内閣府第2回デジタル・AIワーキング・グループ
令和7年3月13日(木)
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2501_06ai/250313/ai02_agenda.html
議題1.超高齢社会に対応した親族間での信託の活用による柔軟な資産管理の推進
民事信託の実状と課題
2025年3月13日(木)
広島弁護士会、高齢者・障害者等の権利に関する委員会委員、弁護士菊永将浩
民事信託の契約に200件以上関与
・・・法務省、国税庁、厚生労働省などではなく、内閣府の規制改革推進会議で議論されていることの文脈。法務、税務、金融面などで、国(内閣府?)に対してガイドライン、Q&Aやフローチャートの作成を要望されていますが、可能であるならば賛成です。
・令和5年における公正証書の作成件数は約4,500件だが、これとは別に私文書での契約もあることから、全体の総数は、その2~3倍(1~1.5万件)ほどあると考えられる。
・・・私文書での民事信託に係る契約等が、公正証書の2~3倍あると想像する根拠が分かりませんでした。
⇒)民事信託の利用が望ましい方(例えば、元気なうちに自分の財産管理を信頼できる子に任せたいと考えが決まっている高齢者など)が利用できていないので、関係者等に制度を認識・理解していただく必要がある。
・・・相続登記、遺言制度、後見制度と併せて、選択肢の一つとして広報していくことになるのではないかと思います。
民事信託の担い手である専門家が不足している
・・・専門家の間で見解が異なる、という表現がしっくりくるように感じます。
民事信託の正確な情報が分かりにくい
・・・正確、正しい、という表現を使うことが難しい制度なのかなと思います。
信託口口座の開設、開設後の取扱い(ペイオフ時の支払先、受託者変更時の対応、差押え発生時の取扱い、契約終了時の口座終了方法)など金融庁も巻き込んで進めていく方向なのかなと感じます。
信託契約等の公正証書作成時に、オンラインでの作成を利用しやすい設計にすることは、必要だと感じます。利用者の最寄りの士業事務所を活用することも可能だと思います。
>(参考)民事信託のその他の課題
1信託財産の規制
・農地を信託の対象とすることができない。
2業法の規制
・民事信託において、士業などの専門家というだけでは受託者になることができない。
3税務上の取扱い
・民事信託の税務について、公的見解がないことから実務での活用が慎重になっている。
例1)信託終了時の相続税の債務控除(相続税法9条の2)
→相続税法9条の2第6項が信託の終了時に適用がないことから、信託をした場合に相続税の債務控除が受けられないのではないか。
例2)受託者のみが債務者となる借入における相続税の債務控除の可否
→委託者が債務を負わない形をとった場合において相続税の債務控除が受けられるかどうか。
例3)遺言の内容とは異なる遺産分割をした場合においては二重課税の問題が生じないような税務の取扱いになっているが、信託の場合にも同様に考えられるか。
・民事信託の活用が難しくなる形での税務についての公式見解が示されている分野がある。
例1)空き家の譲渡所得の特別控除が信託の場合には適用されない(令和4年12月20日東京国税局照会・回答)
4登記上の取扱い
・信託登記、とりわけ信託目録の記載方法などについての指針がなく、登記実務にばらつきがみられる。
5金融実務の取扱い
・民事信託に対応する金融サービス(信託内融資など)を提供している金融機関が少ない。
議題2.「相続手続の効率化」に関するフォローアップ
>戸(除)籍電子証明書を提供するための戸(除)籍電子証明書提供用識別符号の発行について、オンライン申請やオンライン発行の実現に向けた工程表を作成
➢ 以下の手続について、令和7年3月24日から戸籍電子証明書提供用識別符
号のシステム連携を開始する予定
① 旅券発給申請手続
② 在外公館における身分関係事項等に関する証明手続
③ マイナ免許証の本籍情報変更手続
※マイナ免許証のみを有する者のみ