相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律について

公布日 令和3年4月28日

施行日 公布から2年以内

・承認申請窓口について

第204回国会 衆議院 法務委員会 第7号 令和3年3月24日

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=120405206X00720210324&spkNum=5&single

<相続土地国庫帰属法案に規定されている法務大臣の権限につきましては、全国に所在する法務局及び地方法務局の長にその一部を委任することとしております。したがいまして、承認の申請は法務局の窓口においてすることを想定しております。

・司法書士業務に該当するかについて

「民法等の一部を改正する法律案」及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案」に対する附帯決議 (令和3年4月20日)

https://sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/204/f065_042001.pdf

<所有者不明土地等問題の地域性や土地等の種類に応じ、それぞれの実情を踏まえた解決に向けて、効率的な管理と申立人の負担の軽減を趣旨とする所有者不明土地等の新たな財産管理制度の諸施策を実施するに当たっては、司法書士や土地家屋調査士等の専門職者の積極的な活用を図るとともに、制度の趣旨及び請求が可能な利害関係人や利用ができる事例等について周知を図ること。

・承認申請について、代理が出来るかどうかは分かりませんでした。法務局における遺言書の保管等に関する法律第4条第6項のように「自ら出頭して行わなければならない」の文言は、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律にはありません。

第204回国会 衆議院 法務委員会 第7号 令和3年3月24日

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=120405206X00720210324

・第1条の「知れない」とは、

一般的に単に公示送達の申立人がこれを知らないだけではなく、通常の調査方法を講じても判明しないという客観的なものであることを要する。

・電子申請や電子納付について

制度の開始当初はオンライン方式による申請を認めることとはしてない。

・相続の放棄をする人がいた場合についての負担金の額について

共同相続人が共同して土地を国庫に帰属させるケースにおきましては、それぞれの持分の割合で負担金を負担することも考えられ、共同相続人の中に相続の放棄をする者がいるときは、事案によっては一人当たりの負担額がより大きくなることがある

・生活保護との関係について

生活保護の申請に係る事務を担当している者などがこの相続土地の国庫帰属制度の内容を誤解したり、また、それによって不適切な対応が生じたりといった事態が生ずることはあってはならない。

・利用されるのか、について

令和二年に法務省が実施したニーズ調査では、土地を所有する世帯のうち、土地を手放して国庫に帰属させる制度の利用を希望する世帯の割合は約二〇%と推計。制審議会の民法・不動産登記法部会の中間試案における要件設定を前提として、利用希望世帯の約五%、土地を所有する世帯全体の約一%。帰属させることができない土地の数について、具体的な見込みを計算するのは困難。

・死因贈与によって土地を取得した場合について、

相続又は遺贈により土地を取得した者には当たりませんので、この相続土地国庫帰属制度における国庫帰属の承認申請権がなく、制度の対象外。

第204回国会 衆議院 法務委員会 第6号 令和3年3月23日

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=120405206X00620210323&spkNum=3&single

・制度の意義

農地について、利用権を設定できる、あるいは農地中間管理機構を介して賃借権を設定できるといった制度の活用も視野に入れた制度。

 法務局の窓口に住民から問合せがあった際には、いきなり、土地を手放すということ、国庫へ帰属させるという前に、既存の仕組みを利用したり、その情報を市町村にも地元の自治体にも共有をしたり、何か活用策があれば自治体の方で寄附として受け入れ。

 いきなり国庫に権利を全部帰属させるというものではなく、国の負担が過大にならないように、国民にモラルハザードを起こさない限度において、最終的な手段としての国庫帰属制度。プロセスにおいて、国と地方自治体、そして省庁間で政策連携が図られる。その意味では、今回の制度というのは大きなチャンス。

・地方公共団体への寄付について

本制度の審査機関、法務局で、この国庫帰属の承認をする前に、その土地の所在する地方公共団体に対して当該土地の情報を通知し、当該団体が土地の取得を希望する場合には土地所有者と直接交渉して贈与契約を締結、寄附を可能とする方向で検討を進めている。

・廃屋について

それがいまだ建物としての状態を保っている場合には二条三項一号の建物の存ずる土地に該当することになり、屋根が崩落するなどして、もはや建物とは言えなくなっている場合には、通常は第五条第一項第二号の土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物が地上に存する土地に該当することになるものと考えられ、国庫帰属の要件を満たさないことになる。

・土壌汚染対策法に定める特定有害物質により汚染されている土地について

汚染が土地所有者の行為に起因するものであるか否かを問わず、国庫帰属の対象外。

第204回国会 参議院 法務委員会 第7号 令和3年4月13日

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=120415206X00720210413&spkNum=4&single

・相続税の物納との違い

相続税の物納は、金銭による納付が困難な場合に、納税者に代わって国が財産を売却することによってそれを国家の収入とするもの。基本的にその財産を換価することが予定されている。これに対して相続土地国庫帰属制度は、土地の換価の可能性をその要件において考慮していない点で物納とは異なる。

・所有者以外の者による使用が予定されない農業用ため池について

決壊により周辺土地に損害を発生させないように、必要な措置を講ずる必要があるため、管理又は処分に過分の費用又は労力を要する土地として、相続土地国庫帰属法五条一項五号に基づき、政令で国庫帰属の対象外とすることを想定。

・果樹園の樹木について

個別の事案にもよるが、一般に、放置しておくと鳥や獣や病害虫の被害の発生要因となる。草刈り等の通常の管理に加えまして、定期的に果実を含めた枝の剪定や農薬の散布などの作業が必要になる。そのため、果樹園は基本的に通常の管理又は処分を阻害する樹木が存する土地に該当し、国庫帰属の対象外になることが想定されます。

第204回国会 参議院 法務委員会 第9号 令和3年4月20日

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=120415206X00920210420&spkNum=4&single

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所有者不明土地等対策の推進に関する基本方針

令和3年6月7日所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議

抜粋

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shoyushafumei/dai8/kettei1.pdf

・今後、改正法の円滑な施行に向けて、法務局の体制整備や不動産登記システムと住民基本台帳ネットワークシステム等との円滑な連携を可能とする実効性のあるシステム整備を進める。

・行政機関等に対して戸籍情報を電子的に提供する戸籍情報連携システムの整備を着実に進め、令和5年度中に運用を開始する。

・所有者不明農地のより円滑な利活用に向けて、民法の共有制度等の見直しを踏まえ、土地改良事業等における所有者不明農地の一層の利活用を図る措置を検討し、その結果に基づいて令和5年までに必要な措置を講ずる。

・共有私道ガイドラインの更なる周知と、民法の共有制度の見直しを踏まえた同ガイドラインの改訂を行う。

・土地売却に伴う分筆登記や地積更正登記等を円滑化し、土地利用を促進するため、隣地所有者が不明の場合などに対応する観点から、一定の要件の下で隣地所有者の立会いがなくとも法務局の調査に基づき筆界認定を行い、分筆登記等を可能とする仕組みを検討し、令和4年度中に導入する。

所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議(第8回)議事次第

日時:令和3年6月7日(月)

所有者不明土地等問題 対策推進の工程表

法律第二十五号(令三・四・二八)

◎相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律

https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/204/meisai/m204080204056.htm

目次

第一章 総則(第一条)

第二章 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属の承認に係る手続(第二条-第十一条)

第三章 国庫帰属地の管理(第十二条)

第四章 雑則(第十三条-第十六条)

第五章 罰則(第十七条)

附則

第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、社会経済情勢の変化に伴い所有者不明土地(相当な努力を払ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない土地をいう。)が増加していることに鑑み、相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)(以下「相続等」という。)により土地の所有権又は共有持分を取得した者等がその土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度を創設し、もって所有者不明土地の発生の抑制を図ることを目的とする。

第二章 相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属の承認に係る手続

(承認申請)

第二条 土地の所有者(相続等によりその土地の所有権の全部又は一部を取得した者に限る。)は、法務大臣に対し、その土地の所有権を国庫に帰属させることについての承認を申請することができる。

2 土地が数人の共有に属する場合には、前項の規定による承認の申請(以下「承認申請」という。)は、共有者の全員が共同して行うときに限り、することができる。この場合においては、同項の規定にかかわらず、その有する共有持分の全部を相続等以外の原因により取得した共有者であっても、相続等により共有持分の全部又は一部を取得した共有者と共同して、承認申請をすることができる。

3 承認申請は、その土地が次の各号のいずれかに該当するものであるときは、することができない。

一 建物の存する土地

二 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地

三 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる

土地

四 土壌汚染対策法(平成十四年法律第五十三号)第二条第一項に規定する特定有害物

質(法務省令で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地

五 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地

(承認申請書等)

第三条 承認申請をする者(以下「承認申請者」という。)は、法務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した承認申請書及び法務省令で定める添付書類を法務大臣に提出しなければならない。

一 承認申請者の氏名又は名称及び住所

二 承認申請に係る土地の所在、地番、地目及び地積

2 承認申請者は、法務省令で定めるところにより、物価の状況、承認申請に対する審査に要する実費その他一切の事情を考慮して政令で定める額の手数料を納めなければならない。

(承認申請の却下)

第四条 法務大臣は、次に掲げる場合には、承認申請を却下しなければならない。

一 承認申請が申請の権限を有しない者の申請によるとき。

二 承認申請が第二条第三項又は前条の規定に違反するとき。

三 承認申請者が、正当な理由がないのに、第六条の規定による調査に応じないとき。

2 法務大臣は、前項の規定により承認申請を却下したときは、遅滞なく、法務省令で定めるところにより、その旨を承認申請者に通知しなければならない。

(承認)

第五条 法務大臣は、承認申請に係る土地が次の各号のいずれにも該当しないと認めるときは、その土地の所有権の国庫への帰属についての承認をしなければならない。

一 崖(勾配、高さその他の事項について政令で定める基準に該当するものに限る。)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの

二 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地

三 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地

四 隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの

五 前各号に掲げる土地のほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの

2 前項の承認は、土地の一筆ごとに行うものとする。

(事実の調査)

第六条 法務大臣は、承認申請に係る審査のため必要があると認めるときは、その職員に事実の調査をさせることができる。

2 前項の規定により事実の調査をする職員は、承認申請に係る土地又はその周辺の地域に所在する土地の実地調査をすること、承認申請者その他の関係者からその知っている事実を聴取し又は資料の提出を求めることその他承認申請に係る審査のために必要な調査をすることができる。

3 法務大臣は、その職員が前項の規定により承認申請に係る土地又はその周辺の地域に所在する土地の実地調査をする場合において、必要があると認めるときは、その必要の限度において、その職員に、他人の土地に立ち入らせることができる。

4 法務大臣は、前項の規定によりその職員を他人の土地に立ち入らせるときは、あらかじめ、その旨並びにその日時及び場所を当該土地の占有者に通知しなければならない。

5 第三項の規定により宅地又は垣、柵等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする職員は、その立入りの際、その旨を当該土地の占有者に告げなければならない。

6 日出前及び日没後においては、土地の占有者の承諾があった場合を除き、前項に規定する土地に立ち入ってはならない。

7 第三項の規定による立入りをする場合には、職員は、その身分を示す証明書を携帯し、

関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

8 国は、第三項の規定による立入りによって損失を受けた者があるときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

(資料の提供要求等)

第七条 法務大臣は、前条第一項の事実の調査のため必要があると認めるときは、関係行政機関の長、関係地方公共団体の長、関係のある公私の団体その他の関係者に対し、資料の提供、説明、事実の調査の援助その他必要な協力を求めることができる。

(承認に関する意見聴取)

第八条 法務大臣は、第五条第一項の承認をするときは、あらかじめ、当該承認に係る土地の管理について、財務大臣及び農林水産大臣の意見を聴くものとする。ただし、承認申請に係る土地が主に農用地(農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第一項に規定する農地又は採草放牧地をいう。以下同じ。)又は森林(森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第二条第一項に規定する森林をいう。以下同じ。)として利用されている土地ではないと明らかに認められるときは、この限りでない。

(承認の通知等)

第九条 法務大臣は、第五条第一項の承認をし、又はしないこととしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨を承認申請者に通知しなければならない。

(負担金の納付)

第十条 承認申請者は、第五条第一項の承認があったときは、同項の承認に係る土地につき、国有地の種目ごとにその管理に要する十年分の標準的な費用の額を考慮して政令で定めるところにより算定した額の金銭(以下「負担金」という。)を納付しなければならない。

2 法務大臣は、第五条第一項の承認をしたときは、前条の規定による承認の通知の際、法務省令で定めるところにより、併せて負担金の額を通知しなければならない。

3 承認申請者が前項に規定する負担金の額の通知を受けた日から三十日以内に、法務省令で定める手続に従い、負担金を納付しないときは、第五条第一項の承認は、その効力を失う。

(国庫帰属の時期)

第十一条 承認申請者が負担金を納付したときは、その納付の時において、第五条第一項の承認に係る土地の所有権は、国庫に帰属する。

2 法務大臣は、第五条第一項の承認に係る土地の所有権が前項の規定により国庫に帰属したときは、直ちに、その旨を財務大臣(当該土地が主に農用地又は森林として利用されていると認められるときは、農林水産大臣)に通知しなければならない。

第三章 国庫帰属地の管理

(土地の管理の機関)

第十二条 前条第一項の規定により国庫に帰属した土地(以下「国庫帰属地」という。)のうち、主に農用地又は森林として利用されている土地(国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第四条第二項に規定する国有財産の所管換がされたもの又は他の法令の規定により農林水産大臣が管理することとされているものを除く。)は、農林水産大臣が管理し、又は処分する。

2 前項の規定により農林水産大臣が管理する土地のうち主に農用地として利用されているものの管理及び処分については、農地法第四十五条、第四十六条第一項、第四十七条及び第四十九条の規定を準用する。この場合において、同条第一項中「農林水産大臣、都道府県知事又は指定市町村の長」とあるのは「農林水産大臣」と、「この法律による買収その他の処分」とあるのは「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律第十二条第二項において準用する第四十六条第一項の規定による売払い又は同法第十二条第二項において準用する第四十七条の規定による売払い、所管換若しくは所属替」と、同条第三項中「農林水産大臣、都道府県知事又は指定市町村の長」とあるのは「農林水産大臣」と、同条第五項中「国又は都道府県等」とあるのは「国」と、「場合には、政令で定めるところにより」とあるのは「場合には」と読み替えるものとする。

3 前項において準用する農地法第四十六条第一項又は第四十七条の規定による農用地の売払いを原因とする所有権の移転については、同法第三条第一項本文の規定は、適用しない。

4 第一項の規定により農林水産大臣が管理する土地のうち主に森林として利用されているものの管理及び処分については、国有林野の管理経営に関する法律(昭和二十六年法律第二百四十六号)第二章(第七条を除く。)の規定を準用する。

第四章 雑則

(承認の取消し等)

第十三条 法務大臣は、承認申請者が偽りその他不正の手段により第五条第一項の承認を受けたことが判明したときは、同項の承認を取り消すことができる。

2 法務大臣は、国庫帰属地について前項の規定による承認の取消しをするときは、あらかじめ、当該国庫帰属地を所管する各省各庁の長(当該土地が交換、売払い又は譲与(以下この項及び次項において「交換等」という。)により国有財産(国有財産法第二条第一項に規定する国有財産をいう。次項において同じ。)でなくなっているときは、当該交換等の処分をした各省各庁の長)の意見を聴くものとする。

3 法務大臣は、第一項の規定による承認の取消しをしようとする場合において、当該取消しに係る国庫帰属地(交換等により国有財産でなくなっている土地を含む。以下この項において同じ。)の所有権を取得した者又は当該国庫帰属地につき所有権以外の権利の設定を受けた者があるときは、これらの者の同意を得なければならない。

4 法務大臣は、第一項の規定により第五条第一項の承認を取り消したときは、法務省令で定めるところにより、その旨を同項の承認を受けた者に通知するものとする。

(損害賠償責任)

第十四条 第五条第一項の承認に係る土地について当該承認の時において第二条第三項各号又は第五条第一項各号のいずれかに該当する事由があったことによって国に損害が生じた場合において、当該承認を受けた者が当該事由を知りながら告げずに同項の承認を受けた者であるときは、その者は、国に対してその損害を賠償する責任を負うものとする。

(権限の委任)

第十五条 この法律に規定する法務大臣の権限は、法務省令で定めるところにより、その一部を法務局又は地方法務局の長に委任することができる。

2 この法律に規定する農林水産大臣の権限は、農林水産省令で定めるところにより、その全部又は一部を地方農政局長又は森林管理局長に委任することができる。

3 前項の規定により森林管理局長に委任された権限は、農林水産省令で定めるところにより、森林管理署長に委任することができる。

(政令への委任)

第十六条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のために必要な手続その他の事項については、政令で定める。

第五章 罰則

第十七条 第十二条第二項において読み替えて準用する農地法第四十九条第一項の規定による職員の調査、測量、除去又は移転を拒み、妨げ、又は忌避したときは、その違反行為をした者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の罰金刑を科する。

附 則

(施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(検討)

2 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

(法務・財務・農林水産・内閣総理大臣署名)

渋谷陽一郎「高齢者の幸福な生活と福祉の実現」という信託の目的を「不動産投資」に変更する登記は可能なのか。

家族信託実務ガイド[1]の記事からです。

一体、登記官は、登記された「信託の目的」でもって、何を審査(判断)するのでしょうか。

 法務省から公式な見解は出ていませんが、私は、法人登記の会社の目的の審査基準に準ずると考えています。「会社法施行後の会社の目的における具体性の審査の在り方」に関する意見募集の実施結果について(報告)

http://www.moj.go.jp/MINJI/public_minji65_result_minji65.html

 「1「幸福の実現」の前提となる「生活費を給付」する」は、信託行為における信託の目的にはなり得ますが、不動産登記申請における信託の目的には、不動産と直接の関係がない記載のため、記載は不要と考えます。記載しても信託目録には記録されると考えます。

 「2生活費給付の原資を得るため「アパート経営」を行う」は、信託行為における信託の目的にはなり得まます。また、アパートとしての不動産を信託して、受託者が経営(管理・運用・処分)するため、不動産登記申請における信託の目的にもなり得ると考えます。

 「3アパート経営を学ぶため「アパート経営者養成講座」に入会する」は、信託行為における信託の目的にはなり得ますが、不動産登記申請における信託の目的にはなり得ないと考えます。信託財産に属する財産となる不動産と関係のない行為だからです。記載しても信託目録には記録されると考えます。

 「4アパート経営を成功させるためにプロに「第三者委託」を行う」は、信託行為における信託の目的にはなり得ますが、不動産登記申請における信託の目的にはなり得ないと考えます。信託目録に記録するとすれば、信託の目的ではなく、信託財産の管理方法(不動産登記法97条1項9号)だと考えます。

 「5アパート経営を持続させるため「定期的な修繕」を行う」は、信託行為における信託の目的にはなり得ますが、不動産登記申請における信託の目的にはなり得ないと考えます。信託財産に属する財産となる不動産の権利と関係のない行為だからです。記載しても信託目録には記録されると考えます。

 「6継続的な修繕実施のために賃料収入から「毎月の積立て」を行う」は、信託行為における信託の目的にはなり得ますが、不動産登記申請における信託の目的にはなり得ないと考えます。信託財産に属する財産となる不動産の権利と関係がなく、信託財産に属する財産となる金銭の管理方法だからです。記載しても信託目録には記録されると考えます。

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当該信託が、福祉型信託であることを示唆し、福祉型信託の水準の受託者責任を要請する具体的な機能と規律を有するというものです。

 私は信託の目的に現在、「受益者の幸福な生活と福祉の実現」と記載することはありません。もし引用記事のように福祉型信託の水準の受託者責任、ということを明確にする場合について考えてみます。信託の目的には、任意後見制度を利用した場合に準ずる生活、という用語を入れると思います。

例えば、生活費、医療費、介護費などをどれだけ支給するのか、あるいは、介護施設を利用するのか否か、受益権の配当額の決定その他、受益者の善管注意義務(受益債権に係る債務の履行)に直接的に関係します。

 「受益者の善管注意義務(受益債権に係る債務の履行)」というものが、私には分かりませんでした。

なお、そもそも、委託者兼受益者から、信託を終了させる権限を奪っているような場合、そのような信託は、委託者兼受益者の利益のための信託なのか、という疑問も生じます。

 それが意思凍結機能というものだと思います。受託者との関係性から、一様に権限を奪うという形にはならないのかなと考えます。ハードルは高いですが、信託法165条における信託の終了も用意されています。私は使われないことを願います。

信託の目的を「孫の教育資金の確保」から「孫の生活保障」に変更することは、孫への金銭的な支援を行うという信託事務の形式それ自体に大きな差異はなく、なんとなく信託の同一性が認められそうです。

 おそらく、信託の変更自体は可能だと思いますが、私は同一性がないと思います。受益者は同じでも信託財産の用途が違うからです。

 参考として、下の公益信託の審査基準を挙げます。公益信託は不特定多数のためのものなので、逆を考えれば民事信託・家族信託への当てはめが可能な部分があると思います。また同じ信託なので本質は同じだと思います。

平成6年9月13日公益法人等指導監督連絡会議決定

公益信託の引受け許可審査基準等について

https://www.soumu.go.jp/main_content/000694250.pdf

 P15に、イ 授益行為の内容は、原則として、助成金、奨学金、奨励金、寄附金等の支給若しくは物品の配付のような資金又は物品の給付であること。

とあります。これを生活保障とすることが出来るかと考えれば、出来ないと思います。同じ信託なので本質は同じ、の部分です。従って、高齢者の幸福な生活と福祉の実現から、「中小企業の事業承継」、「京町屋の保存」、「不動産複合施設の開発」などは全て孫の場合と同じ結論となります。

極端な「信託の目的」変更に係る信託変更登記を申請した場合、果たして、登記官はどのように判断するのでしょうか。登記官は、そのまま受理するのか、却下するのか、補正を命じるのでしょうか。

 登記官は、却下事由がない限り受理する、という事務を執ると考えます。


[1] 2021.8第22号P62~日本法令

国土交通省「残置物の処理等に関するモデル契約条項」

国土交通省「残置物の処理等に関するモデル契約条項」

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000101.html

背景

近時、高齢者の単身世帯が増加している中、民間賃貸住宅等においては、相続人の有無や所在が明らかでない単身者が死亡した際の賃貸借契約の解除や居室内に残された動産(残置物)の処理への不安感から、高齢者の入居の申込みを賃貸人が拒否することがあります。

 このような不安感を払拭し、単身の高齢者の居住の安定確保を図る観点から、単身の高齢者が死亡した際に契約関係及び残置物を円滑に処理できるように、今般、国土交通省及び法務省において、賃借人と受任者との間で締結する賃貸借契約の解除及び残置物の処理を内容とした死後事務委任契約等に係る「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を策定しました。

 モデル契約条項は、その使用が法令で義務づけられているものではありませんが、モデル契約条項を利用することにより、合理的な死後事務委任契約等が締結され、ひいては、単身の高齢者の居住の安定確保が図られることを期待し、広く普及に努めています。

・参考 「残置物の処理等に関するモデル契約条項」

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001407753.pdf

今後、パブリックコメントなどを経て、改訂が繰り返されると思います。

第1 解除関係事務委任契約のモデル契約条項

第1条(本賃貸借契約の解除に係る代理権)

委任者は,受任者に対して,委任者を賃借人とする別紙賃貸借契約目録記載の賃貸借契約(以下「本賃貸借契約」という。)が終了するまでに賃借人である委任者が死亡したことを停止条件として,①本賃貸借契約を賃貸人との合意により解除する代理権及び②本賃貸借契約を解除する旨の賃貸人の意思表示を受領する代理権を授与する。

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 契約時にこの契約書を作成することが多くなるのかなと思います。連帯保証人などが書くことを求められるかもしれません。借りている人が亡くなった場合、賃貸住宅の契約は死後事務委任契約の受任者が、が借りている人の代理人として、貸主(アパートなどの所有者や管理業者)と解除。契約解除の際に使う名前は、「故【委任者の氏名】(相続人)代理人(賃貸借契約解除関係事務受任者)【受任者の氏名】」など。

 賃貸人、管理業者を受任者とすることは避けるべき(民法第90条や消費者契約法第10条)。「②本賃貸借契約を解除する旨の賃貸人の意思表示」は、故人が家賃の支払いを長期入院などで滞っていた場合など。

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第2条(受任者の義務)

受任者は,本賃貸借契約の終了に関する委任者(委任者の地位を承継したその相続人を含む。以下この条において同じ。)の意向が知れているときはその内容,本賃貸借契約の継続を希望する委任者が目的建物の使用を必要とする事情その他一切の事情を考慮して,委任者の利益のために,本契約に基づく委任事務を処理する義務を負う。

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 解説では、「子の○○が住みたいと言えば住まわせてあげてほしい。」意向がある場合、その意思を尊重するとありますが、最終的には貸主が決めることなので、子の○○(と親族)の資力が基準になると思います。この条項は必要なのかなと思いました。

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第3条(本契約の終了)

以下の各号に掲げる場合には,本契約は終了する。

① 本賃貸借契約が終了した場合

② 受任者が委任者の死亡を知った時から【6か月】が経過した場合

※【】内は,当事者が具体的な事案に即して合意の内容や必要事項等を記載することを予定したものである。以下【】及び●は同様の趣旨で用いる。

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解除事務委任契約を存続しても意味がない場合の列挙。

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(別紙)

賃 貸 借 契 約 目 録

下記賃貸人及び賃借人間の下記賃貸物件を目的物とする●年●月●日付け建物賃貸借契約

       記

賃 貸 人  【住所,氏名】

賃 借 人  【住所,氏名】

賃貸物件  【住所,部屋番号等】

第2 残置物関係事務委託契約のモデル契約条項

(第2の前注)

1 残置物関係事務委託契約は,賃貸借契約の存続中に賃借人が死亡した場合に,賃貸物件内に残された動産類(残置物)の廃棄や指定された送付先への送付等の事務を受任者に委託するものである。

2 残置物関係事務委託契約の受任者についても,解除関係事務委任契約と同様,

①賃借人の推定相続人のいずれか,②居住支援法人,居住支援を行う社会福祉法人又は賃貸物件を管理する管理業者のような第三者が考えられる。

 賃貸人自身を受任者にすることを避けるべきであること,管理業者は委任者である賃借人(の相続人)の利益のために誠実に対応することが求められることについては,解除関係事務委任契約と同様である。

 また,残置物関係事務委託契約においても委任者は賃借人であるから,賃借人がその意思に従って受任者を選ぶべきであることも,解除関係事務委任契約と同様である。

3 残置物関係事務委託契約についても,解除関係事務委任契約と同様,賃貸借契約においてこの契約が締結されたことの通知義務などは設けていない。実務運用としては,賃借人が残置物関係事務委託契約を締結した旨及び受任者の氏名・名称や連絡先などの必要事項を賃貸人に連絡し,賃貸人がこれを確認した上で賃貸借契約を締結するという運用がされることになると考えられる。

第1条(定義)

本契約において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。

①「委任者」 【賃借人の氏名・名称】をいう。

②「受任者」 【受任者の氏名・名称】をいう。

③「非指定残置物」 委任者が死亡した時点で後記⑨の本物件内又はその敷地内に存した動産(金銭を除く。)であって,委任者が死亡した時点で所有しており,かつ,後記④の指定残置物に該当しないものをいう。

④「指定残置物」 委任者が死亡した時点で後記⑨の本物件内又はその敷地内に存した動産(金銭を除く。)であって,第4条第1項の規定に従い,委任者が廃棄してはならないものとして指定したものをいう。

⑤「指定残置物リスト」 委任者が廃棄してはならないものとして指定した物及びその取扱方法を記載した,別紙1のリストをいう。

⑥「委任者死亡時通知先」 【通知を希望する者の氏名・名称,住所等の連絡先】をいう。

⑦「本賃貸借契約」 賃貸人及び委任者の間の,別紙2賃貸借契約目録記載の賃貸借契約をいう(更新された場合は更新されたものを含む。)。

⑧「賃貸人」 【賃貸人の氏名・名称】をいう。

⑨「本物件」 本賃貸借契約の目的物である物件をいう。

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 非指定残置物、指定残置物ともに現金は除く、とされています。この場合通帳は預金債権なので除かれません。非指定残置物は、捨てても良いもの。指定残置物は、捨てないもの。

 解説より「委任者が死亡前に注文し,死亡後に本物件に届けられた荷物は,委任者の意思に基づいて本物件内に持ち込まれたものであり,委任者の死亡時期や配送事情等の偶然の事由により死亡前に届けられた場合と区別する合理的理由はないため,「死亡時に存した」という要件を満たすものと扱ってよいと考えられる。」「受任者は委任者としての地位を承継した相続人から委託を受けた者」なのでしょうか。委任者と契約を締結した者、だと思います。

 指定残置物には第三者の所有物(委任者の相続財産ではないもの)が含まれている。非指定残置物は、故委任者の所有していた物のみ。指定残置物リストに載っていないものは、原則として処分して良い。

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第2条(残置物処分に係る事務の委託)

  委任者は,受任者に対して,本賃貸借契約が終了するまでに委任者が死亡したことを停止条件として,次に掲げる事務を委託する。

① 第6条の規定に従い,非指定残置物を廃棄し,又は換価する事務

② 第7条の規定に従い,指定残置物を指定された送付先に送付し,換価し,又は廃棄する事務

③ 第8条の規定に従い,指定残置物又は非指定残置物の換価によって得た金銭及び本物件内に存した金銭を委任者の相続人に返還する事務

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 指定残置物又は非指定残置物の換価によって得た金銭及び本物件内に存した金銭を委任者の相続人に返還する、は結構厳しいなと思いました。廃棄や処分などには相当の労力がかかるため、専門業者に委託するとしても、他の相続人の同意なく、それなりの報酬は貰って良いのではないかと思います。

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第3条(受任者の義務)

受任者は,残置物の処理に関する委任者(委任者の地位を承継したその相続人を含む。以下この条において同じ。)の意向が知れているときはその内容,指定残置物及び非指定残置物の性質,価値及び保存状況その他一切の事情を考慮して,委任者の利益のために,本契約に基づく委任事務を処理する義務を負う。

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 解説より「たまたま指定残置物として指定されていなかった客観的価値のある動産について,複数の相続人が引取りを希望した場合には,そのいずれかに引き渡すのではなく,換価することが望ましいと考えられる。」・・・これは困る場面が想像出来るので、受任者にとっては助かるだろうなと思います。

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第4条(指定残置物の指定)

1 委任者は,次に掲げる方法により,指定残置物を指定するものとする。

① 指定残置物リストに掲載する方法

② 廃棄してはならない物であることを示す指標を貼付するなど,当該動産が指定残置物であることを示す適宜な措置を講ずる方法

2 指定残置物を指定するに当たっては,その物を特定し,かつ,その送付先の氏名又は名称,住所又は所在地を明らかにしなければならない。

3 本物件内に委任者以外の者が所有する物が存するに至ったときは,委任者は,第1項及び第2項の規定に従い,遅滞なく,これを指定残置物として指定しなければならない。

4 委任者が,本物件又はその敷地内に存する動産を遺贈し,特定財産承継遺言をし,又は委任者の死亡によって効力を生ずる贈与をしたときは,委任者は,第1項及び第2項の規定に従い,遅滞なく,その目的である動産を指定残置物として指定しなければならない。この場合において,委任者は,指定残置物の遺贈又は特定財産承継遺言について遺言執行者を指定し,又はその指定を第三者に委託したときは,その遺言執行者又は第三者をその指定残置物の送付先としなければならない。

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「廃棄してはならない物であることを示す指標を貼付するなど,当該動産が

指定残置物であることを示す適宜な措置を講ずる方法」は、指定残地物リストに対する例外規定だと考えられます。明認方法( 昭和36年5月4日最高裁判所第一小法廷判決)動産譲渡登記制度に似ているなと思いました。

http://www.moj.go.jp/MINJI/DOUSANTOUKI/seido.html

なお、間違って捨ててしまった場合の受任者の責任は、善意無重過失です。

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第5条(委任者死亡時通知先への通知)

1 受任者は,委任者の死亡を知ったときは,直ちに,委任者死亡時通知先に対し,委任者が死亡した旨及び受任者が委任者から第2条各号に掲げる事務を受託している旨を通知しなければならない。

2 受任者は,廃棄(第6条第2項の規定に基づくものを除く。),送付若しくは換価のため又は第9条第3項に基づいて本物件内又はその敷地内の動産を本物件から搬出しようとするときは,2週間前までに,委任者死亡時通知先に対してその旨を通知しなければならない。

3 委任者は,いつでも,受任者に対して書面又は電磁的記録により通知することにより,委任者死亡時通知先を変更することができる。この場合,委任者死亡時通知先の変更の効力は,当該通知が受任者に到達した時に生ずる。

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 1項の通知は電話と併用して、メッセージなどが良いんだろうなと思います。

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第6条(非指定残置物の取扱い)

1 受任者は,委任者の死亡から【3か月】が経過し,かつ,本賃貸借契約が終了したときは,非指定残置物(保管に適しないものを除く。)を廃棄するものとする。ただし,受任者は,換価することができる非指定残置物については,できるだけ,換価するように努めるものとする。

2 受任者は,委任者が死亡したときは,非指定残置物(保管に適しないものに限る。)を廃棄するものとする。

3 受任者は,廃棄若しくは換価のため又は第9条第3項に基づき非指定残置物を本物件から搬出する場合は,搬出するに当たって,第三者(賃貸人,本物件に係る管理会社又は本物件に係る仲介業者等を含む。)の立会いの下,非指定残置物の状況を確認・記録しなければならない。

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 解説では、「3か月を下回る期間を定めることは避けるべき」と一定の指標が示されています。逆にいうと、3カ月は家賃(敷金充当?)を払い続ける可能性が高い、という事になります。保管場所を確保するのは、難しい場面が出てくるのではないでしょうか。第三者(賃貸人,本物件に係る管理会社又は本物件に係る仲介業者等を含む。)の立会いは厳しいなというのが実感です。写真に撮っておくぐらいで充分だと思います。

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第7条(指定残置物の取扱い)

1 受任者は,本賃貸借契約が終了したときは,指定残置物を,指定された第三者に対して,受任者の選択する方法により,送付するものとする。ただし,指定された第三者の行方不明その他の理由により当該第三者に対して指定残置物を送付することが不可能又は困難である場合には,受任者が選択する者に売却する方法により当該指定残置物を換価することができ,当該指定残置物の性質その他の理由により換価が不可能又は困難である場合には,当該指定残置物を廃棄することができる。

2 第1項ただし書に基づく換価又は廃棄は,委任者の死亡から【3か月】が経過し,かつ,賃貸借契約が終了した後でなければ,することができない。

3 受任者は,送付,換価若しくは廃棄のため又は第9条第3項に基づき指定残置物を本物件から搬出する場合は,搬出するに当たって,第三者(賃貸人,本物件に係る管理会社又は本物件に係る仲介業者等を含む。)の立会いの下,指定残置物の状況を確認・記録しなければならない。

第8条(金銭の取扱い)

  受任者は,第6条第1項ただし書又は第7条第1項ただし書に基づいて指定残置物又は非指定残置物を換価したとき及び本物件内に金銭があったときは,第2条第1号及び第2号に掲げる事務の終了後遅滞なく,換価によって得た金銭及び本物件内にあった金銭を委任者の相続人に返還するものとする。

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 (民法第646条第1項前段、同法第656条)

 相続人の1人に渡せば良い、と解説では読めます。その是非は措いて、指標が示されたことは良いことだと思います。

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第9条(受任者の権限)

1 受任者は,委任者の死亡後,第2条各号に掲げる事務を処理するため,本物件内に立ち入ることができる。

2 受任者は,第1項に基づいて本物件内に立ち入るために必要があるときは,賃貸人に協力を求めることができる。

3 受任者は,第2条各号に掲げる事務の処理に当たって,本物件内又はその敷地内の動産を本物件又はその敷地から搬出し,本物件又はその敷地以外の場所に保管することができる。

第10条(委任事務処理費用)

1 受任者は,本契約に基づく委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは,委任者の相続人に対し,その費用及びその支出の日以後における利息の償還を請求することができる。

2 受任者は,指定残置物又は非指定残置物の換価を行った場合及び本物件内に金銭が存した場合にあっては,委任者の相続人に対し,換価によって得た額及び本物件内に存した金銭の合計額を第1項の費用及び利息に充当した上で残額を返還することができるものとする。

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 費用のみだと、受任者の負担が大きいと感じます。

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第11条(本契約の終了)

以下の各号に掲げる場合には,本契約は終了する。

① 本賃貸借契約が終了した時に委任者が死亡していない場合

② 受任者が委任者の死亡を知った時から【6か月】が経過するまでに本賃貸借契約が終了しなかった場合

(別紙1)

指 定 残 置 物 リ ス ト

1 指定残置物   【ピアノ(●●社製)】

  現在の所在場所 【居間】

  所有者     【委任者】

  送付先     【氏名,住所など】

  備考      【上記送付先に死因贈与したもの】

2 指定残置物   【金庫(●●社製)内にある一切の物】

  現在の所在場所 【居間】

  所有者     【委任者】

  送付先     【氏名,住所など】

  備考      【上記送付先に死因贈与したもの】

3 ・・・

(別紙2)

賃 貸 借 契 約 目 録

下記賃貸人及び賃借人間の下記賃貸物件を目的物とする●年●月●日付け建物賃貸借契約

       記

賃 貸 人  【住所,氏名】

賃 借 人  【住所,氏名】

賃貸物件  【住所,部屋番号等】

第3 賃貸借契約におけるモデル契約条項

第1条(残置物の処理に関する契約が解除された場合の措置)

1 別紙契約目録記載1の委任契約(以下「解除関係事務委任契約」という。)又は別紙契約目録記載2の準委任契約(以下「残置物関係事務委託契約」という。)が本契約の終了までに終了した場合には,賃借人は,速やかに,終了した解除関係事務委任契約又は残置物関係事務委託契約(以下この項において「終了した契約」という。)と同内容の契約を新たに締結するように努めるものとする。ただし,既に賃借人が終了した契約と同内容の契約を締結しているときは,この限りでない。

2 賃借人は,解除関係事務委任契約又は残置物関係事務委託契約のいずれかが終了した場合及びこれらと同内容の契約を新たに締結したときは,賃貸人に対してその旨を書面又は電磁的記録により通知しなければならない。

第2条(賃借人の死亡等の場合の通知義務)

1 賃貸人は,賃借人が死亡したことを知ったときは,速やかに,解除関係事務委任契約の受任者(これと同内容の契約が後に締結された場合にあっては,当該契約の受任者)に対し,その旨を書面又は電磁的記録により通知しなければならない。

2 賃貸人は,本契約が終了したときは,速やかに,残置物関係事務委託契約の受任者(これと同内容の契約が後に締結された場合にあっては,当該契約の受任者)に対し,その旨を書面又は電磁的記録により通知しなければならない。

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解除関係事務委任契約は委任契約

残置物関係事務委託契約は準委任契約

賃貸借契約時から、委任者が亡くなるまで、2つの契約について変更が多い委任者がいると思うのですが、受任者の事務は貸主への通知義務があるのか。文面を読む限りは義務がありそうですが、改めて負担が大きいなと思います。

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(別紙)

契 約 目 録

1 下記委任者及び受任者間の下記委任事務を内容とする●年●月●日付け委任契約

       記

委 任 者  【賃借人の住所,氏名】

受 任 者  【受任者の住所,氏名】

委任事務  【本契約が終了するまでに委任者が死亡した場合に,①本賃貸借契約を賃貸人との合意により解除する事務及び②本賃貸借契約を解除する旨の賃貸人の意思表示を受領する事務】

2 下記委任者及び受任者間の下記委任事務を内容とする●年●月●日付け準委任契約

       記

委 任 者  【賃借人の住所,氏名】

受 任 者  【受任者の住所,氏名】

委任事務  【本契約が終了するまでに委任者が死亡した場合に,本契約の目的物件内に残された動産を廃棄,送付又は換価し,本契約の目的物件内に存した金銭を委任者の相続人に返還する事務】

意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン

2020年(令和2年)10月30日

https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2021/20201030guideline.pdf

意思決定支援ワーキング・グループ

目 次

第1 はじめに

 1 ガイドライン策定の背景 …………………………………. 1

2 ガイドラインの趣旨・目的等 ……………………………… 2

 第2 基本的な考え方

1 本ガイドラインにおける意思決定支援の定義 …………………. 2

 2 本ガイドラインにおける意思決定能力の定義 …………………. 3

3 本ガイドラインにおける意思決定支援及び代行決定のプロセスの原則 3

(1) 意思決定支援の基本原則 ……………………………….. 3

 (2) 代行決定への移行場面・代行決定の基本原則 ……………….. 3

 4 後見人等として意思決定支援を行う局面 …………………….. 4

 第3 意思決定支援における後見人等の役割

1 関連する基本原則の確認 …………………………………. 5

2 意思決定支援のための環境整備(事前準備) …………………. 5

環境整備の必要性・目的 ……………………………….. 5

  • 本人のエンパワメント ……………………………….. 5

② 支援者側の共通認識・基本的姿勢 ………………………. 5

(2) 環境整備の手順、環境整備に対する後見人等の関与の仕方・役割 ..

 6 (3) 本人と後見人等の信頼関係の構築 ………………………… 6

 3 後見人等の関与する意思決定支援の具体的なプロセス(個別課題が生じ た後の対応) …………………………………………….. 7

 (1) 本人にとって重大な影響を与えるような意思決定について …….. 7

 (2) 支援チームの編成と支援環境の調整 ………………………. 7

① 支援チームの編成 …………………………………… 7

② 支援環境の調整・開催方法等の検討 …………………….. 8

(3) 本人への趣旨説明とミーティング参加のための準備 ………… 10

(4) ミーティングの招集 …………………………………. 10

(5) 本人を交えたミーティング ……………………………. 10

 ① 進行方法の工夫 …………………………………… 10

  •  意思形成支援におけるポイント ………………………. 11

 ③ 意思表明支援におけるポイント ………………………. 12

 (6) 意思が表明された場合 ……………………………….. 12

(7) アセスメントシートへの記録 ………………………….. 13

第4 意思決定や意思確認が困難とみられる局面における後見人等の役割

 1 関連する基本原則の確認 ……………………………….. 13

2 意思決定や意思確認が困難とみられる局面とは ……………… 13

3 意思決定能力アセスメントの方法 ………………………… 13

(1) 意思決定能力アセスメント ……………………………. 13

(2) アセスメントシートへの記録 ………………………….. 14

4 本人の意思推定(意思と選好に基づく最善の解釈)アプローチ …. 14

 (1) 基本的な考え方 …………………………………….. 14

(2) 検討結果に基づく後見人等としての行動原則 ……………… 15

 (3) アセスメントシートへの記録 ………………………….. 15

 第5 本人にとって見過ごすことができない重大な影響が懸念される局面等にお ける後見人等の役割

1 関連する基本原則の確認 ……………………………….. 16

 2 本人にとって見過ごすことができない重大な影響が生じる場合等 .. 16

(1) 基本的な考え方 …………………………………….. 16

 (2) 検討方法 ………………………………………….. 16

 (3) 検討結果に基づく後見人等としての行動原則 ……………… 17

 (4) アセスメントシートへの記録 ………………………….. 17

第6 本人にとっての最善の利益に基づく代行決定

1 関連する基本原則の確認 ……………………………….. 17

 2 本ガイドラインにおける「最善の利益」に基づく代行決定 …….. 18

 3 本人にとっての「最善」を検討するための方法 ……………… 18

(1) 最後の手段としての位置付け ………………………….. 18

 (2) 本人にとっての最善の利益を検討するための前提条件 ………. 18

 (3) 本人にとっての最善の利益を検討する際の協議事項 ………… 19

4 検討結果に基づく後見人等としての行動原則 ……………….. 20

5 アセスメントシートへの記録 ……………………………. 21

第1 はじめに

1 ガイドライン策定の背景

2017年(平成29年)3月24日に閣議決定された成年後見制度利用促進基本計画(以下「基本計画」という。)では、成年後見制度の利用者がメリットを実感できる制度・運用へ改善を進めることが目標とされ、後見人等が本人の特性に応じた適切な配慮を行うことができるよう、意思決定支援の在り方についての指針の策定に向けた検討が進められるべきであるとされている。このような背景には、2000年(平成12年)の成年後見制度発足以来、財産保全の観点のみが重視され、本人の意思尊重の視点が十分でないなどの課題が指摘されてきたことがある。

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「財産保全の観点のみが重視され」については、私の感覚とは違いました。私が司法書士として、成年後見に関わった2009年以来、実務上重視してきたのは身上監護です。財産保全の観点が重視され始めたのは、専門職後見人の横領事件が発覚し始めてからだと考えます。

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そのため、今後、成年後見制度の利用促進を図っていくためには、本人の意思決定支援や身上保護等の福祉的な観点も重視した運用とする必要がある。民法858条、876条の5第1項、876条の10第1項においても、後見人等が本人の意思を尊重し、その心身の状態及び生活の状況に配慮することが求められている。しかし、実務においては、本人の判断能力が低下していることを理由に、本人の意思や希望への配慮や支援者等との接触のないまま後見人等自身の価値観に基づき権限を行使するなどといった反省すべき実例があったことは 否定できない1。 後見人等を含め、本人に関わる支援者らが常に、「意思決定の中心に本人を置く」という本人中心主義を実現するためには、意思決定支援についての共通理解が必要である。そこで、意思決定支援を踏まえた後見事務についての理解が深まるよう、最高裁判所、厚生労働省、日本弁護士連合会、成年後見センター・リーガルサポート及び日本社会福祉士会により構成される意思決定支援ワーキング・ グループにおいて検討を重ね、成年後見制度の利用者の立場にある団体からのヒアリング等の結果を踏まえつつ、本ガイドラインを策定した。ガイドラインに記載されていることが意思決定支援の全てではないことは 言うまでもなく、意思決定支援については他にも多数のガイドラインやテキストが存在するものの、本ガイドラインが、専門職後見人、親族後見人、市民後見人等のいずれにとっても、本人の意思決定支援を踏まえた後見事務を行う上で参考にされ、活用されることを期待するものであり、そのためには、今後、関係各団体等において、それぞれの後見人等の属性に合わせた普及・啓発方法が展開されることが望ましい。また、本ガイドラインは意思決定支援を踏まえた後見事務の実現に向けた一つの出発点にすぎず、完成形ではない。

認知症や精神障害、知的障害、発達障害等の内容や程度には個人差があるが、適切な意思決定支援は本人の権利擁護につながるものであることからすれば、今後、専門職団体における本ガイドラインに基づく意思決定支援の経験の蓄積を経て、本人の属性や特性に応じた更なる深化・ 発展が期待されるところである。

2 ガイドラインの趣旨・目的等

本ガイドラインは、専門職後見人はもとより、親族後見人や市民後見人を含め て、後見人、保佐人、補助人(以下「後見人等」という。)に就任した者が、意思決定支援を踏まえた後見事務、保佐事務、補助事務を適切に行うことができるように、また、中核機関や自治体の職員等の執務の参考2となるよう、後見人等に求められている役割の具体的なイメージ(通常行うことが期待されること、行うことが望ましいこと)を示すものである3。なお、本ガイドラインには、意思決定支援及び代行決定の場面で使用できるアセスメントシートを5種類添付している(様式1~5)。後見人等がそれぞれのプロセスごとにアセスメントシートへの記録を行うことで、意思決定支援を踏まえた後見事務を適切に実践できているかを省みることができると考えられる4。

第2基本的な考え方

 1 ガイドラインにおける意思決定支援の定義意思決定支援とは、特定の行為に関し本人の判断能力に課題のある局面において、本人に必要な情報を提供し、本人の意思や考えを引き出すなど、後見人等を含めた本人に関わる支援者らによって行われる、本人が自らの価値観や選好に基 づく意思決定をするための活動をいう。

本ガイドラインにおける意思決定支援は、本人の意思決定をプロセスとして支援するものであり、通常、そのプロセスは、本人が意思を形成することの支援(意思形成支援)と、本人が意思を表明することの支援(意思表明支援)を中心とする(なお、形成・表明された意思をどのように実現するかという意思実現支援は、本ガイドラインにいう意思決定支援には直接には含まれないが、後見人等による身上保護の一環として実践されることが期待される。)5。

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本人に関わる人(医療、福祉、生活、法律など)でチームを作って、意思形成と意思表明の支援をする、ということは以前から言われていたような気がしますし、実務上も行っていました。5種類のアセスメントシートを作成したことが、基準となり得て、新しいことだと思います。

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 3 本ガイドラインにおける意思決定支援は、後見人等による「代行決定」とは明確に区別される。すなわち、①意思決定支援が尽くされても本人による意思決定や意思確認が困難な場合、又は②本人により表明された意思等が本人にとって見過ごすことのできない重大な影響を生ずる可能性が高い場合のいずれかにおいて、最後の手段として、後見人等が法定代理権に基づき本人に代わって行う決定 (代行決定)とは区別されるものである。

2 本ガイドラインにおける意思決定能力の定義

意思決定能力6とは、支援を受けて自らの意思を自分で決定することのできる能力であるが、意思決定を行う場面では通常次の4つの要素が必要と考えられる。 (1)意思決定に必要な情報を理解すること(情報の理解) (2)意思決定に必要な情報を記憶として保持すること(記憶保持) (3)意思決定に必要な情報を選択肢の中で比べて考えることができること(比較検討) (4)自分の意思決定を口頭又は手話その他の手段を用いて表現すること(意思の表現)

 3 本ガイドラインにおける意思決定支援及び代行決定のプロセスの原則 (1) 意思決定支援の基本原則

第1 全ての人は意思決定能力があることが推定される。

第2 本人が自ら意思決定できるよう、実行可能なあらゆる支援を尽くさ なければ、代行決定に移ってはならない。

第3 一見すると不合理にみえる意思決定でも、それだけで本人に意思決定能力がないと判断してはならない。

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 本人にとっても意思決定支援に関わるチームにとっても(特に固定給で働いていない人にとっては)負担が大きいと感じます。負担の分はどのように反映されるのか、気になります。以前、後見事務にかかった時間と報酬を割ってみましたが、200円を切っていました。

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(2) 代行決定への移行場面・代行決定の基本原則

第4 意思決定支援が尽くされても、どうしても本人の意思決定や意思確 認が困難な場合には、代行決定に移行するが、その場合であっても、 後見人等は、まずは、明確な根拠に基づき合理的に推定される本人の意思(推定意思)に基づき行動することを基本とする7 。

 第5 ①本人の意思推定すら困難な場合、又は②本人により表明された意思等が本人にとって見過ごすことのできない重大な影響を生ずる場合 には、後見人等は本人の信条・価値観・選好を最大限尊重した、本人にとっての最善の利益に基づく方針を採らなければならない。

第6本人にとっての最善の利益に基づく代行決定は、法的保護の観点からこれ以上意思決定を先延ばしにできず、かつ、他に採ることのできる手段がない場合に限り、必要最小限度の範囲で行われなければならない。

第7 一度代行決定が行われた場合であっても、次の意思決定の場面では、第1原則に戻り、意思決定能力の推定から始めなければならな い。

4 後見人等として意思決定支援を行う局面

 後見人等による意思決定支援は、飽くまで後見事務の一環として行われるものである以上、後見人等が直接関与して意思決定支援を行うことが求められる場 は、原則として、本人にとって重大な影響を与えるような法律行為及びそれに 随した事実行為の場面8 に限られる。

本人の特性を踏まえ、ケース・バイ・ケースで判断する必要があるが、一般的 な例としては、①施設への入所契約など本人の居所に関する重要な決定を行う場合、②自宅の売却、高額な資産の売却等、法的に重要な決定をする場合、③特定の親族に対する贈与・経済的援助を行う場合など、直接的には本人のためとは言い難い支出をする場合などが挙げられる9。

ただし、それ以外の局面における意思決定支援に関しても、後見人等として、 後記第3の2(2)に記載した関与が求められる10。

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  • 2について、本人が信仰している宗教に基づく場合、バランスのとり方が必要だと思います。親族を無視するわけにはいかない場合があるのではないかと思います。
  • 3について、以前から毎年贈与を行っていた場合などは考慮したいと思います。

第3 意思決定支援における後見人等の役割

*本項に対応するアセスメントシート:様式1

1 関連する基本原則の確認

第1 全ての人は意思決定能力があることが推定される。

第2 本人が自ら意思決定できるよう、実行可能なあらゆる支援を尽くさなけ れば、代行決定に移ってはならない。

第3 一見すると不合理にみえる意思決定でも、それだけで本人に意思決定能 力がないと判断してはならない。

2 意思決定支援のための環境整備(事前準備)

  • 環境整備の必要性・目的 後見人等が直接関わる意思決定支援の事務としては、本人に重大な影響を与える法律行為及びそれに付随する事実行為が主である。しかしながら、そのような課題が生じてからいきなり意思決定支援をしようとしても容易ではなく、日頃から日常的な事柄について、本人が自ら意思決定 をすることができるような支援がされ、そのような意思決定をした経験が蓄積 されるという環境が整備されている必要がある。
  •  本人のエンパワメント

特に、本人が自信を持って意思決定を行うことができるためには、本人の 自尊心や達成感が日頃から満たされていることが重要である。したがって、日常的に、本人が自ら意思決定を行う機会に接し、成功・失敗に至る過程を経ながら、「自らの意思決定が他者に尊重された」という経験を本人が得られるよう、後見人等も含めた本人に関わる支援者らが協力して支援をする(エンパワメント)環境が整備されることが求められる1112。

  •  支援者側の共通認識・基本的姿勢

 本人の意思決定に向けた支援は、これを支援する者の態度や本人との信頼関係、立ち会う人との関係性や環境による影響を受ける。また、意思決定支援をする支援者側の共通理解が乏しい場合、本人の意思決定や意思表明を引き出す支援が十分に行われなかったり、本人の意思を都合よく解釈した事実上の代行決定が行われたりするおそれもある。さらに、職業倫理や価値観の違いから、本人と支援者間、支援者相互の対立を招くことも懸念される13。

 したがって、意思決定支援を行うに際しては、後見人等を含めた本人に関わる各支援者が、本人の意思決定を尊重する基本的姿勢を身につけておく必要がある。そこで、本ガイドラインないし関連する他の意思決定支援ガイドライン14をあらかじめ読み合わせておく、又は研修等に参加するなど、意思決定支援を行うに当たっての共通認識を得ておくことも重要である。

  • 環境整備の手順、環境整備に対する後見人等の関与の仕方・役割

 後見人等が就任した時点では、既に本人は、親族や介護サービス、障害者福祉サービス事業者のスタッフや医療従事者等による支援を受けていることが 多い(潜在的なチームの存在)。後見人等としては、本人が日常生活を送るに当たって、これらの支援者によって、本人の意思決定が適切に支援され、表明された意思が十分に尊重されているかどうかを把握しつつ、以下の点に留意して 活動を進める必要がある。

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法定後見などが想定され、任意後見は想定されていないような記載だと感じました。

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 <留意するポイント>

 ▶ 後見人等に就任した後、なるべく早期に本人や支援者らと接触すること15

 ▶ 本人の状況や支援状況を把握し、支援者らの輪に参加すること

▶ 本人の意思が周囲の支援者らから十分に尊重されていないとみられる場合には、環境の改善を試みること

 特に専門職後見人の場合は、選任された時点では本人に関する情報量が親族や介護サービス事業者と比べて圧倒的に少ないことを自覚し、意識的に本人と話をしたり、本人のことを知ろうと努めることが重要である。なお、意思決定を支援するチームが編成されていないような場合や、チーム の編成を変更する必要があるような場合には、地域包括支援センターや障害者基幹相談支援センター、発達障害者支援センターがチーム支援の起点となるよう、中核機関のサポートを受けながら働きかけを行うことが望ましい。

  • 本人と後見人等の信頼関係の構築

 後見人等としては、本人と定期的な面談、日常生活の観察や支援者らからの情報収集、生活歴の把握等を通じて積極的にコミュニケーションを図ることにより、本人が安心して自分の意思を伝えることができ、後見人等とともに意思決定支援のプロセスに参加することに意欲を持つことができるような信頼関係を構築しておくことも重要と考えられる。後見人等が本人にとってどのような存在であるのかを本人自身に正しく認識してもらうことにより、本人としても安心して支援を受けることができるようになるはずである。

3 後見人等の関与する意思決定支援の具体的なプロセス(個別課題が生じた後の対応)

  • 本人にとって重大な影響を与えるような意思決定について

 本人にとって重大な影響を与えるような法律行為及びそれに付随する事実行為に関して意思決定を行う場面において、後見人等に求められるのは、本人の意思決定のプロセスを丁寧に踏むという意識及びそのプロセスに積極的に関わるということである。

具体的には、後見人等は、基本的に以下の場面で一 定の重要な役割を担うことになる。

  •  支援チームの編成と支援環境の調整
  •  本人を交えたミーティング

もっとも、本人にとって重大な影響を与えるような法律行為及びそれに付随する事実行為に関して意思決定を行う場合においても、本人の意思が明らかであり、支援者においても本人の意思に沿うことで異論がないような場合には、本ガイドラインのプロセスを必ずしも全て経る必要があるわけではない。

  • 支援チームの編成と支援環境の調整
  •  支援チームの編成

支援チームの編成は、本来は福祉関係者において責任を持って行うことが想定された事柄ではあるが、後見人等も、日頃から本人の意思決定支援のた めの環境整備がなされていることを前提に、ミーティング主催者とともに意思決定を支援するメンバーの選定に主体性を持って関わっていくことが望ましい。一般的には、親族、介護支援専門員、相談支援専門員、施設長・施設ケア マネジャー等相談支援専門職・相談員、地域包括支援センター等行政機関の担当者、主治医・看護師・臨床心理士、医療ソーシャルワーカー・精神保健福祉士などが支援メンバー候補者であるが、これらの者に限るわけではなく、 本人が希望する場合には、本人が信頼する友人やボランティア、当事者団体のメンバーなどが加わることもあり得る。第三者的な立場のメンバーが加わることで、支援者らが無意識のうちに自分達の価値観に基づきプロセスを進めることを防ぐという効果も期待される。

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 第三者を入れることが薦められる場合と、入れない方が良い場合があると思います。その基準は曖昧ですが、周りの人の関係性から見極め、最後は決定権を持っている人が決めることになるのかなと感じます。

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本人の思いや意思が反映されやす いチームとすることを意識しつつ、課題に応じて適切なメンバーを選ぶことが重要である16。

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 課題に応じて、メンバーの心情や都合に応じて、選ぶことが重要だと思います。

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 基本的には、本人との日常のコミュニケーションの方法をよく知る者、専門的見地から発言ができる者、その課題について本人に適切な選択肢を示す ことができる者などがバランス良くメンバーに加わることが望ましい。メンバーには、本人の意思が明確に表明されない場合であっても本人の意思自体は存在するということを十分に理解し、その意思を汲もうとする姿勢が求められる。

 一方で、当該事案において本人と利害が明らかに対立する者、本人の意思決定に不当な影響を与える可能性のある者の参加は好ましくなく、慎重な判 断が求められる。

  •  支援環境の調整・開催方法等の検討

 本人を交えたミーティングに先立ち、支援チームのメンバー間において、 ミーティングの趣旨やミーティングにおける留意点をお互いに理解するように努め、また本人にとってどのような形でミーティングを開催するのが適 切であるかを、以下の点に留意して慎重に検討することが望ましい。

 チームが機能しているような場合、後見人等は、コーディネーターとして 振る舞う必要はなく、以下の留意事項も踏まえ、他の支援者らが本人の意思や特性を尊重しながら適切に準備を進めているのかをチェックし、問題がある場合には改善を促すという形での関与をしていくことが求められる17。

また、後見人等のみならず、他の支援者においても、意思決定支援が適切なプロセスをたどっているかについて、相互にチェックし合うような環境が整備できると更に望ましい。他方で、後見人等は、他の支援者らとは異なり、最終的な決定権限(法定代理権)を有しているが、自分の価値観が最終的な決 定に影響しないよう、意思決定支援の準備につき他の支援者らの意向を尊重するという意識を持つことも重要である。

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相互にチェックし合う、とう言葉は、何か別の言葉が使えないかなと思います。私なら、お互いに意見を言っても否定しない場づくりを心掛ける、くらいにしておきます。

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 これに対し、チームがうまく機能していないような場合には、後見人等は、中核機関等からの支援を受けて他の支援者らに働きかけを行い、支援者らの意識の改善を図った上で検討を進めたり、チームの再編成を試みたり(上記 2⑵参照)するなど、支援環境の調整段階から主体的に関与することが望ましい。

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働きかけ自体は出来ると思いますが、負担が大きいと感じます。

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 <ミーティング開催に当たっての留意事項>

▶ 本人は、いつ、どこで、どのような方法であれば安心して参加できるか。 また、誰に意思決定支援のチームに参加してほしいか。

 本人の特性・生活スタイルから避けた方がよい時間帯がないか、本人が一番安心して意思を表明できる場所はどこか、本人が安心して話をすることができる支援者が誰かについて十分に配慮すべきである。必ずしも「ケース検討会議」のような場面がいつも適切とは限らず、たとえば本人との少人数でのミーティングを行い本人の意思を十分に引き出した上で、本人意思の確認・ 共有のために支援メンバーが揃う場を設けるなど、段階的にミーティングを行っていく ことが望ましいケースもあり得る。

▶ 本人は、どのようなコミュニケーションの方法を望んでいるか。また、本人の意思決定を支援するために必要な調整・コミュニケーション手段について意識されているか。 本人がミーティングにおいて適切に意思形成・表明ができるよう、本人が意思決定を行う場合の課題を整理し(関連する情報の理解・記憶・比較・表現等の各要素に留意し て)、支援者らが本人の意思の形成を促し、引き出していくための手段を検討する18。

また、本人が課題を理解し、自分なりの意思決定を行うためには、ミーティングの進行における工夫や本人の特性に合わせたコミュニケーションスキル(意思疎通の技術)が必要である。そのため、誰が進行役(ファシリテーター)を務め、本人との意思疎通を誰 がどのように図り、本人が実質的にミーティングに参加できるようにどのように工夫す るか等、支援チーム全体で予め検討しておくべきである。

▶ 意思決定支援に関するミーティングであることが参加者により理解され ているかどうか。ミーティングの呼びかけ方によっては、参加者が会議の趣旨について抱くイメージが 変容してしまう危険性がある。支援者らの価値観に基づく結論が先にありき(いわゆる 「落としどころ」を決めて臨む)での本人を説得するために集まる場では決してないことを予め留意事項として認識させることが重要である。

 ▶ ミーティングにおけるメンバーの役割やルールが参加者により理解されているか。

ミーティングの参加者がすることは「本人の意見、考えを引き出す」こと、「支援者ら の価値観を押し付けない」ことであり、避けなければならないことは参加者が望ましいと考えることを押しつけたり、その方向に誘導・説得したりしないこと、本人の話を頭ごなしに否定・批判をしないことである。なお、検討のための手段としては、支援チームのメンバーが直接会って事 前の打合せをするほか、電話、メール、ファックス等で確認・意見交換する など、支援チームの構成や従来の支援実績、対象となる課題、本人の状況等 により、その方法は様々であってよい。

  • 本人への趣旨説明とミーティング参加のための準備 支援チームのメンバー、環境整備、開催方法を検討していく過程において、本人が信頼している意思決定支援のキーパーソンによって、本人にあらかじめミーティングの趣旨を説明しておくことが必要である。たとえば、支援メンバーの情報やミーティングの予定日時、場所のほか、自分で自分のことを決めていくことが大切であること、意思を決めていくためにメンバーができる限り協力すること、本人の意思を尊重し、受け止めてくれるメンバーがいるので安心 して意見を述べてよいことなどを丁寧に説明する。

その際、本人としては、課題についての自分の思いを聞いてもらうことが会議に向けた心の準備になることもあるため、本人が何か課題について思いを伝えようとしている場合には、 本人の話に耳を傾けることも重要である1920。

  • ミーティングの招集

進行管理に責任を持つ者において、関係者を招集する。その際、必要な資料の準備も行う21。

  • 本人を交えたミーティング

 ① 進行方法の工夫 ミーティングでは、主催者等(後見人等が兼ねることもある)は、事前の 環境調整を踏まえて設定されたテーマ及びミーティングのルールに沿って以下②・③の支援プロセスが展開されているかに注意しながら、会議を適切 に進行する必要がある。ミーティングは必ずしも1回とは限らず、複数回開 催したり22、本人の意思形成の状況によっては、その間に見学や体験を導入 したりすることが有効な場合もある。

 事前の環境調整で確認したことなどを踏まえ、本人の置かれている状況を、本人の特性を踏まえつつ分かりやすく説明するとともに、課題となる意思決 定事項に関連する本人の意思や考えを引き出すことができるよう最大限努力する。加えて、本人の意思や考えを踏まえつつ、現在の本人が採り得る選択肢を分かりやすく示す。選択肢については、それぞれのメリット・デメリットなどを説明する必要がある場合もあるが、その際には、殊更誘導や本人の選択を意図的に狭めるような説明、プレッシャーを与える言動のないよう配慮する必要がある。説明方法は、言葉によるものに限らず、タブレット端末、パ ンフレット、写真、絵カード等の視覚的な資料を用いるなどの工夫も考えられる。

このような本人の意思形成支援を行った上で、他者の不当な影響が及ばない状態において、本人が自らの意思を表明できるよう支援する。適切なコミ ュニケーション手段の選択はもちろん、表明を直接受け取る支援者、場所、 時間、雰囲気などにも配慮すべきである。

後見人等は、本人の権利擁護者として、本人が意思決定の主体として実質的にミーティングに参加できるよう、本人のペースに合わせた進行を主催 者・参加者に促していくことが期待される。ただし、後見人等だけで一連の意思決定支援を全て提供できるものではないため、主催者、参加者と適宜役 割分担をし、以下のポイントに留意しながら、チーム全体として意思決定支 援のプロセスを展開できるようにすることが大切である。

2 意思形成支援におけるポイント

 □支援者らの価値判断が先行していないか?

 ▶ 判断の前に本人の希望に着目し、できる限り「開かれた質問」23で尋 ねる。 □本人の「理解」と支援者らの「理解」に相違はないか?

▶ 本人に説明してもらう。同じ趣旨の質問を、時間をおいて、違う角度 から行ってみる。

 ▶ 説明された内容を忘れてしまうことがあるため、その都度説明する。

 ▶ 本人に体験してもらうことによって本人の理解を深める。 □選択肢を提示する際の工夫ができているか?

 ▶ 比較のポイント、重要なポイントを分かりやすく示す。

 ▶ 文字にする。図や表を使う。ホワイトボードなども活用する。 □他者からの「不当な影響」はないか? ③ 意思表明支援におけるポイント □決断を迫るあまり、本人を焦らせていないか?

▶ 時間をかけてコミュニケーションを取る。

▶ 重要な意思決定の場合には、時間をおいて、再度、意思を確認する。

 ▶ 時間の経過や置かれた状況、同席者の影響によって意思は変わり得る ことを許容する。

 ▶ 本人の意思決定を強いるものではない(本人がむしろ支援者らに判断 を任せたいという意思を持つこともあり得る。)。 □本人の表明した意思が、これまでの本人の生活歴や価値観等から見て整合 性があるか?

 ▶ これまでと異なる判断の場合には、より慎重に本人の意思を吟味する。

 ▶ 表面上の言葉にとらわれず、本人の心からの希望を探求する。 □意思を表明しにくい要因や他者からの「不当な影響」はないか? ▶ 支援者らの態度、人的・物的環境に配慮する。時には、いつものメン バーとは異なる支援者が意思を確認してみることも必要。

  • 意思が表明された場合

第1原則において、全ての人は意思決定能力があることが推定されている。 したがって、本人及び支援者らにおいて意思決定能力について特段疑問を持 たない限り、後見人等は、本人の意思決定に沿った支援を展開することが通常 である(なお、意思実現支援は本ガイドラインにおける意思決定支援には直接 含まれないものの、後見人等としては、身上保護の一環として、後見人等が本 人の意思の実現に向けて適切に行動することが期待される。)。 もっとも、表明された意思が本人の意思であるかは慎重に確認する必要があ り、支援者らによる意思決定支援が適切にされていないおそれがある場合24や、 本人の表明された意思に関し、支援者らの評価・解釈に齟齬や対立がみられる 場合には、再度意思決定支援を行う必要がある。

 また、本人の意思に揺らぎがみられるような場合には、一旦本人が意思を表明した場合であっても、直ちにその実現に移るのではなく、一定期間見守り、 表明された意思が最終的なものであるかを確認する必要がある。

  • アセスメントシートへの記録

後見人等は、(1)~(6)における意思決定支援のプロセスについて、アセスメ ントシート様式1に随時記録する。

 第4 意思決定や意思確認が困難とみられる局面における後見人等の役割

*本項に対応するアセスメントシート:様式2・様式3 1 関連する基本原則の確認

第2 本人が自ら意思決定できるよう、実行可能なあらゆる支援を尽くさなければ、代行決定に移ってはならない。

第4 意思決定支援が尽くされても、どうしても本人の意思決定や意思確認が困難な場合には、代行決定に移行するが、その場合であっても、後見人等は、まずは、明確な根拠に基づき合理的に推定される本人の意思(推定意 思)に基づき行動することを基本とする。

2 意思決定や意思確認が困難とみられる局面とは

特定の意思決定について、意思決定支援を尽くしたにもかかわらず、本人の意思や意向を把握することが困難であり(本人とのコミュニケーションが困難である場合や、本人の意思の揺らぎが大きい場合など)、かつ、法的保護の観点から決 定を先延ばしにすることができない場合もある。その場合には、下記3のとおり、 本人の意思決定能力のアセスメント(評価)を行った上で、意思決定をすること が困難であると判断された場合には、代行決定のプロセスに移行することになる。 なお、決定を先延ばしにすることができる場合には、改めて意思決定支援を行うことになる。

3 意思決定能力アセスメントの方法

  • 意思決定能力アセスメント

本ガイドラインにおける意思決定能力の定義からすれば(第2の2)、意 思決定能力アセスメントは、本人が独力で特定の意思決定ができるか否かを 評価するものではなく、支援者ら自身が意思決定支援を尽くしたにもかかわ らず、意思決定を行う場面で通常必要と考えられる4要素につき満たされな いものがあるかを評価することとなる。

 理解 :与えられた情報を理解する力

 ▶ 支援者側が実践上可能な工夫・努力を尽くしたにもかかわら ず、本人が意思決定に関連する情報を理解することができな かったかを評価する。

記憶保持:決定するためにその情報を十分に保持する力 ▶ 支援者側が実践上可能な工夫・努力を尽くしたにもかかわら ず、本人が情報を必要な時間、頭の中に保持することができな かったかを評価する。

比較検討:決定するためにその情報を検討する力 ▶ 支援者側が実践上可能な工夫・努力を尽くしたにもかかわら ず、本人がその情報に基づく選択肢を比較検討することがで きなかったかを評価する。

 表現 :決定について他者に伝える力 ▶ 支援者側が実践上可能な工夫・努力を尽くしたにもかかわら ず、本人が意思決定の内容を他者に伝えることができなかっ たかを評価する。

ここで重要なことは、意思決定能力は、あるかないかという二者択一的な ものではなく、支援の有無や程度によって変動するものであることから25、本人に意思決定能力がないと決めつけることなく、4要素を満たすことができるように、後見人等を含めたチーム全体で支援をすることが必要であるとい うことである。このように、意思決定能力アセスメントは本人の能力の有無のみを判定するアプローチではなく、支援を尽くしたといえるかどうかについても、チー ム内で適切に検討することが求められる。

  • アセスメントシートへの記録 意思決定能力アセスメントの検討プロセスについては、アセスメントシート様式2に記録する。

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おそらく、アセスメントシートその他の情報共有ツールが必要だと思います。パソコンなどから入力出来るような。情報漏洩が起きる危険があるので、ガイドライン作成が必要だと思います。

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 4 本人の意思推定(意思と選好に基づく最善の解釈)アプローチ

  • 基本的な考え方

意思決定能力アセスメントを実施した結果、本人の意思決定や意思確認 が、その時点ではどうしても困難と評価された場合、代行決定が検討される ことになる。もっとも、その場合であっても、後見人等が直ちに自らの価値判断に従って何が本人にとって最善であるかを決定することは避けるべきで ある。

後見人等を含めた支援チームが集まって、本人の日常生活の場面や事 業者のサービス提供場面における表情や感情、行動に関する記録などの情報 に加え、これまでの生活史、人間関係等様々な情報を把握し、根拠を明確に しながら本人の意思及び選好を推定することを試みることが必要である26。

すなわち、本人が自ら意思決定をすることができたとすれば、本人はどのような意思決定をしていたのかをまずは推定する必要がある。 収集された事実については、一見すると矛盾していたり、古すぎる情報、 又聞き情報といったものも存在したりするため、信頼できる情報を適切に選 別していく必要もある。さらに整理された事実に基づいて、本人の意思や価 値観を合理的に推定していくために関係者による評価が行われる。後見人等は、本人の権利擁護の代弁者であるという意識を持ち、十分な根拠に基づいて本人の意思推定が行われているか、関係者による恣意的な本人の意思推定が行われていないかどうか等を注視していくことが求められる。

 このような整理や評価は、単独で行うことは通常困難であり、意思決定支 援の場面で構築されたチームを活用し、複合的な視点から検討する必要がある。意思推定は、本人に意思決定能力があればどのような決断をしていたのかを第三者が推定し、判断するものである。支援チームがいかに努力したとしても本人の意思そのものとは異なって解釈される可能性があることから、慎重な取扱いが求められる。

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 本人も時間や状況によって意思は変わると思うので、支援チームが割く時間を予め決めておかないと、疲弊が起きると感じます。

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  • 検討結果に基づく後見人等としての行動原則

 ミーティングの結果、本人の意思が推定できる場合には、第5原則「本人にとって見過ごすことのできない重大な影響」に該当しない限り、後見人等も含めた支援者らは、本人の信条・価値観・選好に基づいて支援を展開する こととなる。他方、意思推定すら困難な場面では、第5原則及び第6原則に沿って行動することが検討される(最善の利益に基づくアプローチ。第5参照)。

  • アセスメントシートへの記録

 後見人等は、上記4(1)の本人の意思推定に基づく代行決定の検討プロセス について、アセスメントシート様式3に記録する。

第5 本人にとって見過ごすことができない重大な影響が懸念される局面等における後見人等の役割

*本項に対応するアセスメントシート:様式4 1 関連する基本原則の確認 第3 一見すると不合理にみえる意思決定でも、それだけで本人に意思決定能 力がないと判断してはならない。

第5 ①本人の意思推定すら困難な場合、又は②本人により表明された意思等 が本人にとって見過ごすことのできない重大な影響を生ずる場合等には、 後見人等は本人の信条・価値観・選好を最大限尊重した、本人にとっての 最善の利益に基づく方針を採らなければならない。

 第6 本人にとっての最善の利益に基づく代行決定は、法的保護の観点からこ れ以上意思決定を先延ばしにできず、かつ、他に採ることのできる手段がない場合に限り、必要最小限度の範囲で行われなければならない。

 2 本人にとって見過ごすことができない重大な影響が生じる場合等 (1) 基本的な考え方 意思決定支援の結果として、本人が意思を示した場合や、第4のプロセスを踏むことにより本人の意思が推定できた場合であっても、その意思をそのまま実現させてしまうと、本人にとって見過ごすことができない重大な影響が生じるような場合がある。その場合、当該意思をそのまま実現することは 適切ではないため、法的保護の観点から、「最善の利益」に基づいた代行決 定を行うことが許容される。

 また、本人の意思を実現すると、権利侵害を第三者に生じさせるような場面においても、個別具体的な事情に応じて、「最善の利益」に基づく代行決定を検討すべき場合がある。

検討方法 「重大な影響」といえるかどうかについては、以下の要素から判断する。

 ① 本人が他に採り得る選択肢と比較して、明らかに本人にとって不利益な 選択肢といえるか

2 一旦発生してしまえば、回復困難なほど重大な影響を生ずるといえるか

  •  その発生の可能性に確実性があるか

 例として、自宅での生活では本人が基本的な日常生活すら維持できない場合や、本人が現在有する財産の処分の結果、基本的な日常生活すら維持でき ないような場合が挙げられる。

 意思推定の場面と同様、このような整理や評価は、単独で行うことは通常困難であり、意思決定支援の場面で構築されたチームを活用し、複合的な視点から、明確な根拠を示して検討する必要がある。

(3)検討結果に基づく後見人等としての行動原則

 ミーティングを踏まえて、「本人にとって見過ごすことができない重大な影響」が発生する可能性が高いと評価される場合等には、後見人等は、本人が示した意思決定(推定意思の場合には、本人に意思決定能力があれば示したであろう意思決定)であったとしても、法的保護の観点から、同意しない(同意権・代理権の不行使)又は本人の示した意思とは異なる形での代行決定(代理権、取消権の行使)を行うことがある27。

他方、第三者からみれば必ずしも合理的でない意思決定であったとしても、「本人にとって見過ごすことができない重大な影響」が発生する可能性が高いとまでは評価できない場合には、本人なりの価値判断に基づく意思決定であることを踏まえ、後見人等も含めた支援者らは、本人の信条・価値 観・選好に基づいて支援を展開することが期待される。

  • アセスメントシートへの記録

後見人等は、本人にとって見過ごすことができない重大な影響が生じるかどうかの検討プロセスについて、アセスメントシート様式4に記録する。

 第6 本人にとっての最善の利益に基づく代行決定

 *本項に対応するアセスメントシート:様式5

1 関連する基本原則の確認 第5 ①本人の意思推定すら困難な場合、又は②本人により表明された意思等が本人にとって見過ごすことのできない重大な影響を生ずる場合には、後見人等は本人の信条・価値観・選好を最大限尊重した、本人にとっての最 善の利益に基づく方針を採らなければならない。

 第6 本人にとっての最善の利益に基づく代行決定は、法的保護の観点からこれ以上意思決定を先延ばしにできず、かつ、他に採ることのできる手段がない場合に限り、必要最小限度の範囲で行われなければならない。

 第7 一度代行決定が行われた場合であっても、次の意思決定の場面では、第 1原則に戻り、意思決定能力の推定から始めなければならない。

2 本ガイドラインにおける「最善の利益」に基づく代行決定 これまで述べてきたとおり、①意思決定支援を尽くしても本人の意思が明確 ではなく、かつ、本人の意思を推定することさえできない場合や、②本人が表 明した意思や推定される本人の意思を実現すると本人にとって見過ごすことが できない重大な影響が生じてしまう場合には、後見人等は、「最善の利益」に基づく代行決定を行うことになる。

 本ガイドラインで採用されている最善の利益は「本人にとっての最善の利益」、すなわち、本人の意向・感情・価値観を最大限尊重することを前提に他の要素も考慮するという考え方である。この点、「自分ならこうする。この方が本人のためだ。この人はこういうふうに行動すべきだ。」と、第三者の価値観で決めるという客観的・社会的利益を重視した考え方は採用していないことに注意が必要である

 3 本人にとっての「最善」を検討するための方法

  • 最後の手段としての位置付け

本人にとっての最善の利益に基づく代行決定は、意思推定の場面とは異なり、 本人の意思よりも他者の判断が優越し得る場合がある(本人の意思や推定意思 とは異なる他者決定があり得る)ということに留意する必要がある。したがっ て、使い方を誤るとかえって本人の自己決定権の侵害となる可能性もあるため、 最後の手段として慎重に検討されるべきものである。 特に後見人等としては、付与された代理権、取消権をどのように行使すべき かを検討する上で、第6原則を踏まえて、下記(2)のように検討すべきである。

 (2) 本人にとっての最善の利益を検討するための前提条件

 □ 意思決定能力アセスメントが実施されているか?当該意思決定について、 意思決定支援が尽くされているか否かを吟味する過程があったか? □ その結果、意思決定支援の限界場面と評価できるか? ▶ 意思決定支援が尽くされたにもかかわらず、本人の意思決定や意思確認 がどうしても困難であり、かつ、意思推定すら困難といえるか?

 ▶ 本人にとって見過ごすことができない重大な影響に該当するといえる か? □ これ以上決定を先延ばしできない場面と評価できるか?

 ▶ 意思決定をしないこと(思うようにさせておくこと)もまた決定であり、 行動しないことが本人に与える結果についても念頭におく必要がある。 □ 後見人等による代行決定が及ぶ意思決定か? 後見人等が代行決定することができない意思決定(身分関係の変動、身体への侵襲を伴う医療に関する意思決定等)には当たらないことの確認が必要 である。 また、他の法律による介入が必要と判断される場合(例えば虐待防止法に おける「やむを得ない事由による措置」の発動など)には、所管する関係機 関に対して会議への同席を求めることも検討する。 □課題とされている意思決定に関与する本人の支援者らから、本人の選好・価値観その他本人にとって重要な情報が十分に得られているか? □ 本人が最善の利益の検討過程に参加・関与できる機会が考慮されているか? 後見人等は、本人にとっての最善の利益の判断に至る過程が適切に議論されているかどうかを確認する必要があるが、このような議論の整理や評価は、後見人等や支援者らが単独で行うことは通常困難である。

 したがって、緊急判断が求められる場面でない限り、意思決定支援の場面で構築されたチームを活用し、複合的な視点から検討する必要があるが、その際 には、無意識のうちに支援のしやすさを優先していないか、最初から結論を決めており、代行決定を後付けの根拠としようとしていないかといった点に注意しなければならない。

 (3) 本人にとっての最善の利益を検討する際の協議事項28

 ① 本人の立場に立って考えられるメリット、デメリット(本人の主観的利益・ 損失を含む)を可能な限り挙げた上で、比較検討する。表(バランスシート) に記録することが望ましい。

2相反する選択肢の両立可能性があるかどうかを検討する。 二者択一の選択が求められる場合においても、一見相反する選択肢を両立 させることができないか考える。

  •  本人にとっての最善の利益を実現するに当たり、本人の自由の制約が可能 な限り最小化できるような選択肢はどれかを検討する。 例えば、住まいの場を選択する場合、選択可能な中から、本人にとって自由の制限がより少ない方を選択する。また、本人の生命又は身体の安全を守るために、本人の最善の利益の観点からやむを得ず行動の自由を制限しなくてはならない場合は、行動の自由を制限するより他に選択肢がないか、制限せざるを得ない場合でも、その程度がより少なくて済むような方法が他にないか慎重に検討し、自由の制限を最小化する。その場合、本人が理解できるように説明し、本人の納得と同意が得られるように、最大限の努力をすることが求められる。

 4 検討結果に基づく後見人等としての行動原則

後見人等は、最善の利益に関する協議結果を踏まえて、与えられた裁量・権 限の範囲において、代行決定を行う。 最善の利益に関する協議が、後見人等及び関連する支援者らにおいて真摯に行われることによって、当該代行決定が合理的かつ適切な情報に基づいて行われたことが推定される。将来的には、後見人等による権限行使・不行使が適切 であったことを担保するための根拠資料となることも想定される。重要なことは、第1原則である。特定の意思決定についてこれ以上先延ばしができない場面において、後見人等による代行決定がされたとしても、将来にわたり本人が当該意思決定をすることができないと評価されることはないし、ましてやそれ以外の意思決定を行う能力がないと評価されることもない。

なぜならば、意思決定能力アセスメントや代行決定は、意思決定をする・しないといった判断が迫られている限定的な場面の中で行われる本人の意思決定プロセスに対するその場限りの介入であり、異なる時点・場面においては、同じ意思 決定に関する課題に対しても、本人(及び支援者らの意思決定支援力の総体と して)の意思決定能力は変化し得るからである。

 例えば、生命・身体の具体的危機に直面しているセルフ・ネグレクト状態に 置かれた本人に対する介入の場面では、本人の意思決定支援を十分に行う余裕 がない中で検討が進み、限られた時間の中での支援では本人自身の意思決定・ 意思確認がどうしても困難、又は意思が推定できても「見過ごすことのできな い重大な影響」が既に発生している場面として評価され、自宅から施設へ本人 の住まいの変更に関する諸契約について、後見人等が代行決定せざるを得ない 場面も考えられる。

しかし、一旦本人が安全な環境に置かれ、意思決定支援を行う時間的余裕が確保でき、再び意思決定支援のプロセスを丁寧に経ることが可能となった段階においては、本人の住まいや生活に関わる意思決定を本人自身が行うことのできる可能性も十分考えられる。本人の自由の制約を可能な限り最小化する観点からも、一旦代行決定がなされたからといって、本人が今後意思決定することのできる機会を取り上げるのではなく、再編成された意思決定支援チームによって、本人による意思決定の機会が最大限提供され、本人自身の意向・身上・価値観を踏まえた今後の住まいや生活を可能な限り保障していくことが求められる。

 したがって、再び何らかの意思決定が課題となる場面が生じた場合には、改めて意思決定支援のプロセスに立ち戻って支援が展開される必要がある。

5 アセスメントシートへの記録

後見人等は、本人にとっての最善の利益に基づく代行決定の検討プロセスにつ いて、アセスメントシート様式5に記録する。

以上

1 典型的には、本人が在宅での地域生活を希望しているのに十分な検討をせずに施設等の利用を支援者らが選択し、本人の保護という名目の下、本人に説得をしてしまう例などが挙げられる。

2 後述のとおり、本ガイドラインはチームによる意思決定支援を前提とするものである。そのため、チーム形成やチームの連携に向けて中核機関がサポートを行う際や、中核機関、地域包括支援センター、基幹相談支援センター等と後見人等を含めたチームが連携する際の参考として活用されることも期待される。

3 後見監督人は直接、意思決定支援に関与する者ではないが、意思決定支援を踏まえた後見事務を監督する立場 にあることからすれば、後見監督人においても意思決定支援について理解をしておくことが望ましい。

 4 既に実践において活用されている他のアセスメントシート等を使用することでも問題ない。

5 意思実現支援としては、例えば、生活の本拠について検討する場面において、本ガイドラインのプロセスに沿って意思形成支援・意思表明支援が行われた結果、自宅をリフォームした上で在宅での生活を継続する旨の本人 意思が示されたのであれば、後見人等としては、身上保護活動の一環として、自宅のリフォームのための契約締 結など必要な後見事務を適切に行うことが求められる。

 6 意思決定能力は法律で定められた概念ではなく、意思能力や行為能力とは異なるものである。本ガイドラインでは、意思決定能力は、あるかないかという二者択一的なものではなく、支援の有無や程度によって変動するも のであるという考え方を採用している。

7 成年後見人等の権限の広さや本人の生活に与える影響の大きさに鑑み、意思決定支援のプロセスを踏まえない安易な推定に基づく法定代理権の行使・不行使を戒めるという趣旨から、本ガイドラインでは、意思推定を代行 決定と捉え、濫用を防止するための慎重な検討を求めるという立場を採用している。

8 一般的には日常的と評価される行為でも、本人にとっては日常的とは言えない場合もあり得る。そのような場 面では、本人にとっての重要性に鑑みて、後見人等がその意思決定支援に関与することが求められていると考え られることから(例えば、これまで携帯電話やスマートフォンを所有していなかった本人が初めてこれらを購入 することになったため、機種や料金プランを選択する場合など)、本ガイドラインでは、「本人にとっての影響の 大小」を基準としている。

9 「成人した本人の人生周期(ライフサイクル、ライフステージ)」においては本人にとっていくつかの重大な意 思決定を求められる場面が考えられる(就職、転居、転職、サービスの契約と利用、入院、施設入所、相続 等)。これらの課題は、本人からの相談や家族や支援者らからの情報提供だけではなく、後見人等が本人の生活 状況を確認することからも発見される。

10 後見人等は医療行為に関する同意権は有していないが、医療の局面における後見人等の関与の在り方について は、厚生労働省 2018 年度厚生労働行政推進調査事業費補助地域医療基盤開発推進研究事業「身寄りがない人の 入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」(2019年5月)を参照されたい。

11 従前、本人が自ら意思決定をしたという経験の少ない人については、日常生活において何を食べるか、今日何 を着るかなどの身近な決定を支援者らの支援によって繰り返すことにより、自身の意思を尊重される体験を積む ことができ、自信を持って意思を表明することができるようになる。

 12 本人がエンパワメントを受けて変化した結果、支援者らがそのような本人の姿に感化され、支援活動に一層前向きになることもある。

13 他方で、それぞれの立場や考え方が異なることを認識し、多角的な視点から検討することによって本人の多面 的な生活を支援することができるという認識を持つことが重要である。

 14 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」(2 017年3月)、厚生労働省医政局地域医療計画課「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関す るガイドライン」(2018年3月)、厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室「認知症の人の日常生活・社会 生活における意思決定支援ガイドライン」(2018年6月)、厚生労働省 2018 年度厚生労働行政推進調査事業 費補助地域医療基盤開発推進研究事業「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関 するガイドライン」(2019年5月)。

15 本人との信頼関係が構築されていない段階では、本人から直接得られる情報は限定的になりがちであるため、 親族等の周囲の支援者らからの情報収集に努めることが有益な場合も多い。

16 毎回、メンバー全員が形式的に集まる必要はない。

17 支援環境の調整段階で他の支援者らが中心となって検討を行うことも少なくなく、後見人等が必ずしも検討の 場に常に同席を求められるとは限らない。

18 例えば、本人の状況によっては、支援メンバーの些細な言葉や態度に敏感に反応し、影響されることもあり得 るため、何気ない感想やコメント(例えば「○○だと大変そうだね」という言葉で当該選択肢は避けるべきと考 えてしまう)にも気を遣う必要があるかもしれない。また、質問の仕方によっては、本人へのプレッシャーにな ることもあるかもしれない(例えば「どうして〇〇しないの?」「〇〇したいと思わない?」など)。さらに、本 人の意思疎通手段が限られている場合には、本人にとって最も意思が表出しやすいコミュニケーション手段が何 かを考え、適切な通訳者の確保、タブレット端末、絵カード、写真等の準備等が必要になるかもしれない。

19 この確認に当たっては、例えば、本人が「はい」等と了解するような言葉を述べていても、本人の表情や動作等を観察しながら本人の意思を確認することが望ましい場合もある。

20 支援メンバーを通じて本人の思いを聞き出し、後見人等に伝えてもらうこともあり得る。

21 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」(2 017年3月)、厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決 定支援ガイドライン」(2018年6月)等参照。

22 本人の反応や意見次第では、支援チームのメンバーや開催方法等を再検討することも考えられる。

23 「開かれた質問」とは、「はい」「いいえ」では答えられない自由な答えを求める質問のこと。「どうして?」「どんな点が?」など。

24 例えば、過剰な誘導や、周りの思惑に基づき本人を説得するようなアプローチを繰り返し、本人が「同意」せざるを得ないような状況に追い込んだ上で、それが本人の意思決定と取り扱われているような場面などが考えられる。

25 意思決定能力に関する基本的な考え方については、厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室「認知症の人の 日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(2018年6月)4 頁脚注 ix を参照

26 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」(2 017年3月)参照。

27 この場合、本人の意思とは異なる結果を招くことになるため、それによって本人に生じる負担等に対し、継続 的な支援が必要となり得ることに留意する必要がある。

28 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」(2 017年3月)参照。

6月相談会のご案内

お気軽にどうぞ。

家族信託の相談会その34

2021年6月25日(金)14時~17時

□ 認知症や急な病気への備え
□ 次世代へ確実に引き継ぎたいものを持っている。
□ 家族・親族がお金や土地の話で仲悪くなるのは嫌。
□ 収益不動産オーナーの経営者としての信託 
□ ファミリー企業の事業の承継
その他:
・共有不動産の管理一本化・予防
・配偶者なき後、障がいを持つ子の親なき後への備え

1組様 5000円

場所 司法書士宮城事務所(西原町)

要予約   司法書士宮城事務所 shi_sunao@salsa.ocn.ne.jp

後援  (株)ラジオ沖縄