登記研究931号(令和7年9月号)、テイハン
https://www.teihan.co.jp/search/g17615.html
【論説・解説】■不動産登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(旧氏併記関係)(2)
東京地方裁判所判事(前法務省民事局付)森 下 宏 輝、法務省民事局民事第二課補佐官 河 瀬 貴 之、法務省民事局商事課補佐官(前法務省民事局民事第二課補佐官) 太 田 裕 介
第3 施行通達の解説
○第2部 旧氏併記に関する事務の取扱い
○第3 登記申請を伴わない旧氏併記の申出
登記記録の住所と現在の住所が異なっていても、前提として住所変更の登記申請を要しない。住所変更の繋がりを証する情報の提供は要する。ページ数の記載があれば契印不要。
登記申請を伴わない旧氏併記の申出に対する登記官の応答に行政処分性はないと考えられるが、申出に対する登記官の応答の有無を明確化するため、却下の手続が設けられる。
書面申出を行った場合の取下げは、申出書への押印が不要なため、申出人の本人確認情報の提示が必要と考えられている。
■ポイント解説 基礎から考える商業登記実務(第12回)
東京法務局民事行政部第一法人登記部門首席登記官 山 森 航 太
ポイント:商業登記の申請の取下げについて
1 はじめに
2 商業登記の申請の取下げの態様
3 商業登記の申請の取下げの手続
(1) 取下書の提出又は送付
登記研究87号P33、昭和29年12月25日民事甲第2637号通達「登記申請の取下に関する取扱について」
取下書には、取下の理由記載が必要。申請の取下が欠缺補正のためのものである場合には、特別の受任を要せず、したがって委任状を添付させる必要はないが、その他の場合においては、特別の受任を必要とするから、登記申請意思の撤回、などの受任事項を記載した委任状を添付する必要がある。
(2) 商業登記の申請の取下げに係る委任状の添付
登記申請の際に添付する委任状の委任事項に、申請意思の撤回と記載されていても、登記申請と登記申請意思の撤回は相矛盾するので、委任者が受任者に対して権限を与えたとは解されない。
(3) 取下書又は取下げに係る委任状への押印
商業登記の申請と同時に印鑑を提出する場合。設立登記申請等のときは、取下げの時点において登記所に提出している印鑑は存在しないため、提出する印鑑を押印。印鑑(改印)届は、登記所に保存するため、還付されない。
4 オンライン登記申請を取り下げる場合の留意点
(1) 取下書情報を登記所に提供して取り下げる場合
(2) 代理人によるオンライン登記申請を登記申請意思の撤回により取り下げる場合
(3) 取下書の提出又は送付によって取り下げる場合
(4) オンライン登記申請に補正すべき点があるかどうか不明な場合
5 商業登記申請の取下げに係る登記所における手続
(1) 受付帳の処理及び取下書又は取下書情報の処理(商登準則第54条第3項、第4項、第8項)
(2) 商業登記の申請書又は申請情報及び添付書面の処理(商登準則第54条第5項、第6項、第8項)
還付する書類の全ての写しを作成し、申請書類つづり込みにつづり込む。
(3) 登録免許税の処理
登録免許税は登記によって当事者が利益を受けるために課税されるもの。
登記研究805号P178、平成26年5月9日法務省民二第272号法務省民事局民事第二課長・法務省民事局商事課長依命通知「登録免許税の還付金を代理受領するための委任状の様式について」
6 特殊な取下げの手続(他の登記所の管轄区域内への本店の移転の登記の申請の取下げ)
登記研究202号P59、昭和39年8月6日民事甲第2712号民事局長通達「会社の本店移転の登記申請の取下について(商通第五十五号)」
登記研究346号P93、1976年9月20日質疑応答【五二八二】「会社の本店移転の登記申請の取下げについて」
7 おわりに
■逐条解説不動産登記規則(60)
元法務省民事局民事第二課地図企画官 小宮山 秀 史
第110条 土地の滅失の登記
第百十条 登記官は、前条の場合において、滅失した土地が他の不動産と共に所有権以外の権利の目的であったとき(その旨が登記記録に記録されている場合に限る。)は、当該他の不動産の登記記録の乙区に、滅失した土地の不動産所在事項並びに滅失の原因及び当該土地が滅失したことを記録し、かつ、当該滅失した土地が当該他の不動産と共に権利の目的である旨の記録における当該滅失した土地の不動産所在事項を抹消する記号を記録しなければならない。
2 登記官は、滅失した土地が他の不動産と共に担保権の目的であったときは、前項の規定による記録(滅失した土地の不動産所在事項の記録を除く。)は、共同担保目録にしなければならない。
3 登記官は、第一項の場合において、当該他の不動産が他の登記所の管轄区域内にあるときは、遅滞なく、その旨を当該他の登記所に通知しなければならない。
4 前項の規定による通知を受けた登記所の登記官は、遅滞なく、第一項及び第二項の規定による登記をしなければならない。
滅失した土地が他の不動産と共に所有権以外の権利の目的であったときの登記の処理の定め。
■家族の変遷(過去・現代・未来)(4)
広島大学・法科大学院 客員教授 小 川 富 之
第4 明治初期から法典論争に至る議論と「家」制度
法務省 我が国における氏の制度の変遷
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji36-02.html
【法 令】老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律(第1条関係)新旧対照条文 (令和7年5月30日法律第47号)
租税特別措置法施行規則の一部を改正する省令(令和7年8月1日財務省令第59号)
【訓令・通達・回答】▽不動産登記関係
〔6262〕租税特別措置法第82条の2に基づく登録免許税の免税に係る証明書の様式について(令和6年11月21日付け法務省民二第1616号法務局民事行政部長、地方法務局長宛て法務省民事局民事第二課長依命通知)
〔6263〕不動産登記事務取扱手続準則の一部改正について(令和6年12月2日付け法務省民二第1675号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)
本人確認情報。
〔6264〕行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律の一部等の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(令和6年12月2日付け法務省民二第1676号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)
資格確認書(不動産登記規則72条2項第2号)の新設。
▽商業・法人登記関係
〔6265〕「商業登記所における実質的支配者情報一覧の保管等に関する規則の施行に伴う事務の取扱いについて(令和3年9月17日付け法務省民商第159号民事局長通達)」の一部改正について(令和7年3月21日付け法務省民商第42号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)
〔6266〕商業・法人登記における印鑑関係事務取扱要領の一部改正について(令和7年3月24日付け法務省民商第48号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)
管轄外に本店移転登記をした場合の印鑑の取扱い。