村松秀樹 (著, 編集), 富澤賢一郎, 鈴木秀昭 , 三木原聡(著) 『概説信託法』2008年版と2023年版比較、第一章から第三章まで。

 村松秀樹 (著, 編集), 富澤賢一郎, 鈴木秀昭 , 三木原聡(著) 『概説信託法』、2023、金融財政事情研究会が出版されました。

 旧版にあたる、村松秀樹,富澤賢一郎,鈴木秀昭,三木原聡著『概説信託法』2008年版との比較です。

誤りなどありましたら指摘願います。

目次

小目次の削除。

【46】後継遺贈型の受益者連続信託における、信託と遺留分侵害請求の追加。

【48】受益権の譲渡等及び相続による承継における、受益権の相続における承継の追加。

【71】信託契約の締結と定型約款の追加。

・各箇所・・・新法から現行信託法への変更。

  • 総則関係

P5 「事業」が信託されるものではない。の追加。

P7 受働信託(名義信託) 信託の定義との対比で有効・無効を判定すれば足り、の追加。

P19からP20 受託者の□ 信託法7条に関して、成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律施行に伴う変更。

P28からP29 信託財産に属する財産の取戻し(詐害信託取消請求)注1、注2、注3の追加。 

注1【一般的な詐害行為取消請求の直接適用】

3つのケース別に考え方を提示。

注2【詐害信託取消請求等についての民法の適用】

 基本的に、信託法の特例の規定と両立しない規律を除き、民法の規定がそのまま適用される。地位の置き換えをしながら、民法の詐害行為取消権の一般的な要件を満たす必要がある。

民法424条の7第2項(訴訟告知)

注3【帰属権利者について】

原則として、残余財産の帰属権利者を含まない(信託法182条。)。

P33 受益者に給付された財産の取戻し(受益者給付取消請求)、注11の追加。

注11【同趣旨の規定】

会社法759条2項、同条3項。

P42 3不動産登記法等における信託の公示に係る規定の整備、注8の追加。

注8【信託の登記の法的な位置付け】

 そうすると、信託の変更の登記をするに当たって、厳密にいえば、不動産登記令別表25の項の適用はなく、登記原因証明情報の提供は必要がないと解することができる(したがって、受益権の譲渡当事者の作成した譲渡証明書の提供などは必要なく、受託者作成の報告書において譲渡の経緯が証明されれば足りると解することができよう。)。

  • 信託財産関係

(1)信託財産と固有財産との間での共有物の分割

P56 信託法105条1項ただし書きの追加。

P57 信託法84条中の、信託法19条の規定の適用について、受託者とは受託者全員を指すこと、の追加。

P58 信託法19条4項の説明の追加。

(2)自己信託についての特例

P68 信託法23条3項で準用される、信託法11条1項7項、同条8項の追加。

  • 受託者の権限、義務、責任等関係

P94 2権限に基づいて信託事務の処理を第三者に委託した受託者の義務及び責任、注5の追加

注5【第三者の監督と債権法改正の関係】

民法105条の改正による、信託法の規律との均衡について考え方を追加。

改正前民法105条

1 代理人は、前条の規定により復代理人を選任したときは、その選任及び監督について、本人に対してその責任を負う。

2 代理人は、本人の指名に従って復代理人を選任したときは、前項の責任を負わない。ただし、その代理人が、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは、この限りでない。

P119 1 分別管理義務の内容、注2について追加。

注2【法務省令による例外的な扱い】

信託法施行規則4条は、信託法14条の信託の登記又は登録をすることができる財産には当たらない財産についての特例という位置付けであること。

P143 【27】他の受益者の氏名等の開示の請求、注2【信託帳簿等の閲覧等の請求の拒否自由との対比】に追加。

 平成二六年六月二七日法律第九一号改正後の会社法125条3項(株主名簿の備置き及び閲覧等)と信託法38条2項との対比

会社法(株主名簿の備置き及び閲覧等)

第125条 株式会社は、株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。

2項略

3 株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。

一 当該請求を行う株主又は債権者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。

二 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。

三 請求者が株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。

四 請求者が、過去二年以内において、株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。

信託法(帳簿等の閲覧等の請求)

第三十八条 受益者は、受託者に対し、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

一 前条第一項又は第五項の書類の閲覧又は謄写の請求

二 前条第一項又は第五項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

2 前項の請求があったときは、受託者は、次のいずれかに該当すると認められる場合を除き、これを拒むことができない。

一 当該請求を行う者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。

二 請求者が不適当な時に請求を行ったとき。

三 請求者が信託事務の処理を妨げ、又は受益者の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。

四 請求者が当該信託に係る業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。

五 請求者が前項の規定による閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求したとき。

六 請求者が、過去二年以内において、前項の規定による閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。

P154 【31】損失填補責任等に関する消滅時効等

民法167条改正による説明の追加。

P171 (5)費用等の償還等を受ける権利の行使に対する制限、注14の変更。

注14【受託者による代位の規律】→注14【受託者の保証人地位と代位】

P176 【35】受託者の信託報酬

信託法54条4項、民法648条の2についての説明。

注8【委託者又は受益者の帰責事由】の追加。

民法536条2項の説明。

加工J-KISS型新株予約権投資契約書Version2.0

株式会社CORAL Capital

https://coralcap.co/j-kiss/

[発行会社名称]

第[1]回J-KISS型新株予約権投資契約書

→J-KISS型に限らず、新株予約権を発行する度に第1回、第2回と名称が付けられることが多い。理由として、新株予約権の内容は、原則として、定款記載事項ではなく、募集事項の決定の都度定められるから混同しないように[1]

[発行会社名称](以下「本会社」という。)及び[投資家名](以下「本投資家」という。)は、本会社が発行する新株予約権の本投資家による引受け等に関し、20__年__月__日(以下「本契約締結日」という。)、以下のとおり投資契約(以下「本契約」という。)を締結する。

[なお、本契約(別紙1「発行要項」を含む。)は、空白又は括弧書き以外の箇所を除き、https://coralcap.co/j-kiss/で公開されているものの一つから変更されていない。]

→J-KISS型新株予約権の目的の1つとして、投資契約書のひな形として修正や交渉を省くことができ、結果として起業家と投資家双方の取引コストを最小限にすることがあるので、穴埋めしていくだけで使用できるようになっている。修正した場合は、修正箇所を示さなければならない仕様。

株式会社CORAL Capital HPより 2023/07/14閲覧

https://coralcap.co/j-kiss/

「J-KISSはシリコンバレーで培われたノウハウの詰まった投資契約書のひな形です。弁護士や税理士といった専門家のレビュー済みで、国内の規制や法律に適合しています。このため投資契約の修正や交渉を省くことができ、結果として起業家と投資家双方の取引コストを最小限にできます。」

第1章 定義

第1.1条(定義)

本契約において、次の各号に掲げる用語の意義は、文脈上別段の意味を有することが明らかな場合を除き、当該各号に定めるところによるものとする。また、本契約本文において別に定義されているものを除き、別紙1で定義された用語は、本契約本文においても同一の意義を有するものとする。

  • 「会社法」とは、会社法(平成17年7月26日法律第86号、その後の改正を含む)をいう。

→会社法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000086

  • 「関係者」とは、ある特定の者につき、当該特定の者が直接又は間接に、他の者を支配し、他の者によって支配され、又は他の者と共通の支配下にある場合の当該他の者をいう。
  • 「クロージング」とは、第2.2条に従って引受新株予約権と引き換えにする金銭の払込みを実行することをいう。
  • 「参加上限額」とは、本払込金額の[2]倍に相当する金額をいう。
  • 「主要投資家」とは、本シリーズ新株予約権を有する者のうち、当該本シリーズ新株予約権について払い込むべき金額の全額(関係者が本シリーズ新株予約権の付与を受けている場合、当該関係者が本シリーズ新株予約権について払い込むべき金額の全額を加算するものとする。)が[5,000,000]円以上である者をいう。
  • 「新株予約権」とは、会社法第2条第21号に定める新株予約権をいう。

→会社法2条第21号

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

二十一 新株予約権 株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいう。

  • 「ストックオプション」とは、本会社から本会社の役職員又はコンサルタントに対して発行、付与若しくは売却された、これらの者の本会社への労務又は役務の提供を維持することを主たる目的とした証券その他の権利をいう。

→新株予約権のうち、株式会社の役職員などに発行、付与、売却させるのがストックオプション。

  • 「多数投資家」とは、本シリーズ新株予約権の発行価額の総額の50%超に相当する本シリーズ新株予約権を単独又は複数で保有する新株予約権者をいう。
  • 「本株式等」とは、本会社の、普通株式、優先株式若しくは他の種類株式、株式買取オプションその他の株式を購入できる権利若しくはこれを表章する証券、新株予約権、新株予約権付社債その他有償若しくは無償で株式に転換し若しくはこれと交換できる証券又はこれらに類する権利をいう。
  • 「本行使通知」とは、本投資家が発する別紙2に定める内容及び様式の、特定の本新株予約権を行使する旨の書面による通知をいう。
  • 「本財務諸表等」とは、毎事業年度の各第一四半期から第三四半期又は各事業年度に係る本会社の貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書をいう。
  • 「本シリーズ新株予約権」とは、名称、新株予約権の1個あたりの払込金額並びに払込期日及び割当日の定めを除き本発行要項に定めるのと実質的に同等の内容を有する本会社の発行する新株予約権を総称していい、文脈により本新株予約権を含む。
  • 「本シリーズ投資家」とは、本シリーズ新株予約権を有する者をいう(本投資家を含み、本シリーズ新株予約権を保有しなくなった者を除く。)。
  • 「本新株予約権」とは、本会社の株主総会における決議に基づき発行される、本発行要項に定める内容を有する新株予約権をいう。

→会社法238条から241条。

  • 「本転換」とは、本発行要項に定める株式を対価とする本新株予約権の取得条項に定める条件の成就、又は本投資家による本新株予約権の行使をいう。

→会社法238条7項、280条から283条。

  • 「本発行要項」とは、別紙1の第[1]回J-KISS型新株予約権の発行要項をいう。

第2章 本新株予約権の割当て等

第2.1条(本新株予約権の割当及び引受け)

本契約の定めるところに従い、本発行要項に定める払込期日(以下「本払込期日」という。)において、本投資家は本新株予約権のうち[●]個(以下「引受新株予約権」という。)を引き受け、本新株予約権1個あたり[1,000,000]円(合計[●]円)を本会社に対し払い込み、本会社は引受新株予約権を本投資家に割り当て発行するものとする。

→会社法238条、242条、246条、911条2項12号。

第2.2条(クロージング)

1.   本投資家は、本払込期日において、第2.1条に基づき引き受けた引受新株予約権につき払い込むべき金額の全額(以下「本払込金額」という。)を、本会社によって指定される払込取扱場所となる金融機関口座に振込送金する方法により払い込むものとする。

2.   本会社は、本払込期日において、前項に定める払込みの後速やかに、本会社の新株予約権原簿に引受新株予約権の発行に係る事項を記録又は記載した上、本投資家に対して、会社法第250条第1項に定める新株予約権原簿記載事項証明書を交付するものとする。

→会社法250条第1項

(新株予約権原簿記載事項を記載した書面の交付等)

第二百五十条 前条第三号イの新株予約権者は、株式会社に対し、当該新株予約権者についての新株予約権原簿に記載され、若しくは記録された新株予約権原簿記載事項を記載した書面の交付又は当該新株予約権原簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。

第2.3条(登記手続)

本会社は、本払込期日の後速やかに引受新株予約権の発行について変更登記手続申請をするものとし、本払込期日から30営業日以内に、当該引受新株予約権の発行が反映された本会社の現在事項全部証明書を、本投資家に交付するものとする。

→会社法911条2項12号、商業登記法46条2項、商業登記規則61条3項。

第2.4条(本新株予約権の転換)

1.      本投資家が本新株予約権を行使する際は、本会社に対して本行使通知を交付するものとする。なお、本新株予約権の転換に係る条件は、本発行要項の定めに従う。

→会社法280条。

2.   本会社は、本転換の後可能な限り速やかに、本会社の株主名簿に転換対象株式の発行に係る事項を記載又は記録した上、本投資家に対して、転換対象株式を表章する一又は複数の株券(本会社が株券発行会社でない場合は、会社法第122条第1項に定める株主名簿記載事項証明書)を発行し交付するものとする。

→会社法122条第1項

(株主名簿)

第百二十一条 株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。

一 株主の氏名又は名称及び住所

二号以下略

(株主名簿記載事項を記載した書面の交付等)

第百二十二条 前条第一号の株主は、株式会社に対し、当該株主についての株主名簿に記載され、若しくは記録された株主名簿記載事項を記載した書面の交付又は当該株主名簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。

第3章 本会社による表明保証

第3.1条(本会社による表明保証)

本会社は、本投資家に対し、本契約締結日及び本払込期日において、以下の事項が真実かつ正確であることを表明し保証する。

  • 設立及び存続

本会社は、日本法に基づき適法に設立され、有効に存続している株式会社であり、現に従事している事業を行うために必要な全ての権限及び権能を有している。本会社は、その喪失により本会社の事業又は資産に対する重大な悪影響が及ぶこととなる事業につき、これを遂行するための適格性を有している。

  • 権限

本払込期日において、本会社は、本契約の締結及び履行並びに本新株予約権の発行に必要な内部手続を全て完了している。本契約は、本契約の他の当事者により締結されることにより、本会社に対して法的拘束力を有することになる。

  • 取得勧誘

本投資家による次条に基づく表明及び保証が真実かつ正確であることを前提として、本新株予約権の取得勧誘及び発行に際して、関連する証券法に基づく登録又は届出その他の手続を行うことを要しない。本会社及び権限のある代理人は、本新株予約権の取得勧誘及び発行に際して登録又は届出その他の手続を行うべきこととなる行為を行っていない。

  • 抵触の不存在

本会社による本契約の締結及び義務の履行並びに本新株予約権の発行は、本会社の知る限り、(i)本会社の定款その他の社内規程、(ii)司法・行政機関の判決、決定、命令、裁判上の和解、免許、許可、認可その他の判断(以下「司法・行政機関の判断等」という。)、(iii)本会社に適用のある法令等、及び(iv)本会社が当事者となっている契約等に、重要な点において違反するものではない。

  • 転換対象株式の発行

本転換により転換対象株式が発行され本投資家に交付された際は、転換対象株式は適法かつ有効に発行され、本会社の定款、会社法及び関連する証券法に従った譲渡制限のほかに何らの制限もなく、本投資家による次条に基づく表明及び保証が真実かつ正確であることを前提として、転換対象株式の発行は適用ある有価証券に関する法令に違反しない。

  • 知的財産権

本会社は、事業を現在又は将来において運営するために必要な、特許権、意匠権、実用新案、商標権、サービスマーク、商号、著作権、営業秘密、ライセンス、ドメインネームその他の財産的価値のある情報及びプロセス(外国法に基づくこれらに相当するもの及びこれらの権利を受ける権利を含む。)を、第三者の有するこれらの権利への抵触や侵害なく保有し、又は商業的に合理的な条件によりそれらの権利を獲得することが可能である。

  • 訴訟

本会社を当事者とし、又は本会社が所有若しくは使用する資産を対象とする訴訟、仲裁、調停、仮差押、差押、保全処分、保全差押、滞納処分、強制執行、仮処分、その他裁判上又は行政上の手続(国内外を問わず、以下「訴訟等」という。)は係属しておらず、かつ、本会社の知る限り、かかる訴訟等が本会社に対して提起されるおそれはない。本会社の知る限り、(i)本契約若しくは本新株予約権に基づく取引を妨げ、これに対し重大な変更若しくは延期を生じさせ、又は(ii)本会社の事業に対して重大な悪影響を及ぼすことが合理的に予想される、本会社又はその役員に対する司法・行政機関の判断等は存在しない。

  • 反社会的勢力等

本会社又はその特別利害関係者、株主若しくは主要な取引先等(以下「本会社等」という。)は、反社会的勢力又はこれに準ずるもの(以下「反社会的勢力等」という。)ではなく、反社会的勢力等に資金提供又はそれに準ずる行為を通じて、反社会的勢力等の維持、運営に協力又は関与しておらず、また反社会的勢力等と交流をもっていない。なお、本契約において、特別利害関係者とは、役員(役員持株会を含む。)、その配偶者及び二親等内の血族、これらの者により発行済株式数の過半数が所有されている会社、並びにその関係者及び役員をいう。

  • 開示

本会社による事実の表明及び保証、並びに本会社が本契約の締結に関連して本投資家に対して交付した書面及び提供した情報は、重要な点において真実かつ正確であり、本投資家の投資判断に誤解を生じさせないために必要な事実を重要な点において欠いていない。

4章 本投資家による表明保証

第4.1条(本投資家による表明保証)

本投資家は、本会社に対し、本契約締結日及び本払込期日において、以下の事項が真実かつ正確であることを表明し保証する。

  • 権限

本投資家は、本契約の締結及び履行に必要な内部手続を全て完了している。本契約は、本契約の他の当事者により締結されることにより、本投資家に対して法的拘束力を有することになる。

  • 真正な取得

本投資家は自らの計算により引受新株予約権を引き受けるものであり、第三者に代わってこれを引き受けるのではない。本投資家は、引受新株予約権の一部又は全部を第三者に売り付け又は割り当てるために引受新株予約権を引き受けるものではない。

  • 投資経験

本投資家は、成長段階にある企業の発行する株式又は持分に対する投資を行う投資家であり、自らの判断で投資活動を行う能力を有し、投資活動に伴う経済的なリスクを負担することが可能である。本投資家は、本契約に基づく投資に伴う便益及びリスクを評価するための会計上又は事業上の事項に習熟している。本投資家は、引受新株予約権を取得する目的のためにのみ設立されたものではない。

  • 反社会的勢力等

本投資家又はその特別利害関係者は、反社会的勢力等ではなく、反社会的勢力等に資金提供又はそれに準ずる行為を通じて、反社会的勢力等の維持、運営に協力又は関与しておらず、また反社会的勢力等と交流をもっていない。

第5章 その他の事項

第5.1条(最恵待遇条項

1.   クロージング以降本転換の前に、第三者に新株予約権、新株予約権付社債その他株式への転換若しくは交換又は株式の購入若しくは取得が可能となる有価証券、オプションその他の権利(但し、ストックオプションを除き、以下「後続証券等」と総称する。)を発行し又は付与する場合、本会社は、本投資家に対して、当該発行又は付与の実行日から5日以内に、当該発行又は付与があった旨を書面により通知する。

2.   前項に定める通知に際しては、後続証券等の内容及び発行又は付与に係る払込金額その他の条件を記載し、また、本会社と後続証券等の発行又は付与を受けた者との間の投資契約その他の契約(以下「後続投資契約」という。)の写しを添付するものとする。

3.   本投資家は、後続証券等又は後続投資契約が本新株予約権又は本契約の内容よりも後続証券等の発行若しくは付与を受けた者又は本会社と後続投資契約を締結した第三者にとって有利な条項を含んでいると判断した場合、その選択により、(i)本契約の内容を変更し当該条項と同内容の条項を含めること、及び/又は(ii)引受新株予約権を後続証券等と交換することを、本会社に対して請求できるものとする。

第5.2条(主要投資家の権利

本会社は、主要投資家(本投資家が主要投資家に該当する場合、本投資家を含む。)に対し、以下の各号に定める権利を付与するものとする。

  • 情報請求権
  • 本会社は、本財務諸表等を、主要投資家から請求されたときは可能な限り速やかに(但し、遅くとも毎事業年度の各第一四半期から第三四半期の末日から30日以内又は各事業年度の末日から90日以内とする。)、主要投資家に対して交付する。なお、本財務諸表等は、合理的に詳細であり、かつ、一貫した方針に基づき作成されなければならない。
  • 前号に加えて、本会社は、主要投資家に対して、主要投資家が随時合理的に要求する本会社の財務状態及び事業運営に係る情報を開示するものとする。
  • 前各号の定めにかかわらず、本会社は、営業上の秘密又は守秘性の高い情報と本会社が合理的に判断する情報、又はその開示が弁護士の秘匿特権を侵害するおそれのある情報の開示を拒むことができる。
  • 上記にかかわらず、主要投資家は、法令若しくは金融商品取引所の規則等に基づく場合又は裁判所その他公的機関若しくは自主規制機関から開示の要請を受けた場合、第(1)号に基づき受領した情報を開示することができる。
  • 優先引受権
  • 本会社は、本株式等を引き受け又はその付与を受ける者の募集(次回株式資金調達における募集又はそれまでに行われる募集を含むが、ストックオプションの発行を除く。)をしようとする場合、割当の決定を行う日の10営業日前までに、書面により、当該募集がある旨及び当該募集に係る本株式等の払込金額並びに当該募集の条件を、主要投資家に対して通知するものとする。この場合、主要投資家は、当該募集に参加する他の投資家と同一の条件により、本号に基づき引き受け又はその付与を受けた本株式等に係る払込金額の総額が参加上限額に充つるまで、一又は複数の募集において本株式等を引き受け又はその付与を受ける権利を有する。
  • 前号に基づく主要投資家の権利は、関連する法令等に抵触しない範囲で行使されるものとする。
  • 主要投資家としての権利

本会社は、本契約締結日以後に発行される本株式等に係る発行要項、本株式等の発行又は付与を受けた者が締結する投資関連契約その他の書面において、主要な投資家又はこれに類する者に対して付与される権利(情報請求権、優先引受権を含むがこれらに限られない。)を本投資家に対して付与するものとする。

第5.3条(本新株予約権の譲渡

1.   本投資家は、本契約の定めに基づく場合、又は譲受人が本契約の条件に拘束されることを承諾して本契約の副本に署名した場合を除き、本新株予約権について、譲渡、担保の設定若しくはその予約その他の処分をしてはならない。

2.   前項の定めにかかわらず、本投資家は、本会社に対して事前に書面により通知することにより、引受新株予約権並びに本契約上の地位及び権利義務の全部を、関係者である譲受人に対して譲渡し、又はその他の方法により承継することができる。但し、本契約上の地位及び権利義務の全部を承継する譲受人は、当初から本契約の当事者であった場合と同様に本契約の条件に法的に拘束されるよう、自らが本契約の署名欄に署名したサインページの副本を交付するものとする。

3.   本会社は、本条の定めに従い本新株予約権が譲渡されるときは、株主総会又は取締役会における承認の決議を取得するものとする。

第5.4条(支払)

本契約に基づき本投資家に対して支払いがなされる場合は、全て日本円によって行われるものとする。かかる支払いは、まず本費用(以下に定義される。)に充当され、その後、本発行要項に定める金銭の支払いに充当される。

第5.5条(費用の償還及び補償)

1.   本会社は、適用ある法令の範囲内で、本契約に基づく本会社の本投資家に対する支払期日が到来した支払義務を履行させるために本投資家が負担した合理的な弁護士費用及び法務に関連して生じた費用を含む全ての費用(以下「本費用」という。)を、本投資家に対して支払うものとする。

2.   本投資家の本契約に基づく権利の不行使は、当該権利の放棄とはみなされないものとし、その他いかなる遅延、不作為等の行為によっても、本投資家はその権利又は救済手段を放棄したとはみなされないものとする。なお、権利又は救済手段の放棄は、当該権利又は救済手段を放棄する本投資家の署名又は記名押印がなされた書面によってなされなければ有効とはならない。

3.   本契約又は本新株予約権の内容を解釈し又は実現するにあたって訴訟の提起その他の法的措置を講ずる必要がある場合、当該法的措置を講じ自らにとって有利な判断を得た当事者は、当該当事者が享受する救済に加えて、相手方に対して当該法的措置に関連して発生した合理的な弁護士費用及び実費の償還を請求することができる。

4.   本会社は、本会社が本契約若しくは本契約に関連して締結された契約又は本新株予約権に基づく自らの義務に違反したこと、又は本会社の本契約若しくは本契約に基づく表明及び保証が真実でなく若しくは不正確であったことに起因又は関連して本投資家が直接又は間接に被り又は負担した損害、損失、費用及び責任(合理的な弁護士費用その他の法務的な費用を含み、「損害等」という。)を補償するものとする。但し、本投資家の故意又は重過失に基づき発生した損害等についてはこの限りでない。

第5.6条(契約上の地位の移転)

1.   本契約及び本新株予約権は、本契約当事者の承継人及び譲受人を拘束し、その利益はこれらの者に帰属するものとする。

2.   前項の定めにかかわらず、本会社は、本契約の定めに基づく場合、又は相手方当事者の事前の書面による同意を得た場合を除き、本契約上の地位及び権利義務の全部又は一部を第三者に譲渡その他の処分をしてはならず、又は承継させないものとする。

第5.7条(準拠法及び管轄)

1.   本契約及び本新株予約権は日本法に準拠し、同法に基づいて解釈される。日本法以外を本契約及び本新株予約権の準拠法とする抵触法ルールの適用は、いずれも排除されるものとする。

2.   本契約及び本新株予約権に関連して生じた一切の訴訟については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

第5.8条(通知)

本契約及び本新株予約権に関してなされる全ての通知又は請求は、書面又は電磁的方法により行うものとする。これらの通知又は請求は、以下の各号のうちいずれか早い時期に相手方に対して到達したものとみなす。

  • 相手方当事者との対面による交付の時
  • 受領者の営業時間(受領者が日本国外に所在する場合は、当該所在地の現地時間による。以下同じ。)中に電子メール又はファクシミリにより送信された場合は当該送信時、受領者の営業時間外に電子メール又はファクシミリにより送信された場合は受領者の次の営業日
  • 料金前払の方法により郵送された翌営業日(但し日本国外に宛てた場合にはその5営業日目)

第5.9条(投資関連契約の締結)

次回株式資金調達において発行される株式に関して、かかる株式の株主及び/又は本会社の間で、当該株式の上場努力義務、新株引受権、共同売却権、先買権、優先交渉権及び議決権の行使等に関する事項を含む投資関連契約(投資契約、株主間契約その他名称を問わない。)が締結される場合、本投資家は、本新株予約権の行使又は転換対象株式への転換に際して、当該契約を締結するものとする。

第5.10条(分離可能性)

本契約又は本新株予約権のいずれかの規定が無効であっても、本契約又は本新株予約権の他の規定はそれに何ら影響を受けることなく有効であるものとする。

第5.11条(転換対象株式の数の調整)

本新株予約権の転換までに、株式分割、株式併合その他これに類する取引が行われた場合には、本新株予約権の転換により交付される転換対象株式の数は、これに応じて調整されるものとする。

第5.12条(協力義務)

本会社は、本契約若しくは本新株予約権において規定された事項を実施するため、本投資家が合理的に求める書面作成及び情報提供に協力するものとする。

第5.13条(各契約の独立及び変更等)

1.      本会社と各本シリーズ投資家の間の契約及び本シリーズ新株予約権の各本シリーズ投資家に対する発行は別個独立しており、各本シリーズ投資家は本投資家に対する債務を連帯しないものとする。

2.   本投資家は、本会社と多数投資家が書面により合意した場合、本シリーズ新株予約権の内容の全部又は一部はかかる合意に従い変更され、又は本シリーズ新株予約権の全部若しくは一部の条件は放棄されるものとする。この場合、本投資家は、変更又は放棄につき必要となる書面の作成及び契約の締結に協力しなければならない。但し、第5.2条(本投資家のみが主要投資家である場合に限る。)、第5.3条、第5.5条、第5.12条及び第5.13条の規定は、本投資家の書面による同意なく変更又は放棄されない。本条に基づく変更又は放棄は、本会社及び現在及び将来の各本シリーズ投資家らに対して法的拘束力を有するものとする。

5.14条(順位)

引受新株予約権に基づき本会社が負担する債務は、本契約締結日に存在し、又は将来発行される他の本シリーズ新株予約権に基づき本会社が負担する債務及び転換社債その他の本会社が一般債権者に対して負担する債務と同順位とする。

第5.15条(免責)

本シリーズ投資家は、本会社に対する投資判断については、本会社以外のいかなる者又はその役職員にも依拠していないこと、並びに他の本シリーズ投資家及びその役職員、組合員、代理人及び株主のいずれも、本新株予約権の引き受けに関する本契約締結日以前及び以後の行為又は不作為について責任を負わないことを了承する。

第5.16条(副本)

本契約は複数の副本により締結することができ、それぞれの副本に署名又は記名押印した当事者に対して執行可能であり、その全てが一体となって1通の契約書面となる。副本はファクシミリ、電子メール(PDFファイルを含む。)その他の通信方法により交付することができるものとし、これらの方法により交付された副本は、適法に相手方に交付され、あらゆる意味において有効であるものとする。

(以下余白)

本契約の締結を証するため、本契約の各当事者は頭書の日付において以下のとおり署名又は記名押印する。

本会社:

[発行会社住所]

[発行会社名称]

代表取締役 [発行会社代表取締役氏名]

本投資家:

[投資家住所]

[投資家氏名又は名称及び代表取締役等の氏名]

別紙1「発行要項」

第[1]回J-KISS型新株予約権

発行要項

第[1]回J-KISS型新株予約権(以下「本新株予約権」という。)の募集要項は以下のとおりである。

  1. 発行会社        [発行会社名称](以下「当会社」という。)
  2. 新株予約権の数            [●]個
  3. 払込金額        新株予約権1個あたり[100]万円(以下「本新株予約権の発行価額」という。)
  4. 割当日・払込期日        20__年__月__日(以下「割当日」という。)
  5. 新株予約権の内容

(1)   新株予約権の目的である株式の種類及び数

(a)     本新株予約権の目的たる株式の種類(以下「転換対象株式」という。)は、当会社の普通株式とする。但し、次回株式資金調達(第(2)(a)(x)号に定義される。以下同じ。)において発行される株式が普通株式以外の種類株式である場合には、以下のいずれかとする。

(x)   当該種類株式の発行価額が転換価額(第(2)(a)号に定義される。以下同じ。)と同一の場合には、当該種類株式

(y)   当該種類株式の発行価額が転換価額と異なる場合には、当該種類株式の内容につき、1株あたり残余財産優先分配額及び当該種類株式の取得と引き換えに発行される普通株式の数の算出上用いられる取得価額が転換価額と等しくなるよう適切に調整され、その他必要な調整が行われた当該種類株式とは異なる種類株式

(b)    本新株予約権の行使により当会社が転換対象株式を新たに発行し、又はこれに替えて当会社の保有する転換対象株式を処分する数は、本新株予約権の発行価額の総額を転換価額で除して得られる数とする。但し、本新株予約権の行使により1株未満の端数が生じるときは、1株未満の端数は切り捨て、現金による調整は行わない。

(2)   転換価額

(a)     「転換価額」とは、以下のうちいずれか低い額(小数点以下切上げ)をいう。

(x)   割当日以降に資金調達を目的として当会社が行う(一連の)株式の発行(当該発行に際し転換により発行される株式の発行総額を除く総調達額が[100,000,000]円以上のものに限るものとし、以下「次回株式資金調達」という。)における1株あたり発行価額に[0.8]を乗じた額

(y)   _____円(以下「ポストキャップ」という。)を次回株式資金調達の払込期日(払込期間が設定された場合には、払込期間の初日)の直前における完全希釈化後株式数で除して得られる額
なお、本第(2)(a)号及び同(b)号における「完全希釈化後株式数」とは、下記(i)から(iv)に定める、当会社の株式、新株予約権、新株予約権付社債及びその他当会社の株式を取得できる権利並びに未発行新株予約権(本第(2)(a)(y)号(iii)に定義される。)(以下、総称して「株式等」という。)の合計数(但し、当会社が保有する株式等を除く。)であって、下記算式によって求められる数(小数点以下切捨て)をいう。但し、当該合計数の算出及び下記算式において、同一の株式等は重複して加算しないものとし、また、普通株式以外の株式等についてはその時点で全て普通株式に転換され又は当該株式等に付された権利が行使され普通株式が発行されたものと仮定する。
また、当該合計数の算出及び下記算式において、本新株予約権及び/又は転換価額の定めを除き本新株予約権と同一の条件を有する新株予約権(但し、完全希釈化後株式数を算出するにあたって、当該新株予約権の数が含まれるものに限る。以下「同種新株予約権」という。)につき、本第(2)(a)(x)号の額及び/又は同種新株予約権におけるこれに相当する額が当該新株予約権の転換価額となる場合は、当該新株予約権は、本新株予約権及び/又は同種新株予約権に含まれないものとし、その時点で全て当該転換価額において普通株式に転換され普通株式が発行されたものと仮定し、当該合計数及び下記算式に従って再度算出を行うものとする。

  • 発行済みの普通株式及び種類株式
  • 発行又は付与済みの新株予約権(但し、下記(iv)に該当するものを除く。)、新株予約権付社債及びその他当会社の株式を取得できる権利
  • 当会社において発行を予定しているが未発行の新株予約権(以下「未発行新株予約権」という。なお、未発行新株予約権には、未発行のオプション・プール(付与されていないが、株主総会決議、取締役会決議、当会社との新株予約権付与契約等の締結、当会社と当会社の株主との株主間契約等の締結等によって、将来において付与可能な状態で留保され又は付与が約束されている一定数の新株予約権をいう。以下同じ。)を含むが、次回株式資金調達に関連してオプション・プールが増加する場合には、当該増加分を含まないものとする。)
  • 本新株予約権及び同種新株予約権

                                      除外完全希釈化後株式数

完全希釈化後株式数 = ──────────────────────────────

          1-(本新株予約権転換後下限比率 + 同種新株予約権転換後下限比率)

なお、上記算式で使用される各用語は以下に定める意味を有する。

  • 「除外完全希釈化後株式数」とは、本第(2)(a)(y)号の(i)から(iii)の合計数(但し、当会社が保有する株式等を除く。)をいう。
  • 「本新株予約権転換後下限比率」とは、本新株予約権の発行価額に本新株予約権の総数(但し、当会社が保有する本新株予約権を除く。)を乗じて得られる金額を、ポストキャップで除して得られる数をいう。
  • 「同種新株予約権転換後下限比率」とは、同種新株予約権の1個あたりの発行価額に当該同種新株予約権の総数(但し、当会社が保有する当該同種新株予約権を除く。)を乗じて得られる金額を、当該同種新株予約権のポストキャップに相当する額で除して得られる数をいう。但し、当該同種新株予約権が複数ある場合は、複数の当該同種新株予約権について、それぞれ 本(C)項本文に従い得られる数を合計した数をいうものとする。

(b)    前号にかかわらず、割当日の18ヶ月後の応当日(以下「転換期限」という。)以降における転換価額は、ポストキャップを第(5)(b)号に基づく承認がなされた日における完全希釈化後株式数で除して得られる額(小数点以下切上げ)とする。

(c)     前二号にかかわらず、次回株式資金調達の実行日又は転換期限以前に支配権移転取引等を当会社が承認した場合における転換価額は、ポストキャップを当該支配権移転取引等の実行日における完全希釈化後株式数で除して得られる額(小数点以下切上げ)とする。
なお、第(2)(a)(y)号にかかわらず、本第(2)(c)号における「完全希釈化後株式数」とは、下記(i)から(iii)に定める株式等の合計数(但し、当会社が保有する株式等を除く。)であって、第(2)(a)(y)号に定める算式によって求められる数(小数点以下切捨て)をいう。また、当該算出にあたっては、「除外完全希釈化後株式数」とは、下記(i)及び(ii)の合計数(但し、当会社が保有する株式等を除く。)とする。

  • 発行済みの普通株式及び種類株式
  • 発行又は付与済みの新株予約権(本新株予約権及び同種新株予約権を除く。以下本 (ii)において同じ。)、新株予約権付社債及びその他当会社の株式を取得できる権利(但し、支配権移転取引等に伴い、発行又は付与済みの新株予約権、新株予約権付社債及びその他当会社の株式を取得できる権利の保有者が、当該新株予約権、新株予約権付社債及びその他当会社の株式を取得できる権利の内容に従い、当会社の株式以外の対価を当会社から受領する場合、当該新株予約権、新株予約権付社債及びその他当会社の株式を取得できる権利を除く。)
  • 本新株予約権及び同種新株予約権(但し、支配権移転取引等に伴い、発行又は付与済みの当該新株予約権の保有者が、当該新株予約権の内容に従い、当会社の株式以外の対価を当会社から受領する場合、当該新株予約権を除く。)

また、「支配権移転取引等」とは、(i) 当会社の資産の全部又は実質的に全部の売却、譲渡その他の処分、(ii) 合併、株式交換、株式移転又は株式交付(但し、かかる行為の直前における当会社の株主が、存続会社又は完全親会社の総株主の議決権の過半数を有することになる場合を除く。)、(iii) 吸収分割又は新設分割(但し、当会社の事業の全部又は実質的に全部が承継される場合に限り、かかる行為の直前における当会社の株主が、承継会社又は新設会社の総株主の議決権の過半数を有することになる場合を除く。)、(iv) 当会社の株式等の譲渡又は移転(但し、かかる取引の直前における当会社の株主が、当該取引の直後において引き続き総株主の議決権の過半数を保有することになる場合を除く。)、(v) 当会社の解散若しくは清算、又は(vi) 金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含む。)第2条第16項に規定する金融商品取引所若しくはこれに類似するものであって外国に所在するものに上場されることをいう。但し、かかる行為が当会社の持株会社(当会社の完全親会社であり、当会社の株主がかかる行為の直前における当会社の議決権比率と実質的に同比率にて株式を保有することになる会社をいう。)の設立を目的として行われる場合、又は純粋な資金調達を目的として株式の発行又は処分が行われる場合を除く。

(3)   本新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法

各本新株予約権の行使に際して出資すべき価額は1円とする。

(4)   本新株予約権を行使することができる期間

各本新株予約権は、割当日の翌日以降、いつでも行使することができる。

(5)   本新株予約権の行使の条件

(a)     本新株予約権は、次回株式資金調達が発生することを条件として行使することができる。但し、次回株式資金調達が転換期限までに発生しない場合、又は次回株式資金調達の実行日若しくは転換期限以前に支配権移転取引等を当会社が承認した場合はこの限りではない。

(b)    前(a)号にかかわらず、次回株式資金調達が転換期限までに発生しない場合における本新株予約権の行使は、本新株予約権(同種新株予約権を含む。以下本(b)号において同じ。)の発行価額の総額の過半数の本新株予約権の保有者がこれを承認した場合に限り行うことができる。

(6)   株式を対価とする本新株予約権の取得条項

(a)    当会社は、次回株式資金調達を行うことを決定した場合、当該取引の実行日までの日であって当会社の株主総会(当会社が取締役会設置会社である場合には取締役会)が別に定める日において、その前日までに行使されなかった本新株予約権を全て取得するものとし、当会社は本新株予約権を取得するのと引換えに、当該本新株予約権の発行価額をその時点における転換価額で除して得られる数の転換対象株式を交付する。なお、上記の転換対象株式の数の算出にあたって1株に満たない端数が生じたときは、会社法第234条の規定に従って金銭を交付する。

(b)    前(a)号の定めにより本新株予約権を取得する場合、当会社は、取得日の2週間前までに本新株予約権の保有者に対して、その旨及び転換対象株式の内容その他当該次回株式資金調達における株式発行の条件を書面にて通知するものとする。

(7)   金銭を対価とする本新株予約権の取得条項

(a)    当会社が支配権移転取引等を行うことを決定した場合、当該取引の実行日までの日であって当会社の株主総会(当会社が取締役会設置会社である場合には取締役会)が別に定める日において、その前日までに行使されなかった本新株予約権を全て取得するのと引換えに、各本新株予約権につき本新株予約権の発行価額の2倍に相当する金銭を交付する。

(b)    当会社は、前(a)号に基づき本新株予約権を取得する日(当該日を定めなかった場合には支配権移転取引等の実行日)の2週間前までに本新株予約権の保有者に対して、支配権移転取引等の条件を書面で通知するものとする。

(8)   譲渡制限

譲渡による新株予約権の取得については、株主総会(当会社が取締役会設置会社である場合には取締役会)の承認を要する。

(9)   資本金及び資本準備金に関する事項

(a)   新株予約権の行使により株式を発行する場合において増加する資本金の額は、会社計算規則第17条第1項に従い算出される資本金等増加限度額の2分の1の金額とし、計算の結果端数が生じたときは、その端数を切上げるものとする。

(b)   新株予約権の行使により株式を発行する場合において増加する資本準備金の額は、上記(a)記載の資本金等増加限度額から同(a)に定める増加する資本金の額を減じた額とする。

別紙2「行使通知書」

20_年_月_日

[発行会社] 御中

第[1]回J-KISS型新株予約権

行使通知書

本書末尾に署名又は記名押印する者(以下「保有者」という。)は、貴社に割り当てられた新株予約権を下記の通り行使いたしたく、ここに通知いたします。

行使する新株予約権の種類及び数

[発行会社]第[1]回J-KISS型新株予約権_個

申込期日

20_年_月_日

行使日(払込日)

20_年_月_日

払込金額

__円(新株予約権1個あたり1円)

以上

保有者:

[住所]

[名称]


[1] 松井信憲『商業登記ハンドブック〔第4版〕』、2021、商事法務、P318。

参考

令和4年3月28日法務省民商第122号「複数の契約書により一の総数引受契約が締結された場合における募集新株予約権の発行に係る総数引受契約を証する書面の取扱いについて(通知)」

家族信託の相談会その57

お気軽にどうぞ。

2023年7月28日(金)14時~17時

□ 認知症や急な病気への備え
□ 次世代へ確実に引き継ぎたいものを持っている。
□ 家族・親族がお金や土地の話で仲悪くなるのは嫌。
□ 収益不動産オーナーの経営者としての信託 
□ ファミリー企業の事業の承継
その他:
・共有不動産の管理一本化・予防
・配偶者なき後、障がいを持つ子の親なき後への備え

1組様 5000円

場所

司法書士宮城事務所(西原町)

要予約

司法書士宮城事務所 shi_sunao@salsa.ocn.ne.jp

後援  (株)ラジオ沖縄

加工「マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題」(2023年6月)

加工「マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題」(2023年6月)

金融庁

https://www.fsa.go.jp/news/r4/20230630/20230630.html

2「実行を容易にするツールを根絶する」ための対策

(4) 預貯金口座の不正利用防止対策の強化

 不正に譲渡された預貯金口座等が、犯罪者グループ等内での金銭の授受等に用いられている実態がみられるところ、預貯金口座に係る顧客管理の強化を図り犯罪への悪用を防止するべく、業界団体等を交えた検討を行いつつ、犯罪収益移転防止法により求められている預貯金口座利用時の取引時確認や金融機関による顧客等への声掛け・注意喚起を徹底・強化するなどの対策を推進する。

 また、犯罪収益移転防止法等で定められている本人確認の実効性の確保のため、制度改正を含め、非対面の本人確認においてマイナンバーカードの公的個人認証機能の積極的な活用を推進する。

(2) デジタル技術を活用した取引時確認手法(e-KYC)におけるリスク

 e-KYC(electronic Know Your Customer)とは、オンラインで完結する本人特定事項の確認方法の通称であり、2018年11月の犯罪収益移転防止法施行規則の改正・施行により、同規則第6条第1項第1号ホからトなどの方式が新たに認められた。近年、金融機関では、顧客から写真付き本人確認書類の画像と本人の容貌の画像の送信を受ける方法(同号ホ)が多く用いられている。なお、金融機関が、e-KYCを実施するに当たっては、申し込みのあった顧客について本人であることの確認や本人確認書類の精査等の本人確認手続の一部を、1件当たり数百円などの単価で他の企業に委託していることが一般的である。

 しかしながら、金融機関が、当該e-KYC業務の委託先に対して、適切な研修や指導を実施しなかった場合や、本人確認手続の一部を受託した事業者が適切な確認作業を実施していない場合、委託先におけるe-KYC業務が適切に実施されず、適切な取引時確認がなされないリスクがある。

 また実際に、金融機関の顧客が、e-KYCにおいて偽造した運転免許証等を用いて口座を開設しようとした事例も発生している。偽造した本人確認書類等で作成された口座は、特殊詐欺の犯行グループ等により、マネロン等に悪用されるおそれがある。

 このような点を踏まえ、金融機関においては、e-KYCを他の企業に委託している場合には、e-KYCが法令等に基づき適切に実施されることを確保するため、委託先の定期的なモニタリングや最近の検証実績の確認、e-KYCの悪用事例を踏まえた検証態勢の高度化の検討等の措置を講じることが重要である。

 また、e-KYCを利用するに当たっては、偽造本人確認書類を検知できるよう適切な検証機能を整備し、不正な口座開設申請を検知した場合には、警察庁への通報や疑わしい取引の届出を行うことが必要である。利用するe-KYCの手法についても、利用者の真正性がより確認しやすいマイナンバーカード等に搭載されている公的個人認証機能による本人確認方法(犯罪収益移転防止法施行規則第6条第1項第1号ワ)等を検討することも考えられる。

 いずれにしても、各金融機関においては、e-KYC等が悪用され、自社の金融サービスを不正利用されない為の対策を講じることが重要である。

イ 地域金融機関の現状と課題

(イ) 継続的な顧客管理

 継続的な顧客管理の実施に当たっては、自らが抱える全顧客のリスク評価に応じた中長期的な行動計画を策定した上で、その進捗を管理しながら着実かつ丁寧に対応を進めていくことが重要となる。しかし、以下のとおり、一部の金融機関においては取組状況に遅れが認められた。金融庁としては、2022年3月公表の改訂FAQにおいて、改めてSDDの考え方について留意点を明確化する改訂を行っており、引き続き、検査・監督のほか様々な意見交換会や研修・勉強会といったアウトリーチ(金融機関に対し、対策の必要性とあり方について働きかけを行う取組)を通じて、顧客情報の更新を含む継続的な顧客管理に関する態勢整備を促している。

【取組に遅れが認められる事例】

・ リスクに応じて提供できない商品や確認すべき事項を定めた顧客受入方針を策定していない。

・ 犯罪収益移転防止法施行規則第7条に定める本人確認書類に加え、顧客及びその実質的支配者について調査する事項及びリスクに応じ、具体的にどのような公的な書類(経歴や資産・収入等を証明するための書類等)をいかなる場合に「信頼に足る証跡」として顧客に求めるかを検討していない。

・ 顧客の本人確認事項、取引目的等や、実質的支配者の本人確認事項について、いかなる場合にどのような情報を調査するのか、犯罪収益移転防止法に定められている内容にとどまり、リスクベースの対応が規程等に定められていない。

・ 制裁対象者リストの照合手順は定まっているものの、該当候補者がヒットした場合の判断手順が具体的に定められていない。

・ 具体的な高リスク顧客の範囲を明確に定めておらず、的確に検知する仕組みが出来ていない。

・ 高リスク先と判断された顧客以外の顧客について、高リスク先と判断された顧客と類似又は共通する項目等がないかを確認していない。

・ 過去に疑わしい取引を届け出た対象顧客を高リスク顧客として管理していない。

・ 生活口座(給与振込口座、住宅ローン返済口座、公共料金等の振替口座)については、一律SDD対象としている。

・ 顧客リスク評価に影響を与える事象が発生した場合に顧客リスク評価の見直しが行われていない。

・ 国籍や業種等一つの要素のみを理由として、特定の国籍・業種の顧客に対して一律に謝絶することとしている。

【取組が進んでいる事例】

継続的顧客管理(DM送付)への対応について、県内の金融機関はもとより、隣接県内の金融機関、行政機関、銀行協会及びマスコミ等と連携した上、マネロン対策会議を開催し、共通チラシの活用等を通じて県民への理解・浸透を図ることにより回答率の向上を目指している。

・ 自社におけるリスクの特定・評価の結果を踏まえ、取引開始時及び継続的取引における「顧客受入に関する方針」を策定し、取引類型・顧客属性ごとのリスクに応じた対応方針を定めている。

店舗の所在地との地縁の有無等を法人顧客の口座開設における判断基準の一つとしている。

・ 犯罪収益移転防止法施行規則第7条に定める本人確認書類に加え、顧客及びその実質的支配者について調査する事項、及びリスクに応じ具体的にどのような公的な書類(経歴や資産・収入等を証明するための書類等)をいかなる場合に「信頼に足る証跡」として顧客に求めるかを検討の上、一覧表に取りまとめ、実施手順等を規程等に定めている。

→規定について、起業する者がどの位の期間で口座開設出来るのか、分かる範囲で公開する必要があると考えます。

・ 注意コードを設定することなどにより高リスク顧客であることが営業店の端末でも把握できるようにされており、必要なEDDを漏れなく実施することができる仕組みを構築している。

・ 全ての顧客に対して顧客リスク評価を付与し、顧客リスク評価に応じて情報更新の頻度や取引モニタリングのシナリオ・敷居値を変更するだけでなく、顧客の事業内容等を踏まえ、実態に即して、追加的なリスク低減措置を講じている。

・ 規程等により頻度を定めた上で、高リスク顧客の属性や取引形態等を分析し、共通点がみられる項目については高リスク要素として顧客リスク評価ロジックや取引モニタリングルール等に機動的に反映している。

・ 過去に疑わしい取引を届け出た対象顧客について、届出内容に応じ、高リスク先と特定・評価し、システム上でフラグが立つ等の情報共有態勢を構築している。

・ SDD対象とした顧客についても、取引振りや高リスク顧客との関係性等を考慮して必要に応じてSDD対象外としている。

・ 顧客リスク評価を、リスクに応じた頻度で定期的に見直すだけでなく、顧客において、経営戦略の見直し、新規事業の開始、合併・買収、実質的支配者の変更、資金移動のパターンの顕著な変化、ネガティブ・ニュースが報道された等、顧客リスク評価に影響を及ぼすような事象が発生した場合には、直ちに、実態把握を行い顧客リスク評価の見直しを行うこととしている。また、リスク評価に影響を及ぼす事象の検知方法、判断基準、手続等を事前に文書化し、第1線を含む関係部署に周知徹底している。

・ 顧客に提供している商品・サービス、顧客属性等も踏まえつつ、リスクに応じて、複数のリスク遮断の方法を検討している。

4.マネロン対策等に係る業務の共同化

 法律・会計等専門家が行う取引時確認事項については、司法書士等、行政書士等、公認会計士等及び税理士等に対して、顧客に本人特定事項を確認する義務のみが課されていたが、これを改正し、取引を行う目的、職業・事業の内容、法人の場合にはその実質的支配者の確認を求めることとした。また、改正前は、法律・会計等専門家には、疑わしい取引の届出義務は課せられていなかったが、行政書士等、公認会計士等及び税理士等においては、守秘義務に係る法律の規定によって漏らしてはならない事項が含まれる場合を除き、疑わしい取引の届出が義務付けられたほか(司法書士等については、会則で代替措置が設けられる予定。)、リスクの高い取引については、疑わしい取引の届出判断として、資産・収入の状況を確認する義務が課された。

(3) 実質的支配者リスト制度に係る連携

 マネロン対策等においては、法人の悪用防止のため、実質的支配者(Beneficial Owners:以下、「BO」という。)の確認が重要とされており、犯罪収益移転防止法においても、法人顧客の実質的支配者の確認が義務付けられている。

 2022年1月31日より、法務省により実質的支配者リスト制度(以下、「BOリスト制度」という。)が開始された。これは、全国の商業登記所が、株式会社等(利用者)が提出した自社の実質的支配者に関する情報が記載された書面(実質的支配者リスト。以下、「BOリスト」という。)を確認した上で、その写しを交付する制度である。BOリストの写しを活用することで、確認手続の円滑化が期待されるものであり、金融庁においても、法務省と連携し、所管業界への周知や制度の活用を呼び掛けている。

 BOリストの写しについては、一部の地方銀行においては、法人(非上場株式会社)の新規口座開設の際に、口座開設を希望する顧客に依頼して、法務局での取得と銀行への提出を依頼しているなど、積極的に活用されている事例もある。BOリストの写しは、法人顧客の実質的支配者について確認を行ったことの証跡として使えるものであり、より多くの金融機関において活用されることを期待したい。

 また、BOリスト制度については、一般社団法人金融財政事情研究会により「商業登記所における実質的支配者リスト制度の利便性向上に関する研究会」59が立ち上げられ、2023年5月から議論が開始されている。全国銀行協会及び全国地方銀行協会などがメンバーとして議論に参加しているほか、法務省、財務省及び金融庁もオブザーバーとして参加し、制度の更なる活用に向けた利便性向上策について検討を行っている。

信託契約書の条項への指摘と回答

・公証センター等に信託契約書案を送信した場合に、第1条に契約の趣旨規定を追加される場合がある。第2条を目的規定とする場合の整合性について。第1条で受託者の義務は,「信託財産の適正な管理、処分を行う」となっているが,第2条の信託目的には,管理、処分に加え「運用」もあるので、本項にも「運用」を加えるのが相当。

・・・よく分かりませんでした。

・追加信託は、信託設定及び信託の併合の手続きに従って行うことになる(弁護士ひまわり信託研究会伊庭潔編著『信託法からみた民事信託の手引き』日本加除出版株式会社、P68。)。信託法上、追加信託に関する規定はなく、一般的にはその法的性質を新たな信託設定と信託の併合を同時に行うものであり、追加信託は信託設定及び信託の併合の手続きに従って行うことになる(弁護士ひまわり信託研究会伊庭潔編著『信託法からみた民事信託の手引き』日本加除出版株式会社、P68。)。よって、信託契約における追加信託としての新たな信託の設定は、契約行為である以上、受益者が行うのではなく、委託者と受託者の合意が必要になるので修正が必要。

・・・信託契約書中、委託者の地位の条項において、委託者の地位のうち、追加信託する地位について、受益者に移転しています(信託法146条、道垣内弘人『信託法〔第2版〕現代民法別巻 (現代民法 別巻)』、2022、有斐閣、P410~)。なお、金銭の追加信託は可能ですが、不動産登記はその申請構造上、受益者のみで追加信託の登記申請を行うことは不可能です(不動産登記法60条。)。

当初受託者乙の住所や氏名は、本旨外要件に記載されるので単に乙でよい。

・・・公正証書として読み上げるときに、委託者、受託者、受益者その他の関係者に、甲、乙、丙などと記載されると、各当事者が分からなくなってしまうことが多いです。信託契約書の条項数が、遺言公正証書などと比べて長いこともあります。依頼者との読み合わせは、公証人から返信が来た場合の甲や乙などは、全て氏名に読み替えます。

・受託者の任務終了事由として、受託者が唯一の受益者となったとき。ただし、1年以内にその状態を変更したときを除く。について。

不要。条項の趣旨は、信託目的にそぐわない、受託者が唯一の受益者として受益権を享受する状態が1年間継続した場合に受託者の任務を終了させようとするものと考えられる。そのような状態が1年間継続した場合は、受託者の任務だけでなく、本信託自体の終了事由(信託法第163条第2号)になる。本号のような記載では、受託者の任務が終了するのが、唯一の受益者となったときなのか、その後1年経過後かが不明確。つまり、上記1年間の任務は、当初受託者が担うのか、それとも第2次受託者などの後継受託者が担うのか不明。

→条項の趣旨は、信託目的にそぐわない、受託者が唯一の受益者として受益権を享受する状態が1年間継続した場合に受託者の任務を終了させようとするものと考えられる。について・・・その通りです(信託法8条)。

そのような状態が1年間継続した場合は、受託者の任務だけでなく、本信託自体の終了事由(信託法第163条第2号)になる。について・・・その通りです。

本号のような記載では、受託者の任務が終了するのが、唯一の受益者となったときなのか、その後1年経過後かが不明確。つまり、上記1年間の任務は、当初受託者が担うのか、それとも第2次受託者などの後継受託者が担うのか不明。について・・・受託者の任務が終了するのは、唯一の受益者となり、1年以内にその状態を変更しなかった場合であり、明確です。当初受託者とも第2次受託者とも特定していないので、どちらにも適用され、不明とはならないと考えられます。

・任務終了した受託者の義務についての条項における、任務が終了した受託者(その相続人のほか、信託財産を管理すべき者を含む。)は、後任の受託者が信託事務の処理を行うことができるようになるまで、受益者への通知、信託財産の保管その他の必要な事務を行う。について

 必要性が不明。信託法第59条及び第60条記載の前受託者等の義務を記載したものと思われるが、以下のような疑義がある。受託者以外に信託財産を管理する者とはだれを指すのか(すなわち、信託法第63条、第64条による裁判所の選任による信託財産管理者を指すのであれば、受託者や相続人の職務遂行を認めるべきではないし(信託法第66条第1項)、それ以外の存在を想定しているのであれば、信託法第2条第1項の「信託」や同条第5項の「受託者」の定義に反すると考える。

・・・受託者以外に信託財産を管理する者とは、相続人、任意後見人、法定の成年後見人、保佐人、破産管財人、信託財産管理者を指します(信託法60条2項、4項、63条から72条まで。)。全てを記載する修正が必要だと考えられます。

受託者の任務終了事由(ただし,死亡及び後見又は保佐開始の審判のみ)を知っている相続人の通知義務違反については、過料の制裁(信託法第270条第1項第1号)があるところ、本項の記載では上記事由を知らない相続人にもそのような義務を課するもので相当ではない上、上記死亡等以外の事由による任務終了の場合の受託者との間で競合が生じてしまうことは相当とは考えられないこと。信託法によればよく、削除か、記載するのであれば,法令に準じた記載にするのが相当、について

・・・別の条項で、次順位の受託者が、死亡、後見開始、保佐開始により任務が終了した場合の受託者の相続人へ通知する義務を定めています(信託法60条1項の変更。)。相続人は通知により知り得るので、義務を課すのが相当ではない、とはいえないのではないかと思われます。

・受託者の任務終了により、受託者に指定された者が、本信託の利害関係人による催告から1か月以内に受託者に就任しない場合は、受益者は新たな受託者を定める。について。

  削除相当。本項は受益者に新たな受託者の指定権を認めた規定と解されますが、同指定権については、同条第3項に記載されており、本項の規定は、それと矛盾する。本信託は自益信託なので、本項の記載がなくても、本項第3号の信託法の規定、具体的には同法第62条第1項により、委託者兼受益者たる甲が新受託者を選定できることは明らかだからです。

・・・催告から1か月以内という期間については、信託法62条1項に記載はないので、必要な条項だと考えられます。

・後任受託者は、前任の受託者から受託者としての権利義務を承継し、次の各号に記載する必要な事務を行う。

(2)前受託者の任務終了が辞任による場合を除いて、必要な場合の債務引受け。について。

必要性に疑問。特に第2号については、信託法第76条第2項によれば、新受託者が履行義務を負うのは、「信託財産に属する財産のみ」であって、固有財産によって履行義務を負うのは、前受託者(同法第1項)だから。本項も、信託法第75条以下の規定によればよく、記載するのであれば、法令に準じた記載にするのが相当。

・・・金融機関から信託借入れを行い、受託者が債務者となっている場合を想定しているので、必要だと考えられます。

・本信託の第1順位の受益者は、次の者とする。

2 各受益者の死亡により受益権が消滅した場合、受益権を原始取得する者として次の者を指定する。について、

本信託では、第1受益者が2名いるところ、本項により、第2受益権を取得するのは、上記両名が死亡したときに全ての受益権を取得する趣旨なのか、それとも1名が死亡したときにそれぞれの受益債権を原資取得する趣旨なのかを明確にしてください。また、○○の死亡は、信託の終了事由となっているのに、信託契約の継続を前提とする本規定が存するのか意味不明。

→各受益者、との記載があり、1名が死亡したときに受益権を原始取得するのは明確だと考えられます。甲の死亡は信託の終了事由となっています。残余財産の帰属権利者の条項と、受益者の記載を一致させるために第2順位の受益者を定めているので、信託契約の継続を前提とはしていませんし、意味はあります。

・受益者に関する条項

3 次の順位の者が既に亡くなっていたときは、さらに次の順位の者が受益権を原始取得する。

4 受益権を原始取得した者は、委託者から移転を受けた権利義務について同意することができる。

5 受益者に指定された者又は受益権を原始取得した者が受益権を放棄した場合には、さらに次の順位の者が受益権を原始取得する。

6 受益者に指定された者が、指定を知ったとき又は受託者が通知を発してから1年以内に受益権を放棄しない場合には、受益権を原始取得したとみなす。について。

意味不明。

・・・信託法29条、31条、90条1項1号、91条、99条。民法986条、987条。信託法91条の読み方として、道垣内弘人『信託法』2017有斐閣P385、道垣内弘人『条解信託法』2017弘文堂P476、477、法制執務委員会『ワークブック法制執務』2007ぎょうせいP642。西村志乃「民事信託と裁判上のリスク」『信託フォーラムvol.6』2016日本加除出版P33~は、利益相反状況と表現する。

・受益者代理人に関する条項

受益者代理人及び信託監督人の変更に伴う権利義務の承継等は、その職務に抵触しない限り、本信託の受託者と同様とする。

意味不明。受益者代理人等に、受託者のような債務の弁済、引受、費用の清算。信託財産の引継等信託事務の引継があるのか不明な上,これらの者の事務引継ぎは,信託法上の定め(第135条第2項,第142条第2項)によるべきと考える。について。

・・・その職務に抵触しない限り、との文言が入っています。

・委託者は、次の各号の権利義務を受益者に移転する。

(1)信託目的の達成のために追加信託をする権利義務   

(2)受益権の放棄があった場合に、次の順位の受益者又は残余財産の帰属権利者がいないとき、新たな受益者を指定することができる権利。について

委託者と受益者は異なる概念(信託法第2条第4項,同法第6条)であることから、権利義務は当然異なるはずなのに、その移転を認めていること、本信託における第一受益者は2名いるにもかかわらず、それらの者たちの関係が不明であることなどからすると,違法ないしは必要性に疑問があります。

・・・信託法146条。道垣内弘人『信託法〔第2版〕現代民法別巻 (現代民法 別巻)』、2022、有斐閣、P410~は移転を認めています。受益者と記載していますので、受益者2名となります。関係が不明と考えることは出来ません。よって、違法と考えることは難しいと思われます。

・受託者は、信託金銭について、次の信託事務を行う。

(1)受託者固有の財産と分別して管理。について

本条項は、信託財産の管理方法を定めた規定であることからすると、信託金銭の分別管理方法(通常は、信託口口座の設定)をも定めるべき。

・・・信託口口座を開設出来ない金融機関用です。

・受託者は、信託目的の達成のために必要があるときは、受託者は受益者甲の承諾を得て金銭を借入れることができる。について

  本項の趣旨は、借入債務を信託財産責任負担債務とする趣旨と解されますが、疑問。まず、前段については、受託者の借入を想定した規定と解されますが、その場合には受託者は、その固有財産によっても履行義務を負う(信託法第21条第2項の反対解釈)のですから、受益者の承諾を要件とする必要はない。受託者は、信託目的を達成するためならば、信託財産の売買等の処分をもできるはずなのに、なぜ担保権の設定等に受益者の承諾が必要なのか不明です。本項の記載は、権限濫用防止のための縛りと思われますが、それは〇条第〇項と同様「信託の目的を達成するため」によって図るべき。

・・・受託者がその固有財産によっても履行義務を負うとしても、信託財産も履行義務を負うのであり、受益者の承諾が不要となる理由にはならないと考えらえます。受益者が借入れをして得た金銭は、当然には信託財産とはならないので、信託財産とする、という記載を入れています。

 受託者は、信託目的を達成するためならば、信託財産の売買等の処分をもできるはずなのに、なぜ担保権の設定等に受益者の承諾が必要なのかというと、売買については売却代金が信託財産となって入ってきますが、担保設定については支払いが滞った場合に信託不動産が強制執行にかけられるリスクがあるからです。

(信託事務に必要な費用)

・信託事務処理に必要な費用は次のとおりとし、受益者の負担により信託金銭から支払う。信託金銭で不足する場合には、受託者と受益者甲との個別合意により、その都度、又はあらかじめ受益者に請求することができる。について。

 信託金銭(信託財産)は、本来、受託者に属する財産(信託法第2条第3項)ですから、「受益者の負担」とすることはできないはずです。

・・・信託法48条1項、2項により可能です。

・(信託の終了)

本信託は、次に掲げる各号のいずれかの場合に終了する。

信託財産責任負担債務につき、期限の利益を喪失したとき。について

 必要性について疑問。すなわち、例え受託者の任務懈怠等によって期限の利益を喪失したとしても信託財産が十分残っている場合には、受託者を解任(信託法第58条)し、新たな受託者(原案第4条第3項以下)によって信託事務を処理させるのが受益者の利益になると考える。他方、期限の利益の喪失によって信託財産がなくなるか、わずかしか残っていない場合には、本項第8号又は信託法第163条第1号(信託の目的を達成することができなくなった)によって終了させることができるからです。

・・・信託法163条9号により可能です。必要性については、金融機関から借り入れている場合に期限の利益喪失したとき、強制執行などがなされるため信託を継続することが出来ないからです。信託法163条1項では、曖昧性が残ります。

・(信託の終了)

本信託は、次に掲げる各号のいずれかの場合に終了する。

受益者が、破産手続開始の決定を受けたとき。について

  必要性について疑問。すなわち,本信託の目的の一つには「受益者の安定した生活と福祉を確保」にあるところ、受益者に本号のような生活困窮状態が発生した場合にこそ上記目的の趣旨に沿うと考える(信託の重要な機能である倒産隔離効の具体的発生場面と考えられる)。信託法上は、破産開始決定等による信託の終了事由は、委託者(受益者ではない)である上、倒産管財人等による委託者の倒産手続における未履行双務契約の解除権が行使された場合に限っている(同法第163条第8号)。

・・・信託法163条9号により可能です。本信託の目的の一つである、受益者の安定した生活と福祉を確保は、信託財産で受益者を支えることができないような受益者が破産手続開始の決定を受けたときは達成することが出来ません。よって、受益者が破産手続開始の決定を受けたときに、信託が終了するという条項は必要性があると考えられます。

・(信託の終了)

本信託は、次に掲げる各号のいずれかの場合に終了する。

受益者と受託者が、沖縄県弁護士会の裁判外紛争解決機関を利用したにも関わらず、和解不成立となったとき。ただし、当事者に法定代理人、保佐人、補助人又は任意後見人がある場合で、その者が話し合いのあっせんに応じなかった場合を除く。について

  内容が極めて具体的ですが、何か事情があるのか。本号は、受益者と委託者の信頼関係が破壊されたときの信託の終了を認めた規定と解されますが、信託を存続させる必要がある場合には、新たな受託者を選任すればよいので、それでは信託の目的が達成できない場合のみ終了させることでよいと考える。

・・・信託を存続させるか終了させるか、裁判所での手続き(信託法165条)の前に当事者間で話し合いの場を設ける目的がある条項です。

・(信託終了後の残余財産)

本信託の終了に伴う残余財産の帰属権利者は、次の順位により指定する。

第1順位

○○

第2順位

○○

次の順位の者が既に亡くなっていたときは、更に次の順位の者を残余財産の帰属権利者とする。

について。

第2順位とは何を意味するのか不明です。仮に死亡や放棄等を想定しているのであれば、そのことを記載すべきです。次の順位の者の意味が不明です。

・・・死亡や放棄などを想定しているので、次項に記載しています。次の順位の者は、第2順位の者です。

・(信託終了後の残余財産)

清算結了時に信託財産責任負担債務が存する場合で金融機関が求めるときは、合意により残余財産の帰属権利者は、当該債務を引き受ける。について。

  本項の趣旨は、債務弁済前における残余財産の給付制限(信託法第181条)の例外として帰属権利者による債務引受けを認めた規定と解されますが、法令上の根拠なく、契約主体ではない帰属権利者に義務を負わせることはできない。仮に上記趣旨であるとすれば、「清算決了時に信託財産責任負担債務が存する場合において、金融機関の求めに応じて帰属権利者が、当該債務を引き受けた場合には、清算受託者は、信託財産に属する財産を帰属権利者に給付することができる」などとすべきと考えます。なお、債務引受けはあくまでも帰属権利者の任意ですので、仮に帰属権利者が拒否した場合には、信託財産によって弁済(余裕がある場合)するか、倒産手続き等に移行(余力がない場合)すべきと考えます。

・・・債務弁済前における残余財産の給付制限(信託法第181条)の例外として、帰属権利者による債務引受けを認めた規定ではありません。

 信託契約に記載のない特別の支出を受益者の承諾によって受託者による支出を認める法令上の根拠はなく、したがって、受益者代理人にもそのような承諾権はないと考えます。

・・・本信託契約に受益者の承諾(信託法48条2項ただし書き)の条項があり、受益者代理人にも承諾権があると考えられます(信託法139条)。

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