信託フォーラムvol.22/2024年10月号

信託フォーラムvol.22、2024年10月号

信託フォーラム2024年10月号、日本加除出版

 特集1令和6年改正公益信託法制/特集2 民事信託をめぐる近時の紛争事例 vol.22

巻頭言 結婚・子育て支援信託制度~「こどもまんなか社会」の実現に向けて~

(こども家庭庁長官官房参事官(総合政策担当)●中原茂仁)

https://www.cfa.go.jp/policies/shoushika/zouyozei

 贈与された資金を、金融機関において18歳以上の子・孫等(受贈者)名義の専用口座により管理し、専用口座から払い出した金銭が結婚・子育て資金に充てられたことを金融機関が領収書等により確認・記録し、保存します。専用口座は、子・孫が 50 歳に達する日などに終了。

対談 社会的弱者の権利擁護と信託の可能性

(日本弁護士連合会会長●渕上玲子× 中央大学研究開発機構教授●新井 誠)

 認知後見制度について、コスト面で課題。信託監督人への就任。信託契約に、福祉的要求を満たす、という条項を入れると、後見の費用を賄える。については分かりませんでした。

特集1 令和6年改正公益信託法制

公益信託に関する法律の改正の概要(内閣府大臣官房公益法人行政担当室企画官●古谷真良/前内閣府大臣官房公益法人

行政担当室参事官補佐●太田道寛/法務省民事局調査員●藤井梨絵/内閣府大臣官房公益法人行政担当室主査●大塚一輝)

 公益信託に関する法律は、信託法1条の他の法令。33条により、信託法の適用関係について規定。4条、8条、6条、12条などにおいて、信託法の特則を規定。手続の流れに沿うという意味で、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律と同様の条文構成。認定許可基準を法律に規定。2026(令和8)年4月に施行予定。

 

公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律について(内閣府大臣官房公益法人行政担当室参事官補佐●勝山貴之)

 公益法人information「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議 最終報告」

https://www.koeki-info.go.jp/regulation/koueki_meeting.html

 中期的な期間における収支相償原則へ。遊休資産から使途不特定財産へ。収益事業等の内容の変更について、届出事項へ。区分経理を義務付けへ。監事の独立性を保つための、法人内における一定の親族関係廃除。

信託業界の視点から見た新しい公益信託法制(一般社団法人信託協会専務理事●川嶋 真)

 公益信託の信託事務及び信託財産の範囲の拡大。公益信託の受託者の範囲の拡大。主務官庁制の廃止・行政庁一本化。

公益信託に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/506AC0000000030/20260521_000000000000000#506AC0000000030-Sp

(旧公益信託の新法の規定による公益信託への移行)

第四条旧法公益信託及び信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第百九号。以下「信託法整備法」という。)第二条の規定によりなお従前の例によることとされた信託法整備法第一条の規定による改正前の信託法(大正十一年法律第六十二号。第三項及び附則第八条第二項において「旧信託法」という。)第六十六条に規定する公益信託(以下この項において「旧信託法公益信託」という。)は、移行期間内において、新法第三条に規定する行政庁(以下「行政庁」という。)の認可(以下「移行認可」という。)を受けた場合には、新法第七条第一項に規定する公益信託認可(附則第十二条において「公益信託認可」という。)を受けたものとして新法の規定による公益信託となることができる。この場合において、移行期間内に当該移行認可を受けていない旧法公益信託及び旧信託法公益信託(以下「旧公益信託」という。)は、移行期間が満了する日に終了するものとする。

2項、3項略。

信託会社を利用した公益信託の活用(ふくし信託株式会社・弁護士●清水 晃)

 高齢者や障碍者のための施設を運営するケースにおいて、公益信託を利用した場合の信託会社の役割を想定。

弁護士から見た新しい公益信託法(弁護士●平井信二)

 内閣府令、政令への委任が数多く存在し、規制法的性格が強い。

 弁護士が公益信託の受託者に就任した場合に想定される事業として人権擁護活動支援事業など。信託管理人に弁護士が就任することの意義。

 新しい公益信託税制(東京大学社会科学研究所教授●藤谷武史)

 公益信託が収益事業を行わないことによる税務の簡素化。特定資産公益信託に該当しない公益信託の財務規制。

法人税法(定義)第二条二十九の二

https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000034/20250401_505AC0000000021#Mp-Pa_1-Ch_1

法人課税信託 次に掲げる信託(集団投資信託並びに第十二条第四項第一号(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する退職年金等信託及び同項第二号に規定する特定公益信託等を除く。)をいう。

以下略

新しい公益法人制度・公益信託制度への期待(多摩大学サステナビリティ経営研究所教授・主任研究員●小林立明)

 NPO法人等への寄付、公益法人設立との違い。財産の隔離。信託契約で寄付金の使途や運営について規定可能。受託者を変更することが出来る可能性がある。設立・運営コストが高い。

 人材派遣会社が公益信託の認定を受けることが出来る可能性がある。社会的インパクト評価の専門家関与の必要性。

 特集2 民事信託をめぐる近時の紛争事例

受託者の裁量をめぐる裁判例─東京高裁令和6年2月8日判決(弁護士●志田博文)

 平成29年6月15日、母、遺言作成。母と次女による信託契約1を締結。委託者長女、受託者次女、受益者長女。および信託契約1に基づく登記申請。

 平成29年10月26日、母、死亡。母死亡による信託契約2の委託者を孫とする変更、受益者を孫とする変更登記申請。

 平成29年12月7日、長女と次女との間で、受託者を母と次女とする信託契約2を締結。委託者母、受託者母および次女、受益者母および長女。および信託契約2に基づく登記申請。

 平成30年6月27日、長女が次女に対して、信託契約1の解除による終了と、信託契約1の受託者の解任を通知。

 受益権(信託法2条2項7号)と受託者の裁量(信託法26条)について。

・受託者の信託事務として、

信託金融資産から公租公課、保険料、修繕費その他の必要経費を支払い又は控除した上、受託者が相当と認める額の生活費等を受益者に交付し、受益者の施設利用費、病気療養費等を銀行振り込み等の方法で支払う。また、「受益者の希望に沿った必要な費用」、祭祀に係る費用を支払う。

・受益権の内容として、

 委託者の長女に対する扶養の範囲で受益権を与える。

との記載がある場合。

・賃料収入から、

受益者の施設利用費、病気療養費、信託不動産の管理費、固定資産税等、火災保険料、電気料金及び雑費、受託者報酬、リフォーム代、専門家費用を控除した額の受益者が2人なので、2分の1の額を長女が取得することは認められない。

・理由

 受託者の信託事務・受益権の内容に、生活費等の具体的金額や計算方法、交付時期は明記されていない。

 信託契約の締結後、定期的に賃料収入の一部を、施設利用費、病気療養費を除く生活費等として交付していた事実を認めることが出来ない。

 受託者には、信託不動産の修繕等に備えて、賃料収入を留保する裁量が認められる。

・感想

受益権について具体的に明記していない場合、給付の事実がなければ、受託者の裁量が認められる可能性が高い。信託の目的などから総合的に判断して認められる、という可能性は低い。

・対応

 受益権について、給付される最低額や具体的な算定方法を定める。

 

民事信託において委託者兼受益者による受託者の解任が認められなかった事案 ─ 東京地裁令和5年3月17日判決(弁護士●金子順一)

平成28年11月、信託契約締結。委託者父、受託者次男、受益者父。残余財産の帰属権利者次男。

(信託の変更、終了に関する規定)受益者は受託者との合意により、本件信託契約の内容を変更し、若しくは本件信託を一部解除し、又は終了することができる。

令和3年9月、受益者父から受託者次男に対して、信託財産に関する目録や帳簿の開示、未精算賃料全額の支払い、今後は毎月の賃料収入から必要経費を控除した残額の給付を請求。

令和3年10月、令和3年9月の請求に受託者次男が応じなかったため、受益者父から受託者次男に対して、受託者を解任する意思表示。

令和3年10月、受益者父の配偶者が新しい受託者に就任する意思表示。

(争点)

受託者次男の解任は有効か。

(結論)

有効ではない。

(理由)

 信託の終了に制限をかけているから。信託の終了を受益者が任意に出来ない場合に、任意に受託者を解任することが出来ると、信託の終了と同様の形を作り出すことができる。例えば、受託者を交代して、新しい受託者との合意により信託を終了することができる。

 また、受託者は無報酬であり、残余財産の帰属権利者に指定されているので、受益者の任意で受託者の解任を認める信託と認めるのは難しい。

 だから、信託の受託者の解任にも制限を付けた(信託法58条3項)と解釈するのが相当。

(対応)

 受託者の解任について、信託行為に規定を置く。

信託財産の追加時における委託者の意思内容及び意思能力の有無が問題となった事例 ─ 横浜地裁令和5年12月15日判決(東洋大学法学部准教授●根岸 謙)

平成19年9月30日、信託契約締結。委託者X、受託者Xの弟、受益者X。

(追加信託に関する条項)

 Xの配偶者死亡によりXが相続人となった場合は、受託者Xの弟がXに代わって遺産分割協議を行うことが可能。取得した遺産について管理処分する権限を持つ。

平成22年3月30日、公正証書遺言作成。遺言者X、受遺者はXの姪。

令和2年5月、Xの配偶者死亡。

令和2年9月28日、Xの配偶者名義の不動産について、Xに対する所有権移転登記。

令和2年10月9日、Xについて後見開始の審判確定。

令和2年10月19日、信託を原因として、受託者Xの弟に対する所有権移転登記及び信託登記。

令和2年12月28日、Xの成年後見人が、受託者Xの弟に対して、信託契約の解除及び所有権移転及び信託登記抹消の意思表示。

令和3年1月7日、Xが自筆証書遺言作成。受遺者はXの弟。

令和3年4月、X死亡。平成23年3月30日付公正証書遺言に基づく遺言執行者就任。

(結論)

令和2年10月19日、信託を原因として、受託者Xの弟に対する所有権移転登記及び信託登記の抹消について。・・・認められる。

(理由)

・信託契約書に、信託する旨の文言がない。

・信託契約書作成後、Xの弟が受託者として信託事務を具体的に行っていたことが認められない。

・平成22年3月30日付の公正証書遺言で、受遺者はXの姪としていることと整合性が取れない。

(論点)

・平成22年3月30日付の公正証書遺言がなく、信託契約書に、Xの配偶者が死亡しXが相続した不動産は、信託財産たる不動産とする。受託者Xの弟は、Xが相続により取得した不動産について、所有権移転及び信託登記を行う。と記載されていた場合、信託法149条4項に基づく追加信託として有効か。

民事信託に関する裁判外紛争(弁護士●伊庭 潔)

 信託設定後に親族間の関係が悪化したケース。追加信託の際に書面を作成しなかったケース。第二次受益者に対して十分な給付が行われないケース。借地上の建物を信託する場合。

P79、受託者が無償で信託の引受けを行っているのであれば、信託業に該当せず受託者になることは信託業法に違反しない。について・・・無償であっても反復継続して信託の引受けを行う場合、信託業法2条に違反します(小出 卓哉『逐条解説信託業法』2008年、清文社、P17)。

白鳥教授の投資信託研究入門 第22回(一般社団法人投資信託協会●青山直子)

 1,月々に投資できる額や投資期間、目標とする資産額のイメージ。

 2.期待リターンとリスクの設定。

 3.設定に合う投資対象があるか探してみる。

家族信託への招待 第22回(弁護士●遠藤英嗣)

 現状、裁判所の考えは、信託が信託契約によって設定された場合、その契約性を重視され、新任関係破壊の法理はまだ確立されていない。

P123、信託行為に信託が途中で終了したときの残余財産の帰属者を終了時の受益者とする定めがないことが多く、結果信託が終了しても信託財産は信託設定者には戻ってこないのである。について・・・そのような状況であることについて知りませんでした。

信託と税金 no.22(税理士●菅野真美)

消費税法

https://laws.e-gov.go.jp/law/363AC0000000108#Mp-Ch_1-At_14

(信託財産に係る資産の譲渡等の帰属)

第十四条信託の受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)は当該信託の信託財産に属する資産を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に係る資産等取引(資産の譲渡等、課税仕入れ及び課税貨物の保税地域からの引取りをいう。以下この項及び次条第一項において同じ。)は当該受益者の資産等取引とみなして、この法律の規定を適用する。ただし、法人税法第二条第二十九号(定義)に規定する集団投資信託、同条第二十九号の二に規定する法人課税信託又は同法第十二条第四項第一号(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する退職年金等信託若しくは同項第二号に規定する特定公益信託等の信託財産に属する資産及び当該信託財産に係る資産等取引については、この限りでない。

2項、3項略。

民事信託と登記 第13回(渋谷陽一郎)

登記研究915号P139、令和6年1月10日法務省民二第17号法務省民事局民事第二課長通知「信託財産を受託者の固有財産とする旨の登記の可否について」

 受益者変更登記を、受託者が報告形式の登記原因証明情報を提供して単独で申請するための要件。

 受益者変更登記を受託者が申請する義務の有無。

ここからはじめる! 民事信託実務入門 第7回(弁護士●金森健一)

 信託契約の効力発生要件を、債権契約の構成にするか、要物契約の構成にするか。

■信託のひろば

事業性融資の推進等に関する法律について─企業価値担保権に係る信託に関する規律を中心に

(金融庁企画市場局総務課信用制度参事官室課長補佐●水谷登美男)

(森・濱田松本法律事務所 弁護士・NY州弁護士(元・金融庁企画市場局総務課信用制度参事官室課長補佐)●飯島隆博)

(金融庁企画市場局総務課信用制度参事官室課長補佐●五十嵐一裕)

事業性融資の推進等に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/506AC0000000052/20280613_000000000000000#Mp-Ch_3-Se_1

6条3項

3 この章及び次章において「企業価値担保権信託契約」とは、債務者と企業価値担保権信託会社との間で締結される信託契約であって、債務者を委託者とし、企業価値担保権信託会社を受託者とするものをいう。

(登記)

第十五条企業価値担保権の得喪及び変更は、債務者の本店の所在地において、商業登記簿にその登記をしなければ、その効力を生じない。ただし、一般承継、混同又は特定被担保債権の消滅による得喪及び変更については、この限りでない。

(他の権利との関係)

第十八条債務者の財産の上に存する先取特権(民法第三百二十五条に規定する先取特権(同条第三号に係るものに限る。)に限る。)、質権又は抵当権(以下この款において「他の担保権」という。)と企業価値担保権とが競合する場合には、それらの優先権の順位は、他の担保権に係る登記、登録その他の対抗要件の具備と企業価値担保権に係る登記の前後による。

2項以下略

 担保付社債信託法が適用される場合の適用除外について、225条。

 担保権の実行、換価は事情譲渡等によってすることについて、157条。

■論 説 家族信託と専門職の在り方─ 台湾(中華民国)との比較を通じて

( 大阪経済大学経営学部ビジネス法学科教授●橋谷聡一)

台湾(中華民国)民法

https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=B0000001

金融監督管理委員會 信託2.0

https://www.fsc.gov.tw/ch/home.jsp?id=834&parentpath=0,2,310

中華民國信託業商業同業公會 我國辦理家族信託模式建議與架構分析

https://www.trust.org.tw/tw/research?page=2

家族信託規劃顧問師という資格がある。国家資格ではない。72時間の授業。

https://web.tabf.org.tw/page/1110615

高齡金融規劃顧問師における地政士の言及。

https://web.tabf.org.tw/page/1100317

P92、民事信託士検定を行っている。対象は弁護士・司法書士である。―中略―弁護士会、司法書士会、行政書士会に所属する者を対象としている。について・・・行政書士会の位置付けが分かりませんでした。

■ガバナンスの潮流

紅麹健康被害問題におけるコーポレート・ガバナンスの冤罪─「死体蹴り」や「目くらまし」からの脱却

(一橋大学大学院法学研究科ビジネスロー専攻教授●得津 晶)

2024年7月23日 小林製薬株式会社 事実検証委員会の調査報告を踏まえた取締役会の総括について

https://www.kobayashi.co.jp/newsrelease/2024/20240723_01

 各規定に整合性が取れていない部分があること。経営者の業績評価の必要性。

■信託事例紹介

若年者の民事信託(弁護士 田中智芳)

委託者兼受益者は、成人後数カ月を経過したA。受託者は叔母。信託監督人は未成年後見人であった弁護士。

(信託の目的)

 詐欺被害、浪費の予防

 Aが一定の年齢に達するまで、またはAの財産承継者が現れるまで(Aが結婚するなど。)

(信託財産)

委託者兼受益者の父母が遺した遺産。不動産は信託契約前に換価。

(信託財産の管理方法)

投資信託・・・現状維持。

金銭・・・大学生活に必要なお金は信託財産たる金銭に含めず、Aに渡し、残りを信託財産として、不足した時に随時給付。

預貯金口座の解約要件・・・受託者の同意。

(追加信託)

 信託監督人の意見を参考にして、数年ごとにAと受託者Bが協議。

(信託の終了事由)

 Aが死亡したとき。

 Aが婚姻したとき。

 Aが25歳になったとき。

 Aが紺養子縁組したとき。

 Aが婚姻前にこどもができたとき。

(残余財産の帰属権利者)

 Bと親戚1名。

■民事信託の最新動向

民事信託士検定10期を迎えて─ 軌跡と展望

(一般社団法人民事信託推進センター代表理事・民事信託士検定委員長・司法書士●押井 崇)

 信託会社を受託者とする選択肢。

 P111、極論ではあるが、民事信託は、財産管理、財産承継に関し、どのような事例においても採用することが可能である。について・・・どのような文脈なのか分かりませんが、疑問です。

公益社団法人日本不動産学会2024年度秋季全国大会

公益社団法人日本不動産学会2024年度秋季全国大会

2024年11月23日、24日

https://www.jares.or.jp/index.html

ワークショップ「日常化する水害リスクに都市・住宅と私たちがどう対処できるか」

趣旨説明・モデレーター

藤岡泰寛(都市住宅学会関東支部長:横浜国立大学教授)

【パネリスト】

前田亮(国土交通省住宅局参事官建築企画担当)金洪稷(一橋大学社会科学高等研究院講師)木内望(国土技術政策総合研究所都市研究部都市防災研究室シニアフェロー)薬袋奈美子(日本女子大学家政学部住居学科教授)

 薬局、ドラッグストアが多くなると、他の施設の開設が制限される。

 一部地域における水害リスクマップ。旧版地図を調べる。傾斜地の旗竿敷地。

峰村英二(住宅金融支援機構)「高齢者の住まい方を取り巻く諸課題に対する一考察」

 住宅のリフォームや更新、移住等の資金使途に加え、医療・介護関係の資金使途を含んだリバースモーゲージや、これに類する金融的な手段などの提供が必要。

ワークショップ「公的評価と空き家問題‐ゼロ円物件を素材として」

荒井達也(弁護士・宅地建物取引士)勝木雅治(不動産鑑定士)中川雅之(日本大学教授)中村 領(「みんなの0円物件」運営者)松浦 新(朝日新聞経済部)【進行】

 地域によって利用形態が違う。栃木は別荘、など。相続登記の義務化によって相談が増えたという実感はない。

 相続土地国庫帰属制度の相談から、売却相談に至る可能性。例えば隣地所有者が買取りたい、など。国庫に帰属した場合、いびつな国土の所有形態になる可能性。

 遺産分割は終わっているが、相続登記をしていなかった場合。遺産分割協議書の有無は不明。曾祖父などの名義の場合。法的な問題としては、境界・筆界が不明な場合。古い担保権などは何とかなる。

 未利用の不動産を手放す人がおっしゃることとして、次の世代に迷惑をかけたくない。だから費用をかけてでも、相続土地国庫帰属制度の利用を検討、ゼロ円物件引き取り業者への相談がある。

 

日本登記法学会 第9回研究大会

日本登記法学会 第9回研究大会

令和6年11月23日、共催日本司法書士会連合会、日本土地家屋調査士会連合会

テーマ 「担保法制の見直しの行方」

報告① 和田 勝行氏(京都大学大学院法学研究科教授)

担保法制の見直しによる「対抗要件」概念の課題

法務省 法制審議会-担保法制部会 部会資料46

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003008.html

 動産について占有改定で真正譲渡がされていた場合。譲渡担保権者の調査負担が減る。

1 集合動産譲渡担保権の目的である集合動産が存在する場所がある。

2 個別動産について、集合動産譲渡担保権設定者Aが、Bからお金を借りて(個別)動産譲渡担保を設定する。

3 個別動産について、集合動産譲渡担保権設定者Aが、個別動産の所有者Cから個別動産を購入する。

4 Aが、Bのための占有改定により引き渡し、その後、集合動産が存在する場所に、個別動産を搬入した場合の優劣。

集合動産譲渡担保の所在場所の指定。

報告② 伊見 真希氏(司法書士)

「担保法制の見直しによる登記実務上の課題」

 法制審議会-担保法制部会 部会資料46。

動産譲渡担保権の順位の変更

 動産譲渡担保権の順位は、各動産譲渡担保権者の合意によって変更可能。利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。順位の変更は、特例法の定めるところに従いその登記をしなければ、その効力を生じない。

 動産譲渡担保権と抵当権について、同一の農業用動産について動産譲渡担保権と抵当権とが競合する場合には、その順位は、動産譲渡担保契約に基づく農業用動産の譲渡についての引渡しと抵当権の登記の前後による。占有改定で農業用動産の引渡しを受けることにより対抗要件を備えた動産譲渡担保権は、抵当権に劣後する。同一の登録自動車について動産譲渡担保権と抵当権とが競合する場合には、その順位は、登録の前後による。

 債権譲渡担保権の順位の変更について。債権譲渡担保権の順位は、各債権譲渡担保者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。順位の変更は、特例法の定めるところに従いその登記をしなければ、その効力を生じない。

 根譲渡担保契約の効力について。根抵当権の極度額に関する規定はない。 不特定の債権を担保するための譲渡担保契約。譲渡担保契約は、債務者との間に生ずる一定の範囲に属する不特定の債権を担保するためにも締結することができる。

 根譲渡担保権の譲渡又は一部譲渡の対抗要件について。根譲渡担保権の譲渡又は一部譲渡は、動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、これをもって第三者に対抗することができない。債権を目的とする根譲渡担保権の譲渡又は一部譲渡は、当該譲渡又は一部譲渡及びその譲渡又は一部譲渡につき登記がされたことについて、譲渡人若しくは譲受人が当該債権の債務者に登記事項証明書を交付して通知をし、又は当該債務者が承諾をしなければ、これをもって当該債務者に対抗することができない。

 登記原因を譲渡担保とする譲渡登記の必要的記録事項の見直しについて。譲渡担保権者の氏名及び住所(法人にあっては、商号又は名称及び本店又は主たる事務所)並びに譲渡担保権者が会社法人等番号を有する法人であるときは当該法人の会社法人等番号(以下「氏名及び住所等」という。)を加える。→譲渡担保権者を変更することができるようになる。

 競合する譲渡担保権を記録するための競合担保登記目録制度について。譲渡人及び譲渡担保権の登記名義人は、共同して、競合担保登記目録の作成を申請することができる。

 動産譲渡担保権者による他の動産譲渡担保権者等に対する通知について。担保権実行の局面。

 動産譲渡担保契約に基づく動産の譲渡につき動産譲渡登記がされた動産譲渡担保権の動産譲渡担保権者は、その被担保債権について不履行があり、かつ、譲渡担保動産の引渡しを受けたとき(譲渡担保動産の引渡しに先立って帰属清算の通知又は処分清算譲渡をした場合にあっては、帰属清算の通知又は処分清算譲渡をしたとき)は、遅滞なく、その時にその動産譲渡登記の競合担保登記目録に特定事項が記録されている他の動産譲渡登記又は所有権留保登記において動産譲渡担保権者又は留保売主等として登記されている全ての者に対し、その旨を通知しなければならないものとする。通知は、通知を受ける者の動産譲渡登記ファイル上の住所又は事務所に宛てて発すれば足りるものとする。

テーマ 「震災と登記」

報告① 「不動産登記の機能・再考」舟橋 秀明氏(金沢大学大学院法学研究科准教授)

 不動産登記とは、不動産物権に関する情報提供装置。抵当権は、抵当目的物の占有を要素としないため(非占有担保性)、引渡しをもって公示することができなかった。また、所有権と異なり順位の概念が伴うため、順位を明確にするために、目的物の引渡しに代わる公示方法を採用せざるを得なかった。それが登記(帳簿)。

 地図について。登記によって不動産物権の公示機能が十全に効果を発揮するためには、登記記録に記載された内容がどの不動産に関するものであるかが特定できることを要する。そのための手段が地図(地籍図)の作成であり、土地については、地図によって物権(所有権)の対象となる区画(筆)を確定し、その位置や形状等を正確に表現することが要請される。

不動産の物権を持つ者の確定について。ドイツ法との比較。権利保護資格要件としての登記として、民法605条の2第3項。物権的請求権の相手方として、最三判平6・2・8民集48巻2号373頁。

被災地域の権利関係の証明・・・登記上の権利関係を根拠に、自らが権利者であることを容易に証明することができることで、補償金や支援金を受け取るのに役立つ。臨時の避難場所や仮設住宅の用地を確保するため、登記上の情報をもとに土地・建物の所有者や管理者を確認できる。

報告② 「震災後における登記実務の諸問題〜令和6年能登半島地震を踏まえ〜」曽根 裕氏(司法書士)

 公費による建物の解体のための、相続等の相談。宣誓書方式による公費解体・・・被相続人名義の被災建物の公費解体につき、相続人全員の同意が得られない場合において、相続人の代表者による宣誓書等の提出を受け、自治体が被災建物の公費解体を行う場合(以下「宣誓書方式」という。)には、自治体が被災建物の取壊しにつき法的責任を負わないとする制度の構築や、法的責任が免除される具体例などを示すなど、自治体が円滑に公費解体を行える環境を国が整備すること。

 令和6年3月29日民事2課第678号通知において、令和5年度の賦課期日における登録価格を課税標準として登録免許税を算出することとなった。

租税特別措置法第84条の4第1項(自然災害の被災者等は新築又は取得をした建物に係る所有権保存の登記等の免税措置)、

租税特別措置法第84条の4第2項(法84条の4第1項の規定の適用を受ける建物の新築又は取得の資金貸付等に係る抵当権の設定の登記に係る登録免許税の免税措置)、

租税特別措置法第84条の5第1項(被災者等が被災代替建物に係る土地を取得した場合の所有権移転の登記等に係る登録免許税の免税措置)、

租税特別措置法第84条の5第2項(法第84条の5第1項の免税措置の適用を受ける土地の所有者又は地上権若しくは賃借権の取得のための資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に係る登録免許税の免税措置)。

報告③ 「震災後における登記実務の諸問題~表題部に関する登記~」石野 芳治氏(土地家屋調査士)

 罹災証明書発行にかかる調査補助。倒壊等した建物の滅失調査。職権滅失登記に係る実地調査書の補助資料作成。過去の災害、阪神・淡路大震災(平成7年1月17日、東日本大震災(平成23年3月11日)、熊本地震(平成28年4月14日、16日)に関する対処方法を参考にしつつ、災害によって違う。

 •公費解体等に関する問題・・・申請物件と固定資産課税台帳との照合、相続・共有名義による障害、不登法第14条第1項に規定される地図がない、現地に行ってここが何番の土地かわからない、建物所在地の特定に非常に手間がかかる、液状化被害に関して筆界は移動しないが、家は動いた。これからの雪の季節。

•未登記に関する問題・・・権利登記に関して、登記が旧住所。問題、表題部登記に関して、増築、附属建物に係る変更登記の未登記が多かった。

環境省 令和6年能登半島地震を踏まえた公費解体の取組と課題について令和6年能登半島地震を踏まえた災害対応検討ワーキンググループ(第4回)令和6年8月20日

http://kouikishori.env.go.jp/archive/r06_shinsai/efforts/

コーディネーター 今川 嘉典氏(司法書士)

コメンテーター 山野目 章夫氏(早稲田大学大学院法務研究科教授)

令和6年度商業登記分野研修会「税理士に頼られる司法書士となるためには」

令和6年度商業登記分野研修会「税理士に頼られる司法書士となるためには」

令和6年11月20日(水)

司法書士と税理士の付き合い方

第1講第1部 齊藤詩織司法書士(東京司法書士会)

・設立登記は依頼から一週間以内に登記申請したいという要望が多い。について・・・依頼内容や依頼者の理解度によるのかなと思いました。

・目的変更について。私は、似ている業種の上場会社の目的を参考にしてもらっています。許認可が必要な業種については、行政書士に確認を求めます。

・組織再編に対応できる司法書士ということは、強みになる。

・顧客の紹介をする、というのはそうだよねぇ、と思いました。

第1項第2部 飯川洋一司法書士

事前質問に答える形式

・商業法人登記の申請は、月に20件から30件。

・オンライン申請がなかった時は、依頼があった会社には、遠くても直接出向くようにしていた。

・解散する会社が多くなってきた。

・役員の任期管理をしている。

・株主総会議事録は、原則として会社に作成してもらう。依頼されれば作成する。税理士作成の議事録が送られてくる場合もある。

・定款は保管している。税理士も保管している。現状や法改正と異なる場合もある。

・リーガルテックサービスによる登記申請サービスについて。間違えた場合が心配。

・税理士と一緒に勉強会を開催することで、連携が深まった。30年以上続いている。10人くらい。2年に1回くらい発表の機会が回ってくる。飯川洋一司法書士が発表したテーマは、平成3年商法改正、相続登記義務化、遺言書保管制度など。・・・30年以上継続しているのはすごいです。

・正確に迅速に丁寧に業務を行うために意識していること。直接声を聴いて話をすること。メールで連絡が来ても電話で返信する。・・・これは意見が分かれるのかなと思います。私はメールなどテキスト派で書類も郵送が原則ですが、直接会ったり電話するのも、依頼者が望むならそうした方が良いのかなと最近思ったりします。

・講師の依頼は、一緒に勉強会をやっていた税理士からの紹介が多い。

・事業承継の場面で、会社が創業者の株の買い取ることは、剰余金の残高から難しいことを指摘。

・税理士が窓口になっていても、依頼者本人と会うようにしている。

第2講 税理士からみた司法書士(商業・法人登記業務)

日本税理士会連合会常務理事業務対策部長 鴨田和恵税理士

・司法書士法人の担当が転勤などで変わる場合。

・見解が違い、変わる場合。相性。

・公的機関の創業相談から。

・設立登記は本人で行う場合が多い。事情により速く登記したい場合は司法書士を紹介。について。定款、株主構成などの内容は、本人に考えてもらうのかなと思いました。

資本金の額

・中小企業者等の法人税率の特例、租税特別措置法第四十二条の三の二

・中小企業者等の貸倒引当金の特例、租税特別措置法第五十七条の九

・中小企業庁 消費税のしくみ

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_3.htm

事業年度開始の日。設立の日が月初以外の場合。

・沖縄県 法人県民税・法人事業税に関する県税Q&A更新日 2024年1月11日

https://www.pref.okinawa.lg.jp/kurashikankyo/zeikin/1003660/1003689/1023512/1003691.html

・総務省 法人事業税における外形標準課税

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_05.html

令和8年4月1日より、資本金と資本剰余金の合計額が50億円を超える法人等の100%子法人等のうち、資本金と資本剰余金の合計額等が2億円を超えるものについては、外形標準課税の対象に含まれる。

法人成り。

不動産などを現物出資する場合の短期譲渡取得、長期譲渡取得に該当するかの判断。

一般社団法人

 国税庁 一般社団法人・一般財団法人と法人税

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/koekihojin/01.htm

取締役会や監査役の設置または廃止登記の申請

 名目的取締役への役員報酬。名目的取締役、というのが分かりませんでした。

・役員の任期について管理を司法書士が行うのかについて。依頼があればさせていただきたいと思います。

・役員辞任の年月日は、退職所得控除額の計算(役員等勤続年数)に関わる。

国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm

・法人版事業承継税制。贈与の日付。代表権を持った日。議決権数の過半数を保有している日。役員年数。

・本店所在地の移転登記がある場合、事業年度と法人住民税の均等割り。税務署などへ移転届が必要。

・目的を追加する登記申請の場合、削除する目的についても話をして欲しい。

・資本金の額の増加の登記申請、株式の評価・適格現物出資など。

・資本金の額の減少の登記申請、有償減資の場合。

・組織再編の登記申請、合資会社のみなし種類変更(会社法639条)。適格・非適格の判断→繰越欠損日の取扱い、みなし事業年度と合併期日。

・会社の解散・清算登記の申請について、会社解散届、解散確定申告書、清算事業年度の確定申告書、残余財産確定事業年度の確定申告書、清算結了届と関わる。

登記情報756号2024年11月号

登記情報756号2024年11月号、(一社)金融財政事情研究会

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T

 法窓一言 個人情報保護法改正をめぐる昨今の状況

弁護士法人片岡総合法律事務所 弁護士 高松志直

個人情報保護委員会「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理」

https://www.ppc.go.jp/personalinfo/3nengotominaoshi

最二小判令5.5.19を踏まえた不動産登記に関する遺言執行者の権限および当事者適格の整理と平成30年改正民法および令和3年改正不動産登記法の判例への影響

久保井総合法律事務所 弁護士 上田 純

 □遺言の作成日は、2019年(令和元年)7月1日より前か、以後か(平成30年法律第72号附則2条、8条2項)。

 □遺言執行者の原告適格。遺言執行者の権限の範囲内(民法1012条1項、1014条2項)か。

□相続開始日は、2019年(令和元年)7月1日より前か、以後か。

□遺言の内容は、特定遺贈、包括遺贈(民法964条)か、相続分の指定(民法902条)か、遺産の分割の方法の定め(民法908条)か、特定財産承継遺言(民法1014条)か。

□相続、遺贈の登記を経て、第三者に所有権移転登記がされていないか(民法1013条2項ただし書)。

遺言執行者の帰責性の有無。民法94条2項類推適用の有無を判断する対象は、遺言執行者か受遺者・相続分の指定により相続する相続人か。

口座登録法・口座管理法の概要

セブン銀行 小山正之

公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/503AC0000000038

預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/503AC0000000039

(相続時における預貯金口座に関する情報の提供)

第八条 相続人(包括受遺者を含む。以下この条において同じ。)は、主務省令で定めるところにより、預金保険機構に対し、全ての金融機関が管理する当該相続人の被相続人(包括遺贈者を含む。以下この条において同じ。)である預貯金者を名義人とする全ての預貯金口座について、次に掲げる事項の通知を求めることができる。

一金融機関及びその店舗の名称

二預貯金の種別及び口座番号

2預金保険機構は、前項の規定による求めを受けた場合には、主務省令で定める方法により、当該求めをした相続人が本人であること及び当該預貯金者が当該相続人の被相続人であることを確認するため、当該相続人及び預貯金者の本人特定事項その他当該相続人及び預貯金者を特定するために必要な事項として主務省令で定めるもの並びに当該相続人及び預貯金者の身分関係(当該相続人が包括受遺者である場合にあっては、遺言の内容)を確認しなければならない。

3預金保険機構は、第一項の規定による求めを受けた場合には、全ての金融機関に対し、当該求めをした相続人の被相続人である預貯金者の個人番号を通知しなければならない。

4前項の規定による通知を受けた金融機関は、当該個人番号に係る預貯金者を名義人とする預貯金口座を管理しているときは第一項各号に掲げる事項を、当該預貯金口座を管理していないときはその旨を、預金保険機構に対し、通知しなければならない。

5前項の規定による通知を受けた預金保険機構は、主務省令で定めるところにより、第一項の規定による求めをした相続人に対し、当該通知に係る事項を通知しなければならない。

1 相続人の1人が、金融機関に対して、

 ・相続時口座照会申込書

・法定相続情報一覧図の写しか、被相続人の死亡の事実と相続人であることが分かる戸(除)籍謄抄本

・照会手数料

を提供。

2 金融機関が預金保険機構と連携。

3 預金保険機構が全金融機関へマイナンバーが付番されている口座の有無を照会。

4 預金保険機構は、相続人の1人へ郵送で結果を通知。

法制審議会だより

民法(成年後見等関係)部会、第5回~第7回会議を開催

編集部

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00008

研究会だより

商業登記所における実質的支配者リスト制度の利便性向上に関する研究会の取りまとめ

編集部

https://www.kinzai.or.jp/substantial_ruler.html

 金融機関が、オンラインで実質的支配者リストの交付を申請することの検討。

検討会だより

定款認証の負担軽減に向けたデジタル活用のための実務検討会の第3回会議、第4回会議が開催され、中間案が取りまとめられる

編集部

https://www.kinzai.jp/seminar/digital_utilization

 モデル定款を利用した場合の発起人の本人確認について、マイナンバーカードの公的個人認証の活用を基本とする。デジタル庁が提供するマイナンバーカード対面確認アプリを利用するかは不明。オンラインでの面談(面前確認)なら、アプリの利用ではなくマイナンバーカードの提示になるのかなと思います。

 代理人による面前確認については、原則不可でも良いと思います。制度趣旨として起業の負担軽減があり、モデル定款を利用するのはオンライン面談、電子署名に対応可能な人が想定されています。士業が関与するとすれば、定款の書類作成、発起人による電子署名の方法について支援、オンライン面談環境の提供・同席等になるのかなと思います。

NEWS

定款認証・設立登記の「72時間原則」が開始される

法務省民事局登記所適正配置対策室長 宇野直紀

 法務省 令和6年9月20日更新 新たな取組に関するリーフレット「定款認証の手続が「2つの原則」の導入で便利になります」

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00076.html

商業登記規則逐条解説 第23回

土手敏行

商業登記規則

https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023#Mp-Ch_3

(電子情報処理組織による登記の申請等)

第百一条 次に掲げる申請、申出、提出、届出又は請求(以下「申請等」という。)は、情報通信技術活用法第六条第一項の規定により、同項に規定する電子情報処理組織を使用する方法によつてすることができる。ただし、当該申請等は、法務大臣が定める条件に適合するものでなければならない。

一登記の申請(これと同時にする受領証の交付の請求を含む。以下同じ。)

一の二第三十一条の二第一項及び第六項第一号、第三十一条の三第一項及び第四項第一号、第八十一条の二第一項、第七項及び第九項(第八十八条の二第二項(第九十条及び第九十二条において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)並びに第八十八条の二第一項(第九十条及び第九十二条において準用する場合を含む。)の申出(前号の登記の申請と同時にする場合に限る。以下第百五条の二第一項及び第百八条第一号において「住所非表示措置等の申出」という。)

二印鑑の提出又は廃止の届出(第一号の登記の申請と同時にする場合に限る。)

三電子証明書による証明の請求

四電子証明書の使用の廃止の届出

五電子証明書の使用の再開の届出

六識別符号の変更の届出

七電子証明書による証明の再度の請求

八登記事項証明書又は印鑑の証明書の交付の請求

2前項第八号の規定は、後見人である法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該後見人である法人の代表者の職務を行うべき者)、外国会社の日本における代表者である法人の代表者(当該代表者が法人である場合にあつては、当該外国会社の日本における代表者である法人の代表者の職務を行うべき者)又は管財人等の職務を行うべき者として指名された者が提出した印鑑の証明書については、適用しない。

3情報通信技術活用法第六条第一項に規定する主務省令で定める電子情報処理組織は、登記所の使用に係る電子計算機と第一項に規定する申請等をする者の使用に係る電子計算機であつて法務大臣の定める技術的基準に適合するものとを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。

4情報通信技術活用法第六条第六項に規定する主務省令で定める場合は、申請等に係る書面等のうちにその原本を確認する必要があると登記官が認める場合とする。

 各登記所にオンラインシステムが順次導入されるに伴い、登記所毎に回復した。登記申請、その他の申請や申出などがオンラインで可能になるごとに変更されてきた。登記の申請と同時にしなければならない申出などは、その旨記載される。記載がないものは単独で可能。部分オンラインを認めるための位置付け。

登記研究777号P111、平成24年3月30日法務省民商第886号法務省民事局長通達「商業登記オンライン申請等事務取扱規程の制定について」

リスクベース・アプローチに基づくマネロン対策⑸―“司法書士ガイドライン”から考える―

司法書士 末光祐一

犯罪収益移転危険度調査書の分析から始める。

https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/nenzihokoku/nenzihokoku.htm

 自然人が議決権を間接保有するケースについて、法人の実質的支配者の判定。

目で見る筆界の調査・認定事例第9回 筆界特定書により筆界を認定した事案

大阪法務局首席登記官(不動産登記担当)田中博幸(日本土地家屋調査士会連合会業務部協力)

 隣接所有者の所在が不明なケース。過去に他の隣接地について筆界特定、官民境界確認協議が行われている。

法律業務が楽になる心理学の基礎第14回・完 連載で学んだ26のアクションアイテム

弁護士(認定心理士) 渡部友一郎

 集団思考の特徴。集団成員相互の同調圧力、自己検閲、逸脱意見から集団を防衛する人物の発生、表面上の意見の一致、無謬性の幻想、道徳性の幻想、外集団に対するゆがんだ認識、解決方略の拙さ。

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