信託フォーラム 2025年10月号特集1終活と信託/特集2 高齢者の居住をめぐる諸問題 vol.24
https://www.kajo.co.jp/c/magazine/007
巻頭言 民事信託士の役割~福祉型信託に携わる専門家として~
(一般社団法人民事信託推進センター代表理事●押井 崇)
民事信託士は500名超。ふくし信託会社と連携し、福祉型信託に対応。
対 談 日本の信託が歩んだ軌跡と今後の展望
(三井住友信託銀行名誉顧問●高橋 温× 中央大学研究開発機構教授●新井 誠)
担保付社債信託法(明治三十八年法律第五十二号)、信託法(大正十一年法律第六十二号)、信託業法(大正十一年法律第六十五号)の流れ。民事信託に関する争いを、濫用と捉えるのか、司法手続きに乗せることで解決を図っていくのが健全と捉えるのかの対比。
ファイナンシャル・ウェルビーイング・・・社会全体の構成員の金融リテラシー。
法人の年金制度の改善ノウハウを個人向け商品に移転する必要。成年後見制度と信託をセットにしたサービスの必要性。
特集1:終活と信託
終活をめぐる信託と遺言・死因贈与・死後事務委任との比較(弁護士●杉山苑子)
法務省 自筆証書遺言書保管制度 利用状況
https://www.moj.go.jp/MINJI/12.html
財産承継手段の柱は遺言である状況。
子に障害がある場合の負担付遺贈(民法1002条、1012条、1017条)と信託の比較。撤回の可否(民法1026条)。相続人が幼い場合の遺産分割期間(民法908条1項)。配偶者居住権(民法1028条)と事実婚。
死因贈与(民法554条)と信託。受贈者が単独で仮登記申請可能。登記研究381号P83、昭和54年7月19日法務省民三第4170号民事局長通達「公正証書の正本又は謄本を仮登記原因証書として仮登記を申請する場合の取扱いについて」
死因贈与と撤回について、昭和46(オ)1166号贈与契約不存在確認請求
昭和47年5月25日最高裁判所第一小法廷判決棄却、福岡高等裁判所昭和43(ネ)593号
配偶者の居住の確保─ 配偶者居住権と信託の使い分け(弁護士●田中康敦・中村拓馬)
再婚をしているが子はいない。前妻との間に子がいる場合、現在の配偶者の居住確保と配偶者死亡後、配偶者施設入所後の居住建物の承継先。配偶者居住権と信託の比較。
相続税法基本通達9-13の2(注)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/01.htm
終活における生命保険と信託の活用(司法書士・CFP®●都筑崇博)
保険金受取人の確認。指定代理請求制度。保険契約者代理特約。商事信託(生命保険信託)における信託財産。
祭祀承継、葬祭と信託制度(愛知学院大学教授●田中淳子)
民法896条、897条。旧民法987条。墓地、埋葬等に関する法律9条。行旅病人及行旅死亡人取扱法7条、11条。
厚生労働省 行旅病人及行旅死亡人取扱法、墓地、埋葬等に関する法律及び生活保護法に基づく火葬等関連事務を行った場合等の遺骨・遺体の取扱いに関する調査研究事業報告書
https://www.jri.co.jp/column/opinion/detail/15738
那覇市墓地等の経営許可等に関する規則
https://www1.g-reiki.net/naha/reiki_honbun/q902RG00001044.html
特集2:高齢者の居住をめぐる諸問題
高齢期における居住の保障をめぐる一考察(日本大学法学部准教授●矢田尚子)
内閣府 令和7年版高齢社会白書
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/index-w.html
高齢者の居住の安定確保に関する法律
https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0000000026
厚生労働省 有料老人ホームの設置運営標準指導指針について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000083170.html
サービス付き高齢者向け住宅も指針の適用対象。
住宅金融支援機構 リ・バース60
一般社団法人移住・住みかえ支援機構 残価保証と残価設定型住宅ローンについて
信託型リバースモーゲージの現状と課題 ─ 老後の生活保障・住宅確保のための信託(法政大学教授●中田裕子)
独立行政法人国民生活センター 2025年5月21日、強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!-本当に「そのまま“ずっと”住み続けられる」契約ですか?
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20250521_1.html
公的リバースモーゲージは生活を支える制度たりうるか ─ 生活福祉資金貸付制度における不動産担保型生活資金の概要・現状・課題 (日本福祉大学教授●角崎洋平)
厚生労働省 不動産担保型生活資金、要保護世帯向け不動産担保型生活資金
https://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/kashitsukejoken.html
不動産担保型生活資金・・・原則として推定相続人の1人を連帯保証人。貸付金額は最大月30万円。2009年度から2016年度までの貸付件数は年度平均230件。
要保護世帯向け不動産担保型生活資金・・・マンションは担保対象外。009年度から2016年度までの貸付件数は年度平均100件。
住宅のリースバックをめぐる消費者トラブルの状況(独立行政法人国民生活センター相談情報部相談第1課課長補佐●加藤良太)
国土交通省「住宅のリースバックに関するガイドブック」令和4年6月24日
https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000174.html
新連載:民事信託に関する税務上の諸問題 第1回(日弁連信託センター 弁護士・税理士●坂田真吾)
⽇本弁護⼠連合会日弁連信託センター 信託税制マニュアル2023年2⽉22⽇
https://www.nichibenren.or.jp/activity/civil/trust_center.html
チェックリストの活用。
家族信託への招待 第24回相談室 受益者連続一日延長信託、相続ではないと不動産取得税課税の動き─都道府県税事務所、地方税に着手─(弁護士●遠藤英嗣)
信託期間の終了事由の一つに、当初受益者が死亡し、かつ二次受益者とその取得する受益権が決定した日の翌日・・・債務控除(相続税法9条の2第6項が同条第4項を除外。)を考えた信託期間1日延長。
地方税法73条の7第4号
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226
(形式的な所有権の移転等に対する不動産取得税の非課税)
第七十三条の七 道府県は、次に掲げる不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。
四 信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である信託により受託者から当該受益者(次のいずれかに該当する者に限る。)に信託財産を移す場合における不動産の取得
イ 当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者である者
ロ 当該信託の効力が生じた時における委託者から第一号に規定する相続をした者
ハ 当該信託の効力が生じた時における委託者が合併により消滅した場合における当該合併後存続する法人又は当該合併により設立された法人
ニ 当該信託の効力が生じた時における委託者が第二号に規定する政令で定める分割をした場合における当該分割により設立された法人又は当該分割により事業を承継した法人
・委託者の地位の承継条項(信託法146条から148条)。
・帰属権利者に関する条項(信託法182条、183条)。
判例が確定するまで、通達等が発出されるまでは、委託者の地位は相続による承継を認める、と読める条項に変更、という主張。例えば、委託者の地位を相続により承継取得した者は、追加信託できるほか、信託法上の権利は行使できないものとする。委託者の地位は、相続により承継しないという条項の廃除。
判例が確定するまで、通達等が発出されるまでは、受託者を帰属権利者に指定されている者に変更、という主張。
信託と税金 no.24 ~信託型ストックオプションの改正~ (税理士●菅野真美)
国税庁 令和5年7月7日付「ストックオプションに対する課税(Q&A)」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/241130/index.htm
所得税法67条の3
https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033/20240517_506AC0000000026#Mp-Pa_2-Ch_2-Se_2-Ss_9
第六十七条の三 居住者が法人課税信託(法人税法第二条第二十九号の二ロ(定義)に掲げる信託に限る。)の第十三条第一項(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含むものとし、清算中における受益者を除く。)となつたことにより当該法人課税信託が同号ロに掲げる信託に該当しないこととなつた場合(同号イ又はハに掲げる信託に該当する場合を除く。)には、その受託法人(第六条の三(受託法人等に関するこの法律の適用)に規定する受託法人をいう。)からその信託財産に属する資産及び負債をその該当しないこととなつた時の直前の帳簿価額を基礎として政令で定める金額により引継ぎを受けたものとして、当該居住者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。
2 前項の居住者が同項の規定により資産及び負債の引継ぎを受けたものとされた場合におけるその引継ぎにより生じた収益の額は、当該居住者のその引継ぎを受けた日の属する年分の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。
3 信託(第十三条第一項ただし書に規定する集団投資信託、退職年金等信託又は法人課税信託を除く。以下この条において同じ。)の委託者(居住者に限る。以下この項において同じ。)がその有する資産を信託した場合において、当該信託の受益者等となる者(法人に限る。以下この項において同じ。)が適正な対価を負担せずに受益者等となる者であるときは、当該資産を信託した時において、当該信託の委託者から当該信託の受益者等となる者に対して贈与(当該受益者等となる者が対価を負担している場合には、当該対価の額による譲渡)により当該信託に関する権利に係る資産の移転が行われたものとして、当該信託の委託者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。
4 信託に新たに受益者等が存するに至つた場合(前項及び第六項の規定の適用がある場合を除く。)において、当該信託の新たな受益者等となる者(法人に限る。以下この項において同じ。)が適正な対価を負担せずに受益者等となる者であり、かつ、当該信託の受益者等であつた者が居住者であるときは、当該新たに受益者等が存するに至つた時において、当該信託の受益者等であつた者から当該新たな受益者等となる者に対して贈与(当該受益者等となる者が対価を負担している場合には、当該対価の額による譲渡)により当該信託に関する権利に係る資産の移転が行われたものとして、当該信託の受益者等であつた者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。
5 信託の一部の受益者等が存しなくなつた場合において、既に当該信託の受益者等である者(法人に限る。以下この項において同じ。)が適正な対価を負担せずに当該信託に関する権利について新たに利益を受ける者となる者であり、かつ、当該信託の一部の受益者等であつた者が居住者であるときは、当該信託の一部の受益者等が存しなくなつた時において、当該信託の一部の受益者等であつた者から当該利益を受ける者となる者に対して贈与(当該利益を受ける者となる者が対価を負担している場合には、当該対価の額による譲渡)により当該信託に関する権利に係る資産の移転が行われたものとして、当該信託の一部の受益者等であつた者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。
6 信託が終了した場合において、当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者(法人に限る。以下この項において同じ。)が適正な対価を負担せずに当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者であり、かつ、当該信託の終了の直前において受益者等であつた者が居住者であるときは、当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となつた時において、当該受益者等であつた者から当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者に対して贈与(当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者が対価を負担している場合には、当該対価の額による譲渡)により当該信託の残余財産(当該信託の終了の直前においてその者が当該信託の受益者等であつた場合には、当該受益者等として有していた当該信託に関する権利に相当するものを除く。)の移転が行われたものとして、当該受益者等であつた者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。
7 第三項から前項までに規定する受益者等とは、第十三条第一項に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含む。)をいう。
8 第一項の規定による引継ぎにより生じた損失の額がある場合の所得の金額の計算、第三項に規定する信託に関する権利が当該信託に関する権利の全部でない場合における同項の規定の適用その他第一項から第六項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
民事信託と登記 第15回 令和6年1月10日登記先例に対する私見と試論(その3)(渋谷陽一郎)
P111副代理→復代理。平成登記バブルと呼ばれた登記の黄金時代は、1事務所当たりの不動産登記件数1000件超。登記所と司法書士は登記一家だった。登録免許税7条2項の要件。
国税庁 信託の終了に伴い、受託者兼残余財産帰属権利者が受ける所有権の移転登記に係る登録免許税法第7条第2項の適用関係について
https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/bunshokaito/sonota/181200/index.htm
受益者変更登記の原因を、年月日○○号年月日信託法183条6項によって帰属権者を受益者とみなす、とすることの可否。
ここからはじめる! 民事信託実務入門 第9回(最終回) 信託財産の変動(下)とフィデューシャリーの課題 (弁護士●金森健一)
信託法37条4項の定めにかかわらず、信託帳簿は保存しておいた方がよい、という考え。信託法37条6項の定めに関わらず、財産状況開示資料は保存を継続するべき、という考え。
民事信託の提供(民事信託設定支援業務)が司法書士法2条の業務に当たるか。日本司法書士会連合会の司法書士行為規範、民事信託支援業務の執務ガイドラインには、法的根拠の記述が存在しない。今回のまとめ③についての記述は、業務が変わる、という内容。
■論説 サステナブルファイナンスと信託(前編)─グリーンウォッシュを巡る国際規制の動向について(三菱UFJ信託銀行資産金融部エキスパート●石嵜政信)
金融庁・経済産業省・環境省「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」令和3年5月7日、令和7年4月14日更新
https://www.fsa.go.jp/news/r2/singi/20210507_2.html
legislation.gov.uk Trustee Act 2000
https://www.legislation.gov.uk/ukpga/2000/29/contents
■ガバナンスの潮流 コーポレートガバナンスにおけるサイバーセキュリティの現在地 (弁護士(日本・カリフォルニア州)●山岡裕明)
重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律
https://laws.e-gov.go.jp/law/507AC0000000042/20271122_000000000000000
■信託事例紹介 マンションの民事信託(弁護士・民事信託士●海野千宏)
国土交通省 マンション標準管理規約
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/mansionkiyaku.html
第31条、管理組合に対する組合員の資格の喪失、取得の届出。46条5項、建物の区分所有等に関する法律39条2項、議決権行使者。
第35条2項、35条、役員の資格要件。
第15条3項、駐車場等の継続利用要件。
