民事信託の相談会その73

お気軽にどうぞ。

2025年3月28日(金)14時~17時

□ 認知症や急な病気への備え
□ 次世代へ確実に引き継ぎたいものを持っている。
□ 家族・親族がお金や土地の話で仲悪くなるのは嫌。
□ 収益不動産オーナーの経営者としての信託 
□ ファミリー企業の事業の承継
その他:
・共有不動産の管理一本化・予防
・配偶者なき後、障害を持つ子の親なき後への備え

1組様 5,500円

場所

司法書士宮城事務所(西原町)

要予約

司法書士宮城事務所 shi_sunao@salsa.ocn.ne.jp

後援  (株)ラジオ沖縄

日本不動産学会誌No150不動産相続登記の義務化をめぐる成果と次の課題

日本不動産学会誌No150不動産相続登記の義務化をめぐる成果と次の課題

慶応義塾大学大学院法務研究科 松尾弘「不動産相続登記申請の義務化を民事法性の中でどうとらえるか」

 民法および不動産登記法の原則に照らし、相続登記申請の義務化をどのように位置づけることができるか、法理上の整合性。

 民法899条の2による判例法理の変更。民法177条とは別に、法定相続分についての当然承継と、それを超える部分についての意思表示に特定承継の中間類型として。

 

東北学院大学法学部法律学科准教授 梶谷康久「「相続登記の義務化」と登記の位置付け」

 相続登記の義務化は、所有者不明土地対策として導入されたものではあるが、登記によって所有者を明確化する必要があるという問題意識から定められたものなのであるから、登記を効力要件化する必要性を示すものの一つであると評価。

拓殖大学 長友昭「農地をめぐる相続登記の課題―不動産法から見た土地改良における登記活用事例と課題解消に向けた取り組み―」

 一般的な土地や建物などの不動産関連の制度では、一筆の土地や区画、集落・市町村・県単位という土地のまとまりで課題に対応しようとしているのに対し、土地改良制度では、水ないし水利施設に関する制度である性質上、確認の不動産の単位、流域単位で対応。流域は土地のまとまりを超える。土地改良区における事例。土地改良区が利害関係人として申立人となり、所有者不明土地管理命令の申立て。

信州大学農学部 三木敦郎、合同会社ちいもり 杉本由起、合同会社ちいもり 杉本健輔「相続登記だけでは解決しない森林管理問題」

 入会権等、相続登記すべきではない森林がある。相続登記をしても境界が不明な土地がある、との指摘は相続登記とは関係がないのではないかと思います。集材路など。山地災害を免れたいという意識はおよそ共通。

拓殖大学政経学部教授 宮下量久「特定空家等の略式代執行をめぐる相続登記の課題」

 特定空家等に対する措置状況の推移。人口密度が低い市区町村ほど、略式代執行の実施回数が多い。

日本大学経済学部 中川雅之「情報資本ストックとしての登記情報」

 相続登記という行為は、情報資本ストックの経年劣化に対応した投資として位置付けることができる。

栃木県司法書士会会長 髙橋宏治「相続登記実務上の課題―栃木県の例―」

 司法書士総合センターの相談件数の推移。過料と相続登記にかかる費用のバランス。

新潟県司法書士会 八田賢司「相続登記実務上の課題―新潟県上越地域の実務を通じてー」

 相談者の傾向、相続登記対象物件の特徴。家庭裁判所における相続放棄申述に関する書類の保存期間。

裁判所 事件記録等の特別保存に関する規則

https://www.courts.go.jp/about/topics/tokubetuhozonkisoku/index.html

常葉大学 胡光輝「中国における不動産物件変動と登記」

 登記を不動産物権変動の効力発生要件としている。

(台湾)国立政治大学法学院助教授 張韻琪「台湾法における不動産相続登記の現状と原因」

 相続登記は義務化されており、義務違反には過料の規定がある。その他に競売、代金の供託の制度もあるが、相続登記未了の不動産は増加している。

常葉大学 小川祐之「登記情報の透明性確保と開発・まちづくり:イギリスの場合」

 充分な住宅供給のための登記情報の透明性向上策。

獨協大学 小柳春一郎「フランスの義務的相続登記」

 相続を含め、登記申請の書類は、必ず公証人が作成する。相続登記の義務化違反としての過料の規定は削除され、損害賠償の規定の効果は不明。

国士舘大学 藤巻梓「ドイツにおける相続登記」

 遺産裁判所から相続人に付与される相続権の証明としての相続証書。推定力と公信力を有する。

「司法書士が知っておきたい表示の登記」

「司法書士が知っておきたい表示の登記」

2025年2月26日

『司法書士が知っておきたい表示の登記』土地家屋調査士 細野陽一氏

合筆・建物合併・合体登記が完了した際は登記識別情報が通知される。

古い履歴で旧の記載のある旧尺貫法による地積の表示が残っているが、単純な坪数の場合と尺貫法による畝・歩による表示が混在。

地目としての拝所。土地台帳からの転写の際。

分筆登記申請までの作業フローチャート

作業計画

資料調査

 土地・建物登記調査、地図・地積測量図調査

測量協力願い

 立入り許可・杭設置許可。測量後の立会い。

現地踏査

 既存境界線の有無、復元の与点の有無、土地の利用状況

基準点測量・補助基準点測量

現況測量

復元測量(境界立会い)

画地調整(境界点座標の推定)

境界仮杭設置(境界立会)立合証明書作成

境界測量(境界杭設置)

境界点間測量

図面作成

 一筆毎に地積測量図、現況平面図作成。

不動産調査報告書作成

分筆登記申請

 添付情報 地積測量図、筆界立会い証明書、不動産調査報告書。

測量機器の移り変わりについて。

平板測量・・・沖縄県において、昭和40年代から昭和50年代にこの方法で測量し、14条地図をほぼ整備。面積に誤差がある可能性。

トータルステーションと電子平板。・・・距離と角度が分かる。

 1990年代後半から徐々に人工衛星(GPS・GNSS)を使用した測量が始まり現在は世界測地系(公共座標)での測量成果が法務局からも求められている。

 受信機・・・位置(座標)が分かる。

 3Dスキャナやドローン。

地積測量図の読み方

 多角点等座標一覧表・・・測量の際に設置した機械点【多角点】

基本三角点等座標一覧表・・・世界測地系の根拠となる与点

建物の構造・・・建築新素材等の登場で既存の例示では分類できないものは登記官と相談となる。

建物の床面積・・・建築基準法と不動産登記法で面積の算出方法が異なる場合があるので(例:屋外階段やパイプスペースの扱いによる差異)建築確認済証や検査済証と表題登記の床面積が異なる場合がある。・・・金融機関への説明など。

各階平面図・・・家屋番号に、の、の記載があるか。

マンションの専有部分面積・・・区分建物の専有面積の算出は構造物の壁内で計算。

「司法書士が知っておきたい表示登記」土地家屋調査士 比嘉常博氏

表示登記の基本について

1 土地・建物の物理的な現況を明らかにする。

(『表示登記教材地目認定』・『表示登記教材建物認定』抜粋)

https://www.minji-houmu.jp/wp/syuppan_tosyo/syuppan_tosyo.html

2 表示に関する登記は登記官が職権ですることができる。(不動産登記法第28条)

3 不動産登記規則93条による実地調査

 登記官は表示に関する登記をする場合には不動産登記法29条の規定により実地調査を行わなければならない。ただし、土地家屋調査士が作成した不動産調査報告書で登記官が実地調査不要と認めたときは、この限りでない。

不動産登記規則111条(建物)。建物として登記可能な要件。プレハブ。ゴルフ練習場。農業用温床施設。

未登記建物の表題登記

 所有権証明情報として、近隣の成人の証言を提供した場合。

 被相続人を表題部所有者とする未登記建物の表題登記申請の場合、相続人のうちの1人が申請したとき。

軍用地内の地目変更登記について

 嘉手納飛行場・普天間飛行場・キャンプシールズ等は、防衛局より地籍調査による地図が法務局に収められていない為、分筆登記ができない土地が存在するため注意。軍用地内の土地の地目は基本的に「雑種地」に変更。そのため、軍用地内の土地であることを証明するため地料明細書(土地賃貸料算定調書及び土地明細書)が必要。通常、「田」や「畑」などの地目を変更する場合、現況証明書や非農地証明書が必要ですが、軍用地内の場合はこれらの証明書は不要。

 「田」や「畑」などの地目を変更する場合、現況が畑である黙認耕作地については、雑種地への地目変更登記が認められません。そのため、申請地が黙認耕作地でないことを確認するために、申請地の14条地図(地籍図)の読取り座標値を地理院地図やGoogleEarthの衛星写真にプロットして地籍重ね図を作成し、これを提出。

軍用地内の分筆登記について

 沖縄防衛局へ軍用地立ち入り許可申請が必要。事前に立ち入りが認められない地区であることが分かっている場合でも、立ち入り許可申請を行い、不許可の回答文書を発行してもらう必要がある(例: 嘉手納飛行場)。立ち入り許可申請後、回答文書が発行されるまでの期間は通常1か月程度。立ち入りを行う米軍側の都合により遅れる場合がある。

登記研究924号令和7年2月号

登記研究924号(令和7年2月号)テイハン

https://www.teihan.co.jp/search/g17615.html

【論説・解説】■ポイント解説 基礎から考える商業登記実務(第6回)

横浜地方法務局法人登記部門首席登記官 山 森 航 太

ポイント:株式会社の登記の申請書に定款を添付しなければならない場合について

1 はじめに

2 定款の意義と登記の申請書に添付すべき定款

3 定款を添付しなければならない場合

4 おわりに

登記研究165号P28、昭和36年5月26日民事四発第95号民事局第四課長事務代理回答「登記研究問題の決議について」

登記研究160号P33、昭和35年12月27日民事甲第2868号民事局長回答「合併により新設する株式会社の定款の認証の要否について」

登記研究630号P160、平成12年1月5日法務省民四第9号民事局第四課長通知「株式移転による設立の登記の申請書に添付すべき定款について〔解説付〕」

 定款に、議決権の属人的定め(会社法109条2項)がある場合の定款添付の要否。

登記研究804号P215、平成27年2月6日法務省民商第13号法務省民事局長通達「会社法の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて」・・・定款に監査役の監査の範囲を会計二関するものに限定する旨の定めがある株式会社。

■民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(相続人申告登記関係)(1)

東京地方裁判所判事(前法務省民事局付) 森 下 宏 輝、法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之、法務省民事局民事第二課補佐官 太 田 裕 介

法務省 民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(相続人申告登記関係)(令和6年3月15日付け法務省民二第535号通達)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00602.html

 登記名義人(不動産登記法2条11号)ではなく、名義人。土地は地目や地積の記載が求められていない。建物についても記載不要な表示がある。

 申出人の住所が記載された相続関係説明図を提出すれば、住民票・戸籍の附票などは謄本の提出不要。

■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第129回)

一般社団法人商業登記倶楽部 最高顧問・名誉主宰者、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、日本司法書士会連合会顧問、神 﨑 満治郎

250 協業組合の意義、設立根拠法令及び登記事項等について

 中小企業等協同組合法

https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000181

(組合等の設立の登記)

第八十四条 組合の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、第二十九条の規定による出資の払込みがあつた日から二週間以内にしなければならない。

2 前項の登記においては、次に掲げる事項(企業組合の設立の登記にあつては、第三号に掲げる事項を除く。)を登記しなければならない。

一 事業

二 名称

三 地区

四 事務所の所在場所

五 出資一口の金額及びその払込の方法並びに出資の総口数及び払込済出資総額

六 存続期間又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由

七 代表権を有する者の氏名、住所及び資格

八 公告方法

九 第三十三条第四項の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項

イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であつて法務省令で定めるもの

ロ 第三十三条第五項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め

3 中央会の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、設立の認可があつた日から二週間以内にしなければならない。

4 前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。

一 事業

二 名称

三 事務所の所在場所

四 代表権を有する者の氏名、住所及び資格

五 公告方法

(変更の登記)

第八十五条 組合又は中央会(以下この章において「組合等」という。)において前条第二項各号又は第四項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、変更の登記をしなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、前条第二項第五号に掲げる事項中出資の総口数及び払込済出資総額の変更の登記は、毎事業年度末日現在により、当該末日から四週間以内にすれば足りる。

中小企業団体の組織に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000185

(発起人)

第五条の十五 協業組合を設立するには、その組合員になろうとする四人以上の者が発起人となることを要する。

2 発起人については、第五条の六の規定を準用する。

■Q&A不動産表示登記(100)

(一社)テミス総合支援センター理事、都城市代表監査委員 新 井 克 美

第四章 建物(区分建物)

 第一節 登記事項

  Q271 団地共用部分とは何か。

建物の区分所有等に関する法律

https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000069

(団地共用部分)

第六十七条 一団地内の附属施設たる建物(第一条に規定する建物の部分を含む。)は、前条において準用する第三十条第一項の規約により団地共用部分とすることができる。この場合においては、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

2 一団地内の数棟の建物の全部を所有する者は、公正証書により、前項の規約を設定することができる。

3 第十一条第一項本文及び第三項並びに第十三条から第十五条までの規定は、団地共用部分に準用する。この場合において、第十一条第一項本文中「区分所有者」とあるのは「第六十五条に規定する団地建物所有者」と、第十四条第一項及び第十五条中「専有部分」とあるのは「建物又は専有部分」と読み替えるものとする。

不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付け法務省民二第456号法務省民事局長通達)最終改正:令和6年12月2日

(共用部分である旨の登記における記録方法等)

第103条共用部分である旨の登記をするときは、原因及びその日付欄に「令和何年何月何日規約設定」及び「共用部分」のように記録するものとする。ただし、当該共用部分が法第58条第1項第1号に掲げるものである場合には、「令和何年何月何日規約設定」及び「家屋番号何番、何番の共用部分」のように記録するものとする。

2 団地共用部分である旨の登記をするときは、その団地共用部分を共用すべき者の所有する建物の所在及び家屋番号又はその建物が属する一棟の建物の所在並びに構造及び床面積若しくはその名称を記録した上、原因及びその日付欄に「令和何年何月何日団地規約設定」及び「団地共用部分」のように記録するものとする。

3 法第58条第4項の規定により権利に関する登記を抹消する場合には、「令和何年何月何日不動産登記法第58条第4項の規定により抹消」のように記録するものとする。

4 共用部分である旨又は団地共用部分である旨を定めた規約を廃止したことによる建物の表題登記をする場合には原因及びその日付欄に「令和何年何月何日共用部分(又は団地共用部分)の規約廃止」のように記録するものとし、共用部分である旨又は団地共用部分である旨を抹消するときは、その登記原因及びその日付の記録を要しない。

■逐条解説不動産登記規則(53)

元法務省民事局民事第二課地図企画官 小宮山 秀 史

第103条 地役権の登記がある土地の分筆の登記

(地役権の登記がある土地の分筆の登記)

第百三条 登記官は、承役地についてする地役権の登記がある甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をする場合において、地役権設定の範囲が分筆後の甲土地又は乙土地の一部となるときは、分筆後の甲土地又は乙土地の登記記録の当該地役権に関する登記に当該地役権設定の範囲及び地役権図面番号を記録しなければならない。

2 登記官は、前項の場合には、要役地の登記記録の第百五十九条第一項各号に掲げる事項に関する変更の登記をしなければならない。

3 登記官は、第一項の場合において、要役地が他の登記所の管轄区域内にあるときは、遅滞なく、当該他の登記所に承役地の分筆の登記をした旨を通知しなければならない。

4 前項の通知を受けた登記所の登記官は、遅滞なく、第二項に規定する登記をしなければならない。

(地役権図面番号の記録)

第百六十条 登記官は、地役権の設定の範囲が承役地の一部である場合において、地役権の設定の登記をするときは、その登記の末尾に地役権図面番号を記録しなければならない。地役権設定の範囲の変更の登記又は更正の登記をする場合において、変更後又は更正後の地役権設定の範囲が承役地の一部となるときも、同様とする。

■民事信託の登記の諸問題(41)

渋 谷 陽一郎

第288 信託法90条2項の意味は何か

P95、受益者それ自体ではあるが、受益者としての権利を有しないという意味なのだろうか。あるいは、そもそも、受益者として把握されないと解すべきなのであろうか。・・・条文に記載されている通り、受益者それ自体ではあると考えられます。

 例えば、受益者としての権利は、信託財産の給付を求め得る受益債権、信託の意思決定権、受託者に対する監督権など様々なものがあるが、ここで言われる受益者としての権利とは、受益者としての全ての権利を言うのだろうか。・・・条文に制限が付されていないので、全ての権利と考えられます。

第289 「受益者の指定に関する定め」と「受益者の指定に関する条件」、「受益者を定める方法の定め」

第290 不動産登記法97条1項2号及び2項による受益者の登記の簡略化

第291 香川判事の見解

第292 不動産登記実務研究会の見解

第293 整備法に基づく改正不動産登記法の立案担当者の見解

第294 平成19年9月28日民二第2048号民事局長通達

第295 将来の受益者の指定に関する登記を巡る議論の現在地

【資 料】■会社法施行下で使える登記先例――実務の便覧――(17)

登記研究252号P62、昭和43年10月4日民事甲第3127号民事局長回答「破産会社の復権による継続登記の可否について」

登記研究405号P73、昭和56年6月22日民四第4194号法務省民事局第四課長電信回答「破産宣告当時の代表取締役からする破産会社の本店移転登記申請の受否について」

 破産宣告がされた場合、財産的な関係はすべて破産管財人が処理することになるが、その会社の人格権的な関係は依然として存続するから、破産財団に関係のない事項については、会社の機関である代表取締役の申請による。

登記研究415号P85、昭和57年5月19日法務省民四第3765号民事局第四課長回答「破産終結の登記により登記用紙が閉鎖されている会社について、清算人の就任の登記の申請がなされた場合の受否について」

 破産終結の登記による登記用紙の閉鎖は、必ずしも会社の消滅を意味するものではないから。

登記研究596号P115、平成9年3月17日法務省民四第496号民事局第四課長通知「破産終結の登記により登記用紙が閉鎖された会社の清算人から清算結了していない旨の申出があった場合の登記の取扱いについて」

 商業登記規則81条3項に準ずる。

登記研究763号P139、平成23年4月1日法務省民商第816号法務省民事局商事課長通知「破産手続開始の登記がされた会社その他の法人の破産手続開始の決定当時の代表者に係る代表者事項証明書又は印鑑の証明書の交付について」

 最高裁判所第二小法廷平成21年4月17日判決集民第230号395頁

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=37534

株式会社の取締役又は監査役の解任又は選任を内容とする株主総会決議不存在確認の訴えの係属中に当該株式会社が破産手続開始の決定を受けても,上記訴訟についての訴えの利益は当然には消滅しない。

登記研究353号P104、昭和51年11月4日法務省民四第5621号民事局長通達「更生会社の登記申請人等について」

 保全管理人は、会社の常務に関する事業の経営権を有する。取締役は、保全管理人の職務・権限に対応する職務の執行が停止されるが、会社の株主に対する組織法上の関係での職務・権限は、保全管理人が置かれても従来の会社の機関が依然として保有する。

登記研究668号P56、平成15年3月31日法務省民商第936号民事局長通達「会社更生法等の施行に伴う商業・法人登記事務等の取扱いについて」

登記研究 635号P94、平成12年3月31日法務省民四第802号民事局長通達「民事再生法等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて」

登記研究109号P41、昭和31年12月4日民事甲第2740号民事局長回答「有限会社の代表取締役の選任登記について」

 取締役の全員が代表権を持った場合。

登記研究698号P73、平成18年3月31日民商第782号民事局長通達 「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて」

 商号変更による株式会社への移行の際、定款の変更と同時に、資本金の額の増加その他の登記事項の変更が生じた場合において、移行による設立の登記の申請書に当該変更後の登記事項が記載された場合、組織変更による設立の登記と同様に取り扱う。

登記研究707号P194、 2007年1月30日【質疑応答】「特例有限会社の解散による清算人の登記を申請する場合における商業登記法第七三条第一項の規定による定款の添付の要否について」

 株主総会又は裁判所によって選任された者が清算人となった場合の定款の添付の要否。

登記研究78号P40、昭和29年4月12日民事甲第770号民事局長通達 「合資会社の清算人が死亡した場合における後任者の選任について(商通第一八号)」

 利害関係人から裁判所に対し、清算人の選任申立て(会社法647条)。

登記研究135号P40、昭和34年1月14日民事甲第2723号民事局長回答「遺産分割と相続人の一部入社登記の可否について」

 合資会社の無責任社員は義務も負うことから、一度、相続人全員を無限責任社員として登記することを要する。

登記研究180号P62、昭和37年7月20日民事四発第148号民事局第四課長回答「登記研究問題の決議について」

 合資会社の有限責任社員の退社の登記申請に添付する情報。

登記研究187号P71、昭和38年5月14日民事甲第1357号民事局長回答「有限責任社員の死亡と相続人数人中の一人のみによる入社登記申請の受否について」

登記研究240号P61、昭和42年9月29日民事甲第2411号民事局長回答「合資会社の変更登記等の取扱いについて」

 有限責任社員全員の退社と同時に、新たに有限責任社員が加入する登記申請があった場合。

登記研究77号P38、1954年4月20日第五部質疑・応答(一四四五―一四六二)「現物出資のみを目的とする合名会社の設立登記」

【法 令】

■不動産登記規則等の一部を改正する省令(令和7年1月10日法務省令第1号)

【訓令・通達・回答】

▽不動産登記関係

〔6255〕不動産登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務等の取扱いについて(令和6年6月18日付け法務省民二第826号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

日本組織内司法書士協会『司法書士目線で答える会社の法務実務』2018、日本加除出版Q28与信管理

Q 与信管理とは何ですか。

・与信・・・取引の相手方に返済能力があることを信用してモノ・お金を供与すること。

・与信取引・・・商品を販売する場合において、先に商品を提供して、後で代金を回収する形態の取引。

・与信管理・・・「与信取引を行ってもよいか」、「与信取引を行う場合、取引限度額をいくらに設定すべきか」について取引先ごとに判断し、定期的に見直していく業務プロセス。

与信管理の目的

 取引を行う場合に、事前に許容できるリスクを把握し、リスクが発生しても損害を最小限に抑えること。

・・・与信管理を全くしていない場合(相手方の本店所在地も特定できない。)。預貯金債権の仮差押空振り→一部取下げ→今後、取引時に相手方に信用情報(銀行支店等)を提供するようにアドバイス。

・・・会社応接室においてある金融機関のカレンダー、ティッシュなど。

・・・業種による管理(卸売業)。

与信管理の方法

信用情報の分類
入手先入手情報
取引先      決算書(直近3年分)
勘定科目明細書
法人税申告書
会社案内、商品カタログ
信用調査会社信用調書
法務局  法人の履歴事項全部証明書
不動産がある場合、全部事項証明書・公図

法人の履歴事項全部証明書のチェックポイント

 項目チェックポイント対応
商号商号を変更している場合旧社名のネット検索、経営者への変更理由確認。
本店登記記録が新たに編成される、別管轄の登記所への本店移転。家賃が安いエリアへの本店移転。頻繁に移転を繰り返している。閉鎖事項証明書の取得、経営者へ移転理由を確認。
目的本業と関係なさそうな業務が追加されている。経営者へ確認。
資本金の額減資取引の相手方に、減資の理由(欠損填補、大会社に該当することの回避、外形標準課税の節約)を確認。
役員解任、辞任の登記がされている場合。任期が過ぎているのに何らの登記もされていな場合。経営者に経緯を確認。

代表者の住所非表示措置に伴う影響。

 項目チェックポイント対応
不動産の特定本店・営業所の所在場所、代表者の自宅の土地建物。 
所有権の登記名義人取引先の法人、法人の代表者、関連会社。 
差押・仮差押・所有権移転の仮登記の有無 取引の回避
抵当権者・共同担保の確認ノンバンクや個人名義の抵当権者の有無。 
    

与信管理を意識した契約交渉

 契約書に規定すべき条項

  • 期限の利益喪失条項・・・消滅時効の起算開始時に関わる。

・・・到来・経過させる。

  • 所有権留保条項・・・買主が占有していることで、商品の回収困難の可能性(民法192条など。)。
  • 出荷停止条項・・・継続的な契約の場合。

 担保の取得

  物的担保の取得

法定担保物権・・・留置権(民法295条、商法31条、521条)、先取特権(民法303条、商法842条等)。

約定担保物権

 典型担保物権・・・質権・抵当権など。

 非典型担保物権・・・仮登記担保権、譲渡担保権、所有権留保など。

約定担保権の取得時

 迅速性が求められる。・・・担保を取得しようとしている物が、売却や付合などで無くなる可能性。他の債権者が先に担保を取得する可能性がある。

 価値が明白で、担保取得や(実行)処分が容易な物から。・・・債権がいくら回収できるのか、担保取得や実行のコストと比較して。

  人的担保の取得

保証・・・根保証かつ連帯保証。個人を保証人とする場合、民法465条の2の適用。

連帯保証取得時

債務弁済の資力がある者が優先。取引先の親会社、関係会社、代表者個人。保証意思を確認できる書面・情報を入手すること(保証契約書、取締役会議事録、公正証書など)。

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