『登記研究908号』2023年10月、テイハンからです。
https://www.teihan.co.jp/book/b10040217.html
法務省民事局付 森下宏輝、法務省大臣官房司法法制部審査監督課法務専門官(前法務省民事局民事第二課法務専門官)古田辰美、法務省民事局民事第二課企画係長兼所有者不明土地等対策推進第二係長 光木沙織「■民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(令和5年4月1日施行関係)」
第1 はじめに、第2 民法等の一部改正の趣旨、第3 改正法の概要、第4 施行通達
令和5年3月28日付け法務省民二第538号法務省民事局長通達「民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて」(令和5年4月1日施行関係)、令和5年3月28日付け法務省民二第537号法務省民事局長通達の解説
1 不登法改正関係
改正不動産登記法63条第3項について、遺言執行者が指定されている場合には、共同申請となること。
「登記義務者」から「共同して登記の抹消の申請をすべき者」への改正は、登記義務者に加えて、その相続人その他の一般承継人も含む、という意味。
改正不動産登記規則第152条の2の規定による調査方法について、不在住証明証書、不在籍証明書の発行は、地方公共団体の裁量に委ねられているので、これらを取得できなかったとしても、調査として不十分であることにはならないこと。
外国に住所を有する者についても通達の調査方法が適用される。
改正不動産登記法70条2項について、既判力が生ずるものではないと考えられる。→登記義務者が反対する場合あり。登記義務者が法人の場合の趣旨は、法人としての実体が喪失していると、積極的に認定することができるケースについて、適用すると整理。
改正不動産登記法70条の3の、30年の期間について。債権の消滅時効期間(民法166条)、解散した法人の清算手続きの期間を考慮した結果。
改正不動産登記法70条の4について。住民基本台帳ネットワークシステムから情報を取得するためには、費用負担が生じる(住民基本台帳法30条の29)が固定資産課税台帳上の所有者に関する情報を取得するには費用負担はない。
2 その他運用の見直し関係
法定相続分による相続登記がされた後に相続人に対する遺贈があったことが判明した場合の更生登記について。遺産分割協議書などを添付、と記載があるが、戸籍などは記載されていない。法定相続分による登記で相続関係が判明している部分については、戸籍などの添付不要?
法務省民事局民事第二課補佐官 三枝稔宗、法務省民事局民事第二課補佐官 河瀬貴之、法務省訟務局訟務調査室訟務企画課法務専門官(前法務省民事局民事第二課法務専門官)手塚久美子、法務省民事局民事第二課不動産登記第四係長 清水玖美■「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律の施行に伴う相続土地国庫帰属手続に関する事務の取扱いについて(通達)」の解説(2)
第2 本要領の概要
3 第3節 承認申請者、4 第4節 承認申請書類
現状、書面申請に限られているので、印鑑証明書など添付書類の取り扱いについて記載。印鑑の届け出をしていない法人について、公証人の認証を受けた署名証明書でも良いのか、新しく印鑑届け出を行うのか、気になりました。
一般社団法人商業登記倶楽部代表理事・主宰者 神﨑満治郎「■商業登記倶楽部の実務相談室から見た商業・法人登記実務上の諸問題(第114回)235 理事会及び監事を設置しない一般社団法人の設立について」
一人で一般社団法人を設立しようとしている依頼者に対して、設立時のみ妻などに依頼し社員になってもらい、設立後速やかに退社する、という方法を紹介。この方法が紙の専門雑誌に掲載されることに、どうなのだろう、と感じました。
(一社)テミス総合支援センター理事都城市代表監査委員 新井克美「■Q&A不動産表示登記(84)Q254 相接する既登記の2棟の建物の間を増築してその隔壁を除去し1棟の建物とした場合はどのような登記を申請するのか。」
建物の合体の登記について。未だに実務で見たことはありません。平成5年法律第22号不動産登記法改正により、合体前の建物に抵当権等の登記があるときは、登記官は、職権で、抵当権などの登記を合体後の建物の登記用紙に移記するとされた。
司法書士は、土地家屋調査士とともにする場合であれば、合体による登記などを申請する場合において、併せて所有権の登記を申請すべきときは、所有権の登記の申請手続をすることができる。2件目の所有権の登記は、共同代理申請になるのでしょうか。
司法書士鈴木龍介(司法書士法人鈴木事務所)「■商業登記の変遷(54)」
登記簿の編成の変化。大福帳→バインダー→ファイル化→コンピュータ化(登記記録へ)。
渋谷陽一郎■民事信託の登記の諸問題(25)
登記研究編集室「会社法施行下で使える登記先例──実務の便覧──(1)」
平成18年の会社法施行以降の、会社法や商業登記法及び商業登記規則の改正関連の主な先例とその概要の紹介。
【法 令】
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和4年10月28日政令第334号)
施行期日、令和4年11月1日
農地中間管理事業の推進に関する法律による不動産登記の特例に関する政令(令和4年12月23日政令第395号)
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和5年3月30日政令第97号)
相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和5年3月30日法務省令第19号)
審査手数料、施行日の記載。
民法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(令和5年8月2日政令第251号)
所有不動産記録証明制度(改正不動産登記法119条の2)の施行日、令和8年2月2日。住所変更登記などの申請義務化(改正不動産登記法76条の5,75条の6)の施行日、令和8年4月1日。
【訓令・通達・回答】
▽不動産登記関係
〔6209〕不動産登記規則等の一部改正に伴う不動産登記事項証明書等の交付事務の取扱いについて(令和5年3月23日付け法務省民二第506号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局長通達)
〔6210〕不動産登記規則等の一部改正に伴う不動産登記事項証明書等の交付事務の取扱いについて(令和5年3月23日付け法務省民二第507号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局民事第二課長依命通知)
交付請求方法として、スマートフォンの記載。
〔6211〕民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)の施行に関する登記嘱託書の様式について(令和5年3月24日付け法務省民二第518号法務局長、地方法務局長宛て法務省民事局民事第二課長依命通知)
所有者不明土地管理命令に関連する登記嘱託書の様式について。