加工デジタル臨時行政調査会作業部会(第21回)

https://www.digital.go.jp/councils/administrative-research-wg/f0d3fb4f-1936-4e13-a34e-83fc1a39a54f/

デジタル社会の実現に向けた重点計画(案)令和4年(2022年)6月7日

目 次

第1 はじめに ~重点計画の目的~ ………………………………….. 1

第2 デジタルにより目指す社会の姿 ………………………………….. 4

1.デジタル化による成長戦略 ……………………………………… 6

2.医療・教育・防災・こども等の準公共分野のデジタル化 ………………. 8

3.デジタル化による地域の活性化 ………………………………….. 9

4.誰一人取り残されないデジタル社会 ……………………………….10

5.デジタル人材の育成・確保 ………………………………………14

6.DFFT の推進を始めとする国際戦略 ………………………………..15

第3 司令塔としてのデジタル庁の役割 …………………………………16

第4 デジタル社会の実現に向けての理念・原則 ………………………….18

1.誰一人取り残されないデジタル社会の実現 ………………………….18

2.デジタル社会形成のための基本原則 ……………………………….22

3.BPR と規制改革の必要性 ………………………………………..22

4.クラウド・バイ・デフォルト原則 …………………………………22

第5 デジタル化の基本戦略………………………………………….24

1.デジタル社会の実現に向けた構造改革 ……………………………..24

2.デジタル田園都市国家構想の実現 …………………………………31

3.国際戦略の推進 ………………………………………………37

4.サイバーセキュリティ等の安全・安心の確保 ………………………..40

5.包括的データ戦略の推進 ………………………………………..44

6.デジタル産業の育成……………………………………………52

7.Web3.0 の推進 ………………………………………………..54

第6 デジタル社会の実現に向けた施策 …………………………………56

1.国民に対する行政サービスのデジタル化 ……………………………56

(1)国・地方公共団体・民間を通じたトータルデザイン …………………56

(2)新型コロナウイルス感染症対策など緊急時の行政サービスのデジタル化 …59

(3)マイナンバー制度の利活用の推進 ……………………………….60

(4)マイナンバーカードの普及及び利用の推進 ………………………..62

(5)公共フロントサービスの提供等 …………………………………65

2.暮らしのデジタル化……………………………………………69

(1)暮らしを変えるデータ連携の実現 ……………………………….69

(2)準公共分野のデジタル化の推進 …………………………………70

(3)相互連携分野のデジタル化の推進 ……………………………….85

3.規制改革 ……………………………………………………87

4.産業のデジタル化 …………………………………………….88

(1)事業者向け行政サービスの質の向上に向けた取組 …………………..88

(2)中小企業のデジタル化の支援 …………………………………..90

(3)産業全体のデジタルトランスフォーメーション …………………….91

5.デジタル社会を支えるシステム・技術 ……………………………..92

(1)国の情報システムの刷新 ………………………………………92

(2)地方の情報システムの刷新 ……………………………………110

(3)デジタル化を支えるインフラの整備 …………………………….117

(4)デジタル社会に必要な技術の研究開発・実証の推進 ………………..120

6.デジタル社会のライフスタイル・人材 …………………………….125

(1)ポストコロナも見据えた新たなライフスタイルへの転換 …………….125

(2)デジタル人材の育成・確保 ……………………………………128

第7 今後の推進体制 ……………………………………………..133

1.デジタル庁の役割と政府における推進体制 …………………………133

(1)司令塔としてのデジタル庁の役割 ………………………………133

(2)政府におけるデジタル改革の推進体制の強化 ……………………..133

(3)デジタル社会推進会議の開催 ………………………………….133

(4)デジタル社会構想会議の開催 ………………………………….134

(5)デジタル臨時行政調査会及びデジタル田園都市国家構想実現会議の開催 ..134

2.地方公共団体等との連携・協力 ………………………………….134

3.民間事業者等との連携・協力 ……………………………………134

工程表

別冊

施策集

本計画とデジタル社会形成基本法第37 条第2項各号に定める記載事項との対応関係

本計画と官民データ活用推進基本法第8条第2項各号に定める記載事項との対応関係

オンライン化を実施する行政手続の一覧等

第3 司令塔としてのデジタル庁の役割

⑥ 個人や法人を一意に特定し識別するID 制度や、情報とその発信者の真正性等を保証する認証制度の企画立案を関係法令所管府省庁と共管するとともに、ベース・レジストリの整備を含む包括的データ戦略を推進すること。

⑤ ベース・レジストリの整備の推進等

内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室は、令和3年(2021 年)5月に「ベース・レジストリの指定について」を策定し、社会的ニーズ、経済効果、即効性の観点から、早期にベース・レジストリとしての利活用を実現するもの及び今後ベース・レジストリとして整備の在り方を含め検討するものの区分を設け、具体のデータを指定した。今後、関係府省庁は「ベース・レジストリの指定について」に基づき、ベース・レジストリの整備を行う。その際、それぞれのデータの整備状況や特性等を勘案し、最も適した運用形態49を検討し、整備を進める。

当面の整備対象を事業所・事業者、住所・土地、行政等の各分野のベース・レジストリとし、それぞれについて目指すべき姿の明確化、ユースケースの特定を行い、その実現に向けたID 体系の整理、整備すべきデータの特定、その他課題の整理を令和4年度(2022 年度)末までに行う。

また、デジタル庁を中心に、個人情報など秘匿性の高いデータに対し、誰がいつアクセスした等のアクセス情報を本人が確認できるようにするなど、データ運用における利用者の信頼性の確保を図る。さらに、API によるデータ連携を可能とするシステム整備や、目的外利用の禁止等の制度的な課題などについては、「ベース・レジストリの指定について」に基づき適切に対応し、令和7年(2025 年)までの実装を目指す。

デジタル庁は、データ標準や各種ツールの整備を進め、指定されたデータを保有する各府省庁に対し必要な支援を行う。各府省庁においては、デジタル庁の整備するデータ標準への準拠、品質評価の実施、参照ルールの徹底等ベース・レジストリに適用されるルール遵守の徹底を図る。

品質向上の必要性等の観点から令和3年(2021 年)5月時点ではベース・レジストリとしての指定を見送ったデータについて、品質確保の取組を講じつつ、指定に向けて引き続き取り組む。

また、ベース・レジストリのように汎用的な活用はされないものの、特定分野において社会の基盤として使われるデータや、民間部門において整備されるデータに関して、整備を推進する必要がある。準公共分野については、情報システム整備方針に従い、関係府省庁及び関係業界が連携して当該分野に必要な基盤となるデータの整備を図る。相互連携分野については、IPA のほか関連民間機関と連携し、標準に係る整備方針を策定する。

包括的データ戦略において、各府省庁等の保有するデータベース又はネットワークからキャッシュ等でデータを取得し活用する方法、ベース・レジストリカタログとの連携で活用する方法、各府省庁の保有するデータベース等からデータをマッシュアップし、新たにベース・レジストリデータベースを構築・運用する方法の3類型が考えられるとされている。

さらに、統計データを各分野のデータと容易に組み合わせて使える状態とする観点から、データを組み合わせるためのキーとなる分類やコード、データの定義等の相互運用性の確保等、データが連携しやすい環境を整備する。

様々な行政サービスに関する情報を利用者のニーズに合わせて一覧的に提供するためのデータの標準化・体系化や識別番号の付与に向けて、海外の事例や民間における成果も参照しつつ検討する。

ベース・レジストリは、社会活動に必要となる共通的なデータを整備することによって、行政手続のワンスオンリーを実現するなど社会全体の効率性向上を図るためのものである。

一方、エンドユーザーやデータユーザーのニーズ把握、収集したデータを活用するためのユースケース、データホルダーの現況などを整理する必要があるが、そもそもデータがない、データの品質が担保されていない、データ流通に制限がある、といった技術的あるいは制度的な課題も山積している。そのため、各分野の現況を踏まえながら、個別の課題を洗い出すに当たっての必要な調査・分析を実施しつつ、ユーザーに具体的な価値を提供するベース・レジストリとなるよう検討を進める。

事業者(法人等)系ベース・レジストリに関しては、法人代表者や従業員等の事業活動におけるデータ整備について、政府と民間の役割分担、ID や属性情報のデータベースの在り方等を令和4年度(2022 年度)中に検討し目指すべき姿の整理を進める。

土地系ベース・レジストリに関しては、誰もが無償で利用可能な住所・建物マスタデータや共通ID が存在しないことや、地番・住居番号・不動産番号が個人情報に該当する可能性があると認識されていることによりデータ流通に制限があることが、住所情報のワンスオンリーの阻害要因の一つとなっていることから、まずは令和3年度(2021 年度)にアドレスの初期マスタデータの整備等を行った。今後、この成果を基にして、行政で実施すべき範囲を明確にし、住所・建物マスタデータや地番と住居表示、不動産番号をデータで関連性を持たせたデータについて、ベース・レジストリとして整備し、必要な範囲のデータを公開する。

行政系ベース・レジストリに関しては、地方公共団体が公開しているイベント及び公共施設の情報が統一形式のデータとして公開されておらず、情報が統合して取得できるプラットフォームがないことから、情報を収集・統合する形で公開する。イベントについては活用に資するだけのデータ量が確保できた段階で民間事業者の活用ニーズの掘り起こし検証を行い、継続可否を判断する。公共施設情報については防災分野の基本情報として活用を予定している。また、行政機関の支援制度等の情報については個人向けの支援制度情報を提供するマイ制度ナビを令和4年(2022 年)3月から提供開始している。今後、個人向け・事業者向けの支援制度情報を統合して取得・活用できるように推進し、これらのデータをオープンデータとして公開する。

なお、検討については、ベース・レジストリの構築・管理・運営において知見のある公的機関(国立印刷局、IPA 等)の協力を求め、その早期構築に取り組む。

(4)マイナンバーカードの普及及び利用の推進

② マイナンバーカードと運転免許証との一体化の実現

令和6年度(2024 年度)末にマイナンバーカードとの一体化を開始する。これに先立ち、警察庁及び都道府県警察の運転免許の管理等を行うシステムを令和6年度(2024 年度)末までに警察庁が整備する共通基盤(警察共通基盤)上に集約する。また、当該一体化に伴う相当の行政コストの削減効果が得られる場合は、関係省庁と連携し、マイナンバーカードの普及促進の観点も踏まえ、運転免許証の更新手数料の引き下げなど利用者負担の軽減を検討する。

④ マイナンバーカードの機能(電子証明書)のスマートフォンへの搭載の実現

令和3年度(2021 年度)に実施した技術検証・システム設計の結果を受け、令和4年度(2022 年度)中の運用開始を目指し、システム構築や関係事業者との調整を進める64。スマートフォンに搭載される電子証明書は、現行のマイナンバーカードに搭載される電子証明書とは別の新たな電子証明書とする。

電子証明書の機能だけでなく、券面入力補助機能など、マイナンバーカードの持つ他の機能についても、優れたUI・UX を目指し、スマートフォンへの搭載方法を検討する。

ワンストップサービスの推進等に関する具体的な施策

⑥ マイナンバーカードの電子証明書の円滑な発行・更新等

法律の規定に基づき、郵便局におけるマイナンバーカードの電子証明書の発行・更新や、暗証番号の初期化・再設定手続を実施するなど、電子証明書の発行・更新等の円滑な実施を図る。

⑦ 公的個人認証サービスにおける本人同意に基づく最新の住所情報等の提供

公的個人認証サービスについては、住民本人の変更後の基本4情報(氏名、生年月日、性別及び住所)等の署名検証者への提供に関する制度の施行(デジタル社会形成整備法の施行)に向けて、政省令等の整備を着実に進め、令和4年度(2022 年度)に本人の同意を前提に基本4情報等を本人の手続なしで署名検証者に提供するサービスを開始することを目指す。

③ 死亡・相続ワンストップサービスの推進

令和2年度(2020 年度)にデジタル・ガバメント分科会で報告した方針等に基づき、関係府省庁や地方公共団体の協力の下、次の施策を推進する。

・デジタル庁は、法定相続人の特定に係る遺族等の負担軽減策について、令和3年度(2021 年度)の検討を基に、法務省とともに社会実装に向けた論点整理を行い、その実現を支援する。

戸籍情報連携システムの戸籍電子証明書を活用した法定相続人の特定に関する支援等を検討する。

・死亡に関する手続(死亡届及び死亡診断書(死体検案書)の提出)をオンラインで完結する仕組みの構築に向けて、令和3年度(2021 年度)から実施している実証実験を基に社会実装に向けた課題の整理を厚生労働省及び関係府省庁とともに行う。

  • 事業者向け行政サービスの質の向上に向けた取組

① 電子署名、電子委任状、商業登記電子証明書の普及

電子署名、電子委任状、商業登記電子証明書については、今後、活用の機会が増加し、多様化すると考えられることから、普及を更に強力に推進する。

【目指す姿】

・行政サービスのデジタル化を通じて事業者にとって利用しやすい環境を整備し、支援を必要とする事業者に迅速に支援が届く環境を実現する。

・行政データのオープン化の徹底等を図ることにより、事業者がオープン化された行政データを活用し、様々なサービスを生み出すことができる環境を実現する。

・ユーザーのニーズに合致した製品・サービスのデジタル化を後押しし、組織の在り方を変革することで、我が国の産業全体のデジタルトランスフォーメーションを加速し、国際競争力強化を図る。

商業登記電子証明書を用いた電子署名について、利用者の利便性の向上の観点から、リモート署名方式の導入及び認証局としての機能のクラウド化を検討し、令和4年度(2022年度)中にその方向性について結論を得る。電子証明書の発行時の手続について、発行時の手数料の無償化の可否も含めてその見直しを検討する。これらの検討及び費用対効果も踏まえつつ、令和7年度(2025 年度)までの可能な限り早期に新規システムの運用開始を目指す

デジタル庁・各府省共同プロジェクト

① 登記情報システムに係るプロジェクトの推進

登記情報システムについては、メインフレームを中核として構成された情報システムからオープン化した情報システムに切り替えるなど、運用等経費の削減に取り組んできたが、現状、以下のような課題を抱えている。

ⅰ)行政機関等への各手続において、当該手続の添付書類として登記事項証明書を求めているものが数多くあり、これらの登記事項証明書の入手に係る費用・時間等が負担となっている。

ⅱ)政府方針等に基づき、運用等経費の削減に取り組んでいく必要がある。

以上の課題を解決するために、以下について実現を目指す。

ⅰ)行政機関等への各手続において、登記事項に係る行政機関間の情報連携システムの活用により、国民の各手続に係る負担を低減する。

ⅱ)情報システムの更改を契機として、システム運用等経費の削減を進めていく。

以上の目標を実現するために、以下について取り組む。

ⅰ)連携先である各行政機関のニーズを踏まえ、必要に応じて登記情報システムを改修するなどして利便性の向上を図る。

ⅱ)令和6年度(2024 年度)までに更改が予定される次期システムにおいては、システム構成の見直し等を行い、効率的な運用を図ることを目指すほか、所有者不明土地問題等の社会的要請への対応に配慮しつつ、引き続き、運用等経費の削減を目指す。

また、法務省とデジタル庁において、中・長期的な課題を解決するための協力体制を強化し、更なるシステム構成の見直し、業務改革(BPR)等の登記情報システムに関する将来構想に係る検討を積極的に進め、運用等経費の更なる削減を目指す。

制度所管府省庁による標準化基準の策定の方針

① 住民記録、戸籍の附票、印鑑登録

住民記録システムについては、令和4年(2022 年)夏を目途に標準仕様書(第2.0 版)を改定する。

戸籍の附票システムについては、令和4年(2022 年)夏を目途に標準仕様書を作成する。

印鑑登録システムについては、令和4年(2022 年)夏を目途に標準仕様書(第1.0 版)を改定する。

⑥ 戸籍

市町村の戸籍システムについては、既存の標準仕様書と、標準化基準における共通事項との整合性を確保することとし、そのために標準仕様書の見直しが必要な場合には、令和4年(2022 年)夏を目途に行う。

家族信託の相談会その56

お気軽にどうぞ。

2023年6月30日(金)14時~17時

□ 認知症や急な病気への備え
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□ 収益不動産オーナーの経営者としての信託 
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その他:
・共有不動産の管理一本化・予防
・配偶者なき後、障がいを持つ子の親なき後への備え

1組様 5000円

場所

司法書士宮城事務所(西原町)

要予約

司法書士宮城事務所 shi_sunao@salsa.ocn.ne.jp

後援  (株)ラジオ沖縄

加工規制改革推進に関する答申~転換期におけるイノベーション・成長の起点~

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/p_index.html

令和5年6月1日規制改革推進会議

Ⅰ 総論 ………………………………………………………………….. 1

1.はじめに …………………………………………………………….. 1

2.基本的な方向性 ……………………………………………………….. 1

3.審議経過等 …………………………………………………………… 7

4.本答申の実現に向けて ………………………………………………….. 8

5.次のステップへ ……………………………………………………….. 9

Ⅱ 各個別分野における規制改革の推進 ………………………………………… 10

1.スタートアップ・イノベーション ………………………………………… 10

(1) スタートアップを促進する規制・制度見直し ……………………………… 10

ア 海外起業人材の活躍に資する制度見直し ……………………………… 11

イ スタートアップの新技術・製品開発を促進するための政府調達手法の整備 …… 12

ウ 個別資産に対する担保や経営者保証を前提としない新たな融資手法としての事業性に着目した担保制度の創設・整備 ………………………………………… 13

エ 起業家の負担軽減に向けた定款認証の見直し ………………………….. 13

オ 新事業活動を後押しするためのグレーゾーン解消制度の運用の改善 ………… 14

カ 規制改革関連制度の連携の強化 …………………………………….. 14

(2) イノベーションによる新製品・新サービスの創出と安全の確保との両立を図る規制・制度見直し ……………………………………………………………… 15

ア 新たな空のモビリティ推進及び新たな物流サービスの実現に向けた無操縦者航空機に係る制度整備 ………………………………………………………. 15

イ 建設DX新市場創出に向けた建設用3Dプリンターの社会実装に資する環境整備. 17

ウ カーボンニュートラル実現に資する環境配慮型コンクリートの社会実装に向けた環境整備 ……………………………………………………………… 19

(3) AI活用を推進する規制改革 ………………………………………….. 21

(4) 女性活躍推進のための旧姓使用者の本人確認におけるマイナンバーカードの活用促進 21

(5) 自動車整備士人材の多様化に向けた改革 …………………………………. 23

(6) 企業のコーポレートガバナンス強化及び人材確保に資する株式報酬の発行環境の整備 24

(7) 生産性向上に企業が取り組みやすい環境整備のための毒物及び劇物の製造登録の合理化 …………………………………………………………………….. 25

(8) イノベーションや地域の課題に応えるラストワンマイル配送・交通 ……………. 25

ア イノベーションや地域の課題に応えるラストワンマイル配送の実現 ………… 25

イ DXを通じたタクシーの利便性向上 …………………………………. 27

(9) イノベーション促進に向けた日本の技術基準適合証明の見直し ……………….. 28

(10) 労働者の利便性向上のための資金移動業者の口座への賃金支払実現 …………… 29

(11) 金融商品取引における分かりやすく、国民の金融リテラシー向上の観点も踏まえた情報提供の在り方 ………………………………………………………….. 30

(12) Society 5.0の実現に向けた電波制度改革 ……………………………….. 31

(13) 放送に関する制度の見直し …………………………………………… 31

ア デジタル時代における放送制度の在り方 ……………………………… 31

イ 放送受信料の障害者免除手続の負担軽減・デジタル完結 …………………. 34

(14) デジタル時代における著作権制度の在り方 ………………………………. 35

(15) 高経年マンション等の管理と再生の円滑化に向けた規制改革の推進 …………… 37

2.人への投資 ………………………………………………………….. 38

(1) 外国人材の受入れ・活躍の促進 ………………………………………… 39

(2) 労働時間制度の見直し ……………………………………………….. 41

(3) 副業・兼業の活用促進 ……………………………………………….. 42

(4) 企業に求められる雇用関係手続の見直し …………………………………. 43

(5) 在宅勤務手当を「割増賃金の基礎となる賃金」から除外できる場合の明確化 …….. 44

(6) 企業による雇用関係情報の公開に関する方法等の見直し …………………….. 45

(7) 多様な正社員(限定正社員)の活用促進 …………………………………. 46

(8) 教育イノベーション促進のための大学等に対する「事後型の規制・制度」 ………. 47

ア 大学設置基準等の見直し(教育課程等に係る特例制度) …………………… 48

イ 調査・情報公開の充実・強化 ………………………………………… 48

ウ 認証評価等事後評価の在り方 ………………………………………… 49

エ 連携・統合及び縮小・撤退の促進に向けた制度の見直し …………………… 50

オ 高等学校の参入規制の見直し ………………………………………… 50

(9) 初等中等教育における課題解決と教育イノベーションの両立による教育システムの変革 …………………………………………………………………….. 51

ア 教育現場の実態や課題の効率的かつ的確な把握 ………………………….. 52

イ 情報技術の活用等による教育現場の創意工夫を通じた教育イノベーションの創出 .. 53

ウ 教育に関する政策効果等の検証・評価の充実 ……………………………. 53

エ 教育政策に関する評価結果や好事例の展開と活用拡大 …………………….. 54

オ 的確な評価や情報の展開を通じた教育システム変革(教員の役割の見直しを含む。) 55

(10) 「常勤保育士」と「短時間保育士」の定義の明確化・見直し ………………… 56

(11) 里帰り出産を行う妊産婦の支援 ……………………………………….. 57

3.医療・介護・感染症対策 ……………………………………………….. 58

(1)デジタルヘルスの推進① -データの利活用基盤の整備- …………………… 60

ア 医療等データの利活用法制等の整備 …………………………………… 61

イ NDBの利活用の容易化等 ………………………………………….. 63

ウ 公的統計の調査票情報の円滑な二次的利用の確保 ………………………… 66

(2)デジタルヘルスの推進② -デジタル技術を活用した健康管理、重症化防止- …… 69

ア 通所介護事業所や公民館等の身近な場所におけるオンライン診療の受診の円滑化 .. 70

イ 要指導医薬品についてのオンライン服薬指導の実現 ………………………. 70

ウ プログラム医療機器(SaMD)等の開発・市場投入の促進 ……………….. 70

エ 科学的介護の推進とアウトカムベースの報酬評価の拡充 …………………… 73

オ 患者等の負担の軽減のための公費負担医療制度等に伴う審査支払業務等の見直し .. 74

カ 各種レセプト関連業務のDX化に伴う見直し ……………………………. 75

(3)医療関係職種間のタスク・シフト/シェア等 …………………………….. 76

ア 在宅医療を提供する環境の整備 ………………………………………. 77

イ 在宅領域など地域医療における医師―看護師のタスクシェア ……………….. 78

ウ 在宅医療における円滑な薬物治療の提供 ……………………………….. 79

エ 看護師不在時における在宅患者に対する円滑な点滴交換等 …………………. 80

オ 薬剤師の地域における対人業務の強化(対物業務の効率化) ……………….. 81

(4)働き方の変化への対応・運営の合理化 ………………………………….. 81

ア 介護サービスにおける人員配置基準の見直し ……………………………. 81

イ 障害福祉分野における手続負担の軽減(ローカルルールの見直し等) ………… 82

ウ 報酬制度における常勤・専任要件の見直し等 ……………………………. 84

エ 医療・介護・保育分野における人材確保の円滑化のための有料職業紹介事業等の制度の見直し ……………………………………………………………… 84

オ 法定健康診断項目の合理化等 ………………………………………… 86

カ 新型コロナウイルス及び季節性インフルエンザを同時に検査可能な抗原定性検査キットの利用環境の整備 …………………………………………………… 87

4.地域産業活性化 ………………………………………………………. 87

(1) 共済事業における顧客本位の業務運営の取組等 ……………………………. 88

(2) 卸売市場の活性化に向けた取組 ………………………………………… 89

(3) 農協改革の着実な推進 ……………………………………………….. 91

(4) 農協における適切なコンプライアンス・ガバナンス態勢等の構築・実施 ………… 92

(5) eMAFF地図の積極活用 ………………………………………………… 94

(6) 国産小麦の競争力強化等に資する農産物検査の実施 ………………………… 95

(7) 畜舎に関する規制の見直し ……………………………………………. 96

(8) 適切な水産資源管理の推進 ……………………………………………. 98

(9) 改正漁業法の制度運用(漁業権の免許) ………………………………… 100

(10) 一般酒類小売業免許に係る販売地域規制の柔軟化 ………………………… 103

5.共通課題対策 ……………………………………………………….. 103

(1) 行政手続に関する見直し …………………………………………… 104

ⅰ ローカルルールに関する手続 ……………………………………….. 104

ア ローカルルールの見直し ……………………………………….. 104

イ 保育所入所時の就労証明書作成等手続の負担軽減 ……………………. 105

ウ 消防の設備等に関する基準の公開・統一 …………………………….. 106

エ 地方公共団体の調達に関する一連の手続のデジタル化 ………………… 108

オ 患者等の負担の軽減のための公費負担医療制度等に伴う審査支払業務等の見直し【再掲】 …………………………………………………………. 109

カ 障害福祉分野における手続負担の軽減(ローカルルールの見直し等)【再掲】. 110

ⅱ その他の手続 ……………………………………………………. 112

ア 失業認定のオンライン化 …………………………………………. 112

イ 子育てに関する各種申請業務の負担軽減 …………………………….. 113

ウ 地方公共団体への公金納付等のデジタル化 …………………………… 115

エ 道路占用に係る手続のワンストップ化 ………………………………. 116

オ 情報システム調達を通じたデジタル化の推進 …………………………. 118

(2) 司法手続に関する見直し …………………………………………… 119

ア 民事訴訟手続のデジタル化 …………………………………………. 120

イ 家事事件手続及び民事保全、執行、倒産手続等のデジタル化 ………………. 121

(3) 民間手続等に関する見直し …………………………………………. 123

ア 相続手続の効率化 ………………………………………………… 123

イ 電子署名の更なる普及に向けた環境整備 ………………………………. 125

ウ 建設分野における監理技術者等の活躍に向けた制度運用の柔軟化 …………… 127

エ 特定商取引法の契約書面等の電子化 ………………………………….. 128

(参考資料1)規制改革推進会議 委員及び専門委員名簿 …………………………. 130

(参考資料2)規制改革推進会議及びワーキング・グループの審議経過 ………………. 132

ウ 個別資産に対する担保や経営者保証を前提としない新たな融資手法としての事業性に着目した担保制度の創設・整備

【引き続き検討を進め、令和5年度目途に結論・措置】

<実施事項>

金融庁及び法務省は、資金調達手段の充実がスタートアップや事業の成長及び促進における喫緊の課題であることを認識し、融資における新たな選択肢として、不動産等の個別資産に対する担保や経営者保証を前提としない、事業性に着目した成長資金の提供への利活用が期待される新たな担保制度(事業成長担保権)について、資金需要を

取り込み、活用しやすい制度設計となるよう、相互に積極的に連携して早急に検討を進め、関連法案の早期の国会提出等、必要な措置を行う。

なお、事業性に着目した担保制度の整備に係る検討の結論を得次第、金融庁は、金融機関と融資先である事業者が事業価値の維持や向上に向けて緊密な関係を構築できるよう、制度の適切な運用による成長資金の提供促進に必要な環境の整備を行う。

エ 起業家の負担軽減に向けた定款認証の見直し

<実施事項>

【評価・検討・結論については令和5年度、

必要な措置については遅くとも令和6年度】

法務省は、令和4年度に実施された定款認証に係る公証実務に関する実態を把握するための調査について、その結果を分析し、定款認証が果たすべき機能・役割について評価を加えるとともに、その結果に基づいて、定款認証の改善に向けて、デジタル完結・自動化原則などのデジタル原則を踏まえた上で、面前での確認の在り方の見直しを含め、起業家の負担を軽減する方策を検討し、結論を得た上で、必要な措置を講ずるとともに、定款認証に係るサービスの改善や利用者の満足度向上にもつなげる。

(4) 女性活躍推進のための旧姓使用者の本人確認におけるマイナンバーカードの活用促進

【a~c:令和5年措置】

<基本的考え方>

女性活躍は、経済社会の持続的発展に資するとともに、全ての人が生きがいを感じられる、多様性が尊重される社会の実現のために重要である。結婚後に姓が変わるのは、直近の調査でも約95%が女性であるところ、結婚という個人の選択を行ったことで、多くの女性に社会生活上の負担がかかる状況は、女性活躍推進の観点から、見直していく必要がある。

公的証明書における旧姓併記対応は拡大しているものの、実際に旧姓使用者の社会生活上の負担を減らせるよう、旧姓併記した公的証明書の活用を進めるためには、旧姓併記について周知するとともに、現状存在している不具合の解消が急務である。以上の基本的考え方に基づき、まずは、旧姓併記したマイナンバーカードの活用について、以下の措置を講ずるべきである。

<実施事項>

a デジタル庁、総務省及び内閣府(男女共同参画局)は、マイナンバーカードに旧姓併記ができることの周知及び旧姓使用者の本人確認に際しての旧姓併記したマイナンバーカードの活用推進を依頼する通知を、各省庁及び地方公共団体宛てに発出し、各省庁から所管法人宛てに同様の通知を発出するよう依頼するとともに、民間での本人確認に際しての活用促進を図るため、ホームページ等の一般への情報提供媒体において、住民票に旧姓を併記した場合にはマイナンバーカードにも旧姓が併記されることを引き続き周知するとともに、旧姓併記されたマイナンバーカードが持つ旧姓の公証力に関する必要な周知を行う。

b デジタル庁、総務省及び内閣府(男女共同参画局)は、旧姓を併記したマイナンバーカードの署名用電子証明書が円滑に広く利用されるように、署名用電子証明書の旧姓に係る仕様を踏まえたシステム構築等に積極的に対応するよう、各省、地方公共団体及び各省所管団体その他関係事業者等に対して周知する。あわせて、ホームページ等の一般への情報提供媒体において、住民票に旧姓を併記した場合にはマイナンバーカードの署名用電子証明書にも旧姓が併記されることを引き続き周知するとともに、署名用電子証明書の構成や仕様について、アプリケーション開発者が旧姓併記に対応するために必要な周知を行う。

c デジタル庁及び総務省は、マイナンバーカードへの旧姓併記等について、公的証明書としての活用を促進するために、券面印字の視認性の向上を含め、使いやすさを向上させる改善策について、当事者の意見を聞きつつ、検討を行う。

(6) 企業のコーポレートガバナンス強化及び人材確保に資する株式報酬の発行環境の整備

【a:令和5年検討・結論・措置、b,c:令和5年度検討開始】

<基本的考え方>

コーポレートガバナンスの強化の観点から、中長期的な企業価値向上への意識醸成や、株主目線での経営促進を期して、また、優秀人材確保のため、我が国でも、企業役員にインセンティブとしての株式報酬を付与する企業が増加しつつある。

しかし、諸外国と比し、我が国企業は、依然として固定報酬の割合が高い。企業の更なる成長に向けた株式報酬の活用を促進するため、引き続き株式報酬の発行環境を整備する必要がある。

以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。

<実施事項>

a 金融庁は、報酬として交付する譲渡制限付株式(RS)に関し、金融商品取引法(昭和23年法律第25号)の開示規制を緩和する金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号)第2条の12第1号に基づく制度について、交付対象者の死亡によって譲渡制限が解除されるものであっても、同制度の要件を充足することを明確化する等、同制度の活用促進について検討し、結論を得次第、必要な措置を行う。

b 金融庁は、株式報酬が、中長期的な企業の業績や潜在的リスクを反映させ、健全な起業家精神の発揮に資するインセンティブとして、コーポレートガバナンス強化の一環となること、また、企業における優秀人材の確保といった人事戦略に有用であることを認識の上、株式報酬は企業内の者に発行することが想定されることも踏まえ、開示規制における投資家保護の趣旨に鑑み、株式報酬の類型等に応じた開示規制の在り方を検討する。

c 法務省及び経済産業省は、関係府省と連携し、いわゆるストックオプションプールの実現に向け、人材獲得に有効なストックオプション制度の法制の拡充を早期に検討する。

(15) 高経年マンション等の管理と再生の円滑化に向けた規制改革の推進

【a,b:引き続き検討を進め、結論を得次第速やかに措置、c:引き続き措置】

<基本的考え方>

令和4年6月の規制改革実施計画を踏まえ、令和4年10月、老朽化や被災した区分所有建物の再生の円滑化に向け、法務省において国土交通省も参加する形で法制審議会区分所有法制部会を設置し、議論を開始した。急増する高経年マンションの再生のためには、老朽化や被災した区分所有建物の再生を円滑化するための多数決要件の緩和の在り方に加え、更なる見直しを先手、先手で打つことが必要不可欠であることは言うまでもなく、法務省と国土交通省の密接な連携の下で、新たな制度設計の検討が求められる。

以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。

<実施事項>

a 法務省は、区分所有法制の見直しについて、区分所有権は一定の団体的制約を受け得るものであるという視点に立った区分所有者の責務の在り方について検討するとともに、多数決要件緩和の条件としての客観的で予見可能性の高い条件の活用や、多数決割合の更なる引下げの可能性、区分所有者の不明状態の発生防止のための制度設計といった各論も含め、令和4年10月より開始した法制審議会区分所有法制部会において検討中の諸課題について、区分所有法制の見直しに関する検討を早急に進め、結論を得次第速やかに措置する。

b 国土交通省は、マンション管理適正化に対する区分所有者等の意識啓発を図るために必要な措置について、今後のマンション政策のあり方に関する検討会において検討を行い、結論を得次第速やかに措置する。

c 法務省及び国土交通省は、区分所有法制の見直しによる民事的手法と、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号)の運用による行政的手法の双方を通じて、適切なマンション管理の在り方を提示できるよう、定期的な情報共有を行いつつ、連携して取組を進める。

イ 家事事件手続及び民事保全、執行、倒産手続等のデジタル化

【a:措置済み、b:令和5年の通常国会に法案提出については措置済み、試行や先行運用については令和5年度以降可能なものから速やかに措置、本格的な運用については令和7年度以降速やかに措置、c:継続して措置、d:可能なものから順次措置】

<基本的考え方>

民事訴訟法(平成8年法律第109号)の改正と併せ、家事事件手続法(平成23年法律第52号)と人事訴訟法(平成15年法律第109号)も改正され、離婚に関する調停の成立や和解をウェブ会議によって可能とするなど家事事件手続の一部について、先行的にデジタル化に向けた法整備が行われた。これらについては、引き続き、デジタル化に向けた業務の見直し、システム整備、細則の整備を一体的に捉えた取組を積極的に行うべきである。この際には、登記、戸籍等に関する情報連携を通じた証明書の添付省略など、行政手続のデジタル化が進展している成果の活用もできる限り考慮すべきである。

残るその他の家事事件手続及び民事保全、執行、倒産手続等についても、法制審議会においてデジタル化に向けた調査審議が進められ、令和5年1月に要綱案が取りまとめられ、同年3月には、国会に法案が提出された。

今後は、早期に実現可能なものから試行や先行運用を開始するスケジュールを検討し、本格的な運用については、民事訴訟手続のデジタル化の本格的な運用開始以降速やかに開始できるよう、業務の見直し、システム整備、細則の整備を一体的に進めることが必要となる。その際には、届出債権者が多数に上ることがある倒産事件等において、手続のデジタル化による効果が極めて大きいと見込まれることや、運用により一部デジタル化を導入した事例が存在することも踏まえ、手続ごとの特性に応じたデジタル化を早期に実現する必要がある。

基本的に、システム構築については、司法府において取組が進められることになるが、政府としても、司法府における自律的判断を尊重しつつ、デジタル庁等における国民目線で利用しやすいシステム構築に向けたノウハウを提供するなど、積極的にサポートを行うべきである。

以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。

<実施事項>

a 法務省は、倒産手続における債権届出や債権管理等、デジタル化の効果が大きいと考えられる手続について、民事訴訟手続のデジタル化に関する規律にかかわらず、①情報を電子データとして処理することが可能となるようにすること、②倒産手続における破産管財人等が行う裁判所に対する申立てを原則としてインターネットを用いて行うことを義務とすること、③全ての事件について電子記録のルールを適用することなど、手続の特性に応じた更なるデジタル化を検討する。

b 法務省は、家事事件手続及び民事保全、執行、倒産手続等のデジタル化に向け、令和5年の通常国会に必要な法案を提出した上で、司法府における自律的判断を尊重しつつ、申立て、書面提出、記録の閲覧、期日といった個別の手続ごとに区分した上で、国民にとってデジタル化のメリットが大きく、かつ、早期に実現可能なものから試行や先行運用を開始するスケジュールを検討し、本格的な運用については、民事訴訟手続のデジタル化の本格的な運用が開始以降速やかに開始できるように環境整備に取り組む。

c 法務省は、民事執行手続における預金債権の差押えについて、第三債務者となる金融機関に対してシステム送達が実施される場合は、一般的な債権譲渡等に係る対抗要件制度も考慮し、システム送達の内容、効力を安定して生じさせるよう、法令の定め及び運用を明確化しつつ、金融機関に過度な負担が掛かることのない適切なものとなるよう、金融機関側と協議を継続する。

d 法務省は、家事事件手続及び民事保全、執行、倒産手続等のデジタル化に当たって、司法府における自律的判断を尊重しつつ、裁判に関係する者のプライバシーにも、適切なセキュリティを構築するなど十分配慮しながら、デジタル庁とも連携の上、最高裁判所が整備するシステムについて、①個別の手続ごとのシステム整備が容易となるようシステム間の疎結合を意識した設計を行うこと、②個別の手続だけでなく一連の手続を通してデジタル化されること、③必要な場合に行政との情報連携が可能なものとなることや、民事訴訟手続と相互に関連する手続については、システム上も連携して手続を進行できるようにすること、④外部ベンダーと連携することができるようAPIを開放すること、⑤リスクベースアプローチに基づき、クラウドサービス特有の問題点やインシデント発生時の対応も念頭に置いた適切なセキュリティを確保すること、⑥利用状況を把握するための客観的指標を設け、PDCAサイクルを回しながら、国民目線で利用しやすいものとすること、⑦倒産手続における債権届出については、システム上のフォーマット入力方式を導入し、その後の債権管理と連動する一気通貫したシステムを検討すること、⑧民事執行手続のデジタル化後においても、不動産競売物件情報サイトとの連携を視野に入れて、検討を進めることについての環境整備に取り組む。

(3) 民間手続等に関する見直し

ア 相続手続の効率化

【a:(前段)令和5年度上期措置、(後段)令和5年度から継続的に措置、b,c,d:継続的に措置、e:令和5年度上期措置、f,h:令和5年度措置、g:措置済み、i:a,e措置後、速やかに措置】

<基本的考え方>

日本国内の年間死亡者数(令和4年)が150万人を超え、戦後最多となっており、また、令和6年4月から相続登記が義務化されることも視野に入れ、手続の電子化によって相続人や関係機関の負担を軽減することが求められる。

現状の相続手続においては、手続に必要な各情報(法定相続人であることを証する情報(相続人・被相続人の戸籍証明書、法定相続情報一覧図)、相続財産を証する情報(自筆証書遺言、公正証書遺言、遺産分割協議書))について、書面での提出が前提となっているところ、相続人や各関係機関における相続手続の負担を軽減させ、資産凍結や相続トラブルといった社会的損失を抑止するという観点から、各情報の作成・交付の電子化が推進されるべきである。

あわせて、法定相続人が確定した後は、相続人の求めに応じて、マイナンバーカードを利用したサービスにおいて法定相続人の認証を可能とし、各相続手続において、これとは別に法定相続人であることを証する情報(戸籍証明書、法定相続情報一覧図)の提出を不要とできるようにすることも検討すべきである。

以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。

<実施事項>

a 法務省は、デジタル庁と連携し、戸(除)籍電子証明書を提供するための戸(除)籍電子証明書提供用識別符号の発行について、オンライン申請やオンライン発行の実現に向けた工程表を作成する。また、電子情報処理組織による取扱いに適合しない戸籍(改製不適合戸籍)については、市区町村等と連携しながら該当する国民に対して電子化によって享受できるメリットを丁寧に説明することで、改製不適合戸籍そのものの解消を国民に促す

b 法務省は、デジタル庁と連携し、市区町村による戸籍証明書等のオンライン申請や電子交付の導入を促進し、戸籍証明書等について、民間事業者が処理可能なデータ形式の実現に向けて、検討を開始する。

c 法務省は、デジタル庁と連携し、法定相続情報証明制度に関して、登記官が認証した法定相続情報一覧図の写しの電子交付について、検討を開始する。

d 法務省は、デジタル庁と連携し、法定相続人の負担軽減を図るべく、戸籍情報連携システムを利用して、電算化された戸籍情報に基づき機械的に法定相続人を特定する仕組みについて、実現の可否及び当否を含め、技術的課題や費用対効果等を踏まえ、継続して検討する。

e 法務省は、自筆証書遺言書保管制度における申請手続等のオンライン化及び証明書の電子化に向けて工程表を作成する。また、工程表を踏まえ、具体的な施策を検討し、可能なものから順次推進する。

あわせて、自筆証書遺言書保管制度において、遺言者の死亡後、遺言書を保管している旨の通知が、遺言者が指定した者の住所等に変更があった場合でも適切に行われることを確保するために、通知対象者に指定できるのは現在1名であるところを複数名(民間事業者を含む)に増やすなど、対象範囲の無限定化及び対象となる人数の拡大等を検討する。

f 法務省は、現行の自筆証書遺言と同程度の信頼性が確保される遺言を簡便に作成できるような新たな方式を設けることについて、令和4年度の基礎的な調査の結果等を踏まえ、我が国の実情に即した制度の検討に資するものとして、自筆証書遺言のデジタル化を進めている国等の法制及び同国で活用されているデジタル技術等について、更に掘り下げた調査を実施した上で、検討を進める。

g 法務省は、公正証書遺言を含む公正証書の作成過程及びその証明の提供のデジタル化に対応するため、令和5年通常国会に公証人法(明治41年法律第53号)及び民法(明治29年法律第89号)等に関する改正法案を提出する。

h 法務省は、登記・供託オンライン申請システムを利用して遺産分割協議書等の添付情報をオンライン提出する際に必要となる電子証明書に関して、システム上利用可能な電子証明書を発行している認証機関を公開しているところ、認証を受けようとする機関(クラウド型電子署名サービスを提供する事業者を含む)の予見可能性を高めるために、その基準及び手続を公表する。

i 法務省は、不動産の相続登記手続について、上記実施事項を踏まえた各情報の作成・交付の電子化の状況に応じて、可能な手続からオンライン化を進め、全ての各情報の作成・交付の電子化が実現した後速やかにオンライン完結を実現する。

イ 電子署名の更なる普及に向けた環境整備

【a:令和5年度上期に検討に着手した後、速やかに措置、b:令和6年度措置、一部は令和7年度措置、次期電子認証システムに関する事項については令和7年度措置、c:令和5年度措置】

<基本的考え方>

電子署名について、利用者からは「クラウド型の電子署名については、裁判で押印と同様の法的効果を有すると判断されるか依然不明確であることが課題」であり、「電子署名を社会全体に浸透させるためには、電子署名サービスの透明性を確保し、誰もが安心して利用できるようにすることが重要」といった意見があるところ、電子署名の更なる普及に向けた環境整備に取り組む必要がある。

以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。

なお、規制改革推進会議では、押印の見直しについてこれまでも取り組んできたが、今後も現場のニーズに即した個別具体的な論点について調査審議を行っていく。

<実施事項>

a デジタル庁及び法務省は、電子署名の利用者、認証事業に係る有識者やサービス提供事業者等の意見を十分に聞き取り参考にして、「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法第3条関係)(令和2年9月4日)」(以下「3条Q&A」という。)に下記の3点を盛り込む改訂について検討を行い、その可否を含めて結論を得た上で、必要な措置を講ずる。

 電子契約サービスの利用者と電子文書の作成名義人の同一性が確認される(いわゆる利用者の身元確認がなされる)ことについては、①電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号。以下「電子署名法」という。)第3条に規定する電子署名に該当する要件としては不要であること、一方で、②実際の裁判において同条の推定効が認められるには、利用者の身元確認がなされることが重要な要素になると考えられるところ、同条の適用において、いわゆる利用者の身元確認が不要である又は問題とならないといった誤解を招くことのないようにすることの2点を分かりやすく明示すること。

 電子署名法第3条に規定する電子署名に該当する要件として3条Q&Aに記載のある「固有性の要件」について、十分な水準の固有性を満たす措置としてどのようなものが考えられるか分かりやすく明示すること。

 電子契約サービスを選択する際の留意点として、実際の裁判において作成名義人の意思に基づき電子署名が行われているとして電子署名法第3条の推定効が認められると考えられる「身元確認の水準及び方法やなりすまし等の防御レベル」について、最終的には裁判所の判断に委ねられるべき事柄ではあるものの、一般論としてその内容を分かりやすく明示することに加え、適正管理要件の充足方法を複数例示すること。

b デジタル庁及び法務省は、商業登記電子証明書の発行時における利用者の負担軽減の観点から、取得費用を低減すること、及び利用者の利便性向上の観点から、発行時や利用時の利用者の操作性を向上させること、GビズIDの法整備がなされた場合に商業登記電子証明書との連携を進めること、代表者以外による利用について整理を行うこと、民間電子署名サービスとの連携を進めることや、令和7年度中に運用開始予定の次期電子認証システムにおいてリモート署名方式を導入することについてそれぞれ検討を行い、その可否も含めて結論を得た上で、必要な措置を講ずる。

c 法務省は、登記・供託オンライン申請システムを利用して商業登記の申請をする際に必要となる法務大臣の定める電子証明書に関して、民間電子署名サービス(クラウド型電子署名サービスを含む。)を公開しているところ、新たに当該電子証明書として追加を受けようとする事業者の予見可能性を高めるために、その基準及び手続を公表する。

民事信託登記の諸問題(20)

登記研究[1]の記事、渋谷陽一郎「民事信託登記の諸問題(20)」からです。

旧信託法(大正11年法律第62号)

第四条 受託者ハ信託行為ノ定ムル所ニ従ヒ信託財産ノ管理又ハ処分ヲ為スコトヲ要ス

第二十一条 信託財産ニ属スル金銭ノ管理方法ニ関シテハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム

第二十三条

1 信託行為ノ当時予見スルコトヲ得サリシ特別ノ事情ニ因リ信託財産ノ管理方法カ受益者ノ利益ニ適セサルニ至リタルトキハ委託者、其ノ相続人、受益者又ハ受託者ハ其ノ変更ヲ裁判所ニ請求スルコトヲ得

2 前項ノ規定ハ裁判所ノ定メタル管理方法ニ付之ヲ準用ス

第二十八条 信託財産ハ固有財産及他ノ信託財産ト分別シテ之ヲ管理スルコトヲ要ス但シ信託財産タル金銭ニ付テハ各別ニ其ノ計算ヲ明ニスルヲ以テ足ル

第三十一条 受託者カ信託ノ本旨ニ反シテ信託財産ヲ処分シタルトキハ受益者ハ相手方又ハ転得者ニ対シ其ノ処分ヲ取消スコトヲ得但シ信託ノ登記若ハ登録アリタルトキ又ハ登記若ハ登録スヘカラサル信託財産ニ付テハ相手方及転得者ニ於テ其ノ処分カ信託ノ本旨ニ反スルコトヲ知リタルトキ若ハ重大ナル過失ニ因リテ之ヲ知ラサリシトキニ限ル

第四十一条

1 信託事務ハ営業トシテ信託ノ引受ヲ為ス場合ヲ除クノ外裁判所ノ監督ニ属ス

2 裁判所ハ利害関係人ノ請求ニ因リ又ハ職権ヲ以テ信託事務ノ処理ニ付検査ヲ為シ且検査役ヲ選任シ其ノ他必要ナル処分ヲ命スルコトヲ得

一方、登記研究解説は、信託とはあくまで受益者の利益のために行うものであり、たとえ、委託者と受益者の承諾があっても、前述のとおり、信託という制度それ自体の内在的制約がある、という発想をしているようにも見える(あくまでも信託実体法上の視点である)。なお、登記研究解説が、第三者の債務のための抵当権設定行為をもって、受託者の義務違反行為であると解しているのは確かであろう。

相続などの際の、親権者と子の利益相反行為における形式的判断説(外形説)の判断の方法のように感じます。

それは、昭和41年登記先例における現在の登記実務に対する射程範囲の問題として、①「第三者」に対する許容性の可否という問題、②許容される「第三者」の範囲の問題(第三者性の絞り込み)を考えると共に、③登記手続上、かような許容性は承諾書の提供を以て足りるのか、④窮極的には、実務上、後続登記申請の権利の保全として、そのような許容性を登記しておくべきか(如何にして登記するのか)、という信託目録に記録すべき情報としての具体性・明瞭性の問題に収斂しよう。

1、「第三者」に対する許容性の可否について

第三者を、委託者・受益者および受託者(信託法8条)以外の者と仮定します。信託法で、第三者の債務に対して信託不動産に担保設定することに制限をかけていると考えられる条文は、2条1項、26条(受託者の権限の範囲)、29条(受託者の注意義務)30条(忠実義務)31条・32条(利益相反行為の制限)などが挙がります。制限がかけられている中で許容されていている、と考えられます。

なお、法的効果、救済措置として、信託法21条(信託財産責任負担債務の範囲)、27条(受託者の権限違反行為の取消し)、40条(受託者の損失てん補責任等)、44条(受益者による受託者の行為の差止め)、150条(特別の事情による信託の変更を命ずる裁判)165条(特別の事情による信託の終了を命ずる裁判)、166条(公益の確保のための信託の終了を命ずる裁判)などが規定されています。

2、許容される「第三者」の範囲の問題(第三者性の絞り込み)について

 原則として、第三者を、委託者・受益者および受託者(信託法8条)以外の者と仮定します。

 28条(信託事務の処理の第三者への委託)の、受託者から委任された者はどうでしょうか。

信託事務の処理について、債務を負う必要性と、受益者が損害を被る可能性について、重大な事実を知らず、過失がない限り、第三者といえると考えます。その他の、就任していない受益者代理人、信託監督人、信託監督人、受益者指定権者、受益者変更権者についても、同様に考えることが出来ると思います。信託目録への登記の有無に関わらず、です。

3、登記手続上、かような許容性は承諾書の提供を以て足りるのか、について

信託目録上、後続登記と継続性が認められる限り、承諾書の提供を以て足りると考えられます。

4、窮極的には、実務上、後続登記申請の権利の保全として、そのような許容性を登記しておくべきか(如何にして登記するのか)、という信託目録に記録すべき情報としての具体性・明瞭性の問題について

 許容性を登記しておくべきかについては、事案によりますが、登記しておいた方が、後続登記との関係が円滑になり、第三者からの閲覧に応えるものになると考えられます。

如何にして登記するのか、については、信託法上、問題がない登記の記録方法は何か、という問いだと置き換えてみます。

例えばですが、信託の目的は、管理・運用・処分に留める。信託財産の管理方法には、具体的に第三者(例えば姪、甥など)の氏名を登記し、その者が債務を負担する場合は、受託者は、(受益者の承諾書を提供して)抵当権を設定し、抵当権設定登記を申請することができる、などと記載することが考えられます。


[1] 903号、令和5年5月、テイハン、P47

加工コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方(犯罪による収益の移転防止に関する法律関係)

コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方(犯罪による収益の移転防止に関する法律関係)令和5年5月26日金融庁

犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の一部を改正する政令案等に関するパブリックコメントの結果等について

https://www.fsa.go.jp/news/r4/sonota/20230526-2/20230526-2.html

Ⅵ 犯罪収益移転防止法に関する留意事項関係

20民事信託だけでなく商事信託も対象という理解でよいか。

・・・ご理解のとおりです。

21エビデンスの一律の徴求までは求めておらず、申告ベースを前提としているという理解でよいか。

・・・取引を行う目的の確認方法は、犯収法施行規則第9条において、「顧客等又はその代表者等から申告を受ける方法」と規定されています。

なお、AML/CFT ガイドラインにおいては、「顧客及びその実質的支配者の本人特定事項を含む本人確認事項、取引目的等の調査に当たっては、信頼に足る証跡を求めてこれを行うこと」という着眼点を示しており、金融機関はリスクに応じ、適切な顧客管理を行うことが求められていることに留意が必要です。

22 特定取引に際し、特定事業者が顧客に対し信託の受託者の地位にあるかを確認すること、確認の結果受託者の地位に該当する場合には当該信託の受託者の実質的支配者の確認を行うことが求められるものと認識しているが、当該信託の委託者・受益者の確認まで求められるものではないという理解でよいか。

23 受託者のみならず、委託者・受益者の確認も必要となる場合、特に商事信託においては守秘義務の観点から、当該開示は難しい場合が想定される。このような開示を受けられない場合でも特定事業者として確認義務を果たした理解してよいか。

・・・犯収法上の「顧客等」には信託の受益者が含まれることから、特定取引に係る取引相手が信託の受益者に該当する場合には、当該受益者に係る取引時確認が求められます(犯収法第2条第3項、犯収法施行令第5条)。また、上記の場合の取引を含め各種取引を行うに当たっては、疑わしい取引の届出の判断のため、当該取引の態様等を勘案し、必要な調査・情報収集を行う必要があるもの

と考えられます(犯収法第8条第2項、犯収法施行規則第27 条第1項、同第32 条第1項)。

なお、AML/CFT ガイドラインにおいては、「顧客の受入れに関する方針の策定に当たっては、顧客及びその実質的支配者の職業・事業内容のほか、例えば、経歴、資産・収入の状況や資金源、居住国等、顧客が利用する商品・サービス、取引形態等、顧客に関する様々な情報を勘案すること」、「自らが特定・評価したリスクを前提に、個々の顧客・取引の内容等を調査し、この結果を当該リスクの評価結果と照らして、講ずべき実効的な低減措置を判断・実施すること」という着眼点を示しており、金融機関はリスクに応じ、適切な顧客管理を行うことが求められていることに留意が必要です。

25 商事信託の受託者が特定事業者と特定取引を行うに際し、受託者および受託者の実質的支配者について開示することは問題ないと考えられる一方で、委託者・受益者の開示については、守秘義務の観点で困難と考えられる。

仮に当該開示を必須とする場合には、個人情報保護法等の法令改正により開示を許容する方法もあり得ると考えるが、そのような法令改正の予定はあるか。

・・・現時点では改正は予定しておりませんが、将来の改正予定について、予断をもって申し上げることはできません。

27 銀行口座開設のケースを考えた場合、広義には、資産運用や相続などにも含まれると考えられるが、当該目的を個別に加える理由について、類型の整理を行うにあたりご教示いただきたい。

28 「信託の受託者・委託者・受益者としての取引」とせず、「信託の受託者としての取引」のみを追加する理由をご教示いただきたい。

・・・FATF 第4次対日相互審査の指摘も踏まえ、信託の受託者の立場を明らかにされないことに伴うマネロン・テロ資金供与リスクを勘案し、改訂を行うものです。信託の受託者として取引を行う場合、顧客属性から通常想定される取引とは異なる態様の取引となることから、犯収法第8条に規定する疑わしい取引の届出の判断等において、適切にその判断を行うために、その事実を把握する必要性が高いと考えられます。

31「信託の受託者としての取引」とは、委託者Aが受託者Bと信託契約を締結し、受託者BがB名義で特定取引(口座開設、送金取引等)を行うといった場合が該当するとの理解でよいか。

・・・ご理解のとおりです。

32法定後見・任意後見制度(成年後見制度等)を活用し、被後見人A名義の特定取引を後見人Bが「代理」して行う場合は、「信託の受託者としての取引」には該当しないとの理解でよいか。

また、同じく信託契約に基づくものではない「後見制度支援預金」の開設についても「信託の受託者としての取引」に該当しないとの理解でよいか。

・・・ご理解のとおりです。

33例えば、取引を行う際に顧客から専用の信託口座開設申込書や信託契約書の写し等を受け入れることにより「信託の受託者としての取引」であることを確認している場合には、それをもって「取引を行う目的」として「信託の受託者としての取引」の確認を実施していると考えられることから、別途顧客から受け入れる口座開設書類等に選択肢を追加する対応(それに伴うシステム対応を含む)までは求められていないという認識でよいか。

・・・ご理解のとおりです。当該改訂の趣旨である、FATF 第4次対日相互審査で指摘された、信託の受託者の立場を明らかにされないことに伴うマネロン・テロ資金供与リスクを勘案し、各金融機関においては、自らが提供している商品・サービスや、取引形態、顧客の属性等やその他の事情を踏まえ、実施について検討いただく必要があると考えられます。

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