受益権の共有、受益者の複数

1、受益権の共有と捉えられる定め

(受益者)

第○条 

1 本信託の受益者は次の者とする。

(1)

住所

氏名 A 生年月日

2 Aが亡くなった場合、受益権はAの法定相続人が信託法第91条により取得する。

3 次の順位の者が既に亡くなっていた場合には、さらに次の順位の者が受益権を取得する。   

4 受益者に指定された者、又は受益権を取得した者が、受益権を放棄した場合にはさらに次の順位の者が受益権を取得する。

5 受益権の割合は、受益者の数に応じて均等とする。

2、受益権の共有と捉えられないようにするための条項

(受益者)

第○条 

1 本信託の受益者は次の者とする。

(1)

住所

氏名 A 生年月日

2 Aが亡くなった場合、受益権はAの法定相続人が信託法第91条により取得する。

3 次の順位の者が既に亡くなっていた場合には、さらに次の順位の者が受益権を取得する。   

4 受益者に指定された者、又は受益権を取得した者が、受益権を放棄した場合にはさらに次の順位の者が受益権を取得する。

5 受益権は、受益債権の額1円につき1個とする。

・割合で定める方法

(受益権)

第○条

―略―

受益権は、本信託設定時の受益債権の総額に対する、各受益者が有する受益権債権の割合の1%につき1個とする。

(信託の変更)

第○条 

1 本信託の変更は、受託者と受益者の合意による。

2 受益権が移転した場合、受益権の個数は、移転日における本信託の受益債権の総額に対する、各受益者が有する受益権債権の割合の1%につき1個とする。

3 前項の場合、各受益者に計算後の受益債権が指定される受益債権の分割・併合があったものとする。[1][2][3]

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2017年10月22日追加

http://201http://www.tsubasa-trust.net/2017/09/blog-post_11.html7年9月11日月曜日

受益者ごとに異なる受益債権の定め

2017/911

これは、谷口毅先生の記事です。

削除されていますが私がコメントした分が入っているような。

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2017年10月28日追加

2017年8月3日木曜日 司法書士谷口毅先生

受益者複数と受益権共有

「受益者複数」と「受益権共有」は、別の概念ですよ!という話です。

例えば、投資信託をイメージしてみてください。

みなさんが投資信託を買うと、「受益権の保有口数 5000口」などと書かれた運用報告をもらうと思います。

投資信託は、受益権が小口の口数に分かれ、多くの投資家が保有しているのですね。

これが「受益者複数」であります。

一方、5000口の受益権を保有している投資家が死亡したら、どうなるのでしょうか。

5000口の受益権の一口一口が、法定相続人全員の共有状態となりますね。

これが、「受益権共有」です。

「受益者複数」とは、複数の受益権が存在し、それぞれが別個の受益者に帰属すること。

「受益権共有」とは、1つの受益権について、複数の受益者に帰属すること。

似て非なる概念なんです。

例えば、以前の記事「受益者が複数の場合の意思決定」においては、受益者が複数の場合は、特段の定めがない限り、全員の一致で意思決定をするものだと書きました。

しかし、受益権共有の場合は、民法249条以下の、共有に関する規定が適用されるのですね。すると、保存行為であれば、各共有者が単独ででき、管理行為であれば持分の過半数で決定し、変更であれば、全員の同意で行うことができると考えられます。

そして、例えば、1個の信託に対して3個の異なる受益権があって、1つ目については受益者A、2つ目については受益者B、3つ目については受益者CDEが共有、となっているとします。

この場合、信託全体の意思決定の方法としては、「A」「B」「CDE」の3人の受益者なのだ、と考えます。

つまり、CDEが共有している受益権については、受益権共有なので、民法の規定に従って意思決定を行う。

その上で、CDEの決定を1人分の意思決定と考え、受益者Aも1人分、受益者Bも1人分、として、合計3人の意思決定で物事を決めることになります。

最後の決定については、「複数受益者」として考えるのですね。

理論的にはこうであっても、実際の適用場面を考えると、難しいですね…

この点の議論が、実務家の間ではほとんどなされていないと思いますし…

気づいている人が少数派なのかな?

具体的に受託者を解任したい場面や信託の終了の決定をしたい場面、受託者に金銭の給付を請求したい場面などで、どのように意思決定を行うのか、まだ、私の中では十分に考えがまとまっていません。

また、受益者複数と受益権共有を明確に区別するような契約書の作成が求められると考えられますが、これも、私の中では十分に考えがまとまっていません。

読んでる皆さん、誰か考えてくださ~い!

ってか、実務家のみなさん、誰かこの論点で議論してください…

ってことで、今日はこの辺で。

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「実務家のみなさん」というか、「自分の友達の実務家の皆さん」とか何とか書くか、

安易に使わないで欲しいと思います。

実務家を全員知っているわけでもないだろうし。


[1] 道垣内弘人『信託法』2017 有斐閣 P323、P351、P393

[2] 新井誠監修「コンメンタール信託法」2008 ぎょうせい P332

[3] 村松秀樹ほか「概説 新信託法」2008 金融財政事情研究会 P245

家族信託の融資

 家族信託の融資について、受託者(債務者)が亡くなって新受託者が就任した場合、受益者にも債務履行を請求できるのか。

(1)信託行為後の融資

(2)受託者は信託財産のためにする意思で融資を受けた

(3)融資は受託者の権限内の行為

(4)融資された金銭は信託財産責任負担債務となる

(5)信託口口座へ入金がされている

(6)限定責任信託ではなく、責任財産限定特約もされていない

(7)受益者は連帯債務者、連帯保証人、担保設定者ではない

(1)から(6)の事実を前提とします。

1、受託者(債務者)が死亡した場合、後任の受託者が就任を承諾すると、債務はその時点で自動的に後継受託者には移らないと考えることができます。後継受託者は、自らが債務者となって債務を負ったわけではないからです。

2、債務は死亡した受託者の相続人に及びます(信託法76条、民法896条)。

3、債権者は、死亡した受託者の相続人に対して債務の履行を請求することができます。

4、また相続人が債権者に対して債務の履行を行った場合、新受託者や信託財産法人管理人に償還を請求することができます(信託法75条6項)。

・ただし、受益債権など、信託財産に属する財産のみを持って履行する責任を負う債務については、前受託者は履行責任を負いません。

5、新受託者は、信託財産の帰属主体となり、責任財産を信託財産に限定しながらも、重畳的な債務引受をして、債務者となったことになると考えることができます(信託法75条8項)[1]


[1] 道垣内弘人『信託法』P287~

信託設定時の信託財産

1、信託設定時の信託財産

要件(1)、(2)をいずれも満たすこと[1]

(1)金銭に見積もりうる

(2)他の人に移転することができる

満たす例:お金、不動産、債権など[2][3]

満たさない例:生命、譲渡制限や禁止条項のついた債権など

というのが、通説ですが、(1)は、誰にとって金銭的な価値があればいいのでしょうか。課税されるかはともかく、課税対象となるかという観点で、国税庁でしょうか。

信託財産は、

①委託者の財産から分離可能

②受託者による管理ができる

③承継できる価値がある、

の3つがあれば良いという見解があります[4]。例として価値のない紙幣や大事な系譜の一部を挙げられていますが、委任契約や遺言、法人制度の利用で可能と考えられます。受益者連続型の信託利用を想定しているとしても、受益者は受益権を放棄することができるので、遺言の付言事項や委任契約の付随条項で定めることもできます。

条件付きの贈与契約でも目的は達成できる可能性があります。信託財産になるかといわれたら、信託財産にもなる、信託財産にすることもできる、という答えになります。

また、受益者のためになるのか、受託者の財産と別扱いで管理する意味はあるのかを考えると、妥当とはいえないと考えることができます。

なぜ財産を信託財産にしなければならないのかを考えると、信託財産の要件としては

①目的達成のために、委託者の財産から分けることが必要であり(委託者の破産や死亡など)、

②管理処分行為を託された者については、利益を受ける者のために適切な義務を規定することができる財産であることが必要(お金、不動産など)、

との結論を出すことになると考えます。誰にとっては、受益者にとって、となり付随して信託目的のために、と付け加えることが妥当ではないかと考えます。

2、債務

(1)債務は信託財産となりうるか

(信託事務の処理の状況についての報告義務)

第36条  委託者又は受益者は、受託者に対し、信託事務の処理の状況並びに信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況について報告を求めることができる。

として、信託財産に属する財産と信託財産責任負担債務を分けていることから[5]、債務は信託財産とはなりえない。

受託者が債務引受をして、その債務を信託財産責任負担債務とした場合は、受託者は信託財産としてではなく、信託の目的に沿って管理・処分していくことになる。

(2)信託財産責任負担債務

(3)信託財産責任限定特約

3、占有の承継

(信託財産に属する財産の占有の瑕疵の承継)

第○条  受託者は、信託財産に属する財産の占有について、委託者の占有の瑕疵を承継する。

不動産が信託された場合、自己信託を除いて、受託者は不動産の占有についての瑕疵を委託者から承継します。占有について瑕疵のある不動産を信託しても当事者以外に、これは信託財産です、と対抗することができません。なお、信託法15条は、信託設定時の信託財産に関する規定です。

4 信託財産に関するリスク

(1)信託することができる財産か

(2)金銭に関して、信託財産の独立性が担保される措置が可能か

(3)信託する財産が複数の種類である場合、種類別に管理・処分方法が定められているか。

(4)

【条項例】

(信託財産)

第○条 

1 契約をした日の信託財産は、次の第1号から第3号までとする。契約後に、第4号から第5号によって発生した財産もその種類に応じた信託財産とする。

(1) 別紙1記載の株式(今後、「信託株式」という。)

(2) 別紙2記載の不動産の所有権(今後、「信託不動産」という。)

(3) 金銭○○万円(今後、「信託金銭」という。)

(4) 受益者から追加信託を受けた株式、不動産及び金銭

(5) その他の信託財産より生じる全ての利益

2 委託者は、本信託について特別受益の持ち戻しを免除する。

(信託財産)

第○条 本信託設定日における信託財産は、次の第1号から第2号までとする。設定後に第3号から第5号によって発生した財産も信託財産とする。

(1) 別紙1記載の不動産の所有権(今後、「信託不動産」という。)

(2) 金銭○○万円(今後、「信託金銭」という。)

(3) 信託不動産を売却した場合の代金や、信託財産の運用により得られた金銭

(4) 受益者から追加信託を受けた財産

(5) その他の信託財産より生じる全ての利益

(信託財産)

 第○条

 1 本信託設定日の信託財産は、次の第1号から第2号までとする。設定後に第3号から第4号によって発生した財産も信託財産とする。

 (1)別紙1記載の甲が経営する屋号「○○屋」の事業遂行のために所有又は保有する有形資産及び無形資産(以下、「信託事業」という。)

 (2) 金銭○○万円(今後、「信託金銭」という。)

 (3) 受益者から追加信託を受けた財産

 (4) その他の信託財産より生じる全ての利益

(信託財産)

第○条 本信託設定日における信託財産は、次の第1号から第2号までとする。設定後に第3号から第4号によって生じた財産も信託財産とする。

(1) 別紙1記載の生命保険契約の保険契約者の地位

(2) 金銭○○万円(今後、「信託金銭」という。)

(3) 受益者から追加信託を受けた財産

(4) その他の信託財産より生じる全ての利益

(信託財産―預金)

第○条 

1 委託者は、信託契約締結、信託財産目録記載4の預金を払い戻し、受託者に引き渡す。

2 受託者は、前項の払戻金を信託財産に属する専用口座を開設する方法により受託者自身の財産と分別して管理する。

(信託財産―不動産)

第○条 

1 信託財産目録1,2及び3記載の信託不動産の所有権は、本信託開始日に、受託者に移転する。

2 委託者及び受託者は、本契約後、前項の不動産について所有権移転の登記申請を行う。

3 受託者は、前項の登記申請と同時に、信託の登記の申請を行う。

4 前2項の登記費用は、受託者が信託財産から支出する。

(農地)

第○条 信託不動産のうち、農地法の適用を受ける土地については、次のいずれかのときに、本信託の効力を生じる。

(1)農地法に基づく許可を受け、許可通知書を受け取ったとき

(2)農地法に基づく届け出を行い、受理通知書を受け取ったとき

(3)農地法の適用対象から外れた場合


[1]四宮和夫『信託法〔新版〕』1989有斐閣P133

[2] 情報についてトラスト未来フォーラム76 三枝健治「情報の信託「財産」性についての一考察」

[3] 人格権について米村慈人「人格権の譲渡性と信託」水野紀子ほか『信託の理論と現代的展開』

[4] 遠藤英嗣『新しい家族信託』日本加除出版P102

[5] 道垣内弘人『信託法』2017有斐閣P33

信託の設定

1、信託の設定

信託の設定について考えることは、信託の効力発生要件について考えることに繋がります。

信託の効力発生要件について考えることは、信託の効力が発生しないのは、どのような場合であるかを考えることに繋がります。

信託法2条1項から読み取ることができるのは、

1、財産が存在し、それが受託者に帰属すること。

2、達成すべき一定の目的が定められていること。

3、受託者は目的を達成するために、目的に従って財産の管理、処分その他の必要な行為を行う義務があること。

ある行為があり、それが「信託」と決定されるためには、上の3つが基本的には求められると考えることができます[1]

反対に考えてみると、

(1)財産と性質決定できないもの(例:消極財産である債務)、受託者に帰属することができない財産(例:生命[2]

(2)目的とよぶことが難しいもの、目的がすでに達成されているもの、目的の達成が不可能に近いもの(例:信託財産を1年間で100倍にする)

(3)受託者に財産の管理、処分などを行う能力がない場合(例:重度の認知症)

などは、信託と決定されず、決定されない以上、信託が始まらないので機能することはないことになります。

2、信託行為

信託を設定するため、信託法に定められた方法に従って行う行為を信託行為といいます(信託法2条2項、3条)。

形式的な3つの分類[3]

(1)信託契約

 委託者となる者Aが、受託者となる者Bとの間で、AからBにある財産を処分する旨、および、Bが一定の目的に従い、財産の管理や処分など、その目的達成に必要な行為をする義務を負う旨を定める契約を締結するという方法

(2)遺言

Bに対しある財産を処分する旨、およびBが一定の目的に従い、財産の管理や処分など、その目的達成に必要な行為をする義務を負うことを内容とする遺言をAがするという方法です。遺言信託と呼ばれることがあります[4]。今後、遺言による信託行為を遺言信託と記載します。

(3)信託宣言

 Aが、自己の有する一定の財産について、自らを受託者B(=A)とし、一定の目的に従い、財産の管理や処分など、その目的達成に必要な行為を自ら行うことの意思表示をするという方法です。自己信託と呼ばれることがあります[5]。今後、信託宣言のことを自己信託と記載します。

意思表示は、

①公正証書(パソコンで入力した文書データに電子署名を行い、公証人役場に送信して電子認証を受けることにより作成する公正証書を含む。)の作成

②公証人の宣誓認証を受けた宣誓供述書の作成

③確定日付のある、必要な要件を記載した証書(パソコンで入力した文書データに電子署名を行い、公証人役場に送信して日付情報の付与(確定日付)を受けることにより作成する証書を含む。)を作成し、受益者となるべき者に対する通知を行う

のいずれかの方法で行います。なお、③の方法によるときは、受益者となるべき者に通知が到達したときに効力が発生します。

3、信託の設定者に関するリスク

(1)委託者となる者の判断能力リスク[6]

最低限、委託者となる者が3つを認識していることが必要です[7]

①信託する財産がどれか、特定されている。

②信託すると、信託した財産の所有者ではなくなるが、所有者とほぼ同じ権利持ち、その権利が侵されたときの救済を求めることが出来る。

③信託すると、信託した財産は受託者に帰属し、受託者自身の財産とは別扱いで管理する。

対応方法

①面談による確認(主に上記の3つの質問と信託の必要性)と記録の保管

②書類の確認(本人確認書類、信託設定証書の各条項、特に信託目的、信託財産、受託者の信託事務、信託の変更、終了条項)

③法定の成年後見人が就任した場合、法定代理人として信託の変更、終了の権限を持つことになるので、任意後見制度の利用の有無の確認。

(2)受託者となる者の判断能力リスク

最低限、受託者となる者には次の理解が必要です。

①受託者として信託財産を管理、または処分することになること

②受託者として信託の目的に従って、受益者のために信託事務を行う義務があること。

③信託財産と受託者個人の財産は、別に管理しなければならないこと。

④債務について、原則として信託財産が足りない場合は、自身の財産から返済する義務を負うこと。

⑤信託財産で他人が損害を受けた場合は、所有者として責任を負うことがあること(民法717条ただし書)。

対応方法

①面談による確認(主に上記の5つの質問と信託の必要性)と記録の保管

②書類の確認(本人確認書類)

(3)受託者が法人の場合のリスク[8][9]

①一般社団法人の場合は監督官庁がない。

②法人内部も親族であることが多く、適切に統治されるか分からない。外部役員として専門家を入れた場合、法人運営費用が大きくなる。

対応

①法人の履歴事項証明書、定款の確認(目的、理事会、監事設置の有無、理事、社員の数)。

②主に5つの理解ができている親族が1人いるのであれば、親族、専門家を含めた第3者への委託で対応できないかの確認。

(4)信託行為の要式不備リスク

対応

①自己信託は要式行為であるため、信託法4条3項、信託法3条の要件を満たしているかの確認。

4、条項例

(前文)

委託者【氏名】と受託者【氏名】とは,次のとおり,信託契約を締結する。

(信託の設定)

第○条 委託者および受託者は、信託契約(以下、「本信託契約」といい、「本信託契約」によって設定される信託を「本信託」という。)を締結する。

第○条 委託者は、信託の目的に基づき、第○条記載の財産を受託者に信託し、受託者はこれを引き受ける(以下、「本信託契約」といい、「本信託契約」によって設定される信託を「本信託」という。)。

前文

委託者○○(以下「甲」という。)及び受託者●●(以下「乙」という。)は、次のとおり、信託契約を締結する(以下「本信託契約」といい、本信託契約によって設定される信託を「本信託」という。)。


[1] 道垣内弘人『信託法』2017有斐閣P3

[2] 人格権の信託設定可能性について検討したものとして、米村慈人「人格権の譲渡性と信託」水野紀子『信託の理論と現代的展開』2014商事法務

[3] 前掲道垣内弘人P29

[4] 平川忠雄ほか『民事信託実務ハンドブック』2016日本法令P136など。

[5] 信託法附則2項見出し、信託業法50の2条など。

[6] 信託設定時、設定後の委託者等の判断能力について整理したものとして、冨田雄介「家族信託と委託者等の判断能力」『信託フォーラムvol.6』日本加除出版P106~

[7] 他に条項ごとに委託者の意思確認を求める方法として、前掲平川ほかP48

[8] 新井誠、大垣尚司『民事信託の理論と実務』2016 日本加徐出版P157~大貫正男「一般社団法人を受託者としたモデルの構築」法人後見人の選定基準などと比較して一般社団法人が受託者となる基準を示している。

[9] 『信託フォーラムvol.1』2015日本加除出版P61~伊藤大祐「弁護士における民事信託の取組みと展望」

委託者の地位

1、委託者の地位に関するリスク

(1)委託者の地位が相続または第3者へ移転された場合、権利の所在が不明となる可能性。

(2)委託者が複数存在する場合、権利行使に関する規定は信託法上ない。

2、条項例

(1)委託者は、その権利の全てを放棄する。

(2)委託者は、信託行為に定めた権利のみを持ち、死亡により委託者の地位は消滅する。

(3)委託者の地位は、死亡によって承継されず消滅する。

(4)受益権が移転した場合は、委託者の地位も伴って受益者に帰属する。

(5)委託者は、追加信託をする権利義務のみを受益者に移転する。

(6)委託者は信託行為に記載のある権利のみを持ち、亡くなったときに委託者の地位と共に消滅する。

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参考

信託法146条、147条

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・登録免許税法第7条第2項

・信託契約の終了に伴い受益者が受ける所有権の移転登記に係る登録免許税法第7条第2項の適用関係について

平成29年6月22日回答  東京国税局審理課長

があり、現時点で(4)を契約書に入れておく必要があります。

その他の矛盾しない(5)などの条項は、(4)に追加する形で入れることができます。

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