事業

イ 介護保険法第百十五条の四十五第一項第二号に掲げる事業のうち厚生労働大臣が定めるもの

ロ 介護保険法第百十五条の四十五第二項第五号に掲げる事業

ハ 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第七十七条第一項第九号に掲げる事業

ニ 子ども・子育て支援法第五十九条第九号に掲げる事業

四 地域社会からの孤立が長期にわたる者その他の継続的な支援を必要とする地域住民及びその世帯に対し、訪問により状況を把握した上で相談に応じ、利用可能な福祉サービスに関する情報の提供及び助言その他の厚生労働省令で定める便宜の提供を包括的かつ継続的に行う事業

・・・相談支援の包括化、地域づくり事業、前の2つを繋ぐ事業、アウトリーチ事業。

ユニバーサル就労(中間的就労)について、「職場で経験値が高い専門性を有しした人が引き受けている仕事を業務分解して、誰でもできる仕事を切り出していく。こうして、さまざまな困難を抱えた人々も携わることができる業務のパッケージをつくり出し、さらには人々の事情に合わせてカスタマイズする。このように、職場の効率を犠牲にすることなく、その間口を広げていくのがユニバーサル就労である。(P18)」

・・・「誰でもできる仕事」は、私なら利用者が出来る、嫌ではない仕事とします。

参考 ユニバーサル就労ネットワークちばHP「中間的就労とは?」

・・・利用の仕方次第なのかなと感じます。

”制度からの孤立”を防ぐために必要なこと-申請主義によって生じる課題に焦点をあてて-

tps://note.com/wish0517/n/n1bb074a9e690

富士市HP「富士市ユニバーサル就労の推進に関する条例(平成29年4月1日施行)」

https://www.city.fuji.shizuoka.jp/kurashi/c0606/universal_work.html

・・・「市民の誰もが社会を構成する一員として活躍し、自立した生活を送ることができる社会を実現するためには、就労意欲のある全ての人に就労の機会が提供されるよう、環境を整備していかなければならない。」とありますが、これは自助ではないのかなと感じます。

独立行政法人福祉医療気候「コミュニティソーシャルワーカー(CSW)」

地域の人材やシステムを活用して困っている人を支援する

https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguidejobtype/jobguide_job58.html

・・・人次第かなと思いました。

・2040年問題

参考 「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部のとりまとめ」について

令和元年6月12日 第118回社会保障審議会医療保険部会 資 料 2-1

厚生労働省保険局

・就職氷河期世代の方々の活躍の場を更に広げるための支援

・地域共生・地域の支え合い

「地域共生社会の形成には、相談支援と元気になる場、そしてこの二つをつなげる参加支援が重要であること、昨年の社会福祉法改正による重層的支援体制整備事業がこの3つのポイントを包括化していく取組みであることを示した。」

参考

令和3年3月 三菱UFJリサーチ&コンサルティング

「重層的支援体制整備事業に関わることになった人に向けたガイドブック」

「「生きづらさ」を抱える住民を支える専門職や支援団体もまた、縦割りの制度や組織、支援の仕組みに、「支援しづらさ」を感じています。」

【支援関係者・専門職にとって】地域の支援関係者、専門職にとっては、利用者・対象者の抱える生活課題のすべてを一か所で抱え込む必要がなくなります。人的資源に限度がある以上、各分野の負担を軽減しながら支えていくことは考えるべき現実的な課題です。支援関係者や専門職の負担が軽減されることは、結局、最終的には生活課題を抱える地域全体のメリットになっていきます。

・・・担当者によって変わるのかなと感じました。イメージは生活保護担当者や、地方公共団体の職員の社会福祉士などです。ここまでやるのか、すごいなと思わせる方もいますし、んー、あまり希望してなかった課にふられてしまったんだなと思わせる方もいらっしゃいます。


[1]130号、2021年8月、P14~民事法研究会

「民事信託の登記の諸問題(1)」

登記研究[1]の記事、渋谷陽一郎「民事信託の登記の諸問題(1)」を基に考えてみたいと思います。

更には、信託登記の具備が、受益者保護の最後の砦である受託者の権限外行為に対する受益者取消権の権利行使要件となっている(信託法27条2項1号、同法14条等)。

信託法27条2項1号に関して、初めて知りました。受託者が信託の登記申請を行わない場合、代位申請の必要があると考えます(不動産登記法99条)。

業ではないということは、営利を目的として反復継続しないことである。受託者が、原則として、一生に一度だけ行う信託のこととなる。

信託業法2条を載せます。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?law_unique_id=416AC0000000154_20200401_429AC0000000045

(定義)

第二条 この法律において「信託業」とは、信託の引受け(他の取引に係る費用に充てるべき金銭の預託を受けるものその他他の取引に付随して行われるものであって、その内容等を勘案し、委託者及び受益者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定めるものを除く。以下同じ。)を行う営業をいう。

要件のとして、3つが挙げられています。

1つ目が、営利を目的としない。2つ目が反復継続しない。3つ目が、2つ目と重複する部分もありますが、受託者が、原則として、一生に一度だけ行う。

一つ目の営利を目的としないについて、自己信託については信託業法に基づく登録が不要なもの(信託業法50の2)に関しては、営利を目的としても良いと考えることが出来ます。

(信託法第三条第三号に掲げる方法によってする信託についての特例)

第五十条の二 信託法第三条第三号に掲げる方法によって信託をしようとする者は、当該信託の受益権を多数の者(政令で定める人数以上の者をいう。第十項において同じ。)が取得することができる場合として政令で定める場合には、内閣総理大臣の登録を受けなければならない。ただし、当該信託の受益者の保護のため支障を生ずることがないと認められる場合として政令で定める場合は、この限りでない。

2つ目の反復継続しないについて、受託者の主観も問われる[2]とありますが、民事信託に関わる場合、裁判所からみて反復継続していたと事実認定されないことが重要になります。そのように考えると、はっきりとした判例や法令がない限り、受託者の主観が争点になるようなことは、最初からしない方が良い、という結論になり、記事に記載の通り、受託者が反復継続して信託の引き受けを行う信託に関わることは避けることが必要となります。

3つ目の受託者が、原則として、一生に一度だけ行う、については、1つ目に挙げた自己信託に関しては回数を問いません。また2つ目と矛盾するようですが、特定少数の親族である委託者に関して信託の引き受けを行うことは、営業(営利を目的として反復継続して行う。)に該当しません。ただし、実態として長期に渡る信託について受託者が引き受けを行う回数は、自ずと限られてくると考えられます。

なお、信託業法施行令1条の2第1号で信託業法の適用除外とされる行為が定められています。

(信託業の適用除外)

第一条の二 法第二条第一項に規定する政令で定めるものは、次に掲げる行為であって、信託の引受けに該当するものとする。

一 弁護士又は弁護士法人がその行う弁護士業務に必要な費用に充てる目的で依頼者から金銭の預託を受ける行為その他の委任契約における受任者がその行う委任事務に必要な費用に充てる目的で委任者から金銭の預託を受ける行為

二 請負契約における請負人がその行う仕事に必要な費用に充てる目的で注文者から金銭の預託を受ける行為

三 前二号に掲げる行為に準ずるものとして内閣府令で定める行為

信託登記の公示のために必要な技法

1信託契約書や遺言書等に記載された信託条項群の中から、信託登記の登記事項とすべき信託条項を的確に選択。

2そのようにして選択された信託条項から法的に意味のある要件を抽出

3公示の一覧性の要請に従い、かつ、登記官の審査を可能とするため、適切に要約。

3については、要約してなくてもそのまま信託目録に記録できるように、信託行為の条項を定める方法もあるのではないかと感じました。


[1]881号、令和3年7月、テイハン67~

[2] 小出卓哉「逐条解説信託業法」2008清文社P17~P18。

民事信託支援業務のための執務指針案100条(8)

市民と法[1]の記事、渋谷陽一郎「民事信託支援業務のための執務指針案100条(8)」を基に考えてみたいと思います。

45 家族信託とは複数の者の利害が絡む「しくみ」である―そのリスクの源泉

 私の理解では、最初に信託法という仕組みがあり、それを親族の財産承継にどうにかして使えないかと当てはめ始めた。当初は受託者に就任出来ないのか、受託者法人の役員に就任出来ないか、震災復興支援、農地関連など手探りでした。その後、民事信託支援業務という、記事での前段事務(司法書士法3条)と信託登記の代理申請という後段事務とされている事務に法的根拠を求め始めた、というようなものです。司法書士法施行規則31条が法的根拠であるという司法書士もいるかと思います。

46 司法書士が信託分野に果たした功績とその意義

 私が司法書士試験に合格した年の新人合同研修では、七戸克彦教授が信託法改正について言及していたことを未だ覚えています。司法書士はこれから、簡裁訴訟代理等関係業務を中心としてプチ弁護士として生きていくのか、信託法改正を契機として民事信託分野、債権・動産譲渡登記を扱って生きていくのかの分岐点に在る、というような内容だったと思います。2007年のことです。成年後見業務を中心に行うと決めていた私は、民事信託や債権・動産譲渡登記を将来扱っていきたいと考えていました。

47 民事信託支援業務の「支援」とは前段事務を意味する

業務の低廉、高品質については、私にはどのような基準なのか分かりませんでした。成年後見人として遺産分割調停の代理や訴訟代理、強制執行は行いましたが、本人訴訟支援業務の経験件数が少ないからだと思います。記事での低廉、高品質というレベルは、過払金返還請求訴訟を除く本人訴訟支援業務における低廉、高品質を指しているのだと思います。

成年後見業務における低廉、高品質を私の理解するレベルで行うと、事務所経営は出来ません。

ただし、最近は民事信託専門、家族信託専門コンサルタントを肩書にしていた司法書士が民法や社会福祉法改正を受けて、相続や成年後見業務に重心を移してきているようです。1年で成年後見人に30件就任したという記事を読み、私なら不可能だと感じました。

48 前段事務と実体関与は異なる

完全な訴状、瑕疵のない準備書面を作成し続けるのは、弁護士でも難しいのではないかなと考えますが、どうなのでしょうか。報酬は、おそらく報酬自由化の前の報酬基準が目安になるのかなと思います。

49 最近の気になること

司法書士会内における批判の声の高まりについて、私は過払金返還請求の際の宣伝や報酬とは、2点異なるものを感じます。宣伝や報酬については、日本司法書士会連合会で基準を作成することが可能であり、宣伝については既にあります。

1点目は、司法書士が、司法書士を始めとする士業やその他の専門家に対してビジネスを始めたことです。司法書士間で対価を授受するという行為を通して上下関係が出来たことです。

2点目は、1点目と重複する部分がありますが、対価を受け取る側のビジネスを展開している側に対して批評を行うと、その集団から排除されることです。私は、一般社団法人民事信託推進センターから、除名されました。この事実は今後、残念な形で残り続けると思います。著作権法違反が主な理由のようですが、裁判手続きに載せない事実、懲戒処分の申立てもされていない事実を併せると、批評をすると多数決で排除される、という構図が残ります。今後は信託の学校と共に、排他的な法人として存続は難しいのかなと思います。

 「○○という誤った条項を見かけることがありますが、」「分かっていない専門家が多くみられますが、」から始まり、少数での勉強会内で固まった考えを正しいと広めるのもどうなのかなと感じます。

(2)東京地判令和2年12月24日と日司連会長挨拶

東京地判令和2年12月24日については、司法書士が信託監督人に就任したことと辞任しなかったこと、信託期中に少し中に入り過ぎたのではないかという印象を持ちました。

日司連会長挨拶については、実態との乖離を感じるので記事に記載されているような感銘を受けることはありませんでした。

50 指針案のあてはめの実践編について

51 裁判例の事実認定の検討と分析

一部の親族(推定相続人)の利益となるであろうことを想定しながら、信託組成を支援したか?

推定相続人の利益を平等にしたい場合は、法定相続分によるか全員等価で分けることが最善な方法だと思います。一部の親族(推定相続人)の利益になることは、信託組成の支援において優先的な判断基準にはならないのかなと思います。

私なら遺言作成を始めに説明したかもしれません。

潜在的紛争性のある事件として、弁護士への相談を助言しただろうか?

連絡が取れるのであれば、長男を含めた関係者全員に、それぞれ弁護士への相談を助言したと思います。

長男と親族との間で紛争を生ずる蓋然性を予測できただろうか?

出来なかった可能性があります。

潜在的な紛争可能性を予測すべきであっただろうか?

信託の終了方法に、少し幅を持たせても良かったかなとは思います。

「提案」と「情報提供」との差異は何か?

「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」について(意思決定支援ワーキング・グループ)2020年(令和2年)10月30日

https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2021/20201030guideline.pdf

「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン解説編」

人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会 改訂 平成30年3月

https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10802000-Iseikyoku-Shidouka/0000197702.pdf

の範囲を超えないことが、提案と事実認定されないために必要だと考えます。


[1] №130、2021.8.P21~民事法研究会

照会事例から見る信託の登記実務(14)について

登記情報[1]の横山亘「照会事例から見る信託の登記実務(14)」から考えてみたいと思います。

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 委託者の死亡を始期とする信託契約を確実に履行するために遺言の執行の機能が併用されることがあるようです。このような場合には、契約による信託の登記の添付情報として遺言書が提供されるなど、信託の登記が複雑な形態となって申請されることになります。

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 問いは、信託契約に始期を付けるということなので、登記原因証明情報は信託契約書と委託者が死亡したことを証する除籍(戸籍)謄抄本となり、遺言書ではないと考えます。また登記権利者は受託者、登記義務者は委託者の相続人か信託契約書その他の信託行為で委託者の地位を承継した者です(信託法146条)。

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 賃借権設定の仮登記がされている場合、転貸は、信託法3条1項1号でいう財産の処分に該当すると解されるので、賃借権を信託財産とすることは許されるものと考えられ、その仮登記の申請も、することができるものと思われます。

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申請

登記の目的 何番賃借権転貸仮登記及び信託仮登記

原因 年月日転貸(信託)

賃料 1月○万円

特約 譲渡、転貸ができる

権利者(転借権者) 受託者住所氏名

義務者 委託者住所氏名

登記記録

付記〇号

何番賃借権転貸仮登記及び信託仮登記

年月日受付〇号

原因 年月日転貸(信託)

権利者 受託者住所氏名

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信託仮登記

信託目録第〇号

(信託法3条、26条、民法612条、613条、不動産登記法81条、98条、107条、不動産登記規則3条1項4号)

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C土地の委託者A、受託者B。C土地について、建物所有を目的として賃貸借契約設定仮登記。賃貸人B、賃借人D。Dを委託者、Bを受託者として賃借権移転の仮登記及び信託の仮登記は可能か。

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申請

登記の目的 何番賃借権移転仮登記及び信託仮登記

原因 年月日転貸(信託)

賃料 1月○万円

権利者 受託者住所氏名B

義務者 委託者住所氏名D

登記記録

付記〇号

何番賃借権移転仮登記及び信託仮登記

年月日受付〇号

原因 年月日転貸(信託)

権利者 受託者住所氏名

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信託仮登記

信託目録第〇号

(信託法3条、26条、民法612条、613条、借地借家法3条、22条、不動産登記法81条、98条、107条、不動産登記規則3条1項5号)

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申請

登記の目的

〇番付記〇号仮登記根抵当権抹消及び仮登記信託抹消

年月日受付〇号

仮登記根抵当権抹消 年月日解除

仮登記信託抹消 年月日終了(解除?)

権利者 委託者住所氏名

義務者 受託者住所氏名

登記記録

〇番付記〇号仮登記抹消

年月日受付〇号

年月日解除

登記原因証明情報

・受益者の意思決定は、信託行為によりセキュリティエージェントが行うこと。

・(委託者に、解除希望日がある場合)

・委託者から、受託者とセキュリティエージェントに対する、根抵当権の解除希望通知。

・セキュリティエージェントから受託者への根抵当権解除通知。

・受託者から委託者への解除の承諾。

・・・・・・・・・・・・・・

〇番付記〇号信託仮登記抹消

年月日解除

(不動産登記法110条)


[1] 717号2021.8きんざいP36~

「民事信託における利益相反と受託者の対応」について

会報信託[1]の記事からです。

遺言信託

委託者A 受託者 Aの子 受益者 Aの後妻B(Aの死亡時点で70歳)、Aの子

残余財産給付者 Aの子

信託目的

・Bが、亡くなるまで、今住んでいるA名義の土地建物に、希望する限り住むこと。

・信託財産の価値の維持。

信託財産

・自宅の土地建物

・アパートとして管理している土地建物(管理費用毎年500万円)。

・お金1億円

 想定事例として遺言信託を選んだのは、信託契約で第1次受益者が亡くなった時点から検討を始めることが出来るからなのかなと思いました。

受託者の権限

・自宅の土地建物を売却することが出来ない。

・アパートは受託者の裁量で売却することが出来る。

後妻Bの受益権

・アパートの賃料を、毎月全額受け取ることが出来る。アパートが売却された場合は、毎年500万円の給付を受け取ることが出来る。

・希望する限り自宅に住み続けることが出来る。

・・・・・・・・

受益者として指定されているAの子の受益権については、記載を見つけることが出来ませんでした。

・受託者Aの子が、アパートの土地建物を売却することは、受託者の善管注意義務、公平義務に反するか?

 原則として反しないと考えます。反するとすれば、取引相場より低額で売却した場合など、不合理な理由がある場合に限られると思います。

 生涯受益者・・・残余財産の受益者、残余財産の帰属権利者に対する用語だと思いますが、初めてみました。

 受託者がアパートを売却した場合について、権限外行為とされた場合の攻撃防御方法が展開されていますが、原則として権限内なので、どのような場合に権限外行為と認定されるのか、よく分かりませんでした。

・Bの受益権である、毎年500万円の給付を受ける、というのは、最低保障としての500万円なのか、生活出来る程度の金額としての500万円なのか?・・・文章を読む限り、生活出来る程度の金額としてだと考えます。

・アメリカの事案

受託者が、買主や仲介業者の利益を重視して、信託財産の売却を行った場合、忠実義務違反に認定され、損害分と売却しなければ値段が上がっていた分も、損害として賠償を命じられたケース。

 共同受託者で、遺言信託発効時に裁判所に解釈を求める訴えがされたケース・・・財産の売却をしてから揉める、など時間と費用がかかる訴訟を回避することが出来た。示唆として、受託者が利益相反の影響を受け得る場合、法律面や資金面で助言者を立てておく、裁判所の指示を早めに受けるなど。

後見・遺産管理への広がり

・意思能力、判断能力が衰える前については、何らかの繋がりを持っている方が大半で、そのときには、多少なりともお互いに扶けあって生きていた方の方が多いと思います。これが後見制度、信託制度に載ると構造的利益相反、潜在的な利益相反、問答無用ルールにさらされることになる。ただし、法律を前面に出すよりは、今までの生活を極力尊重する方が結果として上手く行く、という箇所は同意です。


[1] 286巻2021年季刊第Ⅱ号P19~信託協会

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