加工金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律案

金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律案

(令和6年3月15日提出、令和6年5月15日成立・公布)

施行は公布から1年以内。

https://www.fsa.go.jp/common/diet/213/index.html

参議院

https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/213/meisai/m213080213056.htm

金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律案

要綱

 市場の透明性・公正性を確保しつつ、資産運用の高度化・多様化を図るため、取引所における競売買の方法による取引を公開買付規制の対象に追加するほか、大量保有報告制度において保有割合の合算が求められる者の範囲の明確化、委託を受けて投資運用業に関する業務の一部を行う業者の任意的登録制度の創設等の措置を講ずる必要がある。このため、金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正することとする。 一 金融商品取引法の一部改正(第1条関係)

  • 1株券等の公開買付規制に関する規定の見直し
  •  (1)取引所における競売買の方法による取引を公開買付規制の対象に追加することとする。              (金融商品取引法第27条の2関係)

日本取引所グループ

https://www.jpx.co.jp/equities/trading/domestic/04.html

競争売買とは、価格優先の原則と時間優先の原則にしたがって、売呼値間の競争と買呼値間の競争を行い、最も優先する売呼値と最も優先する買呼値がある値段的で合致したときに、その値段を約定値段として売買契約を締結させる方法です。この方法は、市場で大量の売買注文を短時間のうちに処理するための、最も合理的な方法といわれています。

  •  (2)公開買付けの実施が義務付けられる議決権割合を3分の1から100分の 30に引き下げることとする。       (金融商品取引法第27条の2関係)
  •  (3)公開買付届出書を参照すべき旨等を記載した場合には、公開買付説明書に記載したものとみなすこととする。     (金融商品取引法第27条の9関係)

大和証券

https://www.daiwa.jp/glossary/YST0518.html#:~:text=%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E5%85%AC%E9%96%8B%E8%B2%B7%E3%81%84%E4%BB%98%E3%81%91%E3%82%92%E5%AE%9F%E6%96%BD,%E3%81%AE%E5%88%A4%E6%96%AD%E8%B3%87%E6%96%99%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

公開買付説明書

株式公開買い付けを実施する際に、公開買い付けを行う者が作成を定められている書類。

  • 2 株券等の大量保有報告制度に関する規定の見直し
  •  (1)大量保有報告制度において保有割合の合算が求められる者の範囲に関し、金融商品取引業者等が経営に対して重要な影響を及ぼす行為を行うことを目的とせずに、株主としての権利を共同して行使する場合については、保有割合の合算が求められないこととする。    (金融商品取引法第27条の23関係)
  •  (2)現金による決済が予定されているデリバティブ取引のうち、一定の要件を満たすものを大量保有報告書の提出義務の対象とすることとする。 (金融商品取引法第27条の23関係)
  • 3 投資運用関係業務受託業に係る制度の導入
  •  (1)任意的登録制の創設

 ① 投資運用関係業務受託業を行う者は、内閣総理大臣の登録を受けることができることとし、登録申請書の記載事項及び添付書類、登録拒否要件その他の登録手続に関する規定を整備することとする。 (金融商品取引法第2条、第66条の71~第66条の75関係)

 ② 投資運用関係業務受託業者について、誠実義務、忠実義務、業務管理体制の整備義務、禁止行為その他の業務に関する規定を整備することとする。 (金融商品取引法第66条の76~第66条の81関係)

 ③ 投資運用関係業務受託業者に対する業務改善命令、業務停止命令、登録取消処分、報告徴取及び検査その他の監督に関する規定を整備することとする。 (金融商品取引法第66条の82~第66条の89関係)

  •  (2)金融商品取引業者等に関する規定の整備

 ① 金融商品取引業者等が投資運用関係業務を委託する場合には、登録申請書又は届出書に委託先の商号等を記載させることとする。 (金融商品取引法第29条の2、第33条の8、 第63条の9、附則第3条の3関係)

 ② 金融商品取引業者等の登録拒否要件等のうち、人的構成要件の内容を明確化するとともに、投資運用関係業務受託業者に投資運用関係業務を委託する場合には、当該業務の執行について必要となる十分な知識及び経験を有する役員等の確保に代えて、当該業務の執行の監督に係る役員等を確保していれば足りることとする。 (金融商品取引法第29条の4、第33条の5、第33条の8、 第63条の9、附則第3条の3関係)

  • 4投資運用業に関する規定の整備
  •  (1)金融商品取引業の登録申請書の記載事項として、投資運用業に関して顧客から金銭等の預託を受けない場合にはその旨を記載させることとする。(金融商品取引法第29条の2、第31条関係)
  •  (2)投資運用業者が運用を行う権限を委託する場合に、運用の対象及び方針を決定する権限を委託してはならないこととし、それ以外の運用を行う権限の全部を委託できることとする。       (金融商品取引法第42条の3関係)
  • 5 非上場有価証券特例仲介等業務に関する規定の整備

特定投資家等を対象とした非上場有価証券の仲介等の業務のみを行う第一種金融商品取引業者について、自己資本規制比率に関する規制、兼業規制及び金融商品取引責任準備金の積立に関する規制の適用を除外することとする。 (金融商品取引法第2条、第29条の4の4関係)

日本証券業協会

https://www.jsda.or.jp/shijyo/seido/jishukisei/words/0175.html

第一種金融商品取引業・・・証券業、金融先物取引業等のこと。流動性の高い有価証券の売買・勧誘、引受け、店頭デリバティブ取引、資産管理などを行う業務

  • 6 私設取引システム運営業務に関する規定の整備
  •  (1)流動性の低い非上場有価証券のみを取り扱い、かつ、取引規模が限定的である私設取引システム運営業務については、その業務を行うに当たっての認可を要さないこととし、第一種金融商品取引業の登録により行えることとする。 (金融商品取引法第30条関係)
  •  (2)金融商品取引業者が⑴の私設取引システム運営業務に関する業務の内容及び方法のうち公益又は投資者保護の観点から特に必要がある事項を変更する場合は、変更の30日前までに内閣総理大臣に届け出なければならないこととする。  (金融商品取引法第31条関係)
  • 7その他 その他所要の規定の整備を行うこととする。

二 投資信託及び投資法人に関する法律の一部改正(第2条関係)

  • 1運用権限の委託に関する規定の整備

投資信託委託会社及び投資法人の資産運用会社の運用の委託に関し、金融商品取引法第42条の3の改正に準じて、所要の規定の整備を行うこととする。 (投資信託及び投資法人に関する法律第12条、第202条、 第204条、第214条関係)

  • 2その他 その他所要の規定の整備を行うこととする。

三 その他

  • 1施行期日

この法律は、原則として、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとする。       

  • 2経過措置等 (附則第1条関係)
  •  この法律の施行に伴い、所要の経過措置を定めることとする。 (附則第2条~第10条、第17条、第18条関係)
  •  金融商品取引法の改正に伴い、関係法律の改正を行うこととする。 (附則第11条~第16条関係)
  •  この法律の施行の状況等に関する検討規定を設けることとする。 (附則第19条関係)

(金融商品取引法の一部改正)

第 一条 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)の一部を次のように改正する。

目 次 中「第四章 金融商品取引業協会」を

「第三章の五 投資運用関係業務受託業者

第 一節 総則(第六十六条の七十一―第六十六条の七十五 )

第 二 節 業務(第六十六条の七十六―第六十六条の八十一 )

第三節 監督(第六十六条の八十二―第六十六条の八十九 )

第 四 節 雑則(第六十六条の九十―第六十六条の九十三)

第 四 章 金融商品取引業協会」

に改める。

第二条第八項第十号イ中「超えない」を「満たす」に改め、同条第十一項中「又は同条第四項に規定する投資運用業」を「(第二十九条の四の二第九項に規定する第一種少額電子募集取扱業務及び第二十九条の四の四第八項に規定する非上場有価証券特例仲介等業務を除く。)又は第二十八条第四項に規定する投資運用業(第二十九条の五第一項に規定する適格投資家向け投資運用業を除く。)」に、「同項」を「第二十八条第四項」に改め、同条に次の三項を加える。

43この法律において「投資運用関係業務」とは、投資運用業等(投資運用業(第二十八条第四項に規定する投資運用業をいう。)、適格機関投資家等特例業務(第六十三条第二項に規定する適格機関投資家等特例業務をいい、同条第一項第二号に掲げる行為を行うものに限る。)又は海外投資家等特例業務( 第六十三条の八第一項に規定する海外投資家等特例業務をいい、同項第一号に掲げる行為を行うものに 限 る。)をいう。第一号及び次項並びに第六十六条の八十第二項において同じ。)に関して行う次に掲げる業務をいう。

一 運用対象財産(この法律の規定により投資運用業等を行うことができる者が第四十二条第一項に規定する権利者のため運用を行う金銭その他の財産をいう。)を構成する有価証券その他の資産及び当該資産から生ずる利息又は配当金並びに当該運用対象財産の運用に係る報酬その他の手数料を基礎とする当該運用対象財産の評価額の計算に関する業務

二 法令等(法令、法令に基づく行政官庁の処分又は定款その他の規則をいう。)を遵守させるための指 導に関する業務

44この法律において「投資運用関係業務受託業」とは、この法律の規定により投資運用業等を行うことができる者の委託を受けて、当該委託をした者のために前項各号に掲げる業務のいずれかを業として行うことをいう。

45この法律において「投資運用関係業務受託業者」とは、第六十六条の七十一の規定により内閣総理大臣の登録を受けた者をいう。

第二十七条の二第一項ただし書中「。第四号において同じ」を削り、同項第一号及び第二号を次のように改める。

一 株券等の買付け等の後におけるその者の所有(これに準ずるものとして政令で定める場合を含む。以下この節において同じ。)に係る株券等の株券等所有割合(その者に特別関係者(第七項第一号に掲げる者については、内閣府令で定める者を除く。)がある場合にあつては、その株券等所有割合を加算したもの。以下この項において同じ。)が百分の三十を超えることとなる場合又は株券等の買付け等の前におけるその者の所有に係る株券等の株券等所有割合が既に百分の三十を超えている場合における当該株券等の買付け等(株券等の買付け等の前におけるその者の所有に係る株券等の株券等所有割合が既に百分の三十を超えている場合における株券等の買付け等のうち、買付け等を行う株券等の数又は買付け等の価格の総額が著しく少ない場合として政令で定める場合に該当し、かつ、当該株券等の買付け等の後におけるその者の所有に係る株券等の株券等所有割合が政令で定める割合以上とならないもの(次号に規定する特定市場外買付け等に該当しないものに限る。)を除く。)

二 特定市場外買付け等(取引所金融商品市場外における株券等の買付け等(取引所金融商品市場における有価証券の売買等に準ずるものとして政令で定める取引による株券等の買付け等及び著しく少数の者から買付け等を行うものとして政令で定める場合における株券等の買付け等を除く。)をいう。以下この号において同じ。)の後におけるその者の所有に係る株券等の株券等所有割合が百分の五を超えることとなる場合又は特定市場外買付け等の前におけるその者の所有に係る株券等の株券等所有割合が既に百分の五を超えている場合であつて、当該特定市場外買付け等の後におけるその者の所有に係る株券等の株券等所有割合が百分の三十以下となるときにおける当該特定市場外買付け等第 二十七条の二第一項第三号から第五号までを削り、同項第六号中「前各号」を「前二号」に改め、同号を同項第三号とし、同条第七項第一号中「、親族関係」を削る。第二十七条の三第二項中「第百九十七条及び第百九十七条の二」を「第百九十七条第一項第三号及び第百九十七条の二第一項第五号」に改め、同項ただし書中「ならない日」の下に「(以下この項において「 提出日」という。)」を、「定める日」の下に「(以下この項において「日曜日等」という。)」を加え、「これらの日の翌日」を「日曜日等以外の日であつて、当該提出日後に最初に到来する日」に改める。第二十七条の九第三項中「には」の下に「、投資者の投資判断に及ぼす影響が軽微なものとして内閣府令で定める場合を除き」を加え、同項を同条第四項とし、同条第二項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 公開買付者が、前項の規定に基づき公開買付説明書に記載すべき事項のうち、公開買付届出書に記載された事項(公開買付開始公告に記載すべき事項を除く。以下この項において同じ。)について、公開買付届出書を参照すべき旨及び投資者が当該公開買付届出書に記載された事項を閲覧するために必要な事 項として内閣府令で定める事項を公開買付説明書に記載した場合には、公開買付説明書に当該公開買付届出書に記載された事項の記載をしたものとみなす。

第二十七条の十三の見出し中「公告」を「公告等」に改め、同条第二項中「第百九十七条及び第百九十七 条の二」を「第百九十七条第一項第三号及び第百九十七条の二第一項第五号」に改め、同項に次のただし書を加える。

ただし、当該提出をしなければならない日(以下この項において「提出日」という。)が日曜日その他内閣府令で定める日(以下この項において「日曜日等」という。)に該当するときは、日曜日等以外の日であつて、当該提出日後に最初に到来する日に提出するものとする。

第二十七条の十六中「第二十七条の九第二項若しくは第三項」を「第二十七条の九第三項若しくは第四項」に、「違反して当該」を「違反して」に、「当該公開買付けに応じて当該株券等の売付け等」を「公開買付け(第二十七条の三第一項に規定する公開買付けをいう。)に応じて株券等(第二十七条の二第一項 に規定する株券等をいう。)の売付け等(第二十七条の二第六項に規定する売付け等をいう。)」に改める。

第二十七条の十九中「公開買付説明書」の下に「(第二十七条の九第二項の規定により当該公開買付説明書に公開買付届出書を参照すべき旨を記載した場合における当該公開買付届出書(その訂正届出書を含む。次条及び第二十七条の二十一第二項第一号において同じ。)を含む。)」を加え、「同条」を「第十七 条」に、「当該公開買付けに応じて株券等の売付け等」を「公開買付け(第二十七条の三第一項に規定する公開買付けをいう。)に応じて株券等(第二十七条の二第一項に規定する株券等をいう。)の売付け等(第二十七条の二第六項に規定する売付け等をいう。)」に改める。第二十七条の二十第一項中「あり、及び」を「あるのは「公開買付け(第二十七条の三第一項に規定する公開買付けをいう。以下この項において同じ。)に応じて株券等(第二十七条の二第一項に規定する株券 等 をいう。以下この項において同じ。)の売付け等(第二十七条の二第六項に規定する売付け等をいう。以下この項において同じ。)をした者」と、同項ただし書中」に改め、同項第二号中「(その訂正届出書を含む。以下この条及び次条において同じ。)」を削り、同項第三号中「第二十七条の九第三項」を「第二十七条の九第四項」に、「次条」を「次条第二項第一号」に改める。第二十七条の二十二の二第九項中「第二十七条の九第二項若しくは第三項」を「第二十七条の九第三項若 しくは第四項」に、「違反して当該」を「違反して」に、「当該公開買付けに応じて当該上場株券等の売 付け等」を「公開買付け(第二十七条の二十二の二第二項において準用する第二十七条の三第一項に規定する公開買付けをいう。)に応じて上場株券等(第二十四条の六第一項に規定する上場株券等をいう。)の売付け等(第二十七条の二第六項に規定する売付け等をいう。)」に改め、同条第十項中「いう 。以下この節において同じ」を「いい、第二項において準用する同条第二項の規定により当該公開買付説 明書に公開買付届出書を参照すべき旨を記載した場合における当該公開買付届出書(その訂正届出書を含む。次項第二号及び第十二項において同じ。)を含む」に、「同条」を「第十七条」に、「当該公開買付 け に応じて上場株券等の売付け等」を「公開買付け(第二十七条の二十二の二第二項において準用する第二十七条の三第一項に規定する公開買付けをいう。)に応じて上場株券等(第二十四条の六第一項に規定する上場株券等をいう。)の売付け等(第二十七条の二第六項に規定する売付け等をいう。)」に改め 、同条第十一項中「あり、及び」を「あるのは「公開買付け(第二十七条の二十二の二第二項において準用する第二十七条の三第一項に規定する公開買付けをいう。以下この項において同じ。)に応じて上場株券等(第二十四条の六第一項に規定する上場株券等をいう。以下この項において同じ。)の売付け等( 第二十七条の二第六項に規定する売付け等をいう。以下この項において同じ。)をした者」と、同項ただ し書中」に改め、同項第二号中「(その訂正届出書を含む。次項において同じ。)」を削り、同項第三号 中「公開買付説明書(」の下に「第二項において準用する第二十七条の九第一項に規定する公開買付説明 書をいい、」を加え、「第二十七条の九第三項」を「同条第四項」に改める。第 二十七条の二十三第三項ただし書中「なつたものとみなす」を「なるものとみなし、第三号に掲げる者 については、同号に規定するデリバティブ取引の原資産である株券等の数を算出する計算方法として内閣府令で定める計算方法により算出された数の株券等について保有者となるものとみなす」に改め、同項に次 の一号を加える。

三 株券等に係るデリバティブ取引に係る権利を有する者(前二号に該当する者を除く。)であつて、当該デリバティブ取引の相手方から当該株券等を取得する目的その他の政令で定める目的を有する者第二十七条の二十三第四項中「前項各号」を「前項第一号若しくは第二号」に改め、「権限」の下に「又は同項第三号に規定する権利」を、「株券については」の下に「内閣府令で定めるところにより計算した」を加え、「控除した数(以下この章」を「控除した数(以下この項及び第六項」に、「保有株券等(」を「保有株券等の数(」に、「ものを除く。)の数を加算した数(以下この章」を「株券等の数を除く。)を加算した数(第二十七条の二十五第一項」に改め、同条第五項中「場合」の下に「(次に掲げる要件の全てに該当する場合を除く。)」を加え、同項に次の各号を加える。

一 当該保有者及び他の保有者が金融商品取引業者(第二十八条第一項に規定する第一種金融商品取引業を行う者又は同条第四項に規定する投資運用業を行う者に限る。)、銀行その他の内閣府令で定める者であること。

二 共同して第二十七条の二十六第一項に規定する重要提案行為等を行うことを合意の目的としないこと。

三 共同して当該発行者の株主としての議決権その他の権利を行使することの合意(個別の権利の行使ごとの合意として政令で定めるものに限る。)であること。

第二十七条の二十三第六項中「、親族関係」を削る。

第二十七条の三十の九第二項中「第二十七条の九第二項又は第三項」を「第二十七条の九第三項又は第四項」に改める。

第二十九条の二第一項第三号中「第三章の四」を「第三章の五」に改め、同項第五号の次に次の一号を加える。

五の二 投資運用業を行おうとする場合において、その行おうとする投資運用業に関して、顧客から金銭又は有価証券の預託を受けず、かつ、自己と密接な関係を有する者として政令で定める者に顧客の金銭又は有価証券を預託させないときにあつては、その旨

第二十九条の二第一項中第十三号を第十四号とし、第十二号を第十三号とし、第十一号の次に次の一号を加える。

十二 投資運用関係業務を委託する場合においては、その旨並びに委託先の商号、名称又は氏名及び当該委託先に委託する投資運用関係業務の内容その他内閣府令で定める事項

第二十九条の二第二項第一号中「まで」の下に「、第一号の二、第三号イ」を加える。第二十九条の四第一項第一号イ中「次号」を「第二号」に、「若しくは第六十六条の六十三第一項」を「第六十六条の六十三第一項」に改め、「第六十六条の五十の登録を取り消され」の下に「、若しくは第六十六条の八十五第一項の規定により第六十六条の七十一の登録を取り消され」を加え、同号ロ⑵中「次号ヘ⑵」を「第二号ヘ⑵」に、「次号並びに」を「第二号並びに」に改め、同号ロ⑶中「次号ヘ⑶」を「第二号ヘ⑶」に、「次号に」を「第二号に」に改め、同号ロ⑷及び⑹中「次号」を「第二号」に改め、同号ロ⑾中「⑾及び次号ヘ⑾」を「⑿及び第二号ヘ⑿」に改め、同号ロ⑾を同号ロ⑿とし、同号ロ⑽の次に次のように加える。

⑾ 第六十六条の八十五第一項の規定による第六十六条の七十一の登録の取消しの処分に係る行政手続法第十五条の規定による通知があつた日から当該処分をする日又は処分をしないことの決定をする日までの間に第六十六条の八十三第一項第二号、第六号又は第七号に該当する旨の同項の規定による届出をした者(当該通知があつた日前に投資運用関係業務受託業を廃止し、分割により投資運用関係業務受託業に係る事業の全部を承継させ、又は投資運用関係業務受託業に係る事業の全部の譲渡をすることについての決定(当該者が法人であるときは、その業務執行を決定する機関の決定をいう。)をしていた者を除く。)で、当該届出の日から五年を経過しないもの第二十九条の四第一項第一号ホを次のように改める。

ホ 次のいずれかに該当する者

  •  (1)暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第二号に規定する暴力団又は同条第六号に規定する暴力団員との関係その他の事情に照らし、金融商品取引業の信用を失墜させるおそれがあると認められる者
  • (2)その他金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者として内閣府令で定める基準に該当する者

第二十九条の四第一項第一号の次に次の一号を加える。

一の二 法人である場合においては、登録申請の対象となる金融商品取引業に係る業務のそれぞれにつき、その執行について必要となる十分な知識及び経験を有する役員(相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、当該法人に対し取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の-支配力を有するものと認められる者を含む。以下この号及び次号、第三十三条の五第一項第三号イ、第五十二条第二項、第五十二条の二第二項、第五十七条の二十第一項第一号及び第三項、第六十三条第七項第一号ハ、第六十三条の九第六項第二号ト、第六十六条の五十三第五号イ、第六十六条の六十三第二項、第六十六条の七十四第七号イ及びハ並びに第六十六条の八十五第二項において同じ。)又は使用人を確保していないと認められる者。

ただし、登録申請者が投資運用関係業務を投資運用関係業務受託業者(当該投資運用関係業務を行うことにつき第六十六条の七十一の登録又は第六十六条の七十五第四項の変更登録を受けている者に限る。)に委託する場合における当該投資運用関係業務については、その業務の監督を適切に行う能力を有する役員又は使用人を確保していれば足りるものとする。

第二十九条の四第一項第二号中「(相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、当該法人に対し取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この号、第五十二条第二項、第五十二条の二第二項、第五十七条の二十第一項第一号及び第三項、第六十三条第七項第一号ハ、第六十六条の五十三第五号イ並びに第六十六条の六十三第二項において同じ。)」を削り、同号ニ中「若しくは高速取引行為者」を「、高速取引行為者」に、「金融サービス仲介業者」を「投資運用関係業務受託業者であつた法人が第六十六条の八十五第一項の規定により第六十六条の七十一の登録を取り消されたことがある場合若しくは金融サービス仲介業者」に改め、同号ホ中「若しくは高速取引行為者」を「、高速取引行為者」に、「金融サービス仲介業者」を「投資運用関係業務受託業者であつた個人が第六十六条の八十五第一項の規定により第六十六条の七十一の登録を取り消されたことがある場合若しくは金融サービス仲介業者」に改め、同号ヘ⑾を同号ヘ⑿とし、同号ヘ⑽の次に次のように加える。

⑾ 第六十六条の八十五第一項の規定による第六十六条の七十一の登録の取消しの処分に係る行政手続法第十五条の規定による通知があつた日から当該処分をする日又は処分をしないことの決定をする日までの間に第六十六条の八十三第一項第二号から第七号までのいずれかに該当する旨の同項の規定による届出をした法人(同項第三号から第五号までのいずれかに該当する旨の同項の規定による届出をした場合にあつては、当該届出に係る投資運用関係業務受託業者であつた法人とし、当該通知があつた日前に投資運用関係業務受託業を廃止し、合併(投資運用関係業務受託業者が合併により消滅する場合の当該合併に限る。)をし、解散をし、分割により投資運用関係業務受託業に係る事業の全部を承継させ、又は投資運用関係業務受託業に係る事業の全部の譲渡をすることについての決定(当該法人の業務執行を決定する機関の決定をいう。)をしていた者を除く。)の役員であつた者で、当該届出の日から五年を経過しないもの第二十九条の四第一項第二号ト中「前号ロ」を「第一号ロ」に改め、同号チ中「若しくは第六十六条の六十三第二項」を「、第六十六条の六十三第二項若しくは第六十六条の八十五第二項」に改め、同号リ中「前号ハ」を「第一号ハ」に改め、「(平成三年法律第七十七号)」を削り、同項第三号を次のように改める。

三 個人である場合においては、次のいずれかに該当する者

イ 登録申請の対象となる金融商品取引業に係る業務のそれぞれにつき、その執行について必要となる十分な知識及び経験を有していないと認められる者

ロ 前号イからチまで若しくはリ(第一号ハに規定する法律の規定に係る部分を除く。)のいずれかに該当する者又は政令で定める使用人のうち前号イからリまでのいずれかに該当する者のある者

第二十九条の四の二第七項中「第二条第十一項、」及び「第二条第十一項及び」を削る。第二十九条の四の三の次に次の一条を加える。

非上場有価証券特例仲介等業者についての登録等の特例

第二十九条の四の四 第二十九条の登録を受けようとする者が第一種金融商品取引業のうち非上場有価証券特例仲介等業務のみを行おうとする場合における非上場有価証券特例仲介等業務についての第二十九条の二第一項第五号及び第二項第一号の規定の適用については、同条第一項第五号中「投資運用業の種別」とあるのは「投資運用業の種別(第二十九条の四の四第八項に規定する非上場有価証券特例仲介等業務にあつては、これに該当する旨を含む。)」と、同条第二項第一号中「第五号ハ」とあるのは「第五号ハ、第六号イ」とする。

2 第二十九条の四第一項第五号ハ及び第六号イの規定(これらの規定を第三十一条第五項において準用する場合を含む。)は、前項の場合又は第三十一条第四項の変更登録を受けようとする者が第一種金融商品取引業のうち非上場有価証券特例仲介等業務のみを行おうとする場合における非上場有価証券特例仲介等業務については、適用しない。

3 非上場有価証券特例仲介等業者(投資運用業を行う者を除く。次項において同じ。)は、第三十五条第三項の規定にかかわらず、同条第二項各号に掲げる業務を行うこととなつた旨を内閣総理大臣に届け出ることを要しない。

4 非上場有価証券特例仲介等業者は、金融商品取引業並びに第三十五条第一項及び第二項の規定により行う業務以外の業務を行う場合には、同条第四項の規定にかかわらず、内閣総理大臣の承認を受けることを要しない。

5 第四十六条の五及び第四十六条の六の規定は、非上場有価証券特例仲介等業者については、適用しない。

6 非上場有価証券特例仲介等業者が非上場有価証券特例仲介等業務を行う場合における第二十七条の二第四項(第二十七条の二十二の二第二項において準用する場合を含む。)、第二十七条の二十六第一項及び第六十六条の二第一項第四号の規定の適用については、これらの規定中「第一種金融商品取引業」とあるのは「第一種金融商品取引業(第二十九条の四の四第八項に規定する非上場有価証券特例仲介等業務を除く。)」と、第二十七条の二十六第一項中「同条第四項」とあるのは「第二十八条第四項」とする。

7第三項から前項までの「非上場有価証券特例仲介等業者」とは、登録申請書に非上場有価証券特例仲介等業務に該当する旨を記載して第二十九条の登録又は第三十一条第四項の変更登録を受けた者(第三十条第一項の認可を受けた者を除く。)をいう。

8 第一項、第二項及び前二項の「非上場有価証券特例仲介等業務」とは、第一種金融商品取引業のうち、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいう。

一 有価証券(金融商品取引所に上場されていないものに限り、政令で定めるものを除く。)に係る次に掲げる行為

売付けの媒介又は第二条第八項第九号に掲げる行為(一般投資家(特定投資家等、当該有価証券の発行者その他内閣府令で定める者以外の者をいう。以下この号において同じ。)を相手方として行うもの及び一般投資家に対する勧誘に基づき当該一般投資家のために行うものを除く。)

・第二条第八項第九号に掲げる行為・・・有価証券の募集若しくは売出しの取扱い又は私募若しくは特定投資家向け売付け勧誘等の取扱い

買付けの媒介(一般投資家のために行うもの及び一般投資家に対する勧誘に基づき当該一般投資家を相手方として行うものを除く。)

二 前号に掲げる行為に関して顧客から金銭の預託を受けること(同号に掲げる行為による取引の決済のために必要なものであつて、当該預託の期間が政令で定める期間を超えないものに限る。)。

第二十九条の五第五項中「第二条第十一項及び」及び「、第二条第十一項中「同条第四項に規定する投資運用業」とあるのは「同条第四項に規定する投資運用業(第二十九条の五第一項に規定する適格投資家向け投資運用業を除く。)」と、「同項」とあるのは「第二十八条第四項」と」を削り、「「規定する投資運用業(」を「、「規定する投資運用業(」に改める。第三十条第一項に次のただし書を加える。

 ただし、当該行為を次に掲げる有価証券のみについて行う場合であつて、当該行為に係る有価証券の売買高の合計額が、当該行為を安定的に行うことが困難となつた場合であつても多数の者に影響を及ぼすおそれが少ないと認められる基準として政令で定める基準以下のときは、この限りでない。

一 第二条第一項第九号に掲げる有価証券(金融商品取引所に上場されている有価証券、店頭売買有価証券その他政令で定める有価証券を除く。

二 第二条第一項第十四号に掲げる有価証券(金融商品取引所に上場されている有価証券、店頭売買有価証券及び前号に規定する政令で定める有価証券を除く。)

三 前二号に掲げる有価証券に表示されるべき権利であつて、第二条第二項の規定により有価証券とみなされるもの

四 前三号に掲げるもののほか、当該行為を安定的に行うことが困難となつた場合であつても多数の者に影響を及ぼすおそれが少ないと認められる有価証券として政令で定めるもの

第三十一条第一項及び第四項中「、第六号」を「から第六号まで」に改め、同条第五項中「第三号」を「第三号ロ」に改め、同条に次の一項を加える。

7 金融商品取引業者は、第三項の規定にかかわらず、第二十九条の二第二項第二号に掲げる書類に記載した業務の内容又は方法のうち、第二条第八項第十号に掲げる行為(第三十条第一項ただし書の規定により行うものに限る。)に係るものであつて、有価証券の取引の公正の確保の必要性、決済の確保の必要性その他の事情を勘案し、公益又は投資者保護のため特に必要なものとして内閣府令で定めるものについて変更をしようとするときは、その日の三十日前までに、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

第三十三条第一項中「、次条及び第二百一条」を「及び次条」に改める。

第三十三条の五第一項第一号中「若しくは第六十六条の六十三第一項」を「第六十六条の六十三第一項」に改め、「第六十六条の五十の登録を取り消され」の下に「、若しくは第六十六条の八十五第一項の規定により第六十六条の七十一の登録を取り消され」を加え、同項第三号を次のように改める。

三 次のいずれかに該当する者

イ 登録金融機関業務のそれぞれにつき、その執行について必要となる十分な知識及び経験を有する役員又は使用人を確保していないと認められる者

ロ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第二号に規定する暴力団又は同条第六号に規定する暴力団員との関係その他の事情に照らし、登録金融機関業務の信用を失墜させるおそれがあると認められる者

ハ その他登録金融機関業務を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者として内閣府令で定める基準に該当する者第三十三条の八第一項中「並びに第五十二条の二第一項第四号」を「、第三十三条の三第一項、第三十三条の四第一項第一号、第三十三条の五第一項第三号イ、第三十三条の六第一項、第五十二条の二第一項第四号並びに第百九十四条の六第二項」に、「同号」を「第三十三条の三第一項中「事項を」とあるのは「事項並びに投資運用関係業務を委託する場合においては、その旨並びに委託先の商号、名称又は氏名及び当該委託先に委託する投資運用関係業務の内容その他内閣府令で定める事項を」と、第三十三条の四第一項第一号中「前条第一項各号に掲げる」とあるのは「前条第一項に規定する」と、第三十三条の五第一項第三号イ中「認められる者」とあるのは「認められる者。

ただし、登録申請者が投資運用関係業務を投資運用関係業務受託業者(当該投資運用関係業務を行うことにつき第六十六条の七十一の登録又は第六十六条の七十五第四項の変更登録を受けている者に限る。)に委託する場合における当該投資運用関係業務については、その業務の監督を適切に行う能力を有する役員又は使用人を確保していれば足りるものとする。」と、第三十三条の六第一項中「第三十三条の三第一項各号に掲げる」とあるのは「第三十三条の三第一項に規定する」と、第五十二条の二第一項第四号」に、「投資運用業」とする」を「投資運用業」と、第百九十四条の六第二項中「掲げる事項」とあるのは「規定する事項」とする」に改める。第四十二条の三第二項を次のように改める。

2 金融商品取引業者等は、前項の規定により委託をする場合においては、当該委託を受ける者に対し、運用の対象及び方針を示し、かつ、内閣府令で定めるところにより、運用状況の管理その他の当該委託に係る業務の適正な実施を確保するための措置を講じなければならない。

第五十二条第一項第一号中「、第二号又は第三号」を「から第三号までのいずれか」に改める。

第五十九条の四第一項第一号及び第六十条の三第一項第一号ト中「若しくは第六十六条の六十三第一項」を「第六十六条の六十三第一項」に改め、「第六十六条の五十の登録を取り消され」の下に「、若しくは第六十六条の八十五第一項の規定により第六十六条の七十一の登録を取り消され」を加え、「若しくは第六十六条の五十」を「、第六十六条の五十若しくは第六十六条の七十一」に改める。第六十三条第七項第二号ロ中「第二十九条の四第一項第三号」を「第二十九条の四第一項第三号ロ」に改める。

第六十三条の九第一項中第九号を第十号とし、第八号を第九号とし、第七号の次に次の一号を加える。八 投資運用関係業務を委託する場合においては、その旨並びに委託先の商号、名称又は氏名及び当該委託先に委託する投資運用関係業務の内容その他内閣府令で定める事項

第六十三条の九第六項第一号ロを次のように改める。

ロ 次のいずれかに該当する者

  •  (1)暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第二号に規定する暴力団又は同条第六号に規定する暴力団員との関係その他の事情に照らし、海外投資家等特例業務の信用を失墜させるおそれがあると認められる者
  •  (2)その他海外投資家等特例業務を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者として内閣府令で定める基準に該当する者

第六十三条の九第六項第二号に次のように加える。

ト 届出の対象となる海外投資家等特例業務のそれぞれにつき、その執行について必要となる十分な知識及び経験を有する役員又は使用人を確保していないと認められる者。

 ただし、届出を行う者が投資運用関係業務を投資運用関係業務受託業者(当該投資運用関係業務を行うことにつき第六十六条の七十一の登録又は第六十六条の七十五第四項の変更登録を受けている者に限る。)に委託する場合における当該投資運用関係業務については、その業務の監督を適切に行う能力を有する役員又は使用人を確保していれば足りるものとする。

第六十三条の九第六項第三号イ中「第二十九条の四第一項第三号」を「第二十九条の四第一項第三号ロ」に改め、同号に次のように加える。

ハ 届出の対象となる海外投資家等特例業務のそれぞれにつき、その執行について必要となる十分な知識及び経験を有していないと認められる者。

ただし、届出を行う者が投資運用関係業務を投資運用関係業務受託業者(当該投資運用関係業務を行うことにつき第六十六条の七十一の登録又は第六十六条の七十五第四項の変更登録を受けている者に限る。)に委託する場合における当該投資運用関係業務については、その業務の監督を適切に行う能力を有する者であることをもつて足りるものとする。

第三章の四の次に次の一章を加える。

第三章の五 投資運用関係業務受託業者

第一節 総則(登録)

第六十六条の七十一 投資運用関係業務受託業を行う者は、内閣総理大臣の登録を受けることができる。

(登録の申請)第六十六条の七十二 前条の登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した登録申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。一 商号、名称又は氏名二 財産的基礎に係る事項として内閣府令で定めるもの三 法人であるときは、役員の氏名又は名称

四 主たる営業所又は事務所(外国法人又は外国に住所を有する個人にあつては、主たる営業所又は事務所及び国内における主たる営業所又は事務所)の名称及び所在地

五 登録申請の対象となる投資運用関係業務受託業を行う営業所又は事務所の名称及び所在地

六 業務の種別(第二条第四十三項各号に掲げる業務の種別をいう。)

七 他に事業を行つているときは、その事業の種類八 その他内閣府令で定める事項

2 前項の登録申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。

一 第六十六条の七十四各号(第二号から第五号まで、第七号ハ及び第八号ハを除く。)のいずれにも該当しないことを誓約する書面

二 投資運用関係業務受託業の業務の内容及び方法として内閣府令で定めるものを記載した書類

三 法人である場合においては、定款及び法人の登記事項証明書(これらに準ずるものを含む。)

四 その他内閣府令で定める書類

3 前項第三号に掲げる書類を添付する場合において、定款が電磁的記録で作成されているときは、書類に代えて電磁的記録(内閣府令で定めるものに限る。)を添付することができる。

(登録簿への登録)第六十六条の七十三 内閣総理大臣は、第六十六条の七十一の登録の申請があつた場合においては、次条の規定により登録を拒否する場合を除くほか、次に掲げる事項を投資運用関係業務受託業者登録簿に登録しなければならない。

一 前条第一項各号に掲げる事項

二 登録年月日及び登録番号

2 内閣総理大臣は、投資運用関係業務受託業者登録簿を公衆の縦覧に供しなければならない。

(登録の拒否)第六十六条の七十四 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録のうちに虚偽の記載若しくは記録があり、若しくは重要な事実の記載若しくは記録が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。

一 第二十九条の四第一項第一号イからハまでのいずれかに該当する者

二 他に行う事業が公益に反すると認められる者

三 次のいずれかに該当する者

イ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第二号に規定する暴力団又は同条第六号に規定する暴力団員との関係その他の事情に照らし、投資運用関係業務受託業の信用を失墜させるおそれがあると認められる者

ロ その他投資運用関係業務受託業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者として内閣府令で定める基準に該当する者

四 その行おうとする投資運用関係業務受託業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者

五 財産的基礎を有しない者

六 国内に営業所又は事務所を有しない者

七 法人である場合においては、次のいずれかに該当する者

イ 役員のうちに次のいずれかに該当する者のある者

  •  (1)心身の故障により投資運用関係業務受託業に係る業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定める者
  •  (2)第二十九条の四第一項第二号ロからリまでのいずれかに該当する者

ロ 外国法人であつて国内における代表者又は国内における代理人を定めていない者

ハ 登録申請の対象となる投資運用関係業務受託業に係る業務のそれぞれにつき、その執行について必要となる十分な知識及び経験を有する役員又は使用人を確保していないと認められる者

八 個人である場合においては、次のいずれかに該当する者

イ 第二十九条の四第一項第二号ロからチまで若しくはリ(同項第一号ハに規定する法律の規定に係る部分を除く。)又は前号イ⑴のいずれかに該当する者

ロ 外国に住所を有する個人であつて国内における代理人を定めていない者ハ 登録申請の対象となる投資運用関係業務受託業に係る業務のそれぞれにつき、その執行について必要となる十分な知識及び経験を有していないと認められる者

(変更登録等)第六十六条の七十五 投資運用関係業務受託業者は、第六十六条の七十二第一項各号(第六号を除く。)に掲げる事項について変更があつたときは、その日から二週間以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出を受理したときは、届出があつた事項を投資運用関係業務受託業者登録簿に登録しなければならない。

3 投資運用関係業務受託業者は、第六十六条の七十二第二項第二号に掲げる書類に記載した業務の内容又は方法について変更があつたときは、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

4 投資運用関係業務受託業者は、第六十六条の七十二第一項第六号に掲げる事項について変更をしようとするときは、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣の行う変更登録を受けなければならない。

5 前二条の規定は、前項の変更登録について準用する。この場合において、第六十六条の七十三第一項中「次に掲げる事項」とあるのは「変更に係る事項」と、前条中「次の各号」とあるのは「第三号から第五号まで、第七号ハ若しくは第八号ハ」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第二節 業務

(誠実義務)第六十六条の七十六 投資運用関係業務受託業者並びにその役員及び使用人は、委託者のため誠実かつ公正にその業務を遂行しなければならない。

(委託者に対する義務)第六十六条の七十七 投資運用関係業務受託業者は、委託者のため忠実にその業務を遂行しなければならない。

2 投資運用関係業務受託業者は、委託者に対し、善良な管理者の注意をもつてその業務を遂行しなければならない。

(業務管理体制の整備)第六十六条の七十八 投資運用関係業務受託業者は、その行う投資運用関係業務受託業を適確に遂行するため、内閣府令で定めるところにより、業務管理体制を整備しなければならない。

(名義貸しの禁止)第六十六条の七十九 投資運用関係業務受託業者は、自己の名義をもつて、他人に投資運用関係業務受託業を行わせてはならない。

(再委託の禁止)第六十六条の八十 投資運用関係業務受託業者は、他の者に投資運用関係業務(当該投資運用関係業務を行うことにつき第六十六条の七十一の登録又は第六十六条の七十五第四項の変更登録を受けているものに限る。次項において同じ。)を委託してはならない。

ただし、内閣総理大臣の承認を受けたときは、この限りでない。

2 内閣総理大臣は、前項ただし書の承認の申請があつた場合には、投資運用関係業務の委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を行うことが承認申請者に当該投資運用関係業務を委託した者における投資運用業等の適確な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるときに限り、承認しないものとする。

(記録の保存)第六十六条の八十一 投資運用関係業務受託業者は、内閣府令で定めるところにより、投資運用関係業務受託業に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。

第三節 監督

(事業報告書の提出)第六十六条の八十二 投資運用関係業務受託業者は、事業年度ごとに、内閣府令で定めるところにより、事業報告書を作成し、毎事業年度経過後三月以内に、これを内閣総理大臣に提出しなければならない。

(廃業等の届出等)第六十六条の八十三 投資運用関係業務受託業者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、当該各号に定める者は、その日から三十日以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

一 投資運用関係業務受託業者である個人が死亡したとき その相続人

二 投資運用関係業務受託業(第六十六条の七十一の登録又は第六十六条の七十五第四項の変更登録を受けているものに限る。第六号において同じ。)を廃止したとき その法人又は個人

三 投資運用関係業務受託業者である法人が合併により消滅したとき その法人を代表する役員であつた者

四 投資運用関係業務受託業者である法人が破産手続開始の決定により解散したとき その破産管財人

五 投資運用関係業務受託業者である法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散したとき その清算人

六 投資運用関係業務受託業者である法人が分割により事業(投資運用関係業務受託業に係る事業に限る。次号において同じ。)の全部を承継させたとき その法人

七 事業の全部を譲渡したとき その法人又は個人

2 投資運用関係業務受託業者が前項各号のいずれかに該当することとなつたときは、当該投資運用関係業務受託業者の第六十六条の七十一の登録は、その効力を失う。

(業務改善命令)第六十六条の八十四 内閣総理大臣は、投資運用関係業務受託業者の業務の運営又は財産の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該投資運用関係業務受託業者に対し、業務の方法の変更その他業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

(監督上の処分)第六十六条の八十五 内閣総理大臣は、投資運用関係業務受託業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該投資運用関係業務受託業者の第六十六条の七十一の登録を取り消し、又は六月以内の期間を定めて投資運用関係業務受託業の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

第六十六条の七十四各号(第七号イを除く。)のいずれかに該当することとなつたとき。

二 不正の手段により第六十六条の七十一の登録を受けたとき。

三 投資運用関係業務受託業に関し法令又は法令に基づいてする行政官庁の処分に違反したとき。

四 投資運用関係業務受託業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき。

2 内閣総理大臣は、投資運用関係業務受託業者の役員(外国法人にあつては、国内における営業所若しくは事務所に駐在する役員又は国内における代表者に限る。以下この項において同じ。)が、第六十六条の七十四第七号イ⑴若しくは⑵に該当することとなつたとき、第六十六条の七十一の登録当時既に同号イ⑴若しくは⑵に該当していたことが判明したとき、又は前項第三号若しくは第四号に該当することとなつたときは、当該投資運用関係業務受託業者に対して、当該役員の解任を命ずることができる。

3 内閣総理大臣は、投資運用関係業務受託業者の営業所若しくは事務所の所在地を確知できないとき、又は投資運用関係業務受託業者の所在(法人である場合においては、その法人を代表する役員の所在)を確知できないときは、内閣府令で定めるところにより、その事実を公告し、その公告の日から三十日- 37を経過しても当該投資運用関係業務受託業者から申出がないときは、当該投資運用関係業務受託業者の登録を取り消すことができる。

4 前項の規定による処分については、行政手続法第三章の規定は、適用しない。

(監督処分の公告)第六十六条の八十六 内閣総理大臣は、前条第一項若しくは第三項の規定により第六十六条の七十一の登録を取り消し、又は前条第一項の規定により業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。

(登録の抹消)第六十六条の八十七 内閣総理大臣は、投資運用関係業務受託業者から第六十六条の七十一の登録の抹消の申請があつたとき、第六十六条の八十三第二項の規定により第六十六条の七十一の登録がその効力を失つたとき、又は第六十六条の八十五第一項若しくは第三項の規定により第六十六条の七十一の登録を取り消したときは、当該登録を抹消しなければならない。

(報告の徴取及び検査)第六十六条の八十八 内閣総理大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、投資運用関係業務受託業者、これと取引をする者若しくは当該投資運用関係業務受託業者から業務の委託を受けた者(その者から委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を受けた者を含む。以下この条において同じ。)に対し当該投資運用関係業務受託業者の業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に当該投資運用関係業務受託業者若しくは当該投資運用関係業務受託業者から業務の委託を受けた者の業務若しくは財産の状況若しくは記録その他の物件の検査(当該投資運用関係業務受託業者から業務の委託を受けた者にあつては、当該投資運用関係業務受託業者の業務又は財産に関し必要な検査に限る。)をさせることができる。

(審問等)第六十六条の八十九 内閣総理大臣は、第六十六条の七十一の登録又は第六十六条の七十五第四項の変更登録を拒否しようとするときは、登録申請者又は投資運用関係業務受託業者に通知して、当該職員に、当該登録申請者又は当該投資運用関係業務受託業者につき審問を行わせなければならない。

2 内閣総理大臣は、第六十六条の八十四又は第六十六条の八十五第一項の規定に基づいて処分をしようとするときは、行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。

3 内閣総理大臣は、第六十六条の七十一の登録若しくは第六十六条の七十五第四項の変更登録をし、若しくはしないこととしたとき、又は第六十六条の八十四若しくは第六十六条の八十五第一項若しくは第二項の規定に基づいて処分をすることとしたときは、書面により、その旨を登録申請者又は投資運用関係業務受託業者に通知しなければならない。

第四節 雑則

(職務代行者)第六十六条の九十 内閣総理大臣は、投資運用関係業務受託業者(外国法人に限る。以下この条において同じ。)の国内における代表者が欠けた場合において、必要があると認めるときは、一時その職務を行うべき者(次項において「職務代行者」という。)を選任することができる。この場合において、当該投資運用関係業務受託業者は、国内における主たる営業所又は事務所の所在地において、その登記をしなければならない。

2 内閣総理大臣は、前項の規定により職務代行者を選任したときは、投資運用関係業務受託業者に対し、当該職務代行者に相当額の報酬を支払うべき旨を命ずることができる。(外国法人等に対するこの法律の規定の適用に当たつての技術的読替え等)第六十六条の九十一 投資運用関係業務受託業者が外国法人又は外国に住所を有する個人である場合における第六十六条の八十二の規定の適用については、同条中「三月以内」とあるのは、「政令で定める期間内」とするほか、投資運用関係業務受託業者が外国法人又は外国に住所を有する個人である場合におけるこの法律の規定の適用に当たつての技術的読替えその他当該外国法人又は個人に対するこの法律の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(内閣府令への委任)第六十六条の九十二 第六十六条の七十一から前条までの規定を実施するための手続その他必要な事項は、内閣府令で定める。

(投資運用関係業務受託業者の自主的努力の尊重)第六十六条の九十三 内閣総理大臣は、投資運用関係業務受託業者を監督するに当たつては、業務の運営についての投資運用関係業務受託業者の自主的な努力を尊重するよう配慮しなければならない。第八十二条第二項第二号及び第百六条の十二第二項第三号中「若しくは第六十六条の六十三第一項」を「、第六十六条の六十三第一項若しくは第六十六条の八十五第一項」に改める。

 第百五十五条の三第二項第三号中「若しくは第六十六条の六十三第一項」を「第六十六条の六十三第一項」に改め、「第六十六条の五十の登録を取り消され」の下に「、若しくは第六十六条の八十五第一項若しくは第三項の規定により第六十六条の七十一の登録を取り消され」を加え、「若しくは第六十六条の五十」を「、第六十六条の五十若しくは第六十六条の七十一」に改める。

 第百五十六条の四第二項第三号、第百五十六条の二十の四第二項第三号及び第百五十六条の二十の十八第二項第三号中「若しくは第六十六条の六十三第一項」を「、第六十六条の六十三第一項若しくは第六十六条の八十五第一項」に改める。第百五十六条の二十五第二項第四号中「、第百五十二条第一項」を「若しくは第百五十二条第一項」に、「又は第五十二条第一項」を「若しくは第五十二条第一項」に、「若しくは第六十六条の六十三第一項」を「第六十六条の六十三第一項」に改め、「第六十六条の五十の登録を取り消され」の下に「、若しくは第六十六条の八十五第一項の規定により第六十六条の七十一の登録を取り消され」を加える。

 第百六十三条第一項及び第百六十六条第一項中「第百九十七条の二第十四号」を「第百九十七条の二第一項第十四号」に改める。第百六十七条第一項中「有価証券(以下この条」を「有価証券(以下この項」に、「第百九十七条の二第十五号」を「第百九十七条の二第一項第十五号」に改め、同条第三項中「第百九十七条の二第十五号」を「第百九十七条の二第一項第十五号」に改める。第百八十八条中「高速取引行為者」の下に「、投資運用関係業務受託業者」を加える。第百九十条第一項及び第百九十四条の七第三項中「第六十六条の六十七」の下に「、第六十六条の八十八」を加える。第百九十七条第一項中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同項第一号から第四号までの規定中「者」を「とき。」に改め、同項第四号の二中「した者」を「したとき。」に改め、同項第五号中「者」を「とき」に、「除く。)」を「除く。)。」に改め、同項第六号中「者」を「とき。」に改め、同条第二項中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同項第一号中「者」を- 43「とき」に、「除く。)」を「除く。)。」に改め、同項第二号中「者」を「とき。」に改める。

第百九十七条の二中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条第一号から第七号までの規定中「者」を「とき。」に改め、同条第八号中「第二十七条の九第三項」を「第二十七条の九第四項」に、「者」を「とき。」に改め、同条第九号中「者又は」を「とき、又は」に、「撤回等を行う旨の公告を行つた者」を「撤回等を行う旨の公告を行つたとき。」に改め、同条第十号及び第十号の二中「者」を「とき。」に改め、同条第十号の三中「者又は」を「とき、又は」に、「違反した者」を「違反したとき。」に改め、同条第十号の四から第十号の八までの規定中「者」を「とき。」に改め、同条第十一号及び第十二号を削り、同条第十号の十中「者」を「とき。」に改め、同号を同条第十二号とし、同条第十号の九中「者」を「とき。」に改め、同号を同条第十一号とし、同条第十三号中「者(」を「とき(」に、「又は」を「、又は」に、「第三項の規定に違反した者」を「第三項の規定に違反したとき。」に改め、同条第十四号及び第十五号中「者(」を「とき(」に、「限る。)」を「限る。)。」に改め、同条に次の一項を加える。

2 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 第百一条の九の規定により発行する株式を引き受ける者の募集(私募を含む。以下この号において同じ。)をするに当たり、重要な事項について虚偽の記載のある目論見書、当該募集の広告その他の当該募集に関する文書を行使した会員金融商品取引所の役員(仮理事及び仮監事を含む。次号において同じ。)又は事業に関するある種類若しくは特定の事項の委任を受けた使用人

二 第百一条の九の規定により発行する株式の払込みを仮装するため預合いを行つた会員

 金融商品取引所の役員若しくは事業に関するある種類若しくは特定の事項の委任を受けた使用人又は当該預合いに応じた者第百九十八条中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条第一号中「若しくは第六十六条の五十」を「、第六十六条の五十若しくは第六十六条の七十一」に改め、「第三十一条第四項」の下に「若しくは第六十六条の七十五第四項」を加え、「者」を「とき。」に改め、同条第二号中「又は第六十六条の三十四」を「、第六十六条の三十四又は第六十六条の七十九」に、「又は信用格付業」を「、信用格付業又は投資運用関係業務受託業」に、「者」を「とき。」に改め、同条第二号の二中「者」- 45を「とき」に、「限る。)」を「限る。)。」に改め、同条第二号の三から第三号の四までの規定中「者」を「とき。」に改め、同条第四号中「者又は」を「とき、又は」に、「行わせた者」を「行わせたとき。」に改め、同条第五号を削り、同条第四号の二中「者」を「とき。」に改め、同号を同条第五号とし、同条第六号から第八号までの規定中「者」を「とき。」に改め、同条に次の一項を加える。

2 第百一条の九の規定により発行する株式の総数の引受け、払込み若しくは金銭以外の財産の給付又は同条第三号に掲げる事項について、内閣総理大臣、裁判所又は会員の総会に対して虚偽の申述を行い、又は事実を隠蔽した会員金融商品取引所の役員(仮理事及び仮監事を含む。)若しくは検査役又は株式会社金融商品取引所の取締役若しくは監査役となるべき者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第百九十八条の二第一項第一号中「第百九十七条の二第十三号」を「第百九十七条の二第一項第十三号」に改める。第百九十八条の四中「者」を「ときは、当該違反行為をした者」に改める。

第百九十八条の五中「に掲げる違反があつた場合においては、その行為をした金融商品取引業者等、指定親会社、取引所取引許可業者、電子店頭デリバティブ取引等許可業者、特例業務届出者、海外投資家等特例業務届出者、金融商品仲介業者、信用格付業者、高速取引行為者、認可金融商品取引業協会若しくは第七十八条第二項に規定する認定金融商品取引業協会、金融商品取引所、第八十五条第一項に規定する自主規制法人、金融商品取引所持株会社、外国金融商品取引所、金融商品取引清算機関、外国金融商品取引清算機関、証券金融会社、取引情報蓄積機関若しくは特定金融指標算出者の代表者、代理人、使用人その他の従業者又は金融商品取引業者、特例業務届出者、海外投資家等特例業務届出者、金融商品仲介業者、高速取引行為者若しくは特定金融指標算出者」を「のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者」に改め、同条第二号中「又は第六十六条の六十三第一項」を「、第六十六条の六十三第一項又は第六十六条の八十五第一項」に改める。

第百九十八条の六中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条第一号中「第六十六条の五十一」の下に「、第六十六条の七十二」を加え、「者」を「とき。」に改め、同条第二号中「者(」を「とき(」に、「又は第六十六条の十四第一号イの規定に違反した者」を「、又は第六十六条の十四第一号イの規定に違反したとき。」に改め、同条第二号の二中「者」を「とき。」に改め、同条第三号- 47中「第六十六条の五十八」の下に「、第六十六条の八十一」を、「書類」の下に「若しくは記録」を加え、「者」を「とき。」に改め、同条第四号中「第六十六条の五十九」の下に「、第六十六条の八十二」を加え、「者」を「とき。」に改め、同条第五号から第七号までの規定中「者」を「とき。」に改め、同条第八号中「又は第六十六条の六十一第一項」を「、第六十六条の六十一第一項又は第六十六条の八十三第一項」に、「者」を「とき。」に改め、同条第九号中「者」を「とき。」に改め、同条第十号及び第十一号中「第六十六条の六十七」の下に「、第六十六条の八十八」を加え、「者」を「とき。」に改め、同条第十一号の二から第十八号までの規定中「者」を「とき。」に改める。

第二百条中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条第一号から第八号までの規定中「者」を「とき。」に改め、同条第九号中「第二十七条の九第二項又は第三項」を「第二十七条の九第三項又は第四項」に、「者」を「とき。」に改め、同条第十号から第十二号までの規定中「者」を「とき。」に改め、同条第十二号の二中「者又は」を「とき、又は」に、「違反した者」を「違反したとき。」に改め、同条第十二号の三から第二十一号までの規定中「者」を「とき。」に改める。

第二百一条中「に掲げる違反があつた場合においては、その行為をした金融商品取引業者等、金融機関、第五十九条の規定により許可を受けた者、取引所取引許可業者、電子店頭デリバティブ取引等許可業者、金融商品仲介業者、認可金融商品取引業協会、金融商品取引所、第八十五条第一項に規定する自主規制法人、第百六条の三第一項の規定により認可を受けた者、金融商品取引所持株会社、第百六条の十七第一項の規定により認可を受けた者、商品取引所、商品取引所持株会社、外国金融商品取引所、金融商品取引清算機関、金融商品取引清算機関の主要株主(第百五十六条の五の八に規定する主要株主をいう。以下この条において同じ。)若しくは証券金融会社の代表者、代理人、使用人その他の従業者又は金融商品取引業者、金融商品仲介業者若しくは金融商品取引清算機関の主要株主」を「のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者」に改め、同条第一号中「とき」の下に「(同項ただし書の規定により行う場合を除く。)」を加える。

第二百五条中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条第一号から第十三号までの規定中「者」を「とき。」に改め、同条第十三号の二中「者又は」を「とき、又は」に、「をした者」を「をしたとき。」に改め、同条第十四号から第二十号までの規定中「者」を「とき。」に改める。

第二百五条の二中「者」を「ときは、当該違反行為をした者」に改める。

第二百五条の二の二中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条各号中「者」を「とき。」に改める。

第二百五条の二の三中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条第一号中「第三十一条第一項若しくは第三項」を「第三十一条第一項、第三項若しくは第七項」に改め、「第六十六条の六十」の下に「、第六十六条の七十五第一項若しくは第三項」を加え、「者」を「とき。」に改め、同条第二号から第十二号までの規定中「者」を「とき。」に改め、同条第十三号及び第十四号を削り、同条に次の一項を加える。

2 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

一 第七十九条の七十七の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした投資者保護基金の役員(仮理事及び仮監事を含む。)若しくは職員又は第七十九条の五十第一項の規定により投資者保護基金の委託を受けた者(当該者が法人であるときは、その代表者、代理人、使用人その他の従業者)

二 第七十九条の七十七の規定による検査を拒み、若しくは忌避した投資者保護基金の役員(仮理事及び仮監事を含む。)若しくは職員若しくは第七十九条の五十第一項の規定により投資者保護基金の委託を受けた者(当該者が法人であるときは、その代表者、代理人、使用人その他の従業者)又は当該検査を妨げた者第二百六条各号列記以外の部分を次のように改める。

次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。

第二百六条中第五号を削り、第六号を第五号とし、第七号から第九号までを一号ずつ繰り上げ、第九号の二を第九号とし、同条に次の一項を加える。

2 第七十九条の五十五第四項若しくは第七十九条の五十九第五項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした投資者保護基金の役員(仮理事及び仮監事を含む。)又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。

第二百七条第一項第二号中「第百九十七条の二(第十一号及び第十二号を除く。)」を「第百九十七条の二第一項」に改め、同項第三号中「第百九十八条(第四号の二及び」を「第百九十八条第一項(」に改め、同項第六号中「第百九十八条第四号の二」を「第百九十八条第一項第五号」に、「第二百五条の二の三(第十三号及び第十四号を除く。)又は前条(第五号を除く。)」を「第二百五条の二の三第一項又は前条第一項」に改め、同条第二項中「第百九十七条の二(第十一号及び第十二号を除く。)」を「第百九十七条の二第一項」に改める。

第二百七条の二中「第百九十七条の二第十二号」を「第百九十七条の二第二項第二号」に、「第百九十八条第五号」を「第百九十八条第二項」に改める。第二百八条中「若しくは高速取引行為者の」を「、高速取引行為者若しくは投資運用関係業務受託業者の」に、「金融商品取引業者、金融商品取引業者の特定主要株主、特例業務届出者、海外投資家等特例業務届出者、金融商品仲介業者若しくは高速取引行為者」を「個人である金融商品取引業者、金融商品取引業者の個人である特定主要株主、個人である特例業務届出者、個人である海外投資家等特例業務届出者、個人である金融商品仲介業者、個人である高速取引行為者若しくは個人である投資運用関係業務受託業者」に、「若しくは外国法人である高速取引行為者」を「、外国法人である高速取引行為者若しくは外国法人である投資運用関係業務受託業者」に、「又は特定金融指標算出者」を「又は個人である特定金融指標算出者」に改め、同条第五号中「第六十六条の六十二」の下に「、第六十六条の八十四」を加える。

第二百九条第七号中「又は第六十六条の四十六第二項」を「、第六十六条の四十六第二項又は第六十六条の九十第二項」に改める。第二百九条の五から第二百九条の七までの規定中「第百九十七条の二第十三号」を「第百九十七条の二第一項第十三号」に改める。附則第三条の三第一項中第九号を第十号とし、第八号を第九号とし、第七号の次に次の一号を加える。

八 投資運用関係業務を委託する場合においては、その旨並びに委託先の商号、名称又は氏名及び当該委託先に委託する投資運用関係業務の内容その他内閣府令で定める事項

附則

第三条の三第三項第一号ニを次のように改める。

ニ 次のいずれかに該当する者

  •  (1)暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第二号に規定する暴力団又は同条第六号に規定する暴力団員との関係その他の事情に照らし、移行期間特例業務の信用を失墜させるおそれがあると認められる者
  •  (2)その他移行期間特例業務を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者として内閣府令で定める基準に該当する者

附則第三条の三第三項第二号に次のように加える。

ト 届出の対象となる移行期間特例業務のそれぞれにつき、その執行について必要となる十分な知識及び経験を有する役員(相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、当該法人に対し取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。トにおいて同じ。)又は使用人を確保していないと認められる者。

 ただし、届出を行う者が投資運用関係業務を投資運用関係業務受託業者(当該投資運用関係業務を行うことにつき第六十六条の七十一の登録又は第六十六条の七十五第四項の変更登録を受けている者に限る。)に委託する場合における当該投資運用関係業務については、その業務の監督を適切に行う能力を有する役員又は使用人を確保していれば足りるものとする。

附則第三条の三第三項第三号イ中「第二十九条の四第一項第三号」を「第二十九条の四第一項第三号ロ」に改め、同号に次のように加える。

ハ 届出の対象となる移行期間特例業務のそれぞれにつき、その執行について必要となる十分な知識及び経験を有していないと認められる者。

 ただし、届出を行う者が投資運用関係業務を投資運用関係業務受託業者(当該投資運用関係業務を行うことにつき第六十六条の七十一の登録又は第六十六条の七十五第四項の変更登録を受けている者に限る。)に委託する場合における当該投資運用関係業務については、その業務の監督を適切に行う能力を有する者であることをもつて足りるものとする。

附則第三条の三第四項中「この場合において」の下に「、第二条第四十三項中「同項第一号」とあるのは「附則第三条の三第五項第一号」と」を加え、同条第七項中「同項」を「同項の」に、「第一項」」を「第一項の」と、「同項第一号」とあるのは「海外投資家等特例業務(第六十三条の八第一項に規定する海外投資家等特例業務をいい、同項第一号に掲げる行為を行うものに限る。)」と、「附則第三条の三第五項第一号」」とあるのは「附則第三条の三第七項に規定する行為に係る業務」」」に改める。

(投資信託及び投資法人に関する法律の一部改正)第二条 投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)の一部を次のように改正する。

第十二条の見出し中「の委託」を「を委託した場合の読替え」に改め、同条第一項を削り、同条第二項を同条とする。

第二百二条の見出し中「の再委託等」を「を再委託した場合の読替え」に改め、同条第一項を削り、同条第二項中「権限の」の下に「全部又は」を加え、同項を同条とする。第二百四条第一項及び第二百十四条第一項中「権限の」の下に「全部又は」を加える。

第二百二十三条の三第一項の表第二十九条の四第一項第一号ホの項中「第二十九条の四第一項第一号ホ」を「第二十九条の四第一項第一号ホ⑵及び第一号の二」に改める。第二百三十九条中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条各号中「者」を「とき。」に改める。

第二百四十二条中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条各号中「者」を「とき。」に改める。

第二百四十三条中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条各号中「者」を「とき。」に改める。

第二百四十六条中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条各号中「者」を「とき。」に改める。

第二百四十七条中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条各号中「者」を「とき。」に改める。

附 則(施行期日)第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

一 附則第十八条の規定 公布の日

二 第一条中金融商品取引法第二条第八項第十号イ及び第三十条第一項の改正規定、同法第三十一条に一項を加える改正規定、同法第二百一条第一号の改正規定並びに同法第二百五条の二の三第一号の改正規定(「第三十一条第一項若しくは第三項」を「第三十一条第一項、第三項若しくは第七項」に改める部分に限る。)並びに附則第十七条の規定 公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日

三 第一条中金融商品取引法第二十七条の二第一項及び第七項、第二十七条の三第二項並びに第二十七条の九第三項の改正規定、同項を同条第四項とし、同条第二項を同条第三項とし、同条第一項の次に一項を加える改正規定、同法第二十七条の十三の見出し及び同条第二項の改正規定、同法第二十七条の十六、第二十七条の十九、第二十七条の二十第一項、第二十七条の二十二の二第九項から第十一項まで、第二十七条の二十三第三項から第六項まで、第二十七条の三十の九第二項、第百六十三条第一項、第百六十六条第一項、第百六十七条第一項及び第三項並びに第百九十七条の二の改正規定、同条に一項を加える改正規定、同法第百九十八条の二第一項、第二百条並びに第二百七条第一項第二号及び第二項の改正規定、同法第二百七条の二の改正規定(「第百九十七条の二第十二号」を「第百九十七条の二第二項第二号」に改める部分に限る。)並びに同法第二百九条の五から第二百九条の七までの改正規定並びに次条から附則第六条までの規定及び附則第十一条の規定(「第百九十七条の二第一号」を「第百九十七条の二第一項第一号」に改める部分に限る。) 公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日

(公開買付けに関する経過措置)第二条 第一条の規定(前条第三号に掲げる改正規定に限る。以下この条において同じ。)による改正後の金融商品取引法(附則第五条及び第六条において「第三号新金融商品取引法」という。)第二十七条の二第一項の規定は、同号に掲げる規定の施行の日(以下「第三号施行日」という。)以後に行う同項に規定する株券等の買付け等について適用し、第三号施行日前に行った第一条の規定による改正前の金融商品取引法(次条から附則第五条までにおいて「第三号旧金融商品取引法」という。)第二十七条の二第一項に規定する株券等の買付け等については、なお従前の例による。

第三条 第三号施行日前に行った第三号旧金融商品取引法第二十七条の三第二項に規定する公開買付開始公告に係る金融商品取引法第二十七条の三第一項に規定する公開買付けに関する第三号旧金融商品取引法第二章の二第一節の規定及びこれらの規定に係る金融商品取引法第六章の二の規定の適用については、なお従前の例による。

第四条 第三号施行日前に行った金融商品取引法第二十七条の二十二の二第二項において準用する第三号旧金融商品取引法第二十七条の三第二項に規定する公開買付開始公告に係る金融商品取引法第二十七条の二十二の二第二項において準用する同法第二十七条の三第一項に規定する公開買付けに関する第三号旧金融商品取引法第二章の二第二節の規定及びこれらの規定に係る金融商品取引法第六章の二の規定の適用については、なお従前の例による。

(大量保有報告書に関する経過措置)第五条 附則第一条第三号に掲げる規定(以下この条において「第三号改正規定」という。)の施行の際における第三号新金融商品取引法第二十七条の二十三第四項に規定する株券等保有割合(以下この条において「新株券等保有割合」という。)と第三号改正規定の施行の際に第三号旧金融商品取引法第二十七条の二十三第四項の規定を適用した場合において同項に規定する株券等保有割合となるべき割合(以下この条において「旧株券等保有割合」という。)が異なる場合は、第三号改正規定の施行の際に新株券等保有割合と旧株券等保有割合との差に相当する割合の新株券等保有割合が増加又は減少をしたものとみなして、第三号新金融商品取引法第二章の三の規定並びにこれらの規定に係る金融商品取引法第六章の二及び第三号新金融商品取引法第八章の規定を適用する。

この場合において、当該新株券等保有割合の増加又は減少に係る金融商品取引法第二十七条の二十五第一項の規定の適用については、同項中「場合(保有株券等の総数の増加又は減少を伴わない場合を除く。以下この章において同じ。)」とあるのは、「場合」とする。

第六条 第三号施行日前に次の各号に掲げる規定により当該各号に定める書類を提出しなければならないこととなった場合における当該書類の提出については、第三号新金融商品取引法第二十七条の二十三第三項から第五項までの規定にかかわらず、なお従前の例による。

一 金融商品取引法第二十七条の二十三第一項 同項に規定する大量保有報告書二 金融商品取引法第二十七条の二十五第一項 同項に規定する変更報告書

三 金融商品取引法第二十七条の二十六第一項 同項に規定する特例対象株券等に係る大量保有報告書

四 金融商品取引法第二十七条の二十六第二項 同項に規定する特例対象株券等に係る変更報告書

五 金融商品取引法第二十七条の二十六第四項 同条第一項に規定する特例対象株券等に係る大量保有報告書

六 金融商品取引法第二十七条の二十六第五項 同条第二項に規定する特例対象株券等に係る変更報告書

(登録申請書記載事項の変更に関する経過措置)第七条 この法律の施行の際現に第一条の規定(附則第一条第二号及び第三号に掲げる改正規定を除く。次条第四項において同じ。)による改正後の金融商品取引法(以下この条から附則第九条までにおいて「新金融商品取引法」という。)第二十九条の二第一項第五号の二に規定するときに該当する金融商品取引業者(金融商品取引法第二条第九項に規定する金融商品取引業者をいう。次条第一項において同じ。)は、この法律の施行の日(次条において「施行日」という。)から六月以内に、内閣府令で定めるところにより、その旨を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。

この場合においては、当該申請を新金融商品取引法第三十一条第四項の規定による変更登録の申請とみなして、同条第五項及び新金融商品取引法第百九十八条第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定を適用する。

(投資運用関係業務に関する経過措置)第八条 この法律の施行の際現に投資運用関係業務(新金融商品取引法第二条第四十三項に規定する投資運用関係業務をいう。以下この条において同じ。)を委託している金融商品取引業者については、施行日において新金融商品取引法第二十九条の二第一項第十二号に掲げる事項について変更があったものとみなして、新金融商品取引法第三十一条第一項及び第二百五条の二の三第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定を適用する。

この場合において、新金融商品取引法第三十一条第一項中「二週間」とあるのは、「六月」とする。

2 この法律の施行の際現に投資運用関係業務を委託している登録金融機関(新金融商品取引法第二条第十一項に規定する登録金融機関をいい、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた者に限る。)については、施行日において新金融商品取引法第三十三条の八第一項の規定により読み替えて適用する新金融商品取引法第三十三条の三第一項に規定する事項(同項各号に掲げる事項を除く。)について変更があったものとみなして、新金融商品取引法第三十三条の八第一項の規定により読み替えて適用する新金融商品取引法第三十三条の六第一項の規定及び新金融商品取引法第二百五条の二の三第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定を適用する。この場合において、新金融商品取引法第三十三条の八第一項の規定により読み替えて適用する新金融商品取引法第三十三条の六第一項中「二週間」とあるのは、「六月」とする。

3 この法律の施行の際現に投資運用関係業務を委託している海外投資家等特例業務届出者(金融商品取引法第六十三条の九第四項に規定する海外投資家等特例業務届出者をいう。)については、施行日において新金融商品取引法第六十三条の九第一項第八号に掲げる事項について変更があったものとみなして、金融商品取引法第六十三条の九第七項及び新金融商品取引法第二百五条の二の三第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定を適用する。

この場合において、金融商品取引法第六十三条の九第七項中「遅滞なく」とあるのは、「その日から六月以内に」とする。

4 この法律の施行の際現に投資運用関係業務を委託している第一条の規定による改正前の金融商品取引法(以下この項において「旧金融商品取引法」という。)附則第三条の三第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による届出をした新金融商品取引法附則第三条の三第一項に規定する外国投資運用業者又は同条第七項に規定する外国投資運用業者の子会社であって、旧金融商品取引法附則第三条の三第四項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定により適用する金融商品取引法第六十三条の十第三項第二号に該当する旨の同項の規定による届出をしていない者については、施行日において新金融商品取引法附則第三条の三第一項第八号(同条第七項において準用する場合を含む。)に掲げる事項について変更があったものとみなして、同条第四項(同条第七項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定により適用する金融商品取引法第六十三条の九第七項及び新金融商品取引法第二百五条の二の三第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定を適用する。この場合において、新金融商品取引法附則第三条の三第四項の規定により適用する金融商品取引法第六十三条の九第七項中「遅滞なく」とあるのは、「その日から六月以内に」とする。

(刑法の一部改正に伴う経過措置)第九条 刑法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十七号)の施行の日(以下この条において「刑法施行日」という。)の前日までの間における新金融商品取引法第百九十八条第二項の規定の適用については、同項中「拘禁刑」とあるのは、「懲役」とする。

刑法施行日以後における刑法施行日前にした行為に対する同項の規定の適用についても、同様とする。

(権限の委任)第十条 内閣総理大臣は、附則第七条の規定による権限を金融庁長官に委任する。

2 金融庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限を財務局長又は財務支局長に委任することができる。

(農業協同組合法等の一部改正)第十一条 次に掲げる法律の規定中「第百九十七条の二第一号」を「第百九十七条の二第一項第一号」に、「第百九十八条第八号」を「第百九十八条第一項第八号」に改める。

一 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第三十条の四第二項第二号

二 水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第三十四条の四第二項第二号

三 協同組合による金融事業に関する法律(昭和二十四年法律第百八十三号)第五条の四第四号

四 信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)第三十四条第四号

五 労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号)第三十四条第四号

六 農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)第二十四条の四第四号

七 会社法(平成十七年法律第八十六号)第三百三十一条第一項第三号(登録免許税法の一部改正)第十二条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。

別表第一第四十一号中「若しくは信用格付業者」を「、信用格付業者若しくは投資運用関係業務受託業者」に、「免許又は」を「免許又は金融商品取引清算機関の」に改め、同号十一を同号十三とし、同号㈩を同号十二とし、同号㈨を同号十一とし、同号㈧の次に次のように加える。

㈨ 金融商品取引法第六十六条の七十一(登録)の投資運用関係 登録件数 一件につき九万円業務受託業者の登録

㈩ 金融商品取引法第六十六条の七十五第四項(変更登録等)の 登録件数 一件につき九万円

変更登録(同法第六十六条の七十二第一項第六号(登録の申請)の業務の種別の増加に係るものに限る。)(住民基本台帳法の一部改正)第十三条 住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)の一部を次のように改正する。

別表第一の三の項中「第六十六条の六十一第一項の届出」の下に「、同法第六十六条の七十一の登録、同法第六十六条の七十五第一項若しくは第六十六条の八十三第一項の届出」を加える。

(金融機関等が行う特定金融取引の一括清算に関する法律等の一部改正)第十四条 次に掲げる法律の規定中「第一種少額電子募集取扱業者」の下に「及び同法第二十九条の四の四第七項に規定する非上場有価証券特例仲介等業者」を加える。

一 金融機関等が行う特定金融取引の一括清算に関する法律(平成十年法律第百八号)第二条第二項第二号

二 特定融資枠契約に関する法律(平成十一年法律第四号)第二条第一項第八号イ

三 社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第四十四条第一項第一号

四 株式会社商工組合中央金庫法(平成十九年法律第七十四号)第六条第八項

(郵政民営化法及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の一部改正)第十五条 次に掲げる法律の規定中「同項」を「第二十八条第四項」に改める。

一 郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第八十五条第二項二 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第百二号)附則第六十八条第二項(金融庁設置法の一部改正)第十六条 金融庁設置法(平成十年法律第百三十号)の一部を次のように改正する。

第四条第一項第二号中「シまで」を「ヱまで」に改め、同項第三号中シをヱとし、ネからミまでをナからシまでとし、ツの次に次のように加える。

ネ 投資運用関係業務受託業者(罰則に関する経過措置)第十七条 この法律(附則第一条第二号及び第三号に掲げる規定にあっては、当該規定)の施行前にした行為並びに附則第三条、第四条及び第六条の規定によりなお従前の例によることとされる場合における第三号施行日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)第十八条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

(検討)第十九条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律(以下この条において「改正後の各法律」という。)の施行の状況等を勘案し、必要があると認めるときは、改正後の各法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

理 由

市場の透明性・公正性を確保しつつ、資産運用の高度化・多様化を図るため、取引所における競売買の方法による取引を公開買付規制の対象に追加するほか、大量保有報告制度において保有割合の合算が求められる者の範囲の明確化、委託を受けて投資運用業に関する業務の一部を行う業者の任意的登録制度の創設等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

加工内閣府第2回デジタル基盤ワーキング・グループ自筆証書遺言のデジタル化について

加工内閣府第2回デジタル基盤ワーキング・グループ自筆証書遺言のデジタル化について

令和4年3月1日(火)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2201_05digital/220301/digital02_agenda.html

議題1.自筆証書遺言のデジタル化について(SAMURAI Security株式会社、陰山司法書士事務所、法務省からのヒアリング)

議題2.公正証書の作成に係る一連の手続のデジタル化について(フォローアップ)(法務省からのヒアリング)

資料3-1【自筆証書遺言】論点に対する回答(法務省 御提出資料)

分野

自筆証書遺言のデジタル化について

省庁名

法務省

以下の論点について、下記回答欄にご回答ください。

 自筆証書遺言は、民法上、書面・自書(署名を含む)・押印が求められており、デジタル技術を活用して作成することができない。 デジタル社会の実現に向けた構造改革が進められる中、昨年12月には、デジタル臨時行政調査会において、構造改革のためのデジタル原則が提示されたところであり、自筆証書遺言についてもデジタル原則を踏まえた見直しを検討すべきものと考えられる。

【論点1】自筆であっても、遺言の有効性等について争いは生じるものであり、デジタル技術の活用や民間サービスの利用等により、本人確認、真意の確認、方式の正確性等が担保されている場合に、遺言を無効とする理由はないのではないか。遺言の方式を法律で一律に定めるのではなく、本人確認、真意の確認、方式の正確性等が担保されているかという実質に着目するべきではないか。 仮に何らかの規律を設けるとしても、リスクベース・ゴールベースの規律や、技術の進展等を踏まえて機動的に対応し得るような規律(法律には原則を記載し、詳細は政省令で規律)とすべきではないか。

【回答1】  民法上、遺言をするためには、同法が定める一定の方式に従うことが要求されています(注1)。その趣旨は、遺言の場合には遺言者の死亡によって効力を生ずるという特殊性があること等を踏まえ、一定の蓋然性をもって遺言者の真意に基づいて遺言がされたとの判断が可能となるような方式をあらかじめ定めておき、これを満たすもののみを有効とすることで、遺言の有効性に関する信頼を確保してその効力をめぐる紛争の発生をできる限り予防し、その法的安定性を図ることにあります。

 自筆証書遺言については、全文を自書すること等の方式を定めることで、遺言者がその内容を認識し理解した上で作成したものであって、遺言者の真意に基づくものであることを担保することとしています。

 このような趣旨に照らせば、デジタル技術の活用等によって自筆証書遺言と同程度の信頼性を確保することができるのであれば、遺言者の選択肢を増やす観点から、新たな方式を設けることはあり得るものと考えています。このような方向で検討する場合には、デジタル技術の活用等により、具体的にどのような形であれば本人確認やその真意の確認が適正に担保されるかといった観点や、遺言者の負担の軽減といった観点から、検討を進めることになるものと考えています。

 特に、遺言の場合には、その効力が発生する際には遺言者は既に死亡していることに加え、相続人や第三者が被相続人の判断能力の低下等につけ込んで自己に有利な遺言を作成させるというリスクがあるため、他の法律行為以上に、本人の真意の確認を慎重に行う必要があるものと考えています。

 これに対し、遺言について、一定の方式を定めることなく、真意の確認等が担保されているものであれば効力を認めるとの規律を設けるのは困難であるものと考えています。このような規律は、遺言の外部的方式の問題と、遺言という意思表示自体の成立・効力の問題との区別を失わせるものであり(注2)、個々の遺言について、真意の確認等が担保されたものであるか否かについて常に個別的・具体的判断を要することとなって、遺言者自身にとっての予測可能性が害されるのみならず、遺言者の最終意思の実現や円滑な遺産の分割が阻害される結果を招来するおそれがあるためです。

 また、遺言の有効、無効は、相続人だけでなく、相続債権者や被相続人に債務を有していた者など、多くの利害関係人に極めて大きな影響を及ぼすものであり、その信頼性の確保が重要であること等に照らしますと、遺言の方式を政省令で定めることについては、憲法第41条(国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。)の趣旨等に照らし極めて慎重な検討を要するものと考えています。

→遺言の方式変更は形式的な変更に留まらないので、政省令ではなく法改正が必要。

 いずれにしても、新たな方式を定めることの当否や具体的にどのような方式を定めるかについては、遺言者の真意により作成されたものであることの適正な担保等が図られるか、遺言を作成しようとする者のニーズを的確に把握した上で、当該方式によって遺言の有効性に対する信頼等を確保することができるか、とりわけ、前述のとおり、第三者等が遺言の作成に不当に関与するリスクを増大させることにつながらないかといった観点から、慎重に検討を進める必要があるものと考えています。

(注1):民法第960条は、「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。」と定めています。

(注2):遺言の方式とその成立・効力の問題は区別されるものであり、そのような法制は海外法制においても一般的です。このことは、遺言の方式については、我が国が昭和39年に批准したハーグ国際私法会議条約である「遺言の方式に関する法律の抵触に関する条約」及びその国内実施法である「遺言の方式の準拠法に関する法律」が適用され(なお、「法の適用に関する通則法」第43条第2項は、遺言の方式を適用除外とする旨を明定しています。)、遺言の成立・効力については「法の適用に関する通則法」(第37条第1項)が適用されることに端的に示されています。

遺言の方式に関する法律の抵触に関する条約(昭和39年6月10日-条約第9号)

http://www.pilaj.jp/text/yuigon_j.html

法の適用に関する通則法(平成十八年法律第七十八号)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418AC0000000078_20150801_000000000000000

(遺言)

第三十七条 遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。

2 遺言の取消しは、その当時における遺言者の本国法による。

【論点2】 自筆証書遺言の作成において、デジタル技術を活用することにより、方式不備の防止が期待されるほか、時間的・地理的・金銭的な制約から専門家のサポートを受けることができない者であっても、自筆証書遺言が無効となるリスクを減少させることができるものと考えられる。一定の規律が必要であるとしても、電子文書や映像等による遺言を認めるべきではないか。

 遺言者の真意の確認についても、デジタル技術の活用や民間サービスの活用等により、自筆以上の確実性が期待できるのではないか。

【回答2】 デジタル技術の活用によって御指摘のようなメリットが生ずることはあり得るものと考えていますが、そのような方向で見直しを検討するに当たっては、前述のとおり、遺言を作成しようとする者のニーズを把握した上で、当該方式によって遺言の有効性に対する信頼等を確保することができるかといった観点から検討を進める必要があるものと考えています。

【論点3】 令和2年7月から自筆証書遺言書保管制度の運用が開始されているが、遺言が不動産登記等の手続に活用されるものであることを踏まえ、そうした一連の手続のデジタル完結を目指すため、自筆証書遺言書保管制度に基づき法務局が保管している遺言について、データによる遺言書情報証明書等の交付を可能とするべきではないか。

 また、現在は、遺言書情報証明書等の申請について、法務局における対面での手続又は郵送によることとされているが、申請手続自体もデジタル完結を図るべきではないか。

【回答3】  遺言書情報証明書には遺言書の画像情報が印刷されており、相続人等は、関係者の戸籍や住民票等を添付して同証明書の交付申請を行った上、自筆証書遺言書の原本に代えて同証明書を用いて、不動産登記や預金解約等の各種手続を行うこととなります。

 そして、遺言書情報証明書は、制度の運用開始から令和3年12月までの約1年半の間に約750件交付されています。

 遺言書情報証明書につき、その申請手続のデジタル化やデータによる交付を行うことについては、国民からのニーズの程度、申請に際して必要となる添付書面のデータ化の進展状況、遺言書情報証明書のデータを用いて行うことができる各種手続の範囲、費用対効果等を踏まえて検討する必要があると考えています。

【論点4】 自筆証書遺言のデジタル化のニーズを検討するに当たって、平成30年の法改正により可能となった自書によらない財産目録の添付について、その活用実績及び効果について把握し、参考とすべきではないか。自筆証書遺言であっても、少なくとも、自筆証書遺言保管制度により法務局に保管されている遺言書については、自書によらない財産目録が添付されている件数を把握することができるのではないか。

【回答4】自筆証書遺言は、第三者が関与することなく作成することができる文書であることから、法務省において、自書によらない財産目録を添付した遺言書の利用実績等を把握することは困難です。

 また、自筆証書遺言書保管制度に基づき法務局に保管されている遺言書についても、法務局においては、自書によらない財産目録を添付した遺言書か否かを区別せずに保管しているため、直ちにその件数を把握することは困難です。

【論点5】 書面による場合に、自書による署名がなされていれば、全文の自書は必要ないのではないか。また、印として実印が求められているわけではなく、「押印」を義務付ける必要はないのではないか。

【回答5】  民法第968条第1項が自筆証書遺言についてその全文(財産目録を除く。)の自書を必要としているのは、遺言が遺言者の真意に基づくものであることを担保し、第三者等が遺言の作成に不当に関与するリスクを低減させるなどのためであり、全文を自書することにより、文書の記載自体から遺言者が全文の内容を認識し理解した上で記載していることが明らかになります。

 そのため、書面による場合に、自筆証書遺言に署名がされているからといって、全文の自書を不要とすることには慎重な検討が必要であると考えます。  また、同項が自筆証書遺言に押印を必要としているのは、当該遺言が遺言者本人の意思によって作成されたものであることを担保することに加え、押印により文書を完成させるという慣行を踏まえ、作成途中の遺言書の下書きと完成した遺言書とを区別する意義も有しているものと考えられます。

 この点、自筆証書遺言が遺言者の死後に自宅等から発見されることが多い現状に鑑みると、近時の行政への申請手続における押印の見直しの状況等を踏まえたとしても、これを不要とすると、この点に関する紛争を増加させるおそれがあり、書面による場合に、自筆証書遺言の押印を不要とすることには慎重な検討が必要であると考えます。

 なお、ここでいう自筆証書遺言の見直しの当否及びその内容の問題と、デジタル遺言のような新たな方式を定めることの当否及びその内容の問題は、区別して議論されるべきものと考えられます。

【論点6】上記を踏まえ、自筆証書遺言の見直しについて、今後どのような体制で、いつまでに何を行うかを示していただきたい。

【回答6】 遺言の作成においてデジタル技術等の利用を可能とすることについては、それによるメリットが想定されることを前提としつつ、前述のとおり、遺言者の真意により作成されたものであることの適正な担保等が図られるか、相続の当事者や一般国民からの信頼が確保されるか、遺言を利用する者にとってデジタル化した遺言のニーズがどの程度あるか等の観点からの調査を行った上で検討していくことが相当であるものと考えています。

 また、諸外国等において、遺言の作成においてデジタル技術等がどのような形で遺言の作成に活用され、運用されているかを調査することは、我が国における遺言法制の在り方を検討するに当たっても有用ですので、諸外国等における遺言法制やその実情等を調査することが相当であると考えています。

 そこで、令和5年度中に、上記の各調査を行うなどの必要な検討を進めてまいりたいと考えています。

【論点7】取組を進めるに当たっては、「遺言」という閉じた世界だけで考えるのではなく、関連する仕組みも含め、社会全体の将来像を意識しながら取り組むことが重要である。

 現在、死亡・相続ワンストップサービスの実現に向けた検討が進められているが、遺言のデジタル化だけでなく、相続手続に必要となる戸籍謄本、除籍謄本、遺産分割協議書など一連の書類のデジタル化を進め、一連の死亡・相続手続のデジタル完結を実現することで、国民の利便性が高まると考えられる。 

 法務省においては、死亡・相続手続の将来像を見据えながら、関係省庁と連携して、必要な取組を積極的に進めるべきであるが、法務省の見解如何。 

【回答7】現行法では、相続の開始後、相続人が、相続の放棄・承認の選択をした上で、遺産分割協議等を経て被相続人の財産の承継を行うことが予定されており、また、遺言がある場合も、受遺者は遺贈を受けるかどうか選択することができます。

 このように相続による財産の承継については、相続人の自主的な判断が尊重されていることから、この場面における死亡・相続ワンストップサービスの実現に当たっては、それぞれの相続人の自主性との調和のとれた制度とすることが重要ですが、その実現については、関係する制度を所管する府省と連携して、引き続きデジタル庁における法定相続人の特定に係る遺族等の負担軽減策の検討に積極的に加わる予定です。

 なお、法務省においては、戸籍謄抄本の添付省略等に向けて戸籍情報連携システムを整備し、令和6年3月から稼動させる予定であるところ、これにより、戸籍謄抄本の請求者の負担軽減を図ることができるよう、デジタル庁等の関係府省と連携しつつ検討を進めてまいりたいと考えています。

→法務省 戸籍情報連携システムに関するお知らせ

https://www.moj.go.jp/MINJI/kosekirenkei.html

(公社)商事法務研究会

デジタル技術を活用した遺言制度の在り方に関する研究会報告書

2024(令和6)年3月

https://www.shojihomu.or.jp/list/digital-igon

資料2自筆証書遺言のデジタル化について

陰山司法書士事務所 司法書士隂山克典

司法書士業務と遺言の関連性について

➢ 不動産登記、商業登記をはじめとした各種登記申請の手続代理

➙ 遺言書を登記原因証明情報とする登記手続も多数

➙ 民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)により、相続登記の義務化が法制化されたため、遺言書の重要性は高まると思われる

➢ 地方裁判所や家庭裁判所等へ提出する裁判書類の作成

➙ 遺言の有効性を確認するための訴訟書類、遺言の検認申立書作成など➢ 成年後見人や遺言執行者等としての財産管理

➙ 遺言の内容に沿った相続手続の執行、内容に疑義がある場合の訴訟など➢ 遺言書の作成の支援

➙ 意思の実現のためのサポート

遺言書のデジタル化に係る諸外国の取組状況について第196回国会 参議院 法務委員会 第21号 平成30年7月5日元榮太一郎委員「紙の遺言書を必要としないで電子情報だけで完結するデジタル遺言ということがあるべき未来の姿ではないかなというふうに思っております」小野瀬厚政府参考人「アメリカにおきましては、一部の州においてビデオ録音や電子署名の付されたコンピューターファイルの形式の遺言が認められておりまして、また、韓国や中国におきましては、録音による遺言が認められているものと承知しております。」

アメリカの一例・・・アメリカ統一州法委員会(Uniform Law Commission)は、2019年7月、統一電子遺言法(UniformElectronic Wills Act)を承認

統一電子遺言法の制定状況等

州法による電子遺言

➢ Florida(2021年2月20日最終閲覧)Statutes732.523「Self-proof of electronic will.—An el ectronic will is self-proved if」

➢ Nevada Revised. Statutes133.085「Electronic will. 1. An ele ctronic will is a will of a testator that」その他、アリゾナ州、イリノイ州の規律が見受けられる

相続が発生した際、自筆証書遺言が原因で生じる紛争について

➢ 訴訟になる事案の多くは、判断能力を有していたか否かが争点になっていると思われる

➙ 東京地裁令和3年7月16日判決(令和元年(ワ)第30518号) 有効➙ 東京地裁令和3年4月22日判決(平成30年(ワ)第33173号・平成30年(ワ)第34196号) 有効

➙ 東京地裁令和3年3月3日判決(令和元年(ワ)第25537号) 無効など

➢ そのほか、本人の自書によるものであるか否かについても争われることがある

➙ 東京地裁令和3年6月23日判決(令和元年(ワ)第20063号) 有効

➙ 東京地裁令和3年4月28日判決(令和元年(ワ)第18640号) 有効

➙ 東京地裁令和3年3月4日判決(平成30年(ワ)第10423号・令和元年(ワ)第20888号) 無効など

  •  遺言書保管法に基づき保管された遺言につき、デジタル交付の可能性➙ 相続手続のデジタル化への第一歩とならないか・・・同意です。画像データに遺言書保管官が電子署名を付した遺言書情報証明情報あれば、印刷された遺言書情報証明書と同様の信頼性が確保されると考えられます。

→デジタル遺言作成が法改正により可能となった場合

□遺言者の本人確認情報が運転免許証、マイナンバーカードからマイナポータルから電子署名と併用、または変更。

1、司法書士が遺言書に付与された電子証明書の有効性確認などを行う

2,デジタル遺言に公的個人認証を付与

3、司法書士が本人確認及び意思確認を行ったことの記録として、電子証明書を付与。

・・・司法書士が公正証書遺言における公証人の役割のうち、本人確認及び意思確認を行う。収益の移転防止に関する法律により、特定取引時に司法書士が行っている本人確認などと類似。

2と3の順序が逆ではないのかなと思いました。

犯罪収益移転防止法施行規則6条1項1号ワに掲げる本人確認方法

3、登記に必要な書類を送信・・・委任状、住民票、被相続人の戸籍の附票など。委任状以外の官公庁が保管している書類については、デジタル遺言が実現した際、システム連携がどの程度進んでいるかによって紙かデータになる。

加工公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律

加工公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律

公益法人インフォメーション

https://www.koeki-info.go.jp/regulation/koueki_meeting.html

令和6年3月5日「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律案」及び「公益信託に関する法律案」閣議決定

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律案

https://www.koeki-info.go.jp/regulation/koueki_meeting.html

※施行期日:公布後1年以内において政令で定める日(令和7年4月予定)

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。

目次中「第三条」を「第三条の二」に改める。

第一章中第三条の次に次の一条を加える。

(公益法人等の責務)

第三条の二公益法人は、公益目的事業の質の向上を図るため、運営体制の充実を図るとともに、財務に関する情報の開示その他のその運営における透明性の向上を図るよう努めなければならない。

2 国は、前項の規定による公益法人の取組を促進するため、必要な情報の収集及び提供その他の必要な支援を行うものとする。

第五条第六号中「当該公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えない」を「第十四条の規定による収支の均衡が図られるものである」に改め、同条第九号中「遊休財産額」を「使途不特定財産額」に改め、同条第十号中「その配偶者又は三親等内の親族(これらの者に準ずるものとして当該理事と政令で定める特別の関係がある者を含む。)で」を「当該理事と特別利害関係(一方の者が他方の者の配偶者又は三親等以内の親族である関係その他特別な利害関係として政令で定めるものをいう。第十二号において同じ。)に」に改め、同条第十八号を同条第二十一号とし、同条第十七号中「一箇月」を「一月」に改め、同号を同条第二十号とし、同条中第十六号を第十九号とし、第十五号を第十八号とし、第十四号を第十七号とし、第十三号を第十四号とし、同号の次に次の二号を加える。

十五理事のうち一人以上が、当該法人又はその子法人(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号。以下「一般社団・財団法人法」という。)第二条第四号に規定する子法人をいう。以下この号及び次号において同じ。)の業務執行理事(一般社団・財団法人法第百十五条第一項(一般社団・財団法人法第百九十八条において準用する場合を含む。)に規定する業務執行理事をいう。以下この号において同じ。)又は使用人でなく、かつ、その就任の前十年間当該法人又はその子法人の業務執行理事又は使用人であったことがない者その他これに準ずるものとして内閣府令で定める者であること。ただし、毎事業年度における当該法人の収益の額、費用及び損失の額その他の政令で定める勘定の額がいずれも政令で定める基準に達しない場合は、この限りでない。

十六監事(監事が二人以上ある場合にあっては、監事のうち一人以上)が、その就任の前十年間当該法人又はその子法人の理事又は使用人であったことがない者その他これに準ずるものとして内閣府令で定める者であること。

第五条中第十二号を第十三号とし、第十一号の次に次の一号を加える。

十二各理事について、監事(監事が二人以上ある場合にあっては、各監事)と特別利害関係を有しないものであること。

第六条第一号イ中「第二十九条第一項」の下に「(第四号を除く。)」を加え、同号ロ中「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号。以下「」及び「」という。)」を削り、同条第二号中「第二十九条第一項」の下に「(第四号を除く。)」を加え、同条第五号中「又は地方税」を「若しくは地方税」に改める。

第七条第二項第五号中「第五条第十三号」を「第五条第十四号」に改める。

第十一条第一項第三号を削り、同条第四項中「及び第三号」を削る。

第十三条第一項第四号中「前三号」を「前各号」に改め、同号を同項第五号とし、同項第三号中「前二号」を「前三号」に改め、同号を同項第四号とし、同項中第二号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。

二収益事業等の内容の変更

第十三条第二項中「前項第一号」の下に「又は第二号」を加える。

第十四条の見出し中「収入」を「収入及び費用」に改め、同条中「当たり」を「当たっては、内閣府令で定めるところにより」に、「の実施に要する適正な費用を償う額を超える収入を得ては」を「に係る収入をその実施に要する適正な費用(当該公益目的事業を充実させるため将来において必要となる資金として内閣府令で定める方法により積み立てる資金を含む。)に充てることにより、内閣府令で定める期間において、その収支の均衡が図られるようにしなければ」に改める。

第十六条の見出しを「(使途不特定財産額の保有の制限)」に改め、同条第一項中「遊休財産額は、」を「使途不特定財産額は、当該」に改め、「当該事業年度に行った公益目的事業と同一の内容及び規模の」及び「引き続き」を削り、「事業年度における」を「事業年度前の事業年度において行った」に改め、同条第二項中「遊休財産額」を「使途不特定財産額」に、「かんがみ」を「鑑み」に、「財産と」を「財産(第十八条に規定する公益目的事業財産のうち、災害その他の予見し難い事由が発生した場合においても公益目的事業を継続的に行うために必要な限度において保有する必要があるものとして内閣府令で定める要件に該当するもの(次項において「公益目的事業継続予備財産」という。)を除く。)と」に改め、同条に次の一項を加える。

3 公益法人は、毎事業年度の末日において公益目的事業継続予備財産を保有している場合には、翌事業年度開始後速やかに、内閣府令で定めるところにより、当該公益目的事業継続予備財産を保有する理由及びその額その他内閣府令で定める事項を公表しなければならない。

第十八条第五号中「支出する」を「運用し、支出し、又は処分する」に改め、同条第六号中「第五条第十六号」を「第五条第十九号」に改め、同条第七号中「公益認定を受けた日の前に取得した財産であって同日」を「前各号に掲げるもののほか、公益法人が保有する財産であって公益認定を受けた日」に改める。

第十九条を次のように改める。

(区分経理)

第十九条公益法人は、内閣府令で定めるところにより、公益目的事業に係る経理、収益事業等に係る経理及び法人の運営に係る経理(収益事業等を行わない公益法人にあっては、公益目的事業に係る経理及び法人の運営に係る経理)をそれぞれ区分して整理しなければならない。ただし、収益事業等を行わない公益法人であって、その行う公益目的事業の内容その他の事項に関し内閣府令で定める要件に該当するものについては、この限りでない。

2 前項ただし書の規定の適用を受ける公益法人における前条及び第三十条第二項の規定の適用については、前条中「を公益目的事業」とあるのは「及び当該公益法人が保有する公益目的事業財産以外の財産のうち当該公益法人の運営を行うため必要な財産として内閣府令で定めるもの以外のもの(以下「公益目的事業財産等」という。)を公益目的事業」と、同項各号中「公益目的事業財産」とあるのは「公益目的事業財産等」とする。

第二十条第一項中「第五条第十三号」を「第五条第十四号」に改め、同条第二項を削る。

第二十一条第二項中「三箇月」を「三月」に改め、同項第三号中「第五条第十三号」を「第五条第十四号」に改め、同条第六項中「第四項第二号」を「第五項第二号」に改め、同項を同条第七項とし、同条中第五項を第六項とし、第四項を第五項とし、第三項の次に次の一項を加える。

4 公益法人は、一般社団・財団法人法第百二十三条第二項(一般社団・財団法人法第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定により作成する事業報告に、各事業年度における公益目的事業の実施状況、公益法人の運営体制その他の公益法人の適正な運営を確保するために必要なものとして内閣府令で定める事項を記載しなければならない。

第二十二条を次のように改める。

(財産目録等の提出等)

第二十二条公益法人は、財産目録等(定款を除く。)について、前条第一項に規定する書類にあっては毎事業年度開始の日の前日までに(公益認定を受けた日の属する事業年度にあっては、当該公益認定を受けた後遅滞なく)、その他の書類にあっては毎事業年度の経過後三月以内に(公益認定を受けた日の属する事業年度にあっては、同条第二項各号に掲げる書類及び社員名簿を当該公益認定を受けた後遅滞なく)、内閣府令で定めるところにより、行政庁に提出しなければならない。

2 行政庁は、内閣府令で定めるところにより、この法律又はこの法律に基づく命令の規定により公益法人から提出を受けた財産目録等(役員等名簿又は社員名簿にあっては、これらに記載された事項中、個人の住所に係る記載の部分を除く。)を公表するものとする。

第二十五条第五項中「及び第三十条第二項」の下に「(これらの規定を第十九条第二項の規定により読み替えて適用する場合を含む。以下この項において同じ。)」を加え、「公益認定を受けた日の前に取得した財産であって同日」を「前各号に掲げるもののほか、公益法人が保有する財産であって公益認定を受けた日」に、「第十八条第六号に掲げる財産にあっては、」を「公益認定」に改め、「第二十五条第五項の規定により読み替えて適用する第十八条第七号に掲げる財産にあっては、」を削り、「」と、「もの」とあるのは「もの(当該公益法人が同日以後に第十八条第七号の内閣府令で定めるところにより公益目的事業の用に供するものである旨を表示したものを除く。)」を「公益認定」に、「にその」を「に内閣府令で定める方法によりその」に改め、「譲渡した公益目的事業財産」の下に「(当該消滅する公益法人が第十九条第一項ただし書の規定の適用を受けるものである場合にあっては、同条第二項の規定により読み替えて適用する第十八条に規定する公益目的事業財産等)」を加える。

第二十六条第一項中「一箇月」を「一月」に改める。

第三十条第一項中「第五条第十七号」を「第五条第二十号」に、「一箇月」を「一月」に改め、同条第二項第一号中「すべて」を「全て」に改め、同項第三号中「受けた日以後に」の下に「内閣府令で定める方法により」を加え、同条第五項中「第五条第十七号」を「第五条第二十号」に改める。

第四十三条第二項第一号中「第十二号ただし書」を「第十三号ただし書」に、「及び第十七号ト」を「、第十八号ただし書及び第二十号ト」に、「第四十三条第一項ただし書及び第三項ただし書」を「前項ただし書及び次項ただし書」に、「第五条第十三号及び第十五号」を「第五条第十四号から第十六号まで及び第十八号」に、「第二号を除く。)」を「第三号を除く。)、第十四条」に、「第二十一条第一項及び第二項」を「第十九条第一項及び同条第二項の規定により読み替えて適用する第十八条本文、第二十一条第一項、第二項及び第四項」に改める。

第五十九条第一項中「権限(」の下に「第四十四条第一項の答申又は第四十六条第一項の勧告のため必要なものに限り、」を加え、「。次項において同じ」を削り、同条第二項中「場合には」を「場合における第二十七条第一項の規定による権限(第五十二条において準用する第四十四条第一項の答申又は第五十四条において準用する第四十六条第一項の勧告のため必要なものに限り、第六条各号に掲げる一般社団法人又は一般財団法人に該当するか否かの調査に関するものを除く。)の行使については」に改め、「その」を削る。

第六十二条中「次の」を「次の各号の」に、「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条第一号中「者」を「とき。」に改め、同条第二号中「同項第一号又は第二号」を「同項各号」に、「者」を「とき。」に改め、同条第三号中「又は第三号」を削り、「者」を「とき。」に改める。

第六十三条中「次の」を「次の各号の」に、「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条各号中「者」を「とき。」に改める。

第六十四条中「次の」を「次の各号の」に、「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条各号中「者」を「とき。」に改める。

第六十六条中「次の」を「次の各号の」に改める。

附則

(施行期日)

第一条この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

ただし、次条及び附則第十条の規定は、公布の日から施行する。

(準備行為)

第二条内閣総理大臣は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前においても、この法律による改正後の公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下「新法」という。)第四十三条第二項(第一号に係る部分に限る。)の規定の例により、同号に規定する政令又は内閣府令(この法律による改正前の公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下「旧法」という。)第四十三条第二項第一号に規定する政令又は内閣府令を除く。)の制定の立案又は制定に関し、公益認定等委員会に諮問をすることができる。

(公益法人の運営に関する経過措置)

第三条新法第十四条、第十六条、第十九条及び第二十一条第四項の規定は、施行日以後に開始する公益法人の事業年度について適用し、施行日前に開始した公益法人の事業年度に係る財務その他の公益法人の運営に関する事項については、なお従前の例による。

(公益認定の基準に関する経過措置)

第四条次条に定めるもののほか、新法第五条(第十二号、第十五号及び第十六号に係る部分に限る。)の規定は、施行日以後にされる公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第四条の認定(以下「公益認定」という。)の申請について適用し、施行日前にされた公益認定の申請に係る公益認定の基準(理事又は監事の資格に係るものに限る。)については、なお従前の例による。

(公益認定の基準に関する経過措置の特例)

第五条この法律の施行の際現に存する公益法人又は施行日以後に前条の規定によりなお従前の例によることとされる旧法第五条の基準に基づいて公益認定を受けた公益法人については、新法第五条(第十二号に係る部分に限る。)の規定は、この法律の施行又は当該公益認定の際現に在任する当該公益法人の全ての理事及び監事の任期が満了する日の翌日(その日前に当該公益法人が同号の基準に適合した場合にあっては、その適合した日)から適用する。

2 この法律の施行の際現に存する公益法人又は施行日以後に前条の規定によりなお従前の例によることとされる旧法第五条の基準に基づいて公益認定を受けた公益法人については、新法第五条(第十五号に係る部分に限る。)の規定は、この法律の施行又は当該公益認定の際現に在任する当該公益法人の全ての理事の任期が満了する日の翌日(その日前に当該公益法人が同号の基準に適合した場合にあっては、その適合した日)から適用する。

3 この法律の施行の際現に存する公益法人又は施行日以後に前条の規定によりなお従前の例によることとされる旧法第五条の基準に基づいて公益認定を受けた公益法人については、新法第五条(第十六号に係る部分に限る。)の規定は、この法律の施行又は当該公益認定の際現に在任する当該公益法人の全ての監事の任期が満了する日の翌日(その日前に当該公益法人が同号の基準に適合した場合にあっては、その適合した日)から適用する。

(変更の認定に関する経過措置)

第六条この法律の施行の際現に旧法第十一条第一項の認定の申請(同項第三号に掲げる変更に係るものに限る。)がされているときは、施行日以後に当該変更があった時に、新法第十三条第一項の規定による届出(同項第二号に掲げる変更に係るものに限る。)がされたものとみなす。

(報酬等の支給の基準の公表に関する経過措置)

第七条施行日前に旧法第五条第十三号に規定する報酬等の支給の基準を定め、又は変更した場合の公表については、なお従前の例による。

(財産目録等の提出等に関する経過措置)

第八条新法第二十二条第一項の規定は、施行日以後に公益認定を受ける公益法人の財産目録等(新法第二十一条第五項に規定する財産目録等をいう。以下この条において同じ。)の行政庁への提出について適用し、施行日前に公益認定を受けた公益法人の財産目録等の行政庁への提出については、なお従前の例による。

2 新法第二十二条第二項の規定は、施行日以後に行政庁が提出を受ける財産目録等について適用し、施行日前に行政庁が提出を受けた財産目録等の閲覧又は謄写については、なお従前の例による。

(罰則に関する経過措置)

第九条この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)

第十条附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の一部改正)

第十一条一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第五十号)の一部を次のように改正する。

第百十九条第二項第一号ロ及び第百三十条中「第五条第十七号」を「第五条第二十号」に改める。

(医療法の一部改正)

第十二条医療法(昭和二十三年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。

第七十条の三第一項第十九号中「第七十条の二十二において読み替えて準用する公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)第三十条第二項」を「第七十条の二十二第二項」に改める。

第七十条の九中「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」の下に「(平成十八年法律第四十九号)」を加える。

第七十条の二十二を次のように改める。

第七十条の二十二認定都道府県知事が前条第一項又は第二項の規定による医療連携推進認定の取消しをした場合において、第七十条の三第一項第十九号に規定する定款の定めに従い、当該医療連携推進認定の取消しの日から一月以内に医療連携推進目的取得財産残額に相当する額の財産の贈与に係る書面による契約が成立しないときは、認定都道府県知事の管轄する都道府県が当該医療連携推進目的取得財産残額に相当する額の金銭について、同号に規定する定款で定める贈与を当該医療連携推進認定の取消しを受けた法人(第四項において「認定取消法人」という。)から受ける旨の書面による契約が成立したものとみなす。当該医療連携推進認定の取消しの日から一月以内に当該医療連携推進目的取得財産残額の一部に相当する額の財産について同号に規定する定款で定める贈与に係る書面による契約が成立した場合における残余の部分についても、同様とする。

2 前項の医療連携推進目的取得財産残額は、第一号に掲げる財産から第二号に掲げる財産を除外した残余の財産の価額の合計額から第三号に掲げる額を控除して得た額をいう。

一当該地域医療連携推進法人が取得した全ての医療連携推進目的事業財産(第七十条の九において読み替えて準用する公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第十八条に規定する医療連携推進目的事業財産をいう。次号及び第三号において同じ。)

二当該地域医療連携推進法人が医療連携推進認定を受けた日以後に医療連携推進業務を行うために費消し、又は譲渡した医療連携推進目的事業財産

三医療連携推進目的事業財産以外の財産であつて当該地域医療連携推進法人が医療連携推進認定を受けた日以後に厚生労働省令で定める方法により医療連携推進業務を行うために費消し、又は譲渡したもの及び同日以後に医療連携推進業務の実施に伴い負担した公租公課の支払その他厚生労働省令で定めるものの額の合計額

3 前項に定めるもののほか、医療連携推進目的取得財産残額の算定の細目その他その算定に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

4 認定都道府県知事は、第一項の場合には、認定取消法人に対し、前二項の規定により算定した医療連携推進目的取得財産残額及び第一項の規定により当該認定取消法人と認定都道府県知事の管轄する都道府県との間に当該医療連携推進目的取得財産残額又はその一部に相当する額の金銭の贈与に係る契約が成立した旨を通知しなければならない。

5 地域医療連携推進法人は、第七十条の三第一項第十九号に規定する定款の定めを変更することができない。

理由

公益法人による社会の諸課題の解決に向けた活動の一層の促進を図るため、公益法人等の責務を定めるとともに、公益認定の基準及び変更の認定の対象の見直し、公益目的事業の収入、遊休財産額の保有の制限及び区分経理に関する規定の見直し等を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律案
衆議院審議終了年月日/衆議院審議結果 令和 6年 5月14日 / 可決
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DDBC1A.htm

渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』 第7章民事信託の融資(民事信託案件に対するファイナンス)

  • 渋谷陽一郎『Q&A 家族信託大全』2023年、日本法令。
  • 第7章民事信託の融資(民事信託案件に対するファイナンス)

P337、信託財産責任負担債務として受託者が借入人となる場合、一般の実績では、通常の融資の金利・手数料の約2倍前後の水準となっているようだ(もちろん、各金融機関によって取扱事例の金利実績は異なる)。について・・・一般の実績の出典はどこからなのか、記載が必要だと思います。

P345、信託目的達成のため、高齢者の介護費または施設入所費用などを使用使途とする受託者による借入が可能なのか否かという論点がある。・・・もし、介護費などで借り入れが必要な状況であることが信託行為時に予想される場合、信託制度を利用するのではなく、任意後見制度を含む後見制度を利用する方が良いのかなと思いました。

P406、信託法の清算規定は、会社制度を参照した結果、会社の清算のように、バランスシートをゼロとする必要があるとの想定なのか。・・・信託法177条1号の現務の結了が、事業や契約の終了を必ずしも意味しない(道垣内弘人『信託法〔第2版〕: 現代民法別巻 (現代民法 別巻)』2022年、有斐閣、P439、P440)ので、信託法177条2号の信託債権に係る債務の弁済は、残余財産の給付との関係では、強行規定には該当しないと考えます。

P411、信託法179条の、清算受託者は、直ちに信託財産についての破産手続開始の申立て、信託法181条の、信託債権に係る債務の弁済と受益債権に係る債務の弁済をした後でなければ、の強行法規性について。・・・債権者の合意があれば、強行法規とはならないと考えます(道垣内弘人編著『条解信託法』)2017、弘文堂、P782)。

P427~、Q343~Q346にかけて、抵当権が設定されている不動産に対して、抵当権者の金融機関に黙って信託行為を行う事例が、実際にある前提の記載があり、このような実務を行うことがあるのだと初めて知りました。

Q352、担保物件を任意売却する場合、債務者が委託者であり認知症などにより判断能力を欠いているときは、成年後見制度を利用することが原則になると考えます。任意後見契約を締結していない場合、任意売却に関わらず、委託者が判断能力を欠いた時点で成年後見制度を利用することが必要となり、任意売却が必要となってから何かしら特別な手続をする、ということにはならないのではないかと思いました。

Q353、信託登記と抵当権設定登記の連件申請において、信託登記の信託目録記載事項、信託財産の管理方法として被担保債権を特定することが必要か。・・・被担保債権を特定すると抵当権設定登記との連続性が、より保たれることになり、確実性が増すといえます。この場合、抵当権設定登記が完了した後も信託目録に被担保債権の特定事項は残り、権利部の登記記録と重複する部分が出てくることになります。そこまで必要なのか分かりませんでした。抵当権設定の権限のみを信託条項とするのでは足りないのかなと、個人的に思いました。

Q354、信託行為に、信託財産責任負担債務として委託者の債務引き受け、などと注意書きとして受託差の権限を定める方法があるのではないかなと思いました。

Q341,で信託監督人はあくまで受益者の保護という観点から監督を行うのであり、債権者のために監督を行うのではないことに注意しておきたい、との記載があります。Q355、において金融機関に対する債務の利率変更について記載があります。本書では専門職の信託監督人が推奨されています。信託監督人が利下げなどの交渉を受託者と同行して出来るのはないか、状況によっては義務にもなり得るのではないかと思いました。

Q357、について、解説記載のとおり新受託者が債務引き受けの特約を行う場合に審査を行えばよく、事前に予備的受託者の審査をする必要性は、原則としてないのではないかと思います。

Q372、並存的債務引受は、併存的債務引受の誤植かと思います。

Q375、なぜ受益者全員を連帯保証人にする必要があるのか、分かりませんでした。連帯保証人が必要であれば、委託者兼受益者のみで足りるのではないかと思いました。

Q376、受託者、予備的受託者は抵当権消滅請求(民法379条から386条。)における第三取得者に該当するか、について。・・・第三取得者に該当する可能性は低いと考えます。受託者は委託者に対価を支払っているわけではないことが理由です。

Q385、金融機関が、委託者や受託者から、遺留分侵害なきことの表明保証を取得することに対して、どのような意味があるのか、分かりませんでした。通常の融資でも遺言の有無と遺留分侵害なきことの表明保証を取るのでしょうか。

Q386、金融機関が事前に受託者に対する誓約条項を公開していただければ、信託行為の定めを作成するのも、今までよりやるやすくなります。

Q388からQ404、金融機関が予備的受託者として、旧受託者の推定相続人を求める場合があるかもしれない、との記載について。・・・旧受託者の死亡を前提としているなら、旧受託者の推定相続人でも良いのかなと思いました。旧受託者の配偶者としている場合、委託者兼受益者の推定相続人とはならないときでも、受託者交代のときにもう一度審査があると思うので、その時に適切な人を、信託行為に関わらず、必要なら変更して、受託者に就任してもらえば良いと考えます。

Q407、金融機関独自の審査基準を内製化し、可能であれば公表することは必要だと思います。信託口口座開設が出来ない場合、信託行為を予定している当事者の納得と金融機関選定の目安ともなります。金融機関としても、予め自行の審査基準に該当しない人を、支援している専門家を通して選別出来ることで、審査に係る時間を減らすことが出来ると思います。私なら、本書記載の審査項目に、審査時点における委託者の遺言書の有無、任意後見制度利用の有無を追加します。遺言書について、内容の公開は含みません。

Q409、金融機関が、信託に関する審査を同じ地方の士業に委託したとしても、審査結果に対しての根拠付け、質問に対しての法的根拠のある回答が可能であれば問題ないと思います。困るのは融資あり、抵当権付き不動産を信託する場合に、その金融機関が提携している士業でないと、信託は出来ない、と言われることです。地方では地銀は限られており、他の地銀に借り換える労力がある場面は多くありません。委託者が専門家を選ぶことが出来るのが普通ではないかなと思います。

Q411、金融機関の審査コストについて。・・・信託契約書の審査に時間・労力がかかっているのは外部からみている限り確かなので、信託口口座開設のために審査料を設定するのは、適切だと思います。ただし、金融機関は資産を持っている信託行為の当事者の情報、財産承継の計画、親族関係を把握することが出来ます。遺言書より詳細な情報を見ることが出来ます。その情報を基に、融資や保険商品などの話をすることが可能です。このような利益を考えると、審査料は無料という考え方も成り立つと思います。または、審査料を設定する場合は、信託行為の情報に基づく営業活動を禁止する、という取扱いが適切だと思います。

 口座管理費用を徴収するのは、現在のところ他の口座管理とどのように違うのか説明がないので、理屈が分かりません。

 

Q415、受託者が解任されてしまった場合はどうするか。・・・解任前に金融機関への報告を義務付ける取扱いが考えられます。

 受託者が解任された際、「信託口」口座の承継手続は具体的にどうすべきか(いかにして継続が可能となるのか)。・・・原則として受託者の変更手続きになると考えます。いかにして継続が可能となるのか、については、信託財産責任負担債務がある場合で、金融機関の審査に耐えられる新受託者が見つからないときは、担保、保証の追加や信託の終了などの対応になると思います。

Q417、金融機関に対する報告事項を信託行為に定めることについて。・・・信託口口座開設予定の金融機関から、事前にテキストで提示していただけるなら信託行為に定めることが可能ですが、提示がない場合は金融機関から別の契約・合意を委託者、受託者に求めるのが合理的だと考えます。

Q421からQ424、受益者代理人について。利用する場合は、任意後見・成年後見制度との権限の棲み分けを信託行為や任意後見契約書に定める必要があると思います。

Q425からQ435、受託者を法人とする信託について。実質的支配者、特定取引の観点を入れると、判断がしやすくなる面があると思いました。参考、警察庁、犯罪収益移転防止法の概要、令和6年4月1日時点。

Q447、信託内部における受益権の処分禁止(信託法93条など。)や譲渡に受益者以外の者の承諾を要する定めが、信託外の第三者たる受益者の債権者に対して、どこまで主張できるのか、について。・・・信託当事者内部の定めであり、債権者に対して主張出来ないと考えます。

加工司法書士及び司法書士法人の業務のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与に関するガイドライン

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00607.html

司法書士及び司法書士法人の業務のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与に関するガイドライン

令和6年4月1日 法務省・日本司法書士会連合会

目   次 第1 本ガイドラインの目的等 …………………………………………… 2

1 本ガイドラインの目的 …………………………………………….. 2

2 本ガイドラインの基本的な考え方 …………………………………….. 3

  •  リスクベース・アプローチの位置付け ……………………………….. 3
  •  監督指導等の指針 ………………………………………………. 4

第2 司法書士に求められる取組み ………………………………………… 4

1 司法書士が取り組むべきリスクベース・アプローチ ………………………. 4

  •  リスクベース・アプローチの意義 …………………………………… 4
  •  リスクの特定及び評価 …………………………………………… 5
  •  リスク低減措置 ………………………………………………… 6
  •  リスク低減措置を講じてもリスクが許容される程度に低減されない場合の対応 … 8

 2 犯収法上の義務との関係 …………………………………………… 9

第3 監督指導等の対応 ………………………………………………… 9

1 基本的な考え方 ………………………………………………….. 9

2 司法書士会による監督指導等 ……………………………………….. 10

3 法務大臣等による監督 ……………………………………………. 10

第4 ガイドラインの実現に向けた取組み等 ………………………………… 11

 1 日司連による手引の策定 ………………………………………….. 11

2 司法書士会によるアウトリーチ等 ……………………………………. 11

 3 その他留意事項 …………………………………………………. 11 

第1 本ガイドラインの目的等

1 本ガイドラインの目的

 経済・金融サービスのグローバル化、暗号資産の普及といった技術革新により、資金の流れが多様化し、国境を越える取引が容易になっている中で、マネー・ローンダリングやテロ資金供与(以下「マネロン・テロ資金供与」という。)の手口も複雑化・高度化している。 こうした資金の流れを放置すると、不正な資金が将来の犯罪活動や犯罪組織の維持・強化に利用され、組織的な犯罪及びテロリズムを助長するとともに、これを用いた事業活動への干渉が健全な経済活動に重大な悪影響を与えるおそれがあり、我が国や国際社会にとっての大きな脅威につながる。

 このため、国際社会においては、不正な資金の移転が、国境を越え、脆弱な規制や不十分な対策の隙をついて行われるという認識のもと、金融活動作業部会(Financial Action Task Force(以下「FATF」という。))の多国間枠組みを通じて、マネー・ローンダリング、テロ資金供与、大量破壊兵器の拡散活動への資金供与への対策の国際基準(以下「FATF基準」という。)の策定・履行を協調して行い、世界全体での対策の実効性向上を図っている。我が国でも、犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号。以下「犯収法」という。)等を制定するなどして、FATF基準の履行を図っている。

 犯収法は、令和4年12月に改正され(国際的な不正資金等の移動等に対処するための国際連合安全保障理事会決議第1267号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法等の一部を改正する法律(令和4年法律第97号))、司法書士を含む一定の資格者に義務付けられる取引時確認事項が、犯収法第4条で規定する全ての事項に及ぶこととなった。司法書士及び司法書士法人(以下、両者を併せて「司法書士」という。)については、日本司法書士会連合会(以下「日司連」という。)が特定取引において果たすべき確認事項を示すチェックシートのモデルを作成し、これに基づいて司法書士が取引時確認の義務を果たすこととなる。また、司法書士は、犯収法第8条に規定される疑わしい取引の届出義務が課されないこととなったが、当該義務に代わる自主的な制度として、各司法書士会(以下、日司連と併せて「日司連等」という。)の会則において「特別事件報告」の制度が設けられた。

 しかし、社会情勢等が刻々と変化することに伴うマネロン・テロ資金供与のリスクの変化等に機動的に対応し、個々の依頼についてマネロン・テロ資金供与を目的とするものか否かを的確に判断するためには、これまで行われてきた、法令等の整備によるいわゆる「ルールベース・アプローチ」に基づく対策のみでは不十分であり、司法書士が直面するリスクに応じた柔軟な対応を取ることが不可欠である。

 そこで、本ガイドラインは、司法書士を対象とする「リスクベース・アプローチ」の枠組みを示し、これを遵守させることを目的とするものである(リスクベース・アプローチは、FATFによるマネロン・テロ資金供与対策に関する勧告における基本原則とされており、司法書士を含む特定非金融業者及び職業専門家(DNFBPs)に対しても遵守が求められている。)。リスクベース・アプローチは、自らの業務について直面しているマネロン・テロ資金供与のリスクを適時かつ適切に特定及び評価し、リスクに見合ったリスク低減措置(資産及び収入の状況の確認を含む。)を講ずることをいい、司法書士が業務を行う上での姿勢を示すものである。

 また、司法書士の業務におけるマネロン・テロ資金供与への対策を実効的なものとするために、法務省、日司連等が行うべき取組みや司法書士に対するモニタリングのあり方について明らかにする必要がある。法務省、日司連等が本ガイドラインを踏まえたマネロン・テロ資金供与対策への対応状況等についてモニタリングを行い、適切な是正措置を行うことで司法書士が果たすべき執務の一層の適正化を図るものである。

2 本ガイドラインの基本的な考え方

  •  リスクベース・アプローチの位置付け

 犯収法は、国民生活の安全と平穏を確保し、経済活動の健全な発展に寄与する上でマネロン・テロ資金供与の防止が極めて重要であること(犯収法第1条参照)に鑑みて、その防止のために特定事業者による措置等を規定している。このような法の趣旨及び目的並びに司法書士の職責(司法書士法(昭和25年法律第197号)第2条)に照らすと、司法書士は、自らの業務に関する依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であると認めた場合には、その依頼を受けてはならないことになる。そのため、自らの業務に関する依頼を受けようとするときは、その依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であるか否かについて慎重かつ的確に検討しなければならない。また、その検討の結果、依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であることの疑いを払拭できない場合についても、その依頼を受けてはならない。

 リスクベース・アプローチは、依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であるか否かを検討するための合理的な方法であり、司法書士は、自らの行う業務がマネロン・テロ資金供与に利用されないことが極めて重要な社会的責務であることに鑑みて、全ての依頼について、マネロン・テロ資金供与に関するリスク(以下単に「リスク」という。)の観点から、犯収法等の趣旨を踏まえ、リスクベース・アプローチに基づく対応を行わなければならない(リスクベース・アプローチに基づく検討を行うまでもなく依頼の目的がマネロン・テロ資金供与を目的とすることが明らかである場合には、当然、その依頼を直ちに拒否しなければならない。)。

  •  監督指導等の指針

 マネロン・テロ資金供与対策の実効性を確保するためには、司法書士会及び法務省が、司法書士によるマネロン・テロ資金供与対策の取組状況についてモニタリングを行う必要がある。また、司法書士によるマネロン・テロ資金供与対策が明らかに不十分であるなどの場合には、監督指導による是正が必要となる(以下、モニタリング及び監督指導を合わせて「監督指導等」という。)。 このような監督指導等の具体的な内容は、司法書士がマネロン・テロ資金供与に関わるリスク(以下「監督上のリスク」という。)に応じて決められるべきである(第3を参照)。

第2 司法書士に求められる取組み

1 司法書士が取り組むべきリスクベース・アプローチ

  •  リスクベース・アプローチの意義

 リスクベース・アプローチとは、司法書士が、業務に関して依頼を受けようとする際及び依頼を受けた後に、自らが直面しているリスクを適時かつ適切に特定及び評価し、当該依頼を行うことが許容される程度にまで当該リスクを実効的に低減するため、当該リスクに見合った対策を講ずることをいう。

 リスクベース・アプローチの枠組みは、司法書士の業務に関する依頼の目的がマネロン・テロ資金供与にあるか否かを検討するための基本原則であることから、本来的には、その適用対象は犯収法上の特定取引(犯収法第4条第1項)に限定されるものではなく、司法書士の業務(司法書士法第3条若しくは第29条に定める業務又はこれらに付随し、若しくは関連する業務)のうち、依頼者のためにする行為又は手続に係る依頼全般に適用されるべきものである。

  •  リスクの特定及び評価

ア リスクの特定及び評価

  リスクの特定は、司法書士が、自らが依頼を受け、又は依頼を受けようとする行為や依頼者の属性等のリスクを包括的かつ具体的に検証し、マネロン・テロ資金供与に係るリスクを特定するものであり、リスクベース・アプローチの出発点というべきものである。

 リスクの特定について、司法書士は、司法書士の業務について依頼を受けようとする場合には、依頼者の属性、依頼者との業務上の関係、依頼内容及び依頼に関係する事実(例えば、不動産登記の代理申請の依頼においては、当該申請の登記原因に係る事実)等の事情を包括的かつ具体的に検討した上で、これらを総合的に考慮してリスクを特定しなければならない。

 また、依頼を受けたであっても、同様にこれらの事情について新たなリスクが判明した場合には、これを踏まえてリスクの特定を検討する必要がある。そして、司法書士は、特定されたリスクについて、自らへの影響度等を踏まえて総合的な評価を行い、その依頼について高リスクであるか否かの判断を行わなければならない。

 このようなリスクの特定及び評価は、リスク低減措置の具体的な内容を基礎付けるものであり、リスクベース・アプローチの土台となるものである。

 イ 高リスクの依頼

 高リスクとは、その依頼を受けようとする場合に、特定したリスクの評価の結果、司法書士会の会則(以下「会則」という。)で定められた依頼者等の本人であることの確認並びに依頼の内容及び意思の確認(以下「依頼者等の本人確認等」という。)の義務や犯収法で規定された取引時確認等の義務を履行するだけでは許容されない程度のリスクが残ることをいう。

 ここで、「許容されない程度のリスク」とは、依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であることの疑いを払拭できないことを意味している。この場合には、後記⑶アのとおり、追加的なリスク低減措置が講じられなければならない。

ウ リスクの特定及び評価の具体的方法

 司法書士は、リスクの特定及び評価に当たっては、自らの有する情報のほか、後述するリスクベース・アプローチに関する解説や国家公安委員会作成の「犯罪収益移転危険度調査書」(以下「危険度調査書」という。https://www.npsc.go.jp/policy/)などを参照したり、法務省等の関係省庁から提供される情報や日司連等から提供される情報等を踏まえたりするなどして、高リスクであるか否かの判断を適切に行うように努めなければならない。

 また、特定の依頼者との関係で継続的に業務に従事する場合には、依頼を受けた後においてもリスクの特定及び評価が必要とされる場合がある。

  •  リスク低減措置

ア リスク低減措置としての顧客管理

 前記⑵で特定及び評価されたリスクを許容される程度に実効的に低減するための措置を講ずることは、マネロン・テロ資金供与対策の実効性を決定付けるものである。リスク低減措置のうち、特に個々の依頼者に着目し、自らが特定及び評価したリスクを前提として、個々の依頼者の情報や当該依頼者の依頼内容等を調査し、調査の結果をリスク評価の結果と照らして、講ずべきリスク低減措置を判断及び実施する一連の流れを、本ガイドラインにおいては「顧客管理」という。リスク低減措置の中核的な事項である。

 依頼者との個別的な契約締結を前提とする司法書士の業務において、リスク低減措置は、通常、個々の依頼者を単位として講じられることとなる。そこで、司法書士は、特定及び評価されたリスクについて、個々の依頼者に着目したリスク低減措置を講ずることが基本となる。 顧客管理は、依頼を受けようとする際の顧客管理(以下「依頼時の顧客管理」という。)と依頼を受けた後の顧客管理(以下「依頼後の顧客管理」という。)に分けることができる。

 一般的にいえば、単発的な不動産登記手続の代理申請業務の多くは、依頼時の顧客管理のあり方が中心的な問題となり、財産管理業務など依頼者との間で継続的な関係が予定される場合には、依頼時の顧客管理に加えて依頼後の顧客管理のあり方も問題となることが多い。

イ 依頼時の顧客管理の内容

  依頼時の顧客管理は、依頼者等の本人確認等を典型例とする。講ずべき措置の内容は、特定及び評価されたリスクの内容及び当該リスクが高リスクであるか否かに応じて決められるべきである。本ガイドラインにおいては、高リスクと判断した場合に講ずべき顧客管理を「厳格な顧客管理」といい、高リスクではないと判断した場合に講ずべき顧客管理を「通常の顧客管理」という。 (ア)厳格な顧客管理(高リスクの場合)

  高リスクと判断した場合には、依頼者等の本人確認等を行うだけではリスクを許容される程度に低減することはできないため、追加的なリスク低減措置を講ずることが求められる。追加的なリスク低減措置の具体的な内容は、犯収法第4条第2項に規定する取引(以下「ハイリスク取引」という。)における追加的な確認方法及び後述するリスクベース・アプローチに関する解説や危険度調査書に記載された取組内容等を参照しつつ、司法書士が直面する具体的なリスクの内容に応じて決められるべきである。なお、高リスクと判断した場合には、その判断根拠や講じたリスク低減措置の内容について記録化しておくべきである。

  • 通常の顧客管理

  高リスクではないと判断した場合には、司法書士の職責上求められる依頼者等の本人確認等の義務や犯収法で規定された取引時確認の義務を履行することで、リスクを許容される程度に低減することができる(後述する「簡素な顧客管理」は、「通常の顧客管理」の一態様として整理される。)。

ウ 依頼後の顧客管理

 依頼者との契約に基づく財産管理業務に従事したり、同一の依頼者から継続的に登記申請手続の代理業務に従事したりする場合など、特定の依頼者との関係で継続的に業務に従事するときには、依頼時の顧客管理によって低減されたリスクを依頼後も適切に管理しなければならない。これに加えて、業務に従事する過程で新たなリスクが判明した場合には、リスクの評価を行い、その内容に応じたリスク低減措置を講じなければならない。このように、依頼後の顧客管理は、継続的なリスク管理と新たなリスク等への対応に分けることができる。

  • 継続的なリスク管理

 継続的なリスク管理は、依頼時の顧客管理において取得した情報を更新していくことが想定されている。その更新の頻度については、高リスクであるか否かに応じて決められるべきであるが、依頼時の顧客管理を実行することにより許容される程度にリスクが低減されていることから、依頼後に新たなリスク等が生じたり、依頼時に行った適切な顧客管理をもってしても判明しなかった事情が事後的に判明したりしたといった場合を除いて、適切な顧客管理の実効性が妨げられない範囲で、取引の円滑な遂行等を考慮した顧客管理が許容される(以下、このような顧客管理を「簡素な顧客管理」という。)。

  • 新たなリスク等への対応

 特定の依頼者との関係で継続的に業務に従事する過程で新たなリスク等が判明したり、依頼時に行った適切な顧客管理をもってしても判明しなかった事情が事後的に判明したりしたといった場合には、依頼を受ける際と同様のリスク評価を行わなければならず、これによってその依頼が高リスクと判断された場合には、速やかに依頼時の顧客管理において取得した情報を更新するとともに、厳格な顧客管理として追加的なリスク低減措置を講じなければならない。その内容は、前記イ(ア)に記載したことが基本的には該当する。

  •  リスク低減措置を講じてもリスクが許容される程度に低減されない場合の対応

 リスクベース・アプローチに基づくリスク評価の結果、その依頼が高リスクと判断され、リスク低減措置を講じてもそのリスクが許容される程度まで減ぜられなかったときには、依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であることの疑いが払拭できない場合に該当するとして、司法書士は、その依頼を拒まなければならず、受任後であれば、辞任しなければならない。

 依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であることの疑いが払拭できない場合であるかに関する判断過程は合理的なものである必要があり、前記⑴から⑶までのリスクベース・アプローチの手順に則ったものである必要がある。また、リスクが許容される程度を超えているかについては、リスク低減措置を講じた後に残るリスクの程度が、高リスクと同程度のものといえるかによって判断されることとなる。

 上記の枠組みは、依頼後に新たなリスク等が生じた場合についても同様に当てはまる。

 2 犯収法上の義務との関係

  前記1のリスクベース・アプローチは、司法書士の業務に関する依頼の目的がマネロン・テロ資金供与であるかどうかを合理的に検討する枠組みであり、これをもって司法書士が犯収法上の義務の履行を免れるものではないことに注意する必要がある。

  例えば、司法書士は、リスクベース・アプローチの枠組みに基づき依頼を高リスクではないと判断した場合であっても、犯収法上の取引時確認等を要する取引類型については、これを実施しなければならないのは当然である。

第3 監督指導等の対応

 1 基本的な考え方

  マネロン・テロ資金供与対策の実効性を確保するためには、司法書士に対する適切な監督指導等が行われる必要がある。監督指導等は、大きく分けて、司法書士会による監督指導等と法務大臣又は法務局及び地方法務局の長による監督(以下「法務大臣等による監督」という。)に区別することができる。司法書士によるマネロン・テロ資金供与対策には、犯収法上の取引時確認等や会則上の依頼者等の本人確認等のように、法令又は会則に基づいて司法書士による遵守が義務付けられている対策(以下「法令等に基づく対策」という。)と、リスクベース・アプローチのように、法令又は会則に基づいて義務付けられているものではないが、ガイドライン等によって取組みが求められている対策(以下「ガイドライン等に基づく対策」といい、法令等に基づく対策と合わせて「司法書士によるマネロン・テロ資金供与対策」という。)が存在する。

 司法書士会による監督指導等は、法令等に基づく対策とガイドライン等に基づく対策の双方について行われるのに対し、法務大臣等による監督は、特に法令等に基づく対策の不遵守等を対象として行われることが想定されている。 司法書士会による監督指導等や法務大臣等による監督の方法は、いずれも監督上のリスクの内容及び性質、当該リスクの程度等に応じて決められるべきである。

2 司法書士会による監督指導等

  司法書士会は、司法書士によるマネロン・テロ資金供与対策が十分であるかについてモニタリングを行う。司法書士会によるモニタリングは、司法書士から提出された特定事件報告書に基づいて行うこととなる(特定事件報告書は、司法書士会によるモニタリング等の基礎となるものであるから、その記載事項は、その時点での社会的情勢等に反映した適切なものとされなければならない。そのため、必要に応じて、記載内容は改定されることとなる。)。

 司法書士会は、特定事件報告書の記載内容を通じて司法書士のマネロン・テロ資金供与対策について確認を行う。特定事件報告書に記載された内容に照らすと司法書士が行うべきマネロン・テロ資金供与対策として不十分な措置がとられていると認めた場合には、当該司法書士から事情聴取をした上で、当該司法書士に対して適切な助言及び指導を行うこととなる。 特定事件報告書の性質やこれに基づいた司法書士会による助言及び指導の実効性を確保する必要性があることを踏まえると、司法書士が特定事件報告書の提出に全く応じない場合、特定事件報告書の内容に基づく司法書士会による助言や指導に従わず、執務の内容等に改善がみられない場合、特定事件報告書に虚偽の記載をした場合には、監督上のリスクが高いものとして、司法書士会による注意勧告等の的確な対応をとることが要請される。 日司連は、司法書士会に対し、司法書士会による監督指導等の対応指針を示し、助言及び指導を行うこととする。

3 法務大臣等による監督

 司法書士会は、その会に所属する司法書士に対する指導権限があることから、まずもって司法書士会による監督指導等によって改善が図られることとなる。 しかし、司法書士会による監督指導が功を奏しない事案、法令等の違反の程度が重大である事案、司法書士会による自治的な取組みに委ねることが相当でない事案など、監督上のリスクが特に高いと認められる場合には、法務大臣等による監督が検討されなければならない。

 法務大臣等による監督は、犯収法上の監督権限(犯収法第15条以下)及び懲戒権限(司法書士法第47条及び第48条)の行使を通じて行われる。

 法務局及び地方法務局の長は、犯収法上の監督権限として、報告等を求める権限(同法第15条)、立入検査等の権限(同法第16条第1項)、指導等の権限(同法第17条)及び是正命令の権限(同法第18条)を有している(犯収法第15条以下、犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令(平成20年政令第20号)第35条。

 なお、罰則規定につき犯収法第25条、第26条及び第31条)。また、法務大臣は、司法書士法上、司法書士に対する懲戒権限を有しており、「司法書士及び司法書士法人に対する懲戒処分の考え方(処分基準等)」において、犯収法違反を伴う本人確認等義務違反が違反行為として明記されている(別表番号8及び15)。

  法務大臣等による監督は、対象となる事案の性質及び内容、法令等の違反の程度、それぞれの権限の性質や趣旨を踏まえて、どの措置をとるかが決定されるべきである。また、具体的な法務大臣等による監督の内容は、司法書士による法令等の違反の内容やその程度等から評価される監督上のリスクに応じて決定されるべきである。

第4 ガイドラインの実現に向けた取組み等

1 日司連による手引の策定

 司法書士がリスクの特定及び評価を適切に行い、実効的なリスク低減措置を可能とするためには、広くマネロン・テロ資金供与に関する最新の情報を収集し、分析することが有益である。そこで、日司連は、司法書士会と連携して参考事例を集積及び分析し、リスクベース・アプローチに基づく対応を行う上で参考となる事項をまとめた手引を策定し、司法書士に提供するものとする。

 リスクベース・アプローチに関する解説の内容は、社会情勢等が日々大きく変化することに伴うマネロン・テロ資金供与のリスクの変化等に機動的に対応するために、定期的に更新されることが想定される。

2 司法書士会によるアウトリーチ等

 司法書士会は、日司連及び法務省とも連携しつつ、リスクベース・アプローチその他のマネロン・テロ資金供与への対策に関する情報を、引き続き研修その他の機会を通じて司法書士に提供するものとする。また、日司連は、関係機関からの情報提供を受けたり、関係機関との間で意見交換等をしたりすることで、適時情報を把握して、司法書士会を通じて会員に情報提供をするものとする。

3 その他留意事項

 日本では、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)や国際連合安全保障理事会決議第1267号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法(平成26年法律第124号)に基づいてタリバーン関係者やテロリスト等に対し、資金その他資産の使用・資金の流れを防止するための資産凍結措置を実施している。司法書士においても、個々の依頼者に着目するほか、下記の対応をとることが求められる。

・取引の内容(送金先、取引関係者(その実質的支配者を含む)等)について最新の制裁リストと照合するなど、的確な運用を図ること

・制裁対象者が新たに指定された際には、遅滞なく、特定受任行為の代理等の依頼者に係る情報と照合するなど、国内外の制裁に係る法規制等の遵守その他リスクに応じた必要な措置を講ずること

PAGE TOP