「民事信託における指図権~理論と実務」

「民事信託における指図権~理論と実務」

(一社)民事信託推進センター実務入門講座

民亊信託士 弁護士 青井芳夫

「指図権を民事信託の中でどう位置付けるか」

・・・私は受託者の権利を一部制限すると位置付けと捉えています。

「指図権者、受託者がどのような責任を負うのか」

・・・私は、日本の法令、信託行為、具体的事実の順で違反があった場合に違反の程度に応じて責任を負うのだと理解しています。

アメリカ

松元暢子「2017年指図型信託に関する統一州法―Uniform Directed Trust Act」

「指図権者は信認義務を負うか。」

信認義務って何だろう、と思いました。

参考

今川嘉文「継続的取引関係と信認義務」

www.law-kobegakuin.jp
http://www.law-kobegakuin.jp/~jura/law/files/39-2-02.pdf
http://www.law-kobegakuin.jp/~jura/law/files/39-2-02.pdf

 

「信認義務とは、「他人の財産の管理運用を委託された受託者が、委任者または受益者の最大利益を図るために、合理的かつ思慮ある行動をとらなければならない義務」

のようです。善管注意義務、忠実義務(信託法29条2項、30条)の他に、受託者の義務等(信託法29条から39まで)全般を負う場合があるんじゃないかなと思います(信託業法65条、66条、信託業法施行規則68条)。

「信託行為の定めにより、信託財産の分配に関する指図権を有する者の義務を完全に免除することも可能と解すべき」

・・・信託行為で完全に免除することを定めることは可能だと思いますが、免除されるかどうかは、信託期中の指図の内容によるのではないかと考えます。

「指図権を付与された指図権者の注意義務は、善管注意義務、一般的注意義務を負うが、公平義務は負わないと解される」

・・・指図権の範囲内で公平義務を負うのが原則だと思うのですが、何故負わないと解されるのか分かりませんでした。

「指図に従った結果、信託財産に損害が生じた場合に受託者は免責されるか否か」

・・・信託法35条は受託者が委託し、指図権者は信託行為で定めるか、信託の変更を行い指図権者の就任承諾を得て就任するものだと思います。私は、信託業法66条、信託業法施行規則68条について指図権者が違反していない場合は受託者が責任を負う、という理解です。

「指図者の指示に従った場合の受託者の免責条項を置くか否か」

・・・実際に免責されるかは措いて、免責条項を置くか禁止条項を置くかだと思いました。

「指図者の義務・義務違反の効果(利益相反的な行為にかかる規律を含む)」

・・・アメリカ法の議論も参考になると思いますが、信託法31条、信託業法施行規則68条に準じた解釈が妥当なのかなと感じました。

「レジュメの複製、転用、引用、第三者への提供及び発表内容の録音、録画、掲載等を固く禁じます。」

とありますが、引用を禁じることは出来ないのではないかと思います。

文化庁HP

 

大学共同利用機関法人情報・システム研究機構

国立情報学研究所先端ソフトウェア工学・国際研究センター

「著作権法ガイドライン2009/11/16 ver.1.1」

 

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指図権について

(一社)民事信託推進センター実務入門講座

今回からzoom研修のチャットが無効に設定されていました。何か目的があるのでしょうか。

「中小企業の事業承継支援における民事信託の活用―指図権付・自社株信託契約を活用した事業承継対策とオーナー株主の認知症対策の活用―」

民事信託士・事業承継マネージャー 栃木県事業引継ぎ支援センター所属

司法書士 川俣洋一

 種類株式、属人的株式、特例事業承継税制との比較から、自社株信託を選んだ、というケースでした。他の制度と比べた場合の自益型自社株信託契約の特徴は、柔軟な設計が可能である(指図権の設定の有無・信託の終了など。)こと、とありました。解約による信託の終了を最初から視野に入れている場合、私なら信託設定はしないかなと思います。

 「自益型自社株信託契約のメリットとして、手続が簡単」、ということが挙げられていましたが、私は他の手続きと同じという感覚です。他のメリットとして、「指図権の内容が会社の登記に記録されない、信託は解約が可能」、と挙げられていますが、私はメリットというより特徴だと理解しました。

 「「合意終了」により信託契約を終了させ、父の生存中に自社株式の株価評価増減が整った段階で、後継者への生前贈与・売却、第三者への株式売却が可能となるようにしておく」、の部分は、何故このような設計を行う必要があるのか分かりませんでした。

 「自己信託は認知症対策にならない」、とありましたが、第2次受託者を定めて認知症対策を行うことは可能じゃないかなと感じました。

「自益信託後に信託契約を一部解約し、暦年贈与を段階的に実行することは可能か?」という疑問がありましたが、信託の変更要件、暦年贈与の要件を各々満たしている場合は可能だと考えました。

指図権の条項について

「相当の期間を定めて」とあるところは、具体的期間を入れた方が良いのではないかと感じました。

指図権の拒絶事由として、「本信託の目的に照らし著しく不当である場合」に関しては、判断が少し難しいなと思いました。ただ、他にどのような条項を入れたらいいのか、私には分かりませんでした。

「通常の取引と異なる条件で、かつ、当該条件での取引が同会社に損害を与えることとなるもの」の判断も長期的にみると変わる場合があるのかなと感じます。

「本信託の目的や同会社の状況に照らして不必要なもの」も株主によって変わるような気がします。「他人からの不当な制限または拘束を受けて行われることとなるもの」に関しては、長男、次男、コンサルタント、士業その他の色々な意見を聴いていいのか、聴いて良いとすればどこまで聴いて良いのか、それとも最後は自分で決めました、という署名みたいなものをもらって担保するんだろうか、などと考えてみましたが、良く分かりませんでした。

指図権の消滅について、「判断能力を欠く状況にあると診断書をもって専門的な医師の判断が示されたときは、」とありますが、これは法定後見申立ての際の診断書の基準なのか、それとも別の基準でやるのかなと感じました。

「成年後見制度は、議決権の代理行使が中小企業の経営において適切な判断に基づくものであることを期待しうるか否かは別問題」、ということでした。後継者がほぼ決まっているケースのようでしたので、後継者が任意後見人になるのであれば、任意後見制度の代理結目録を活用して事業承継を行える可能性もあるのかなと感じました。

「任意後見制度※「本人のための制度」のため自由に財産が動かず凍結する。」は誤りではないかと思います。任意後見人にある程度の裁量を持たせることも可能です(任意後見契約に関する法律2条。5条4項、任意後見契約に関する法律第三条の規定による証書の様式に関する省令2条)。

木村敦子「信託と遺留分に関する一考察―相続法改正をふまえて―」

(公財)未来トラストフォーラム【84】P173~の記事からです。

減殺・・・自己の法定相続分の一部を確保するために、遺留分を侵害する限度で行われる。

侵害・・・遺留分権利者の潜在的持分の清算を目的する行為→遺留分の金銭債権化・価値化

遺留分の金銭債権化により、受益権の(準)共有状態は生じなくなる。受益権2分の1などを定めても良いが、遺留分侵害額算定の妨げにはならない。

遺留分侵害額請求の考え方と受益権(主に受益債権)説との関係・・・原則として親和的。

信託の場面における遺留分侵害行為

・相続分の一部の価値保障

・遺留分制度固有の目的に即した一定額の保障

どちらもあると思います。

受益権の評価に関する問題

・遺留分額に対して、受益権の価額が充分な程度に高くない場合・・・仕方がないのかなと感じます。

・信託の設定によって、遺留分侵害額算定の基礎財産が目減りする場合・・・信託行為によって適正に定めさせれている限りにおいては仕方がないのかなと感じます。

信託財産の目減りに関して

・信託設定時から遺留分侵害額の発生時までの間に、信託財産が目減りした(4000万円が1000万円になった、建物の評価が3000万円から2000万円になった場合)

・・・受益権の内容・時期によって遺留分侵害額算定の基礎となる財産に持ち戻すのか評価されると考えます(民法1043条、1044条)。またこの場合の相手方は、原則として受益権に基づく給付を受けた受益者、受益者が応じない場合には、受託者だと思います。建物の評価額のうち減額となった部分に関しては、受託者が悪意重過失のない管理運用を行い、評価減額が経年劣化による場合は、遺留分侵害額算定の基礎財産に含まれないと考えれます。

民法1045条1項の「負担の価額」

負担といえるか、重畳的債務引き受けや連帯保証など、容易に金銭に見積もることが出来るものを除いて、難しく感じます。

受託者であっただけで、負担を負ったといえるとは思えません。信託行為で(認められるかは別として)個別行為を負担と定めるか、被相続人と推定相続人その他の人が個別行為を行うごとに負担と記録するか、(これも必ず認められるのか分かりません)ここまで記録を取る必要があるのか、など考えさせられます。

元本受益権について

参考 (一社)民事信託推進センター テーマ別研修会「信託税務2つの事例の考察を中心として」 令和2年11月10日 税理士・司法書士 白 稲子 白稲子©2020

税務に関する最終判断は、税理士に依頼をお願いします。

・元本受益権、何に使うのか。

私は信託契約書の中に元本受益権という言葉を使ったことはありませんが、色々なところで使われています。

・国税庁

相続税法基本通達【第9条の3((受益者連続型信託の特例))関係】

(受益者連続型信託に関する権利の価額)

9の3─1 受益者連続型信託に関する権利の価額は、例えば、次の場合には、次に掲げる価額となることに留意する。

(1) 受益者連続型信託に関する権利の全部を適正な対価を負担せず取得した場合 信託財産の全部の価額

(2) 受益者連続型信託で、かつ、受益権が複層化された信託(以下9の3─3までにおいて「受益権が複層化された受益者連続型信託」という。)に関する収益受益権の全部を適正な対価を負担せず取得した場合 信託財産の全部の価額

(3) 受益権が複層化された受益者連続型信託に関する元本受益権の全部を適正な対価を負担せず取得した場合(当該元本受益権に対応する収益受益権について法第9条の3第1項ただし書の適用がある場合又は当該収益受益権の全部若しくは一部の受益者等が存しない場合を除く。)零

(注) 法第9条の3の規定の適用により、上記(2)又は(3)の受益権が複層化された受益者連続型信託の元本受益権は、価値を有しないとみなされることから、相続税又は贈与税の課税関係は生じない。ただし、当該信託が終了した場合において、当該元本受益権を有する者が、当該信託の残余財産を取得したときは、法第9条の2第4項の規定の適用があることに留意する。

・財産評価基本通達202(信託受益権の評価)

202 信託の利益を受ける権利の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。(平11課評2-12外・平12課評2-4外改正)

(1) 元本と収益との受益者が同一人である場合においては、この通達に定めるところにより評価した課税時期における信託財産の価額によって評価する。

(2) 元本と収益との受益者が元本及び収益の一部を受ける場合においては、この通達に定めるところにより評価した課税時期における信託財産の価額にその受益割合を乗じて計算した価額によって評価する。

(3) 元本の受益者と収益の受益者とが異なる場合においては、次に掲げる価額によって評価する。

イ 元本を受益する場合は、この通達に定めるところにより評価した課税時期における信託財産の価額から、ロにより評価した収益受益者に帰属する信託の利益を受ける権利の価額を控除した価額

ロ 収益を受益する場合は、課税時期の現況において推算した受益者が将来受けるべき利益の価額ごとに課税時期からそれぞれの受益の時期までの期間に応ずる基準年利率による複利現価率を乗じて計算した金額の合計額

・税務大学校論叢第 92 号 平成 30 年6月 佐 々 木 誠「受益権が質的に分割された信託に対する所得税の課税に関する考察」

「はじめに」より抜粋

受益権が質的に分割される信託のうち、今後、個人の財産管理や承継のために活用が見込まれる元本分配と収益分配を受ける権利を分割する信託や、信託収益を受益者に分配せずに、その全部又は一部が留保される信託を念頭に置き、現行の受益者等課税信託に代わる新たな課税方式を検討することとしたい。

・相続税法9条の2第4項

・相続税法施行令1条の8

・相続税法基本通達9-13

何やら、税金に関係があるようです。元本はアパートで考えると建物と土地(所有権、借地権)、収益は、賃料などから、元本を維持するための費用を差し引いたお金、とひとまず考えたいと思います。

このような信託を設定することで何か良い事があるのか。

・受益者連続型信託の場合、委託者兼受益者が亡くなった場合、次の順位の元本受益者には、「課税上は元本受益権の権利の価額は0円として扱われます[1]」、とありますが、私は土地建物の価額を0円と評価するのは(次の順位の元本受益者の居住の有無に関わらず)難しいような気がするのですが、実務運用はどのようになっているのか気になります。税法上の優遇措置を利用する場合を除きます。

[1] (一社)民事信託推進センター「民事信託ハンドブック」平成28年 日本法令P370~

元本受益権、誰が使うのか。

・受益者連続信託における、第2次受益者以降の受益者を想定しているのだと思います。

元本受益権はどのように評価するのか。

・信託が続いているうちは、0円。終了時に、終了原因、残余財産の帰属権利者(受益者)により課税。

・配偶者居住権の算定式を参考に評価。

国税庁HP

0円と1,300万円だと大分違ってきます。

・その他の算定方法

・固定資産税評価額

・相続税評価額

他に適切な算定方法があれば教えて下さい。

 

 

 

 

・遺留分侵害額の請求との関係

 

遺留分侵害額の請求の対象となる受益権

 

委託者兼受益者(他に当初受益者がいる場合はその人も含みます。)が亡くなった場合と、第2次受益者が亡くなった場合を同じ計算方法で行うものとします。

 

・元本受益権、収益受益権ともに受益者が亡くなった年度の相続税評価額×給付の期間×給付の内容の金銭評価。

 

・他に適切な方法があれば教えて下さい。

民事信託・家族信託に関する質問

メールによる質問を一部加工しています。

委託者:父

受託者:息子が代表取締役の法人

受益者:父、母

・父が亡くなりました。 銀行の了解が必要ですか?他にどんな影響があるでしょうか?

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 ・銀行借入があり、銀行が民事信託の設定を支援した軍用地について

銀行に連絡は必要です。

基本的には、登記は少し特殊ですが、普通の相続が起きたときと同じような処理をします。

登記申請は銀行の提携司法書士がやるのか確認をお願いします。

・銀行借入のない自宅の土地建物について

 準備書類を添付します。私が登記する場合、除籍謄本と、息子様の長男の運転免許証の写真を先にメールしていただければ、書類、見積書は作成出来ます。

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信託財産の土地は、信託の終了が必要になると思われるが、その際に不動産取得税がかかるのか否か等お教えください。

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信託財産の土地について、信託法上は信託は終了しません。次の受益者に指定されている方への受益者変更の登記申請を行います。

税務上、相続と扱われて不動産取得税はかかりません。相続税の対象となります。

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・建物を信託財産に属する財産にした後に建物を取り壊した際に信託は終了することになると思いますが、この認識でよいでしょうか。

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信託法上、信託は終了しません。土地と一緒に信託契約をしているからです。次に指定されている受益者への受益者変更の登記を行います。

受託者と受益者の合意で、土地と一緒に信託を終了させることも可能です。

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・信託の目的物である建物を取り壊す際の税務処理について

 信託財産(この場合建物)を取り壊す際に信託上の処理が必要か。

 例えば、信託財産の建物は、信託を終了してからでないと取り壊せないなど。

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税務上の処理は今年中に取り壊しが完了して、受託者が役所に建物滅失の届け出を提出した場合、来年の建物の固定資産税が課税されません。

信託上の処理は必要ありません。受託者が解体業者と契約して取り壊します。

取り壊した後、受託者が建物滅失登記を申請します。

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・私から長男への信託受益権の暦年贈与を実施したいと思います。

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可能です。お父様から息子様への受益者の変更登記申請を行った後、長男を受益者に追加する受益者の変更登記申請を行う必要があります。