加工_令和5年12月15日付け法務省民二第1596号通達「外国に住所を有する外国人又は法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の住所証明情報の取扱いについて」

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00465.html

法務省民二第1596号

令和5年12月15日

法務局長殿

地方法務局長殿

法務省民事局長

(公印省略)

外国に住所を有する外国人又は法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の住所証明情報の取扱いについて(通達)

近時、国際化の進展の下で、所有権の登記名義人が外国に住所を有する事例が増えてきており、登記名義人の所在の把握に困難を伴うことがあるとの指摘がされています。

また、外国に住所を有する外国人(日本の国籍を有しない自然人をいう。以下同じ。)又は法人(会社法人等番号を有するものを除く。以下同じ。)が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の当該登記名義人となる者の住所を証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)(不動産登記令(平成16年政令第379号)別表13の項添付情報欄リ、同28の項添付情報欄ニ、同29の項添付情報欄ハ及び同30の項添付情報欄ハに掲げる情報。以下「住所証明情報」という。)については、日本に住所を有する者や外国に住所を有する日本人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合と異なり、実際に必要となる具体的な書面等に関する運用上の幅が広くなっているとの指摘がされています。

これらの状況を踏まえ、標記の取扱いについては、下記の点に留意し、事務処理に遺憾のないよう、貴管下登記官に周知方取り計らい願います。

なお、この通達による取扱いは、令和6年4月1日以後にされる登記の申請について実施するものとします。

おって、この通達に抵触する従前の取扱いは、この通達により変更したものと了知願います。

第1 外国に住所を有する外国人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合

1 外国に住所を有する外国人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の当該登記名義人となる者の住所証明情報については、次の(1)又は(2)のいずれかとするものとする。

(1) 登記名義人となる者の本国又は居住国(本国又は居住国の州その他の地域を含む。以下「本国等」という。)の政府(本国等の領事を含み、公証人を除く。以下「本国等政府」という。)の作成に係る住所を証明する書面(これと同視できるものを含む。

(2) 登記名義人となる者の本国等の公証人の作成に係る住所を証明する書面及び次のア又はイに掲げる区分に応じ当該(ア又は(イに定める書面

ア登記名義人となる者が旅券を所持しているとき次の要件を満たす旅券の写し

(ア 当該住所を証明する書面が作成された日又は当該申請の受付の日において有効な旅券の写しであること。

(イ 登記名義人となる者の氏名並びに有効期間の記載及び写真の表示のあるページの写しが含まれていること。

(ウ 当該住所を証明する書面と一体となっていない旅券の写しにあっては、原本と相違がない旨の記載及び登記名義人となる者の署名又は記名押印がされていること。

イ登記名義人となる者が旅券を所持していないとき登記名義人となる者の作成に係る旅券を所持していない旨の上申書及び登記名義人となる者の本国等政府の作成に係る書面又は電磁的記録(以下「書面等」という。)の写し等(写し又は電磁的記録の内容を書面に出力したものをいう。以下同じ。)であって、次の要件を満たすもの

(ア 登記名義人となる者の氏名の記載又は記録がある書面等の写し等であること。

(イ 当該住所を証明する書面が作成された日又は当該申請の受付の日において有効な書面等の写し等であること。

(ウ) 当該住所を証明する書面と一体となっていない書面等の写し等にあっては、原本と相違がない旨の記載及び登記名義人となる者の署名又は記名押印がされていること。

2 前記1(2)にかかわらず、所有権の登記名義人となる者の本国等の法制上の理由等のやむを得ない事情から、登記名義人となる者の本国等の公証人の作成に係る住所を証明する書面を取得することができないときは、日本の公証人の作成に係る住所を証明する書面等(登記名義人となる者がその住所が真実であることを宣誓した書面等について、公証人法(明治41年法律第53号)第58条ノ2第1項又は第62条ノ6第2項(令和5年法律第53号による改正後の公証人法第53条第1項又は第59条第3項)の規定に基づく認証がされたものをいう。)並びに次のア及びイに掲げる書面を住所証明情報とすることができるものとする。

ア前記1(2)アに定める書面

イ登記名義人となる者の作成に係る本国等の公証人の作成に係る住所を証明する書面を取得することができない旨の上申書

登記所に提供する前記1又は2の情報のうち、外国語で作成されたものについては、その訳文を添付しなければならない。

第2 外国に住所を有する法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合

1 外国に住所を有する法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の当該登記名義人となる者の住所証明情報については、次の(1)又は(2)のいずれかとするものとする。

(1) 登記名義人となる者の設立に当たって準拠した法令を制定した国(州その他の地域を含む。以下「設立準拠法国」という。)の政府(設立準拠法国の領事を含み、公証人を除く。以下「設立準拠法国政府」という。)の作成に係る住所を証明する書面(これと同視できるものを含む。)

(2) 登記名義人となる者の設立準拠法国の公証人の作成に係る住所を証明する書面及び登記名義人となる者の設立準拠法国政府の作成に係る書面等の写し等であって、次の要件を満たすもの

ア登記名義人となる者の名称の記載又は記録がある書面等の写し等であること。

イ当該住所を証明する書面が作成された日又は当該申請の受付の日において有効な書面等の写し等であること。

ウ当該住所を証明する書面と一体となっていない書面等の写し等にあっては、原本と相違がない旨の記載及び登記名義人となる者の代表者その他の当該住所を証明する書面の作成に当たって宣誓供述を行う権限のある者(以下「代表者等」という。)の署名又は記名押印がされていること。

2 前記1(2)にかかわらず、所有権の登記名義人となる者の設立準拠法国の法制上の理由等のやむを得ない事情から、登記名義人となる者の設立準拠法国の公証人の作成に係る住所を証明する書面を取得することができないときは、登記名義人となる者の代表者等の本国等の公証人の作成に係る住所を証明する書面又は日本の公証人の作成に係る住所を証明する書面等

(当該代表者等がその住所が真実であることを宣誓した書面等について、公証人法第58条ノ2第1項又は第62条ノ6第2項(令和5年法律第53号による改正後の公証人法第53条第1項又は第59条第3項)の規定に基づく認証がされたものをいう。)並びに次のア及びイに掲げる書面を住所証明情報とすることができるものとする。

ア登記名義人となる者の設立準拠法国政府の作成に係る書面等の写し等であって、前記1(2)アからウまでの要件を満たすもの

イ当該代表者等の作成に係る設立準拠法国の公証人の作成に係る住所を証明する書面を取得することができない旨の上申書

3 登記所に提供する前記1又は2の情報のうち、外国語で作成されたものについては、その訳文を添付しなければならない。

関連通達

昭和48年8月11日付民三第6365号法務局長、地方法務局長あて民事局長通達、昭和48年4月12日付登第297号東京法務局長照会、同年8月11日付民三第6354号民事局長回答「台湾在住の日本人の住所を証する書面等について」

昭和59年5月15日付け二不登一第465号東京法務局民事行政部長照会、昭和59年8月6日付法務省民三、991号民事局第三課長回答、同日付け法務省民三第三、992号法務局民事行政部長、地方法務局長あて民事局第三課長依命通知「外国人が登記義務者として登記を申請する場合の署名証明について」

『市民と法No.142【特集】他士業からみた司法書士──さらなる連携に向けて──』

『市民と法No.142【特集】他士業からみた司法書士──さらなる連携に向けて──』2023年08月、民事法研究会

大論公論

 時代の動きに応える司法アクセス拡充の取組みを

 日本司法支援センター理事長 丸島俊介

2022年の法テラスによる情報提供件数、62万件を超える。

短期集中連載

 改正民事訴訟法は司法書士実務を変えるか(7)

 事件の終了(判決・和解)と民事執行手続

 司法書士 山田茂樹

登記が残されたままの古い仮差押登記について、

法制審議会民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部会第14回会議(令和4年12月2日開催)

https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00170.html

○小澤委員 ありがとうございます。その他の(3)の配当等の額の供託についてですけれども、この配当などの額の供託について、御提案の規律を設けることに賛成をいたします。司法書士として長年不動産取引に関する登記実務をしておりますと、取り分け古い時代の登記記録に抵当権等の仮登記がなされ、そのままとなっている物件に遭遇することが珍しくないのですが、御提案の内容は、競売により既に抹消された仮登記等について、配当留保された供託の帰趨についての規律を定めることにより、登記後放置されたとも言える仮登記権利者について、執行手続から除外する道が設けられるものと理解をしています。

民事執行手続からは外れてしまいますが、将来的には、登記されたままとなっている古い仮差押えについても、係属事件番号を公示するなど、登記権利者の保護と取引の円滑などとのバランスに配慮しつつ、検討されるべきだろうと思っておりますが、裁判IT化に関しては、まずは、この顕著な問題となっている配当等の額の供託についての規律を定めることが妥当であると考えております。

【論説/解説】

・司法書士による遺産承継業務の実務の課題と展望

 早稲田大学教授 山野目章夫

  一般社団法人日本財産管理協会副理事長・司法書士 佃 一男

               同副理事長・司法書士 小越 豊

                 同理事・司法書士 藤井里絵

司法書士が行う遺産承継業務の根拠規定・

司法書士3条か司法書士29から導かれる司法書士法施行規則31条か。

遺産分割協議成立への支援業務。

 遺産分割協議が始まった後。

 紛争性と特別受益。

 司法書士として、支援型と調整型・・・支援型は行き着くと代理行為となる可能性がある、との指摘。調整型は相続人間の認識の相違があり、司法書士が証拠書面や根拠法によって説明しても折り合いがつかない場合は委任契約を終了する、という整理。支援型について、私の認識(民事信託支援業務)と違い、そのような解釈もあるのだなと思いました。

 中立型支援業務、というのが、相続人全員に対して一定の要件の順守を求めることや、司法書士登録年数を求めることなど、初めてそのような実務を知りました。

・未成年後見実務における「身上保護」および「親権」についての省察

 公益社団法人佐賀県社会福祉士会・成年後見センターぱあとなあ・社会福祉士 江藤 渉

各専門職のチームによる意思決定支援の必要性の指摘。

・賃貸保証業者の保証契約書と適格消費者団体による差止請求の当否(下) ――最判令4・12・12が建物の賃貸借実務に与える影響――

 弁護士 升田 純

 消費者契約法10条に関する判決であること。

 適格消費者団体の提起に係る差止請求訴訟における判断であること。

 判決が判断していない、特約について議論、訴訟、賃貸保証業者による改定が予想されること。改正後の効力がどこまで及ぶか。

【特集】他士業からみた司法書士――さらなる連携に向けて――

[1]土地家屋調査士との連携

   土地家屋調査士 内野 篤

 表題部所有者の住所が変更されていない場合、既に亡くなっている場合など。相続土地国庫帰属制度を利用したい方がいた場合の、要件を満たしているかの調査。

[2]社会福祉士との連携

   認定社会福祉士 星野美子

成年後見制度を通じた連携。親子について、親に社会福祉士、子に司法書士が成年後見人に就任した事例紹介。

[3]行政書士との連携

   特定行政書士・主任介護支援専門員・宅地建物取引士 村尾和俊

 ケアマネジャーの資格を持っている行政書士と、専業の行政書士では、少し視点が異なるのではないかな、と感じました。P74、医療と介護の「上位」にあるみたいな感覚、というのは人により違うのかなと思います。私は、医師を司法書士、介護を行政書士、などと考えたことはありませんでした。医療でも、医師、看護師、看護助手などで異なると思いますし、介護でも、介護福祉士、介護助手、社会福祉士、介護支援専門員などで異なると思います。

士業とクリニック経営は似ている部分があると思います。

[4]介護支援専門員との連携

   主任介護支援専門員 上川清香

 保険外対応(無償)を多数行っていること。

簡裁民事実務研究101

 中古自動車売買における契約不適合責任

 神奈川簡易裁判所判事 丸尾敏也

 契約不適合に関する民法562条2項、541条、542条、563条、654条、415条、543条、564条、566条、166条、572条について。

現代家族の肖像と法律問題(30)

 弁護士 升田 純

 民法1012条、1014条と、最判平成7月1月24日判時1523号P81、最判平成14年6月10日判時1791号P59の変更。

すぐに使える! 資産税の豆知識44 令和6年1月1日以後の生前贈与と、それに関連する相続税について

 税理士 福壽一雄

 額面通りに7年間の生前贈与が適用されるのは、令和13(2031)年1月1日以後の相続開始から。

加工_起業家の負担軽減に向けた定款認証の見直しに関する検討会第1回会議

加工_起業家の負担軽減に向けた定款認証の見直しに関する検討会第1回会議(令和5年10月31日)

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00068.html

議事録

資料

資料1 主な検討事項等(案)

参考資料1-1 規制改革実施計画(抄)

参考資料1-2 規制改革推進会議意見書「法人の実質的支配者情報に関するFATF勧告 への対応及び起業家の負担軽減に向けた定款認証の見直しについて」(令和5年7月31 日)

参考資料1-3 定款認証の見直しに関する岸田内閣総理大臣発言

参考資料2 定款認証制度について

参考資料3 株式会社の定款記載例

参考資料4 実質的支配者申告制度について

参考資料5-1 法務省による定款認証に関する実態調査結果(概要版)

参考資料5-2 法務省による定款認証に関する実態調査結果(詳細版)

参考資料5-3 内閣府による定款認証に関するアンケート調査結果

参考資料6-1 会社設立における公証人の関与について(諸外国との比較)

参考資料6-2 米国デラウェア州の基本定款のサンプル

参考資料5-2 法務省による定款認証に関する実態調査結果(詳細版)

R5.10 法務省民事局

定款認証に関する実態調査

調査 結果 (詳細)

目次

第1調査の概要 1

第2公証人からの回答の概要 1

1認証した事案についてのア ンケート 1

2認証に至らなかった事案についてのアンケート 3

3過去の業務経験についてのアンケート 3

第3発起人からの 回答の概要 3

第4専門資格者からの回答の概要 7

第5回答のあった具体的な事案の例 11

1期間中の定款案への指摘事項の例 11

2期間中に認証に至らなかった事案の例 12

3これまでに不正な起業が疑われた事案の例 13

第1

第1 調査の概要調査の概要

1 調査の趣旨及び概要調査の趣旨及び概要

 規制改革実施計画(令和4年6月7日閣議決定)において、改革実施計画(令和4年6月7日閣議決定)において、公証人及び嘱証人を対象として、定款認証実務の実態を把握するための調査を行うこととされたことを受けて、その実態を定量的・客観的に把握するため、一定期一定期間中(R5.1.16~R5.3.31)の全国全ての定款認証事件を対象に、公証人と利用者(発起人(注1)・専門資格者・(注2))双方からアンケート調査を行ったものもの。

 なお、調査の実施に当たっては、その具体的な内容・方法について、あらかじめ規制改革推進会議スタートアップ・イノベーションワーキング・グループにおいて議論を行っている。

(注1)調査対象期間中に定款の認証を受けた全ての法人の発起人を対象として、アンケートへの協力を求めた。なお、発起人が複数名いる発起人が複数名いる法人については、重複計上を避けるため、代表者1名から回答するよう求めた。

(注2)調査対象期間中の定款の認証に関与した全ての専門資格者を対象として、アンケートへの協力を求めた。

2 有効

有効回答総数

公証人に対するアンケート21,783件

発起人に対するアンケート 1,649件

専門資格者に対するアンケート 3,579件

(参考)定款認証件数 年間約10万件(令和4年実績)

3 補完的な調査補完的な調査

上記のほか、補完的に、公証人に対し、過去の業務経験についてのアンケート調査を実施調査を実施した。

第2 公証人公証人からの回答の概要

1 認証した事案についてのアンケート

  •  定款の種別定款の種別

電子定款     9,620件(90.8%)

紙定款紙定款    1,979件(9.2%))

② 面前確認の方法面前確認の方法

公証役場に来庁 19,538件(90.5%

ウェブ会議システムを利用 2,061件(9.5%)

③ 面前確認は公証人自身が行ったか

はい 21,59921,599件(100.0%

いいえ0件(0.0%)

④ 嘱託人の属性

発起人本人 2,124件(9.8%)

弁護士・弁護士法人552件(2.6%)

司法書士・司法書士法人11,999件(55.6%)

行政書士・行政書士法人6,664件(30.9%)

その他260件(1.2%))

⑤ 面前確認を受けた人の属性

嘱託人本人11,219件(51.9%)

嘱託人以外の人10,380件(48.1%))

⑥ 面前確認を受けた「嘱託人以外の人」の具体的な属性

設立しようとする法人の関係者(発起人を含む)3,746件(36.1%)

専門資格者の関係者(事務所職員を含む)6,398件(61.6%)

その他236件(2.3%))

⑦ 嘱託人から提出された定款案についての公証人からの指摘の有無

あり9,702件(44.9%)

なし11,897件(55.1%))

→ 具体的な指摘内容の例は、後記第5の1(P.11~)参照

⑧ 実質的支配者の申告についての公証人からの指摘の有無

有り3,881(18.2%)

なし17,485(81.8%)

⑨ 申告受理証明書の交付の有無

あり21,066件(98.6%)

なし300件(1.4%))

⑩ 申告受理証明書の交付通数

1通 20,526件(97.4%)

2通 456件(2.2%)

3通 69件(0.3%)

4通以上15件(0.1%)

2 認証に至らなかった事案についてのアンケート

① 件数

期間中に相談・嘱託があったが認証に至らなかったもの184件(0.8%)

(注)本件調査において計上することが相当でないもの(公証人による認証が不要のもの(合同会社の定款等)、管轄外のもの、資格者に依頼して嘱託し直すこととしたもの、誤りがあり取り下げたが訂正の上で再度嘱託されて認証に至ったもの、予約日時の都合により別の公証役場に嘱託されて認証に至ったもの、調査期間経過後に認証に至ったことが判明したもの等)を除くと、認証に至らなかったものは99件(0.5%)。

② 認証に至らなかった理由や具体的な経緯

後記第5の2(P12~)のとおり

3 過去の業務経験についてのアンケート過去の業務経験についてのアンケート

○ これまで不正な起業が疑われる事案があったか

あった 46人(9.9%

なかった421人(90.1%)

→ 具体的な事案の概要の例は、後記第5第の3(P.13~)のとおり

第3 発起人からの回答の概要

  •  定款の種別定款の種別

電子定款 1,220件(74.0%)

紙定款 429件(26.0%

  •  定款案の作成方法(複数回答可)

専門資格者に任せた873件(52.9%

専門資格者以外の人に相談した 74件(4.5%)

公証役場から提供を受けた資料を参考にして作成した93件(5.6%)

民間事業者の提供するインターネット上の定款作成サービスを利用した536件(32.5%

定款作成サービス以外のインターネット上の情報を参考にして作成した165件(10.0%)

書籍を参考にして作成した131件(7.9%)

その他(例:知人の会社の定款を参考に作成した、グループ会社の定款を参考に作成した等)

③ 定款案についての公証人からの指摘の有無

あり367件(32.2%)

なし772件(67.8%)

専門資格者等に任せていたため分からない 510件

※ 定款案の作成方法(上記②)につき「専門資格者に任せた」を選択した回答者における、定款案についての公証人からの指摘の割合

あり53件(15.1%)

なし297件(84.9%)

専門資格者等に任せていたため分からない 352件

※ 定款案の作成方法(上記②)につき「民間事業者の提供するインターネット上の定款作成サービスを利用した」を選択した回答者における、定款案についての公証人からの指摘の割合

あり 66件(16.8%)

なし 327件(83.2%)

④ 面前確認を受けた方法面前確認を受けた方法

公証役場に来庁1,040件(95.7%)

ウェブ会議システムを利用 47件(4.3%

専門資格者等に専門資格者等に任せていたため分からない562件

⑤ ウェブ会議システムを利用しなかった理由(複数回答可)

※④で「公証役場に来庁」を選択した回答者に対して質問したもの

紙で定款を作成したから371件(35.7%)

ウェブ会議システムを利用して手続ができることを知らなかったから314件(30.2%

ウェブ会議システムの操作が面倒だから4343件(4.1%))

ウェブ会議システムを行うための環境(パソコン等)がないから10件(1.0%)

公証役場に行くことは特段負担でないから 471件(45.3%)

公証役場又はその周辺に別の用事があったから 58件(5.6%)

直接公証人と顔を合わせてやりとりしたいから173件(16.6%)

その他(例:資料の郵送に時間がかかるので公証役場に持参して手続をした方が早いため。定款作成サービスの中で公証役場に行くよう案内があったため等)

⑥ 公証役場での待ち時間公証役場での待ち時間

※④で「公証役場に来庁」を選択した回答者に対して質問したもの

なし 476件(45.8%)

5分152件(14.6%)

10分146件(14.0%)

15分98件(9.4%)

20分 74件(7.1%)

25分 19件(1.8%)

30分 50件(4.8%)

それ以上25件(2.4%)

⑦ ウェブ会議システムを利用した理由(複数回答可)

※④で「ウェブ会議システムを利用」を選択した回答者に対して質問したもの

ウェブ会議システムの方が便利だから43件(91.5%)

その他(例:遠方のため。ウェブ会議システムを案内されたため。等)

⑧ ウェブ会議システムをスムーズに利用できたか

※④で「※④で「ウェブ会議システムを利用」を選択した回答者に対して質問をしたもの

できた 43件(91.5%)

できなかった 44件(58.5%)

→ スムーズに利用できなかった事案について、例えば、以下のような回答が以下のような回答があった。

発起人側の音声が公証人に聞こえなかった。

発起人側のカメラが反応しなかった。

⑨ 面前確認は公証人本人が対応していたか

はい 1,041件(95.8%)

いいえ 14件(1.3%)

分からない32件(2.9%)

⑩ 面前確認の所要時間

5分 394件(36.2%)

10分 248件(22.8%)

15分 166件(15.3%)

20分 139件(12.8%)

25分 25件(2.3%)

30分 93件(8.6%)

それ以上22件(2.0%)

⑪ 面前確認の予約面前確認の予約は、希望どおりの日にとることができたか

できた 1,010件(92.9%)

できなかった 54件(5.0%)

予約を行わなかった23件(2.1%))

⑫ (希望どおりの日にできなかった場合)何日後になったか

1~3日後33件(3.0%)

4~6日後12件(1.1%)

7~14日後 99件(0.8%)

15~21日後0件(0%)

22日以上後 0件(0%))

⑬ 実質的支配者の申告についての公証人からの指摘の有無

あり82件(7.3%)

なし1,034件(92.7%)

申告対象外44件

専門資格者等に任せていたため分からない489件

⑭ 申告受理証明書の交付の有無

あり688件(68.3%)

なし 319件(31.7%)

専門資格者等に任せていたため分からない 598件

⑮ 申告受理証明書の交付通数

※⑭で「あり」を選択した回答者に対して質問したもの

1通 506件(73.5%)

2通 148件(21.5%)

3通 30件(4.4%)

4通以上4件(0.6%)

⑯ 申告受理証明書の提出先(複数回答可)

※⑭で「あり」を選択した回答者に対して質問したもの

金融機関628件(91.3%)

その他(例:税理士、地方自治体等)

⑰ 申告受理証明書の交付を請求しなかった理由(複数回答可)

※⑭で「なし」を選択した回答者に対して質問したもの

証明書を使う予定がなかったから108件(33.9%)

そのような制度があることを知らなかったから223件(69.9%)

第4 専門資格者からの回答の概要

① 回答者の属性回答者の属性

弁護士 22件(0.6%)

司法書士 2,312件(64.6%)

行政書士 1,245件(34.8%

② 定款の種別                                                       

電子定款 3,482件(97.3%)

紙定款紙定款 97件(2.7%)

③ 定款案についての公証人からの指摘の有無

あり11,313件(36.7%)

なし 2,266件(63.3%)

④ 面前確認を受けた方法

公証役場に来庁 2,716件(88.6%)

ウェブ会議システムを利用 351件(11.4%)

発起人に任せていたため分からない 512件

⑤ ウェブ会議システムを利用しなかった理由(複数回答可)

※④で「公証役場に来庁」を選択した回答者に対して質問したもの

紙で定款を作成したから161件(5.9%)

ウェブ会議システムを利用して手続ができることを知らなかったから145件(5.3%)

ウェブ会議システムの操作が面倒だから 294件(10.8%)

ウェブ会議システムを行うための環境(パソコン等)がないから61件(2.2%)

公証役場に行くことは特段負担でないから 22,177件80.2%)

公証役場又はその周辺に別の用事があったから 376件(13.8%)

直接公証人と顔を合わせてやりとりしたいから 475件(17.5%)

その他(例:資料の郵送に時間がかかるので公証役場に持参して手続をした方が早いため。オンラインでの手数料の納付が煩雑なため。等)

⑥ 公証役場での待ち時間

※④で「公証役場に来庁」を選択した回答者に対して質問したもの

なし1,0311件(38.0%)

5分 438件(16.1%)

10分 507件(18.7%)

15分 387件(14.2%)

20分 175件(6.4%)

25分 37件(1.4%)

30分 112件(4.1%)

それ以上29件(1.1%)

⑦ ウェブ会議システムを利用した理由(複数回答可)

※④で「ウェブ会議システムを利用」を選択した回答者に対して質問したもの

ウェブ会議システムの方が便利だから298件(84.9%)

その他(例:遠方のため。ウェブ会議を試してみたかったため。等)

⑧ウェブ会議システムをスムーズに利用できたか

※④で「ウェブ会議システムを利用」を選択した回答者に対して質問

できた340件(96.9%)

できなかった11件(3.1%)

→ スムーズに利用できなかった事案について、例えば、以下のような回答があった。

・ ノートパソコンでは何度やっても接続できず、スマホから接続した。

・ いつも問題なく対応できていたが、同じ環境にもかかわらず音声が聞こえないという不具合があった。

・ URLにログインしたが、公証人とつながらなかったため、再度、再度URLを送ってもらった。

⑨ 面前確認は公証人本人が対応していたか

はい 3,021件(98.5%)

いいえ28件(0.9%))

分からない 18件(0.6%)

⑩ 面前確認の所要時間

5分,786件(58.2%%)

10 758件(24.7%%)

15分 324件(10.6%)

20分 112件(3.7%)

25分 17件(0.6%)

30分 62件(2.0%)

それ以上8件(0.3%)

⑪ 面前確認の予約は、希望どおりの日にとることができたか

できた2,919件(95.2%)

できなかった 65件(2.1%)

予約を行わなかった83件(2.7%)

⑫ (希望どおりの日にできなかった場合)何日後になったか

1~3日後38件(1.2%)

4~6日後15件(0.5%)

7~14日後11件(0.4%)

15~21日後11件(0.03%)

22日以上後 0件(0%)

⑬ 実質的支配者の申告についての指摘の有無

あり 228件(6.5%)

なし3,306件(93.5%)

申告対象外34件

発起人に任せていたため分からない11件

⑭ 申告受理証明書の交付の有無

あり 3,012件(87.9%)

なし 414件(12.1%)

発起人任せていたため分からない119件

⑮ 申告受理証明書の交付通数

※⑭で「あり」を選択した回答者に対して質問したもの

1通 2,869件(95.3%)

2通 105件(3.5%)

3通 35件(1.2%)

4通以上33件(0.1%)

⑯ 申告受理証明書の提出先(複数回答可)

※⑭で「あり」を選択した回答者に対して質問したもの

金融機関2,324件(77.2%)

その他(例:税務署、法務局等)

⑰ 申告受理証明書の交付を請求しなかった理由(複数回答可)

※⑭で「なし」を選択した回答者に対して質問したもの

証明書を使う予定がなかったから315件(76.1%)

そのような制度があることを知らなかったから 88件(21.3%)

第5 回答のあった具体的な事案の例

1 期間中の定款案への指摘事項の例

① 目的の中に警備業の派遣が含まれていた。

② 目的の中に幼稚園の経営が含まれていた。

③ 目的の中に医療行為が含まれていた。

④ 目的の中に納税の申告業務が含まれていた。

⑤ 目的の中で存在しない法律名(医療保険法)を引用していた。

⑥ 目的の中で現行法令に存在しない「特定労働者派遣事業」を記載していた。

⑦ 設立に際して出資される財産の価額又は最低額の記載がなかった。

⑧ 設立に際して出資する財産の最低額を300万円とする一方で、発起人が払い込む額を100万円としており、矛盾が生じていた。

⑨ 設立時の出資財産の価額が0円となっていた。

発起人の中に、株式を一切引き受けない者が含まれていた。

⑪ 定款案の中に取締役会の存在をうかがわせる規定があるにもかかわらず、取締役会設置の根拠規定がなく、監査役設置の規定もなかった。嘱託人に確認したところ、取締役会の設置を希望したことから、嘱託人の意向に合う定款になるよう大幅な修正を助言した。

⑫ 嘱託人が代表取締役の選定方法を互選とする意向を有していたにもかかわらず、定款にその旨の規定がなかった。

⑬ 取締役が1人の場合があり得る規定となっているにもかかわらず、補欠、補欠取締役の任期について、他の取締役の任期と同じと規定していたことから、取締役が1名の場合に備えて、「前任者の任期」とする修正を助言した。

⑭ 増員監査役の任期について、増員監査役の任期について、他の在任監査役の任期の満了時までとしていた。

⑮ 取締役が1名であるにもかかわらず、取締役の責任免除の定めを設けていた。

⑯ 取締役会設置会社であるにもかかわらず、株主総会の招集通知を書面で発出することができる旨を規定していた。

⑰ 取締役会設置会社ではないにもかかわらず、中間配当の規定を設けていた。

⑱ 取締役が複数あるのに、株式の割当てを受ける権利を与える場合における募集事項等の決定について、代表取締役の決定によることとしていた。

⑲ 事業年度に関する規定と最初の事業年度に関する規定が齟齬し、定時総会の招集時期及び基準日に関する規定とも矛盾が生じていた。

⑳ 嘱託人が設立を希望している時期に設立すると、最初の事業年度が1年を超えることになっていた。

㉑ 相談者が会社法に関する知識が乏しく、募集設立と発起設立の違いや、本店所在地の意味、事業年度の意味、設立後の増資等について理解していなかったことから、これらの考え方や定款の具体的な書き方について教示した。

2 期間中に認証に至らなかった事案期間中に認証に至らなかった事案の例

① 事前相談のあった定款案について、商号に著名人の氏名を無断で使用するものであったことから、トラブル防止のため、本人の承諾を得るよう助言したところ、法人設立をとりやめる旨連絡があった。

② 事前相談のあった定款案について、銀行業を営まないにもかかわらず、商号に「銀行」の文字を使用していたことから、銀行業法に違反すること、その後嘱託がなく認証に至らなかった。

③ 事前相談のあった定款案について、事前相談のあった定款案について、有料職業紹介事業を目的としていながら、資本金が1万円となっていたことから、同事業の許可要件を満たしていないことを伝えたところ、その後嘱託がなく認証に至らなかった。

  •  発起人が未成年者であり、親権者2名のうち1名(母)の同意書の印が実印と異なっていた。その旨を発起人に事前に伝えたところ、その親権者が遠方におり、実印の所在があいまいなので、これを探してくるとのことで、認証予約時刻を遅らせた。

 発起人によると、どうしてもその日に認証がほしいとのことだった。しかしながら、その後、親権者を名乗る女性から電話があり、「自分は同意しているが、夫から逃げてきているので、そちらには行けないし、新しい印鑑で印鑑証明をつくることもできない、法律家なら、法律をなぜ変えようと努力しないのか、なぜ、困っている人のために声を上げないのか、息子の気持ちになぜ寄り添ってくれないのか、」などと声を荒げて延々と主張された。

 公証人としては、本人確認書書類の原本を見なければ親権者本人であるかどうかがわからないので対応できない旨丁寧に説明したが、納得せず、同じ主張を延々と繰り返すのみであった。結局、最終的に、対応できないことに不満を述べた上で電話が切られ、対応を終了した。認証面談に来所する予定であった発起人からは何の連絡もなかったので、認証に至らなかった。

⑤ 外国人が発起人となる事案で、印鑑に係る声明書で中国の公証人が公証している印鑑が委任状に押された印鑑と異なっていることから、その旨指摘したところ、その後嘱託がなく認証に至らなかった。

⑥ 定款案について、(1)事業内容が全く記載されていない、 (2)それにもかかわらず、「一般会員」の資格として「当法人が行う事業に参加・・・」とある、(3)「代表理事、理事、監事を互選で定める。」としてあり、理事、監事を社員総会で定めなければならないという一般法人法に反しているなど、法令違反が多数あったことから、その修正について教示したところ、その後嘱託がなく認証に至らなかった。

⑦ 設立時社員2名の一般社団法人について、社員でない者が代表理事に選任され、実質的支配者がその代表理事であると申告されていたため、選任に関する資料の提出を求めた。通常、このような代表理事は社員に選任解任を通じて支配されているとも考えられることから、選任者が誰かを確認するために求めた。

 本件の場合、2名しか社員がいないので、多数決で決められた場合は2名となるが、嘱託人の司法書士は、作成者は発起人であると強弁し、定款に書いてあることは、作成者が決めたことであるから資料の提出はることは、作成者が決めたことであるから資料の提出は必要ないと必要ないと述べ、2名を実質的支配者とすることや選任経緯を明らかにする書面の提出を拒否し、嘱託を取り下げた。

 このほか、認証に至らなかった理由が不明な理由が不明なもの(予約日に嘱託人が現れず連絡がとれなくなったものや、メール等で定款案の事前相談を進めていたが連絡が途絶えたもの、発起人の都合で設立をやめる旨の連絡があったが具体的な事情は聴取できなかったもの等)が具体的な事情は聴取できなかったもの等)が相当数ある。

3 これまでに不正な起業が疑われた事案の例

① いきなり公証役場に来訪し、「今日会社を作りたいから手続をしてくれ」と発言したので、定款案や来訪者の身分証明書の提示を求め、発起人との関係を質問すると、「上から会社を作ってこいと言われたので、詳しくはわからない」と回答があった。さらに、発起人が暴力団員等である場合には定款認証の手続ができないので、事前審査をするから、発起人の氏名、よみがな、生年月日の情報の提出を求めたところ、「そんなことはできない」と言って役場を退出した。

② コロナの給付金(休業補償と思われる)をもらうために会社を作る必要があるとして、公証役場に来訪した者に対し、不正請求のために利用する目的ではないかと考え、定款案、発起人との関係、暴力団等の団体加入者でないではないことの審査を行うので、運転免許証など身分証明書の提示を求めたところ、身分は明かせないとして、役場を退出した。

③ 発起人本人ではなく代理人と称する者から、定款案、発起人本人の印鑑登録証明書と発起人本人の運転免許証の写しが持ち込まれた。代理人は定款を代理で作成したと言っているが、公証人から本人との関係の説明を求めても、はっきり答えられても、結局、嘱託されることはなかった。

④ 日本に入国したことのない中国人を発起人とする定款の認証事案で、委任状とそのサイン証明等が必要になることを説明すると、その提出に難色を示すので、とりあえず発起人のパスポートのコピーを見せてほしいと伝えると「スウェーデンに行っている」との回答があり、発起人本人が日本に来て認証を受けたらどうかと勧めたところ、立ち消えとなった。

⑤ 小学生の子供を発起人とする多額出資会社で、かつ、取締役が父だけの事案で、発起人本人の同意を確認したいと連絡したところ、そのまま連絡が取れなくなった。

⑥ 未成年者を発起人とする会社の定款認証の事前相談があり、実質的支配者の審査の際に法定代理人についても審査する旨を伝えたところ、その後、嘱託されることはなかった。

⑦ 実際には東京都内に何ら所在実態がなく、その場所に本店としての機能をもたせる予定もないのに、本店所在地を東京都内と偽所在地を東京都内と偽って認証を受けようとする事案があったとする事案が複数件あった。本店所在地が東京都内でありながら、発起人の住所がいずれも遠方であり、違和感を覚え、発起人とやりとりした結果、やりとりした結果、判明した。発起人に指摘した結果、東京都内に実際にオフィスを準備することとしたケースや、嘱託されずに終わったケースがあった。

⑧ 定款案の商号が著名な上場企業と同一又は類似し、国民の誤認を生じさせるおそれがあったことから、その旨指摘したところ、その後、嘱託されなされなかった。

⑨ 中国人2名(中国在住)を発起人としエネルギーの輸入業等を目的とした会社の設立のためとして代理人の日本人から定款の事前確認の依頼がなされた。定款案に記載された出資金が20億円と多額であったことから、振込事実(ないし振込準備事実)を確認することのできる書類の提示を求めたが、そのようなものはなくても認証はできるはずだとしてこれに応じず、その後、代理人は来なくなった。一連のやり取りの中で、確証まではつかめなかったものの、設立後当該会社を目的どおりにまともな会社として運営する意思が本当にあるのか疑いを抱いた。

⑩ 目的に「信託の受託」が記載されていたため、信託業免許を取得する予定があるのかを嘱託人に確認したが、その予定はないとの答えであったので、無免許で信託業を営むことは違法であることを指摘して記載の削除を求めたところ、嘱託を取り下げた。

⑪ 弁護士法人が発起人となり、弁護士法人とは無関係の目的を有する株式会社の設立会社の設立の嘱託があったが、設立後に外国人など他の者に法人を売却する意図で士業者が株式会社を設立する事案があると聞いたことがあったためめ、公証人からそのような事案に当たるかどうかを確認した。

⑫ 目的中に、アロマ製品の販売等のほか、大麻製品の輸入販売が入った定款案の案の依頼があったところ、大麻製品の輸入が一切禁止されているわけではないが、アロマ製品の販売との名目で大麻取締法が禁止する成分であるTHTHCC(テトラヒドロカンナビノール)を含有した違法な製品を取引する業者が(テトラヒドロカンナビノール)いるという社会的な実態を踏まえ、定款に「大麻製品(法律で認められたもいるという社会的な実態を踏まえ、定款に「大麻製品(法律で認められたものに限る)」と記載する指摘するなどした指摘するなどした結果、大麻製品に関する部分は全部削除された。

参考資料5-3 内閣府による定款認証に関するアンケート調査結果(令和5年6月21日)


アンケート対象者は、オンラインで定款認証サービスの一部、全部を受けた起業者。創業手帳のメールマガジン会員。回答者数に関して、おそらく330人から340人ほど。

参考資料6-1 会社設立における公証人の関与について(諸外国との比較)

ドイツでは、公証人の定款認証について、どのような議論になっているのか、なっていないのか知りたいと思いました。

参考資料6-2 米国デラウェア州の基本定款のサンプル

商号、本店所在地、送達受取代理人、一株当たりの発行価額、発行可能株式総数、発起人の氏名・住所の記名と署名、を埋めると終わり。

 令和4年6月13日 法務省民商第286号 法務省民事局商事課長通知、登記研究 902号 P92「株式会社の発起設立の登記の申請書に添付すべき会社法第34条第1項の規定による払込みがあったことを証する書面の払込みの時期について」

 設立の際して出資されたものと認められるものについては、会社法第34条第1項の規定による払込みがあったことを証する書面とする、という解釈。

令和4年9月21日 法務省民商第439号 法務省民事局商事課長通知登記研究 902号P96「労働者協同組合法等の施行に伴う法人登記事務の取扱いについて」

 定款の記載事項について

令和4年8月3日法務省民商第378号法務省民事局長通達「会社法の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて」登記研究 896号P126

 電子提供措置の制度について(会社法325条の2から325条の7)

令和4年3月7日法務省民商第83号法務省民事局長通達「商業登記法等の一部を改正する法律等の施行に伴う電子認証事務の取扱いについて(平成12年9月29日付け法務省民四第2274号民事局長通達)」の一部改正について」登記研究 893号P138

 商業電子証明書の発行、廃止などのオンライン請求について。

令和3年12月24日法務省民総第996号法務省民事局長通達「公証人手数料令の一部を改正する政令の施行に伴う公証事務の取扱いについて」登記研究 891号P93

 定款認証にかかる公証人の手数料改定について。

令和3年9月17日法務省民商第159号法務省民事局長通達「商業登記所における実質的支配者情報一覧の保管等に関する規則の施行に伴う事務の取扱いについて」登記研究888号P126 

 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則11条、実質的支配者の確認方法等にかかる、実質的支配者情報一覧の作成方法について。

令和3年1月29日法務省民商14号法務省民事局長通達会社法の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて」登記研究877号P191 

 取締役の報酬としての株式、新株予約権。株式交付制度について。

令和3年1月29日法務省民商第10号法務省民事局長通達「会社法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて」登記研究877号P131

 印鑑届出書の任意化に伴う、事務取扱の通知。

平成30年12月13日法務省民商第143号民事局商事課長通知「閉鎖登記簿が廃棄されている株式会社の清算人選任に係る登記記録の復活について」登記研究857号P128

 閉鎖登記簿が廃棄されている場合でも、廃棄されていない場合と同様に扱う、という通知。

 平成27年2月6日法務省民商14号法務省民事局商事課長依命通知 「会社法の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記記録例について」登記研究804号P267 

 各種商業法人登記の記録例の記載。

「農地法5条の許可書を添付してなされる所有権移転登記の農地の価格」

昭和42年7月26日 民事三発第794号民事局第三課長依命通知

「農地法5条の許可書を添付してなされる所有権移転登記の農地の価格」登記先例解説集7巻9号P14、『登記情報』600号、2011年11月号

農地法5条の許可書を添付してなされる所有権移転登記の農地の価格

・登記簿上も固定資産課税台帳上も農地である不動産について、農地法5条の許可書を添付して所有権移転の登記をする場合の登録免許税の課税標準たる不動産の価額は、土地の現況が農地でないと明白に認められない限り、固定資産課税台帳に登録された価額による。

→登録免許税の課税標準は、現況が明白に雑種地や宅地でない限り農地の固定資産課税台帳に登録された価額。4月で価額の変更がある場合があるので、時期にも注意。

『月刊登記情報』2023年12月号(745号

『月刊登記情報』2023年12月号(745号)

一般社団法人金融財政事情研究会

https://store.kinzai.jp/public/item/magazine/A/T/

東京財団政策研究所研究員 吉原祥子「所有者不明土地問題と新たな土地制度の普及」

所有者探索のコスト、放置された土地の再活用のコスト、国庫帰属のコストを下げるための予防にコストをかける方向。

法務省民事局民事第一課長 櫻庭 倫「デジタル社会の進展と戸籍法改正」

 戸籍法について、令和元年改正、令和5年改正が行われたこと。併せて、デジタル関連の法律も令和3年、令和5年に改正が行われていること。

→令和元年改正における、特定の人の出生から死亡に係る戸籍証明書等を最寄りの市区町村で一括取得できることは、相続手続きを行う方にとって利便性が高いと思います。沖縄県であれば、戸籍証明書等の等に、不在籍証明書まで含めて欲しいところです。

 その他については、地方自治体間の間のデータの連携が出来る、ということであり、私たち士業にとっては、活用できる場面は限られると感じます。

法務省民事局民事第一課「令和6年3月1日から戸籍制度が利用しやすくなります!」

 新婚旅行先で婚姻届を提出する際、児童扶養手当認定申請の際、パスポートの発給申請の際、戸籍証明書を添付省略することが出来るというのは、良いなと思います。

 施行日には間に合わない可能性が高いですが、将来、相続人申告登記の手続きが、おそらく戸籍等を添付することなく、オンラインで完結することができるように検討されているということで、こちらも便利になると感じます。

法務省民事局民事第一課長  櫻庭 倫、法務省民事局参事官 国分貴之、横浜地方検察庁検事(前法務省民事局戸籍企画官兼局付) 長橋佑里香「市町村の機関による戸籍証明書の公用請求に係る広域交付等の実施―「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律における戸籍法改正」の概要―」

 同一市町村内で、税務課、戸籍課、建築土木課(公共事業などを行うため、空家対策・予防、管理不全土地建物への対策に、戸籍が必要となることがある。)などで戸籍情報を共有できるという法律です(改正戸籍法120条の2)。

法務省民事局民事第一課長 櫻庭 倫、法務省民事局参事官 国分貴之、横浜地方検察庁検事(前法務省民事局戸籍企画官兼局付) 長橋佑里香「氏名の振り仮名の法制化―「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律における戸籍法改正」の概要―」

令和5年法律第48条戸籍法改正における、戸籍法13条3項、附則について。振り仮名について、要綱ではカタカナ。附則9条において、住所事項記録証明情報から転記することはしないのかな、と思いました。

法務省法務総合研究所国際協力部教官 荒川 豊「韓国不動産登記法改正案の概要~未来登記事業の実現に向けて~」

 不動産登記に関する管轄に関して、どの管轄からも処理できる特例を設ける法改正案。非常事態の際に、臨時の登記所等で事務処理をすることが出来る法改正案など。

2025年1月31日施行予定。

弁護士 井奥圭介、土地家屋調査士 山脇優子「境界紛争の解決手続における土地家屋調査士の役割第2回 民間 ADR(裁判外紛争解決手続)」

簡易調停による場合、成立手数料無料。令和6月4月28日から、執行力が付与される手続きの整備(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律27条の2。)。

 当事者双方に、解決したい、という気持ちがない場合は難しいと感じました。反対に、解決したい、という気持ちがある場合は、結果が一方当事者に不利な内容であっても、調停が成立する場合が多いと感じます。地図混乱地域でも調停が成立するところは、調停制度の柔軟性として良いところだと思いました。

弁護士(認定心理士) 渡部友一郎「法律業務が楽になる心理学の基礎第3回 対人認知の歪み」

だって・・・何しとんねん・・・すまんなぁ・・・しゃあないな・・・

司法書士 末光祐一「犯罪収益移転防止法の大改正と司法書士の実務⑶」

犯罪による収益の移転防止に関する法律4条1項の改正。取引の目的について、頻繁に信託が例示されています。

 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則10条1項ロについて、事業報告書が例示されています。 

法務省民事局商事課長 土手敏行「商業登記規則逐条解説 第12回」

商業登記規則

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=339M50000010023

(申請書の調査)

第三十八条 登記官が申請書を受け取つたときは、遅滞なく、申請に関するすべての事項を調査しなければならない。

38条の調査には、実体法も含まれる(片岡貞敏、法務省民事局第四課編「商業登記規則逐条解説(20」商事法務1367号P34)。

 行政手続法2章申請に対する処分、3章不利益処分の適用除外。

・昭和39年11月13日民事甲第3640号民事局長回答「審査請求に対する裁決について」登記研究206号P61。

・平成24年3月30日法務省民商第886号法務省民事局長通達「商業登記オンライン申請等事務取扱規程の制定について」登記研究 777号P111。

・令和2・3・23 民商第65号民事局商事課長通知「役員全員の解任を内容とする登記申請があった場合の取扱いについて」登記情報706号P67

・登記申請情報に、連絡先の電話番号を記録することに関して、根拠法令・通達はない。

・昭和29年12月25日民事甲第2637号通達「登記申請の取下に関する取扱について」登記研究 87号P33・・・委任契約書に、申請不備のための取り下げに関する件、の記載は不要。

(受領証の送付)

第三十八条の二 第九条の四第四項から第六項までの規定は、法第二十二条の規定による受領証の交付の請求に準用する。

・安田錦治郎:法務省民事局補佐官「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行等に伴う商業・法人登記事務の取扱い(下)」登記情報 515号2004年、P120。登記申請の取り下げに伴う、受領証返還の事務取扱の廃止。

(登記官による本人確認)

第三十八条の三 登記官は、法第二十三条の二第一項の規定により申請人の申請の権限の有無を調査したときは、その調査の結果を記録した調書を作成しなければならない。同条第二項の嘱託を受けて調査をした場合についても、同様とする。

2 前項後段の場合には、嘱託を受けて調査をした登記所の登記官は、その調査の結果を記録した調書を嘱託をした登記官に送付しなければならない。

・申請人の意思確認の有無は、本人確認調査の対象ではない。

・松井信憲:法務省民事局付、沼田知之:総務省行政管理局主査(前法務省民事局商事課法規係長) 「平成16年改正商業登記法等の解説」登記情報523号 P46、2005年。登記官の調査の範囲。

司法書士法人鈴木事務所司法書士 鈴木龍介「中小企業とともに歩む企業法務のピントとヒント第56話 中小企業だって組織再編~③株式交換・株式移転」

 税制適格か非適格か。完全親会社の、発行済株式の総数の変更の登記の申請があることが多い。

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