令和5年12月18日法務省民二第1620号被相続人の同一性の証明に関する不動産登記事務の取扱いについて(通知)

法務省民二第1620号

令和5年12月18日

法務局民事行政部長殿

(東京を除く。)

地方法務局長殿

法務省民事局民事第二課長

( 公印省略)

被相続人の同一性の証明に関する不動産登記事務の取扱いについて(通知)

標記について、別紙甲号のとおり東京法務局民事行政部長から当職宛てに照会があり、別紙乙号のとおり回答しましたので、この旨貴管下登記官に周知方お取り計らい願います。

令和5年12月12日

法務省民事局民事第二課長殿

東京法務局民事行政部長

( 公印省略)

被相続人の同一性の証明に関する不動産登記事務の取扱いについて(照会)

相続による所有権の移転の登記の申請において、所有権の登記名義人である被相続人の登記記録上の住所が戸籍の謄本に記載された本籍と異なる場合には、相続を証する市区町村長が職務上作成した情報(不動産登記令(平成16年政令第379号)別表の22の項添付情報欄)の一部として、被相続人の同一性を証する情報の提供が必要であるところ、下記1又は2の場合においては、被相続人の同一性を確認することができ、「所有権の登記名義人と戸籍上の被相続人とは同一である」旨の相続人全員の上申書の提供を求めることなく当該申請に係る登記をすることができると考えますが、いささか疑義がありますので照会します。

1 被相続人の同一性を証する情報として、被相続人の住民票の写し(住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第7条、第12条)又は戸籍の附票の写し(同法第17条、第20条)(以下これらを「住民票の写し等」という。)、固定資産税の納税証明書又は評価証明書(地方税法(昭和25年法律第226号)第20条の10。以下これらを「納税証明書等」という。)並びに不在籍証明書及び不在住証明書が提供された場合において、登記官が、登記記録上の不動産の表示及び所有権登記名義人の氏名納税証明書等に記載された不動産の表示及び納税義務者の氏名と一致し、納税証明書等に記載された納税義務者の住所及び氏名が住民票の写し等に記載された被相続人の住所及び氏名と一致し、かつ、住民票の写し等に記載された被相続人の本籍及び氏名が被相続人に係る戸籍、除籍又は改製原戸籍の謄本(以下「戸籍等の謄本」という。)に記載された本籍及び氏名と一致していると認めるとき。

2 登記原因証明情報として、遺言公正証書(民法(明治29年法律第89号)第969条)が提供された上、被相続人の同一性を証する情報として納税証明書等が提供された場合において、登記官が、登記記録上の不動産の表示及び所有権登記名義人の氏名納税証明書等に記載された不動産の表示及び納税義務者の氏名と一致し、納税証明書等に記載された納税義務者の住所及び氏名遺言公正証書に記載された遺言者の住所及び氏名と一致し、かつ、遺言公正証書に記載された遺言者及び相続人の氏名及び生年月日戸籍等の謄本に記載された被相続人及び相続人の氏名及び生年月日と一致していると認めるとき。

法務省民二第1619号

令和5年12月18日

東京法務局民事行政部長殿

法務省民事局民事第二課長

( 公印省略)

被相続人の同一性の証明に関する不動産登記事務の取扱いについて(回答)

本月12日付け2不登1第15号をもって照会のあった標記の件については、貴見のとおり取り扱われて差し支えありません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

平成29年3月23日法務省民二第175号 民事局民事第二課長通知「被相続人の同一性を証する情報として住民票の写し等が提供された場合における相続による所有権の移転の登記の可否について」登記研究831号P133との違い

・被相続人の同一性の証明するために提供する情報として、固定資産税評価証明書、納税証明書が加わる。通知を読む限り、納税証明書は原本を提出です。

・登記官は、

(1)固定資産税評価証明書、納税証明書の不動産の表示、納税義務者の氏名と、登記記録の不動産の表示・登記名義人である被相続人の氏名の一致を確認。

(2)納税義務者の住所及び氏名と、住民票の写し等に記載された被相続人の住所及び氏名の一致を確認。

(3)(2)が確認出来たら、住民票の写し等に記載された被相続人の本籍・氏名が、被相続人の戸籍等の謄本に記載された本籍及び氏名と一致を確認。

(3)まで確認出来たら、被相続人の同一性があると認めら、相続登記申請の手続きを進める。

 なお、登記研究833号で今後の検討として、固定資産税の納税証明書又は評価証明書を追加することが検討されています。

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『月刊登記情報』2024年1月号(746号)

『月刊登記情報』2024年1月号(746号)、(一社)金融財政事情研究会からです。

 新年随想 

法務省民事局長 竹内 努

 マイナンバーカード情報の提供により、戸籍謄本等の提出を不要とする手続きが始まる。

日本司法書士会連合会会長 小澤吉徳

今後、相続登記の申請件数は200万件を超えるのではないかという予想。

日本土地家屋調査士会連合会会長 岡田潤一郎

 狭あい道路解に向けた活動と発信強化。

特 集

士業者がおさえたい近時の制度改正・重要判例先例

近時の制度改正と士業実務

司法書士法人F& Partners  司法書士 北詰健太郎

 司法書士法1条の使命規定。民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)、法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成30年法律73号)について。民法909条の2(遺産の分割前における預貯金債権の行使)。民法1012条、1014条、1015条(遺言執行者の権限について)。民法1046条(遺留分の権利行使の効果の金銭債権化)。

 民法の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号)について。

 会社法の一部を改正する法律(令和元年法律第70号)について。

 民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和4年法律第48号)について。

 民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和5年法律第53号)について。・・・この法律は施行前に理解する必要があると感じます。

近時の重要判例と士業実務

司法書士 早川将和

財産開示の申立てに対する執行公告(最一小決令4・10・6民集76巻6号1320頁)。財産開示手続の利用件数の増加件数について、初めて知りました。

 マンション建替円滑化法による補償金についての供託(最一小判令4・10・6民集76巻6号1291号)。マンションの建替え等の円滑化に関する法律76条と、民事執行法156条による混合供託義務を負うこと。

 破産管財人による債務承認の効力(最三小決令5・2・1民集77巻2号183頁)。破産管財人が、別除権者に対して被担保債権が存在する認識を表示した場合の被担保債権の消滅時効中断の効力発生の可否について(破産法44条、民法152条)。

 遺言執行者の権限/複数の包括遺贈の一部が効果を失った場合の権利の帰趨(最二小判令5・5・19金法2218号66頁)。

 民法の一部を改正する法律(平成30年法律第72号)施行以前に開始した相続について。遺言執行者が遺言者の生前に行われた無効な登記に関して、抹消登記請求訴訟の原告となることが出来るか。遺言執行者が包括遺贈に反した登記に対し、抹消登記請求訴訟の原告となることが出来るか。

 包括遺贈の放棄があった場合の遺産は、他の包括受遺者に帰属するのか、相続人に帰属するのか。

 1筆の土地の一部についての仮処分において土地全部の仮処分ができる場合(最三小決令5・10・6LLI/DB判例秘書L07810077)。

 分筆登記申請をすることが出来ない、著しく困難であることを疎明する必要がある。民事保全法23条。

 会社法206条の2第4項の決議を欠く新株発行の効力(東京地判令3・3・18判タ1503号233頁)。

 会社法206条の2第4項但し書の解釈について。

監査法人の脱退時持分の算定方法(東京地判令3・6・24金判1624号34頁)。

 定款で定めることの可否、算定方法など。会社法611条、621条、622条、624条。

 取締役会における持ち回り決議の有効性(東京高判令4・7・21金判1669号24頁)。

 会社法370条の規定は、株式の譲渡による取得を承認する場合にも活用可能か、について。

価格決定における譲渡制限株式の評価(最三小決令5・5・24LLI/DB判例秘書L07810042)

 会社法144条。自らの意思で株式譲渡を行おうとした株主が、その譲渡を会社から承認されなかった場合において、会社は株式の非流動性を理由として株価を値下げして買い取り請求を行うことが出来るか。

株主総会に先立って送付した委任状の取扱い(最一小決令5・10・26LLI/DB判例秘書L07810092)

 会社法758条2項1号イの反対した株主に該当するかの判断。委任状の意思表示の相手方に、受任者と共に会社が含まれるか。

近時の重要先例と士業実務

司法書士 田口真一郎

供託規則第26条3項6号に規定する証明書の様式について(令和4年8月24日民商第406号回答)

 各財産管理人に対して、裁判所書記官が作成する印鑑証明書の様式について。

商業登記規則及び電気通信回線による登記情報の提供に関する法律施行規則の一部の改正する省令の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(令和4年8月25日民商第411号通達)

 商業登記記録における住所、氏名の表示、非表示に関する申出時の申請書記載事項など。商業登記規則31条の2、81条の2。

賃借権の設定の登記において他の不動産と合わせて定められた敷金を登記することの可否について(令和4年12月12日民二大1298号通知)

 複数の不動産賃貸借契約において一括して敷金が定められた場合に、一括して定められた敷金の額を登記申請することが可能。不動産登記法81条。

・・・債権者が申請書の閲覧でも賃貸借契約書の入手が困難な場合、民事執行や民事保全の局面で、予納金に変化があるのか気になりました。

独立行政法人住宅金融支援機構が申請する抵当権の全部移転の登記に添付する委任状について(令和5年2月13日付民二第274号依命通知)

 原因日付より前に作成され、電子署名が付された委任状が有効であることを確認。関連・・・一部移転について、令和4年6月17日民二第639号依命通知。

民法等の一部を改正する法律の施行に伴う供託事務の取扱いについて(令和5年3月27日民商第67号通達)

 民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)に伴う供託事務の取扱いについて。非訟事件手続法87条5項など。

民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(民法改正関係)(令和5年3月28日民二第533号通達)

 民法251条に該当する場合の登記申請人、所在等不明共有者の持分取得の裁判(民法262条の2)がされた場合の、登記申請時における登記識別情報の提供の要否など。

 民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(令和5年4月1日施行関係)(令和5年3月28日民二第538号通達)

 不動産登記法63条3項、69条の2、70条、不動産登記測152条の2、183条4に伴う登記原因、登記の目的など。

「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う

相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)」の解説⑴

法務省民事局民事第二課補佐官  三枝稔宗

法務省民事局民事第二課補佐官 河瀬貴之

 法務省訟務局訟務企画課訟務調査室法務専門官

(前民事局民事第二課法務専門官) 手塚久美子

 法務省民事局民事第二課不動産登記第四係長 清水玖美

 法務局への相談の方法、相談する人の資格、法務局の相談に対応する権限の範囲などの解説。承認申請書を提出することが出来る人の範囲、添付書面などの解説。

NEWS

起業家の負担軽減に向けた定款認証の見直しの動き

編集部

 一定の要件を満たした場合の、公証人による面前確認の廃止、定款認証手数料の値下げ、将来的な定款認証制度の廃止の検討が始まっていること。

商業登記規則逐条解説 第13回

法務省民事局商事課長 土手敏行

 登記用紙から登記記録へ、登記官の識別番号。商業登記法4条、商業登記規則1条←商業登記規則116条←商業登記規則39条

 嘱託登記について。申請の例外という立ち位置から法律による原則へ。添付情報について、申請との違い。商業登記法14条←商業登記法116条←商業登記法40条。

 変更の登記について。実体上の法律関係が消滅したときに申請する登記を含む。商法10条、会社法909条、915条。商業登記法1条の2、29条←商業登記法41条。

 行政区画等の変更。商業登記法1条の2、4条←商業登記規則116条←商業登記規則42条。

 登記記録の閉鎖について。閉鎖されている登記記録については、閉鎖以降、一切の登記がされていないことを意味する。商業登記法4条、商業登記規則1条←商業登記規則116条←商業登記規則43条。

 登記事項の閉鎖について。商業登記規則114条←商業登記規則44条。保存期間は、閉鎖した日から20年間(商業登記規則34条)。

目で見る筆界の調査・認定事例

第4回 土地区画整理による測量成果が存在する土地について筆界を認定した事例(立会拒否)

京都地方法務局次長 田中博幸(日本土地家屋調査士会連合会業務部協力)

 土地区画整理後、分筆がされた土地についての筆界特定。

法律業務が楽になる心理学の基礎

第4回 上手なコーピング―問題焦点型対処と情動焦点型対処

弁護士(認定心理士) 渡部友一郎

 うっかりミスの種類と、確認不足の重なりの程度が気になりました。

犯罪収益移転防止法の大改正と司法書士の実務⑷

司法書士 末光祐一

 犯罪収益移転防止法施行規則11条(実質的支配者の確認方法等)について。会社法308条1項括弧書き、会社法施行規則67条と、資本多数決法人の議決権の考え方について。

中小企業とともに歩む企業法務のピントとヒント

第57話 中小企業だって組織再編~④株式交付

司法書士法人鈴木事務所

司法書士 鈴木龍介

会社法816条の2~。子会社化するための組織再編。令和5年度の税制改正について。

登記研究910号(令和5年12月号)

登記研究910号(令和5年12月号)、テイハン

https://www.teihan.co.jp/book/b10045240.html

【論説・解説】

■令和6年4月から始まる相続登記の申請義務化の内容と、その施行に向けたマスタープランの公表について 法務省民事局付 森 下 宏 輝、法務省大臣官房司法法制部審査監督課法務専門官(前法務省民事局民事第二課法務専門官) 古 田 辰 美、法務省民事局民事第二課法務専門官 太 田 裕 介

第1 はじめに

第2 相続登記等の申請義務の内容

 不動産の承継について遺言がされていない場合、遺言がされている場合などケース別の相続人の登記申請義務についての解説。

第3 相続人申告登記(手続負担軽減策/環境整備策)

 遺産分割協議が成立しない、出来ない場合の対応として、通常、法定相続分での相続登記申請ではなく、相続人申告登記の申出によることが制度の意図。

 P7、相続人申告登記は、相続等による権利移転を公示するものではなく、所有権の登記名義人に相続が開始したこと及び当該登記名義人の法定相続人とみられる者、の、みられる、という部分がどのような意味なのか分かりませんでした。

第4 マスタープラン

 相続人申告登記については、非課税。数次相続など複雑ではない相続関係の場合、オンライン上で手続きを完結させるために、行政間の情報連携などを通して、戸籍等の添付情報を可能な限り省略出来るように進めていること。電子署名の付与も不要。

第5 おわりに

■「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)」の解説(4)法務省民事局民事第二課補佐官 三 枝 稔 宗、法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之、法務省訟務局訟務企画課訟務調査室法務専門官(前法務省民事局民事第二課法務専門官) 手 塚 久美子、法務省民事局民事第二課不動産登記第四係長 清 水 玖 美

第2 本要領の概要

 9 第9節 関係機関への資料提供の依頼等

法務局からの依頼に対して、関係機関(市町村など。)の回答期限は、2週間程度を予定。

 10 第10節 承認申請の審査

 実地調査の事前通知、方法について。

■「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律等の施行に伴う法人登記事務の取扱いについて(通知)」の解説

法務総合研究所研修第三部教官(前法務省民事局商事課法規係長) 村 上 裕 貴

第1 はじめに

第2 共同法人制度の創設(本件通知記第1)

 弁護士及び外国法事務弁護士を社員とする弁護士・外国法事務弁護士共同法人の設立を可能とする制度の創設等が整備されたことについて。

第3 共同法人の設立(本件通知記第2)

 定款記載事項など。

第4 他の種類の法人(共同法人又は弁護士法人等)への変更(本件通知記第3)

 設立登記と解散登記を申請すること。

第5 他の種類の法人との合併(本件通知記第4)

 債権者保護手続が必要となること。

第6 設立又は合併を無効とする判決(本件通知記第5)

第7 組登令の特則的規定の改正

 改正前の組合等登記令(昭和三十九年政令第二十九号)26条において、項建てされていた規定を、条建てに変更したこと。

■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第116回)一般社団法人商業登記倶楽部代表理事・主宰者、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事、一般社団法人日本財産管理協会顧問、日本司法書士会連合会顧問神 﨑 満治郎

237 独立行政法人の登記について

 独立行政法人の性質に伴う登記を除いて、組合等登記令の規定に近い。

■Q&A不動産表示登記(86)

(一社)テミス総合支援センター理事、都城市代表監査委員 新 井 克 美

第三章 建物(非区分建物)

 第二節 各種の登記の申請

  Q255  登記官は合体による登記等をどのように行うのか。

 合体前建物に所有権登記がある場合、表題部のみの登記の場合について、合体後の建物の登記の方法(不動産登記規則158条、120条)。合体前の建物登記について、処理の方法(不動産登記規則49条、110条、120条9項、144条)。登記識別情報は、合体後の建物所有権登記名義人に通知(不動産登記法21条、不動産登記規則62条)。みなし持分について、平成5年基本通達第6の5の(2)前段。

■商業登記の変遷(56)司法書士 鈴 木 龍 介(司法書士法人鈴木事務所)

 登記情報交換システムの稼働(昭和63年改正商登法113条の4第2項、平成元年4月28日法務省令15号)。現在の商業登記法10条、商業登記規則30条。

 登記情報提供サービスの稼働(電気通信回線による登記情報の提供に関する法律)。

 登記公告について。昭和13年に改正されるまで、裁判所が新聞紙に公告を行っていた(明治23年4月26日法律32号商法19条)。登記公告と実際の登記が抵触するときであっても、その効力に影響はなく、第三者に対抗できる、とされていた(明治32年商法14条)ことなど。

■民事信託の登記の諸問題(27)渋 谷 陽一郎

 信託目録における、受託者権限の登記の重要性について。信託契約書から受託者の権限を抽出、要約とありますが、要約は属人性が強いので、要約が不要な信託契約書の条項が必要ではないかなと思います。

  信託目録の変更として、抵当権設定の登記事項を詳細に記録する変更を行っていますが、このようなことが実務で必要になってくると、信託の変更要件の条項は、ある程度ゆるくする必要があると感じました。

 信託法26条と民法34条の対比。

 信託法3条の読解。

 受託者の権限と代理人の権限について。権限という用語が異なる意味で使われているのではないか、という指摘。

【資 料】会社法施行下で使える登記先例──実務の便覧──(3)

払い込みがあったことを証する書面については、要件が少しずつ柔軟になってきている。

会社設立登記前の役員の死亡、辞任、就任承諾の有無などについて、登記申請受理の可否について

 鹿児島地方法務局鹿屋支局管内登記事務研究会決議(昭和36年8月25日民事甲2069号民事局長指示)は、株式会社設立前に役員が死亡又は辞任した場合の取扱いについて。初めて知りました。

【法 令】

不動産登記令等の一部を改正する政令(令和5年10月4日政令第297号)

 相続登記の申請義務化に伴う、不動産以外の登記が必要な財産について必要な整備。

【訓令・通達・回答】

▽不動産登記関係

〔6212〕農地中間管理事業の推進に関する法律による不動産登記の特例に関する政令の取扱いについて(令和5年3月27日付け法務省民二第532号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)

▽商業・法人登記関係

〔6213〕外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律等の施行に伴う法人登記事務の取扱いについて(令和4年10月13日付け法務省民商第460号法務局民事行政部長、地方法務局長宛て法務省民事局商事課長通知)

『スタートアップの法律相談』Q6 スタートアップにとっての知財戦略の考え方

山本飛翔・菅原稔・尾下大介 編著『スタートアップの法律相談』2023年、青林書院

知財(知的財産)に関する留意点
スタートアップが
・どのステージにいるのか
・どのような事業を行うのか
で、いかなる知財の検討を要するかの整理が必要。

•知的財産基本法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=414AC0000000122

•(定義)第二条 この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。

•2 この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。

設定登録

特許

製品・サービスの創作→特許庁へ出願・審査・査定→設定登録料の納付→特許権が設定登録(特許法29条、36条、66条)

意匠

製品・サービスの創作→特許庁へ出願・審査・査定→設定登録料の納付→意匠権が設定登録(意匠法3条、6条、20条)

商標

文字や 図音等のマーク、音、色彩→商標登録出願・審査・登録査定→登録料を納付→設定登録(商標法3条、5条、14条、18条、40条)

ステージごとの、創作・出願・活用の傾向

出願までは新規性を維持すること

企業活動をしていると、製品の情報が開示される。

 情報開示の内容や時期の調整、NDA(秘密保持契約)の活用、新規性喪失例外規定の適用(特許法30条2項、意匠法4条2項)などを措置を検討。

特許庁 発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続について

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/hatumei_reigai.html

発見可能性・・・権利の出願内容が、他社が侵害している場合に、立証しやすい文章や画像などか。

スタートアップの顧客別(Bは法人向け、Cは個人向け。自社開発か共同開発か)、権利が自社開発か共同開発か

守りの商標・攻めの商標

参考

・山本飛翔『オープンイノベーションの知財・法務』勁草書房、2021年、同著『スタートアップの知財戦略: 事業成長のための知財の活用と戦略法務』勁草書房、2020年

・山岡佑『実践スタートアップ・ファイナンス 資本政策の感想戦』日経BP、2021年

・経済産業省「令和4年度産業技術調査事業 大学発ベンチャーの実態等に関する調査」令和5年6月

https://www.meti.go.jp/policy/innovation_corp/start-ups/start-ups.html

・経済産業省「大学発ベンチャーデータベース」

https://www.meti.go.jp/policy/innovation_corp/univ-startupsdb.html

・大阪工業大学、琉球⼤学、一般財団法人 沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)「スタートアップと知的財産セミナー全5回」2023年9月~

・特許庁審査第四部 審査調査室「ビジネス関連発明の最近の動向について」2023年11月

https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/sesaku/biz_pat.html

・特許庁 オープンイノベーション促進のためのモデル契約書(OIモデル契約書)ver2.1 2023年5月

https://www.jpo.go.jp/support/general/open-innovation-portal/index.html

・特許庁 特許原簿について「登録番号記録部/登録番号、表示部(特許、実用、意匠)、甲区、乙区、閉鎖原簿」

https://www.jpo.go.jp/system/process/toroku/genbo_about.html

・国税庁 法令解釈通達 第7章 無体財産権

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/07/01.htm

琉ラボ「スタートアップ企業の競争戦略を学ぼう」

み「現在、法制審議会担保法制部会でも事業担保融資などが検討されています。金融機関、投資家側ではなく、起業家側でもない立場で、知的財産について評価する団体の立ち上げなどの動きは、弁理士会でありますか?」

小林誠大阪工業大学知的財産専門職大学院客員教授、(株)シクロ・ハイジア代表取締役

「知的財産を評価するのは、誰が使うかによっても違うので、現段階ではコストが合わず、動きはない。事業担保融資に関しては、金融機関側に弁理士が就くと思われる。」

み「事業成長担保とエクイティとの使い分けについて、現在のところ、考えているケースはありますか?

安高史郎弁理士・公認会計士 IP tech弁理士法人

「現時点では分からない。金融機関の出方次第。」

マイクロ波化学株式会社

マイクロ波化学株式会社 定 款

•マイクロ波化学株式会社

•定 款

•平成19 年7 月19 日 作成 

•平成21 年5 月1 日 訂正 

•平成22 年1 月22 日 訂正 

•平成23 年1 月20 日 変更  ?

•平成23 年1 月24 日 変更  ?

•平成23 年12 月1 日 変更  ?

•平成24 年4 月25 日 変更  ?

•平成25 年2 月18 日 変更  ?

•平成25 年10 月2 日 変更  ?

•平成26 年5 月28 日 変更  ?

•平成27 年6 月26 日 変更  ?

•平成27 年9 月24 日 変更  ?

•平成29 年3 月28 日 変更  ?

•平成29 年8 月31 日 変更  ?

•平成31 年3 月26 日 変更  ?

•令和2 年2 月13 日 変更  ?

•令和2 年6 月26 日 変更  ?

•令和4 年2 月10 日 変更  ?

•令和4 年4 月1 日 変更  ?

•令和4 年9 月1 日 変更  ?

•令和5 年3 月1 日 変更  ?

•令和5 年6 月29 日 変更  ?

•定 款 

•第1章 総 則 

•(商 号) 

•第 1 条 当会社は、マイクロ波化学株式会社と称し、英文では、Microwave Chemical Co., Ltd.と表示する。 

•(目 的)  →目的を何度か変更しているが、調べられる限り、全て10個。会社の意思?税?

•第 2 条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。 

•(1) 石油化学製品の製造、加工及び売買 

•(2) 動植物油の採取、製造、加工及び売買 

•(3) 医薬品、医薬部外品、農業薬品、化学薬品の製造及び販売 

•(4) コークス、タール製品、カーボンブラック、活性炭、炭素繊維その他炭素製品の製造、加工及び売買 

•(5) 触媒の製造、加工及び売買 

•(6) マイクロ波を利用したプロセス及び化学工業プロセスの開発、設計、製作、施工、及び販売、並びにこれらの受託及びコンサルティング業務 

•(7) マイクロ波を利用したプロセス及び化学工業プロセスに関する研究、開発、調査並びにこれらの受託及びコンサルティング業務 

•(8) 労働者派遣事業 

•(9) 前各号に関連する技術の供与及び指導並びに受託調査 

•(10) 前各号に附帯する一切の事業 

•(本店の所在地) 

•第 3 条 当会社は、本店を大阪市に置く。 

•(公告の方法) 

•第 4 条 当会社の公告方法は、電子公告とする。ただし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合は、日本経済新聞に掲載して行う。 

•(機関の設置) 

•第 5 条 当会社は、株主総会、取締役のほか、次の機関を置く。 

•(1) 取締役会 

•(2) 監査等委員会 

•(3) 会計監査人 

•第2章 株 式 

•(発行可能株式総数) 

•第 6 条 当会社の発行可能株式総数は、5300 万株とする。 

•(自己株式の取得) 

•第 7 条 当会社は、会社法第165 条第2項の規定により、取締役会の決議によって市場取引等により自己の株式を取得することができる。 

•(単元株式数) 

•第 8 条 当会社の単元株式数は、100 株とする。 

•(単元未満株式についての権利) 

•第 9 条 当会社の株主は、その有する単元未満株式について、次に掲げる権利以外の権利を行使することができない。 

•(1) 会社法第189 条第2項各号に掲げる権利 

•(2) 会社法第166 条第1項の規定による請求をする権利 

•(3) 株主の有する株式数に応じて募集株式の割当て及び募集新株予約権の割当てを受ける権利 

•(株主名簿管理人) 

•第 10 条 当会社は、株主名簿管理人を置く。 

•2 株主名簿管理人及びその事務取扱場所は、取締役会の決議又は取締役会の決議によって委任を受けた取締役の決定によって定める。 

•3 当会社の株主名簿及び新株予約権原簿の作成並びに備置きその他の株主名簿及び新株予約権原簿に関する事務は、これを株主名簿管理人に委託し、当会社においては取り扱わない。 

•(株式取扱規程) 

•第 11 条 当会社の株式に関する取扱い及び手数料は、法令又は本定款のほか、取締役会又は取締役会の決議によって委任を受けた取締役において定める株式取扱規程による。 

•第3章 株主総会 

•(招 集) 

•第 12 条 当会社の定時株主総会は、毎事業年度の末日の翌日から3か月以内にこれを招集し、臨時株主総会は必要に応じて随時これを招集する。 

•(定時株主総会の基準日) 

•第 13 条 当会社の定時株主総会の議決権の基準日は、毎年3月31 日とする。 

•(招集権者及び議長) 

•第 14 条 株主総会は、取締役社長がこれを招集し、議長となる。 

•2 取締役社長に事故があるときは、取締役会においてあらかじめ定めた順序に従い、他の取締役が株主総会を招集し、議長となる。 

•(電子提供措置等) 

•第15 条 当会社は、株主総会の招集に際し、株主総会参考書類等の内容である情報について、電子提供措置をとるものとする。 

•2 当会社は、電子提供措置をとる事項のうち法務省令で定めるものの全部または一部について、議決権の基準日までに書面交付請求した株主に対して交付する書面に記載しないことができる。 

•(決議の方法) 

•第 16 条 株主総会の決議は、法令又は定款に別段の定めがある場合を除き、出席した議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって行う。 

•2 会社法第309 条第2項に定める特別決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う。 

•(議決権の代理行使) 

•第 17 条 株主は、当会社の議決権を有する他の株主1名を代理人として、その議決権を行使することができる。 

•2 株主又は代理人は、株主総会ごとに代理権を証明する書面を当会社に提出しなければならない。 

•第4章 取締役及び取締役会 

•(取締役の員数) 

•第 18 条 当会社の取締役(監査等委員である取締役を除く。)は、6名以内とする。  →取締役を多く選任しないという会社の意思?

•2 当会社の監査等委員である取締役は、4名以内とする。 

•(取締役の選任) 

•第 19 条 取締役は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役を区別して、株主総会において選任する。 

•2 取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う。 

•3 取締役の選任決議は、累積投票によらないものとする。 

•(取締役の任期) 

•第 20 条 取締役(監査等委員である取締役を除く。)の任期は、選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。  →取締役(監査等委員である取締役を除く。)の補欠選任規定はない。

•2 監査等委員である取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。 

•3 任期満了前に退任した監査等委員である取締役の補欠として選任された監査等委員である取締役の任期は、退任した監査等委員である取締役の任期の残存期間と同一とする。→取締役(監査等委員である取締役を除く。)の補欠選任規定はない。 

•(取締役会の招集権者及び議長) 

•第 21 条 取締役会は、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役社長がこれを招集し、議長となる。 

•2 取締役社長に欠員又は事故があるときは、取締役会においてあらかじめ定めた順序に従い、他の取締役が取締役会を招集し、議長となる。 

•(代表取締役及び役付取締役) 

•第 22 条 取締役会は、その決議によって取締役(監査等委員である取締役を除く。)の中から代表取締役を選定する。 

•2 取締役会はその決議によって、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の中から取締役社長1名を選定し、必要に応じて、取締役会長、取締役副社長を各1名、専務取締役、常務取締役その他の役付取締役を各若干名選定することができる。 

•(取締役会の招集手続) 

•第 23 条 取締役会の招集通知は、会日の3日前までに各取締役に対して発する。ただし、緊急の必要があるときは、この期間を短縮することができる。 

•2 取締役の全員の同意があるときは、招集の手続きを経ないで取締役会を開催することができる。 

•(決議の方法) 

•第 24 条 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行う。 

•(取締役会の決議の省略) 

•第 25 条 当会社は、会社法第370 条の要件を充たしたときは、取締役会の決議があったものとみなす。 

•(重要な業務執行の決定の委任) 

•第 26 条 当会社は、会社法第399 条の13 第6項の規定により、取締役会の決議によって重要な業務執行(同条第5項各号に掲げる事項を除く。)の決定の全部又は一部を取締役に委任することができる。 

•(取締役会規程) 

•第 27 条 取締役会に関する事項は、法令又は本定款のほか、取締役会において定める取締役会規程によるものとする。 

•(取締役の報酬等) 

•第 28 条 取締役の報酬その他の職務執行の対価として当会社から受ける財産上の利益は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して、株主総会の決議により定める。 

•(取締役の責任免除) 

•第 29 条 当会社は、会社法第426 条第1項の規定により、任務を怠ったことによる取締役(取締役であった者を含む。)の損害賠償責任を、法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる。 

•2 当会社は、会社法第427 条第1項の規定により、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)との間に、任務を怠ったことによる損害賠償責任を限定する契約を締結することができる。ただし、その契約に基づく賠償責任の限度額は、法令が定める最低限度額とする。 

•第5章 監査等委員会 

•(常勤の監査等委員) 

•第 30 条 監査等委員会は、その決議によって常勤の監査等委員を選定することができる。 

•(監査等委員会の招集通知) 

•第 31 条 監査等委員会の招集通知は、会日の3日前までに各監査等委員に対して発する。ただし、緊急の必要があるときは、この期間を短縮することができる。 

•2.監査等委員の全員の同意があるときは、招集の手続きを経ないで監査等委員会を開催することができる。 

•(監査等委員会規程) 

•第 32 条 監査等委員会に関する事項は、法令又は本定款のほか、監査等委員会に置いて定める監査等委員会規程による。 

•第6章 会計監査人 

•(会計監査人の選任方法) 

•第 33 条 会計監査人は、株主総会において選任する。 

•(会計監査人の任期) 

•第 34 条 会計監査人の任期は、選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。 

•2 会計監査人は、前項の定時株主総会において別段の決議がされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなす。 

•第7章 計 算 

•(事業年度) 

•第 35 条 当会社の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月31 日までの年1期とする。 

•(剰余金の配当の基準日) 

•第 36 条 当会社の期末配当の基準日は、毎年3月31 日とする。 

•(中間配当) 

•第 37 条 当会社は、取締役会の決議によって、毎年9月30 日を基準日として中間配当をすることができる。 

•(配当金の除斥期間) 

•第 38 条 配当財産が金銭である場合は、その支払開始の日から満3年を経過してもなお受領されないときは、当会社はその支払義務を免れる。 

•附 則 

•(監査役の責任免除に関する経過措置) 

•当会社は、会社法第426 条第1項の規定により、第16 回定時株主総会終結前の任務を怠ったことによる監査役(監査役であった者を含む。)の損害賠償責任を、法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる。 

【財務諸表等】

参考 マイクロ波化学株式会社 知財戦略有価証券報告書 ‐ 第15期(2021/04/01 ‐ 2022/03/31)より。

参考 マイクロ波化学株式会社 知財戦略

【大株主の状況】

マイクロ波化学株式会社 種類株式の概要

マイクロ波化学株式会社 新株予約権の概要

マイクロ波化学株式会社 新株予約権の設計

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