片岡武・村主幸子・日野進司・川畑晃一・小圷恵子/著「家庭裁判所における財産管理・清算の実務―不在者財産管理人・相続財産清算人・特別縁故者に対する相続財産分与―」2023年、日本加除出版
第1編 不在者の財産管理
・構成
手続きの流れ、設例・解説、裁判例、書式、視点、参考、実務、注意点、裁判所書記官からの要望、などの項目に分かれています。
P7 不在者の財産のうち、特定の不動産のみを管理する必要がある場合の対応・・・所有者不明土地管理命令(民法264条の2)、所有者不明土地管理命令(民法264条の8)を利用する。不在者財産管理人は、選任されたとしても上の管理命令の申し立てを行うことになる。
書式で、家庭裁判所のホームページで公開されているファイル同じ種類の書式(不在者財産管理人の選任申立書など)と、どこが異なるのか、書籍に記載する必要があるのか、分かりませんでした。
~をする庁もある(P27)。~を求めない庁もある(P30)、などの記載があり、各家庭裁判所によって運用が違うということが分かります。
P38 管理経過一覧表の記載例では、費用立替がずっと続いていますが、P34の設例1-9の解説と異なるのではないかと思いました。
P54 帰来時弁済型の遺産分割協議が認められる要件は、とても狭いと考えますが、初めて知りました。
P60 不在者が被相続人より後に死亡していた場合には、相続財産清算人の選任を申し立てて相続財産清算人に引き継ぐこととなる。
P106 委任管理人と不在者の財産管理人との関係
P108の意義、の記載は、要件と読み替えました。
P113 警察への家出人捜索願提出の有無及びその結果について、家出人捜索願を提出したが、保管期間が終了している場合、警察官が再度、親族に対して事情聴取をして書類を作成してくれる場合があります。
P125 令和3年改正(家事事件手続法146条の2、147条
により、不在者財産管理人による金銭供託で失踪宣告を回避することも可能。
P123 相続財産清算人のパターン化(債務超過型、特別縁故型、国庫帰属型。)。
第2編 相続財産の清算
P143 相続財産法人に登記義務(例えば抵当権抹消登記義務)があると考えられる場合でも、債務超過の場合、特別代理人の選任による対処の可能性もある。
P149 割合的包括遺贈は、原則として、相続人があることが明らかでないとき、には該当しない。部分的包括遺贈の場合、原則として相続財産清算人を選任する必要はない。例外として、未登記建物の表示登記、保存登記をしたうえで受遺者名義の登記をしたい場合、相続財産清算人を選任する必要が生じることもある。
清算型遺贈の場合、遺言執行者の指定があっても、相続財産清算人を選任する必要がある、との記載。
P157 遺言執行者が相続財産清算に就任することにつき、可能と記載。
P160 相続財産清算人の選任にかかる、予納金について、東京家庭裁判所では、100万円。
P222 不動産の売却代金を優先債権者に弁済するような事案の場合、解約手付けに関する条項を入れないことが多い(倍返しするための原資がないため)、との記述。気にしたことがなかったので、注意したいと思います。
P233 相続財産清算人の権限内行為として、株主総会出席、の記載。
第3編 特別縁故者に対する相続財産分与制度
P270 借地借家法36条との関係。
P277 親族関係の有無は、関係がない。
P282 法人、権利能力なき社団も、特別縁故者のなり得るかについて、肯定。
P295 平成元年11月30日民三4913号民事局長通達。
P297~特別縁故者への賃借権、借地権の分与について。
P341 特別縁故者に、全部分与を認めない理由・・・遺言が作成されていない(全部あげたいなら、遺言を作成しているはず、だという家庭裁判所の認識。)。
P349 昭和37年6月15日民事甲1606号民事局長通達。