市民と法148号2024年8月

市民と法148号、2024年8月、民事法研究会

http://www.minjiho.com/shopbrand/037/P/

大論公論 簡易裁判所のデジタル化と認定司法書士に対する期待

 大阪地方裁判所民事上席裁判官・大阪簡易裁判所司法行政事務掌理裁判官 松永栄治

・利用者の出頭による費用面及び時間面のコストを抑えたいという利用者のニーズに応えることが出来る。・・・今後、利用件数は増えるのか気になりました。

・簡易裁判所の平均審理期間は、1998年2,0カ月から2023年3,1カ月と長くなっている。

【論説/解説】

・総合法律支援法の沿革と今後の展望

 東海大学教授 吉岡すずか

 特定援助対象者法律相談援助について。月平均62件の相談実績。

 災害援助、刑事領域への拡大。

・「デジタル技術を活用した遺言制度の在り方に関する研究会報告書」を読んで

 弁護士 佐々木好一

 「私の下記所有財産を住所○○、氏名○○【配偶者・子・(    )】に、【相続させる・遺贈する】」の○○と選択をほんの自書で行い、その他は全て記載済みのものを利用する、という方法があり得るのではないかと思いました。

・ネット銀行の抵当権設定登記手続と司法書士業務のDX化

 司法書士 土屋佑介

住信SBIネット銀行の住宅ローンは、魅力的な商品性に加え、AI審査の導入など、融資判断の迅速化に積極的に取組み、多くのお客さまにご愛顧いただいております。その結果、2023年10月には住宅ローン取扱額10兆円を突破し、2023年度の新規実行額は1兆4,852億円

https://www.netbk.co.jp/contents/company/press/2024/0412_002540.html#:~:text=%E4%BD%8F%E4%BF%A1SBI%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E9%8A%80%E8%A1%8C%E3%81%AE%E4%BD%8F%E5%AE%85%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%81%AF%E3%80%81%E9%AD%85%E5%8A%9B,%E5%86%86%E3%81%A8%E5%9B%BD%E5%86%85%E8%A1%8CNo.

 ネット銀行が委任する司法書士をどう探すか、各ネット銀行が工夫。司法書士においても、通常より広範な業務を行っているものと推測。・・・どのような工夫があるのか、どのくらい広範なのか気になりました。

 ネット銀行の電子署名に関する管理と、委任状の記載事項。

・空家等管理活用支援法人の指定制度における審査基準のあり方

 司法書士 立川健豊

 ■空家等管理活用支援法人の指定等の手引き

国土交通省 市町村が支援法人の指定等を行うにあたっての基本的な考え方や、審査の基準を含む事務取扱要綱(例)

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000138.html

 自治体により、空家等管理活用支援法人の指定を行わない例。

・区分所有法制の見直しに関する要綱を読む(下)――改正の背景・各制度の概要・今後必要な施策――

 弁護士・横浜市立大学客員准教授 佐藤 元

 法制審議会-区分所有法制部会

https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007_00004

 建替え決議要件を緩和する事由。建替え決議がされた場合の賃貸借契約の終了請求権と損失補償義務。

 区分所有関係の解消制度、区分所有建物滅失後の再建制度。建物敷地売却制度。建物更新(リノベーション)決議。

 

・相続登記申請義務化時代の司法書士制度論(4)――AI時代の司法書士原論――

 司法書士 長谷川清

 司法書士事務所の運営とAI、主に生成AIとの関係。AI時代と表現。相続人申告登記の申出制度に、自動調査・校合を行うAI登記官の出現の可能性。・・・司法書士と同じように、AIを使用する登記官が出現する、という意味なのかなと思います。それは法務省が生成AIの使用方法についてガイドラインを省内でガイドラインが作成されることと、ほぼ同義ではないかと思います。利用方法さえ定めれば、今すぐにでも使用することが出来る状況にはなっているからです。

 韓国における未来登記システムについて。ここでいう登記システムは記事全体を読む限り、不動産登記に関するシステムの話をしています。

 一般国民が容易に理解して活用できる未来型登記簿、というものがどういうものなのか、想像が出来ませんでした。

 無管轄、非対面等が大きな特徴である。について・・・無管轄というのは、どこの法務局に登記の申請、申告の申出、各種証明書の請求をしてもよい、という意味だと考えられます。非対面はどのように本人の意思を担保するのか、気になりました。

 不動産売買契約事実申告登記制度の創設について。・・・税務申告に近いイメージを持ちました。相続税が課税されないが申告が必要なときなど。仮登記制度や仮登記仮処分制度の手続要件の緩和や、登録免許税を不動産1個1,000円(仮登記仮処分命令の手続き費用も一件1,000円)にすることで解決出来ないのかなと思いました。

 司法書士がAIを、まずは使ってみる、という心意気になるには、研修に組み入れるために10年単位の月日を要する、との記述について。・・・研修に入っていなくても、既にどのように使いこなすか、試行錯誤している方がいらっしゃいます。

対談 司法書士のアイデンティティの行方(上)

 司法書士 稲村 厚、 司法書士 渋谷陽一郎

 極めて中途半端な法律家、について。・・・私の認識は、有利な方に自身の立場を入れ替えることが出来る隣接法律専門職です。司法書士試験合格時は、言葉の王様、事務の王様だと考えていました。ただ、私や本記事の著者を含めた先輩方を見ていて、言葉の使い方が雑だと思うことが現在進行中でずっとあるので、さすがに言葉の王様、事務の王様なんて言えないです。

 司法書士制度が「未完の制度」あるいは「生成中の法律家制度」であるがゆえに非常に魅力的であったものが、どうも最近そういう議論がまったくなくなっちゃって、あの情熱はどこへいっちゃったのかなというふうに思います。について・・・1つは成年後見センター・リーガルサポートその他の司法書士が中心となって運営している法人、各司法書士会執行部における、多数決による除名規定や会員への指導とその活用の多さだと思います。事実認定や法律構成の議論ではなく多数決(役員にとって都合の悪いことは、多数決で決めて追い出す。)の論理が持ち出されると、普段の仕事と矛盾しますし、司法書士制度論など語る熱量は消えます。言うべきことは言う、など、少なくとも同業者の会務を熱心にやっている人にそういう対応をしても現状無意味で、かえって失望します。

 紛争性の有無という基準は曖昧、について同意です。

 司法書士制度は消滅するという予言について・・・あり得ると思いますが、一度法律に基づいて作られて、現在2万人以上が職業としている制度について、消滅するのは難しいと思います。

 無報酬性を前面に出すかどうかは、各司法書士が自分の頭で考えてやるかやらないかを決めて良いと思います。上から押しつけられて嫌々やっても、そのしわ寄せは事務所の職員にいきがちです。

 元司法試験の受験生であったことは、個々人または同じグループ内で解決していただきたいと思います。別の職業である弁護士に関する感情的な面を、司法書士会に持ってきて何かしらいい影響があるのか、分かりませんでした。

 

現代家族の肖像と法律問題(36)

 弁護士 升田 純

 東京高判平15・4・23金法1681号35頁。遺言執行者は、遺言の執行として金融機関等に対して預金等の払戻し等を求める権限を有するものではないとした事例。・・・民法899条の2、1014条による見直し。

相続・今昔ものがたり(43)――事例で読み解く相続実務――

 法制史学会会員・司法書士 末光祐一

〔付録〕相続分の譲渡に関連する先例

 登記研究848号、平成30年3月16日法務省民二第137号民事局民事第二課長通知「異順位の共同相続人の間で相続分の譲渡がされた後に遺産分割協議が行われた場合における所有権の移転の登記の可否について」

 登記研究750号、平成22年4月2日法務省民二第908号民事局民事第二課長通知「「相続分の売買」を登記原因とする土地の所有権の移転の登記に係る登録免許税の租税特別措置法第七二条の適用の可否について」

 登記研究536号、平成4年3月18日法務省民三第1404号民事局第三課長回答「数次相続人間における相続分譲渡と所有権移転登記手続)について」

 登記研究444号、昭和59年10月15日法務省民三第5195号民事局第三課長回答「相続分譲渡による相続登記の可否」

 登記研究220号、昭和40年12月7日民事甲第3320号民事局長回答 「相続分譲渡に関する調停調書を添付してなされた相続による所有権移転登記申請の取扱いについて」

信託契約書から学ぶ民事信託支援業務8 信託契約書の起案の作法(3)

 司法書士 渋谷陽一郎

 司法書士の場合、委託者に加えて委託者の家族も依頼者であるという場合がある。について・・・委任契約書に家族も記載するという場合は、どのような場合なのか、気になりました。

 原則として、全員に信託財産から受益させたいのならば、全員を受益者にすればよい。について・・・同意です。

全青司ノート67 オンライン申請システム障害

 全国青年司法書士協議会民法・不動産登記等研究委員会常任幹事・司法書士 牧野賢努

 e-Statを加工して、月別時間軸とオンライン申請率をデータ化した表を作成。印紙収入にも触れられています。商業・法人登記、船舶の登記などを含む登録免許税納付額の合計は、6559億8380万3300円(2022年度)でした。

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00250002&kikan=00250&tstat=000001012460&cycle=8&year=20221&month=0&tclass1=000001012463&result_back=1&tclass2val=0
PAGE TOP