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デジタル社会の実現に向けた重点計画(案)令和4年(2022年)6月7日
目 次
第1 はじめに ~重点計画の目的~ ………………………………….. 1
第2 デジタルにより目指す社会の姿 ………………………………….. 4
1.デジタル化による成長戦略 ……………………………………… 6
2.医療・教育・防災・こども等の準公共分野のデジタル化 ………………. 8
3.デジタル化による地域の活性化 ………………………………….. 9
4.誰一人取り残されないデジタル社会 ……………………………….10
5.デジタル人材の育成・確保 ………………………………………14
6.DFFT の推進を始めとする国際戦略 ………………………………..15
第3 司令塔としてのデジタル庁の役割 …………………………………16
第4 デジタル社会の実現に向けての理念・原則 ………………………….18
1.誰一人取り残されないデジタル社会の実現 ………………………….18
2.デジタル社会形成のための基本原則 ……………………………….22
3.BPR と規制改革の必要性 ………………………………………..22
4.クラウド・バイ・デフォルト原則 …………………………………22
第5 デジタル化の基本戦略………………………………………….24
1.デジタル社会の実現に向けた構造改革 ……………………………..24
2.デジタル田園都市国家構想の実現 …………………………………31
3.国際戦略の推進 ………………………………………………37
4.サイバーセキュリティ等の安全・安心の確保 ………………………..40
5.包括的データ戦略の推進 ………………………………………..44
6.デジタル産業の育成……………………………………………52
7.Web3.0 の推進 ………………………………………………..54
第6 デジタル社会の実現に向けた施策 …………………………………56
1.国民に対する行政サービスのデジタル化 ……………………………56
(1)国・地方公共団体・民間を通じたトータルデザイン …………………56
(2)新型コロナウイルス感染症対策など緊急時の行政サービスのデジタル化 …59
(3)マイナンバー制度の利活用の推進 ……………………………….60
(4)マイナンバーカードの普及及び利用の推進 ………………………..62
(5)公共フロントサービスの提供等 …………………………………65
2.暮らしのデジタル化……………………………………………69
(1)暮らしを変えるデータ連携の実現 ……………………………….69
(2)準公共分野のデジタル化の推進 …………………………………70
(3)相互連携分野のデジタル化の推進 ……………………………….85
3.規制改革 ……………………………………………………87
4.産業のデジタル化 …………………………………………….88
(1)事業者向け行政サービスの質の向上に向けた取組 …………………..88
(2)中小企業のデジタル化の支援 …………………………………..90
(3)産業全体のデジタルトランスフォーメーション …………………….91
5.デジタル社会を支えるシステム・技術 ……………………………..92
(1)国の情報システムの刷新 ………………………………………92
(2)地方の情報システムの刷新 ……………………………………110
(3)デジタル化を支えるインフラの整備 …………………………….117
(4)デジタル社会に必要な技術の研究開発・実証の推進 ………………..120
6.デジタル社会のライフスタイル・人材 …………………………….125
(1)ポストコロナも見据えた新たなライフスタイルへの転換 …………….125
(2)デジタル人材の育成・確保 ……………………………………128
第7 今後の推進体制 ……………………………………………..133
1.デジタル庁の役割と政府における推進体制 …………………………133
(1)司令塔としてのデジタル庁の役割 ………………………………133
(2)政府におけるデジタル改革の推進体制の強化 ……………………..133
(3)デジタル社会推進会議の開催 ………………………………….133
(4)デジタル社会構想会議の開催 ………………………………….134
(5)デジタル臨時行政調査会及びデジタル田園都市国家構想実現会議の開催 ..134
2.地方公共団体等との連携・協力 ………………………………….134
3.民間事業者等との連携・協力 ……………………………………134
工程表
別冊
施策集
本計画とデジタル社会形成基本法第37 条第2項各号に定める記載事項との対応関係
本計画と官民データ活用推進基本法第8条第2項各号に定める記載事項との対応関係
オンライン化を実施する行政手続の一覧等
第3 司令塔としてのデジタル庁の役割
⑥ 個人や法人を一意に特定し識別するID 制度や、情報とその発信者の真正性等を保証する認証制度の企画立案を関係法令所管府省庁と共管するとともに、ベース・レジストリの整備を含む包括的データ戦略を推進すること。
⑤ ベース・レジストリの整備の推進等
内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室は、令和3年(2021 年)5月に「ベース・レジストリの指定について」を策定し、社会的ニーズ、経済効果、即効性の観点から、早期にベース・レジストリとしての利活用を実現するもの及び今後ベース・レジストリとして整備の在り方を含め検討するものの区分を設け、具体のデータを指定した。今後、関係府省庁は「ベース・レジストリの指定について」に基づき、ベース・レジストリの整備を行う。その際、それぞれのデータの整備状況や特性等を勘案し、最も適した運用形態49を検討し、整備を進める。
当面の整備対象を事業所・事業者、住所・土地、行政等の各分野のベース・レジストリとし、それぞれについて目指すべき姿の明確化、ユースケースの特定を行い、その実現に向けたID 体系の整理、整備すべきデータの特定、その他課題の整理を令和4年度(2022 年度)末までに行う。
また、デジタル庁を中心に、個人情報など秘匿性の高いデータに対し、誰がいつアクセスした等のアクセス情報を本人が確認できるようにするなど、データ運用における利用者の信頼性の確保を図る。さらに、API によるデータ連携を可能とするシステム整備や、目的外利用の禁止等の制度的な課題などについては、「ベース・レジストリの指定について」に基づき適切に対応し、令和7年(2025 年)までの実装を目指す。
デジタル庁は、データ標準や各種ツールの整備を進め、指定されたデータを保有する各府省庁に対し必要な支援を行う。各府省庁においては、デジタル庁の整備するデータ標準への準拠、品質評価の実施、参照ルールの徹底等ベース・レジストリに適用されるルール遵守の徹底を図る。
品質向上の必要性等の観点から令和3年(2021 年)5月時点ではベース・レジストリとしての指定を見送ったデータについて、品質確保の取組を講じつつ、指定に向けて引き続き取り組む。
また、ベース・レジストリのように汎用的な活用はされないものの、特定分野において社会の基盤として使われるデータや、民間部門において整備されるデータに関して、整備を推進する必要がある。準公共分野については、情報システム整備方針に従い、関係府省庁及び関係業界が連携して当該分野に必要な基盤となるデータの整備を図る。相互連携分野については、IPA のほか関連民間機関と連携し、標準に係る整備方針を策定する。
包括的データ戦略において、各府省庁等の保有するデータベース又はネットワークからキャッシュ等でデータを取得し活用する方法、ベース・レジストリカタログとの連携で活用する方法、各府省庁の保有するデータベース等からデータをマッシュアップし、新たにベース・レジストリデータベースを構築・運用する方法の3類型が考えられるとされている。
さらに、統計データを各分野のデータと容易に組み合わせて使える状態とする観点から、データを組み合わせるためのキーとなる分類やコード、データの定義等の相互運用性の確保等、データが連携しやすい環境を整備する。
様々な行政サービスに関する情報を利用者のニーズに合わせて一覧的に提供するためのデータの標準化・体系化や識別番号の付与に向けて、海外の事例や民間における成果も参照しつつ検討する。
ベース・レジストリは、社会活動に必要となる共通的なデータを整備することによって、行政手続のワンスオンリーを実現するなど社会全体の効率性向上を図るためのものである。
一方、エンドユーザーやデータユーザーのニーズ把握、収集したデータを活用するためのユースケース、データホルダーの現況などを整理する必要があるが、そもそもデータがない、データの品質が担保されていない、データ流通に制限がある、といった技術的あるいは制度的な課題も山積している。そのため、各分野の現況を踏まえながら、個別の課題を洗い出すに当たっての必要な調査・分析を実施しつつ、ユーザーに具体的な価値を提供するベース・レジストリとなるよう検討を進める。
事業者(法人等)系ベース・レジストリに関しては、法人代表者や従業員等の事業活動におけるデータ整備について、政府と民間の役割分担、ID や属性情報のデータベースの在り方等を令和4年度(2022 年度)中に検討し目指すべき姿の整理を進める。
土地系ベース・レジストリに関しては、誰もが無償で利用可能な住所・建物マスタデータや共通ID が存在しないことや、地番・住居番号・不動産番号が個人情報に該当する可能性があると認識されていることによりデータ流通に制限があることが、住所情報のワンスオンリーの阻害要因の一つとなっていることから、まずは令和3年度(2021 年度)にアドレスの初期マスタデータの整備等を行った。今後、この成果を基にして、行政で実施すべき範囲を明確にし、住所・建物マスタデータや地番と住居表示、不動産番号をデータで関連性を持たせたデータについて、ベース・レジストリとして整備し、必要な範囲のデータを公開する。
行政系ベース・レジストリに関しては、地方公共団体が公開しているイベント及び公共施設の情報が統一形式のデータとして公開されておらず、情報が統合して取得できるプラットフォームがないことから、情報を収集・統合する形で公開する。イベントについては活用に資するだけのデータ量が確保できた段階で民間事業者の活用ニーズの掘り起こし検証を行い、継続可否を判断する。公共施設情報については防災分野の基本情報として活用を予定している。また、行政機関の支援制度等の情報については個人向けの支援制度情報を提供するマイ制度ナビを令和4年(2022 年)3月から提供開始している。今後、個人向け・事業者向けの支援制度情報を統合して取得・活用できるように推進し、これらのデータをオープンデータとして公開する。
なお、検討については、ベース・レジストリの構築・管理・運営において知見のある公的機関(国立印刷局、IPA 等)の協力を求め、その早期構築に取り組む。
(4)マイナンバーカードの普及及び利用の推進
② マイナンバーカードと運転免許証との一体化の実現
令和6年度(2024 年度)末にマイナンバーカードとの一体化を開始する。これに先立ち、警察庁及び都道府県警察の運転免許の管理等を行うシステムを令和6年度(2024 年度)末までに警察庁が整備する共通基盤(警察共通基盤)上に集約する。また、当該一体化に伴う相当の行政コストの削減効果が得られる場合は、関係省庁と連携し、マイナンバーカードの普及促進の観点も踏まえ、運転免許証の更新手数料の引き下げなど利用者負担の軽減を検討する。
④ マイナンバーカードの機能(電子証明書)のスマートフォンへの搭載の実現
令和3年度(2021 年度)に実施した技術検証・システム設計の結果を受け、令和4年度(2022 年度)中の運用開始を目指し、システム構築や関係事業者との調整を進める64。スマートフォンに搭載される電子証明書は、現行のマイナンバーカードに搭載される電子証明書とは別の新たな電子証明書とする。
電子証明書の機能だけでなく、券面入力補助機能など、マイナンバーカードの持つ他の機能についても、優れたUI・UX を目指し、スマートフォンへの搭載方法を検討する。
ワンストップサービスの推進等に関する具体的な施策
⑥ マイナンバーカードの電子証明書の円滑な発行・更新等
法律の規定に基づき、郵便局におけるマイナンバーカードの電子証明書の発行・更新や、暗証番号の初期化・再設定手続を実施するなど、電子証明書の発行・更新等の円滑な実施を図る。
⑦ 公的個人認証サービスにおける本人同意に基づく最新の住所情報等の提供
公的個人認証サービスについては、住民本人の変更後の基本4情報(氏名、生年月日、性別及び住所)等の署名検証者への提供に関する制度の施行(デジタル社会形成整備法の施行)に向けて、政省令等の整備を着実に進め、令和4年度(2022 年度)に本人の同意を前提に基本4情報等を本人の手続なしで署名検証者に提供するサービスを開始することを目指す。
③ 死亡・相続ワンストップサービスの推進
令和2年度(2020 年度)にデジタル・ガバメント分科会で報告した方針等に基づき、関係府省庁や地方公共団体の協力の下、次の施策を推進する。
・デジタル庁は、法定相続人の特定に係る遺族等の負担軽減策について、令和3年度(2021 年度)の検討を基に、法務省とともに社会実装に向けた論点整理を行い、その実現を支援する。
戸籍情報連携システムの戸籍電子証明書を活用した法定相続人の特定に関する支援等を検討する。
・死亡に関する手続(死亡届及び死亡診断書(死体検案書)の提出)をオンラインで完結する仕組みの構築に向けて、令和3年度(2021 年度)から実施している実証実験を基に社会実装に向けた課題の整理を厚生労働省及び関係府省庁とともに行う。
- 事業者向け行政サービスの質の向上に向けた取組
① 電子署名、電子委任状、商業登記電子証明書の普及
電子署名、電子委任状、商業登記電子証明書については、今後、活用の機会が増加し、多様化すると考えられることから、普及を更に強力に推進する。
【目指す姿】
・行政サービスのデジタル化を通じて事業者にとって利用しやすい環境を整備し、支援を必要とする事業者に迅速に支援が届く環境を実現する。
・行政データのオープン化の徹底等を図ることにより、事業者がオープン化された行政データを活用し、様々なサービスを生み出すことができる環境を実現する。
・ユーザーのニーズに合致した製品・サービスのデジタル化を後押しし、組織の在り方を変革することで、我が国の産業全体のデジタルトランスフォーメーションを加速し、国際競争力強化を図る。
商業登記電子証明書を用いた電子署名について、利用者の利便性の向上の観点から、リモート署名方式の導入及び認証局としての機能のクラウド化を検討し、令和4年度(2022年度)中にその方向性について結論を得る。電子証明書の発行時の手続について、発行時の手数料の無償化の可否も含めてその見直しを検討する。これらの検討及び費用対効果も踏まえつつ、令和7年度(2025 年度)までの可能な限り早期に新規システムの運用開始を目指す。
デジタル庁・各府省共同プロジェクト
① 登記情報システムに係るプロジェクトの推進
登記情報システムについては、メインフレームを中核として構成された情報システムからオープン化した情報システムに切り替えるなど、運用等経費の削減に取り組んできたが、現状、以下のような課題を抱えている。
ⅰ)行政機関等への各手続において、当該手続の添付書類として登記事項証明書を求めているものが数多くあり、これらの登記事項証明書の入手に係る費用・時間等が負担となっている。
ⅱ)政府方針等に基づき、運用等経費の削減に取り組んでいく必要がある。
以上の課題を解決するために、以下について実現を目指す。
ⅰ)行政機関等への各手続において、登記事項に係る行政機関間の情報連携システムの活用により、国民の各手続に係る負担を低減する。
ⅱ)情報システムの更改を契機として、システム運用等経費の削減を進めていく。
以上の目標を実現するために、以下について取り組む。
ⅰ)連携先である各行政機関のニーズを踏まえ、必要に応じて登記情報システムを改修するなどして利便性の向上を図る。
ⅱ)令和6年度(2024 年度)までに更改が予定される次期システムにおいては、システム構成の見直し等を行い、効率的な運用を図ることを目指すほか、所有者不明土地問題等の社会的要請への対応に配慮しつつ、引き続き、運用等経費の削減を目指す。
また、法務省とデジタル庁において、中・長期的な課題を解決するための協力体制を強化し、更なるシステム構成の見直し、業務改革(BPR)等の登記情報システムに関する将来構想に係る検討を積極的に進め、運用等経費の更なる削減を目指す。
制度所管府省庁による標準化基準の策定の方針
① 住民記録、戸籍の附票、印鑑登録
住民記録システムについては、令和4年(2022 年)夏を目途に標準仕様書(第2.0 版)を改定する。
戸籍の附票システムについては、令和4年(2022 年)夏を目途に標準仕様書を作成する。
印鑑登録システムについては、令和4年(2022 年)夏を目途に標準仕様書(第1.0 版)を改定する。
⑥ 戸籍
市町村の戸籍システムについては、既存の標準仕様書と、標準化基準における共通事項との整合性を確保することとし、そのために標準仕様書の見直しが必要な場合には、令和4年(2022 年)夏を目途に行う。